説明

電子機器および音声通信機器

【課題】限られたスペースにおいて、操作性や外観を損ねることなく化学電池の消費量を低減すること。
【解決手段】携帯型電話機100が備える操作ボタン103を、外光が入射されるレンズによって構成し、レンズの焦点位置またはその周辺に設けられて、レンズに入射された外光を電気に変換するソーラーセル301によって変換された電気によって、携帯型電話機100が備える各部を駆動するようにした。これにより、ソーラーセル301に外光を確実に入射させ、ソーラーセル301で効率よく発電することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子機器および音声通信機器に関し、特に入力操作を受け付ける操作ボタンを備える電子機器および音声通信機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、資源を有効に利用し、地球環境の改善を図ることを目的として、光起電力効果を利用して太陽光の光エネルギーを電気に変換する発電用の光電変換素子(以下、「太陽電池」という)の活用が望まれており、従来より、太陽電池が発電した電気を利用する電子機器に関する様々な技術がある。従来では、たとえば、カメラ装置などの電子機器の外表面に太陽電池を設けた技術がある(たとえば、下記特許文献1,2参照。)。
【0003】
太陽電池における発電量は、太陽電池に入射する光量に左右される。乾電池や充電池などの化学電池の電気によって駆動される電子機器は、太陽電池が発電した電気を併用することによって化学電池の消費量を抑える効果が期待できるが、その効果は太陽電池の発電量に左右される。このため、従来より、太陽電池における発電効率を向上させるための様々な技術が存在する。たとえば、集光性を有するフレネルレンズや凸レンズによって集光した光を太陽電池に入射させるようにした技術がある(たとえば、下記特許文献3,4参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開平9−244119号公報
【特許文献2】特開平7−181577号公報
【特許文献3】特開2001−99048号公報
【特許文献4】特開2003−46109号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の技術のうち、特許文献1,2に記載された技術では、太陽電池を搭載する電子機器が、たとえば、携帯型電話機のように小型の電子機器である場合には、当該電子機器に大型の太陽電池を設けることは困難であり、化学電池の消費量を抑える効果が十分に発揮できないという問題点があった。
【0006】
また、特許文献1,2に記載された技術では、電子機器の外表面に太陽電池を設けるため、そのためのスペースを確保する必要があるだけでなく、太陽電池を外表面に設けることによって電子機器の外観が損なわれたり、電子機器を操作しづらくなったりするという問題があった。同様に、上述した従来技術のうち、特許文献3,4に記載された技術では、たとえば、フレネルレンズや凸レンズなどの光学部材を別途設けることで、装置の外観が損なわれる懸念があるという問題があった。
【0007】
また、特許文献3,4に記載された技術では、フレネルレンズや凸レンズなどの光学部材を別途設けるため、太陽電池が発電した電気を利用するための装置が大型化したり、総重量が増加したり、さらには、製造コストが増加したりするという問題があった。
【0008】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、限られたスペースにおいて、操作性や外観を損ねることなく太陽電池による発電を効率的におこない、化学電池の電力消費量を低減することができる電子機器および音声通信機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明にかかる電子機器は、入力操作を受け付ける操作ボタンを備える電子機器であって、前記操作ボタンを構成し、外光が入射されるレンズと、前記レンズの焦点位置に設けられて、前記レンズに入射された外光を電気に変換する発電用の光電変換素子と、前記発電用の光電変換素子によって変換された電気によって駆動される駆動手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
電子機器において、たとえば、乾電池などの一次電池を使用する場合には一次電池の残量が不足すると電池を交換する作業が発生し、充電式の二次電池を使用する場合には二次電池の残量が不足すると充電する作業が発生する。また、一次電池や二次電池などの化学電池は、化学反応を利用して電気を生成することから、使用にともなって性能が劣化し、ある程度性能が劣化した場合には廃棄することになる。このため、化学電池を使用することは、有限物質の消費につながる。
【0011】
この発明によれば、レンズを用いることで発電用の光電変換素子に外光を確実に入射させ、発電用の光電変換素子における光電変換(以下、「発電」という)を効率よくおこなうことができるので、限られたスペースにおいて、操作性や外観を損ねることなく太陽電池による発電を効率的におこない、化学電池の電力消費量を低減することができる。これによって、化学電池における電力の残量不足による電池交換や充電などの作業頻度が低減し、利用者の作業負担を軽減することができる。
【0012】
また、この発明にかかる電子機器における前記レンズは、凹レンズであることを特徴とする。
【0013】
発電用の光電変換素子においては、光が入射した部分で発電がおこなわれる。このため、発電用の光電変換素子は、光が入射する面積を広くすると、発電能力が向上する。
【0014】
この発明によれば、発電用の光電変換素子に光が入射する面積をレンズにおける外光の入射面積よりも広くすることで、発電用の光電変換素子の発電能力を向上させることができるので、限られたスペースにおいて、操作性や外観を損ねることなく太陽電池による発電を効率的におこない、化学電池の電力消費量を一層低減することができる。これによって、化学電池における電力の残量不足による電池交換や充電などの作業頻度が低減し、利用者の作業負担を一層軽減することができる。
【0015】
また、この発明にかかる電子機器における前記レンズは、凸レンズであることを特徴とする。
【0016】
発電用の光電変換素子を損壊させない範囲内であれば、発電用の光電変換素子に入射する外光の強度が高い方が、発電能力が向上する傾向にある。
【0017】
この発明によれば、レンズに入射した時点の外光の強度よりも強度の高い光を発電用の光電変換素子に入射させることで、発電用の光電変換素子の発電能力を向上させることができるので、限られたスペースにおいて、操作性や外観を損ねることなく太陽電池による発電を効率的におこない、化学電池の電力消費量を一層低減することができる。これによって、化学電池における電力の残量不足による電池交換や充電などの作業頻度が低減し、利用者の作業負担を一層軽減することができる。
【0018】
