説明

電磁式2次空気制御弁

【課題】異物の電磁アクチュエータ内への侵入を防止して、作動不良を起こさない電磁式2次空気制御弁を提供する。
【解決手段】内部に弁孔18が形成されたバルブハウジング15と、バルブハウジング15の内部に移動自在に収容され、弁孔18に対して着座、離座して弁孔18を開閉するバルブ部と、バルブ部と一体的に結合されるバルブシャフト27とからなるポペット型バルブ19と、ポペット型バルブ19を開弁方向に駆動する電磁アクチュエータ20と、閉弁方向に付勢するコイルスプリング21と、バルブシャフト27の同一軸線上に配設されて、外周面を摺動、密封して、電磁アクチュエータ20内に異物の侵入を防止するダストシール28とを備えた電磁式2次空気制御弁1に、バルブシャフト27の同一軸線上に、バルブ部よりもダストシール28側に、バルブシャフト27の軸線方向と交差する向きに円板状の保護板50を配設し、逆流をブロックする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアポンプより圧送供給される2次空気を三元触媒コンバータに導入するための2次空気流路を開閉する電磁式2次空気制御弁に関し、電磁アクチュエータ内への異物侵入防止に係る。
【背景技術】
【0002】
〔従来の技術〕
従来より、エンジンの始動時、エンジンの排気ガスの排気温度が低い時に、エアポンプを作動させることにより発生する2次空気を、排気ガスを浄化する三元触媒コンバータに導いて三元触媒を活性化させる2次空気供給装置が知られている。そして、エアポンプから圧送供給される2次空気を三元触媒コンバータに導くための2次空気流路には、電磁式2次空気制御弁が設置されている。電磁式2次空気制御弁は、2次空気流路を開閉する電磁弁と、エンジンの排気ガスが電磁弁側に逆流するのを防止する逆止弁とを備えている。そして、電磁弁は、2次空気流路の途中に設けた開口部(弁孔)を開閉する弁体と、この弁体を開弁方向に駆動する電磁アクチュエータ、および弁体を閉弁方向に付勢するスプリング等から構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
電磁アクチュエータは、ソレノイドコイルの磁力による吸引力によって開弁方向に移動するプランジャと、このプランジャを往復移動可能に収容し、吸引力により往復移動方向の一方にプランジャを吸引する吸引部を形成するステータコアと、ステータコアとプランジャとともに磁気回路を構成するヨークと、プランジャを閉弁方向に付勢するコイルスプリング等からなる周知のものである。そして、プランジャの軸中心には、2次空気流路の途中に設けた開口部(弁孔)を開閉する弁体と一体的に結合されるシャフトが嵌入、かしめ固定されてポペット型バルブを構成し、さらに、ステータコアの吸引部側の端部とシャフトとの間の隙間を閉塞するダストシールがシャフトと同一の軸線上に備えられて電磁弁を構成している。
【0004】
また、逆止弁は、エンジンの排気管内をエキゾーストマニホールドから三元触媒コンバータへ向かう排気ガスが電磁弁やエアポンプ側に逆流することを防止するもので、圧力差に対応して開閉するリード弁構造を有している。そして、エンジンの運転状態に基づいて、エンジン制御装置(以下、ECUと呼ぶ)の制御信号によりエアポンプおよび電磁式2次空気制御弁が起動される。
【0005】
〔従来技術の不具合〕
ところが、ポペット型バルブと一体的に結合したシャフトの外周面をシールするダストシールのシール部は、2次空気流路に対してシャフトと同様に露出されて曝されており、しかも、気流がシャフトに対して略直交するように配設されている。従って、エンジンの運転状態に基づいて起動されるエアポンプの2次空気が、2次空気流路内の流線に沿って流れるものの、気流の一部はダストシールのシール部とシャフトの外周面にぶつかる。このとき、2次空気に含まれる水分もしくは粉塵等が気流のよどみ部に付着し、経時的に堆積する。
【0006】
また、エアポンプはECUからの制御信号によって起動するものの立上りの遅れや圧力上昇の遅れ等の発生があって、このこととエンジンの排気脈動の発生とが重なる場合に、逆止弁がありながら、この逆止弁の圧力バランスが過渡的に崩れて、一時的に逆流が生じる場合がある。逆流は、開弁した弁孔をポペット型バルブの軸線方向に沿って流れ、ダストシールのシール部にぶつかることとなる。従って、排気ガスに含まれるデポジットや凝縮水が逆流する気流に乗って、ダストシ−ルのシール部に突き当たって付着し、経時的に堆積する可能性がある。
【0007】
デポジットには、粒径の比較的大きなカーボン粒のみならず、金属粉もしくは無機質粒も含まれており、これにより、ダストシールのシール部のへたりや磨耗が促進し、最悪の場合には亀裂が発生してシール性が著しく低下する可能性がある。これにより、さらに、デポジットや水分が電磁アクチュエータの内部に侵入し、付着堆積による摺動抵抗の増加、あるいは水分の影響になる発錆による摺動抵抗増加もしくは摺動ロックによるバルブ動作不良が懸念される。
【特許文献1】特開2005−265482号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、エアポンプの立上り遅れに伴う昇圧前の排気脈動による一時的な逆流によるデポジットや凝縮水等の異物の付着の可能性がある場合に、ダストシールのシール部を逆流から保護する保護板を設け、逆流中の異物の付着と経時的な堆積を抑制して、電磁アクチュエータ内への侵入を防止して、バルブの作動不良の発生を防止することが重要な課題となる。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、異物の電磁アクチュエータ内への侵入を防止して、作動不良を起こさない電磁式2次空気制御弁の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
〔請求項1の手段〕
