説明

配送システム

【課題】 配送システムにおいて、送り主側で容易に荷物の大きさ及び重量を測定でき、測定値及び配送先等の情報を入力し配送に要する料金を算出できるシステムは存在しなかった。また送り主が運送会社へ荷物の集荷を依頼する時には、別途運送会社へ集荷依頼の手続を行う必要があった。
【解決手段】 携帯端末機に、料金データをダウンロードする接続手段と、配送情報を入力する入力手段と、荷物の長さを測定する測定手段と、荷物の重量を計量する計量手段と、配送情報と測定値と料金表とから配送料金を算出する料金算出手段と、測定値と配送料金を記憶部へ記憶する記憶手段と、配送情報と測定値と配送料金を表示部に表示する表示手段と、配送情報と測定値を運送会社のサーバーへ配信する配信手段と、運送会社より荷物の集配情報を受信する受信手段とを備えることで解決するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物の配送システムに関し、特に携帯端末機を用いて配送情報の入力、荷物の長さの測定、荷物の重量の計量を行い、配送情報と測定値とを運送会社へ送信し、必要に応じて運送会社から集配情報を受信する配送システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の配送システムは、荷物を配送する際に、送り主が運送会社や配送の受付店舗にて荷物の送り先及び配送の種類等の配送情報を所定の伝票に記載し送付手続を行い、その後運送会社や配送の受付店舗側にて荷物の大きさ及び重量を確認し、これに対応した配送の料金を料金表より算出している。
【0003】
また、配送の料金の確定には荷物の大きさ及び重量が含まれている為、送り主は梱包時に、荷物の箱の大きさを意識したり、実際にはまだ梱包可能であっても少なく梱包したりと配慮していた。
【0004】
その為、運送会社や配送の受付店舗に持ち込む前に、送り主側で配送の料金を容易に算出できることが望まれていた。
【0005】
例えば、荷物の受付店舗に設置される荷物受付装置と、荷物の運送会社に設置されるセンタ端末装置とをネットワークを介して接続し、前記荷物受付装置は送り主が荷物の配送を行うのに必要な送付依頼情報を入力するタッチパネルと、荷物の大きさと重量を自動計測する荷物測定器と、前記依頼情報と前記計測値をセンタ端末へ送信する端末処理装置とを有し、荷物の配送に必要な受付手続処理を全て荷物受付装置で行う技術が、特許文献1に記載されている。
【特許文献1】特開2002−334140号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の如く従来の配送システムでは、送り主側で容易に荷物の大きさ及び重量を測定でき、配送先の住所や名前等の配送情報を入力でき、これらのデータより配送に要する料金を算出できるシステムは存在しなかった。
【0007】
また送り主は、運送会社や配送の受付店舗での送付手続時に、実際の配送料金を提示されていた。その為送付手続前に配送料金を把握したい場合には、メジャー及び計量器を用意して荷物を測定し、事前に入手した運送会社の料金表を用いて配送料金を算出しなければならないという問題点があった。
【0008】
更にまた、送り主が運送会社へ荷物の集荷を依頼する時には、別途運送会社へ集荷依頼の手続を行う必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述した問題点に鑑みて成されたものであり、少なくともインターネットに接続される携帯端末機と運送会社に設置されているサーバーとからなり、前記運送会社のサーバーから料金データを前記携帯端末機にダウンロードする接続手段と、荷物の配送情報を入力する入力手段と、前記荷物の長さを測定する測定手段と、前記荷物の重量を計量する計量手段と、前記配送情報と前記荷物の長さと前記荷物の重量とから前記料金データにより配送に要する料金を算出する料金算出手段と、前記測定手段と前記計量手段による測定値を記憶部へ記憶する記憶手段と、前記配送情報と前記測定値と前記料金を表示部に表示する表示手段と、前記配送情報と前記測定値を前記運送会社のサーバーへ配信する配信手段と、前記運送会社のサーバーから前記荷物の集配情報を受信する受信手段とを備えることで解決するものである。
