説明

部品はんだ付け検査装置及びその検査方法

【課題】 表面実装部品がはんだ付けされた基板上をレーザ変位計で走査することによりはんだ付けされた表面実装部品の高さを効率良く高精度で測定し、虚報率を抑えながら表面実装部品の電極のはんだ付けを精度良く良否判定する。
【解決手段】 レーザ計測手段で計測された基板表面にはんだ付けされた個々の表面実装部品の変位量の最小高さと最大高さと、あらかじめ指定してデータベースに格納した前記表面実装部品の高さ範囲とはんだ材の厚み範囲とを照合し、前記表面実装部品のはんだ付け状態を論理判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
プリント基板にはんだ付けされた表面実装部品のはんだ付け状態の良否を判定する部品はんだ付け検査装置及びその検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント基板にはんだ付けされた表面実装部品のはんだ付け状態の検査においては、自動検査と手動検査とがある。自動検査では、基板に対向する側に設置されたカメラで撮像された画像によるパターンマッチング方式が採用され、プリント基板にはんだ付けされた部品の周辺の実写画像によるものと、部品電極のはんだ接合部に複数の発光色の光を当てて画像認識を行うものが多い。手動検査においては、人の目による拡大鏡(顕微鏡)を使用した目視検査が最も一般的である。
【0003】
画像認識による自動検査においては、表面実装部品の電極の色とはんだの色とが酷似している場合やはんだ付け部の形状異常画像が正常画像と酷似している場合には虚報率(見過ぎ率)が高くなる。
【0004】
このような問題に対して、レーザ変位計を用いて表面実装部品のはんだ付け部の高さを測定し、この測定された高さデータからはんだ付け状態の検査をする方法が開示されている。
【0005】
特開2007−33048号公報図7(特許文献1参照)においては、レーザ光Loによるスキャニングが電極部21先端からはんだ22に切り替わる第1のスキャナライン(電極部先端の測定,検知データの1ドット目)の高さ画像によって、電極部21近傍のはんだ高さhを計測する。電極部21の回路基板15からの高さをT、電極部21の厚さをtとすると、(T−t)によって電極部21下面の回路基板15からの高さ(電極下面高さ)Δtが得られる。そして、電極下面高さΔtとはんだ高さhとを比較して、h>Δtであれば電極部21の下面とはんだ22の上面とが接合していることになる。よって、h>Δtであればはんだ接合が良であり、h<Δtであれば不良と判断するものが開示されている。
【0006】
特開平10−132524号公報図1(特許文献2参照)においては、プリント基板の部品実装面にレーザ光線を照射し部材の所定部位の高さを計測する計測手段と、プリント基板にレーザ光線の走査を行う走査手段と、計測手段からの計測データの情報処理を行う情報処理手段と、情報処理結果を表示する表示手段とを有する基板検査装置において、プリント基板の計測前にプリント基板に設けられた基準部位にレーザ光を照射して計測する基準計測手段と、基準計測手段により計測された計測データを情報処理のための参照基準値として情報処理手段に出力する基準値設定手段とを備えているものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−33048号公報(図7)
【特許文献2】特開平10−132524号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載のものは、半導体レーザを用いて部品電極の高さと電極の周囲に付着しているはんだの高さを計測することにより電極のはんだ付けの良否を判定するものであるが電極がはんだに覆われている場合には、電極の先端の検出や電極の高さの計測が精度良く実施できないという課題がある。また、電極部の高さtには寸法公差があるが特許文献1に記載のものは寸法公差が考慮されていない。さらに電極が部品の裏面に配置されているBGA(Ball Grid Array)などの裏面電極部品のはんだ付けの良否は判定できない。また、部品欠落、部品立ち現象(マンハッタン現象またはツームストーン現象とも称する)の不良の検出方法は示されていない。
【0009】
