説明

過給機付きエンジンの故障診断装置

【課題】過給不良が生じた場合に過給不良の原因となっている故障部位を特定できるようにする。
【解決手段】
ECU30は、実ブースト圧に基づきエンジン10に過給不良が生じているか診断する。ECU30は、過給不良が生じていると診断し、かつ、実吸気量が正常吸気量よりも大きいときは過給機13とエンジン10の間でエア漏れが発生していると診断し、実吸気量が正常吸気量よりも小さいときは過給機13が故障していると診断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過給機付きエンジンの故障診断に関する。
【背景技術】
【0002】
過給機付きエンジンにおいて過給不良が生じると、燃料噴射量が吸気量に応じて決まるガソリンエンジンでは出力低下を招く。また、燃料噴射量がアクセル開度とエンジン回転速度に応じて決まるディーゼルエンジンでは吸気量減少により空燃比がリッチ化し、排気温度の上昇を招く。このため、過給機付きエンジンにおいては、故障診断を行い、過給不良が生じているとの診断がなされた場合には、過給不良対応の制御に切り換える必要がある。
【0003】
この点に関し、特許文献1は、過給機をモデル化し、該モデルを用いて演算される過給圧(モデル演算値)と過給圧の実測値との偏差に基づき過給機付きエンジンの故障診断を行う方法を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−155384公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
過給不良は、過給機の故障だけでなく、吸気通路からのエア漏れによっても生じる。過給不良対応の制御をより適切に行うには、過給不良の原因となっている故障部位まで特定する必要がある。
【0006】
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたもので、過給不良が生じた場合に過給不良の原因となっている故障部位を特定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様によれば、過給機付きエンジンの故障診断装置であって、前記エンジンの実吸気量を検出する実吸気量検出手段と、前記エンジンの実ブースト圧を検出する実ブースト圧検出手段と、前記実ブースト圧に基づき前記エンジンに過給不良が生じているか診断する過給不良診断手段と、正常過給時に得られる前記エンジンの吸気量(以下、「正常吸気量」という。)を前記エンジンの運転状態に基づき演算する正常吸気量演算手段と、前記過給不良が生じていると診断され、かつ、前記実吸気量が前記正常吸気量よりも大きいときは前記過給機と前記エンジンの間においてエア漏れが発生していると診断し、前記実吸気量が前記正常吸気量よりも小さいときは前記過給機が故障していると診断する故障部位診断手段と、を備えたことを特徴とする故障診断装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
上記態様によれば、実ブースト圧に基づきエンジンに過給不良が生じているかが診断される。そして、過給不良が生じていると診断された場合は、その過給不良がエア漏れによるものか、過給機の故障によるものなのかが、実吸気量と正常吸気量の大小関係に基づきさらに診断される。つまり、上記態様によれば、過給不良が生じているか診断できるだけでなく、その原因となっている故障部位まで特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態に係る故障診断装置の概略構成図である。
【図2】電子制御ユニット(ECU)が行う故障診断処理の内容を示したフロー チャートである。
【図3】本発明の作用効果を説明するための図である。
【図4】本発明の作用効果を説明するための図である。
【図5】ECUが行う故障診断処理の内容を示したフローチャートの別の例であ る(第2実施形態)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0011】
−第1実施形態−
図1は本発明の第1実施形態に係る故障診断装置の概略構成を示している。この故障診断装置は、エンジン10の故障診断を行う。
【0012】
エンジン10は過給機付きのディーゼルエンジンである。エンジン10の吸気通路11には、エアクリーナ12、過給機13のコンプレッサ13c及びインタークーラ14が配置される。エアクリーナ12で粉塵を除去されたエアは、コンプレッサ13cで圧縮され、インタークーラ14で冷却された後、エンジン10に供給される。
