説明

電気駆動ダンプトラックの駆動システム

【課題】電気駆動ダンプトラックの駆動システムにおいて、通常走行時にアクセルペダルの操作量と電動モータの出力馬力との関係が一致した良好な操作感覚が得られるとともに、微速走行時の制御性を高め、微妙な位置決めを容易に行うことができるようにする。
【解決手段】ブロック213〜216でアクセルペダル1の操作量に応じたモータ目標出力馬力Pm0を計算し、ブロック221,222でモータ目標出力馬力Pm0と電動モータ12R,12Lの回転数ωR,ωLとに基づいてモータ目標トルクTr1R,Tr1Lを計算し、ブロック225でアクセルペダル1の操作量に応じた電動モータ12R,12Lの加速トルク制限値(モータ加速トルクTrmax2)を計算し、ブロック226,227で加速トルク制限値とモータ目標トルクTr1R,Tr1Lの小さい方の値をモータトルク指令値TrR,TrLとして選択し、インバータ73R,73Lを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気駆動ダンプトラックの駆動システムに係わり、特に、原動機で発電機を駆動し、発電機で発生した電力で走行用電動モータを駆動し、走行を行う大型ダンプトラックの駆動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気駆動ダンプトラックの駆動システムは、例えば特許文献1に記載のように、原動機と、この原動機の回転数とトルクを制御する電子ガバナと、原動機により駆動される交流発電機と、この交流発電機により電力が供給されて駆動し、例えば左右の後輪を駆動する2つの電動モータと、交流発電機に接続され、それぞれ、2つの電動モータ(例えば誘導モータ)を制御する2つのインバータと、アクセルペダルの操作量に応じた目標回転数を計算し、電子ガバナを制御するとともに、アクセルペダルの操作量に応じて2つの電動モータのトルク指令値を演算し、このトルク指令値に基づいて2つのインバータを制御し、それぞれの電動モータを制御する制御装置とを備えている。
【0003】
【特許文献1】特開2001−107762号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の電気駆動のダンプトラックにおいては、特許文献1に記載のように、クセルペダルの操作量に応じて電動モータのトルク指令値を演算し、このトルク指令値に基づいてインバータを制御し、電動モータのトルク制御を行うのが一般的である。しかし、このように電動モータを制御した場合は、アクセルペダルの操作量が電動モータの出力馬力と直接連動しないため、アクセルペダルを踏み込んだときの操作感覚が良好でなかった。このような問題を解決するためには、アクセルペダルの操作量に応じた電動モータの目標出力馬力を演算し、この目標出力馬力をそのときの電動モータの回転数で除して電動モータの目標トルク(トルク指令値)を演算することが考えられる。しかし、このようにした場合は次のような問題がある。
【0005】
ダンプトラックを別の場所に移動させる場合のような通常走行時は、アクセルペダルの操作量に応じた電動モータの目標出力馬力を演算して電動モータを制御することにより、アクセルペダルの操作量と電動モータの出力馬力との関係が一致するようになり、良好な操作感覚が得られる。しかし、ダンプトラックの走行操作には、ダンプトラックを掘削機の近くの積荷位置に止めたり、ダンプトラックを荷重計にのせる場合のように、ダンプトラックを微速走行させ、位置決めする走行操作がある。このような走行操作時には、アクセルペダルの操作量に応じた電動モータの目標出力馬力を演算して電動モータを制御した場合は、モータトルク及びそのトルク変化が過大となり、そのため微速走行時の制御性が悪化し、ダンプトラックを微速走行させ、所望の位置に位置決めすることが困難となる。
【0006】
本発明の目的は、通常走行時にアクセルペダルの操作量と電動モータの出力馬力との関係が一致した良好な操作感覚が得られるとともに、微速走行時の制御性を高め、微妙な位置決めを容易に行うことができる電気駆動ダンプトラックの制御システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、原動機と、この原動機により駆動される交流発電機と、前記交流発電機により電力が供給されて駆動する走行用の少なくとも2つの電動モータと、前記交流発電機に接続され、それぞれ、前記電動モータを制御する少なくとも2つのインバータと、アクセルペダルの操作量に応じて前記インバータを制御し、前記電動モータを制御するモータ制御手段とを有する電気駆動ダンプトラックの駆動システムにおいて、前記モータ制御手段は、前記アクセルペダルの操作量に応じたモータ目標出力馬力を計算するモータ目標出力馬力計算手段と、前記モータ目標出力馬力と前記2つの電動モータの回転数とに基づいてモータ目標トルクを計算するモータ目標トルク計算手段と、前記アクセルペダルの操作量に応じた前記2つの電動モータの加速トルク制限値を計算する加速トルク制限値計算手段と、前記加速トルク制限値が前記モータ目標トルクよりも大きいときは、前記モータ目標トルクをモータトルク指令値として選択し、前記加速トルク制限値が前記モータ目標トルクよりも小さくなると前記加速トルク制限値をモータトルク指令値として選択するモータトルク指令値決定手段と、前記モータトルク指令値に基づいて前記インバータを制御するインバータ制御手段とを備えるものとする。
【0008】
このように構成した本発明においては、加速トルク制限値計算手段において、通常走行時のアクセルペダルの操作量に対しては、モータ目標トルクより大きな加速トルク制限値が計算され、微速走行時のアクセルペダルの操作量に対しては、モータ目標トルクより小さな加速トルク制限値が計算され、モータトルク指令値決定手段においては、通常走行時はモータ目標トルクがモータトルク指令値として選択され、微速走行時は加速トルク制限値がモータトルク指令値として選択される。これにより通常走行時は、モータ目標出力馬力計算手段により計算されたモータ目標出力馬力に基づく走行制御により、アクセルペダルの操作量と電動モータの出力馬力との関係が一致した良好な操作感覚が得られ、微速走行時は、加速トルク制限値計算手段により計算された加速トルク制限値に基づく走行制御により良好な制御性が得られ、微妙な位置決めを容易に行うことができる。
【0009】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記加速トルク制限値計算手段は、前記アクセルペダルの操作量が0のときは、加速トルク制限値が微速走行に適したトルク範囲の低めのトルクであり、前記アクセルペダルの操作量が0から中間操作量までの微操作領域を含む範囲にあるときは、前記アクセルペダルの操作量が増加するにしたがって前記加速トルク制限値が前記最小トルクから微速走行に適したトルク範囲の高めのトルクまで増加し、前記アクセルペダルの操作量が更に増加すると前記加速トルク制限値が最大トルクまで増加するように設定された加速トルク制限値特性に基づいて、前記加速トルク制限値を計算する。
【0010】
これによりモータトルク指令値決定手段においては、通常走行時はモータ目標トルクがモータ目標トルクがモータトルク指令値として選択され、微速走行時は加速トルク制限値がモータトルク指令値として選択される。
【0011】
