説明

電子錠装置、ロッカー装置及び電子錠装置の制御方法

【課題】暗証文字の入力によってユーザ本人を認証して解錠を行う電子錠装置において、暗証文字の入力操作に起因した暗証文字の第三者への漏洩を抑制する。
【解決手段】電子錠装置が、電子的な操作により施錠及び解錠が行われる電子錠28と、ユーザが操作する複数のキーを備える入力部26と、各キーに1対1で割り当てられる文字を表示するディスプレイ27と、前記入力部26から入力された暗証文字によりユーザ本人を認証する本人認証部34と、前記本人認証部34がユーザ本人を認証した場合に前記電子錠28を解錠する施解錠指令部33と、前記本人認証部34がユーザ本人を認証した後に、暗証文字の入力時に前記ディスプレイ27に表示されていた前記文字の配置を変更する配置変更部31とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暗証文字の入力によってユーザ本人を認証して解錠を行う電子錠装置、ロッカー装置及び電子錠装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、スキー場、ゴルフ場やフィットネスクラブ、スポーツジム、プールなどのスポーツ施設において、ユーザの利用に供されるロッカーが知られている。この中でも、物理的な鍵を用いずに例えば暗証番号の入力によってユーザ本人を認証して電子的な操作により施錠及び解錠を行う電子錠装置を備えたものが普及している(特許文献1参照)。また、暗証番号を入力するためのテンキーボタンが各ロッカー扉に設置された宅配ボックスも提案されている(特許文献2参照)。
【0003】
ところが、従来の暗証番号の入力手段においては、入力される数字が番号順に配列され、且つ各キーの表面に直接印字されていた。したがって、暗証番号の入力に際して、入力操作者の周辺に居る第三者は、入力操作者の入力操作(指の動き等)を傍観するだけで、入力された暗証番号を推認することが可能な場合があった。
【0004】
そこで、この暗証番号の入力操作に起因した暗証番号の第三者への漏洩を防止するために、暗証番号を入力するための入力部と、入力部における数字の配置を表示する表示部とを分離し、表示部に表示される数字の配置をランダムな配置を含む複数の配置パターンの間で任意に選択可能とすることで、暗証番号の入力操作時における数字の配置を分かりにくくして、暗証番号の推認を防止する提案が成されている(特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2001−323696号公報
【特許文献2】特開平11−146829号公報
【特許文献3】特開昭62−98461号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、暗証番号の入力操作時に表示していた数字の配置を暗証番号の入力操作の後においてもそのまま表示してしまうと、悪意のある第三者は、暗証番号の入力操作時に指の動きを盗み見て、暗証番号の入力操作の後に当該数字の配置を見れば、暗証番号を解読してしまう場合がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みて成されたものであり、その目的は、暗証文字の入力操作に起因した暗証文字の第三者への漏洩を抑制する電子錠装置、ロッカー装置及び電子錠装置の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の特徴は、暗証文字の入力によってユーザ本人を認証して解錠を行う電子錠装置であって、電子錠装置が、電子的な操作により施錠及び解錠が行われる電子錠と、ユーザが操作する複数のキーを備える入力部と、各キーに1対1で割り当てられる文字を表示するディスプレイと、前記入力部から入力された暗証文字によりユーザ本人を認証する本人認証部と、前記本人認証部がユーザ本人を認証した場合に前記電子錠を解錠する解錠指示部と、前記本人認証部がユーザ本人を認証した後に、暗証文字の入力時に前記ディスプレイに表示されていた前記文字の配置を変更する配置変更部とを備えることである。
【0008】
本発明の第1の特徴によれば、ユーザがキーを操作して暗証文字を入力し、入力された暗証文字により本人認証に成功した場合、本人認証部がユーザ本人を認証した後に、暗証文字の入力時にディスプレイに表示されていた文字の配置を変更することにより、悪意のある第三者は、暗証文字の入力操作時に指の動きを盗み見ても、暗証文字の入力操作の後に、暗証文字の入力操作時の文字の配置を見ることができない。よって、暗証文字の解読を抑制することができる。