【0013】
エアクリーナ12とコンプレッサ13cの間にはエンジン10の吸気量(以下、「実吸気量」という。)Qaを検出するエアフローメータ21が取り付けられている。インタークーラ14とエンジン10の間にはブースト圧(以下、「実ブースト圧」という。)Paを検出するブースト圧センサ22が取り付けられている。これらセンサ21、22は電子制御ユニット(以下、「ECU」という。)30に電気的に接続される。エアフローメータ21の取付け位置はエアクリーナ12の入口側でもよいし、ブースト圧センサ22の取付け位置はコンプレッサ13cとインタークーラ14の間であってもよい。
【0014】
エンジン10に供給されたエアは、ピストン(図示せず)によって圧縮される。そして、圧縮されたエアに対してインジェクタ(図示せず)から燃料を噴射すると、燃料が自己着火を起こし、燃焼が起こる。エンジン10の排気は、排気通路15に配置される過給機13のタービン13tを回転させ、図示しない三元触媒、DPF及び消音器を介して大気中に排出される。
【0015】
過給機13は、タービン13tの入口側にノズルベーン(図示せず)を有している。ノズルベーンを変位させてタービンベーンに向けて流れる排気の流量を調整することにより、ブースト圧を任意の圧に制御することができる。
【0016】
ECU30には、大気圧を検出する大気圧センサ23が電気的に接続されている。また、ECU30はエンジン10を制御するエンジンコントローラ(図示せず)と電気的に接続される。ECU30には、エンジン10の運転状態(回転速度Ne、燃料噴射量Qf、アクセル開度ACC等)を示す信号がエンジンコントローラから入力される。
【0017】
ECU30は、CPU31、RAM・ROMからなる記憶装置32、入出力インターフェース33等を含む。記憶装置32には、後述する故障診断処理を実行するためのプログラム、マップが格納されている。入出力インターフェース33には、上記各種信号が入力される。CPU31は、記憶装置32に格納されるプログラムを読み出して実行し、以下に説明する故障診断処理により、過給不良の診断、及び、過給不良の原因となっている故障部位の特定を行う。
【0018】
図2は故障診断処理の内容を示したフローチャートである。この故障診断処理はECU30において所定時間(例えば、10msec)毎に実行される。以下、これを参照しながら故障診断処理の内容について説明する。
【0019】
S11では、ECU30は、正常過給時のブースト圧である正常ブースト圧Pnを演算する。具体的には、ECU30は、予め用意された目標ブースト圧マップからエンジン回転速度Neと燃料噴射量Qfに対応する値を検索することで、目標ブースト圧Ptを設定する。目標ブースト圧Ptは、高負荷領域や低回転パーシャル領域で高くなり、また、無負荷領域で低くなるように設定される。ECU30は、大気圧に応じて決まる上限ブースト圧以下に目標ブースト圧Ptを制限し、さらに、ブーストの立ち上がり遅れに対応する遅れ処理を施して、正常ブースト圧Pnを演算する。なお、簡略化して目標ブースト圧Ptをそのまま正常ブースト圧Pnとして用いてもよい。
【0020】
S12では、ECU30は、ブースト圧センサ22の検出値に対してなまし処理を施した値を実ブースト圧Paとして読み込む。このなまし処理は検出値に含まれるノイズを除去するためのものである。
【0021】
S13では、ECU30は、正常ブースト圧Pnと実ブースト圧Paの偏差(以下、「ブースト偏差」という。)ΔPdを演算する(ΔPd=Pn−Pa)。
【0022】
S14では、ECU30は、過給不良を診断するための診断しきい値であるブースト偏差限度ΔPdthを設定する。具体的には、ECU30は、予め用意されたブースト偏差限度マップからエンジン回転速度Neとアクセル開度ACCに対応する値を検索することで、ブースト偏差限度ΔPdthを設定する。ブースト偏差限度ΔPdthは、エンジン回転速度Neが高くなるほど、また、アクセル開度ACCが大きくなるほど大きな値に設定される。
【0023】
S15では、ECU30は、ブースト偏差ΔPdとブースト偏差限度ΔPdthを比較する。ブースト偏差ΔPdがブースト偏差限度ΔPdthよりも大きいと判定されれば処理がS16に進み、そうでなければ処理がS24に進む。
【0024】
S16では、ECU30は、カウンタをインクリメントする。このカウンタは初期値がゼロで、ブースト偏差ΔPdがブースト偏差限度ΔPdthよりも大きくなってからの経過時間を計測するのに用いられる。
【0025】
