説明

配線形成方法

【課題】インクジェット法により形成される膜パターンに、断線や短絡等の欠陥の発生を抑止できる配線形成方法を提供する。
【解決手段】導電性微粒子を含有した液体からなる液滴L1,L2を、基板11上の所定の配線形成領域に吐出して配線を形成する配線形成方法であって、液滴L1,L2を吐出する前に、基板11上に表面処理を行う表面処理工程を有し、表面処理された基板11上に、基板11上に配置した直後の液滴L1の直径よりも大きく且つ、液滴L1の直径の2倍以下であって、液滴L1同士がつながらない配置ピッチで、液滴L1を配置する第1配置工程と、第1配置工程で配置された液滴L1どうしの間を埋めるように、基板11上に液滴L2を着弾させる第2配置工程と、液滴L1,L2同士の間が埋められた状態で、熱処理又は光処理によって液滴L1,L2を導電膜に変換する工程と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子回路又は集積回路等に使われる配線の製造には、例えば、リソグラフィー法が用いられているが、リソグラフィー法は、真空装置などの大がかりな設備と複雑な工程を必要とし、また、材料使用効率も数%程度でそのほとんどを廃棄せざるを得ず、製造コストが高い。
そこで、リソグラフィー法に替わるプロセスとして、機能性材料を含む液体をインクジェットにより基材に直接パターニングする方法が検討されており、例えば、導電性微粒子を分散させた液体をインクジェット法にて基板に直接パターン塗布し、その後熱処理やレーザー照射を行って導電膜パターンに変換する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】米国特許第5132248号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来技術においては、以下のような問題点を有していた。即ち、インクジェット法によるパターニングでは、基板表面に適当な処理を施さなければ基板上で液滴(液体)の形状、寸法、位置等が制御できず、所望の形状を有する導電膜パターンの作製が困難となるのであるが、上記特許文献には、吐出パターンの形状制御のための詳細な方法は記載されていない。
【0004】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、インクジェット法により形成される膜パターンに、断線や短絡等の欠陥の発生を抑止できる配線形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明に係る配線形成方法は、導電性微粒子を含有した液体からなる液滴を、基板上の所定の配線形成領域に吐出して配線を形成する配線形成方法であって、前記液滴を吐出する前に、前記基板上に表面処理を行う表面処理工程を有し、前記表面処理工程によって、前記液滴の前記基板上への吐出後の接触角が15度以上45度以下に設定されてなり、前記表面処理された前記基板上に、前記基板上に配置した直後の前記液滴の直径よりも大きく且つ、前記液滴の直径の2倍以下であって、前記液滴同士がつながらない配置ピッチで、前記液滴を配置する第1配置工程と、前記第1配置工程で配置された前記液滴どうしの間を埋めるように、前記基板上に前記液滴を着弾させる第2配置工程と、前記液滴同士の間が埋められた状態で、熱処理又は光処理によって前記液滴を導電膜に変換する工程と、を有することを特徴としている。
【0006】
本発明によれば、形成される配線に欠陥を発生させることなく、良好な所望の配線を形成させることができる。なお、「欠陥」とは、特に、形成された配線に発生する断線等の不具合を意味している。
【0007】
ここで、「配線形成領域」とは、配線を形成すべき領域のことで、主として単一または複数の直線および曲線で構成される。
上記の方法によれば、表面処理工程において、導電性微粒子により構成される金属配線(導電膜配線)に欠陥が発生しないような接触角が設定されるので、断線や短絡等の不良が生じにくく、しかも微細に形成可能な金属配線を形成することができる。
【0008】
なお、接触角は、基板側と液体側の相互関係によって決まるため、液体側の性状にも依存する。しかしながら、インクジェット法により吐出する液体の性状には表面張力や粘度等に制限があるため、液体の性状のみを調整して接触角を調整することは事実上困難である。従って、基板側の表面処理により接触角を設定することが適当である。
【0009】
本発明では、接触角が15°以上45°以下であることを特徴としているので、形成される配線に欠陥を発生させることなく、良好な所望の配線を形成させることができる。
特に、14°以下のように接触角が低すぎると、液滴(ドット)が極度に濡れ広がってしまうため着弾径の制御が難しくなり、パターンの形成が困難になる。一方、46°以上のように接触角が高いと、パターンの形成は出来るものの、基板との密着力が弱く、焼成した時に基板との熱膨張係数の違いから剥がれてしまうところが出てくる、という問題点がある。従って、15度〜45度という範囲にすることにより、液滴(ドット)の濡れ広がりを意図したように制御する事が出来る。更には、基板とパターンとの密着性を確保出来る、という効果を有する。
【0010】
本発明では、前記前記基板上に吐出された前記液体を、熱処理又は光処理によって導電膜に変換する工程を有するので、導電性微粒子の導電性を発現させて、導電性を有する配線とすることができる。この熱処理又は光処理は、液滴の吐出後にその都度行っても良いし、すべての吐出工程が終了してから、まとめて一度に行ってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について説明する。
〔第1実施形態〕
第1実施形態として、本発明に係る配線形成方法について説明する。本実施形態に係る配線形成方法は、表面処理工程と、吐出工程と、熱処理/光処理工程とから構成される。
以下、各工程について説明する。
【0012】
(表面処理工程)
導電膜配線を形成すべき基板としては、Siウエハー、石英ガラス、ガラス、プラスチックフィルム、金属板など各種のものを用いることができる。また、これら各種の素材基板の表面に半導体膜、金属膜、誘電体膜、有機膜などが下地層として形成されたものを、導電膜配線を形成すべき基板として用いてもよい。
【0013】
この導電膜配線を形成すべき基板の表面は、導電性微粒子を含有した液体に対して撥液性(濡れ性)を制御することが好ましく、具体的には、基板表面に対する液体の接触角を15°以上45°以下とすることが望ましい。更に、前記の接触角の範囲内で所望の接触角の設定値を決定するには、まず、導電膜配線を形成すべき基板の種類、及び採用する液滴の種類を決定し、この条件を基に予め基板着弾後の液滴径に対する接触角の関係を求め、該液滴径に基づいて、所望の接触角が決定される。
以下に、所望の接触角を得るための表面処理方法について説明する。
【0014】
本実施形態では、導電性微粒子を含有した液体に対する所定の接触角が所望の値となるように、基板の表面に撥液化処理を施し、更に、その後に親液化処理を施すような表面処理を実施する。
まず、基板の表面に撥液化処理を施す方法について説明する。
撥液化処理の方法の一つとしては、基板の表面に、有機分子膜などからなる自己組織化膜を形成する方法が挙げられる。基板表面を処理するための有機分子膜は、一端側に基板に結合可能な官能基を有し、他端側に基板の表面性を撥液性等に改質する(表面エネルギーを制御する)官能基を有すると共に、これらの官能基を結ぶ炭素の直鎖あるいは一部分岐した炭素鎖を備えており、基板に結合して自己組織化して分子膜、例えば単分子膜を形成するものである。
【0015】
自己組織化膜とは、基板など下地層等構成原子と反応可能な結合性官能基とそれ以外の直鎖分子とからなり、該直鎖分子の相互作用により極めて高い配向性を有する化合物を、配向させて形成された膜である。この自己組織化膜は、単分子を配向させて形成されているので、極めて膜厚を薄くすることができ、しかも、分子レベルで均一な膜となる。即ち、膜の表面に同じ分子が位置するため、膜の表面に均一でしかも優れた撥液性等を付与することができる。
【0016】
上記の高い配向性を有する化合物として、例えばフルオロアルキルシランを用いた場合には、膜の表面にフルオロアルキル基が位置するように各化合物が配向されて自己組織化膜が形成されるので、膜の表面に均一な撥液性が付与される。
【0017】
自己組織化膜を形成する化合物としては、例えば、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2テトラヒドロデシルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2テトラヒドロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2テトラヒドロデシルトリクロロシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2テトラヒドロオクチルトリエトキシシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2テトラヒドロオクチルトリメトキシシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2テトラヒドロオクチルトリクロロシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等のフルオロアルキルシラン(以下、「FAS」と表記する)を挙げることができる。
使用に際しては、一つの化合物を単独で用いるのも好ましいが、2種以上の化合物を組合せて使用しても、本発明の所期の目的を損なわなければ制限されない。また、本発明においては、前記の自己組織化膜を形成する化合物として、前記FASを用いるのが、基板との密着性及び良好な撥液性を付与する上で好ましい。
