説明

電流検出装置、電源供給装置、及び電流検出方法

【課題】温度補正用のデータテーブルを2以上の所定の温度点だけで作成し、これを用いて広範囲の周囲温度で電流検出値を高精度に補正する電流検出装置とそれを備える電源供給装置、及び電流検出方法を提供する。
【解決手段】温度補正部130は、演算手段131、メモリ132、第1AD変換手段133、及び第2AD変換手段134を備えており、代表温度点に対応する電圧−電流変換テーブルは、事前に作成されてメモリ132に保存されている。演算手段131では、周囲温度Tをもとに、これを間に挟む代表温度点T1、T2を選択し、各代表温度点に対応する電圧−電流変換テーブルから測定電圧Vtに対する負荷電流を求める。この2つの負荷電流を用いて、線形補間により周囲温度Tにおける負荷電流を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷への電源供給線路を開閉するスイッチを通過する電流を検出する電流検出装置とそれを備える電源供給装置、及び電流検出方法に関し、特にスイッチにパワーMOSFET等の半導体スイッチを用いたときの電流検出装置とそれを備える電源供給装置、及び電流検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等に用いられている電源供給装置では、ヘッドライト等の電装品に電源を供給するために、各電装品が電源供給線路であるハーネスを介してバッテリに接続されている。また、各電装品への電源供給線路を開閉するためのスイッチがその途中に設けられている。さらに、スイッチやハーネスを過電流から保護するための過電流保護手段も設けられている。過電流保護手段として、従来はヒューズが用いられていた。
【0003】
近年、スイッチや過電流保護手段の電子化が進められており、電源供給線路を開閉するためのスイッチとして半導体スイッチが用いられるようになっている。また、ヒューズに代えて、過電流時に半導体スイッチをオフにして電源供給線路を遮断させるように構成された過電流保護手段も種々提案されている。半導体スイッチを用いた過電流保護手段では、ハーネスに加えて半導体スイッチも過電流から保護することが要求される。
【0004】
半導体スイッチは、周囲温度やそれ自身の発熱の影響を強く受けることが知られており、大電力に対応可能なパワーMOSFETを用いた場合には、周囲温度の変化によってそのオン抵抗が2倍程度も変化することがある。そこで、このような半導体スイッチを用いる場合には、半導体スイッチを通過する電流を精度よく求めて過電流等を適切に判定できるようにするために、検出した電流値に対し半導体スイッチのオン抵抗の温度変化による影響を補償する必要がある。また、半導体スイッチ以外のスイッチを用いた場合でも、スイッチの抵抗値の温度変化による影響を補償してハーネスを保護する必要がある。
【0005】
特許文献1には、図11に示すようなモータ901の界磁コイル902に供給される界磁電流を制御する界磁電流補正制御装置900が記載されている。ここでは、電流検出用抵抗903の温度変化による抵抗値の変化量に基づいて、電流補正部904で界磁電流の測定値を補正するようにしている。電流検出用抵抗903の抵抗値の変化量として、電流検出用抵抗903の自己発熱による変化量と周囲温度の変化による変化量の両方を推定している。自己発熱による抵抗値変化量を推定するために、図12に示すような温度補正マップ、又は図13に示すような補正テーブルを用意して用いている。
【0006】
また、特許文献2には、図14に示すように、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)の主電流を検出する手段を備えた電力変換装置の記載がある。IGBTの電圧、電流特性が非線形であり、かつ温度によって特性が非線形に変わることから、図14に示すIGBT911の主電流とセンスIGBT912のセンス電流との比を、温度依存性のデータテーブルあるいは換算式を用いて推定するようにしている。
【0007】
さらに、特許文献3には、図15に示すようなスイッチング装置が開示されている。同図に示すスイッチング装置では、ハーネス921に対し、図16に示すような周囲温度に依存して変化する発煙特性が規定されている。特許文献3では、ハーネス921の周囲温度として、半導体スイッチ922がオフの時に温度センサで検出した値を用いている。この周囲温度をもとに、図16に示した発煙特性の温度変化に対応させて検出電流値を補正している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−237049号公報
【特許文献2】特開2006−271098号公報
【特許文献3】特開2003−209922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1乃至3に記載されているような温度補正の方法では、周囲温度毎に温度補正用のデータテーブルを用意する必要があり、周囲温度として広範囲の温度をカバーさせる必要がある場合には、データテーブルのデータ量が膨大になってしまうといった問題があった。また、このような膨大なデータテーブルを保存するために大容量のメモリが必要となり、高コストになるといった問題がある。
【0010】
