説明

電子デバイス及びオーミック電極形成方法

【課題】低温短時間のアニールによっても、低いコンタクト抵抗を得ることのできるオーミック電極を備える電子デバイスを提供する。
【解決手段】電子デバイスは、ワイドバンドギャップ化合物半導体層16と、ワイドバンドギャップ化合物半導体層16上に形成されるオーミック電極であるソース電極18及びドレイン電極とを含む電子デバイスであって、オーミック電極は、密着層40、オーミック層42、及び、酸化防止層46が、ワイドバンドギャップ化合物半導体層16側からこの順に積層されて形成された電極であり、密着層40は、バナジウム(V)からなり、かつ、厚みが300Å以下であるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーミック電極を含む電子デバイス及びそのオーミック電極の形成方法に関し、特には、オーミック電極の熱安定性を向上させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ダイヤモンド、炭化ケイ素(SiC)、硫セレン化亜鉛(ZnSSe)系半導体、及び、III−V族窒化物系半導体等は、ワイドバンドギャップ化合物半導体として知られている。これらのワイドバンドギャップ化合物半導体は、赤色レーザ及びLED(Light Emitting Diode)に使用されるInGaAlP/GaAs系半導体よりも広いバンドギャップを有するため、青色レーザ用材料、青色発光ダイオード用材料、並びに、大電力及び高温条件下での使用に耐え得る電子デバイス用材料等への応用が期待されている。
【0003】
上記したワイドバンドギャップ化合物半導体の中でも特に、窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)、及び、窒化インジウムガリウム(InGaN)等を含むIII−V族窒化物系半導体は、ガリウム(Ga)、アルミニウム(Al)、及び、インジウム(In)等のIII族(第13族)元素の割合を変更することで、容易にバンドギャップ(1.8eV〜6.2eV)を調整できる。そのため、青色レーザ、青色発光ダイオード、及び、大電力用の電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor(FET))等の電子デバイスに対してIII−V族窒化物系半導体を応用する技術の開発が進められている。
【0004】
これらの素子においては、大電力条件下、すなわち高電流注入条件下における安定動作を可能にするために、ワイドバンドギャップ化合物半導体に対するコンタクト抵抗を可能な限り低くしたオーミック電極を得る技術が重要である。
【0005】
例えば、後掲の特許文献1には、n型窒化ガリウム系化合物半導体層表面に、チタンとアルミニウムとによりなる多層膜を形成した後アニール(熱処理)することによって、オーミック電極を得る技術について開示されている。
【0006】
また、後掲の特許文献2には、n型GaN層表面に対し、第1の高融点金属層であるハフニウム(Hf)層又はジルコニウム(Zr)層、第2の高融点金属層であるチタニウム(Ti)層、及び、低抵抗金属層であるAl層を順次積層した後アニールすることによって、オーミック電極を得る技術について開示されている。
【0007】
更に、後掲の特許文献3には、n型窒化ガリウム系化合物半導体層に接する側から順に、TiとAlとが積層された多層膜よりなる第1の薄膜と、Tiと金(Au)とが積層された多層膜等の、Alよりも高融点の金属よりなる第2の薄膜とを積層した後アニールすることによって、オーミック電極を得る技術について開示されている。
【0008】
更に、後掲の特許文献4には、III族窒化物半導体層上に、Ti、Zr、及び、Hfから選ばれる少なくとも1種を含む第3電極層、ガドリニウム(Gd)、ユウロピウム(Eu)、サマリウム(Sm)、及び、ストロンチウム(Sr)から選ばれる少なくとも1種を含む第1電極層、並びに、Au、ケイ素(Si)、銅(Cu)、Ti、パラジウム(Pd)、及び、スズ(Sn)から選ばれる少なくとも1種を含む第2電極層をこの順に堆積した後アニールすることによって、オーミック電極を得る技術について開示されている。
【0009】
更に、後掲の特許文献5には、n型又はノンドープ窒化物系半導体表面に接する位置にTi、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、クロム(Cr)、バナジウム(V)、Sn、In、Zr、及び、Siのうち少なくとも1種以上の金属が含まれる第1の層を形成し、この第1の層上にマグネシウム(Mg)が含まれる第2の層を形成し、第1の層及び第2の層をアニールすることによって、オーミック電極を得る技術について開示されている。
【0010】
更に、後掲の特許文献6には、n伝導型のGaN系半導体層上に、V、Nb、Zr及びCrから選ばれる少なくとも一の金属又はこの金属を含む合金からなる下地層を形成し、この下地層上に他の金属からなる主電極層を形成した後、半導体層、下地層及び主電極層を450℃〜700℃でアニールすることによって、オーミック電極であるn電極を得る技術について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第2783349号
【特許文献2】特開2001−15452号公報
【特許文献3】特許第3154364号
【特許文献4】特開2006−237162号公報
