説明

銅配線のバリア界面調整のための方法および装置

【課題】銅配線のバリア界面調整のための方法および装置
【解決手段】バリア層と銅層との間の接着性は、銅の堆積前にバリア層を金属リッチにすることおよび銅の堆積前にバリア層が曝露される酸素の量を制限することによって向上させることができる。あるいは、バリア層と銅層との間の接着性に優れた方式で銅配線内に銅層を堆積させることを可能にするために、バリア層の上に機能化層を堆積させることができる。方法は、統合システム内において、銅配線構造を被覆するために金属バリア層を堆積させることを含み、金属バリア層を堆積させた後、基板は、金属バリア酸化物の形成を阻止するために制御環境内において搬送され処理される。方法は、また、統合システム内において金属層の上に機能化層を堆積させることも含む。エレクトロマイグレーションの問題を阻止するために、方法は、さらに、金属バリア層の上に機能化層が堆積された後に、統合システム内において銅配線構造内に銅層を堆積させることを含む。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
集積回路は、半導体基板上の個々の素子をつなぐためまたは集積回路に対して対外的に通信するために、導電性の配線を使用する。ビアおよびトレンチのための配線メタライゼーションは、アルミニウム合金および銅を含んでよい。素子形状が65nmノード技術およびサブ65nm技術へと縮小しつづけるにつれ、ステップカバレッジに優れた連続バリア/シード層を高アスペクト比の形状に沿って設けてボイドフリーの銅充填を提供することの困難さが増している。65nmノードまたはサブ65nmの技術において、極薄の共形バリアを求める動機は、ビアおよび線の抵抗に及ぼされるバリアの影響を小さくするためである。しかしながら、バリア層に対する銅の接着性が乏しいと、処理中にバリア層と銅との間に層間剥離が生じたり、あるいはエレクトロマイグレーションおよびストレス誘起ボイドの問題を引き起こす熱応力が発生したりする恐れがある。
【0002】
以上から、エレクトロマイグレーション耐性に優れなおかつ銅配線におけるストレス誘起ボイドのリスクを低下させた方式で薄い共形バリア層と、銅層とを銅配線内に堆積させることを可能にするシステムおよびプロセスが必要とされていることがわかる。
【発明の概要】
【0003】
概して、実施形態は、エレクトロマイグレーション耐性に優れなおかつ銅配線に対するストレス誘起ボイドのリスクを低下させた方式で薄い共形のバリア層と、銅層とを銅配線内に堆積させることを可能にすることによってこの必要性を満たすものである。エレクトロマイグレーションおよびストレス誘起ボイドは、バリア層と銅層との間の接着性に影響され、これは、銅の堆積前にバリア層を金属リッチにすることおよび銅の堆積前にバリア層が曝露される酸素の量を制限することによって向上させることができる。あるいは、銅配線内に銅層を堆積させることを可能にするために、バリア層の上に機能化層を堆積させることができる。機能化層は、バリア層と銅層との間の接着性を向上させるために、バリア層および銅と強い結合を形成する。機能化層は、単に、バリア層の上に銅を堆積させることを可能にして銅層に置き換わることも可能である。本発明は、解決策、方法、プロセス、装置、またはシステムを含む多くの方式で実現可能であることを理解されるべきである。以下では、本発明のいくつかの実施形態が説明される。
【0004】
一実施形態では、銅配線のエレクトロマイグレーション耐性を向上させるために、統合システム内において銅配線の金属バリア層の上に機能化層を堆積させ、銅配線内における銅層の堆積を助けるための、基板の基板表面を調整する方法が提供される。方法は、統合システム内において、銅配線構造を覆うために金属バリア層を堆積させることを含み、金属バリア層を堆積させた後、基板は、金属バリア酸化物の形成を阻止するために制御環境内において搬送され処理される。方法は、また、統合システム内において、金属層の上に機能化層を堆積させることも含む。方法は、さらに、金属バリア層の上に機能化層が堆積された後に、統合システム内において、銅配線構造内に銅層を堆積させることを含む。
【0005】
別の一実施形態では、銅配線のエレクトロマイグレーション耐性を向上させるために、制御環境内において基板を処理し、銅配線の金属バリア層の上に機能化層を堆積させることを可能にするための、統合システムが提供される。システムは、実験室雰囲気搬送チャンバであって、該実験室雰囲気搬送チャンバに結合された基板カセットから統合システム内へと基板を搬送可能である実験室雰囲気搬送チャンバを含む。システムは、また、圧力が1トール未満の真空下において動作される真空搬送チャンバを含む。方法は、さらに、金属バリア層を堆積させるための真空プロセスモジュールであって、真空搬送チャンバに結合され、圧力が1トール未満の真空下において動作される真空プロセスモジュールを含む。また、方法は、不活性ガスの群より選択される不活性ガスで満たされた制御雰囲気搬送チャンバと、金属バリア層の表面上に機能化層を堆積させるために使用される堆積プロセスモジュールであって、制御雰囲気搬送チャンバに結合された堆積プロセスモジュールとを含む。
【0006】
本発明の原理を例示した添付の図面に関連させた以下の詳細な説明から、本発明のその他の態様および利点が明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明は、添付の図面に関連させた以下の詳細な説明によって、容易に理解することができる。ここで、類似の参照符号は、類似の構成要素を示すものとする。
【0008】
【図1A】配線処理の諸段階におけるデュアルダマシン配線構造の断面である。
【図1B】配線処理の諸段階におけるデュアルダマシン配線構造の断面である。
【図1C】配線処理の諸段階におけるデュアルダマシン配線構造の断面である。
【図1D】配線処理の諸段階におけるデュアルダマシン配線構造の断面である。
【図2A】配線処理の諸段階における金属線構造の断面図である。
【図2B】配線処理の諸段階における金属線構造の断面図である。
【図2C】配線処理の諸段階における金属線構造の断面図である。
【図3A】配線処理の代表的なプロセスフローである。
【図3B】図3Aのプロセスフローを使用して基板を処理するために使用される代表的な統合システムを示す図である。
【図4】機能化層を組み入れるための配線処理の諸段階における金属線構造の断面図である。
【図5A】機能化層を組み入れるための配線処理の諸段階における配線構造の断面図である。
【図5B】機能化層を組み入れるための配線処理の諸段階における配線構造の断面図である。