また、この発明にかかる電子機器における前記操作ボタンは複数設けられており、前記レンズは、複数の前記操作ボタンのうちの少なくとも2つ以上のボタンを構成し、前記操作ボタンごとに凹レンズまたは凸レンズのいずれかであって、前記操作ボタン全体の中に前記凹レンズと前記凸レンズとが混在していることを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、凹レンズによって発電用の光電変換素子の発電面積をレンズにおける光の入射面積よりも広くして発電用の光電変換素子の発電能力を向上させるとともに、凸レンズによって外光の強度よりも強度の高い光を発電用の光電変換素子に入射させて発電用の光電変換素子の発電能力を向上させることができるので、外光の強度の高低に起因する発電用の光電変換素子の発電能力の低下を緩和し、化学電池の電力消費量の低減効果の実効性を高めることができる。
【0020】
また、この発明にかかる電子機器における前記駆動手段は、所定の情報を表示するディスプレイを備える表示手段であることを特徴とする。
【0021】
電子機器では、ディスプレイの画素数が多いほど、当該ディスプレイに表示する情報を高精細化することができるが、その一方で各画素を駆動するために消費する電力が増加する。
【0022】
この発明によれば、発電用の光電変換素子が発電した電気を用いてディスプレイに情報を表示することができるので、ディスプレイに表示する情報を高精細化した場合にも、限られたスペースにおいて、操作性や外観を損ねることなく太陽電池による発電を効率的におこない、化学電池の電力消費量を低減することができる。これによって、利用者に対して高精細な情報を表示するとともに、化学電池における電力の残量不足による電池交換や充電などの作業頻度が低減し、利用者の作業負担を軽減することができる。
【0023】
また、この発明にかかる電子機器は、前記ディスプレイよりも装置内側に設けられて、前記ディスプレイを介して入射された外光を電気に変換する補助発電用の光電変換素子をさらに備え、前記ディスプレイは、光学的に透明な材料によって構成されており、前記駆動手段は、前記補助発電用の光電変換素子によって変換された電気によって駆動されることを特徴とする。
【0024】
この発明によれば、ディスプレイを介して入射した外光を用いて補助発電用の光電変換素子で発電した電気によって駆動手段を駆動することで、限られたスペースにおいて、操作性や外観を損ねることなく太陽電池による発電を効率的におこない、化学電池の電力消費量を一層低減することができる。これによって、化学電池における電力の残量不足による電池交換や充電などの作業頻度が低減し、利用者の作業負担を一層軽減することができる。
【0025】
また、この発明にかかる電子機器は、外部装置との間で電波を送受信するアンテナを備え、前記駆動手段は、前記アンテナを用いて外部装置と無線通信をおこなう通信手段であることを特徴とする。
【0026】
この発明によれば、通信可能な電子機器を可搬化するとともに、限られたスペースにおいて、操作性や外観を損ねることなく太陽電池による発電を効率的におこない、化学電池の電力消費量を低減することができるので、電子機器の利便性の向上を図ることができる。
【0027】
また、この発明にかかる電子機器は、音声情報に基づく音声を出力するスピーカと、装置外部の音声を入力するマイクと、を備え、前記通信手段は、前記マイクによって入力された音声に基づく音声信号および前記アンテナを介して受信された電波に基づく音声信号を、前記アンテナを用いて送受信することを特徴とする。
【0028】
この発明によれば、たとえば携帯型電話機を用いた通話のように、煩雑な入力操作をともなうことなく、利用者が必要な情報を送受信することができるので、電子機器の利便性の向上を図ることができる。
【0029】
また、この発明にかかる電子機器における前記駆動手段は、前記発電用の光電変換素子によって変換された電気を蓄電する蓄電装置であることを特徴とする。
【0030】
この発明によれば、発電用の光電変換素子が発電した電気を必要時に使用することで、発電した電気を有効に利用することができるので、化学電池の電力消費量を一層低減することができる。これによって、化学電池における電力の残量不足による電池交換や充電などの作業頻度が低減し、利用者の作業負担を一層軽減することができる。
【0031】
また、この発明にかかる音声通信機器は、外部装置から受信した音声情報に基づく音声を出力するスピーカおよび装置外部の音声を入力するマイクを備え、操作ボタンを介して受け付けた入力操作に応じて無線通信を利用した音声情報の送受信をおこなう携帯型の音声通信機器において、前記操作ボタンを構成し、外光を集光するレンズと、前記レンズの焦点位置に設けられて、前記レンズによって集光された外光を電気に変換する発電用の光電変換素子と、前記発電用の光電変換素子によって変換された電気によって駆動される駆動手段と、を備え、前記マイクおよび前記スピーカは、前記操作ボタンの配置面の裏面側に設けられていることを特徴とする。
【0032】
この発明によれば、通話中であるか否かにかかわらず発電用の光電変換素子に外光を確実に入射させて発電を効率よくおこなうことができるので、通話に支障を来たすことなく化学電池の電力消費量を低減することができる。これによって、化学電池の残量不足による電池交換や充電などの作業頻度が低減し、利用者の作業負担を軽減することができる。
【0033】
また、この発明にかかる音声通信機器は、入射された外光の強度に応じた電気信号を生成する撮像用の光電変換素子と、被写体から反射された外光を前記撮像用の光電変換素子に入射させる撮影用レンズと、前記撮影用レンズに入射された外光を前記発電用の光電変換素子または前記撮像用の光電変換素子に入射させるように光路を切り替える光路切替機構と、を備えることを特徴とする。
【0034】
この発明によれば、撮像用の光電変換素子の不使用時(以下、「非撮像時」という)に撮影用レンズに入射された外光を発電用の光電変換素子に入射させるように光路を切り替えることで、発電時には発電用の光電変換素子に外光を確実に入射させて発電を効率よくおこなうことができるので、撮像に支障を来たすことなく化学電池の電力消費量を一層低減することができる。これによって、化学電池における電力の残量不足による電池交換や充電などの作業頻度が低減し、利用者の作業負担を軽減することができる。
【0035】
また、この発明にかかる音声通信機器における前記撮影用レンズは、前記マイクおよび前記スピーカの配置面の裏面側に設けられていることを特徴とする。
【0036】
この発明によれば、非撮像時には発電用の光電変換素子に外光を入射させることで、発電を効率よくおこなうことができるので、撮像に支障を来たすことなく化学電池の電力消費量を一層低減することができる。これによって、化学電池における電力の残量不足による電池交換や充電などの作業頻度が低減し、利用者の作業負担を軽減することができる。
【発明の効果】
【0037】
この発明にかかる電子機器および音声通信機器によれば、限られたスペースにおいて、操作性や外観を損ねることなく太陽電池による発電を効率的におこない、化学電池の電力消費量を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下に、添付図面を参照して、この発明にかかる電子機器および音声通信機器の好適な実施の形態を詳細に説明する。この実施の形態は、この発明にかかる電子機器および音声通信機器を実現する携帯型電話機への適用例を示す。
