説明

防災情報配信方法及び装置

【課題】災害発生時に人手に頼ることなくより的確かつ迅速に適切な通信網を選択して情報配信を行えるようにする。
【解決手段】災害発生時に異なる通信網NW1〜NW6を選択的に使用して複数の受信端末へ防災情報を配信する際に、伝達制御サーバCSVにおいて、上記複数の通信網NW1〜NW6を順次選択して、この選択された通信網及び受信端末が情報伝送を可能な状態にあるか否かを受信端末の各々について判定する。そして、情報伝送が可能と判定された受信端末に対し上記選択された通信網を経由して上記防災情報コンテンツを送信し、一方情報伝送が不可能と判定された受信端末に対しては、優先順位が次の通信網を選択して情報コンテンツを送信する手順を、上記情報伝送が不可能と判定された受信端末が無くなるか又は上記複数の通信網のうち未選択の通信網が無くなるまで繰り返す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば災害発生時に自治体の拠点間で避難情報等の重要な情報を配信する防災情報配信方法及び装置に関する。
に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自治体の拠点間では、自営IP(Internet Protocol)網、地域IP網、携帯電話網、一般電話回線網、衛星通信網、MCA網等の通信網を介して情報伝送が行われている。しかし、大地震や台風等により災害が発生すると、通信網における障害の発生や通信トラフィックの増大の影響により、避難所や防災担当者に防災情報を伝送できなくなることが想定される。
【0003】
このような場合、従来では例えば職員が通信網ごとにそれぞれの端末を用いて通信を試行することにより各通信網の状態を判断し、利用可能な通信網を選択するのが一般的である。ところが、このような手法では、通信網の選択に人的操作と人の判断を必要とすることから、緊急事態に利用する通信網を選択する際の的確性並びに迅速性が担保できなくなるおそれがある。
【0004】
一方、情報を自動的に配信するシステムとして、作業者の存在場所に応じて情報を配信すべき配信媒体を選択して、この選択した配信媒体に適した形式に情報を整形し、上記選択された配信媒体に適応したネットワークを介して、上記整形された情報を伝送するものが提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3454740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記従来のシステムは、相手先が所持していると想定される固有のメディアに応じ適切なネットワークを選択して情報を配信するものである。このため、災害発生時のように通信回線の輻輳や通信回線の途絶が発生した場合には情報の配信が行えなくなる。すなわち、外部の影響により発生する通信網の障害に対するリスク回避を担保できるシステムとは言えない。
【0007】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、災害発生時に人手に頼ることなくより的確かつ迅速に適切な通信網を選択して情報配信を行えるようにし、かつ情報配信オペレータが自身の端末において情報配信処理手順の進行状況を確認できるようにした情報配信方法及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためにこの発明の一観点は、災害発生時に異なる複数の通信網を選択的に使用して複数の受信端末へ防災情報を配信する際に、上記複数の通信網を予め設定された優先順位に従い選択して、この選択された通信網及び受信端末が情報伝送を可能な状態にあるか否かを送信先として設定された受信端末の各々について判定し、情報伝送が可能と判定された受信端末に対し上記選択された通信網を経由して上記防災情報を送信し、一方情報伝送が不可能と判定された受信端末が存在する場合には、当該受信端末を送信先の端末として再設定すると共に上記優先順位が次の通信網を選択する一連の情報配信処理手順を、上記情報伝送が不可能と判定された受信端末が無くなるか又は上記複数の通信網のうち未選択の通信網が無くなるまで繰り返すように構成し、さらに上記情報配信処理手順の繰り返し実行中に、上記複数の通信網のうち何れが選択中であるかを示す通信網の選択状態遷移情報を生成し、この生成された選択状態遷移情報を表示させるようにしたものである。
【0009】
したがって、情報伝送が不可能と判定された受信端末が無くなるか又は上記複数の通信網のうち未選択の通信網が無くなるまで、通信網の順次選択と、受信端末への情報伝送の可否判定と、伝送可能な受信端末への情報配信からなる情報配信処理手順が、自動的に繰り返し実行される。すなわち、伝送可能な通信網を探しながら防災情報を配信する情報配信処理手順が自動的に実行される。このため、人的操作により伝送可能な通信網を探す必要がなくなり、これにより通信網の選択及び情報配信処理を迅速かつ適切に行うことが可能となる。
さらに、例えば情報配信オペレータは自身の端末において情報配信処理手順の進行状況を確認することが可能となり、これにより通信網の輻輳の発生状況等を間接的に把握することが可能となる。
【0010】
また、この発明は以下のような各種特徴的な構成要素を備えることを特徴とする。
第1の特徴的構成要素は、防災情報の送信に際し、配信対象の防災情報を、選択された通信網で利用可能な伝送帯域に対応するデータ量とするべく加工するものである。
このようにすると、例えば伝送帯域の小さい通信網により防災情報を送信する場合には、当該通信網の伝送帯域に適応するようにデータ量が自動的に削減又は圧縮される。このため、限られた帯域を使用して防災情報を円滑に配信することができる。
【0011】
第2の特徴的構成要素は、上記情報配信処理手順の繰り返し実行中に、選択された通信網ごとに、送信先として設定された受信端末数に対する情報伝送が可能な受信端末数を表す値、又は送信先として設定された受信端末数に対する情報伝送が不可能な受信端末数を表す値を計算し、この計算された値を上記選択状態遷移情報に対応付けて表示させるものである。
【0012】
このようにすると、情報配信オペレータは、通信網ごとの配信完了率又は配信失敗率を確認することが可能となり、これにより情報配信処理の進行状況と各通信網の輻輳状況をより一層正確に把握することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
すなわち、この発明によれば、災害発生時に人手に頼ることなくより的確かつ迅速に適切な通信網を選択して情報配信を行えるようにし、かつ情報配信オペレータが自身の端末において情報配信処理手順の進行状況を確認できるようにした情報配信方法及び装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の一実施形態に係わる情報配信装置である伝達制御サーバCSVと、その周辺の構成を示す図である。
【図2】図1に示した伝達制御サーバを各通信網に接続するための物理構成を示す図である。
【図3】図1に示した伝達制御サーバが各通信網に対する接続を自動切替する際の論理構成を示した図である。
【図4】図1に示した伝達制御サーバにおいて実行される配信フロー及びデータフローの構成を示す図である。
【図5】通信網に対するモニタリング処理の処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
【図6】情報コンテンツの配信処理の処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