【図5C】機能化層を組み入れるための配線処理の諸段階における配線構造の断面図である。
【図5D】機能化層を組み入れるための配線処理の諸段階における配線構造の断面図である。
【図5E】機能化層を組み入れるための配線処理の諸段階における配線構造の断面図である。
【図6A】機能化層を組み入れる配線処理の代表的なプロセスフローを示す図である。
【図6B】図6Aのプロセスフローを使用して基板を処理するために使用される代表的な統合システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
界面の接着性を向上させなおかつ金属配線の抵抗性を下げるために還元によって界面金属酸化物を除去するまたは接着促進層を追加する金属統合技術について、いくつかの代表的な実施形態が提供される。本発明は、プロセス、方法、装置、またはシステムを含む多くの方式で実現可能であることを理解されるべきである。発明力のある本発明のいくつかの実施形態が、以下で説明される。当業者ならば明らかなように、本発明は、本明細書において特定された一部または全部の詳細をともなわずとも実施可能である。
【0010】
図1Aは、デュアルダマシンプロセス手順を使用してパターン形成された後の配線構造の代表的な断面を示している。配線構造は、基板50上にあり、事前の作成によってメタライゼーション線101を内部に形成された誘電体層100を有している。メタライゼーション線は、一般に、誘電体100内にトレンチをエッチングし次いでそのトレンチに銅などの導電材料を充填することによって作成される。
【0011】
トレンチ内には、銅材料122が誘電体100内に拡散するのを阻止するために使用されるバリア層120がある。バリア層120は、物理気相成長(PVD)窒化タンタル(TaN)、PVDタンタル(Ta)、原子層成長(ALD)TaN、またはこれらの膜の組み合わせで作成することができる。その他のバリア層材料もまた、使用することができる。バリア層102は、上位の誘電体材料104,106を通ってバリア層102へとビアホール114がエッチングされる際に、銅材料122が時期尚早に酸化されないように保護するために、平坦化された銅材料122の上に堆積される。バリア層102は、選択性のエッチングストップとして機能するようにも構成される。代表的なバリア層102材料は、窒化シリコン(SiN)または炭化シリコン(SiC)を含む。
【0012】
バリア層102の上に、ビア誘電体層104が堆積される。ビア誘電体層104は、有機ケイ酸塩ガラス(OSG、炭素ドープ酸化シリコン)または好ましくは低誘電率のその他のタイプの誘電体材料で作成することができる。代表的な二酸化シリコンとしては、PECVD非ドープTEOS二酸化シリコン、PECVDフッ素化シリカガラス(FSG)、HDP FSG、OSG、ポーラスOSGなどを挙げることができる。カリフォルニア州サンタクララのApplied MaterialsによるBlack Diamond (I)およびBlack Diamond (II)、サンノゼのNovellus SystemsによるCoral、アリゾナ州フェニックスのASM America Inc.によるAuroraを含む市販の誘電体材料もまた、使用することができる。ビア誘電体層104の上は、トレンチ誘電体層106である。トレンチ誘電体層106は、炭素ドープ酸化物(C酸化物)などの低誘電率(low−k)誘電体材料であってよい。低誘電率誘電体材料の誘電率は、約3.0またはそれ未満であってよい。一実施形態では、ビア誘電体層およびトレンチ誘電体層は、ともに同じ材料で作成され、同時に堆積されて連続膜を形成する。トレンチ誘電体層106が堆積された後、この(これらの)構造を保持する基板50は、既知の技術によって、ビアホール114およびトレンチ116を形成するためのパターン形成プロセスおよびエッチングプロセスを経る。
【0013】
図1Bは、ビアホール114およびトレンチ116の形成後に、ビアホール114およびトレンチ116の被覆および充填のためにバリア層130と銅層132とが堆積されることを示している。バリア層130は、窒化タンタル(TaN)、タンタル(Ta)、ルテニウム(Ru)、またはこれらの材料の異種混合で作成することができる。これらは、一般に考えられる材料であるが、その他のバリア層材料もまた、使用することができる。バリア層材料は、とりわけ、チタン(Ti)、タングステン(W)、ジルコン(Zr)、ハフニウム(Hf)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、バナジウム(V)、ルテニウム(Ru)、およびクロム(Cr)を非限定例として含むその他の耐熱性金属化合物であってもよい。
【0014】
図1Cに示されるように、次いで、ビアホール114およびトレンチ116を充填するために、銅膜132が堆積される。一実施形態では、銅膜132は、その下に薄い銅シード層131を含む。一実施形態では、薄い銅シード層の厚さは、約5オングストロームから約300オングストロームまでの間である。
【0015】
Ta、TaN、またはRuなどのバリア層は、長期間にわたって空気に曝露されると、Taxy(酸化タンタル)、TaOxy(窒酸化タンタル)、またはRuO2(酸化ルテニウム)を形成する恐れがある。基板上への金属層の無電解堆積は、基板の表面特性および組成に大きく依存する。Ta、TaN、またはRuの表面上への銅の無電解めっきは、電解めっきに先立つシード層の形成およびリソグラフィ的に画定されたパターン内へのCu線の選択的堆積の双方にとっての関心事である。懸念の1つは、酸素(O2)の存在下において形成される原子的に薄い自然金属酸化物の層によって、無電解堆積プロセスが抑制されることである。
【0016】
また、銅膜は、酸化タンタルや、窒酸化タンタル、酸化ルテニウムなどのバリア酸化物層には接着せず、Ta膜や、Ru膜、TaリッチTaN膜などの純粋なバリア金属膜またはバリア層リッチ膜には接着する。Taおよび/またはTaNのバリア層は、例として使用されているに過ぎない。説明および概念は、Ruの薄い層を被せられたTaまたはTaNなどのその他のタイプのバリア金属にも当てはまる。上述のように、乏しい接着性は、EM耐性に悪影響を及ぼす恐れがある。また、バリア層表面上への酸化タンタルまたは窒酸化タンタルの形成は、バリア層の抵抗性を増大させる恐れがある。これらの問題ゆえに、統合システムを使用してバリア/銅界面を調整し、バリア層と銅との間に優れた接着性を保証することおよびバリア層の抵抗性を小さく保証することが望まれる。
【0017】