【0009】
また、文字の配置に変更することにより、ユーザに対して本人認証に成功して電子錠が解錠されたことを視覚的に報知することができる。
【0010】
本発明の第2の特徴は、暗証文字の入力によってユーザ本人を認証して解錠を行うロッカー装置であって、ロッカー装置が、扉を有するボックスと、前記扉に設けられた電子錠と、ユーザが操作する複数のキーを備える入力部と、各キーに1対1で割り当てられる文字を表示するディスプレイと、前記入力部から入力された暗証文字によりユーザ本人を認証する本人認証部と、前記本人認証部がユーザ本人を認証した場合に前記電子錠を解錠する解錠指示部と、前記本人認証部がユーザ本人を認証した後に、暗証文字の入力時に前記ディスプレイに表示されていた前記文字の配置を変更する配置変更部とを備えることである。
【0011】
本発明の第3の特徴は、電子的な操作により施錠及び解錠が行われる電子錠と、ユーザが操作する複数のキーを備える入力部と、各キーに1対1で割り当てられる文字を表示するディスプレイとを備える電子錠装置の制御方法であって、当該制御方法において、ユーザの操作により入力された暗証文字に基づいてユーザ本人を認証し、ユーザ本人の認証に成功した場合に電子錠を解錠し、ユーザ本人の認証に成功した後に、暗証文字の入力時に前記ディスプレイに表示されていた前記文字の配置を変更することである。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明の電子錠装置、ロッカー装置及び電子錠装置の制御方法によれば、暗証文字の入力操作に起因した暗証文字の第三者への漏洩を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付している。
【0014】
先ず図1を参照して、本発明の実施の形態に係わるロッカー装置を有するロッカーシステムの構成を説明する。ロッカーシステムは、ユーザが荷物を預け入れたり、取り出したりすることができる複数のロッカー装置LU1、LU2、LU3、・・・と、ロッカー装置LU1、LU2、LU3、・・・を利用する際に必要となるロッカー利用券を発券する発券機12と、複数のロッカー装置LU1、LU2、LU3、・・・及び発券機12を制御する制御PC11とを備える。なお、本発明の実施の形態では、プールやスキー場など、1日などの単位で何度も荷物を預け入れ及び取り出しができるロッカーシステムを例にとり説明する。
【0015】
ロッカー装置LU1、LU2、LU3、・・・は、扉を有するボックスと、扉の施錠に用いられる電子錠装置とをそれぞれ備え、ユーザは扉を開けてボックス内に荷物を収納して、電子錠装置の操作により扉を施錠することで、荷物を保管することができる。各ロッカー装置LU1、LU2、LU3、・・・の扉には、暗証番号などの入力に用いるタッチパネル15と、扉を開く際に手を掛ける取手16と、マスターキーを挿入するキー挿入口17と、ロッカー装置LU1、LU2、LU3、・・・を識別するためのロッカー番号が印字されたロッカー番号プレート18とが設けられている。
【0016】
図2を参照して、図1のロッカー装置LU7の詳細な構成を説明する。なお、ロッカー装置LU7を例に取り説明するが、その他のロッカー装置LU1、LU2、LU3、・・・もロッカー装置LU7と同様な構成を有する。
【0017】
ロッカー装置LU7は、扉の施錠に用いられる電子錠装置3と、制御PC11との間で通信を行うための通信部21とを備える。電子錠装置3は、ユーザによる暗証番号などの入力に用いられるタッチパネル15と、扉の開閉を制限し且つ扉の開閉を検出する錠ユニット24と、タッチパネル15及び錠ユニット24を制御する制御部22と、ユーザにより入力された暗証番号などを記憶する記憶部23とを備える。
【0018】
錠ユニット24は、電子的な操作により施錠及び解錠が行われる電子錠28と、扉の開閉を検知する開閉検知部29とを備える。タッチパネル15は、ユーザが操作する複数のキーを備える入力部26と、各キーに1対1で割り当てられる数字を表示するディスプレイ27とを備える。記憶部23は、発券機12が発券したロッカー利用券に記載された解錠番号を記憶する解錠番号記憶部38と、入力部26から入力された数字列を暗証番号として記憶する暗証番号記憶部39とを備える。
【0019】