S17では、ECU30は、カウンタが所定値よりも大きいか判定する。所定値は例えば200に設定される。図2に示す処理の実行間隔が10msecであるので、S17では、ECU30は、ブースト偏差ΔPdが継続して2sec以上、ブースト偏差限度ΔPdthよりも大きな状態が続いたか判定していることになる。カウンタが所定値よりも大きいと判定されれば処理がS18に進み、そうでなければ処理を終了する。
【0026】
S18に進む場合は、エンジン10のブースト圧が上がらない状態が継続しているので、S18では、ECU30は、エンジン10の過給不良が生じていると診断する。さらに、ECU30は、ECU30は、S19以降で、この過給不良の原因(故障部位)を特定するための診断を行う。
【0027】
S19では、ECU30は、正常過給時の吸気量である正常吸気量Qnを演算する。具体的には、ECU30は、予め用意された目標吸気量マップから、エンジン回転速度Neと燃料噴射量Qfに対応する値を検索することで、目標吸気量Qtを設定する。目標吸気量Qtはエンジン回転速度Neが高くなるほど、また、燃料噴射量Qfが多くなるほど多くなるように設定される。ECU30は、目標吸気量Qtに対して、スロットル開度が変更されてそれが吸気量の変化に表れるまでの遅れに応じた遅れ処理を施して、正常吸気量Qnを演算する。なお、簡略化して目標吸気量Qtをそのまま正常吸気量Qnとして用いてもよい。
【0028】
S20では、ECU30は、実吸気量Qaを読み込む。
【0029】
S21では、ECU30は、実吸気量Qaが正常吸気量Qnよりも大きいか判定する。実吸気量Qaが正常吸気量Qnよりも大きいときは処理がS22に進み、そうでない場合は処理がS23に進む。
【0030】
過給機13とエンジン10の間で配管抜け、亀裂等によりエア漏れが発生しているときは、エア漏れしている箇所よりも下流側における圧力損失が低下するので、実吸気量Qaは正常吸気量Qnよりも多くなる。これに対し、過給機13がブレード欠損、軸受け焼付き等により故障しているときは、過給機13が機能しない分、実吸気量Qaは正常吸気量Qnよりも少なくなる。
【0031】
したがって、S22では、ECU30は、過給不良がエア漏れによるものと診断し、S23では、ECU30は、過給不良が過給機13の故障によるものと診断する。
【0032】
一方、S15からS24に処理が進んだ場合は、ECU30は、エンジン10に過給不良は生じていないとの正常診断をする。
【0033】
S25では、ECU30は、カウンタをリセットし、処理を終了する。
【0034】
続いて上記処理を行うことによる作用効果について説明する。
【0035】
上記処理によれば、実ブースト圧Paに基づきエンジン10に過給不良が生じているかが診断される(S11〜S18)。そして、過給不良が生じていると診断された場合は、その過給不良がエア漏れによるものか、過給機13の故障によるものなのかが、実吸気量Qaと正常吸気量Qnの大小関係に基づきさらに診断される(S19〜S23)。つまり、上記処理によれば、過給不良が生じているか診断できるだけでなく、その原因となっている故障部位まで特定することができる。
【0036】
なお、ECU30の診断結果はエンジンコントローラに伝えられる。エンジンコントローラは、過給不良が生じているとの診断結果を受けたときは、過給不良対応の制御(例えば、燃料噴射量制御やDPF再生処理において吸気量減を考慮した演算を行う、タービンベーンへの排気流量を減らして過給機13を保護する等)への切換えを行う。
【0037】
また、上記処理によれば、過給不良は、エンジン10の実ブースト圧Paと正常ブースト圧Pnの偏差であるブースト偏差ΔPdに基づき診断される(S11〜S18)。過給不良が生じるとブースト偏差ΔPdが増大するので、この方法によれば、過給不良が生じていることを精度よく診断することができる。
【0038】
さらに、上記処理によれば、過給不良の診断に用いられるブースト偏差限度ΔPdthが、エンジン10が高回転になるほど、また、エンジン10が高負荷になるほど大きな値に設定される(S14)。過給不良時のブースト偏差ΔPdはエンジン10の運転状態に応じて変化するので、これに対応してブースト偏差限度ΔPdthを可変にすることで、エンジン10の運転状態に関わらず過給不良を診断することができる。
【0039】
また、上記処理によれば、ブースト偏差ΔPdがブースト偏差限度ΔPdthよりも大きい状態が所定時間継続したときに過給不良が生じていると診断される(S15〜S18)。これによりノイズの影響を排除し、診断精度を向上させることができる。
【0040】