【0010】
また、前記測定手段は前記携帯端末機に設けたレーザー素子を用いて、該レーザー素子の発するレーザー光で荷物の長さを測定することを特徴とするものである。
【0011】
また、前記測定手段は前記携帯端末機のアンテナ部のアンテナを用いて荷物の長さを測定することを特徴とするものである。
【0012】
更にまた、前記アンテナ部は交互に配置された金属と絶縁体とから成り、前記アンテナ部に通過した前記金属の個数をカウントする検出器を設置し、カウント値から荷物の長さを算出することを特徴とするものである。
【0013】
更にまた、前記アンテナ部のアンテナは交互に濃淡の付いた縞を設け、前記縞の光の反射率により縞の数をカウントし、カウント値から荷物の長さを算出することを特徴とするものである。
【0014】
更にまた、前記アンテナ部はアンテナの長さに沿って交互に異なる磁化部分を設け、前記アンテナ部に前記磁気の強弱を検出し磁気パルスをカウントするセンサーを設置し、カウント値から荷物の長さを算出することを特徴とするものである。
【0015】
また、前記計量手段は前記携帯端末機のアンテナ部の先端に設けた重量センサーを用いて荷物の重量を計量することを特徴とするものである。
【0016】
更にまた、前記重量センサーで荷物の4辺での重力を計量し、該4辺の計量重力より荷物の重量を算出することを特徴とするものである。
【0017】
更にまた、前記重量センサーは、圧電ケーブルセンサーであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
上述したように、本発明の配送システムは、携帯端末機に測定手段と計量手段とを備えることにより荷物の長さや重量を測定することができる。これにより料金算出手段はダウンロードした料金データと荷物の長さ及び重量の測定値とを用いて、配送料金を算出することができる。
【0019】
例えば、携帯端末機にレーザー素子と反射鏡を設置することにより、レーザー素子の発するレーザー光で荷物の長さを測定することができる。これによりメジャーを用いなくとも、容易に長さを測ることができる。
【0020】
また例えば、アンテナ部を金属と絶縁体とで交互に構成し、検出器を設けることにより、金属が検出器を通過する毎にパルス信号を発生させることができる。これにより通過したパルス数のカウントを行い、そのカウント値を用いて荷物の長さを算出することができる。
【0021】
また例えば、アンテナ部のアンテナに濃淡の付いた縞を交互に設けることにより、光の反射率を変化させることができる。これにより縞の数のカウントを行い、カウント値から荷物の長さを算出することができる。
【0022】
また例えば、アンテナ部にアンテナの長さに沿って交互に異なる磁化部分を設けることにより、センサーを用いて磁気の強弱を検出することができる。これにより磁気パルスの数のカウントを行い、そのカウント値を用いて荷物の長さを算出することができる。
【0023】
また例えば、携帯端末機のアンテナ部の先端に重量センサーを設置することにより、荷物底面の4辺における重力を測定することができる。これにより4辺の重力値から荷物の重量を算出することができる。
【0024】
また例えば、重量センサーに圧電ケーブルセンサーを用いることにより、変形に応じた電圧を出力できる。これにより、ケーブルのどの部分でも重量を計量することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に、本発明における実施の形態について、図1〜図7を参照にして詳細に説明する。
【0026】
本発明は、伸縮可能なアンテナを備え、画面表示ができ、メモリー機能及び文字入力機能及び演算機能を備え、インターネットに接続できる任意の携帯端末機、例えば携帯電話機に適用できる。尚、以下ではストレート式の携帯電話機が表示されているが、この形態に限定されるものではなく、例えば、折り畳み可能な携帯電話機の場合でも良い。
【0027】
図1は、本発明の一実施の形態である配送システムの構成図である。
【0028】
図1に示すごとく、配送システムは、運送会社1、携帯電話機2、インターネット4とから構成される。