【特許文献5】特開2007−59508号公報
【特許文献6】特開平10−112555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
オーミック電極の製造時には、高温短時間又は低温長時間の条件下でアニールが行なわれる。例えば、特許文献1〜特許文献6に開示されるオーミック電極の中で、窒化物系半導体層上にTi、Hf、Cr、及び、Zrからなる層が形成され、この層上にAlからなる層が形成されるものは、高温短時間の条件下でアニールが行なわれる。このように高温条件下でアニールを行なう場合、半導体層と電極との界面における過剰な反応、電極と不純物ガスとの反応、及び、半導体層表面の劣化等が起こり易くなるおそれがある。さらに、製造プロセスに高温アニール工程を入れることによって、それ以前の工程にその温度以下の処理工程を入れることが不可能になるという問題がある。一方、低温長時間の条件下でアニールを行なう場合は、低抵抗のオーミック電極が得られにくい上に量産性に問題がある。
【0013】
また、特許文献4及び特許文献5に開示される技術は、窒化物系半導体層上に形成される層に稀少金属を使用しているため実用性に欠ける。
【0014】
本発明の目的は、低温短時間のアニールによっても、低いコンタクト抵抗を得ることのできるオーミック電極を備える電子デバイス、及び、そのオーミック電極形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1の局面に係る電子デバイスは、ワイドバンドギャップ化合物半導体層と、ワイドバンドギャップ化合物半導体層上に形成されるオーミック電極とを含む電子デバイスであって、オーミック電極は、密着層、オーミック層、及び、酸化防止層が、ワイドバンドギャップ化合物半導体層側からこの順に積層されて形成された電極であり、密着層は、Vからなり、かつ、厚みが300Å以下である。このように、密着層がVからなるので、低温短時間のアニールによっても、低いコンタクト抵抗を得ることが可能であり、広い温度範囲にわたって優れた熱安定性を有するオーミック電極を得ることができる。また、密着層が入手し易いVからなるので、実用的なオーミック電極を得ることができる。さらに、密着層の厚みが300Å以下であるので、低いコンタクト抵抗をより一層確実に得ることができるようになる。
【0016】
好ましくは、オーミック層は、Alからなる層であり、かつ、厚みが300Å以上である。これにより、オーミック電極形成時におけるアニール温度及びアニール時間の制御をより一層容易に行なうことができる。また、Alは拡散の程度が小さいので、オーミック層を構成する金属材料の拡散によって生じる電極の性能劣化を防ぐことができる。さらに、オーミック層の厚みが300Å以上であるので、低いコンタクト抵抗をさらに確実に得ることができるようになる。
【0017】
より好ましくは、酸化防止層は、Auからなる層である。これにより、オーミック層の酸化をより一層確実に防ぐことができる。
【0018】
更に好ましくは、オーミック電極は、オーミック層と酸化防止層との間に、Moからなる相互拡散防止層を更に含む。これにより、より一層確実にオーミック層と酸化防止層との相互拡散を防止することができる。
【0019】
更に好ましくは、ワイドバンドギャップ化合物半導体層は、InAlGaN(a+b+c+d=1,0≦a,b,c,d≦1)からなる層である。これにより、大電力及び高温条件下での使用に耐え得る優れた電子デバイスをより一層確実に得ることができる。
【0020】
更に好ましくは、電子デバイスは、基板と、基板とワイドバンドギャップ化合物半導体層との間に形成されるGaN層とを更に含み、ワイドバンドギャップ化合物半導体層は、AlGa1−XN(0<X≦1)からなる層である。これにより、大電力及び高温条件下での使用に耐え得る優れた電子デバイスをより一層確実に得ることができる。
【0021】
更に好ましくは、ワイドバンドギャップ化合物半導体層及びGaN層は、ノンドープである。このように、電子デバイスは、ワイドバンドギャップ化合物半導体層及びGaN層がノンドープである場合においても、低温短時間のアニールによって低いコンタクト接触を得ることが可能になるので、より一層生産性が向上する。
【0022】
更に好ましくは、ワイドバンドギャップ化合物半導体層の厚みは、10nm〜50nmである。これにより、大電力及び高温条件下での使用に耐え得る優れた電子デバイスを更に確実に得ることができる。
【0023】
本発明の第2の局面に係るオーミック電極形成方法は、ワイドバンドギャップ化合物半導体層上に、密着層、オーミック層、及び、酸化防止層を、この順に積層した後、500℃〜800℃でアニールするオーミック電極形成方法であって、密着層は、Vからなり、かつ、厚みが300Å以下である。このように、Vからなる密着層を設けるので、低温短時間のアニールによっても、低いコンタクト抵抗を有し、広い温度範囲にわたって熱安定性に優れるオーミック電極を形成することができる。また、密着層の厚みが300Å以下であるので、低いコンタクト抵抗を有するオーミック電極をより一層確実に得ることができるようになる。さらに、アニール処理を低温短時間で行なうことで、ワイドバンドギャップ化合物半導体層表面に酸化物が形成されるのを防ぐことができるので、オーミック電極の劣化をより一層確実に防ぐことができる。
【0024】