特許文献2に記載のものは、レーザ変位計を用いて部品の電極の高さを測定し、この高さデータを使用者が設定する検査限界値と比較して電極のはんだ付けの良否を判定するものであり、検査限界値の設定によっては良品であるはんだ付けを不良と判定してしまう誤判定の可能性がある。また、BGAなどの裏面電極部品のはんだ付けの良否は判定できないという課題がある。
【0010】
この発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、表面実装部品がはんだ付けされた基板表面をレーザ変位計で走査することにより、はんだ付けされた表面実装部品の高さを高精度で測定し、虚報率を抑えながら表面実装部品の電極のはんだ付けを精度良く良否判定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係る部品はんだ付け検査装置は、パッドにはんだ材を介して表面実装部品の電極と接続した被検査基板と、この被検査基板と一定距離離して2次元走査し、前記被検査基板と前記表面実装部品との変位量から前記表面実装部品の高さを計測するレーザ計測手段と、前記表面実装部品の所望の高さ範囲及び前記はんだ材の所望の厚み範囲をあらかじめ指定したデータ範囲を格納したデータベースと、前記レーザ計測手段で計測された値と前記データベースに格納したデータ範囲とを照合して判定するデータ処理計算機とを備え、前記データ処理計算機は、前記レーザ計測手段で計測された前記表面実装部品の変位量の最小高さと最大高さとを照合値として用いて照合判定するものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明は、レーザ計測手段で計測された個々の表面実装部品の変位量の最小高さと最大高さと、あらかじめ指定してデータベースに格納した前記表面実装部品の高さ範囲とはんだ材の厚み範囲とを照合することにより、精度良く表面実装部品のはんだ付け状態を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施の形態1における部品はんだ付け検査装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1における部品はんだ付け検査装置で検査する表面実装部品の高さの測定方法を説明する図である。
【図3】この発明の実施の形態1における部品はんだ付け検査方法に係る大工程のフローチャートである。
【図4】この発明の実施の形態1における部品はんだ付け検査装置の測定準備工程に係る制御部フローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態1における部品はんだ付け検査装置で検査する両電極部品のはんだ付け状態を示す側面図である。
【図6】この発明の実施の形態1における部品はんだ付け検査装置で検査する両電極部品の計測と判定に係るフローチャートである。
【図7】この発明の実施の形態1における部品はんだ付け検査装置で検査する両電極部品のはんだ付けの総合判定順序を示すフローチャートである。
【図8】この発明の実施の形態2における部品はんだ付け検査装置で検査するガルウィング形状のリード電極を有するリード電極部品のはんだ付け状態を示す側面図である。
【図9】この発明の実施の形態2における部品はんだ付け検査装置で検査するリード電極部品の計測と判定に係るフローチャートである。
【図10】この発明の実施の形態3における部品はんだ付け検査装置で検査するパッケージ裏面に電極を有する裏面電極部品のはんだ付け状態を示す側面図である。
【図11】この発明の実施の形態3における部品はんだ付け検査装置で検査する裏面電極部品の計測と判定に係るフローチャートである。
【図12】この発明の実施の形態5における部品はんだ付け検査装置で検査する表面実装部品の計測領域を説明する上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1における部品はんだ付け検査装置の全体構成を示すブロック図である。図1において、部品のはんだ付け状態を検査する部品はんだ付け検査装置(本体)1は、表面実装部品が搭載されたプリント基板(被検査基板)2を部品はんだ付け検査装置1の内部に搬送する搬送レール(搬送手段)3を有する。部品はんだ付け検査装置1の内部に搬送されたプリント基板2は所定位置で一定距離離間して対向設置された赤外光などを用いたレーザ変位計4で測距される。