(3)また、上記(1)において、好ましくは、前記微速走行に適したトルク範囲の低めのトルクは、前記電動モータの回転数に応じて予め設定されたモータ許容最大トルクの15%〜30%であり、前記微速走行に適したトルク範囲の高めのトルクは前記モータ許容最大トルクの30%〜50%であり、前記中間操作量は最大操作量の40%〜60%である。
【0012】
これによりモータトルク指令値決定手段においては、モータ許容最大トルクの範囲内において、通常走行時はモータ目標トルクがモータ目標トルクがモータトルク指令値として選択され、微速走行時は加速トルク制限値がモータトルク指令値として選択される。
【0013】
(4)また、上記(1)において、好ましくは、前記加速トルク制限値計算手段は、前記加速トルク制限値として前記アクセルペダルの操作量に応じたモータ加速トルクを計算し、前記モータトルク指令値決定手段は、前記モータ目標トルクと前記モータ加速トルクと前記電動モータの回転数に応じて予め設定されたモータ許容最大トルクとを比較して、それらの最小値を選択する。
【0014】
これによりモータトルク指令値決定手段においては、モータ許容最大トルクの範囲内において、通常走行時はモータ目標トルクがモータ目標トルクがモータトルク指令値として選択され、微速走行時は加速トルク制限値がモータトルク指令値として選択される。
【0015】
(5)上記(1)において、前記加速トルク制限値計算手段は、前記アクセルペダルの操作量に応じたモータトルク制限比率を計算し、このモータトルク制限比率を前記電動モータの回転数に応じて予め設定されたモータ許容最大トルクに乗じた値であるモータ最大トルクを前記加速トルク制限値として計算してもよく、この場合、前記モータトルク指令値決定手段は、前記モータ目標トルクと前記モータ最大トルクとを比較して、それらの最小値を選択する。
【0016】
これによってもモータトルク指令値決定手段においては、モータ許容最大トルクの範囲内において、通常走行時はモータ目標トルクがモータ目標トルクがモータトルク指令値として選択され、微速走行時は加速トルク制限値がモータトルク指令値として選択される。
【0017】
(6)更に、上記(1)〜(5)において、好ましくは、更に、前記原動機の回転数に応じて前記走行用の電動モータで使用可能な最大馬力を計算する最大馬力計算手段と、前記モータ目標出力馬力計算手段により計算した前記モータ目標出力馬力が、前記最大馬力計算手段により計算した最大馬力を超えないように制限するモータ出力馬力制限手段とを有し、前記モータ目標トルク計算手段は、前記モータ出力馬力制限手段からのモータ目標出力馬力と前記2つの電動モータの回転数とから前記モータ目標トルクを計算する。
【0018】
これにより例えば走行加速時等において、原動機回転数が十分に上がりきらず、モータ目標出力馬力計算手段により計算したモータ目標出力馬力が最大馬力計算手段により計算した最大馬力を超えるような場合でも、モータ目標出力馬力はその最大馬力に制限されるため、原動機のストールを防止することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、通常走行時にアクセルペダルの操作量と電動モータの出力馬力との関係が一致した良好な操作感覚が得られ、微速走行時は良好な制御性が得られ、微妙な位置決めを容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の一実施の形態を図面を用いて説明する。
【0021】
図1は、本発明の第1の実施の形態による電気駆動ダンプトラックの駆動システムの全体構成を示す図である。
【0022】
図1において、電気駆動ダンプトラックの駆動システムは、アクセルペダル1、リタードペダル2、シフトレバー16、全体制御装置3、原動機4、交流発電機5、その他の原動機負荷18、整流回路6、インバータ制御装置7、チョッパ回路8、グリッド抵抗9、コンデンサ10、抵抗11、左右の電動モータ(例えば誘導モータ)12R,12L、減速機13R,13L、タイヤ14R,14L、電磁ピックアップセンサ15R,15Lを備えている。インバータ制御装置7は、左右の電動モータ12R,12Lのそれぞれに対するトルク指令演算部71R,71L、モータ制御演算部72R,72L、インバータ(スイッチング素子)73R,73Lを有している。
【0023】
アクセルペダル1の操作信号pとリタードペダル2の操作信号qは全体制御装置3の入力となり、それぞれ駆動力、リタード力の大きさを制御する信号となる。
【0024】
ダンプトラックを前進又は後進させるときは、シフトレバー16を前進位置又は後進位置にしてアクセルペダル1を踏み込むと、全体制御装置3は原動機4に対して目標回転数Nrの指令を出力し、実際の回転数Neの信号が原動機4から制御装置3に戻される。原動機4は電子ガバナ4aを装着したディーゼルエンジンであり、電子ガバナ4aは目標回転数Nrの指令を受け取ると、原動機4が目標回転数Nrで回転するように燃料噴射量を制御する。
【0025】
原動機4には交流発電機5が接続されており、交流発電を行う。交流発電により発生した電力は整流回路6によって整流され、コンデンサ10に蓄電され、直流電圧値はVとなる。交流発電機5は直流電圧Vを検出抵抗11で分圧された電圧値をフィードバックして当該電圧値が所定の一定電圧V0となるように全体制御装置3によって制御される。
【0026】
交流発電機5により発生した電力はインバータ制御装置7を介して左右の電動モータ12R,12Lに供給される。全体制御装置3は、整流回路6によって整流された直流電圧Vが所定の一定電圧V0となるように交流発電機5を制御することで、電動モータ12R,12Lに必要な電力が供給されるよう制御している。
【0027】
全体制御装置3からの左右の電動モータ12R,12Lの指令馬力MR,MLと電磁ピックアップ15R,15Lにより検出される各電動モータ12R,12Lの回転速度ωR、ωLとがインバータ制御装置7に入力され、インバータ制御装置7は、トルク指令演算部71R,71L、モータ制御演算部72R,72L、インバータ(スイッチング素子)73R,73Lを介してすべり率>0で各電動モータ12R,12Lを駆動する。
【0028】
各電動モータ12R,12Lにはそれぞれ減速機13R,13Lを介して左右の後輪(タイヤ)14R,14Lが接続されている。電磁ピックアップ15R,15Lは通常は減速機13R,13L内のギアの1枚の歯の周速を検出するセンサである。また、例えば、右側駆動系を例に取ると、電動モータ12R内部の駆動軸や減速機13Rとタイヤ14Rを接続する駆動軸に検出用の歯車をつけ、その位置に設置しても構わない。
【0029】
走行中にアクセルペダル1を戻し、リタードペダル2を踏み込んだときは、交流発電機5が発電しないよう全体制御装置3は制御する。また、全体制御装置3からの馬力指令MR,MLは負の値となり、インバータ制御装置7はすべり率<0で各電動モータ12R,12Lを駆動して走行する車体にブレーキ力を与える。この時、各電動モータ12R,12Lは発電機として作用し、インバータ制御装置7に内蔵された整流機能によってコンデンサ10を充電するように働く。直流電圧値Vは予め設定された直流電圧値V1以下になるようにチョッパ回路8が作動し、電流をグリッド抵抗9に流して電気エネルギーを熱エネルギーに変換する。
【0030】
