説明

電源装置およびその電力収支の補正方法並びに電源の電流電圧特性推定方法

【課題】 電流電圧特性が経時変化する電源を備える電力装置において、より正確な電力収支を得る。
【解決手段】 バッテリの充放電が不要なときに燃料電池の出力電圧を調整するDC/DCコンバータの作動を停止し、モータ消費電力Pmが値0のときに電力指令Pfc*と供給電力Pfcとが一致しないときにはその差である電力誤差Perrを用いて高圧補機消費電力補正量Phsetを設定することにより電力収支を補正し、電力指令Pfc*と供給電力Pfcとは一致するが電圧指令Vfc*と電圧Vfcとが一致しないときには電圧指令Vfc*と電圧Vfcとの差である電圧誤差Verrと電流指令Ifc*と電流Ifcとの差である電流誤差Ierrとを用いて電圧補正量Vsetと電流補正量Isetとを設定して燃料電池のIV特性の推定に用いることにより電力収支を補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置およびその電力収支の補正方法並びに電源の電流電圧特性推定方法に関し、詳しくは、電流電圧特性が経時変化する電源を備える電源装置およびその電力収支の補正方法並びに複数の負荷に電力を供給可能な電源の電流電圧特性を推定する電流電圧特性推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電源装置としては、燃料電池の端子間電圧と出力電流とに基づいて燃料電池の出力特性を推定するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、燃料電池から出力された電圧と燃料電池の基本出力特性上の電圧との差に基づいて燃料電池の内部抵抗を計算し、この計算した内部抵抗を用いて燃料電池の出力特性を推定している。
【特許文献1】特開2002−231295号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
燃料電池などのように出力特性が経時変化する電源を備える電源装置では、電源装置を構成する要素(機器)を適正に作動させて装置のエネルギ効率を向上させるために、より正確な電力収支を得ることが望まれ、このために電源の出力特性をより正確に推定することが望まれている。
【0004】
本発明の電源装置やその電力収支の補正方法は、より正確な電力収支を得ることを目的とする。また、本発明の電源の電流電圧特性推定方法は、電源の電流電圧特性をより正確に推定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の電源装置およびその電力収支の補正方法並びに電源の電流電圧特性推定方法は、上述の目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。
【0006】
本発明の電源装置は、
電流電圧特性が経時変化する電源と、該電源の電圧調整が可能で該電源からの電力の少なくとも一部を異なる形態の電力に電力変換可能な電圧調整変換手段と、を備え、前記電圧調整変換手段により電圧調整された電力を少なくとも一つの第1の負荷に供給すると共に前記電圧調整変換手段により電力変換された電力を少なくとも一つの第2の負荷に供給する電源装置であって、
前記第1の負荷に供給すべき電力指令値を設定すると共に該設定した電力指令値と前記電源の電流電圧特性とに基づいて該電力指令値に係る電力を前記電源から供給するための電圧指令値を設定する指令値設定手段と、
前記電源から供給している供給電力を検出する電力検出手段と、
前記電源からの電力が前記設定された電圧指令値に係る電圧に調整されるよう前記電圧調整変換手段を制御する電圧制御手段と、
該電圧制御手段により前記電源の電圧が制御されている最中に前記第2の負荷への電力供給が不要な状態に至ったとき、前記電圧調整変換手段による電圧調整を停止すると共に該電圧調整変換手段による電圧調整を停止した状態で前記電力検出手段により検出される供給電力と前記設定された電力指令値とに基づいて前記電源装置の電力収支を補正する補正手段と、
を備えることを要旨とする。
【0007】
この本発明の電源装置では、電圧調整変換手段により電圧調整された電力が供給される第1の負荷に供給すべき電力指令値を設定すると共にこの設定した電力指令値と電源の電流電圧特性とに基づいて電力指令値に係る電力を電源から供給するための電圧指令値を設定し、電源からの電力が電圧指令値に係る電圧に調整されるよう電圧調整変換手段を制御する。こうした電源の電圧が制御されている最中に電圧調整変換手段により電力変換された電力が供給される第2の負荷への電力供給が不要な状態に至ったときに、電圧調整変換手段による電圧調整を停止すると共にこの電圧調整変換手段による電圧調整を停止した状態で電源から供給している供給電力と電力指令値とに基づいて電源装置の電力収支を補正する。第2の負荷への電力供給が不要な状態では、電圧調整変換手段による電力変換も不要となることから、電圧調整変換手段を停止しても電源の状態は変化しないものとなる。したがって、電圧調整変換手段を停止したときの供給電力と電力指令値とを比較することにより電力収支に誤差が生じていれば、これを補正することができる。この結果、電源装置の電力収支をより正確なものにすることができる。ここで、前記第2の負荷は電圧調整手段の駆動時のみ前記電源と導通される一方、前記第1の負荷は電圧調整変換手段の駆動状態に拘わらず、前記電源と導通するものとすることもできる。
【0008】
