説明

配線基板及び半導体装置

【課題】両面に実装された半導体素子同士を狭ピッチ及び短距離で接続することが可能な低コストの配線基板、および半導体装置を提供する。
【解決手段】本配線基板は、無機誘電体を含む絶縁性基材11と、前記絶縁性基材の一方の面から他方の面に貫通する複数の線状導体12と、を備えたコア基板13と、その両面に形成され、それぞれの面で前記線状導体の一部を介して電気的に接続された第1、第2配線層21,22と、を有し、それぞれの前記配線層を覆う第1、第2絶縁層14,15とを有し、同様の繰り返しにて第3,第4の配線層23,24が形成され、かつ前記第1配線層と第2配線層とは、前記線状導体の一部を介して電気的に接続されており、前記線状導体は、信号配線と接続される線状導体と、前記信号配線と接続される線状導体の周囲に位置する線状導体と、を有し、前記周囲に位置する線状導体は、グラウンド配線と接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の線状導体を有する配線基板、及び前記配線基板の両面に半導体素子を搭載した半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、配線基板上に半導体素子を実装した半導体装置が知られている。以下、図1を参照しながら、配線基板上に半導体素子を実装した従来の半導体装置について説明する。図1は、配線基板上に半導体素子を実装した従来の半導体装置を例示する断面図である。図1を参照するに、半導体装置300は、多層配線基板500と、半導体素子400と、はんだバンプ410と、アンダーフィル樹脂層420とを有する。多層配線基板500の中心部には、支持体510が設けられている。
【0003】
支持体510の第1主面510aには、第1配線層610aが形成されている。又、支持体510には、第1主面510aから第2主面510bに貫通するスルービア690が形成されている。第1配線層610aは、スルービア690を介して後述する第4配線層610bと電気的に接続されている。更に、第1配線層610aを覆うように第1絶縁層520aが形成されており、第1絶縁層520a上には、第2配線層620aが形成されている。第1配線層610aと第2配線層620aとは、第1絶縁層520aを貫通するビアホール520xを介して電気的に接続されている。
【0004】
更に、第2配線層620aを覆うように第2絶縁層530aが形成されている。第2絶縁層530a上には、第3配線層630aが形成されている。第2配線層620aと第3配線層630aとは、第2絶縁層530aを貫通するビアホール530xを介して電気的に接続されている。
【0005】
更に、第3配線層630aを覆うように、開口部550xを有するソルダーレジスト層550aが形成されている。第3配線層630aのソルダーレジスト層550aの開口部550xから露出する部分は、電極パッドとして機能する(以降、第3配線層630aのソルダーレジスト層550aの開口部550xから露出する部分を電極パッド630aという場合がある)。以降、電極パッド630aが形成されている面を、多層配線基板500の第1主面という場合がある。
【0006】
支持体510の第2主面510bには、第4配線層610bが形成され、更に、第4配線層610bを覆うように第3絶縁層520bが形成されている。第3絶縁層520b上には、第5配線層620bが形成されている。第4配線層610bと第5配線層620bとは、第3絶縁層520bを貫通するビアホール520yを介して電気的に接続されている。
【0007】
更に、第5配線層620bを覆うように第4絶縁層530bが形成されている。第4絶縁層530b上には、第6配線層630bが形成されている。第5配線層620bと第6配線層630bとは、第4絶縁層530bを貫通するビアホール530yを介して電気的に接続されている。
【0008】
更に、第6配線層630bを覆うように、開口部550yを有するソルダーレジスト層550bが形成されている。第6配線層630bのソルダーレジスト層550bの開口部550yから露出する部分は、電極パッドとして機能する(以降、第6配線層630bのソルダーレジスト層550bの開口部550yから露出する部分を電極パッド630bという場合がある)。以降、電極パッド630bが形成されている面を、多層配線基板500の第2主面という場合がある。
【0009】
電極パッド630b上には、はんだバンプ680が形成されている。はんだバンプ680は、半導体装置300をマザーボード等の回路基板(図示せず)に実装する際に、回路基板の対応する端子と電気的に接続される外部接続端子として機能する。
【0010】
多層配線基板500の第1主面には半導体素子400が実装されている。半導体素子400は、シリコン等からなる薄板化された半導体基板(図示せず)上に半導体集積回路(図示せず)や電極パッド(図示せず)が形成されたものである。半導体素子400の電極パッド(図示せず)上には、はんだバンプ410が形成されている。
【0011】
半導体素子400の電極パッド(図示せず)は、はんだバンプ410により、多層配線基板500の対応する電極パッド630aと電気的に接続されている。はんだバンプ410の材料としては、例えばSnとCuの合金、SnとAgの合金、SnとAgとCuの合金等を用いることができる。半導体素子400と多層配線基板500のソルダーレジスト層550aとの間には、アンダーフィル樹脂層420が充填されている。
【0012】
又、従来から、配線基板の両面に半導体素子を搭載した半導体装置が知られている。以下、図2を参照しながら、配線基板の両面に半導体素子を搭載した従来の半導体装置について説明する。図2は、配線基板の両面に半導体素子を搭載した従来の半導体装置を例示する断面図である。図2を参照するに、半導体装置700は、配線基板800と、半導体素子900と、はんだバンプ910と、半導体素子950と、はんだバンプ960とを有する。
【0013】
配線基板800において、シリコンからなる基板本体810の第1主面810aには、第1配線層820aが形成されている。又、基板本体810には、第1主面810aから第2主面810bに貫通するスルービア830が形成されている。第1配線層820aは、スルービア830を介して後述する第2配線層820bと電気的に接続されている。更に、第1配線層820aを覆うようにソルダーレジスト層840aが形成されている。第1配線層820aのソルダーレジスト層840aの開口部840xから露出する部分は、電極パッドとして機能する(以降、第1配線層820aのソルダーレジスト層840aの開口部840xから露出する部分を電極パッド820aという場合がある)。以降、電極パッド820aが形成されている面を、配線基板800の第1主面という場合がある。