【0015】
レーザ変位計4で測距された距離情報となるデジタルデータは論理判定を行うデータ処理計算機5に入力される。データ処理計算機5はプリント基板2に対して相対的に平行に2次元走査されるレーザ変位計4の可動制御を行うとともにレーザ変位計4から入手した表面実装部品の高さデータとあらかじめ定められたデータ判定基準とを照合して一致不一致の論理判定を行う。
【0016】
部品はんだ付け検査装置1は、データ処理計算機5の論理判定結果により、例えば不一致による不都合判定された表面実装部品に対してモニタ6で映し出すためのカメラ7を備えている。
【0017】
基板設計データベース8は、プリント基板2の表面にはんだ付けされる各表面実装部品の種別、搭載位置座標データ、及び各表面実装部品の電極位置パターン又はパッドサイズなどを含む基板設計データを収納している。
【0018】
制御部9は、プリント基板2にはんだ付けされる各表面実装部品の外形寸法の最大値及び最小値を含む形状データをあらかじめ記憶素子を用いて格納した部品データベースを有する。また、制御部9は部品データベースと基板設計データベース8から入力される基板設計データとを用いてデータ処理計算機5に部品情報を出力すると共にデータ処理計算機5から入力される良否判定結果に基づきモニタなどではんだ付け部の異常画像を表示するためのはんだ付け検査プログラムを作成する。
【0019】
補修システム装置10は、部品はんだ付け検査装置1で不一致(異常)と判定された表面実装部品の座標データが制御部9に送出され、制御部9のはんだ付け検査プログラムに基づき異常画像を表示する。表示された位置の表面実装部品は人為的又は機械的手段で不都合部位の補修が行われる。LAN11は部品はんだ付け検査装置1のデータ処理計算機5、制御部9及び補修システム装置10との相互間でデータの授受を行う双方向の信号伝送線路であり、制御部9からの部品情報をデータ処理装置に送出する一方、データ処理計算機5からの論理信号を制御部9へ送出する。また、制御部9で作成したはんだ付け検査プログラムを起動し補修システム装置10で不都合のある表面実装部品を画面表示する。
【0020】
図2は、この発明の実施の形態1における部品はんだ付け検査装置で検査する表面実装部品の高さの測定方法を説明する図である。図2において、レーザ変位計4は、半導体レーザ12、投光レンズ13、受光レンズ15、光位置検出装置(PSD)16で構成される。半導体レーザ12は、投光レンズ収束後の照射スポット径は約20μm、測距距離(Z軸)の分解能は約1μmの精度でプリント基板2の表面に搭載された各表面実装部品14の頂点を相対的に2次元(X軸−Y軸)移動して掃引照射する。
【0021】
次にプリント基板2の表面に実装された表面実装部品14の計測動作について図1及び図2を用いて説明する。搬送レール3に載置され搬送されるプリント基板2は部品はんだ付け検査装置1の所定検査位置で停止する。搬送されたプリント基板2の表面と直交する方向に一定距離離して設置されたレーザ変位計4は、データ処理計算機5の走査信号によりプリント基板2に平行に2次元走査される。すなわち、データ処理計算機5はプリント基板2の端部に設けられた基準位置からレーザ変位計4をX軸及びY軸方向にステッピングモータ(図示せず)で平面走査する。半導体レーザ12から照射されたレーザ光は投光レンズ13で収束してからプリント基板2を照射し、その正規反射光を受光レンズ15を透過させてPSD16で検知する。すなわち、プリント基板2の表面の高さデータを計測することで半田付けされた表面実装部品14の設置位置の高さデータとプリント基板2表面の基材部の表面高さデータとを計測する。また、データ処理計算機5はレーザ変位計4で計測された各表面実装部品14の設置位置の高さデータから周辺のプリント基板2の基材部表面高さデータを差し引いてから変化量を含み最大値と最小値をそれぞれ定め、表面実装部品14の高さデータとする。
【0022】
なお、この発明の実施の形態1ではレーザ変位計4をX軸及びY軸方向に平面走査したが、プリント基板2を平面走査しても良い。この場合、プリント基板2の端部に設けられた基準位置をレーザ変位計4に合わせたのち、プリント基板2をX軸及びY軸方向にステッピングモータ(図示せず)で平面走査する。
【0023】
