説明

過電流保護電源装置

【課題】直流電源17からスイッチ用のFET18を経て負荷16へ電力を供給する電源装置においては、2種類の保護回路が設けられていた。第1は、該FETの温度を検出し、所定温度に達したら該FETをオフする回路である。第2は、デッドショート時のような大過電流が流れた場合には、電流を所定電流に制限する電流制限回路である。保護回路を2種類設けると、部品コストが大になっていた。
【解決手段】比較基準電圧生成回路40を電流供給部41と比較基準電圧発生抵抗部46とで構成し、比較基準電圧VX を生成する。過電流検出電圧生成回路50を電流供給部51と過電流検出抵抗部54とで構成し、FET18の電圧VDSが増大すると減少する電流検出電圧VY を生成する。電圧VDSの増大を検出してFET18をオフすれば、過電流保護も過熱保護も可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電源よりスイッチ用の電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor,以下「FET」と略称する)を経て負荷へ電力を供給する電源装置に、該FETや配線や負荷等の回路構成要素が過電流により焼損されないよう保護する構成を付加した、過電流保護電源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
直流電源から負荷へ電力を供給する電源装置の中には、直流電源と負荷との間にFETを接続し、これを電力の供給・停止のスイッチとして用いたものがある。このような電源装置において何らかの原因によって過電流が流れた場合、上記FETが過電流により発熱し、ついには焼損されてしまう恐れがあると共に、配線や負荷に悪影響を及ぼす。そこで、そのようなことにならないよう、過電流保護の構成を付加することが行われている。
【0003】
図5は、従来の過電流保護電源装置を示す図である。図5において、1は過電流保護電源装置、2はスイッチ部、3はスイッチ、4は抵抗、5は制御回路、6は抵抗、7はコンパレータ、8は過電流検出回路、9はマルチソースFET、10は副FET、11は主FET、12は温度センサ、13は比較基準電圧回路、14は抵抗、15は配線、16は負荷、17は直流電源、VX は比較基準電圧、VY は電流検出電圧である。マルチソースFET9は、主FET11と副FET10とから構成されている。
【0004】
まず過電流保護電源装置1の構成について説明する。
直流電源17と主FET11と負荷16はこの順に直列接続され、電力供給の主回路を形成している。主FET11は、マルチソースFET9の一部である。なお、マルチソースFET9では、主FET11と副FET10のドレインは共通となっており、主FET11と副FET10のソースは別々になっている。
主FET11や副FET10をオンするかオフするかは、制御回路5から抵抗6を経てゲートへ送られて来る信号により制御される。スイッチ部2は、例えばスイッチ3と抵抗4とで構成され、スイッチ3をオンした時、Hレベル信号が制御回路5へ入力される。このHレベル信号が入力された時、制御回路5では主FET11,副FET10をオンする信号を生成したり、あるいはオフする信号を生成したりする。
【0005】
点Yは主FET11と負荷16との接続点であり、この点における電圧VY は、主回路を流れる電流ID (=主FET11や負荷16を流れる電流)によって変わる。そこで、この電圧VY を、主回路の電流を検出する電流検出電圧として利用している。
点Xは、副FET10と抵抗14との接続点である。抵抗14の他端は接地されている。点Xにおける電圧VX は、副FET10を流れる電流IS が抵抗14を流れることによって生ぜしめる電圧降下である。この電圧VX を、比較基準電圧として利用する。つまり、抵抗14で構成される比較基準電圧回路13は、点Xに比較基準電圧VX を発生させている。
【0006】
過電流検出回路8はコンパレータ7で構成され、電流検出電圧VY と比較基準電圧VX とを比較し、過電流になったかどうかを判定する。比較基準電圧VX はコンパレータ7の非反転入力端子に入力され、電流検出電圧VY はコンパレータ7の反転入力端子に入力される。過電流検出回路8の出力は、制御回路5へ入力される。
【0007】
一般に、マルチソースFETを構成する各FETには、共通のドレインに流れて来た電流が各ソースに分流されて流れる。その分流比は、各FETのチャンネル幅の比に等しい。マルチソースFET9において、主FET11のチャンネル幅は副FET10のチャンネル幅のn倍だとすると(例えば、n=1000〜2000)、副FET10に流れる電流IS と主FET11に流れる電流ID との比は、VX =VY のとき1:nである(IS :ID =1:n)。
電流IS の大きさは抵抗14で決まり、直流電源17の電圧が一定であれば、IS は定電流とみなすことが出来る。
【0008】
比較基準電圧VX は、ほぼ一定な電流IS が抵抗14に流されて生ぜしめられる電圧であるから、ほぼ一定電圧である。電流検出電圧VY は、ID の増大と共に小となる。なぜなら、電流ID が増大すると主FET11のドレイン・ソース間電圧VDSも増大するからである。
比較基準電圧VX と電流検出電圧VY との大小関係は、次のように設定しておく。
(1)電流ID が正常の大きさ(過電流だと判定しない大きさ)のとき…VX <VY
(2)電流ID が過電流だと判定する大きさのとき…VX >VY
【0009】
温度センサ12は、主FET11の温度を検出するために設けられたものであり、マルチソースFET9のチップに貼り付けられる。主FET11の温度を検出し、その検出信号は制御回路5に入力される。検出温度が所定温度以上になった時(過熱検出時)には、制御回路5から主FET11をオフする信号が出される。
【0010】
次に、過電流保護電源装置1の動作について説明する。
正常時の動作は次の通りである。
最初スイッチ3をオンすると、制御回路5は副FET10,主FET11をオンする信号を生成し、副FET10,主FET11へ送出する。主FET11がオンされると、直流電源17から負荷16への電力の供給が開始される。主FET11を流れる電流ID が正常範囲であれば、主FET11のドレイン・ソース電圧VDSは大にはならず、電流検出電圧VY は低下することはない。そのため、VY >VX が維持され、過電流検出回路8の出力はLレベル信号である。
Lレベル信号が入力された制御回路5は、副FET10,主FET11をオフする信号を生成することはなく、副FET10,主FET11のオンは継続される。
電力供給を終了したい時には、スイッチ3をオフする。すると今度は制御回路5は、副FET10,主FET11をオフする信号を生成し、副FET10,主FET11をオフする。
【0011】
過電流が流れた場合の動作は次の通りである。
(1)過電流検出時
電流ID が過電流になると主FET11のドレイン・ソース間電圧VDSは増大するので、電流検出電圧VY は低下し、VX >VY となる。VX はコンパレータ7の非反転入力端子に入力され、VY は反転入力端子に入力されているから、コンパレータ7の出力はHレベル信号となる(これが過電流検出信号)。
過電流検出回路8から制御回路5へ過電流検出信号が入力されると、制御回路5は主FET11,副FET10をオフする制御信号を送出し、主FET11,副FET10をオフにする。
【0012】
(2)過熱検出時
主FET11の温度を検出している温度センサ12が、所定温度以上の温度を検出した時には、やはり制御回路5は主FET11,副FET10をオフする制御信号を送出し、主FET11,副FET10をオフにする。
過電流が流れた時に保護動作をする構成の他に、過熱された時に保護動作をする構成が併設されている理由は、過電流を検出して保護動作をしていたのでは手遅れになり、主FET11や副FET10が熱破壊されてしまう場合があるからである。そのような場合の例としては、マルチソースFET9のゲートの絶縁被膜が一部破壊されている場合が挙げられる。
【0013】
この場合、ゲート・ソース間にリーク電流が流れるが、このリーク電流は図5の抵抗6を流れる。リーク電流が増大して抵抗6の電圧降下が増大すると、主FET11および副FET10のゲート・ソース間電圧は小になり、主FET11および副FET10のオン抵抗が増大し、電流ID はやや減少するという現象が起こる。オン抵抗の増大により主FET11や副FET10の発熱は増大する。しかし、電流ID の減少は過電流検出回路8では検出されず、発熱状態は放置されるから、やがて熱破壊される。
そのような熱破壊を防止するため、温度センサ12で温度を検出し、過熱から保護する措置が講じられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開22002−353794号公報
【特許文献2】特開22009−296367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
前記した従来の技術では、過電流を検出して保護動作をする回路と、温度を検出して保護動作をする回路との2種類の保護回路を設けなければならず、部品コストが大になるという問題点があった。
