説明

静電吸着部材、静電吸着部材保持機構、搬送モジュール、半導体製造装置及び搬送方法

【課題】搬送アームに基板を静電吸着して搬送する場合において、真空中に電源やケーブルを導入する必要がなく、搬送モジュールにウェハを受け渡す際の基板の位置を高精度で制御することができ、更に、搬送モジュールで処理モジュールに搬送した後の基板の位置を高精度で制御することができる静電吸着部材を提供する。
【解決手段】静電吸着部材60は、基板Wを大気中と真空中との間で受け渡すロードロックモジュールと、基板Wを真空中で処理する処理モジュールとの間で、基板Wを搬送する搬送モジュールのピック31bに着脱可能に取り付けられ、ピック31bが搬送する基板Wに静電吸着する。静電吸着部材60は、ロードロックモジュールの載置ステージ70とピック31bとの間、又はピック31bと処理モジュールとの間で、基板Wに静電吸着した状態で、基板Wと一緒に受け渡される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を静電吸着する静電吸着部材、静電吸着部材を保持する静電吸着部材保持機構、基板を搬送する搬送モジュール、その搬送モジュールを備える半導体製造装置、及び基板を搬送する搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程においては、被処理基板である半導体ウェハ(以下、単に基板又はウェハと記す。)に対し、真空雰囲気で成膜処理やエッチング処理等の基板処理が行われる。最近では、このような基板処理の効率化の観点から、基板に処理を行う処理モジュールを真空に保持された搬送室に複数連結したマルチチャンバタイプの半導体製造装置が注目されている。
【0003】
また、大気中に置かれたウェハカセットから真空に保持された搬送室へウェハを搬送するために、搬送室とウェハカセットとの間にロードロックモジュールを設け、ロードロックモジュールを介して大気中と真空中との間でウェハが搬送される。
【0004】
ここで、ロードロックモジュールと処理モジュールとの間でのウェハの受け渡しは、ロードロックモジュールと処理モジュールとの間に設けられた搬送モジュールにより行われる。搬送モジュールは、必要最小限の空間で旋回可能とするとともに遠方までウェハを搬送可能とするために多関節構造を有し、伸縮可能になされた搬送アームを有している。また、多関節構造を有する搬送アームの先端には、ウェハを保持するためのピックを有する。搬送モジュールは、ウェハを真空中で搬送するため、例えば、ウェハをピックに静電吸着して搬送する場合がある。この場合、ピックには、ウェハを真空吸着するために静電吸着部材が用いられる。
【0005】
このような半導体製造装置に備えられた搬送モジュールが有する搬送アームにおいて静電吸着部材が用いられている例として、電極面を保持面として、その電極面へ所定の電圧を印加して保持対象物を静電気力により接触的に保持して又は非接触的に浮上させて保持する静電保持装置の例が記載されている(例えば特許文献1参照)。特許文献1の例では、保持面を支持する電極支持体は被保持面の傾きをハンドリング対象物面に平行するように機能する姿勢制御機構を備えている。
【0006】
また、静電チャックを設けた搬送ハンドにより板状体を搬送する板状搬送方法において、搬送に先立ち板状体の搬送ハンドとの接触面の抵抗、インピーダンス、及び誘電率のうち少なくともいずれか一つを測定し、測定した結果に基づいて搬送速度、搬送加速度、及び静電チャック印加電圧のうち少なくともいずれか一つを制御することを特徴とする板状体搬送方法の例が記載されている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−358562号公報
【特許文献2】特開2005−353988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、上記の静電吸着部材を用いた搬送アームによりウェハを静電吸着して搬送するときに、次のような場合がある。
【0009】
搬送アームに静電吸着部材を設ける場合、静電吸着部材に電圧を印加するための電源及びケーブルを設ける必要がある。そのため、搬送アームが設けられている真空中に電源及びケーブルを導入する場合がある。
【0010】
また、ロードロックから搬送モジュールにウェハを受け渡す際に、位置精度よくウェハを受け渡すことができない場合がある。このように位置精度悪く搬送モジュールに受け渡されたウェハが一旦静電吸着されると、その後処理モジュールにウェハを受け渡す際も、位置精度悪い状態のまま受け渡すことになる。
【0011】
更に、搬送モジュールで搬送する際のウェハの位置精度を制御することができないのみならず、処理モジュールに搬送した後の、ウェハの位置精度を制御することができない場合がある。
【0012】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、搬送アームに基板を静電吸着して搬送する場合において、真空中に電源やケーブルを導入する必要がなく、搬送モジュールにウェハを受け渡す際の基板の位置を高精度で制御することができ、更に、搬送モジュールで処理モジュールに搬送した後の基板の位置を高精度で制御することができる静電吸着部材、静電吸着部材保持機構、搬送モジュール、及び半導体製造装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために本発明では、次に述べる手段を講じたことを特徴とするものである。