制御部22は、マイコンやCPUなどの演算処理機能を備える部材により構成され、入力部26から入力された暗証番号によりユーザ本人を認証する本人認証部34と、電子錠28に対して施錠及び解錠を指令する施解錠指令部33(解錠指示部)と、ディスプレイ27に表示される数字の配置を変更する配置変更部31と、ディスプレイ27に表示される数字と入力部26のキーとの対応を解読する解読部32と、開閉検知部29が扉の開を検知した場合に扉の開を検知する前にディスプレイ27に表示されていた数字の配置を消去する表示消去部35とを備える。
【0020】
図3(a)に示すように、図2のタッチパネル15は、例えばLED又は液晶で構成されるディスプレイ27と、ディスプレイ27の表示面に重ね合わされる透明スイッチパネルからなる入力部26とを備える。ディスプレイ27には、0〜9の数字、C及びLのアルファベット、及び入力された数字列が表示される。入力部26には、マトリックス状に配置された複数のキーK1〜K12が形成され、各キーK1〜K12はパネル面の押下げ操作を検知する機能をそれぞれ備える。「C」は入力された数字を消去する「入力値消去ボタン」を示す文字であり、「L」は電子錠28の施錠を指令する「施錠ボタン」を示す文字である。
【0021】
図3(b)に示すように、ディスプレイ27に表示される0〜9の数字及びC及びLのアルファベットは、入力部26の各キーK1〜K12に1対1で対応している。図2の解読部32は、押下げ操作を検知したキーK1〜K12に対応するディスプレイ27の数字又は文字を解読する。例えば、図3(a)のキーK1が押下げ操作された場合、解読部32は、ディスプレイ27の数字「1」が入力されたと判断する。続けて、キーK5、キーK9、キーK2、キーK6が押下げ操作された場合、解読部32は、ディスプレイ27の数字「2」、「3」、「4」、「5」が入力されたと判断する。そして、ディスプレイ27には、入力された数字列「12345」が表示される。
【0022】
図4(a)〜図4(e)を参照して、ディスプレイ27に表示される数字の配置を変更する際に用いる規則について説明する。図2の配置変更部31は、例えば以下に示す(1)〜(6)からなる規則に従って、ディスプレイ27に表示される数字の配置を変更する。(1)〜(6)からなる規則に従って変更される数字の配置を「ランダム配列」と呼ぶ。
【0023】
(1)入力部26のうちの特定のキーを起点として、2以上の方向のいずれか1つの方向に0〜9の数字を順番に配列する。9の次には0を配列する。例えば図4(a)に示すように、入力部26のうちの左上に配置されたキーK1を起点(※)として、右方向或いは下方向に0〜9の数字を順番に配列する。
【0024】
(2)キーK1に割り当てられる数字は、ユーザが行う入力操作毎に+1ずつ加算していく。9の次に0を割り当てることで、0〜9の数字をキーK1に繰り返し割り当てることができる。
【0025】
(3)配列する方向は、入力操作の回数に応じて変更する。例えば、奇数回の入力操作時には右方向に配列し、偶数回の入力操作時には下方向に配列する。
【0026】
(4)変更の対象となる文字は0〜9の数字であり、C及びLのアルファベットの配置は変更しない。
【0027】
(5)入力操作の回数は電源リセット時にクリアする。
【0028】
(6)初回操作時にキーK1に割り当てられる数字を、各ロッカー装置LU1、LU2、LU3、・・・のロッカー番号プレート18に印字されたロッカー番号を構成する総ての数字を加算して得られる数の1の位の数字とする。
【0029】
例えば、ロッカー番号2104のロッカー装置の一回目の入力操作において、配置変更部31は、図4(b)に示すように、キーK1に7を配置し、キーK1から右方向に8、9、0〜6の数字を順番に配列する。同じロッカー装置の二回目の入力操作において、配置変更部31は、図4(c)に示すように、キーK1に8を配置し、キーK1から下方向に9、0〜7の数字を順番に配列する。同様にして、配置変更部31は、三回目の入力操作において、図4(d)に示すように、キーK1に9を配置し、キーK1から右方向に0〜8の数字を順番に配列し、四回目の入力操作において、図4(e)に示すように、キーK1に0を配置し、キーK1から下方向に1〜9の数字を順番に配列する。
【0030】
このように、「ランダム配列」は、(1)〜(6)からなる規則に従って入力操作毎に変更される数字の配置であり、図3(a)及び図3(b)に示したように従来から用いられている一般的な数字の配置(これを「通常配列」という)に比べて、規則性の低い数字の配置であると言える。
【0031】
なお、配置変更部31は、少なくともユーザが暗証番号を設定する時及び暗証番号の入力によりユーザ本人を認証する時に「ランダム配列」をディスプレイ27に表示するが、図3(a)及び図3(b)に示したような「通常配列」をディスプレイ27に表示させる場合もある。
