説明

除去可能な放射線感光材料を用いた構造化表面

本発明の方法により、構造化表面が形成される。この構造化表面を形成する方法は、前記基板の主表面に、除去可能な放射線感光コーティングを設置するステップと、除去可能な放射線感光コーティングを放射線で露光して、除去可能な放射線感光コーティングの露光部分を基板から除去して、構造化表面を形成するステップとを有する。次に、構造化表面は、基板と、少なくとも一つの分離バンクによって定形された構造のパターンを有する。また、本方法は、前記構造および分離バンクに、流動性材料を設置するステップを含んでも良く、これにより、構造内に流動性材料のパターンが形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除去可能な放射線感光材料を用いた構造化表面に関する。
【背景技術】
【0002】
特定のパターン内に流動性材料を含有する構造化表面は、各種用途に有益であることが示されている。例えば、無線周波数同定(RFID)タグ、携帯電話、コンピュータは、しばしば可撓性のある微細電気回路基盤を含んでおり、この基盤は、構造化表面に金属のナノペーストを成膜することにより形成される。テレビジョンスクリーンに使用されるカラーフィルタは、構造化表面に特定の色のインクを成膜することにより形成され、このインクは、特定の領域に収容される。これらの製品は、多様な用途およびユーザを有するが、いずれも、定形された領域に流動性材料を収容することのできる構造化表面が前提である。従って、高解像構造化表面を有効に製造する処理プロセスに対しては、多くの研究がなされている。
【0003】
構造化表面を形成する一つの方法は、フォトリソグラフィを利用するものである。この方法では、感光性樹脂を紫外線で露光する際に、感光性樹脂をマスクで被覆するステップと、その後露光された感光性樹脂を現像するステップとが必要となる。フォトリソグラフィを利用して集積回路を形成する方法は、シリングハウス(Sirringhaus)の米国特許出願第2003/0059987号に記載されている。この方法を用いてカラーフィルタを形成する方法は、オカニワらの米国特許第6,455,209号に記載されている。この方法を用いてエレクトロルミネッセント(EL)素子を形成する方法は、フジモリらの米国特許第6,610,552号に記載されている。
【0004】
構造化表面を形成する別の公知の方法は、エッチング処理プロセスを利用するものである。この方法では、まず、基板上の金属層に感光性樹脂が設置される。次に、感光性樹脂は、前述のように、リソグラフィ処理によって形像化(imaged)され、感光性樹脂の下側の金属層のある領域が露光される。次に、金属層の露光された領域が、組立体全体をエッチング液中に浸漬することにより除去される。この方法では、感光性樹脂は、金属層のレジストとして機能する。エッチング処理法を用いてカラーフィルタを形成する方法は、セイコーエプソンの欧州特許出願第1061383号に記載されている。
【0005】
また構造化表面は、公知の熱転写処理プロセスを用いて製作されても良い。これは、セイコーエプソンの欧州特許出願第1226974号に記載されている。熱転写処理プロセスでは、ドナーシートおよび形像(image)受容素子が、相互に接するように設置され、ドナーシートが赤外線で露光された際に、ドナーシートの転写層が形像受容素子に転写され、これにより、形像受容素子の表面に構造化表面が形成される。
【0006】
構造化表面を形成するさらに別の方法は、流動性高分子が成形されるステップを有する。この方法では、流動性高分子が成形表面と接するように動かされ、これにより構造化パターンが形成される。次に、流動性高分子が固化され、成形表面から分離される。この方法は、ベントセン(Bentsen)らの米国特許第6,375,871号に記載されている。
【特許文献1】欧州特許出願第1226974号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明では、基板上に構造化表面を形成する方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の方法は、除去可能な(ablatable)放射線感光コーティングを放射線で露光してパターン処理するステップを有し、例えば、除去可能な放射線感光コーティングの露光された部分を基板から取り外すことにより、構造および分離バンクを形成する。
【0009】
本発明において使用されている「構造」という用語は、除去可能なコーティングの露光部分を基板から除去した際に形成される空間を意味する。各構造は、少なくとも一つのサブ部材を有し、このサブ部材は、構造床である。
【0010】
本願において「分離バンク」という用語は、放射線に露光されず、基板に残る除去可能な放射線感光コーティングを意味する。分離バンクは、構造内に流動性材料を収容する機能を有するとともに、流動性材料が一つの構造から別の構造に泳動することを防止する役割を果たす。また分離バンクは、構造壁および露出されたバンク表面等のサブ部材を含む。
【0011】
本発明による方法を用いて構造化表面を形成することにより、いくつかの利点が得られる。例えば、本発明の方法は前述のリソグラフィ法およびエッチング処理法とは異なり、マスクを設置するステップを必要としない。また、本発明では、コンピュータ制御されたレーザ放射線を除去可能なコーティングに照射して露光する、直接記録法を利用することができる。この方法では、レーザは、コーティング上に特定の露光パターンを提供するとともに、放射線に露光されたコーティング部分を除去する機能を含む。別の例では、構造は、アブレーション除去により形成されるため、露光されたコーティングを現像するステップが省略できる。本発明による方法では、コーティングへのマスクの設置に必要な材料および時間、ならびに露光されたコーティングを現像するための材料および時間は、省略されるため、本発明の方法では、リソグラフィ法に比べて効率が向上する。またこれらのステップを排除することにより、構造化表面の連続的なロールを形成することが可能となり、本発明の方法では、リソグラフィ法を用いた場合よりも高い製造処理量を得ることが可能になる。さらに、構造化表面を成形するための単一型の流動性材料の代わりに、基板の表面のコーティングを利用することにより、構造の異なるサブ部材および分離バンクに、異なる濡れ性を提供することが可能になる。
【0012】
さらに本発明の方法は、構造化表面上に流動性材料を設置するステップ、構造内の流動性材料を加熱して、構造内に非流動性材料のパターンを形成するステップ、または分離バンクを除去して、基板上に非流動性材料のパターンを残留させるステップなど、追加のステップを有しても良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の方法を用いて基板上に構造化表面を形成するため、基板の主表面に、除去可能な放射線感光コーティングが設置される。除去可能な放射線感光コーティングを放射線で露光してパターンを形成し、除去可能な放射線感光コーティングの露光部分を取り外すことにより、少なくとも一つの分離バンクによって定形された構造が形成される。
【0014】
一度基板に構造が形成されると、追加のステップを実施して、多数の中間組立体および完成体を形成しても良い。例えば、流動性材料を基板および分離バンクに設置しても良い。このステップによって、流動性材料が構造内に収容され、構造内に流動性材料のパターンが形成される。使用される流動性材料の種類に応じて、その後、パターンは、各種用途に使用される。例えば、構造内にインクを設置することにより、カラーフィルタが形成される。金属のナノペーストを基板に設置することにより、可撓性の回路基盤が形成される。構造内に生物材料を設置して、構造内で生物解析を実施しても良い。
(基板への除去可能な放射線感光コーティングの設置)
本発明のあるステップでは、基板に除去可能な放射線感光コーティングが設置される。除去可能な放射線感光コーティングは、放射線での露光の際に、基板から除去することが可能である。
【0015】
通常の場合、除去可能な放射線感光コーティングは、基板の主表面に、比較的均一なコーティングとして設置される(すなわち、実質的に連続で、ほぼ均一な厚さを有する)。いくつかの実施例では、除去可能な放射線感光コーティングは、一つの層として基板に設置される。図1(a)に示すように、この結果、基板12には、除去可能な放射線感光コーティング10の一つの層が設置される。他の実施例では、2以上の層として、除去可能な放射線感光コーティングが設置される。特定の実施例では、基板に第1の除去可能な放射線感光コーティングが設置され、この第1の除去可能な放射線感光コーティングに、第2の除去可能な放射線感光コーティングが設置される。図2(a)に示すように、この結果、基板32上に、第1の除去可能な放射線感光コーティング48の層が得られ、この第1の除去可能な放射線感光コーティング48の上に、第2の除去可能な放射線感光コーティング50が設置される。
(除去可能な放射線感光コーティング)
除去可能な放射線感光コーティングは、各種成分を含んでも良い。この成分は、放射線による露光の際に、基板から取り外すことができる除去可能な放射線感光コーティングから選択される。例えば、ある実施例では、除去可能な放射線感光コーティングは、バインダと、赤外線吸収化合物とを含む。別の実施例では、除去可能な放射線感光コーティングは、バインダと、赤外線吸収化合物と、反発材料として機能するフッ化炭素系高分子を含む。さらに別の実施例では、除去可能な放射線感光コーティングは、バインダと、紫外線吸収化合物とを含む。さらに別の実施例では、除去可能な放射線感光コーティングは、バインダと、赤外線吸収材料と、湿潤剤とを含む。また、適当な化合物を含む他の実施例で構成しても良い。
【0016】
除去可能な放射線感光コーティングが2層以上で設置される場合、2つの層は、異なる成分を含んでも良い。例えば、ある実施例では、第1の放射線感光コーティングは、バインダと、赤外線吸収化合物と、湿潤剤とを有し、第2の放射線感光コーティングは、バインダと、赤外線吸収化合物と、低表面エネルギー材料を含んでも良い。第1の放射線感光コーティングから低表面エネルギー材料を排除することにより、本発明で構成される構造壁は、流動性材料で湿れることができる。別の実施例では、第1の放射線感光コーティングは、例えば、バインダと、赤外線吸収色素と、湿潤剤と、視覚化色素とを有し、一方、第2の除去可能な放射線感光コーティングは、高分子バインダと、赤外線吸収色素と、低表面エネルギー材料とを有しても良い。
(バインダ)
除去可能な放射線感光コーティングは、バインダを有しても良い。好適なバインダは、除去可能な放射線感光コーティングに含まれる他の化合物を溶解し、または分散させることができるものである。特に、除去可能な放射線感光コーティングには、加熱の際にガスを放出して急速に分解するバインダが好ましく、除去可能な放射線感光コーティングに、この特性が発現される。また、基板の主表面に対して密着性を提供するバインダが望ましい。
【0017】
通常の場合、バインダは、除去可能な放射線感光コーティングの固体含有量に対して、約25wt%から約75wt%の量で存在し、約35wt%から約65wt%の量で存在することがより好ましい。
【0018】
本発明の実施には、様々なバインダが適している。バインダは、除去可能な放射線感光コーティングの他の選択された化合物と共存し得るものであって、適当なコーティング溶媒、例えば低級アルコール、ケトン、エーテル、炭化水素、ハロアルカン等に溶解するものである必要がある。例えば、バインダは、複数のヒドロキシ基を有する高分子材料(すなわち、ヒドロキシポリマー)であっても良い。ある実施例では、バインダは、100%ヒドロキシポリマーである。ヒドロキシ基は、アルコール基またはフェノール基または両方であっても良い。ヒドロキシポリマーは、アリルアルコールおよびヒドロキシアルキルアクリレートまたはメタクリレートのような、ヒドロキシ官能基のモノマーの重合化またはコポリマー化によって、あるいは成形高分子の化学的変換、例えば高分子および酢酸ビニル等のビニルエステルのコポリマーの加水分解によって、得ることができる。ヒドロキシ官能化の段階の高い高分子、例えばポリ(ビニルアルコール)、セルロース系材料等もまた、本発明に適している。通常、ヒドロキシ基の大部分のエステル化、エーテル化、またはアセタール化によって得られるそのような高分子の誘導体は、優れた溶解性、膜形成特性を示し、本発明での使用に適している。バインダに使用される好適なセルロース系材料の特定の例は、酢酸セルロースの絡酸塩を含み、ニトロセルロース、酢酸セルロースの水素フタル酸塩、酢酸セルロース、酢酸セルロースのプロピオン酸塩、酢酸セルロースの絡酸塩、三酢酸セルロース、またはバニエル(Vanier)らの米国特許第4,700,207号に示されているセルロース系バインダを含む。
【0019】
バインダとしての使用に好適なあるヒドロキシ官能基高分子は、ポリ(ビニルアルコール)とブチルアルデヒドとの反応によって生成される反応生成物である。市販のこの反応生成物は、通常の場合、通常の有機溶媒に溶解し、優れた膜形成能と、色素分散特性とを有する。
【0020】
適当な市販のヒドロキシ高分子は、ソルチア(Solutia)社(ミズーリー州、セントルイス)からBUTVAR B-76の商品名の下で市販されている、ポリビニルブチラール高分子である。BUTVAR系の高分子からの他のヒドロキシバインダを使用しても良い。ポリビニルブチラール高分子は、クラライアメリカ(Kuraray America)社(ニューヨーク州、ニューヨーク)から、商品名MOWITALで市販されているものが好ましい。除去可能な放射線感光コーティングに含まれる前述のヒドロキシ系バインダと組み合わされる、好適な市販のバインダの一例には、ジュポン社(デラウエア州、ウィルミントン)から商品名ELVACTTEで市販されているポリ(メチルメタクリレート)が含まれる。
【0021】
他の好適なバインダには、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーバメート、ポリプロピレンカーボネートのようなポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリアルファメチルスチレンのようなポリスチレン、ポリエーテル、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、ポリ(塩化ビニル)、ポリウレタン、ポリオルトエステル、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、アクリロニトリルおよび置換されたアクリロニトリル高分子、マレイン酸樹脂、ポリサルホンまたはポリ(フェニレン酸化物)等が含まれる。
(赤外線吸収化合物)