【0014】
本発明の一実施例によれば、基板を大気中と真空中との間で受け渡すロードロックモジュールと、基板を真空中で処理する処理モジュールとの間で、基板を搬送する搬送モジュールに着脱可能に取り付けられ、前記搬送モジュールが搬送する基板に静電吸着する静電吸着部材であって、前記ロードロックモジュールと前記搬送モジュールとの間、又は前記搬送モジュールと前記処理モジュールとの間で、前記基板に静電吸着した状態で、前記基板と一緒に受け渡される、静電吸着部材が提供される。
【0015】
また、本発明の一実施例によれば、前記ロードロックモジュールに設けられ、本発明の一実施例に係る静電吸着部材を保持する静電吸着部材保持機構であって、前記ロードロックモジュールに備えられ、前記基板を載置する、載置ステージに設けられ、前記載置ステージに前記静電吸着部材を着脱可能に取り付けるための第1の取付部と、前記ロードロックモジュールに備えられ、前記第1の取付部に取り付けられる前記静電吸着部材に給電する給電部とを有する、静電吸着部材保持機構が提供される。
【0016】
また、本発明の一実施例によれば、本発明の一実施例に係る静電吸着部材が静電吸着した状態の前記基板を搬送する搬送モジュールであって、前記ロードロックモジュール及び前記処理モジュールとの間で前記基板を載置して搬送する搬送アームと、前記搬送アームに設けられ、前記静電吸着部材を着脱可能に取り付けるための第2の取付部とを有する、搬送モジュールが提供される。
【0017】
また、本発明の一実施例によれば、本発明の一実施例に係る搬送モジュールを備える、半導体製造装置が提供される。
【0018】
また、本発明の一実施例によれば、基板を大気中と真空中との間で受け渡すロードロックモジュールと、基板を真空中で処理する処理モジュールとの間で、基板を搬送する搬送モジュールに着脱可能に取り付けられた静電吸着部材を基板に静電吸着させ、前記搬送モジュールにより前記基板を搬送する搬送方法であって、前記ロードロックモジュールと前記搬送モジュールとの間、又は前記搬送モジュールと前記処理モジュールとの間で、前記静電吸着部材を前記基板に静電吸着させた状態で、前記基板と一緒に前記静電吸着部材を受け渡す、搬送方法が提供される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、搬送アームに基板を静電吸着して搬送する場合において、真空中に電源やケーブルを導入する必要がなく、搬送モジュールにウェハを受け渡す際の基板の位置を高精度で制御することができ、更に、搬送モジュールで処理モジュールに搬送した後の基板の位置を高精度で制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1の実施の形態に係る半導体製造装置の構成を示す平面図である。
【図2A】第1の実施の形態に係る搬送モジュールの搬送アームが基板を搬送するときの構成を示す図(その1)である。
【図2B】第1の実施の形態に係る搬送モジュールの搬送アームが基板を搬送するときの構成を示す図(その2)である。
【図3A】第1の実施の形態に係るロードロックモジュールの載置ステージが基板を載置するときの構成を示す図(その1)である。
【図3B】第1の実施の形態に係るロードロックモジュールの載置ステージが基板を載置するときの構成を示す図(その2)である。
【図4】第1の実施の形態に係る静電吸着部材及び給電部の構成を模式的に示す図である。
【図5A】第1の実施の形態に係る処理モジュールの処理ステージがウェハを載置するときの構成を示す図(その1)である。
【図5B】第1の実施の形態に係る処理モジュールの処理ステージがウェハを載置するときの構成を示す図(その2)である。
【図6】第1の実施の形態に係る半導体製造装置において、ロードロックモジュールと搬送モジュールとの間で基板を受け渡しする様子を示す側面図及び平面図(その1)である。
【図7】第1の実施の形態に係る半導体製造装置において、ロードロックモジュールと搬送モジュールとの間で基板を受け渡しする様子を示す側面図及び平面図(その2)である。
【図8】第1の実施の形態に係る半導体製造装置において、ロードロックモジュールと搬送モジュールとの間で基板を受け渡しする様子を示す側面図及び平面図(その3)である。
【図9】第1の実施の形態に係る半導体製造装置において、搬送モジュールと処理モジュールとの間で基板を受け渡しする様子を示す側面図及び平面図(その1)である。
【図10】第1の実施の形態に係る半導体製造装置において、搬送モジュールと処理モジュールとの間で基板を受け渡しする様子を示す側面図及び平面図(その2)である。
【図11】第1の実施の形態に係る半導体製造装置において、搬送モジュールと処理モジュールとの間で基板を受け渡しする様子を示す側面図及び平面図(その3)である。
【図12】第1の実施の形態の変形例に係る搬送モジュール及びロードロックモジュールの構成を示す側面図及び平面図である。
【図13】第1の実施の形態の変形例に係る搬送モジュール及び処理モジュールの構成を示す側面図及び平面図である。
【図14】第1の実施の形態の変形例に係る搬送モジュール及びロードロックモジュールの他の例の構成を示す側面図及び平面図である。
【図15】第2の実施の形態に係る搬送モジュール及びロードロックモジュールの構成を示す側面図及び平面図である。
【図16】第2の実施の形態に係る搬送モジュール及び処理モジュールの構成を示す側面図及び平面図である。