【0014】
基板本体810の第2主面810bには、第2配線層820bが形成されている。更に、第2配線層820bを覆うようにソルダーレジスト層840bが形成されている。第2配線層820bのソルダーレジスト層840bの開口部840yから露出する部分は、電極パッドとして機能する(以降、第2配線層820bのソルダーレジスト層840bの開口部840yから露出する部分を電極パッド820bという場合がある)。以降、電極パッド820bが形成されている面を、配線基板800の第2主面という場合がある。
【0015】
一部の電極パッド820b上には、はんだバンプ850が形成されている。はんだバンプ850は、半導体装置700をマザーボード等の回路基板(図示せず)に実装する際に、回路基板の対応する端子と電気的に接続される外部接続端子として機能する。
【0016】
配線基板800の第1主面には半導体素子900が実装されている。半導体素子900は、シリコン等からなる薄板化された半導体基板(図示せず)上に半導体集積回路(図示せず)や電極パッド(図示せず)が形成されたものである。半導体素子900は、例えばメモリーデバイス等である。半導体素子900の電極パッド(図示せず)上には、はんだバンプ910が形成されている。
【0017】
半導体素子900の電極パッド(図示せず)は、はんだバンプ910により、配線基板800の対応する電極パッド820aと電気的に接続されている。はんだバンプ910の材料としては、例えばSnとCuの合金、SnとAgの合金、SnとAgとCuの合金等を用いることができる。
【0018】
配線基板800の第2主面には半導体素子950が実装されている。半導体素子950は、シリコン等からなる薄板化された半導体基板(図示せず)上に半導体集積回路(図示せず)や電極パッド(図示せず)が形成されたものである。半導体素子950は、例えばロジックデバイス等である。半導体素子950の電極パッド(図示せず)上には、はんだバンプ960が形成されている。
【0019】
半導体素子950の電極パッド(図示せず)は、はんだバンプ960により、配線基板800の対応する電極パッド820bと電気的に接続されている。はんだバンプ960の材料としては、例えばSnとCuの合金、SnとAgの合金、SnとAgとCuの合金等を用いることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特開平10−308565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
しかしながら、半導体装置300のように、従来型の多層配線基板500を用いる場合は、支持体510やスルービア690の加工の限界から、多層配線基板500の第1主面と第2主面とを、各配線層を平面方向(X方向又はY方向、又はその両方)に引き回すことなく接続することは困難である。そのため、多層配線基板500の第1主面と第2主面とを狭ピッチ及び短距離で接続することはできない。
【0022】
又、半導体装置700のように、シリコンからなる基板本体810に貫通孔を設けて金属等を充填する方法でスルービア830(所謂TSV:Through Silicon Via)を形成することにより、配線基板800の第1主面と第2主面とを、各配線層を平面方向(X方向又はY方向、又はその両方)に引き回すことなくスルービア830のみで接続することができる。そのため、配線基板800の第1主面及び第2主面に搭載されている半導体素子900及び950を狭ピッチ及び短距離で接続することができる。しかしながら、シリコンからなる基板本体810にスルービア830(所謂TSV:Through Silicon Via)を形成するための加工コストが高く、搭載する半導体素子のサイズの関係に制約がある等の問題があった。
【0023】
本発明は、上記の点に鑑みて、両面に実装された半導体素子同士を狭ピッチ及び短距離で接続することが可能な低コストの配線基板、及び前記配線基板の両面に半導体素子を実装した半導体装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本配線基板は、無機誘電体を含む絶縁性基材と、前記絶縁性基材の一方の面から他方の面に貫通する複数の線状導体と、を備えたコア基板と、前記一方の面及び前記他方の面に形成され、前記線状導体の一部を介して電気的に接続された配線層と、を有し、前記配線層は、前記一方の面に形成され、前記一方の面から露出する前記複数の線状導体の一部と電気的に接続された第1配線層と、前記他方の面に形成され、前記他方の面から露出する前記複数の線状導体の一部と電気的に接続された第2配線層と、を含み、前記一方の面には、前記第1配線層を覆うように形成された第1絶縁層と、前記第1絶縁層上に形成され、かつ、前記第1絶縁層に設けられた貫通孔を介して前記第1配線層と電気的に接続された第3配線層が形成され、前記他方の面には、前記第2配線層を覆うように形成された第2絶縁層と、前記第2絶縁層上に形成され、かつ、前記第2絶縁層に設けられた貫通孔を介して前記第2配線層と電気的に接続された第4配線層が形成され、前記第1配線層と前記第2配線層とは、前記線状導体の一部を介して電気的に接続されており、前記線状導体は、信号配線と接続される線状導体と、前記信号配線と接続される線状導体の周囲に位置する線状導体と、を有し、前記周囲に位置する線状導体は、グラウンド配線と接続されることを要件とする。
【0025】
本半導体装置は、本発明に係る配線基板の両面に半導体素子が実装されていることを要件とする。
【発明の効果】
【0026】
開示の技術によれば、両面に実装された半導体素子同士を狭ピッチ及び短距離で接続することが可能な低コストの配線基板、及び前記配線基板の両面に半導体素子を実装した半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】従来の半導体装置を例示する断面図(その1)である。
【図2】従来の半導体装置を例示する断面図(その2)である。
【図3】第1の実施の形態に係る配線基板を例示する断面図である。
【図4】図3のA部を拡大して例示する斜視透視図である。
【図5】第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その1)である。
