説明

電子機器、電子機器の動作制御方法

【課題】新規に識別情報を登録する場合や登録内容を編集する場合の面倒な操作を解消するとともに、非接触型通信機器を利用した電子機器の使用性を向上させる。
【解決手段】ナビゲーション装置やオーディオ再生装置等において、読取部によってICカード等の非接触型通信機器からカードIDを読み込んだときに、そのカードIDの登録状況やそのときの動作状態に応じて、新規ユーザの識別情報を登録する登録処理(F204)や、すでに登録済の識別情報を編集する処理(F208)が実行されるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばナビゲーション装置やオーディオ再生装置などの電子機器と、その動作制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開2005−56150号公報
【0003】
例えばユーザが、ICチップを内蔵したIC(Integrated Circuit)カードを利用して装置を使用する例が特許文献1に記載されている。
【0004】
各種の電子機器にICカードリーダを備えるようにし、電子機器を使用する際にICカードを使用することが提案されている。例えば個々のユーザーが、自分のICカードを所有し、電子機器を使用する際に、まず自分のICカードと電子機器の間で通信を実行させ、電子機器に使用するユーザー個人を認証させるような使用形態である。
このような使用形態を想定した場合、電子機器に対しては、予めICカードに記憶されている固有の識別情報を登録しておく必要がある。
図8に示すフローチャートは、ユーザーがICカードを利用して電子機器を使用しようとする場合において、電子機器の制御部が行う処理を表したものである。
【0005】
この電子機器には、ICカードに記憶されている固有の識別情報を読取る読取部が設置されており、まずユーザがICカードを利用するにあたっては、ICカードを読取部へ近接させる。この動作を受けて制御部は、図8のステップF301においてカード自体が読取部に近接したかを判断する。
ICカードが読取部に近接していると制御部が判断した場合、つまりICカードとの間で通信状態となったと制御部が判断した場合は、ステップF302に進み、制御部はICカードに記憶されている固有の識別情報を読込む処理を行う。
【0006】
制御部は、ステップF302において識別情報を読み込んだ後はステップF303に進み、ICカードから読み込んだ識別情報が登録済の識別情報であるか否かを判断する。
登録済の識別情報ではないと判断した場合、つまりICカードから読み込んだ識別情報が読取りエラーとなり認識できない場合や識別情報が未登録の場合は、ステップF304に進み、このステップF304において制御部は図9に示すエラー処理画像34を表示させる処理を行う。
【0007】
一方、制御部は、ステップF303において登録済の識別情報と判断した場合はステップF305に進み、登録されたユーザ情報に対する処理として認証や設定処理を行う。
これで登録済の識別情報を装置が認識する動作が終了し、登録されたユーザに応じた機器動作を実行する。
【0008】
また、新規ユーザが新たにICカード(ICカードに記憶された識別情報)を装置に登録させたり、すでに識別情報を登録しているICカードを所持するユーザが登録内容を編集するには、図10に示した編集画像35を呼び出し、ユーザが行おうとしている作業に応じた操作を行う必要がある。
この編集画像35に対してユーザが新規ユーザ追加ボタン37を選択実行する操作を行った場合、制御部は、新規ユーザ登録画像(図示せず)を表示させて、新規ユーザ登録画面に対するユーザの操作に応じて登録処理を行う。
さらに、識別情報(ICカード)をすでに登録済のユーザが登録情報の編集をしようする場合、ユーザ編集ボタン38を選択実行する操作を行うが、この場合制御部は、登録情報編集画像(図示せず)を表示させ、登録情報編集画像に対するユーザー操作に応じて編集処理を行う。
【0009】
なお、ユーザが図10のような編集画像35を表示させる操作を行うことができるようにするためには、メニュー画像や図8の各ステップで処理を行ったときに表示される画像などに、編集画像35を呼び出すためのアイコン等を設定しておけばよい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、上記のようにICカードの使用を想定した電子機器では、新たなICカード(ICカードに記憶されている固有の識別情報)を電子機器に登録する場合や、すでに登録している識別情報における登録情報を編集する場合などには、ユーザは、それら新規登録や編集のための画像を呼び出す操作を行なってから、その表示された画像に従って所要の操作を行う必要がある。
この場合、新規登録や編集のための画像を呼び出す操作としてユーザにとって手間のかかるとともに、ユーザによっては新規登録や編集のための画像を呼び出す操作方法がわからないといったこともあり、ICカードによる利用を有効化できないこともある。
【0011】
そこで、本発明ではユーザが新規に識別情報を登録する場合や、登録内容を編集する場合に面倒な操作を行うことなく、ユーザにかかる手間を軽減するとともに、ICカード等の非接触型通信機器を利用した電子機器を使用する場合の使用性を向上させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の電子機器は、固有の識別情報を記憶した非接触型通信機器から情報を読取る読取部と、上記読取部が読取った識別情報が、登録済の識別情報であるか未登録の識別情報であるかを判別し、登録済の識別情報であった場合は、その識別情報に対応するユーザ設定情報を取得して該ユーザ設定情報に基づく設定処理を行い、未登録の識別情報であった場合は、その識別情報についての登録の為の処理を行う制御部とを備える。
【0013】
また上記制御部は、或るユーザ設定情報に基づく設定状態で動作している状態で、上記読取部が、上記ユーザ設定情報に対応する識別情報と同じ識別情報を読取った場合、その識別情報に対応する登録情報の編集の為の処理を行う。
なお、ここでの登録情報とは、カードID、暗証ナンバ、ユーザ設定情報等、個々の非接触型通信機器(非接触型通信機器を所持するユーザ)に対して固有に登録している情報のことである。
【0014】
また上記電子機器は表示部を更に備え、上記制御部は、上記登録の為の処理として、上記表示部に登録用画像を表示させる。
また上記制御部は、上記登録情報の編集の為の処理として、上記表示部に編集用画像を表示させる。
また上記非接触型通信機器とは非接触通信回路を有するICチップを内蔵したICカードである。
また上記電子機器はナビゲーション装置やオーディオ再生装置である。
【0015】