図1Bは、バリア層130が、ALDまたはPVDのいずれかによって堆積された一層であることを示している。あるいは、バリア層130は、図1Dに示されるように、ALDプロセスによってTaNなどの第1のバリア層130Iを堆積させ、次いでPVDによってTaなどの第2のバリア層130IIを堆積させることによって、堆積させることができる。
【0018】
デュアルダマシン配線構造に加えて、銅配線は、コンタクトの上の金属線(すなわちM1線)にも適用することができる。図2Aは、誘電体エッチングによってパターン形成され、フォトレジストを除去された後における、金属線構造の代表的な断面を示している。金属線構造は、基板200上にあり、事前の作成によってゲート酸化物121、スペーサ107、およびコンタクト125をともなうゲート構造105を内部に形成されたシリコン層110を有している。コンタクト125は、一般に、酸化物103内にコンタクトホールをエッチングし次いでそのコンタクトホールにタングステンなどの導電性材料を充填することによって作成される。代替の材料は、銅、アルミニウム、またはその他の導電性材料を含んでよい。バリア層102は、選択的なトレンチエッチングストップとして機能するように構成される。バリア層102は、窒化シリコン(SiN)または炭化シリコン(SiC)などの材料で作成することができる。
【0019】
バリア層102の上に、金属線誘電体層106が堆積される。106の堆積に使用することができる誘電体材料は、上述されている。誘電体層106の堆積後、基板は、金属トレンチ106を形成するために、パターン形成されエッチングされる。図2Bは、金属トレンチ116の形成後、金属トレンチ116を被覆するために金属バリア層130が堆積されることを示している。図2Cは、バリア層130の堆積後、バリア層130の上に銅層132が堆積されることを示している。デュアルダマシン配線構造の場合と同様に、バリア層130は、窒化タンタル(TaN)、タンタル(Ta)、Ru、またはこれらの膜の組み合わせで作成することができる。次いで、金属トレンチ116に充填するために、銅膜132が堆積される。
【0020】
デュアルダマシン構造について上述されたように、Ta、TaN、またはRuなどのバリア層は、長期間にわたって空気に曝露されると、Taxy(酸化タンタル)、TaOxy(窒酸化タンタル)、またはRuO2(酸化ルテニウム)を形成する恐れがある。基板上への金属層の無電解堆積は、基板の表面特性および組成に大きく依存する。Ta、TaN、またはRuの表面上への銅の無電解めっきは、電解めっきに先立つシード層の形成およびリソグラフィ的に画定されたパターン内へのCu線の選択的堆積の双方にとっての関心事である。上述のように、懸念は、酸素(O2)の存在下において形成される原子的に薄い自然金属酸化物の層によって、無電解堆積プロセスが抑制されることである。また、銅膜は、酸化タンタルや、窒酸化タンタル、酸化ルテニウムなどのバリア酸化物層には接着せず、Ta膜や、Ru膜、TaリッチTaN膜などの純粋なバリア金属膜またはバリア層リッチ膜には接着する。上述のように、乏しい接着性は、EM耐性に悪影響を及ぼす恐れがある。バリア層表面上への酸化タンタルまたは窒酸化タンタルの形成は、バリア層の抵抗性を増大させる恐れもある。これらの問題ゆえに、統合システムを使用してバリア/銅界面を調整し、バリア層と銅との間に優れた接着性を保証することおよびバリア層の抵抗性を小さく保証することが望まれる。
【0021】
図3Aは、(図2Aの)トレンチ116などのトレンチの形成後、無電解銅堆積のためにバリア(またはライナ)層表面を調整するプロセスフロー300の一実施形態を示している。図2A〜2Cに示されるような、コンタクトプラグの上への金属トレンチ配線の形成は、一例として使用されているに過ぎない。発明の概念は、図1A〜1Dに示されるような金属トレンチの上へのデュアルダマシン配線構造の形成またはその他の適用可能な配線構造の形成に使用することもできる。しかしながら、バリア(またはライナ)層は、ALDまたはPVDの堆積リアクタなどの非統合型の堆積システム内において、個別に調整されてもよいことに留意せよ。この場合、薄い銅シード層を堆積させるための表面調整は、金属プラグの前洗浄のステップおよびバリア堆積プロセスのステップを含まないと考えられる。ステップ301では、自然金属酸化物を除去するために、コンタクトプラグの上面124aが洗浄される。金属酸化物は、Arスパッタリングプロセス、NF3、CF4、もしくは両者の組み合わせなどのフッ素含有ガスを使用したプラズマプロセス、湿式化学的エッチングプロセス、または例えば水素含有プラズマを使用した還元プロセスによって除去することができる。金属酸化物は、1ステップまたは2ステップの湿式化学的プロセス手順の湿式化学的除去プロセスによって除去することができる。湿式化学的除去プロセスは、日本の関東化学株式会社によって提供されているDeerCleanなどの有機酸、デラウェア州ウィルミントンのDuPontによって提供されているESC 5800などの半水性溶媒、塩化テトラメチルアンモニウム(TMAH)などの有機塩基、エチレンジアミンやジエチレントリアミンなどの錯化アミン、またはコネティカット州ウェストヘーブンのEnthone, Inc.によって提供されているELD洗浄およびCap Clean 61などの特許化学剤を使用することができる。また、とりわけ酸化銅などの金属酸化物は、クエン酸などの弱い有機酸を使用して除去することができる、あるいはその他の有機酸または無機酸を使用することができる。また、硫黄−過酸化物混合などの、非常に薄い(すなわち<0.1%の)過酸化物含有酸もまた、使用することができる。
【0022】
ステップ303では、バリア層が堆積される。金属線およびビアの限界寸法の縮小ゆえに、バリア層は、技術ノード次第では、原子層成長(ALD)によって堆積させることができる。バリア層130の厚さは、約20オングストロームから約200オングストロームまでの間である。上述のように、バリア層の酸素への曝露を防ぐことは、銅とバリア層との間の接着性に優れた方式でバリア層上に確実に無電解銅を堆積させるのに重要である。バリア層が堆積されると、基板は、酸素への曝露を制限するために、制御雰囲気環境内において搬送または処理されることが望ましい。一実施形態において、バリア層は、後続の銅シード堆積ステップのための触媒表面を提供するために、ステップ305において、水素プラズマ処理を施され、Ta、TaN、またはRuなどのバリア層上に金属リッチ表面を形成される。還元プラズマは、水素またはアンモニアなどのガスを含むことができる。還元プラズマは、ArまたはHeなどの不活性ガスを含むことができる。もし、バリア層堆積後のバリア表面が金属リッチであるならば、ステップ305は、随意のステップである。例えば、もし、堆積されたバリア層がタンタルまたはルテニウムの層であるならば、表面還元ステップは、不要である。他方で、もし、堆積されたバリア層がTaNなどのバリア窒化物層であるならば、あるいは、もし、バリア層が酸素に曝露されるならば、水素プラズマによる処理(または還元)が必要とされるであろう。このステップが必要であるか否かは、表面がどの程度金属リッチであるかに依存する。