原動機4は交流発電機5の他にも、ダンプトラックのベッセルを上下させたり、ステアリング操作するための油圧系を駆動するための油圧ポンプ(以下、作業用の油圧ポンプという)18aや、ラジエータに送風するための図示しない冷却ファンや、交流発電機5、グリッド抵抗9、電動モータ12R,12L、制御装置3,7などを冷却するための図示しない電動ファンを駆動するための図示しない第2の発電機などを駆動している。図1ではこれらをその他の原動機負荷18として示している。
【0031】
以上は、通常の電気駆動ダンプトラックの基本構成と動作である。
【0032】
次に、本発明の特徴となる部分について説明する。
【0033】
本発明において、各構成機器の動作は全体制御装置3及びインバータ制御装置7内にそれぞれ組み込まれた、図示しないメモリ内の処理手順に従って演算処理される。図2はその処理手順を示す機能ブロック図であり、図3及び図4はその処理手順を示すフローチャートである。以下に、その処理手順を、主として図3及び図3に示すフローチャートに従い、補助的に図2の機能ブロック図を用いて説明する。
【0034】
図3及び図4において、STARTから処理が始まり、ENDまで処理すると再びSTARTに戻るという処理フローになる。
【0035】
手順101では、シフトレバー16の切り替え位置を示す状態量S、アクセルペダル1の操作量(以下アクセル操作量という)p、原動機4の実回転数Ne、走行用の電動モータ12R,12Lの回転数(以下モータ回転数という)ωR,ωLを読み込む。シフトレバー16の切り替え位置にはN(中立)、F(前進)、R(後進)の3位置がある。
【0036】
手順102では、手順101で読み込んだアクセル操作量pを、図5に示す非走行時の第1目標回転数の関数Nr1(p)で表されるアクセル操作量対原動機目標回転数のデータマップに参照して、対応する第1目標回転数Nr1を算出する(図2のブロック201)。
【0037】
関数Nr1(p)は作業用の油圧ポンプ18aの駆動に適した第1目標回転数特性であり、図5において、関数Nr1(p)は、アクセルペダル1の操作量が無操作の0であるときは第1目標回転数Nr1が原動機4の最小回転数Nr1min(アイドル回転数に相当)であり、アクセル操作量pが0から最大操作量pmaxの手前の操作量paまでの範囲にあるときは、アクセルペダル1の操作量pが増加するにしたがって第1目標回転数Nr1が最小回転数Nr1minから最大回転数Nr1maxまで増加し、アクセル操作量pが操作量paを超えると第1目標回転数Nr1が最大回転数Nrm1axで一定となるように設定されている。最小回転数Nr1minは例えば700rpm〜800rpmの範囲内の回転数であり、図示の例では750rpmである。最大回転数Nr1maxは好ましくは原動機4の最大の定格回転数であって、例えば1800rpm〜2100rpmの範囲内の回転数であり、図示の例では1900rpmである。
【0038】
また、最大操作量pmaxの手前の操作量paは好ましくは最大操作量pmaxの80%〜95%の操作量であり、図示の例では最大操作量pmaxの90%である。
【0039】
手順103では、手順101で読み込んだアクセル操作量pを、図6に示す走行時の第2目標回転数の関数Nr2(p)で表されるアクセル操作量対原動機目標回転数のデータマップに参照して、対応する第2目標回転数Nr2を算出する(図2のブロック202)。
【0040】
関数Nr2(p)は電動モータ12R,12Lの駆動に適した第2目標回転数特性であり、図6において、関数Nr2(p)は、アクセルペダル1の操作量が無操作の0から微少操作量Pb1までの範囲にあるときは、第2目標回転数Nr2が最小回転数Nr2min(アイドル回転数に相当)であり、アクセルペダル1の操作量が微少操作量Pb1になると第2目標回転数は中速回転数Nr2midまでステップ的に増加し、アクセル操作量pが微少操作量Pb1から中間操作量Pb2までの範囲内にあるときは、アクセル操作量pが増加するにしたがって第2目標回転数Nr2は中速回転数Nr2midから最大回転数Nr2maxまで増加し、アクセル操作量pが中間操作量Pb2を超えると第2目標回転数Nr2は最大回転数Nr2maxで一定となるように設定されている。最小回転数Nr2minは、関数Nr1(p)の場合と同様、例えば700rpm〜800rpmの範囲内の回転数であり、図示の例では750rpmである。最大回転数Nr2maxは好ましくは1800rpm〜2100rpmの範囲内の回転数であり、図示の例では関数Nr1(p)の最大回転数Nr1maxと同じ、最大の定格回転数である1900rpmである。最小回転数Nr2minが750rpmで、最大回転数Nr2maxが1900rpmである場合、中速回転数Nr2midは好ましくは900rpm〜1600rpmの範囲内の回転数であり、図示の例では1300rpmである。最小回転数Nr2min及び最大回転数Nr2maxがそれぞれ750rpm,1900rpm以外の値である場合でも、中速回転数Nrm2idは900rpm〜1600rpmの範囲内の回転数とすることができる。
【0041】
また、微少操作量Pb1は好ましくはアクセルペダルの最大操作量Pmaxの2〜8%の範囲内の操作量であり、図示の例では最大操作量pmaxの5%である。中間操作量Pb2は好ましくは最大操作量Pmaxの30〜70%の範囲内の操作量であり、図示の例では最大操作量Pmaxの40%である。
【0042】
図7および図8は走行時の関数Nr2(p)の変形例を示す図である。図6の例では、走行時関数Nr2(p)の最大回転数Nr1maxは非走行時の関数Nr1(p)の最大回転数Nr1maxと同じ値に設定したが、図7に示すように、関数Nr1(p)の最大回転数Nrmax(最大の定格回転数)より低めの値の例えば1800rpmであってもよい。また、図6の例では、アクセルペダル1の操作量が0から微少操作量Pb1までの範囲にあるときは第2目標回転数Nr2が最小回転数Nr2minとなるように設定したが、図8に示すように、第2目標回転数Nr2が最小回転数Nrminとなる操作量範囲を無くしてもよい。図10の例は、アクセルペダル1の操作量が0のときは第2目標回転数Nrは直ちにアイドル回転数より高い中速回転数Nr2midとなり、その後、アクセル操作量pが0から中間操作量Pb2まで増加するにしたがって第2目標回転数Nr2は中速回転数Nr2midから最大回転数Nr2maxまで増加するように設定されている。
【0043】
手順104〜106では、手順101で読み込んだシフトレバー16の状態量SがN(中立)であれば、原動機4の目標回転数NrをNr=Nr1と置き、シフトレバー16の状態量SがF(前進)又はR(後進)であれば、原動機4の目標回転数NrをNr=Nr2と置く(図2のブロック203)。
【0044】
手順111では、手順101で読み込んだ原動機4の実回転数Neを、図9に示すモータ最大出力馬力の関数Mr(Ne)で表されるエンジン回転数対モータ最大出力馬力のデータマップに参照して、電動モータ12R,12Lで使用可能な対応する最大馬力Mrを算出し、これに1/2を乗じて電動モータ12R,12Lの1台当たりの出力馬力上限値Pmaxを計算する(図2のブロック211,212)。
【0045】
図9において、関数Mr(Ne)は、原動機4の実回転数(以下エンジン回転数という)Neが増大するにしたがって電動モータ12R,12Lので使用可能な最大馬力(以下モータ最大出力馬力という)Mrが増大するように設定されている。