本発明はこのような問題を解決するためになされたものであり、温度補正用のデータテーブルを2以上の所定の温度点だけで作成し、これを用いて広範囲の周囲温度で電流検出値を高精度に補正する電流検出装置とそれを備える電源供給装置、及び電流検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の電流検出装置の第1の態様は、電源からハーネスを介して負荷に供給される負荷電流をオン/オフするスイッチに並列に接続されて前記負荷電流を検出する電流検出装置であって、電流計測用抵抗と、前記電流計測用抵抗による電圧降下を検出して測定電圧として出力する電圧検出回路と、前記スイッチの周囲温度を検出する温度センサーと、前記電圧検出回路及び前記温度センサーからそれぞれ前記測定電圧及び前記周囲温度を入力して前記負荷電流を算出する温度補正部と、を備え、前記温度補正部は、前記電圧検出回路から入力した前記測定電圧をAD変換する第1AD変換手段と、前記温度センサーから入力した前記周囲温度をAD変換する第2AD変換手段と、代表温度点事前に設定された2以上の前記周囲温度のそれぞれに対して事前に作成された前記測定電圧を前記負荷電流に変換するための電圧対電流データからなる電圧−電流変換テーブルを保存するメモリと、前記第2AD変換手段から入力したデジタル値の前記周囲温度を挟む2つの前記代表温度点を求め、前記第1AD変換手段から入力したデジタル値の前記測定電圧と前記メモリから入力した前記2つの代表温度点のそれぞれに対する前記電圧−電流変換テーブルから前記2つの代表温度点のそれぞれにおける2つの電流値を求め、前記2つの電流値を線形補間して前記検出された周囲温度における前記負荷電流を算出する演算手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の電流検出装置の他の態様は、前記演算手段から前記負荷電流を入力し、前記負荷電流をもとに所定の過電流制限条件が満たされているかを判定し、前記過電流制限条件が満たされていないと判定したときは前記スイッチをオフに制御する異常判定部をさらに備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の電流検出装置の他の態様は、前記過電流制限条件の判定は、最新の一定期間の前記負荷電流又は前記負荷電流の2乗値を積分又は積算した電流積分値が所定の電流積分閾値以下のときに満たされていると判定し、前記電流積分値が前記電流積分閾値を超えると満たされていないと判定することを特徴とする。
【0014】
本発明の電流検出装置の他の態様は、前記電流積分閾値は、前記スイッチを保護するために設定された所定の限界過電流特性に基づいて算出される閾値と、前記ハーネスを保護するために設定された電線限界過電流特性に基づいて算出される別の閾値のいずれか低い値であることを特徴とする。
【0015】
本発明の電流検出装置の他の態様は、前記電圧−電流変換テーブルは、前記測定電圧に対する前記負荷電流の変化が小さいときは前記電圧対電流データのデータ数を少なくしていることを特徴とする。
【0016】
本発明の電流検出装置の他の態様は、前記代表温度点は、少なくとも前記周囲温度に対する前記スイッチの抵抗値の変化が大きい温度点を選択していることを特徴とする。
【0017】
本発明の電流検出装置の他の態様は、前記電圧検出回路は、前記スイッチの前記電源側にこれと並列に接続された第1抵抗と、非反転入力端子が前記スイッチの前記負荷側に接続され、反転入力端子が前記第1抵抗の下流側に接続された差動増幅器と、エミッタ端子が前記第1抵抗と前記差動増幅器の反転入力端子との間に接続され、コレクタ端子が前記電流計測用抵抗を介して接地され、ゲート端子が前記差動増幅器の出力端子に接続されたトランジスタと、を備えることを特徴とする。
【0018】
本発明の電流検出装置の他の態様は、前記温度センサーで検出された前記周囲温度が、前記2以上の代表温度点のうち最も低い温度より低いときは、前記最も低い温度の代表温度点に対する前記電圧−電流変換テーブルから求めた電流値を前記負荷電流とすることを特徴とする。
【0019】
本発明の電流検出装置の他の態様は、前記スイッチは、nチャネル型半導体スイッチのパワーMOSFETであることを特徴とする。
【0020】
本発明の電源供給装置の第1の態様は、電源と、前記電源からハーネスを介して負荷に供給される負荷電流を通電又は遮断させるスイッチと、上記態様のいずれか1項に記載の電流検出装置と、前記ハーネスへの前記負荷電流の通電又は遮断を指令するための操作スイッチと、前記操作スイッチからの指令を受信して前記電流検出装置に出力する指令受信部と、を備え、前記電流検出装置は、前記指令受信部から前記操作スイッチの指令を入力して前記スイッチを制御するとともに、前記電流検出装置で過電流が検出されると前記スイッチをオフに制御することを特徴とする。
【0021】
本発明の電流検出方法の第1の態様は、スイッチを通電する負荷電流に伴って変化する所定の電圧を測定し、前記測定電圧から前記負荷電流を算出する電流検出方法であって、前記スイッチの代表温度点として事前に設定された2以上の周囲温度のそれぞれに対して前記測定電圧を前記負荷電流に変換するための電圧対電流データからなる電圧−電流変換テーブルを事前に作成し、前記測定電圧及び前記周囲温度を検出し、前記検出された周囲温度を挟む2つの前記代表温度点を求め、前記検出された測定電圧と前記2つの代表温度点のそれぞれに対する前記電圧−電流変換テーブルとから前記2つの代表温度点のそれぞれにおける2つの電流値を求め、前記2つの電流値を線形補間して前記検出された周囲温度における前記負荷電流を算出することを特徴とする。