請求項1に記載の手段によれば、内部に弁孔が形成されたハウジングと、ハウジングの内部に移動自在に収容され、弁孔に対して着座および離座して弁孔を開閉する弁体と、弁体と一体的に結合される弁軸とからなるポペット型バルブと、ポペット型バルブを開弁方向に駆動する電磁弁駆動装置と、ポペット型バルブを閉弁方向に付勢するスプリングと、電磁弁駆動装置の取付フランジ部に設けられ、弁軸の同一軸線上に配設されて、弁軸の外周面を摺動、密封して、電磁弁駆動装置内に異物の侵入を防止するダストシールとを備えた電磁式2次空気制御弁において、弁軸の同一軸線上に配設されて、弁体とダストシールとの間のダストシール側寄りに、弁軸の軸線方向と交差する向きに保護板を配設したことを特徴としている。
【0010】
これにより、エンジンの始動直後において電磁式2次空気制御弁の2次空気流路の圧力上昇の過渡的な遅れや、排気脈動に伴う逆流が生じたときに、この逆流が直接ダストシールにぶつかるのを保護し、逆流中に含まれるデポジット等がダストシール近傍に付着、堆積するのを防止できる。
【0011】
〔請求項2の手段〕
請求項2に記載の手段によれば、保護板は、弁軸に結合、固定されることを特徴としている。
これにより、保護板の中心に弁軸の外径と同じ内径の取付穴を設けることで、所定の位置に簡単に、かつ、確実に嵌着、固定できる。
【0012】
〔請求項3の手段〕
請求項3に記載の手段によれば、保護板は、電磁弁駆動装置の取付フランジ部に結合、固定されることを特徴としている。
これにより、静止部位である取付フランジ部に固定できるので、所定の間隙の確保が精度良く、かつ、簡単に取付けができる。
【0013】
〔請求項4の手段〕
請求項4に記載の手段によれば、保護板は、円環状の円板から形成され、円板の外径はダストシールの外径より大きく、円板の内径は弁軸の外径に等しく、弁軸の軸線上にダストシールと所定の間隙を有して取付けられることを特徴としている。
【0014】
これにより、最も単純な円環状の円板を弁軸に嵌着、固定することで逆流から保護できるので、簡単、かつ、低コストの保護板とすることができる。
【0015】
〔請求項5の手段〕
請求項5に記載の手段によれば、保護板は、円環状の円板から形成され、円板の外径部には軸方向に向かう所定の高さの立上り代が設けられ、円板の内径は弁軸の外径に等しく、弁軸の軸線上にダストシールと所定の間隙を有して取付けられることを特徴としている。
【0016】
これにより、仮に、ダストシールのシール部が大きく突き出す場合でも、保護板と取付フランジ部との間隙を最小限の間隔に抑え込むことが容易であり、従って、この最小限の間隙が構成する空間部に2次空気の分流を流れ込み難くするので、2次空気に含まれる粉塵等の異物の付着および堆積を防止できる。
【0017】
〔請求項6の手段〕
請求項6に記載の手段によれば、保護板は、円環状の円板から形成され、円板の外径部には軸方向に向かう所定の高さの立上り代が設けられ、かつ、取付フランジ部には、立上り代と対をなす同径の凹溝が設けられ、弁軸の軸線上に、立上り代の内部にダストシールを内包するとともに、立上り代が、凹溝に挿着することによって、所定の間隙を有する迷路構造状の連通路を形成して取付けられることを特徴としている。
【0018】
これにより、立上り代の内部にダストシールが内包されるので、ダストシールは逆流から完全に保護されるとともに、2次空気の分流も迷路構造状の連通路を経由して立上り代の内部のダストシールまで流れ込むことはなく、2次空気に含まれる粉塵等の異物の付着および堆積を併せて防止できる。
【0019】
〔請求項7の手段〕
請求項7に記載の手段によれば、保護板は、円板状の薄板からなり、一様な傾斜面、または湾曲面状の傾斜面を有する円錐台形状に形成され、円錐台形状の径小部は弁軸の外径と同等、または僅かに大きく、円錐台形状の径大部はダストシールの外径より大きく、弁軸の軸線上に、ダストシールを内包して取付けられることを特徴としている。
【0020】
これにより、2次空気は、2次空気流路内において弁軸に衝突することなく円錐台形状の保護板の傾斜面に沿って偏向し、弁孔側に流れるので、流通損失の増加が抑制されて、多量の2次空気の確保が可能となる。
【0021】
〔請求項8の手段〕
請求項8に記載の手段によれば、保護板は、円板状または矩形状の薄板から形成され、薄板の中心部には弁軸の外径と同等、または僅かに大きい取付穴が形成され、薄板の周縁部には取付フランジ部と近接、または当接する曲げ壁部が形成され、弁軸の軸線上に、弁軸の軸線と傾斜するように交差して、上流側の2次空気の流れ方向に対して所定の迎え角を形成するように取付けられることを特徴としている。
【0022】
これにより、2次空気は迎え角を保持した保護板によって整流され、迎え角に沿って偏向されるので、2次空気は乱れや渦を発生することなく弁孔側に流れる。従って、流通損失の増加が抑制されて、多量の2次空気の確保が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
この発明の最良の実施形態を、図に示す実施例1とともに説明する。
【実施例1】
【0024】
〔実施例1の構成〕
図1および図2は本発明の実施例1を示したもので、図1は電磁式2次空気制御弁の全体構成を示す断面図であり、図2は電磁式2次空気制御弁の要部を示した断面図である。
【0025】
本実施例の2次空気供給装置は、2次空気を発生するエアポンプ(図示せず)と、このエアポンプを回転駆動する電動モータ(図示せず)と、エアポンプからエンジン排気管に至る2次空気流路管(図示せず)と、この2次空気流路管の途中に設けられて、2次空気を三元触媒コンバータ(図示せず)に導くための2次空気流路を開閉する電磁式2次空気制御弁1と、エンジンの運転状態に基づいて、電動モータおよび電磁式2次空気制御弁1を電子制御するエンジン制御装置(以下、ECUと呼ぶ、図示せず)とを備えている。
【0026】
電磁式2次空気制御弁1は、エンジン始動時、排気ガス温度が低い時に、エアポンプを作動させることにより発生する2次空気を三元触媒コンバータに導いて三元触媒を活性化させるようにするための2次空気供給装置の2次空気流路管とエンジン排気管(図示せず)との間に接続されている。ここで、本実施例の電磁式2次空気制御弁1は、エアポンプから三元触媒コンバータへの方向にだけ空気の流れを許容し、反対方向には空気の流れを阻止する逆止弁2と、エアポンプより圧送供給される2次空気を、エンジンの排気系(特に、三元触媒コンバータ)に導入するための2次空気流路を開閉する電磁弁3と、この電磁弁3に一体的に搭載された圧力センサ4とを備えている。
