説明

金属ゲートトランジスタ、集積回路、システム、およびその製造方法

【課題】金属ゲートトランジスタ、集積回路、システム、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】半導体デバイスであって、第1MOS構造は、基板上に配置された第1ゲート誘電体、前記第1ゲート誘電体上に配置された第1仕事関数金属層、および前記第1仕事関数金属層上に配置された第1ケイ化物を含み、且つ第2MOS構造は、前記基板上に配置された第2ゲート誘電体、前記第2ゲート誘電体上に配置された第2仕事関数金属層、および前記第2仕事関数金属層上に配置された第2ケイ化物を含む半導体デバイス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイスに関し、特に、金属ゲートトランジスタ、集積回路、システム、およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路(IC)産業は、急速な成長を遂げている。IC材料と設計の技術の進歩は、各世代が前の世代より、より小型でより複雑な回路を有するICの世代を生み出してきた。しかし、これらの進歩は、ICのプロセスと製造の複雑さを増加させることから、これらの進歩が実現されるために、ICのプロセスと製造に同様な進歩が必要である。
【0003】
ICの発展の途上で、機能密度(即ち、チップ面積当たりの相互接続デバイス数)は、一般的に幾何寸法(即ち、製造プロセスを用いて形成され得る最小部品(または配線))が減少する一方で、増加する。この縮小プロセスは、一般的に、生産効率を上げて、関連するコストを下げることによって、利益を提供する。このような縮小により、比較的高い電力損失値(power dissipation value)も生じるが、これは、例えば相補型金属酸化膜半導体(CMOS)デバイスのような低電力損失デバイスを用いることによって対応することができる。
【0004】
縮小の傾向において、さまざまな材料がCMOSデバイスのゲート電極およびゲート誘電体に用いられてきた。CMOSデバイスは、一般的にゲート酸化物とポリシリコンゲート電極で形成されている。加工寸法(feature sizes)が減少し続けるにつれて、デバイス性能を向上させるために、ゲート酸化物およびポリシリコンゲート電極を、high-k(比誘電率の高い)ゲート誘電体および金属ゲート電極に置き換えるという要求があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
金属ゲートトランジスタ、集積回路、システム、およびその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、基板上に配置された第1ゲート誘電体と、前記第1ゲート誘電体上に配置された第1仕事関数金属層と、前記第1仕事関数金属層上に配置された第1ケイ化物と、を含む第1MOS構造と、前記基板上に配置された第2ゲート誘電体と、前記第2ゲート誘電体上に配置された第2仕事関数金属層と、前記第2仕事関数金属層上に配置された第2ケイ化物と、を含む第2MOS構造と、を備え、前記第1ケイ化物と前記第2ケイ化物とが異なる半導体デバイスを提供する。
【0007】
本発明は、NMOS構造とPMOS構造とを含むCMOSデバイスであって、前記NMOS構造は、基板上に配置された第1ゲート誘電体構造と、前記第1ゲート誘電体構造上に配置され、前記NMOSの第1ゲート電極の仕事関数値を調整するように構成されている第1仕事関数金属層と、前記第1仕事関数金属層上に配置され、前記第1ゲート誘電体構造から分離され、前記NMOS の前記第1ゲート電極の前記仕事関数値を実質的に調整しない第1ケイ化物構造と、を含み、前記PMOS構造は、前記基板上に配置された第2ゲート誘電体構造と、前記第2ゲート誘電体構造上に配置され、前記PMOSの第2ゲート電極の仕事関数値を調整するように構成されている第2仕事関数金属層と、前記第2仕事関数金属層上に配置され、前記第2ゲート誘電体構造から分離され、前記PMOS の前記第2ゲート電極の前記仕事関数値を実質的に調整しない第2ケイ化物構造と、を含み、前記第1ケイ化物構造と第2ケイ化物構造とが異なるCMOSデバイスを提供する。
【0008】
本発明は、N型トランジスタとP型トランジスタとを含む集積回路であって、前記N型トランジスタは、基板上に配置された第1ゲート誘電体構造と、前記第1ゲート誘電体構造上に配置され、前記N型トランジスタのゲート電極の仕事関数値を調整するように構成されている第1n型仕事関数金属層と、前記第1n型仕事関数金属層上に配置され、金属対シリコンの第1組成比を有する第1ケイ化物構造と、を含み、前記P型トランジスタは、前記基板上に配置された第2ゲート誘電体構造と、前記第2ゲート誘電体構造上に配置され、前記P型トランジスタのゲート電極の仕事関数値を調整するように構成されているp型仕事関数金属層と、前記p型仕事関数金属層上に配置され、金属対シリコンの第2組成比を有する第2ケイ化物構造と、を含み、前記第1組成比は前記第2組成比よりも大きい集積回路を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
この開示は、添付の図面を参照して、次の詳細な説明から良く理解される。工業における標準的技法に従って、種々の特徴が縮尺通りに描かれず、図示の目的のためだけに使用されていることを主張する。実際、種々の特徴の寸法は、議論の明確化のために、任意に増加または減少されてよい。
【図1】P型トランジスタおよびN型トランジスタを含む例示的な集積回路を示す概略断面図である。
【図2A】CMOSトランジスタを含む集積回路を形成する例示的なゲートラストプロセスフローを示す概略断面図である。
【図2B】CMOSトランジスタを含む集積回路を形成する例示的なゲートラストプロセスフローを示す概略断面図である。
【図2C】CMOSトランジスタを含む集積回路を形成する例示的なゲートラストプロセスフローを示す概略断面図である。
【図2D】CMOSトランジスタを含む集積回路を形成する例示的なゲートラストプロセスフローを示す概略断面図である。
【図2E】CMOSトランジスタを含む集積回路を形成する例示的なゲートラストプロセスフローを示す概略断面図である。
【図2F】CMOSトランジスタを含む集積回路を形成する例示的なゲートラストプロセスフローを示す概略断面図である。
