説明

電気的にプログラム可能な抵抗特性を有するクロスポイントメモリ

【課題】外部影響(特に電気的パルス)により電気的抵抗が変化する特性を有する材料を用いた不揮発性メモリの大容量化を可能としたクロスポイントメモリデバイスを提供すること。
【解決手段】下部電極と上部電極とのクロスポイントに対応するビット領域は、互いに交差するように配列された下部電極と上部電極との間に配置されたアクティブ層の一部である。アクティブ層は、電気信号に応答して変化する抵抗性を有し得る材料である。下部電極と上部電極との間を通る電気信号は、ビット領域を通過する。ビット領域では、電気信号に応答して抵抗率を変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不揮発性メモリに関し、さらに詳細には、電気的パルスで誘起される磁気抵抗膜の抵抗変化効果を利用するクロスポイント構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ペロブスカイト構造を有する材料であって、それらのうち巨大磁気抵抗(CMR)材料および高温超伝導(HTSC)材料は、外部影響により変更され得る電気的な抵抗特性を有する材料である。
【0003】
例えば、ペロブスカイト構造を有する材料(特にCMR材料およびHTSC材料)の特性は、薄膜またはバルク材料に1つ以上の電気的なショートパルスを印加することにより変更され得る(例えば、特許文献1を参照)。単数または複数のパルスからの電場の強さまたは電流密度は、材料の特性を変更するように材料の物理的状態を切り換えるのに十分である。パルスは、材料を破壊しないか、またはひどいダメージを与えない程度の十分低いエネルギーである。複数のパルスは、材料の特性のインクリメントな変化を生成するようにその材料に印加され得る。変化され得る特性の1つは、材料の抵抗である。その変化は、初期の変化を誘導するように使用されるパルスと反対の極性を有するパルスを用いると、少なくとも部分的に反転可能となり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6204139号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、外部影響(特に電気的パルス)により電気的抵抗が変化する特性を有するペロブスカイト構造材料を用いた不揮発性メモリの大容量化を可能としたクロスポイントメモリデバイスおよびその製造方法ならびに使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のメモリ構造は、a)基板と、b)上記基板上に設けられた複数の下部電極と、c)上記下部電極上に設けられた複数の上部電極と、d)上記複数の上部電極と上記複数の下部電極との間に配置された連続的なアクティブ層とを含み、これにより上記目的が達成される。
【0007】
上記下部電極は、上記下部電極上に設けられた上記ペロブスカイト材料をエピタキシャル形成することを可能にする下部電極材料を含み得る。
【0008】
上記下部電極材料はYBCOであり得る。
【0009】
上記下部電極はプラチナであり得る。
【0010】
上記アクティブ層がペロブスカイト材料であり得る。
【0011】
上記アクティブ層が巨大磁気抵抗(CMR)材料であり得る。
【0012】
上記アクティブ層がPr0.7Ca0.3MnO3(PCMO)であり得る。
【0013】
上記アクティブ層がGd0.7Ca0.3BaCo25+5であり得る。
【0014】
本発明の方法は、メモリ構造を製造する方法であって、上記方法は、a)半導体基板を提供する工程と、b)複数の下部電極を形成する工程と、c)上記下部電極上にペロブスカイト材料の層を堆積する工程と、d)メモリアレイ領域の外部の領域から上記ペロブスカイト材料の層を除去する工程であって、上記ペロブスカイト材料の層がメモリアレイ構造内に残っている、工程と、e)上記ペロブスカイト材料の層上に複数の上部電極を形成する工程とを包含し、これにより上記目的が達成される。
【0015】
上記下部電極は、上記下部電極の上記ペロブスカイト材料の層をエピタキシャル形成することを可能にする下部電極材料を含み得る。
【0016】
上記下部電極材料はYBCOであり得る。