【図7】各通信網に対するモニタリング処理のアルゴリズムの一例を示すものである。
【図8】情報コンテンツの配信処理アルゴリズムのメインルーチンを示すフローチャートである。
【図9】自営IP網による情報配信アルゴリズムのサブルーチンを示すフローチャートである。
【図10】衛星通信網による情報配信アルゴリズムのサブルーチンを示すフローチャートである。
【図11】地域IP網による情報配信アルゴリズムのサブルーチンの手順と内容を示すフローチャートである。
【図12】携帯電話網による情報配信アルゴリズムのサブルーチンの手順と内容を示すフローチャートである。
【図13】電話回線網及びMCA網を併用した情報配信アルゴリズムのサブルーチンの手順と内容を示すフローチャートである。
【図14】携帯電話網を使用して情報コンテンツを配信する場合の情報加工処理手順と処理内容のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図15】電話回線網並びにMCA網を使用して情報コンテンツを配信する場合の情報加工処理手順と処理内容のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図16】各通信網のモニタリング結果を、続いて実行される情報コンテンツの配信処理手順に反映させる際のシーケンスを示す図である。
【図17】情報コンテンツを配信する際の固有アドレスの遷移を示したアルゴリズム(マトリクス)を示す図である。
【図18】情報コンテンツを配信する際の固有アドレスの遷移を示したアルゴリズム(マトリクス)を示す図である。
【図19】SNMPマネージャ機能であるMRTGの設定及び定期モニタリングの設定例を示す図である。
【図20】SNMPマネージャ機能であるMRTGの設定及び定期モニタリングの設定例を示す図である。
【図21】SNMPマネージャ機能であるMRTGの設定及び定期モニタリングの設定例を示す図である。
【図22】ユーザが直接操作するクライアント端末での設定用画面の構成を示したものである。
【図23】通信網の切替の状態遷移情報の表示例を示す図である。
【図24】通信網の切替の状態遷移と配信完了率の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係わる情報配信装置である伝達制御サーバCSVと、その周辺の構成を示す図である。伝達制御サーバCSVは、例えば自治体の防災センタに設置され、複数の通信網のうち任意の網を選択的に経由して受信端末RSVとの間で通信可能となっている。複数の通信網は、例えば自営IP(Internet Protocol)網NW1と、衛星通信網NW2と、地域IP網NW3と、携帯電話網NW4と、電話回線網NW5と、MCA(Multi Channel Access)無線網NW6とからなる。
【0016】
伝達制御サーバCSVは例えばWebサーバからなり、ハードウエアとして中央処理ユニット(CPU;Central Processing Unit)と、このCPUに対しバスを介して接続されるプログラムメモリ、データメモリ、データベース及び各種インタフェースとを備えている。
【0017】
また伝達制御サーバCSVは、ソフトウエアとして、OS(Operating System)と、ミドルウエアと、これらのOS及びミドルウエア上で実行されるアプリケーション・プログラム群とを備えている。アプリケーション・プログラム群は、ユーザインタフェース(ユーザI/F)AP1と、連携インタフェース(連携I/F)AP2と、システム間インタフェース(システム間I/F)AP3と、グループ管理プログラムAP4と、配信コンテンツ作成・管理プログラムAP5と、複数網自動配信制御プログラムAP6と、連携制御応答管理プログラムAP7とから構成される。
【0018】
ユーザインタフェースAP1は、パーソナル・コンピュータからなるクライアント端末TMとの間でコマンドやデータの送受信を行うもので、例えばユーザが入力したメッセージやコマンドの受付処理と、後述する通信網の選択状態の遷移や配信率を表す表示データをクライアント端末TMへ送信する処理を行う。
【0019】
連携インタフェースAP2は、上記複数の通信網NW1〜NW6との間でそれぞれ通信を行うための連携処理を行う個別のインタフェースモジュールを備え、利用する通信網ごとに機能化したモジュール構造を有する。各インタフェースモジュールは、クライアント端末TMによるユーザ操作により任意に追加や削除可能であり、柔軟性を持った導入プランの検討が行える。
システム間インタフェースAP3は、既述のFAXサーバや目的用途の異なる他のWebサーバ等との間でデータ等の送受信を行う。
【0020】
グループ管理プログラムAP4は配信先のアドレス管理を行うもので、クライアント端末TMによるユーザ操作に応じて、個別アドレス登録、個別アドレス削除、群登録、群削除、群メンバの設定等を行う。
配信コンテンツ作成・管理プログラムAP5は、テキスト、添付ファイル、FAX−OCR情報などの配信コンテンツを作成・管理するもので、クライアント端末TMから入力される要求に応じて動作する。
【0021】
複数網自動配信制御プログラムAP6は、情報配信処理において、通信網NW1〜NW6の切替制御、モニタリング制御、ステータス情報の取得、防災情報の配信制御等の一連の制御を司るもので、クライアント端末TMから入力される要求に応じて動作する。
連携制御応答管理プログラムAP7は、モニタリング結果やステータス情報、配信結果情報など関連する一連の応答制御およびデータログを管理するもので、クライアント端末TMから入力される要求に応じ、上記モニタリング結果や配信結果をもとに通信網の選択状態遷移や配信率を表す表示データを生成して、クライアント端末TMへ出力する。
【0022】
受信端末RSVは、例えば支所や公民館、学校、避難所、物資集積所等において防災担当者が使用するもので、例えばFAX端末やパーソナル・コンピュータ、携帯端末からなる。受信端末RSVは、上記伝達制御サーバCSVから通信網NW1〜NW6を介して伝送される防災情報を受信して表示する機能を有する。
【0023】
図2は、上記伝達制御サーバCSVを各通信網NW1〜NW6に接続するための物理構成を示す図である。同図に示すように伝達制御サーバCSVは、先ず自営IP網NW1及び地域IP網NW3に対してはそれぞれスイッチSWを経たのちルータRT1,RT2を介して接続され、衛星通信網NW2に対しては上記スイッチSWを経たのちIDUを介して接続される。また電話回線網NW5に対しては上記スイッチSW及びルータRT2を経たのち、さらにダイヤルアップルータRT3を介して接続される。さらに、携帯電話網NW4に対しては携帯モジュールMMを介して接続され、MCA無線網NW6に対してはMCAモデムMCを介して接続される。
【0024】
図3は、上記伝達制御サーバCSVが各通信網NW1〜NW6に対する接続を自動切替する際の論理構成を示したものである。同図に示すように伝達制御サーバCSVにおいて、PPPoE ProtocolによりLAN(Local Area Network)上からIPアドレスの割り当てを行うこと、およびTelnet ProtocolによるrLogin(自動化)を行うことにより、複数の通信網NW1〜NW6に対する接続を切替えることを可能としている。また、この通信網NW1〜NW6に対する切替の状態遷移を表す情報は、伝達制御サーバCSVからクライアント端末TMに送られて表示される。
【0025】