【図6】第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その2)である。
【図7】第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その3)である。
【図8】第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その4)である。
【図9】第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その5)である。
【図10】第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その6)である。
【図11】第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その7)である。
【図12】第1の実施の形態の変形例に係る配線基板の一部を例示する図である。
【図13】第2の実施の形態に係る半導体装置を例示する断面図である。
【図14】第2の実施の形態の変形例1に係る半導体装置を例示する断面図である。
【図15】第2の実施の形態の変形例2に係る半導体装置を例示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して、実施の形態の説明を行う。
【0029】
〈第1の実施の形態〉
[第1の実施の形態に係る配線基板の構造]
始めに、第1の実施の形態に係る配線基板の構造について説明する。図3は、第1の実施の形態に係る配線基板を例示する断面図である。図4は、図3のA部を拡大して例示する斜視透視図である。ただし、図4において、一部の構成要素は省略されている。図3及び図4において、X方向は後述するコア基板13の一方の面13aと平行な方向、Y方向はX方向に垂直な方向(紙面奥行き方向)、Z方向はX方向及びY方向に垂直な方向(コア基板13の厚さ方向)をそれぞれ示している。
【0030】
図3及び図4を参照するに、配線基板10は、コア基板13と、第1絶縁層14と、第2絶縁層15と、第1ソルダーレジスト層16と、第2ソルダーレジスト層17と、第1配線層21と、第2配線層22と、第3配線層23と、第4配線層24とを有する。
【0031】
配線基板10において、コア基板13は、例えば厚さ70〜100μm程度、大きさ10×10mm程度の基板であり、絶縁性基材11全体に亘りそのZ方向(厚さ方向)に形成された多数の貫通孔11xに金属材料を充填して線状導体(ビア)12が形成された基板である。絶縁性基材11としては、例えばアルミナ(酸化アルミニウム)、ムライト、窒化アルミニウム、ガラスセラミックス(ガラスとセラミックスの複合材料)、チタン酸バリウムストロンチウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタンジルコン酸鉛等の誘電率の高い材料(無機誘電体)を用いることが好ましい。例えば、アルミナ(酸化アルミニウム)の誘電率は8〜10、ムライトの誘電率は6.5である。
【0032】
配線基板10の両面には半導体素子が実装可能であるが、実装される半導体素子が例えばシリコンである場合、その熱膨張係数(CTE)は3ppm/℃程度である。又、配線基板10に形成される第1配線層21等が例えば銅(Cu)である場合、その熱膨張係数(CTE)は16〜17ppm/℃程度である。絶縁性基材11の材料として例えば熱膨張係数(CTE)が6〜7ppm/℃程度のアルミナや熱膨張係数(CTE)が4.5ppm/℃程度のムライト等の半導体素子30の熱膨張係数(CTE)と第1配線層21等の熱膨張係数(CTE)との中間的な値の熱膨張係数(CTE)を有するセラミックス等を用いることにより、配線基板10に実装される半導体素子と第1配線層21等との熱膨張係数(CTE)の差に起因する応力を緩和することができる。
【0033】
線状導体12は、その一端面がコア基板13の一方の面13aから露出しており、その他端面がコア基板13の他方の面13bから露出している。線状導体12は、例えば平面視円形に形成されており、その直径は例えば30nm〜2000nm程度とすることができる。なお、平面視とは、対象物を図3のZ方向から見た場合を指す。又、線状導体12は、隣接する線状導体12の間隔が線状導体12の直径よりも小さくなる程度に密に形成されていることが好ましい。ただし、線状導体12の配置形態については、特に限定されず、例えばヘキサゴナル状に配置されていてもよいし、グリッド状に配置されていてもよい。
【0034】
各線状導体12は、コア基板13の一方の面13aに形成された導体と他方の面13bに形成された導体とを接続するビアとしての機能を有する。ただし、線状導体12の一部は導体には接続されず、電気的に孤立(フローティング)した状態であっても構わない。線状導体(ビア)12を形成する金属材料としては、例えば銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)等を用いることができる。
【0035】
ここで、第1の実施の形態に係るコア基板13と従来の配線基板の有するコア基板とを対比する。従来の配線基板では、コア基板の両側に設けられた配線層同士を電気的に接続するための手段として、コア基板にスルーホール(充填導体)を形成し、更に形成したスルーホールの両面に受けパッドを形成する必要があった。そして、スルーホール(受けパッドを含む)を形成するにあたり、搭載されるチップ部品の機能等に応じて、1枚ずつ特定のコア基板を用意し、用意したコア基板に対して穴明け、メタライジング、穴埋め等の加工を行う必要があった。このため、コア基板を製造するのに長時間を要し、目的とするコア基板を効率良く製造することができず、コア基板のコストが高くなるという問題があった。
【0036】
又、従来の配線基板では、コア基板に対するスルーホールの加工精度やアライメント精度、配線層の積層精度などに依存して、受けパッドの径を大きくする必要があった。このため、配線設計の自由度が阻害され、配線密度が制約されるという問題があった。特に、電子機器の更なる小型化等の要求に伴い、現状の技術ではスルーホールの直径及び配設ピッチも限界にきているため、配線基板全体の配線密度はより一層制約されることになる。
【0037】
第1の実施の形態に係る配線基板10では、コア基板13の一方の面13aから他方の面13bに貫通する多数の線状導体12により、コア基板13の一方の面13aに形成された導体と他方の面13bに形成された導体とを接続することができるため、上記のような従来の配線基板の問題点を回避することができる。