【0023】
その後、ステップ307において、バリア表面上に共形の銅シードが堆積され、そして、ステップ308において、厚い銅をギャップ充填(またはバルク充填)するプロセスが続く。一実施形態では、共形の銅シード層は、無電解プロセスによって堆積させることができる。厚い銅をバルク充填するプロセスは、無電解堆積(ELD)プロセスまたは電解めっき(ECP)プロセスであってよい。無電解銅堆積およびECPは、周知の湿式プロセスである。制御された処理&搬送環境をともなうシステムに湿式プロセスを統合させるには、リアクタをリンス/ドライヤに統合し、ドライイン、ドライアウトのプロセス能力を可能にする必要がある。また、システムは、基板の酸素への曝露を確実に最小限に抑えられるように、不活性ガスで満たされる必要がある。無電解堆積プロセスは、パドルめっきなどの数々の方式で行うことができる。パドルめっきでは、流体が基板上に供給され、静止した状態で反応を進められる。その後、反応剤は、除去され廃棄される、または再生される。近年では、ドライイン、ドライアウトの無電解銅プロセスが開発されている。プロセスは、プロキシミティプロセスヘッドを使用して、無電解プロセス液を基板表面の限定領域と接触する範囲内に収める。プロキシミティプロセスヘッドの下方にない基板表面は、乾燥している。さらに、プロセスにおいて使用される全ての流体は、市販の脱ガスシステムによって脱ガスされている、すなわち溶存酸素を除去されている。
【0024】
ステップ307,308における銅堆積の後、基板は、ステップ309における随意の基板洗浄を経ることができる。銅堆積の後の洗浄は、ペンシルバニア州アレンタウンのAir Products and Chemical, Inc.によって供給されているCP72Bを含有した溶液などの化学溶液によるブラシスクラブ洗浄を使用して達成することができる。LamのC3(商標)またはAMC(商標、高度な機械的洗浄)による洗浄技術などのその他の基板表面洗浄プロセスもまた、使用することができる。
【0025】
図3Bは、バリア表面調整後の重要なステップにおいて基板表面の酸素への曝露を最小限に抑えることができる統合システム350の一実施形態の概略図を示している。また、これは統合システムであるので、基板は、1つのプロセスステーションから直ちに次のプロセスステーションへと搬送され、これは、清浄なバリア表面が低レベルの酸素に曝露される時間を制限する。統合システム350は、図3Aのフロー300のプロセス手順全体を通して基板処理に使用することができる。
【0026】
上述のように、銅の無電解堆積のための表面調整プロセスおよび随意のコバルト合金堆積後プロセスは、乾式プロセスと湿式プロセスとの混合をともなう。湿式プロセスは、一般に、ほぼ大気圧で動作され、乾式プラズマプロセスは、1トール未満で動作される。また、バリア層の堆積後、基板が曝露される酸素は可能な限り少量であることが望ましく、これは、制御環境内における搬送および処理によって実現することができる。したがって、統合システムは、乾式プロセスと湿式プロセスとの混合を取り扱える必要がある。制御された処理&搬送環境をともなうシステムに湿式プロセスを統合するには、リアクタをリンス/ドライヤに統合し、ドライイン、ドライアウトのプロセス能力を可能にする必要がある。また、システムは、基板の酸素への曝露を確実に最小限に抑えられるように、不活性ガスで満たされる必要がある。統合システム350は、3つの基板搬送モジュール360,370,380を有する。搬送モジュール360,370,380は、基板355を1つのプロセス区域から別のプロセス区域へと移動させるためのロボットを装備している。プロセス区域は、基板カセット、リアクタ、またはロードロックであってよい。基板搬送モジュール360は、実験室雰囲気下で動作される。モジュール360は、基板355を統合システムに持ち込むためまたは基板をカセット361の1つに戻すために、基板ローダ(または基板カセット)361と連携して機能する。
【0027】
プロセスフロー300において上述されたように、基板355は、バリア層および銅層を堆積させるために統合システム350に持ち込まれる。プロセスフロー300のステップ301において説明されたように、自然酸化タングステンを除去するために、コンタクト125のタングステン上面124aがエッチングされる。酸化タングステンが除去されると、露出された図2Aのタングステン表面124aは、酸素に曝露されないように保護される必要がある。もし、除去プロセスがArスパッタリングプロセスであるならば、リアクタ371は、真空搬送モジュール370に結合される。もし、湿式の化学的エッチングが選択されるならば、リアクタは、タングステン表面の酸素への曝露を制限するために、実験室雰囲気搬送モジュール360ではなく、制御雰囲気搬送モジュール1080に結合されることが望ましい。
【0028】
その後、基板は、図3Aのステップ303において説明されたように、Ta、TaN、Ru、またはこれらの膜の組み合わせなどの金属バリア層を堆積される。図2Bのバリア層130は、ALDプロセスまたはPVDプロセスによって堆積させることができる。一実施形態では、ALDプロセスは、1トール未満で動作される。ALDリアクタ373は、真空搬送モジュール370に結合される。別の一実施形態では、堆積プロセスは、金属バリアを形成するために、超臨界CO2および有機金属前駆体を使用する高圧プロセスである。さらに別の一実施形態では、堆積プロセスは、1トール未満の圧力で動作される物理気相成長(PVD)プロセスである。
【0029】
基板は、例えば、図3Aのステップ305において説明されたように、水素含有プラズマを使用した随意の還元(水素プラズマ処理)プロセスを経ることができる。水素還元リアクタ374は、真空搬送モジュール370に結合することができる。この段階で、基板は、無電解銅堆積の用意が整う。無電解銅めっきは、共形のシード層を堆積させるために、無電解銅めっきリアクタ381内において実施することができる。シード層の堆積に続いて、共形シード層の堆積に使用されたのと同じ無電解銅堆積リアクタ381内において、ただし、バルク充填を実現するための異なる化学物質を使用して、銅のバルク充填を実施することができる。あるいは、銅のバルク充填は、別個のECPリアクタ381’内において実施することができる。