本発明は、このような問題点を解決することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記課題を解決するため、本発明の第1の過電流保護電源装置では、直流電源と負荷との間に制御回路により制御されるスイッチ用の第1のFET(電界効果トランジスタ)が接続されて成る電源装置に対し、前記直流電源と接地との間に接続され、バイアス電圧を生成するバイアス電圧生成回路と、第1の電流供給部と過電流検出抵抗部とが接続点Yで接続された直列接続体で構成され、該直列接続体は前記負荷と第1のFETとの接続点と接地との間に接続され、接続点Yに生成される電流検出電圧VY が前記第1のFETのドレイン・ソース間電圧VDSに応じて変化するよう前記バイアス電圧が前記第1の電流供給部に印加されて成る過電流検出電圧生成回路と、第2の電流供給部と比較基準電圧発生抵抗部とが接続点Xで接続された直列接続体で構成され、該直列接続体は前記直流電源と接地との間に接続され、前記比較基準電圧発生抵抗部へ供給する電流が一定となるよう前記バイアス電圧が前記第2の電流供給部に印加され、接続点Xに比較基準電圧VX を生成する比較基準電圧生成回路と、前記電流検出電圧VY と前記比較基準電圧VX とを比較して過電流検出信号を前記制御回路5へ入力する過電流検出回路とを付加すると共に、予め定めた過電流の種類を判別するため過電流検出に関係している構成を、過電流として検出される電流値が異なるよう切り替える切替信号を発すると共に、過電流保護が必要な種類と判別した場合には前記第1のFETをオフする信号を発する過電流種類判別回路を前記制御回路内に設けることとした。
【0017】
上記した第1の過電流保護電源装置において、比較基準電圧発生抵抗部は、第1の抵抗と第2のFETとの直列接続体に対して第2の抵抗が並列接続され、初期状態では該第2のFETがオフされている構成とし、過電流種類判別回路は、直ちに遮断しなければ回路構成要素を焼損するほど大きいという第1種類の過電流か、あるいは直ちに遮断しなくとも回路構成要素は焼損されない大きさだが焼損する恐れのある第1の所定時間以上流れ続けているという第2種類の過電流か、あるいは直ちに遮断しなくとも回路構成要素は焼損されない大きさだが該第1の所定時間より短時間しか流れなかったという第3種類の過電流かを判別する構成を具えると共に、前記第2のFETがオフされている状態において過電流検出回路から過電流検出信号が入力された時点では前記第2のFETをオンする切替信号を生成し、該時点から第2の所定時間経過した時点では前記第2のFETをオフする切替信号を生成する構成を具えたものとすることが出来る。
【0018】
あるいは上記した第1の過電流保護電源装置において、過電流検出抵抗部は、第3の抵抗と第3のFETとの直列接続体に対して第4の抵抗が並列接続され、該第3のFETのゲートに第1の反転回路が接続され、初期状態では該第3のFETがオンされている構成とし、過電流種類判別回路は、直ちに遮断しなければ回路構成要素を焼損するほど大きいという第1種類の過電流か、あるいは直ちに遮断しなくとも回路構成要素は焼損されない大きさだが焼損する恐れのある第1の所定時間以上流れ続けているという第2種類の過電流か、あるいは直ちに遮断しなくとも回路構成要素は焼損されない大きさだが該第1の所定時間より短時間しか流れなかったという第3種類の過電流かを判別する構成を具えると共に、前記第3のFETがオンされている状態において過電流検出回路から過電流検出信号が入力された時点では前記第3のFETをオフする切替信号を生成し、該時点から第2の所定時間経過した時点では前記第3のFETをオンする切替信号を生成する構成を具えたものとすることも出来る。
【0019】
また、本発明の第2の過電流保護電源装置は、直流電源と負荷との間に制御回路により制御されるスイッチ用の第1のFET(電界効果トランジスタ)が接続されて成る電源装置に対し、前記負荷と第1のFETとの接続点と接地との間に接続され、バイアス電圧を生成するバイアス電圧生成回路と、第2の電流供給部と比較基準電圧発生抵抗部とが接続点Xで接続された直列接続体で構成され、該直列接続体は前記負荷と第1のFETとの接続点と接地との間に接続され、前記比較基準電圧発生抵抗部へ供給する電流が一定となるよう前記バイアス電圧が前記第2の電流供給部に印加され、接続点Xに比較基準電圧VX を生成する比較基準電圧生成回路と、第1の電流供給部と過電流検出抵抗部とが接続点Yで接続された直列接続体で構成され、該直列接続体は前記直流電源と接地との間に接続され、接続点Yに生成される電流検出電圧VY が前記第1のFETのドレイン・ソース間電圧VDSに応じて変化するよう前記バイアス電圧が前記第1の電流供給部に印加されて成る過電流検出電圧生成回路と、前記電流検出電圧VY と前記比較基準電圧VX とを比較して過電流検出信号を前記制御回路へ入力する過電流検出回路とを付加すると共に、予め定めた過電流の種類を判別するため過電流検出に関係している構成を、過電流として検出される電流値が異なるよう切り替える切替信号を発すると共に、過電流保護が必要な種類と判別した場合には前記第1のFETをオフする信号を発する過電流種類判別回路を前記制御回路内に設けることとしてもよい。
【0020】
上記した第2の過電流保護電源装置において、過電流検出抵抗部は、第5の抵抗と第4のFETとの直列接続体に対して第6の抵抗が並列接続され、初期状態では該第4のFETがオフされている構成とし、過電流種類判別回路は、直ちに遮断しなければ回路構成要素を焼損するほど大きいという第1種類の過電流か、あるいは直ちに遮断しなくとも回路構成要素は焼損されない大きさだが焼損する恐れのある第1の所定時間以上流れ続けているという第2種類の過電流か、あるいは直ちに遮断しなくとも回路構成要素は焼損されない大きさだが該第1の所定時間より短時間しか流れなかったという第3種類の過電流かを判別する構成を具えると共に、前記第4のFETがオフされている状態において過電流検出回路から過電流検出信号が入力された時点では前記第4のFETをオンする切替信号を生成し、該時点から第2の所定時間経過した時点では前記第4のFETをオフする切替信号を生成する構成を具えたものとすることが出来る。
【0021】
あるいは上記した第2の過電流保護電源装置において、比較基準電圧発生抵抗部は、第7の抵抗と第5のFETとの直列接続体に対して第8の抵抗が並列接続され、該第5のFETのゲートに第2の反転回路が接続され、初期状態では該第5のFETがオンされている構成とし、過電流種類判別回路は、直ちに遮断しなければ回路構成要素を焼損するほど大きいという第1種類の過電流か、あるいは直ちに遮断しなくとも回路構成要素は焼損されない大きさだが焼損する恐れのある第1の所定時間以上流れ続けているという第2種類の過電流か、あるいは直ちに遮断しなくとも回路構成要素は焼損されない大きさだが該第1の所定時間より短時間しか流れなかったという第3種類の過電流かを判別する構成を具えると共に、前記第5のFETがオンされている状態において過電流検出回路から過電流検出信号が入力された時点では前記第5のFETをオフする切替信号を生成し、該時点から第2の所定時間経過した時点では前記第5のFETをオンする切替信号を生成する構成を具えたものとすることも出来る。
【発明の効果】
【0022】
本発明の過電流保護電源装置によれば、1種類の保護回路で、過電流保護も過熱保護も行うことが出来るようになり、部品コストを低減することが出来るようになった。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す図
【図2】本発明の第2の実施形態を示す図
【図3】本発明の第3の実施形態を示す図
【図4】本発明の第4の実施形態を示す図
【図5】従来の過電流保護電源装置を示す図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態を示す図である。符号は図5のものに対応し、18はFET、20は過電流種類判別回路、21はタイマ部、22はディジタルフィルタ部、23はカウンタ部、24はOR回路、25はAND回路、26はOR回路、30はバイアス電圧生成回路、31は抵抗、32はFET、33は電流源、40は比較基準電圧生成回路、41は電流供給部、42は抵抗、43はFET、44は抵抗、45は電流源、46は比較基準電圧発生抵抗部、47,48は抵抗、49はFET、50は過電流検出電圧生成回路、51は電流供給部、52は抵抗、53はFET、54は過電流検出抵抗部、55は過電流検出抵抗である。
【0025】
まず過電流保護電源装置1の構成について説明する。
直流電源17とFET18と負荷16はこの順に直列接続され、電力供給の主回路を形成している。FET18はスイッチ用であり、電力供給を行う時はオンとされ、電力供給を停止する時はオフとされる。そして、過電流保護をする時にもオフとされる。FET18のオン、オフは、制御回路5からの信号により制御される。
点DはFET18の電源側電極と直流電源17との接続点であり、VD は点Dにおける電圧を表している。なお、点Dは、抵抗31および抵抗42とも接続されている。
【0026】
スイッチ部2は、電源の投入,停止(FET18のオン,オフ)をするスイッチ信号を発生する部分であり、例えばスイッチ3と抵抗4とが直列接続されて構成される。スイッチ3をオンするとHレベルの信号が制御回路5へ入力される。
制御回路5は、スイッチ部2あるいは過電流検出回路8からの信号に基づき、2つの信号P1 ,P2 を生成し、送出する。信号P1 はFET18をオンまたはオフする信号(電源の投入または停止をする信号)であり、信号P2 は過電流検出のための構成を切り替える信号である。図1の例では、過電流検出にかかわる構成のうち、比較基準電圧発生抵抗部46の内部接続構成を切り替える信号として用いられている。
なお、過電流検出構成の切替は、過電流の種類を判別するために行われる。本発明では、過電流の種類に応じて対処の仕方を変える。
【0027】
バイアス電圧生成回路30は、比較基準電圧生成回路40および過電流検出電圧生成回路50へ提供するバイアス電圧を生成する回路である。バイアス電圧生成回路30は、抵抗31とFET32と電流源33とが直列接続されて構成される。FET32のソースには抵抗31が接続され、ドレインには電流源33が接続される。そして、この直列接続体の抵抗31側は直流電源17に接続され(点D)、電流源33側は接地される。FET32のゲートは、ドレインに接続される。その接続点をEとし、点Eに生成される電圧をVE とすれば、この電圧VE がバイアス電圧として提供される。