また、オーミック電極の形成方法において、アニールは、30秒間行なわれることが好ましい。これにより、アニール時間を短縮することができるので、オーミック電極を有する電子デバイスの量産がより一層容易になる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、電子デバイスは、Vからなり、かつ、厚みが300Å以下である密着層、オーミック層、及び、酸化防止層が、ワイドバンドギャップ化合物半導体層側からこの順に積層されて形成されたオーミック電極を含む。このように、密着層がVからなるので、低温短時間のアニールによっても、低いコンタクト抵抗を得ることが可能であり、広い温度範囲にわたって優れた熱安定性を有するオーミック電極を得ることができる。また、密着層が入手し易いVからなるので、実用的なオーミック電極を得ることができる。さらに、密着層の厚みが300Å以下であるので、低いコンタクト抵抗をより一層確実に得ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施の形態に係る電子デバイスの断面図である。
【図2】オーミック電極であるソース電極の構成を示す断面図である。
【図3】オーミック電極の形成方法の一例を示す図である。
【図4】全抵抗Rtの測定方法の一例について説明するための図である。
【図5】オーミック電極のコンタクト(接触)抵抗とアニール(熱処理)温度との関係を示すグラフである。
【図6】オーミック電極のコンタクト(接触)抵抗とアニール(熱処理)温度との関係を示すグラフである。
【図7】オーミック電極のコンタクト(接触)抵抗とアニール(熱処理)温度との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下の説明及び図面においては、同一の部品には同一の参照符号及び名称を付してある。それらの機能も同様である。したがって、それらについての詳細な説明をその都度繰返すことはしない。
【0028】
図1は、本発明の一実施の形態に係る電子デバイス100の断面図である。図1を参照して、電子デバイス100は、電界効果トランジスタ(FET)である。電子デバイス100は、基板10と、基板10上にこの順に形成される、GaN層14及びワイドバンドギャップ化合物半導体層16とを含む。
【0029】
基板10としては、基板10表面にGaN層14及びワイドバンドギャップ化合物半導体層16を形成可能な結晶からなる基板であれば特に限定されないが、例えば、シリコン(Si)基板、サファイア基板、SiC基板、及び、GaN基板等を使用できる。基板10の厚みとしては、当該分野において一般的な厚みであれば特に限定されない。基板10のサイズは、FETの用途等に応じて適宜設定されればよい。
【0030】
GaN層14は、n型又はノンドープのGaNからなる層である。GaN層14の厚みとしては、当該分野において一般的な厚みであれば特に限定されない。本実施の形態では、GaN層14として、ノンドープのGaNからなる層を使用する。
【0031】
ワイドバンドギャップ化合物半導体層16には、GaNよりもバンドギャップの大きい材料が使用されることが好ましい。ワイドバンドギャップ化合物半導体層16には、例えば、ダイヤモンド、SiC、ZnSSe系半導体、及び、III−V族窒化物系半導体等からなる層を使用できるが、特には、InAlGaN(a+b+c+d=1,0≦a,b,c,d≦1)からなる層であることが好ましく、更には、AlGa1−XN(0<X≦1)からなる層であることが好ましい。このように、ワイドバンドギャップ化合物半導体層16に、InAlGaNからなる層、更にはAlGa1−XNからなる層を使用することによって、大電力及び高温条件下での使用に耐え得る優れた電子デバイス100をより一層確実に得ることができる。本実施の形態では、ワイドバンドギャップ化合物半導体層16として、ノンドープのAlGaNからなる層を使用する。このように、本実施の形態に係る電子デバイス100は、ワイドバンドギャップ化合物半導体層16及びGaN層14がノンドープである。一般的に、ワイドバンドギャップ化合物半導体層16及びGaN層14がノンドープの場合には、後述するオーミック電極に対して良好なオーミック接触を得にくい。しかし、本実施の形態の電子デバイス100によれば、ワイドバンドギャップ化合物半導体層16及びGaN層14がノンドープである場合においても、低温短時間のアニールによって低いコンタクト接触を得ることが可能になり、より一層生産性が向上する。なお、ワイドバンドギャップ化合物半導体層16として、n型のAlGaNからなる層を使用してもよい。ワイドバンドギャップ化合物半導体層16の厚みとしては、当該分野において一般的な厚みであれば特に限定されないが、特には、10nm〜50nmであることが好ましい。ワイドバンドギャップ化合物半導体層16の厚みが上記数値範囲の値であることによって、大電力及び高温条件下での使用に耐え得る優れた電子デバイス100を更に確実に得ることができる。なお、基板10とワイドバンドギャップ化合物半導体層16との間には、バッファ層(図示せず。)を設けてもよい。バッファ層としては、当該分野において一般的に使用されるものであれば特に限定されないが、例えば、AlGaN層又はGaN系超格子層等を使用できる。
【0032】