【0030】
統合システム350を後にする前に、基板は、先の銅堆積プロセスからの残留物を洗浄することができる表面洗浄プロセスを随意に経ることができる。例えば、基板洗浄プロセスは、ブラシ洗浄プロセスであってよい。基板洗浄リアクタ383は、制御雰囲気搬送モジュール380に統合することができる。あるいは、基板洗浄リアクタ383は、実験室雰囲気搬送モジュール360に統合することもできる。あるいは、図2Bのバリア層130は、基板200が表面処理および銅堆積のためにシステムに持ち込まれる前に、プロセスチャンバ内において堆積させることができる。上述のように、図3Aにおいて説明されたプロセスフロー300および図3Bにおいて説明されたシステム350は、図1A〜1Dに示されるようなデュアルダマシン構造またはその他の適用可能な配線構造のためにバリア層および銅を堆積させるために使用することもできる。デュアルダマシン構造の場合は、フロー300のステップ301は、図1Aの表面122aとして示された金属線の上面を洗浄するステップに置き換えられる。
【0031】
上述のように、EM耐性は、銅とバリア層との間の接着性によって影響される。一実施形態では、ケミカルグラフト化学物質が、導電性または半導電性の洗浄表面に選択的に結合し、その導電性または半導電性の洗浄表面上にこのような化学物質の自己組織化単分子層(SAM)を形成する。エレクトログラフト化学物質またはケミカルグラフト化学物質は、錯化基であって導電性または半導電性の表面上に単分子層を形成するものであり、基板表面を機能化することによって単分子層の上に材料の層を堆積させ、単分子層と堆積層材料とを強く結合させる。したがって、単分子層は、機能化層とも呼ぶことができる。以下において、自己組織化単分子層と機能化層とは、同義の用語として使用される。あるいは、単分子層は、堆積プロセス中に堆積材料に置き換られてよい。堆積材料は、直接、基板と強い結合を形成する。錯化基は、導電性または半導電性の表面との共有結合を形成する一端を有する。銅配線用のバリア金属の一例としてTaを使用すると、機能化層の錯化基は、Taとの強い結合を形成する一方の端と、銅との強い結合を形成するまたは銅と結合する触媒部位に変化させられるもう一方の端とを有する。ケミカルグラフトによって形成されたSAMの場合、ケミカルグラフト分子は、物理吸着および化学吸着によって溶液から固体基板上へと吸着されて表面と結合し、自己組織化単分子層である規則正しい分子機能化層を形成する。
【0032】
図4(A)は、バリア表面410をともなうバリア層401を示している。図4(B)は、バリア表面410にケミカルグラフト錯化基420の機能化層402が堆積されることを示している。錯化基420は、「A」端および「B」端の2端を有する。「A」端は、バリア金属をともなう表面410との共有結合を形成する。錯化基420は、Ta、TaN、Ru、またはその他の適用材料などの材料で作成することができるバリア表面との共有結合を形成するであろう「A」端を有することが望ましい。一実施形態では、「B」端は、図4(C)に示されるように、銅シード層403との共有結合を形成する。このような実施形態では、錯化基420の「B」端は、銅との共有結合を形成するであろう化学物を選択することが望ましい。あるいは、図4(D)に示されるように、銅403’が、錯化基420全体に置き換わってバリア表面上に直接堆積してもよいし、あるいは、銅と結合する触媒部位に変化させられてもよい。図4(D)の錯化基420は、銅がバリア表面と結合するのを助ける。
【0033】
一実施形態では、ケミカルグラフト錯化基の「A」端は、ルイス塩基のバリア表面と相互作用(すなわちグラフト)してその金属とケミカルグラフト化学物質(すなわち錯化基)との結合を形成するルイス酸である。ケミカルグラフト錯化(すなわち官能)基の例には、チオール、シラン、アルコール、有機酸、アミン、およびピロールが含まれる。チオールの例には、デカンチールおよびオクタデカンチオールなどのアルカンチール、テトラフェニルポルフィン、二硫化ジフェニル、芳香族チオアセテート、ルテニウム(II)トリス(2,2,プライム−ビピリジン)チオール、チオフェノール、4,4プライム−ジチオジピリジン、二硫化ナフタレン、ならびにビス(2−アントラキニル)二硫化物が含まれる。シランの例には、3−メルカプトプロフィルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、ペルフルオロオクタノキシルプロフィル−ジメチルシラン、アルキルトリクロロシラン、およびオクタデシルシロキサンが含まれる。アルコールの一例には、オクタノールが含まれる。有機酸の例には、22−メルカプト−1−ドコサン酸、アルカンホスホン酸、およびオクタデカン酸が含まれる。アミンの例には、ジアミノドデカンが含まれる。ピロールの例には、n−フェニルピロールおよび2,5−ジチエニルピロールトライアッドが含まれる。「B」端は、Cuと選択的に結合する元素を含有した官能基であることが望ましい。このような元素には、銅(Cu)、コバルト(Co)、およびルテニウム(Ru)が含まれる。
【0034】
図5Aは、誘電体層501に取り囲まれた配線金属構造(金属1)の開口510を示している。図5Bは、金属開口510を被覆するためにバリア層502が堆積されることを示している。金属構造の底は、コンタクトであり、図2A〜2Cに示されたコンタクト125と同様である。バリア層は、ALD、PVD、またはその他の適用可能なプロセスによって堆積させることができる。バリア層の厚さは、約5オングストロームから約300オングストロームまでの間である。図5Cは、バリア層502上にケミカルグラフト錯化化合物の機能化層503が堆積されることを示している。一実施形態では、機能化層503の厚さは、約5オングストロームから約20オングストロームまでの間である。機能化層503が堆積された後は、図5Dに示されるように、機能化層503の上に銅シード層504が堆積される。銅シード層504が堆積された後は、図5Eに示されるように、銅ギャップ充填層505が堆積される。
【0035】