こうした本発明の電源装置において、前記電力検出手段は、前記電源からの電流を検出する電流検出手段と前記電源からの電圧を検出する電圧検出手段とを備え、前記供給電力を供給している最中に前記電流検出手段により検出された電流と前記電圧検出手段により検出された電圧との積として前記供給電力を検出する手段であり、前記補正手段は、前記電圧指令値と前記検出された電圧とに基づいて前記電源の電流電圧特性を補正することにより前記電源装置の電力収支を補正する手段であるものとすることもできる。こうすれば、電源の電流電圧特性をより正確なものとして電源装置の電力収支をより正確なものとすることができる。この場合、前記補正手段は、前記電圧指令値に係る電圧と前記検出された電圧との差が小さくなる方向に前記電源の電流電圧特性を補正する手段であるものとすることもできる。
【0009】
また、本発明の電源装置において、前記指令値設定手段は前記設定された電力指令値と前記電源の電流電圧特性とに基づいて該電力指令値に係る電力を前記電源から供給するための電流指令値を設定する手段であり、前記電力検出手段は、前記電源からの電流を検出する電流検出手段と前記電源からの電圧を検出する電圧検出手段とを備え、前記供給電力を供給している最中に前記電流検出手段により検出された電流と前記電圧検出手段により検出された電圧との積として前記供給電力を検出する手段であり、前記補正手段は前記電流指令値と前記検出された電流とに基づいて前記電源の電流電圧特性を補正することにより前記電源装置の電力収支を補正する手段であるものとすることもできる。こうすれば、電源の電流電圧特性をより正確なものとして電源装置の電力収支をより正確なものとすることができる。この場合、前記補正手段は、前記電流指令値に係る電流と前記検出された電流との差が小さくなる方向に前記電源の電流電圧特性を補正する手段であるものとすることもできる。
【0010】
さらに、本発明の電源装置において、前記指令値設定手段は、前記電源からの電流を検出する電流検出手段と前記電源からの電圧を検出する電圧検出手段とを備え、該電流検出手段により検出された電流と前記電圧検出手段により検出された電圧とに基づいて前記電源の電流電圧特性を推定し、該推定した電流電圧特性を用いて前記電圧指令値を設定する手段であるものとすることもできる。
【0011】
あるいは、本発明の電源装置において、前記第1の負荷は所定の負荷を含む複数の負荷であり、前記指令値設定手段は、前記所定の負荷に供給すべき第1負荷電力を設定すると共に前記第1の負荷のうち前記所定の負荷以外負荷に供給すべき第2負荷電力を設定し、該設定した第1負荷電力と第2負荷電力とに基づいて前記電力指令値を設定する手段であり、前記補正手段は前記第1負荷電力が値0のときに前記電源装置の電力収支を補正する手段であるものとすることもできる。この場合、前記補正手段は、前記第1負荷電力が値0であると共に前記供給電力と前記電力指令値に係る電力とが一致するときには前記電源の電流電圧特性を補正することにより前記電源装置の電力収支を補正し、前記第1負荷電力が値0であると共に前記供給電力と前記電力指令値に係る電力とが一致しないときには前記電力指令値設定手段による前記第2負荷電力の設定手法を補正することにより前記電源装置の電力収支を補正する手段であるものとすることもできる。こうすれば、電源の電流電圧特性を補正したり電力指令値設定手段による第2負荷電力の設定手法を補正することにより電源の電力収支をより正確なものとすることができる。
【0012】
また、本発明の電源装置において、前記指令値設定手段は、前記第1の負荷に供給すべき第1負荷電力を設定すると共に前記第2の負荷に供給すべき第2負荷電力を設定し、該設定した第1負荷電力と第2負荷電力とに基づいて前記電力指令値を設定する手段であり、前記補正手段は、前記供給電力と前記電力指令値に係る電力とが一致するときには前記電源の電流電圧特性を補正することにより前記電源装置の電力収支を補正し、前記供給電力と前記電力指令値に係る電力とが一致しないときには前記指令値設定手段による前記第1負荷電力の設定手法を補正することにより前記電源装置の電力収支を補正する手段であるものとすることもできる。こうすれば、電源の電流電圧特性を補正したり電力指令値設定手段による第2負荷電力の設定手法を補正することにより電源の電力収支をより正確なものとすることができる。
【0013】
本発明の電源装置において、前記電源は燃料電池であり、前記電圧調整変換手段はDC/DCコンバータであり、前記第2の負荷の一つは他の第2の負荷に電力を供給可能な充放電可能なバッテリであるものとすることもできる。
【0014】
本発明の自動車は、上述のいずれかの態様の本発明の電源装置、即ち、基本的には、電流電圧特性が経時変化する電源と、該電源の電圧調整が可能で該電源からの電力の少なくとも一部を異なる形態の電力に電力変換可能な電圧調整変換手段と、を備え、前記電圧調整変換手段により電圧調整された電力を少なくとも一つの第1の負荷に供給すると共に前記電圧調整変換手段により電力変換された電力を少なくとも一つの第2の負荷に供給する電源装置であって、前記第1の負荷に供給すべき電力指令値を設定すると共に該設定した電力指令値と前記電源の電流電圧特性とに基づいて該電力指令値に係る電力を前記電源から供給するための電圧指令値を設定する指令値設定手段と、前記電源から供給している供給電力を検出する電力検出手段と、前記電源からの電力が前記設定された電圧指令値に係る電圧に調整されるよう前記電圧調整変換手段を制御する電圧制御手段と、該電圧制御手段により前記電源の電圧が制御されている最中に前記第2の負荷への電力供給が不要な状態に至ったとき、前記電圧調整変換手段による電圧調整を停止すると共に該電圧調整変換手段による電圧調整を停止した状態で前記電力検出手段により検出される供給電力と前記設定された電力指令値とに基づいて前記電源装置の電力収支を補正する補正手段と、を備える本発明の電源装置と、前記第1の負荷の一つとして走行用の電動機とを搭載することを要旨とする。