ある実施例では、除去可能な放射線感光コーティングは、赤外線に対して感度を示す。この実施例では、除去可能な赤外線感光コーティングは、赤外線吸収化合物を含んでも良い。赤外線吸収化合物による赤外線の吸収によって、熱が生じ、この熱は、除去可能な放射線感光コーティングの他の化合物の物理的なまたは化学的な変化の引き金となり、その結果、除去可能な赤外線感光コーティングを、基板の主表面から取り外すことができる。赤外線吸収化合物の一例は、以下に示す赤外線吸収色素を含み、さらにカーボンブラックのような赤外線吸収顔料を含む。
【0022】
いくつかの実施例では、赤外線吸収色素は、カチオン色素である。除去可能な放射線感光コーティングに使用される好適なカチオン色素は、テトラアリルポリメチン(TAPM)色素、アミンカチオンラジカル色素およびそれらの混合物を含む。本発明の特に好適な赤外線吸収色素は、テトラアリルポリメチン色素である。通常、これらの種類の色素は、除去可能な放射線感光コーティングの他の化合物とともに形成しても安定であり、広く利用される赤外線レーザ源において使用される波長領域で正確な吸収特性を示す。
【0023】
TAPM色素は、奇数個(5または7以上)の炭素原子ポリメチン鎖を有し、鎖の各終端炭素原子は、2つのアリール置換基と接合されている。通常TAPM色素は、700nm〜900nmの領域で吸収を示し、ダイオードレーザ処理に適している。適当なTAPM色素は、例えば、パテル(Patel)らの米国特許第5,935,758号に示されている。
【0024】
また、好適なカチオン赤外線吸収色素は、例えば、国際公開第WO90/12342号、および欧州特許出願第0739748号に示されているアミンカチオンラジカル色素を含む。また、好適なカチオン赤外線吸収色素は、パテル(Patel)らの米国特許第5,935,758号にも示されている。
【0025】
赤外線吸収色素は、十分な量で存在しても良く、透過光密度は、露光波長において、少なくとも約0.5であり、好ましくは、少なくとも約0.75であり、より好ましくは、少なくとも約1.0である。これは、通常の場合、除去可能な放射線感光コーティングの固体成分に対して、約3wt%から約20wt%の赤外線吸収色素によって得られる。
(紫外線吸収化合物)
ある実施例では、除去可能な放射線感光コーティングは、紫外線吸収色素を有する。そのような色素の一例は、ウェイズ(Weise)らの米国特許第3,769,019号、デディナス(Dedinas)らの米国特許第4,081,278号、およびシンプソン(Simpson)らの米国特許第5,399,459号に示されている。紫外線吸収化合物は、約250nm〜600nmの間の波長の放射線を吸収しても良く、通常、約300nm〜500nmの間の波長の放射線を吸収する。好適な紫外線吸収化合物の例は、BASF社(独国)からUVINULの商品名で市販されている色素、およびケーストン(Keystone Aniline)社(イリノイ州、シカゴ)からKEYOLAST YELLOW GCの商品名で市販されている色素を含む。
(湿潤剤)
別の実施例では、除去可能な放射線感光コーティングは、湿潤剤を含んでも良い。除去可能な放射線感光コーティングに湿潤剤が含まれる場合、本発明の方法によって形成される分離バンクは、湿潤剤を含むため、流動性材料をより容易に湿らせたり、構造全体に行き渡らせることができる。
【0026】
ある実施例では、湿潤剤は、高分子材料を含む。好適な高分子湿潤剤の一例には、アラビアゴム、ゼラチンおよびセルロース系材料が含まれる。別の実施例では、湿潤剤は、粒子状材料を含む。湿潤剤として使用される好適な粒子状材料の一例には、アルミナ、粘度、マイカおよびヒュームドシリカが含まれる。好適な湿潤剤の他の例には、ケイ酸塩およびリン酸塩が含まれる。
(反発材料)
また、除去可能な放射線感光コーティングは、反発材料を含んでも良い。反発材料は、構造化表面に設置された流動性材料と反発し合う、いかなる好適な物質を含んでも良い。除去可能なコーティングに反発材料を加えることにより、流動性材料を露出されたバンク表面に設置した際に、分離バンクの露出バンク表面が流動性材料と反発し合うようになり、流動性材料が分離バンクにより収容された際に、流動性材料は、構造内で玉状となって移動するようになる。
【0027】
反発材料のある実施例は、低表面エネルギー材料である。低表面エネルギー材料は、以下のように、分離バンクの露出されたバンク表面に、低い表面エネルギーを低供するように機能する。露出されたバンク表面が、流動性材料の表面張力よりも低い表面エネルギーを有する場合、露出されたバンク表面は、流動性材料と反発し合うようになる。
【0028】
好適な反発材料の例には、フッ素含有樹脂およびシリコーン含有樹脂のような高分子材料が含まれる。ある実施例では、反発材料は、フッ化炭素系添加剤である。フッ化炭素系添加剤として、多くの化合物を使用することができ、選択される添加剤は、実質的に通常のコーティング下の乾燥条件下では非揮発性であり、バインダと十分に共存することができるものである。従って、ポリテトラフルオロエチレンおよびポリビニリデンフルオライドのような非溶解性フッ化炭素、ならびにペルフルオロアルカンのような低沸点液体および気体は、適さない。前述の制限を満たせば、高分子および低分子量の材料のいずれも使用することができる。好適なフッ化炭素系添加剤の例は、Patelらの米国特許第5,935,758号に記載されている。また除去可能な放射線感光コーティングは、ワーナー(Warner)らの米国特許第6,664,020号、およびヨンコスキー(Yonkoski)らの米国特許第5,380,644号に記載されているフッ化炭素系化合物を含んでも良い。他の好適なフッ化炭素系化合物は、欧州特許公開0602893号およびこれに記載の参照文献に示されている。特にフッ化炭素系添加剤は、一般式が(C8F17)SO2NH(CH2CH3)のスルホンアミド化合物N-エチルペルフルオロオクタンスルホンアミドであり、これは、70%の直鎖と30%の分岐鎖とを有する。別の好適なフッ化炭素は、FC4432のような、3M社(ミネソタ州、セントポール)から市販されているNOVECフッ素系界面活性剤を含む。
【0029】
通常、フッ化炭素系添加剤は、除去可能な放射線感光コーティングの乾燥状態でのコーティング量に対して、約1wt%から約20wt%の量で使用される。
(潜在的な架橋剤)
除去可能な放射線感光コーティングのいくつかの実施例では、潜在的な架橋剤が使用される。ここで、「潜在的な架橋剤」とは、レーザ露光のみの条件下において、架橋可能な化合物を意味する。レーザ露光の際には、潜在的な架橋剤は、光励起された赤外線吸収化合物または光励起紫外線吸収化合物と反応し、ヒドロキシバインダの架橋開始を助長すると考えられる。
【0030】
好適な潜在的な架橋剤には、例えばジヒドロピリジンから誘導される化合物が含まれる。ジヒドロピリジンの好適な誘導体は、いずれかのリング位置で、アルキル基またはアリール基のような適切な置換基と置換される。特に、ジヒドロピリジンの3,5−ジカルボキシルジエステル誘導体は、潜在的な架橋剤として適している。高分子骨格と一体化された、ジヒドロピリジンの3,5−ジカルボキシルジエステル誘導体を含む高分子が適している。市販の好適なジヒドロピリジン誘導体の一例は、セントジーンフォトケミカル(St. Jean Photochemicals)社(カナダ、ケベック)から入手できるHPA1186である。除去可能な放射線感光コーティングを設置に利用される潜在的な架橋剤は、Patelらの米国特許第5,935,758号にも記載されている。
【0031】
この潜在的な架橋剤は、除去可能な放射線感光コーティング中に、材料の固体線分に対して最大約30wt%の量で存在する。
(任意化合物)
また、除去可能な放射線感光コーティングには、例えば、可塑剤、コーティング助剤、分散剤、フィラー等の添加化合物を取り入れても良い。各種添加剤が知られている。
【0032】
例えば、除去可能な放射線感光コーティングは、視覚化剤を含んでも良い。通常、視覚化剤は、1または2以上の色素もしくは顔料を有し、これらにより、得られる分離バンクは、基板上に見えるようになる。除去可能な放射線感光コーティングの使用に好適な視覚化剤は、顔料、非昇華性色素、または昇華性色素を含む。顔料および非昇華性色素を用いることが好ましい。これらは、泳動しにくいためである。形像化の際に顔料の分散を利用することは、形像技術の分野では広く知られており、本発明では、この目的に適した、従来のいかなる顔料を使用しても良い。視覚化剤は、除去可能な放射線感光コーティング中に、除去可能な放射線感光コーティングの固体成分に対して、約2wt%から約10wt%の量で存在しても良い。
【0033】
除去可能な放射線感光コーティングの他の任意化合物は、例えば、分散剤を含む。最適な分散状態を得る上で、分散剤または「分散材」が好ましい。そのような分散剤の例には、例えば、ポリエステル/ポリアミンコポリマー、アルキルアリールポリエーテルアルコール、アクリル系バインダ、および湿潤剤が含まれる。除去可能な放射線感光コーティング中のある好適な分散剤は、顔料結合性反応基を有するブロックコポリマーであり、これは、DISPERBYK161の商品名でビクキミー(Byk-Chemie USA)社(コネチカット州、ウォリンフォード)から入手できる。分散剤は、除去可能な放射線感光コーティングの固体成分に対して、約1wt%から約6wt%の量で存在する。
【0034】
また、除去可能な放射線感光コーティングには、溶液の安定性を向上させるため、各種表面活性剤を用いても良い。好適な表面活性剤の一例は、3M社(ミネソタ州、セントポール)から入手できるFC55/35/10である。表面活性剤の好適な量は、除去可能な放射線感光コーティングの固体成分に対して、約0.05から5wt%の範囲であり、より好ましくは、約1から2wt%の範囲である。
(基板への除去可能な放射線感光コーティングの設置)
基板は、いかなる好適な形状のいかなる好適な材料で構成しても良い。通常、基板は、シートまたは膜状の高分子材料である。ある実施例では、基板は、ジュポン社(デラウエア州、ウィルミントン)から入手できるジュポン(DUPONT)HNポリイミド基板のような、ポリイミドの膜である。別の実施例では、基板は、ジュポン社(デラウエア州、ウィルミントン)から入手できるDUPONT574ポリエステルのようなポリエステル膜である。他の基板を利用しても良い。
【0035】
除去可能な放射線感光コーティングは、いかなる好適な方法を用いて、基板の主表面に設置されても良い。例えば、前述の除去可能な放射線感光コーティングに使用される成分を、適当な溶媒に溶解して、除去可能な放射線感光コーティングの溶液を調製し、これを基板上にコーティングしても良い。好適な溶媒には、例えば、メチルエチルケトン、プロピレングリコールメチルエーテル、エタノールおよび他のアルコール、またはこれらの溶媒の混合液が含まれる。溶液を基板の主表面にコーティングする好適な方法には、例えば、スピンコート法、バーコート法、グラビアコーティング法、およびローラーコーティング法が含まれる。除去可能な放射線感光コーティングの溶液が基板の主表面に設置されると、この溶液が乾燥または硬化され、基板上に、除去可能な放射線感光コーティングの膜が形成される。乾燥処理または硬化処理は、基板および、その上の除去可能な放射線感光コーティングの溶液を加熱することにより実施しても良い。例えば、除去可能な放射線感光コーティングの溶液が塗布された基板は、基板上に除去可能な放射線感光コーティングが形成されるまで、加熱オーブン内に設置される。また、除去可能な放射線感光コーティングの溶液は、加熱処理を行わずに、例えば、空気乾燥しても良い。
【0036】
前述のように、除去可能な放射線感光コーティングは、2つの層で設置されても良い。この実施例では、前述のような好適ないかなる方法を用いて、基板の主表面に、第1の除去可能な放射線感光コーティングが設置され、この第1の除去可能な放射線感光コーティングに、第2の除去可能な放射線感光コーティングが設置されても良い。
(除去可能な放射線感光コーティングを放射線に露光するパターン化処理)
本発明の方法により構成される構造の形状および解像度は、除去可能な放射線感光コーティングを放射線に露光する際のパターン処理に依存する。放射線は、極めて高強度であり、放射線露光される除去可能な放射線感光コーティングの領域を局部的に加熱する。除去可能な放射線感光コーティングの放射線が照射される領域を、露光部分と称し、放射線が照射されない領域を、非露光部分と称する。
【0037】
除去可能な放射線感光コーティングに放射線で露光してパターン処理する方法は、従来技術である。いくつかの実施例では、露光は、コンピュータ制御下において、集中され、閃光され、走査され、またはラスタライズされた、レーザからのレーザ放射線を用いて実施される。例えば、ジューン(Dunn)らの米国特許第5,575,016号に記載の短パルス閃光灯を用いて、除去可能な放射線感光コーティングに放射線を照射しても良い。また、従来のいかなる走査装置、例えば、フラットベッド走査器、外部ドラム走査器または内部ドラム走査器を用いても良い。
【0038】
ある実施例では、除去可能な放射線感光コーティングは、赤外線で露光される。赤外放射線は、例えば、約750nmから約1200nmの範囲の波長を有する。赤外放射線は、例えば、ダイオードレーザ等の約830nmの波長の赤外放射線を放射する赤外線レーザ、あるいは約1064nmの波長の放射線を放射するNd:YAGレーザによって提供されても良い。他のいかなる好適な赤外線レーザを使用しても良い。また赤外放射線は、短パルス閃光灯により提供しても良い。このステップでは、赤外線吸収化合物は、例えば、赤外放射線を熱に変換する。除去可能な放射線感光コーティングの露光部分での熱発生により、その後、除去可能な放射線感光コーティングの別の成分に、物理的なまたは化学的な変化が生じ、この中には、成分の消耗が含まれる。
【0039】
好適な赤外線形像器には、補強加工処理に使用される赤外線形像器が含まれる。そのような赤外線露光ユニットの例は、DESERTCAT88形像器であり、これは、ECRM社(マサチューセッツ州、テュークスベリー)から入手できる。クレオ(Creo)社(ブリティッシュコロンビア州、バーナビー)から得られる、波長約830nmの赤外放射線を放射するレーザダイオードを有するTRENDSETTER3203形像器、およびプレステック(Presstek)社(ニューハンプシャー州、ヒューストン)のDIMENSION形像器のような、CTPリソグラフィ板用の赤外線形像器を利用しても良い。フレキソ印刷物を形像化する際に構成される形像器、例えば、エスコ(Esko-Grafics)社(ジョージア州、ケンネソー)で製作されているCYRELデジタル形像器(CDI SPARK)、Creo社(ブリティッシュコロンビア州、バーナビー)のTHERMFLEX形像器、およびミソメックスインターナショナル(Misomex International)社(ニューハンプシャー州、ハドソン)のOMNISETTER形像器、を利用しても良い。