【0017】
上記下部電極はプラチナであり得る。
【0018】
上記ペロブスカイト材料が巨大磁気抵抗(CMR)材料であり得る。
【0019】
上記ペロブスカイト材料がPr0.7Ca0.3MnO3(PCMO)であり得る。
【0020】
上記ペロブスカイト材料がGd0.7Ca0.3BaCo25+5であり得る。
【0021】
上記上部電極を上記下部電極上に設け、これによりクロスポイントメモリ構成を形成し得る。
【0022】
上記ペロブスカイト材料の層を堆積する前に、メモリ回路を形成する工程をさらに包含し得る。
【0023】
上記メモリ回路は、インバータの入力に接続されたビットパストランジスタおよび上記インバータの上記入力と接地との間に接続されたロードトランジスタを含み得る。
【0024】
上記ビットパストランジスタがnチャネルトランジスタであり、上記ロードトランジスタがnチャネルトランジスタであり得る。
【0025】
本発明のメモリ回路は、抵抗性メモリビット用のメモリ回路であって、a)上記抵抗性メモリビットに接続されたビット線と、b)ゲート、第1のソース/ドレインおよび第2のソース/ドレインを有し、上記第1のソース/ドレインは上記ビット線に接続される、ビットパストランジスタと、c)上記第2のソース/ドレインに接続される入力を有するインバータと、d)上記インバータと接地との間に接続され、ロードゲートを有するロードトランジスタと、を含み、これにより上記目的が達成される。
【0026】
上記ロードゲートは、所定の値を超えた電流が上記ロードトランジスタを介して流れることを可能にする閾値を設定するような電圧でバイアスされ得る。
【0027】
本発明の方法は、メモリアレイ内のビットの抵抗率を変化させる方法であって、a)ワード線とビット線との間に配置されたペロブスカイトアクティブ層に、ワード線およびビット線のクロスポイントに形成される上記ビットを提供する工程であって、上記ビット線がビットパスゲートを有するビットパストランジスタを介してロードトランジスタに接続され、上記ロードトランジスタはロードゲートを有し、接地に接続される、工程と、b)上記ワード線にプログラミング電圧を印加する工程と、c)上記ビットパスゲートに第1のオン電圧を印加し、電流が上記ビットパストランジスタを介して流れることが可能になる、工程と、d)上記ロードゲートに第2のオン電圧を印加し、これにより電流が上記ロードトランジスタを介して流れることが可能になり、これにより電流が上記アクティブ層を介して流れ、上記ビットの抵抗率を変化させる工程とを包含し、これにより上記目的が達成される。
【0028】
上記プログラミング電圧が複数の電圧パルスを含み、上記ビットの抵抗率が上記ビットにダメージを与えずに変化し得る。
【0029】
上記ビットパストランジスタはnチャネルトランジスタであり、上記第1のオン電圧は0であり、上記ロードトランジスタはnチャネルトランジスタであり、上記第2のオン電圧は0であり、上記プログラミング電圧は負であり、これにより上記ビットを第1の抵抗率レベルに変化させ得る。
【0030】
上記第1の抵抗率レベルが高い抵抗状態であり得る。
【0031】
上記第1の抵抗率レベルが低い抵抗状態であり得る。
【0032】
上記ビットパストランジスタはnチャネルトランジスタであり、上記第1のオン電圧はビットパストランジスタ閾値電圧にあり、上記ロードトランジスタはnチャネルトランジスタであり、上記第2のオン電圧はロードトランジスタ閾値電圧にあり、上記プログラミング電圧は正であり、これにより上記ビットを第2の抵抗率レベルに変化させ得る。
【0033】
上記第2の抵抗率レベルが高い抵抗状態であり得る。
【0034】
上記第2の抵抗率レベルが低い抵抗状態であり得る。
【0035】
本発明の方法は、複数の抵抗状態を有する、メモリアレイ内のビットを読み出す方法であって、上記方法は、a)ワード線とビット線とのクロスポイントに形成されたビットを、上記ワード線と上記ビット線との間に配置されたペロブスカイトアクティブ層に提供し、上記ビット線が、ビットパスゲートを有するビットパストランジスタを介して、インバータと接地との間に接続された、ロードゲートを有するロードトランジスタを備える上記インバータに接続される、工程と、b)読み出し電圧を上記ワード線に印加する工程と、c)上記ビットパスゲートにオン電圧を印加し、これにより電流が上記ビットパストランジスタを介して流れることを可能にする、工程と、d)上記ロードゲートにロード電圧を印加し、これにより上記ロードトランジスタの飽和電流を超える電流が上記ロードトランジスタを介して流れることを可能にし、上記飽和電流未満の電流が上記ロードトランジスタを介して流れない、工程と、e)上記インバータから出力電圧を読み出す工程とを包含し、これにより上記目的が達成される。