【0032】
図5を参照して、発券機12が発券するロッカー利用券に記載されている事項の一例を説明する。ロッカー利用券には、利用可能な日を示す利用日、利用可能なロッカー装置のロッカー番号、及びロッカー利用券を購入した者を認証するための解錠番号が記載されている。ロッカー利用券を購入した者は、そこに記載された日にちにおいて、記載されたロッカー番号のロッカー装置LU1、LU2、LU3、・・・を利用することができる。
【0033】
なお、不正な利用を防止するため、利用を開始する際には、タッチパネル15から解錠番号を入力して正当なロッカー利用券の購入者であることを認証することが必要である。そこで、発券機12はロッカー利用券を発券する度に、ロッカー利用券に記載された情報を制御PC11へ送信し、制御PC11は、ロッカー利用券に記載されたロッカー番号により識別されるロッカー装置LU1、LU2、LU3、・・・に対してロッカー利用券に記載された解錠番号の情報を送信する。ロッカー装置LU1、LU2、LU3、・・・は、自己の解錠番号記憶部38に解錠番号のデータを格納する。
【0034】
図6(a)は、ユーザ本人を認証するための暗証番号の入力操作が可能なロッカー装置LU7の状態を示す。この状態において、ディスプレイ27に「ランダム配列」が表示されたタッチパネル15から、ユーザが既に設定済みの暗証番号を入力操作する。入力された暗証番号によりユーザ本人の認証に成功すると、電子錠28が解錠されると同時に、タッチパネル15に表示される数字の配置が、それまでの「ランダム配列」から「通常配列」へ変更される。
【0035】
図6(b)は、ユーザ本人の認証に成功し、電子錠28の解錠後に扉5が開かれたロッカー装置LU7の状態を示す。電子錠28が解錠され、ユーザが扉5を開いた場合、開閉検知部29が扉5の開を検知して、扉5の開を検知する前にディスプレイ27に表示されていた数字の配置を消去する。ディスプレイ27がLED又は液晶からなる場合、LED又は液晶を消灯する。
【0036】
図7及び図8を参照して、図1に示したロッカー装置の制御方法の一例を説明する。図7及び図8は一連の処理手順を示す1つのフローチャートであるが、先ず、図7に示した部分について説明する。
【0037】
(イ)S01段階において、入力部26のいずれかのキーに対して押し圧操作が成されるか否かを監視する。押し圧操作が成された場合(S01でYES)、S03段階に進み、ディスプレイ27を点灯して、配置変更部31により生成された「ランダム配列」をディスプレイ27に表示する。
【0038】
(ロ)S05段階に進み、暗証番号が暗証番号記憶部39に設定されているか否かを判断する。暗証番号が設定されている場合(S05でNO)、図8のS35段階に進み、暗証番号が設定されていない場合(S05でYES)、S07段階に進む。
【0039】
(ハ)S07段階において、ユーザがタッチパネル15を押下げ操作して解錠番号が入力されることを待つ。ユーザは、例えば、図5に示したロッカー利用券に記載された解錠番号と同じ数字列を順番に入力する。本人認証部34は、入力された数字列と解錠番号記憶部38に格納されている解錠番号とが一致するか否かを判断する。数字列と解錠番号とが一致する場合(S09でYES)、S11段階に進み、数字列と解錠番号とが一致しない場合(S09でNO)、エラー音を発して、S07段階に戻り、ユーザに対して再度、解錠番号の入力を促し、解錠番号が入力されることを再び待つ。
【0040】
(ニ)S11段階において、ブザー音を発すると共に、施解錠指令部33は電子錠28を解錠し、配置変更部31は、S03段階で表示されていた「ランダム配列」とは異なる他の「ランダム配列」へ数字の配置を変更してディスプレイ27に表示する。具体的には、(1)〜(6)に示した規則に従って例えば図4(b)〜図4(e)に示す順序で、ディスプレイ27に表示される数字の配置を変更する。
【0041】
(ホ)S13段階に進み、解錠してから所定の時間内に、開閉検知部29が扉5の開を検知したか否かを判断する。開閉検知部29が扉5の開を検知しないまま、所定時間が経過した場合(S13でNO及びS15でYES)、S17段階に進み、電子錠28を施錠してディスプレイ27を消灯し、S01段階に戻る。
【0042】