【図17】第2の実施の形態の第1の変形例に係る処理モジュール及び位置合わせ機構の構成及び位置合わせ方法を示す図である。
【図18】第2の実施の形態の第2の変形例に係る静電吸着部材及び給電部の構成を模式的に示す図である。
【図19】第3の実施の形態に係る搬送モジュール及びロードロックモジュールの構成を示す側面図及び平面図である。
【図20】第3の実施の形態に係るロードロックモジュールに皿状部材を補充する様子を模式的に説明する図である。
【図21】第3の実施の形態に係る皿状部材及び給電部の構成を模式的に示す図である。
【図22】第3の実施の形態の変形例に係る搬送モジュール及びロードロックモジュールの構成を示す側面図及び平面図である。
【図23】第3の実施の形態の変形例に係るリング状部材及び給電部の構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明を実施するための形態について図面と共に説明する。
(第1の実施の形態)
最初に、図1から図11を参照し、本発明の第1の実施の形態に係る静電吸着部材、位置合わせ機構及び搬送モジュールを備えた半導体製造装置について説明する。
【0022】
始めに、図1を参照し、半導体製造装置について説明する。図1は、半導体製造装置の構成を示す平面図である。
【0023】
半導体製造装置1は、所定の真空下で被処理基板としての半導体ウェハ(以下、単に「基板」又は「ウェハ」という。)Wに対して、エッチング等の処理を行い、半導体装置を製造する。
【0024】
半導体製造装置1の中央部分には、真空搬送室10が設けられ、真空搬送室10に沿って、その周囲には、複数(本実施の形態では6個)の処理モジュール11〜16が設けられる。処理モジュール11〜16は、それぞれウェハWを載置して処理する後述する処理ステージ80を有する。処理モジュール11〜16の内部では、処理ステージ80に載置されたウェハWに対し、真空中でプラズマエッチング等の処理を行う。
【0025】
真空搬送室10の手前側(図中下側)には、2つのロードロックモジュール17、18が設けられる。ロードロックモジュール17、18は、それぞれウェハWを載置する後述する載置ステージ70を有する。ロードロックモジュール17、18のさらに手前側(図中下側)には、大気中で基板(本実施の形態では半導体ウェハW)を搬送するための大気搬送室19が設けられる。従って、ロードロックモジュール17、18は、大気中の大気搬送室19と真空中である真空搬送室10との間でウェハWを受け渡す。
【0026】
大気搬送室19のさらに手前側(図中下側)には、複数枚の半導体ウェハWを収容可能とされた基板収容ケース(カセット又はフープ)が配置される載置部20が複数設けられる。大気搬送室19の側方(図中左側)には、オリエンテーションフラット或いはノッチにより半導体ウェハWの位置を検出するオリエンタ21が設けられる。
【0027】
ロードロックモジュール17、18と大気搬送室19との間、ロードロックモジュール17、18と真空搬送室10との間、真空搬送室10と処理モジュール11〜16との間には、夫々ゲートバルブ22が設けられ、これらの間を気密に閉塞及び開放できる。
【0028】
真空搬送室10内には、搬送モジュール30が設けられる。搬送モジュール30は、搬送アーム31、32を具備し、搬送アーム31、32によって2枚のウェハWを支持可能に構成され、各処理モジュール11〜16、ロードロックモジュール17、18に、ウェハWを搬入、搬出できるように構成される。すなわち、搬送モジュール30は、ロードロックモジュール17、18と処理モジュール11〜16との間で、ウェハWを搬送する。
【0029】
大気搬送室19内には、大気側搬送モジュール40が設けられる。大気側搬送モジュール40は、大気側搬送アーム41、42を具備し、大気側搬送アーム41、42によって2枚のウェハWを支持可能に構成される。大気側搬送モジュール40は、各載置部20に載置されたカセット又はフープ、ロードロックモジュール17、18、オリエンタ21に半導体ウェハWを搬入、搬出できるよう構成される。
【0030】
上記構成の半導体製造装置1は、制御部50によって、その動作が統括的に制御される。この制御部50には、CPUを備え半導体製造装置1の各部を制御するプロセスコントローラ51と、ユーザインターフェース部52と、記憶部53とが設けられる。
【0031】
ユーザインターフェース部52は、工程管理者が半導体製造装置1を管理するためにコマンドの入力操作を行うキーボードや、半導体製造装置1の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等から構成される。
【0032】
記憶部53には、半導体製造装置1で実行される各種処理をプロセスコントローラ51の制御にて実現するための制御プログラム(ソフトウェア)や処理条件データ等が記憶されたレシピが格納される。必要に応じ、ユーザインターフェース部52からの指示等にて任意のレシピを記憶部53から呼び出してプロセスコントローラ51に実行させることで、プロセスコントローラ51の制御下で、半導体製造装置1での所望の処理が行われる。また、制御プログラムや処理条件データ等のレシピは、コンピュータで読み取り可能なプログラム記録媒体(例えば、ハードディスク、CD、フレキシブルディスク、半導体メモリ等)などに格納された状態のものを利用したり、或いは、他の装置から、例えば専用回線を介して随時伝送させてオンラインで利用したりすることも可能である。