【0027】
ここで、圧力センサ4は、電磁弁3の2次空気流路内の2次空気圧力を電気信号に変換し、圧力センサ4より出力される電気信号が、エアポンプまたは電磁弁3の異常故障を診断する故障診断回路(図示せず)に入力される。なお、ECUには、エンジンの運転状態に基づいてエアポンプの電動モータを通電制御するポンプ駆動回路(図示せず)、エンジンの運転状態に基づいて電磁弁3のソレノイドアッセンブリ5を通電制御する電磁弁駆動回路(図示せず)等が設けられている。そして、電磁弁駆動回路からは、電磁弁3のソレノイドアッセンブリ5に1対の電磁弁駆動用ターミナル6を介して電磁弁駆動電流が出力されるように構成され、また、故障診断回路には、圧力センサ4から1対の圧力検出用ターミナル7を介して電気信号が入力されるように構成されている。
【0028】
逆止弁2は、エンジン排気管内をエンジンのエキゾーストマニホールド(図示せず)から三元触媒コンバータへ向かう排気ガスがエアポンプや電磁弁3側に逆流することを防止するバルブで、内部を2次空気が通過する空気通過口8を形成する金属プレート9と、空気通過口8を開閉するリードバルブ10と、このリードバルブ10の開き具合を規制するリードストッパ11と、逆止弁2の金属プレート9を保持するバルブケース12とを備えている。金属プレート9は、例えば、アルミニウム等の金属材料により製造されており、内部を空気が通過する2個の空気通過口8を形成する略日の字型の枠状部を有している。なお、空気通過口8の通路壁面には、略日の字型のゴム系シール材が焼き付け等により固着され弁座部13を構成している。
【0029】
リードバルブ10は、例えば、樹脂材料からなる弾性薄板、または金属材料からなる板ばね等により製造されており、一端側に2個の空気通過口8を開閉する舌状のバルブ部(自由端部)を有し、かつ他端部に金属プレート9の支持部の空気下流端面に支持される被支持部(固定端部)を有している。そして、上流側の空気圧力が下流側より高いとき、舌状のバルブ部は圧力差に応じて開弁して順流を生じ、また、圧力差がなくなったとき、もしくは下流側が上流側より圧力が高くなったときには、舌状のバルブ部は自身のばね復元力、もしくは逆方向の圧力差によって閉弁し、逆流を防止する。
【0030】
リードストッパ11は、金属板により製造されており、一端側にリードバルブ10の開き具合を規制する2重舌状のストッパ部(自由端部)を有し、かつリードバルブ10の被支持部の空気下流端面に支持される被支持部(固定端部)を有している。ここで、金属プレート9の支持部、リードバルブ10の被支持部およびリードストッパ11の被支持部には、2個の貫通孔が貫通している。これらの貫通孔には、金属プレート9の支持部、リードバルブ10の被支持部およびリードストッパ11の被支持部を、電磁弁3の図示下端面に締め付け固定するための締結ねじ等のスクリューが挿入される。
【0031】
バルブケース12は、アルミニウムダイカストにより製造されて、内部に2次空気流路14を有している。なお、2次空気流路14は、三元触媒コンバータの上流側のエンジン排気管に連通し、エアポンプの2次空気を三元触媒コンバータに送り込む部分である。このバルブケース12は、電磁弁3のバルブハウジング15の図示下端側の開口側に設けられる円環状の接合部に複数のスクリュー16を用いて締め付け固定される被接合部を有している。また、バルブケース12の図示下端部は、電磁式2次空気制御弁1内に形成される2次空気流路14の出口端部を形成する部分であって、エンジン排気管に設けられた取付用ステー部(図示せず)に固定ボルトやスクリュー(図示せず)を用いて締め付け固定される。そして、バルブケース12の図示下端面には、締結具がねじ込まれる複数のねじ孔17が形成されている。
【0032】
電磁弁3は、上記のバルブケース12を一体的に結合するとともに、内部を2次空気が通過する空気通過口18を形成するバルブハウジング15と、このバルブハウジング15内に形成される2次空気流路を開閉するポペット型バルブ19と、このポペット型バルブ19を開弁方向に駆動する電磁アクチュエータ20と、ポペット型バルブ19を閉弁方向に付勢するコイルスプリング21とから構成されている。
【0033】
バルブハウジング15は、アルミニウムダイカストにより製造されて、バルブハウジング15には、内部に電磁アクチュエータ20を収容保持する円筒状の側壁部、およびこの側壁部の図示下端部より図示左方に延長された円管状の配管継手22が一体的に形成されている。なお、配管継手22は、電磁式2次空気制御弁1内に形成される2次空気流路の入口端部を形成する部分であって、エアポンプの吐出口と2次空気配管(図示せず)を介して接続する部分である。
【0034】
また、側壁部の図示下端側には、2次空気流路を上流側と下流側とに区画するための枠状壁(区画壁)23が一体的に形成されている。この枠状壁23の中央部分は、開口部となっており、その開口部は、電磁弁3の弁孔を形成する空気通過口18を構成している。そして、枠状壁23の図示下端側の空気通過口18の周縁部には、ポペット型バルブ19が着座する円環状の弁座24が設けられている。ここで、本実施例の電磁弁3のバルブハウジング15内に形成される2次空気流路は枠状壁23よりも2次空気の流れ方向の上流側に形成される2次空気流路25、この2次空気流路25に上記の電磁弁3の空気通過口(弁孔)18を介して連通するとともに、枠状壁23よりも2次空気の流れ方向の下流側に形成される2次空気流路26等によって構成されている。そして、2次空気流路26は、逆止弁2の空気通過口8を介して逆止弁2のバルブケース12内に形成される2次空気流路14と連通している。
【0035】
ポペット型バルブ19は、周囲にゴム系弾性体を焼き付け等の手段を用いて固着した円環板状のバルブ部を有し、バルブシャフト27と一体的に軸方向に往復動作するように構成されている。このポペット型バルブ19は、バルブハウジング15の枠状壁23に設けられた弁座24に着座することで空気通過口18を閉じ、弁座24から離座することで空気通過口18を開く。また、バルブシャフト27の中間部の外周には、バルブシャフト27の摺動外周面に沿って侵入する粉塵等を防止するための円環状のダストシール28が装着されている。