【0018】
FASは、一般的に構造式RnSiX(4−n)で表される。ここで、nは1以上3以下の整数を表し、Xはメトキシ基、エトキシ基、ハロゲン原子等の加水分解基である。また、Rはフルオロアルキル基であり、(CF)(CF)x(CH)yの(ここで、xは0以上10以下の整数を、yは0以上4以下の整数を表す)構造を持ち、複数個のR又はXがSiに結合している場合には、R又はXはそれぞれすべて同じでも良いし、異なっていてもよい。Xで表される加水分解基は加水分解によりシラノールを形成して、基板(ガラス、シリコン)等の下地のヒドロキシル基と反応してシロキサン結合で基板と結合する。一方、Rは表面に(CF)等のフルオロ基を有するため、基板等の下地表面を濡れない(表面エネルギーが低い)表面に改質する。
【0019】
有機分子膜などからなる自己組織化膜は、上記の原料化合物と基板とを同一の密閉容器中に入れておき、室温の場合は2〜3日程度の間放置すると基板上に形成される。また、密閉容器全体を100℃に保持することにより、3時間程度で基板上に形成される。以上に述べたのは、気相からの形成法であるが、液相からも自己組織化膜は形成可能である。例えば、原料化合物を含む溶液中に基板を浸積し、洗浄、乾燥することで基板上に自己組織化膜が得られる。
なお、自己組織化膜を形成する前に、基板表面に紫外光を照射したり、溶媒により洗浄したりして、前処理を施すことが望ましい。
【0020】
撥液化処理の他の方法として、常圧又は真空中でプラズマ照射する方法が挙げられる。プラズマ処理に用いるガス種は、基板の表面材質等を考慮して種々選択できる。例えば、4フッ化メタン、パーフルオロヘキサン、パーフルオロデカン等のフルオロカーボン系ガスを処理ガスとして使用できる。この場合、基板の表面に、撥液性のフッ化重合膜を形成することができる。
【0021】
撥液化処理は、所望の撥液性を有するフィルム、例えば4フッ化エチレン加工されたポリイミドフィルム等を基板表面に貼着することによっても行うことができる。なお、ポリイミドフィルムをそのまま基板として用いてもよい。
【0022】
次に、親液化処理を施す方法について説明する。
上記の撥液化処理が終了した段階の基板表面は、通常所望の撥液性よりも高い撥液性を有するので、親液化処理により撥液性を緩和する。
親液化処理としては、170〜400nmの紫外光を照射する方法が挙げられる。これにより、一旦形成した撥液性の膜を、部分的に、しかも全体としては均一に破壊して、撥液性を緩和することができる。
この場合、撥液性の緩和の程度は紫外光の照射時間で調整できるが、紫外光の強度、波長、熱処理(加熱)との組み合わせ等によって調整することもできる。
【0023】
親液化処理の他の方法としては、酸素を反応ガスとするプラズマ処理が挙げられる。これにより、一旦形成した撥液性の膜を、部分的に、しかも全体としては均一に変質させて、撥液性を緩和することができる。
【0024】
親液化処理のさらに他の方法としては、基板をオゾン雰囲気に曝す処理が挙げられる。これにより、一旦形成した撥液性の膜を、部分的に、しかも全体としては均一に変質させて、撥液性を緩和することができる。
この場合、撥液性の緩和の程度は、照射出力、距離、時間等によって調整することができる。
【0025】
(吐出工程)
配線を形成する場合、吐出工程で吐出する液状体は、導電性微粒子(パターン形成成分)を含有する液状体である。導電性微粒子を含有する液状体としては、導電性微粒子を分散媒に分散させた分散液を用いる。ここで用いられる導電性微粒子は、金、銀、銅、パラジウム、ニッケルの何れかを含有する金属微粒子の他、導電性ポリマーや超電導体の微粒子などが用いられる。
【0026】
導電性微粒子は、分散性を向上させるために表面に有機物などをコーティングして使うこともできる。導電性微粒子の表面にコーティングするコーティング材としては、例えばキシレン、トルエン等の有機溶剤やクエン酸等が挙げられる。
また、導電性微粒子の粒径は5nm以上、0.1μm以下であることが好ましい。0.1μmより大きいと、ノズルの目詰まりが起こりやすく、インクジェット法による吐出が困難になるからである。また、5nmより小さいと、導電性微粒子に対するコーティング剤の体積比が大きくなり、得られる膜中の有機物の割合が過多となるからである。
【0027】
導電性微粒子を含有する液体の分散媒としては、室温での蒸気圧が0.001mmHg以上、200mmHg以下(約0.133Pa以上、26600Pa以下)であるものが好ましい。蒸気圧が200mmHgより高い場合には、吐出後に分散媒が急激に蒸発してしまい、良好な膜を形成することが困難となるためである。
また、分散媒の蒸気圧は、0.001mmHg以上、50mmHg以下(約0.133Pa以上、6650Pa以下)であることがより好ましい。蒸気圧が50mmHgより高い場合には、インクジェット法で液滴を吐出する際に乾燥によるノズル詰まりが起こり易く、安定な吐出が困難となるためである。一方、室温での蒸気圧が0.001mmHgより低い分散媒の場合、乾燥が遅くなり膜中に分散媒が残留しやすくなり、後工程の熱及び/又は光処理後に良質の導電膜が得られにくい。
【0028】
使用する分散媒としては、上記の導電性微粒子を分散できるもので、凝集を起こさないものであれば特に限定されないが、水の他に、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、トルエン、キシレン、シメン、デュレン、インデン、ジペンテン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、シクロヘキシルベンゼンなどの炭化水素系化合物、又はエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサンなどのエーテル系化合物、更にプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノンなどの極性化合物を挙げることができる。これらのうち、微粒子の分散性と分散液の安定性、また、インクジェット法への適用のし易さの点で、水、アルコール類、炭化水素系化合物、エーテル系化合物が好ましく、更に好ましい分散媒としては水、炭化水素系化合物を挙げることができる。これらの分散媒は、単独でも、あるいは2種以上の混合物としても使用できる。
【0029】
上記導電性微粒子を分散媒に分散する場合の分散質濃度は、1質量%以上、80質量%以下であり、所望の導電膜の膜厚に応じて調整することができる。80質量%を超えると凝集をおこしやすくなり、均一な膜が得にくい。
【0030】
上記導電性微粒子の分散液の表面張力は、0.02N/m以上、0.07N/m以下の範囲に入ることが好ましい。インクジェット法にて液体を吐出する際、表面張力が0.02N/m未満であると、インク組成物のノズル面に対する濡れ性が増大するため飛行曲りが生じ易くなり、0.07N/mを超えるとノズル先端でのメニスカスの形状が安定しないため吐出量、吐出タイミングの制御が困難になるためである。
【0031】
表面張力を調整するため、上記分散液には、基板との接触角を不当に低下させない範囲で、フッ素系、シリコン系、ノニオン系などの表面張力調節剤を微量添加することができる。ノニオン系表面張力調節剤は、液体の基板への濡れ性を良好化し、膜のレベリング性を改良し、塗膜のぶつぶつの発生、ゆず肌の発生などの防止に役立つものである。上記分散液は、必要に応じて、アルコール、エーテル、エステル、ケトン等の有機化合物を含んでいても差し支えない。
【0032】
上記分散液の粘度は、1mPa・s以上、50mPa・s以下であることが好ましい。インクジェット法にて吐出する際、粘度が1mPa・sより小さい場合には、ノズル周辺部がインクの流出により汚染されやすく、また、粘度が50mPa・sより大きい場合は、ノズル孔での目詰まり頻度が高くなり円滑な液滴の吐出が困難となるためである。
【0033】
本実施形態では、上記分散液の液滴をインクジェットヘッドから吐出して基板上の配線を形成すべき場所に滴下する。このとき、液だまり(バルジ)が生じないように、続けて吐出する液滴の重なり程度を制御する必要がある。また、一回目の吐出では複数の液滴を互いに接しないように離間して吐出し、2回目以降の吐出によって、その間を埋めていくような吐出方法を採用することもできる。
【0034】
液滴を吐出した後、分散媒の除去を行うため、必要に応じて乾燥処理をする。乾燥処理は、例えば基板を加熱する通常のホットプレート、電気炉などによる処理の他、ランプアニールによって行うこともできる。ランプアニールに使用する光の光源としては、特に限定されないが、赤外線ランプ、キセノンランプ、YAGレーザー、アルゴンレーザー、炭酸ガスレーザー、XeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF、ArClなどのエキシマレーザーなどを光源として使用することができる。これらの光源は一般には、出力10W以上、5000W以下の範囲のものが用いられるが、本実施形態では、100W以上、1000W以下の範囲で十分である。
【0035】
(熱処理/光処理工程)
吐出工程後の乾燥膜は、微粒子間の電気的接触をよくするために、分散媒を完全に除去する必要がある。また、導電性微粒子の表面に分散性を向上させるために有機物などのコーティング材がコーティングされている場合には、このコーティング材も除去する必要がある。そのため、吐出工程後の基板には熱処理及び/又は光処理が施される。
【0036】
熱処理及び/又は光処理は、通常大気中で行なわれるが、必要に応じて、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気中で行うこともできる。熱処理及び/又は光処理の処理温度は、分散媒の沸点(蒸気圧)、雰囲気ガスの種類や圧力、微粒子の分散性や酸化性等の熱的挙動、コーティング材の有無や量、基材の耐熱温度などを考慮して適宜決定される。例えば、有機物からなるコーティング材を除去するためには、約300℃で焼成することが必要である。また、プラスチックなどの基板を使用する場合には、室温以上100℃以下で行なうことが好ましい。