【0029】
運送会社1は、配達依頼を受けた荷物を配り届ける業務を行う会社であり、少なくともサーバー1a及び料金データを保存したデータベースとを有している。サーバー1aは、少なくとも入力部、表示部、記憶部、演算部とを有し、インターネット4に接続されている。
【0030】
携帯電話機2は、少なくともキー操作部、表示部、記憶部、アンテナ部3、マイコン、レーザー素子2b、反射鏡2cとを有し、インターネット4に接続可能な携帯端末機である。また、携帯電話機2は接続手段201、入力手段202、測定手段203、計量手段204、料金算出手段205、記憶手段206、表示手段207、配信手段208、受信手段209とを有している。尚、本実施の形態の携帯電話機2はレーザー素子2b、反射鏡2cを筐体の下端部に設置しているが、測定する時に安定していれば筐体の上端部に設置しても良い。また、レーザー素子2b、反射鏡2cについては後で詳細に説明する。
【0031】
アンテナ部3は、空間を伝わってきた電波をとらえる装置であり、アンテナ部3の先端には重量センサー3cを設けている。尚、本実施の形態の携帯電話機2はアンテナ部3を筐体の左上部に設置しているが、筐体の外部であれば、筐体の右上部であっても下部であっても良い。また、アンテナ部3の構造、重量センサー3cについては後で詳細に説明する。
【0032】
接続手段201は、運送会社1の所有する料金データのデータベースへインターネット4を介して接続し、携帯電話機2に料金データをダウンロードする手段である。
【0033】
入力手段202は、荷物の配送情報、例えば配送先住所や宛名や配送元の住所等を携帯電話機2のキー操作部を用いて入力する手段である。
【0034】
測定手段203は、アンテナ部3及び筐体の下端部にあるレーザー素子2bと反射鏡2cとを用いて荷物の長さを測定する手段である。尚、測定方法については後で詳細に説明する。
【0035】
計量手段204は、アンテナ部の先端にある重量センサー3cを用いて、荷物の重量を計量する手段である。尚、計量方法については後で詳細に説明する。
【0036】
料金算出手段205は、入力手段202で入力された配送情報と、測定手段203により測定された荷物の長さと、計量手段204により計量された荷物の重量とを用いて、携帯電話機2にダウンロードした運送会社1の料金データをもとに配送に要する料金を算出する手段である。
【0037】
記憶手段206は、入力手段202で入力された配送情報、測定手段203及び計量手段204で測定された値、料金算出手段205で算出された配送料金等を携帯電話機2の記憶部へ記憶する手段である。
【0038】
表示手段207は、入力手段202で入力された配送情報、測定手段203及び計量手段204で測定された値、料金算出手段205で算出された配送料金等を携帯電話機2の表示部に表示する手段である。
【0039】
配信手段208は、インターネット4を介して、入力手段202で入力された配送情報、測定手段203及び計量手段204で測定された値等を運送会社1のサーバー1aへ配信する手段である。
【0040】
受信手段209は、運送会社1が配信手段208の情報をもとにして計画した荷物の集荷情報、例えば集配日時や集配担当者等を携帯電話機2へインターネット4を介して送り出し、その情報を携帯電話機2で受信する手段である。
【0041】
次に図2〜図3を用いて、本発明の一実施の形態である測定手段の検出器よる測定方法を説明する。
【0042】
図2(A)はアンテナの構造を説明する図であり、(B)はアンテナ部のアンテナを用いて荷物の長さを測定する方法を説明する図であり、(C)はアンテナ部のアンテナの長さ方向に沿って付けられた鋸歯状波を説明する図であり、図3は検出器による測定の動作を説明するブロック図である。
【0043】
本実施の携帯電話機2におけるアンテナ部3のアンテナは、アンテナ素材部分3a、アンテナ素材とは異なる物質定数部分3b、検出器5とを有する。
【0044】
アンテナ素材部分3aは、アンテナと同じ素材であり、例えば金属である。
【0045】
アンテナ素材とは異なる物質定数部分3bは、アンテナの表面に塗布されており、アンテナ部分の誘電率や導電率等が異なる素材、例えば絶縁体である。