【0046】
モータ最大出力馬力の関数Mr(Ne)の設定方法を説明する。
【0047】
図10は、関数f(Ne)で表される回転数対原動機最大出力馬力のデータマップと、関数g(Ne)で表される回転数対その他原動機負荷損失馬力のデータマップを示す図である。
【0048】
関数f(Ne)は原動機4の出し得る最大出力馬力であり、関数f1(Ne)と関数f2(Ne)と関数f3(Ne)の合成である。関数f1(Ne)は原動機4の目標回転数Nrと出力馬力との関数fr=f(Nr)に相当するものであり、エンジン回転数NeがNrmin(例えば750rpm)からNrmax(例えば2000rpm)まで変化すると、原動機4の出し得る最大出力馬力f(Ne)は最小値Fminから最大値Fmaxまで変化する。これは、原動機4に固有な特性線図である。関数f2(Ne)は、0≦Ne<Nrminの範囲において、原動機4の最大出力馬力f(Ne)をf2=Fminの一定値としたものであり、関数f3(Ne)は、Nrmax<Ne≦Nemaxの範囲において、原動機4の最大出力馬力f(Ne)をf3=Fmaxの一定値としたものである。
【0049】
原動機4は、交流発電機5の他にもその他の原動機負荷18を駆動している。その他の原動機負荷18は、ダンプトラックのベッセルを上下させたり、ステアリング操作するための油圧系を駆動するための油圧ポンプ18aや、ラジエータに送風するための図示しない冷却ファンや、交流発電機5、グリッド抵抗9、電動モータ12R,12L、制御装置3,7などを冷却するための図示しない電動ファンを駆動するための図示しない第2の発電機などである。このその他の原動機負荷18を駆動するために予め割り当てた馬力の値が図10のg(Ne)である。この馬力g(Ne)はその他の原動機負荷18が実際に消費する馬力値に対して余裕を持って大きめに設定してある。本明細書中では、この馬力を損失馬力という。
【0050】
損失馬力の関数g(Ne)は、関数(Ne)と同様、関数g1(Ne)と関数g2(Ne)と関数g3(Ne)の合成である。関数g1(Nr)は、エンジン回転数NeがNrmin(例えば750rpm)からNrmax(例えば2000rpm)まで変化すると、損失馬力g1(Ne)は最小値Gminから最大値Gmaxまで変化する。関数g2(Ne)は、0≦Ne<Nrminの範囲において、損失馬力g(Ne)をg2=Gminの一定値としたものであり、関数g3(Ne)は、Nrmax<Ne≦Nemaxの範囲において、損失馬力g(Ne)をg3=Gmaxの一定値としたものである。
【0051】
図10において、f(Ne)とg(Ne)との差分(f(Ne)−g(Ne))であるMrが電動モータ12R,12Lに与えてよい合計の有効最大馬力となる。換言すれば、Mr=f(Ne)−g(Ne)は、原動機4が出し得る最大出力馬力f(Ne)のうち走行用の電動モータ12R,12Lで使用可能な最大馬力(馬力の割当値)であり、電動モータ12R,12Lの最大出力馬力はその値、つまりMr=f(Ne)−g(Ne)を超えることはできない。
【0052】
モータ最大出力馬力の関数Mr(Ne)は以上のような考えに基づいて設定されており、電動モータ12R,12Lの1台当たりの出力馬力上限値Pmaxは下記の式により与えられる。
【0053】
Pmax=Mr/2=(f(Ne)−g(Ne))/2
手順112では、手順101で読み込んだアクセル操作量pを、図11に示す前進時の第1モータ目標出力馬力の関数Pm1(p)で表されるアクセル操作量対モータ目標出力馬力のデータマップに参照して、対応する第1モータ目標出力馬力Pm1を算出する(図2のブロック213)。
【0054】
図11において、関数Pm1(p)は、アクセル操作量p=0では第1モータ目標出力馬力Pm1=0で、少し踏み込んだ状態、すなわち図11中のX1点からPm1が増加し、X2点付近からPm1の増加の比率を上げて、アクセル操作量が最大値pmaxより手前のX3点で、電動モータ12R,12Lで発生可能な最大馬力Pm1maxとなるように設定されている。図11のX3点におけるアクセル操作量px3は例えば最大操作量pmaxの95%程度である。
【0055】
手順113では、手順101で読み込んだアクセル操作量pを、後進時の第2モータ目標出力馬力の関数Pm2(p)で表されるアクセル操作量対モータ目標出力馬力のデータマップに参照して、対応する第2モータ目標出力馬力Pm2を算出する(図2のブロック214)。
【0056】
図12において、関数Pm2(p)は、アクセル操作量pが増加するに従い第2モータ目標出力馬力Pm2が増加するが、第2モータ目標出力馬力の最大値Pm2maxは前進用の関数Pm1(p)における最大値Pm1maxより小さい値となるように設定されている。なお、前進用の関数Pm1(p)で求めたモータ目標出力馬力に1より小さい正の定数を乗じて後進用のモータ目標出力馬力を求めてもよい。
【0057】
手順114〜117では、手順101で読み込んだシフトレバー16の状態量SがN(中立)であれば、電動モータ12R,12Lの目標馬力(以下モータ目標出力馬力という)Pm0をPm0=0と置き、シフトレバー16の状態量SがF(前進)であれば、電動モータ12R,12Lの目標馬力(以下モータ目標出力馬力という)Pm0をPm0=Pm1と置き、シフトレバー16の状態量SがR(後進)であれば、モータ目標出力馬力Pm0をPm0=Pm2と置く(図2のブロック215,216)。
【0058】
手順118では、そのモータ出力馬力上限値Pmaxとモータ目標出力馬力Pm0との小さい方の値を選択し、モータ出力目標馬力Pmとする(図4のブロック217)。
【0059】
Pm=min(Pmax,Pm0)
つまり、手順118(図4のブロック217)では、電動モータ12R,12Lに与えられる最終的なモータ出力目標馬力PmがPmax以上にならないように制限する。このモータ出力目標馬力Pmは、図1に示した指令馬力MR,MLに対応する(MR=ML=Pm)。
【0060】
手順121では、モータ出力目標馬力Pmと手順101で読み込んだ各電動モータ12R,12Lの回転数ωR,ωLとから下記の式によりモータ目標トルクTr1R,Tr1Lを計算する(図4のブロック221,222)。
【0061】
Tr1R=K1×Pm/ωR
Tr1L=K1×Pm/ωL
K1:馬力と回転数からトルクを算出するための定数。
【0062】
図13は、モータ出力目標馬力Pmと電動モータ12R,12Lの回転速度ωR,ωLとモータ目標トルクTr1R,Tr1Lとの関係を示す図である。モータ出力目標馬力Pmが決まると、そのときのモータ回転速度ωR,ωLに応じたモータ目標トルクTr1R,Tr1Lが定まる。例えば、モータ回転速度ωR,ωLがω1であるとき、モータ目標トルクはTr1R=Pm(ω1),Tr1L=Pm(ω1)となる。また、例えばダンプトラックが坂道にさしかかるなどして電動モータ12R,12Lの負荷トルクが増加し、モータ回転速度ωR,ωLが低下すると、それに応じてモータ目標トルクTr1R,Tr1Lが増加する。モータ負荷トルクが減少した場合は、逆に、モータ目標トルクTr1R,Tr1Lを減少させる。一方、モータ出力目標馬力Pmが増加すれば、それに応じてモータ目標トルクTr1R,Tr1Lが増加し、そのときのモータ負荷トルクが一定であればモータ回転速度ωR,ωLが増加する。モータ出力目標馬力Pmが減少した場合は、逆に、モータ負荷トルクが一定であればモータ回転速度ωR,ωLは減少する。