【0037】
熱処理及び/又は光処理は、通常のホットプレート、電気炉などによる処理の他、ランプアニールによって行うこともできる。ランプアニールに使用する光の光源としては、特に限定されないが、赤外線ランプ、キセノンランプ、YAGレーザー、アルゴンレーザー、炭酸ガスレーザー、XeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF、ArClなどのエキシマレーザーなどを光源として使用することができる。これらの光源は一般には、出力10W以上、5000W以下の範囲のものが用いられるが、本実施形態では、100W以上、1000W以下の範囲で十分である。以上の工程により、吐出工程後の乾燥膜は、微粒子間の電気的接触が確保され、導電膜に変換される。
このように、本実施形態により形成される導電膜は、断線等の欠陥を発生させることなく、良好な所望の導電膜配線を形成させることができる。
【0038】
〔第2実施形態〕
第2実施形態として、第1実施形態の配線形成方法を実施するための配線形成装置について説明する。また、その配線形成装置を用いた吐出方法について説明する。
【0039】
図1は、本実施形態に係る配線形成装置の概略斜視図である。図1に示すように、配線形成装置20は、インクジェットヘッド群1と、インクジェットヘッド群1をX方向に駆動するためのX方向ガイド軸2と、X方向ガイド軸2を回転させるX方向駆動モータ3とを備えている。また、基板11を載置するための載置台4と、載置台4をY方向に駆動するためのY方向ガイド軸5と、Y方向ガイド軸5を回転させるY方向駆動モータ6とを備えている。また、X方向ガイド軸2とY方向ガイド軸5とが、各々所定の位置に固定される基台7を備え、その基台7の下部には、制御装置8を備えている。さらに、クリーニング機構部14およびヒータ15とを備えている。
【0040】
インクジェットヘッド群1は、導電性微粒子を含有する分散液をノズル(吐出口)から吐出して所定間隔で基板に付与する複数のインクジェットヘッドを備えている。そして、これら複数のインクジェットヘッド各々から、制御装置8から供給される吐出電圧に応じて個別に分散液を吐出できるようになっている。インクジェットヘッド群1はX方向ガイド軸2に固定され、X方向ガイド軸2には、X方向駆動モータ3が接続されている。X方向駆動モータ3は、ステッピングモータ等であり、制御装置8からX軸方向の駆動パルス信号が供給されると、X方向ガイド軸2を回転させるようになっている。そして、X方向ガイド軸2が回転させられると、インクジェットヘッド群1が基台7に対してX軸方向に移動するようになっている。
【0041】
ここで、インクジェットヘッド群1を構成する複数のインクジェットヘッドの詳細について説明する。図2及び図3は、インクジェットヘッド30を示す図である。
インクジェットヘッド30は、図2(a)に示すように例えばステンレス製のノズルプレート32と振動板33とを備え、両者を仕切部材(リザーバプレート)34を介して接合したものである。ノズルプレート32と振動板33との間には、仕切部材34によって複数の空間35と液溜まり36とが形成されている。各空間35と液溜まり36の内部は液状体で満たされており、各空間35と液溜まり36とは供給口37を介して連通したものとなっている。また、ノズルプレート32には、空間35から液状体を噴射するためのノズル孔38が縦横に整列させられた状態で複数形成されている。一方、振動板33には、液溜まり36に液状体を供給するための孔39が形成されている。
【0042】
また、振動板33の空間15に対向する面と反対側の面上には、図2(b)に示すように圧電素子(ピエゾ素子)40が接合されている。この圧電素子40は、一対の電極41の間に位置し、通電するとこれが外側に突出するようにして撓曲するよう構成されたものである。そして、このような構成のもとに圧電素子40が接合されている振動板33は、圧電素子40と一体になって同時に外側へ撓曲するようになっており、これによって空間35の容積が増大するようになっている。したがって、空間35内に増大した容積分に相当する液状体が、液溜まり36から供給口37を介して流入する。また、このような状態から圧電素子40への通電を解除すると、圧電素子40と振動板33はともに元の形状に戻る。したがって、空間35も元の容積に戻ることから、空間35内部の液状体の圧力が上昇し、ノズル孔38から基板に向けて液状体の液滴42が吐出される。
【0043】
なお、このような構成からなるインクジェットヘッド30は、その底面形状が略矩形状のもので、図3に示すようにノズルN(ノズル孔38)が縦に等間隔で整列した状態で矩形状に配置されたものである。そして、本例では、その縦方向、すなわち長辺方向に配置されたノズルの列における、各ノズルのうちの1個置きに配置されたノズルを主ノズル(第1のノズル)Naとし、これら主ノズルNa間に配置されたノズルを副ノズル(第2のノズル)Nbとしている。
【0044】
これら各ノズルN(ノズルNa、Nb)には、それぞれに独立して圧電素子40が設けられていることにより、その吐出動作がそれぞれ独立してなされるようになっている。すなわち、このような圧電素子40に送る電気信号としての吐出波形を制御することにより、各ノズルNからの液滴の吐出量を調整し、変化させることができるようになっているのである。ここで、このような吐出波形の制御は制御装置8によってなされるようになっており、このような構成のもとに、制御装置8は各ノズルNからの液滴吐出量を変化させる吐出量調整手段としても機能するようになっている。
なお、インクジェットヘッド30の方式としては、前記の圧電素子40を用いたピエゾジェットタイプ以外に限定されることなく、例えばサーマル方式を採用することもでき、その場合には印可時間を変化させることなどにより、液滴吐出量を変化させることができる。
【0045】
図1に戻り、載置台4は、この配線形成装置20によって分散液を付与される基板11を載置させるもので、この基板11を基準位置に固定する機構を備えている。載置台4はY方向ガイド軸5に固定され、Y方向ガイド軸5には、Y方向駆動モータ6、16が接続されている。Y方向駆動モータ6、16は、ステッピングモータ等であり、制御装置8からY軸方向の駆動パルス信号が供給されると、Y方向ガイド軸5を回転させるようになっている。そして、Y方向ガイド軸5が回転させられると、載置台4が基台7に対してY軸方向に移動するようになっている。
【0046】
クリーニング機構部14は、インクジェットヘッド群1をクリーニングする機構を備えている。クリーニング機構部14は、Y方向の駆動モータ16によってY方向ガイド軸5に沿って移動するようになっている。クリーニング機構部14の移動も、制御装置8によって制御されている。
【0047】
ヒータ15は、ここではランプアニールにより基板11を熱処理する手段であり、基板上に吐出された液体の蒸発・乾燥を行うとともに導電膜に変換するための熱処理を行うようになっている。このヒータ15の電源の投入及び遮断も制御装置8によって制御されるようになっている。
【0048】
本実施形態の配線形成装置20において、所定の配線形成領域に分散液を吐出するためには、制御装置8から所定の駆動パルス信号をX方向駆動モータ3及び/又はY方向駆動モータ6とに供給し、インクジェットヘッド群1及び/又は載置台4を移動させることにより、インクジェットヘッド群1と基板11(載置台4)とを相対移動させる。そして、この相対移動の間にインクジェットヘッド群1における所定のインクジェットヘッド30に制御装置8から吐出電圧を供給し、当該インクジェットヘッド30から分散液を吐出させる。
【0049】
本実施形態の配線形成装置20において、インクジェットヘッド群1の各インクジェットヘッド30からの液滴の吐出量は、制御装置8から供給される吐出電圧の大きさによって調整できる。また、基板11に吐出される液滴のピッチは、インクジェットヘッド群1と基板11(載置台4)との相対移動速度及びインクジェットヘッド群1からの吐出周波数(吐出電圧供給の周波数)によって決定される。
【0050】
本実施形態の配線形成装置20によれば、バルジを生じさせることなく細線化、厚膜化を達成するとともに、膜厚が均一化され、エッジ形状が良好な導電膜を形成することが可能となる。
したがって、本実施形態によれば、膜厚が厚く電気伝導に有利で、断線や短絡等の不良が生じにくく、しかも微細に形成可能な導電膜配線を形成することができる。
【0051】
次に、図4〜図10及び図11を参照しながら配線形成装置20を用いた吐出方法(材料配置工程)について説明する。
本工程は、導電膜配線形成用材料を含む液体材料の液滴を配線形成装置20のインクジェットヘッド30より基板11上に吐出することにより基板11上に線状の膜パターン(配線パターン)Wを形成する工程である。液体材料は、上述したように、導電膜配線形成用材料である金属等の導電性微粒子を分散媒に分散した液状体である。
【0052】
図4において、材料配置工程は、配線形成装置20のインクジェットヘッド30のノズルNより液体材料の液滴を吐出して基板11に配置することでこの基板11上に膜パターンWの線幅方向中央部(中央パターン)W1を形成する第1工程(図4(a)参照)と、基板11に形成された中央パターンW1に対して一方の側部(第1側部パターン)W2を形成する第2工程(図4(b)参照)と、基板11に形成された中央パターンW1に対して他方の側部(第2側部パターン)W3を形成する第3工程(図4(c)参照)とを有している。これら第1、第2、及び第3工程により、図4(c)に示すような線状の膜パターンWが形成される。
【0053】