【0028】
比較基準電圧生成回路40は、過電流検出回路8に提供する比較基準電圧を生成する回路である。比較基準電圧生成回路40は、電流供給部41と比較基準電圧発生抵抗部46とが直列接続されて構成される。この直列接続体の電流供給部41側は、直流電源17に接続され(点D)、比較基準電圧発生抵抗部46側は接地される。
電流供給部41から比較基準電圧発生抵抗部46に流す電流により、比較基準電圧発生抵抗部46の両端間に電圧降下を発生させる。電流供給部41と比較基準電圧発生抵抗部46との接続点をXとし、点Xの電圧をVX とすると、VX は比較基準電圧発生抵抗部46における電圧降下であり、これを比較基準電圧として用いる。
比較基準電圧VX は、主回路を流れる電流ID が変化しても(従ってFET18のドレイン・ソース間電圧VDSが変化しても)変化しないようにする必要があり、そのためには電流供給部41から比較基準電圧発生抵抗部46へ供給する電流を一定とする必要がある。
【0029】
電流供給部41は、抵抗42,FET43,抵抗44および電流源45で構成される。FET43のソースは抵抗42に接続され、抵抗42の他端は直流電源17に接続される(点D)。FET43のドレインは、比較基準電圧発生抵抗部46に接続される。FET43のゲートは、電流源45に接続されると共に、抵抗44を介して点Eに接続される。即ち、バイアス電圧生成回路30からのバイアス電圧VE は、抵抗44を介してFET43のゲートに印加される。
電流源45により抵抗44に電流が流されると電圧降下が発生し、FET43のゲートに印加される電圧がその分だけバイアス電圧VE より低下する。電流源45の電流の大きさを調整することにより、バイアス電圧VE を変更することなく、FET43のゲート電圧の大きさを調整することが可能になる。
以上のように接続されたFET43は、いわゆるソースフォロアと呼ばれる接続構成にされて、動作することになる。
上記のような電流供給部41から比較基準電圧発生抵抗部46へ供給される電流は、一定となる。
【0030】
比較基準電圧発生抵抗部46は、抵抗47,48およびFET49で構成される。抵抗48とFET49とが直列接続され、その直列接続体に対して抵抗47が並列接続される。FET49はスイッチ素子として用いられており、初期状態ではオフとされている。
比較基準電圧発生抵抗部46は、FET49がオフのときは抵抗47のみで構成され、FET49がオンのときは並列接続された抵抗47,48で構成される。説明の便宜上、抵抗47のみの状態を「比較基準抵抗単独状態」と言い、抵抗47,48が並列接続されている状態を「比較基準抵抗並列状態」と言うことにする。比較基準電圧発生抵抗部46の抵抗値の大きさは、比較基準抵抗単独状態の時より比較基準抵抗並列状態の時の方が小となる。
なお、比較基準抵抗単独状態と比較基準抵抗並列状態との切り替えは、制御回路5からの切替信号により、FET49をオン,オフすることにより行われる。
【0031】
過電流検出電圧生成回路50は、過電流に対応した電圧を生成する回路であり、電流供給部51と過電流検出抵抗部54とが直列接続されて構成される。この直列接続体の電流供給部51側は、主回路のスイッチ素子であるFET18と負荷16との接続点Sに接続され、過電流検出抵抗部54側は接地される。なお、過電流検出抵抗部54は、1つの抵抗55で構成されている。
電流供給部51から過電流検出抵抗部54に流す電流により、過電流検出抵抗部54の両端間に電圧降下が生ずる。電流供給部51と過電流検出抵抗部54との接続点をYとし、点Yの電圧をVY とすると、VY は過電流検出抵抗部54における電圧降下である。この電圧VY を、電流検出電圧として用いる。
【0032】
電流供給部51は、抵抗52とFET53とで構成される。FET53のソースは抵抗52に接続され、ドレインは過電流検出抵抗部54に接続される。FET53のゲートは、バイアス電圧生成回路30の点Eに接続され、バイアス電圧VE が印加される。
以上のように接続されたFET53は、いわゆるソースフォロアと呼ばれる接続構成にされて、動作することになる。
FET18のドレイン・ソース間電圧VDSは、FET18のオン抵抗をRONとし、ドレイン電流をID とすれば、VDS=RON×ID であるから、過電流になって電流ID が増大するとVDSは増大し、点Sの電圧VS は低下する。FET53のゲート電圧(=バイアス電圧VE )は一定であるから、VS が低下した場合、FET53のドレイン電流は小となる。そのため、過電流検出抵抗部54における電圧降下は小となり、電流検出電圧VY は低下する。
【0033】
過電流検出回路8はコンパレータ7で構成され、過電流を検出した場合、出力が反転される。図1の例では、非反転入力端子に比較基準電圧VX が入力され、反転入力端子に電流検出電圧VY が入力されており、過電流でないときはVX <VY となり、過電流のときはVY が低下してVX >VY となるようにされている。従って、過電流検出回路8の出力は、過電流でないときはLレベルであり、過電流のときはHレベルとなる。
【0034】
制御回路5には、スイッチ部2からの信号を基にFET18をオンしたりオフしたりする信号を生成する回路(図示せず)の他に、過電流検出回路8からの信号を基に過電流の種類を判別する過電流種類判別回路20が設けられている。
以下に説明する例では、判別する過電流の種類は次の3つである。なお、判別し得る過電流の種類は、過電流検出に関係する構成(比較基準電圧VX ,電流検出電圧VY を生成する構成等)を、幾つの段階に切り替えるようにするかを変更することにより、4種類以上にすることも可能である。
【0035】
(1)大過電流
直ちに遮断しないと回路構成要素(FET18,配線15,負荷16等)を熱破壊する恐れがあるような大きな過電流。
本発明では、そのような過電流のことを「大過電流」と言うことにする。大過電流と判定する最小の電流をID2と定めたとすれば、大過電流とはID2以上の電流のことである。
このような大過電流は、デッドショートのような短絡事故のときに流れる。
【0036】
(2)長時間の小過電流
所定時間以上流れ続けている小過電流。
本発明では、大過電流ほど大きくはない通常の過電流のことを、「小過電流」と言うことにする。小過電流でも、長時間(所定時間以上)流れ続ける場合には回路構成要素を焼損する恐れが出て来る。小過電流と判定する最小の電流をID1と定めたとすれば、小過電流とは、ID1以上であるがID2より小の電流のことである。
【0037】
(3)短時間の小過電流
所定時間以下しか流れなかった小過電流。
小過電流でも、所定時間以下しか流れなければ、回路構成要素に悪影響を及ぼすことはない。電源投入時の突入電流は小過電流ではあるが、短時間しか流れないから、この種類に入る。
【0038】
図1の例では、過電流が検出された場合、上記の3つの種類に判別し、それぞれに応じて保護の仕方を変えるようにしている。
即ち、大過電流と判別した場合には、速やかにFET18をオフする。長時間の小過電流と判別した場合には、所定時間流れ続けたところでFET18をオフする。短時間の小過電流と判別した場合には、何らの保護動作もしない。
そして、3種類の判別を可能とするため、比較基準電圧VX と電流検出電圧VY との大小関係が、次の2つの関係を満たすよう予め回路定数を設定しておく。
(1)大過電流の場合には、比較基準電圧発生抵抗部46が抵抗47単独状態の時でも抵抗47,48並列状態の時でも、VX >VY となる(過電流と判定される)こと。
(2)小過電流の場合には、比較基準電圧発生抵抗部46が抵抗47単独状態の時はVX >VY となる(過電流と判定される)が、抵抗47,48並列状態の時はVX <VY となる(過電流とは判定されない)こと。
【0039】
比較基準電圧発生抵抗部46が抵抗47単独状態とされているときに、小過電流と判定すると定めた電流ID1が流れた時のFET18のドレイン・ソース間電圧は、VDS1 であるとする。言い換えれば、VDS=VDS1 となった時、VDSの増大に伴い低下して来たVY は、丁度VY =VX となるよう回路素子の値を予め設定していたとする。
そうすれば、VDS>VDS1 となるや否やVY <VX となり、過電流検出回路8により過電流検出がなされる(Hレベル信号が出力)。
即ち、電圧VDS1 を定めることにより、小過電流と判定する電流ID1を定めることが出来る。
【0040】
比較基準電圧発生抵抗部46が抵抗47,48並列状態とされているときに、大過電流と判定すると定めた電流ID2が流れた時のドレイン・ソース間電圧は、VDS2 であるとする。言い換えれば、VDS=VDS2 となった時、VDSの増大に伴い低下して来たVY は、丁度VY =VX となるよう回路素子の値を予め設定していたとする。
そうすれば、VDS>VDS2 となるや否やVY <VX となり、過電流検出回路8により過電流検出がなされる(Hレベル信号が出力)。
即ち、電圧VDS2 を定めることにより、大過電流と判定する電流ID2を定めることが出来る。
【0041】
過電流種類判別回路20は、例えばタイマ部21,ディジタルフィルタ部22,カウンタ部23,OR回路24,AND回路25,OR回路26で構成される。
タイマ部21,ディジタルフィルタ部22,カウンタ部23は、それぞれ次のような機能を有するものとして構成される。
タイマ部21…Hレベル入力が入って来た時から第1の所定時間(T1 )経過するまでHレベル出力を出し続ける。
ディジタルフィルタ部22…Hレベル入力が第2の所定時間(T2 )継続した時にHレベル出力を出す。
カウンタ部23…前のHレベル入力から第3の所定時間(T3 )内に次のHレベル入力が入って来る毎にカウントアップされ、カウント値が所定値(N)に達した時にHレベル出力を出す。第3の所定時間(T3 )内に次のHレベル入力が入って来ない時はリセットされる。