【0033】
このような半導体製造装置1においては、まず、大気圧に対して+1.3Pa以上の陽圧であって清浄空気雰囲気に保持された大気搬送室19内の大気側搬送モジュール40により、いずれかのフープ又はカセットからウェハWを1枚取り出してオリエンタ21に搬入し、ウェハWの位置合わせを行う。次いで、ウェハWを2つのロードロックモジュール17、18のいずれかに搬入し、そのロードロックモジュール17、18内を真空引きした後、搬送モジュール30の搬送アーム31、32のいずれかによりウェハWを処理モジュール11〜16のいずれかに搬入して、基板処理を行う。その後、ウェハWを搬送モジュール30の搬送アーム31、32のいずれかにより2つのロードロックモジュール17のいずれかに搬入し、その中を大気圧に戻した後、大気搬送室19内の大気側搬送モジュール40によりロードロックモジュール17内のウェハWを取り出し、フープ又はカセットのいずれかに収容する。このような操作をウェハWに対して行い、1ロットの処理が終了する。
【0034】
次に、図2Aを参照し、搬送モジュール30について説明する。図2A(a)及び図2A(b)は、それぞれ搬送モジュールの搬送アームが基板を搬送するときの構成を示す側面図及び平面図である。また、図2A(c)は、図2A(a)における点線で囲まれた領域Iの周辺を拡大して示す図であり、図2A(b)のA−A線に伴う断面図である。
【0035】
前述したように、搬送モジュール30は、搬送アーム31、32を有する。以下、搬送アーム31、32を代表し、搬送アーム31について説明するが、搬送アーム32についても同様とすることができる。
【0036】
搬送アーム31は、多関節構造のアーム31aを有し、アーム31aの先端にウェハWを保持するためのピック31bを有しており、ピック31b上にウェハWを載せて搬送を行う。ピック31bは、例えばアルミナ(Al)などのセラミックス材料で構成されている。
【0037】
なお、本発明における搬送アームは、本実施の形態に係るピックを含むものと定義する。すなわち、本発明における搬送アームは、アーム31a及びアーム31aの先端に設けられたピック31bに相当する。
【0038】
ピック31bのウェハWを保持する保持面には、ウェハWを静電吸着して保持する静電吸着部材60が複数取り付けられている。静電吸着部材60は、その吸着力によりピック31b上でウェハWが位置ずれしたり、ピック31bから落下したりしないようにウェハWを保持する。
【0039】
図2A(a)及び図2A(b)に示す例では、ピック31bがウェハWを保持する保持面には、静電吸着部材60が3つ取付けられている。3つの静電吸着部材60は、図2A(b)に示すように、平面視において略円形形状を有してもよい。3つの静電吸着部材60は、ウェハWの中心に対応する位置を中心とし、その周りに環状に、かつ、等配に配置することができる。ピック31bは、3つの静電吸着部材60が配置されている位置の周辺を接続するような形状とすることができる。図2A(b)に示すように、3つの静電吸着部材60が配置されている位置を結ぶY字形状にしてもよい。
【0040】
なお、静電吸着部材60の数及び平面視における配置は、ウェハWがピック31bから落下することがなく、安定してウェハWをピック31bに吸着させることができればよく、種々の数及び配置に設計することができる。
【0041】
一方、本実施の形態では、静電吸着部材60は、ピック31bに着脱可能に取り付けられる。ピック31bは、静電吸着部材60を取り付けるための取付部33を有する。取付部33は、ピック31bのウェハWを静電吸着する側に形成された開口部34と連通する貫通孔である。また、静電吸着部材60は、静電吸着部材60のウェハWを静電吸着する側が開口部34に係止される。
【0042】
なお、取付部33及び貫通孔33は、本発明における第2の取付部及び第2の貫通孔に相当する。また、開口部34は、本発明における第2の開口部に相当する。
【0043】
また、取付部33は、ピック31bのウェハWを静電吸着する側には開口部34を有するが、ピック31bのウェハWを静電吸着する側と反対側には開口部を有しない取付孔であってもよい(以下の実施の形態及び変形例でも同様)。また、ピック31bのウェハWを静電吸着する側は、ピック31bがウェハWを載置する側に相当する(以下の実施の形態及び変形例でも同様)。
【0044】
図2A(c)に示す例では、静電吸着部材60は、ウェハWを吸着する側である上面側から、ウェハWを吸着する側の反対側である下面側に向けて一様に、径が減少する形状を有する。ピック31bは、取付部33として3つの貫通孔33を有する。貫通孔33の内径は、静電吸着部材60の上面側の外径よりも小さい。図2A(c)に示す例では、静電吸着部材60は、上側から下側に向けて外径が減少する逆円錐台形状を有する主部61と、主部61の上側に主部61と同軸に設けられ、主部61の最大径である外径DO1よりも大きい外径DO2を有する円板形状を有する上面部62とを有する。そして、貫通孔33の内径DI1は、主部61の上端の外径DO1よりも大きいかあるいは略等しく、上面部62の外径DO2よりも小さい。
【0045】