本発明の、固有の識別情報を記憶した非接触型通信機器に登録されている情報を読取る読取部を有する電子機器の動作制御方法としては、上記読取部で読み取られた識別情報が登録済の識別情報か未登録の識別情報かを判別するステップと、登録済の識別情報であった場合、その識別情報に対応するユーザ設定情報を取得して該ユーザ設定情報に基づく設定処理を行うステップと、未登録の識別情報であった場合は、その識別情報についての登録の為の処理を行うステップとを備える。
【0016】
以上の本発明は、例えばナビゲーション装置やオーディオ再生装置等で適用する場合、その読取部にICカード等の非接触型通信機器を近接させて識別情報を読み込ませることで、新規ユーザの識別情報を登録する登録用画像や、すでに登録済の識別情報を編集する編集用画像を表示するなどの、読み込んだ識別情報に応じた制御を自動的に行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電子機器はICカード等の非接触型通信機器から識別情報を読み込んだ際に、その識別情報から判別した状況に応じて、登録の為の処理や編集のための処理を行うようにしている。例えば読み込んだ識別情報に応じて登録用画像や編集用画像の表示を行う。つまりユーザの所持するICカード等の登録状況や使用状態に応じて適切な画像表示等の処理が行われることで、登録や編集のためにユーザに操作負担をかけることが無くなる。これによって非接触型通信機器を利用した使用形態の電子機器の使用性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態として、本発明をナビゲーション装置に適用した例の第1の実施の形態と、オーディオ再生装置に適用した例の第2の実施の形態を順次説明する。
図1は第1の実施の形態のナビゲーション装置10のブロック図である。
このナビゲーション装置10は、演算処理部1、操作入力部2、映像信号処理部3、位置検出部4、センサ部5、ディスクドライブ装置部6、音声合成/再生処理部7、表示部8、スピーカ部9、ICカード読取部16、通信部17を有する。これらの各部は、一体的に設けられても良いし、それぞれ別の筺体の装置部とされ、有線又は無線で通信可能に接続されるものであってもよい。
なお、このナビゲーション装置10は例えば車載用のナビゲーション装置として説明するが、携帯用のナビゲーション装置でもよい。
【0019】
操作入力部2は、ユーザの操作を受け、その操作情報を演算処理部1に伝達する装置部である。例えばナビゲーション装置10の本体筐体のパネル上に設けられた各種のキーやジョグダイヤル、スティック等の操作子として実現されたり、本体筐体とは別体に設けられたリモートコントローラなどとして実現される。
また操作入力部2としては、表示画面上のタッチパネルとされる場合もある。その場合、表示部8と一体的に設けられる。さらには表示部8に表示されたメニュー画像やアイコン表示に対してマウスや所定のポインティングデバイスによってクリックを行う形態も操作入力部2の1態様として考えられる。
【0020】
表示部8及びスピーカ部9は、ユーザに対する画像や音声の出力装置部となる。
表示部8は、演算処理部1でのナビゲーション動作のための処理で生成された地図画像、経路案内画像、操作メニュー、アイコン、POI(Point of Interest)情報、検索リスト等の各種ナビゲーション画像を表示する。また、ユーザ固有の情報を登録、編集する画像を表示する。
映像信号処理部3は、演算処理部1で生成されたナビゲーション画像データやその他の画像データに関して必要な処理を行い、表示部8での表示を実行させる。
スピーカ部9は、演算処理部1でのナビゲーション動作のための処理に基づく音声やその他の音声の出力を行う。
音声合成/再生処理部7は、ナビゲーション音声、例えば経路案内処理によるガイド音声等を出力するための音声合成処理やその他の音声合成処理を実行し、スピーカ部9から出力させる。
【0021】
位置検出部4は、当該ナビゲーション装置10の位置、即ち当該ナビゲーション装置10が搭載された自動車の位置を検出する装置部であり、例えばGPS(Global Positioning System)を利用したGPS測位装置である。既に公知の通り、GPS測位装置は、複数のGPS衛星から送られてくる電波を受信することで、静止衛星からの位置を計算し、自車の地図上の位置として緯度、経度を求める。
位置検出部4は測位した自車位置としての緯度、経度の情報を演算処理部1に供給する。
【0022】
センサ部5は、車の走行状況や挙動等を検出する装置部である。例えば、車輪の回転数を検知する車速センサ、車体の回転角速度を検知する振動ジャイロセンサ、車の加速度を検知する加速度センサ、車の振動を検知する振動センサなどである。また、車の走行操作装置の状態を検出する装置、例えばパーキングブレーキスイッチやブレーキランプスイッチ、ステアリング舵角センサ、スロットル開度センサなども想定される。
センサ部5によるこれらの検出情報は、演算処理部1に供給される。演算処理部1では、これらのセンサ部5からの検出情報と、位置検出部4からの位置情報とを併せて用いることで、より精度の高い自車位置検出を実行することができる。
【0023】
ディスクドライブ装置部6は、CD(Compact Disc)方式或いはDVD(Digital Versatile Disc)方式、或いはブルーレイディスク(Blu-ray Disc(登録商標))方式など外部記録媒体としてのディスク18について再生を行う再生装置である。
このディスクドライブ装置部6に地図データ等を含むナビゲーション情報が記録されたディスク18が装填されることで、本ナビゲーション装置10はナビゲーション情報を読込むことができ、地図データ等に基づいたナビゲーション処理が可能となる。
なお、本明細書では「ナビゲーション情報」とは、ナビゲーション処理に用いるデータの総称として用いており、ナビゲーション情報には、地図データ、地図画像を生成するための地図画像や地図画像上のアイコン等を含む地図描画データ、経路計算用のデータ、経路誘導データ、POI(Point of Interest)データ、検索用データ、管理データなどが含まれる。POIデータとは、レストラン、各種店舗、スポーツ施設、娯楽施設など、多様な地点情報を示すものであり、例えばこれらの各種地点をジャンル別等に体系化して検索できるようにした情報である。
一般に車載用ナビゲーション装置では、ユーザが目的地を設定することに応じて好適な経路を算出し、表示部において地図画像上で経路を表示するナビゲーション動作が行われる。このナビゲーション動作のためには、まずユーザが目的地を入力することが必要であるが、この目的地の入力のためには様々な方式があり、例えば目的地の住所や地名等を入力する方式や、地図上で位置を指定する方式、さらには目的地を検索して選択する方式などがある。検索による方式としてはPOI入力方式が知られている。例えばユーザの操作に応じて、POIデータとしての地点情報をカテゴリ別などで分類したデータベースに対して検索を行い、検索結果をリスト表示する。そしてユーザがリストアップされたエントリの1つを指定することで、目的地として登録できるものである。検索のためのユーザの入力は、例えばメニュー形式などでカテゴリを指定し、指定されたカテゴリをキーとして検索を行ったり、或いはユーザがキーとなる文字等を入力し、これに基づいて検索するなど、多様な形態がある。