【0036】
上記ビットが低い抵抗状態にあり、これにより上記ロードトランジスタの上記飽和電流より高い電流は、上記ビット、および上記ビットパストランジスタ、ならびに上記ロードトランジスタを介して接地に流れ、この結果、上記インバータの上記出力電圧が約0ボルトであり得る。
【0037】
上記ビットが高い抵抗状態にあり、これにより上記ロードトランジスタの上記飽和電流より低い電流は、上記ビット、および上記ビットパストランジスタを介して流れるが、上記ロードトランジスタを介して流れず、この結果、上記インバータの上記出力電圧がほぼ上記読み出し電圧であり得る。
【0038】
従って、基板と、基板上に設けられた複数の下部電極と、下部電極上に設けられた複数の上部電極と、複数の上部電極と複数の下部電極との間に配置された連続的なアクティブ層とを含む、メモリ構造が提供される。複数の上部電極および複数の下部電極は、クロスポイントメモリ構造を形成する。各クロスポイントに位置するアクティブ層の領域は、可変抵抗として振る舞う。各領域は、メモリ構造内のビットとして有用である。
【0039】
メモリ構造内のビットの抵抗性は、以下の工程を包含する方法により変更され得る。本発明は、ワード線およびビット線のクロスポイントに形成されるビットに、ワード線とビット線との間に配置されるペロブスカイトアクティブ層を提供する。ビット線は、ビットゲートを有するビットパストランジスタを介して、接地に接続された、ロードゲートを有するロードトランジスタに接続される。プログラミング電圧をワード線に印加し、ビットゲートに第1のオン電圧を印加することによって、電流は、ビットパストランジスタを通って流れ得る。ロードゲートに別のオン電圧を印加することによって、電流はロードトランジスタを通って流れ得る。これによって、電流は、ビットの抵抗性を変化するようにアクティブ層を通って流れ得る。プログラミング電圧の極性に依存して、ビットの抵抗性は増加し得るか、または減少し得る。ビットゲートおよびロードゲートに印加されるオン電圧は、プログラミング電圧の種々の極性について異なる。
【0040】
ビット値は、ワード線およびビット線のクロスポイントで形成されるビットをワード線とビット線との間に配置されるペロブスカイトアクティブ層に提供することによって、決定され得る。ビット線は、ビットゲートを有するビットパストランジスタを通って、インバータと接地との間に接続されたロードゲートを有するロードトランジスタを備えるインバータに接続される。ロードゲートにロード電圧を印加することで閾値を設定し、これによって、ロードトランジスタの飽和電流より高い電流は、ロードトランジスタを通って流れ得、飽和電流より低い電流は、ロードトランジスタを通って流れない。ビットゲートに電圧を印加することによって、読み出されるビットを判定するビットパストランジスタを選択する。ワード線に読み出し電圧を印加することによって、電流は、ワード線およびビット線のクロスポイントに対応するビットを通って流れ、ビットはビットゲートにオン電圧を印加することにより選択されてきた。電流は、ビットパストランジスタを通って流れる。電流がロードトランジスタの飽和電流を超える場合、電流は、ロードトランジスタを通過し、インバータは約0ボルトの出力電圧を生成する。電流が飽和電流未満である場合、電流は、ロードトランジスタを通って流れず、出力電圧はインバータの動作電圧に等しい。
【発明の効果】
【0041】
本発明により、外部影響(特に電気的パルス)により電気的抵抗が変化する特性を有するペロブスカイト構造材料を用いた不揮発性メモリの大容量化を可能としたクロスポイントメモリデバイスおよびその製造方法ならびに使用方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は、クロスポイントメモリアレイ領域の等角投影図である。