【0039】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1の携帯型電話機を示す正面図である。図1に示したように、携帯型電話機100は、本体ハウジング101の正面側に設けられたディスプレイとしてのメインディスプレイ102、および複数の操作ボタン103を備えている。本体ハウジング101は、第1のハウジング104および第2のハウジング105を備えている。
【0040】
第1のハウジング104には、音声を出力するスピーカ106が設けられている。第2のハウジング105には、たとえば、利用者の声など、装置外部の音声を入力するマイク107が設けられている。メインディスプレイ102は第1のハウジング104に設けられており、複数の操作ボタン103は第2のハウジング105に設けられている。
【0041】
メインディスプレイ102は、たとえば、液晶材料を用いて構成されている。図示を省略するが、液晶材料を用いて構成されるメインディスプレイ102は、対向電極側基板モジュールとTFT(Thin Film Transistor)側基板モジュールとの間に液晶を封入した液晶パネルを備えている。
【0042】
対向電極側基板モジュールは、ガラス基板上に設けられた偏光板,カラーフィルタ,透明導電膜,および配向膜を備えている。TFT側基板モジュールは、ガラス基板上に設けられた偏光板,透明導電膜,および配向膜を備えている。TFT側基板モジュールが備える透明導電膜は、メインディスプレイ102の表示画素数分設けられており、それぞれに駆動トランジスタが設けられている。
【0043】
液晶パネルの最背面(本体ハウジングの内側となる面)には、バックライトが設けられている。バックライトは、たとえば、自身が発光する板状部材であってもよいし、導光板のように光源が発光した光を伝播させることで面状に発光する部材であってもよい。
【0044】
メインディスプレイ102は、光学的に透明な材料によって構成されており、メインディスプレイ102に対して、本体ハウジング101の外部から入射する光(以下、「外光」という)を、第1のハウジング104内に透過させる。実施の形態1では、メインディスプレイ102が備えるバックライトは、メインディスプレイ102を構成する液晶パネルに積層されて光学的に透明な導光板、および、当該導光板に光を入射する光源によって構成されている。
【0045】
操作ボタン103は、第2のハウジング105に設けられた開口部(図3を参照)に嵌め込まれており、第2のハウジング105内に埋没する方向へ変位可能に設けられている。操作ボタン103は、図示しない付勢部材によって第2のハウジング105の外方へ付勢されており、利用者の操作に応じて埋没する方向に変位した場合には、埋没する方向への付勢力が解除されると付勢部材から受ける付勢力によって元の位置に復帰する。
【0046】
図2は、実施の形態1の携帯型電話機100を示す背面図である。図2に示したように、携帯型電話機100は、本体ハウジング101の背面側に設けられたサブディスプレイ201,撮像用レンズ202,撮影フラッシュLED203,電池パック204,およびアンテナ205を備えている。サブディスプレイ201,撮像用レンズ202,および撮影フラッシュLED203は、第1のハウジング104に設けられている。
【0047】
サブディスプレイ201は、上述したメインディスプレイ102と同様に、液晶パネルおよびバックライトを備えている。サブディスプレイ201に表示する画像がモノクロ画像であれば、バックライトの代わりに、外光を本体ハウジング101外へ反射する反射板を用いてもよい。これによって、ある程度、周囲が明るい場合には、サブディスプレイ201に表示された表示内容を、自然光で見ることができる。
【0048】
撮影フラッシュLED203は、撮像用レンズ202を用いた撮像タイミングに合わせて点灯する。撮影フラッシュLED203は、携帯型電話機100の周囲の明るさに応じて自動的に点灯してもよいし、操作ボタン103の操作に応じてマニュアルで点灯してもよい。
【0049】
電池パック204およびアンテナ205は、第2のハウジング105に設けられている。電池パック204は、第2のハウジング105に対して着脱自在に設けられている。電池パック204は、携帯型電話機100が備える各部に供給する電気が充電される充電池(図3を参照)を備えている。充電池は、充電された電気を放電によって、携帯型電話機100が備える各部に供給する。また、電気を放電した充電池は、再度電気を充電することができる。充電池は、充電と放電を繰り返すことによって、電源として繰り返して使用することができる。
【0050】
図示を省略するが、本体ハウジング101の内部には、撮像用レンズ202に入射した外光を、撮像用の光電変換素子としてのCCD(Charge Coupled Devices、図5を参照)に入射するための撮像用の光学部材が設けられている。公知の技術であるため説明を省略するが、CCDは、入射した光の強弱に応じた電気信号を生成し、デジタル画像データを生成する半導体素子である。
【0051】
また、本体ハウジング101の内部には、撮像用レンズ202に入射した外光を、第1のハウジング104内に設けられたソーラーセル(図4を参照)に入射させるための光路を形成する発電用の光学部材が設けられている。発電用の光学部材は、撮像用の光学部材がCCDに外光を入射させない場合、すなわち非撮像時に光路を形成する。
【0052】
具体的には、たとえば、非撮像時には、プリズムや鏡などを用いて、撮像用レンズ202に入射した外光を撮像用の光学部材が形成する光路から逸らして、発電用の光路を形成する。この場合、たとえば、プリズムや鏡などが撮像用の光学部材が形成する光路に干渉して当該光路を逸らす位置または当該光路に干渉しない位置のいずれか一方に選択的に位置づけられるようにプリズムや鏡などを保持する光路切替機構を設けることで、撮像用の光路と発電用の光路とを切り替え自在に形成することができる。プリズムや鏡などは、たとえば、モータ(図5を参照)などを用いて、撮像用の光路に干渉する位置と干渉しない位置との間で移動させる。
【0053】
本体ハウジング101が備える第1のハウジング104および第2のハウジング105は、図示しないヒンジ部を介して相対的に回動自在に連結されている。図1および図2には、利用者が、メインディスプレイ102を視認でき、操作ボタン103を操作できる状態(以下、「開放状態」という)とされた携帯型電話機100が示されている。
【0054】
開放状態とされた携帯型電話機100は、図示しないヒンジ部を介して第1のハウジング104と第2のハウジング105とを相対的に回動させることによって、第1のハウジング104と第2のハウジング105とが重なり合う折り畳み状態とすることができる。折り畳み状態においては、メインディスプレイ102と複数の操作ボタン103とが対向した状態で、第1のハウジング104と第2のハウジング105とが重なり合う。
【0055】
図3は、図1のA−A断面を示す概略図である。図3に示したように、第2のハウジング105の内部には、発電用の光電変換素子としてのソーラーセル301が設けられている。ソーラーセル301は、光電効果を利用して、ソーラーセル301に照射された光を電気に変換(以下、「発電」という)する。ソーラーセル301としては、多重接合型セル,単結晶シリコンセル,多結晶シリコンセル,アモルファスシリコンセル,複合セルなど各種のタイプのソーラーセルを用いることができる。