ワイドバンドギャップ化合物半導体層16の表面には、ソース電極18及びドレイン電極20が互いに間隔を隔てて形成されるとともに、ソース電極18及びドレイン電極20の間にはゲート電極22が形成される。ソース電極18及びドレイン電極20はワイドバンドギャップ化合物半導体層16に対してオーミック特性を示すオーミック電極であり、ゲート電極22はショットキー電極である。ソース電極18及びドレイン電極20の構成については後述する。ゲート電極22の構成材料としては、当該分野において一般的に使用されるものであれば特に限定されないが、例えば、Ni、Au、白金(Pt)、及び、Pd等を使用できる。
【0033】
上記したように、FETのような電子デバイスでは、2次元電子ガス(2DEG(Two Dimensional Electron Gas))を形成するために、GaN層14(本実施の形態では、ノンドープのGaN層)上に、GaNよりもバンドギャップの大きいワイドバンドギャップ化合物半導体層16(本実施の形態では、ノンドープのAlGaNからなる層)を形成し、このワイドバンドギャップ化合物半導体層16上に、オーミック電極を形成する必要がある。
【0034】
基板10、GaN層14、及び、ワイドバンドギャップ化合物半導体層16におけるソース電極18の下方部分には、基板10、GaN層14、及び、ワイドバンドギャップ化合物半導体層16を貫通するバイアホール24が形成される。このバイアホール24には、後述する裏面パッド電極26を構成する金属材料が充填される。
【0035】
基板10のGaN層14及びワイドバンドギャップ化合物半導体層16とは反対側の面(以下「裏面」と記す。)には、バイアホール24を介してソース電極18と電気的に接続される裏面パッド電極26が形成される。裏面パッド電極26を構成する金属材料としては、当該分野において一般的に使用されるものであれば特に限定されないが、Ti、ニッケル(Ni)、及び、Au等を使用できる。このように、バイアホール24を形成して電極の1つを基板10の裏面に形成できるようにすることで、電子デバイス100を大きくすることなく電極の面積を大きくすることができる。これによって、大面積では良好な結晶を得ることが困難なワイドバンドギャップ化合物半導体を使用する電子デバイス100おいて重要な課題である装置の小型化をより一層達成し易くなる。また、放熱効果に優れ、耐熱性に優れる電子デバイスを得ることができる。裏面パッド電極26は、Au線又はダイボンドペースト等によって外部回路(図示せず。)と接続される。
【0036】
ワイドバンドギャップ化合物半導体層16の表面全体には、更に、ソース電極18、ドレイン電極20、及び、ゲート電極22を覆うように、電界強度を高くするための高誘電体膜28が形成される。高誘電体膜28の構成材料としては、当該分野において一般的に使用されるものであれば特に限定されないが、比誘電率(ε)が2以上の材料であることが好ましい。高誘電体膜28には、例えば、特開2006−128646号公報に開示される酸化チタン(TiO;ε=80)、酸化ハフニウム(HfO;ε=25)、及び、窒化ケイ素(SiN;ε=7.5)等を使用できる。
【0037】
高誘電体膜28におけるドレイン電極20及びゲート電極22の上方部分には、貫通孔30,32がそれぞれ形成される。この貫通孔30,32には、後述する表面パッド電極34を構成する金属材料が充填される。
【0038】
高誘電体膜28の表面には、貫通孔30,32を介してドレイン電極20及びゲート電極22とそれぞれ電気的に接続される表面パッド電極34が形成される。表面パッド電極34を構成する金属材料としては、当該分野において一般的に使用されるものであれば特に限定されないが、Al等を使用できる。
【0039】
[オーミック電極]
図2は、オーミック電極であるソース電極18の構成を示す断面図である。以下、オーミック電極を代表してソース電極18について説明するが、ドレイン電極20もソース電極18と同様の構成を有する。図2を参照して、ソース電極18は、密着層40、オーミック層42、相互拡散防止層44、及び、酸化防止層46を含む。密着層40、オーミック層42、相互拡散防止層44、及び、酸化防止層46は、ワイドバンドギャップ化合物半導体層16側からこの順に積層される。
【0040】
密着層40は、オーミック層42と、ワイドバンドギャップ化合物半導体層16とを密着させることで、ワイドバンドギャップ化合物半導体層16からのオーミック層42の剥離を防止する機能を有する。密着層40はまた、オーミック層42を構成する金属が、ワイドバンドギャップ化合物半導体層16内に拡散しすぎないようにする拡散阻害層としての機能も有する。密着層40の構成材料には、Vが使用される。このように、密着層40の構成材料としてVが使用されるので、低温短時間のアニールによっても、低いコンタクト抵抗を得ることが可能であり、広い温度範囲にわたって優れた熱安定性を有するオーミック電極を得ることができる。また、密着層40が入手し易いVからなるので、実用的なオーミック電極を得ることができる。密着層40の厚みは、300Å以下となるように設定される。これによって、低いコンタクト抵抗をより一層確実に得ることができるようになる。
【0041】
オーミック層42の構成材料としては、オーミック電極として使用される低抵抗の金属であれば特に限定されないが、Al及びAu等を使用できる。これらの中でも、Alを使用することが特に好ましい。このように、オーミック層42がAlからなる層であると、オーミック電極形成時におけるアニール温度及びアニール時間の制御をより一層容易に行なうことができる。また、Alは拡散の程度が小さいので、オーミック層42を構成する金属材料の拡散によって生じる電極の性能劣化を防ぐことができる。オーミック層42の厚みは、300Å以上となるように設定されることが好ましい。これによって、低いコンタクト抵抗をさらに確実に得ることができるようになる。