【0042】
タイマ部21,ディジタルフィルタ部22,カウンタ部23の各入力端子およびOR回路26の一方の入力端子は、過電流検出回路8からの出力が入力されるよう接続構成される。OR回路26の他方の入力端子は、タイマ部21の出力端子と接続される。AND回路25の一方の入力端子は、タイマ部21の出力端子と接続され、他方の入力端子はディジタルフィルタ部22の出力端子と接続される。OR回路24の一方の入力端子は、カウンタ部23の出力端子と接続され、他方の入力端子はAND回路25の出力端子と接続される。
OR回路24の出力は、FET18をオフする信号を生成するのに用いられる。OR回路26の出力は、比較基準電圧発生抵抗部46へ送られる(FET49のゲートへ入力)。FET49をオンにすると比較基準電圧発生抵抗部46は抵抗47,48並列状態にされ、オフにすると抵抗47単独状態に復帰される。
以下の説明で自ずと明らかになるが、大過電流と小過電流との区別は、過電流検出に関係している構成の切り替えにより行われ、小過電流における長時間と短時間との区別は、カウンタ部23のカウント値がNに達するか否かで行われる。
【0043】
次に、過電流保護電源装置1の動作について説明する。
正常時の動作は、次の通りである。
最初スイッチ3をオンすると、制御回路5は、FET18をオンする信号P1 を生成すると共に、比較基準電圧発生抵抗部46を抵抗47のみ(比較基準抵抗単独状態)にする信号P2 を生成する。
FET18がオンされると、直流電源17から負荷16への電力の供給が開始される。FET18を流れる電流ID が正常範囲であれば、電圧VDSも大にはならない。そのため、電流検出電圧VY は低下することはなく、VY >VX を維持し、過電流検出回路8の出力はLレベル信号である。
Lレベル信号が入力された制御回路5は、FET18をオフする信号を生成することはなく、FET18のオンは継続される。
電力供給を終了したい時には、再度スイッチ3をオフする。すると制御回路5は、FET18をオフする信号を生成し、FET18をオフする。
【0044】
過電流が流れた場合の動作は、次の通りである。
(1)大過電流の場合
比較基準電圧発生抵抗部46は、初期状態ではFET49はオフとされ、抵抗47のみとされている(比較基準抵抗単独状態)。これに電流供給部41から電流が流され、点Xに比較基準電圧VX が生成されている。この状態の時にFET18から負荷16への回路でデッドショートが発生し、大過電流が流れると、FET18のドレイン・ソース間電圧VDSは増大し、点Sの電圧VS は低下する。そのためFET53を流れる電流は減少し、電流検出電圧VY は低下する。
【0045】
X >VY となると、過電流検出回路8の出力はHレベル信号となり、それが制御回路5の過電流種類判別回路20に入力される。
このHレベル信号は、タイマ部21,ディジタルフィルタ部22,カウンタ部23に入力される。すると、それぞれ次のように動作する。
タイマ部21…直ちにHレベル信号を出力すると共に、T1 の計時を開始する。
ディジタルフィルタ部22…T2 の計時を開始する。
カウンタ部23…カウント値が1にされると共に、T3 の計時を開始する。
【0046】
更に、このHレベル信号はOR回路26の一方の入力端子にも入力されるので、OR回路26からHレベル信号が出て、比較基準電圧発生抵抗部46のFET49へ送られる。FET49はオンとされ、抵抗47に対して抵抗48を並列接続した構成に切り替えられる(比較基準抵抗並列状態へ切替)。
抵抗47,48並列状態に切り替えられた時の比較基準電圧発生抵抗部46の抵抗値をR46(抵抗47,48の並列合成値)とすると、R46は抵抗47単独の抵抗値R47より小であるから、抵抗47,48並列状態の時のVX は抵抗47単独状態の時のVX より小となる。
【0047】
大過電流の場合には、抵抗47,48並列状態のVX に切り替えられても、VX >VY となるように予め回路定数を設定しておくから、過電流検出回路8からは切替え後も引き続いてHレベル信号が出力される。
ディジタルフィルタ部22に注目すると、これにHレベル信号が入力され続けて第2の所定時間T2 が経過すると、ディジタルフィルタ部22からHレベル信号が出力され、AND回路25の一方の入力端子へ入力される。
【0048】
AND回路25の他方の入力端子にはタイマ部21の出力が入力されているが、タイマ部21の出力は、第1の所定時間T1 が経過するまではHレベル信号を維持し続けるようにされている。従って、AND回路25の両方の入力端子にHレベル信号が入力されることになり、AND回路25からはHレベル信号が出力され、それがOR回路24の出力をHレベル信号とする。これにより、FET18をオフする制御信号P1 が生成され、FET18がオフされる。
かくして、大過電流の場合、比較基準電圧発生抵抗部46を抵抗47,48並列状態に切替えた後、直ちにFET18がオフされ、保護がなされる。
なお、上記のような動作をさせるためには、T2 が経過する時点ではまだタイマ部21からHレベル信号が出力し続けている(T1 は経過しない)ようにしておかなければならないから、T1 >T2 の関係となるよう設定しておく必要がある。
【0049】
(2)小過電流が長時間(所定時間以上)流れる場合
比較基準電圧発生抵抗部46が抵抗47のみにされている状態で過電流が発生すると、電流検出電圧VY が低下してVX >VY となる。すると、過電流検出回路8の出力がHレベル信号となり、それが制御回路5に入力される。
そのHレベル信号は、OR回路26の一方の入力端子に直接入力される共に、タイマ部21を経て第1の所定時間T1 の間中、他方の入力端子に入力され続ける。そのため、OR回路26からは、T1 の間Hレベル信号が出力され続ける。大過電流の場合で述べたように、OR回路26からHレベル信号が出ると、比較基準電圧発生抵抗部46のFET49はオンされ、比較基準電圧発生抵抗部46は抵抗47,48並列状態へ切り替えられる。この状態は、タイマ部21からHレベル信号が出されている間は続くから、第1の所定時間T1 の間維持される。
【0050】
なお、過電流検出回路8から制御回路5に入力されて来たHレベル信号は、カウンタ部23にも入力され、カウントアップする(最初だからカウント1になる)。またディジタルフィルタ部22にも入力される。ディジタルフィルタ部22は、もし第2の所定時間T2 が経過するまでHレベル信号が入力され続けるならば、Hレベル信号を出力しようという状態になる。
【0051】
小過電流の場合、比較基準電圧発生抵抗部46が抵抗47,48並列状態とされた時のVX までは、VY は低下しないように回路が予め作られているので、抵抗47,48並列状態へ切り替えられるとVX <VY となる。そのため、過電流検出回路8の出力はLレベル信号に変わる。この状態で時間T1 が経過すると、タイマ部21から出ていたHレベル信号も途絶えるので、OR回路26の出力はLレベル信号に変る。そのため、比較基準電圧発生抵抗部46のFET49はオフされ、再び抵抗47単独状態へ復帰する。
【0052】
ディジタルフィルタ部22は、比較基準電圧発生抵抗部46が抵抗47,48並列状態に切替えられ、過電流検出回路8からの出力がLレベル信号になった時点(Hレベル信号が途絶えた時点)で、前回Hレベル信号が入力された効果はなくなり、ディジタルフィルタ部22の状態はいったん振り出しに戻される。従って、ディジタルフィルタ部22からHレベル信号が出力されることはない。
【0053】
小過電流が長時間流れる場合、比較基準電圧発生抵抗部46を抵抗47単独状態に復帰させた時でもまだ小過電流が続いているから、またVX >VY となる。従って、また過電流検出回路8からHレベル信号が出力され、制御回路5に入力され、過電流種類判別回路20は先程と同様の動作を行う。但し、カウンタ部23のカウント値は、またHレベル信号が入力されたことによりカウントアップし、1つだけ増加した値となる。
【0054】
以後、小過電流が流れている間中、比較基準電圧発生抵抗部46において、抵抗47,48並列状態への切り替え、抵抗47単独状態への復帰が繰り返される。カウンタ部23の値は、過電流検出回路8からHレベル信号が入力される度にカウントアップされ、所定値Nに達したところで、Hレベル信号を出力する。1回の切替,復帰に要する時間は一定(=T1 )であるから、カウント値がNに達するまでの時間も所定の一定時間(N回到達時間)となる。つまり、小過電流がその所定時間(N回到達時間)流れると、カウント値はNに達し、カウンタ部23からHレベル信号が出力される。
この出力はOR回路24へ入力され、Hレベル信号を出力させ、FET18をオフさせる。即ち、小過電流でも所定時間(N回到達時間)以上流れていると、FET18をオフする。そうする理由は、小過電流でも長時間流れていると、FET18や配線15等が焼損される恐れがあるので、その保護をする必要があるからである。
既に明らかなように、ここで言う長時間とは、カウンタ部23のカウント値が所定値Nに達するまでの時間(N回到達時間)以上の時間のことである。
【0055】
(3)小過電流が短時間(所定時間以下)しか流れなかった場合
ここで言う短時間とは、カウンタ部23のカウント値が所定値Nに達するまでの時間(N回到達時間)以下の時間のことである。この場合には、小過電流が流れている間は比較基準電圧発生抵抗部46において、抵抗47単独状態と抵抗47,48並列状態との間の切替,復帰を繰返すだけである。つまり、抵抗47単独状態にされた時は、過電流検出回路8から過電流検出信号が出力されるが、抵抗47,48並列状態にされた時は出力されないということを繰返す。
【0056】
カウンタ部23のカウント値は、過電流検出信号が入力される毎にカウントアップされるが、この場合の小過電流はカウント値が所定値Nに達しない内に消滅し、正常電流に戻るものであり、戻った後は過電流検出信号は入力されて来なくなる。