(へ)一方、所定時間の間に開閉検知部29が扉5の開を検知した場合(S13でYES)、S19段階に進み、開閉検知部29が、一旦開いた扉5の閉を検知することを待つ。ユーザは、S13とS19の間に、扉5を開けてボックス内に荷物を収納する。開閉検知部29が扉5の閉を検知した場合(S19でYES)、S21段階に進み、扉5が閉じてから所定の時間、ユーザによる暗証番号の入力を待つ。ユーザは、任意に選んだ4桁の数字列を暗証番号として入力することができる。ユーザにより4桁の数字列及び「施錠ボタン」が押下げ操作されないまま、所定時間が経過した場合(S23でNO及びS29でYES)、S31段階に進み、施解錠指令部33は電子錠28を施錠してディスプレイ27を消灯する。その後、S33段階に進み、当該ロッカー装置の使用を中止して、本フローチャートは終了する。
【0043】
(ト)一方、所定時間の間にユーザにより4桁の数字列及び「施錠ボタン」が押下げ操作された場合(S23でYES)、S25段階に進み、入力された4桁の数字列を暗証番号として暗証番号記憶部39に格納する。そして、S27段階に進み、ブザー音を発すると共に、施解錠指令部33は電子錠28を施錠してディスプレイ27を消灯する。その後、S01段階に戻る。
【0044】
次に、図8に示す部分について説明する。
【0045】
(い)図7のS05段階において暗証番号が暗証番号記憶部39に設定されている場合(S05でNO)、図8のS35段階に進み、ユーザがタッチパネル15を押下げ操作して暗証番号が入力されることを待つ。ユーザには、S23段階で入力した暗証番号と同じ数字列を再度入力することが求められる。S37段階に進み、本人認証部34は、入力された数字列がS25段階で暗証番号記憶部39に記憶した暗証番号と一致するか否かを判断する。
【0046】
(ろ)入力された数字列が暗証番号記憶部39に記憶された暗証番号と一致する場合(S37でYES)、暗証番号によるユーザ本人の認証に成功したことになり、S39段階に進み、ブザー音を発すると共に、施解錠指令部33(解錠指示部)は電子錠28を解錠し、配置変更部31は、暗証番号の入力時(S35)にディスプレイ27に表示されていた数字の配置よりも規則性の高い数字の配置へ変更する。具体的には、暗証番号の入力時(S35)に表示されていた「ランダム配列」から「通常配列」へ変更する。一方、入力された数字列が暗証番号記憶部39に記憶された暗証番号と相違する場合(S37でNO)、エラー音を発すると共に、S35段階に戻り、再度、ユーザがタッチパネル15を押下げ操作して暗証番号が入力されることを待つ。
【0047】
(は)S41段階に進み、解錠してから所定の時間内に、開閉検知部29が扉5の開を検知したか否かを判断する。開閉検知部29が扉5の開を検知しないまま、所定時間が経過した場合(S41でNO及びS43でYES)、S45段階に進み、電子錠28を施錠してディスプレイ27を消灯し、S01段階に戻る。
【0048】
(に)一方、所定時間の間に開閉検知部29が扉5の開を検知した場合(S41でYES)、S47段階に進み、表示消去部35は、ディスプレイ27を消灯することにより、扉5の開を検知する前にディスプレイ27に表示されていた数字の配置を消去する。S49段階に進み、開閉検知部29が一旦開いた扉5の閉を検知することを待つ。ユーザは、S41とS49の間に、扉5を開けてボックス内に預けた荷物を取り出す、或いは他の荷物を収納する。開閉検知部29が扉5の閉を検知した場合(S49でYES)、S51段階に進み、ディスプレイ27を点灯して、「施錠ボタン」が押下げ操作されることを待つ。この際、「施錠ボタン」のみ検知するものとし、その他キーは検知不可状態となっている。
【0049】
(ほ)S53段階に進み、扉5の閉を検知してから所定の時間内に、ユーザにより「施錠ボタン」が押下げ操作されたか否かを判断する。ユーザにより「施錠ボタン」が押下げ操作されないまま、所定時間が経過した場合(S53でNO及びS57でYES)、S59段階に進み、施解錠指令部33は電子錠28を施錠してディスプレイ27を消灯する。その後、S01段階に戻る。
【0050】
(へ)一方、所定時間の間にユーザにより「施錠ボタン」が押下げ操作された場合(S53でYES)、S55段階に進み、施解錠指令部33は電子錠28を施錠してディスプレイ27を消灯する。その後、S01段階に戻る。
【0051】
次に、図9(a)〜図9(c)を参照して、図7及び図8に示したフローチャートにおけるディスプレイ27の表示画面の変化の一例を説明する。
【0052】