【0036】
さらに、ダストシール28の図示上端側には、後記するプランジャ29およびポペット型バルブ19の最大リフト量を規制するストッパとして機能するプレッシャプレート30が設置されている。また、コイルスプリング21は、バルブシャフト27の径大部およびプレッシャプレート30の円筒部(スプリング内径ガイド)の外周側に保持されており、一端部がプレッシャプレート30の鍔状部に係止され、他端部がプランジャ29に係止されて、プランジャ29を元の位置へ復元する付勢力を発生する。従って、この付勢力によって、ポペット型バルブ19は閉弁する。
【0037】
電磁アクチュエータ20は、電磁弁3のバルブハウジング15の側壁部の内周に圧入嵌合されて組み付けられ、ポペット型バルブ19を開弁方向に駆動する弁体駆動手段である。この電磁アクチュエータ20は、ヨーク31と、このヨーク31との間に略円筒状のコイル収容部を形成する略円筒状のステータコア32と、ポペット型バルブ19およびバルブシャフト27と一体的に軸方向に可動するプランジャ29と、上記した磁束を発生するソレノイドアッセンブリ5とから構成されている。なお、ヨーク31、ステータコア32、プランジャ29等の複数の磁性体は、ソレノイドコイル33とともに磁気回路を形成する。
【0038】
そして、本実施例の電磁アクチュエータ20では、上記のソレノイドコイル33、ヨーク31、ステータコア32、およびプランジャ29よりなる磁気回路が、電磁弁3のバルブハウジング15内に形成される2次空気流路25、26よりも外側(図示上方側)に設置されている。これらの磁性体のうちヨーク31およびステータコア32は、それぞれ円筒状部を有する固定鉄心で、ステータコア32の外径側とヨーク31の内径側との間に、ソレノイドコイル33およびコイルボビン34を収容する略円筒状のコイル収容部を有している。また、ヨーク31の円筒状部の図示上端側には、ヨーク31の円筒状部の開口部を閉塞するように円環状の天壁部が形成されている。この天壁部には、ソレノイドコイル33の1対の端末リード線を取り出すための端末リード線取出し用穴部35が設けられている。
【0039】
また、ステータコア32の図示下端部には、2次空気流路25の流路壁を形成する円環状のフランジ部47が形成されている。また、ステータコア32の円筒状部の外径には、凹状部が形成されて、磁路断面積を減少する薄肉部36が設けられている。この薄肉部36は磁束抵抗を著しく大きくして、磁気飽和を高め、磁束がプランジャ29側にバイパスし易いようになっている。これにより、ヨーク31、ステータコア32、およびプランジャ29が磁化されると、プランジャ29がステータコア32の吸引部に吸引され、軸方向に軸心振れすることなく可動(リフト)する。
【0040】
プランジャ29は、略円筒状に形成された可動鉄心で、中心部にポペット型バルブ19のバルブシャフト27の径小部が嵌め合わされている。そして、プランジャ29は、ポペット型バルブ19のバルブシャフト27の径大部と径小部との間に設けられる段差部を係止する係止部を有している。そして、プランジャ29の図示上端面とバルブシャフト27の上端鍔状部との間には、円環状のワッシャ37が挿着されている。なお、バルブシャフト27の上端鍔状部は、プランジャ29の貫通孔よりも外径が広げられている。これは、プランジャ29を図示上方からステータコア32の円筒状部内に挿入した後に、バルブシャフト27を図示下方側からプランジャ29の貫通孔内に挿し込み、バルブシャフト27の上端が、例えば、スピンかしめ等によってかしめられ、径方向に鍔状に拡張することによって形成され、バルブシャフト27の鍔状部と段差部との間にプランジャ29が挟み込まれる。これにより、プランジャ29およびポペット型バルブ19が一体的に動作できるようになる。
【0041】
ソレノイドアッセンブリ5は、コイルボビン34の外周に巻装されたソレノイドコイル33と、このソレノイドコイル33の1対の電磁弁駆動用ターミナル6と、ソレノイドコイル33およびコイルボビン34の外径側を被覆するとともに、1対の電磁弁駆動用ターミナル6および1対の圧力検出用ターミナル7をともに保持する2次樹脂モールド部材38とから構成されている。ソレノイドコイル33は、コイルボビン34に絶縁被膜を施した導線を複数回巻装した巻線であり、通電することにより励磁され、ヨーク31、ステータコア32、プランジャ29等の磁気回路に磁束を形成し、プランジャ29とステータコア32との間の適度なギャップに磁気吸引力を発生するものである。
【0042】
また、ソレノイドコイル33は、コイルボビン34の外周に巻装されたコイル部、およびこのコイル部より取り出された1対の端末リード線を有している。そして、ソレノイドコイル33のコイル部の外径側には、2次樹脂モールド部材38にモールドされ、ヨーク31内に収容されたときソレノイドコイル33とヨーク31との絶縁を確保するようになっている。
【0043】
また、コイルボビン34は、電気絶縁性樹脂よりなり、外周にソレノイドコイル33のコイル部が巻装される略円筒状の筒状部、およびこの筒状部の両端側に設けられた略円環状の鍔状部等から構成され、2つの鍔状部のうち図示上端側の鍔状部の上端面および外径端面には、2次樹脂モールド部材38が密着している。
【0044】
1対の電磁弁駆動用ターミナル6は、金属板よりなる板状導電体である。この1対の電磁弁駆動用ターミナル6は、2次樹脂モールド部材38にモールドされて電気的に絶縁保護されている。また、電磁弁駆動用ターミナル6は、一端部が車両側ワイヤハーネスの先端側に設けられた雌型コネクタに差し込まれて結合され、他端部がソレノイドコイル33の1対の端末リード線に、例えば溶接手段によって接合されている。これにより、ECUの電磁弁駆動回路から出力される電磁弁駆動電流がソレノイドコイル33に流れる。
【0045】