入力されて来ない状態が第3の所定時間T3 継続すると、カウンタ部23はリセットされる。これで過電流種類判別回路20は元の状態に戻り、結局、FET18をオフすることはせずに終わる。小過電流が短時間しか流れない場合は、FET18や配線15等が焼損される恐れはなく、FET18をオフするという保護動作は必要ないからである。
【0057】
電源投入時に流れる突入電流は短時間しか流れないから、この場合(短時間小過電流の場合)に該当する。従って、突入電流が流れた時にFET18がオフされるというような誤遮断が生ずることはなくなる。
なお、小過電流の場合、次の過電流検出信号が過電流種類判別回路20に入って来るのは、切替周期のT1 後ゆえ、T3 はそれより大にしておく必要がある(もしT1 より小ならばカウントアップする前にリセットされてしまう)。従って、T1 〜T3 の大小関係は、T3 >T1 >T2 となる。
【0058】
なお、FET18のゲート絶縁被膜が破壊され、オン抵抗が増大すると、FET18の温度は上昇し始める。比較基準電圧発生抵抗部46が抵抗47単独状態において、オン抵抗増大によりドレイン・ソース間電圧VDSが増大すると、電流検出電圧VY は小になる。やがて、VX >VY となり過電流検出動作がなされ、比較基準電圧発生抵抗部46が抵抗47,48並列状態に切り替えられる。つまり、抵抗47単独状態においてVX =VY となる時のVDSをVDS1 とすると、VDS>VDS1 となった時に、過電流検出抵抗部54は抵抗47,48並列状態に切り替えられる。
【0059】
DSが更に増大し、抵抗47,48並列状態においてVX =VY となる時のVDSを、VDS2 とする。VDSがVDS1 以上となったものの、VDS2 より小さいという状態が所定時間以上続くと、小過電流が所定時間以上流れた場合と同等となるので、FET18はオフされる。所定時間内にVDS1 より小となれば、回路は元の状態に戻される。即ち、過電流種類判別回路20はリセットされ、比較基準電圧発生抵抗部46は抵抗47単独状態に復帰される。
もし、所定時間までにVDSがVDS2 より大になると、大過電流が流れた場合と同等になるので、FET18はオフされる。
即ち、FET18の温度を検出して保護動作を行う回路を別途設けなくとも、FET18や配線15の過熱保護を行うことが出来る。
【0060】
(第2の実施形態)
図2は、本発明の第2の実施形態を示す図である。符号は図1のものに対応し、56は抵抗、57は反転回路、58はFETである。なお、図1の構成と対応する構成については、説明を省略する。図1の回路と比べて相違する点は、次の2点である。
第1の相違点は、比較基準電圧発生抵抗部46を抵抗47のみで構成した点である。
第2の相違点は、過電流検出抵抗部54を、抵抗56とFET58とを直列接続し、この直列接続体を抵抗55に並列接続し、FET58のゲートに反転回路57を接続して構成した点である。初期状態では、FET58はオンされている。
【0061】
FET58をオンした時は、抵抗55,56を並列接続した状態(以下「検出抵抗並列状態」と言う)となり、FET58をオフした時は、過電流検出抵抗部54は抵抗55単独の状態(以下「検出抵抗単独状態」と言う)となる。即ち、FET58をオン,オフすることにより、2つの状態に切り替え得る構成とした。
なお、制御回路5からの切替信号P2 は、図2においては過電流検出抵抗部54の内部接続構成の切替信号として用いられる。
【0062】
第1の実施形態では、比較基準電圧発生抵抗部46の構成を2つの状態に切り替えることにより、大過電流の検出と小過電流の検出とを区別することが出来るようにしていた。即ち、図1では、大過電流の場合、抵抗47単独状態でも抵抗47,48並列状態でも、過電流検出回路8は過電流検出信号を出力するが、小過電流の場合は抵抗47単独状態の時のみに過電流検出信号を出力するということで区別していた。
これに対し第2の実施形態では、過電流検出抵抗部54の内部接続構成を2つの状態に切り替えることにより、大過電流の検出と小過電流の検出とを区別することが出来るようにしたものである。
【0063】
次に、過電流保護電源装置1の動作について説明する。
正常時の動作は、次の通りである。
最初スイッチ3をオンすると、制御回路5はFET18をオンする信号P1 (Hレベル信号)を生成すると共に、過電流検出抵抗部54のFET58をオンする(検出抵抗並列状態にする)信号P2 (Lレベル信号)を生成する。
FET18がオンされると、直流電源17から負荷16への電力の供給が開始される。電流検出電圧VY は、抵抗55,56の並列接続体に生ずる電圧降下として現れる。一方、比較基準電圧VX は、抵抗47に生ずる電圧降下として現れ、これはFET18のドレイン・ソース間電圧VDSが変化しても変化しない。
【0064】
FET18を流れる電流ID が正常範囲であれば、電圧VDSも大にはならない。そのため、電流検出電圧VY は低下することはなく、VY >VX を維持し(電流ID が正常ならば、VY >VX となるよう予め設定しておく)、過電流検出回路8の出力はLレベル信号である。
Lレベル信号が入力された制御回路5は、FET18をオフする信号を生成することはなく、FET18のオンは継続される。
電力供給を終了したい時には、再度スイッチ3をオフする。すると制御回路5は、FET18をオフする。
【0065】
過電流が流れた場合の動作は、次の通りである。
(1)大過電流の場合
過電流検出抵抗部54は、初期状態ではFET58はオンとされ、抵抗55,56の並列接続とされている(検出抵抗並列状態)。これに電流供給部51から電流が流され、点Yに電流検出電圧VY が生成されている。この状態の時にFET18から負荷16への回路でデッドショートが発生し、大過電流が流れると、FET18のドレイン・ソース間電圧VDSは増大し、点Sの電圧VS は低下する。そのためFET53を流れる電流は減少し、電流検出電圧VY は低下する。
【0066】
X >VY となると、過電流検出回路8の出力はHレベル信号となり、それが制御回路5の過電流種類判別回路20に入力される。すると、図1で述べたように、信号P2 としては反転した信号(Hレベル信号)が出されて、過電流検出抵抗部54へ送られる。Hレベルの信号P2 は、反転回路57で反転されてLレベル信号となり、FET58をオフし、過電流検出抵抗部54を抵抗55単独の状態(検出抵抗単独状態)に切り替える。
抵抗55,56の並列接続抵抗値より、抵抗55単独の抵抗値の方が大であるから、この切替により過電流検出抵抗部54の抵抗値は大となる。従って、電流検出電圧VY は大になる。
【0067】
大過電流の場合には、過電流検出抵抗部54が抵抗55単独状態に切り替えられても、VX >VY となるように予め回路定数を設定しておくから、過電流検出回路8からは切替え後も引き続いてHレベル信号が出力される。
そのため、図1の例で説明したように動作し、過電流種類判別回路20により大過電流だと判別され、FET18がオフされる。
かくして、大過電流の場合、過電流検出抵抗部54を検出抵抗単独状態に切替えた後、直ちにFET18がオフされ、保護がなされる。
【0068】
(2)小過電流が長時間(所定時間以上)流れる場合
過電流検出抵抗部54が抵抗55,56並列状態にされているときに過電流が発生すると、電流検出電圧VY が低下してVX >VY となる。すると、過電流検出回路8の出力がHレベル信号となり、それが制御回路5に入力される。
過電流種類判別回路20は図1で述べたように動作し、信号P2 を反転し(Hレベル信号にし)、過電流検出抵抗部54を抵抗55単独状態に切り替える。この状態は、第1の所定時間T1 の間維持される。
一方、カウンタ部23はカウントアップされ(最初だからカウント1になる)、ディジタルフィルタ部22は、もし第2の所定時間T2 が経過するまでHレベル信号が入力され続けるならば、Hレベル信号を出力しようという状態になる。
【0069】
小過電流の場合、過電流検出抵抗部54が抵抗55単独状態にされた時に生ずる電流検出電圧VY は、比較基準電圧VX までは低下しないように回路が予め作られているので、抵抗55単独状態に切り替えられるとVX <VY となる。そのため、過電流検出回路8の出力はLレベル信号に変わる。この状態で時間T1 が経過すると、タイマ部21から出ていたHレベル信号も途絶えるので、OR回路26の出力はLレベル信号に変る。そのため、切替信号P2 はLレベル信号となり、過電流検出抵抗部54のFET58はオンされ、再び抵抗55,56並列状態に復帰する。
【0070】
ディジタルフィルタ部22は、過電流検出抵抗部54が抵抗55単独状態に切替えられ、過電流検出回路8からの出力がLレベル信号になった時点(Hレベル信号が途絶えた時点)で、前回Hレベル信号が入力された効果はなくなり、ディジタルフィルタ部22の状態はいったん振り出しに戻される。従って、ディジタルフィルタ部22からHレベル信号が出力されることはない。
【0071】
小過電流が長時間流れる場合、過電流検出抵抗部54を抵抗55,56並列状態に復帰させた時でもまだ小過電流が続いているから、またVX >VY となる。従って、また過電流検出回路8からHレベル信号が出力され、制御回路5に入力され、過電流種類判別回路20は先程と同様の動作を行う。但し、カウンタ部23のカウント値は、またHレベル信号が入力されたことによりカウントアップし、1つだけ増加した値となる。
【0072】
以後、小過電流が流れている間中、過電流検出抵抗部54において、抵抗55単独状態への切り替え、抵抗55,56並列状態への復帰が繰り返される。カウンタ部23の値は、過電流検出回路8からHレベル信号が入力される度にカウントアップされ、所定値Nに達したところで、Hレベル信号を出力する。1回の切替,復帰に要する時間は一定(=T1 )であるから、カウント値がNに達するまでの時間も所定の一定時間(N回到達時間)となる。つまり、小過電流がその所定時間(N回到達時間)流れると、カウント値はNに達し、カウンタ部23からHレベル信号が出力される。