【0042】
相互拡散防止層44は、オーミック層42と酸化防止層46との相互拡散を防止する機能を有する。このように、相互拡散防止層44がオーミック層42と酸化防止層46との間に設けられることによって、例えば、アニール時等において、Alからなるオーミック層42と、Auからなる酸化防止層46とが相互拡散を起こすことを防止でき、電極金属として不適切な合金が形成されることを防ぐことができる。相互拡散防止層44の構成材料としては、Al及びAuよりも融点の高いものが好ましいが、モリブデン(Mo)及びNbが好ましく、更にはMoが好ましい。Mo及びNbは、Al及びAuのみでなくTi及びNiよりも高融点であるため、Ti及びNiを相互拡散防止層として使用する場合と比較して、より一層確実にオーミック層42と酸化防止層46との相互拡散を防止することができる。
【0043】
酸化防止層46は、オーミック層42が、例えば、Al等の酸化されやすい金属からなる場合に、オーミック層42の酸化を防ぐ機能を有する。酸化防止層46が設けられることで、例えば、外部回路とのボールボンディング時に接着不良が生じる等のFET製造工程時に生じる不良を低減させることができる。酸化防止層46の構成材料としては、酸化されにくいものが好ましく、特には、酸化されるおそれのないAuが好ましい。このように、酸化防止層46がAuからなる層であると、オーミック層の酸化をより一層確実に防ぐことができる。
【0044】
上記した密着層40、オーミック層42、相互拡散防止層44、及び、酸化防止層46の厚みとしては、当該分野において一般的な厚みであれば特に限定されず、低いオーミック抵抗が得られるように適宜設定されればよい。特に、密着層40及びオーミック層42は、アニール時間をより短くするために、コンタクト抵抗が増加しない程度に厚みを小さくすることが好ましい。
【0045】
[電子デバイス100の製造方法]
電子デバイス100の製造方法の一例としては、まず、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法等の公知の結晶成長技術によって、基板10(例えばSi基板)上に、GaN層14及びワイドバンドギャップ化合物半導体層16をこの順に積層させる。次いで、後述するオーミック電極の製造方法に従って、ワイドバンドギャップ化合物半導体層16上にソース電極18及びドレイン電極20を形成した後、蒸着法等の公知の方法によってゲート電極22を形成する。
【0046】
ゲート電極22の形成後、基板10を研磨して100μm程度まで薄くした後、基板10側からバイアホール24を形成する。バイアホール24の形成方法としては、例えば、特開2004−363563号公報、特開2001−16054号公報、特開平11−150127号公報、及び、特表2004−530289号公報等に開示される公知の方法を使用できる。これらの中でも、特に、GaN系半導体導電層を形成したSi基板に関する技術が開示されている、特表2004−530289号公報に開示される技術を使用することが好ましい。
【0047】
バイアホール24の形成後、基板10の裏面に、例えば、蒸着法によって、Ti、Ni、及び、Auをこの順に積層させた後、低温でアニールすることによって裏面パッド電極26を形成する。この場合、Niは、TiとAuとの接着性を強くし、Auの剥離を防止するために使用される。また、金メッキによってAu膜を形成することで裏面パッド電極26を形成してもよい。このように、裏面パッド電極26をAu膜とすることによって、バイアホール24がAuによって充填されるので、放熱効果をより一層高めることができる。裏面パッド電極26の形成後、蒸着法及びフォトリソグラフィー等の公知の方法によって、ソース電極18、ドレイン電極20及びゲート電極22の上にAlの電極パターンを形成することで、ソース電極18と裏面パッド電極26とをバイアホール24を介して電気的に接続させる。
【0048】
次いで、例えば、スパッタリング法によって、ワイドバンドギャップ化合物半導体層16の表面全体に、ソース電極18、ドレイン電極20及びゲート電極22を覆うように高誘電体膜28を形成した後、フォトリソグラフィー法及びウェットエッチング法等の公知の方法によってパターニングすることで貫通孔30,32を形成する。
【0049】
貫通孔30,32の形成後、例えば、真空蒸着法によって高誘電体膜28表面にAlを製膜後、フォトリソグラフィー法及びウェットエッチング法等の公知の方法によってパターニングすることで表面パッド電極34を形成する。
【0050】
最後に、裏面パッド電極26をAu線又はダイボンドペースト等によって外部回路(図示せず。)と接続するとともに、表面パッド電極34をAl線等によって外部回路(図示せず。)と接続する。
【0051】
上述のようにして製造された電子デバイス100において、基板10とソース電極18及びドレイン電極20とは、GaN層14によって電気的に分離されている。すなわち、GaN層14とワイドバンドギャップ化合物半導体層16との界面に電子ポテンシャルの谷が形成され、その谷に閉じ込められた電子(2次元電子ガス(2DEG))によってソース電極18からドレイン電極20に電流が流れるが、基板10側には電流が流れない。