図9(a)は図7のS01〜S11におけるディスプレイ27の表示画面の一例を示す。消灯しているディスプレイ27に対して、S01段階で入力部26のいずれかのキーに対して押し圧操作することにより、「ランダム配列」をディスプレイ27に表示する(S03段階)。この表示状態においてユーザはロッカー利用券に記載された解錠番号(例えば12345)を入力する(S07段階)。入力された解錠番号が正しければ(S09でYES)、電子錠28を解錠すると共に、S03段階で表示されていた「ランダム配列」とは異なる他の「ランダム配列」へ数字の配置を変更する(S11段階)。具体的には、(1)〜(6)に示した規則に従って、ディスプレイ27に表示される数字の配置を変更する。
【0053】
図9(b)は図7のS21〜S27におけるディスプレイ27の表示画面の一例を示す。消灯しているディスプレイ27に対して、入力部26のいずれかのキーに対して押し圧操作することにより、「ランダム配列」をディスプレイ27に表示して、ユーザによる暗証番号の入力を待つ(S21段階)。ユーザにより4桁の数字列(例えば7964)が入力され、「施錠ボタン」が押下げ操作されると(S23でYES)、電子錠28を施錠してディスプレイ27を消灯する(S27段階)。
【0054】
図9(c)は図7のS01〜S05及び図8のS35〜S41、S47におけるディスプレイ27の表示画面の一例を示す。消灯しているディスプレイ27に対して、S01段階で入力部26のいずれかのキーに対して押し圧操作することにより、「ランダム配列」をディスプレイ27に表示して(S03段階)。既に設定されている暗証番号が入力されることを待つ(S35段階)。ユーザにより4桁の数字列(例えば7964)が入力され、既に設定されている暗証番号と一致すると(S37でYES)、電子錠28を解錠してディスプレイ27に「通常配列」を表示する(S39段階)。その後、扉5の開を検知したとき(S41でYES)、ディスプレイ27を消灯して、扉5の開を検知する前にディスプレイ27に表示されていた数字の配置を消去する(S47段階)。
【0055】
以上説明したように、本発明の実施の形態によれば、以下の作用効果が得られる。
【0056】
本発明の実施の形態によれば、ユーザが入力部26の各キーを操作して暗証番号を入力し、入力された暗証番号により本人認証に成功した場合、本人認証部34がユーザ本人を認証した後に、暗証番号の入力時にディスプレイ27に表示されていた数字の配置を変更するので、悪意のある第三者は、暗証番号の入力操作の後に、暗証番号の入力操作時の文字の配置を見ることができない。また、暗証番号の入力操作時の文字の配置はランダム配列である。よって、暗証番号の入力操作時に指の動きを盗み見ても、暗証番号の解読することが困難となる。
【0057】
数字の配置に変更することにより、ユーザに対して本人認証に成功して電子錠28が解錠されたことを視覚的に報知することができる。従来からのブザー音を組み合わせれば、より効果的に電子錠28の解錠を報知することができる。
【0058】
配置変更部31が、本人認証部34がユーザ本人を認証した後に、暗証番号の入力時にディスプレイ27に表示されていた数字の配置よりも規則性の高い数字の配置へ変更することにより、ユーザに対して本人認証に成功して電子錠28が解錠されたことを視覚的により分かりやすく報知することができる。例えば、「ランダム配列」から「通常配列」へ変更する場合、慣れ親しんだ「通常配列」に変化したことで、本人認証に成功したことをユーザに対して容易に認識させることができる。
【0059】
本発明の実施の形態では、本発明における「文字」の一例として0〜9の「数字」を採用した。すなわち、ディスプレイ27に表示される文字には0〜9の数字が含まれ、暗証文字は0〜9の数字から任意に選択された暗証番号である。そして、配置変更部31は、暗証番号の入力時にディスプレイ27に表示されていた0〜9の配置よりも規則性の高い0〜9の配置へ変更した。このように、0〜9の数字で構成される暗証番号の入力操作においても、本人認証に成功した後に、暗証番号の入力時にディスプレイ27に表示されていた0〜9の配置を変更すれば、悪意のある第3者による暗証番号の解読を抑制することができる。
【0060】
更に、本発明の実施の形態において、ディスプレイ27に表示される文字には、入力された数字の消去を示す文字(入力値消去ボタン)、電子錠28の施錠を示す文字(施錠ボタン)が更に含まれ、配置変更部31は、0〜9の配置のみを変更し、入力値消去ボタン及び施錠ボタンの配置を変更しない。これにより、暗証番号の入力操作を除く他の入力操作の利便性が向上する。
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は、1つの実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0061】