【図2G】CMOSトランジスタを含む集積回路を形成する例示的なゲートラストプロセスフローを示す概略断面図である。
【図2H】CMOSトランジスタを含む集積回路を形成する例示的なゲートラストプロセスフローを示す概略断面図である。
【図2I】CMOSトランジスタを含む集積回路を形成する例示的なゲートラストプロセスフローを示す概略断面図である。
【図2J】CMOSトランジスタを含む集積回路を形成する例示的なゲートラストプロセスフローを示す概略断面図である。
【図2K】CMOSトランジスタを含む集積回路を形成する例示的なゲートラストプロセスフローを示す概略断面図である。
【図2L】CMOSトランジスタを含む集積回路を形成する例示的なゲートラストプロセスフローを示す概略断面図である。
【図3】基材板(substrate board)上に配置された例示的な集積回路を含むシステムを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
従来、金属ゲート電極を形成する技術は、ゲートファーストプロセスおよびゲートラストプロセスに分類される。ゲートファーストプロセスでは、金属ゲート電極は、トランジスタのソース/ドレイン領域の形成前に形成される。ゲートラストプロセスでは、基板内にソース/ドレイン領域が、層間絶縁膜(ILD)内にダミーゲートが形成される。ダミーゲートは、除去され、層間絶縁膜内に開口が形成される。そして、金属ゲート電極は、開口内に充填される。ゲートファーストおよびゲートラストプロセスは、金属ゲート相補型金属酸化膜半導体(CMOS)トランジスタを形成するのに用いることができる。
【0011】
従来の金属ゲートCMOSトランジスタは、金属ゲートPMOSトランジスタおよび金属ゲートNMOSトランジスタを含む。金属ゲートNMOSおよびPMOSトランジスタの両方は、n型およびp型の仕事関数材料を有する。また、金属ゲートPMOSトランジスタは、p型の仕事関数材料上に配置されたn型の仕事関数材料を含む。CMOSトランジスタは、電気的伝送のための導電性材料としてアルミニウムを用いる。
【0012】
アルミニウムは、p型およびn型の仕事関数材料、high-k誘電体、および/またはトランジスタのチャネル領域の内部に拡散および/または浸透することができることを示す。アルミニウムの拡散を防ぐために、拡散バリア層が仕事関数材料およびアルミニウム間に形成される。従来の拡散バリアは、窒化チタン(TiN)層、チタン(Ti)層、および/または窒化タンタル(TaN)層から構成される。従来の拡散バリアは、約180Åの厚さを有し、これにより、アルミニウムがp型およびn型の仕事関数材料および/またはトランジスタのチャネル領域の内部に拡散するのを防ぐことができる。
【0013】
上述のように、従来のゲートラストプロセスでは、金属ゲート電極を収容する陥凹を形成するために、ダミーゲートを除去する。仕事関数材料、拡散バリア、およびアルミニウムは、陥凹内に順次に形成される。仕事関数材料および拡散バリアは、陥凹の側壁および陥凹の底部に形成される。側壁に形成された仕事関数材料および拡散バリアは、アルミニウムを充填するための陥凹の開口幅を減少する。製造技術が例えば約25nmまたはそれ以下に縮小する場合、狭い陥凹内にアルミニウムを充填することが難しいことがわかっている。
【0014】
また、PMOSトランジスタにおいても、アルミニウムの拡散を低減するために、p型の仕事関数材料が用いられることがわかっている。従来、p型の仕事関数材料は、約150Åの厚さを有する。陥凹の側壁にある厚いp型の仕事関数材料は、アルミニウムを充填するための陥凹の開口幅をさらに減少させ、アルミニウムの充填をより困難にする。
【0015】
これに鑑みて、金属ゲートトランジスタ、集積回路、システム、およびその製造方法が求められる。
【0016】
次の開示は、その開示の異なる特徴を実施するための、多くの異なる実施の形態または実施例を提供することがわかる。本開示を簡素化するために、複数の要素および複数の配列の特定の実施例が以下に述べられる。これらは単に実施例であり、これらに制限されるものではないことは勿論である。また、本開示は、種々の実施例において、参照番号および/または文字を繰り返し用いている。この反復は、簡素化と明確さの目的のためであって、種々の実施の形態および/または議論された構成との間の関係を規定するものではない。また、本開示の別の特徴に接続および/または結合された特徴の形成は、続いて、特徴が直接接触で形成される複数の実施の形態を含むことができ、且つ前記特徴が直接接触でないように、付加的な特徴が前記特徴に介在するように形成された複数の実施の形態を含むこともできる。また、空間的に相対的な用語、例えば"下方""上方""水平""垂直""上の""下の""上""下""上部""底部"などと、その派生語(例えば"水平に""下方に""上方に"など)は、本開示の1つの特徴と別の特徴との関係を簡略化するために用いられる。空間的に相対的な用語は、特徴を含むデバイスの異なる方向をカバーすることを意図している。
【0017】
図1は、P型トランジスタおよびN型トランジスタを含む例示的な集積回路を示す概略断面図である。図1では、集積回路100は、基板上101に配置されたN型トランジスタ(NMOS)100aおよびP型トランジスタ(PMOS)100bを含むことができる。いくつかの実施例では、集積回路100は、CMOSトランジスタ、メモリアレイ、ロジック回路、デジタル回路、アナログ回路、他の回路、および/またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0018】
基板101は、結晶、多結晶、または非結晶構造のシリコンまたはゲルマニウムを含む元素半導体、炭化ケイ素、ガリウムヒ素、ガリウムリン、リン化インジウム、ヒ化インジウム、およびアンチモン化インジウムを含む化合物半導体、シリコンゲルマニウム(SiGe)、ガリウムヒ素リン(GaAsP)、アルミニウムインジウムヒ素(AlInAs)、アルミニウムガリウムヒ素(AlGaAs)、ヒ化ガリウムインジウム(GaInAs)、リン化ガリウムインジウム(GaInP)、およびヒ化リン化インジウムガリウム(GaInAsP)を含む合金半導体、任意の他の好適な材料、またはこれらの組み合わせを含む。1つの実施形態では、合金半導体基板は、SiおよびGeの組成がSiGeの第1の位置における第1の比率から第2の位置における第2の比率に変わる傾斜特性を持つSiGeを有することができる。もう1つの実施形態では、合金SiGeは、シリコン基板上に形成される。もう1つの実施例では、SiGe基板は、歪んでいる。また、半導体基板は、例えばシリコンオンインシュレーター(SOI)などの絶縁膜上に形成された半導体(semiconductor on insulator)、または薄膜トランジスタ(TFT)でもよい。いくつかの実施例では、半導体基板は、ドープされたエピ層または埋め込み層を含むことができる。他の実施例では、化合物半導体基板は、多層構造を有することができるか、または基板は、多層化合物半導体構造を含むことができる。