【0063】
手順122では、手順101で読み込んだ各電動モータ12R,12Lの回転数ωR,ωLを、図14に示すモータ最大トルクの関数Trmax1(ω)で表されるモータ回転数対モータ最大トルクのデータマップに参照して、対応するモータ最大トルクTrmax1を計算する(図4のブロック223,224)。
【0064】
図14において、関数Trmax1(ω)は、インバータ72R,72Lが各電動モータ12R,12Lに流せる最大電流値、インバータ72R,72L内のIGBTやGTOなどの駆動素子の出力限界、各モータ軸の強度など、駆動システムを構成する機器の仕様に基づいて設定したものである。図14に示すように、例えば、モータ回転速度ωR,ωLがω1であるとき、モータ最大トルクTrmax1はTrmax1(ω1)となる。モータ最大トルクTrmax1の最大値はTrmaxである。
【0065】
手順123では、手順101で読み込んだアクセル操作量pを、モータ加速トルクの関数Trmax2(p)で表されるアクセル操作量対モータ加速トルクのデータマップに参照して、対応するモータ加速トルクTrmax2を計算する(図4のブロック225)。
【0066】
関数Trmax2(p)は加速トルク制限値特性であり、図15において、関数Trmax2(p)は、アクセルペダル1の操作量pが無操作の0のときは、モータ加速トルクTrmax2は微速走行に適したトルク範囲の低めのトルク、好ましくは最小トルクTrmax2aであり、アクセルペダルの操作量pが0から中間操作量pc1までの微操作領域を含む範囲にあるときは、アクセル操作量pが増加するにしたがってモータ加速トルクTrmax2は最小トルクTrmax2aから微速走行に適したトルク範囲の高めのトルクTrmax2bまで増加し、アクセル操作量pが中間操作量pc1から最大操作量pmaxの手前の操作量pc2までの範囲にあるときは、アクセル操作量pが増加するにしたがってモータ加速トルクTrmax2はトルクTrmax2bから図14に示したモータ最大トルクTrmax1の最大値である最大トルクTrmaxまで、操作量0〜pc1の範囲よりも高い割合で増加し、アクセル操作量pがpc2を超えるとモータ加速トルクTrmax2は最大値Trmaxで一定となるように設定されている。微速走行に適したトルク範囲は図14に示したモータ最大トルクTrmax1の最大値Trmax(モータ許容最大トルク)の15%〜50%程度であると考えられており、その最小トルクTrmax2aは、好ましくは、最大値Trmaxの15%〜30%であり、図示の例では20%である。微速走行に適したトルク範囲の高めのトルクTrmax2bは、好ましくは、最大値Trmaxの30%〜50%であり、図示の例では40%である。
【0067】
中間操作量pc1は、好ましくは、最大操作量pmaxの40%〜60%であり、図示の例では50%である。モータ加速トルクTrmax2が最大になる操作量pc2は、好ましくは、最大操作量pmaxの70%〜95%であり、図示の例では80%である。
【0068】
手順124では、手順121で求めたモータ目標トルクTr1R,Tr1Lと、手順122で求めたモータ最大トルクTrmax1と、手順123で求めたモータ加速トルクTrmax2との比較を行い、それらの最小値を選択し、モータトルク指令値TrR,TrLとする(図4のブロック226,227)。すなわち、
TrR=min(Tr1R,Trmax1,Trmax2)
TrL=min(Tr1L,Trmax1,Trmax2)
手順125では、手順105又は106で求めたエンジン目標回転数Nrを原動機4の電子ガバナ4aに指令する。
【0069】
手順126では、インバータ制御装置7内のモータ制御演算部72R,72Lによって手順123で求めたモータトルク指令値TrR,TrLをインバータ73R,73Lに指令し、各電動モータ12R,12Lのトルク制御がなされる。
【0070】
手順101〜118(図4のブロック201〜217)の処理、手順123の処理(図3のブロック225)、及び手順125の処理は全体制御装置3により行われる処理であり、手順121,122,124(図4のブロック221〜224、ブロック226,227)及び手順126の処理はインバータ制御装置7のトルク指令演算部71R,71Lにより行われる処理である。
【0071】
以上において、手順112〜117(ブロック213〜216)の処理は、アクセルペダル1の操作量に応じたモータ目標出力馬力Pm0を計算するモータ目標出力馬力計算手段を構成し、手順121(ブロック221,222)の処理は、モータ目標出力馬力Pm0と電動モータ12R,12Lの回転数ωR,ωLとに基づいてモータ目標トルクTr1R,Tr1Lを計算するモータ目標トルク計算手段を構成し、手順123(ブロック225)の処理は、アクセルペダル1の操作量に応じた電動モータ12R,12Lの加速トルク制限値(モータ加速トルクTrmax2)を計算する加速トルク制限値計算手段を構成し、手順124(ブロック226,227)の処理は、前記加速トルク制限値(モータ加速トルクTrmax2)が前記モータ目標トルクTr1R,Tr1Lよりも大きいときは、前記モータ目標トルクをモータトルク指令値TrR,TrLとして選択し、前記加速トルク制限値(モータ加速トルクTrmax2)が前記モータ目標トルクTr1R,Tr1Lよりも小さくなると前記加速トルク制限値をモータトルク指令値TrR,TrLとして選択するモータトルク指令値決定手段を構成し、手順126の処理と、インバータ制御装置7のトルク指令演算部71R,71L及びモータ制御演算部72R,72Lは、前記モータトルク指令値TrR,TrLに基づいてインバータ73R,73Lを制御するインバータ制御手段を構成する。
【0072】
前記加速トルク制限値計算手段(手順123,ブロック225)は、前記加速トルク制限値としてアクセルペダル1の操作量に応じたモータ加速トルクTrmax2を計算し、前記モータトルク指令値決定手段(手順124,ブロック226,227)は、モータ目標トルクTr1R,Tr1Lとモータ加速トルクTrmax2と電動モータ12R,12Lの回転数に応じて予め設定されたモータ許容最大トルクTrmaxとを比較して、それらの最小値を選択する。
【0073】
また、手順111(ブロック211,212)の処理は、原動機4の回転数に応じて電動モータ12R,12Lで使用可能な最大馬力Pmaxを計算する最大馬力計算手段を構成し、手順118(ブロック217)の処理は、前記モータ目標出力馬力計算手段(手順112〜117、ブロック213〜216)により計算したモータ目標出力馬力Pm0が最大馬力Pmaxを超えないように制限するモータ出力馬力制限手段を構成し、前記モータ目標トルク計算手段(手順121、ブロック221,222)は、そのモータ出力馬力制限手段からのモータ目標出力馬力Pmと電動モータ12R,12Lの回転数ωR,ωLとからモータ目標トルクTr1R,Tr1Lを計算する。
【0074】
次に、本実施の形態の動作を説明する。
【0075】
1.非走行時
非走行時は、シフトレバー16をN(中立)位置にする。シフトレバー16をN(中立)位置にしたとき、電動モータ12R,12Lの目標馬力Pm0はPm0=0であり、モータ駆動は行われない。
【0076】