【0040】
別の実施例では、除去可能な放射線感光コーティングは、可視放射線で露光される。加地放射線は、例えば、約350nmから約750nmの範囲の波長を有する。好適な可視形像器の例は、514nmの波長の放射線を放射するアルゴンイオンレーザ、および442nmの波長の放射線を放射するヘリウムカドミウムレーザ形像器を含む。
【0041】
除去可能な放射線感光コーティングの別の実施例では、紫外放射線を用いて露光が行われる。可視放射線は、例えば、約180nmから約350nmの波長を有する。好適な紫外線形像器の例には、例えば、約308nmの波長の放射線を放射する塩化キセノンエキシマレーザ、および臭化物レーザが含まれる。他の典型的な紫外線レーザを使用しても良い。
【0042】
除去可能な放射線感光コーティングの露光領域は、構造が形成される領域に対応する必要がある。従って、放射線は、空間的に分布させて、好適な幅の露光部分を形成する必要がある。
(除去可能な放射線感光コーティングの基板からの取り外し)
本発明のある実施例では、除去可能な放射線感光コーティングは、放射線露光の際に、基板から取り外される。アブレーション処理のメカニズムを利用して、露光された除去可能な放射線感光コーティングは、ガス発生によって基板から押し出される。露光された除去可能な放射線感光コーティングの下側または内部でのガスの蓄積によって、露光領域に、除去可能な放射線感光コーティングを基板から押し離す圧力が生じる。
【0043】
この実施例は、図1(b)および2(b)に示されている。図1(b)には、除去可能な放射線感光コーティング10が放射線14で露光された際に、露光領域が基板12から取り外される状態が示されている。同様に、図2(b)には、第1の除去可能な放射線感光コーティング48および第2の除去可能な放射線感光コーティング50が放射線34で露光された際に、露光領域が基板32から取り外される状態が示されている。
【0044】
好適な破片回収器、例えば真空または適当な受容シートを用いて、基板からの押圧で取り外された破片が回収されても良い。真空または受容シートは、基板から押し出された破片を受容することに適したいかなる位置に設置されても良い。受容シートは、破片の回収に適したいかなる材料であっても良く、例えば、紙、透明フィルム、および金属シート等である。
【0045】
露光された除去可能な放射線感光コーティングを取り外すことにより、基板上には、少なくとも一つの分離バンクによって定形された構造が形成される。少なくとも一つの分離バンクは、構造内に流動性材料を収容する機能を有する。少なくとも一つの分離バンクは、いかなる好適な高さであっても良い。ある実施例では、少なくとも一つの分離バンクは、約0.3μmから約20μmの高さを示し、より好ましくは、約0.5μmから約5μmの高さである。分離バンクの高さは、基板に設置された除去可能な放射線感光コーティングの厚さに大きく依存する。
【0046】
除去可能な放射線感光コーティングの露光部分および非露光部分のパターンに応じて、分離バンクは、一つの分離バンクで完全に取り囲まれた構造を有する、一つの連続的なバンクとしても良い。あるいは、除去可能な放射線感光コーティングの露光部分および非露光部分のパターンは、一つの連続的な分離バンクが形成されないようにしても良い。この場合、基板上に2以上の分離バンクが形成されても良い。
【0047】
得られる構造は、いかなる好適な形状で形成されても良く、例えば、チャンネル状または井戸(well)状である。チャンネルは、相互に実質的に平行であっても良く、あるいは、被覆チャンネルのアレイ状に形成しても良い。チャンネルは、約30μm未満の幅を有し、特に、約2〜30μmの幅であることが好ましく、5〜30μmの幅であることがより好ましく、約20μmであることがさらに好ましい。
【0048】
井戸は、流動性材料を収容する上で好適ないかなる形状で形成されても良く、例えば、柱状または球状である。
【0049】
得られる構造および分離バンクは、構造床、構造壁、および露出されたバンク表面を含むいくつかの露光表面を有しても良い。
【0050】
構造床とは、基板の主表面に最近接の距離にある構造の表面を意味する。構造床は、露光表面、残りの除去可能な放射線感光コーティング(すなわち、基板から除去されていない、露光された除去可能な放射線感光コーティング)、または露光基板と残りの除去可能な放射線感光コーティングの両方に形成されても良い。
【0051】
基板壁とは、除去可能な放射線感光コーティングの露光部分が非露光部分から除去された露光表面を意味する。従って、構造壁は、基板の主表面に対して実質的に非平行な面内に形成される。ある実施例では、構造壁は、湿潤剤を含み、これは、流動性材料による構造の濡れ性を高める。これは、特に、構造がチャンネル形状である場合に有益である。構造が井戸状に形成される場合であっても、湿潤剤を含む構造壁によって、流動性材料は、構造壁に対して濡れることができ、より完全に充填された構造が得られる。
【0052】
露出されたバンク表面は、分離バンクの主表面に描かれ、これは、基板の主表面と実質的に平行な面内にある。ある実施例では、露出されたバンク表面は、流動性材料と反発し合う。流動性材料が露出されたバンク表面に設置される場合、例えば、低表面エネルギー材料のような反発材料が、露出されたバンク表面に設置されても良く、この場合、流動性材料は、露出されたバンク表面と反発して、構造内に流入され、収容される。
【0053】
除去可能な放射線感光コーティングの露光領域を基板から除去することによって得られる構造化表面は、図1(c)および2(c)に示されている。図1(c)には、分離バンク20によって、基板12上に、構造16が定形される。構造16は、構造床18を有し、一方、分離バンク20は、露出されたバンク表面24と、構造壁22とを有する。同様に、図2(c)には、放射線34で第1および第2の除去可能な放射線感光コーティング48、50を露光することにより、構造36および分離バンク40が得られた実施例を示す。構造36は、構造床38を有し、一方、分離バンク40は、構造壁42と露出されたバンク表面44とを有する。
(構造化表面の処理)
ある実施例では、構造化表面は、流動性材料が構造化表面に設置される前に処理される。いかなる好適な処理を実施しても良く、例えば、現像液での洗浄、または残留する除去可能な放射線感光コーティングの基板からの除去などの処理が行われる。
【0054】
別の実施例では、分離バンクおよび構造の特性が加熱による悪影響を受けない場合、分離バンクは、分離バンクを加熱することにより硬化されても良い。加熱処理は、各種手段を用いて実施され、例えば、オーブン内での保持、高温空気処理、加熱板との接触、または加熱ロール装置への供給などが実施される。他の実施例では、硬化の際に、必ずしも熱処理が必要ではない。除去可能な放射線感光コーティング内に架橋剤が含まれている場合、分離バンクの硬化処理によって、分離バンクが架橋される。
(構造および分離バンクへの流動性材料の設置)
いくつかの実施例では、本発明の方法は、構造および少なくとも一つの分離バンク上に、流動性材料を設置して、第1の中間組立体を形成するステップを含む。第1の中間組立体とは、基板上の構造化表面を有し、構造化表面の少なくとも一つの分離バンクによって定形された構造内に流動性材料のパターンを有する組立体を意味する。第1の中間組立体は、所望の完成品の種類に応じて、最終部材を構成しても良い。
【0055】
図1(d)および2(d)には、流動性材料26、46を構造16、36上、および分離バンク20、40に設置するステップを示す。図1(e)〜1(h)および 図2(e)〜2(h)に示すように、次に、流動性材料は、構造、特に構造壁および構造床を濡らし、流動性材料が構造を充填して、第1の中間組立体が形成される。また、図1(e)〜1(f)および 図2(e)〜2(f)に示すように、露光されたバンク構造24、44は、流動性材料26、46と反発し合う。これらの図に示されているように、露出されたバンク表面24、44上に設置された流動性材料26、46は、露出されたバンク表面24、44と反発し、これは、構造内に流入して、分離バンク20、40によって収容される。図1(h)および2(h)には、第1の中間組立体が示されており、この組立体において、流動性材料26、46は、分離バンク20、40によって定形された構造に収容される。
(流動性材料)
流動性材料は、構造化表面の目的に適したいかなる好適な材料であっても良い。設置される流動性材料の種類は、意図する最終部品によって定められる。いくつかの実施例では、流動性材料は、気体である。別の実施例では、流動性材料は、流動性固体、例えば、粉末である。好適な流動性粉末の一例には、トナーが含まれる。
【0056】
さらに別の実施例では、流動性材料は、液体である。好適な液体には、発光インクを含むインク、および金属ナノペーストが含まれる。金属ナノペーストは、溶液中に分散された金属粒子を含んでも良い。金属粒子は、銀、銅、金、アルミニウム、または他のいかなる好適な金属材料を含んでも良い。金属ナノペーストの形成に使用される溶液は、分離バンクを実質的に溶解しないものから選択される。
【0057】
市販の金属ナノペーストの一例には、ハリマ化学(日本、大阪)から入手できるナノペースト(NANOPASTE)が含まれる。
(流動性材料の設置)
ある実施例では、インクジェットパターン処理を用いて、流動性材料が構造および分離バンク上に設置される。通常、流動性材料のインクジェットパターン処理は、実質的に、流動性材料の特性および/または挙動に影響される。例えば、インクジェット材料の粘度および表面張力は、インクジェットの速度、液低サイズ、液滴分離長さ、流束安定性および他のインクジェット特性に影響する。
【0058】
市販のインクジェットプリンタでは、各種方式を利用して、流動性材料の設置を制御する。通常、そのような方式には、2つの種類があり、連続流束方式またはドロップオンデマンド方式である。ドロップオンデマンド方式では、例えば、圧電装置、音響装置によって生じる圧力によって、またはデジタル信号により制御された抵抗加熱器によって、オリフィスから構造化表面の位置に、直接、流動性材料の液滴が放出される。従って、流動性材料の液滴は、これらがデジタル信号によって放出するように誘導されない限り、形成されず、プリントヘッドのオリフィスを介して放射されることはない。連続インクジェットプリンタは、通常、より高解像度用の、より微細な寸法の液滴を形成するが、流動性材料は、導電性である必要がある。液滴は、静電的な偏向器によって、構造と回収リザーバとの間で選択的に偏向される必要があるからである。
【0059】
流動性材料のパターン処理用に好適なインクジェットプリンタには、ピーセズ(Pisces-Print Imaging Sciences)社(ニューハンプシャー州、ナシュア)から入手できるJETPLATEインクジェットプリンタ、Xaarjet(英国、ケンブリッジ)によって供給されているXAARJET EVALUATION KIT、モデル番号XJ126R、ヒューレットパッカードDESKJET970CXIインクジェットプリンタ、ヒューレットパッカード540Cインクジェットプリンタ、エプソンSTYLUSCOLOR600インクジェットプリンタ、エプソン740インクジェットプリンタ、エプソン800インクジェットプリンタ、エプソンSTYLUSCOLOR900インクジェットプリンタ、エプソンSTYLUSPRO9600インクジェットプリンタ、およびSTYLUSCOLOR3000インクジェットプリンタ、が含まれる。
【0060】
流動性材料を構造化表面上に設置するための他の好適な方法には、コーティング処理プロセス、印刷処理プロセス、または例えば注射器を用いる制御された成膜処理プロセスが含まれる。
(第1の中間組立体の加熱処理による、構造内での非流動性材料のパターンの形成)
また、本発明の方法は、第1の中間組立体を加熱して、第2の中間組立体を形成するステップを含んでも良い。このステップは、例えば、流動性材料が金属ナノペーストであり、金属の粒子を互いに加熱焼結させるステップによって回路基盤を構成する場合に、特に適している。第2の中間組立体は、基板上の構造化表面と、構造化表面の構造内の非流動性材料のパターンとを有する。第2の中間組立体は、所望の最終部材の種類に応じて、最終部材を構成しても良い。第1の中間組立体および第2の中間組立体は、第1の中間組立体が、加熱前の構造内に流動性材料を含むのに対して、第2の中間組立体は、加熱後の非流動性材料を含んでいる点が異なっている。
【0061】
第1の中間組立体を加熱して、第2の中間組立体を形成するステップは、いかなる好適な時間、およびいかなる好適な温度で実施しても良く、これは、構造内に収容される流動性材料に依存する。例えば、第1の中間組立体を、100〜200℃のオーブン内に10〜60分間設置して、第2の中間組立体を形成しても良い。他の温度範囲および時間で実施しても良い。
(分離バンクの除去)
また本発明の方法は、必要に応じて、分離バンクを除去して部材を完成させるステップを有しても良い。分離バンクは、第2の中間組立体または第1の中間組立体を、構造内に形成された材料の特性を実質的に変化させない好適な現像液中に浸漬させることにより、除去しても良い。このステップに適した溶媒の例には、メチルエチルケトン(MEK)、高pH水溶液系現像液、およびメチルセロソルブが含まれる。
【0062】
[実施例]
BUTVARB-76−ソルティア(Solutia)社(ミズーリー州、セントルイス)から入手できるポリビニルブチラール樹脂。
CAB-O-SIL M7Dヒュームドシリカ−カボット(Cabot)社(イリノイ州、タスコラ)から入手できる。
カーボンブラックミルベース(Millbase)−47.52%のカーボンブラックと、47.52%おBUTVAR B-76と、49.85%のDISPERBYK161の混合物。
化合物I−グツウィラー(Gutzwiller)らの米国特許第2,848,462号に記載の方法によって形成された、1,4−ビス−(1−メチルヘキシルアミノ)−5,8−ジヒドロキシアントラキノン:以下、この構造を符号Iで示す。
化合物II−ジョングワード(Jongewaard)らの米国特許第4,977,134号に記載の方法によって形成された、1−ブチルスルホニルアミド−3−メチル−4−アミノアトラキノン:以下、この構造を符号IIで示す。
化合物III−ジュポン社(デラウェア州、ウィルミントン)から得られるSolvent Blue101:以下、この構造を符号IIIで示す。
化合物IV−ジョングワード(Jongewaard)らの米国特許第RE35550号に記載の方法によって形成された色素:以下、この構造を符号IVで示す。
【0063】
【化1】