【0019】
図1に示すように、集積回路100は、基板101内に形成されたPウェル領域102およびNウェル領域103を含むことができる。Pウェル領域102およびNウェル領域103は、N型トランジスタ100aおよびP型トランジスタ100bのチャネル領域をそれぞれ提供するように構成される。
【0020】
集積回路100は、N型トランジスタ100aおよびP型トランジスタ100bの間に配置された分離構造104を含むことができる。分離構造104は、N型トランジスタ100aをP型トランジスタ100bから分離することができる。いくつかの実施例では、分離構造104は、シャロートレンチアイソレーション(STI)構造、シリコンの局所的酸化(local oxidation of silicon ;LOCOS)構造、または他の分離構造とすることができる。
【0021】
いくつかの実施例では、P型トランジスタ100bは、p型ソース/ドレイン領域107aおよび107bに隣接してそれぞれ配置された、シリコンゲルマニウム(SiGe)構造105aおよび105bを含むことができる。p型ソース/ドレイン領域107aおよび107bは、P型トランジスタ100bのチャネル領域に隣接して配置されてもよい。N型トランジスタ100aは、N型トランジスタ100aのチャネル領域に隣接して配置されたn型ソース/ドレイン領域106aおよび106bを含むことができる。
【0022】
いくつかの実施例では、n型ソース/ドレイン領域106aおよび106bは、ヒ素(As)、リン(P)、他のV族元素、またはこれらの組み合わせなどのドーパントを有することができる。p型ソース/ドレイン領域107aおよび107bは、ホウ素(B)または他のIII族元素などのドーパントを有することができる。他の実施例では、p型ソース/ドレイン領域は、低抵抗のためにケイ化物(silicide)を含むことができる。ケイ化物は、ニッケルシリサイド(NiSi)、ケイ化ニッケル−白金(NiPtSi)、 ケイ化ニッケル−白金−ゲルマニウム(NiPtGeSi)、 ケイ化ニッケル−ゲルマニウム(NiGeSi)、ケイ化イッテルビウム(YbSi)、ケイ化白金(PtSi)、ケイ化イリジウム(IrSi)、ケイ化エルビウム(ErSi)、ケイ化コバルト(CoSi)、他の好適な材料、および/またはこれらの組み合わせなどの材料を含んでもよい。ケイ化物を作製するのに用いられる材料は、スパッタリングおよび蒸着などの物理気相成長法(PVD)、めっき、プラズマCVD(PECVD)、常圧CVD(APCVD)、低圧CVD(LPCVD)、高密度プラズマCVD(HDPCVD)、および原子層CVD(ALCVD)などの化学気相成長法、他の好適な成長法、および/またはこれらの組み合わせを用いて堆積することができる。堆積後、サリサイド化プロセスは、特定の材料に基づき選ばれた高温下で、堆積された材料とドープ領域との間において反応させることで続けることができる。これは、アニーリングとも呼ばれ、急速熱処理(rapid thermal process;RTP)を含むことができる。反応したケイ化物は、単一ステップのRTPまたは複数ステップのRTPによって形成されてもよい。
【0023】
図1に示すように、少なくとも1つの誘電体層108は、基板101上に配置される。誘電体層108は、酸化物、窒化物、酸窒化物、low-k誘電体材料、超low-k誘電体材料、極low-k誘電体材料、他の誘電体材料、および/またはこれらの組み合わせなどの材料を含んでもよい。誘電体層108は、例えば、CVDプロセス、HDP CVDプロセス、高アスペクト比プロセス(HARP)、スピンコーティングプロセス、他の堆積プロセス、および/またはこれらの任意の組み合わせによって形成することができる。いくつかの実施例では、誘電体層108は、層間誘電体(ILD)と呼ばれる。他の実施例では、追加の誘電体層(図示されていない)は、誘電体層108の下方または上方に形成されてもよい。
【0024】
いくつかの実施例では、スペーサ109aと109bは、N型トランジスタ100aおよびP型トランジスタ100bのゲート構造に隣接してそれぞれ配置される。スペーサ109aと109bは、酸化物、窒化物、酸窒化物、および/または他の誘電体材料などの材料を含んでよい。
【0025】
N型トランジスタ100aは、基板101上に配置されたゲート誘電体構造110aを含むことができる。n型仕事関数金属層130aは、ゲート誘電体構造110a上に配置される。n型仕事関数金属層130aは、N型トランジスタ100aのゲート電極の仕事関数値を調整するように構成することができる。ケイ化物構造140aは、n型仕事関数金属層130a上に配置される。ケイ化物構造140aは、ゲート誘電体構造110aから分離され、N型トランジスタ100aのゲート電極の仕事関数値を実質的に変化させることはない。25nm技術を用いたいくつかの実施例では、ケイ化物構造140aは、約30Åまたはそれ以上の距離によってゲート誘電体構造110aから分離されている。
【0026】
P型トランジスタ100bは、基板101上に配置されたゲート誘電体構造110を含むことができる。p型仕事関数金属層120は、ゲート誘電体構造110b上に配置される。p型仕事関数金属層120は、P型トランジスタ100bのゲート電極の仕事関数値を調整するように構成することができる。n型仕事関数金属層130bは、p型仕事関数金属層120上に配置される。ケイ化物構造140bは、n型仕事関数金属層130b上に配置される。ケイ化物構造140bは、ゲート誘電体構造110bから分離され、P型トランジスタ100bのゲート電極の仕事関数値を実質的に変化させることはない。25nm技術を用いたいくつかの実施例では、ケイ化物構造140bは、約30Åまたはそれ以上の距離によってゲート誘電体構造110bから分離されている。
【0027】