【0038】
図3及び図4に戻り、第1配線層21は、コア基板13の一方の面13aに形成されている。第1配線層21は、コア基板13の一方の面13aから露出した多数の線状導体12の端面と電気的に接続されている。第1配線層21の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。
【0039】
第1絶縁層14は、第1配線層21を覆うようにコア基板13の一方の面13aに形成されている。第1絶縁層14の材料としては、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂などの樹脂材を用いることができる。
【0040】
第2配線層22は、コア基板13の他方の面13bに形成されている。第2配線層22は、コア基板13の他方の面13bから露出した多数の線状導体12の端面と電気的に接続されている。
【0041】
第2絶縁層15は、第2配線層22を覆うようにコア基板13の他方の面13bに形成されている。第2絶縁層15の材料としては、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂などの樹脂材を用いることができる。
【0042】
第3配線層23は、第1絶縁層14上に形成されている。第3配線層23は、第1絶縁層14を貫通する第1ビアホール14xを介して、第1配線層21と電気的に接続されている。第3配線層23の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。
【0043】
第1ソルダーレジスト層16は、第3配線層23を覆うように第1絶縁層14上に形成されている。第1ソルダーレジスト層16は開口部16xを有し、開口部16x内には第3配線層23の一部が露出している。開口部16x内に露出する第3配線層23は半導体素子等と接続される電極パッドとして機能する。開口部16xの形状は、例えば平面視において円形とすることができる。開口部16xの形状が平面視において円形である場合、開口部16xの径は例えば20〜50μm程度とすることができる。
【0044】
第4配線層24は、第2絶縁層15上に形成されている。第4配線層24は、第2絶縁層15を貫通する第2ビアホール15xを介して、第2配線層22と電気的に接続されている。第4配線層24の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。
【0045】
第2ソルダーレジスト層17は、第4配線層24を覆うように第2絶縁層15上に形成されている。第2ソルダーレジスト層17は開口部17x及び17yを有し、開口部17x及び17y内には第4配線層24の一部が露出している。開口部17x内に露出する第4配線層24は半導体素子等と接続される電極パッドとして機能する。開口部17y内に露出する第4配線層24は他の実装基板等と接続される電極パッドとして機能する。開口部17x及び17yの形状は、例えば平面視において円形とすることができる。開口部17x及び17yの形状が平面視において円形である場合、開口部17xの径は例えば20〜50μm程度とすることができる。又、開口部17yの径は、開口部17xの径よりも大きく、例えば300〜500μm程度とすることができる。
【0046】
[第1の実施の形態に係る配線基板の製造方法]
続いて、第1の実施の形態に係る配線基板の製造方法について説明する。図5〜図11は、第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を例示する図である。図5〜図11において、図3に示す配線基板10と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する場合がある。
【0047】
始めに、図5に示す工程では、絶縁性基材11を準備し、準備した絶縁性基材11全体に亘りその厚さ方向に、多数の貫通孔11xを形成する。絶縁性基材11としては、例えば厚さ70〜100μm程度、大きさ10×10mm程度の酸化アルミニウム等を用いることができる。貫通孔11xは、例えば平面視円形とすることができ、その場合の直径φは例えば30nm〜2000nm程度とすることができる。又、貫通孔11xは、隣接する貫通孔11xの間隔Pが貫通孔11xの直径φよりも小さくなる程度に密に形成することが好ましい。ただし、貫通孔11xの配置形態については、特に限定されず、例えばヘキサゴナル状に配置してもよいし、グリッド状に配置してもよい。
【0048】
貫通孔11xの形成方法の一例を以下に示す。貫通孔11xは、例えば陽極酸化法を用いて形成することができる。具体的には、例えばアルミニウム(Al)の配線基板の一方の面を絶縁被膜したAl配線基板、又はガラス配線基板上にスパッタリング等によりアルミニウム(Al)の電極層を形成したAl電極層を用意し、用意したAl配線基板又はAl電極層の表面を洗浄後、電解液(好適には硫酸水溶液)中に浸漬し、浸漬したAl配線基板又はAl電極層を陽極とし、これに対向配置される白金(Pd)電極を陰極として通電(パルス電圧を印加)することで、Al配線基板又はAl電極層の表面に多孔質金属酸化膜(微小径の孔が規則正しく形成された酸化アルミニウムの膜)を形成することができる。
【0049】
この後、陽極酸化とは逆電位の電圧を各電極に印加(Al配線基板又はAl電極層を陰極とし、白金(Pd)電極を陽極として通電)することで、多孔質金属酸化膜をAl配線基板又はAl電極層から分離する。これによって、所望の微小径(例えば30nm〜2000nm)の貫通孔11xが高密度に形成された絶縁性基材11が得られる。なお、絶縁性基材11の材料としては、アルミナ(酸化アルミニウム)以外に、ムライト、窒化アルミニウム、ガラスセラミックス(ガラスとセラミックスの複合材料)、チタン酸バリウムストロンチウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタンジルコン酸鉛等を用いてもよい。
【0050】
次いで、図6に示す工程で、絶縁性基材11に形成された貫通孔11xに金属材料を充填して線状導体(ビア)12を形成する。以降、線状導体12を有する絶縁性基材11をコア基板13と称する場合がある。線状導体12は、例えばスクリーン印刷法やインクジェット法等を用いて、例えば銀(Ag)や銅(Cu)等の導電性ペーストを貫通孔11xに充填することにより形成することができる。