DISPERBYK161−BYK(BYK-Chemie USA)社(コネチカット州、ウオリンフォード)から得られる、メチルエチルケトン(MEK)および溶媒PMの50:50混合溶媒中に、全固体溶液を20%含むもの。
D99 IR色素−ミツイUSA社(ニューヨーク州、ニューヨーク)から得られる赤外線色素YKR-2900。
FC55/35/10−3M社(ミネソタ州、セントポール)から入手できる、MEK中の全固体溶液が7.5%の、フッ化アクリレートのターポリマー、短鎖アルキルアクリレートおよび極性モノマーが55:35:10の混合比で形成されたフッ化炭素。
FX12−MEK中の固体溶液が50%のN-エチルパーフルオロオクチルサルフォンアミド。
HPA1186−セントジーンフォトケミカルズ(St. Jean Photochemicals)社(カナダ、ケベック)から入手できるジヒドロピリジン誘導体。
IR-165色素−サイテックインダストリーズ(Cytec Industries)社(ニュージャージ州、パルターソン)から入手できるCYASORB赤外線色素。
LUMILUX GREEN FF-G−ハニウェル(Honeywell)社(ニュージャージ州、モリスタウン)から入手できるリン光顔料。
PC-364-IR色素−ハニウェル(Honeywell)社(ニュージャージ州、モリスタウン)から入手できる、以下の構造の赤外線色素。
【0064】
【化2】