第1工程では、図4(a)に示すように、インクジェットヘッド30から液体材料の液滴が吐出され、基板11上に一定の距離間隔(ピッチ)で配置される。そして、この液滴の配置動作を繰り返すことにより基板11上における膜パターンWの形成予定領域W4の中央部に、この膜パターンWの一部を構成する線状の中央パターンW1が形成される。なお、基板11の表面は所望の撥液性に予め加工されており、基板11上に配置した液滴の拡がりが抑制される。そのためパターン形状を良好な状態に確実に制御できるとともに厚膜化も容易である。
【0054】
ここで、基板11上に中央パターンW1を形成するための液滴を配置した後、分散媒の除去を行うために必要に応じて乾燥処理が行われる。乾燥処理は、例えばホットプレート、電気炉、及び熱風発生機等の加熱装置を用いた一般的な熱処理の他にランプアニールを用いた光処理であってもよい。
【0055】
次に、第2工程では、図4(b)に示すように、インクジェットヘッド30から液体材料の液滴が吐出され、これにより中央パターンW1の一方の側に隣接する線状の第1側部パターンW2が形成される。ここで、インクジェットヘッド30は第1側部パターンW2を形成するに際し、吐出した液滴と基板11上に形成された中央パターンW1との少なくとも一部が重なるように、液滴を吐出する。これにより中央パターンW1と第1側部パターンW2を形成する液滴とは確実に接続され、形成された膜パターンWに導電膜配線形成用材料の不連続部が生じることがない。そして、第2工程においても液滴は基板11上に一定のピッチで配置され、この配置動作を繰り返すことにより、膜パターンWの形成予定領域W4の一方の側部にこの膜パターンWの一部を構成する第1側部パターンW2が形成され、中央パターンW1と第1側部パターンW2とが一体化される。
【0056】
ここでも、基板11上に第1側部パターンW2を形成するための液滴を配置した後、分散媒の除去を行うために必要に応じて中間乾燥処理が行われる。
【0057】
次に、第3工程では、図4(c)に示すように、インクジェットヘッド30から液体材料の液滴が吐出され、これにより中央パターンW1の他方の側に隣接する線状の第2側部パターンW3が形成される。ここでも、インクジェットヘッド30は第2側部パターンW3を形成するに際し、吐出した液滴と基板11上に形成された中央パターンW1との少なくとも一部が重なるように、液滴を吐出する。これにより中央パターンW1と第2側部パターンW3を形成する液滴とは確実に接続され、形成された膜パターンWに導電膜配線形成用材料の不連続部が生じることがない。こうして、中央パターンW1と第2側部パターンW3とが一体化され、3つの線状のパターンW1、W2、及びW3が一体化されて幅広の膜パターンWが形成される。そして、第3工程においても液滴は基板上に一定のピッチで配置され、この配置動作を繰り返すことにより、膜パターンWの形成予定領域W4の他方の側部にこの膜パターンWの一部を構成する第2側部パターンW3が形成される。
【0058】
このとき、第2、第3工程で吐出する液滴の吐出位置(中央パターンWとの距離)を調整することで最終的な線状の膜パターンWの線幅を制御することができる。また、第1、第2、及び第3の各工程で形成する複数のパターンW1、W2、及びW3の基板11の表面からの高さ(厚み)を変化させることにより、一体化後の膜パターンWの膜厚を制御できる。
【0059】
次に、図5(a)〜(c)を参照しながら、線状の中央パターンW1、及び側部パターンW2、W3を形成する手順について説明する。
まず、図5(a)に示すように、インクジェットヘッド30から吐出した液滴L1が所定の間隔をあけて基板11上に順次配置される。すなわち、インクジェットヘッド30は基板11上で液滴L1どうしが重ならないように配置する(第1配置工程)。本例では、液滴L1の配置ピッチH1は基板11上に配置した直後の液滴L1の直径よりも大きくなるように設定されている。これにより基板11上に配置された直後の液滴L1どうしは重ならずに(接触せずに)、液滴L1どうしが合体して基板11上で濡れ拡がることが防止される。また、液滴L1の配置ピッチH1は基板11上に配置した直後の液滴L1の直径の2倍以下となるように設定されている。
【0060】
ここで、基板11上に液滴L1を配置した後、分散媒の除去を行うために必要に応じて乾燥処理を行うことができる。乾燥処理は、上述したように、例えばホットプレート、電気炉、及び熱風発生機等の加熱装置を用いた一般的な熱処理の他に、ランプアニールを用いた光処理であってもよい。この場合、分散媒の除去だけでなく、分散液を導電膜に変換するまで、加熱や光照射の度合いを高めても差し支えないが、分散媒をある程度除去できれば十分である。
【0061】
次に、図5(b)に示すように、上述した液滴の配置動作が繰り返される。すなわち図5(a)に示した前回と同様に、インクジェットヘッド30から液体材料が液滴L2として吐出され、その液滴L2が一定距離ごとに基板11に配置される。このとき、液滴L2の体積(1つの液滴あたりの液体材料の量)、及びその配置ピッチH2は前回の液滴L1と同じである。そして、液滴L2の配置位置は前回の液滴L1から1/2ピッチだけシフトされ、基板11上に配置されている前回の液滴L1どうしの中間位置に今回の液滴L2が配置される(第2配置工程)。
【0062】
前述したように、基板11上の液滴L1の配置ピッチH1は、基板11上に配置した直後の液滴L1の直径よりも大きく且つ、その直径の2倍以下である。そのため、液滴L1の中間位置に液滴L2が配置されることにより、液滴L1に液滴L2が一部重なり、液滴L1どうしの間の隙間が埋まる。このとき、今回の液滴L2と前回の液滴L1とが接するが、前回の液滴L1はすでに分散媒が完全に又はある程度除去されているので、両者が合体して基板11上で拡がることは少ない。
【0063】
なお、図5(b)では、液滴L2の配置を開始する位置を前回と同じ側(図5(a)に示す左側)としているが逆側(右側)としてもよい。往復動作の各方向への移動時に液滴の吐出を行うことにより、インクジェットヘッド30と基板11との相対移動の距離を少なくできる。
【0064】
液滴L2を基板11上に配置した後、分散媒の除去を行うために前回と同様に必要に応じて乾燥処理を行うことが可能である。
【0065】
こうした一連の液滴の配置動作を複数回繰り返すことにより、基板11上に配置される液滴どうしの隙間が埋まり、図5(c)に示すように、線状の連続したパターンである中央パターンW1、及び側部パターンW2、W3が基板11上に形成される。この場合、液滴の配置動作の繰り返し回数を増やすことにより基板11上に液滴が順次重なり、パターンW1、W2、W3の膜厚、すなわち基板11の表面からの高さ(厚み)が増す。線状パターンW1、W2、W3の高さ(厚み)は最終的な膜パターンに必要とされる所望の膜厚に応じて設定され、この設定した膜厚に応じて上記液滴の配置動作の繰り返し回数が設定される。
【0066】
なお、線状パターンの形成方法は図5(a)〜(c)に示したものに限定されない。例えば、液滴の配置ピッチや繰り返しの際のシフト量等を任意に設定可能であり、パターンW1、W2、W3を形成する際の液滴の基板11上での配置ピッチをそれぞれ異なる値に設定してもよい。例えば、中央パターンW1を形成する際の液滴ピッチがH1である場合、側部パターンW2、W3を形成する際の液滴ピッチをH1より広いピッチ(例えばH1×2)としてもよい。もちろん、H1より狭いピッチ(例えばH1×0.5)としてもよい。また、パターンW1、W2、W3を形成する際の液滴の体積をそれぞれ異なる値に設定してもよい。あるいは、第1、第2、及び第3の各工程において基板11やインクジェットヘッド30が配置される雰囲気である液滴配置雰囲気(温度や湿度等)、すなわち材料配置環境条件を互いに異なる条件に設定してもよい。
【0067】
なお、本実施形態では複数の側部パターンW2、W3は1本ずつ形成されるが2本同時に形成されてもよい。ここで、1本ずつ複数のパターンW2、W3を形成する場合と2本同時に形成する場合とでは、乾燥処理の回数の合計が異なる可能性があるため、基板11の撥液性が損なわれないように乾燥条件を定めるとよい。
【0068】
なお、本実施形態では、第1工程で1本の中央パターンW1を形成したが、中央パターンW1を2本以上の複数形成してもよい。そして、この複数本の中央パターンW1の両側部に対して液滴を吐出し、これらを連続させることにより、より広い線幅の膜パターンを容易に形成できる。
【0069】
次に、図6〜図9を参照しながら基板上に液滴を吐出する順序の一例について説明する。これらの図に示すように、基板11上には液体材料の液滴が吐出される格子状の複数の単位領域であるピクセルを有するビットマップが設定されている。インクジェットヘッド30は液滴をビットマップで設定されたピクセル位置に対して吐出する。ここで、1つのピクセルは正方形に設定されている。また、インクジェットヘッド30は基板11に対してY軸方向に走査しながらノズルNより液滴を吐出するものとする。そして、図6〜図9を用いた説明において、1回目の走査時に吐出された液滴には「1」を付し、2回目、3回目、…、n回目の走査時に吐出された液滴には「2」、「3」…、「n」を付す。また、以下の説明では、図6のグレーで示す領域(パターン形成予定領域)のそれぞれに液滴を吐出して膜パターンWを形成するものとする。
【0070】
図6(a)に示すように、1回目の走査時において、中央パターンW1を形成するために中央パターン形成予定領域に1つ分のピクセルをあけつつ液滴が吐出される。ここで、基板11に対して吐出された液滴は基板11に着弾することにより基板11上で濡れ拡がる。つまり、図6(a)に円で示すように、基板11に着弾した液滴は1つのピクセルの大きさより大きい直径Dを有するように濡れ拡がる。ここで、液滴はY軸方向において所定間隔(1つ分のピクセル)をあけて吐出されているので、基板11上に配置された液滴どうしは重ならないように設定されている。こうすることによりY軸方向において基板11上に液体材料が過剰に設けられることを防ぎ、バルジの発生を防止することができる。