【0022】
本発明の電流検出方法の他の態様は、前記電圧−電流変換テーブルは、前記測定電圧に対する前記負荷電流の変化が小さいときは前記電圧対電流データのデータ数を少なくすることを特徴とする。
【0023】
本発明の電流検出方法の他の態様は、前記代表温度点は、少なくとも前記周囲温度に対する前記半導体スイッチの抵抗値の変化が大きい温度点を選択することを特徴とする。
【0024】
本発明の電流検出方法の他の態様は、前記周囲温度が前記2以上の代表温度点のうち最も低い温度より低いときは、前記最も低い温度の代表温度点に対する前記電圧−電流変換テーブルから求めた電流値を前記負荷電流とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、温度補正用のデータテーブルを2以上の所定の温度点だけで作成し、これを用いて広範囲の周囲温度で電流検出値を高精度に補正する電流検出装置とそれを備える電源供給装置、及び電流検出方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電流検出装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】測定電圧と負荷電流との相関の一例を示すグラフである。
【図3】周囲温度に対するオン抵抗の変化の一例を示すグラフである。
【図4】本発明の第2実施形態に係る電流検出装置の概略構成を示すブロック図である。
【図5】パワーMOSFETに対する限界過電流特性の一例を示すグラフである。
【図6】第3の実施形態の電流検出方法における周囲温度と温度係数との関係を示すグラフである。
【図7】本発明の実施形態に係る電源供給装置の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施形態に係る電源供給装置の処理の流れを説明する流れ図である。
【図9】負荷電流積分値を算出する方法を説明する流れ図である。
【図10】強制遮断時の処理の流れを説明する流れ図である。
【図11】従来の界磁電流補正制御装置の構成を示すブロック図である。
【図12】従来の界磁電流補正制御装置で用いられる温度補正マップである。
【図13】従来の界磁電流補正制御装置で用いられる補正テーブルである。
【図14】従来のIGBTの主電流を検出する手段を備えた電力変換装置のブロック図である。
【図15】従来のスイッチング装置の構成を示すブロック図である。
【図16】従来のハーネスの発煙特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の好ましい実施の形態における電流検出装置とそれを備える電源供給装置、及び電流検出方法の構成について、図面を参照して以下に詳細に説明する。なお、同一機能を有する各構成部については、図示及び説明簡略化のため、同一符号を付して示す。以下では、電流を通電/遮断するためのスイッチに半導体スイッチを用いた場合を例に説明するが、これに限定されず、それ以外の開閉手段を用いた場合にも適用可能である。
【0028】
(第1実施形態)
本発明の第1の実施の形態に係る電流検出装置及び電流検出方法の構成を、図1を用いて説明する。図1は、本実施形態の電流検出装置100の構成を示すブロック図である。同図では、負荷40がハーネス20及びその途中に設けられた半導体スイッチのパワーMOSFET30を介して電源10に接続された系統において、負荷40に供給される負荷電流Iloadを高精度に測定する本実施形態の電流検出装置100の構成を示している。
【0029】
パワーMOSFET30は、nチャネル型のパワーMOSFETであり、ドライバ回路50からの制御によって、電源10から負荷40への電源供給をオン/オフする構成となっている。このような系統として、例えば電源10を車両に搭載されたバッテリとし、負荷40を車載電装品とすることができる。パワーMOSFET30のゲート端子にドライバ回路50からHレベルの駆動電圧が出力されると、パワーMOSFET30がオンになって負荷40に負荷電流Iloadが供給される。一方、ドライバ回路50から出力される駆動電圧がHレベルからLレベルに変更されると、パワーMOSFET30がオン状態からオフ状態に切り替えられて負荷40への負荷電流Iloadが遮断される。
【0030】
本実施形態の電流検出装置100は、電圧検出回路110、温度センサー120、及び温度補正部130を備えている。電圧検出回路110は、差動増幅器111、トランジスタ112、第1抵抗113、及び第2抵抗114を備えている。トランジスタ112にはpnp型のものを用いており、エミッタ端子が第1抵抗113を介して電源10に接続され、コレクタ端子は、第2抵抗114を介して接地されている。
【0031】
差動増幅器111は、非反転入力端子がパワーMOSFET30のソース側(負荷40側)に接続され、反転入力端子が第1抵抗113の下流側、すなわちトランジスタ112のエミッタ端子に接続されている。これにより、非反転入力端子の電圧はパワーMOSFET30のソース側の電圧と等しく、反転入力端子の電圧はトランジスタ112のエミッタ端子の電圧に等しくなっている。また、差動増幅器111の出力端子は、トランジスタ112のゲート端子に接続されている。
【0032】