圧力センサ4は、電磁弁3の2次空気流路25内の2次空気圧力を電気信号に変換する圧力検出部(センサユニット)と、センサユニットを搭載する回路基板39と、回路基板39に電気的に接続される1対の圧力検出用ターミナル7とを備えている。そして、圧力センサ4は、電磁弁3のソレノイドアッセンブリ5の2次樹脂モールド部材38上に搭載されている。ここで、センサユニットは、半導体単結晶のピエゾ抵抗効果を利用する半導体圧力センサが使用され、シリコン単結晶をダイヤフラム状に加工して、その表面に薄膜状に形成されて回路基板39に電気的接続されている。
【0046】
また、1対の圧力検出用ターミナル7は、金属板よりなる板状導電体である。この1対の圧力検出用ターミナル7は、電磁弁3のソレノイドアッセンブリ5の2次樹脂モールド部材38に被覆保持されている。そして、1対の圧力検出用ターミナル7は、一端部が車両用ワイヤハーネスの先端側に設けられた雌型コネクタ(図示せず)に差し込まれて結合され、他端部が圧力センサ4の回路基板39の出力端子部に半田付け等の接合手段を用いて結合されている。
【0047】
そして、本実施例のステータコア32のフランジ部47には、電磁弁3内の2次空気圧力を取り込むための圧力取込口40が形成され、ステータコア32の円筒状部の外径側には、少なくとも1箇所の軸方向に連続する面取りが形成されて2次空気圧力を導入する圧力伝達通路41が設けられている。
【0048】
そして、さらに、圧力センサ4を被覆するとともにソレノイドアッセンブリ5を絶縁する2次樹脂モールド部材38の図示上方には、圧力伝達通路41と連通する圧力導入部42が形成され、2次空気圧力が圧力取込口40、圧力伝達通路41、および圧力導入部42からなる圧力導入経路を経て圧力センサ室43に導入されるようになっている。なお、圧力センサ室43は、圧力センサ4の周囲を取り囲むように、略円筒状または略角筒状のセンサケース44が図示上方に延び、センサケース44の開口側がセンサカバー45によって気密的に塞がれて構成される。
【0049】
このとき、本実施例では、コイルボビン34の2つの鍔状部のうち図示下端側の鍔状部の図示下端面からは、圧力伝達通路41内に突出する迷路構造状の凸状部が形成されており、この迷路構造状の凸状部はラビリンスシール手段を構成して、仮に、ステータコア32の圧力取込口40から圧力伝達通路41内に粉塵が侵入した場合でも、このラビリンスシール手段によって粉塵の通過を抑制し、圧力導入部42までの粉塵の侵入を防止できる。
【0050】
また、圧力伝達通路41の途中には、ステータコア32の円筒状部の外径側に形成された薄肉部36を利用した粉塵トラップ部(凹状部)46が形成されている。この粉塵トラップ部46は、仮に、ステータコア32の圧力取込口40から圧力伝達通路41内に粉塵が侵入した場合でも、この粉塵トラップ部46で粉塵が補足されて溜まり、この粉塵トラップ部46からソレノイドアッセンブリ5の圧力導入部42への粉塵の侵入を防止できる。
【0051】
そして、さらに、本実施例では、主として過渡的、一時的に生じる排気ガスの逆流に対して、逆流が、直接ダストシール28のシール部にぶつかるのを保護する保護板50をポペット型バルブ19とダストシール28との間に配設したことを特徴としている。
保護板50は、図2に示すように、金属製もしくは樹脂製の板材よりなる円環状の円板である。円環状の円板の外径は、略円環状のダストシール28の外径より大きく、内径はバルブシャフト27の外径に等しく、好ましくは保護板50の内径とバルブシャフト27の外径とに適度な締り嵌め代を有して嵌着され、バルブシャフト27に固定される構造となっている。このため、保護板50の板厚は、適度な嵌着力が維持できるよう所定の厚みを有する一様な平板構造か、もしくは中心部にバーリング形状またはボス形状が加工されてバルブシャフト27との嵌着力を強化した薄板構造となっている。
【0052】
そして、保護板50はバルブシャフト27の軸線上に軸線方向と略直交して、ポペット型バルブ19のバルブ部より離れたダストシール28側に、ダストシール28と僅かな間隙を保持する位置に取付けられる。これにより、保護板50のバルブシャフト27の軸線方向の投影面積は、ダストシール28の暴露面積を完全にカバー可能とするため、エンジンの始動直後における過渡的、一時的な排気ガスの逆流が生じても、このバルブシャフト27の軸線方向に沿って流入する逆流をブロックして、逆流中に含まれるデポジット等がダストシール28近傍に付着、堆積するのを防止する。
【0053】
また、保護板50をダストシール28に近接して配設するので、ダストシール28と保護板50との間には、比較的狭い間隙の空間部が形成され、この空間部には上流側を流れる2次空気の分流は流れ難くなり、バルブシャフト27の軸線に直交する2次空気流れであってもダストシール28にぶつかる流れは著しく減少する。従って、上流側の2次空気に含まれる水分や粉塵等がダストシール28近傍に付着、堆積するのを併せて防止できる。
【0054】
〔実施例1の作用〕
次に、本実施例の排気ガスの逆流がダストシール28に直接ぶつかるのを保護する保護板50を配設した電磁式2次空気制御弁1を採用する2次空気供給装置の作用を図1および図2に基づいて簡単に説明する。
【0055】
三元触媒は、エンジンより排出される排気ガス中の有害ガスを化学反応により、無害な成分に変化させるもので、エンジンの始動直後のような排気ガス温度が低いと反応が促進しない。このため、エアポンプを動作させることにより発生する2次空気を三元触媒に導いて未燃焼の炭化水素(HC)の酸化作用を促進し、三元触媒の温度を上げて反応を活性化させるようにしている。
【0056】
そこで、ECUは、エンジンの始動直後のような排気ガス温度が低い時に、ポンプ駆動回路を介してエアポンプの電動モータにポンプ駆動電流を印加する。また、ECUは、電磁弁駆動回路、車両側ワイヤハーネス、この車両側ワイヤハーネスの先端側に設けられた雌型コネクタ、雄型コネクタ、1対の電磁弁駆動用ターミナル6を介して電磁弁3のソレノイドコイル33に電磁弁駆動電流を印加する。これにより、ソレノイドコイル33が励磁され、磁気回路を形成するヨーク31、ステータコア32、プランジャ29等に磁束が流れ、プランジャ29がステータコア32の吸引部に吸引されることによりプランジャ29が図示下方に移動する。このプランジャ29の図示下方への移動に伴って、プランジャ29に固定されたポペット型バルブ19がコイルスプリング21の付勢力に抗して図示下方に移動する。これにより、ポペット型バルブ19が弁座24より離座することで空気通過口(弁孔)18は開放される。