【0051】
例えば金属材料として銅(Cu)を用いる場合には、絶縁性基材11の表面(貫通孔11xの内壁面を含む)に、無電解銅(Cu)めっき法によりシード層を形成し、形成したシード層を給電層として利用した電解銅(Cu)めっき法により、貫通孔11xに銅(Cu)を充填することができる。又、無電解銅(Cu)めっき法のみにより、銅(Cu)を貫通孔11xに充填しても構わない。
【0052】
更に、必要に応じて機械研磨、化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)等により両面を研磨して平坦化し、線状導体12の両端を絶縁性基材11の両面に露出させることができる。このようにして、絶縁性基材11に、絶縁性基材11の厚さ方向に貫通する微小径の線状導体12が高密度に設けられたコア基板13を形成することができる。
【0053】
次いで、図7に示す工程では、図6に示す工程で形成したコア基板13の一方の面13aに第1配線層21を形成する。又、コア基板13の他方の面13bに第2配線層22を形成する。第1配線層21及び第2配線層22は、例えばスパッタ法やめっき法により形成することができる。第1配線層21及び第2配線層22の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。この工程により、コア基板13を介して対向配置された第1配線層21と第2配線層22とは、単軸状に導電接続される。ここで、『単軸状に導電接続される』とは、配線層等を平面方向(X方向又はY方向、又はその両方)に引き回すことなく、配線基板10の厚さ方向(Z方向)に形成された導体(この場合には、多数の線状導体12)により接続することをいう。
【0054】
次いで、図8に示す工程では、コア基板13の一方の面13aに、第1配線層21を覆うように、第1絶縁層14を形成する。又、コア基板13の他方の面13bに、第2配線層22を覆うように、第2絶縁層15を形成する。第1絶縁層14及び第2絶縁層15の材料としては、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂などの樹脂材を用いることができる。第1絶縁層14及び第2絶縁層15は、一例として、コア基板13の一方の面13a及び他方の面13bに、第1配線層21及び第2配線層22を覆うように樹脂フィルムをラミネートした後、樹脂フィルムをプレス(押圧)し、その後、190℃程度の温度で熱処理して硬化させることにより形成することができる。又、樹脂フィルムのラミネートに代えて、液状又はペースト状の樹脂をスピンコート法等により塗布しても構わない。
【0055】
次いで、図9に示す工程では、第1絶縁層14に、レーザ加工法等を用いて、第1配線層21の表面が露出するように第1絶縁層14を貫通する第1ビアホール14xを形成する。又、第2絶縁層15に、レーザ加工法等を用いて、第2配線層22の表面が露出するように第2絶縁層15を貫通する第2ビアホール15xを形成する。レーザ加工法には、例えばCOレーザ等を用いることができる。
【0056】
なお、第1絶縁層14及び第2絶縁層15として感光性樹脂膜を用い、フォトリソグラフィによりパターニングして第1ビアホール14x等を形成する方法を用いてもよいし、スクリーン印刷により開口部が設けられた樹脂膜をパターニングして第1ビアホール14x等を形成する方法を用いてもよい。
【0057】
次いで、図10に示す工程では、第1絶縁層14上に、第1ビアホール14x内に露出した第1配線層21と電気的に接続される第3配線層23を形成する。第3配線層23は、第1ビアホール14x内に充填されたビア、及び第1絶縁層14上に形成された配線パターンを含んで構成される。又、第2絶縁層15上に、第2ビアホール15x内に露出した第2配線層22と電気的に接続される第4配線層24を形成する。第4配線層24は、第2ビアホール15x内に充填されたビア、及び第2絶縁層15上に形成された配線パターンを含んで構成される。第3配線層23及び第4配線層24の材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。第3配線層23及び第4配線層24は、例えばセミアディティブ法により形成される。
【0058】
第3配線層23を、セミアディティブ法により形成する例を、より詳しく説明すると、先ず、無電解めっき法又はスパッタ法により、第1絶縁層14上(第1ビアホール14xの壁面も含む)及び第1ビアホール14x内に露出する第1配線層21上に銅(Cu)シード層(図示せず)を形成した後に、第3配線層23に対応する開口部を備えたレジスト層(図示せず)を形成する。次いで、銅(Cu)シード層をめっき給電層に利用した電解めっき法により、レジスト層の開口部に銅(Cu)層パターン(図示せず)を形成する。
【0059】
続いて、レジスト層を除去した後に、銅(Cu)層パターンをマスクにして銅(Cu)シード層をエッチングすることにより、第3配線層23を得ることができる。なお、第3配線層23の形成方法としては、上述したセミアディティブ法の他にサブトラクティブ法などの各種の配線形成方法を用いることができる。第4配線層24も同様の方法により形成することができる。
【0060】
この工程により、コア基板13等を介して対向配置された第3配線層23の一部と第4配線層24の一部とは、第1配線層21、線状導体12、及び第2配線層22を介して単軸状に導電接続される。
【0061】
次いで、図11に示す工程では、第3配線層23を被覆するように第1絶縁層14上に開口部16xを有する第1ソルダーレジスト層16を形成する。又、第4配線層24を被覆するように第2絶縁層15上に開口部17xを有する第2ソルダーレジスト層17を形成する。開口部16xを有する第1ソルダーレジスト層16は、例えば第3配線層23を被覆するようにソルダーレジスト液を塗布し、塗布したソルダーレジスト液を露光、現像することで形成することができる。開口部17xを有する第2ソルダーレジスト層17も同様の方法により形成することができる。第1ソルダーレジスト層16及び第2ソルダーレジスト層17の材料としては、例えばエポキシ系樹脂やイミド系樹脂等を含む感光性樹脂組成物を用いることができる。
【0062】
第3配線層23の一部は、第1ソルダーレジスト層16の開口部16x内に露出する。又、第4配線層24の一部は、第2ソルダーレジスト層17の開口部17x内及び17y内に露出する。第1ソルダーレジスト層16の開口部16x内に露出する第3配線層23上、及び第2ソルダーレジスト層17の開口部17x内及び17y内に露出する第4配線層24上に、例えば無電解めっき法等により金属層(図示せず)を形成しても構わない。