レッドシェード(Shade)イエローミルベース(Millbase)− BYK-Chemie社(コネチカット州、ウオーリングフォード)から入手できる、MEKとSolvent PMの50:50混合溶媒中の全固体溶液が15%の、47.52%のレッドシェードイエローミルベースと、47.52%のBUTVAR B-76と、4.95%のDISPERBYK 161との混合物。
Solvent PM−イーストマンケミカルズ(Eastman Chemicals)社(テネシー州、キングスポート)から入手できるプロピレングリコールモノメチルエーテル。
バイオレットブラックミルベース−チバスペシャルティケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)社(ニューヨーク州、タリタウン)から入手できる、MEK中の全固体溶液が10%の、MICROLITH バイオレットB-K。
【0065】
[実施例1]
この実施例では、830nmの赤外放射線を用いて、ポリイミド基板上に構造化表面が形成される。表1に示すように、MEK中の成分の全固体溶液が9%の溶液を調製することにより、除去可能な放射線感光コーティングが形成された。溶液は、#12ワイヤラップバーを用いてジュポンHNポリイミド基板上に塗布した。得られた組立体は、190Fのオーブンで2分間乾燥し、ポリイミド基板上に、除去可能な放射線感光コーティングを形成した。
【0066】
【表1】

次に、プレステック(Presstek)社(ニューハンプシャー州、ハドソン)で製造された0.55W、830nmのファイバー結合ダイオードを25μmのスポットに集束させて、除去可能な放射線感光コーティングを、830nmの実験室評価形像器上に形像化した。次に、集束レーザビームの後、コーティングと基板ドラムを、100〜200cm/秒の速度で回転させて、コーティングを形像した。除去可能な放射線感光コーティングの形像領域は、除去され、25μmの幅のチャンネルがポリイミド基板上に形成された。
【0067】
次に、注射器により、構造化表面に、テトラデカンを設置した。テトラデカンは、構造を濡らし、ポリイミド基板上に残留している除去可能な放射線感光コーティングと反発した。
【0068】
[実施例2]
実施例2では、1065nmの赤外放射線を用いて、ポリイミド基板上に構造化表面を形成した。表2に示す、メチルエチルケトン中の成分の全固体溶液が9%の溶液を調製して、除去可能な放射線感光コーティングを設置した。溶液は、#12のワイヤラップバーを用いて、ジュポンHNポリイミド基板上に塗布した。得られた組立体を190Fのオーブン内で2分間乾燥させ、ポリイミド基板上に除去可能な放射線感光コーティングを形成した。
【0069】
【表2】

次に、ボストンレーザ(Boston Laser)社(マサチューセッツ州、ボストン)で製作された1.0W、1065nmのファイバ結合レーザダイオードを25μmのスポットに集束させて、
除去可能な放射線感光コーティングを、YAGnm実験室評価形像器に形像した。コーティングは、集束レーザビームの処理後に、ドラム上の基板とコーティングを、100〜200cm/秒の速度で回転させることにより形像化した。除去可能な放射線感光コーティングの形像領域を除去することにより、ポリイミド基板上に25μmの幅のチャンネルが形成された。
【0070】
次に、構造化表面に、注射器でテトラデカンを設置した。テトラデカンは、構造を濡らし、ポリイミド基板上に残存している除去可能な放射線感光コーティングと反発した。
【0071】
[実施例3]
実施例3では、830nmの赤外放射線を用いて、ポリエステル基板上に構造化表面を形成した。表3に示す、MEK中の成分の全固体溶液が9%の溶液を調製して、除去可能な放射線感光コーティングを形成した。溶液は、#12のワイヤラップバーを用いて、ジュポン574ポリエステル基板上に塗布した。得られた組立体を190Fのオーブン内で2分間乾燥させ、ポリエステル基板上に除去可能な放射線感光コーティングを形成した。
【0072】
【表3】