上記切替時のパラメータ設定は、ICMP(Internet Control Message Protocol)で定義されたエコー要求パケット情報(Pingコマンド)を使用する回線モニタリングにより行われる。図中にその一例を示している。ICMPモニタリングは、システム起動時、定期時、及びユーザのモニタリング開始操作をトリガとして、Priority level(NW1〜NW3)の順に行われる。Pingコマンドは1秒間隔で計3回(任意設定可能)行われる。このPingコマンドの送信後、所定時間内にすべての受信端末からの応答がない状態、つまりAll time outの発生の有無が確認され、これをもとに配信可能な通信網か否かが判定されて、その結果がクライアント端末TMのGUI(Graphical User Interface)に表示される。ただし、防災情報コンテンツ配信時にも配信アルゴリズムに従いユニキャストモニタリングが実施される。
【0026】
携帯電話網NW4を利用した携帯端末への呼接続処理は、送信先の選択操作をトリガとして実行される。モニタリングは、有線系の通信網NW1〜NW3での各モニタリングが終了した時点をトリガとして計1回(任意設定可能)行われる。そして、このモニタリングの結果、All time outの発生の有無が確認され、その結果がクライアント端末TMのGUIに表示される。ただし、コンテンツ配信時にも配信アルゴリズムに従いユニキャストモニタリングが実施される。
【0027】
次に、伝達制御サーバCSVにより実行される配信フローとデータフローについて説明する。図4はその一例を示すものである。なお、同図では図示の簡単のため通信網NW1〜NW6をそれぞれ(1)〜(6)と表している。
配信フローにおいて、標準フローは、(1) 自営IP網、(2) 衛星通信網、(3) 地域IP網、(4) 携帯電話網、及び(5) 電話回線網、(6) MCA網((5)、(6) は同時)の各通信網の理想帯域(帯域順)に応じて、配信に最も適した理想の回線を自動的に切り替える機能である。ユーザ指定フローは、操作者がクライアント端末TMにおいて、(1) 自営IP網、(2) 衛星通信網、(3) 地域IP網、(4) 携帯電話網、(5) 電話回線網、(6) MCA網を任意に選択指定することで、この選択指定した通信網を使用して配信を可能とする機能である。
【0028】
上記各通信網の理想帯域は次のように設定される。すなわち、自営IP網(1) 、衛星通信網(2) 、地域IP網(3) の各網については、携帯電話網(4) の最大帯域384kbpsを閾値として設定する。そして、自営IP網(1) 、衛星通信網(2) 、地域IP網(3) に対するモニタリングの結果、確保できる伝送帯域が上記閾値を下回った場合には、携帯電話網(4) に対するモニタリングに移行する。なお、自営IP網(1) 、衛星通信網(2) 、地域IP網(3) のうち何れかにてモニタリングの結果が閾値を上回った場合には、その回線を用いて防災情報コンテンツを配信する。次に、携帯電話網(4) に対するモニタリングの結果、確保できる伝送帯域が電話回線網(5) の最大帯域である64kbpsを下回った場合には、次の通信網である電話回線網(5) 及びMCA網(6) に切り替えてこれらの網に対するモニタリングを並行して行う。
【0029】
データフローは、配信するコンテンツデータを加工する際の閾値を示している。同図に示すように、携帯電話網(4) に対するモニタリングの結果、確保できる伝送帯域が64kbps〜384kbpsの範囲内だった場合には、この帯域に応じて、送信データ量がmin25.1kb(MCA網での最大伝送量=25kb+100b「64kbps時≒3.13s」)〜max47.9kbの範囲内になるように情報コンテンツを加工する。また、電話回線網(5) ならびにMCA網(6) を使用する場合には、送信データ量がmax25kb(伝送時間:電話回線網では3.125s、MCA網では3min)となるように情報コンテンツを再加工する。
【0030】
次に、以上のように構成された伝達制御サーバCSVの動作を説明する。
(1)通信網に対するモニタリング処理
情報コンテンツの配信処理手順の実行に先立ち伝達制御サーバCSVは、複数網自動配信制御プログラムAP6を起動し、通信網NW1〜NW4に対するモニタリング処理手順を予め設定された優先順位に従い以下のように実行する。図5はその手順と処理内容を示すフローチャートである。
【0031】
すなわち、先ず自営IP網(1) に対してICMPエコー要求パケット情報による回線モニタリングを実施し、その結果を表す情報をユーザインタフェースAP1を介してクライアント端末TMに通知する。この結果クライアント端末TMでは、上記通知されたモニタリング結果を表す情報が表示部に表示される。そして、ルータに対し自動的にログインすることで回線インタフェースを切替え、そのステータス情報をユーザインタフェースAP1を介してクライアント端末TMに通知する。この結果クライアント端末TMでは、上記通知されたステータス情報が表示部に表示される。
【0032】
次に、衛星通信網(2) に対し、上記自営IP網(1) の場合と同様にICMPエコー要求パケット情報による回線モニタリングを実施し、その結果を表す情報をユーザインタフェースAP1を介してクライアント端末TMに通知して表示部に表示させる。そして、同様にルータに対し自動的にログインすることで回線インタフェースを切替え、そのステータス情報をユーザインタフェースAP1を介してクライアント端末TMに通知し、表示させる。
【0033】
以上述べた一連の動作を地域IP網(3) 及び携帯電話網(4) に対し順次実行し、最終的に上記各通信網(1) 〜(4) に対するモニタリング結果をアンド処理する。そして、このアンド処理の結果、通信網(1) 〜(4)の使用の可否を表す情報をユーザインタフェースAP1を介してクライアント端末TMに通知し表示させる。具体的には、通信網が1つでもLost=0であれば通信可能と見なし、その情報をクライアント端末TMに通知する。またこのとき、通信不可能な通信網があった場合には、どの通信網で問題が発生しているかを表す情報をクライアント端末TMに併せて通知し表示させる。
【0034】
図7(a)〜(d)はそれぞれ、上記各通信網(1) 〜(4) に対するモニタリング処理のアルゴリズムの一例を示すものである。
先ず自営IP網(1) に対しては、ステップS111においてICMPエコー要求パケットを送信するための各種パラメータ設定を行い、この設定されたパラメータに従いステップS112によりICMPエコー要求パケットを送信する。そして、ステップS113において、所定期間(1000ms)内に全ての受信端末から応答が無かったかどうか、つまりAll time outであるか否かを判定し、All time outだった場合にはステップS114により当該自営IP網(1) は利用不可と判断し、一方All time outでなかった場合にはステップS115により当該自営IP網(1)は利用可能と判断する。そして、上記判断の結果を表すメッセージをクライアント端末TMへ出力する。
【0035】
次に衛星通信網(2) に対し、上記自営IP網(1) の場合と同様に、ステップS211においてICMPエコー要求パケットを送信するための各種パラメータ設定を行い、この設定されたパラメータに従いステップS212によりICMPエコー要求パケットを送信する。そして、ステップS213において全受信端末がAll time outであるか否かを判定し、All time outだった場合にはステップS214により当該衛星通信網(2)は利用不可と判断し、一方All time outでなかった場合にはステップS215により当該衛星通信網(2)は利用可能と判断する。そして、上記判断の結果を表すメッセージをクライアント端末TMへ出力する。