その結果、静電吸着部材60は、貫通孔33の上面側の開口部34に係止され、水平方向(ウェハWの面に平行な方向)の移動に対しては、貫通孔33の内壁により移動を拘束される。また、垂直方向(ウェハWの面に垂直な方向)の下方向(ウェハWからピック31bに向かう方向)への移動に対しては、(ウェハWも含めた)自重により移動を拘束される。一方、垂直方向(ウェハWの面に垂直な方向)の上方向(ピック31bからウェハWに向かう方向)への移動に対しては、移動は拘束されない。従って、後述するロードロックモジュールとの間、又は処理モジュールとの間でウェハWを受け渡すときは、静電吸着部材60がウェハWに静電吸着した状態で、ウェハWと一緒に受け渡される。
【0046】
なお、図2Aに示す例では、開口部34の内径と貫通孔33の内径は等しく、開口部34に係止される静電吸着部材60の上面部62は、ピック31bの上面よりも上方にある。しかし、開口部34の内径を貫通孔33の内径DI1よりも大きいDI11としてもよい(以下の変形例、実施の形態においても同様)。そのような構成の例を図2Bに示す。
【0047】
図2B(d)及び図2B(e)は、開口部34の内径DI11を貫通孔33の内径DI1よりも大きくした場合における、それぞれ図2A(a)及び図2A(c)に対応する構成を示す図である。図2B(d)及び図2B(e)に示す例では、開口部34の内径DI11が貫通孔33の内径DI1よりも大きいため、ウェハWの下面がピック31bの上面に接しており、静電吸着部材60の上面部62が開口部34に収容されている。すなわち、静電吸着部材60の上面部62は、ピック31bの上面に形成された溝である開口部34の中に配置される。また、図2B(f)は、静電吸着部材60がウェハWに吸着する前の構成、あるいは図2B(e)に示すようにウェハWに吸着していた静電吸着部材60がウェハWから脱離したときの構成を示す。
【0048】
なお、開口部34の内径がDI11である部分の高さは、上面部62の厚さ以下であればよいのであって、図2Bに示す例のように上面部62の厚さより小さくてもよく、あるいは上面部62の厚さと略等しくてもよい。開口部34の高さが上面部62の厚さと略等しい場合には、貫通孔33に取り付けられる静電吸着部材60の上面部62の上面は、ピック31bの上面と略同じ高さになる。
【0049】
次に、図3Aを参照し、ロードロックモジュールについて説明する。図3A(a)及び図3A(b)は、それぞれロードロックモジュールの載置ステージが基板を載置するときの構成を示す側面図及び平面図である。図3A(c)は、図3A(a)における点線で囲まれた領域IIの周辺を拡大して示す図であり、図3A(b)のB−B線に伴う断面図である。
【0050】
前述したように、半導体製造装置1は、ロードロックモジュール17を有する。以下、ロードロックモジュール17について説明するが、ロードロックモジュール18についても同様とすることができる。
【0051】
ロードロックモジュール17は、ウェハWを載置する載置ステージ70と、静電吸着部材60に給電する給電部71とを有する。
【0052】
載置ステージ70は、円形形状を有し、回転ステージ部70a、及び固定ステージ部70bを有する。回転ステージ部70aは、載置ステージ70の一部を構成し、回転中心を有し、回転可能に設けられている部分である。固定ステージ部70bは、載置ステージ70であって、回転ステージ部70a以外の部分であり、回転しないように設けられている。
【0053】
載置ステージ70のウェハWを載置する載置面には、ウェハWを静電吸着して保持する静電吸着部材60が複数取り付けられている。静電吸着部材60は、その吸着力により、載置ステージ70上でウェハWが位置ずれしないように、また、載置ステージ70から落下しないようにウェハWを保持する。
【0054】
静電吸着部材60が、平面視において略円形形状を有してもよいこと、及び、ウェハWの中心に対応する位置を中心とし、その周りに環状に、かつ、等配に配置することができることは、搬送モジュール30の説明において前述した通りである。
【0055】
図3A(c)に示すように、静電吸着部材60は、載置ステージ70にも着脱可能に取り付けられる。回転ステージ部70aには、載置ステージ70に載置されるウェハWを静電吸着する静電吸着部材60が取り付けられる取付部73が設けられている。取付部73は、回転ステージ部70aに形成され、ウェハWを静電吸着する側に形成された開口部74と連通する貫通孔である。静電吸着部材60は、静電吸着部材60のウェハWを静電吸着する側が貫通孔73の開口部74に係止される。
【0056】
なお、取付部73及び貫通孔73は、それぞれ本発明における第1の取付部及び第1の貫通孔に相当する。また、開口部74は、本発明における第1の開口部に相当する。
【0057】
貫通孔73の内径は、静電吸着部材60の上面側の外径よりも小さい。図3A(c)に示す例では、貫通孔73の内径DI2は、主部61の上端の外径DO1よりも大きいかあるいは略等しく、上面部62の外径DO2よりも小さい。
【0058】
このような構成を有することにより、静電吸着部材60は、水平方向の移動、垂直方向の下方向への移動に対しては拘束され、垂直方向の上方向への移動に対しては拘束されないため、搬送モジュール30との間でウェハWを受け渡すときは、静電吸着部材60がウェハWに静電吸着した状態で、ウェハWと一緒に受け渡される。
【0059】
給電部71は、給電ピン71aを有する。給電ピン71aは、図3A(a)に示すように、載置ステージ70の下方側から貫通孔73に挿入するように設けられ、静電吸着部材60が貫通孔73に係止されているときに、静電吸着部材60の下面と電気的に接続するように設けられている。給電ピン71aは、1枚のウェハWに吸着する静電吸着部材60の数に対応して設けられ、図3A(a)に示す例では、3つの給電ピン71aが設けられる。