【0056】
ここで、ソーラーセル301における発電原理について説明する。具体的には、たとえば、単結晶シリコンセル,多結晶シリコンセルなどのシリコンタイプのソーラーセル301における発電原理について説明する。公知の技術であるため図示および詳細な説明を省略するが、シリコンタイプのソーラーセル301は、基本的には、p型半導体とn型半導体とを重ね合わせて接合することによって構成されている。
【0057】
なお、p型半導体とは、高純度のシリコン半導体(以下、「真性半導体」という)に、たとえば、ホウ素などの3価の元素を微量混入させることによって生成されている。n型半導体は、真性半導体にヒ素などの5価の元素を微量混入させることによって生成されている。
【0058】
シリコンタイプのソーラーセル301では、p型半導体とn型半導体との接合部分(以下、「pn接合部」という)およびその近傍で、光電変換がおこなわれる。ソーラーセル301は、光が照射されることによってシリコン内部に発生した電子および正孔のうち、プラスの電荷をもった正孔をp型半導体側へ誘導するとともにマイナスの電荷をもった電子をn型半導体側に誘導する。このように、ソーラーセル301では、光が照射されることによって電子の移動を発生させることで発電する。
【0059】
光が照射された状態のソーラーセル301では、pn接合部を間にしてp型半導体側がプラスに帯電し、n型半導体側をマイナスに帯電しており、pn接合部を間にしてp型半導体側とn型半導体側とで電位差が生じる。ソーラーセル301は、蓄電池に接続されている(図5を参照)。蓄電池は、ソーラーセル301が発電した電気を蓄電し、蓄電した電気を適宜放電する。実施の形態1では、蓄電池によって蓄電装置が実現されている。なお、蓄電池の具体的な構成については、公知の技術であるため図示および説明を省略する。
【0060】
ソーラーセル301には、操作ボタン103を透過した外光が入射される。図3に示したように、操作ボタン103は、凹レンズ形状を有している。実施の形態1では、操作ボタン103によってレンズ、より詳細には凹レンズが実現されている。図3中符号302は、操作ボタン103が嵌め込まれる開口部である。操作ボタン103は、図3中仮想線で示したように、操作ボタン103に入射した外光を発散させて、ソーラーセル301側へ透過させる。これにより、操作ボタン103における光の入射面積よりもソーラーセル301の発電面積を広くすることができる。図3中符号303は、電池パック204内の充電池である。
【0061】
図4は、図1のB−B断面を示す概略図である。図4に示したように、第1のハウジング104の内部には、補助発電用の光電変換素子としてのソーラーセル401が設けられている。ソーラーセル401は、メインディスプレイ102に重ね合わされており、メインディスプレイ102を介してソーラーセル401に入射した外光を電気に変換する。ソーラーセル401としては、多重接合型セル,単結晶シリコンセル,多結晶シリコンセル,アモルファスシリコンセル,複合セルなど各種のタイプのソーラーセルを用いることができる。
【0062】
上述したように、メインディスプレイ102は、光学的に透明な材料によって構成されていることから、メインディスプレイ102に入射した外光は、メインディスプレイ102を透過してソーラーセル401に入射する。ソーラーセル401は、メインディスプレイ102を介して外光が入射されると発電する。ソーラーセル401が発電するメカニズムは、上述したソーラーセル301と同様であるため説明を省略する。ソーラーセル401は、上述した蓄電池に接続されており(図5を参照)、ソーラーセル401が発電した電気は蓄電池303に蓄電される。
【0063】
メインディスプレイ102が光学的に透明な材料によって構成されていることから、ソーラーセル401には常時外光が入射する。メインディスプレイ102に情報を表示している状態では、各画素の色によって特定波長の光が吸収されるため、メインディスプレイ102を介して入射する外光の光量は、メインディスプレイ102に情報を表示していない状態の方が、メインディスプレイ102に情報を表示している場合よりも多くなる。
【0064】
上述した発電用の光学部材は、発電用の光路として、撮像用レンズ202に入射した外光をソーラーセル401に入射するための光路を形成する。図4中符号402は、携帯型電話機100が備える各部を駆動制御するための制御基板である。
【0065】
図5は、携帯型電話機100が備える各部の電気的接続を示すブロック図である。図5に示したように、携帯型電話機100は、上述したメインディスプレイ102,スピーカ106,マイク107,サブディスプレイ201,撮影フラッシュLED203,ソーラーセル301,ソーラーセル401,充電池303,CCD501,およびモータ502に加えて、CPU503,ROM504,RAM505,VRAM506,フラッシュメモリ507,通信I/F508,入力I/F509,および蓄電池510を備えている。
【0066】
メインディスプレイ102,スピーカ106,マイク107,サブディスプレイ201,撮影フラッシュLED203,ソーラーセル301,ソーラーセル401,充電池303,CCD501,モータ502,CPU503,ROM504,RAM505,VRAM506,フラッシュメモリ507,通信I/F508,入力I/F509,および蓄電池510は、バスを介して電気的に接続されている。
【0067】
CPU503は、携帯型電話機100が備える各部を駆動制御する。ROM504は、CPUが携帯型電話機100が備える各部を駆動制御するための制御プログラムなどを記録する。RAM505は、ROM504に記録された制御プログラムなどをCPU503が実行する際に、CPU503のワークエリアとして機能する。
【0068】
VRAM506は、メインディスプレイ102やサブディスプレイ201に表示する画像データを展開し、メインディスプレイ102やサブディスプレイ201に出力する。VRAM506は、フラッシュメモリ507に記録されたデータや、CCD501で生成された画像データなどを展開する。フラッシュメモリ507は、CCD501で生成された画像データなどを記録する。実施の形態1では、メインディスプレイ102に画像を表示するためにかかわる各部によって表示手段が実現されている。
【0069】
モータ502は、上述したプリズムや鏡などを、撮像用の光路に干渉する位置と干渉しない位置との間で移動させる。図示を省略するが、スピーカ106は、アンテナ205を介して受信した音声情報に基づいて、デジタル信号をアナログに変換するD/Aコンバータを備えている。同様に、図示を省略するが、マイク107は、入力されたアナログの音声をデジタル信号の音声情報に変換するA/Dコンバータを備えている。
【0070】
通信I/F508は、無線を介して携帯電話網などのネットワークに接続され、外部装置との無線通信に際してのインターフェースとして機能する。実施の形態1では、通信I/F508によって通信手段が実現されている。入力I/F509は、操作ボタン103における操作に応じた信号を、CPU503に対して出力する。CPU503は、入力I/F509から出力された信号に応じて、携帯型電話機100が備える各部を駆動制御する。