【0071】
なお、図6(a)では基板11に配置された際の液滴どうしは重ならないように配置されているが、僅かに重なるように液滴が配置されてもよい。また、ここでは1つ分のピクセルをあけて液滴が吐出されているが、2つ以上の任意の数のピクセル分だけ間隔をあけて液滴を吐出してもよい。この場合、基板11に対するインクジェットヘッド30の走査動作及び吐出動作を増やして基板11上の液滴どうしの間を補間すればよい。
【0072】
図6(b)は2回目の走査によりインクジェットヘッド30のノズルNから基板11に液滴を吐出した際の模式図である。なお、図6(b)において、2回目の走査時で吐出された液滴には「2」を付している。2回目の走査時では、1回目の走査時で吐出された液滴「1」の間を補間するように液滴が吐出される。そして、1回目及び2回目の走査及び吐出動作で液滴どうしが連続し、中央パターンW1が形成される。
【0073】
次に、インクジェットヘッド30と基板11とが1つのピクセルの大きさ分だけX軸方向に相対移動する。ここではインクジェットヘッド30が基板11に対して−X方向に1つのピクセル分だけステップ移動する。そして、インクジェットヘッド30は3回目の走査を行う。これにより、図7(a)に示すように、中央パターンW1の−X側に隣接するように、第1側部パターンW2を形成するための液滴「3」が基板11上に配置される。ここでも、液滴「3」はY軸方向に1つ分のピクセルをあけて配置される。ここで、インクジェットヘッド30のX軸方向へのステップ移動後における1回目の走査時(すなわち全体における3回目の走査時)における液滴「3」は、ステップ移動前の1回目の走査時における液滴「1」に対してX軸について隣接する位置に配置される。
【0074】
図7(b)は4回目の走査によりインクジェットヘッド30から基板11に液滴を吐出した際の模式図である。なお、図7(b)において、4回目の走査時で吐出された液滴には「4」を付している。4回目の走査時では、3回目の走査時で吐出された液滴「3」の間を補間するように液滴が吐出される。そして、3回目及び4回目の走査及び吐出動作で液滴どうしが連続し、第1側部パターンW2が形成される。ここで、ステップ移動後の2回目の走査時(すなわち全体における4回目の走査時)における液滴「4」は、ステップ移動前の2回目の走査時における液滴「2」に対してX軸について隣接する位置に配置される。
【0075】
次に、インクジェットヘッド30と基板11とが2つのピクセル分だけX軸方向に相対移動する。ここではインクジェットヘッド30が基板に対して+X方向に2つのピクセル分だけステップ移動する。そして、インクジェットヘッド30は5回目の走査を行う。これにより、図8(a)に示すように、中央パターンW1の+X側に隣接するように、第2側部パターンW3を形成するための液滴「5」が基板上に配置される。ここでも、液滴「5」はY軸方向に1つ分のピクセルをあけて配置される。ここで、インクジェットヘッド30のX軸方向へのステップ移動後である5回目の走査時における液滴「5」は、液滴「1」に対してX軸について隣接する位置に配置される。
【0076】
図8(b)は6回目の走査によりインクジェットヘッド30から基板11に液滴を吐出した際の模式図である。なお、図8(b)において、6回目の走査時で吐出された液滴には「6」を付している。6回目の走査時では、5回目の走査時で吐出された液滴「5」の間を補間するように液滴が吐出される。そして、5回目及び6回目の走査及び吐出動作で液滴どうしが連続し、第2側部パターンW3が形成される。ここで、6回目の走査時における液滴「6」は、液滴「2」に対してX軸について隣接する位置に配置される。
【0077】
図9は液滴の吐出位置の配置順序を変えた例を示す図である。図7において、中央パターンW1を形成する液滴「1」のX軸について−X側に隣接する位置には、インクジェットヘッド30のX軸方向へのステップ移動後において2回目の走査時(全体で4回目の走査時)で吐出された液滴「4」が配置され、一方、中央パターンW1を形成する液滴「2」のX軸について−X側に隣接する位置には、インクジェットヘッド30のX軸方向へのステップ移動後において1回目の走査時(全体で3回目の走査時)で吐出された液滴「3」が配置されている。同様に、液滴「1」のX軸について+X側に隣接する位置には、全体で6回目の走査時において吐出された液滴「6」が配置され、一方、中央パターンW1を形成する液滴「2」の+X側に隣接する位置には、全体で5回目の走査時において吐出された液滴「5」が配置されている。このように、各ラインW1、W2、W3を形成するに際し、液滴の吐出位置の順序のそれぞれを各ライン毎に異なるように設定してもよい。
【0078】
更に、図10に示す例のように、中央パターンW1を形成するための液滴「1」を配置した後、インクジェットヘッド30をステップ移動し、第1側部パターンW2を形成するための液滴「2」を配置し、次いで、インクジェットヘッド30をステップ移動して第2側部パターンW2を形成するための液滴「3」を配置するといった順序も可能である。そして、これらを補間するように液滴「4」、「5」、「6」が順次吐出される。このように、中央パターンW1を形成した後に側部パターンW2、W3を形成するに際し、例えば中央パターンW1を完全に形成してから側部パターンW2、W3を形成せずに、中央パターンW1が未完成の状態で側部パターンW2、W3の形成動作を開始してもよい。
【0079】
図11(a)、(b)は、上記第2、第3工程において、中央パターンW1の両側部に第1、第2側部パターンW2、W3を形成するための液滴の配置例を示す図である。図11(a)の例では、図5を参照して説明した吐出条件(配置条件)と同じ条件で中央パターンW1が形成される。一方、第2、第3工程の吐出条件(配置条件)は中央パターンW1を形成するための吐出条件と異なっている。具体的には、第1工程に比べて液滴Lnの体積が大きく設定されている。すなわち、一度に吐出される液体材料の量が増加されている。なお、本例では、液滴Lnの配置ピッチは第1工程と同じである。液滴Lnの体積を大きくすることにより膜パターンW全体の形成時間を短縮でき、スループット向上を図ることができる。また、液滴の体積が大きくなるとバルジが発生しやすくなるため、液体材料の材料特性に応じてバルジが生じない液滴体積条件を予め求めておき、この求めた条件に基づいて吐出液滴の最大可能体積を設定すればよい。
【0080】
図11(b)の例では、第2、第3工程の吐出条件は第1工程に比べて液滴Lnの配置ピッチを狭くしている。なお、液滴Lnの体積は第1工程と同じでもよく、図11(a)に示したように第1工程に比べて大きくしてもよい。液滴の配置ピッチを狭くすることにより単位面積あたりの液滴の配置量が増え、短時間でパターン形成が可能となる。
【0081】
〔第3実施形態〕
第3実施形態として、膜パターン形成方法の一例であるシリコン膜パターン形成方法について説明する。本実施形態に係るシリコン膜パターン形成方法は、表面処理工程と、吐出工程と、熱処理/光処理工程とから構成される。
以下、各工程について説明する。
【0082】
(表面処理工程)
シリコン薄膜パターンを形成すべき基板としては、Siウエハー、石英ガラス、ガラス、プラスチックフィルム、金属板など各種のものを用いることができる。また、これら各種の素材基板の表面に半導体膜、金属膜、誘電体膜、有機膜などが下地層として形成されたものをシリコン薄膜パターンを形成すべき基板として用いてもよい。
【0083】
このシリコン薄膜パターンを形成すべき基板の表面は、導電性微粒子を含有した液体に対して撥液性(濡れ性)を制御することが好ましく、具体的には、基板表面に対する液体の接触角を15°以上45°以下とすることが望ましい。更に、前記の接触角の範囲内で所望の接触角の設定値を決定するには、まず、導電膜配線を形成すべき基板の種類、及び採用する液滴の種類を決定し、この条件を基に予め基板着弾後の液滴径に対する接触角の関係を求め、該液滴径に基づいて、所望の接触角が決定される。
このように、所望の接触角を得るための表面処理方法は、第1実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0084】
(吐出工程)
シリコン薄膜パターンを形成する場合、吐出工程で吐出する液体は、有機ケイ素化合物を含有する液体である。有機ケイ素化合物を含有する液体としては、有機ケイ素化合物を溶媒に溶解させた溶液を用いる。ここで用いられる有機ケイ素化合物は、一般式Si(ここで、Xは水素原子及び/又はハロゲン原子を表し、nは3以上の整数を表し、mはn又は2n−2又は2n又は2n+2の整数を表す)で表される環系を有するシラン化合物であることを特徴とする。
ここでnは3以上であるが、熱力学的安定性、溶解性、精製の容易性などの点で、nは5〜20程度、特に、5或いは6の環状シラン化合物が好ましい。5より小さい場合には、シラン化合物自体が環による歪みにより不安定になるため取り扱いに難点が生じる。また、nが20より大きい場合には、シラン化合物の凝集力に起因する溶解性の低下が認められ使用する溶媒の選択が狭まる。
また、本実施形態に使用するシラン化合物の一般式Si中のXは水素原子及び/又はハロゲン原子である。これらのシラン化合物は、シリコン膜への前駆体化合物であるため、熱処理及び/又は光処理で最終的にはアモルファス或いは多結晶状シリコンにする必要があり、ケイ素−水素結合、ケイ素−ハロゲン結合は、上記の処理で開裂し、新たにケイ素−ケイ素結合が生じ、最終的にシリコンへと変化されるものである。ハロゲン原子としては、通常フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子であり、上記結合開裂の点で塩素、臭素が好ましい。Xは水素原子単独又はハロゲン原子単独でもよいし、水素原子とハロゲン原子の総和がmとなるような部分ハロゲン化シラン化合物でもよい。
