説明

電子部品検査装置および電子部品検査方法

【課題】エンボステープのポケットに収納された状態等の電子部品の傷や欠け等の外観検査を精度よく行うことができる電子部品検査装置および電子部品検査方法を提供する。
【解決手段】電子部品13に対して直交する方向から第1照明光を照射するとともに、電子部品に対して斜め方向から第2照明光を照射し、電子部品13とこの周りの部位とにコントラスト差を生じさせて、電子部品13の輪郭を検出する工程を行う。電子部品13に対して斜め方向から第3照明光を照射して電子部品13の表面を検査する工程を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品検査装置および電子部品検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ICパッケージ等の電子部品は、一般にはエンボステープ等に収納されて出荷される。このため、エンボステープに電子部品を嵌入した状態(ラッピングしていない状態)で、この電子部品の外観検査が行われる。ここで、外観検査とは、電子部品の傷や欠け、電子部品に記載されている文字の有無等の検査である。
【0003】
一般にこの種の検査装置は、図7に示すように、エンボステープ1のポケット2に収納されたICパッケージ等の電子部品3の上方に位置するカメラ4(例えば、CCDカメラ)と、このカメラ4の下方に配置される同軸照明器5と、この同軸照明器5と電子部品3との間に配設される斜方照明器6とを備える。ここで、同軸照明器5とは、電子部品3の上方から鉛直線に沿って電子部品3に照明光を照射することができる照明器であり、斜方照明器6とは、電子部品3の斜め上方から電子部品3に照明光を斜めに照射することができる照明器である。また、同軸照明器5からの照明光及び斜方照明器6の照明光はそれぞれ赤色が使用される。
【0004】
同軸照明器5は、ケーシングと、このケーシング内に収納される光源としてのLED(発光ダイオード)と、このケーシング内に収納されるハーフミラーとを備える。すなわち、LEDからの照射光がハーフミラーを介して電子部品へ投下され、また、電子部品3からの反射光がハーフミラーを介してカメラに入光する。
【0005】
また、斜方照明器6は、ケーシングと、このケーシング内にリング状に配設される光源としてのLEDとを備える。この場合、ケーシング内には、下方に向かって拡径するコーン状の保持体に複数個のLEDが配置される。このため、各LEDからの照明光が下方に向かって軸心に集まるように照射される。
【0006】
この場合、同軸照明器5にて電子部品3の上方から赤色の照明光を照射するとともに、斜方照明器6にて電子部品3の斜め上方から赤色の照明光を照射することにより、電子部品3が照明される。そして、カメラ4にて電子部品3の画像を取り込む。電子部品3の表面の記載された(捺印された)文字、数字等の有無や欠け等を、2値化面積にて検査を行う。
【0007】
すなわち、検査領域に任意のウインドウを設定し、このウインドウ内の該当する画素の数をカウントすることで、文字等の有無や大きさ等を検出することになる。そして、この「該当する画素」を2値化処理によって決める。各画素は256階調のうちいずれかの明るさとして認識されている。そのため、画素において閾値を設けることによってその閾値より明るいか暗いかによって白と黒の2つに分かることができる。これを2値化といい、この閾値を2値化レベルと呼ぶ。
【0008】
また、この種の検査装置には、第1照明から緑色の光をICパッケージ(電子部品)の斜め方向から照射し、第2照明から赤色の光をICパッケージの上方から照射するようにしたものがある(特許文献1)。この場合、赤色の光については透過するが緑色の光については吸収または反射するフィルタと、緑色の光については透過するが赤色の光については吸収または反射するフィルタとを設けて、第1照明の照明条件と第2照明の照明条件とを独立に設定している。
【特許文献1】特開2001−74427号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、エンボステープは一般的には黒色であり、また、電子部品がモールドタイプのチップであれば、この電子部品の表面も黒色である。このため、図7に示すように、赤色の照明では、エンボステープと電子部品の表面とのコントラス差がとれにくく、電子部品とエンボステープとの境目(電子部品の輪郭)を把握することができなかった。従って、カメラ撮影画面から電子部品の表面を抽出することができず、表面の文字の有無の検査が行えても、表面の欠けや傷を検出することができなかった。