【0063】
金属層(図示せず)の例としては、Au層、Ni層/Au層をこの順番で積層したNi/Au層や、Ni層/Pd層/Au層をこの順番で積層したNi/Pd/Au層等を挙げることができる。又、金属層(図示せず)に代えて、第1ソルダーレジスト層16の開口部16x内に露出する第3配線層23上、及び第2ソルダーレジスト層17の開口部17x内及び17y内に露出する第4配線層24上にOSP(Organic Solderability Preservative)処理を施しても構わない。以上の工程により、図3に示す配線基板10が完成する。
【0064】
このように、第1の実施の形態によれば、無機誘電体を含む絶縁性基材の一方の面から他方の面に貫通する複数の線状導体を備えたコア基板の一方の面及び他方の面に配線層を形成することにより、形成された配線層同士は、線状導体を介して単軸状に接続される。又、一方の面及び他方の面に形成された配線層を覆うように絶縁層を形成し、更に形成した絶縁層上に他の配線層を形成することにより、形成された他の配線層同士は、線状導体及びビアを介して単軸状に接続される。
【0065】
その結果、コア基板の一方の面及び他方の面に形成された配線層同士及び他の配線層同士を狭ピッチ及び短距離で接続することが可能となる。従って、配線基板の両面に半導体素子が実装された場合に、両面に実装された半導体素子同士を狭ピッチ及び短距離で接続することが可能となる。
【0066】
又、コア基板は陽極酸化法等を用いて形成した貫通孔に金属材料を充填することより容易に作製することができるため、シリコンからなる基板本体にスルービア(所謂TSV:Through Silicon Via)を形成する場合のように加工コストが高くならず、低コストの配線基板を実現することができる。
【0067】
又、ビアを形成する位置を任意に選定可能であるため、配線基板の設計自由度を向上することができる。
【0068】
〈第1の実施の形態の変形例〉
図12は、第1の実施の形態の変形例に係る配線基板の一部を例示する図である。図12(a)は断面図であり、図12(b)はコア基板13の一方の面13a(コア基板13の他方の面13b)に接する導体を模式的に示す平面図である。図12において、図3に示す配線基板10と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する場合がある。図12において、X方向はコア基板13の一方の面13aと平行な方向、Y方向はX方向に垂直な方向(紙面奥行き方向)、Z方向はX方向及びY方向に垂直な方向(コア基板13の厚さ方向)をそれぞれ示している。
【0069】
図12を参照するに、第1の実施の形態の変形例に係る配線基板10Aは、第1配線層21が第1信号パターン21s及び第1GNDパターン21gを有する点、第2配線層22が第2信号パターン22s及び第2GNDパターン22gを有する点、第3配線層23が第3信号パターン23s及び第3GNDパターン23gを有する点、第4配線層24が第4信号パターン24sを有する点を除いて第1の実施の形態に係る配線基板10と同一構造である。
【0070】
配線基板10Aにおいて、第3配線パターン23s、第1ビアホール14x内に充填されたビア、第1配線パターン21s、複数の線状導体12、第2配線パターン22s、第2ビアホール15x内に充填されたビア、及び第4配線パターン24sには、所定の信号電流が流れる。又、図12(b)に示すように、第1GNDパターン21g及び第2GNDパターン22gは、第1配線パターン21s及び第2配線パターン22sの周囲に、所定の間隔を空けて対向配置されている。又、第1GNDパターン21gと第2GNDパターン22gとは、複数の線状導体12を介して電気的に接続されている。すなわち、信号電流が流れる複数の線状導体12の周囲には、所定の間隔を空けてGND(Ground)に接続された複数の線状導体12が配置されている。
【0071】
第1GNDパターン21gは、第3ビアホール14gを介して第1絶縁層14上に形成された第3GNDパターン23gと接続されている。すなわち、第1GNDパターン21g、第2GNDパターン22g、及び第3GNDパターン23gは、何れもGND(Ground:基準電位)に接続されたパタ−ンである。
【0072】
第1GNDパターン21g及び第1信号パターン21s、並びに、第2GNDパターン22g及び第2信号パターン22sは、例えばスパッタ法やめっき法により、コア基板13の一方の面13a及び他方の面13bに形成することができる。第3GNDパターン23g及び第3信号パターン23s、並びに、第4信号パターン24sは、例えばセミアディティブ法により、第1絶縁層14上及び第2絶縁層15上に形成することができる。これらのGNDパターン及び配線パターンの材料としては、例えば銅(Cu)等を用いることができる。
【0073】
このように、コア基板13において、信号電流が流れる複数の線状導体12の周囲には、所定の間隔を空けてGND(Ground)に接続された複数の線状導体12が配置されている。この構造は、同軸線路と同等の構造であるため、シールド(遮蔽)効果を奏することができる。又、隣接して配置される信号電流が流れる複数の線状導体間には、GND(Ground)に接続された複数の線状導体が配置されることになるため、隣接して配置される信号電流が流れる複数の線状導体間に生じる電気的結合(容量結合)を低減することが可能となり、信号電流が流れる複数の線状導体自体がノイズ源となることを防止することができる。
【0074】
なお、第1絶縁層14の第1ビアホール14xの周囲、及び第2絶縁層15の第2ビアホール15xの周囲に、円環状の貫通孔を形成して導体を充填し、第1GNDパターン21g、第2GNDパターン22g、及び第3GNDパターン23gと接続しても構わない。これにより、第1絶縁層14及び第2絶縁層15にも、コア基板13に形成した同軸線路と同等の構造が形成されるため、同等の効果が得られる。
【0075】
このように、第1の実施の形態の変形例によれば、第1の実施の形態と同様の効果を奏するが、更に以下の効果を奏する。
【0076】