【0057】
従って、エアポンプの吐出口から2次空気流路管を経て電磁弁3内に流入した2次空気は、バルブハウジング15内に形成される2次空気流路25、空気通過口(弁孔)18、および2次空気流路26を通り、逆止弁2の金属プレート9の略日の字型の枠状部に形成される2個の空気通過口8に流入する。そして、2個の空気通過口8内の空気圧力と2次空気流路14内の空気圧力との圧力差により、リードバルブ10の舌状のバルブ部が図示下方に撓み、バルブ部がリードストッパ11のストッパ部に当接することで、2個の空気通過口8を開く。これにより、2個の空気通過口8に流入した2次空気は、2次空気流路14を経て三元触媒コンバータの上流側のエンジン排気管に流入し、2次空気が三元触媒コンバータに送り込まれる。このため、エンジン始動時、排気ガス温度が低い時でも、エアポンプを作動させることにより発生する2次空気が三元触媒コンバータに導かれるので酸化作用が促進し、三元触媒の温度が上昇して活性化する。
【0058】
このとき、エンジン始動時、エアポンプの起動立上り遅れによる圧力上昇の遅れと、排気脈動による背圧上昇による過渡的な逆流が生じた場合においても、保護板50によって、逆流がダストシール28に直接ぶつかることはない。従って、デポジット等の付着も生じない。
【0059】
また、電磁弁3内の2次空気圧力は、バルブハウジング15内に形成される2次空気流路の流路壁の一部を形成するステータコア32の圧力取込口40から圧力伝達通路41を経てソレノイドアッセンブリ5の圧力導入部42に伝達される。そして、圧力センサ4がこの2次空気圧力を検出して、電気信号に変換して出力する。そして、回路基板39で増幅され、1対の圧力検出用ターミナル7、雄型コネクタ、雌型コネクタ、車両側ワイヤハーネスを介してECUの故障診断回路に送信される。
【0060】
〔実施例1の効果〕
本実施例では、内部に空気通過口(弁孔)18が形成されたバルブハウジング15と、バルブハウジング15の内部に移動自在に収容され、弁孔18に対して着座、離座して弁孔18を開閉するバルブ部と、バルブ部と一体的に結合されるバルブシャフト27とからなるポペット型バルブ19と、ポペット型バルブ19を開弁方向に駆動する電磁アクチュエータ20と、ポペット型バルブ19を閉弁方向に付勢するコイルスプリング21と、電磁アクチュエータ20の一方側に設けられ、バルブシャフト27の同一軸線上に配設されて、バルブシャフト27の外周面を密封、摺動して、電磁アクチュエータ20内に異物の侵入を防止するダストシール28とを備えた電磁式2次空気制御弁1に、バルブシャフト27の同一軸線上に配設されて、バルブ部よりもダストシール28側に、バルブシャフト27の軸線方向と交差する向きに保護板50を配設した。
【0061】
これにより、エンジンの始動直後において電磁式2次空気制御弁1の2次空気流路25の圧力上昇の過渡的な遅れや、排気脈動に伴う排気ガスの逆流が生じても、この逆流が直接ダストシール28にぶつかったり、逆流中に含まれるデポジット等がダストシール28近傍に付着、堆積するのを防止できる。また、保護板50をダストシール28と近接して配置することにより、順流である2次空気流れがダストシール28にぶつかることなしに導入でき、従って、2次空気に含まれる粉塵等の付着、堆積するのを併せて防止できる。
【0062】
〔変形例1〕
実施例1で説明したように、保護板50とダストシール28との間隙は、互いに当接するように近づけて組付けることによって限りなく小さくすることは可能である。しかし、ダストシール28のシール部がステータコア32のフランジ部47から大きく突き出す場合には、保護板50とステータコア32のフランジ部47とで形成される空間部は、突き出し量を考慮した間隙となるため比較的広い空間部が形成される懸念がある。この場合においても上流側を流れる2次空気の分流がこの空間部に流れ難くするために、保護板50は、図3(a)に示すように、ダストシール28の突き出し量に相当する寸法値の立上り代Hを保護板50の外径部に軸方向に設けた椀状構造を採用してもよい。
【0063】
また、上記する椀状構造の保護板50の取付け位置は、ダストシール28の突き出し量に比例してバルブシャフト27の軸線上をピポット型バルブ19のバルブ部側に近づける必要があり、また、外径部の立上り代Hは大きくなる。これにより、上流側を流れる2次空気の本流側の2次空気流路25の通過面積が減少し、流通損失が増加して2次空気量が減少することとなる。従って、このような場合には、図3(b)に示すように、保護板50の外径部の立上り代Hを、予めステータコア32のフランジ部47に設けた円環状の凹溝51に嵌め込むように組付けてもよい。
【0064】
このとき、保護板50の外径部の立上り代Hは、ダストシール28の突き出し量より僅かに大きく形成し、また、フランジ部47に設ける円環状の凹溝51の溝深さはダストシール28の突き出し量と略同等となし、凹溝51の溝幅も保護板50の板厚より僅かに大きく設定され、互いに嵌め込むように組付けられたときに、板厚方向には互いに接触することなく、板厚方向の両側には適度な隙間を形成し、この両隙間が凹溝51の溝底にて連通して迷路構造状の連通路を形成している。
【0065】
これにより、ピポット型バルブ19の軸線方向の移動に対しては、保護板50も凹溝51と干渉することなく円滑に移動でき、保護板50の移動によっても迷路構造状の両隙間が変化しないので、迷路構造ゆえに生じる大きな流通損失が維持されて、上流側の2次空気の分流がこの迷路構造状の両隙間を経由してダストシール28のところまで流れ込むことはない。従って、2次空気に含まれる粉塵等の付着の防止が確実に可能となる。
【0066】
〔変形例2〕
変形例1では、主として過渡的、一時的に生じる排気ガスの逆流に含まれるデポジット等が付着するのを防止するために、逆流が、直接ダストシール28のシール部にぶつかるのをブロックするように保護板50の形状と配置について、また、保護板50とステータコア32との間の間隙によって形成される空間部を狭くなるように配設することにより、上流側の2次空気の分流を流れ難くして、併せて2次空気に含まれる粉塵等のダストシール28への付着を防止するようにした。