【0010】
また、前記特許文献1に記載のものでは、第1照明(文字用照明)の色と、第2照明(リード用照明)の色を代えて、撮影領域を文字部とリード部に分割し、文字とリードの照明条件を独自に設定して、一度の撮影で文字およびリードの検査を可能としている。しかしながら、この場合であっても、電子部品の輪郭を把握することができない。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みて、エンボステープのポケットに収納された状態等の電子部品の傷や欠け等の外観検査を精度よく行うことができる電子部品検査装置および電子部品検査方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の電子部品検査装置は、電子部品に対して直交する方向から第1照明光を照射するとともに、電子部品に対して斜め方向から第2照明光を照射して電子部品とこの周りの部位とにコントラスト差を生じさせる輪郭検出用照明手段と、電子部品に対して斜め方向から第3照明光を照射する表面検査用照明手段とを備えたものである。
【0013】
本発明の電子部品検査装置によれば、輪郭検出用照明手段によって、電子部品とこの周りの部位とにコントラスト差を生じさせることができる。このため、電子部品の輪郭を検出することができる。
【0014】
また、電子部品に対して直交する方向から第1照明光を照射するとともに、電子部品に対して斜め方向から第2照明光を照射することによって、第1照明光の照射では検出できない傷等を第2照明光の照射にて検出でき、また、第2照明光の照射では検出できない傷等を第1照明光の照射にて検出することができる。
【0015】
ところで、電子部品がモールド品であって、これがエンボステープのポケットに収納されている場合、電子部品の表面もエンボステープも黒色である。このような場合に、輪郭検出用照明手段の第1照明光及び第2照明光が青色であれば、電子部品とエンボステープのコントラスト差が大きくでる。また、黒色である電子部品の表面に赤色の第3照明光を斜め上方から照射することによって、この電子部品の表面の文字を識別することが可能となる。
【0016】
電子部品検査装置として、輪郭検出用照明手段は、第1照明光を照射する輪郭用同軸照明器と、第2照明光を照射する輪郭用斜方照明器とを備え、輪郭用同軸照明器と輪郭用斜方照明器とを電子部品の上方に配置することができる。また、表面検査用照明手段は第3照明光を照射する文字用斜方照明器を備え、電子部品の上方に配置することができる。
【0017】
さらに、輪郭検出用照明手段の輪郭用斜方照明器として、第2照明光と第3照明光との照射が可能であってもよい。すなわち、輪郭用斜方照明器から第2照明光を照射することによって、輪郭用同軸照明器の第1照明光とで、電子部品の輪郭を検出することができる。また、輪郭用斜方照明器から第3照明光を照射することによって、電子部品の文字等の検査を行うことができる。
【0018】
電子部品検査装置として、前記照明手段にて照明された電子部品およびこの周りの部位を撮影する撮影手段と、この撮影手段にて撮影された画像の2値化処理を行う画像処理手段とを備えたものが好ましい。この場合、輪郭検出用照明手段による照明時に、撮影手段にて撮影した画像を、2値化処理することによって、電子部品の周りの部位を黒くするとともに、電子部品の表面を白くすることができる。また、表面検査用照明手段による照明時に、撮影手段にて撮影した画像を、2値化処理することによって、電子部品の表面の傷や欠けさらには表面に表示されている文字等を白くして識別可能とできる。
【0019】
本発明の電子部品検査方法は、電子部品に対して直交する方向から第1照明光を照射するとともに、電子部品に対して斜め方向から第2照明光を照射し、電子部品とこの周りの部位とにコントラスト差を生じさせて、電子部品の輪郭を検出する工程と、電子部品に対して斜め方向から第3照明光を照射して電子部品の表面を検査する工程とを備えたものである。
【0020】
本発明の電子部品検査方法によれば、電子部品に対して直交する方向から第1照明光を照射するとともに、電子部品に対して斜め方向から第2照明光を照射することによって、電子部品とこの周りの部位とにコントラスト差を生じさせることができる。このため、電子部品の輪郭を検出することができる。
【0021】
前記第1照明光及び第2照明光が青色であれば、電子部品がモールド品であって、これがエンボステープのポケットに収納されている場合に、電子部品とエンボステープのコントラスト差が大きくでる。また、黒色である電子部品の表面に赤色の第3照明光を斜め上方から照射することによって、この電子部品の表面の文字を識別することができる。