【0085】
更に、これらのシラン化合物は、必要に応じてホウ素やリンなどの第三族或いは第五族の元素で変性した化合物を使用することもできる。変性シラン化合物の具体例としては、炭素原子を含まないものが好ましく、一般式Si(ここで、Xは水素原子及び/又はハロゲン原子を表し、Yはホウ素原子又はリン原子を表し、aは3以上の整数を表し、bはa以上で2a+c+2以下の整数を表し、cは1以上でa以下の整数を表す)で表される変性シラン化合物が挙げられる。ここで、熱力学的安定性、溶解性、精製の容易性などの点で、aとcの和が5〜20程度、特に、5或いは6の変性シラン化合物が好ましい。a+cが5より小さい場合には、変性シラン化合物自体が環による歪みにより不安定になるため取り扱いに難点が生じる。また、a+cが20より大きい場合には、変性シラン化合物の凝集力に起因する溶解性の低下が認められ使用する溶媒の選択が狭まる。
また、上記変性シラン化合物の一般式Si中のXは、上記のSiで表される無変性のシラン化合物の一般式中におけるXと同様に水素原子及び/又はハロゲン原子であり、通常フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子であり、上記結合開裂の点で塩素、臭素が好ましい。Xは水素原子単独又はハロゲン原子単独でもよいし、水素原子とハロゲン原子の総和がbとなるような部分ハロゲン化シラン化合物でもよい。
【0086】
有機ケイ素化合物を含有する液体の溶媒としては、室温での蒸気圧が0.001mmHg以上、200mmHg以下(約0.133Pa以上、26600Pa以下)であるものが好ましい。蒸気圧が200mmHgより高い場合には、吐出後に溶媒が急激に蒸発してしまい、良好な膜を形成することが困難となるためである。
また、溶媒の蒸気圧は0.001mmHg以上、50mmHg以下(約0.133Pa以上、6650Pa以下)であることがより好ましい。蒸気圧が50mmHgより高い場合には、インクジェット法で液滴を吐出する際に乾燥によるノズル詰まりが起こり易く、安定な吐出が困難となるためである。
一方、室温での蒸気圧が0.001mmHgより低い溶媒の場合、乾燥が遅くなり膜中に溶媒が残留しやすくなり、後工程の熱及び/又は光処理後に良質の導電膜が得られにくい。
【0087】
使用する溶媒としては、上記の有機ケイ素化合物を溶解できるものであれば特に限定されないが、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、トルエン、キシレン、シメン、デュレン、インデン、ジペンテン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、シクロへキシルベンゼンなどの炭化水素系溶媒の他、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサンなどのエーテル系溶、さらにプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノンなどの極性溶媒を挙げることができる。
これらの内、有機ケイ素化合物の溶解性と該溶液の安定性の点で炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒が好ましく、更に好ましい溶媒としては炭化水素系溶媒を挙げることができる。これらの溶媒は、単独でも、或いは2種以上の混合物としても使用できる。
【0088】
上記有機ケイ素化合物を溶媒に溶解する場合の溶解質濃度は、1質量%以上、80質量%以下であり、所望のシリコン膜厚に応じて調整することができる。80質量%を超えると凝集を起こしやすくなり、均一な膜が得にくい。
【0089】
上記有機ケイ素化合物の溶液の表面張力は、0.02N/m以上、0.07N/m以下の範囲に入ることが好ましい。インクジェット法にて液体を吐出する際、表面張力が0.02N/m未満であると、インク組成物のノズル面に対する濡れ性が増大するため飛行曲りが生じ易くなり、0.07N/mを超えるとノズル先端でのメニスカスの形状が安定しないため吐出量、吐出タイミングの制御が困難になるためである。
【0090】
表面張力を調整するため、上記溶液には、基板との接触角を不当に低下させない範囲で、フッ素系、シリコン系、ノニオン系などの表面張力調節剤を微量添加することができる。ノニオン系表面張力調節剤は、液体の基板への濡れ性を良好化し、膜のレベリング性を改良し、塗膜のぶつぶつの発生、ゆず肌の発生などの防止に役立つものである。
上記溶液には、必要に応じて、アルコール、エーテル、ケトン等の有機化合物等を含んでいても差し支えない。
【0091】
上記溶液の粘度は、1mPa・s以上、50mPa・s以下であることが好ましい。インクジェット法にて吐出する際、粘度が1mPa・sより小さい場合には、ノズル周辺部がインクの流出により汚染されやすく、また、粘度が50mPa・sより大きい場合は、ノズル孔での目詰まり頻度が高くなり円滑な液滴の吐出が困難となるためである。
【0092】
本実施形態では、上記溶液の液滴をインクジェットヘッドから吐出して基板上の配線を形成すべき場所に滴下する。このとき、液溜まりが生じないように、続けて吐出する液滴の重なり程度を制御する必要がある。また、一回目の吐出では複数の液滴を互いに接しないように離間して吐出し、2回目以降の吐出によって、その間を埋めていくような吐出方法を採用することもできる。
【0093】
液滴を吐出した後、溶媒の除去を行うため、必要に応じて乾燥処理をする。乾燥処理は、例えば、基板を加熱する通常のホットプレート、電気炉などによる処理の他、ランプアニールによって行うこともできる。ランプアニールに使用する光の光源としては、特に限定されないが、赤外線ランプ、キセノンランプ、YAGレーザー、アルゴンレーザー、炭酸ガスレーザー、XeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF、ArClなどのエキシマレーザーなどを光源として使用することができる。これらの光源は一般には、出力10W以上、5000W以下の範囲のものが用いられるが、本実施形態では、100W以上、1000W以下の範囲で十分である。
【0094】
(熱処理/光処理工程)
吐出工程後の溶液は、溶媒を除去すると共に有機ケイ素化合物をアモルファス或いは多結晶シリコンに変換する必要がある。そのため、吐出工程後の基板には熱処理及び/又は光処理が施される。
【0095】
熱処理及び/又は光処理は、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気中で行うこともできる。熱処理及び/又は光処理の処理温度は、分散媒の沸点(蒸気圧)、雰囲気ガスの種類や圧力、微粒子の分散性や酸化性等の熱的挙動、コーティング材の有無や量、基材の耐熱温度などを考慮して適宜決定される。
通常アルゴン雰囲気中或いは水素を含有したアルゴン中で、100〜800℃程度で、好ましくは200〜600℃程度で、更に好ましくは300℃〜500℃程度で処理され、一般に到達温度が約550℃以下の温度ではアモルファス状、それ以上の温度では多結晶状のシリコン膜が得られる。到達温度が300℃未満の場合は、有機ケイ素化合物の熱分解が十分に進行せず、十分な厚さのシリコン膜を形成できない場合がある。多結晶状のシリコン膜を得たい場合は、上記で得られたアモルファス状シリコン膜のレーザーアニールによって多結晶シリコン膜に変換することができる。上記レーザーアニールを行う場合の雰囲気も、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガス、もしくはそれらに水素などの還元性ガスを混入したものが好ましい。
【0096】
熱処理及び/又は光処理は、通常のホットプレート、電気炉などによる処理の他、ランプアニールによって行うこともできる。ランプアニールに使用する光の光源としては、特に限定されないが、赤外線ランプ、キセノンランプ、YAGレーザー、アルゴンレーザー、炭酸ガスレーザー、XeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF、ArClなどのエキシマレーザーなどを光源として使用することができる。これらの光源は一般には、出力10W以上、5000W以下の範囲のものが用いられるが、本実施形態では、100W以上、1000W以下の範囲で十分である。
以上の工程により吐出工程後の溶液は、アモルファス或いは多結晶のシリコン膜に変換される。
このように、本実施形態により形成されるシリコン膜パターンは、断線等の欠陥を発生させることなく、良好な所望のパターン形成が可能となる。
【0097】
〔第4実施形態〕
第4実施形態として、電気光学装置の一例である液晶装置について説明する。
図12は、本実施形態に係る液晶装置の第1基板上の信号電極等の平面レイアウトを示すものである。本実施形態に係る液晶装置は、この第1基板と、走査電極等が設けられた第2基板(不図示)と、第1基板と第2基板との間に封入された液晶(不図示)とから概略構成されている。
【0098】
図12に示すように、第1基板300上の画素領域303には、複数の信号電極310…が多重マトリクス状に設けられている。特に各信号電極310…は、各画素に対応して設けられた複数の画素電極部分310a…とこれらを多重マトリクス状に接続する信号配線部分310b…とから構成されており、Y方向に伸延している。
【0099】
符号350は、1チップ構造の液晶駆動回路であり、該液晶駆動回路350と信号配線部分310b…の一端側(図中下側)とが第1引き回し配線331…を介して接続されている。また、符号340…は、上下導通端子であり、該上下導通端子340…と、不図示の第2基板上に設けられた端子とが上下導通材341…によって接続されている。また、上下導通端子340…と液晶駆動回路350とが第2引き回し配線332…を介して接続されている。