【0046】
尚、図2(A)に示す如く、表面から見ると金属及び絶縁体は一定間隔で交互にマークされ、可撓性により渦巻いて収納されている。
【0047】
検出器5は、アンテナ部に設置され、例えば2つの電極5a、5bから構成されるマーク検出器である。またマーク検出器5の2つの電極は、アンテナ部3のアンテナを挟むように設置され、電極5a、5b間を通過した金属のマーク数に応じたパルスを発生し、そのパルス数のカウントを行う。
【0048】
図2(B)に示すごとく、荷物の一辺(例えば、横の長さ)を測定する場合には、アンテナ部3の一端を荷物6の一辺の始点6aに合わせる。そして、アンテナ部3のもう一端が荷物6の一辺の終点6bと一致するように、アンテナを伸ばす。アンテナを伸ばし始めた時点よりパルス数のカウントは開始され、終点6b迄伸ばし携帯電話機2のキー操作部にある処理を確定するボタン(例えば確定ボタン2a)を押下する迄、パルス数はカウントされる。
【0049】
その後、パルス数のカウント値を用いて測定した一辺の長さを算出する。算出された測定値は、携帯電話機2の記憶部に自動入力され、表示部へ表示される。同様にして、残りの二辺(この場合は、縦の長さ及び高さ)についても測定を行い、記憶部へ自動入力する。
【0050】
また、携帯電話機2の本体の側面にアンテナ部から連続して目盛りを設け、アンテナの長さでは不足してしまう大きな荷物を測定できるようにしても良く、携帯電話機2のキー操作部を用いて測定値を入力できるようにしても良い。
【0051】
更にまた、携帯電話機2の本体の側面にアンテナ部から連続して目盛りを設け、メジャー付き電話機として使用しても良い。
【0052】
尚、アンテナ部のアンテナにはバネ等により弾性を備えさせ、実寸値より伸ばし過ぎた場合にはアンテナを戻せるようにしても良い。
【0053】
また、図2(C)に示す如く、金属3a及び絶縁体3bを鋸歯状波に設けて、アンテナの伸び縮みを検出波形の時間的変化により判定して加減算を行っても良く、例えば、伸びる場合(+のカウント)には検出波形は段々大きくなり瞬時に減少し、縮む場合(−のカウント)には検出波形は瞬時に上がり徐々に減少する。
【0054】
図3に示すごとく、まず、アンテナを伸ばすと、アンテナの金属3a部分と絶縁体3b部分とから成るマーカがマーク検出器5の電極5a、5b間を通過する。そして、金属3aのマーカがマーク検出器5を通過する度に電極間の静電容量は変化し、この変化の毎にパルスが発生する。そして、発生したパルスの数はカウントされ、携帯電話機2の確定ボタン2aの押下によりカウントは終了し、一辺の長さが確定する。尚、パルス数はアンテナを引き伸ばした距離に比例して発生する。
【0055】
その後、測定手段203により携帯電話機2のマイコンが、以下の数式でアンテナの長さ、すなわち荷物の一辺を算出し、算出結果は記憶部へ自動入力される。
【0056】
【数1】

その後、表示手段207により、携帯電話機2の表示部に算出結果が表示される。
【0057】
次に図4は、本発明の一実施の形態である(A)携帯電話機のレーザー素子及び反射鏡の構造を説明する図、(B)測定手段のレーザーによる測定方法を説明する図である。
【0058】
本実施の携帯電話機2の下端部は、図4(A)に示すごとくレーザー素子2b、反射鏡2cを有する。
【0059】
レーザー素子2bは、レーザー光を発生する素子である。レーザー素子2bは、携帯電話機2の筐体に内蔵されている。
【0060】
反射鏡2cは、発生されたレーザー光を反射するための鏡であり、例えばコーナーキューブプリズムである。コーナーキューブプリズムは、直交した3面の内部全反射を利用してプリズムへ入射する光の方向に関わらず、入射方向へ180°折返すプリズムである。反射鏡2cは、ジャックなどにより携帯電話機2の筐体にはめられており、測定時以外はレーザー素子2bの蓋として用いられる。
【0061】