同様に地域IP網(3)に対しても、ステップS311〜S315により、上記自営IP網(1)及び衛星通信網(2)と同じ手順でICMPエコー要求パケットを用いた受信端末に対するモニタリング処理を実行し、その判断結果を表すメッセージをクライアント端末TMへ出力する。
【0036】
最後に、携帯電話網(4) に対し、ステップS411により携帯端末に対応するパラメータを設定したのち、ステップS412によりICMPエコー要求パケットを送信する。そして、ステップS413においてAll time outであるか否かを判定し、All time outだった場合にはステップS414により当該携帯電話網(4)は利用不可と判断し、一方All time outでなかった場合にはステップS415により当該携帯電話網(4) は利用可能と判断する。そして、上記判断の結果を表すメッセージをクライアント端末TMへ出力する。
【0037】
以上のようにして判定された各通信網(1) 〜(4) のモニタリング結果を表すメッセージは、続いて実行される情報コンテンツの配信処理手順に活用される。図16はその内容を示すシーケンス図である。
すなわち、上記各通信網(1) 〜(4) に対するモニタリング処理の結果、ある通信網においてAll time outとなると、続いて行われる情報コンテンツの配信処理手順において、当該通信網が選択対象から除外される。例えば、自営IP網(1)がAll time outとなると、配信処理手順ではこの自営IP網(1)が除外されて、次の衛星通信網(2)から配信手順が実行される。また、衛星通信網(2)がAll time outとなった場合には、配信処理手順ではこの衛星通信網(2)が選択対象から除外されて、自営IP網(1)の次に地域IP網(3)が選択される。このようにすることで、情報コンテンツの配信処理手順において、利用不可能な通信網に対する不必要なモニタリング処理が再度行われないようにして、配信に要する制御サーバCSVの処理負荷を軽減し、かつ処理時間を短縮することができる。
【0038】
(2)情報コンテンツの配信処理の概要
上記通信網NW1〜NW4に対するモニタリング処理手順が終了すると、続いて伝達制御サーバCSVは情報コンテンツの配信処理手順を以下のように実行する。図6はその処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
【0039】
すなわち、先ずステップS11により、自営IP網(1) に対してICMPエコー要求パケット情報によるユニキャストモニタリング処理を実行する。このモニタリング処理では、伝達制御サーバCSVにおいて、配信先として事前に登録されている全ての受信端末ノードのアドレスに対してICMPモニタリング処理が実行される。そして、このモニタリングの結果をもとに受信端末ごとの通信可否をステップS12で判定し、通信可能(Lost=0)な受信端末が存在した場合にはステップS13により該当する受信端末を選択し、この選択した受信端末に向けてステップS14により情報コンテンツを送信する。通信プログラムとしては、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)が用いられる。
【0040】
これに対し通信不能(Lostあり)と判定した受信端末が存在した場合には、ステップS15でこの通信不能と判定された受信端末をリストアップする。そして、ステップS16において衛星通信網(2) にアクセスするためのルータに自動的にログインし、回線インタフェースを切替える。この結果、接続先が衛星通信網(2) に切り替わる。また、このときルーティングステータス情報をユーザインタフェースAP1を介してクライアント端末TMへ送信する。
【0041】
次に伝達制御サーバCSVは、ステップS21において、衛星通信網(2) に対しICMPエコー要求パケット情報によるユニキャストモニタリング処理を実行する。このモニタリング処理では、上記通信不能と判定された受信端末のアドレスに対してのみICMPモニタリング処理が実行される。そして、このモニタリングの結果をもとに受信端末ごとの通信可否をステップS22で判定し、通信可能(Lost=0)な受信端末が存在した場合にはステップS23により該当する受信端末を選択し、この選択した受信端末に向けてステップS24により情報コンテンツを送信する。
【0042】
これに対し通信不能(Lostあり)と判定した受信端末が存在した場合には、ステップS25でこの通信不能と判定された受信端末をリストアップする。そして、ステップS26において地域IP網(3) にアクセスするためのルータに自動的にログインし、回線インタフェースを切替える。この結果、接続先が地域IP網(3) に切り替わる。また、このとき地域IP網(3) に対応するルーティングステータス情報をユーザインタフェースAP1を介してクライアント端末TMへ送信する。
【0043】
続いて伝達制御サーバCSVは、ステップS31において、前記自営IP網(1) 及び衛星通信網(2) の場合と同様に、地域IP網(3) に対しICMPエコー要求パケット情報によるユニキャストモニタリング処理を実行する。このモニタリング処理においては、上記衛星通信網(2) に対するモニタリングの結果、通信不能と判定された受信端末のアドレスに対してのみ、ICMPモニタリング処理が実行される。そして、このモニタリングの結果をもとに受信端末ごとの通信可否をステップS32で判定し、通信可能(Lost=0)な受信端末が存在した場合にはステップS33により該当する受信端末を選択し、この選択した受信端末に向けてステップS34により情報コンテンツを送信する。
【0044】
これに対し通信不能(Lostあり)と判定した受信端末が存在した場合には、ステップS35でこの通信不能と判定された受信端末をリストアップする。そして、ステップS36において携帯電話網(4) にアクセスするためのルータに自動的にログインし、回線インタフェースを切替える。この結果、接続先が携帯電話網(4) に切り替わる。また、このとき携帯電話網(4) に対応するルーティングステータス情報をユーザインタフェースAP1を介してクライアント端末TMへ送信する。
【0045】
次に伝達制御サーバCSVは、ステップS41において、前記自営IP網(1) 、衛星通信網(2) 及び地域IP網(3) の場合と同様に、携帯電話網(4) に対しICMPエコー要求パケット情報によるユニキャストモニタリング処理を実行する。このモニタリング処理においては、上記地域IP網(3) に対するモニタリングの結果、通信不能と判定された受信端末のアドレスに対してのみ、ICMPモニタリング処理が実行される。そして、このモニタリングの結果をもとに受信端末ごとの通信可否をステップS42で判定し、通信可能(Lost=0)な受信端末が存在した場合にはステップS43により該当する受信端末を選択する。そして、ステップS44により携帯端末に対応するデータ量となるようにコンテンツデータの加工処理を行ったのち、ステップS45により当該コンテンツデータを受信端末に向け送信する。
【0046】