【0067】
本変形例は、さらに、保護板50を配設することにより2次空気の流通損失を増加させることなく、多量の2次空気が2次空気流路内を流通するようにしたものである。本変形例に採用する保護板50は、図4(a)に示すように、一様な平板構造を採用するものでなく、円錐もしくは円錐台形状に加工した薄板構造を採用している。
【0068】
保護板50は、円板状の薄板をプレスまたはしごき加工によって緩やかで一様な傾斜面を有する円錐台形状に形成され、その円錐台の頂角部側にはバルブシャフト27の外径と適度な締り嵌め代を有して嵌着する取付穴が形成され、図示下方側(バルブ部側)が円錐台の頂角方向となる向きにバルブシャフト27の軸線と同軸に、かつ、ダストシール28側にはステータコア32のフランジ部47と所定の間隙を保持して固定される構造となっている。
【0069】
これにより、上流側の2次空気は、2次空気流路25内においてバルブシャフト27に衝突することなく円錐台形状の保護板50の傾斜面に沿って偏向し、弁孔側に流れる。このとき、流通損失の増加が抑制されるので、多量の2次空気量の確保が可能となる。
【0070】
なお、円錐台形状の保護板50は、一様平面状の傾斜面に限ることなく、図4(b)に示すように、湾曲面状の傾斜面を形成してもよい。これにより、2次空気の湾曲面状の傾斜面に沿う滑らかな偏向が可能となるとともに、コンパクトな保護板50とすることが可能となって、さらに、多量の2次空気量の確保が可能となる。
【0071】
〔変形例3〕
変形例2は、保護板50を配設することにより2次空気の流通損失を増加させることなく、滑らかな偏向を実現して、多量の2次空気が2次空気流路内を流通するようにしたものである。本変形例では、2次空気流路内を流通する2次空気を整流することによって多量の2次空気が2次空気流路内を流通するようにしたものである。
【0072】
保護板50は、図5に示すように、円板状もしくは矩形板状の薄板の中心部に、バルブシャフト27の外径と適度な締り嵌め代を有して嵌着する取付穴を形成して、バルブシャフト27の軸線に対して傾斜角を有して固定される構造となっている。この傾斜角は、2次空気流路25を経由して流れる上流側の2次空気の流線に対し、2次空気の流れが乱れたり渦を巻いたりしないように、流れに適度な迎え角を設けたものである。そして、迎え角に沿う後端には、2次空気流れもしくは排気ガスの逆流が巻き込んで流入しないようにダストシール28を保護する曲げ壁部52が形成され、かつ、ダストシール28側にはステータコア32のフランジ部47と所定の間隙を保持して固定される構造となっている。
【0073】
これにより、2次空気流路25内において、上流側の2次空気は迎え角を保持した保護板50によって整流され、バルブシャフト27より上流側の2次空気は、迎え角に沿って偏向し、また、バルブシャフト27より下流側の2次空気も、同様に、迎え角に沿って偏向し、乱れることなく弁孔側に流れる。このとき、バルブシャフト27の下流側も整流されるので流通損失の増加が大幅に抑制され、より多量の2次空気量の確保が可能となる。
【実施例2】
【0074】
〔実施例2の構成〕
本発明の実施例2を図6に示す。図6は、本実施例における電磁式2次空気制御弁の要部を示した断面図である。実施例1と実質的に同一構成部分に同一符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0075】
実施例1では、排気ガスの逆流をブロックする保護板50は、開閉可動するピポット型バルブ19と一体的に結合されるバルブシャフト27に固定される構造となっていた。しかし、これに限ることなく、本実施例では、排気ガスの逆流をブロックする保護板50は、排気ガスの逆流をブロックしてデポジット等の付着が防止されるダストシール28を内部に収容するステータコア32のフランジ部47に固定されることを特徴としている。
【0076】
実施例1との違いは、主に、この保護板50の取付け部位の違いであり、可動部位に取付けるか静止部位に取付けるかは、開閉可動に伴う保護板50の他部品との干渉に関わる寸法精度や組付精度の厳しさの違いでもあり、このこと以外に異なるところはなく、他の構成も変わるところはない。
【0077】
保護板50は、図6に示すように、円板状の薄板をプレスまたはしごき加工によって緩やかで一様な傾斜面もしくは湾曲斜面の円錐台形状を有し、図示上方のステータコア32のフランジ部47側に径大部を配置し、径大部にはその径方向に延在して円環状の鍔部を備え、図示下方のピポット型バルブ19側に径小部を配置し、径小部にはその軸方向に延在して円筒状の筒部を備えている。ここで、円筒状の筒部の内径は、バルブシャフト27の外径と略同等か、僅かに大きく設定されている。
【0078】
そして、円錐台形状の保護板50の径小部が、径小部の軸線とバルブシャフト27の軸線とが一致するように組付けられ、フランジ部47に鍔部が固定される構造となっている。これにより、保護板50の径小部とバルブシャフト27とは同心円状の僅かな隙間が、軸方向には比較的長く、円筒状の筒部の長さの続くまで、一様間隔の隙間が形成され、バルブシャフト27の開閉可動に際しても、互いに接触することなく滑らかな可動を維持することができる。
【0079】
〔実施例2の効果〕
従って、ピポット型バルブ19の開弁時において、過渡的、一時的な逆流が生じても、逆流は円錐台形状の保護板50にブロックされて、直接ダストシール28にぶつかることはなく、また、バルブシャフト27の外径に形成される同心円状の僅かな隙間にも、その軸方向のフローパスが長いことより流通抵抗が著しく大きくなって流入することはない。
【0080】
さらに、保護板50をフランジ部47に固定したので、フランジ部47と保護板50との間には僅かな間隙の空間部すら形成されず、上流側の2次空気の分流が流入することもない。よって、2次空気は全て本流となって流れるが、保護板50は緩やかで一様な傾斜面もしくは湾曲面状の傾斜面を有する円錐台形状となっており、しかも小型化が容易となるので、2次空気はバルブシャフト27に衝突することなく滑らかに偏向するとともに、流通損失の増加が大幅に抑制され、より多量の2次空気量の確保が可能となる。