上記のように構成された電圧検出回路110では、差動増幅器111の反転入力端子に印加される電圧と非反転入力端子に印加される電圧とが等しくなるように差動増幅器111の出力が調整され、これによりトランジスタ112のエミッターコレクタ間電流、すなわち第1抵抗113を流れる電流が制御される。電源10の電圧をV0、パワーMOSFET30のドレイン・ソース間電圧をVds、第1抵抗113の抵抗値をRs、第1抵抗113を流れる電流をIsとしたとき、
V0−Vds=V0−Rs・Is (1)
が成立する。
【0033】
これより、電流Isは次式で与えられる。
Is=Vds/Rs (2)
式(2)より、第1抵抗113を流れる電流Isは、ドレイン・ソース間電圧Vdsに比例することがわかる。この電流Isは、トランジスタ112のエミッタ側からコレクタ側に流れ、第2抵抗114で消費される。
【0034】
一方、パワーMOSFET30のオン抵抗をRds(ON)としたとき、ドレイン・ソース間電圧Vdsと負荷電流Iloadとの間に次式が成り立つ。
Vds=Iload・Rds(ON) (3)
式(2)、(3)より、負荷電流Iloadと電流Isとの間には、
Is=Iload・(Rds(ON)/Rs)
あるいは
load=Is・(Rs/Rds(ON)) (4)
が成り立つ。すなわち、第1抵抗113には負荷電流Iloadに比例した電流Isが流れることがわかる。
【0035】
本実施形態の電流検出装置100では、電流Isを検出することで負荷電流Iloadを検出する構成となっており、以下では電流Isを測定電流Isと称することとする。測定電流Isは、トランジスタ112のコレクタ側電圧を検出し、これを電流値に変換して検出する。トランジスタ112のコレクタ側電圧は、第2抵抗114の接地側とは反対側の電圧に相当する。この電圧(以下では測定電圧という)をVtとし、第2抵抗114の抵抗値をRtとするとき、測定電流Isは
Is=Vt/Rt (5)
で与えられる。
【0036】
式(4)、(5)より、
load=(Vt/Rt)・(Rs/Rds(ON))
=Vt・(Rs/{Rds(ON)・Rt)} (6)
が得られる。これより、抵抗Rds(ON)、Rs、Rtが決まると、測定電圧Vtを検出することで負荷電流Iloadを求めることが可能となる。
【0037】
しかしながら、パワーMOSFET30のオン抵抗Rds(on)は、周囲温度の変化によって大きく変化する。式(6)で与えられる測定電圧Vtと負荷電流Iloadとの相関の一例を図2に示す。ここでは、横軸の負荷電流Iloadに対し、縦軸は測定電圧Vtを所定のAD変換器でAD変換したAD変換値AD_Vtを示しており、AD変換器の単位(LSB)で示している。オン抵抗Rds(on)が周囲温度によって変化することから、図2では異なる周囲温度T毎に負荷電流Iloadと測定電圧VtのAD変換値AD_Vtとの相関を示している。
【0038】
図2の縦軸に示すAD変換値AD_Vtは、[V]単位に変換して測定電圧のデジタル値Vtとして用いることができる。あるいは、LSB単位のAD変換値AD_Vtのまま用いてもよい。以下の説明では、[V]単位に変換したデジタル値の測定電圧Vtを用いて説明する。上記のような負荷電流Iloadと測定電圧Vtとの相関を、所定の相関式又はデータテーブル形式の電圧−電流変換テーブルとして周辺温度毎に予め作成し、これを用いて測定電圧Vtから負荷電流Iloadを算出するようにすることができる。
【0039】
しかしながら、負荷電流Iloadを高精度に算出できるようにするには、従来は、周囲温度Tが異なる多数の温度点で電圧−電流変換テーブルを作成しておく必要があった。そのため、電圧−電流変換テーブルのデータ量が膨大になるといった問題があった。例えば、周辺温度−40℃〜140℃の温度範囲において、5℃毎に温度点を変えて電圧−電流変換テーブルを作成した場合には、1つの温度点に対する電圧−電流変換テーブルのデータ量の37倍のデータが必要となり、データ量が膨大となってしまう。
【0040】
そこで、本実施形態の電流検出方法では、周囲温度として少数の代表温度点をあらかじめ選択し、この代表温度点における電圧−電流変換テーブルのみを作成して用いるようにしている。周囲温度の代表温度点の選択方法について、以下に説明する。
【0041】
パワーMOSFET30のオン抵抗Rds(ON)は、周囲温度の変化に対し非線形な変化を示す。図3は、横軸を周囲温度Tとし、縦軸をオン抵抗Rds(ON)としたときの周囲温度Tに対するオン抵抗Rds(ON)の変化の一例を示している。同図において、破線A、Bの傾きは、それぞれ周囲温度T1、T2における温度係数TC_Rds(ON)を示している。
【0042】
図3に示すように、オン抵抗Rds(ON)の温度係数TC_Rds(ON)は、周囲温度Tによって変化しており、周囲温度Tに対し概略二次曲線で表される変化を示す。そこで本実施形態では、温度係数TC_Rds(ON)を周囲温度で線形補間できる温度範囲を事前に選択し、この温度範囲を基準に周囲温度の代表温度点を適切に選択している。代表温度点は、少なくとも周囲温度に対するオン抵抗Rds(ON)の変化が大きい温度点を選択するのがよい。一例として、パワーMOSFET30を対象とするときの代表温度点として、−40℃、−25℃、25℃、125℃、140℃を選択することができる。これらの代表温度点を、図3に一点鎖線で示す。
【0043】
このようにして選択された周囲温度の各代表温度点に対し、測定電圧を負荷電流に変換するための電圧対電流データからなる電圧−電流変換テーブルを事前に作成して電流検出装置100で用いるようにしている。電圧−電流変換テーブルは、測定電圧に対する負荷電流の変化が小さいときは、電圧対電流データのデータ数を少なくすることができる。