【0015】
この本発明の自動車では、上述のいずれかの態様の本発明の電源装置を搭載するから、本発明の電源装置が奏する効果、例えば、電源装置の電力収支をより正確なものにすることができる効果を奏することができる。この結果、自動車の電力収支をより正確なものとすることができる。
【0016】
本発明の電源装置の電力収支の補正方法は、
電流電圧特性が経時変化する電源と、該電源の電圧調整が可能で該電源からの電力の少なくとも一部を異なる形態の電力に電力変換可能な電圧調整変換手段と、を備え、前記電圧調整変換手段により電圧調整された電力を少なくとも一つの第1の負荷に供給すると共に前記電圧調整変換手段により電力変換された電力を少なくとも一つの第2の負荷に供給する電源装置における電力収支を補正する補正方法であって、
(a)前記第1の負荷に供給すべき電力指令値と前記電源の電流電圧特性とに基づいて該電力指令値に係る電力を前記電源から供給するための電圧指令値を設定すると共に前記電源からの電力が前記設定した電圧指令値に係る電圧に調整されるよう前記電圧調整変換手段を制御している最中に、前記第2の負荷への電力供給が不要な状態に至った補正可能タイミングを判定し、
(b)該補正可能タイミングが判定されたときに前記電圧調整変換手段による電圧調整を停止し、
(c)該電圧調整変換手段による電圧調整を停止した状態で前記電源から供給している供給電力を検出し、
(d)該検出した供給電力と前記設定した電力指令値とに基づいて前記電源装置の電力収支を補正する
ことを要旨とする。
【0017】
この本発明の電源装置の電力収支の補正方法では、電圧調整変換手段により電圧調整された電力が供給される第1の負荷に供給すべき電力指令値と電源の電流電圧特性とに基づいて電力指令値に係る電力を電源から供給するための電圧指令値を設定すると共に電源からの電力が電圧指令値に係る電圧に調整されるよう電圧調整変換手段を制御している最中に、第2の負荷への電力供給が不要な状態に至った補正可能タイミングを判定する。そして、補正可能タイミングが判定されたときに電圧調整変換手段による電圧調整を停止し、この電圧調整変換手段による電圧調整を停止した状態で電源から供給している供給電力と電力指令値とに基づいて電源装置の電力収支を補正する。第2の負荷への電力供給が不要な状態では、電圧調整変換手段による電力変換も不要となることから、電圧調整変換手段を停止しても電源の状態は変化しないものとなる。したがって、電圧調整変換手段を停止したときの供給電力と電力指令値とを比較することにより電力収支に誤差が生じていれば、これを補正することができる。この結果、電源装置の電力収支をより正確なものに補正することができる。
【0018】
本発明の電流電圧特性推定方法は、
複数の負荷に電力を供給可能な電源の電流電圧特性を推定する電流電圧特性推定方法であって、
前記複数の負荷のうち一部の負荷にのみ前記電源からの電力が供給されるよう該一部の負荷を接続した状態で前記電源からの電流および/または電圧に基づいて前記電流電圧特性を推定する
ことを要旨とする。
【0019】
この本発明の電流電圧特性推定方法では、電源から電力を供給可能な複数の負荷のうち一部の負荷にのみ電源からの電力が供給されるようこの一部の負荷を接続した状態で電源からの電流や電圧に基づいて電源の電流電圧特性を推定する。したがって、一部の負荷を接続するだけで電源の電流電圧特性を推定することができる。また、一部の負荷以外の負荷による電流電圧特性への影響はないため、電流電圧特性をより正確に推定することができる。
【0020】
こうした本発明の電流電圧特性推定方法において、前記複数の負荷は前記電源の電流電圧特性に基づいて制御される特性依存負荷を含み、前記複数の負荷のうち前記特性依存負荷を除く一部の負荷にのみ前記電源からの電力が供給されるよう該一部の負荷を接続した状態で前記電流電圧特性を推定するものとすることもできる。こうすれば、特性依存負荷に電力を供給することに基づく推定誤差を除くことができ、より正確に電流電圧特性を推定することができる。なお、本発明は、以上説明した電流電圧特性推定方法の他、電源の電流電圧特性を推定する電流電圧特定装置としても実現しうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
【実施例1】
【0022】
図1は、本発明の一実施例である電源装置を搭載した電気自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例の電気自動車20は、図示するように、水素高圧タンク32から供給され循環ポンプ34により循環される燃料ガスとしての水素とエアコンプレッサ36により供給され排気中の水蒸気により加湿する加湿器38によって加湿された空気中の酸素とにより発電する燃料電池30と、この燃料電池30からの直流電力を三相交流電力に変換するインバータ26と、インバータ26により変換された三相交流電力により駆動しデファレンシャルギヤ24を介して駆動輪22a,22bに動力を出力する走行用モータ28と、燃料電池30の出力電圧を調整すると共に燃料電池30側の直流電力を低圧の直流電圧に変換してバッテリ42や低圧補機44に供給するDC/DCコンバータ40と、車両全体をコントロールする電子制御ユニット70とを備える。
【0023】