これに対し通信不能(Lostあり)と判定した受信端末が存在した場合には、ステップS46でこの通信不能と判定された受信端末をリストアップする。そして、ステップS47において電話回線網(5) にアクセスするためのルータに自動的にログインし、回線インタフェースを切替える。続いて、ステップS51においてISDNの回線を選択したのち、ステップS52によりISDNに対応する伝送データ量となるようにコンテンツデータの加工処理を行い、しかるのちステップS53により上記通信不能と判定された受信端末のアドレス、つまり電話番号+サブアドレスをもとに、当該コンテンツデータを受信端末に向け送信する。通史心プログラムとしてはPPP(Point to Point Protocol)が用いられる。
【0047】
また伝達制御サーバCSVは、それと並行して、ステップS61においてMCA端末MMを起動させる。そしてステップS62において、上記通信不能と判定された受信端末の個別番号をもとに、情報コンテンツをRS232Cケーブルを介してMCA端末MMに転送したのち、このMCA端末MMからさらに親局側のMCA端末に転送させ、MCA回線のデータ通信手順に従い受信端末に向け送信させる。そして、最終的に配信終了を告げる情報をユーザインタフェースAP1を介してクライアント端末TMに通知し、全ての配信プロセスを完了する。
【0048】
なお、上記説明では、自営IP網(1) 、衛星通信網(2)、地域IP網(3)、携帯電話網(4)、電話回線網(5)及びMCA網(6)の全てを順に選択するようにした。しかし、それに限らす、クライアント端末TMにおいてユーザが所望の通信網とその優先順位を予め指定入力しておくことで、任意の通信網を任意の順に選択して情報コンテンツを配信することが可能である。
【0049】
(3)情報コンテンツの配信処理アルゴリズム
図8は、情報コンテンツの配信処理アルゴリズムのメインルーチンを示すフローチャートである。
伝達制御サーバCSVの複数網自動配信制御プログラムAP6は、通信網に対するモニタリング処理結果をスループットWとして取り込むと、先ずステップS141において当該スループットWが384kbps以上か否かを判定する。この判定の結果、スループットWが384kbps以上であれば、ステップS142により上記スループットの値Wをメッセージとして出力してのち、ステップS143により自営IP網(1)を使用した情報配信処理を実行する。
【0050】
これに対し上記スループットWが384kbps未満だった場合には、次にステップS451により上記スループットWが64kbps≦W<384kbpsの範囲にあるか否かを判定する。この結果、スループットWが64kbps≦W<384kbpsの範囲にある場合には、ステップS452により上記スループットの値Wをメッセージとして出力したのち、ステップS453により情報データを部分抽出し、この抽出された情報データをステップS454において携帯電話網(4) を介して配信する処理を実行する。
【0051】
また、上記スループットWが64kbps≦W<384kbpsの範囲にない場合には、ステップS531に移行し、ここで上記スループットWが64kbps未満であるか否かを判定する。この判定の結果、スループットWが64kbps未満の場合にはステップS532により上記スループットの値Wをメッセージとして出力したのち、ステップS533により情報データの一部をさらに抽出し、この抽出された情報データをステップS534において電話回線網(5) を介して配信する処理を実行する。またそれと並行して、ステップS621により上記抽出された情報データをMCA網(6) を介して配信する処理を実行する。
なお、上記判定の結果、スループットWが64kbps未満でない場合にはステップS71によりプログラムエラーと判断して処理を終了する。
【0052】
(3−1)自営IP網(1)による情報配信アルゴリズム
上記図8に示した配信アルゴリズムのメインルーチンのうち、自営IP網(1)による情報配信アルゴリズムのサブルーチンは以下のように実行される。図9はその手順と内容を示すフローチャートである。
【0053】
すなわち、先ずステップS1431において、正常動作する受信端末の数NPと、応答しなかった受信端末の数RFをそれぞれ初期値(=0)に設定すると共に、ステップS1432により受信端末の選択番号Nを初期値=1に設定する。次に、ステップS1433により上記Nの値が配信対象の受信端末の総数Wに達したか否かを判定し、達していなければステップS1434により上記N番目の受信端末のIPアドレスに対しPingコマンドを送信する。そして、ステップS1435により上記Pingコマンドに対する応答が所定時間内に返送されるか否かを判定し、返送されればステップS1437によりNPに1を加算し、一方を返送されなければステップS1436によりRFに1を加算する。そして、ステップS1438により上記Nをインクリメントし、ステップS1433に戻る。以後、Nの値がWの値に達するまで、つまり全ての受信端末に対するモニタリングが終了するまで、上記ステップS1433〜ステップS1438による処理が繰り返される。
【0054】
上記全ての受信端末に対するモニタリングが終了すると、次にステップS1439において、応答しなかった受信端末の数RFが0であるか否かを判定する。そして、0であればステップS1441に移行して正常動作する受信端末の数NPが0であるか否かを判定し、0でなければステップS1442に移行して上記NPの数を記憶したのち、情報コンテンツの送信処理を開始する。
一方、RFの値が0でなければ、つまり配信不可能な受信端末が存在する場合には、ステップS1440により上記RFの値を保持したのち、衛星通信網(2) を使用する配信処理手順に移行する。
【0055】
(3−2)衛星通信網(2)を使用した情報配信アルゴリズム
衛星通信網(2) による情報配信アルゴリズムのサブルーチンは以下のように実行される。図10はその手順と内容を示すフローチャートである。
すなわち、先ずステップS1443において、配信対象となる未送信の受信端末のIPアドレスをデータベースDBから順次読み出し、ステップS1444により当該IPアドレスに対しPingコマンドを順次送信する。そして、上述した自営IP網(1) の場合と同様に正常動作する受信端末の数NPと、応答しなかった受信端末の数RFをそれぞれカウントし、上記配信対象となる全受信端末に対するモニタリングが終了すると、ステップS1444′において、応答しなかった受信端末の数RFが0であるか否かを判定する。そして、0であればステップS1446に移行して正常動作する受信端末の数NPが0であるか否かを判定し、0でなければステップS1447に移行して上記NPの数を記憶したのち、情報コンテンツの送信処理を開始する。
これに対し、RFの値が0でなければ、つまり配信不可能な受信端末がまだ残っている場合には、ステップS1445により上記RFの値を保持したのち、地域IP網(3) を使用する配信処理手順に移行する。
【0056】
(3−3)地域IP網(3) を使用した情報配信アルゴリズム
地域IP網(3) による情報配信アルゴリズムのサブルーチンは以下のように実行される。図11はその手順と内容を示すフローチャートである。
すなわち、上記衛星通信網(2) を使用する場合と同様に、先ずステップS1448において、配信対象となる未送信の受信端末のIPアドレスをデータベースDBから順次読み出し、ステップS1449により当該IPアドレスに対しPingコマンドを順次送信する。そして、上述した自営IP網(1) 及び衛星通信網(2)の場合と同様に、正常動作する受信端末の数NPと、応答しなかった受信端末の数RFをそれぞれカウントする。そして、上記配信対象となる全受信端末に対するモニタリングが終了すると、ステップS1450において、応答しなかった受信端末の数RFが0であるか否かを判定する。そして、0であればステップS1452に移行して正常動作する受信端末の数NPが0であるか否かを判定し、0でなければステップS1453に移行して上記NPの数を記憶したのち、情報コンテンツの送信処理を開始する。