【図2】図2は、クロスポイントメモリアレイ領域に接続されたメモリ読み出し回路の模式図である。
【図3】図3は読み出し回路を備えたクロスポイントメモリデバイスの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1は、クロスポイントメモリアレイ領域10を示す。メモリアレイ領域10は、基板上12に形成された複数の下部電極14を備える基板12を含む。アクティブ層16は、堆積され、複数の下部電極14上に設けられる。複数の上部電極18がアクティブ層16上に設けられ、その結果、アクティブ層16が下部電極14と上部電極18との間に配置される。
【0044】
上部電極18および下部電極14それぞれは、好適には、実質的に平行な行である。上部電極18および下部電極14は、クロスポイント配置で配列され、その結果、それらは、規則的なパターンで互いに交差する。クロスポイントは、上部電極が下部電極に交差するそれぞれの位置を示す。示されるように、上部電極および下部電極は、互いに実質的に90°で配列される。上部電極および下部電極はそれぞれ、クロスポイントメモリアレイの一部と同じく、ワード線またはビット線のいずれかとして機能し得る。
【0045】
図1は、メモリアレイ領域を示す。実際のデバイスにおいて、基板12、下部電極14および上部電極18は、アクティブ層16により規定されるメモリアレイ領域を十分に越えて拡大し得ることが明らかである。アクティブ層は、実質的に連続であり、その結果、アクティブ層が1つ以上のクロスポイントをまたいで広がる。
【0046】
基板12は、LaAlO3,Si,TiNまたは他の材料等のアモルファス、多結晶または単結晶のいずれかである任意の適切な基板材料である。
【0047】
下部電極14は、導電酸化物または他の導電材料で作製される。好適な実施形態において、導電材料は、上に設けられるペロブスカイト材料のエピタキシャル成長を可能にするYBa2Cu37(YBCO)等の材料である。別の好適な実施形態において、導電材料はプラチナである。下部電極は、約5nm〜約500nmの範囲の厚さである。好適な実施形態において、下部電極14は、溝を形成し、導電材料を堆積し、基板のレベルになるまで導電材料を研磨することにより形成される。研磨工程は、化学機械的研磨法(CMP)または他の適切な手段を用いて達成され得る。あるいは、下部電極は、溝を最初に形成せず、研磨せずに堆積され、パターニングされ得る。
【0048】
アクティブ層16は、電気信号に応答して変化する抵抗性を有し得る材料である。アクティブ材料は、好適には、巨大磁気抵抗(CMR)材料または高温超伝導(HTSC)材料(例えば、Pr0.7Ca0.3MnO3(PCMO))等のペロブスカイト材料である。適切な材料の別の実施例は、Gd0.7Ca0.3BaCo25+5である。アクティブ層は、好適には、約5nm〜約500nmの厚みである。アクティブ層16は、パルスレーザー堆積、rfスパッタリング、電子ビーム蒸着、熱蒸着、有機金属堆積、ゾルゲル堆積、および有機金属化学蒸着を含む任意の適切な堆積技術を用いて堆積され得る。アクティブ層は、イオンミリングまたは他の適切なプロセスによって、メモリアレイ領域の外側から除去される。大きな凹型領域を形成し、ペロブスカイト材料を堆積し、次いで、化学機械的研磨法(CMP)を用いてアクティブ層16を形成することもまた可能である。
【0049】
上部電極18は、導電材料、好適にはプラチナ、銅、銀または金を含む。
【0050】
ここで、図2を参照すると、メモリ回路22に接続されたメモリアレイ領域10を含むメモリデバイス20が示される。メモリ回路22は、少なくとも1つのロードトランジスタ26および少なくとも1つのインバータ28に接続された少なくとも1つのビットパストランジスタ24を含む。これらの構造は、個々の半導体素子の形成が十分に理解されるように模式的に示される。
【0051】
メモリデバイス20を作製する方法の好適な実施形態において、1つ以上のトランジスタ構造、相互接続またはメモリデバイス回路22の他のコンポーネントは、メモリアレイ領域10の形成前に形成され得る。メモリアレイ領域10の前にメモリ回路22のコンポーネントを形成することによって、次の処理によるアクティブ層の劣化の可能性を減少するか、または無くす。