図1に示すように、ゲート誘電体構造110aおよび110bのそれぞれは、単一層または多層構造とすることができる。いくつかの実施例では、ゲート誘電体構造110aおよび110bのそれぞれは、界面層(例えば、酸化ケイ素層)および界面層上に配置されたhigh-k誘電体層を含むことができる。いくつかの実施例では、high-k誘電体層は、HfO2、HfSiO、HfSiON、HfTaO、HfTiO、HfZrO、他の好適な高誘電体材料、および/またはこれらの組み合わせを含むことができる。また、high-k材料は、金属酸化物、金属窒化物、金属ケイ酸塩、遷移金属酸化物、遷移金属窒化物、遷移金属ケイ酸塩、金属酸窒化物、金属アルミネート、ケイ酸ジルコニウム、アルミン酸ジルコニウム、(zirconium aluminate)、 酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化{さんか}アルミニウム、二酸化ハフニウムアルミナ(hafnium dioxide-alumina;HfO2-Al2O3)合金、他の好適な材料、および/またはこれらの組み合わせから選択することができる。high-k誘電体層は、原子層堆積(ALD)、化学気相成長(CVD)、物理気相成長(PVD)、リモートプラズマCVD(RPCVD)、プラズマCVD(PECVD)、有機金属CVD(MOCVD)、スパッタリング、蒸着、他の好適なプロセス、および/またはこれらの組み合わせなどの任意の好適なプロセスによって形成される。
【0028】
p型仕事関数金属層120は、金属、金属炭化物、金属窒化物、トランジスタに所望の仕事関数を付与できる他の材料などの材料を含むことができる。いくつかの実施例では、p型仕事関数金属層120は、ルテニウム、パラジウム、白金、コバルト、ニッケル、および導電性金属酸化物(例えば酸化{さんか}ルテニウム)、P型トランジスタ103のゲート電極の仕事関数値を調整できる他のp型金属材料、またはこれらの組み合わせなどの材料を含むことができる。他の実施例では、p型仕事関数金属層120は、TiNを含むことができる。p型仕事関数金属層120は、P型トランジスタ100bのゲート電極に約4.8eVまたはそれ以上の仕事関数値を付与することができる。いくつかの実施例では、p型仕事関数金属層120は、約100Åまたはそれ以上の底部厚さ"a"を有することができる。25nm技術を用いたいくつかの実施例では、p型仕事関数金属層120は、約30Åの底部厚さ"a"を有することができる。
【0029】
n型仕事関数金属層130aおよび130bは、金属、金属炭化物、金属窒化物、トランジスタに所望の仕事関数を付与できる他の材料などの材料を含むことができる。いくつかの実施例では、n型仕事関数金属層130aおよび130bは、ハフニウム、ジルコニウム、チタン、タンタル、アルミニウム、金属炭化物、N型トランジスタ102のゲート電極の仕事関数値を調整できる他のn型金属材料、またはこれらの組み合わせなどの材料を含むことができる。他の実施例では、n型仕事関数金属層130aおよび130bは、TiAlを含むことができる。N型仕事関数金属層130aは、N型トランジスタ100aに約4.5eVまたはそれ以下の仕事関数値を付与することができる。いくつかの実施例では、n型仕事関数金属層130aは、約30Åの底部厚さ"b"を有することができる。
【0030】
図1に示すように、ケイ化物構造140aおよび140bは、電気的伝送を提供するように構成される。ケイ化物構造140aおよび140bは、シリサイド線(silicide lines)、シリサイドバルク(silicide bulks)、シリサイドプラグ(silicide plug)、および/または他の形状のケイ化物を含むことができる。いくつかの実施例では、各ケイ化物構造140aおよび140bの実質的に全部がケイ化物材料である。上述のように、ケイ化物構造140aおよび140bは、ゲート誘電体構造110aおよび110bから分離されることが望ましい。N型トランジスタ100aおよびP型トランジスタ100bの仕事関数は、ケイ化物構造140aおよび140bによってそれぞれ実質的に影響および/または調整されないようにすることができる。
【0031】
いくつかの実施例では、ケイ化物構造140aおよび140bは、ニッケルシリサイド(NiSi)、ケイ化ニッケル−白金(NiPtSi)、ケイ化ニッケル−白金−ゲルマニウム(NiPtGeSi)、ケイ化ニッケル−ゲルマニウム(NiGeSi)、ケイ化イッテルビウム(YbSi)、ケイ化白金(PtSi)、ケイ化イリジウム(IrSi)、ケイ化エルビウム(ErSi)、ケイ化コバルト(CoSi)、ケイ化チタン(TiSi)、他の好適な材料、および/またはこれらの組み合わせなどの材料を含んでもよい。ケイ化物を作製するのに用いられる材料は、スパッタリングおよび蒸着などの物理気相成長法(PVD)、めっき、プラズマCVD(PECVD)、常圧CVD(APCVD)、低圧CVD(LPCVD)、高密度プラズマCVD(HDPCVD)、および原子層CVD(ALCVD)などの化学気相成長法、他の好適な成長法、および/またはこれらの組み合わせを用いて堆積することができる。堆積後、サリサイド化プロセスは、特定の材料に基づき選ばれた高温下で、堆積された材料とドープ領域との間において反応させることで続けることができる。これは、アニーリングとも呼ばれ、急速熱処理(rapid thermal process;RTP)を含むことができる。反応したケイ化物は、単一ステップのRTPまたは複数ステップのRTPによって形成されてもよい。
【0032】
ケイ化物構造140aおよび140bは、N型トランジスタ100aのチャネル領域およびP型トランジスタ100bのチャネル領域にそれぞれ歪みを付与するように構成される。N型トランジスタ100aのチャネル領域およびP型トランジスタ100bのチャネル領域にそれぞれ異なる歪みを与えるために、ケイ化物構造140aの応力を、ケイ化物構造140bの応力と異なるようにしてもよい。例えば、ケイ化物構造140aは、圧縮応力を有し、ケイ化物構造140bは、中立(neutral)応力または引張応力を有する。ケイ化物構造140aの材料は、ケイ化物構造140bの材料と異なり、N型トランジスタ100aのチャネル領域およびP型トランジスタ100bのチャネル領域にそれぞれ異なる歪みを与えることができる。1つの実施例では、ケイ化物構造140aおよびケイ化物構造140bは、異なるケイ化物、例えば、ケイ化コバルトおよびケイ化ニッケルから形成される。他の実施例では、ケイ化物構造140aおよびケイ化物構造140bは、異なる組成比(金属対シリコンの比率)を有する同じケイ化物、例えば、Co2Si/CoSi/CoSi2またはNi2Si/NiSi/NiSi2から形成される。1つの実施例では、引張応力がN型トランジスタ100aのチャネル領域に加えられ、中立応力がP型トランジスタ100bのチャネル領域に加えられる。もう1つの実施例では、引張応力がN型トランジスタ100aのチャネル領域に加えられ、圧縮応力がP型トランジスタ100bのチャネル領域に加えられる。