【0081】
〔他の変形例〕
実施例2では、保護板50は緩やかで一様な傾斜面もしくは湾曲面状の傾斜面を有する円錐台形状となっているが、これに限ることなく、円板状もしくは矩形板状の薄板から形成され、この薄板の中心部には、バルブシャフト27の外径より僅かに大きい取付穴が形成され、この薄板の周縁部にはフランジ部47と当接する曲げ壁部52が形成され、バルブシャフト27の軸線上に、バルブシャフト27と傾斜するように交差して、上流側の2次空気の流れ方向に対して迎え角を形成するように取付ける構成の保護板50であってもよい。
【0082】
これにより、2次空気は迎え角を保持した保護板50によって整流され、迎え角に沿って偏向されるので、2次空気は乱れや渦を発生することなく弁孔18側に流れる。従って、流通損失の増加が抑制されて、多量の2次空気の確保が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】電磁式2次空気制御弁の全体構成を示す断面図である(実施例1)。
【図2】電磁式2次空気制御弁の要部を示した断面図である(実施例1)。
【図3】(a)、(b)は電磁式2次空気制御弁の要部を示した断面図である(実施例1の変形例1)。
【図4】(a)、(b)は電磁式2次空気制御弁の要部を示した断面図である(実施例1の変形例2)。
【図5】電磁式2次空気制御弁の要部を示した断面図である(実施例1の変形例3)。
【図6】電磁式2次空気制御弁の要部を示した断面図である(実施例2)。
【符号の説明】
【0084】
1 電磁式2次空気制御弁
15 バルブハウジング(ハウジング)
18 空気通過口(弁孔)
19 ポペット型バルブ(弁体)
20 電磁アクチュエータ(電磁弁駆動装置)
21 コイルスプリング(スプリング)
27 バルブシャフト(弁軸)
28 ダストシール
47 フランジ部(取付フランジ部)
50 保護板
51 凹溝
52 曲げ壁部
H 立上り代

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に弁孔が形成されたハウジングと、該ハウジングの内部に移動自在に収容され、前記弁孔に対して着座および離座して前記弁孔を開閉する弁体と、該弁体と一体的に結合される弁軸とからなるポペット型バルブと、
該ポペット型バルブを開弁方向に駆動する電磁弁駆動装置と、
前記ポペット型バルブを閉弁方向に付勢するスプリングと、
前記電磁弁駆動装置の取付フランジ部に設けられ、前記弁軸の同一軸線上に配設されて、前記弁軸の外周面を摺動、密封して、前記電磁弁駆動装置内に異物の侵入を防止するダストシールと、を備えた電磁式2次空気制御弁において、
前記弁軸の同一軸線上に配設されて、前記弁体と前記ダストシールとの間の前記ダストシール側寄りに、前記弁軸の軸線方向と交差する向きに保護板を配設したことを特徴とする電磁式2次空気制御弁。
【請求項2】
請求項1に記載の電磁式2次空気制御弁において、
前記保護板は、前記弁軸に結合、固定されることを特徴とする電磁式2次空気制御弁。
【請求項3】
請求項1に記載の電磁式2次空気制御弁において、
前記保護板は、前記取付フランジ部に結合、固定されることを特徴とする電磁式2次空気制御弁。
【請求項4】
請求項1または2に記載の電磁式2次空気制御弁において、
前記保護板は、円環状の円板から形成され、前記円板の外径は前記ダストシールの外径より大きく、前記円板の内径は前記弁軸の外径に等しく、前記弁軸の軸線上に前記ダストシールと所定の間隙を有して取付けられることを特徴とする電磁式2次空気制御弁。
【請求項5】
請求項1または2に記載の電磁式2次空気制御弁において、
前記保護板は、円環状の円板から形成され、前記円板の外径部には軸方向に向かう所定の高さの立上り代が設けられ、前記円板の内径は前記弁軸の外径に等しく、前記弁軸の軸線上に前記ダストシールと所定の間隙を有して取付けられることを特徴とする電磁式2次空気制御弁。
【請求項6】
請求項5に記載の電磁式2次空気制御弁において、
前記保護板は、円環状の円板から形成され、前記円板の外径部には軸方向に向かう所定の高さの立上り代が設けられ、
かつ、前記取付フランジ部には、前記立上り代と対をなす同径の凹溝が設けられ、
前記弁軸の軸線上に、前記立上り代の内部に前記ダストシールを内包するとともに、前記立上り代が、前記凹溝に挿着することによって、所定の間隙を有する迷路構造状の連通路を形成して取付けられることを特徴とする電磁式2次空気制御弁。
【請求項7】
請求項1ないし3のいずれかに記載の電磁式2次空気制御弁において、
前記保護板は、円板状の薄板からなり、一様な傾斜面、または湾曲面状の傾斜面を有する円錐台形状に形成され、
前記円錐台形状の径小部は前記弁軸の外径と同等、または僅かに大きく、
前記円錐台形状の径大部は前記ダストシールの外径より大きく、
前記弁軸の軸線上に、前記ダストシールを内包して取付けられることを特徴とする電磁式2次空気制御弁。
【請求項8】
請求項1ないし3のいずれかに記載の電磁式2次空気制御弁において、
前記保護板は、円板状または矩形状の薄板から形成され、
前記薄板の中心部には前記弁軸の外径と同等、または僅かに大きい取付穴が形成され、
前記薄板の周縁部には前記取付フランジ部と近接、または当接する曲げ壁部が形成され、
前記弁軸の軸線上に、前記弁軸の軸線と傾斜するように交差して、
上流側の2次空気の流れ方向に対して所定の迎え角を形成するように取付けられることを特徴とする電磁式2次空気制御弁。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−257447(P2009−257447A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−106327(P2008−106327)
【出願日】平成20年4月16日(2008.4.16)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】