【0052】
図1を再度、参照すると、アクティブ層は、例示目的のために透明なものとして領域を示すように、(点線の円により示される)領域40で示される。ビット領域42が示される。ビット領域42は、下部電極14と上部電極18との間に配置されたアクティブ層16の一部であり、その結果、下部電極と上部電極との間を通る電気信号が主にビット領域を通過する。各ビット領域は、クロスポイントに対応する。通常の動作下では、ビット領域42は、電気信号に応答して変化する抵抗性を有することによりアクティブ層に形成される。アクティブ層16のバルク領域44は、ビット領域42で連続する。通常の動作中に電気信号によって変わらないアクティブ層16の一部がバルク領域44を形成する。ビット領域42は、少なくとも2つの抵抗値の間で変化し得る可変抵抗として振る舞う。ビット領域42の抵抗率の変化は、好適には可逆である。抵抗率の変化の可逆性は、いくつかのヒステリシスを取り入れ得る。1度書き読み出し専用(WORM)等のいくつかの用途については、抵抗率の変化は全く可逆性である必要はない。
【0053】
例えば、ビット領域42は、1μm×1μmの断面積を有し、アクティブ層には、YBCOが厚み60nmに堆積される場合、高い抵抗状態は、約170MΩであり、低い抵抗状態は、約10MΩである。低電圧メモリデバイスについて、ビット領域42が1ボルトにバイアスされる場合、ビットを流れる電流は、高い抵抗状態に対して約6nAであり、低い抵抗状態に対しては約100nAである。本実施例は、例示目的のためにのみ提供された。抵抗値は、アクティブ層の厚みおよび材料ならびにビット自体の断面積に依存して、変化する。ビットをまたいで印加される電圧は、ビットを流れる電流にさらに影響を与える。
【0054】
図3は、16ビット、4×4メモリアレイのメモリブロック20の模式図である。メモリブロック20は、メモリ回路22に接続されたメモリアレイ領域10を含む。この模式図において、アクティブ層は、下部電極14と上部電極18との間で接続される抵抗器のアレイとして示される。下部電極14は、ビット線B1〜B4としても示され、上部電極18は、ワード線W1〜W4としても示される。あるいは、下部電極は、ワード線であり得、上部電極はビット線であり得る。ビット線は、メモリ回路22に接続される。示されるように、下部電極は、ビット線であり、下部電極は、メモリ回路22に接続される。
【0055】
メモリアレイ領域10を見ると、各ビット50は、並列に位置するバルク抵抗器54を伴うビット抵抗器52を主に含むものとして取り扱われ得る。このアレイは、各ビットに対してゲートトランジスタを必要としない。任意のデータ値が各ビット抵抗器52の変化する抵抗を用いて格納されるので個別のコンデンサは必要とされない。各ビットの全抵抗は、可変抵抗として振る舞うビット抵抗器52により主に制御されることになる。ビット抵抗器52は、高い抵抗状態および低い抵抗状態を含む少なくとも2つの値の間で、電気信号に応答して変化し得る抵抗を有する。好適には、バルク抵抗器54は、特にビット抵抗器が低い抵抗状態にある場合、ビット抵抗器52より高い抵抗を有する。
【0056】
ここで、メモリ回路22を参照すると、各ビット線は、ビットパストランジスタ24に接続される。ビットパストランジスタ24は、ビットパスゲート64を有する。ビットパスゲート64は、どのビットがプログラミングされているか、または読み出されているかを判定するように機能する。ビットパストランジスタは、ロードゲート66を有するロードトランジスタ26、およびインバータ28に接続される。ロードトランジスタは、どのメモリブロックがプログラミングされているかまたは読み出されているかを判定するために用いられる。インバータはロードトランジスタと組み合わせて用いられ、2つの電圧レベルの間の出力を設定し、これにより、バイナリ状態が読み出され得る。
【0057】
再度、メモリアレイ領域を参照すると、アクティブ層は、好適には、ビット領域の低い抵抗状態の抵抗率より高い抵抗率を有し、これはビットトランジスタ52に対応する。必要な場合、アクティブ層の抵抗率は、製造中に、1つ以上の電気パルスをアクティブ層に与えることにより増加され得る。