図6Aは、無電解銅堆積のためにバリア(またはライナ)層表面を調整するプロセスフローの一実施形態を示している。ステップ601において、図2Aのコンタクト125の上面125aは、自然金属酸化物を除去するために洗浄される。金属酸化物は、Arスパッタリングプロセスまたは湿式化学的エッチングプロセスによって除去することができる。ステップ603では、ALDシステム内またはPVDシステム内のいずれかにおいて、バリア層が堆積される。上述のように、バリア層の酸素への曝露を防ぐことは、銅とバリア層との間の接着性に優れた方式でバリア層上に確実に無電解銅を堆積させるのに重要である。同様に、バリア表面上に機能化層を適切に堆積させるためには、バリア表面は、バリア酸化物を除去されることが望ましい。バリア層が堆積されると、基板は、酸素への曝露を制限するために、制御雰囲気環境内において搬送または処理されることが望ましい。バリア層は、後続の銅シード堆積ステップのための触媒表面を提供する金属リッチ層を形成するために、ステップ605において、還元(すなわち水素含有)プラズマによって処理される。還元プラズマ処理は、表面の組成に応じて随意である。その後、基板表面は、ステップ606において、ケミカルグラフト錯化化合物の機能化層を堆積される。一実施形態では、ケミカルグラフト錯化化合物は、溶液に混入され、堆積プロセスは、湿式プロセスである。ステップ606における堆積ステップの後は、随意の洗浄ステップ607が必要になるであろう。
【0036】
その後、ステップ608において、バリア表面上に共形の銅シードが堆積され、そして、ステップ609において、厚い銅をバルク充填(またはギャップ充填)するプロセスが続く。共形の銅シード層は、無電解プロセスによって堆積させることができる。厚い銅のバルク充填(ギャップ充填でもある)層は、ECPプロセスによって堆積させることができる。あるいは、厚いバルク充填(ギャップ充填でもある)層は、共形銅シードのための無電解システムと同じシステム内において、異なる化学物質を使用した無電解プロセスによって堆積させることができる。
【0037】
ステップ608において、基板に共形銅シードが堆積され、ステップ609において、無電解めっきプロセスまたは電解めっきプロセスのいずれかによって厚いCuのバルク充填がなされた後、次のプロセスステップ610は、先の無電解コバルト合金堆積からの任意の残留汚染物を洗浄するための随意の基板洗浄ステップである。
【0038】
図6Bは、バリアおよび銅の表面調整後の重要なステップにおいて基板表面の酸素への曝露を最小限に抑えることができる統合システム650の一実施形態の概略図を示している。また、これは統合システムであるので、基板は、1つのプロセスステーションから直ちに次のプロセスステーションへと搬送され、これは、清浄なバリア表面が低レベルの酸素に曝露される時間を制限する。統合システム650は、図6Aのフロー600のプロセス手順全体を通して基板処理に使用することができる。
【0039】
統合システム650は、3つの基板搬送モジュール660,670,680を有する。搬送モジュール660,670,680は、基板655を1つのプロセス区域から別のプロセス区域へと移動させるためのロボットを装備している。プロセス区域は、基板カセット、リアクタ、またはロードロックであってよい。基板搬送モジュール660は、実験室雰囲気下で動作される。モジュール660は、基板655を統合システムに持ち込むためまたは基板をカセット661の1つに戻すために、基板ローダ(または基板カセット)661に接続して機能する。
【0040】
図6Aのプロセスフロー600において上述されたように、基板655は、バリア層を堆積させるため、そして銅層の堆積のためにバリア表面を調整するために、統合システム650に持ち込まれる。プロセスフロー600のステップ601において説明されたように、自然金属酸化物を除去するために、コンタクト125のコンタクト上面125aがエッチングされる。金属酸化部が除去されると、露出された図2Aのタングステン表面125aは、酸素に曝露されないように保護される必要がある。もし、除去プロセスがArスパッタリングプロセスであるならば、Arスパッタリングリアクタ671は、真空搬送モジュール670に結合される。もし、湿式の化学的エッチングが選択されるならば、リアクタは、清浄なタングステン表面の酸素への曝露を制限するために、実験室雰囲気搬送モジュール660ではなく、制御雰囲気搬送モジュール680に結合されることが望ましい。制御された処理&搬送環境をともなうシステムに湿式プロセスを統合するには、リアクタをリンス/ドライヤに統合し、ドライイン、ドライアウトのプロセス能力を可能にする必要がある。また、システムは、基板の酸素への曝露を確実に最小限に抑えられるように、不活性ガスで満たされる必要がある。
【0041】
その後、基板は、金属バリア層を堆積される。図2Bのバリア層130は、PVDプロセスまたはALDプロセスによって堆積させることができる。一実施形態では、バリア層130は、ALDプロセスによって堆積される。これは、湿式プロセスであり、1トール未満で動作される。ALDリアクタ672は、真空搬送モジュール670に結合される。基板は、機能化層の堆積のためにバリア層の表面を確実に金属リッチにするために、随意の水素還元プロセスを経ることができる。水素還元リアクタ674は、真空搬送モジュール670に結合することができる。この段階で、基板は、ケミカルグラフト錯化化合物機能化層堆積の用意が整う。上述のように、一実施形態では、このプロセスは、湿式プロセスであり、制御雰囲気搬送モジュール680に結合されたケミカルグラフト錯化化合物堆積チャンバ683内において堆積させることができる。一実施形態では、チャンバ683は、機能化層の堆積後に基板655を洗浄するために、洗浄モジュール(不図示)に統合される。別の一実施形態では、基板655は、プロセスフロー600において説明されたように、随意の基板洗浄ステップ607を経る。基板洗浄プロセスは、ブラシ洗浄プロセスであってよく、そのリアクタ685は、制御雰囲気搬送モジュール680に統合することができる。基板表面の洗浄後、基板655は、フロー600のステップ608において説明されたように、銅シード層堆積の用意が整う。一実施形態では、銅シード層の堆積は、無電解プロセスによって実施される。無電解銅めっきは、図6Aのステップ608において説明されたように、共形の銅シード層を堆積させるために、無電解銅めっきリアクタ681内において実施することができる。上述のように、図6Aのステップ609におけるギャップ充填銅層の堆積は、同じ無電解めっきリアクタ681内において異なる化学物質を使用して、または別個のECPリアクタ681’内において行うことができる。
【0042】
統合システム650を後にする前に、基板は、先の銅めっきプロセスからの残留物を洗浄することができる表面洗浄プロセスを随意に経ることができる。基板洗浄プロセスは、ブラシ洗浄プロセスであってよく、そのリアクタ663は、実験室雰囲気搬送モジュール660に統合することができる。
【0043】