【0024】
ディスクドライブ装置部6は、演算処理部1を有する本体筐体に一体的に設けられても良いし、別体とされて有線又無線で演算処理部1と通信可能とされてもよい。
なお説明上は、再生される外部記録媒体の例として、CD方式又はDVD方式のディスク18を挙げているが、他の種類の光ディスクや光磁気ディスク、或いはメモリカードなどの可搬型の記録媒体が外部記録媒体として用いられてもよい。もちろんその場合は、外部記録媒体に対応した再生装置部が設けられる。またHDD(Hard Disc Drive)としてのディスクドライブ装置部6が設けられてもよい。
【0025】
ICカード読取部16は、IC(Integrated Circuit)カード90に記憶されている固有の識別情報を読取る情報読取り装置である。ICカード90とは非接触通信回路を有するICチップが内蔵されたカードのことである。また、このICチップに固有の識別情報が記憶されている。
ICカード読取部16はICカード90が近接されることに応じてICカード90との間で通信を行い、ICカード90に内蔵されているICチップから識別情報を読取ることになる。そして、読取った識別情報を演算処理部1に供給する。
ICカード90は、例えば当該ナビゲーション装置10を使用するユーザが所持する非接触型通信機器である。この場合、ICカード90に記憶された識別情報は、ナビゲーション装置10にとっては個々のユーザを識別する情報となる。
このICカード読取部16は、演算処理部1を含むナビゲーション装置本体とは別体として形成され、有線又は無線で通信されるものでもよいし、またはナビゲーション装置本体内に設けられてもよい。
【0026】
通信部17は、携帯電話網や他の無線ネットワークを介して情報サーバと通信を行う通信部である。演算処理部1は、通信部17による所定の情報サーバとの間の通信により、例えば道路状況、渋滞情報などを得ることができる。
【0027】
演算処理部1は、ナビゲーション動作としての必要な演算処理を行う装置であり、例えばCPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、不揮発性メモリ14、インターフェース部15を備えて構成される。
ROM12には動作プログラムや各種処理に用いる定数、固定情報が記憶される。なお、動作プログラムは、ディスクドライブ装置部6に装填されたディスク18に格納され、動作時に演算処理部1内にロードされるようにしてもよい。
RAM13は、ワーク領域やプログラムのロード領域に用いられたり、一時的な情報の蓄積に用いられる。またディスクドライブ装置部6で読み出されたデータについてのバッファリングやデータ処理のための一時的な格納領域ともされる。
【0028】
不揮発性メモリ14は書き換え可能かつシステムの電源供給が途絶えた時にも記憶したデータを保持できるメモリであり、例えばフラッシュメモリである。なお電池によりバックアップされたSRAM(Static Random Access Memory)等でもよい。この不揮発性メモリ14には、各種処理に用いる係数やユーザが登録した情報や指定した経路情報、過去の走行履歴情報などが記憶される。
さらに本実施の形態では、不揮発性メモリ14は図2で述べるような登録情報の格納にも用いられる。
【0029】
CPU11は、ナビゲーション装置としての各種動作制御の他、ICカード読取部16から読み取られた識別情報に応じた各種の動作制御を行う。識別情報に応じた処理としては例えばユーザの新規登録や登録情報の編集などの制御処理などを行う。
また、ROM12に記憶されたプログラムに基づいて、ナビゲーション装置として必要な情報処理や制御処理を行う。これらの情報処理や制御処理のために、RAM13をワーク領域として用いたり、ROM12や不揮発性メモリ14に記憶された情報を参照する。
【0030】
インターフェース部15は、演算処理部1と他の各部、即ち操作入力部2、映像信号処理部3、位置検出部4、センサ部5、ディスクドライブ装置部6、音声合成/再生処理部7、ICカード読取部16、通信部17との間での入出力を行う。インターフェース部15は、操作入力部2からの操作情報や各種入力情報、位置検出部4からの位置情報、センサ部5による検出情報を入力し、CPU11に伝達する。またインターフェース部15は、CPU11が出力する制御情報や画像データ、音声データを映像信号処理部3や音声合成/再生処理部7に供給し、ナビゲーションシステムとしての必要な表示出力、音声出力を実行させる。またインターフェース部15はCPU11からのアクセス要求をディスクドライブ装置部6に伝え、ディスクドライブ装置部6に所要のデータ再生を実行させる。またインターフェース部15は、ディスクドライブ装置部6での再生動作によって転送されてくるナビゲーション情報を演算処理部1内に取り込む。またインターフェース部15は、ICカード読取部16で読み込まれたユーザの識別情報をCPU11に伝達する。またインターフェース部15は通信部17により行われるデータ通信のためのデータ授受を行う。
【0031】
図2は、ICカード固有の、つまりICカードを所有するユーザに対して固有に設定される登録情報として、カードID、暗証ナンバ、ユーザ設定情報が登録される登録ユーザ設定テーブルの例を示している。
この登録ユーザ設定テーブルが、例えば不揮発性メモリ14において記憶及び更新される。
この登録ユーザ設定テーブルは、例えば登録ナンバ(#001、#002・・・)毎に登録情報を記憶する。
各登録ナンバについて登録される登録情報(カードID、暗証ナンバ、ユーザ設定情報)は、1つのICカード90に対応する情報となる。例えば登録ナンバ#001として記憶されるカードID、暗証ナンバ、ユーザ設定情報は、或るユーザXが所持するICカード90に対して記憶された登録情報であり、登録ナンバ#002として記憶されるカードID、暗証ナンバ、ユーザ設定情報は、例えばユーザYが所持する別のICカード90に対する登録情報である。
【0032】
このように記憶される登録情報のうち、カードID(ID001、ID002・・・)とは、それぞれ個々のICカード90に記憶されている固有の識別情報のことである。
【0033】
暗証ナンバとは、ICカード90毎にユーザが任意に定めた番号である。図2の暗証ナンバの欄で示している125633、511197、の番号はナビゲーション装置10に登録されている暗証ナンバを表している。
【0034】
ユーザ設定情報D(x)(D01、D02・・・)とは、ユーザ固有の設定情報であり、本例の場合、ナビゲーション装置10の動作モード、動作環境、地図表示等の表示内容等の設定を、ユーザ毎に記憶した情報である。