これに対し、RFの値が0でなければ、つまり配信不可能な受信端末が依然として残っている場合には、ステップS1451により上記RFの値を保持したのち、携帯電話網(4) を使用する配信処理手順に移行する。
【0057】
(3−4)携帯電話網(4)を使用した情報配信アルゴリズム
携帯電話網(4) による情報配信アルゴリズムのサブルーチンは以下のように実行される。図12はその手順と内容を示すフローチャートである。
すなわち、先ずステップS4541において、配信対象となる未送信の受信端末のIPアドレスをデータベースDBから順次読み出し、ステップS4542により当該IPアドレスに対しPingコマンドを順次送信する。そして、上述した自営IP網(1) 、衛星通信網(2) 及び地域IP網(3) の場合と同様に、正常動作する受信端末の数NPと、応答しなかった受信端末の数RFをそれぞれカウントする。そして、上記配信対象となる全受信端末に対するモニタリングが終了すると、ステップS4553において、応答しなかった受信端末の数RFが0であるか否かを判定する。そして、0であればステップS4545に移行して正常動作する受信端末の数NPが0であるか否かを判定し、0でなければステップS4546に移行して上記NPの数を記憶したのち、情報コンテンツの送信処理を開始する。
これに対し、この携帯電話網(4) においてもRFの値が0でなければ、つまり配信不可能な受信端末が依然として残っている場合には、ステップS4544により上記RFの値を保持したのち、電話回線網(5) 及びMCA網(6) を併用する配信処理手順に移行する。
【0058】
(3−5)電話回線網(5) 及びMCA網(6) を併用した情報配信アルゴリズム
電話回線網(5) 及びMCA網(6) を併用した情報配信アルゴリズムのサブルーチンは以下のように実行される。図13はその手順と内容を示すフローチャートである。
すなわち、先ず電話回線網(5) を使用するサブルーチンでは、始めにステップS5341により受信端末の選択数Nを初期化(=1)したのち、ステップS5342において上記Nが配信対象の全受信端末数Wに達したか否かを判定する。この判定の結果達していなければ、ステップS5343においてデータベースを参照することにより受信端末のIPアドレスを電話番号に変換し、さらに上位の各通信網(1) 〜(4) で配信されずに未配信のまま残った受信端末の数RN{}にNの値を加算する。そして、以上の処理が終了すると、ステップS5345によりNをインクリメントして、上記ステップS5342に戻る。以後、Nの値がWの値に達するまで、つまり全ての受信端末についてIPアドレスを電話番号に変換し、さらに未配信の受信端末数RN{}をカウントする処理が終了するまで、上記ステップS5342〜ステップS5345による処理が繰り返される。
【0059】
上記全ての受信端末に対する以上の処理が終了すると、次にステップS5346において、未配信の受信端末数RN{}が0であるか否かを判定する。そして、0でなければステップS5347に移行して上記未配信の受信端末数RN{}を保存したのち、情報コンテンツの送信処理を行う。
【0060】
一方、MCA網(6) を使用するサブルーチンでは、始めにステップS6211により受信端末の選択数Nを初期化(=1)したのち、ステップS6212において上記Nが配信対象の全受信端末数Wに達したか否かを判定する。この判定の結果達していなければ、ステップS6212においてデータベースを参照することにより受信端末のIPアドレスを電話番号に変換し、さらに上位の各通信網(1) 〜(4) で配信されずに未配信のまま残った受信端末の数RN{}にNの値をステップS6213において加算する。そして、以上の処理が終了すると、ステップS6214によりNをインクリメントして、上記ステップS6211に戻る。以後、Nの値がWの値に達するまで、つまり全ての受信端末についてIPアドレスを電話番号に変換し、さらに未配信の受信端末数RN{}をカウントする処理が終了するまで、上記ステップS6211〜ステップS6214による処理が繰り返される。
【0061】
上記全ての受信端末に対する以上の処理が終了すると、次にステップS6215において、未配信の受信端末数RN{}が零であるか否かを判定する。そして、零でなければステップS6216に移行して上記未配信の受信端末数RN{}を保存したのち、情報コンテンツの送信処理を行う。
【0062】
(4)情報加工処理
(4−1)携帯電話網を使用して配信するとき
携帯電話網(4) を使用して情報コンテンツを配信する場合、携帯電話網(4) に対するモニタリングの結果、その伝送帯域が64kbps〜384kbpsの範囲だった場合、情報コンテンツの理想帯域が当該伝送帯域を超えてしまう。したがって、この場合には情報コンテンツを以下のように加工する。図14はその処理手順と処理内容のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0063】
すなわち、先ずステップS4531により送信コンテンツのデータ量を入力する。次にステップS4532において、上記入力されたデータ量が48kbyte未満であるか否かを判定する。この判定の結果、データ量が48kbyte未満であればそのまま情報コンテンツの配信処理に移行する。一方、データ量が48kbyte以上の場合には、ステップS4533において、min25.1kbyte(MCA網(6) での最大伝送量:25kbyte+100byte「64kbps時≒3.13sec」)〜max47.9kbyteの範囲で情報コンテンツを加工する。
【0064】
(4−2)電話回線網並びにMCA網を使用して配信するとき
電話回線網(5) 並びにMCA網(6) を使用して情報コンテンツを配信する場合も、モニタリングにより検出される伝送帯域は64kbps〜384kbpsであるため、情報コンテンツの理想帯域が当該伝送帯域を超えてしまう。したがって、この場合には情報コンテンツを以下のように加工する。図15はその処理手順と処理内容のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0065】
すなわち、先ずステップS5331により送信コンテンツのデータ量を入力する。次にステップS5332において、上記入力されたデータ量が25kbyte以下であるか否かを判定する。この判定の結果、データ量が25kbyte以下であればそのまま情報コンテンツの配信処理に移行する。一方、データ量が25kbyteを超えている場合には、ステップS5333において、max25kbyte(伝送時間:電話回線網では3.125sec、MCA網では3min)となるように情報コンテンツを再加工する。
【0066】
(5)情報コンテンツ配信時のデータフローシート
図17〜図18は、情報コンテンツを配信する際の固有アドレスの遷移を示したアルゴリズム(マトリクス)である。配信プロセスにおいて回線インタフェースの切替をキーに、配信対象となる紐付いた固有アドレスを自動的に選択(遷移)し、そのアドレス情報をもとにそれぞれのサブルーチンでの配信を行う。また、ブロック単位でのデータ構造を有しており、全ての判断を瞬時に行うことができる。
【0067】