次に、Presstek社(ニューハンプシャー州、ヒューストン)で製作された0.55W、830nmのファイバ結合ダイオードを25μmのスポットに集束させて、除去可能な放射線感光コーティングを、830nm実験室評価形像器に形像した。コーティングは、集束レーザビームの処理後に、ドラム上の基板とコーティングを、100〜200cm/秒の速度で回転させることにより形像化した。除去可能な放射線感光コーティングの形像領域を除去することにより、ポリエステル基板上に25μmの幅のチャンネルが形成された。
【0073】
次に、構造化表面に、注射器でテトラデカンを設置した。テトラデカンは、構造を濡らし、ポリエステル基板上に残存している除去可能な放射線感光コーティングと反発した。
【0074】
[実施例4]
実施例4では、830nmの赤外放射線を用いて、ポリエステル基板上に構造化表面を形成した。表4に示す、MEK中の成分の全固体溶液が9%の溶液を調製して、除去可能な放射線感光コーティングを形成した。溶液は、#12のワイヤラップバーを用いて、ジュポン574ポリエステル基板上に塗布した。得られた組立体を190Fのオーブン内で2分間乾燥させ、ポリエステル基板上に除去可能な放射線感光コーティングを形成した。
【0075】
【表4】

次に、Presstek社(ニューハンプシャー州、ヒューストン)で製作された0.55W、830nmのファイバ結合ダイオードを25μmのスポットに集束させて、除去可能な放射線感光コーティングを、830nm実験室評価形像器に形像した。コーティングは、集束レーザビームの処理後に、ドラム上の基板とコーティングを、100〜200cm/秒の速度で回転させることにより形像化した。除去可能な放射線感光コーティングの形像領域を除去することにより、ポリエステル基板上に25μmの幅のチャンネルが形成された。
【0076】
次に、構造化表面に、注射器でテトラデカンを設置した。テトラデカンは、構造を濡らし、ポリエステル基板上に残存している除去可能な放射線感光コーティングと反発した。
【0077】
[実施例5]
実施例5では、830nmの赤外放射線を用いて、ポリイミド基板上に、2つの構造化表面を形成した。表5(a)に示す、MEK:Solvent PM:エタノールの混合比が10:1:1の溶媒中の成分の全固体溶液が8.5%の溶液を調製して、第1の除去可能な放射線感光コーティングを形成した。この第1の溶液を、#12のワイヤラップバーを用いて、ジュポンHNポリイミド基板上に塗布した。得られた組立体をオーブン内で乾燥させ、ポリイミド基板上に、コーティング量が150〜200mg/フィート2の第1の除去可能な放射線感光コーティングを形成した。
【0078】
【表5(a)】

表5(b)に示す、MEK:Solvent PM:エタノールの混合比が10:1:1の溶媒中の成分の全固体溶液が2.5%の溶液を調製して、第2の除去可能な放射線感光コーティングを形成した。この第2の溶液を、#6のワイヤラップバーを用いて、第1の除去可能な放射線感光コーティング上に塗布した。得られた組立体をオーブン内で乾燥させ、第1の除去可能な放射線感光コーティング上に、コーティング量が15〜30mg/フィート2の第2の除去可能な放射線感光コーティングを形成した。
【0079】
【表5(b)】

次に、Presstek社(ニューハンプシャー州、ヒューストン)で製作された0.55W、830nmのファイバ結合ダイオードを25μmのスポットに集束させて、第1および第2の除去可能な放射線感光コーティングを、830nm実験室評価形像器に形像した。コーティングは、集束レーザビームの処理後に、ドラム上の基板とコーティングを、100〜200cm/秒の速度で回転させることにより形像化した。第1および第2の除去可能な放射線感光コーティングの形像領域を除去することにより、ポリイミド基板上に25μmの幅のチャンネルを有する第1の構造化表面が形成された。この方法を繰り返し、ポリイミド基板上に25μmの幅のチャンネルを有する第2の構造化表面を形成した。
【0080】
第1の構造化表面上に、注射器でテトラデカンを設置した。テトラデカンは、構造を濡らし、ポリエステル基板上に残存している除去可能な放射線感光コーティングと反発した。第2の構造化表面に、注射器により、テトラデカン溶媒中に導電性銀金属粒子を含む銀のナノインクを設置した。銀のナノインクは、構造内に流れ、基板上に残存している除去可能な放射線感光コーティングと反発した。
【0081】
[実施例6]
実施例6では、2つの異なる形像器を用いて、ポリイミド基板上に、2つの構造化表面を形成した。第1の構造化表面前駆体は、以下の方法により形成した。表6(a)に示す、MEK:Solvent PM:エタノールの混合比が10:1:1の溶媒中の成分の全固体溶液が8.5%の溶液を調製して、第1の除去可能な放射線感光コーティングを形成した。この第1の溶液を、#12のワイヤラップバーを用いて、ジュポンHNポリイミド基板上に塗布した。得られた組立体をオーブン内で乾燥させ、ポリイミド基板上に、コーティング量が150〜200mg/フィート2の第1の除去可能な放射線感光コーティングを形成した。
【0082】
【表6(a)】

表6(b)に示す、MEK:Solvent PM:エタノールの混合比が10:1:1の溶媒中の成分の全固体溶液が2.5%の溶液を調製して、第2の除去可能な放射線感光コーティングを形成した。この第2の溶液を、#6のワイヤラップバーを用いて、第1の除去可能な放射線感光コーティング上に塗布した。得られた組立体をオーブン内で乾燥させ、第1の除去可能な放射線感光コーティング上に、コーティング量が15〜30mg/フィート2の第2の除去可能な放射線感光コーティングを形成した。
【0083】
この方法を繰り返し、第2の構造化表面前駆体を形成した。
【0084】
【表6(b)】

第1の構造化表面前駆体上の第1および第2の除去可能な放射線感光コーティングを、エスコグラフィック(Esko-Graphic)社(ジョージア州、ケネソー)製のCDIスパーク形像器上に形像した。第1および第2の除去可能な放射線感光コーティングの形像領域を除去し、ポリイミド基板上に、20μmの幅のチャンネルを有する第1の構造化表面を形成した。
【0085】
Boston Laser社(マサチューセッツ州、ボストン)で製作された1.0W、1065nmのファイバ結合レーザダイオードを25μmのスポットに集束させて、第2の構造化表面前駆体の第1および第2の除去可能な放射線感光コーティングを、YAGnm実験室評価形像器上に形像した。第1および第2の除去可能な放射線感光コーティングの形像領域を除去し、ポリイミド基板上に、25μmの幅のチャンネルを有する第2の構造化表面を形成した。
【0086】
第1および第2の構造化表面上に、注射器でテトラデカンを設置した。テトラデカンは、各構造化表面上で、構造を濡らし、ポリイミド基板上に残存している除去可能な放射線感光コーティングと反発した。
【0087】
[実施例7]
実施例7では、830nmの赤外放射線を用いて、ポリエステル基板上に、構造化表面を形成した。表7(a)に示す、MEK:Solvent PM:エタノールの混合比が10:1:1の溶媒中の成分の全固体溶液が8.5%の溶液を調製して、第1の除去可能な放射線感光コーティングを形成した。この第1の溶液を、#12のワイヤラップバーを用いて、ジュポン574ポリエステル基板上に塗布した。得られた組立体をオーブン内で乾燥させ、ポリエステル基板上に、コーティング量が150〜200mg/フィート2の第1の除去可能な放射線感光コーティングを形成した。
【0088】
【表7(a)】

表7(b)に示す、MEK:Solvent PM:エタノールの混合比が10:1:1の溶媒中の成分の全固体溶液が2.5%の溶液を調製して、第2の除去可能な放射線感光コーティングを形成した。この第2の溶液を、#6のワイヤラップバーを用いて、第1の除去可能な放射線感光コーティング上に塗布した。得られた組立体をオーブン内で乾燥させ、第1の除去可能な放射線感光コーティング上に、コーティング量が15〜30mg/フィート2の第2の除去可能な放射線感光コーティングを形成した。
【0089】
【表7(b)】

次に、Presstek社で製作された0.55W、830nmのファイバ結合ダイオードを25μmのスポットに集束させて、第1および第2の除去可能な放射線感光コーティングを、830nm実験室評価形像器に形像した。コーティングは、集束レーザビームの処理後に、ドラム上の基板とコーティングを、100〜200cm/秒の速度で回転させることにより形像化した。第1および第2の除去可能な放射線感光コーティングの形像領域を除去することにより、ポリエステル基板上に、25μmの幅のチャンネルを有する第1の構造化表面が形成された。この方法を繰り返し、ポリイミド基板上に25μmの幅のチャンネルを形成した。
【0090】
構造化表面上に、注射器でテトラデカンを設置した。テトラデカンは、構造を濡らし、ポリエステル基板上に残存している除去可能な放射線感光コーティングと反発した。
【0091】
[実施例8]
実施例8では、1065nmの赤外放射線を用いて、ポリエステル基板上に、構造化表面を形成した。表8(a)に示す、MEK:Solvent PM:エタノールの混合比が10:1:1の溶媒中の成分の全固体溶液が8.5%の溶液を調製して、第1の除去可能な放射線感光コーティングを形成した。この第1の溶液を、#12のワイヤラップバーを用いて、ジュポン574ポリエステル基板上に塗布した。得られた組立体をオーブン内で乾燥させ、ポリエステル基板上に、コーティング量が150〜200mg/フィート2の第1の除去可能な放射線感光コーティングを形成した。
【0092】
【表8(a)】

表8(b)に示す、MEK:Solvent PM:エタノールの混合比が10:1:1の溶媒中の成分の全固体溶液が2.5%の溶液を調製して、第2の除去可能な放射線感光コーティングを形成した。この第2の溶液を、#6のワイヤラップバーを用いて、第1の除去可能な放射線感光コーティング上に塗布した。得られた組立体をオーブン内で乾燥させ、第1の除去可能な放射線感光コーティング上に、コーティング量が15〜30mg/フィート2の第2の除去可能な放射線感光コーティングを形成した。
【0093】
【表8(b)】