具体的にはユーザ設定情報とは、例えば、ナビゲーション動作として地図表示を行う際に地図上に表示するアイコン、地図記号の種類などの設定、POI情報、メニュー画面の内容やデザイン、目的地や経路の履歴情報など、ユーザの嗜好や選択、或いは使用履歴に応じて決定される情報である。
即ち或るユーザの使用時に、このようなユーザ設定情報に基づいて設定を行うと、そのユーザにとって好適な表示動作や操作のインターフェースを実現できる設定内容である。
【0035】
なお、この図2の登録ユーザ設定テーブルには、ICカード90について登録処理が行われる毎に、登録情報が追加登録されていく。
例えば図2の状態にある場合に、或るユーザーが新規の(それまで未登録の)ICカード90について登録操作を行うと、CPU11は、そのICカード90に応じて、登録ユーザ設定テーブル上で新たに登録ナンバ#003についてのカードID、暗証ナンバ、ユーザ設定情報としての登録情報を記憶させる処理を行う。この場合、カードIDは、当該登録処理を行うICカード90から読み取った識別情報とする。また暗証ナンバは、登録の際にユーザが入力した任意の番号である。
なおユーザ設定情報としては、登録時にユーザが自分の好みの動作環境や動作モード等を選択することで、その内容を登録しても良いが、登録時には、例えば装置としてのデフォルトの設定状態としてもよい。その場合、その後に当該ICカード90でログイン(ログインについては後述)した状態で使用された際に、動作モード、動作環境、表示内容等について、当該ICカード90を所持するユーザ固有の環境設定を学習し、学習した設定状態を追加登録するようにすればよい。
【0036】
この登録ユーザ設定テーブルが不揮発性メモリ14に記憶されていることで、CPU11は、ユーザがICカード90をICカード読取部16に近接させたときに、読み取ったカードIDに基づいて登録ユーザ設定テーブルを検索し、そのユーザ(ICカード90)に対応するユーザ設定情報D(x)を読み出すことができる。なお、ユーザがICカード90を使用せず、操作入力部2から暗証ナンバを入力した際にも、CPU11は暗証ナンバに基づいて登録ユーザ設定テーブルを検索し、そのユーザに対応するユーザ設定情報D(x)を読み出すことができる。
【0037】
以上の構成のナビゲーション装置10に対して、ユーザが所持するICカード90をICカード読取部16に近接させた場合のCPU11の処理を図3で説明する。
なお基本的には、ナビゲーション装置10に対してユーザがICカード90を使用する場合とは、事前にカードIDを上記のように登録ユーザ設定テーブルに登録させたユーザが、当該ナビゲーション装置10を自分に合った設定状態で使用したい場合である。
【0038】
図3のフローチャートにおけるCPU11の処理としては、ステップF201でICカード90がICカード読取部16に近接されたか否かを判断する。即ちICカード90とICカード読取部16の間で通信状態となったか否かを判断する。
ICカード90とICカード読取部16の間で通信が行われたら、CPU11は処理をステップF202へ進め、ICカード読取部16が通信によりICカード90から読み取ったカードIDを読み込む。
カードIDを読み込んだらCPU11は処理をステップF203へ進め、当該取り込んだカードIDが、上述した登録ユーザ設定テーブルに登録済のカードIDか未登録のカードIDかを判断する。ここで未登録であると判断した場合はCPU11の処理はステップF204へ進み、カードIDの新規登録処理を行う。
【0039】
また、登録済であると判断した場合はCPU11の処理はステップF205へ進み、既にナビゲーション装置10に、或るユーザ(或るICカード90)がログイン済の状態であるか否かを判断する。
ログインとは、或るユーザが、そのユーザ(ユーザが所持するICカード90)に応じたユーザ設定情報による動作設定が行われた状態を言う。
そしてログイン済でない(つまり現在は、誰もログインしていない状態)と判断した場合はステップF206へ進み、CPU11は、今回読み込んだカードIDに応じて登録されているユーザ設定情報による設定処理を行う。つまり、今回ICカード90を使用したユーザがログインした状態とする。
【0040】
一方、ステップF205で、現在或るユーザがログイン済の状態であると判断した場合はCPU11はステップF207へ進み、今回読み込んだカードIDが、現在ログイン済のユーザのカードIDと同じカードIDであるかを判断する。つまり、既にログインしているユーザが再度、ICカード90をICカード読取部16に近接させたのであるか否かを判断する。
【0041】
今回読み込んだカードIDが、現在ログイン済のユーザのカードIDと同じであると判断した場合は、CPU11はステップF208へ進み、現在ログイン済のユーザの登録情報の編集処理を行う。
また今回読み込んだカードIDが、現在ログイン済のユーザのカードIDとは違うと判断した場合は、これまでログインしていたユーザとは異なるユーザ(異なるICカード90)がICカード読取部16に近接された場合であり、この場合はCPU11はステップF209へ進み新たなユーザへの切り替え処理を行う。つまりCPU11は、設定状態を、今回読み込んだカードIDに応じて登録されているユーザ設定情報に基づいた設定状態に切り換える。これによって、これまでログインしていたユーザに代わって、今回ICカード90を使用したユーザがログインした状態とする。
ICカード90が近接されて通信が行われた場合、CPU11はこの図3の処理を行うことになる。
【0042】
以下、上記図3の処理による各場合の動作例を説明する。ここでは各ユーザ(ユーザD、C、B、A)のそれぞれが自分のICカード90を所持し、以下の(1)〜(4)の各状況でICカード90を使用した場合を想定して、動作を説明する。
(1)所持するICカード90が登録ユーザ設定テーブルに登録済のユーザDが、ナビゲーション装置10には誰もログインしていない状況でICカード90を使用した場合。
(2)所持するICカード90が未登録であるユーザCがICカード90を使用した場合。
(3)所持するICカード90が登録済のユーザBが、ナビゲーション装置10にユーザAがログイン済のときにICカード90を使用した場合。
(4)所持するICカード90が登録済のユーザAが、ナビゲーション装置10に自分でログインした後に、再度ICカード90を使用した場合。
【0043】
まず、上記(1)の、所持するICカード90が登録ユーザ設定テーブルに登録済のユーザDが、ナビゲーション装置10には誰もログインしていない状況でICカード90を使用した場合について述べる。
このような状況でユーザDがICカード90をICカード読取部16に近接させた場合、CPU11は、ステップF203で、読み込まれたカードIDは登録ユーザ設定テーブルに登録済みであると判断する。またこの時点で誰もログインしていないことから、CPU11は処理をステップF205からF206に進めることになる。
【0044】
そして、ステップF206では登録されたユーザ設定情報による設定処理を行う。つまりユーザD(ユーザDが所持するICカード90)に対するログイン処理である。