【0071】
また、CPU503は、携帯型電話機100が備える各部の駆動制御に際して、駆動制御に要する電力を、充電池303あるいは蓄電池510から供給するように、電力供給元を選択する。CPU503は、蓄電池510が蓄電している電気量に応じて、充電池303あるいは蓄電池510を電力供給元として選択する。CPU503は、充電池303よりも蓄電池510を優先的に選択する。また、CPU503は、ソーラーセル301あるいはソーラーセル401を電力供給元として選択してもよい。蓄電池510は、ソーラーセル301,401で発電した電気を蓄電するとともに、CPU503からの放電指示に応じて放電し、駆動対象に電気を供給する。
【0072】
携帯型電話機100においては、化学電池(二次電池)である充電池303を電源とすることで、電気の残量が不足すると充電池303に充電する作業が発生する。化学電池の一つである二次電池は、化学反応を利用して発電することから、使用にともなって性能が劣化し、ある程度性能が劣化した場合には廃棄することになるので、有限物質の消費につながる。
【0073】
携帯型電話機100の電源としては、市販されている乾電池のように、化学電池の一つである一次電池を用いることができるが、一次電池を用いた場合にも、電気の残量が不足すると電池を交換する作業が発生し、性能が劣化すれば廃棄することになる。
【0074】
実施の形態1の携帯型電話機100は、ソーラーセル301,401が発電した電気を用いて、携帯型電話機100が備える各部を駆動制御することから、充電池303の消費量を低減し、充電池303の残量不足による電池交換や充電などの利用者の作業頻度を軽減することができる。この場合、蓄電池510に蓄電された電気を用いても、ソーラーセル301,401から直接得られる電気を用いてもよいが、蓄電池510に蓄電された電気を用いる方が、携帯型電話機100が備える各部を安定して駆動制御することができる。実施の形態1では、携帯型電話機100が備える各部のうち、ソーラーセル301,401が発電した電気を用いて駆動される部材によって駆動手段が実現されている。
【0075】
また、実施の形態1の携帯型電話機100は、非通話時に、本体ハウジング101を開放状態として操作ボタン103を露出させ、太陽や照明などの光源に操作ボタン103を向けておくことで、操作ボタン103を介して入射する外光の光量を増やし、ソーラーセル301の発電量を増やすことができる。
【0076】
ソーラーセル301の発電量が増えることによって、ソーラーセル301が発電した電気を用いて駆動する駆動対象を増やしたり、ソーラーセル301が発電した電気を用いた駆動時間を増やしたりすることができるので、充電池303における電力の消費量を一層低減し、充電池303における電力の残量不足による電池交換や充電などの利用者の作業頻度を一層軽減することができる。
【0077】
上述したように、実施の形態1の携帯型電話機100は、操作ボタン103がレンズ形状を有しているため、レンズ効果を利用してソーラーセル301に外光を確実に入射させることができるので、限られたスペースにおいて、操作性や外観を損ねることなくソーラーセル301が効率よく発電することができる。
【0078】
これによって、携帯型電話機100は、充電池303における電力の残量不足による電池交換や充電などの利用者の作業頻度を軽減することができる。さらに、化学電池である充電池303における電力の消費量を低減することで、化石燃料などの有限物質の消費量を低減する効果を期待することができる。
【0079】
また、実施の形態1の携帯型電話機100は、操作ボタン103が凹レンズ形状を有しているため、ソーラーセル301の面積を操作ボタン103における光の入射面積よりも広くして、発電能力を向上させることができる。これによって、携帯型電話機100は、限られたスペースにおいて、操作性や外観を損ねることなく充電池303における電力の消費量を一層低減し、充電池303における電力の残量不足による電池交換や充電などの利用者の作業頻度を一層軽減することができる。
【0080】
また、実施の形態1の携帯型電話機100は、さらに、ソーラーセル401で発電した電気を用いて、携帯型電話機100が備える各部を駆動制御することから、限られたスペースにおいて、操作性や外観を損ねることなく充電池303における電力の消費量を一層低減し、充電池303における電力の残量不足による電池交換や充電などの利用者の作業頻度を一層軽減することができる。
【0081】
また、実施の形態1の携帯型電話機100は、発電用の光学部材が、撮像用レンズ202に入射した外光をソーラーセル401に入射するための光路を形成した場合、撮像用レンズ202に入射した外光を用いてソーラーセル401で発電した電気を用いて、携帯型電話機100が備える各部を駆動制御することができる。
【0082】
非撮像時には外光がソーラーセル401に入射するので、たとえば、通話中であってもソーラーセル401で発電し、ソーラーセル401で発電した電気を用いて、携帯型電話機100が備える各部を駆動制御することができる。これによって、携帯型電話機100は、限られたスペースにおいて、操作性や外観を損ねることなく充電池303における電力の消費量を一層低減し、充電池303における電力の残量不足による電池交換や充電などの利用者の作業頻度を一層軽減することができる。
【0083】
携帯型電話機100では、携帯型電話機100におけるメインディスプレイ102やサブディスプレイ201に表示する画像の高精細化にともなって、メインディスプレイ102やサブディスプレイ201を構成する画素数(駆動用トランジスタ)が増加し、消費電力が増加する。携帯型電話機100のように可搬性が要求される電子機器においては、画像の高精細化にともなう消費電力の増加によって、充電池303や携帯型電話機100が大型化したり総重量が増加したりして、可搬性を低下させることが懸念される。
【0084】
実施の形態1の携帯型電話機100は、ソーラーセル301,401で発電した電気を用いて、メインディスプレイ102やサブディスプレイ201を駆動制御することから、メインディスプレイ102やサブディスプレイ201に表示する画像などの情報を高精細化した場合にも、充電池303や携帯型電話機100の大型化や総重量増加による可搬性の低下を緩和することができる。
【0085】
また、携帯型電話機100は、アンテナ205を用いた無線通信機能を備える電子機器の可搬化を実現するとともに、無線通信に際してソーラーセル301,401で発電した電気を用いることで、充電池303における電力の消費量を低減することができるので、外観を損ねることなく充電池303における電力の残量不足による電池交換や充電などの利用者の作業頻度が低減し、携帯型電話機100の利便性の向上を図ることができる。
【0086】
また、携帯型電話機100は、操作ボタン103の煩雑な入力操作をともなうことなく、通話によって利用者が必要な情報をやりとりすることができるので、携帯型電話機100の利便性の向上を図ることができる。
【0087】
また、携帯型電話機100は、ソーラーセル301,401で発電した電気を、蓄電池510に蓄電し、ソーラーセル301,401で発電した電気を必要時に使用することで、発電した電気を有効に利用することができる。これによって、充電池303の消費量を一層低減し、充電池303の残量不足による電池交換や充電などの利用者の作業頻度を一層軽減することができる。