原動機側では、図5に示した非走行時の第1目標回転数の関数Nr1(p)のデータマップが選択され、関数Nr1(p)による第1目標回転数Nr1が原動機4の目標回転数Nrとして与えられる。このためアクセルペダル1を踏み込まない無操作時は、原動機4の目標回転数Nrはアイドル回転数の750rpとなり、燃料消費量を最少限に止めて燃費を低減することができる。また、アクセルペダル1を踏み込みと、その踏み込み量に応じて原動機4の目標回転数Nrは750rpmから定格回転数の1900rpmまで増加し、原動機4の回転数が最小から最大までの広い範囲で変化するため、ベッセル上げのようにダンプトラックを停止させて油圧系のみを操作して作業を行うときは、原動機4を安定に作動させかつ油圧ポンプ18aの最大流量を確保し、広い範囲で作業速度を調整することができる。
【0077】
2.通常走行時
通常走行時は、シフトレバー16をF(前進)位置とする。シフトレバー16をF(前進)位置にしたとき、電動モータ側では、手順112により計算された図11に示した前進時の第1モータ目標出力馬力の関数Pm1(p)のデータマップが選択され、関数Pm1(p)による第1モータ目標出力馬力Pm1がモータ目標出力馬力Pm0として与えられる。
【0078】
原動機側では、図6に示した走行時の第2目標回転数の関数Nr2(p)のデータマップが選択され、関数Nr2(p)による第2目標回転数Nr2が原動機4の目標回転数Nrとして与えられる。このためアクセルペダル1を踏み込まない無操作時は、原動機4の目標回転数Nrはアイドル回転数の750rpとなり、燃料消費量を最少限に止めて燃費を低減することができる。また、走行始動時に、アクセルペダル1を少しでも踏み込むと、原動機4の目標回転数Nrは直ちに中速回転数の1300rpmまで増加し、その後、アクセルペダルの踏み込み量に応じて原動機4の目標回転数Nrは1300rpmから最大回転数(定格回転数)の1900rpmまで増加する。これにより原動機4の回転数は中速回転数から最大回転数まで応答良く変化するため、アクセルペダル1を踏み込んだときの応答性が良くなり、良好な加速性を得ることができる。
【0079】
また、図7のように、関数Nr2(p)の最大回転数を定格回転数の1900rpmより低めの例えば1800rpmに設定した場合は、原動機4の出力馬力は少し落ち走行速度は少し下がるが、走行時の燃料消費量を減らことができる。鉱山の道路の条件で、ベッセルに土砂や採鉱対象物を積載して登り道路を走行する場合、その傾斜が小さく5〜7%位しかないというケースも多い。このような場合には、ユーザによっては、走行速度は少し落ちても燃料消費量が減少する方が良いという要求もある。最大回転数を定格回転数より低めの回転数に設定することにより、このようなユーザの要求に応えることができる。
【0080】
図8のように、アクセルペダル1の操作量が0のときに第2目標回転数Nrが直ちにアイドル回転数より高い中速回転数Nr2midとなるように設定した場合は、アクセルペダルが無操作であっても原動機4は中速回転数Nr2midで制御されるため図6例に比べて燃料消費量は増加する。しかし、この場合は、アクセルペダル1を踏み込んだときの応答性は更に良好となり、走行時の加速性を更に高める効果が得られる。
【0081】
また、電動モータ側では、アクセルペダル1を最大付近まで踏み込んだときは、手順123において、図15に示したモータ加速トルクの関数Trmax2(p)のデータマップからモータ加速トルクTrmax2としてモータ最大トルクTrmax1の最大値Trmaxが求められるため、電動モータ12R,12Lの制御(走行制御)に対してモータ加速トルクTrmax2は制限とはならない。このため手順112により計算された第1モータ目標出力馬力Pm1(モータ目標出力馬力Pm0)に基づいて電動モータ12R,12Lは制御されるため、アクセルペダル1の操作量と電動モータ12R,12Lの出力馬力との関係が一致した良好な操作感覚が得られる。
【0082】
更に、電動モータ側では、手順111において、原動機4の回転数に応じた電動モータ12R,12Lで使用可能な最大馬力Pmaxを計算し、手順118において、モータ目標出力馬力Pm0がその最大馬力Pmaxを超えないように制限するため、走行起動時の加速時に、原動機4の回転数が十分に上がりきらず、モータ目標出力馬力Pm0が最大馬力Pmaxを超えるような場合でも、モータ目標出力馬力Pm0はその最大馬力Pmaxに制限されるため、原動機4のストールを防止することができる。
【0083】
3.微速走行時
微速走行時は、シフトレバー16をF(前進)位置とし、アクセルペダル1を少しだけ踏み込む。このとき、電動モータ側では、図11に示した前進時の第1モータ目標出力馬力の関数Pm1(p)による第1モータ目標出力馬力Pm1がモータ目標出力馬力Pm0として求められ、原動機側では、図6に示した非走行時の第1目標回転数の関数Nr1(p)による第1目標回転数Nr1が原動機4の目標回転数Nrとして求められるのは、通常走行時と同じである。
【0084】
また、電動モータ側において、アクセルペダル1を少しだけ踏み込んだときは、その踏み込み量が例えば0から50%程度であるとすると、図15に示したモータ加速トルクの関数Trmax2(p)において、モータ加速トルクTrmax2としてモータ最大トルクTrmax1の最大値Trmaxの20〜40%の値が求められ、目標トルクTr1R,Tr1Lと、モータ最大トルクTrmax1と、モータ加速トルクTrmax2の最小値を選択する手順124では、モータトルク指令値TrR,TrLとしてモータ加速トルクTrmax2が選択される。このためアクセルペダル1を微操作したときの走行トルク及びトルク変化が小さく押さえられるため、微速走行時は良好な制御性が得られ、微妙な位置決めを容易に行うことができる。
【0085】
図16は、手順124(ブロック226,227)におけるモータ目標トルクTr1R,Tr1Lとモータ加速トルクTrmax2との最小値の選択結果を示す図である。図中、A,B,C,D,Eは、それぞれ、図11及び図15のA,B,C,D,Eの各点に対応している。
【0086】
アクセル操作量が図11のA,B,C,D,Eの各点にあるとき、手順121(ブロック221,222)では、図11のA,B,C,D,Eの各点に対応する第1モータ目標出力馬力と第1モータ目標出力馬力の関数Pm1(p)とから図16の実線と破線の双曲線で示されるモータ目標トルクTr1RA,Tr1LA〜Tr1RE,Tr1LE(以下Tr1A〜Tr1Eと略す)が計算される。また、アクセル操作量が図15のA,B,C,D,Eの各点にあるとき、手順123(ブロック225)では、モータ加速トルクの関数Trmax2(p)から図16の実線の直線で示されるモータ加速トルクTrmax2A〜Trmax2Eが計算される。手順124(ブロック226,227)では、それらの値の小さい方が選択され、モータトルク指令値TrR,TrLは図16に実線で示されるような値となる。
【0087】
この図16において、実線A,B,Cで示されるモータトルク指令値は、アクセル操作量pが50%以下にあるときのものであり、その最大値は、モータ加速トルクTrmax2A〜Trmax2Cによりモータ最大トルクTrmax1の最大値Trmaxの20%から40%の範囲の小さな値に押さえられている。また、アクセルペダル操作時のアクセル操作量の変化に対するモータトルク指令値の変化も、例えばΔTAB1とΔTAB2との比較(ΔTAB1<ΔTAB2)、ΔTBC1とΔTBC2との比較(ΔTBC1<ΔTBC2)から分かるように、モータ目標トルクTr1A〜Tr1Eのモータトルク指令値の変化量に比べて小さく抑えられている。