即ちステップF206においては、CPU11は不揮発性メモリ14に記憶されている登録ユーザ設定テーブルから、今回読み込んだカードIDに対応して登録されているユーザD固有のユーザ設定情報を読み出す。そして動作設定、表示設定、モード設定などを当該ユーザ設定情報に応じた設定状態とし、ユーザDにとって快適にナビゲーション装置10を使用できる状態とする。
なお、このとき表示部8には、例えば図5(b)のようなログイン完了(ユーザ認証)の画面を数秒間表示させ、ログインが完了したことをユーザDに告知する。
【0045】
次に、上記(2)のように、所持するICカード90が未登録であるユーザCが、ナビゲーション装置10に対してICカード90を使用した場合について述べる。
ユーザCが所持するICカード90をICカード読取部16に近接させた場合、CPU11は、ステップF203で、読み込まれたカードIDは登録ユーザ設定テーブルに登録されていないと判断する。従ってCPU11は処理をステップF203からF204に進め、各種の登録用画像を表示させながら新規登録処理を行うことになる。
【0046】
図4は、ステップF204における新規登録処理においてCPU11が表示部8に表示させる画像例を示している。
まず図4(a)は、通常にナビゲーション画像20を表示部8に表示させている状態を示している。なお、この図4(a)のようなナビゲーション画像は、他の或るユーザがログインした状態で表示されている場合もあるし、また誰もログインしていない状態で表示されている場合もある。
例えばこのような表示が行われているときに、ユーザCがICカード90を使用し、CPU11の処理がステップF204に進んだとする。
この場合、CPU11は、新規登録処理として、まず最初に表示部8に図4(b)のような登録用画像のひとつとして登録確認画像21を表示させる。
【0047】
この新規ユーザの登録確認画像21において、ユーザ操作としてNoボタン28が選択実行されると、CPU11は読み込んだカードIDを登録しないことをユーザが選択したと判断する。その場合は、新規ユーザの登録確認画像21の表示を終了し、新規登録処理を終了する。
一方、図4(b)の登録確認画像21に対して、ユーザ操作としてYesボタン27が選択実行されると、CPU11は読み込んだカードIDを登録することをユーザが求めたと判断する。そして、新規ユーザの登録確認画像21の表示を終了し、登録用画像のひとつとして図4(c)のようなパスワード設定画像22を表示部8に表示する処理を行う。
【0048】
CPU11は、図4(c)のパスワード設定画像22に対するユーザ入力に応じて、登録する暗証ナンバを決定する。ユーザは、このパスワード設定画像22にある数字ボタンを操作して任意のパスワードを、入力スペース41及び入力確認スペース42に入力していく。そして入力を行ったらOKボタン29を選択実行する。
CPU11は、このようなユーザ入力に応じて、入力スペース41及び入力確認スペース42への数値表示や、OKボタン29による入力確定を判断する。そして、OKボタン29が選択実行されることに応じて、暗証ナンバを確定させる。
暗証ナンバが確定されたら、CPU11は、今回読み込んだカードIDと、確定された暗証ナンバと、ユーザ設定情報を1組の登録情報として、不揮発性メモリ14に保存している登録ユーザ設定テーブルに追加登録する処理を行う。なお、上述したようにユーザ設定情報は、この時点ではデフォルトの設定情報とし、後にこのユーザCがログインしてナビゲーション装置10を使用しているときに学習した設定情報を追加していくようにすれば良い。或いは図4(c)のパスワード設定画像22の表示に続いて、例えばユーザに、好ましい表示設定、趣味嗜好、動作環境設定などの選択を求める表示を実行し、その表示に対する入力に応じてユーザ設定情報を生成して登録しても良い。
【0049】
このようにユーザC(ユーザCが所持するICカード90)について登録処理を完了したら、CPU11は、図4(d)のようなユーザ登録完了画像23を例えば数秒間、表示部8に表示する処理を行う。
なお、例えば図4(c)のパスワード設定画像22のように、新規登録のための入力画面においてキャンセルボタン30が選択実行された場合には、CPU11はユーザが登録処理をキャンセルしたものとして、未登録のまま、新規登録処理を終了する。
【0050】
なお、図4に示したような画面上の各ボタンの操作は、操作入力部2の各種のキーやジョグダイヤル、スティック、タッチパネル、キーボード、マウスなどを用いて行うことができるようにしてあればよい。後述する図5、図6に示した画面上の各ボタンも同様である。
【0051】
次に、上記(3)のように、所持するICカード90が登録済のユーザBが、ナビゲーション装置10にユーザAがログイン済のときにICカード90を使用した場合について述べる。
このような状況でユーザBがICカード90をICカード読取部16に近接させた場合、CPU11は、ステップF203で、読み込まれたカードIDは登録ユーザ設定テーブルに登録済みであると判断する。またこの時点でユーザAがログインしていたことから、CPU11は処理をステップF205からF207に進める。さらに今回読み込まれたカードIDは、ユーザBのICカード90のカードIDであって、ログインしているユーザAのICカード90のカードIDとは異なるため、CPU11は、処理をステップF209に進めることになる。
【0052】
そして、ステップF209では登録されたユーザ設定情報による設定処理を行う。つまりこの場合は、ユーザB(ユーザBが所持するICカード90)に対するログイン処理であり、これはログイン中のユーザをユーザAからユーザBに切り換える処理である。
即ちステップF209においては、CPU11は不揮発性メモリ14に記憶されている登録ユーザ設定テーブルから、今回読み込んだカードIDに対応して登録されているユーザB固有のユーザ設定情報を読み出す。そして動作設定、表示設定、モード設定などを、現在のユーザAについての設定状態から、今回のユーザBのユーザ設定情報に応じた設定状態とし、ユーザBにとって快適にナビゲーション装置10を使用できる状態とする。
【0053】
例えば図5(a)の画像は、ユーザAがログインして使用している状態でナビゲーション画像20が表示部8に表示されている状態であるとする。
このユーザAがログイン済の状態のときに、ユーザBがICカード90をICカード読取部16に近接させた場合、CPU11はユーザAがログイン済のナビゲーション画像20の表示を終了させ、上記のようにユーザBのユーザ設定情報による設定変更を行う。この場合、CPU11は表示部8に、例えば図5(b)のようなログイン完了(ユーザ認証)の画面であるユーザ認証完了画像24を数秒間表示させ、ログインが完了したこと(この場合はログインユーザが切り換えられたこと)をユーザBに告知する。