【0052】
[オーミック電極の形成方法]
図3は、オーミック電極の形成方法の一例を示す図である。図3(a)を参照して、オーミック電極の形成方法の一例としては、まず、GaN層14上に形成されたワイドバンドギャップ化合物半導体層16表面に、一定膜厚のフォトレジスト50を塗布する。フォトレジスト50の膜厚は、所望のオーミック電極の厚みよりも大きくなるようにする。次いで、コンタクトアライナー又はステッパーを用いて、所望の電極パターンが形成されたフォトマスクを介してフォトレジスト50表面を露光する。露光後、現像液に浸すことで現像を行ない、オーミック電極を形成する部分のフォトレジスト50を除去する。
【0053】
図3(b)を参照して、EB(Electron−Beam)蒸着機等によって、フォトレジスト50及びワイドバンドギャップ化合物半導体層16表面に対し、Vからなり、かつ、厚みが300Å以下である密着層40を形成し、さらに、オーミック層42、相互拡散防止層44、及び、酸化防止層46を、それぞれ所望の厚みとなるように、この順で蒸着して積層する。なお、各層の厚みは、水晶振動子膜厚計で測定した蒸着レートと、蒸着時間(積算時間)との積によって求めることができる。
【0054】
図3(c)を参照して、各層の積層後、アセトン又は剥離液に浸けることでフォトレジスト50を溶解し、フォトレジスト50及びフォトレジスト50上に積層された金属層を除去する。
【0055】
図3(d)を参照して、ワイドバンドギャップ化合物半導体層16表面に形成された金属層を、RTA(Rapid Thermal Aneal)炉によって、所定の温度でアニールすることで、オーミック電極が形成される。アニール後には、オーミック電極は、各金属層の界面が判別できないような渾然一体となった状態となるが、各金属層の構造は保持されている。アニール時におけるアニール温度としては、500℃〜800℃であることが好ましく、特には600℃〜650℃である事が好ましい。アニール時間としては、特に限定されるものではなく、オーミック電極における各金属層の厚み等に応じて適宜設定されればよいが、より短い方が好ましい。例えば、アニール温度が600℃〜650℃である場合には、30秒間であることが好ましい。このように、アニール時間を30秒間とすることによって、アニール時間を短縮することができるので、オーミック電極を有する電子デバイスの量産がより一層容易になる。
【0056】
なお、本明細書中において、オーミック電極のコンタクト抵抗(Rc)は、以下に説明するTLM(Transmission Line Model)法によって求めた値である。
【0057】
すなわち、シート抵抗(本実施の形態では、ノンドープのAlGaNからなる層の抵抗)をRsとし、遷移長をLtとすると、オーミック電極のコンタクト抵抗(Rc)は、下記式(1)で表わすことができる。
【0058】
【数1】

【0059】
また、オーミック電極の幅をrとし、オーミック電極間の距離をdとすると、オーミック電極の抵抗(Rt)は、下記式(2)で表わすことができる。
【0060】
【数2】

【0061】
上記式(2)にd=0を代入すると、オーミック電極間の距離(d)が0であるときのオーミック電極の抵抗、すなわち、全抵抗(Rt)を表す下記式(3)が得られる。
【0062】
【数3】

【0063】
上記式(3)に上記式(1)を代入すると、下記式(4)が得られる。
【0064】
【数4】

【0065】
図4は、全抵抗(Rt)の測定方法の一例について説明するための図である。図4を参照して、全抵抗(Rt)の測定方法の一例としては、まず、オーミック電極の幅(r)が一定(例えば、40μm)であって、オーミック電極間の距離(d,d,d,d)がそれぞれ異なる4つの測定点を有するサンプル400について、四探針法を用いてそれぞれの測定点の抵抗を測定する。得られた各測定値を各オーミック電極間の距離(d,d,d,d)に対してプロットすると、略直線状のグラフが得られる。このグラフについて、最小二乗法等を用いて最も確からしい直線の関係式を求め、求めた関係式に基づいて、オーミック電極間の距離(d)が0であるときのオーミック電極の抵抗、すなわち全抵抗(Rt)を求めることができる。上述のようにして得られた全抵抗(Rt)と、オーミック電極の幅(r)とを上記式(4)に代入することで、オーミック電極のコンタクト抵抗(Rc)を求めることができる。なお、図4に示すサンプル400を作製する場合は、オーミック電極形成時に使用するフォトマスクとして、ラウンドTLMパターンが形成されたものを使用すればよい。
【実施例】
【0066】
以下に本発明の実施例および比較例を具体的に説明するが、本発明は特許請求の範囲に記載された技術的範囲を超えない限り特に本実施例に限定されるものではない。
【0067】
<試験例1>
(実施例1)
まず、Si基板上のGaN層上に形成されたAlGaN層表面に、一定膜厚のフォトレジストを塗布した。次いで、コンタクトアライナーを用いて、ラウンドTLMパターンが形成されたフォトマスクを介してフォトレジスト表面を露光した。露光後、現像液に浸すことで現像を行ない、オーミック電極を形成する部分のフォトレジストを除去した。上記したGaN層及びAlGaN層はノンドープである。
【0068】