図3は、この発明の実施の形態1における部品はんだ付け検査方法に係る大工程のフローチャートである。測定準備工程(S1)においてはんだ付け検査プログラムを作成し、検査工程(S2)においてはんだ付け検査プログラムに従って基板表面の高さ計測と表面実装部品のはんだ付けの良否判定を実施し、確認工程(S3)において良否判定結果の確認を実施し、はんだ付け検査を完了する。
【0024】
図4は、この発明の実施の形態1における部品はんだ付け検査装置の測定準備工程(S1)に係る制御部フローチャートである。制御部9において、はんだ付け検査プログラムを作成するため、部品形状データの有無確認工程(S11)において、検査する表面実装部品の形状データが制御部9の部品データベースに保管の有無を確認する。表面実装部品の形状データ無しの場合は、部品サイズ入力工程(S12)において、表面実装部品の外形寸法公差の最大値及び最小値を部品データベースに入力し、はんだ材の厚み入力工程(S13)において、検査する表面実装部品の電極がはんだ付けされるパッドに形成されるはんだ材の厚み公差の最大値及び最小値をそれぞれBmax、Bminとして部品データベースに入力し、はんだ付け検査プログラム作成工程(S14)へ移行する。表面実装部品の形状データ有りの場合は、直ちにはんだ付け検査プログラム作成工程(S14)へ移行する。
【0025】
はんだ付け検査プログラム作成工程(S14)において、基板設計データベース8に格納されている基板表面のパッドデータ、部品座標データなどと制御部9の部品データベースを基に、検査する表面実装部品の座標、この表面実装部品の高さデータ、この表面実装部品がはんだ付けされるパッドに形成されるはんだ材の厚みデータを備えたはんだ付け検査プログラムを作成し、はんだ付け検査プログラム保管工程(S15)においてはんだ付け検査プログラムを制御部9に保管する。
【0026】
図5は、この発明の実施の形態1における部品はんだ付け検査装置で検査する両電極部品のはんだ付け状態を示す側面図である。図5において、プリント基板2に搭載された積層形セラミックコンデンサ、チップ抵抗器などの両電極部品14aの電極18は、プリント基板2のパッド19とはんだ材で電気接続される。なお、20は両電極部品14aのそれぞれの電極18に対向するパッドの高さから形成される両電極部品14aの実装基準線である。
【0027】
Hd1は計測された両電極部品14aの最小高さ、Hd2は計測された両電極部品14aの最大高さ、Aははんだ付け検査プログラムに格納されている両電極部品の高さデータで0.2mm程度から数mmの値である。Bははんだ付け検査プログラムに格納されているはんだ材の厚みデータである。
【0028】
θ0は両電極部品14aのそれぞれの電極18に対向するパッド19において、一方のパッドがはんだが付着していない状態で他方のパッドに高さBのはんだ材が付着したときに両パッドのはんだ材を含む頂点を直線で結んだ線と実装基準線20とでなす角度である。θ1は、Hd1とHd2とを直線で結んだ線と実装基準線20をHd1の点に平行移動した仮想実装基準線20aとでなす角度である。
【0029】
図6は、この発明の実施の形態1における部品はんだ付け検査装置で検査する両電極部品の計測と判定に係る検査工程(S2)のフローチャートである。図6において、はんだ付け検査プログラム読込み工程(S21)において、はんだ付け検査プログラムをデータ処理計算機5に読込む。計測工程(S22)において、データ処理計算機5ははんだ付け検査プログラムに従いレーザ変位計4を走査し、プリント基板2にはんだ付けされた表面実装部品の高さを計測し、結果をデータ処理計算機5に取込む。データ処理計算機5において、計測された高さデータをもとに第1の判定工程(S23)、第2の判定工程(S24)、第3の判定工程(S25)においてはんだ付けの良否を論理判定する。
【0030】
次に両電極部品14aのはんだ付けの良否判定方法について図5及び図6を用いて説明する。第1の判定工程(S23)においては、計測された最大高さHd2が、計測した両電極部品14aの高さデータAの最小値Aminとはんだ材の厚みデータBの最小値Bminとの和以下、すなわち Hd2≦Amin+Bmim であるとき、第1の判定工程(S23)は電極がはんだから浮いて無く、はんだ付けが良であると判定する。
【0031】