【0022】
電子部品の輪郭を検出した後、検出した輪郭内において電子部品の表面を検査することができる。すなわち、検査すべき範囲が確定し、電子部品の表面の安定した検査が可能である。
【発明の効果】
【0023】
本発明では、輪郭検出用照明手段によって、電子部品とこの周りの部位とにコントラスト差を生じさせることができ、電子部品の輪郭を検出することができる。このため、電子部品の外形部の欠けを検出することができる。また、表面検査用照明手段の第3照明光を照射することによって、電子部品の表面の傷、欠け、文字の有無等の検査を行うことができる。このように、電子部品の外観検査を精度よく安定して行うことができる。
【0024】
また、電子部品に対して直交する方向から第1照明光を照射するとともに、電子部品に対して斜め方向から第2照明光を照射することによって、第1照明光の照射では検出できない傷等を第2照明光の照射にて検出でき、また、第2照明光の照射では検出できない傷等を第1照明光の照射にて検出することができる。これによって、この輪郭検出用照明手段による検出精度が向上する。具体的には電子部品がモールド品である場合に、不良ではないむら(光沢むら等)と、傷や欠けとを区別でき、より高精度の検査を行うことができる。
【0025】
輪郭検出用照明手段の第1照明光及び第2照明光が青色であれば、電子部品とエンボステープのコントラスト差が大きくでる。これによって、電子部品の外形部の欠け等の検出を高精度に検出することができる。また、黒色である電子部品の表面に赤色の第3照明光を斜め上方から照射することによって、この電子部品の表面の文字を識別可能とすることができる。このため、電子部品の表面の文字の検査の精度が向上する。
【0026】
輪郭検出用照明手段による照明時に、撮影手段にて撮影した画像を、2値化処理することによって、電子部品の周りの部位を黒くするとともに、電子部品の表面を白くすることができる。また、表面検査用照明手段による照明時に、撮影手段にて撮影した画像を、2値化処理することによって、電子部品の表面の傷や欠けさらには表面に表示されている文字等を白くして識別することができる。これによって、電子部品の検査精度の向上を図ることができる。
【0027】
電子部品の輪郭を検出した後、検出した輪郭内において電子部品の表面を検査するものであれば、まず、検査すべき範囲が確定するので、電子部品の表面の安定した検査が可能である。このため、短時間に高精度の電子部品の検査が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図4に基づいて説明する。
【0029】
図1に本発明の検査装置を示す。この検査装置は、ICチップ等の電子部品13の表面の傷、欠け、文字の有無等の検査を行うものである。なお、この電子部品13は、エンボステープ11のポケットに収納されている。
【0030】
検査装置は、電子部品13に対して直交する方向から第1照明光を照射するとともに、電子部品13に対して斜め方向から第2照明光を照射する輪郭検出用照明手段20と、電子部品13に対して斜め方向から第3照明光を照射する表面検査用照明手段21と、輪郭検出用照明手段20や表面検査用照明手段21にて照射された電子部品13の画像を撮影する撮影手段15としてのカメラ22(CCDカメラ)等を備える。
【0031】
輪郭検出用照明手段20は、第1照明光を照射する輪郭用同軸照明器23と、第2照明光を照射する輪郭用斜方照明器24とを備え、表面検査用照明手段21は第3照明光を照射する文字用斜方照明器25を備える。
【0032】
輪郭用同軸照明器23は、図2に示すように、ケーシング26と、このケーシング26内に収納される光源としての複数個のLED(発光ダイオード)27及びハーフミラー28等を備える。複数個のLED27は、ケーシング26の一方の側壁26a側の基板29に保持される。この輪郭用同軸照明器23(具体的には基板29)には図1に示すように電源ケープル31を介して照明用電源30が接続されている。このため、照明用電源30から基板29を介して各LED27に電流が供給され、各LED27が発光する。この場合、青色(波長が430〜460nm)の照明光(第1照明光)が水平方向に沿って他方の側壁26bに向けて照射される。
【0033】
また、ハーフミラー28は、LED27からの照明光に対して傾斜して配置され、LED27からの照明光を下方へ向けて反射する。このため、ケーシング26の下壁26cには窓部32が設けられ、この窓部32を介して、電子部品13に対して直交する方向から第1照明光を照射することができる。