燃料電池30は、図示しないが、電解質膜とこの電解質膜を狭持するアノード電極およびカソード電極とからなる単セルをセル間の隔壁をなすセパレータと共に複数積層してなる燃料電池スタックにより構成されており、セパレータに形成されたガス流路を通じてアノード電極に供給された水素ガスとカソード電極に供給された空気による電気化学反応により発電する。燃料電池30には、図示しないが、冷却媒体(例えば、冷却水)が循環可能な循環路が形成されており、この循環路内の冷却媒体の循環により燃料電池30内の温度が適温(例えば、65℃〜85℃)に保持されるようになっている。また、燃料電池30の運転に必要な循環ポンプ34やエアコンプレッサ36などの燃料電池用補機には燃料電池30により発電された電力が供給されている。
【0024】
走行用モータ28は、例えば、電動機として機能すると共に発電機として機能する周知の同期発電電動機として構成されており、運転者のアクセルペダル83やブレーキペダル85の踏み込み量や車速Vに応じて電動機として又は発電機として駆動する。
【0025】
電子制御ユニット70は、CPU72を中心としたマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に、処理プログラム等が記憶されたROM74と、一時的にデータを記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートとを備える。この電子制御ユニット70には、燃料電池30の出力端子間に取り付けられた電圧センサ52からの電圧Vfcや燃料電池30の出力端子からの電力ラインに取り付けられた電流センサ54からの電流Ifc,走行用モータ28の回転子の位置を検出する回転位置検出センサ29からの回転位置,シフトレバー81のポジションを検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジション,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキポジションセンサ86からのブレーキポジション,車両の走行速度を検出する車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。また、電子制御ユニット70からは、循環ポンプ34への駆動信号,エアコンプレッサ36への駆動信号,インバータ26へのスイッチング信号,DC/DCコンバータ40への電圧指令Vfc*などが出力ポートを介して出力されている。
【0026】
次に、こうして構成された実施例の電気自動車20の動作、特に電力収支を補正する際の動作について説明する。図2は実施例の電子制御ユニット70により実行される電圧制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは所定時間毎(例えば、数msec毎)に繰り返し実行される。
【0027】
電圧制御ルーチンが実行されると、電子制御ユニット70のCPU72は、まず、電圧センサ52からの電圧Vfcと電流センサ54からの電流Ifcとを入力し(ステップS100)、入力した電圧Vfcから電圧補正量Vsetを減じた電圧と電流Ifcから電流補正量Isetを減じた電流とに基づいて燃料電池30の電流電圧特性(以下、IV特性という)を推定する(ステップS110)。ここで、電圧補正量Vsetおよび電流補正量Isetは、後述する電力収支補正処理により設定されるものである。これらの設定については後述する。IV特性の推定は、実施例では、燃料電池30の状態などに応じて複数のIV特性を予め設定してROM74に記憶しておき、電流と電圧とが与えられると、電流と電圧とが一致するIV特性をROM74から読み出して推定するものとした。電流(Ifc−Iset)と電圧(Vfc−Vset)と推定されるIV特性との関係の一例を図4に示す。
【0028】
続いて、モータトルク指令Tm*とモータ回転数Nmとの積としてモータ消費電力Pmを計算すると共に(ステップS120)、循環ポンプ34の消費電力やエアコンプレッサ36の消費電力などの各高圧補機の消費電力の和から高圧補機消費電力補正量Phsetを減じて高圧補機消費電力Phを計算する(ステップS130)。ここで、モータトルク指令Tm*は、図示しない駆動制御ルーチンによりアクセル開度Accと車速Vとに基づいて設定されるものであり、高圧補機消費電力補正量Phsetは、後述する電力収支補正処理により設定されるものである。この高圧補機消費電力補正量Phsetの設定については後述する。
【0029】
そして、計算したモータ消費電力Pmと高圧補機消費電力Phとの和として電力指令Pfc*を設定すると共に(ステップS140)、設定した電力指令Pfc*と推定したIV特性とに基づいて電圧指令Vfc*と電流指令Ifc*とを設定する(ステップS150)。電圧指令Vfc*と電流指令Ifc*とを設定している様子の一例を図5に示す。
【0030】
次に、バッテリ42の充放電が必要か否かを判定する(ステップS160)。ここで、バッテリ42の充放電が必要か否かの判定は、バッテリ42の残容量(SOC)が所定値以上(例えば、90%以上など)であることなどにより判定することができる。バッテリ42の充放電が不要なときには、電力収支補正処理を実行し(ステップS170)、その後、燃料電池30の出力電圧が電圧指令Vfc*となるようDC/DCコンバータ40を制御して(ステップS180)、電圧制御ルーチンを終了し、バッテリ42の充放電が不要ではないときには、電力収支補正処理を実行することなく、燃料電池30の出力電圧が電圧指令Vfc*となるようDC/DCコンバータ40を制御して(ステップS180)、電圧制御ルーチンを終了する。
【0031】