第2の判定工程(S24)においては、計測された最小高さHd1が、計測した両電極部品14aの高さデータAの最小値Amin以上、すなわち Hd1≧Amin であるとき、第2の判定工程(S24)は、両電極部品の欠落や両電極部品が基板に対して起立している状態(マンハッタン現象、ツームストーン現象ともいう)では無く、はんだ付けが良であると判定する。
【0032】
第3の判定工程(S25)においては、前記角度θ1が、前記角度θ0においてはんだ材の高さBの最小値Bminのときの角度θ0min以下、すなわち θ1≦θ0min であるとき、第3の判定工程(S25)は電極がはんだから浮いて無く、はんだ付けが良であると判定する。
【0033】
良品判定工程(S26)においては、第1の判定工程〜第3の判定工程までの全ての工程が良と判定されたとき、計測した両電極部品14aははんだ付けが良であると判定される。
【0034】
不良品判定工程(S27)においては、第1の判定工程〜第3の判定工程までのいずれかが否と判定したとき、計測した両電極部品14aは不良品であると判定する。不良品判定工程(S27)において不良品と判定された両電極部品14aは、画像撮影工程(S28)においてはんだ付け部を含み両電極部品14aの周囲の部品画像をカメラ7で撮像する。
【0035】
判定結果送信工程(S29)において、計測した両電極部品14aの良否判定結果および不良判定時に画像撮影工程(S28)で撮像した部品画像を制御部9に送信する。
【0036】
図7は、この発明の実施の形態1における両電極部品14aのはんだ付けの良否判定の確認工程(S3)を示すフローチャートである。図7において、検出位置表示工程(S31)において、制御部9は不良品と判定された両電極部品14aのプリント基板2における部品位置を表示し、検出画像表示工程(S32)において、制御部9は不良品と判定された両電極部品14aの部品画像を表示する。真の不良品判定工程(S33)において、プリント基板2を目視し、制御部9に表示された部品位置の部品画像と照合してこの両電極部品14aが真の不良品であるか判定する。真の不良品判定工程(S33)において、検査した両電極部品14aが不良品から良品に見直され部品形状データの変更が必要である場合、部品形状データの変更・保管工程(S34)において、制御部9の部品データベースの変更及び保管を実施する。
【0037】
このように両電極部品14aのはんだ付けを第1の判定工程〜第3の判定工程を用いて判定することにより、判定の精度が向上し、はんだ付け不良品の流出が避けられる。また、第1の判定工程〜第3の判定工程までのいずれかの工程で不良品の発生を検知することにより、電極浮き、部品欠落、マンハッタン現象などのはんだ付け不良の状態が検出される。
【0038】
実施の形態2.
図8は、この発明の実施の形態2における部品はんだ付け検査装置で検査するガルウィング形状のリード電極を有するリード電極部品のはんだ付け状態を示す側面図である。図8において、プリント基板2に搭載されたSOP(Small Outline Package)、QFP(Quad Flat Package)などのパッケージ部21から突出するガルウィング形状の複数のリード電極を有するリード電極部品14bでは、プリント基板2のパッド19とリード電極22とをリード電極22のはんだ付け部22aではんだ材を用いて電気接続される。
【0039】
Hd21は計測されたリード電極部品14bのパッケージ部21の最小高さ、Hd22は計測されたリード電極部品14bのパッケージ部21の最大高さであり、Hc1は計測されたリード電極部品14bのリード部はんだ付け部22aの最小高さ、Hc2は計測されたリード電極部品14bのリード部はんだ付け部22aの最大高さである。A2ははんだ付け検査プログラムに格納されているリード電極部品14bのパッケージ部21の高さで1mmから数mm程度の値であり、Cははんだ付け検査プログラムに格納されているリード電極部品14bのリード電極高さデータで0.1mmから0.5mm程度の値である。なお、リード電極は複数のn本を有するため、Hc1は計測したn本のリード電極中の最小値、Hc2は計測したn本のリード電極中の最大値である。
【0040】