【0044】
本実施形態の電流検出方法では、事前に作成された各代表温度点に対応する電圧−電流変換テーブルを用いて、以下のようにして周囲温度Tにおける負荷電流Iloadを高精度に算出する。まず、検出された周囲温度Tに対し、これを挟む代表温度点T1、T2を求める。次に、代表温度点T1、T2に対応する電圧−電流変換テーブルを用いて、検出された測定電圧Vtから各代表温度点における負荷電流Iload1、Iload2を求める。さらに、負荷電流Iload1、Iload2を線形補間して周囲温度Tにおける負荷電流Iloadを算出する。
【0045】
負荷電流Iloadの算出は、次式を用いて行うことができる。
load=Iload1+
(Iload2ーIload1)×{(T−T1)/(T2−T1)} (7)
これにより、負荷電流Iloadを高精度に算出することができる。
【0046】
上記の本実施形態の電流検出方法を用いて負荷電流Iloadを高精度に算出するために、本実施形態の電流検出装置100には、温度補正部130が設けられている。温度補正部130は、演算手段131、メモリ132、第1AD変換手段133、及び第2AD変換手段134を備えている。温度補正部130では、上記の周囲温度によるオン抵抗Rds(ON)の変化の影響をデジタル演算処理して補正するために、演算手段131にマイコンを用いている。また、各代表温度点に対応する電圧−電流変換テーブルは、事前に作成されてメモリ132に保存されている。
【0047】
電圧検出回路110から温度補正部130に入力された測定電圧Vtは、第1AD変換手段133でデジタル値AD_Vtに変換されて演算手段131に入力される。また、温度センサー120で測定されたパワーMOSFETの周辺温度Tも、第2AD変換手段134でデジタル値AD_Tに変換されて演算手段131に入力される。AD変換手段133、134から出力されるデジタル値AD_Vt、AD_Tは、いずれもLSB単位であるが、演算手段131でそれぞれ[V]単位の測定電圧Vt及び[℃]単位の周囲温度Tに変換される。演算手段131では、デジタル値の測定電圧Vt[V]及び周囲温度T[℃]を用いて以下の演算処理を行う。
【0048】
演算手段131では、周囲温度Tをもとに、これを間に挟む低温側の代表温度点T1と高温側の代表温度点T2を選択する。代表温度点T1、T2が選択されると、各代表温度点に対応する電圧−電流変換テーブルをメモリ132から読み出し、それぞれの電圧−電流変換テーブルから測定電圧Vtに対する負荷電流Iload1、Iload2を求める。この負荷電流Iload1、Iload2を用いて、式(7)より周囲温度Tにおける負荷電流Iloadを算出する。
【0049】
上記のように、本実施形態の電流検出装置100及び電流検出方法によれば、測定電圧Vtと負荷電流Iloadとの相関を表す電圧−電流変換テーブルとして、あらかじめ選択された代表温度点に対応するものだけを用意すればよく、電圧−電流変換テーブルのデータ量を大幅に低減することが可能となる。また、保存させるデータ量が少なくなることから、メモリ132に要求される容量も小さくなり、低コストで負荷電流を高精度に推定することが可能となる。
【0050】
(第2実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る電流検出装置及び電流検出方法を、図4を用いて以下に説明する。図4は、第2の実施形態の電流検出装置200の構成を示すブロック図である。本実施形態の電流検出装置200は、第1の実施形態の電流検出装置100に、さらに異常判定部240を追加している。異常判定部240は、演算手段131で算出した負荷電流Iloadが、パワーMOSFET30及びハーネス20を保護するために設定されている負荷電流制限値を超えるか否かを判定するものである。
【0051】
本実施形態では、パワーMOSFET30を保護するために設けられている半導体限界過電流特性と、ハーネス20を保護するために設けられている電線限界過電流特性を、メモリ132に予め保存させている。異常判定部240は、メモリ132から半導体限界過電流特性及び電線限界過電流特性を読み出し、両者のうちいずれか低い方を負荷電流制限値に選択する。そして、演算手段131から入力した負荷電流Iloadが負荷電流制限値を超えるか否かを判定し、負荷電流制限値を超えると判定すると、ドライバ回路50に対し負荷電流Iloadの遮断を要求する信号を出力する。これにより、ドライバ回路50は、負荷電流Iloadを遮断するようにパワーMOSFET30を制御する。
【0052】
上記のように、本実施形態の電流検出装置200によれば、第1の実施形態と同様に、少ないデータ量の電圧−電流変換テーブルを用いて負荷電流を高精度に推定することができるのに加えて、負荷電流が所定の制限値を超えると判定されると、負荷電流を遮断させてパワーMOSFET及びハーネスの損傷を防止することが可能となる。
【0053】
(第3実施形態)
本発明の第3の実施形態の電流検出装置及び電流検出方法について、以下に説明する。本実施形態の電流検出方法では、パワーMOSFET30及びハーネス20の保護特性に基づき、許容される電流量が大きくなる周囲温度の低温側では、代表温度点を減らして電圧−電流変換テーブルのデータ量をさらに低減するようにしている。
【0054】