次に、Boston Laser社(マサチューセッツ州、ボストン)で製作された1.0W、1065nmのファイバ結合レーザダイオードを25μmのスポットに集束させて、第1および第2の除去可能な放射線感光コーティングを、YAGnm実験室評価形像器上に形像した。第1および第2の除去可能な放射線感光コーティングの形像領域を除去し、ポリエステル基板上に、25μmの幅のチャンネルを形成した。
【0094】
構造化表面上に、注射器でテトラデカンを設置した。テトラデカンは、構造を濡らし、ポリエステル基板上に残存している除去可能な放射線感光コーティングと反発した。
【0095】
[実施例9]
実施例9では、ポリエステル基板上に形成された構造化表面を利用して、830nmの赤外放射線を用いて、発光素子といくつかのカラーフィルタとを形成した。表9(a)に示す成分の溶液を調製して、第1の除去可能な放射線感光コーティングを形成した。この第1の溶液を、#20のワイヤラップバーを用いて、ジュポン574ポリエステル基板上に塗布した。得られた組立体を100℃のオーブン内で60秒間乾燥させ、ポリエステル基板上に、第1の除去可能な放射線感光コーティングを形成した。
【0096】
【表9(a)】

表9(b)に示す成分の溶液を調製して、第2の除去可能な放射線感光コーティングを形成した。この第2の溶液を、#8のワイヤラップバーを用いて、第1の除去可能な放射線感光コーティング基板上に塗布した。得られた組立体を100℃のオーブン内で60秒間乾燥させ、第1の除去可能な放射線感光コーティング上に、コーティング重量が15〜30mg/フィート2の第2の除去可能な放射線感光コーティングを形成した。
【0097】
【表9(b)】

次に、ECRM社(マサチューセッツ州、チュークスベリー)から入手できるDESERTCAT88形像器を用いて、1.5ジュールのフルエンス設定値で、830nmの外部ドラム形像器に、第1および第2の除去可能な放射線感光コーティングを形像化した。第1および第2の除去可能な放射線感光コーティングの形像領域を除去し、ポリエステル基板上に、20μmの幅のチャンネルを形成した。この処理プロセスを6回繰り返して、7つの別個の構造化表面を形成した。
【0098】
表9(c)に示す成分を用いて、発光インクを調製した。このインクを、ROSSホモジナイザーを用いて、30分間混合した。次に、注射器を用いて、第1の構造化表面にインクを設置した。発光インクは、構造を塗らし、ポリエステル基板上に残存している除去可能な放射線感光コーティングと反発した。
【0099】
【表9(c)】

表9(d)に示した成分を用いて、6種類の異なるインクを調製した。注射器を用いて、インクを、それぞれ異なる構造化表面に設置した。いくつかの構造化表面には、構造化表面の異なるチャンネルに、2以上のインクを設置した。インクは、構造を塗らし、ポリエステル基板上に残存している除去可能な放射線感光コーティングと反発した。
【0100】
【表9(d)】

【0101】
[比較例10]
比較例10では、転写法を用いて、コダックポリクロムグラフィックス(Kodak Polychrome Graphics)社(コネチカット州、ノーウオーク)から入手できる、マッチプリントデジタルハーフトーンドナーと、マッチプリントデジタルハーフトーンレセプターとを形像化し、受容器上に構造を形成した。ドナーは、0.4ジュールのフルエンス設定値で、830nmの外部ドラム形像器、ECRM社(マサチューセッツ州、チュークスベリー)から入手できるDESERTCAT88形像器上に形像され、受容器には、写真1(a)および1(b)に示すような、分離バンクにより定形されたチャンネルが形成された。写真1(a)は、これらの構造の50倍の顕微鏡写真であり、写真1(b)は、構造の100倍の顕微鏡写真である。
[写真1(a)]


[写真1(b)]


【0102】
[実施例11]
実施例11では、実施例3に示す本発明の方法を用いて、構造化表面を形成した。写真2(a)は、これらの構造の50倍の顕微鏡写真を示し、写真2(b)は、100倍の顕微鏡写真を示している。
[写真2(a)]


[写真2(b)]


実施例11で形成された構造は、転写方法を用いる比較例10で形成された構造と比較して、確認できる破片が少ない。これらの写真を観察すると、実施例11で形成された分離バンクは、比較例10で形成された分離バンクよりもシャープで、直線的で、端部が明確である。
【0103】
[実施例12]
実施例12では、実施例7に示す方法を用いて、ポリエステル基板上に構造化表面を形成することにより、25μmの幅のチャンネルが得られた。次に、注射器を用いて、構造化表面に、テトラデカンの液滴を設置した。25μmの幅のチャンネルを通って移動するテトラデカンの距離を、特定の時間間隔で測定した。これらの結果を表12に示す。
【0104】
【表12】

【0105】
[実施例13]
実施例13では、実施例9に示した方法を用いて、ポリエステル基板上に構造化表面を形成し、25μmの幅のチャンネルを形成した。次に、注射器を用いて、構造化表面にテトラデカンの液滴を設置した。25μmの幅のチャンネルを通って移動するテトラデカンの距離を、特定の時間間隔で測定した。これらの結果を表13に示す。
【0106】
【表13】

これらの結果は、テトラデカンが、実施例12で形成されたチャンネルに比べて、実施例13で形成されたチャンネルをより早く濡らすことを示している。これは、実施例13の第1の層に含まれるヒュームドシリカの影響によるものであると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1a】本発明の一実施例を概略的に示した図であって、基板に除去可能な放射線感光コーティングを設置して、基板上に除去可能な放射線感光コーティングの層を形成することを示した図である。
【図1b】本発明の一実施例を概略的に示した図であって、除去可能な放射線感光コーティングを設置放射線で露光して、パターン化することを示した図である。
【図1c】本発明の一実施例を概略的に示した図であって、コーティングの露光部分を基板から取り外し、分離バンクによって定形された構造を形成することを示した図である。
【図1d】本発明の一実施例を概略的に示した図であって、基板および分離バンク上に流動性材料を設置することを示した図である。
【図1e】本発明の一実施例を概略的に示した図であって、構造化表面内に収容された流動性材料のパターンを形成することを示した図である。
【図1f】本発明の一実施例を概略的に示した図であって、構造化表面内に収容された流動性材料のパターンを形成することを示した図である。
【図1g】本発明の一実施例を概略的に示した図であって、構造化表面内に収容された流動性材料のパターンを形成することを示した図である。
【図1h】本発明の一実施例を概略的に示した図であって、構造化表面内に収容された流動性材料のパターンを形成することを示した図である。
【図2a】本発明の別の実施例を概略的に示した図であって、基板に第1の除去可能な放射線感光コーティングを設置し、第1の除去可能な放射線感光コーティングに、第2の除去可能な放射線感光コーティングを設置して、基板に2つの除去可能な放射線感光コーティングの層を形成することを示した図である。
【図2b】本発明の別の実施例を概略的に示した図であって、第1および第2の除去可能な放射線感光コーティングを放射線で露光してパターンを形成することを示した図である。
【図2c】本発明の別の実施例を概略的に示した図であって、コーティングの露光部分を基板から取り外し、分離バンクによって定形された構造を形成することを示した図である。
【図2d】本発明の別の実施例を概略的に示した図であって、構造および分離バンク上に、流動性材料を設置して、構造化表面内に収容された流動性材料のパターンを形成することを示した図である。
【図2e】本発明の別の実施例を概略的に示した図であって、構造および分離バンク上に、流動性材料を設置して、構造化表面内に収容された流動性材料のパターンを形成することを示した図である。
【図2f】本発明の別の実施例を概略的に示した図であって、構造および分離バンク上に、流動性材料を設置して、構造化表面内に収容された流動性材料のパターンを形成することを示した図である。
【図2g】本発明の別の実施例を概略的に示した図であって、構造および分離バンク上に、流動性材料を設置して、構造化表面内に収容された流動性材料のパターンを形成することを示した図である。
【図2h】本発明の別の実施例を概略的に示した図であって、構造および分離バンク上に、流動性材料を設置して、構造化表面内に収容された流動性材料のパターンを形成することを示した図である。
【図1(a)】