フォトレジストの除去後、EB蒸着機によって、フォトレジスト及びAlGaN層表面に対し、密着層(V;厚み15nm(150Å))、オーミック層(Al;厚み60nm(600Å))、相互拡散防止層(Mo;厚み35nm(350Å))、及び、酸化防止層(Au;厚み50nm(500Å))を、それぞれ所望の厚みとなるように、この順で蒸着して積層した。次いで、剥離液に浸けることでフォトレジストを溶解し、フォトレジスト及びフォトレジスト上に積層された金属層を除去することで実施例1のサンプルを作製した。
【0069】
(比較例1)
密着層の構成材料としてTiを使用した以外は、実施例1と同様にして比較例1のサンプルを作製した。
【0070】
(比較例2)
密着層を積層しなかった以外は実施例1と同様にして比較例2のサンプルを作製した。
【0071】
[評価]
上述のようにして作製した実施例1及び比較例1,2のサンプルそれぞれに対し、RTA炉によってアニールを行なうとともに、TLM法を用いてコンタクト抵抗(Rc)を求めることで、コンタクト抵抗(Rc)とアニール温度との関係を調べた。なお、アニールは、約600℃から約900℃までの温度範囲の間において、50℃毎に30秒間行なった。
【0072】
図5は、オーミック電極のコンタクト(接触)抵抗とアニール(熱処理)温度との関係を示すグラフである。
【0073】
図5を参照して、グラフa〜グラフcは、実施例1及び比較例1,2の測定結果をそれぞれ示すグラフである。実施例1のオーミック電極(グラフa参照)は、密着層にVを使用しているので、全温度範囲で安定して低いコンタクト抵抗を得ることができた。特に、700℃以下の低温条件下においても低いコンタクト抵抗を得ることができ、650℃において最も低いコンタクト抵抗を得た。
【0074】
一方、密着層としてTiを使用した比較例1のオーミック電極(グラフb参照)は、750℃以下の低温条件下及び800℃以上の高温条件下では、コンタクト抵抗の上昇が見られた。
【0075】
更に、密着層が形成されていない比較例2のオーミック電極(グラフc参照)は、700℃以下の低温条件下でコンタクト抵抗の低下が見られたものの、700℃を超える高温条件下では、温度の上昇に伴ってコンタクト抵抗の上昇が見られた。
【0076】
<試験例2>
(実施例2)
密着層の厚みを75Åとした以外は、実施例1と同様にして実施例2のサンプルを作製した。
【0077】
(実施例3)
密着層の厚みを300Åとした以外は、実施例1と同様にして実施例3のサンプルを作製した。
【0078】
[評価]
上述のようにして作製した実施例1〜3のサンプルそれぞれに対し、RTA炉によってアニールを行なうとともに、TLM法を用いてコンタクト抵抗(Rc)を求めることで、コンタクト抵抗(Rc)とアニール温度との関係を調べた。なお、アニールは、550℃から900℃までの温度範囲の間において、50℃毎に30秒間行なった。
【0079】
図6は、オーミック電極のコンタクト(接触)抵抗とアニール(熱処理)温度との関係を示すグラフである。図6を参照して、グラフa,d,eは、実施例1〜実施例3の測定結果をそれぞれ示すグラフである。密着層の厚みが150Åである実施例1のオーミック電極(グラフa参照)は、650℃以下において非常に低いオーミック抵抗を得た。密着層の厚みが75Åである実施例2のオーミック電極(グラフd参照)は、750℃以下において非常に低いオーミック抵抗を得た。密着層の厚みが300Åである実施例3のオーミック電極(グラフe参照)は、800℃以下において低いオーミック抵抗を得た。
【0080】
<試験例3>
(実施例4)
オーミック層の厚みを300Åとした以外は、実施例1と同様にして実施例4のサンプルを作製した。
【0081】
(実施例5)
オーミック層の厚みを900Åとした以外は、実施例1と同様にして実施例5のサンプルを作製した。
【0082】
[評価]
上述のようにして作製した実施例1,4,5のサンプルそれぞれに対し、RTA炉によってアニールを行なうとともに、TLM法を用いてコンタクト抵抗(Rc)を求めることで、コンタクト抵抗(Rc)とアニール温度との関係を調べた。なお、アニールは、550℃から900℃までの温度範囲の間において、50℃毎に30秒間行なった。
【0083】
図7は、オーミック電極のコンタクト(接触)抵抗とアニール(熱処理)温度との関係を示すグラフである。図7を参照して、グラフa,f,gは、実施例1,4,5の測定結果をそれぞれ示すグラフである。オーミック層の厚みが600Åである実施例1のオーミック電極(グラフa参照)は、700℃以下において非常に低いオーミック抵抗を得た。オーミック層の厚みが300Åである実施例4のオーミック電極(グラフf参照)は、850℃において低いオーミック抵抗を得た。オーミック層の厚みが900Åである実施例5のオーミック電極(グラフg参照)は、700℃〜850℃において非常に低いオーミック抵抗を得た。
【0084】
〈作用・効果〉
上記実施の形態によれば、電子デバイス100は、ワイドバンドギャップ化合物半導体層16と、ワイドバンドギャップ化合物半導体層16上に形成される、オーミック電極であるソース電極18及びドレイン電極20とを含む電子デバイスであって、オーミック電極は、密着層40、オーミック層42、及び、酸化防止層46が、ワイドバンドギャップ化合物半導体層16側からこの順に積層されて形成された電極であり、密着層40は、Vからなり、かつ、厚みが300Å以下である。このように、密着層40がVからなるので、低温短時間のアニールによっても、低いコンタクト抵抗を得ることが可能であり、広い温度範囲にわたって優れた熱安定性を有するオーミック電極を得ることができる。また、密着層40が入手し易いVからなるので、実用的なオーミック電極を得ることができる。さらに、密着層40の厚みが300Å以下であるので、低いコンタクト抵抗をより一層確実に得ることができるようになる。