図6Bにおいて説明された、制御雰囲気搬送モジュール680に結合された湿式処理システムは、いずれも、システム統合を可能にするために、ドライイン、ドライアウトの条件を満たす必要がある。また、システムは、基板の酸素への曝露を確実に最小限に抑えられるように、1つまたは2つ以上の不活性ガスで満たされる。
【0044】
図6Aにおいて説明されたプロセスフロー600および図6Bにおいて説明されたシステム650は、図1A〜1Dに示されるようなデュアルダマシン構造のためにバリア層および銅を生長させるために使用することができる。デュアルダマシン構造の場合、フロー600のステップ601は、図1Aの表面122aとして示された金属線の上面を洗浄するステップに置き換えられる。
【0045】
本発明は、いくつかの実施形態の観点から説明されてきたものの、当業者ならば、以上の明細書を読み図面を吟味することによって、様々な代替、追加、置換、および等価の形態を明確に理解することができる。したがって、本発明は、本発明の真の趣旨および範囲に含まれるものとして、このようなあらゆる代替、追加、置換、および等価の形態を含むことを意図している。特許請求の範囲において、要素および/またはステップは、特許請求の範囲内に明記されない限り、いかなる特定の動作順序も暗示しない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅配線のエレクトロマイグレーション耐性を向上させるために、統合システム内において前記銅配線の金属バリア層の上に機能化層を堆積させ、前記銅配線内における銅層の堆積を助けるための、基板の基板表面を調整する方法であって、
前記統合システム内において、前記銅配線構造を覆うために前記金属バリア層を堆積させ、前記金属バリア層を堆積させた後、前記基板が、金属バリア酸化物の形成を阻止するために制御環境内において搬送され処理される、ことと、
前記統合システム内において、前記金属層の上に前記機能化層を堆積させることと、
前記金属バリア層の上に前記機能化層が堆積された後に、前記統合システム内において、前記銅配線構造内に前記銅層を堆積させることと、
を備える方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、さらに、
前記金属バリア層を堆積させる前に、前記統合システム内において、前記銅配線に対して下位の金属の露出表面を洗浄し、前記下位の金属の前記露出表面の表面金属酸化物を除去することであって、前記下位の金属は、前記銅配線に電気的につながれた下位の配線の一部である、ことを備える方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、さらに、
前記機能化層を堆積させる前に、前記統合システム内において、前記金属バリア層の表面を還元し、前記金属バリア層の前記表面を金属リッチにすることを備える方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記金属バリア層の材料は、窒化タンタル(TaN)、タンタル(Ta)、ルテニウム(Ru)、チタン(Ti)、タングステン(W)、ジルコン(Zr)、ハフニウム(Hf)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、バナジウム(V)、ルテニウム(Ru)、およびクロム(Cr)、およびこれらの材料の異種混合からなる群より選択される、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記機能化層のために使用される材料は、少なくとも2つの端をともなう錯化基を含み、前記錯化基の一方の端は、前記金属バリア層との結合を形成し、前記錯化基のもう一方の端は、銅との結合を形成する、方法。
【請求項6】
請求項4に記載の方法であって、
前記錯化基は、デカンチール、オクタデカンチオール、テトラフェニルポルフィン、二硫化ジフェニル、芳香族チオアセテート、ルテニウム(II)トリス(2,2,プライム−ビピリジン)チオール、チオフェノール、4,4プライム−ジチオジピリジン、二硫化ナフタレン、ビス(2−アントラキニル)二硫化物、3−メルカプトプロフィルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、ペルフルオロオクタノキシルプロフィル−ジメチルシラン、アルキルトリクロロシラン、オクタデシルシロキサン、オクタノール、22−メルカプト−1−ドコサン酸、アルカンホスホン酸、オクタデカン酸、ジアミノドデカン、n−フェニルピロール、および2,5−ジチエニルピロールトライアッドからなる群より選択される、方法。
【請求項7】
請求項3に記載の方法であって、
前記金属バリア層の前記表面を還元することは、水素含有プラズマを使用して実施される、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
前記銅配線はビアの上の金属線を含み、前記下位の配線は金属線を含む、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、
前記銅配線は金属線を含み、前記下位の配線はコンタクトを含む、方法。
【請求項10】
請求項2に記載の方法であって、
前記表面金属酸化物の前記露出表面を洗浄することは、Arスパッタリングプロセスまたはフッ素含有ガスを使用したプラズマプロセスを使用して達成される、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、
前記フッ素含有ガスは、NF3、CF4、または両者の組み合わせである、方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、
前記金属バリア層を堆積させることは、さらに、
第1の金属バリア層を堆積させることと、
第2の金属バリア層を堆積させることと、
を含む、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、
前記第1の金属バリア層は、原子層成長(ALD)プロセスによって堆積され、前記第2の金属バリア層は、物理気相成長(PVD)プロセスによって堆積される、方法。
【請求項14】
請求項12に記載の方法であって、
前記第1の金属バリア層は、ALDプロセスによって堆積され、前記第2の金属バリア層は、ALDプロセスによって堆積される、方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法であって、さらに、
前記銅層を堆積させる前に、前記統合性ステム内において、前記機能化層の表面を洗浄することを備える方法。
【請求項16】
請求項1に記載の方法であって、