【0034】
ケーシング26の上壁26dには窓部33が設けられ、電子部品13からの反射光がハーフミラー28を介して窓部33から出光する。この窓部33から出た反射光はレンズ(ズームレンズ)34を介してカメラ22に入光する。なお、図2において、35は拡散板である。
【0035】
次に、輪郭用斜方照明器24は図3と図4に示すように、ケーシング37と、このケーシング37内にリング状に配設される光源としての複数のLED38とを備える。ケーシング37は、リング状平板体37aと、このリング状平板体37aの外周側に配設される短円筒体37bとを備える。
【0036】
また、ケーシング37内には、下方に向かって拡径するコーン状の基板39が配置されている。この基板39はリング状平板体37aの軸心孔40よりも外径側に配置され、複数個のLED38が図4に示すようにリング状に並べられて接続されている。この基板39には電源ケープル41を介して照明用電源30が接続されている。このため、照明用電源30から基板39を介して各LED37に電流が供給され、各LED37が発光して、下方に向かって軸心に集まるように青色(波長が430〜460nm)の照明光(第2照明光)が照射される。また、ケーシング37のリング状平板体37aの軸心孔40および基板39の貫孔39aにて、前記輪郭用同軸照明器23の第1照明光が通過する通過路42が形成される。
【0037】
表面検査用照明手段21を構成する文字用斜方照明器25は、前記輪郭用斜方照明器24と同様の構成のものを使用する。すなわち、図示省略するが、文字用斜方照明器25は、ケーシングと、このケーシング内にリング状に配設される光源としての複数のLEDとを備える。また、ケーシング内には、下方に向かって拡径するコーン状の基板が配置されている。この基板に複数個のLEDがリング状に並べられて接続されている。この基板には電線ケーブル44を介して照明用電源45が接続されている。
【0038】
このため、照明用電源45から基板を介して各LEDに電流が供給され、各LEDが発光して、下方に向かって軸心に集まるように赤色(波長が610〜780nm)の照明光(第3照明光)が照射される。また、この文字用斜方照明器25においても、前記輪郭用同軸照明器23の第1照明光及び輪郭用斜方照明器24の第2照明光が通過する通過路(図示省略)が形成される。
【0039】
また、第1照明光及び第2照明光にて照明された電子部品13の画像、及び第3照明光にて照明された電子部品13の画像がカメラ22にて撮影され、この画像のデータが画像処理手段50としてのパソコン51に送られる。このパソコン51にて、画像が2値化処理され、画面(ディスプレイ)52に表示される。
【0040】
次に、前記した検査装置を使用した電子部品の検査方法を説明する。この場合、例えば、レンズ34の先端(下端)から電子部品13までの寸法d1を225mmとし、輪郭用同軸照明器23から電子部品13までの寸法d2を70mmとし、輪郭用斜方照明器24から電子部品13までのd3を33mmとし、文字用斜方照明器25から電子部品13までのdを10mmとしている。
【0041】
また、電子部品(モールドチップ)13は、エンボステープ11のポケットに収納した状態である。電子部品13の表面(上面)には、製品の情報、例えば製品番号や製造番号等が表示されている。すなわち、黒色のエンボステープ11のポケットに、本体表面が黒色の電子部品13が収納され、黒色の本体表面に白色の文字や記号が記載されている。
【0042】
まず、電子部品13の輪郭を検出する工程を行う。この場合、輪郭検出用照明手段20の輪郭用同軸照明器23から青色の第1照明光を電子部品13に向けて照射するとともに、輪郭検出用照明手段20の輪郭用斜方照明器24から青色の第2照明光を電子部品13に向けて照射する。
【0043】
すなわち、電子部品13に対して直交する方向から第1照明光を照射するとともに、電子部品13に対して斜め方向から第2照明光を照射する。これによって、電子部品13の表面と、エンボステープ11とのコントラスト差が生じる。そして、この電子部品13の表面およびこの電子部品13の周りの一部をカメラ22にて撮影(撮像)する。
【0044】
画像処理手段50(パソコン)において、カメラ22にて撮影(撮像)した画像の2値化による面積判定を行うことによって、図5に示すように、電子部品13を白抜き状態とすることができる。これによって、電子部品13の輪郭を把握することができ、電子部品13に傷や欠け等があれば、黒くすることができる。