【図1(b)】

【図1(c)】

【図1(d)】

【図1(e)】

【図1(f)】

【図1(g)】

【図1(h)】

【図2(a)】

【図2(b)】

【図2(c)】

【図2(d)】

【図2(e)】

【図2(f)】

【図2(g)】

【図2(h)】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に構造化表面を形成する方法であって、
(a)前記基板の主表面に、除去可能な放射線感光コーティングを設置するステップと、
(b)除去可能な放射線感光コーティングを放射線で露光してパターン処理し、除去可能な放射線感光コーティングの露光部分を除去し、前記基板上に、少なくとも一つの分離バンクによって定形された構造を形成するステップであって、前記少なくとも一つの分離バンクは、前記構造に流動性材料を収容することが可能である、ステップと、
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
除去可能な放射線感光コーティングは、バインダを有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
除去可能な放射線感光コーティングは、赤外放射線の露光の際に除去されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
除去可能な放射線感光材料は、赤外線吸収化合物を有することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
除去可能な放射線感光材料は、赤外線吸収色素を有することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記除去可能な放射線感光コーティングは、可視放射線の露光の際に除去されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記除去可能な放射線感光コーティングは、紫外放射線の露光の際に除去されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記除去可能な放射線感光コーティングは、紫外線吸収化合物を有することを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記除去可能な放射線感光コーティングは、反発材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記反発材料は、高分子材料を有することを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記反発材料は、フッ素、シリコーンまたはフッ素とシリコーンの両方を含む化合物を有することを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項12】
除去可能な放射線感光コーティングは、低表面エネルギー材料を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記基板は、ポリエステルを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記基板は、ポリイミドを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記基板の主表面に、除去可能な放射線感光コーティングを設置する前記ステップは、第1の除去可能な放射線感光コーティングを基板の主表面に設置して、前記第1の除去可能な放射線感光コーティング上に、第2の除去可能な放射線感光コーティングを設置するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
さらに、除去可能な放射線感光コーティングを放射線で露光してパターン処理する前に、前記除去可能な放射線感光コーティングを乾燥するステップを有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項17】
除去可能な放射線感光コーティングを放射線で露光してパターン処理する前記ステップは、コンピュータ誘導放射線ビームを用いて実施されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項18】
除去可能な放射線感光コーティングを放射線で露光してパターン処理する前記ステップは、約180nmから約1200nmの間の波長を有するレーザ放射線を用いて実施されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項19】
除去可能な放射線感光コーティングを露光してパターン処理する前記ステップは、約750nmから約1200nmの間の波長を有する赤外放射線を用いて実施されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項20】
除去可能な放射線感光コーティングを露光してパターン処理する前記ステップは、約350nmから約750nmの間の波長を有する可視レーザ放射線を用いて実施されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項21】
除去可能な放射線感光コーティングを露光してパターン処理する前記ステップは、約180nmから約350nmの間の波長を有する紫外レーザ放射線を用いて実施されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項22】
さらに、構造化表面を処理するステップを有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記構造化表面を処理するステップは、残留する除去可能な放射線感光コーティングを前記基板から除去するステップを有することを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記構造化表面を処理するステップは、前記構造化表面を加熱するステップを有することを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記構造は、チャンネルを有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記チャンネルは、相互に実質的に平行であることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記チャンネルは、約5μmから約30μmの間の寸法の幅を有することを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記チャンネルは、約10μmから約30μmの間の寸法の幅を有することを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記チャンネルは、約20μmの寸法の幅を有することを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記構造は、井戸(well)を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記井戸は、多角形状であることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記構造は、チャンネルおよび井戸を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項33】
各構造は、構造床を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記構造床は、前記基板の主表面を有することを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記構造床は、残留した除去可能な放射線感光コーティングを有することを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記構造床は、流動性材料で濡れることができることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記少なくとも一つの分離バンクは、除去可能な放射線感光コーティングの非露光部分を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項38】
前記少なくとも一つの分離バンクは、約0.3μmから約20μmの間の高さ寸法を示すことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項39】
前記少なくとも一つの分離バンクは、約0.5μmから約5μmの間の高さ寸法を示すことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項40】
前記少なくとも一つの分離バンクは、構造壁を有し、該構造壁は、前記基板の主表面と実質的に平行であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項41】
前記構造壁は、流動性材料で濡れることができることを特徴とする請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記少なくとも一つの分離バンクは、露出バンク表面を有し、該露出バンク表面は、前記基板の主表面と実質的に平行な面内にあることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項43】
前記露出バンク表面は、流動性材料と反発し合うことを特徴とする請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記反発材料は、前記暴露バンク表面にあることを特徴とする請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記少なくとも一つの分離バンクは、複数の分離バンクを有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項46】
さらに、前記構造および前記少なくとも一つの分離バンクに、流動性材料を設置するステップを有し、前記構造化表面に材料が収容されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項47】
前記流動性材料を設置するステップは、インクジェット法によって実施されることを特徴とする請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記流動性材料は、ガスを含むことを特徴とする請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記流動性材料は、流動性粉末を含むことを特徴とする請求項46に記載の方法。
【請求項50】
前記流動性材料は、液体を含むことを特徴とする請求項46に記載の方法。
【請求項51】
前記流動性材料は、金属ナノペーストを含むことを特徴とする請求項46に記載の方法。
【請求項52】
前記金属ナノペーストは、溶液中に分散された金属粒子を含むことを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記金属ナノペーストは、溶液中に分散された銀粒子を含むことを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記金属ナノペーストは、溶液中に分散された銅粒子を含むことを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項55】
前記金属ナノペーストは、溶液中に分散された金粒子を含むことを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項56】
前記流動性材料は、インクを含むことを特徴とする請求項46に記載の方法。
【請求項57】
前記流動性材料は、発光インクを含むことを特徴とする請求項46に記載の方法。
【請求項58】
前記流動性材料は、生物材料を含むことを特徴とする請求項46に記載の方法。
【請求項59】
さらに、前記分離バンクを除去して、完成された部材を形成するステップを有することを特徴とする請求項46に記載の方法。
【請求項60】
さらに、第1の中間組立体を加熱するステップを有し、前記構造内に非流動性材料のパターンを有する第2の中間組立体が形成されることを特徴とする請求項46に記載の方法。
【請求項61】
前記加熱するステップは、前記第1の中間組立体を、オーブン内に設置して、約100℃から約200℃の間で、10分から60分間加熱するステップを有することを特徴とする請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記第2の中間組立体は、可撓性回路基盤を有することを特徴とする請求項60に記載の方法。
【請求項63】
さらに、前記分離バンクを除去するステップを有し、完成された部材が形成されることを特徴とする請求項60に記載の方法。
【請求項64】
さらに、前記分離バンクを除去するステップは、前記第2の中間組立体を適当な現像液で洗浄するステップを有することを特徴とする請求項63に記載の方法。
【請求項65】
基板上に構造化表面を形成する方法であって、
(a)前記基板の主表面に、第1の除去可能な放射線感光コーティングを設置するステップと、
(b)前記第1の除去可能な放射線感光コーティングに、第2の除去可能な放射線感光コーティングを設置するステップと、
(c)第1の除去可能な放射線感光コーティングおよび第2の除去可能な放射線感光コーティングを放射線で露光してパターン処理し、第1の除去可能な放射線感光コーティングおよび第2の除去可能な放射線感光コーティングの露光部分を除去し、前記基板上に、少なくとも一つの分離バンクによって定形された構造を形成するステップであって、前記少なくとも一つの分離バンクは、前記構造に流動性材料を収容することが可能である、ステップと、
を有することを特徴とする方法。
【請求項66】
前記第1の除去可能な放射線感光コーティングは、バインダ、赤外線吸収色素および湿潤剤を有することを特徴とする請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記第2の除去可能な放射線感光コーティングは、バインダ、赤外線吸収色素および反発材料を有することを特徴とする請求項65に記載の方法。
【請求項68】
前記少なくとも一つの分離バンクは、構造壁と、露出バンク表面とを有し、
前記構造壁は、流動性材料で濡れることの可能であり、前記露出バンク表面は、前記流動性材料と反発し合うことを特徴とする請求項65に記載の方法。
【請求項69】
可撓性回路基盤の前駆体を形成する方法であって、
(a)前記基板の主表面に、第1の除去可能な放射線感光コーティングを設置するステップと、
(b)前記第1の除去可能な放射線感光コーティングに、第2の除去可能な放射線感光コーティングを設置するステップと、
(c)第1の除去可能な放射線感光コーティングおよび第2の除去可能な放射線感光コーティングを放射線で露光してパターン処理し、第1の除去可能な放射線感光コーティングおよび第2の除去可能な放射線感光コーティングの露光部分を除去し、前記基板上に、少なくとも一つの分離バンクによって定形された構造を形成するステップであって、前記少なくとも一つの分離バンクは、前記構造に流動性材料を収容することが可能である、ステップと、
(d)前記構造および前記少なくとも一つの分離バンク上に、金属ナノペーストを設置して、前記可撓性回路基盤前駆体を形成するステップと、
を有する方法。
【請求項70】
前記チャンネルは、約5μmから約30μmの間の寸法の幅を有することを特徴とする請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記チャンネルは、約10μmから約30μmの間の寸法の幅を有することを特徴とする請求項69に記載の方法。
【請求項72】
前記チャンネルは、約20μmの寸法の幅を有することを特徴とする請求項69に記載の方法。
【請求項73】
前記設置するステップは、インクジェット法により実施されることを特徴とする請求項69に記載の方法。
【請求項74】
前記金属ナノペーストは、溶液中に分散された金属粒子を有することを特徴とする請求項69に記載の方法。
【請求項75】
前記金属粒子は、銀を含むことを特徴とする請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記金属粒子は、銅を含むことを特徴とする請求項74に記載の方法。
【請求項77】
前記金属粒子は、金を含むことを特徴とする請求項74に記載の方法。
【請求項78】
さらに、前記金属ナノペーストを加熱して、金属粒子を焼結させるステップを有することを特徴とする請求項69に記載の方法。
【請求項79】
基板上に構造化表面を形成する方法であって、
(a)前記基板の主表面に、除去可能な赤外線感光コーティングを設置するステップと、
(b)除去可能な赤外線感光コーティングを赤外放射線で露光してパターン処理するステップと、
(c)現像により、前記基板から、除去可能な赤外線感光コーティングの露光部分を除去し、前記基板上に、少なくとも一つの分離バンクによって定形された構造を形成するステップであって、前記少なくとも一つの分離バンクは、前記構造に流動性材料を収容することが可能である、ステップと、
を有する方法。

【公表番号】特表2008−516418(P2008−516418A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−532378(P2007−532378)
【出願日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【国際出願番号】PCT/US2005/032101
【国際公開番号】WO2006/033852
【国際公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】