本発明の実施の形態では、本発明における「文字」の一例として0〜9の「数字」を採用した。しかし、本発明における「文字」には、0〜9以外の数字、記号、アルファベット、ひらがな、カタカナなど、ユーザ本人を認証する際の本人に固有の情報(パスワード)を構成し得る総ての文字が含まれる。
【0062】
本人認証部34がユーザ本人を認証した後に、暗証番号の入力時にディスプレイ27に表示されていた「ランダム配列」から「通常配列」へ変更する場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、(1)〜(6)に示した規則に従って、暗証番号の入力時にディスプレイ27に表示されていた「ランダム配列」から他の「ランダム配列」に変更しても良いし、或いは、変更後の数字の配置を、ディスプレイ27に表示される数字を総て同じ数字、例えば、数字の「1」を10個配置されたものにしても構わない。
【0063】
「ランダム配列」を変更する際に従う規則は、(1)〜(6)に示した規則に限らない。例えば、「ランダム配列」変更する度に、図4(a)の起点(※)を変更しても良いし、或いは乱数発生装置を用いて発生した乱数に基づいて0〜9の総ての数字の配置を無作為に変更しても構わない。後者の場合、規則性が実質的に無くなるため、数字の配置を予測することがほぼ不可能となり、ロッカー装置のセキュリティーが向上する。
【0064】
図7のS11段階と図8のS39段階は、共に、本人認証に成功した場合の解錠処理及び数字の配置を変更する処理を示している点で共通しているが、前者の場合、発券機12により指定された解錠番号による本人認証であり、入力操作時に表示されていた「ランダム配列」とは異なる他の「ランダム配列」へ数字の配置を変更するのに対して、後者の場合、ユーザ本人が任意に設定した暗証番号による本人認証であり、「ランダム配列」から「通常配列」へ変更する点で異なる。このように、解錠番号と暗証番号により認証成功した後の処理に違いを設けることで、ユーザは自らが行った処理内容を容易に識別することができるので、ユーザにとって操作性が高い装置となる。なお、勿論、ユーザに対して本人認証に成功して電子錠28が解錠されたことを視覚的に報知するという作用効果を高める為に、S11段階においても、S39段階と同様にして、「ランダム配列」から「通常配列」へ変更する処理を行っても構わない。
【0065】
配置変更部31は、ディスプレイ27に表示される0〜9の配置のみを変更する場合に限らず、ディスプレイ27に表示される入力値消去ボタン(C)や施錠ボタン(L)の配置を0〜9の配置と共に変更しても構わない。
【0066】
本発明の実施の形態では、入力部26を透明スイッチパネルとしてディスプレイ27の表示面に重ね合わせることにより、各キーK1〜K12と数字及びアルファベットとの対応関係をユーザに対して示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、入力部26をディスプレイ27の表示面に重ね合わせることなく、入力部26とディスプレイ27を別々に扉に並べて配置し、各キーK1〜K12と数字及びアルファベットとの対応関係をユーザに対して示しても構わない。
【0067】
また、入力部26及びディスプレイ27が扉5に設けられていなくても構わない。例えば、図1に示す隣接する複数の扉の間に隙間を設けて、その隙間に入力部26及びディスプレイ27を設けても構わない。
【0068】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ限定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の実施の形態に係わるロッカー装置を有するロッカーシステムの構成を示す概略図である。
【図2】図1のロッカー装置LU7の詳細な構成を示すブロック図である。
【図3】図3(a)は、図2のタッチパネル15の構成例を示す斜視図であり、図3(b)は、図3(a)のディスプレイ27と入力部26とを重ね合わせた状態のタッチパネル15のパネル面を示す正面図である。
【図4】図4(a)は、ディスプレイ27に表示される数字の配置を変更する際の規則の一例を説明するための模式図であり、図4(b)〜図4(e)は、図4(a)に示す規則に従って変更される数字の配置の一例を示す模式図である。
【図5】発券機12が発券する利用券に記載されている事項の一例を示す模式図である。
【図6】図6(a)は、ユーザ本人を認証するための入力操作が可能なロッカー装置LU7の状態を示す斜視図であり、図6(b)は、ユーザ本人の認証に成功し、電子錠28の解錠後に扉5が開かれたロッカー装置LU7の状態を示す斜視図である。