この出力はOR回路24へ入力され、Hレベル信号を出力させ、FET18をオフさせる。即ち、小過電流でも所定時間(N回到達時間)流れていると、FET18をオフする。そうする理由は、小過電流でも長時間流れていると、FET18や配線15等が焼損される恐れがあるので、その保護をする必要があるからである。
【0073】
(3)小過電流が短時間(所定時間以下)しか流れなかった場合
短時間とは、図1の例で説明したように、カウンタ部23のカウント値が所定値Nに達しない程度の時間のことである。この場合には、小過電流が流れている間は過電流検出抵抗部54において、抵抗55,56並列状態と抵抗55単独状態との間の切替,復帰を繰返すだけである。つまり、抵抗55,56並列状態にされた時は、過電流検出回路8から過電流検出信号が出力されるが、抵抗55単独状態にされた時は出力されないということを繰返す。
【0074】
小過電流が所定時間内(カウント値が所定値Nに達する前)に消滅し、正常電流に戻ると、図1の場合と同様に、過電流種類判別回路20は元の状態に戻り、結局、FET18をオフすることはせずに終わる。小過電流が短時間しか流れない場合は、FET18や配線15等が焼損される恐れはなく、FET18をオフするという保護動作は必要ないからである。
電源投入時に流れる突入電流は短時間しか流れないから、この場合(短時間小過電流の場合)に該当する。従って、突入電流が流れた時にFET18がオフされるというような誤遮断が生ずることはなくなる。
【0075】
なお、FET18のゲート絶縁被膜が破壊され、オン抵抗が増大すると、FET18の温度は上昇し始める。過電流検出抵抗部54が抵抗55,56並列状態において、オン抵抗増大によりドレイン・ソース間電圧VDSが増大すると、電流検出電圧VY は小になる。やがて、VX >VY となり過電流検出動作がなされ、過電流検出抵抗部54が抵抗55単独状態に切り替えられる。つまり、抵抗55,56並列状態においてVX =VY となる時のVDSをVDS1 とすると、VDS>VDS1 となった時に、過電流検出抵抗部54は抵抗55単独状態に切り替えられる。
【0076】
DSが更に増大し、抵抗55単独状態においてVX =VY となる時のVDSを、VDS2 とする。VDSがVDS1 以上となったものの、VDS2 より小さいという状態が所定時間以上続くと、小過電流が所定時間以上流れた場合と同等となるので、FET18はオフされる。所定時間内にVDS1 より小となれば、回路は元の状態に戻される。即ち、過電流種類判別回路20はリセットされ、過電流検出抵抗部54は抵抗55,56並列状態にされる。
もし、所定時間までにVDSがVDS2 より大になると、大過電流が流れた場合と同等になるので、FET18はオフされる。
即ち、FET18の温度を検出して保護動作を行う回路を別途設けなくとも、FET18や配線15の過熱保護を行うことが出来る。
【0077】
(第3の実施形態)
図3は、本発明の第3の実施形態を示す図である。符号は図1のものに対応し、60は過電流検出電圧生成回路、61は電流供給部、62は抵抗、63はFET、64は抵抗、65は電流源、66は過電流検出抵抗部、67,68は抵抗、69はFET、70は比較基準電圧生成回路、71は電流供給部、72は抵抗、73はFET、74は比較基準電圧発生抵抗部、75は抵抗、F,G,HはFET32,73,63のソースと抵抗31,72,62との接続点、VF ,VG ,VH は接続点F,G,Hの電圧である。
【0078】
図1の構成と対応する構成については、説明を省略する。図3の過電流検出電圧生成回路60の内部接続構成は、図1の比較基準電圧生成回路40の内部接続構成と同じにされている。同様に、図3の比較基準電圧生成回路70の内部接続構成は、図1の過電流検出電圧生成回路50の内部接続構成と同じにされている。つまり、同じ内部接続構成の回路を、図1と図3とでは役割を交替させている。
また、バイアス電圧生成回路30を、図1では直流電源17と接地との間に接続していたが、図3ではFET18と負荷16との接続点Sと接地との間に接続している。
【0079】
まず、図1と異なっている構成部分について説明する。
過電流検出電圧生成回路60は、過電流に対応した電圧を生成する回路であり、電流供給部61と過電流検出抵抗部66とが直列接続されて構成される。この直列接続体の電流供給部61側は、直流電源17に接続され(点D)、過電流検出抵抗部66側は接地される。
電流供給部61から過電流検出抵抗部66に流す電流により、過電流検出抵抗部66の両端間に電圧降下を発生させる。電流供給部61と過電流検出抵抗部66との接続点をYとし、点Yの電圧をVY とすると、VY は過電流検出抵抗部66における電圧降下であり、これを電流検出電圧として用いる。
【0080】
電流供給部61は、抵抗62,FET63,抵抗64および電流源65で構成される。FET63のソースは抵抗62に接続され、抵抗62の他端は直流電源17に接続される(点D)。FET63のドレインは、過電流検出抵抗部66に接続される。FET63のゲートは、電流源65に接続されると共に、抵抗64を介して点Eに接続される。即ち、バイアス電圧生成回路30からのバイアス電圧VE は、抵抗64を介してFET63のゲートに印加される。
以上のように接続されたFET63は、いわゆるソースフォロアと呼ばれる接続構成にされて、動作することになる。
【0081】
過電流検出抵抗部66は、抵抗67,68およびFET69で構成される。抵抗68とFET69とが直列接続され、その直列接続体に対して抵抗67が並列接続される。FET69はスイッチ素子として用いられており、初期状態ではオフとされている。
過電流検出抵抗部66は、FET69がオフのときは抵抗67のみで構成され、FET69がオンのときは並列接続された抵抗67,68で構成される。説明の便宜上、抵抗67のみの状態を「検出抵抗単独状態」と言い、抵抗67,68が並列接続されている状態を「検出抵抗並列状態」と言うことにする。過電流検出抵抗部66の抵抗値の大きさは、検出抵抗単独状態の時より検出抵抗並列状態の時の方が小となる。
なお、検出抵抗単独状態と検出抵抗並列状態との切り替えは、制御回路5からの切替信号P2 により、FET69をオン,オフすることにより行われる。
【0082】
比較基準電圧生成回路70は、過電流検出回路8に提供する比較基準電圧を生成する回路である。比較基準電圧生成回路70は、電流供給部71と比較基準電圧発生抵抗部74とが直列接続されて構成される。この直列接続体の電流供給部71側は、主回路のスイッチ素子であるFET18と負荷16との接続点Sに接続され、比較基準電圧発生抵抗部74側は接地される。なお、比較基準電圧発生抵抗部74は、1つの抵抗75で構成されている。
電流供給部71から比較基準電圧発生抵抗部74に流す電流により、比較基準電圧発生抵抗部74の両端間に電圧降下が生ずる。電流供給部71と比較基準電圧発生抵抗部74との接続点をXとし、点Xの電圧をVX とすると、VX は比較基準電圧発生抵抗部74における電圧降下である。この電圧VX を、比較基準電圧として用いる。
【0083】
電流供給部71は、抵抗72とFET73とで構成される。FET73のソースは抵抗72に接続され、ドレインは比較基準電圧発生抵抗部74に接続される。FET73のゲートはバイアス電圧生成回路30の点Eに接続され、バイアス電圧VE が印加される。
以上のように接続されたFET73は、いわゆるソースフォロアと呼ばれる接続構成にされて、動作することになる。
【0084】
以上の回路で定めた比較基準電圧VX は、FET18の電流ID が増大してVDSが大になっても変化せず、電流検出電圧VY はVDSが増大すれば増大する。次にそれを数式を用いて説明する。
但し、抵抗31,62,64,72,75の抵抗値をそれぞれR31,R62,R64,R72,R75とし、抵抗62,72を流れる電流をそれぞれI62,I72とし、電流源33を流れる電流をI33とし、FET32,63,73のスレッシュホールド電圧をVthとし、抵抗64における電圧降下をV64とし、点Sの電圧をVS とする。
【0085】
まず図3中の電圧VF ,VG ,VH を求めると、次のようになる。
F =VE +Vth (1)
G =VE +Vth (2)
H =VE +Vth−V64 (3)
(1)(2)式より次式を得る。
F =VG (4)
(1)式を(3)に代入し、次式を得る。
H =VF −V64 (5)
【0086】
比較基準電圧VX は、次式で表される。
X =R75×I72=R75(VS −VG )/R72 (6)
(4)式を(6)式に代入し、次式を得る。
X =R75(VS −VF )/R72 (7)
一方、VS −VF =R31×I33であるから(7)式は次のようになる。
X =R75×R31×I33/R72 (8)
(8)式より理解されるように、R75,R31,I33,R72は一定値であるから、VX はVDSが変化しても一定である。
【0087】
電流検出電圧VY は、過電流検出抵抗部66が抵抗67単独状態のとき、次式で表される。
Y =R67×I62=R67(VD −VH )/R62 (9)
(5)式を(9)式に代入し、次式を得る。
Y =R67×I62=R67(VD −VF +V64)/R62 (10)
D =VDS+VS であるから、次のようになる。
Y =R67(VDS+VS −VF +V64)/R62 (11)
S −VF =R31×I33であるから、次のようになる。
Y =R67(VDS+R31×I33+V64)/R62 (12)
【0088】
(12)式より理解されるように、R67,R31,I33,V64,R62は一定値であるから、VY はVDSが増大すれば増大する。