【0088】
なお、上述した実施の形態1では、操作ボタン103を凹レンズ形状としたが、これに限るものではない。たとえば、操作ボタン103は、凸レンズ形状としてもよい。また、たとえば、操作ボタン103全体の中に、凹レンズ形状と凸レンズ形状とが混在していてもよい。
【0089】
図6は、実施の形態1の携帯型電話機100の変形例(その1)を示す説明図である。図6は、上述した図3と同様に、携帯型電話機100を図1中のA−A線に沿って断面した状態の携帯型電話機100の構造を概略的に示している。図6に示したように、変形例(その1)としての携帯型電話機100の操作ボタン103は、凸レンズ形状を有している。操作ボタン103は、図6中仮想線で示したように、操作ボタン103に入射した外光を集光して、ソーラーセル301側へ透過させる。変形例(その1)では、操作ボタン103によってレンズ、より詳細には凸レンズが実現されている。
【0090】
ソーラーセル301は、操作ボタン103がレンズとして機能する場合の焦点位置に対して、操作ボタン103の光軸方向においてずれた位置に設けられている。これにより、集光型のレンズを用いた場合にも外光がソーラーセル301の1箇所に集中して入射することを防止し、外光が集中することによるソーラーセル301の損壊を防止することができる。
【0091】
ソーラーセル301では、ソーラーセル301を損壊させない範囲内であれば、ソーラーセル301に入射する外光の強度(以下、「日射強度」という)が高い方が、発電量が増加する傾向にある。変形例(その1)としての携帯型電話機100は、操作ボタン103に入射した時点の日射強度よりも強度の高い光をソーラーセル301に入射させることができるので、たとえば、曇天時などのように日射強度が低い場合にも発電量を増やすことができる。
【0092】
上述したように、変形例(その1)としての携帯型電話機100によれば、ソーラーセル301が発電した電気を用いて、携帯型電話機100が備える各部を駆動制御することから、限られたスペースにおいて、操作性や外観を損ねることなく充電池303における電力の消費量を一層低減し、充電池303における電力の残量不足による電池交換や充電などの利用者の作業頻度を一層軽減することができる。
【0093】
また、変形例(その1)としての携帯型電話機100によれば、サイズの小さいソーラーセル301を用いた場合にも、効率よく発電することができるので、ソーラーセル301を設けた場合にも、携帯型電話機100の大型化を抑制する効果が期待できる。
【0094】
図7は、実施の形態1の携帯型電話機100の変形例(その2)を示す説明図である。図7は、上述した図3あるいは図6と同様に、携帯型電話機100を図1中のA−A線に沿って断面した状態の携帯型電話機100の構造を概略的に示している。図7に示したように、変形例(その2)としての携帯型電話機100の操作ボタン103は、操作ボタン103全体の中に、凹レンズ形状と凸レンズ形状とが混在している。
【0095】
凹レンズ形状と凸レンズ形状との比率は、たとえば、ソーラーセル301の大きさ,形状,あるいは発電性能などに応じて、任意に設定することができる。変形例(その1)では、操作ボタン103によってレンズ、より詳細には凹レンズおよび凸レンズが実現されている。これによって、ソーラーセル301の大きさ,形状,あるいは発電性能などの設計における自由度が向上し、設計条件などに応じて、複数種類の大きさや形状のソーラーセル301を用いることができる。
【0096】
変形例(その2)としての携帯型電話機100は、凹レンズ形状を有する操作ボタン103によってソーラーセル301の発電面積を当該操作ボタン103における光の入射面積よりも広くすることで発電量を増やすとともに、凸レンズ形状を有する操作ボタン103によって日射強度よりも強度の高い光をソーラーセル301に入射させることで発電量を増やすことができる。
【0097】
上述したように、変形例(その2)としての携帯型電話機100によれば、晴天時などのように日射強度が高い場合には凹レンズ形状を有する操作ボタン103を介してソーラーセル301に外光を入射させ、曇天時などのように日射強度が低い場合には凸レンズ形状を有する操作ボタン103を介してソーラーセル301に外光を入射させることで、日射強度の違いによる発電量の低下を緩和し、できる限り多くの発電量を確保することができる。
【0098】
そして、変形例(その2)としての携帯型電話機100によれば、ソーラーセル301が発電した電気を用いて、携帯型電話機100が備える各部を駆動制御することで、限られたスペースにおいて、操作性や外観を損ねることなく充電池303における電力の消費量を一層低減し、充電池303における電力の残量不足による電池交換や充電などの利用者の作業頻度を一層軽減することができる。
【0099】
また、変形例(その2)としての携帯型電話機100によれば、複数種類の大きさや形状のソーラーセル301を用いることができるので、たとえば、設計条件などに応じて適宜最適な大きさや形状のソーラーセル301を設けることで、充電池303における電力の消費量の低減を図るとともに、ソーラーセル301を設けた場合にも、携帯型電話機100の大型化を抑制する効果が期待できる。
【0100】
なお、上述した実施の形態1,変形例(その1),および変形例(その2)の携帯型電話機100においては、操作ボタン103における光軸の向きや屈折率を操作ボタン103ごとに異ならせてもよい。図示を省略するが、操作ボタン103における光軸の向きや屈折率を操作ボタン103ごとに異ならせることで、多方向から照射される光をソーラーセル301に入射させることができ、ソーラーセル301に入射する外光の入射角度範囲を広くすることができる。
【0101】
これによって、携帯型電話機100に対する外光の照射角度の変化による、ソーラーセル301に入射する外光の光量低下を緩和し、携帯型電話機100に対する外光の照射角度に依存することなく安定した発電量を確保することができる。なお、操作ボタン103における光軸の向きや屈折率を操作ボタン103ごとに異ならせる場合、操作ボタン103の光軸の向きや屈折率に応じて、大きさ,配置角度,性能などの異なるソーラーセル301を操作ボタン103ごとに対応させてそれぞれ設けるようにしてもよい。
【0102】
(実施の形態2)
図8は、実施の形態2の携帯型電話機を示す正面図である。実施の形態2では、上述した実施の形態1と同一部分は同一符号で示し、説明を省略する。実施の形態2の携帯型電話機800は、本体ハウジング801を構成する第1のハウジング802および第2のハウジング803を備える。第1のハウジング802および第2のハウジング803は、上述した実施の形態1と同様に、図示しないヒンジ部を介して相対的に回動自在に連結されている。
【0103】
携帯型電話機800における本体ハウジング801は、第1のハウジング802と第2のハウジング803とが重なり合う折り畳み状態と、第1のハウジング802および第2のハウジング803において折り畳み状態の時に正対する1対の面がともに同じ方向を向く状態(以下、「開放状態」という)と、の間の任意の状態とすることができる。
【0104】