【0085】
また上記実施の形態によれば、オーミック電極形成方法は、ワイドバンドギャップ化合物半導体層16上に、密着層40、オーミック層42、及び、酸化防止層46を、この順に積層した後、500℃〜800℃でアニールするオーミック電極形成方法であって、密着層40は、Vからなり、かつ、厚みが300Å以下である。このように、Vからなる密着層40を設けるので、低温短時間のアニールによっても、低いコンタクト抵抗を有し、広い温度範囲にわたって熱安定性に優れるオーミック電極を形成することができる。また、密着層40の厚みが300Å以下であるので、低いコンタクト抵抗を有するオーミック電極をより一層確実に得ることができるようになる。さらに、アニール処理を低温短時間で行なうことで、ワイドバンドギャップ化合物半導体層16表面に酸化物が形成されるのを防ぐことができるので、オーミック電極の劣化をより一層確実に防ぐことができる。
【0086】
なお、上記実施の形態において、電子デバイス100はFETであったが、本発明はそのような実施の形態に限定されない。電子デバイス100は、上記構成のオーミック電極を適用可能ものであればよく、例えば、高電子移動度トランジスタ(HEMT(High Electron Mobility Transistor))、及び、青色レーザ等であってもよい。
【0087】
今回開示された実施の形態は単に例示であって、この発明が上記した実施の形態のみに制限されるわけではない。この発明の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含む。
【符号の説明】
【0088】
10 基板
14 GaN層
16 ワイドバンドギャップ化合物半導体層
18 ソース電極
20 ドレイン電極
22 ゲート電極
24 バイアホール
26 裏面パッド電極
28 高誘電体膜
30,32 貫通孔
34 表面パッド電極
40 密着層
42 オーミック層
44 相互拡散防止層
46 酸化防止層
50 フォトレジスト
100 電子デバイス


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイドバンドギャップ化合物半導体層と、前記ワイドバンドギャップ化合物半導体層上に形成されるオーミック電極とを含む電子デバイスであって、
前記オーミック電極は、密着層、オーミック層、及び、酸化防止層が、前記ワイドバンドギャップ化合物半導体層側からこの順に積層されて形成された電極であり、前記密着層は、Vからなり、かつ、厚みが300Å以下である、電子デバイス。
【請求項2】
前記オーミック層は、Alからなる層であり、かつ、厚みが300Å以上である、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項3】
前記酸化防止層は、Auからなる層である、請求項1又は請求項2に記載の電子デバイス。
【請求項4】
前記オーミック電極は、前記オーミック層と前記酸化防止層との間に、Moからなる相互拡散防止層をさらに含む、請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の電子デバイス。
【請求項5】
前記ワイドバンドギャップ化合物半導体層は、InAlGaN(a+b+c+d=1,0≦a,b,c,d≦1)からなる層である、請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の電子デバイス。
【請求項6】
基板と、
前記基板と前記ワイドバンドギャップ化合物半導体層との間に形成されるGaN層とを更に含み、
前記ワイドバンドギャップ化合物半導体層は、AlGa1−XN(0<X≦1)からなる層である、請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載の電子デバイス。
【請求項7】
前記ワイドバンドギャップ化合物半導体層及び前記GaN層は、ノンドープである、請求項6に記載の電子デバイス。
【請求項8】
前記ワイドバンドギャップ化合物半導体層の厚みは、10nm〜50nmである、請求項1〜請求項7のいずれか1つに記載の電子デバイス。
【請求項9】
ワイドバンドギャップ化合物半導体層上に、密着層、オーミック層、及び、酸化防止層を、この順に積層した後、500℃〜800℃でアニールするオーミック電極形成方法であって、前記密着層は、Vからなり、かつ、厚みが300Å以下である、オーミック電極形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−14676(P2011−14676A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−156732(P2009−156732)
【出願日】平成21年7月1日(2009.7.1)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度、新エネルギー・産業技術総合開発機構「ナノエレクトロニクス半導体新材料・新構造技術の開発―窒化物系化合物半導体基板・エピタキシャル成長技術の開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】