過電流検出抵抗部66が抵抗67,68並列状態のときの電流検出電圧VY は、(12)式でR67の代わりに抵抗67,68の並列合成抵抗値を代入した値となる。やはり、VY はVDSが増大すれば増大する。
【0089】
次に、過電流保護電源装置1の動作について説明する。
正常時の動作は、次の通りである。
最初スイッチ3をオンすると、制御回路5はFET18をオンする信号P1 を生成すると共に、過電流検出抵抗部66のFET69をオフする(検出抵抗単独状態にする)信号P2 を生成する。
【0090】
FET18がオンされると、直流電源17から負荷16への電力の供給が開始される。FET18を流れる電流ID が正常範囲であれば、電圧VDSも大にはならない。そのため、電流検出電圧VY は増大することはなく、VX >VY を維持し(電流ID が正常ならばVX >VY となるよう予め設定しておく)、過電流検出回路8の出力はLレベル信号である。
Lレベル信号が入力された制御回路5は、FET18をオフする信号を生成することはなく、FET18のオンは継続される。
電力供給を終了したい時には、再度スイッチ3をオフする。すると制御回路5は、FET18をオフする信号を生成し、FET18をオフする。
【0091】
過電流が流れた場合の動作は、次の通りである。
(1)大過電流の場合
過電流検出抵抗部66は、初期状態ではFET69はオフとされ、抵抗67のみとされている(検出抵抗単独状態)。これに電流供給部61から電流が流され、点Yに電流検出電圧VY が生成されている。この状態の時にFET18から負荷16への回路でデッドショートが発生し、大過電流が流れると、FET18のドレイン・ソース間電圧VDSは増大し、前記したように電流検出電圧VY は増大する。
【0092】
X <VY となると、過電流検出回路8の出力はHレベル信号となり、それが制御回路5の過電流種類判別回路20に入力される。過電流種類判別回路20は図1で述べたように動作し、信号P2 は反転され、過電流検出抵抗部66のFET69はオンとされる。これにより、抵抗67に対して抵抗68を並列接続した構成に切り替えられる(検出抵抗並列状態へ切替)。
抵抗67,68並列状態の合成抵抗値は、抵抗67単独の抵抗値R67より小であるから、並列接続状態に切り替えられた瞬間、VY は減少する。
【0093】
大過電流の場合には、抵抗67,68並列状態に切り替えられても、VX <VY となるように予め回路定数を設定しておくから、過電流検出回路8からは切替え後も引き続いてHレベル信号が出力される。過電流種類判別回路20は図1で述べたように動作し、大過電流だと判別され、FET18がオフされる。
かくして、大過電流の場合、過電流検出抵抗部66を抵抗67,68並列状態に切替えた後、直ちにFET18がオフされ、保護がなされる。
【0094】
(2)小過電流が長時間(所定時間以上)流れる場合
過電流検出抵抗部66が抵抗67単独状態にされている時に過電流が発生すると、電流検出電圧VY が増大してVX <VY となる。すると、過電流検出回路8の出力がHレベル信号となり、それが制御回路5に入力される。
過電流種類判別回路20は図1で述べたように動作し、信号P2 が反転され、過電流検出抵抗部66のFET69はオンされ、抵抗67,68並列状態へ切り替えられる。この状態は、第1の所定時間T1 の間維持される。
カウンタ部23はカウントアップされ、ディジタルフィルタ部22は、もし第2の所定時間T2 が経過するまでHレベル信号が入力され続けるならば、Hレベル信号を出力しようという状態になる。
【0095】
小過電流の場合、過電流検出抵抗部66が抵抗67,68並列状態とされた時、VY はVX までは増大しないように回路が予め作られているので、抵抗67,68並列状態へ切り替えられるとVX >VY となる。そのため、過電流検出回路8の出力はLレベル信号に変わる。この状態で時間T1 が経過すると、タイマ部21から出ていたHレベル信号も途絶えるので、OR回路26の出力はLレベル信号に変る。そのため、過電流検出抵抗部66のFET69はオフされ、再び抵抗67単独状態へ復帰する。
【0096】
ディジタルフィルタ部22は、過電流検出抵抗部66が抵抗67単独状態から抵抗67,68並列状態に切替えられ、過電流検出回路8からの出力がLレベル信号になった時点(Hレベル信号が途絶えた時点)で、前回Hレベル信号が入力された効果はなくなり、ディジタルフィルタ部22の状態はいったん振り出しに戻される。従って、ディジタルフィルタ部22からHレベル信号が出力されることはない。
【0097】
小過電流が長時間流れる場合、過電流検出抵抗部66を抵抗67単独状態に復帰させた時でもまだ小過電流が続いているから、またVX <VY となる。従って、また過電流検出回路8からHレベル信号が出力され、制御回路5に入力され、過電流種類判別回路20は先程と同様の動作を行う。但し、カウンタ部23のカウント値は、またHレベル信号が入力されたことによりカウントアップし、1つだけ増加した値となる。
【0098】
以後、小過電流が流れている間中、過電流検出抵抗部66において、抵抗67,68並列状態への切り替え、抵抗67単独状態への復帰が繰り返される。カウンタ部23の値は、過電流検出回路8からHレベル信号が入力される度にカウントアップされ、所定値Nに達したところで、Hレベル信号を出力する。1回の切替,復帰に要する時間は一定(=T1 )であるから、カウント値がNに達するまでの時間も所定の一定時間(N回到達時間)となる。つまり、小過電流がその所定時間(N回到達時間)流れると、カウント値はNに達し、カウンタ部23からHレベル信号が出力される。
すると、制御回路5からFET18をオフする信号が送られるので、N回に達するとFET18をオフする。小過電流でも長時間流れていると、FET18や配線15等が焼損される恐れがあるので、その保護をするためである。
【0099】
(3)小過電流が短時間(所定時間以下)しか流れなかった場合
短時間とは、既に述べたように、カウンタ部23のカウント値が所定値Nに達しない程度の時間のことである。この場合には、小過電流が流れている間は過電流検出抵抗部66において、抵抗67単独状態と抵抗67,68並列状態との間の切替,復帰を繰返すだけである。つまり、抵抗67単独状態にされた時は、過電流検出回路8から過電流検出信号が出力されるが、抵抗67,68並列状態にされた時は出力されないということを繰返す。
【0100】
小過電流が所定時間内(カウント値が所定値Nに達する前)に消滅し、正常電流に戻ると、図1の場合と同様に、過電流種類判別回路20は元の状態に戻り、結局、FET18をオフすることはせずに終わる。小過電流が短時間しか流れない場合は、FET18や配線15等が焼損される恐れはなく、FET18をオフするという保護動作は必要ないからである。
電源投入時に流れる突入電流は短時間しか流れないから、この場合(短時間小過電流の場合)に該当する。従って、突入電流が流れた時にFET18がオフされるというような誤遮断が生ずることはなくなる。
【0101】
なお、FET18のゲート絶縁被膜が破壊され、オン抵抗が増大すると、FET18の温度は上昇し始める。過電流検出抵抗部66が抵抗67単独状態において、オン抵抗増大によりドレイン・ソース間電圧VDSが増大すると、電流検出電圧VY も増大する。やがて、VX <VY となり過電流検出動作がなされ、過電流検出抵抗部66が抵抗67,68並列状態に切り替えられる。つまり、抵抗67単独状態においてVX =VY となる時のVDSをVDS1 とすると、VDS>VDS1 となった時に、過電流検出抵抗部66は抵抗67,68並列状態に切り替えられる。
【0102】
DSが更に増大し、抵抗67,68並列状態においてVX =VY となる時のVDSを、VDS2 とする。VDSがVDS1 以上となったものの、VDS2 より小さいという状態が所定時間以上続くと、小過電流が所定時間以上流れた場合と同等となるので、FET18はオフされる。所定時間内にVDS1 より小となれば、回路は元の状態に戻される。即ち、過電流種類判別回路20はリセットされ、過電流検出抵抗部66は抵抗67単独状態に復帰される。
もし、所定時間までにVDSがVDS2 より大になると、大過電流が流れた場合と同等になるので、FET18はオフされる。
即ち、FET18の温度を検出して保護動作を行う回路を別途設けなくとも、FET18や配線15の過熱保護を行うことが出来る。
【0103】
(第4の実施形態)
図4は、第4の実施形態を示す図であり、符号は図1,図3のものに対応し、76は抵抗、77は反転回路、78はFETである。図3の構成と対応する構成については、説明を省略する。図3の回路と比べて相違する点は、次の2点である。
第1の相違点は、過電流検出抵抗部66を抵抗67のみで構成した点である。
第2の相違点は、比較基準電圧発生抵抗部74を、抵抗76とFET78とを直列接続し、この直列接続体を抵抗75に並列接続し、FET78のゲートに反転回路77を接続して構成した点である。初期状態では、FET78はオンされている。
【0104】
FET78をオンした時は、抵抗75,76を並列接続した状態(以下「比較基準抵抗並列状態」と言う)となり、FET78をオフした時は、抵抗75単独の状態(以下「比較基準抵抗単独状態」と言う)となる。即ち、FET78をオン,オフすることにより、2つの状態に切り替え得る構成とした。
なお、制御回路5からの切替信号P2 は、図4においては比較基準電圧発生抵抗部74の内部接続構成の切替信号として用いられる。
【0105】
第3の実施形態では、過電流検出抵抗部66の構成を2つの状態に切り替えることにより、大過電流の検出と小過電流の検出とを区別することが出来るようにしていた。即ち、図3では、大過電流の場合、抵抗67単独状態でも抵抗67,68並列状態でも過電流検出回路8は過電流検出信号を出力するが、小過電流の場合は抵抗67単独状態の時にのみ過電流検出信号を出力するということで区別していた。