【0045】
次に、電子部品の表面を検査する工程を行う。この場合、第1照明光と第2照明光の照射を停止して、表面検査用照明手段21の文字用斜方照明器25にて、電子部品13に対して斜め方向から赤色の第3照明光を照射する。すなわち、黒色である電子部品13の表面に赤色の第3照明光を斜め上方から照射することによって、電子部品13の表面およびこの電子部品13の周りの一部をカメラ22にて撮影(撮像)する。その後は、画像処理手段50(パソコン)において、カメラ22にて撮影(撮像)した画像の2値化による面積判定を行うことによって、図6に示すように、この電子部品13の表面の文字を白くするとともに、傷、欠け、及び異物(ごみや埃等)も白くすることができる。これによって、電子部品13の外観検査を行うことができる。
【0046】
本発明では、輪郭検出用照明手段20によって、電子部品13とこの周りの部位とにコントラスト差を生じさせることができ、電子部品13の輪郭を検出することができる。このため、電子部品13の外形部の欠けを検出することができる。また、表面検査用照明手段21の第3照明光を照射することによって、電子部品13の表面の傷、欠け、文字の有無等の検査を行うことができる。このように、電子部品13の外観検査を精度よく安定して行うことができる。
【0047】
また、電子部品13に対して直交する方向から第1照明光を照射するとともに、電子部品13に対して斜め方向から第2照明光を照射することによって、第1照明光の照射では検出できない傷等を第2照明光の照射にて検出でき、また、第2照明光の照射では検出できない傷等を第1照明光の照射にて検出することができる。これによって、この輪郭検出用照明手段による検出精度が向上する。具体的には電子部品がモールド品である場合に、不良ではないむら(光沢むら等)と、傷や欠けとを区別できより高精度の検査を行うことができる。
【0048】
特に、前記実施形態では、輪郭検出用照明手段20の第1照明光及び第2照明光が青色であるので、電子部品13とエンボステープ11のコントラスト差が大きくでる。これによって、電子部品13の外形部の欠け等の検出を高精度に検出することができる。また、黒色である電子部品13の表面に赤色の第3照明光を斜め上方から照射することによって、電子部品13の表面の外観検査の精度が向上する。
【0049】
電子部品13の輪郭を検出した後、検出した輪郭内において電子部品13の表面を検査するので、まず、検査すべき範囲が確定する。このため、電子部品13の表面の安定した検査が可能であり、短時間に高精度の電子部品13の検査を行える。
【0050】
輪郭検出用照明手段20による照明時に、撮影手段にて撮影した画像を、2値化処理することによって、電子部品12の周りの部位を黒くするとともに、電子部品12の表面を白くすることができる。また、表面検査用照明手段21による照明時に、撮影手段にて撮影した画像を、2値化処理することによって、電子部品12の表面の傷や欠けさらには表面に表示されている文字等を白くして識別可能とすることができる。このため、前記検査装置による電子部品13の検査では、検査精度の向上を図ることができる。
【0051】
ところで、前記実施形態では、電子部品13の表面の外観検査においては、第3照明光のみの照射で行ったが、電子部品13の表面の外観検査においても、輪郭検出用照明手段20の第1照明光及び第2照明光を照射することによって、電子部品13の輪郭の把握を行ってもよい。
【0052】
また、前記実施形態では、第2照明光を照射する斜方照明器24と第3照明光を照射する斜方照明器25を備えていたが、他の実施形態として、斜方照明器25を省略して、斜方照明器24に第3照明光も照射できるようにしてもよい。この場合、斜方照明器24に、青色に発光するLEDと、赤色に発光するLEDとの2種類を配置し、輪郭を検出する際に青色のLEDを発光させ、外観検査の際に赤色のLEDを発光するようにすればよい。このように、斜方照明器25を省略すれば、装置のコンパクト化を図ることができる。
【0053】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば、実施形態では、電子部品13としては、モールド品であっても、ウェハ等であってもよい。また、第1照明光と第2照明光とを青色とし、第3照明光を赤色としたが、これは、電子部品13の表面が黒色であり、エンボステープ11が黒色である場合において好ましいものである。このため、電子部品13の表面とエンボステープの色が、黒色でない場合には、第1照明光と第2照明光を青以外の色としても、第3照明光が赤色以外の色であってもよい。