【0060】
なお、ロードロックモジュール17に設けられ、取付部73、給電部71、給電ピン71aで構成される機構を、静電吸着部材保持機構と定義する(以下の実施の形態及び変形例でも同様)。
【0061】
一方、貫通孔73は、1枚のウェハWに吸着する静電吸着部材60の数に対応する数よりなる組が複数組設けられてもよい。半導体製造装置が複数の処理モジュールを有するときは、複数の処理モジュール11〜16で並行して処理を行うことができるため、ウェハWに静電吸着し、ウェハWと一緒に搬送モジュール30を介して処理モジュール11〜16に搬送されていく静電吸着部材60の数も、同時に並行して処理することができるウェハWの枚数組分あってもよい。
【0062】
図3A(b)に示す例では、回転ステージ部70aには、回転ステージ部70aの外周側に環状に、かつ、等配に配置した12の貫通孔73−1、73−2、73−3・・・73−12が設けられる。従って、回転ステージ部70aには、最大12の静電吸着部材60が取り付けられる。その結果、貫通孔73−1、73−5、73−9よりなる第1の組に取付けられた静電吸着部材60の第1の組、貫通孔73−2、73−6、73−10よりなる第2の組に取付けられた静電吸着部材60の第2の組、貫通孔73−3、73−7、73−11よりなる第3の組に取付けられた静電吸着部材60の第3の組、73−4、73−8、73−12よりなる第4の組に取付けられた静電吸着部材60の第4の組、の計4組が設けられる。これにより、ロードロックモジュール17のみにより、同時に並行して4つの処理モジュールで処理を行うことができる。
【0063】
なお、図3A(b)では、図示を分かり易くするため、73−1、73−5、73−9よりなる第1の組の貫通孔以外の貫通孔に取り付けられている静電吸着部材60について、図示を省略している。
【0064】
なお、回転ステージ部70aに形成される貫通孔73の数は、半導体製造装置が有するロードロックモジュールの数、処理モジュールの数、処理モジュールでの処理時間等の条件によって、種々の数に設計することができる。
【0065】
ここで、同時に並行して複数のウェハWを複数の処理モジュールで処理する場合について説明する。
【0066】
まず第1の組の貫通孔73−1、73−5、73−9に取り付けられた1組目の静電吸着部材60を用いて第1のウェハW1を静電吸着し、搬送モジュール30に受け渡す。その後、第1のウェハW1を静電吸着した際に1組目の静電吸着部材60があった位置に2組目の静電吸着部材60が配置するように、回転ステージ部70aを回転する。その後、第2の組の貫通孔73−2、73−6、73−10に取り付けられた2組目の静電吸着部材60を用いて第2のウェハWを静電吸着し、搬送モジュール30に受け渡す。以下、同様にして、回転ステージ部70aを用いて、複数組の静電吸着部材60を複数のウェハWに静電吸着させることができる。
【0067】
なお、回転ステージ部が回転する際に、給電ピンが貫通孔の内壁に衝突することを防止するには、回転ステージ部が回転する間、給電ピンを回転ステージ部の下方に下降させる図示しない給電ピン昇降機構を設ければよい。
【0068】
また、本実施の形態では、ロードロックモジュール17は、ウェハWを搬送モジュール30のピック31bとの間で受け渡す際に、ウェハWを昇降させる昇降ピン75を有する。
【0069】
固定ステージ部70bには、昇降ピン用貫通孔76が設けられ、昇降ピン用貫通孔76の位置に対応し、下方から昇降ピン用貫通孔76を通って上下動可能に昇降ピン75が設けられる。また、昇降ピン75を上下動可能に駆動する図示しない昇降機構が設けられる。
【0070】
図3A(b)に示す例では、固定ステージ部70bは、回転ステージ部70aと同心円状であって、回転ステージ部70aの外周側に設けられる。また、昇降ピン用貫通孔76は、載置ステージ70の中心の位置を中心とし、環状に、かつ、等配に配置するように設けられる。
【0071】
なお、図3Aに示す例では、開口部74の内径と貫通孔73の内径は等しく、開口部74に係止される静電吸着部材60の上面部62は、回転ステージ部70aの上面よりも上方にある。しかし、開口部74の内径を貫通孔73の内径DI2よりも大きいDI21としてもよい(以下の変形例、実施の形態においても同様)。そのような構成の例を図3Bに示す。
【0072】
図3B(d)及び図3B(e)は、開口部74の内径DI21を貫通孔73の内径DI2よりも大きくした場合における、それぞれ図3A(a)及び図3A(c)に対応する構成を示す図である。図3B(d)及び図3B(e)に示す例では、開口部74の内径DI21が貫通孔73の内径DI2よりも大きいため、ウェハWの下面が回転ステージ部70a及び固定ステージ部70bの上面に接しており、静電吸着部材60の上面部62が開口部74に収容されている。すなわち、静電吸着部材60の上面部62は、回転ステージ部70aの上面に形成された溝である開口部74の中に配置される。また、図3B(f)は、静電吸着部材60がウェハWに吸着する前の構成、あるいは図3B(e)に示すようにウェハWに吸着していた静電吸着部材60がウェハWから脱離したときの構成を示す。
【0073】