θ2は、Hd21とHd22を直線で結んだ線と、実装基準線20をHd21の点に平行移動した仮想実装基準線20bとでなす角度である。θ3は、Hc1とHc2を直線で結んだ線と、実装基準線20をHc1の点に平行移動した仮想実装基準線20cとでなす角度である。図5と同一箇所には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0041】
図9は、この発明の実施の形態2における部品はんだ付け検査装置で検査するリード電極部品の計測と判定に係る検査工程(S2)のフローチャートである。 図9において、はんだ付け検査プログラム読込み工程(S21)において、はんだ付け検査プログラムをデータ処理計算機5に読込む。計測工程(S22)において、データ処理計算機5ははんだ付け検査プログラムに従いレーザ変位計4を走査し、プリント基板2にはんだ付けされた表面実装部品の高さを計測し、結果をデータ処理計算機5に取込む。データ処理計算機5において、計測された高さデータをもとに第1の判定工程(S223)、第2の判定工程(S224)、第3の判定工程(S225)においてはんだ付けの良否を論理判定する。
【0042】
次にリード電極部品14bのはんだ付けの良否判定方法について図8及び図9を用いて説明する。第1の判定工程(S223)においては、計測されたリード電極の最大高さHc2が、計測した両電極部品14bのリード電極高さデータCの最小値Cminとはんだ材の厚みデータBの最小値Bminとの和以下、すなわち Hc2≦Cmin+Bmim であるとき、第1の判定工程(S223)はリード電極がはんだから浮いて無く、はんだ付けが良であると判定する。
【0043】
第2の判定工程(S224)においては、計測されたリード電極の最小高さHc1が、計測した両電極部品14bのリード電極高さデータCの最小値Cmin以上、すなわち Hc1≧Cmin であるとき、第2の判定工程(S224)は、リード電極部品のリード電極欠落やリード電極の位置ずれは無く、はんだ付けが良であると判定する。
【0044】
第3の判定工程(S225)においては、前記角度θ2が、前記角度θ0においてはんだ材の高さBが最小値Bminのときの角度θ0min以下であり且つ前記角度θ3が前記角度θ0min以下、すなわち θ2≦θ0min であり且つ θ3≦θ0min であるとき第3の判定工程(S225)はリード電極の変形による電極浮きは無く、はんだ付けが良であると判定する。
【0045】
良品判定工程(S26)、不良品判定工程(S27)、画像撮影工程(S28)及び判定結果送信工程(S29)の動作は、この発明の実施の形態1で説明したものと同一である。
【0046】
確認工程(S3)の動作は、この発明の実施の形態1と同様にリード電極部品14bのはんだ付けの良否判定の確認を実施する。
【0047】
このようにリード電極部品14bのはんだ付けを第1の判定工程〜第3の判定工程を用いて判定することにより、判定の精度が向上し、はんだ付け不良の流出が避けられる。また、第1の判定工程〜第3の判定工程までのいずれかの工程での不良の発生を検知することにより、リード電極浮き、リード電極欠落、リード電極変形などのはんだ付け不良の状態が検出される。
【0048】
実施の形態3.
図10は、この発明の実施の形態3における部品はんだ付け検査装置で検査するパッケージ裏面に電極を有する裏面電極部品のはんだ付け状態を示す側面図である。図10において、プリント基板2に搭載されたBGA(Ball grid array)に代表されるパッケージ裏面に複数の電極を有する裏面電極部品14cの電極23は、プリント基板2のパッド19とはんだ材で電気接続される。A3はははんだ付け検査プログラムに格納されている裏面電極部品14cの高さデータで1mmから数mm程度の値である。図8と同一箇所には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0049】
図11は、この発明の実施の形態3における部品はんだ付け検査装置で検査する裏面電極部品の計測と判定に係る検査工程(S2)のフローチャートである。図11において、はんだ付け検査プログラム読込み工程(S21)において、はんだ付け検査プログラムをデータ処理計算機5に読込む。計測工程(S22)において、データ処理計算機5ははんだ付け検査プログラムに従いレーザ変位計4を走査し、プリント基板2にはんだ付けされた表面実装部品の高さを計測し、結果をデータ処理計算機5に取込む。データ処理計算機5において、計測された高さデータをもとに第1の判定工程(S323)、第2の判定工程(S324)、第3の判定工程(S325)においてはんだ付けの良否を論理判定する。