電力収支補正処理は、図3に例示するフローチャートにより実行される。電力収支補正処理では、まず、DC/DCコンバータ40を作動停止し(ステップS200)、このDC/DCコンバータ40を作動停止した状態で電圧センサ52からの電圧Vfcと電流センサ54からの電流Ifcとを入力し(ステップS210)、入力した電圧Vfcと電流Ifcの積として燃料電池30から走行用モータ28などに供給している供給電力Pfcを計算する(ステップS220)。そして、モータ消費電力Pmが値0であるか否かを判定し(ステップS230)、モータ消費電力Pmが値0ではないときには、電力収支の補正を行なうことができないと判断し、電力収支補正処理を終了する。
【0032】
一方、モータ消費電力Pmが値0のときには、計算した供給電力Pfcと電力指令Pfc*とを比較し(ステップS240)、供給電力Pfcと電力指令Pfc*とが異なるときには、高圧補機消費電力補正量Phsetを補正する必要があると判断し、電力指令Pfc*と供給電力Pfcとの差分として電力誤差Perrを計算し(ステップS250)、この計算した電力誤差Perrをそれまで用いていた高圧補機消費電力補正量Phsetに加えて新たな高圧補機消費電力補正量Phsetとして設定して(ステップS260)。電力収支補正処理を終了する。
【0033】
電力指令Pfc*と供給電力Pfcとが一致するときには、入力した電圧Vfcと電圧指令Vfc*とを比較し(ステップS270)、電圧Vfcと電圧指令Vfc*とが一致するときには補正の必要はないと判断し、電力収支の補正を行なうことなく電力収支補正処理を終了する。電圧Vfcと電圧指令Vfc*とが一致しないときには、電圧指令Vfc*から電圧Vfcを減じて電力誤差Verrを計算すると共に電流指令Ifc*から電流Ifcを減じて電流誤差Ierrを計算し(ステップS280)、計算した電力誤差Verrと電流誤差Ierrをそれまで用いていた電圧補正量Vsetと電流補正量Isetとからから減じて新たな電圧補正量Vsetと電流補正量Isetとを設定して(ステップS290)、電力収支補正処理を終了する。こうして設定された電圧補正量Vsetと電流補正量Isetは、燃料電池30のIV特性を推定する際に用いられる。したがって、電圧補正量Vsetや電流補正量Isetを補正することは、燃料電池30のIV特性を補正することと同意となる。モータ消費電力Pmが値0のときに電力指令Pfc*と供給電力Pfcとは一致するが、電圧指令Vfc*と電圧Vfcとが一致しないときの電力指令Pfc*や電圧指令Vfc*,電流指令Ifc*,電圧Vfc,電流Ifcの関係の一例を図6に示す。なお、実施例では、電圧指令Vfc*と電流指令Ifc*とが電圧Vfcと電流Ifcとに一致する方向に補正されることになる。
【0034】
以上説明した実施例の電気自動車20によれば、バッテリ42の充放電が不要なときでモータ消費電力Pmが値0のときにDC/DCコンバータ40の作動の有無に基づく電力収支のズレを補正することができる。この結果、より適正な電力収支に補正することができる。しかも、バッテリ42の充放電が不要なときでモータ消費電力Pmが値0のときに更に電力指令Pfc*と供給電力Pfcとが一致しないときにはその差である電力誤差Perrを用いて高圧補機消費電力補正量Phsetを設定して高圧補機消費電力Phを補正することにより電力収支を補正し、電力指令Pfc*と供給電力Pfcとは一致するが電圧指令Vfc*と電圧Vfcとが一致しないときには電圧指令Vfc*と電圧Vfcとの差である電圧誤差Verrと電流指令Ifc*と電流Ifcとの差である電流誤差Ierrとを用いて電圧補正量Vsetと電流補正量Isetとを設定して燃料電池30のIV特性の推定に用いることにより電力収支を補正することができる。即ち、高圧補機消費電力Phや燃料電池30のIV特性の推定に基づく電力収支のズレを補正することができる。この結果、より適正な電力収支に補正することができる。
【0035】
ここで、第1実施例の電気自動車20では、燃料電池30が電源に相当し、DC/DCコンバータ40が電圧調整変換手段に相当し、走行用モータ28や循環ポンプ34やエアコンプレッサ36などが第1の負荷に相当し、バッテリ42や低圧補機44などが第2の負荷に相当する。また、電圧制御ルーチンのステップS140やS150を実行する電子制御ユニット70が指令値設定手段に相当し、電圧センサ52と電流センサ54とが電力検出手段に相当し、電圧制御ルーチンのステップS180を実行する電子制御ユニット70が電圧制御手段に相当する。更に、電力収支補正処理を実行する電子制御ユニット70が補正手段に相当する。
【0036】
実施例の電気自動車20では、電力誤差Verrと電流誤差Ierrとにより電圧補正量Vsetと電流補正量Isetとを設定すると共に設定した電圧補正量Vsetと電流補正量Isetとを用いて燃料電池30のIV特性を推定するものとしたが、電力誤差Verrと電流誤差Ierrとにより直接に燃料電池30のIV特性を補正するものとしてもよい。
【0037】
実施例の電気自動車20では、バッテリ42の充放電が不要なときでモータ消費電力Pmが値0のときにDC/DCコンバータ40の作動の有無に基づいて電力収支のズレを補正するものとしたが、バッテリ42の充放電が不要なときで高圧補機消費電力Phが値0のときにDC/DCコンバータ40の作動の有無に基づいて電力収支のズレを補正するものとしてもよい。この場合、電力指令Pfc*と供給電力Pfcとが一致しないときにはその差である電力誤差Perrによりモータ消費電力Pmを補正することができる。
【実施例2】
【0038】