【0058】
一旦デバイスが完成され、動作中になると、デバイスは、プログラミングされ得、読み出され得る。ビット抵抗器52の全て(特に単一のワード線に沿ったビット抵抗器)を、高い抵抗または低い抵抗のいずれかの同じ抵抗レベルに設定することがまた望ましくあり得る。これは、ワード消去またはブロック消去を生成するように用いられ得る。例えば、nチャネルトランジスタがパストランジスタおよびロードトランジスタとして用いられる場合、負の電圧または複数の負の電圧パルスをワード線(例えばW1)に印加すること、ならびにメモリブロック20のビットパスゲート64およびロードトランジスタゲート66を接地することにより、ワード線のクロスポイントのビット抵抗器52全てを高い抵抗または低い抵抗のいずれかの同じ抵抗状態に設定する。ビットパスゲートおよびロードゲートが適切にバイアスされ、電流がビットを通って流れ得る場合、ワード線に正の電圧を用いることもまた可能である。
【0059】
別の実施形態において、pチャネルトランジスタは、ビットパストランジスタおよびロードトランジスタとして用いられ得る。この場合、正の電圧がワード線に印加される一方で、ビットパスゲートおよびロードゲートを接地する。十分に、負の電圧がビットパスゲートおよびロードゲートに印加され、電流がビットを通って流れ得る場合、負の電圧パルスが使用され得る。
【0060】
印加された電圧、または複数の電圧パルスは、好適には、アクティブ層の材料に損傷を与えないレベルである。好適には、ワード線のクロスポイントで全てのビット抵抗器52は、高い抵抗レベルに設定される。単一のパルスがビット領域の抵抗率を変えるには十分でない場合、アクティブ層が損傷を受けるレベルより低いレベルの複数の電圧パルスが、アクティブ層に損傷を与えることなく、上記変化に影響するように用いられ得る。残りのワード線に上記処理を繰り返すことによって、メモリブロック全体は同じ状態に設定され得る。
【0061】
ビット50は、ビットパスゲート64にオン電圧を印加し、ロードゲート66に第2のオン電圧を印加し、少なくとも1つのプログラミング電圧パルスをワード線に印加することによりプログラミングされ得る。ワード線に印加された電圧パルスは、ワード消去またはブロック消去に対して用いられる極性と逆の極性であり、ビット抵抗器52の抵抗率を逆の抵抗状態に変化させる。nチャネルトランジスタが、1実施形態について上述されるように用いられる場合、プログラミングパルスは正であり、ビット抵抗器52の抵抗は、好適には、高い抵抗状態から低い抵抗状態に変化する。
【0062】
任意の選択されないビットのビットパスゲート64および任意の選択されないメモリブロック20のロードトランジスタゲート66は接地に接続される。ワード線およびビット線のクロスポイントの任意の電圧が非常に微小であり、これにより、抵抗についての大きな変化は、選択されないビットに生じない。
【0063】
上述されたように、ワード線、ビットパスゲート、およびロードゲートに印加された極性および電圧は、nチャネルトランジスタまたはpチャネルトランジスタが、メモリ回路の望まれる振る舞いを得るように用いられるかどうかに依存して、選択され得る。
【0064】
ビット50は、読み出され得る。ロード電圧はロードゲート66に印加される。ロード電圧は、ロードトランジスタ26の閾値電圧より小さい。さらに、このロード電圧において、ロードトランジスタ26の飽和電流は、ビット50が高い抵抗レベルにある場合、ビット50を通って流れる電流より大きい。しかし、このロード電圧において、ロードトランジスタ26の飽和電流は、ビット50が低い抵抗レベルにある場合、ビット50を流れる電流より低い。ビットパスゲート64は、電流がビットパストランジスタ24を通って流れ得るのに十分な電圧(例えば、VCC)に保持される。読み出し電圧は、ワード線に印加される。ワード線に印加される電圧は、好適には、ビット抵抗52の抵抗率、およびビット50の対応する抵抗率を変化させるのに必要な電圧が臨界電圧より低いパルスである。
【0065】
ビットレジスタ52が高い抵抗状態にある場合、ビット50を通って流れる電流は、ロードトランジスタ26の飽和電流より小さい。次いで、ビット線の電圧は、インバータ28の入力でnチャネルトランジスタの閾値電圧よりも低い。次いで、インバータの出力電圧は、電源電圧にほぼ等しい。