例えば、自営IP網(1) の場合には図17のDT1の矢印で示されるアドレス情報をもとに情報コンテンツの配信が行われ、衛星通信網(2) の場合にはアドレス情報がDT2の矢印で示されるものに遷移し、地域IP網(3) の場合にはアドレス情報がDT3の矢印で示されるものに遷移する。また、携帯電話網(4) に移行した場合にはアドレス情報が図18のDT4において矢印で示されるものに遷移し、電話回線網(ISDN網)(5) 並びにMCA網(6) に移行した場合にはDT5において矢印で示されるものに遷移する。
以上のようにアドレス情報を管理することで、1つの受信端末に対して端末ごとに一連のアドレスを管理することが可能となる。
【0068】
(6)MRTG(Multi Router Traffic Grapher)の設定及び定期モニタリングの設定
SNMP(Simple Network Management Protocol)マネージャ機能であるMRTGの設定及び定期モニタリングの設定は、例えば図19乃至図21に示すように行われる。
【0069】
(7)クライアント端末における設定画面
図22は、ユーザが直接操作するクライアント端末TMでの設定用画面の構成を示したものである。
この図に示す通り、宛先の選択メニューには、「一斉」、「群」、「個別」の3つが用意されており、この3つの中から宛先を選択可能である。なお、「群」と「個別」についてはプルダウンにて「群」および「個別」の宛先を指定することが可能である。通信網選択メニューには、「自営IP網」、「衛星通信網」、「地域IP網」、「携帯電話網」、「電話回線網」、「MCA網」が用意されており、ユーザはこれらの通信網の中から所望の通信網を任意に選択可能である。
【0070】
モニタリング開始ボタンは、ユーザが任意のタイミングでモニタリング処理を実行させる場合に使用される。通常、モニタリング処理はシステム起動時および定期的に自動的に実行されるが、上記モニタリング開始ボタンを備えることでユーザの任意のタイミングモニタリング処理を実行させることが可能である。プルダウンボタンはモニタリングの詳細情報を確認するときに操作するものである。プルダウンボタンと隣接する位置には、ステータス情報及び送信結果を表示するウィンドウが設けられており、上記プルダウンボタンの選択操作に応じて、詳細なステータスログや送信結果詳細情報が表示される。また、テキストによる送信情報入力画面、添付ファイルの指定およびOCR化されたFAXデータの呼び出し(FAXサーバとのサーバ間連携)機能が備えられており、さらに送信機能は勿論、送信情報の保存、送信情報の削除も可能となっている。
【0071】
(8)通信網切替の状態遷移情報と配信率の表示
情報コンテンツの配信処理手順において、通信網の切替処理が行われた場合、伝達制御サーバCSVではその切替の状態遷移を表す表示データが生成され、この表示データがユーザインタフェースAP1を介してクライアント端末TMに送られて表示部に表示される。図23はその表示例を示すものである。この例では、現在選択されている通信網にマスコットが表示される。
【0072】
またそれと共に、選択されている通信網を介して受信端末へ情報コンテンツが配信された場合に、その配信完了率が計算されてその計算結果が上記マスコットに対応付けられて表示される。配信完了率(%)は、モニタリングの結果配信可能と判定された受信端末の数を、配信対象として設定された全受信端末数により割り算し、その結果に100をかけることにより計算される。
【0073】
図24は、上記通信網の切替の状態遷移と配信完了率の表示例を示すもので、(1) 自営IP網、(2) 衛星通信網、(3) 地域IP網、(4) 携帯電話網、(5) 電話回線網及び(6) MCA網の順にその変化例を示している。
このように、情報コンテンツの配信処理中に通信網の切替の状態遷移と配信完了率をクライアント端末TM2表示することで、ユーザは防災情報コンテンツの配信の状況をリアルタイムに確認することが可能となる。
【0074】
以上説明したようにこの実施形態では、災害発生時に異なる自営IP網NW1、衛星通信網NW2、地域IP網NW3、携帯電話網NW4、電話回線網NW5及びMCA網NW6を選択的に使用して複数の受信端末へ防災情報を配信する際に、伝達制御サーバCSVにおいて、上記複数の通信網NW1〜NW6を予め設定された優先順位に従い順次選択して、この選択された通信網及び受信端末が情報伝送を可能な状態にあるか否かを送信先として設定された受信端末の各々について判定する。そして、情報伝送が可能と判定された受信端末に対し上記選択された通信網を経由して上記防災情報コンテンツを送信し、一方情報伝送が不可能と判定された受信端末が存在する場合には、当該受信端末を送信先の端末として再設定すると共に上記優先順位が次の通信網を選択して情報コンテンツを送信する手順を、上記情報伝送が不可能と判定された受信端末が無くなるか又は上記複数の通信網のうち未選択の通信網が無くなるまで繰り返すようにしている。
【0075】
したがって、通信網を順次選択しながら当該通信網により情報伝送が可能な受信端末を探して防災情報コンテンツを配信する情報配信処理手順が自動的に実行される。このため、人的操作により伝送可能な通信網を探す必要がなくなり、これにより通信網の選択及び情報配信処理を迅速かつ適切に行うことが可能となる。
【0076】
また、上記した一連の情報配信処理手順の実行に先立ち、複数の通信網を優先順位に従い順に選択して、当該通信網及び受信端末が情報伝送を可能な状態にあるか否かを判定するモニタリング処理を実行し、このモニタリング処理の結果すべての受信端末に対し情報伝送が不可能な通信網が検出された場合には、図16に示したように、上記情報配信処理手順による通信網の選択対象から当該検出された通信網を除外するようにしている。したがって、情報配信処理手順では情報伝送可能な通信網のみを対象にして通信網の選択、情報伝送の可否判定等が行われることになり、これにより情報配信効率を高めることができる。
【0077】
さらに、防災情報の送信に際し、その通信網で利用可能な伝送帯域に応じて、配信対象の防災情報を当該通信網で伝送可能なデータ量とするべく加工するようにしている。したがって、例えば自営IP網NW1や地域IP網NW3等に比べて伝送帯域の小さい携帯電話網NW4や電話回線網NW5、MCA網NW6により防災情報を送信する場合には、これらの通信網で利用可能な伝送帯域に適応するように伝送データ量が自動的に削減又は圧縮される。このため、限られた帯域を使用して防災情報を円滑に配信することができる。
【0078】
さらに、上記情報配信処理手順の繰り返し実行中に、上記複数の通信網のうち何れが選択中であるかを示す通信網の選択状態遷移情報を生成し、この生成された選択状態遷移情報をクライアント端末TMに表示させるようにしている。したがって、ユーザはクライアント端末TMにおいて情報配信処理手順の進行状況を確認することが可能となり、これにより通信網の輻輳の発生状況等を間接的に把握することが可能となる。
【0079】
しかも、上記情報配信処理手順の繰り返し実行中に、選択された通信網ごとに、送信先として設定された受信端末数に対する情報伝送が可能な受信端末数を表す配信完了率を計算し、この計算された配信完了率を上記選択状態遷移情報に対応付けてクライアント端末TMに表示させるようにしている。したがって、ユーザは、通信網ごとの配信完了率を確認することが可能となり、これにより情報配信処理の進行状況と各通信網の輻輳状況をより一層正確に把握することが可能となる。
【0080】
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、PingコマンドはIPコネクションでの終点到達可能性を確認するためのステータステストである。このため、pingコマンドでは疎通が確認できない場合が想定される。そこで、標準仕様ではないが、付加機能として、TCP(Transmission Control Protocol)コネクションでの疎通確認手段であるFTP(File Transfer Protocol)におけるダミーパケットデータを用いることが考えられる。