図3は、エア漏れが発生している状態で初速0km/hから加速したときに診断が行われる様子、図4は、エア漏れが発生している状態で初速50km/hから加速したときに診断が行われる様子を示している。いずれの場合も、実ブースト圧Paと正常ブースト圧Pnの偏差ΔPdがブースト偏差限度ΔPdthよりも大きくなっても直ちに過給不良とは診断せず、この状態が2sec続いたときに初めて過給不良と診断している。
【0041】
なお、上記処理は、エンジン10が搭載される車両が加速中か定常走行中かに関わらず行うことができるが、実ブースト圧Paと正常ブースト圧Pnの差が拡大する加速中に限定して上記処理を行うようにすれば、診断精度をさらに向上させることができる。
【0042】
また、上記処理では、ブースト偏差限度ΔPdthをエンジン10の運転状態に応じて可変にしているが、これを簡略化して、固定値とすることも可能である。
【0043】
−第2実施形態−
続いて本発明の第2実施形態について説明する。
【0044】
第2実施形態に係る故障診断装置の構成は図1に示した第1実施形態の構成と同じであるので説明を省略する。第2実施形態は、ECU30が行う故障診断処理の内容が第1実施形態と異なり、以下、相違点を中心に説明する。
【0045】
図5は故障診断処理の内容を示したフローチャートである。この故障診断処理はECU30において所定時間(例えば、10msec)毎に実行される。
【0046】
S31では、ECU30はエンジン10が搭載される車両が加速中か判定する。加速中か否かは、例えば、エンジン10の燃料噴射量に基づき判定することができる。加速中と判定された場合は処理がS32に進み、そうでない場合は処理が終了する。
【0047】
S32では、ECU30は、大気圧Poを読み込む。
【0048】
S33では、ECU30は、ブースト圧センサ22の検出値に対してなまし処理を施した値を実ブースト圧Paとして読み込む。このなまし処理は検出値に含まれるノイズを除去するためのものである。
【0049】
S34では、ECU30は、大気圧Poと実ブースト圧Paの偏差(以下、「大気圧偏差」という。)ΔPoを演算する(ΔPo=Pa−Po)。
【0050】
S35では、ECU30は、過給不良を診断するための診断しきい値である大気圧偏差限度ΔPothを設定する。具体的には、ECU30は、予め用意された大気圧偏差限度マップからエンジン回転速度Neとアクセル開度ACCに対応する値を検索することで、大気圧偏差限度ΔPothを設定する。大気圧偏差限度ΔPothは、エンジン回転速度Neが高くなるほど、また、アクセル開度ACCが大きくなるほど大きな値に設定される。
【0051】
S36では、ECU30は、大気圧偏差ΔPoと大気圧偏差限度ΔPothを比較する。大気圧偏差ΔPoが大気圧偏差限度ΔPothよりも小さいと判定されれば処理がS16に進み、そうでなければ処理がS24に進む。
【0052】
S16以降の処理及びS24以降の処理は図2に示した処理と同じであるので説明を省略する。
【0053】
続いて上記処理を行うことによる作用効果について説明する。
【0054】
上記処理によれば、実ブースト圧Paに基づきエンジン10に過給不良が生じているかが診断される(S32〜S36、S16〜S18)。そして、過給不良が生じていると診断された場合は、その過給不良がエア漏れによるものか、過給機13の故障によるものなのかが、実吸気量Qaと正常吸気量Qnの大小関係に基づきさらに診断される(S19〜S23)。つまり、上記処理によれば、過給不良が生じているか診断できるだけでなく、その原因となっている故障部位まで特定することができる。
【0055】
また、上記処理によれば、過給不良は、大気圧Poと実ブースト圧Paの偏差である大気圧偏差ΔPoに基づき診断される(S32〜S36、S16〜S18)。過給不良が生じているときは、過給機13とエンジン10の間の圧力(=実ブースト圧Pa)が自然吸気エンジン同様に大気圧Poに近くなり、大気圧偏差ΔPoが小さくなるので、この方法によれば、過給不良が生じていることを精度よく診断することができる。ただし、定常走行中は過給が正常か不良かによって大気圧偏差ΔPoに違いが出にくいため、この方法による過給不良の診断は加速中にのみ行うようにする(S31)。診断を加速中に限定することで、診断精度を確保することができる。
【0056】
また、上記処理によれば、大気圧偏差ΔPoが大気圧偏差限度ΔPothよりも小さい状態が所定時間継続したときに過給不良が生じていると診断される(S36、S16〜S18)。これによりノイズの影響を排除し、診断精度を向上させることができる。
【0057】