【0033】
なお、図1に関連した上述の構造は、例示的なものであるに過ぎない。相互接続構造(図示されていない)は、電気的接続のために、誘電体層108上に形成されてもよい。相互接続構造は、さまざまな誘電体材料、ビア構造、金属配線、シングルダマシン構造、デュアルダマシン構造、不動態化(passivation)、他の所望の半導体構造、および/またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0034】
上述のように、従来の金属ゲートCMOSトランジスタは、アルミニウムを電気的送電のゲート電極バルクとして用いている。アルミニウムは、p型仕事関数材料、high-k誘電体、および/またはCMOSトランジスタのチャネル領域内に拡散するおそれがある。従来の金属ゲートCMOSトランジスタは、例えばTiN、Ti、および/またはTaNの拡散障壁を用い、Alがn型またはp型仕事関数材料、high-k誘電体、および/またはトランジスタのチャネル領域内に拡散および/または浸透するのを防ぐ。
【0035】
従来の金属ゲートCMOSトランジスタとは逆に、集積回路100は、電気的伝送および/またはストレッサ(stressor)のための金属バルクとして、Alの代わりにケイ化物構造140aおよび140bを用いる。Alを導電材料として用いないことで、アルミニウムの拡散が実質的に排除される。集積回路100は、仕事関数金属層130aおよび130bおよびケイ化物構造140aおよび140bの間の拡散障壁(例えばTiN、Ti、および/またはTaN)をそれぞれ含まないことができる。
【0036】
ケイ化物構造140aおよび140bは、N型トランジスタ100aおよびP型トランジスタ100bのチャネル領域に異なる歪みを付与することができる。ケイ化物構造140aは、N型トランジスタ100aのチャネル領域に引張歪みを与えて、N型トランジスタ100aのチャネル領域内の電子移動度を上げることができる。ケイ化物構造140bは、P型トランジスタ100bのチャネル領域に圧縮または中立歪みを与えて、P型トランジスタ100bのチャネル領域内の電子移動度を上げるか、または少なくとも実質的に下げないことができる。
【0037】
図2A〜2Lは、ゲートラストCMOSトランジスタを形成する例示的なプロセスフローを示す概略断面図である。図1の中の要素と同じである図2A〜2Lの要素は、100を加えた同じ参照番号によって示される。
【0038】
図2Aに示すように、ダミーゲート211aおよび211bは、ゲート誘電体構造210aと210b上にそれぞれ形成される。ダミーゲート211aおよび211bは、例えば、シリコン、ポリシリコン、アモルファスシリコン、および誘電体材料208およびスペーサ209aおよび209bに対して望ましいエッチング速度(etch rate)を有する他の材料などの材料を含むことができる。ダミーゲート211aおよび211bは、堆積、フォトリソグラフィーパターニング、エッチングプロセス、および/またはこららの組み合わせによって形成される。堆積プロセスは、CVD、ALD、他の好適な方法、および/またはこれらの組み合わせを含むことができる。フォトリソグラフィーのパターニングプロセスは、フォトレジストコーティング(例えばスピンオンコーティング)、ソフトベーキング(soft baking)、マスク位置合わせ(mask aligning)、露光、露光後ベーキング、フォトレジスト現像、洗浄、乾燥(例えばハードベーキング)、他の好適なプロセス、および/またはこれらの組み合わせを含むことができる。フォトリソグラフィーの露光プロセスは、マスクレスフォトリソグラフィー、電子ビーム描画、および分子インプリントなどの他の適当な方法によって実行または代替されてもよい。エッチングプロセスは、ドライエッチング、ウェットエッチング、および/または他のエッチング方法(例えば、反応性イオンエッチング)を含むことができる。エッチングプロセスは、純化学的(プラズマエッチング)、純物理的(イオンミリング)、および/またはこれらの組み合わせのいずれかであってもよい。
【0039】
図2Bでは、ダミーゲート211aおよび211b(図2Aに示される)は、実質的に除去され、開口212aおよび212bをそれぞれ形成する。ダミーゲート211aおよび211bは、例えばウェットエッチングプロセス、ドライエッチングプロセス、他の除去プロセス、および/またはこれらの組み合わせによって除去される。いくつかの実施例では、ゲート誘電体構造210aと210bは、high-k誘電体材料上に配置される少なくとも1つのキャップ層(図示されていない)を含むことができる。キャップ層は、ダミーゲート211aおよび211bを除去するプロセスによって損傷を受けることからhigh-k誘電体材料を実質的に保護することができる。いくつかの実施例では、キャップ層は、TiN、TaN、除去プロセスに耐えることができる他の好適な材料、および/またはこれらの組み合わせなどの材料を含むことができる。
【0040】
図2Cに示すように、保護層(図示されていない)およびp型仕事関数材料220は、図2Bに示された構造上に形成される。例えばTaNの保護層は、p型仕事関数金属層220aを形成する後のプロセスの間、下方の構造を保護することができる。p型仕事関数材料220は、P型トランジスタ200bのゲート電極に所望の仕事関数値を付与することができる。保護材料およびp型仕事関数材料220は、原子層堆積(ALD)、化学気相成長(CVD)、物理気相成長(PVD)、リモートプラズマCVD(RPCVD)、プラズマCVD(PECVD)、有機金属CVD(MOCVD)、スパッタリング、蒸着、他の好適なプロセス、および/またはこれらの組み合わせなどの任意の好適なプロセスによって形成される。
【0041】