パワーMOSFET30の保護特性として、電流の大きさによって通電を許可する時間を制限する半導体限界過電流特性が規定されている。パワーMOSFET30に設定された半導体限界過電流特性の一例を図5に示す。同図に示すように、パワーMOSFET30の半導体限界過電流特性は周辺温度Tに依存して変化し、周辺温度が低下するほど半導体限界過電流特性のラインが高電流側に移動する。従って、例えば電流値が同じであっても、周辺温度が低温になるほど通電が許可される時間が長くなる。また、通電時間が同じであっても、周辺温度が低いほど通電が許可される電流値が高くなる。
【0055】
上記のような限界過電流特性は、ハーネス20に対しても同様に設定されており、電流の大きさによってハーネスを通電する時間を制限する電線限界過電流特性が規定されている。第2の実施形態の電流検出装置200では、異常判定部240において、半導体限界過電流特性と電線限界過電流特性のいずれか低い方を負荷電流制限値としている。
【0056】
半導体限界過電流特性及び電線限界過電流特性では、図5に例示するように、周囲温度が低温になると、許容する電流値が急激に大きくなる。そのため、周囲温度が低温の場合には、常温又は高温の場合に比べて電流制限値に対し十分大きな余裕を有することになる。そのため、周囲温度が低温時には、温度係数TC_Rds(ON)を周囲温度で高精度に補正しなくても、負荷電流Iloadが半導体限界過電流特性又は電線限界過電流特性で与えられる電流制限値を超えるおそれはない。
【0057】
そこで、本実施形態の電流検出方法では、周囲温度が所定の温度Tcより低い場合には、周囲温度がTcのときの温度係数TC_Rds(ON)を用いて負荷電流Iloadの補正を行うようにする。すなわち、温度係数TC_Rds(ON)は、周囲温度Tに対し図6に示すように変化するものとしている。図6では、一例としてTc=0℃としている。そこで、本実施形態の電流検出方法及び電流検出装置では、周囲温度Tcを代表温度点とし、この温度Tcに対応する電圧−電流変換テーブルを事前に作成してメモリ132に保存させておき、温度センサー120で検出された周囲温度がTc以下の場合には、周囲温度Tcに対応する電圧−電流変換テーブルから求めた電流を負荷電流Iloadとする。
【0058】
本実施形態の電流検出方法及び電流検出装置では、周囲温度がTc以下の場合には、周囲温度Tcに対応する電圧−電流変換テーブルを用いて負荷電流Iloadを算出することから、代表温度点を温度Tcより低い温度に設ける必要がなくなり、電圧−電流変換テーブルのデータ量をさらに低減することが可能となる。
【0059】
本発明の電源供給装置の実施形態を図7を用いて説明する。図7は、本発明の実施形態に係る電源供給装置の構成を示すブロック図である。本実施形態の電源供給装置300は、電源10、パワーMOSFET30、ドライバ回路50、及び電流検出装置301に加えて、さらに操作スイッチ350と指令受信部360を備えている。
【0060】
操作スイッチ350は、運転者等がパワーMOSFET30のオン(通電)/オフ(遮断)を指令するために設けられているものであり、指令受信部360は、操作スイッチ350の指令内容を電流検出装置301の演算手段331に常時(所定の周期tcで)出力する。本実施形態の電流検出装置301は、負荷電流Iloadの検出に加えて、指令受信部360からの指令内容に従ってパワーMOSFET30の制御を行っている。電流検出装置301における処理の流れを、図8の流れ図を用いて説明する。
【0061】
電流検出装置301における処理は、周期tcで実行される。周期tcは、例えば2ミリ秒とすることができる。まず、演算手段331が、操作スイッチ350の指令内容を指令受信部360から入力し(ステップS1)、操作スイッチ350の指令内容を判定する(ステップS2)。そして、操作スイッチ350の指令内容がパワーMOSFET30に対する通電指令の場合にはステップS3に進み、遮断指令の場合にはステップS4に進む。ステップS4では、演算手段331がドライバ回路50に対し負荷電流Iloadの遮断を要求する信号を出力し、ドライバ回路50がパワーMOSFET30をオフに自動制御する。その後ステップS10に進む。
【0062】
一方、ステップS3では、負荷電流Iloadが強制遮断されているか否かを判定し、強制遮断されていないときはステップS5に進み、強制遮断されているときはステップS6に進む。ステップS5では、演算手段331がドライバ回路50に対し負荷電流Iloadの通電を要求する信号を出力し、ドライバ回路50がパワーMOSFET30をオンに自動制御する。その後ステップS7に進み、負荷電流Iloadの算出等の処理を行う。ステップS7における処理を、図9の流れ図を用いて詳細に説明する。
【0063】
本実施形態では、ハーネス20の発煙を防止するために、ハーネス20を通過する電流、すなわち負荷電流Iloadを所定期間で積分又は積算した電流積分値を用いて監視するようにしている。ハーネスを保護するための電線限界過電流特性は、図5に示す半導体限界過電流特性と同様に、ある大きさの電流を通電させることが可能な時間を制限しており、電流が大きくなるほど通電可能な時間が短くなる。そこで、所定期間(tsとする)の電流を積分した電流積分値が所定の電流積分閾値を超えないように監視することで、負荷電流Iloadが電線限界過電流特性の制限を超えないようにさせることができる。
【0064】