【0100】
本実施形態では、上記第1基板300上に設けられた信号配線部分310b…、第1引き回し配線331…、第2引き回し配線332…が、各々第2実施形態に係る配線形成装置を用いて、第1実施形態に係る配線形成方法によって形成されている。
本実施形態の液晶装置によれば、上記各配線類の断線や短絡等の不良が生じにくく、しかも、小型化、薄型化が可能な液晶装置とすることができる。
【0101】
図13は、他の形態の液晶表示装置を説明するための図であって、図13(a)は液晶表示装置の画像表示領域を構成する、スイッチング素子等の各種素子及び配線等の等価回路であり、図13(b)は液晶表示装置の要部を示し、各画素が備えるスイッチング素子と画素電極との構造を説明するための断面拡大図である。
【0102】
図13(a)に示すように液晶表示装置100は、マトリクス状に配置された走査線101及びデータ線102と、画素電極130と、当該画素電極130を制御するための画素スイッチング用TFT(以下、TFTと称す。)110が複数形成されている。走査線101においては、パルス的に走査信号Q1、Q2、…、Qmが供給されるようになっており、データ線102においては、画像信号P1、P2、…、Pnが供給されるようになっている。更に、走査線101及びデータ線102は後述するようにTFT110と接続されており、走査信号Q1、Q2、…、Qm及び画像信号P1、P2、…、Pnによって、TFT110が駆動するようになっている。更に、所定レベルの画像信号P1、P2、…、Pnを一定期間保持する蓄積容量120が形成され、当該蓄積容量120には容量線103が接続されている。
【0103】
次に、図13(b)を参照し、TFT110の構造について説明する。
図13(b)に示すようにTFT110は、所謂ボトムゲート型(逆スタガ型)構造のTFTである。具体的な構造としては、液晶表示装置100の基材となる絶縁基板100aと、絶縁基板100aの表面に形成された下地保護膜100Iと、ゲート電極110Gと、ゲート絶縁膜110Iと、チャネル領域110Cと、チャネル保護用の絶縁膜112Iとがこの順序で積層されている。絶縁膜112Iの両側には高濃度N型のアモルファスシリコン膜のソース領域110S及びドレイン領域110Dが形成され、これらのソース・ドレイン領域110S、110Dの表面にはソース電極111S及びドレイン電極111Dが形成されている。
【0104】
更に、それらの表面側には層間絶縁膜112Iと、ITO等の透明電極からなる画素電極130とが形成され、画素電極130は層間絶縁膜130のコンタクトホールを介してドレイン電極111Dに電気的に接続されている。
ここで、ゲート電極110Gは走査線101の一部分であり、また、ソース電極111Sはデータ線102の一部分である。更に、ゲート電極110G及び走査線101は、先に記載した第2実施形態に係る配線形成装置を用いて、第1実施形態に係る配線形成方法によって形成される。
【0105】
このような液晶表示装置100においては、走査信号Q1、Q2、…、Qmに応じて走査線101からゲート電極110Gに電流が供給され、ゲート電極110Gの近傍に電界が生じ、当該電界の作用によりチャネル領域110Cが導通状態となる。更に、当該導通状態において、画像信号P1、P2、…、Pnに応じてデータ線102からソース電極111Sに電流が供給され、画素電極130に導通し、画素電極130と対向電極間に電圧が付与される。即ち、走査信号Q1、Q2、…、Qm及び画像信号P1、P2、…、Pnを制御することにより、液晶表示装置100を所望に駆動することができる。
【0106】
このように構成された液晶表示装置100においては、先に記載した第2実施形態に係る配線形成装置を用いて、第1実施形態に係る配線形成方法によってゲート電極110G及び走査線101が形成されているので、断線等の欠陥のない、良好かつ信頼性が高い配線パターンとなる。従って、信頼性が高い液晶表示装置となる。即ち、先に記載したように同様の効果を奏する。
なお、本実施形態の配線パターンの形成方法は、ゲート電極110G及び走査線101に限定せずに、データ線102等、他の配線の形成方法においても適用可能である。
【0107】
(電子放出ディスプレイ)
次に、電気光学装置の一例である電子放出素子を備えた電子放出ディスプレイ(Field Emission Display、以下FEDと称す。)について説明する。なお、FEDの製造方法は、先に記載した第2実施形態に係る配線形成装置を用いて、第1実施形態に係る配線形成方法によって形成される。
【0108】
図14は、FEDを説明するための図であって、図14(a)はFEDを構成するカソード基板とアノード基板の配置を示した概略構成図、図14(b)はFEDのうちカソード基板が具備する駆動回路の模式図、図14(c)はカソード基板の要部を示した斜視図である。
【0109】
図14(a)に示すようにFED200は、カソード基板200aとアノード基板200bとを対向配置された構成となっている。カソード基板200aは、図14(b)に示すようにゲート線201と、エミッタ線202と、当該ゲート線201とエミッタ線202とに接続された電子放出素子203とを具備しており、即ち、所謂単純マトリクス駆動回路となっている。ゲート線201においては、ゲート信号S1、S2、…、Smが供給されるようになっており、エミッタ線202においては、エミッタ信号T1、T2、…、Tnが供給されるようになっている。また、アノード基板200bは、RGBからなる蛍光体を備えており、当該蛍光体は電子が当ることにより発光する性質を有する。
【0110】
図14(c)に示すように、電子放出素子203はエミッタ線202に接続されたエミッタ電極203aと、ゲート線201に接続されたゲート電極203bとを備えた構成となっている。更に、エミッタ電極203aは、エミッタ電極203a側からゲート電極203bに向かって小径化するエミッタティップ205と呼ばれる突起部を備えており、当該エミッタティップ205と対応した位置にゲート電極203bに孔部204が形成され、当該孔部204内にエミッタティップ205の先端が配置されている。
【0111】
このようなFED200においては、ゲート線201のゲート信号S1、S2、…、Sm、及びエミッタ線202のエミッタ信号T1、T2、…、Tnを制御することにより、エミッタ電極203aとゲート電極203bとの間に電圧が供給され、電解の作用によってエミッタティップ205から孔部204に向かって電子210が移動し、エミッタティップ205の先端から電子210が放出される。ここで、当該電子210とアノード基板200bの蛍光体とが当ることにより発光するので、所望にFED200を駆動することが可能になる。
【0112】
このように構成されたFEDにおいては、先に記載した第2実施形態に係る配線形成装置を用いて、第1実施形態に係る配線形成方法によってエミッタ電極203a及びエミッタ線202が形成されているので、断線等の欠陥のない、良好かつ信頼性が高い配線パターンとなる。従って、信頼性が高い表示装置となる。即ち、先に記載したように同様の効果を奏する。
なお、第1実施形態に係る配線形成方法は、エミッタ電極203a及びエミッタ線202に限定せずに、ゲート電極203b及びゲート線201等、他の配線の形成方法においても適用可能である。
なお、第1実施形態に係る配線形成方法は、電気光学装置としてFED(Field Emission Display)をあげたが、SED(Surface-Conduction Electron-Emitter Display)等にも適用することができる。
【0113】
なお、第1実施形態に係る配線形成方法が適用されるデバイスとしては、配線パターンを備えた他のデバイスにおいても適用が可能である。例えば、有機エレクトロルミネッセンス装置に形成される配線パターンの製造や、電気泳動装置内に形成される配線パターンの製造等に対しても、もちろん適用可能である。
【0114】
〔第5実施形態〕
第5実施形態として、電気光学装置の一例であるプラズマ型表示装置について説明する。
図15は、本実施形態のプラズマ型表示装置500の分解斜視図を示す。
プラズマ型表示装置500は、互いに対向して配置されたガラス基板501とガラス基板502と、これらの間に形成された放電表示部510とから概略構成される。
【0115】
放電表示部510は、複数の放電室516が集合されてなり、複数の放電室516のうち、赤色放電室516(R)、緑色放電室516(G)、青色放電室516(B)の3つの放電室516が対になって1画素を構成するように配置されている。前記(ガラス)基板501の上面には所定の間隔でストライプ状にアドレス電極511が形成され、それらアドレス電極511と基板501の上面とを覆うように誘電体層519が形成され、更に誘電体層519上においてアドレス電極511、511間に位置して各アドレス電極511に沿うように隔壁515が形成されている。
【0116】
なお、隔壁515においてはその長手方向の所定位置においてアドレス電極511と直交する方向にも所定の間隔で仕切られており(図示略)、基本的にはアドレス電極511の幅方向左右両側に隣接する隔壁と、アドレス電極511と直交する方向に延設された隔壁により仕切られる長方形状の領域が形成され、これら長方形状の領域に対応するように放電室516が形成され、これら長方形状の領域が3つ対になって1画素が構成される。また、隔壁515で区画される長方形状の領域の内側には蛍光体517が配置されている。蛍光体517は、赤、緑、青の何れかの蛍光を発光するもので、赤色放電室516(R)の底部には赤色蛍光体517(R)が、緑色放電室516(G)の底部には緑色蛍光体517(G)が、青色放電室516(B)の底部には青色蛍光体517(B)が各々配置されている。
【0117】