なお、開口部74の内径がDI21である部分の高さは、上面部62の厚さ以下であればよいのであって、図3Bに示す例のように上面部62の厚さより小さくてもよく、あるいは上面部62の厚さと略等しくてもよい。開口部74の高さが上面部62の厚さと略等しい場合には、貫通孔73に取り付けられる静電吸着部材60の上面部62の上面は、回転ステージ部70a及び固定ステージ部70bの上面と略同じ高さになる。
【0074】
次に、図4を参照し、静電吸着部材及び給電部について説明する。図4は、静電吸着部材及び給電部の構成を模式的に示す図である。また、図4は、図3A(b)におけるB−B線に沿う断面図である。
【0075】
静電吸着部材60は、前述したように、逆円錐台形状を有する主部61と、その上側の上面部62とを有する。主部61の下面には、給電部71の給電ピン71aが挿入され電気的に接続するための挿入孔61aが設けられる。挿入孔61aの先端には正電極61b及び負電極61cが設けられ、正電極61bと負電極61cとは、静電吸着部材60の内部を引き回される配線61dにより接続される。配線61dは、正電極61bから上方に延び、上面部62中を引き回され、再び下方に延び、負電極61cまで引き回される。主部61の材質は、アルミニウム等の金属を用いることができる。また、上面部62の材質は、ポリイミド等の誘電体62aを用いることができる。従って、配線61dは、上面部62において誘電体62a中を引き回される。
【0076】
一方、給電部71における回路構成は、次のようになる。給電部71は、電源71b、抵抗71c、第1のスイッチ71d、第2のスイッチ71eを有し、図4に示すように、電源の両端が、少なくとも一方が抵抗及び第1のスイッチ71dを介して、給電ピン71aの静電吸着部材60と電気的に接続される正電極71f及び負電極71gに接続される。第1のスイッチ71dを閉じることにより、電源71bから静電吸着部材60に給電することができる。
【0077】
上記した構成により、静電吸着部材60は、ジョンセン・ラーベック力により静電吸着する。ジョンセン・ラーベック力は、誘電体とウェハとの界面の小さなギャップに微少電流が流れ、帯電分極して誘起させことによって生じる力であり、誘電体の体積固有抵抗率が約1012〜1013Ω・cm程度になると発生するものである。本実施の形態では、誘電体として上述したポリイミドを誘電体として用いている。
【0078】
また、給電部71には、給電ピン71aの正電極71f及び負電極71gを短絡するための第2のスイッチ71eを設けることができる。第1のスイッチ71dを開いた状態で第2のスイッチ71eを閉じることにより、静電吸着部材60の正電極61b及び負電極61cを短絡することができ、静電吸着部材60をウェハWから脱離させることができる。
【0079】
また、静電吸着部材60及び給電部71の構造は、特に限定されず、クーロン力を用いる方式の静電吸着部材及び給電部の構造であってもよい。
【0080】
次に、図5Aを参照し、処理モジュールについて説明する。図5A(a)及び図5A(b)は、それぞれ処理モジュールの処理ステージがウェハを載置するときの構成を示す側面図及び平面図である。図5A(c)は、図5A(a)における点線で囲まれた領域IIIの周辺を拡大して示す図であり、図5A(b)のC−C線に伴う断面図である。
【0081】
前述したように、半導体製造装置1は、処理モジュール11〜16を有する。以下、処理モジュール11について説明するが、処理モジュール12〜16についても同様とすることができる。
【0082】
処理モジュール11は、ウェハWを載置して処理する処理ステージ80を有する。
【0083】
処理ステージ80は、円形形状を有する。処理ステージ80のウェハWを載置する載置面には、ウェハWを静電吸着して保持する静電吸着部材60が、ウェハWと一緒に複数取り付けられる。静電吸着部材60は、その吸着力により、処理ステージ80上でウェハWが位置ずれしないように、また、処理ステージ80から落下しないようにウェハWを保持する。
【0084】
図5A(a)及び図5A(b)に示す例では、処理ステージがウェハWを保持する保持面には、搬送モジュールのピック31bと対応する位置に、静電吸着部材60が3つ取り付けられている。3つの静電吸着部材60が平面視において略円形形状を有してもよいこと、及び、ウェハWの中心に対応する位置を中心とし、その周りに環状に、かつ、等配に配置することができることは、搬送モジュールの説明において前述した通りである。
【0085】
図5A(c)に示すように、静電吸着部材60は、処理ステージ80にも着脱可能に取り付けられる。処理ステージ80には、処理ステージ80に載置されるウェハWを静電吸着する静電吸着部材60が取り付けられる取付部83が設けられている。取付部83は、処理ステージ80に形成され、ウェハWを静電吸着する側に形成された開口部84と連通する貫通孔である。静電吸着部材60は、静電吸着部材60のウェハWを静電吸着する側が貫通孔83の開口部84に係止される。
【0086】
なお、取付部83及び貫通孔83は、それぞれ本発明における第3の取付部及び第3の貫通孔に相当する。また、開口部84は、本発明における第3の開口部に相当する。
【0087】
処理モジュール11においても、静電吸着部材60は、水平方向の移動、垂直方向の下方向への移動に対しては拘束され、垂直方向の上方向への移動に対しては拘束されない。従って、搬送モジュール30との間でウェハWを受け渡すときは、静電吸着部材60がウェハWに静電吸着した状態で、ウェハWと一緒に受け渡される。