その後、例えば図5(a)のようなナビゲーション画像20を表示させるのであるが、その場合は、ユーザBにあわせた表示状態、表示内容としてナビゲーション画像が表示されることになる。例えば、表示する地図記号、アイコン、操作ガイドなどがユーザBにあわせたものとなる。
【0054】
次に上記(4)の、所持するICカード90が登録済のユーザAが、ナビゲーション装置10に自分でログインした後に、再度ICカード90を使用した場合について述べる。
ユーザAが既に一旦ログインした後に、再度ICカード90をICカード読取部16に近接させた場合、読み込まれたカードIDは登録ユーザ設定テーブルに登録済みであり、またこの時点でユーザAがログインしていたことから、CPU11は処理をステップF203→F205→F207と進めることになる。そして今回読み込まれたカードIDは、ログインしているユーザAのICカード90のカードIDと同一であるため、CPU11は、処理をステップF208に進めることになる。
ステップF208では、CPU11は、ログインユーザが再度ICカード90をICカード読取部16に近づけたのは、登録内容の編集を求めていると判断し、各種の編集用画像を表示させながら登録情報の編集処理を行う。
【0055】
図6は、ステップF208における編集処理においてCPU11が表示部8に表示させる画像例を示している。
まず図6(a)の画像は、ユーザAがログインして使用している状態でナビゲーション画像20が表示部8に表示されている状態であるとする。
例えばこのような表示が行われているときに、ユーザAがICカード90を使用し、CPU11の処理がステップF208に進んだとする。
登録情報の編集の例として暗証ナンバの変更を行うことができるものとすると、CPU11は編集処理として、表示部8に図6(b)のような編集用画像のひとつとしてパスワード設定画像22を表示させる。
【0056】
CPU11は、図6(b)のパスワード設定画像22に対するユーザ入力に応じて、暗証ナンバの編集(更新)を行う。ユーザは、このパスワード設定画像22にある数字ボタンを操作して任意のパスワードを、入力スペース41及び入力確認スペース42に入力していく。そして入力を行ったらOKボタン29を選択実行する。
CPU11は、このようなユーザ入力に応じて、入力スペース41及び入力確認スペース42への数値表示や、OKボタン29による入力確定を判断する。そして、OKボタン29が選択実行されることに応じて、新たな暗証ナンバを確定させる。
新たな暗証ナンバが確定されたら、CPU11は、今回読み込んだカードIDに対応して登録ユーザ設定テーブルに記憶されている暗証ナンバを更新する。
このように編集処理を完了したら、CPU11は、図6(c)のような登録内容の編集完了画像25を例えば数秒間、表示部8に表示する処理を行う。
なお、例えば図6(b)のパスワード設定画像22のように、編集のための入力画面においてキャンセルボタン30が選択実行された場合には、CPU11はユーザが編集処理をキャンセルしたものとして、登録内容を更新しないまま、編集処理を終了する。
【0057】
なお、ここでは暗証ナンバの編集処理を例に挙げたが、当然、ユーザ設定情報の内容を変更する編集処理を行うようにしても良い。即ちユーザ設定情報の内容変更のための入力画像を表示させて、ユーザの入力に応じて登録ユーザ設定テーブルのユーザ設定情報を更新できるようにすればよい。
【0058】
以上のように本例のナビゲーション装置10では、ICカード90がICカード読取部16に近接され、ICカード90からカードIDが読み取られた際には、CPU11は、その登録状況や、その時点のログイン状況に応じた処理を行う。具体的には、未登録のカードIDが読み込まれた場合は、ステップF204で新規登録について処理を行う。また、ログイン中のユーザが再度同じICカード90を近接させ、ログイン済のカードIDと同じカードIDが読み込まれた場合は、登録内容の編集についての処理を行う。
このため、ユーザはわざわざ新規登録や編集のための画面を導くために面倒或いは困難な操作を行う必要はなく、また状況に応じて表示されるため、登録状況を意識しないユーザにとっても好適な動作が行われることとなる。
【0059】
続いて本発明の第2の実施の形態としてのオーディオ再生装置100について説明する。
図7はオーディオ再生装置100の構成を示している。このオーディオ再生装置100は、自動車のフロントコンソールなどに取り付けられる車載用のオーディオ再生装置を例にしている。
【0060】
このオーディオ再生装置100は、例えばCDやミニディスクなどのオーディオディスクの再生機能やラジオチューナー機能などを備え、自動車内に配置されたスピーカから音楽等の再生音声を出力させる装置である。
【0061】
図7のオーディオ再生装置100において、CPU110は、動作プログラムや操作入力に応じてオーディオ再生動作制御を行うことに加えて、ICカード90に対応するログイン処理、ユーザの新規登録、或いは登録情報の編集などの各種処理を行う。
メモリ部111は、CPU110において実行されるプログラムコードを格納したり、実行中の作業データを一時保管する為に使用される。この図の場合、メモリ部111としては、揮発性メモリ、不揮発性メモリの双方を含むものとして示している。例えばプログラムを格納するROM、演算ワーク領域や各種一時記憶の為のRAM、EEP−ROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)等の不揮発性メモリを含む。
また、メモリ部111に含まれる不揮発性メモリは、図2で示した登録ユーザ設定テーブルの格納にも用いられる。
【0062】
操作部112は、オーディオ再生装置100のフロントパネルに配置される各種操作キーやダイヤル等の操作子を備える。ユーザは操作部112により、例えばオーディオモード(ソース切替)操作、ボリューム(音量)操作、音質操作、ディスク再生操作、早送り/早戻し操作、頭出し操作、ラジオ放送等の選局操作が可能とされる。
表示部113は、例えば液晶パネルによる表示部とされ、オーディオ再生装置100のフロントパネルに設けられる。この表示部113では、CPU110の制御に基づいて、オーディオモード表示、再生や早送りなどの動作を示す表示、スペクトルアナライザ表示、音量レベル表示、再生している曲等のトラックナンバや受信している放送局の表示、ユーザ固有の情報を登録又は編集する画像の表示、などが行われる。
【0063】
再生出力するオーディオ信号のソースとして、ディスク再生部115、チューナー部116、外部入力部117を示している。セレクタ118はこれらオーディオ信号のソースを選択する回路である。
なお、オーディオ信号のソースとして、これ以外に楽曲等を記憶させたHDDや、メモリカードからオーディオ信号を再生するメモリカードリーダなどが設けられても良い。
【0064】
ディスク再生部115は、例えばCD/DVD等の光ディスクに対する再生装置部、もしくはミニディスク等の光ディスク/光磁気ディスクに対する再生装置部とされる。