図9において、ステップS71で電圧検出回路110及び温度センサー120からそれぞれ測定電圧Vt及び周囲温度Tを入力し、ステップS72で測定電圧Vt及び周囲温度Tから電圧−電流変換テーブルを用いて負荷電流Iloadを算出する。さらにステップS73で、算出した負荷電流Iloadをメモリ132に保存して負荷電流履歴を更新する。メモリ132には、過去ts時間分の負荷電流Iloadが保存されており、最新の負荷電流Iloadが算出される度に、もっとも古い値が破棄されて最新値が保存される。ステップS74では、メモリ132に保存されている負荷電流を積分又は積算して電流積分値を算出する。なお、負荷電流を積分する期間tsは、例えば60秒とすることができる。
【0065】
ステップS7で算出された電流積分値は異常判定部340に出力され、異常判定部340でステップS8の処理が行われる。ステップS8では、電流積分値を電線限界過電流特性に基づいて事前に決定された電流積分閾値と比較し、電流積分値が電流積分閾値を超えるときは、ステップS9の処理が行われる。一方、電流積分値が電流積分閾値を超えていないときは、ステップS10に進む。
【0066】
ステップS9では、ドライバ回路50に対し負荷電流Iloadの遮断を要求する信号を出力する。これにより、パワーMOSFET30は、負荷電流Iloadを遮断するようにドライバ回路50によって強制的にオフに自動制御される。その後、ステップS10に進む。
【0067】
一方、ステップS3で負荷電流Iloadが強制遮断されていると判定されたときには、ステップS6で強制遮断されているときの処理を行う。ステップS6における処理内容を、図10に示す流れ図を用いて詳細に説明する。まずステップS61において、温度センサー120から周囲温度を入力する。ステップS62では、周辺温度が所定の復帰温度より低いか否かを判定し、周辺温度が所定の復帰温度より低いと判定すると、次のステップS63に進んで強制遮断からの復帰処理を行う。一方、周辺温度が所定の復帰温度以上であると判定すると、強制遮断からの復帰処理を行わずに終了する。
【0068】
ステップS63では、負荷電流Iloadの強制遮断から復帰させるために、ドライバ回路50に対し負荷電流Iloadの通電を要求する信号を出力し、ドライバ回路50がパワーMOSFET30を再びオンに自動制御する。上記のステップS6の処理が終了すると、ステップS10に進む。
【0069】
ステップS10では、電流検出装置301における処理を、次の周期に達するまで時間tcだけ待機させる。上記のように、本実施形態の電源供給装置によれば、負荷電流Iloadを通電/遮断させるパワーMOSFET30を運転者等が操作できるようにするとともに、パワーMOSFET30がオンのときの負荷電流Iloadの電流積分値を監視することで、ハーネス20の発煙を防止することが可能となる。また、ハーネス20の発煙防止のためにパワーMOSFET30が強制遮断された後、周囲温度が再び低下して復帰温度以下になると、パワーMOSFET30をオンに自動制御することで、負荷40への電力供給を効率的に行うことが可能となる。
【0070】
なお、本実施の形態における記述は、本発明に係る電流検出装置とそれを備える電源供給装置、及び電流検出方法の一例を示すものであり、これに限定されるものではない。本実施の形態における電流検出装置等の細部構成及び詳細な動作等に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0071】
10 電源
20 ハーネス
30 パワーMOSFET
40 負荷
50 ドライバ回路
100、200、301 電流検出装置
110 電圧検出回路
111 差動増幅器
112 トランジスタ
113 第1抵抗
114 第2抵抗
120 温度センサー
130、330 温度補正部
131、331 演算手段
132 メモリ
133 第1AD変換手段
134 第2AD変換手段
240、340 異常判定部
300 電源供給装置
350 操作スイッチ
360 指令受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源からハーネスを介して負荷に供給される負荷電流をオン/オフするスイッチに並列に接続されて前記負荷電流を検出する電流検出装置であって、
電流計測用抵抗と、
前記電流計測用抵抗による電圧降下を検出して測定電圧として出力する電圧検出回路と、
前記スイッチの周囲温度を検出する温度センサーと、
前記電圧検出回路及び前記温度センサーからそれぞれ前記測定電圧及び前記周囲温度を入力して前記負荷電流を算出する温度補正部と、を備え、
前記温度補正部は、
前記電圧検出回路から入力した前記測定電圧をAD変換する第1AD変換手段と、
前記温度センサーから入力した前記周囲温度をAD変換する第2AD変換手段と、
代表温度点として事前に設定された2以上の前記周囲温度のそれぞれに対して事前に作成された前記測定電圧を前記負荷電流に変換するための電圧対電流データからなる電圧−電流変換テーブルを保存するメモリと、
前記第2AD変換手段から入力したデジタル値の前記周囲温度を挟む2つの前記代表温度点を求め、前記第1AD変換手段から入力したデジタル値の前記測定電圧と前記メモリから入力した前記2つの代表温度点のそれぞれに対する前記電圧−電流変換テーブルから前記2つの代表温度点のそれぞれにおける2つの電流値を求め、前記2つの電流値を線形補間して前記検出された周囲温度における前記負荷電流を算出する演算手段と、を備える
ことを特徴とする電流検出装置。
【請求項2】