【0088】
このようにアクセル操作量pが50%以下の範囲で、モータトルク指令値の最大値が小さく抑えられ、かつアクセルペダル操作時のアクセル操作量の変化に対するモータトルク指令値の変化が小さく押さえられることにより、アクセルペダル操作時の電動モータ12R,12Lによる走行トルク及び走行トルク変化が小さくなり、走行速度の変化も小さくなって、微速走行時の制御性を高めることができる。
【0089】
以上のように本実施の形態によれば、アクセルペダル1の操作量が0〜50%までは電動モータ12R,12Lの駆動の最大トルクを20〜40%に抑え、アクセルペダル1の操作量が50%以上では最大トルクを上げて、100%より手前で最大トルクの制限値を100%にすることにより、通常走行時はアクセルペダル1の操作量と電動モータ12R,12Lの出力馬力との関係が一致した良好な操作感覚が得られ、アクセルペダル1の操作量が小さいときはトルク及びトルク変化を低く制限し、微速走行時に良好な制御性が得られ、微妙な位置決めを容易に行うことができる。
【0090】
また、シフトレバー15がN位置にあり、走行しないでベッセルを上下させる場合など非走行時の油圧系の駆動時には、アクセルペダル1の操作量に応じて例えば750〜1900rpmという目標回転数を与え、シフトレバー16がF位置又はR位置にある走行時は、アクセルペダル1に応じて例えば1300〜1900rpmの範囲で原動機4の目標回転数を与えるため、非走行時の油圧系の駆動時には、原動機を安定に作動させかつ油圧ポンプの最大流量を確保し、広い範囲で作業速度を調整することができ、走行時には、アクセルペダルを踏み込んだときの応答性が良くなり、良好な加速性を得ることができる。また、シフトレバー16がF位置又はR位置にある走行時であっても、アクセルペダル1の非操作時は原動機4の目標回転数は最小回転数となるため、燃費を向上することができる。
【0091】
本発明の第2の実施の形態を図17〜図19を用いて説明する。本実施の形態は、アクセル操作量からモータ加速トルクを求める代わりにモータトルク制限比率を求めるものである。
【0092】
図17は、本実施の形態に係わる駆動システムの処理手順を示す、図2と同様な機能ブロック図である。図18は、同処理手順をフローチャートで示す図であり、第1の実施の形態における図4に対応するものである。
【0093】
本実施の形態において、原動機側の制御の処理手順(図3の手順101〜106の処理手順)及び電動モータ側のモータ最大トルクTmax1を算出するまでの処理手順(図3の手順111〜図4の手順122までの処理手順)は、第1の実施の形態と同じである。本実施の形態では、手順122において、各電動モータ12R,12Lの回転数ωR,ωLとモータ最大トルクの関数Trmax1(ω)とからモータ最大トルクTrmax1を計算した後、手順131において、アクセルペダル1の操作量pを、図19に示すモータトルク制限比率の関数Kmax(p)で表されるアクセル操作量対モータトルク制限比率のデータマップに参照して、対応するモータトルク制限比率Kmaxを計算する(図17のブロック225A)。
【0094】
図19において、関数Kmax(p)は、図15に示したモータ加速トルクの関数の縦軸を制限比率(100分率)に変え、その数値をモータ許容最大トルクTrmaxに対する割合(%)に置き換えたものである。
【0095】
手順132では、モータ最大トルクTrmax1と手順131において求めたモータトルク制限比率Kmaxとを乗算してモータ最大トルクTrmax2を算出する(図17のブロック231,232)。
【0096】
手順133では、モータ目標トルクTr1R,Tr1Lと、手順132において求めたモータ最大トルクTrmax2との比較を行い、それらの最小値を選択し、モータトルク指令値TrR,TrLとする(図17のブロック233,234)。すなわち、
TrR=min(Tr1R,Trmax2)
TrL=min(Tr1L,Trmax2)
以後の手順125,126は図4に示した第1の実施の形態と同じであり、エンジン目標回転数Nrを原動機4の電子ガバナ4aに指令するとともに、モータトルク指令値TrR,TrLをインバータ73R,73Lに指令する。
【0097】
以上において、手順131,132(ブロック225A,231,232)の処理は、第1の実施の形態における手順123(ブロック225)の処理と同様、アクセルペダル1の操作量に応じた電動モータ12R,12Lの加速トルク制限値(モータ最大トルクTrmax2)を計算する加速トルク制限値計算手段を構成し、手順133(ブロック233,234)の処理は、第1の実施の形態における手順124(ブロック226,227)の処理の処理と同様、加速トルク制限値(モータ最大トルクTrmax2)がモータ目標トルクTr1R,Tr1Lよりも大きいときは、モータ目標トルクをモータトルク指令値TrR,TrLとして選択し、加速トルク制限値(モータ最大トルクTrmax2)がモータ目標トルクTr1R,Tr1Lよりも小さくなると加速トルク制限値(モータ最大トルクTrmax2)をモータトルク指令値TrR,TrLとして選択するモータトルク指令値決定手段を構成する。
【0098】
以上のように本実施の形態においても、手順131,132(ブロック225A,231,232)及び手順133(ブロック233,234)の処理機能は第1の実施の形態における手順123(ブロック225)及び手順124(ブロック226,227)の処理機能と同じであり、通常走行時にアクセルペダルの操作量と電動モータの出力馬力との関係が一致した良好な操作感覚が得られ、微速走行時は良好な制御性が得られ、微妙な位置決めを容易に行うことができる。
【0099】
以上において、本発明の一実施の形態を説明したが、本発明の精神の範囲内で種々の変形が可能である。以下にその幾つかを説明する。
【0100】
例えば、上記実施の形態では、手順111(ブロック211)で、原動機4の実回転数Neをモータ最大出力馬力の関数Mr(Ne)に参照して電動モータ12R,12Lで使用可能な最大馬力Mrを求めたが、通常はアクセルペダルを急激に操作せず、原動機4の実回転数Neは目標回転数Nrにほぼ等しいので、原動機4の実回転数Neに代え、目標回転数Nrを用いて電動モータ12R,12Lで使用可能な最大馬力Mrを求めてもよい。また、最大馬力Mrを1/2にして電動モータ12R,12Lの1台当たりの出力馬力上限値Pmaxを算出したが、手順118(ブロック217)でモータ出力馬力上限値Pmaxとモータ目標出力馬力Pm0との小さい方の値を選択した後、その値を1/2にしてモータ出力目標馬力Pmとしてもよい。
【0101】
また、電動モータ12R,12Lは誘導モータとしたが、同期モータであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の一実施の形態による電気駆動ダンプトラックの駆動システムの全体構成を示す図である。
【図2】本実施の形態によるる駆動システムの処理手順を示す機能ブロック図である。
【図3】処理手順を示すフローチャートである。
【図4】処理手順を示すフローチャートである。
【図5】非走行時の第1目標回転数の関数Nr1(p)を示す図である。