図2Dでは、P型トランジスタ200bの領域を覆うように、また、開口212bを充填するように(図2Cに示されるように)、誘電体材料221a(例えば、スピンオンガラス(SOG))が形成される。フォトレジスト221bは、誘電体材料221a上に形成される。誘電体材料221aおよび/またはフォトレジスト221bは、P型トランジスタ200bのp型仕事関数材料220をパターニングするのに形成される。誘電体材料221aおよびフォトレジスト221bは、例えばスピンオンプロセス、フォトリソフラフィプロセス、およびエッチングプロセスによって形成される。
【0042】
図2Eでは、誘電体材料221aおよびフォトレジスト221bによって覆われていない(図2Dに示す)p型仕事関数材料220の部分を除去して、p型仕事関数金属層220aを形成する。p型仕事関数金属層220aを形成した後、誘電体材料221aおよびフォトレジスト221bは、ウェットエッチングプロセス、ドライエッチングプロセス、および/またはこれらの組み合わせによって除去され、p型仕事関数金属層220aを露出することができる。
【0043】
図2Fでは、n型仕事関数材料230は、図2Eに示された構造上に形成される。n型仕事関数材料230は、N型トランジスタ200aのゲート電極に所望の仕事関数値を付与することができる。n型仕事関数材料230は、原子層堆積(ALD)、化学気相成長(CVD)、物理気相成長(PVD)、リモートプラズマCVD(RPCVD)、プラズマCVD(PECVD)、有機金属CVD(MOCVD)、スパッタリング、蒸着、他の好適なプロセス、および/またはこれらの組み合わせなどの任意の好適なプロセスによって形成される。
【0044】
図2Gでは、シリコン材料235(例えばポリシリコン、またはアモルファスシリコン)が、n型仕事関数材料230上に形成されて、開口212aおよび212b(図2Fに示される)が充填される。シリコン材料235は、高密度プラズマCVD(HDPCVD)、原子層CVD(ALCVD)などのCVDプロセスによって形成される。
【0045】
図2Hでは、除去プロセス250によってシリコン材料235の部分を除去することで、シリコンバルク235aおよび235bの上表面(符号は記載されていない)を誘電材料208の上表面208aと実質的に同じ高さとなるようにすることができる。除去プロセス250は、化学機械研磨(CMP)プロセス、ドライエッチングプロセス、ウェットエッチングプロセス、および/またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0046】
図2Iでは、除去プロセス260によって、シリコンバルク235aの部分を陥凹させることで、シリコンバルク235aの上表面236aを所定の距離だけ誘電体材料208の上表面208aよりも低くすることができる。シリコンバルク235bは、シリコンバルク235bが除去プロセス260中に除去されるのを防ぐために、フォトレジストパターン236bによって覆われている。これにより、陥凹したシリコンバルク235aは、シリコンバルク235bよりも薄くなる。陥凹したシリコンバルク235aの高さは、シリコンバルク235bの高さの約1/6〜約1/2とすることができる。除去プロセス260は、例えばドライエッチングプロセスを含むことができる。
【0047】
図2Jに示すように、金属材料237とキャップ層238は、フォトレジストパターン236bを除去した後、陥凹したシリコンバルク235a、シリコンバルク235b、および誘電体材料208上に順次に形成される。金属材料237の高さは、陥凹したシリコンバルク235aの高さの約1/2〜約2倍とすることができる。金属材料237は、ニッケル(Ni)、ニッケル−白金(NiPt)、ニッケル−白金−ゲルマニウム(NiPtGe)、ニッケル−ゲルマニウム(NiGe)、イッテルビウム(Yb)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、エルビウム(Er)、コバルト(Co)、チタン(Ti)、他の好適な材料、および/またはこれらの組み合わせなどの材料を含んでよい。ケイ化物構造を形成するために用いられる金属材料237は、スパッタリング、蒸着、めっき、プラズマCVD(PECVD)、常圧CVD(APCVD)、低圧CVD(LPCVD)、高密度プラズマCVD(HDPCVD)、原子層CVD(ALCVD)、他の好適な堆積プロセス、またはこれらの組み合わせを用いて堆積される。キャップ層238は、TiN、TaN、他の好適な導電材料、および/またはこれらの組み合わせなどの材料を含むことができる。キャップ層238は、CVD、PVD、ALD、および/または他の好適なプロセスによって形成される。
【0048】
図2Kでは、熱処理(thermal process)270によって金属材料237を陥凹したシリコンバルク235aおよびシリコンバルク235bと反応させることで、ケイ化物構造240aと240bを形成する。いくつかの実施例では、熱処理270によって、シリコンバルク235aおよび235bの実質的に全部を金属材料237と反応させてケイ化物構造240aと240bを形成することができる。熱処理270は、金属材料237に基づいて選ばれた高温下で実施される。いくつかの実施例では、熱処理270はアニーリングと呼ばれ、急速熱処理(RTP)を含むことができる。反応したケイ化物は、単一ステップのRTPまたは複数ステップのRTPによって形成されてもよい。
【0049】
ケイ化物構造240aと240bは、ケイ化物構造240aと240b の材料が異なることにより、N型トランジスタ(NMOS)100aおよびP型トランジスタ(PMOS)100bのチャネル領域に異なる歪みをそれぞれ付与することができる。1つの実施例では、ケイ化物構造240aとケイ化物構造240bの金属対シリコンの組成比は、陥凹したシリコンバルク235aとシリコンバルク235bの高さが異なるため、異なる。もう1つの実施例では、ケイ化物構造240aとケイ化物構造240bの金属は、金属材料237に異なる金属を用いてケイ化物構造240aと240bを形成するため、異なる。ケイ化物構造240aは、ケイ化物構造240bの組成比より高い金属対シリコンの組成比を有することができる。例えば、ケイ化物構造240aと240bは、金属材料237にニッケルを用いることで、それぞれNi2Si およびNiSi2とすることができる。Ni2Siは、n型仕事関数金属層230aによって定義された所定の空間より大きい初期体積を有する。これにより、Ni2SiはN型トランジスタ100aのチャネル領域に引っ張り歪みを形成するための圧縮応力を有し、N型トランジスタ100aのチャネル領域の電子移動度を上げる。NiSi2は、p型仕事関数金属層230bによって定義された所定の空間より小さい、または同様の初期体積を有する。これにより、NiSi2はP型トランジスタ100bのチャネル領域に圧縮歪みまたは中立歪みを形成することができる引張応力または中立応力を有し、P型トランジスタ100bのチャネル領域の正孔移動度を上げるか、または実質的に下げない。