ユーザが操作部112からディスク再生に関する操作を行うことで、CPU110はディスク再生部115に再生動作を開始させたり、操作に応じた動作(頭出しサーチ等)を実行させる。ディスク再生部115で再生が行われるときはCPU110はセレクタ118がディスク再生部115を選択するように制御する。そしてディスク再生部115でディスクから再生されたオーディオ信号は、デジタルデータのままセレクタ118を介してDSP(Digital Signal Processor)114に供給される。
【0065】
チューナ部116は、ラジオ放送等の放送受信器であり、放送波の受信/復調を行う。チューナ部116で放送受信を行うときはCPU110はセレクタ118がチューナ部116を選択するように制御する。そしてチューナ部116で復調されたオーディオ信号はデジタルデータに変更されて、セレクタ118を介してDSP114に供給される。
【0066】
外部入力部117は、例えばチェンジャーシステム、ナビゲーション装置など、同じく自動車内に搭載された外部の機器からのオーディオ信号を入力する回路部である。
ユーザ操作によりソースとして外部入力部117が指定された場合、CPU110はセレクタ118が外部入力部117を選択するように制御する。そして外部入力部117により外部機器から入力されたオーディオ信号(デジタルデータ)は、セレクタ118を介してDSP114に供給される。
【0067】
DSP114は、出力するオーディオ信号に対して各種の信号処理を行う。例えばイコライジング/リバーブ等の音響効果処理、音量調整処理、タイムアライメント処理、チャンネルデバイド処理、スピーカバランス調整処理などを行う。
音量調整処理、音響効果処理、スピーカバランス調整処理などは、操作部112からのユーザ操作に基づいて行う。
【0068】
DSP114では、以上のような各種の音声信号処理を行って、例えば4チャンネルスピーカから出力する4チャンネルのオーディオ信号を出力する。
各チャンネルのオーディオ信号は、D/A変換器119a,119b,119c,119dにおいてアナログ信号に変換された後、それぞれアンプ部120a,120b,120c,120dで増幅され、スピーカ121a,121b,121c,121dから音声として出力される。スピーカ121a,121b,121c,121dは、例えばフロント右スピーカ、フロント左スピーカ、リア右スピーカ、リア左スピーカとして車内に配置されている。
なお、DSP114で行われるスピーカバランス調整処理とは、例えばフロント側スピーカとリア側スピーカでの音量バランスや、左側のスピーカと右側のスピーカでの音量バランスなどの可変設定処理である。
ユーザは、フロント側スピーカとリア側スピーカとの音量バランス等を操作により任意に設定できる。
【0069】
ICカード読取部122は、ICカード90に記憶されている固有の識別情報を読取る情報読取り装置である。
このICカード読取部122は、上述したナビゲーション装置10のICカード読取部16と同様、ICカード90が近接されることに応じてICカード90との間で通信を行い、ICカード90に内蔵されているICチップから識別情報を読取ることになる。そして、読取った識別情報をCPU110に供給する。
ICカード90は、例えば当該オーディオ再生装置100を使用するユーザが所持する非接触型通信機器である。この場合、ICカード90に記憶された識別情報は、オーディオ再生装置100にとっては個々のユーザを識別する情報となる。
このICカード読取部16は、オーディオ再生装置本体とは別体として形成され、有線又は無線で通信されるものでもよいし、またはオーディオ再生装置本体内に設けられてもよい。
【0070】
以上の構成のオーディオ再生装置100において、ユーザがICカードを使用したときのCPU110の処理については、上述した図3と同様となる。
従ってCPU110は、ユーザが誰もオーディオ再生装置100にログイン済でないときに、既に登録ユーザ設定テーブルに登録済のカードIDを認識すると、そのカードIDとともに登録されているユーザ設定情報に基づく設定状態とする。つまりログイン処理を行う。
また、CPU110は、登録ユーザ設定テーブルに未登録のカードIDを認識すると、そのカードIDについての新規登録処理を行う。
さらに、CPU110は、或るカードIDで既にログイン済の状態のときに、登録済の別のカードIDを認識すると、そのカードIDでログインする処理、つまりログインユーザの切替処理を行う。
また、CPU110は、或るカードIDでログイン済の状態で、そのカードIDを再び認識したら、当該カードIDについての登録情報の編集処理を行う。
【0071】
つまり当該オーディオ再生装置100においても、ICカード90がICカード読取部122に近接され、ICカード90からカードIDが読み取られた際には、CPU110は、その登録状況や、その時点のログイン状況に応じた処理を行う。具体的には、未登録のカードIDが読み込まれた場合は、ステップF204で新規登録について処理を行う。また、ログイン中のユーザが再度同じICカード90を近接させ、ログイン済のカードIDと同じカードIDが読み込まれた場合は、登録内容の編集についての処理を行う。
このため、ユーザはわざわざ新規登録や編集のための画面を導くために面倒或いは困難な操作を行う必要はなく、また状況に応じて表示されるため、登録状況を意識しないユーザにとっても好適な動作が行われることとなる。
【0072】
なお、このようなオーディオ再生装置100の場合、ユーザ設定情報としては、最初にセレクタ118で選択するオーディオソースの設定、初期(ユーザが手動で音量操作を行う前)の音量値、イコライジング、リバーブなどの音響設定、スピーカバランス設定などが考えられる。このように個々のユーザが通常使用する音響設定をユーザ設定情報とした場合、オーディオ再生装置100は、或るユーザがICカード90を用いてログインしたときに、読み込んだカードIDに基づいてユーザ設定情報としての音響設定を判別し、その音響設定で再生動作を実行する。
つまり個々のユーザは、それぞれ自分のICカード90を用いてログインを行うのみで、そのユーザにとって快適な音響再生状態でオーディオ再生を楽しむことができる。
【0073】
なお、上述してきた第1、第2の実施の形態では、装置内部の不揮発性メモリ(図1の不揮発性メモリ14、図7のメモリ部111内の不揮発性メモリ)に登録ユーザ設定テーブルが記憶されているものとしたが、この不揮発性メモリに代えて、装置がアクセス可能なHDDやメモリカード等に登録ユーザ設定テーブルを記憶させても良い。
また装置外部の情報サーバに登録ユーザ設定テーブルを保存してもよい。例えば上記のナビゲーション装置10やオーディオ再生装置100においてインターネット等のネットワークで外部情報サーバと通信できるようにする。そして、ICカード90によってログインが行われる際に、ナビゲーション装置10等は、読み込んだカードIDに基づいて、外部情報サーバにユーザ設定情報を要求する。これによって外部情報サーバからユーザ設定情報を取得し、カードIDに応じた設定を行うことができる。