これに対し第4の実施形態では、比較基準電圧発生抵抗部74の内部接続構成を2つの状態に切り替えることにより比較基準電圧VX の値を変え、大過電流の検出と小過電流の検出とを区別することが出来るようにしたものである。
【0106】
比較基準電圧発生抵抗部74は、当初、抵抗75,76並列状態にされており、比較基準電圧VX は小である。FET18を流れる電流ID が増大し、電流検出電圧VY も増大して過電流検出がなされると、抵抗75単独状態に切り替えられ、比較基準電圧VX は大にされる。
図4の過電流保護電源装置1の動作は、図3の過電流保護電源装置1とほぼ同様であるので、説明は省略する。
ただ相違する点は、過電流を検出した後に内部接続構成の切替が行われるのが、図4では比較基準電圧発生抵抗部74である点である(図3では過電流検出抵抗部66が切り替えられていた)。
【符号の説明】
【0107】
1…過電流保護電源装置、2…スイッチ部、3…スイッチ、4…抵抗、5…制御回路、6…抵抗、7…コンパレータ、8…過電流検出回路、9…マルチソースFET、10…副FET、11…主FET、12…温度センサ、13…比較基準電圧回路、14…抵抗、15…配線、16…負荷、17…直流電源、18…FET、20…過電流種類判別回路、21…タイマ部、22…ディジタルフィルタ部、23…カウンタ部、24…OR回路、25…AND回路、26…OR回路、30…バイアス電圧生成回路、31…抵抗、32…FET、33…電流源、40…比較基準電圧生成回路、41…電流供給部、42…抵抗、43…FET、44…抵抗、45…電流源、46…比較基準電圧発生抵抗部、47,48…抵抗、49…FET、50…過電流検出電圧生成回路、51…電流供給部、52…抵抗、53…FET、54…過電流検出抵抗部、55,56…抵抗、57…反転回路、58…FET、60…過電流検出電圧生成回路、61…電流供給部、62…抵抗、63…FET、64…抵抗、65…電流源、66…過電流検出抵抗部、67,68…抵抗、69…FET、70…比較基準電圧生成回路、71…電流供給部、72…抵抗、73…FET、74…比較基準電圧発生抵抗部、75,76…抵抗、77…反転回路、78…FET

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源と負荷との間に制御回路により制御されるスイッチ用の第1のFET(電界効果トランジスタ)が接続されて成る電源装置に対し、
前記直流電源と接地との間に接続され、バイアス電圧を生成するバイアス電圧生成回路と、
第1の電流供給部と過電流検出抵抗部とが接続点Yで接続された直列接続体で構成され、該直列接続体は前記負荷と第1のFETとの接続点と接地との間に接続され、接続点Yに生成される電流検出電圧VY が前記第1のFETのドレイン・ソース間電圧VDSに応じて変化するよう前記バイアス電圧が前記第1の電流供給部に印加されて成る過電流検出電圧生成回路と、
第2の電流供給部と比較基準電圧発生抵抗部とが接続点Xで接続された直列接続体で構成され、該直列接続体は前記直流電源と接地との間に接続され、前記比較基準電圧発生抵抗部へ供給する電流が一定となるよう前記バイアス電圧が前記第2の電流供給部に印加され、接続点Xに比較基準電圧VX を生成する比較基準電圧生成回路と、
前記電流検出電圧VY と前記比較基準電圧VX とを比較して過電流検出信号を前記制御回路5へ入力する過電流検出回路と
を付加すると共に、
予め定めた過電流の種類を判別するため過電流検出に関係している構成を、過電流として検出される電流値が異なるよう切り替える切替信号を発すると共に、過電流保護が必要な種類と判別した場合には前記第1のFETをオフする信号を発する過電流種類判別回路を前記制御回路内に設けた
ことを特徴とする過電流保護電源装置。
【請求項2】
比較基準電圧発生抵抗部は、第1の抵抗と第2のFETとの直列接続体に対して第2の抵抗が並列接続され、初期状態では該第2のFETがオフされている構成とされ、
過電流種類判別回路は、直ちに遮断しなければ回路構成要素を焼損するほど大きいという第1種類の過電流か、あるいは直ちに遮断しなくとも回路構成要素は焼損されない大きさだが焼損する恐れのある第1の所定時間以上流れ続けているという第2種類の過電流か、あるいは直ちに遮断しなくとも回路構成要素は焼損されない大きさだが該第1の所定時間より短時間しか流れなかったという第3種類の過電流かを判別する構成を具えると共に、
前記第2のFETがオフされている状態において過電流検出回路から過電流検出信号が入力された時点では前記第2のFETをオンする切替信号を生成し、該時点から第2の所定時間経過した時点では前記第2のFETをオフする切替信号を生成する構成を具えたものとされている
ことを特徴とする請求項1記載の過電流保護電源装置。
【請求項3】
過電流検出抵抗部は、第3の抵抗と第3のFETとの直列接続体に対して第4の抵抗が並列接続され、該第3のFETのゲートに第1の反転回路が接続され、初期状態では該第3のFETがオンされている構成とされ、
過電流種類判別回路は、直ちに遮断しなければ回路構成要素を焼損するほど大きいという第1種類の過電流か、あるいは直ちに遮断しなくとも回路構成要素は焼損されない大きさだが焼損する恐れのある第1の所定時間以上流れ続けているという第2種類の過電流か、あるいは直ちに遮断しなくとも回路構成要素は焼損されない大きさだが該第1の所定時間より短時間しか流れなかったという第3種類の過電流かを判別する構成を具えると共に、
前記第3のFETがオンされている状態において過電流検出回路から過電流検出信号が入力された時点では前記第3のFETをオフする切替信号を生成し、該時点から第2の所定時間経過した時点では前記第3のFETをオンする切替信号を生成する構成を具えたものとされている
ことを特徴とする請求項1記載の過電流保護電源装置。
【請求項4】
直流電源と負荷との間に制御回路により制御されるスイッチ用の第1のFET(電界効果トランジスタ)が接続されて成る電源装置に対し、
前記負荷と第1のFETとの接続点と接地との間に接続され、バイアス電圧を生成するバイアス電圧生成回路と、
第2の電流供給部と比較基準電圧発生抵抗部とが接続点Xで接続された直列接続体で構成され、該直列接続体は前記負荷と第1のFETとの接続点と接地との間に接続され、前記比較基準電圧発生抵抗部へ供給する電流が一定となるよう前記バイアス電圧が前記第2の電流供給部に印加され、接続点Xに比較基準電圧VX を生成する比較基準電圧生成回路と、
第1の電流供給部と過電流検出抵抗部とが接続点Yで接続された直列接続体で構成され、該直列接続体は前記直流電源と接地との間に接続され、接続点Yに生成される電流検出電圧VY が前記第1のFETのドレイン・ソース間電圧VDSに応じて変化するよう前記バイアス電圧が前記第1の電流供給部に印加されて成る過電流検出電圧生成回路と、
前記電流検出電圧VY と前記比較基準電圧VX とを比較して過電流検出信号を前記制御回路へ入力する過電流検出回路と
を付加すると共に、
予め定めた過電流の種類を判別するため過電流検出に関係している構成を、過電流として検出される電流値が異なるよう切り替える切替信号を発すると共に、過電流保護が必要な種類と判別した場合には前記第1のFETをオフする信号を発する過電流種類判別回路を前記制御回路内に設けた
ことを特徴とする過電流保護電源装置。
【請求項5】
過電流検出抵抗部は、第5の抵抗と第4のFETとの直列接続体に対して第6の抵抗が並列接続され、初期状態では該第4のFETがオフされている構成とされ、
過電流種類判別回路は、直ちに遮断しなければ回路構成要素を焼損するほど大きいという第1種類の過電流か、あるいは直ちに遮断しなくとも回路構成要素は焼損されない大きさだが焼損する恐れのある第1の所定時間以上流れ続けているという第2種類の過電流か、あるいは直ちに遮断しなくとも回路構成要素は焼損されない大きさだが該第1の所定時間より短時間しか流れなかったという第3種類の過電流かを判別する構成を具えると共に、
前記第4のFETがオフされている状態において過電流検出回路から過電流検出信号が入力された時点では前記第4のFETをオンする切替信号を生成し、該時点から第2の所定時間経過した時点では前記第4のFETをオフする切替信号を生成する構成を具えたものとされている
ことを特徴とする請求項4記載の過電流保護電源装置。
【請求項6】
比較基準電圧発生抵抗部は、第7の抵抗と第5のFETとの直列接続体に対して第8の抵抗が並列接続され、該第5のFETのゲートに第2の反転回路が接続され、初期状態では該第5のFETがオンされている構成とされ、
過電流種類判別回路は、直ちに遮断しなければ回路構成要素を焼損するほど大きいという第1種類の過電流か、あるいは直ちに遮断しなくとも回路構成要素は焼損されない大きさだが焼損する恐れのある第1の所定時間以上流れ続けているという第2種類の過電流か、あるいは直ちに遮断しなくとも回路構成要素は焼損されない大きさだが該第1の所定時間より短時間しか流れなかったという第3種類の過電流かを判別する構成を具えると共に、
前記第5のFETがオンされている状態において過電流検出回路から過電流検出信号が入力された時点では前記第5のFETをオフする切替信号を生成し、該時点から第2の所定時間経過した時点では前記第5のFETをオンする切替信号を生成する構成を具えたものとされている
ことを特徴とする請求項4記載の過電流保護電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−235398(P2012−235398A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−103921(P2011−103921)
【出願日】平成23年5月8日(2011.5.8)
【出願人】(511101265)
【Fターム(参考)】