【0054】
また、輪郭用斜方照明器24や文字用斜方照明器25の照明光の傾斜角度としては、例えば鉛直面に対して45度程度することができるが、電子部品13とこの周りの部位との間にコントラスト差が生じるものであればよい。なお、実施形態では、各照明器23、24、25を電子部品13上に同一鉛直線上に配置したが、電子部品13の輪郭の検出の際に、照明器25が外部へ逃げたり、外観検査の際に、照明器23、24が外部へ逃げたりしてもよい。さらに、前記実施形態では、輪郭検出用照明手段20を表面検査用照明手段21よりも上方に配置したが、表面検査用照明手段21を輪郭検出用照明手段20よりも上方に配置してもよい。また、検査する電子部品14に対して各照明手段からの照明光を上方側から照射するものに限らず、下方側から照射したり、側方側(水平方向)から照射したりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施形態の検査装置を示す簡略斜視図である。
【図2】前記図1に示した検査装置に使用した輪郭用同軸照明器の断面図である。
【図3】前記図1に示した検査装置に使用した輪郭用斜方照明器の断面図である。
【図4】前記輪郭用斜方照明器の要部簡略図である。
【図5】電子部品の輪郭を検出する工程における画像を示す図である。
【図6】電子部品の表面を検査する工程における画像を示す図である。
【図7】従来の検査装置の簡略図である。
【符号の説明】
【0056】
15 撮影手段
20 輪郭検出用照明手段
21 表面検査用照明手段
23 輪郭用同軸照明器
24 輪郭用斜方照明器
25 文字用斜方照明器
50 画像処理手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品に対して直交する方向から第1照明光を照射するとともに、電子部品に対して斜め方向から第2照明光を照射して、電子部品とこの周りの部位とにコントラスト差を生じさせる輪郭検出用照明手段と、
電子部品に対して斜め方向から第3照明光を照射する表面検査用照明手段とを備えたことを特徴とする電子部品検査装置。
【請求項2】
前記輪郭検出用照明手段の第1照明光及び第2照明光が青色であるとともに、表面検査用照明手段の第3照明光が赤色であることを特徴とする請求項1の電子部品検査装置。
【請求項3】
前記輪郭検出用照明手段は、前記第1照明光を照射する輪郭用同軸照明器と、前記第2照明光を照射する輪郭用斜方照明器とを備え、輪郭用同軸照明器と輪郭用斜方照明器とを前記電子部品の上方に配置したことを特徴とする請求項1又は請求項2の電子部品検査装置。
【請求項4】
前記表面検査用照明手段は前記第3照明光を照射する文字用斜方照明器を備え、電子部品の上方に配置したことを特徴とする請求項3の電子部品検査装置。
【請求項5】
前記輪郭検出用照明手段の輪郭用斜方照明器は、第2照明光と第3照明光との照射が可能であることを特徴とする請求項3の電子部品検査装置。
【請求項6】
前記照明手段にて照明された電子部品およびこの周りの部位を撮影する撮影手段と、この撮影手段にて撮影された画像の2値化処理を行う画像処理手段とを備えたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかの電子部品検査装置。
【請求項7】
電子部品に対して直交する方向から第1照明光を照射するとともに、電子部品に対して斜め方向から第2照明光を照射し、電子部品とこの周りの部位とにコントラスト差を生じさせて、電子部品の輪郭を検出する工程と、
電子部品に対して斜め方向から第3照明光を照射して電子部品の表面を検査する工程とを備えたことを特徴とする電子部品検査方法。
【請求項8】
前記第1照明光及び第2照明光が青色であるとともに、第3照明光が赤色であることを特徴とする請求項7の電子部品検査方法。
【請求項9】
電子部品の輪郭を検出した後、検出した輪郭内において電子部品の表面を検査することを特徴とする請求項8又は請求項9の電子部品検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−42093(P2009−42093A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−207818(P2007−207818)
【出願日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(000110859)キヤノンマシナリー株式会社 (179)
【Fターム(参考)】