次に、本発明の第2の実施例としての電源装置を搭載した電気自動車20Bについて説明する。図7は、第2実施例の電気自動車20Bの構成の概略を示す構成図である。第2実施例の電気自動車20Bは、循環ポンプ34やエアコンプレッサ36がDC/DCコンバータ40により電力変換された低圧直流電力が供給されて駆動する点および高圧補機がない点を除いて第1実施例の電気自動車20と同一の構成をしている。したがって、説明の容易のために、第2実施例の電気自動車20Bの構成のうち第1実施例の電気自動車20の構成と同一の構成については同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0039】
第2実施例の電気自動車20Bでは、図2の電圧制御ルーチンに代えて図8に例示する電圧制御ルーチンが実行される。この図8の電圧制御ルーチンは、モータトルク指令Tm*とモータ回転数Nmとの積からモータ消費電力補正量Pmsetを減じてモータ消費電力Pmを計算する点(ステップS520)と、高圧補機を備えないことから高圧補機消費電力Phを計算しないと共に電力指令Pfc*の計算に高圧補機消費電力Phを考慮しない点(ステップS540)を除いて図2の電圧制御ルーチンと同様である。即ち、電圧Vfcと電流Ifcを入力し(ステップS500)、入力した電圧Vfcから電圧補正量Vsetを減じた電圧と電流Ifcから電流補正量Isetを減じた電流とに基づいて燃料電池30のIV特性を推定し(ステップS510)、モータトルク指令Tm*とモータ回転数Nmとの積からモータ消費電力補正量Pmsetを減じてモータ消費電力Pmを計算し(ステップS520)、計算したモータ消費電力Pmを電力指令Pfc*として設定し(ステップS540)、設定した電力指令Pfc*と推定したIV特性とに基づいて電圧指令Vfc*と電流指令Ifc*とを設定し(ステップS550)、バッテリ42の充放電の不要の判定(ステップS560)に基づいて電力収支補正処理を実行し(ステップS570)、燃料電池30の出力電圧が電圧指令Vfc*となるようDC/DCコンバータ40を制御して(ステップS580)、電圧制御ルーチンを終了する。
【0040】
第2実施例では、電力収支補正処理は図9に例示するフローチャートにより実行される。電力収支補正処理では、DC/DCコンバータ40の作動を停止し(ステップS600)、このDC/DCコンバータ40の作動を停止した状態で電圧Vfcと電流Ifcとを入力し(ステップS610)、入力した電圧Vfcと電流Ifcとの積として燃料電池30から走行用モータ28などの負荷に供給している供給電力Pfcを計算する(ステップS620)。そして、電力指令Pfc*と供給電力Pfcとを比較し(ステップS640)、電力指令Pfc*が供給電力Pfcに一致しないときには、電力指令Pfc*から供給電力Pfcを減じて電力誤差Perrを計算すると共に(ステップS650)、計算した電力誤差Perrをそれまで用いていたモータ消費電力補正量Pmsetから減じて新たなモータ消費電力補正量Pmsetを設定して(ステップS660)、電力収支補正処理を終了する。一方、電力指令Pfc*と供給電力Pfcとが一致するときには電圧指令Vfc*と電圧Vfcとを比較し(ステップS670)、電圧指令Vfc*と電圧Vfcとが一致するときには電力収支の補正の必要はないと判断して電力収支補正処理を終了し、電圧指令Vfc*と電圧Vfcとが一致しないときには、電圧指令Vfc*から電圧Vfcを減じて電力誤差Verrを計算すると共に電流指令Ifc*から電流Ifcを減じて電流誤差Ierrを計算し(ステップS680)、計算した電力誤差Verrと電流誤差Ierrをそれまで用いていた電圧補正量Vsetと電流補正量Isetとからから減じて新たな電圧補正量Vsetと電流補正量Isetとを設定して(ステップS690)、電力収支補正処理を終了する。このステップS680やS690の処理は図3の電力収支補正処理におけるステップS280やS290の処理と同一である。こうして設定された電圧補正量Vsetと電流補正量Isetは、第1実施例と同様に、燃料電池30のIV特性を推定する際に用いられる。
【0041】
以上説明した第2実施例の電気自動車20によれば、バッテリ42の充放電が不要なときにDC/DCコンバータ40の作動の有無に基づく電力収支のズレを補正することができる。この結果、より適正な電力収支に補正することができる。しかも、電力指令Pfc*と供給電力Pfcとが一致しないときにはその差である電力誤差Perrを用いてモータ消費電力補正量Pmsetを設定してモータ消費電力Pmを補正することにより電力収支を補正し、電力指令Pfc*と供給電力Pfcとは一致するが電圧指令Vfc*と電圧Vfcとが一致しないときには電圧指令Vfc*と電圧Vfcとの差である電圧誤差Verrと電流指令Ifc*と電流Ifcとの差である電流誤差Ierrとを用いて電圧補正量Vsetと電流補正量Isetとを設定して燃料電池30のIV特性の推定に用いることにより電力収支を補正することができる。即ち、モータ消費電力Pmや燃料電池30のIV特性の推定に基づく電力収支のズレを補正することができる。この結果、より適正な電力収支に補正することができる。
【0042】
ここで、第2実施例の電気自動車20Bでは、燃料電池30が電源に相当し、DC/DCコンバータ40が電圧調整変換手段に相当し、走行用モータ28が第1の負荷に相当し、バッテリ42や循環ポンプ34Bやエアコンプレッサ36Bなどの低圧補機44が第2の負荷に相当する。また、電圧制御ルーチンのステップS540やS550を実行する電子制御ユニット70が指令値設定手段に相当し、電圧センサ52と電流センサ54とが電力検出手段に相当し、電圧制御ルーチンのステップS580を実行する電子制御ユニット70が電圧制御手段に相当する。更に、図9の電力収支補正処理を実行する電子制御ユニット70が補正手段に相当する。