次に、前記ガラス基板502側には、先のアドレス電極511と直交する方向に複数のITOからなる透明表示電極512がストライプ状に所定の間隔で形成されるとともに、高抵抗のITOを補うために、金属からなるバス電極512aが形成されている。また、これらを覆って誘電体層513が形成され、更にMgOなどからなる保護膜514が形成されている。また、前記基板501とガラス基板502の基板2枚が、前記アドレス電極511…と透明表示電極512…を互いに直交させるように対向させて相互に貼り合わされ、基板501と隔壁515とガラス基板502側に形成されている保護膜514とで囲まれる空間部分を排気して希ガスを封入することで放電室516が形成されている。なお、ガラス基板502側に形成される透明表示電極512は各放電室516に対して2本ずつ配置されるように形成されている。上記アドレス電極511と透明表示電極512は図示略の交流電源に接続され、各電極に通電することで必要な位置の放電表示部510において蛍光体517を励起発光させて、カラー表示ができるようになっている。
【0118】
本実施形態では、上記アドレス電極511と透明表示電極512およびバス電極512aが、各々第2実施形態に係る配線形成装置を用いて、第1実施形態に係る配線形成方法によって形成されている。
本実施形態の液晶装置によれば、上記各電極の断線や短絡等の不良が生じにくく、しかも、小型化、薄型化が可能なプラズマ型表示装置とすることができる。
【0119】
〔第6実施形態〕
第6実施形態として、電子機器の具体例について説明する。
図16(a)は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図16(a)において、600は携帯電話本体を示し、601は第4実施形態の液晶装置を備えた液晶表示部を示している。
図16(b)は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図16(b)において、700は情報処理装置、701はキーボードなどの入力部、703は情報処理本体、702は第4実施形態の液晶装置を備えた液晶表示部を示している。
図16(c)は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図16(c)において、800は時計本体を示し、801は第4実施形態の液晶装置を備えた液晶表示部を示している。
【0120】
図16(a)〜(c)に示す電子機器は、上記実施形態の液晶装置を備えているので、配線類の断線や短絡等の不良が生じにくく、しかも、小型化、薄型化が可能となる。
なお、本実施形態の電子機器は液晶装置を備えるものとしたが、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、プラズマ型表示装置等、他の電気光学装置を備えた電子機器とすることもできる。
【0121】
〔第7実施形態〕
第7実施形態として、非接触型カード媒体の実施形態について説明する。
図17に示すように、非接触型カード媒体400は、カード基体402とカードカバー418から成る筐体内に、半導体集積回路チップ408とアンテナ回路412を内蔵し、不図示の外部の送受信機と電磁波または静電容量結合の少なくとも一方により電力供給あるいはデータ授受の少なくとも一方を行うようになっている。
【0122】
本実施形態では、上記アンテナ回路412が、第2実施形態に係る配線形成装置を用いて、第1実施形態に係る配線形成方法によって形成されている。
本実施形態の非接触型カード媒体によれば、上記アンテナ回路412の断線や短絡等の不良が生じにくく、しかも、小型化、薄型化が可能な非接触型カード媒体とすることができる。
【実施例】
【0123】
ガラス基板表面に対して前処理を施した後、撥液化処理を行い、次いで、親液化処理を行った。
前処理は、基板表面への紫外光の照射及び溶媒による洗浄である。
撥液化処理は、FASの単分子膜を形成することによって行った。具体的には、自己組織化膜を形成する化合物として、ヘプタデカフルオロ−1、1、2、2テトラヒドロデシルトリエトキシシランを用い、この化合物と基板とを同一の密閉容器中に入れておき、120℃の温度を維持させ、2時間放置した。
親液化処理は、波長254nmの紫外光の照射した。この紫外光の照射は、照射時間を種々変更して行った。
上記のように、紫外光の照射時間が異なる基板の撥液性を、主溶媒であるトルエンに対する接触角として調べた。結果を表1に示す。
【0124】
[表1]
照射時間(秒) 接触角[deg]
0 80
15 60
60 45
80 30
90 20
【0125】
次に、粒径10nmの金微粒子がトルエン中に分散した金微粒子分散液(真空冶金社製、商品名「パーフェクトゴールド」)にキシレンを添加し、溶質濃度を60質量%、粘度を18cp、表面張力を35N/mとした液体を調整し、複数のインクジェットヘッドが搭載可能なインクジェット装置により乾燥工程を挟みながら所定のピッチで吐出し、導電膜配線を形成した。
インクジェットヘッドとしては市販のプリンター(商品名「PM900C」)のヘッドを使用した。ただし、液体(インク)吸入部がプラスチック製であるため、有機溶剤に対して溶解しないよう吸入部を金属製の治具に変更したものを用いた。基板とインクジェットヘッドとの相対移動速度は一定とし、ピッチの変更は吐出周波数のみを調整することで行った。
基板には4フッ化エチレン加工が施されたポリイミドフィルムをガラス基板に貼り付けたものを用いた。
吐出は、一つのノズルのみを用い、吐出液滴の体積が20plとなるヘッド駆動波形およびヘッド駆動電圧で行った。この条件で吐出した時の基板着弾後の液滴直径は,約70μmとなる。
【0126】
図18に、予め、上記金微粒子分散液を使用して得られた、着弾後の液滴径に対する接触角の表を示す。
この場合、接触角が45°よりも大きくなるか、もしくは、15°よりも小さくなると、図19(a)に示すように、形成される金ラインに断線が生じる。これに対して、図18に示すように、液滴径の範囲を50〜100μmとすると、即ち、その液滴径の範囲に対応した接触角の範囲を15°以上45°以下とすると、図19(b)に示すように、断線のない良好な金ラインが生成されることになる。この結果に基づいて、上記基板着弾後の所望の液滴径が約70μmであるので、対応する接触角は、35°となる。
従って、所望の接触角が35°であるので、表1を参照して、紫外光の照射時間を80秒とした。
【0127】
第1実施形態に示した吐出工程により基板に対して液滴の吐出を行い、その後、乾燥機を用いて100℃で5分間の乾燥工程を施した。更に、配線を形成した基板にホットプレートにて300℃で30分間の熱処理を施して、所望の金ラインが得られた。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】配線形成装置の斜視図である。
【図2】液滴吐出ヘッドの概略構成を説明するための図である。
【図3】液滴吐出ヘッドの底面図である。
【図4】配線パターンの形成方法の一実施形態を示す模式図である。
【図5】配線パターンの形成方法の一実施形態を示す模式図である。
【図6】基板上に液滴が配置される様子を示す図である。
【図7】基板上に液滴が配置される様子を示す図である。
【図8】基板上に液滴が配置される様子を示す図である。
【図9】基板上に液滴が配置される様子を示す図である。
【図10】基板上に液滴が配置される様子を示す図である。
【図11】配線パターンの形成方法の他の実施形態を示す模式図である。
【図12】液晶装置の一部を示す図である。
【図13】他の液晶表示装置を示す図である。
【図14】電子放出装置を示す図である。
【図15】プラズマ型表示装置の分解斜視図である。
【図16】電子機器の一例を示す図である。
【図17】非接触型カード媒体の分解斜視図である。
【図18】基板着弾後の液滴径に対する接触角の関係図である。
【図19】形成された導電膜配線の概略図である。
【符号の説明】
【0129】
11,100a,300…基板、 42,L1,L2…液滴、 D…直径、W(W1,W2,W3)…膜パターン、 20…配線形成装置(薄膜製造装置)、 100…液晶表示装置、 200…電子放出ディスプレイ(FED)、 500…プラズマ型表示装置、 400…非接触型カード媒体、 412…アンテナ回路、 600…携帯電話、 700…情報処理装置、 800…時計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性微粒子を含有した液体からなる液滴を、基板上の所定の配線形成領域に吐出して配線を形成する配線形成方法であって、
前記液滴を吐出する前に、前記基板上に表面処理を行う表面処理工程を有し、前記表面処理工程によって、前記液滴の前記基板上への吐出後の接触角が15度以上45度以下に設定されてなり、
前記表面処理された前記基板上に、前記基板上に配置した直後の前記液滴の直径よりも大きく且つ、前記液滴の直径の2倍以下であって、前記液滴同士がつながらない配置ピッチで、前記液滴を配置する第1配置工程と、
前記第1配置工程で配置された前記液滴どうしの間を埋めるように、前記基板上に前記液滴を着弾させる第2配置工程と、
前記液滴同士の間が埋められた状態で、熱処理又は光処理によって前記液滴を導電膜に変換する工程と、
を有することを特徴とする配線形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2007−49186(P2007−49186A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−276519(P2006−276519)
【出願日】平成18年10月10日(2006.10.10)
【分割の表示】特願2003−303512(P2003−303512)の分割
【原出願日】平成15年8月27日(2003.8.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】