前記演算手段から前記負荷電流を入力し、前記負荷電流をもとに所定の過電流制限条件が満たされているかを判定し、前記過電流制限条件が満たされていないと判定したときは前記スイッチをオフに制御する異常判定部をさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の電流検出装置。
【請求項3】
前記過電流制限条件の判定は、最新の一定期間の前記負荷電流又は前記負荷電流の2乗値を積分又は積算した電流積分値が所定の電流積分閾値以下のときに満たされていると判定し、前記電流積分値が前記電流積分閾値を超えると満たされていないと判定する
ことを特徴とする請求項2に記載の電流検出装置。
【請求項4】
前記電流積分閾値は、前記スイッチを保護するために設定された所定の限界過電流特性に基づいて算出される閾値と、前記ハーネスを保護するために設定された電線限界過電流特性に基づいて算出される別の閾値のいずれか低い値である
ことを特徴とする請求項3に記載の電流検出装置。
【請求項5】
前記電圧−電流変換テーブルは、前記測定電圧に対する前記負荷電流の変化が小さいときは前記電圧対電流データのデータ数を少なくしている
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電流検出装置。
【請求項6】
前記代表温度点は、少なくとも前記周囲温度に対する前記スイッチの抵抗値の変化が大きい温度点を選択している
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電流検出装置。
【請求項7】
前記電圧検出回路は、
前記スイッチの前記電源側にこれと並列に接続された第1抵抗と、
非反転入力端子が前記スイッチの前記負荷側に接続され、反転入力端子が前記第1抵抗の下流側に接続された差動増幅器と、
エミッタ端子が前記第1抵抗と前記差動増幅器の反転入力端子との間に接続され、コレクタ端子が前記電流計測用抵抗を介して接地され、ゲート端子が前記差動増幅器の出力端子に接続されたトランジスタと、を備える
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電流検出装置。
【請求項8】
前記温度センサーで検出された前記周囲温度が、前記2以上の代表温度点のうち最も低い温度より低いときは、前記最も低い温度の代表温度点に対する前記電圧−電流変換テーブルから求めた電流値を前記負荷電流とする
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電流検出装置。
【請求項9】
前記スイッチは、nチャネル型半導体スイッチのパワーMOSFETである
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の電流検出装置。
【請求項10】
電源と、
前記電源からハーネスを介して負荷に供給される負荷電流を通電又は遮断させるスイッチと、
請求項2乃至9のいずれか1項に記載の電流検出装置と、
前記ハーネスへの前記負荷電流の通電又は遮断を指令するための操作スイッチと、
前記操作スイッチからの指令を受信して前記電流検出装置に出力する指令受信部と、を備え、
前記電流検出装置は、前記指令受信部から前記操作スイッチの指令を入力して前記スイッチを制御するとともに、前記電流検出装置で過電流が検出されると前記スイッチをオフに制御する
ことを特徴とする電源供給装置。
【請求項11】
スイッチを通電する負荷電流に伴って変化する所定の電圧を測定し、前記測定電圧から前記負荷電流を算出する電流検出方法であって、
前記スイッチの代表温度点として事前に設定された2以上の周囲温度のそれぞれに対して前記測定電圧を前記負荷電流に変換するための電圧対電流データからなる電圧−電流変換テーブルを事前に作成し、
前記測定電圧及び前記周囲温度を検出し、
前記検出された周囲温度を挟む2つの前記代表温度点を求め、
前記検出された測定電圧と前記2つの代表温度点のそれぞれに対する前記電圧−電流変換テーブルとから前記2つの代表温度点のそれぞれにおける2つの電流値を求め、
前記2つの電流値を線形補間して前記検出された周囲温度における前記負荷電流を算出する
ことを特徴とする電流検出方法。
【請求項12】
前記電圧−電流変換テーブルは、前記測定電圧に対する前記負荷電流の変化が小さいときは前記電圧対電流データのデータ数を少なくする
ことを特徴とする請求項11に記載の電流検出方法。
【請求項13】
前記代表温度点は、少なくとも前記周囲温度に対する前記半導体スイッチの抵抗値の変化が大きい温度点を選択する
ことを特徴とする請求項11又は12に記載の電流検出装置。
【請求項14】
前記周囲温度が前記2以上の代表温度点のうち最も低い温度より低いときは、前記最も低い温度の代表温度点に対する前記電圧−電流変換テーブルから求めた電流値を前記負荷電流とする
ことを特徴とする請求項11乃至13のいずれか1項に記載の電流検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−125101(P2011−125101A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−279120(P2009−279120)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(391045897)古河AS株式会社 (571)
【Fターム(参考)】