【0050】
次に裏面電極部品14cのはんだ付けの良否判定方法について図10及び図11を用いて説明する。第1の判定工程(S323)においては、計測された裏面電極部品の最大高さHd22が、計測した裏面電極部品14cの高さデータA3の最小値A3minとはんだ材の厚みデータBの最小値Bminとの和以下、すなわち Hd22≦A3min+Bmim であるとき、第1の判定工程(S323)は裏面電極がはんだから浮いて無く、はんだ付けが良であると判定する。
【0051】
第2の判定工程(S324)においては、計測された裏面電極部品の最小高さHd21が、計測した裏面電極部品14cの高さデータA3の最小値A3min以上、すなわち Hd21≧A3min であるとき、第2の判定工程(S324)は、裏面電極部品の欠落や位置ずれは無く、はんだ付けが良であると判定する。
【0052】
第3の判定工程(S325)においては、前記角度θ2が、前記角度θ0においてはんだ材の高さBが最小値Bminのときの角度θ0min以下、すなわち θ2≦θ0min であるとき第3の判定工程(S325)はリード電極の変形による電極浮きは無く、はんだ付けが良であると判定する。
【0053】
良品判定工程(S26)、不良品判定工程(S27)、画像撮影工程(S28)及び判定結果送信工程(S29)の動作は、この発明の実施の形態1と同じである。
【0054】
確認工程(S3)の動作は、この発明の実施の形態1と同様に裏面電極部品14cのはんだ付けの良否判定の確認を実施する。
【0055】
このように裏面電極部品14cのはんだ付けを第1の判定工程〜第3の判定工程を用いて判定することにより、判定の精度が向上し、はんだ付け不良の流出が避けられる。また、第3の判定工程(S325)で説明したように、部品の傾斜角度を用いてはんだ付けの良否判定を実施するので、目視検査では視認できない箇所のはんだ付けが良否判定される。また、第1の判定工程〜第3の判定工程までのいずれかの工程での不良の発生を検知することにより、電極浮き、部品欠落、位置ずれなどのはんだ付け不良の状態が検出される。
【0056】
実施の形態4.
プリント基板2の表面には、両電極部品14a、リード電極部品14b及び裏面電極部品14cが混在してはんだ付けされていることが多いので、検査工程(S2)においては、この発明の実施の形態1の図6に示す両電極部品に係る計測と判定に係る検査工程、この発明の実施の形態2の図9に示すリード電極部品に係る計測と判定に係る検査工程、及びこの発明の実施の形態3の図11に示す裏面電極部品に係る計測と判定に係る検査工程の全て若しくはいずれかの組合せを用いて実施したのち、確認工程(S3)に移行しても良い。
【0057】
実施の形態5.
この発明の実施の形態1〜3ではレーザ変位計4から照射されるレーザ光の照射方向と略直交する各表面実装部品の平面領域の距離を平面領域の全域に亘り計測したが、平面領域の両端に位置する電極19がある場合には、あらかじめ制御部9に蓄積されている部品データベースの形状データを平面実装部品の形状に合わせ相似状に縮小してデータ処理計算機5に送出しても良く、図12に示すように平面領域の内部に位置するシルク印刷などが施された表示部(シンボル)31がある場合には、データ処理計算機5は、連続する平面領域の内部平面領域は論理判定対象外として判定しても良い。
【0058】
また、部品データベースの形状データを表面実装部品の形状に合わせ相似状に縮小するとともに連続する平面領域の内部平面領域は論理判定対象外として判定しても良く、この場合には、図12に示すように表面実装部品の外周縁内部の平面領域32の最短距離(最小値)と最長距離(最大値)とが判定対象となるので、表面実装部品の外周部分や内部領域の凸凹を判定対象から除外できるので高精度にはんだ付けの検査を行うことができるという効果もある。
【符号の説明】
【0059】
1・・・はんだ付け検査装置本体(部品はんだ付け検査装置)
2・・・プリント基板(被検査基板)
3・・・搬送レール(搬送手段)
4・・・レーザ変位計
5・・・データ処理計算機
6・・・モニタ
7・・・カメラ
8・・・基板設計データベース
9・・・制御部
10・・・補修装置(補修システム装置)