【0081】
この確認手段は、伝達制御サーバCSVから通信網に対しFTPダミーパケットデータを送出する。そして、データ転送が正常に終了したときに受信端末からACK(ACKnowledgement:コンピュータ間の通信において、送信先のコンピュータから送信元のコンピュータへ送られる肯定的な返事)が返送される機能を利用し、上記FTPダミーパケットデータの送信タイミングとそのACKの受信タイミングとから、当該の通信網の回線の現状帯域を試算するものである。
例えば、(パケットサイズ×8)/かかった時間=現状帯域とした場合、
パケットサイズ:48,000byte
FTPダミーパケットデータの送信タイミング:AM8:00.00.000
ACK受信タイミング:AM8:00.00.500
48,000byte×8=384kbps
384kbps÷0.5=768kbps
現状帯域=768kbps
となる。
【0082】
以上の説明を図5及び図6で説明すると、ICMPモニタリングがFTPダミーパケットモニタリングとなり、その他はPingコマンドがダミーパケットとなる。また、上記FTPモニタリングを実施するために、クライアント端末TMの操作画面に、例えば図22に示すようにFTPモニタリングボタンを設ける。ユーザが必要に応じてこのFTPモニタリングボタンを押下すると、伝達制御サーバCSVにより上記FTPモニタリングの処理手順が実行される。
【0083】
また、前記実施形態では選択対象の通信網として、自営IP網NW1、衛星通信網NW2、地域IP網NW3、携帯電話網NW4、電話回線網NW5及びMCA網NW6を利用する場合を例にとって説明したが、これら以外の通信網を利用することも可能である。
【0084】
その他、伝達制御サーバの構成やその制御手順及び制御内容、特にモニタリングの具体的な方法や情報コンテンツの配信手順、通信網で利用可能な伝送帯域に応じた情報コンテンツの加工処理内容等については、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【0085】
要するにこの発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0086】
CSV…伝達制御サーバ、RSV…受信端末、NW1…自営IP網、NW2…衛星通信網、NW3…地域IP網、NW4…携帯電話網、NW5…電話回線網、NW6…MCA網、AP1…ユーザインタフェース(ユーザI/F)、AP2…連携インタフェース(連携I/F)、AP3…システム間インタフェース(システム間I/F)、AP4…グループ管理プログラム、AP5…配信コンテンツ作成・管理プログラム、AP6…複数網自動配信制御プログラム、AP7…連携制御応答管理プログラム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
災害発生時に、異なる複数の通信網を選択的に使用して情報配信装置から複数の受信端末へ防災情報を配信する防災情報配信方法であって、
前記複数の通信網に対し予め設定された優先順位に従い前記通信網を選択する第1の過程と、
前記選択された通信網及び受信端末が情報伝送を可能な状態にあるか否かを、送信先として設定された受信端末の各々について判定する第2の過程と、
前記第2の過程により情報伝送が可能と判定された受信端末に対し、前記選択された通信網を経由して前記防災情報を送信する第3の過程と、
前記第2の過程により情報伝送が不可能と判定された受信端末がある場合に、当該受信端末を送信先の端末として再設定すると共に、前記優先順位が次の通信網を選択する第4の過程と
を、前記情報伝送が不可能と判定された受信端末が無くなるか又は前記複数の通信網のうち未選択の通信網が無くなるまで繰り返し、
かつ前記第1の過程から第4の過程の繰り返し実行中に、前記複数の通信網のうち何れが選択中であるかを示す通信網の選択状態遷移情報を生成し、この生成された選択状態遷移情報を表示させる過程を、さらに実行することを特徴とする防災情報配信方法。
【請求項2】
前記第3の過程は、防災情報の送信に際し、配信対象の防災情報を、選択された通信網で利用可能な伝送帯域に対応するデータ量とするべく加工することを特徴とする請求項1記載の防災情報配信方法。
【請求項3】
前記第1の過程から第4の過程の繰り返し実行中に、選択された通信網ごとに、送信先として設定された受信端末数に対する情報伝送が可能な受信端末数を表す値、又は送信先として設定された受信端末数に対する情報伝送が不可能な受信端末数を表す値を計算し、この計算された値を前記選択状態遷移情報に対応付けて表示させる過程を、さらに実行することを特徴とする請求項1記載の防災情報配信方法。
【請求項4】
災害発生時に、異なる複数の通信網を選択的に使用して複数の受信端末へ防災情報を配信する防災情報配信装置であって、
前記複数の通信網に対し予め設定された優先順位に従い前記通信網を選択する第1の手段と、
前記選択された通信網及び受信端末が情報伝送を可能な状態にあるか否かを、送信先として設定された受信端末の各々について判定する第2の手段と、
前記第2の手段により情報伝送が可能と判定された受信端末に対し、前記選択された通信網を経由して前記防災情報を送信する第3の手段と、
前記第2の手段により情報伝送が不可能と判定された受信端末がある場合に、当該受信端末を送信先の端末として再設定すると共に、前記優先順位が次の通信網を選択する第4の手段と、
前記情報伝送が不可能と判定された受信端末が無くなるか又は前記複数の通信網のうち未選択の通信網が無くなるまで、前記第1の手段から第4の手段までの処理を繰り返し実行させる制御手段と、
前記第1の手段から第4の手段の繰り返し実行中に、前記複数の通信網のうち何れが選択中であるかを示す通信網の選択状態遷移情報を生成し、この生成された選択状態遷移情報を表示手段に表示させる手段と
を具備することを特徴とする防災情報配信装置。
【請求項5】
前記第3の手段は、
配信対象の防災情報を、選択された通信網で利用可能な伝送帯域に対応するデータ量とするべく加工する手段と、
前記加工された防災情報を前記配信対象の受信端末へ送信する手段と
を備えることを特徴とする請求項4記載の防災情報配信装置。
【請求項6】
前記第1の手段から第4の手段の繰り返し実行中に、選択された通信網ごとに、送信先として設定された受信端末数に対する情報伝送が可能な受信端末数を表す値、又は送信先として設定された受信端末数に対する情報伝送が不可能な受信端末数を表す値を計算し、この計算された値を前記選択状態遷移情報に対応付けて表示手段に表示させる手段を、さらに実行することを特徴とする請求項4記載の防災情報配信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−9047(P2012−9047A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170260(P2011−170260)
【出願日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【分割の表示】特願2008−143478(P2008−143478)の分割
【原出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】