【0050】
ケイ化物構造240aは、Ni2Si、Co2Si、NiSi、CoSi、Ti5Si3、TiSi、またはこれらの組み合わせを含むことができる。ケイ化物構造240bは、NiSi2、NiSi、CoSi2、CoSi、TiSi、TiSi2、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0051】
ケイ化物構造240aの初期体積はケイ化物構造240bの初期体積よりも大きいため、上表面241aは、上表面241bよりも高くなる。なお、金属材料237は、誘電体材料208と実質的に相互作用しない材料である。ケイ化物は、誘電体材料208と金属材料237との間に形成されることはない。いくつかの実施例では、図2H〜2Kに関連した上述のプロセスを含むサリサイド化プロセスは、選択的なサリサイド化プロセスと呼ばれる。
【0052】
図2Lに示すように、除去プロセス280によって、キャップ層238と金属材料237の未反応部分を除去する。除去プロセス280は、ウェットエッチングプロセス、ドライエッチングプロセス、CMPプロセス、および/またはこれらの任意の組み合わせを含むことができる。
【0053】
上述のように、図2A〜2Lに関連した上述の方法は、電気的伝送のためのケイ化物構造240aおよび240bを形成することができる。また、上述のように、ケイ化物構造240aおよび240bは、N型トランジスタ100aおよびP型トランジスタ100bのチャネル領域に異なる歪みをそれぞれ付与し、N型トランジスタ100aおよびP型トランジスタ100bのチャネル領域の電子移動度および正孔移動度を上げることができる。
【0054】
なお、図2A〜2Lに関連した上述の方法は、例示的なものに過ぎない。当業者は、本方法の流れを変えて所望の金属ゲートトランジスタを形成することができる。例えば、フォトレジスト221bだけを用いてp型仕事関数金属層220aを形成するのが望ましい場合、誘電材料221aを形成するプロセスを省くことができる。
【0055】
他の実施例では、P型トランジスタ220bは、p型仕事関数金属層230bを含まない。いくつかの実施例では、追加のフォトリソグラフィープロセス、エッチングプロセス、および/または洗浄プロセスは、N型トランジスタ220aにn型仕事関数金属層230aを形成するためだけに用いられる。
【0056】
また、他の実施例では、シリコンバルク235aを陥凹する除去プロセス260は、省略することができる。いくつかの実施例では、誘電体材料208の上表面208aは、それぞれケイ化物構造240aおよび240bの上表面241aおよび241bと実質的に同じ高さであるか、またはそれより高くすることができる。
【0057】
図3は、基材板(substrate board)上に配置された例示的な集積回路を含むシステムを示す概略図である。図3では、システム300は、基材板301上に配置された集積回路302(図示されていない)を含むことができる。基材板301は、プリント回路板(PCB)、プリント配線板、および/または集積回路を搭載(carrying)できる他のキャリアを含むことができる。集積回路302は、図1に関連して上述の集積回路100と同様とすることができる。集積回路302は、基材板301と電気的に接続される。いくつかの実施例では、集積回路302は、バンプ305によって基材板301と電気的に接続される。他の実施例では、集積回路302は、ワイヤボンディングによって基材板301と電気的に接続される。システム300は、コンピュータ、無線通信デバイス、コンピュータ周辺機器、娯楽機器などの一部とすることができる。
【0058】
いくつかの実施例では、集積回路302を含むシステム300は、単一のIC、いわゆるシステムオンチップ(SOC)または集積回路システム(system on integrated circuit ; SOIC)に全システムを提供できる。これらのSOCデバイスは、単一の集積回路に、例えば、携帯電話、PDA、デジタルVCR、デジタルカムコーダー、デジタルカメラ、MP3プレーヤーなどを実行するために必要な全ての回路を提供することができる。
【0059】
以上、当業者が本開示の態様をより理解できるように幾つかの実施の形態の特徴を概説した。当業者は、本開示を、ここで採用された実施の形態の、同じ目的を実行しおよび/または同じ利点を達成するために他のプロセスおよび構造を設計又は改変するための基礎として、容易に使用できることが分かる。本開示の精神及び範囲を逸脱しない限りにおいては、当業者であればそのような等価な構成を達成することが可能であり、当業者は、本開示の精神および範囲を逸脱せずに、ここで種々の変更、代替、および改変をするだろう。
【符号の説明】
【0060】
100、200 集積回路
100a、200a n型トランジスタ
100b、200b p型トランジスタ
101、201 基板
102、202 Pウェル領域
103、203 Nウェル領域
104、204 分離構造
105a、105b、205a、205b シリコンゲルマニウム(SiGe)構造
106a、106b、206a、206b n型ソース/ドレイン領域
107a、107b、207a、207b p型ソース/ドレイン領域
108、208 誘電体層
109a、109b、209a、209b スペーサ
110a、110b、210a、210b ゲート誘電体構造
120、220a〜p p型仕事関数金属層
130a、130b、230a、230b n型仕事関数金属層
140a、140b、240a、240b ケイ化物構造
208a、236a、241a、241b 上表面
211a、211b ダミーゲート
212a、212b 開口
220 p型仕事関数材料
221a 誘電体材料
221b フォトレジスト
230 n型仕事関数材料
235 シリコン層
235a、235b シリコンバルク
236b フォトレジストパターン
237 金属層
238 キャップ層
250、260、280 除去プロセス
270 熱処理