図4(B)に示すごとく、荷物の一辺(例えば、横の長さ)を測定する場合には、反射鏡2cをはずし、レーザー素子2bからレーザー光を発生させ、レーザー素子2bを荷物6の一辺の始点6aに合わせる。そして、荷物6の一辺の終点6bに反射鏡2cを設置し、レーザー光を反射させる。レーザー素子2bが出力するレーザー光と、前方にある反射鏡2cから反射して戻ってくるレーザー光のパルス信号の差を基に、携帯電話機2のマイコンで荷物の一辺を算出する。そして、携帯電話機2の確定ボタン2aを押下し、記憶部へ自動入力する。同様にして残りの二辺についても測定し、確定ボタン2aを用いて記憶部へ自動入力する。
【0062】
また、本実施の携帯電話機2におけるアンテナ部3のアンテナは交互に濃淡の付いた縞を設ける(図示せず)。図2(A)に示す如く、濃淡の付いた縞を設けたアンテナも同様に可撓性であり、渦巻いて携帯電話機2に収納されている。
【0063】
そして荷物の一辺(例えば、横の長さ)を測定する場合には、アンテナ部3の一端を荷物6の一辺の始点6aに合わせ、アンテナ部3のもう一端を荷物6の一辺の終点6bに合わせる。その後、伸びた状態のアンテナに光をあて反射率を利用して縞の数をカウントし、この値より測定した一辺の長さを算出する。その後、携帯電話機2の確定ボタン2aを押下し、測定値は記憶部へ自動入力される。
【0064】
更にまた、本実施の携帯電話機2におけるアンテナ部3はアンテナの長さに沿って交互に異なる磁化部分を設ける(図示せず)。図2(A)に示す如く、交互に異なる磁化部分を設けたアンテナも同様に可撓性であり渦巻いて携帯電話機2に収納され、センサー、例えば磁気センサーはアンテナ部3に設けられる。磁気センサーは、磁化の強弱を検出し、磁気パルスを発生させる。その後、磁気パルスの数はカウントされ、この値より測定した一辺の長さを算出し、確定ボタン2aの押下により記憶部へ測定値が自動入力される。
【0065】
尚、上述した濃淡の付いた縞及び交互に異なる磁化部分は、図2(C)に示す如く、アンテナ部のアンテナの長さ方向に沿って、例えば光、磁気等の各種の特性の濃淡及び強弱を利用した縞模様を鋸歯状波に設けても良く、そして、アンテナの伸び縮みを検出波形の時間的変化により判定し加減算を行っても良い。
【0066】
次に図5〜図6を用いて、本発明の一実施の形態である計量手段の計量方法を説明する。
【0067】
図5は本発明の一実施の形態である(A)携帯電話機のアンテナ部の構造を説明する図、(B)計量手段による計量方法を説明する図であり、図6は荷物の重量測定法を説明する図である。
【0068】
本実施の携帯電話機2におけるアンテナ部3の先端は、重量センサー3cを有する。
【0069】
重量センサー3cは、荷物6の重量を検知するセンサーであり、例えば圧電センサーやひずみケージや圧電ケーブルセンサーがあり、ここでは圧電ケーブルセンサーを用いる。図5(A)に示すごとく、アンテナ部3の先端が圧電ケーブルセンサー3cにより構成される。圧電ケーブルセンサー3cは、振動や変形による加速度に応じた電圧を出力し、またピエゾ効果により半径方向の圧力に対応した電圧を発生する。これにより重力がかかる方向を考慮せずに容易に計量することができる。
【0070】
荷物を床に置いた場合、床にかかる圧力は荷物の重量に比例する。その為、図5(B)に示すごとく、圧電ケーブルセンサー3cを荷物6の下に置き、圧電ケーブルセンサー3cにかかる電圧を計りマイコンへ送ることで、重量を算出することができる。
【0071】
以下に重量の測定方法について実験例を交えて説明していく。
【0072】
通常は圧電ケーブルセンサー3cを荷物のほぼ重心に置き、荷物の全重量が圧電ケーブルセンサー3cに加わるように荷物の側面を支えて計量を行えば、荷持の重量を求めることができる。
【0073】
尚、荷物の重心が中心から大きくずれ、荷物の重心に圧電ケーブルセンサー3cを置くことが難しい場合には、荷物の4点での重力を測定し、それらの値より荷重Fを算出すれば良い。
【0074】
まず、図6(A)に示すごとく、荷物の底面の一辺における重力Fを測定する。圧電ケーブルセンサー3cに加わる重力Fは以下の数式で求められる。尚、この時、測定している辺と平行に位置する他辺は、床と接している。
【0075】
【数2】

その後、他の三辺についても同様に重力を測定し、測定された4点の重力の値を加算する。加算結果は以下の数式で求められるように荷重Fの2倍となる為、加算結果を2で除算することで荷物の重量を求めることができる。