すなわち、第1の実施の形態の変形例に係る配線基板では、基板内に同軸線路と同等の構造を形成することにより、シールド(遮蔽)効果を奏することができる。又、隣接して配置される信号電流が流れる複数の線状導体との間に生じる電気的結合(容量結合)を低減することが可能となり、信号電流が流れる複数の線状導体自体がノイズ源となることを防止することができる。
【0077】
〈第2の実施の形態〉
第2の実施の形態では、配線基板の両面に半導体素子を実装した半導体装置を例示する。
【0078】
図13は、第2の実施の形態に係る半導体装置を例示する断面図である。図13において、図3に示す配線基板10と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する場合がある。図13において、X方向はコア基板13の一方の面13aと平行な方向、Y方向はX方向に垂直な方向(紙面奥行き方向)、Z方向はX方向及びY方向に垂直な方向(コア基板13の厚さ方向)をそれぞれ示している。
【0079】
図13を参照するに、第2の実施の形態に係る半導体装置50は、配線基板10と、半導体素子51及び52と、はんだバンプ53〜55と、アンダーフィル樹脂56及び57とを有する。
【0080】
半導体素子51及び52は、配線基板10の一方の側及び他方の側に実装されている。半導体素子51及び52は、シリコン等からなる薄板化された半導体基板(図示せず)上に半導体集積回路(図示せず)や電極端子(図示せず)が形成されたものである。半導体素子51は例えばメモリーデバイス等であり、半導体素子52は例えばロジックデバイス等である。半導体素子51及び52の厚さは、例えば10〜50μm程度とすることができる。
【0081】
半導体素子51の電極端子(図示せず)の少なくとも一部と、半導体素子52の電極端子(図示せず)の少なくとも一部とは、単軸状に接続されている。すなわち、半導体素子51の電極端子(図示せず)の少なくとも一部と、半導体素子52の電極端子(図示せず)の少なくとも一部とは、配線層等を平面方向(X方向又はY方向、又はその両方)に引き回すことなく、配線基板10の厚さ方向(Z方向)に形成された導体により接続されている。この場合に、配線基板10の厚さ方向(Z方向)に形成された導体は、はんだバンプ53、第3配線層23、第1配線層21、線状導体12、第2配線層22、第4配線層24、はんだバンプ54である。
【0082】
はんだバンプ53及び54は、半導体素子51及び52の電極端子(図示せず)と第1ソルダーレジスト層16の開口部16x内に露出する第3配線層23及び第2ソルダーレジスト層17の開口部17x内に露出する第4配線層24とを電気的に接続している。はんだバンプ55は、半導体装置50をマザーボード等の実装基板に接続するための外部接続端子である。
【0083】
はんだバンプ53〜55の材料としては、例えばPbを含む合金、SnとCuの合金、SnとAgの合金、SnとAgとCuの合金等を用いることができる。はんだバンプ53は、例えば第1ソルダーレジスト層16の開口部16x内に露出する第3配線層23を覆うように、はんだペーストを印刷し、リフローすることにより形成することができる。はんだバンプ54及び55も同様の方法により形成することができる。
【0084】
なお、はんだバンプ55は設けなくても構わない。この場合には、必要なときに、第2ソルダーレジスト層17の開口部17y内に露出する第4配線層24上に、はんだバンプ55を形成すればよい。
【0085】
アンダーフィル樹脂56及び57は、半導体チップ51と配線基板10の一方の面及び半導体チップ52と配線基板10の他方の面との間に充填されている。アンダーフィル樹脂56及び57は、半導体チップ51及び52と配線基板10との接続信頼性を向上するために設けられている。アンダーフィル樹脂56及び57の材料としては、例えばエポキシ系樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。
【0086】
このように、第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態に係る配線基板を有するため、以下の効果を奏する。すなわち、配線基板の両面に実装された半導体素子同士を狭ピッチ及び短距離で接続することが可能となる。
【0087】
又、第1の実施の形態に係る配線基板において、コア基板は陽極酸化法等を用いて形成した貫通孔に金属材料を充填することより容易に作製することができるため、シリコンからなる基板本体にスルービア(所謂TSV:Through Silicon Via)を形成する場合のように加工コストが高くならず、低コストである。従って、第1の実施の形態に係る配線基板を有する半導体装置も低コストで製造することができる。
【0088】
〈第2の実施の形態の変形例1〉
第2の実施の形態の変形例1では、平面方向(X方向又はY方向、又はその両方)に複数の半導体素子を実装した半導体装置を例示する。
【0089】
図14は、第2の実施の形態の変形例1に係る半導体装置を例示する断面図である。図14において、図13に示す半導体装置50と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する場合がある。図14において、X方向はコア基板13の一方の面13aと平行な方向、Y方向はX方向に垂直な方向(紙面奥行き方向)、Z方向はX方向及びY方向に垂直な方向(コア基板13の厚さ方向)をそれぞれ示している。
【0090】
図14を参照するに、第2の実施の形態の変形例1に係る半導体装置60は、配線基板10の一方の面に半導体素子61及び62を実装し、配線基板10の他方の面に半導体素子52を実装している点が、第2の実施の形態に係る半導体装置50と異なる。半導体素子61及び62は例えばメモリーデバイス等であり、半導体素子52は例えばロジックデバイス等である。半導体素子61及び62と配線基板10の一方の面との間には、アンダーフィル樹脂56が充填されている。
【0091】
このように、第2の実施の形態の変形例1によれば、第2の実施の形態と同様の効果を奏するが、更に以下の効果を奏する。
【0092】
すなわち、平面方向(X方向又はY方向、又はその両方)に複数の半導体素子を実装することにより、半導体装置の小型化及び高実装密度化を実現することができる。
【0093】
〈第2の実施の形態の変形例2〉
第2の実施の形態の変形例2では、第1の実施の形態に係る配線基板を有する半導体装置を複数個積層し相互に電気的に接続した半導体装置を例示する。
【0094】