a、b 底部厚さ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に配置された第1ゲート誘電体と、
前記第1ゲート誘電体上に配置された第1仕事関数金属層と、
前記第1仕事関数金属層上に配置された第1ケイ化物と、を含む第1MOS構造と、
前記基板上に配置された第2ゲート誘電体と、
前記第2ゲート誘電体上に配置された第2仕事関数金属層と、
前記第2仕事関数金属層上に配置された第2ケイ化物と、を含む第2MOS構造と、を備え、
前記第1ケイ化物と前記第2ケイ化物とが異なる、
半導体デバイス。
【請求項2】
前記第1および前記第2ケイ化物は、前記第1および前記第2ゲート誘電体から分離され、前記第1および前記第2MOS構造の仕事関数値に実質的に影響を及ぼさない請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項3】
前記第1ケイ化物は、金属対シリコンの第1組成比を有し、前記第2ケイ化物は、金属対シリコンの第2組成比を有し、前記第1組成比は、前記第2組成比よりも大きい請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項4】
前記第1ケイ化物は、Ni2Si、Co2Si、NiSi、CoSi、Ti5Si3、TiSi、またはこれらの組み合わせから構成されるグループから選ばれ、且つ前記第2ケイ化物は、NiSi2、NiSi、CoSi2、CoSi、TiSi、TiSi2、またはこれらの組み合わせから構成されるグループから選択される請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項5】
前記第1ケイ化物は、圧縮応力を有し、前記第2ケイ化物は、引張応力または中立応力を有する請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項6】
前記第1および前記第2ケイ化物の周りの誘電体材料を更に含み、前記誘電材料の上表面は、前記第1および第2ケイ化物構造の上表面と実質的に同じ高さであるか、それより高い請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項7】
NMOS構造とPMOS構造とを含むCMOSデバイスであって、
前記NMOS構造は、
基板上に配置された第1ゲート誘電体構造と、
前記第1ゲート誘電体構造上に配置され、前記NMOSの第1ゲート電極の仕事関数値を調整するように構成されている第1仕事関数金属層と、
前記第1仕事関数金属層上に配置され、前記第1ゲート誘電体構造から分離され、前記NMOS の前記第1ゲート電極の前記仕事関数値を実質的に調整しない第1ケイ化物構造と、を含み、
前記PMOS構造は、
前記基板上に配置された第2ゲート誘電体構造と、
前記第2ゲート誘電体構造上に配置され、前記PMOSの第2ゲート電極の仕事関数値を調整するように構成されている第2仕事関数金属層と、
前記第2仕事関数金属層上に配置され、前記第2ゲート誘電体構造から分離され、前記PMOS の前記第2ゲート電極の前記仕事関数値を実質的に調整しない第2ケイ化物構造と、を含み、
前記第1ケイ化物構造と第2ケイ化物構造とが異なる、
CMOSデバイス。
【請求項8】
前記第1ケイ化物構造は、Ni2Si、Co2Si、NiSi、CoSi、Ti5Si3、TiSi、またはこれらの組み合わせから構成されるグループから選ばれ、且つ前記第2ケイ化物構造は、NiSi2、NiSi、CoSi2、CoSi、TiSi、TiSi2、またはこれらの組み合わせから構成されるグループから選択される請求項7に記載のCMOSデバイス。
【請求項9】
前記第1および前記第2ケイ化物構造の周りの誘電体材料を更に含み、前記誘電材料の上表面は、前記第1および第2ケイ化物構造の上表面と実質的に同じ高さであるか、それより高い請求項7に記載のCMOSデバイス。
【請求項10】
N型トランジスタとP型トランジスタとを含む集積回路であって、
前記N型トランジスタは、
基板上に配置された第1ゲート誘電体構造と、
前記第1ゲート誘電体構造上に配置され、前記N型トランジスタのゲート電極の仕事関数値を調整するように構成されている第1n型仕事関数金属層と、
前記第1n型仕事関数金属層上に配置され、金属対シリコンの第1組成比を有する第1ケイ化物構造と、を含み、
前記P型トランジスタは、
前記基板上に配置された第2ゲート誘電体構造と、
前記第2ゲート誘電体構造上に配置され、前記P型トランジスタのゲート電極の仕事関数値を調整するように構成されているp型仕事関数金属層と、
前記p型仕事関数金属層上に配置され、金属対シリコンの第2組成比を有する第2ケイ化物構造と、を含み、
前記第1組成比は前記第2組成比よりも大きい
集積回路。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図2G】
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【図2H】
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【図2I】
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【図2J】
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【図2K】
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【図2L】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−61207(P2011−61207A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−203627(P2010−203627)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(500262038)台湾積體電路製造股▲ふん▼有限公司 (198)
【氏名又は名称原語表記】Taiwan Semiconductor Manufacturing Company,Ltd.
【住所又は居所原語表記】8,Li−Hsin Rd.6,Hsinchu Science Park,Hsinchu,Taiwan 300−77,R.O.C.
【Fターム(参考)】