【0066】
ビットレジスタ52が、ビット50が低い抵抗状態にあるような低い抵抗状態にある場合、大きい電流は、ビット50を通って流れる傾向にある。この大きな電流は、ロードトランジスタの飽和電流より大きい。ビット線電圧は、インバータ28の入力におけるnチャネルトランジスタの閾値電圧より大きい。次いで、インバータの出力電圧は、接地に対応する約0ボルトに等しい。
【0067】
上述される実施例を用いると、ビットを流れる電流は、6nA〜100nAの間であると予測される。ロードトランジスタのロードゲートに印加されるバイアス電圧は、ロードトランジスタの飽和電流が6nA〜100nAの間にあるように(例えば、50nAに)選択されるべきである。ビットの抵抗は、ビットを流れる電流が50nA未満であるのに十分に高い場合、電流は、ロードトランジスタを通って流れず、インバータの出力は、動作電圧(例えば、VCC)に至る。ビットの抵抗が低く、これにより50nAより大きい電流はビットを通って流れる場合、電流は、ロードトランジスタを通って流れ、インバータの出力は、約0ボルト、または接地に至る。ビットを0ボルトに対応する高い抵抗にし、ビットを動作電圧に対応する低い抵抗にすることが望まれる場合、さらなるインバータはインバータの出力に加えられ得る。
【0068】
好適な実施形態、および他の実施形態が上述されてきたが、その適用範囲は、上記の特定の実施形態に限定されない。むしろ、特許請求の範囲が本発明の範囲を決定する。
【0069】
抵抗性クロスポイントメモリデバイスが、その製造方法および使用方法と共に提供される。メモリデバイスは、上部電極と下部電極との間に配置されるペロブスカイト材料のアクティブ層を含む。上部電極と下部電極とのクロスポイントでアクティブ層内に位置するビット領域は、1つ以上の電圧パルスの付与に応答して、抵抗値の範囲にわたって変化し得る抵抗率を有する。電圧パルスは、ビット領域の抵抗率を増加させるか、ビット領域の抵抗率を減少させるか、または、ビット領域の抵抗率を判定するように用いられ得る。プログラミングを支援し、ビット領域から読み出すメモリ回路が提供される。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、外部影響(特に電気的パルス)により電気的抵抗が変化する特性を有するペロブスカイト構造材料を用いた不揮発性メモリの大容量化を可能とすることができるという効果を有し、クロスポイントメモリデバイスおよびその製造方法ならびに使用方法等に有用である。
【符号の説明】
【0071】
10 クロスポイントメモリアレイ領域
14 下部電極
18 上部電極
20 メモリデバイス
22 メモリ回路
24 ビットパストランジスタ
26 ロードトランジスタ
28 インバータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抵抗性メモリビット用のメモリ回路であって、
a)該抵抗性メモリビットに接続されたビット線と、
b)ゲート、第1のソース/ドレインおよび第2のソース/ドレインを有し、該第1のソース/ドレインは該ビット線に接続される、ビットパストランジスタと、
c)該第2のソース/ドレインに接続される入力を有するインバータと、
d)該インバータと接地との間に接続され、ロードゲートを有するロードトランジスタと、を含む、メモリ回路。
【請求項2】
前記ロードゲートは、所定の値を超えた電流が前記ロードトランジスタを介して流れることを可能にする閾値を設定するような電圧でバイアスされる、請求項1に記載のメモリ回路。
【請求項3】
メモリアレイ内のビットの抵抗率を変化させる方法であって、
a)ワード線とビット線との間に配置されたペロブスカイトアクティブ層に、ワード線およびビット線のクロスポイントに形成される該ビットを提供する工程であって、該ビット線がビットパスゲートを有するビットパストランジスタを介してロードトランジスタに接続され、該ロードトランジスタはロードゲートを有し、接地に接続される、工程と、
b)該ワード線にプログラミング電圧を印加する工程と、
c)該ビットパスゲートに第1のオン電圧を印加し、電流が該ビットパストランジスタを介して流れることが可能になる、工程と、