このように、外部に登録ユーザ設定テーブルを記憶したサーバなどを設置し、ネットワークを介してアクセスできるようにすることで、さらに多様な利用形態が可能となる。例えばレンタカーなどの不特定多数のユーザが使用する車載用ナビゲーション装置などにおいて、車を借りたユーザがICカード90を使ってログインすると、そのナビゲーション装置は、ユーザ設定情報を外部サーバから取り込み、ユーザ固有の環境でナビゲーション動作を実行するようにもできる。
そして、そのような環境においても、新規ユーザ(新規のカードID)の登録や、登録情報の編集を行う場合などに、ナビゲーション装置等が上記の処理を行うことで、ユーザによって利便性の高いものとできる。
【0074】
本発明の電子機器は上述した実施の形態のナビゲーション装置10やオーディオ再生装置100の例に限らず、多様な例が考えられる。例えばビデオ機器、携帯電話機、家電機器などにも本発明を適用できる。
さらに、ナビゲーション装置10やオーディオ再生装置100の構成も上述した2つの装置の例に限らず多様に考えられる。また、ナビゲーション装置10とオーディオ再生装置100の複合機器等も想定される。
【0075】
また実施の形態では、登録ユーザ設定テーブルに登録する登録情報として暗証ナンバを含む例を、登録ユーザ設定テーブルには、少なくともカードIDに対応してユーザ設定情報が登録されればよく、暗証ナンバは不要としてもよい。
この場合、未登録のICカード90が使用され、それに応じて新規登録の処理を行う場合に、上記例のようにユーザに暗証ナンバ入力を求める必要もないことになる。
【0076】
また、ICカード90によって電子機器に新規登録や編集の処理を求めることができる本発明では、これらの要求操作のための余分な操作子を設けることが不要とできることにもなり、例えば操作子配置の余裕が少ない小型携帯用の電子機器、例えば携帯オーディオプレーヤや携帯ナビゲーション装置、携帯ゲーム機などにおいても本発明は好適である。例えば、携帯オーディオプレーヤや携帯ナビゲーション装置、携帯ゲーム機などが想定される。
また実施の形態では非接触型通信機器の例としてICカードを挙げているが、例えば同様に識別情報を記憶して非接触通信を行うICチップを内蔵している機器は他に多様に想定される。例えばICチップを内蔵した携帯電話器その他の機器を、本発明でいう非接触型通信機器と考え、上記実施の形態の場合でのICカードと同様に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の第1の実施の形態のナビゲーション装置のブロック図である。
【図2】本実施の形態の登録ユーザ設定テーブルの説明図である。
【図3】本実施の形態の処理のフローチャートである。
【図4】第1の実施の形態の新規登録処理画像の説明図である。
【図5】第1の実施の形態のユーザ切替処理画像の説明図である。
【図6】第1の実施の形態の登録情報の編集処理画像の説明図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態のオーディオ再生装置のブロック図である。
【図8】従来例の処理のフローチャートである。
【図9】従来例のエラー処理画像の説明図である。
【図10】従来例の編集画像の説明図である。
【符号の説明】
【0078】
1 演算処理部、2 操作入力部、3 映像信号処理部、4 位置検出部、5 センサ部、6 ディスクドライブ、7 音声合成/再生処理部、8 表示部、9 スピーカ部、10 ナビゲーション装置、11 CPU、12 ROM、13 RAM、14 不揮発性メモリ、15 インターフェース部、16 ICカード読取部、17 通信部、18 ディスク、90 ICカード、100 オーディオ再生装置、110 CPU、111 メモリ、112 操作部、113 表示部、114 DSP、115 ディスク再生部、116 チューナ部、117 外部入力部、118 セレクタ、122 ICカード読取部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固有の識別情報を記憶した非接触型通信機器から情報を読取る読取部と、
上記読取部が読取った識別情報が、登録済の識別情報であるか未登録の識別情報であるかを判別し、登録済の識別情報であった場合は、その識別情報に対応するユーザ設定情報を取得して該ユーザ設定情報に基づく設定処理を行い、未登録の識別情報であった場合は、その識別情報についての登録の為の処理を行う制御部と、
を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
上記制御部は、或るユーザ設定情報に基づく設定状態で動作している状態で、上記読取部が、上記ユーザ設定情報に対応する識別情報と同じ識別情報を読取った場合、その識別情報に対応する登録情報の編集の為の処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
表示部を更に備え、
上記制御部は、上記登録の為の処理として、上記表示部に登録用画像を表示させることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
表示部を更に備え、
上記制御部は、上記登録情報の編集の為の処理として、上記表示部に編集用画像を表示させることを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項5】
上記非接触型通信機器とは非接触通信回路を有するICチップを内蔵したICカードであることを特徴とした請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
上記電子機器はナビゲーション装置であることを特徴とした請求項1に記載の電子機器。
【請求項7】
上記電子機器はオーディオ再生装置であることを特徴とした請求項1に記載の電子機器。
【請求項8】
固有の識別情報を記憶した非接触型通信機器に登録されている情報を読取る読取部を有する電子機器の動作制御方法として、
上記読取部で読み取られた識別情報が登録済の識別情報か未登録の識別情報かを判別するステップと、
登録済の識別情報であった場合、その識別情報に対応するユーザ設定情報を取得して該ユーザ設定情報に基づく設定処理を行うステップと、
未登録の識別情報であった場合は、その識別情報についての登録の為の処理を行うステップと、
を備えることを特徴とする電子機器の動作制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−52408(P2008−52408A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−226369(P2006−226369)
【出願日】平成18年8月23日(2006.8.23)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】