【0076】
【数3】

次に、荷物の重心が中心から大きくずれている場合の荷重を求める実験を行った。
尚、荷物6を重心で測定した場合の全重量は、27.7kgであった。
【0077】
まず、図6(B)に示すごとく、板7の上に荷物6を中心から外して配置する。
【0078】
荷物6の底辺のほぼ中央部を設置点とし、4辺における設置点1〜設置点4の重力を図6(C)に示すごとく測定する。設置点1は重力F1=14.2kgであり、設置点2は重力F2=13.6kgであり、設置点3は重力F3=13.0kgであり、設置点4は重力F4=14.5kgという測定値を取得した。
【0079】
上述した数3にF1〜F4の測定値をあてはめると、荷重Fは、
F=(F1+F2+F3+F4)/2
=(14.2+13.6+13.0+14.5)/2
=27.6kg
となり、実測値の27.7kgとは4%程度の誤差となる。すなわち理論値と一致しており、荷物底面の4点の重力より荷重を算出できることが言える。
【0080】
尚、圧電ケーブルセンサーは半径5mmの屈曲であっても正常な検出信号を得ることができるため、圧電ケーブルセンサー3cを携帯電話機2のストライプに設け(図示せず)、荷物の重量を測定しても良い。この場合には、荷物を引き上げた時にストライプにかかる圧力や張力が電気信号に変えられ、電気信号が携帯電話機2の本体へと伝えられる。
【0081】
最後に図7は、本発明の一実施の形態である配送システムを説明するフロー図である。
【0082】
まず、接続手段201により運送会社1の所有する料金データをインターネット4を介して携帯電話機2へダウンロードする(ステップS1)。
【0083】
そして、入力手段202により荷物の配送情報、例えば送付先や配送形態を入力する(ステップS2)。尚、配送形態はデフォルトで「普通便」を表示させても良い。
【0084】
そして、測定手段203により、アンテナ部3とマイコンを用いて荷物の三辺(縦、横、高さ)の長さを算出する(ステップS3)。尚、レーザー素子2b及び反射鏡2cを用いて荷物の長さを算出しても良い。
【0085】
そして、計量手段204により、アンテナ部3の重量センサー3cとマイコンを用いて荷物の重力を測定し、荷重を算出する(ステップS4)。
【0086】
そして、料金算出手段205によりステップS1でダウンロードした料金データと、ステップS3及びステップS4で測定した値とマイコンとを用いて、配送料金を算出する(ステップS5)。
【0087】
そして、記憶手段206によりステップS2の配送情報と、ステップS3及びステップS4の測定値と、ステップS5の配送料金等のデータとを携帯電話機2の記憶部に記憶する(ステップS6)。
【0088】
そして、表示手段207によりステップS2の配送情報と、ステップS3及びステップS4の測定値と、ステップS5の配送料金等のデータを携帯電話機2の表示部に記憶する(ステップS7)。
【0089】
そして、配信手段208により運送会社1へステップS6で記憶したデータを配信する(ステップS8)。
【0090】
そして、運送会社1による集荷を依頼するかの判断が行われる(ステップS9)。集荷を依頼する場合は(ステップS9のYes)後続の処理へと続き、依頼しない場合は(ステップS9のNo)処理は終了する。集荷を依頼しない場合とは、例えば送り主で荷物を持ち込む場合や、配送料金の算出までを行いたい場合等を言う。
【0091】
最後に、受信手段209は集荷時間や集荷担当者等の集荷情報を携帯電話機2へ送信し、携帯電話機2が受信した内容を表示部へ表示する(ステップS10)。
【0092】
尚、ステップS9の判断を設けずに、依頼の受けた荷物は全て集荷を行うようにしても良く、この場合にはステップS8の後にステップS10の処理が行われる。
【産業上の利用可能性】
【0093】
以上詳しく説明したとおり、本発明によって携帯端末機、例えば携帯電話機を1つ用いることにより、いつでもどこでも配送したい荷物の長さ及び重量を容易に測定でき、その測定値より配送料金を算出でき、また配送手続をも容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の一実施の形態である配送システムの構成図である。