【図7】図1に示したロッカー装置の制御方法の一例を示すフローチャートである(その1)。
【図8】図1に示したロッカー装置の制御方法の一例を示すフローチャートである(その2)。
【図9】図9(a)は図7のS01〜S11におけるディスプレイ27の表示画面の一例を示す平面図であり、図9(b)は図7のS21〜S27におけるディスプレイ27の表示画面の一例を示す平面図であり、図9(c)は図7のS01〜S05及び図8のS35〜S41、S47におけるディスプレイ27の表示画面の一例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0070】
3 電子錠装置
5 扉
11 制御PC
12 発券機
15 タッチパネル
16 取手
17 キー挿入口
18 ロッカー番号プレート
21 通信部
22 制御部
23 記憶部
24 錠ユニット
26 入力部
27 ディスプレイ
28 電子錠
29 開閉検知部
31 配置変更部
32 解読部
33 施解錠指令部(解錠指示部)
34 本人認証部
35 表示消去部
38 解錠番号記憶部
39 暗証番号記憶部
K1〜K12 キー
LU1、LU2、LU3、・・・ ロッカー装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
暗証文字の入力によってユーザ本人を認証して解錠を行う電子錠装置であって、
電子的な操作により施錠及び解錠が行われる電子錠と、
ユーザが操作する複数のキーを備える入力部と、
各キーに1対1で割り当てられる文字を表示するディスプレイと、
前記入力部から入力された暗証文字によりユーザ本人を認証する本人認証部と、
前記本人認証部がユーザ本人を認証した場合に前記電子錠を解錠する解錠指示部と、
前記本人認証部がユーザ本人を認証した後に、暗証文字の入力時に前記ディスプレイに表示されていた前記文字の配置を変更する配置変更部と
を備えることを特徴とする電子錠装置。
【請求項2】
前記配置変更部は、前記本人認証部がユーザ本人を認証した後に、暗証文字の入力時に前記ディスプレイに表示されていた文字の配置よりも規則性の高い文字の配置へ変更することを特徴とする請求項1に記載の電子錠装置。
【請求項3】
前記ディスプレイに表示される文字には、複数の数字、入力された数字の消去を示す文字、及び前記電子錠の施錠を示す文字が含まれ、前記暗証文字は前記複数の数字から任意に選択された暗証番号であり、前記配置変更部は、暗証番号の入力時に前記ディスプレイに表示されていた前記複数の数字の配置よりも規則性の高い前記複数の数字の配置へ変更し、且つ前記数字の配置のみを変更することを特徴とする請求項2に記載の電子錠装置。
【請求項4】
暗証文字の入力によってユーザ本人を認証して解錠を行うロッカー装置であって、
扉を有するボックスと、
前記扉に設けられた電子錠と、
ユーザが操作する複数のキーを備える入力部と、
各キーに1対1で割り当てられる文字を表示するディスプレイと、
前記入力部から入力された暗証文字によりユーザ本人を認証する本人認証部と、
前記本人認証部がユーザ本人を認証した場合に前記電子錠を解錠する解錠指示部と、
前記本人認証部がユーザ本人を認証した後に、暗証文字の入力時に前記ディスプレイに表示されていた前記文字の配置を変更する配置変更部と
を備えることを特徴とするロッカー装置。
【請求項5】
電子的な操作により施錠及び解錠が行われる電子錠と、ユーザが操作する複数のキーを備える入力部と、各キーに1対1で割り当てられる文字を表示するディスプレイとを備える電子錠装置の制御方法であって、
ユーザの操作により入力された暗証文字に基づいてユーザ本人を認証し、
ユーザ本人の認証に成功した場合に電子錠を解錠し、
ユーザ本人の認証に成功した後に、暗証文字の入力時に前記ディスプレイに表示されていた前記文字の配置を変更する
ことを特徴とする電子錠装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−126915(P2010−126915A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−300055(P2008−300055)
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【出願人】(000170598)株式会社アルファ (433)
【出願人】(506226658)株式会社アルファロッカーシステム (39)
【Fターム(参考)】