なお、上記処理では、大気圧偏差限度ΔPothをエンジン10の運転状態に応じて可変にしているが、これを簡略化して、固定値とすることも可能である。
【0058】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例を示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0059】
例えば、上記実施形態では、エンジン10が過給機付きディーゼルエンジンであるが、本発明に係る故障診断装置は過給機付きガソリンエンジンの故障診断にも用いることができる。
【符号の説明】
【0060】
10…エンジン
11…吸気通路
13…過給機
15…排気通路
21…エアフローメータ(実吸気量検出手段)
22…ブースト圧センサ(実ブースト圧検出手段)
23…大気圧センサ(大気圧検出手段)
30…電子制御ユニット(ECU)
S19…正常吸気量演算手段
S11〜S18、S32〜S36…過給不良診断手段
S19〜S23…故障部位診断手段
S31…加速判定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
過給機付きエンジンの故障診断装置であって、
前記エンジンの実吸気量を検出する実吸気量検出手段と、
前記エンジンの実ブースト圧を検出する実ブースト圧検出手段と、
前記実ブースト圧に基づき前記エンジンに過給不良が生じているか診断する過給不良診断手段と、
正常過給時に得られる前記エンジンの吸気量(以下、「正常吸気量」という。)を前記エンジンの運転状態に基づき演算する正常吸気量演算手段と、
前記過給不良が生じていると診断され、かつ、前記実吸気量が前記正常吸気量よりも大きいときは前記過給機と前記エンジンの間においてエア漏れが発生していると診断し、前記実吸気量が前記正常吸気量よりも小さいときは前記過給機が故障していると診断する故障部位診断手段と、
を備えたことを特徴とする故障診断装置。
【請求項2】
請求項1に記載の故障診断装置であって、
正常過給時に得られるブースト圧(以下、「正常ブースト圧」という。)を前記エンジンの運転状態に基づき演算する正常ブースト圧演算手段を備え、
前記過給不良診断手段は、前記実ブースト圧と前記正常ブースト圧の偏差が診断しきい値よりも大きいときに前記過給不良が生じていると診断する、
ことを特徴とする故障診断装置。
【請求項3】
請求項2に記載の故障診断装置であって、
前記過給不良診断手段は、前記診断しきい値を前記エンジンが高回転になるほど、また、前記エンジンが高負荷になるほど大きな値に設定する、
ことを特徴とする故障診断装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の故障診断装置であって、
前記過給不良診断手段は、前記実ブースト圧と前記正常ブースト圧の偏差が前記診断しきい値よりも大きい状態が所定時間継続したときに前記過給不良が生じていると診断する、
ことを特徴とする故障診断装置。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか一つに記載の故障診断装置であって、
前記エンジンが搭載された車両が加速中か判定する加速判定手段を備え、
前記過給不良診断手段は、前記車両が加速中であると判定されたときにのみ前記過給不良の診断を行う、
ことを特徴とする故障診断装置。
【請求項6】
請求項1に記載の故障診断装置であって、
前記エンジンが搭載された車両が加速中か判定する加速判定手段と、
大気圧を検出する大気圧検出手段と、
を備え、
前記過給不良診断手段は、前記車両が加速中であると判定され、かつ、前記実ブースト圧と前記大気圧の偏差が診断しきい値よりも小さいときに、前記過給不良が生じていると診断する、
ことを特徴とする故障診断装置。
【請求項7】
請求項6に記載の故障診断装置であって、
前記過給不良診断手段は、前記車両が加速中であると判定され、かつ、前記実ブースト圧と前記大気圧の偏差が前記診断しきい値よりも小さい状態が所定時間継続したときに、前記過給不良が生じていると診断する、
ことを特徴とする故障診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−209825(P2010−209825A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−57915(P2009−57915)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【出願人】(504334865)日産ライトトラック株式会社 (60)
【Fターム(参考)】