【0043】
第1実施例や第2実施例の電気自動車20,20Bでは、バッテリ42の充放電が不要なときでモータ消費電力Pmが値0のときに電力指令Pfc*と供給電力Pfcとが一致するときには、電圧指令Vfc*と電圧Vfcとが一致するか否かによりIV特性の推定に用いる電圧補正量Vsetと電流補正量Isetとを補正するか否かを判定するものとしたが、電流指令Ifc*と電流Ifcとが一致するか否かによりIV特性の推定に用いる電圧補正量Vsetと電流補正量Isetとを補正するか否かを判定するものとしてもよい。
【0044】
第1実施例や第2実施例では、燃料電池30を電源とする電源装置を搭載した電気自動車20,20Bとして本発明を実施するための最良の形態を説明したが、燃料電池30を電源とする電源装置を自動車以外の車両や船舶,航空機などの移動体に搭載するものとしてもよく、移動体以外の設備などに組み込むものとしてもよい。また、自動車や電源装置の形態だけでなく、電源装置の電力収支の補正方法の形態としてもよいのは勿論であり、電源の電流電圧特性の補正方法の形態として適用してもかまわない。
【0045】
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、電源装置の製造産業などに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施例である電源装置を搭載した電気自動車20の構成の概略を示す構成図である。
【図2】実施例の電子制御ユニット70により実行される電圧制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図3】実施例の電子制御ユニット70により実行される電力収支補正処理の一例を示すフローチャートである。
【図4】電流(Ifc−Iset)と電圧(Vfc−Vset)と推定されるIV特性との関係の一例を示す説明図である。
【図5】電圧指令Vfc*と電流指令Ifc*とを設定している様子の一例を示す説明図である。
【図6】電圧指令Vfc*と電圧Vfcとが一致しないときの電圧指令Vfc*,電流指令Ifc*、電圧Vfc,電流Ifcの関係の一例を示す説明図である。
【図7】第2実施例の電気自動車20Bの構成の概略を示す構成図である。
【図8】第2実施例の電子制御ユニット70により実行される電圧制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図9】第2実施例の電子制御ユニット70により実行される電力収支補正処理の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0048】
20,20B 電気自動車、22a,22b 駆動輪、24 デファレンシャルギヤ、26 インバータ、28 走行用モータ、29 回転位置検出センサ、30 燃料電池、32 水素高圧タンク、34,34B 循環ポンプ、36,36B エアコンプレッサ、38 加湿器、40 DC/DCコンバータ、42 バッテリ、44 低圧補機、52 電圧センサ、54 電流センサ、70 電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキポジションセンサ、88 車速センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流電圧特性が経時変化する電源と、該電源の電圧調整が可能で該電源からの電力の少なくとも一部を異なる形態の電力に電力変換可能な電圧調整変換手段と、を備え、前記電圧調整変換手段により電圧調整された電力を少なくとも一つの第1の負荷に供給すると共に前記電圧調整変換手段により電力変換された電力を少なくとも一つの第2の負荷に供給する電源装置であって、
前記第1の負荷に供給すべき電力指令値を設定すると共に該設定した電力指令値と前記電源の電流電圧特性とに基づいて該電力指令値に係る電力を前記電源から供給するための電圧指令値を設定する指令値設定手段と、
前記電源から供給している供給電力を検出する電力検出手段と、
前記電源からの電力が前記設定された電圧指令値に係る電圧に調整されるよう前記電圧調整変換手段を制御する電圧制御手段と、
該電圧制御手段により前記電源の電圧が制御されている最中に前記第2の負荷への電力供給が不要な状態に至ったとき、前記電圧調整変換手段による電圧調整を停止すると共に該電圧調整変換手段による電圧調整を停止した状態で前記電力検出手段により検出される供給電力と前記設定された電力指令値とに基づいて前記電源装置の電力収支を補正する補正手段と、
を備える電源装置。
【請求項2】
請求項1記載の電源装置であって、
前記電力検出手段は、前記電源からの電流を検出する電流検出手段と前記電源からの電圧を検出する電圧検出手段とを備え、前記供給電力を供給している最中に前記電流検出手段により検出された電流と前記電圧検出手段により検出された電圧との積として前記供給電力を検出する手段であり、
前記補正手段は、前記電圧指令値と前記検出された電圧とに基づいて前記電源の電流電圧特性を補正することにより前記電源装置の電力収支を補正する手段である
電源装置。
【請求項3】
前記補正手段は、前記電圧指令値に係る電圧と前記検出された電圧との差が小さくなる方向に前記電源の電流電圧特性を補正する手段である請求項2記載の電源装置。
【請求項4】
請求項1記載の電源装置であって、
前記指令値設定手段は、前記設定された電力指令値と前記電源の電流電圧特性とに基づいて該電力指令値に係る電力を前記電源から供給するための電流指令値を設定する手段であり、