図15は、第2の実施の形態の変形例2に係る半導体装置を例示する断面図である。図15において、図13に示す半導体装置50と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する場合がある。図15において、X方向はコア基板13の一方の面13aと平行な方向、Y方向はX方向に垂直な方向(紙面奥行き方向)、Z方向はX方向及びY方向に垂直な方向(コア基板13の厚さ方向)をそれぞれ示している。
【0095】
図15を参照するに、第2の実施の形態の変形例2に係る半導体装置70は、半導体装置50Aと半導体装置50Bを積層し、はんだバンプ71を用いて相互に電気的に接続した構造を有する。ここで、半導体装置50Aは、図13に示す半導体装置50において、半導体素子52を半導体素子52Aに置換した構造を有する。半導体素子52Aは例えばロジックデバイス等である。又、半導体装置50Bは、図13に示す半導体装置50において、第1ソルダーレジスト層16に開口部16yを追加した構造を有する。はんだバンプ71は、半導体装置50Aの第2ソルダーレジスト層17の開口部17y内に露出する第4配線層24と、半導体装置50Bの第1ソルダーレジスト層16の開口部16y内に露出する第3配線層23とを電気的及び機械的に接続している。はんだバンプ71の材料としては、例えばPbを含む合金、SnとCuの合金、SnとAgの合金、SnとAgとCuの合金等を用いることができる。
【0096】
このように、第2の実施の形態の変形例2によれば、第2の実施の形態と同様の効果を奏するが、更に以下の効果を奏する。
【0097】
すなわち、第1の実施の形態に係る配線基板を有する半導体装置を複数個積層し相互に電気的に接続することにより、半導体装置の小型化及び高実装密度化を実現することができる。
【0098】
以上、好ましい実施の形態について詳説したが、上述した実施の形態に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0099】
例えば、第2の実施の形態の変形例1と第2の実施の形態の変形例2を同時に実施しても構わない。平面方向(X方向又はY方向、又はその両方)及び垂直方向(Z方向)に複数の半導体素子を実装することにより、半導体装置のより一層の小型化及び高実装密度化を実現することができる。
【0100】
又、第2の実施の形態及びその変形例1、2において、配線基板10に代えて、配線基板10Aを用いても構わない。
【0101】
又、平面方向(X方向又はY方向、又はその両方)に実装する半導体素子は3個以上でもよく、垂直方向(Z方向)に積層する半導体装置は3個以上でもよい。
【符号の説明】
【0102】
10、10A 配線基板
11 絶縁性基材
11x 貫通孔
12 線状導体
13 コア基板
13a コア基板13の一方の面
13b コア基板13の他方の面
14 第1絶縁層
14x 第1ビアホール
15 第2絶縁層
15x 第2ビアホール
16 第1ソルダーレジスト層
16x、16y、17x、17y 開口部
17 第2ソルダーレジスト層
21 第1配線層
21s 第1信号パターン
21g 第1GNDパターン
22 第2配線層
22s 第2信号パターン
22g 第2GNDパターン
23 第3配線層
23s 第3信号パターン
23g 第3GNDパターン
24 第4配線層
24s 第4信号パターン
50、50A、50B、60、70 半導体装置
51、52、52A、61、62 半導体素子
53、54、55、71 はんだバンプ
56、57 アンダーフィル樹脂
P 間隔
φ 直径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機誘電体を含む絶縁性基材と、前記絶縁性基材の一方の面から他方の面に貫通する複数の線状導体と、を備えたコア基板と、
前記一方の面及び前記他方の面に形成され、前記線状導体の一部を介して電気的に接続された配線層と、を有し、
前記配線層は、前記一方の面に形成され、前記一方の面から露出する前記複数の線状導体の一部と電気的に接続された第1配線層と、
前記他方の面に形成され、前記他方の面から露出する前記複数の線状導体の一部と電気的に接続された第2配線層と、を含み、
前記一方の面には、前記第1配線層を覆うように形成された第1絶縁層と、前記第1絶縁層上に形成され、かつ、前記第1絶縁層に設けられた貫通孔を介して前記第1配線層と電気的に接続された第3配線層が形成され、
前記他方の面には、前記第2配線層を覆うように形成された第2絶縁層と、前記第2絶縁層上に形成され、かつ、前記第2絶縁層に設けられた貫通孔を介して前記第2配線層と電気的に接続された第4配線層が形成され、
前記第1配線層と前記第2配線層とは、前記線状導体の一部を介して電気的に接続されており、
前記線状導体は、信号配線と接続される線状導体と、前記信号配線と接続される線状導体の周囲に位置する線状導体と、を有し、
前記周囲に位置する線状導体は、グラウンド配線と接続される配線基板。
【請求項2】
1つの前記貫通孔を充填する導体に対して、複数の前記線状導体が電気的に接続されている請求項1記載の配線基板。
【請求項3】
前記線状導体は、電気的に接続されていない孤立した線状導体を含む請求項1又は2記載の配線基板。
【請求項4】
前記線状導体の径は、30nm〜2000nmである請求項1乃至3の何れか一項記載の配線基板。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項記載の配線基板の両面に半導体素子が実装されている半導体装置。
【請求項6】
前記配線基板の一方の側に実装された前記半導体素子の電極パッドの少なくとも一部と、前記配線基板の他方の側に実装された前記半導体素子の電極パッドの少なくとも一部とは、単軸状に導電接続されている請求項5記載の半導体装置。
【請求項7】
前記配線基板の前記一方の側及び前記他方の側の少なくとも一方には、複数の前記半導体素子が実装されている請求項5又は6記載の半導体装置。
【請求項8】
請求項5乃至7の何れか一項記載の半導体装置を複数個積層し、相互に電気的に接続した半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−151185(P2011−151185A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−10950(P2010−10950)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(000190688)新光電気工業株式会社 (1,516)
【Fターム(参考)】