11・・・信号線路(LAN)
12・・・半導体レーザ
13・・・投光レンズ
14・・・表面実装部品 14a・・・両電極部品
14b・・・リード電極部品 14c・・・裏面電極部品
15・・・受光レンズ
16・・・光位置検出装置(PSD)
18・・・両電極部品の電極
19・・・パッド
20・・・実装基準線 20a・・・仮想実装基準線
20b・・・仮想実装基準線 20c・・・仮想実装基準線
21・・・パッケージ部
22・・・リード電極 22a・・・リード電極のはんだ付け部
31・・・表示部(シンボル)
32・・・外周縁内部の平面領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッドにはんだ材を介して表面実装部品の電極と接続した被検査基板と、この被検査基板と一定距離離して2次元走査し、前記被検査基板と前記表面実装部品との変位量から前記表面実装部品の高さを計測するレーザ計測手段と、前記表面実装部品の所望の高さ範囲及び前記はんだ材の所望の厚み範囲をあらかじめ指定したデータ範囲を格納したデータベースと、前記レーザ計測手段で計測された値と前記データベースに格納したデータ範囲とを照合して判定するデータ処理計算機とを備え、前記データ処理計算機は、前記レーザ計測手段で計測された前記表面実装部品の変位量の最小高さと最大高さとを照合値として用いて照合判定する部品はんだ付け検査装置。
【請求項2】
前記データ処理計算機は、計測された前記表面実装部品の変位量の最大高さと前記データベースに格納された前記表面実装部品の高さ範囲の最小値と前記データベースに格納されたはんだ材の厚み範囲の最小値との和の値とから論理判定する第1の判定基準と、計測された前記表面実装部品の変位量の最小高さと、前記データベースに格納された前記表面実装部品の高さ範囲の最小値とから論理判定する第2の判定基準と、計測された前記表面実装部品の変位量の最小高さ及び最大高さから算出される前記表面実装部品の傾斜角度と前記データベースに格納されたはんだ材の厚み範囲の最小値から算出されるはんだ材の傾斜角度とから論理判定する第3の判定基準とを備え、前記第1の判定基準乃至前記第3の判定基準の少なくとも1つの判定基準を用いて前記表面実装部品のはんだ付けを良否判定する請求項1に記載の部品はんだ付け検査装置。
【請求項3】
パッドにはんだ材を介して表面実装部品の電極と接続した被検査基板から一定距離離してレーザ計測手段を2次元走査し、前記被検査基板と前記表面実装部品との変位量から前記表面実装部品の高さを計測し、データ処理計算機で前記レーザ計測手段で計測された値と、前記表面実装部品の所望の高さ範囲及び前記はんだ材の所望の厚み範囲をあらかじめ指定して格納したデータベースのデータ範囲とを照合する部品はんだ付け検査方法において、前記レーザ計測手段で計測された前記表面実装部品の変位量の最小高さと最大高さとを照合値として用いて前記データベースと照合して前記被検査基板に実装された前記表面実装部品のはんだ付け状態を判定する部品はんだ付け検査方法。
【請求項4】
前記データ処理計算機は、計測された表面実装部品の変位量の最大高さと前記データベースに格納された前記表面実装部品の高さ範囲の最小値と前記データベースに格納されたはんだ材の厚み範囲の最小値との和の値とから論理判定する第1の判定基準と、計測された表面実装部品の変位量の最小高さと前記データベースに格納された前記表面実装部品の高さ範囲の最小値とから論理判定する第2の判定基準と、計測された表面実装部品の変位量の最小高さ及び最大高さとから算出される前記表面実装部品の傾斜角度と前記データベースに格納されたはんだ材の厚み範囲の最小値から算出されるはんだ材の傾斜角度とから論理判定する第3の判定基準とを備え、前記第1の判定基準乃至前記第3の判定基準の少なくとも1つの判定基準を用いて前記表面実装部品のはんだ付けを良否判定する請求項3に記載の部品はんだ付け検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−13568(P2012−13568A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−151033(P2010−151033)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】