【図6】走行時の第2目標回転数の関数Nr2(p)を示す図である。
【図7】走行時の第2目標回転数の関数Nr2(p)の変形例を示す図である。
【図8】走行時の第2目標回転数の関数Nr2(p)の他の変形例を示す図である。
【図9】モータ最大出力馬力の関数Pmax(Ne)を示す図である。
【図10】関数f(Ne)で表される回転数対原動機最大出力馬力のデータマップと、関数g(Ne)で表される回転数対その他原動機負荷損失馬力のデータマップを示す図である。
【図11】前進時の第1モータ目標出力馬力の関数Pm1(p)を示す図である。
【図12】後進時の第2モータ目標出力馬力の関数Pm2(p)を示す図である。
【図13】モータ出力目標馬力Pmと電動モータの回転速度ωR,ωLとモータ目標トルクTr1R,Tr1Lとの関係を示す図である。
【図14】モータ最大トルクの関数Trmax1(ω)で表されるモータ回転数対モータ最大トルクのデータマップを示す図である。
【図15】モータ加速トルクの関数Trmax2(p)を示す図である。
【図16】モータ目標トルクTr1R,Tr1Lとモータ加速トルクTrmax2との最小値の選択結果を示す図である。
【図17】本発明の第2の実施の形態による駆動システムの処理手順を示す機能ブロック図である。
【図18】第2の実施の形態の処理手順を示すフローチャートである。
【図19】モータトルク制限比率の関数Kmax(p)を示す図である。
【符号の説明】
【0103】
1 アクセルペダル
2 リタードペダル
3 全体制御装置
4 原動機(ディーゼルエンジン)
5 交流発電機
6 整流回路
7 インバータ制御装置
8 チョッパ回路
9 グリッド抵抗
10 コンデンサ
11 整流後の電圧を検出するための抵抗
12R,12L 左右の電動モータ(誘導モータ)
13R,13L 減速機
14R,14L 左右の後輪(タイヤ)
15R,15L 電磁ピックアップセンサ
16 シフトレバー
18 その他の原動機負荷
71R,71L トルク指令演算部
72R,72L モータ制御演算部
73R,73L インバータ(スイッチング素子)
Nr1 第1目標回転数
Nr2 第2目標回転数
Nr 目標回転数
Pm1 第1モータ目標出力馬力
Pm2 第2モータ目標出力馬力
Pm0 モータ目標出力馬力
Pmax モータ出力馬力上限値
Pm モータ目標出力馬力
Tr1R,TrlL モータ目標トルク
Trmax2 モータ加速トルク
Trmax モータ許容最大トルク
TrR,TrL モータトルク指令値
関数Nr1(p) 第1目標回転数特性
関数Nr2(p) 第2目標回転数特性
関数Trmax2(p) 加速トルク制限値特性

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動機と、
この原動機により駆動される交流発電機と、
前記交流発電機により電力が供給されて駆動する走行用の少なくとも2つの電動モータと、
前記交流発電機に接続され、それぞれ、前記電動モータを制御する少なくとも2つのインバータと、
アクセルペダルの操作量に応じて前記インバータを制御し、前記電動モータを制御するモータ制御手段とを有する電気駆動ダンプトラックの駆動システムにおいて、
前記モータ制御手段は、
前記アクセルペダルの操作量に応じたモータ目標出力馬力を計算するモータ目標出力馬力計算手段と、
前記モータ目標出力馬力と前記2つの電動モータの回転数とに基づいてモータ目標トルクを計算するモータ目標トルク計算手段と、
前記アクセルペダルの操作量に応じた前記2つの電動モータの加速トルク制限値を計算する加速トルク制限値計算手段と、
前記加速トルク制限値が前記モータ目標トルクよりも大きいときは、前記モータ目標トルクをモータトルク指令値として選択し、前記加速トルク制限値が前記モータ目標トルクよりも小さくなると前記加速トルク制限値をモータトルク指令値として選択するモータトルク指令値決定手段と、
前記モータトルク指令値に基づいて前記インバータを制御するインバータ制御手段とを備えることを特徴とする駆動システム。
【請求項2】
請求項1記載の電気駆動ダンプトラックの駆動システムにおいて、
前記加速トルク制限値計算手段は、前記アクセルペダルの操作量が0のときは、加速トルク制限値が微速走行に適したトルク範囲の低めのトルクであり、前記アクセルペダルの操作量が0から中間操作量までの微操作領域を含む範囲にあるときは、前記アクセルペダルの操作量が増加するにしたがって前記加速トルク制限値が前記最小トルクから微速走行に適したトルク範囲の高めのトルクまで増加し、前記アクセルペダルの操作量が更に増加すると前記加速トルク制限値が最大トルクまで増加するように設定された加速トルク制限値特性に基づいて、前記加速トルク制限値を計算することを特徴とする駆動システム。
【請求項3】
請求項2記載の電気駆動ダンプトラックの駆動システムにおいて、
前記微速走行に適したトルク範囲の低めのトルクは、前記電動モータの回転数に応じて予め設定されたモータ許容最大トルクの15%〜30%であり、前記微速走行に適したトルク範囲の高めのトルクは前記モータ許容最大トルクの30%〜50%であり、前記中間操作量は最大操作量の40%〜60%であることを特徴とする駆動システム。
【請求項4】
請求項1記載の電気駆動ダンプトラックの駆動システムにおいて、
前記加速トルク制限値計算手段は、前記加速トルク制限値として前記アクセルペダルの操作量に応じたモータ加速トルクを計算し、
前記モータトルク指令値決定手段は、前記モータ目標トルクと前記モータ加速トルクと前記電動モータの回転数に応じて予め設定されたモータ許容最大トルクとを比較して、それらの最小値を選択することを特徴とする駆動システム。
【請求項5】
請求項1記載の電気駆動ダンプトラックの駆動システムにおいて、
前記加速トルク制限値計算手段は、前記アクセルペダルの操作量に応じたモータトルク制限比率を計算し、このモータトルク制限比率を前記電動モータの回転数に応じて予め設定されたモータ許容最大トルクに乗じた値であるモータ最大トルクを前記加速トルク制限値として計算し、
前記モータトルク指令値決定手段は、前記モータ目標トルクと前記モータ最大トルクとを比較して、それらの最小値を選択することを特徴とする駆動システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項記載の電気駆動ダンプトラックの駆動システムにおいて、
更に、
前記原動機の回転数に応じて前記走行用の電動モータで使用可能な最大馬力を計算する最大馬力計算手段と、
前記モータ目標出力馬力計算手段により計算した前記モータ目標出力馬力が、前記最大馬力計算手段により計算した最大馬力を超えないように制限するモータ出力馬力制限手段とを有し、
前記モータ目標トルク計算手段は、前記モータ出力馬力制限手段からのモータ目標出力馬力と前記2つの電動モータの回転数とから前記モータ目標トルクを計算することを特徴とする駆動システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2007−326411(P2007−326411A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−157679(P2006−157679)
【出願日】平成18年6月6日(2006.6.6)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】