【図2】本発明の一実施の形態である携帯電話機の(A)アンテナの構造を説明する図、(B)アンテナ部のアンテナを用いて荷物の長さを測定する方法を説明する図、(C)アンテナ部のアンテナの長さ方向に沿って付けられた鋸歯状波を説明する図である。
【図3】本発明の一実施の形態である検出器による測定の動作を説明するブロック図である。
【図4】本発明の一実施の形態である(A)携帯電話機のレーザー素子及び反射鏡の構造を説明する図、(B)測定手段のレーザーによる測定方法を説明する図である。
【図5】本発明の一実施の形態である(A)携帯電話機のアンテナ部の構造を説明する図、(B)計量手段による計量方法を説明する図である。
【図6】本発明の一実施の形態である荷物の重量測定法を説明する図である。
【図7】本発明の一実施の形態である配送システムを説明するフロー図である。
【符号の説明】
【0095】
1 運送会社
1a サーバー
2 携帯電話機
2a 確定ボタン
2b レーザー素子
2c 反射鏡
3 アンテナ部
3a 金属
3b 絶縁体
3c 圧電ケーブルセンサー
4 インターネット
5 マーク検出器
5a、5b 電極
6 荷物
7 板


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともインターネットに接続される携帯端末機と運送会社に設置されているサーバーとからなり、
前記運送会社のサーバーから料金データを前記携帯端末機にダウンロードする接続手段と、
荷物の配送情報を入力する入力手段と、
前記荷物の長さを測定する測定手段と、
前記荷物の重量を計量する計量手段と、
前記配送情報と前記荷物の長さと前記荷物の重量とから前記料金データにより配送に要する料金を算出する料金算出手段と、
前記測定手段と前記計量手段による測定値を記憶部へ記憶する記憶手段と、
前記配送情報と前記測定値と前記料金を表示部に表示する表示手段と、
前記配送情報と前記測定値を前記運送会社のサーバーへ配信する配信手段と、
前記運送会社のサーバーから前記荷物の集配情報を受信する受信手段とを備えることを特徴とする配送システム。
【請求項2】
前記測定手段は前記携帯端末機に設けたレーザー素子を用いて、該レーザー素子の発するレーザー光で荷物の長さを測定することを特徴とする請求項1に記載の配送システム。
【請求項3】
前記測定手段は前記携帯端末機のアンテナ部のアンテナを用いて荷物の長さを測定することを特徴とする請求項1に記載の配送システム。
【請求項4】
前記アンテナ部は交互に配置された金属と絶縁体とから成り、前記アンテナ部に通過した前記金属の個数をカウントする検出器を設置し、カウント値から荷物の長さを算出することを特徴とする請求項3に記載の配送システム。
【請求項5】
前記アンテナ部のアンテナは交互に濃淡の付いた縞を設け、前記縞の光の反射率により縞の数をカウントし、カウント値から荷物の長さを算出することを特徴とする請求項3に記載の配送システム。
【請求項6】
前記アンテナ部はアンテナの長さに沿って交互に異なる磁化部分を設け、前記アンテナ部に前記磁気の強弱を検出し磁気パルスをカウントするセンサーを設置し、カウント値から荷物の長さを算出することを特徴とする請求項3に記載の配送システム。
【請求項7】
前記計量手段は前記携帯端末機のアンテナ部の先端に設けた重量センサーを用いて荷物の重量を計量することを特徴とする請求項1に記載の配送システム。
【請求項8】
前記重量センサーで荷物の4辺での重力を計量し、該4辺の計量重力より荷物の重量を算出することを特徴とする請求項7に記載の配送システム。
【請求項9】
前記重量センサーは、圧電ケーブルセンサーであることを特徴とする請求項7に記載の配送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−240807(P2006−240807A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−57695(P2005−57695)
【出願日】平成17年3月2日(2005.3.2)
【出願人】(803000104)財団法人ひろしま産業振興機構 (70)
【Fターム(参考)】