前記電力検出手段は、前記電源からの電流を検出する電流検出手段と前記電源からの電圧を検出する電圧検出手段とを備え、前記供給電力を供給している最中に前記電流検出手段により検出された電流と前記電圧検出手段により検出された電圧との積として前記供給電力を検出する手段であり、
前記補正手段は、前記電流指令値と前記検出された電流とに基づいて前記電源の電流電圧特性を補正することにより前記電源装置の電力収支を補正する手段である
電源装置。
【請求項5】
前記補正手段は、前記電流指令値に係る電流と前記検出された電流との差が小さくなる方向に前記電源の電流電圧特性を補正する手段である請求項4記載の電源装置。
【請求項6】
前記指令値設定手段は、前記電源からの電流を検出する電流検出手段と前記電源からの電圧を検出する電圧検出手段とを備え、該電流検出手段により検出された電流と前記電圧検出手段により検出された電圧とに基づいて前記電源の電流電圧特性を推定し、該推定した電流電圧特性を用いて前記電圧指令値を設定する手段である請求項1ないし5いずれか記載の電源装置。
【請求項7】
請求項1ないし6いずれか記載の電源装置であって、
前記第1の負荷は、所定の負荷を含む複数の負荷であり、
前記指令値設定手段は、前記所定の負荷に供給すべき第1負荷電力を設定すると共に前記第1の負荷のうち前記所定の負荷以外負荷に供給すべき第2負荷電力を設定し、該設定した第1負荷電力と第2負荷電力とに基づいて前記電力指令値を設定する手段であり、
前記補正手段は、前記第1負荷電力が値0のときに前記電源装置の電力収支を補正する手段である
電源装置。
【請求項8】
前記補正手段は、前記第1負荷電力が値0であると共に前記供給電力と前記電力指令値に係る電力とが一致するときには前記電源の電流電圧特性を補正することにより前記電源装置の電力収支を補正し、前記第1負荷電力が値0であると共に前記供給電力と前記電力指令値に係る電力とが一致しないときには前記電力指令値設定手段による前記第2負荷電力の設定手法を補正することにより前記電源装置の電力収支を補正する手段である請求項5記載の電源装置。
【請求項9】
請求項1ないし6いずれか記載の電源装置であって、
前記指令値設定手段は、前記第1の負荷に供給すべき第1負荷電力を設定すると共に前記第2の負荷に供給すべき第2負荷電力を設定し、該設定した第1負荷電力と第2負荷電力とに基づいて前記電力指令値を設定する手段であり、
前記補正手段は、前記供給電力と前記電力指令値に係る電力とが一致するときには前記電源の電流電圧特性を補正することにより前記電源装置の電力収支を補正し、前記供給電力と前記電力指令値に係る電力とが一致しないときには前記指令値設定手段による前記第1負荷電力の設定手法を補正することにより前記電源装置の電力収支を補正する手段である
電源装置。
【請求項10】
請求項1ないし9いずれか記載の電源装置であって、
前記電源は燃料電池であり、
前記電圧調整変換手段は、DC/DCコンバータであり、
前記第2の負荷の一つは、他の第2の負荷に電力を供給可能な充放電可能なバッテリである
電源装置。
【請求項11】
請求項1ないし10いずれか記載の電源装置と前記第1の負荷の一つとして走行用の電動機とを搭載する自動車。
【請求項12】
電流電圧特性が経時変化する電源と、該電源の電圧調整が可能で該電源からの電力の少なくとも一部を異なる形態の電力に電力変換可能な電圧調整変換手段と、を備え、前記電圧調整変換手段により電圧調整された電力を少なくとも一つの第1の負荷に供給すると共に前記電圧調整変換手段により電力変換された電力を少なくとも一つの第2の負荷に供給する電源装置における電力収支を補正する補正方法であって、
(a)前記第1の負荷に供給すべき電力指令値と前記電源の電流電圧特性とに基づいて該電力指令値に係る電力を前記電源から供給するための電圧指令値を設定すると共に前記電源からの電力が前記設定した電圧指令値に係る電圧に調整されるよう前記電圧調整変換手段を制御している最中に、前記第2の負荷への電力供給が不要な状態に至った補正可能タイミングを判定し、
(b)該補正可能タイミングが判定されたときに前記電圧調整変換手段による電圧調整を停止し、
(c)該電圧調整変換手段による電圧調整を停止した状態で前記電源から供給している供給電力を検出し、
(d)該検出した供給電力と前記設定した電力指令値とに基づいて前記電源装置の電力収支を補正する
電源装置の電力収支の補正方法。
【請求項13】
複数の負荷に電力を供給可能な電源の電流電圧特性を推定する電流電圧特性推定方法であって、
前記複数の負荷のうち一部の負荷にのみ前記電源からの電力が供給されるよう該一部の負荷を接続した状態で前記電源からの電流および/または電圧に基づいて前記電流電圧特性を推定する
電流電圧特性推定方法。
【請求項14】
請求項13記載の電流電圧特性推定方法であって、
前記複数の負荷は、前記電源の電流電圧特性に基づいて制御される特性依存負荷を含み、
前記複数の負荷のうち前記特性依存負荷を除く一部の負荷にのみ前記電源からの電力が供給されるよう該一部の負荷を接続した状態で前記電流電圧特性を推定する
電流電圧特性推定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−48483(P2006−48483A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−230540(P2004−230540)
【出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】