図8に示したように、本体ハウジング801の正面側には、スピーカ106,マイク107,サブディスプレイ201,電池パック204,操作ボタン804が設けられている。上述した実施の形態1と同様に、スピーカ106およびサブディスプレイ201は第1のハウジング802に設けられており、マイク107および電池パック204は第2のハウジング803に設けられている。
【0105】
操作ボタン804は、第2のハウジング803に設けられている。操作ボタン804は、利用者によって操作されることで、操作に応じた情報をサブディスプレイ201に表示する。携帯型電話機800におけるサブディスプレイ201は、メインディスプレイ102に表示する表示内容を簡略化した情報を表示する。
【0106】
携帯型電話機800を用いた通話時、利用者は、本体ハウジング801を開放状態とし、スピーカ106が耳に対向するとともにマイク107が口元に位置するように携帯型電話機800を保持する。
【0107】
図9は、実施の形態2の携帯型電話機800を示す背面図である。図9に示したように、本体ハウジング801の背面側には、メインディスプレイ102,複数の操作ボタン103,および撮像用レンズ202が設けられている。メインディスプレイ102および撮像用レンズ202は第1のハウジング802に設けられており、操作ボタン103は第2のハウジング803に設けられている。
【0108】
操作ボタン103は、上述した実施の形態1と同様に、レンズ形状を有している。操作ボタン103は、凹レンズ形状であってもよいし、凸レンズ形状であってもよいし、あるいは、操作ボタン103全体の中に凹レンズ形状および凸レンズ形状が混在していてもよい。図示を省略するが、第2のハウジング803の内部には、上述した実施の形態1におけるソーラーセル301と同様に、操作ボタン103を透過した外光が入射するソーラーセルが設けられている。ソーラーセルは、操作ボタン103から第2のハウジング803の内部に入射した外光が入射される位置に設けられている。
【0109】
また、図示を省略するが、第1のハウジング802の内部には、上述した実施の形態1におけるソーラーセル401と同様に、メインディスプレイ102に積層されたソーラーセルが設けられている。第1のハウジング802の内部に設けられたソーラーセルは、メインディスプレイ102を介して入射した外光を用いて発電する。
【0110】
図10は、実施の形態2の携帯型電話機800を示す斜視図である。図10には、折り畳み状態にある携帯型電話機800を操作ボタン103側から見た状態が示されている。図10に示したように、携帯型電話機800は、開放状態にあるか折り畳み状態にあるかにかかわらず、常時操作ボタン103が露出している。なお、図10中、符号1001は、携帯型電話機800本体から電池パック204を取り外すことなく、充電池303に充電するためのコネクタを塞ぐカバー部材である。カバー部材は、充電池303への充電に際して、携帯型電話機800本体から取り外される。
【0111】
携帯型電話機800は、利用者の意図しない動作(以下、「誤動作」という)を防止するための機能を備えている。具体的には、たとえば、所定の操作ボタン103を所定の順序で操作することによって、以降、操作ボタン103への操作を無効にする(キーロック設定)とともに、キーロック設定された状態で所定の操作ボタン103を所定の順序で操作することによってキーロック設定を解除することで、誤動作を防止する。
【0112】
また、具体的には、たとえば、「キーロック設定/キーロック設定解除」をおこなう専用の操作キー(図示を省略)を設けてもよい。これによって、露出している操作ボタン103を利用者が不意に触れてしまうなどして、利用者の意図しないタイミングで操作キー103が操作された場合の携帯型電話機800の誤動作を防止することができる。また、所定の操作ボタン103を所定の順序で操作することによって、「発電する/発電しない」を選択的に設定可能とし、「発電する」設定がなされている場合には、操作キー103が操作された場合にも、当該操作に応じた動作をおこなわないようにすることで、誤動作を防止するようにしてもよい。
【0113】
実施の形態2の携帯型電話機800は、ソーラーセルが発電した電気を用いて、携帯型電話機800が備える各部を駆動制御する。これによって、携帯型電話機800によれば、充電池303における電力の消費量を低減し、充電池303における電力の残量不足による電池交換や充電などの利用者の作業頻度を軽減することができる。
【0114】
また、実施の形態2の携帯型電話機800は、操作ボタン103が常時露出しているため、通話時であるか非通話時であるかにかかわらず、太陽や照明などの光源に操作ボタン103を向けておくことで、操作ボタン103を介してソーラーセルに外光を入射させることができる。これによって、携帯型電話機800が備えるソーラーセルの発電量を増やすことができる。
【0115】
また、実施の形態2の携帯型電話機800は、メインディスプレイ102が常時露出しているため、通話時であるか非通話時であるかにかかわらず、すなわち、開放状態にあるか折り畳み状態にあるかにかかわらず、太陽や照明などの光源にメインディスプレイ102を向けておくことで、メインディスプレイ102を介してソーラーセルに外光を入射させることができる。これによって、携帯型電話機800が備えるソーラーセルの発電量を増やすことができる。
【0116】
そして、ソーラーセルでの発電量が増えることによって、ソーラーセルが発電した電気を用いて駆動する駆動対象を増やしたり、ソーラーセルが発電した電気を用いた駆動時間を増やしたりすることができるので、外観を損ねることなく充電池303における電力の消費量を一層低減し、充電池303における電力の残量不足による電池交換や充電などの利用者の作業頻度を一層軽減することができる。
【0117】
また、実施の形態2の携帯型電話機800においては、メインディスプレイ102および操作ボタン103が、ともに本体ハウジング801の背面側に設けられているため、利用者は、操作ボタン103に対する操作位置と当該操作に応じてメインディスプレイ102に表示される表示内容とを、容易に視認することができる。これによって、携帯型電話機800の操作性や使い勝手を低下させることなく、ソーラーセルの発電量を増やすことができる。
【0118】
加えて、実施の形態2の携帯型電話機800におけるスピーカ106およびマイク107の位置は、上述した位置に限るものではない。たとえば、図8に示したスピーカ106およびマイク107の位置を、それぞれ入れ替えてもよい。図示を省略するが、この場合、スピーカ106が第2のハウジング803に設けられ、マイク107が第1のハウジング802に設けられる。
【0119】
携帯型電話機800で通話する際、利用者は、携帯型電話機800の中間部分(第1のハウジング802と第2のハウジング803との連結部分)、あるいは、当該中間部分からマイク106側を把持する傾向にある。すなわち、通話中の利用者は、携帯型電話機800における第1のハウジング802を把持する傾向にある。
【0120】
スピーカ106を第2のハウジング803に設け、マイク107を第1のハウジング802に設けることで、通話中に利用者が第1のハウジング802を把持しても、操作ボタン103が露出した状態となるので、通話中であっても操作ボタン103に外光が入射することができる。これによって、通話中であってもソーラーセルで発電することができるので、充電池303における電力の消費量を一層低減し、充電池303における電力の残量不足による電池交換や充電などの利用者の作業頻度を一層軽減することができる。