選択的に、前記薄い銅シード層は、無電解プロセスによって堆積される、方法。
【請求項17】
請求項1に記載の方法であって、
前記ギャップ充填銅層は、電解めっき(ECP)プロセスによって堆積される、方法。
【請求項18】
請求項1に記載の方法であって、
前記銅層は、前記機能化層に置き換わり、前記金属バリア層上に直接堆積する、方法。
【請求項19】
銅配線のエレクトロマイグレーション耐性を向上させるために、制御環境内において基板を処理し、前記銅配線の金属バリア層の上に機能化層を堆積させることを可能にするための、統合システムであって、
実験室雰囲気搬送チャンバであって、前記実験室雰囲気搬送チャンバに結合された基板カセットから前記統合システム内へと前記基板を搬送可能である実験室雰囲気搬送チャンバと、
圧力が1トール未満の真空下において動作される真空搬送チャンバと、
前記金属バリア層を堆積させるための真空プロセスモジュールであって、前記真空搬送チャンバに結合され、圧力が1トール未満の真空下において動作される真空プロセスモジュールと、
不活性ガスの群より選択される不活性ガスで満たされた制御雰囲気搬送チャンバと、
前記金属バリア層の表面上に前記機能化層を堆積させるために使用される堆積プロセスモジュールであって、前記制御雰囲気搬送チャンバに結合された堆積プロセスモジュールと、
を備える統合システム。
【請求項20】
請求項19に記載の統合システムであって、さらに、
前記金属バリア層の前記表面上に前記機能化層が堆積された後に前記銅配線内に薄い銅シード層を堆積させるために使用される無電解銅堆積プロセスモジュールであって、前記制御雰囲気搬送チャンバに結合された無電解銅堆積プロセスモジュールを備える統合システム。
【請求項21】
請求項19に記載の統合システムであって、さらに、
前記銅配線に電気的に接続された下位の配線の一部である下位の金属の金属酸化物の露出表面を洗浄するための真空プロセスモジュールであって、前記真空搬送チャンバに結合され、圧力が1トール未満の真空下において動作される真空プロセスモジュールを備える統合システム。
【請求項22】
請求項19に記載の統合システムであって、さらに、
前記金属バリア層の前記表面上に前記機能化層が堆積される前に前記金属バリアの前記表面上の金属酸化物または金属窒化物を還元して前記表面を金属リッチにするために使用される水素含有還元プロセスモジュールであって、前記真空搬送チャンバに結合され、圧力が1トール未満の真空下において動作される水素含有プロセスモジュールを備える統合システム。
【請求項23】
請求項20に記載の統合システムであって、
前記無電解銅堆積プロセスモジュールは、前記薄い銅シード層の上にギャップ充填銅層を堆積させるためにも使用される、統合システム。
【請求項24】
請求項20に記載の統合システムであって、さらに、
前記薄い銅シード層の上にギャップ充填銅層を堆積させるための無電解銅堆積プロセスモジュールを備える統合システム。
【請求項25】
請求項19に記載の統合システムであって、さらに、
前記金属バリア層の上に前記機能化層を堆積させた後に前記基板表面を洗浄するために使用される基板洗浄プロセスモジュールであって、前記制御雰囲気搬送モジュールに結合された基板洗浄プロセスモジュールを備える統合システム。
【請求項26】
請求項19に記載の統合システムであって、さらに、
前記真空搬送チャンバおよび前記制御雰囲気搬送チャンバに結合され、前記真空搬送チャンバと前記制御雰囲気搬送チャンバとの間における前記基板の搬送を支援する第1のロードロックと、
前記真空搬送チャンバおよび前記実験室雰囲気搬送チャンバに結合され、前記真空搬送チャンバと前記実験室雰囲気搬送チャンバとの間における前記基板の搬送を支援する第2のロードロックと、
を備え、
前記第1のロードロックは、圧力が1トール未満の真空下において動作されるように、又は、不活性ガスの群より選択される不活性ガスで満たされるように構成されており、
前記第2のロードロックは、圧力が1トール未満の真空下において動作されるように、又は、実験室雰囲気において動作されるように、又は、不活性ガスの群より選択される不活性ガスで満たされるように構成されている、
統合システム。
【請求項27】
請求項19に記載の統合システムであって、
前記真空搬送チャンバおよび前記真空搬送チャンバに結合された前記少なくとも1つの真空プロセスモジュールは、前記基板の酸素への曝露を制御するために、1トール未満の圧力において動作される、統合システム。
【請求項28】
請求項19に記載の統合システムであって、
前記制御雰囲気搬送チャンバおよび前記制御雰囲気搬送チャンバに結合された少なくとも1つのプロセスモジュールは、前記基板の酸素への曝露を制御するために、不活性ガスの群より選択される1つまたは2つ以上の不活性ガスで満たされる、統合システム。
【請求項29】
請求項19に記載の統合システムであって、
基板は、前記基板が酸素に曝露される時間を制限するために、前記統合システム内において搬送され処理される、統合システム。
【請求項30】
請求項29に記載の方法であって、
前記基板表面の酸素への曝露を制限することは、前記機能化層を前記金属バリア層の前記表面上に堆積させることを可能にする、方法。
【請求項31】
請求項19に記載の統合システムであって、
前記制御雰囲気搬送モジュールに結合された前記少なくとも1つのプロセスモジュールは、前記基板のドライイン、ドライアウト処理を可能にし、前記基板は、乾燥した状態で前記少なくとも1つのプロセスモジュールに出入りする、統合システム。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図6A】
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【図6B】
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【公表番号】特表2010−503204(P2010−503204A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−526620(P2009−526620)
【出願日】平成19年8月17日(2007.8.17)
【国際出願番号】PCT/US2007/018250
【国際公開番号】WO2008/027214
【国際公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(592010081)ラム リサーチ コーポレーション (467)
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
【Fターム(参考)】