d)該ロードゲートに第2のオン電圧を印加し、これにより電流が該ロードトランジスタを介して流れることが可能になり、これにより電流が該アクティブ層を介して流れ、該ビットの抵抗率を変化させる工程と、を包含する、方法。
【請求項4】
前記プログラミング電圧が複数の電圧パルスを含み、前記ビットの抵抗率が該ビットにダメージを与えずに変化する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ビットパストランジスタはnチャネルトランジスタであり、前記第1のオン電圧は0であり、前記ロードトランジスタはnチャネルトランジスタであり、前記第2のオン電圧は0であり、前記プログラミング電圧は負であり、これにより前記ビットを第1の抵抗率レベルに変化させる、請求項4の記載の方法。
【請求項6】
前記第1の抵抗率レベルが高い抵抗状態である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の抵抗率レベルが低い抵抗状態である、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記ビットパストランジスタはnチャネルトランジスタであり、前記第1のオン電圧はビットパストランジスタ閾値電圧にあり、前記ロードトランジスタはnチャネルトランジスタであり、前記第2のオン電圧はロードトランジスタ閾値電圧にあり、前記プログラミング電圧は正であり、これにより前記ビットを第2の抵抗率レベルに変化させる、請求項4の記載の方法。
【請求項9】
前記第2の抵抗率レベルが高い抵抗状態である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の抵抗率レベルが低い抵抗状態である、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
複数の抵抗状態を有する、メモリアレイ内のビットを読み出す方法であって、該方法は、
a)ワード線とビット線とのクロスポイントに形成されたビットを、該ワード線と該ビット線との間に配置されたペロブスカイトアクティブ層に提供し、該ビット線が、ビットパスゲートを有するビットパストランジスタを介して、インバータと接地との間に接続された、ロードゲートを有するロードトランジスタを備える該インバータに接続される、工程と、
b)読み出し電圧を該ワード線に印加する工程と、
c)該ビットパスゲートにオン電圧を印加し、これにより電流が該ビットパストランジスタを介して流れることを可能にする、工程と、
d)該ロードゲートにロード電圧を印加し、これにより該ロードトランジスタの飽和電流を超える電流が該ロードトランジスタを介して流れることを可能にし、該飽和電流未満の電流が該ロードトランジスタを介して流れない、工程と、
e)該インバータから出力電圧を読み出す工程と、を包含する、方法。
【請求項12】
前記ビットが低い抵抗状態にあり、これにより前記ロードトランジスタの前記飽和電流より高い電流は、前記ビット、および前記ビットパストランジスタ、ならびに前記ロードトランジスタを介して接地に流れ、この結果、前記インバータの前記出力電圧が約0ボルトである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ビットが高い抵抗状態にあり、これにより前記ロードトランジスタの前記飽和電流より低い電流は、前記ビット、および前記ビットパストランジスタを介して流れるが、前記ロードトランジスタを介して流れず、この結果、前記インバータの前記出力電圧がほぼ前記読み出し電圧である、請求項11に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−146562(P2009−146562A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−22056(P2009−22056)
【出願日】平成21年2月2日(2009.2.2)
【分割の表示】特願2002−152439(P2002−152439)の分割
【原出願日】平成14年5月27日(2002.5.27)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】