【0121】
また、スピーカ106およびマイク107の位置は、たとえば、第1のハウジング802にまとまっていてもよい。図11は、実施の形態2の携帯型電話機(変形例)を示す正面図である。変形例としての携帯型電話機800において、スピーカ106およびマイク107は、第1のハウジング802においてメインディスプレイ102が設けられている側に設けられている。
【0122】
変形例としての携帯型電話機800で通話する際、利用者は、メインディスプレイ102を自身に向けるようにして変形例としての携帯型電話機800を把持する。このように、通話中は、必ず操作ボタン103が外側を向くので、外光が操作ボタン103に入射し易くなる。これによって、通話中にソーラーセルで発電し易くすることができるので、充電池303における電力の消費量を一層低減し、充電池303における電力の残量不足による電池交換や充電などの利用者の作業頻度を一層軽減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0123】
以上のように、この発明にかかる電子機器および音声通信機器によれば、操作ボタンを備える電子機器に有用であり、特に移動通信を目的とした携帯型電話機のような電子機器に適している。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】実施の形態1の携帯型電話機を示す正面図である。
【図2】実施の形態1の携帯型電話機を示す背面図である。
【図3】図1のA−A断面を示す概略図である。
【図4】図1のB−B断面を示す概略図である。
【図5】携帯型電話機が備える各部の電気的接続を示すブロック図である。
【図6】実施の形態1の携帯型電話機の変形例(その1)を示す説明図である。
【図7】実施の形態1の携帯型電話機の変形例(その2)を示す説明図である。
【図8】実施の形態2の携帯型電話機を示す正面図である。
【図9】実施の形態2の携帯型電話機を示す背面図である。
【図10】実施の形態2の携帯型電話機を示す斜視図である。
【図11】実施の形態2の携帯型電話機(変形例)を示す正面図である。
【符号の説明】
【0125】
100 携帯型電話機
102 メインディスプレイ
103 操作ボタン
106 スピーカ
107 マイク
202 撮影用レンズ
205 アンテナ
301 ソーラーセル
401 ソーラーセル
501 CCD
510 蓄電池
800 携帯型電話機


【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力操作を受け付ける操作ボタンを備える電子機器であって、
前記操作ボタンを構成し、外光が入射されるレンズと、
前記レンズの焦点位置に設けられて、前記レンズに入射された外光を電気に変換する発電用の光電変換素子と、
前記発電用の光電変換素子によって変換された電気によって駆動される駆動手段と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記レンズは、凹レンズであることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記レンズは、凸レンズであることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記操作ボタンは複数設けられており、
前記レンズは、
複数の前記操作ボタンのうちの少なくとも2つ以上のボタンを構成し、
前記操作ボタンごとに凹レンズまたは凸レンズのいずれかであって、
前記操作ボタン全体の中に前記凹レンズと前記凸レンズとが混在していることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記駆動手段は、所定の情報を表示するディスプレイを備える表示手段であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の電子機器。
【請求項6】
前記ディスプレイよりも装置内側に設けられて、前記ディスプレイを介して入射された外光を電気に変換する補助発電用の光電変換素子をさらに備え、
前記ディスプレイは、光学的に透明な材料によって構成されており、
前記駆動手段は、前記補助発電用の光電変換素子によって変換された電気によって駆動されることを特徴とする請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
外部装置との間で電波を送受信するアンテナを備え、
前記駆動手段は、前記アンテナを用いて前記外部装置と無線通信をおこなう通信手段であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の電子機器。
【請求項8】
音声情報に基づく音声を出力するスピーカと、
装置外部の音声を入力するマイクと、を備え、
前記通信手段は、前記マイクによって入力された音声に基づく音声信号および前記アンテナを介して受信された電波に基づく音声信号を、前記アンテナを用いて送受信することを特徴とする請求項7に記載の電子機器。
【請求項9】
前記駆動手段は、前記発電用の光電変換素子によって変換された電気を蓄電する蓄電装置であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の電子機器。
【請求項10】
外部装置から受信した音声情報に基づく音声を出力するスピーカおよび装置外部の音声を入力するマイクを備え、操作ボタンを介して受け付けた入力操作に応じて無線通信を利用した音声情報の送受信をおこなう、携帯型の音声通信機器において、
前記操作ボタンを構成し、外光を集光するレンズと、
前記レンズの焦点位置に設けられて、前記レンズによって集光された外光を電気に変換する発電用の光電変換素子と、
前記発電用の光電変換素子によって変換された電気によって駆動される駆動手段と、
を備え、
前記マイクおよび前記スピーカは、前記操作ボタンの配置面の裏面側に設けられていることを特徴とする音声通信機器。
【請求項11】
入射された外光の強度に応じた電気信号を生成する撮像用の光電変換素子と、
被写体から反射された外光を前記撮像用の光電変換素子に入射させる撮影用レンズと、
前記撮影用レンズに入射された外光を前記発電用の光電変換素子または前記撮像用の光電変換素子に入射させるように光路を切り替える光路切替機構と、
を備えることを特徴とする請求項10に記載の音声通信機器。
【請求項12】
前記撮影用レンズは、前記マイクおよび前記スピーカの配置面の裏面側に設けられていることを特徴とする請求項11に記載の音声通信機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−329854(P2007−329854A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−161351(P2006−161351)
【出願日】平成18年6月9日(2006.6.9)
【出願人】(000133227)株式会社タムロン (355)
【Fターム(参考)】