【0088】
貫通孔83の内径は、静電吸着部材60の上面側の外径よりも小さい。図5A(c)に示す例では、貫通孔83の内径DI3は、主部61の上端の外径DO1よりも大きいかあるいは略等しく、上面部62の外径DO2よりも小さい。
【0089】
このような構成を有することにより、静電吸着部材60は、水平方向の移動、垂直方向の下方向への移動に対しては拘束され、垂直方向の上方向への移動に対しては拘束されないため、処理モジュール11との間でウェハWを受け渡すときは、静電吸着部材60がウェハWに静電吸着した状態で、ウェハWと一緒に受け渡される。
【0090】
また、本実施の形態では、処理モジュール11は、ウェハWを搬送モジュールのピック31bとの間で受け渡す際に、ウェハWを昇降させる昇降ピン85を有する。
【0091】
ロードロックモジュール17と同様にして、処理ステージ80には、昇降ピン用貫通孔86が設けられ、昇降ピン用貫通孔86の位置に対応し、下方から昇降ピン用貫通孔86を通って上下動可能に昇降ピン85が設けられる。また、昇降ピン85を上下動可能に駆動する図示しない昇降機構が設けられる。
【0092】
図5A(b)に示す例では、ロードロックモジュール17と同様に、昇降ピン用貫通孔86は、処理ステージ80の外周側に設けられる。また、昇降ピン用貫通孔86は、処理ステージ80の中心の位置を中心とし、環状に、かつ、等配に配置するように設けられる。
【0093】
なお、図5Aに示す例では、開口部84の内径と貫通孔83の内径は等しく、開口部84に係止される静電吸着部材60の上面部62は、処理ステージ80の上面よりも上方にある。しかし、開口部84の内径を貫通孔83の内径DI3よりも大きいDI31としてもよい(以下の変形例、実施の形態においても同様)。そのような構成の例を図5Bに示す。
【0094】
図5B(d)及び図5B(e)は、開口部84の内径DI31を貫通孔83の内径DI3よりも大きくした場合における、それぞれ図5A(a)及び図5A(c)に対応する構成を示す図である。図5B(d)及び図5B(e)に示す例では、開口部84の内径DI31が貫通孔83の内径DI3よりも大きいため、ウェハWの下面が処理ステージ80の上面に接しており、静電吸着部材60の上面部62が開口部84に収容されている。すなわち、静電吸着部材60の上面部62は、処理ステージ部80の上面に形成された溝である開口部84の中に配置される。また、図5B(f)は、静電吸着部材60がウェハWに吸着する前の構成、あるいは図5B(e)に示すようにウェハWに吸着していた静電吸着部材60がウェハWから脱離したときの構成を示す。
【0095】
なお、開口部84の内径がDI31である部分の高さは、上面部62の厚さ以下であればよいのであって、図5Bに示す例のように上面部62の厚さより小さくてもよく、あるいは上面部62の厚さと略等しくてもよい。開口部84の高さが上面部62の厚さと略等しい場合には、貫通孔83に取り付けられる静電吸着部材60の上面部62の上面は、処理ステージ80の上面と略同じ高さになる。
【0096】
次に、図6から図11を参照し、ロードロックモジュールと処理モジュールとの間で基板を受け渡す方法について説明する。図6から図8は、ロードロックモジュールと搬送モジュールとの間で基板を受け渡す様子を示す側面図及び平面図である。図9から図11は、搬送モジュールと処理モジュールとの間で基板を受け渡す様子を示す側面図及び平面図である。図6から図11のそれぞれにおいて、(a)の図は側面図を示し、(b)の図は平面図を示す。なお、図7から図10(以下「図7等」という。)のそれぞれにおける(b)の図においては、図示を分かり易くするため、(a)の図において図示する基板及び基板に吸着している静電吸着部材の図示を省略している。
【0097】
始めに、図3A及び図6から図8を参照し、ロードロックモジュールから搬送モジュールに基板を受け渡す手順を説明する。
【0098】
始めに、図3Aに示すような状態で、ロードロックモジュール17の載置ステージ70においてウェハWに給電ピン71aを介して給電部71により給電し、静電吸着部材60をウェハWに静電吸着させる。
【0099】
次に、図6に示すように、ロードロックモジュール17の昇降ピン75を上昇させ、ウェハWを載置ステージ70から昇降ピン75に受け渡す。このとき、静電吸着部材60を載置ステージ70の貫通孔73から上昇させ、静電吸着部材60がウェハWに吸着した状態で、静電吸着部材60をウェハWと一緒に受け渡す。
【0100】
次に、図7に示すように、搬送モジュール30のピック31bをロードロックモジュール17内の載置ステージ70の上方に進出させる。このとき、ピック31bは、ロードロックモジュール17の昇降ピン75と接触しないように進出させるとともに、ロードロックモジュール17の貫通孔73の位置とピック31bの貫通孔33の位置とが略一致するように進出させる。
【0101】
次に、図8に示すように、昇降ピン75を下降させ、ウェハWを昇降ピン75からピック31bに受け渡す。このとき、静電吸着部材60がピック31bの貫通孔33に嵌めこまれて係止されるように下降させ、静電吸着部材60がウェハWに吸着した状態で、静電吸着部材60をウェハWと一緒に受け渡す。
【0102】
以上のようにして、ウェハWと一緒にロードロックモジュール17から搬送モジュール30に受け渡される静電吸着部材60は、ピック31bの貫通孔に着脱可能に取り付けられる。
【0103】
次に、図9から図11及び図5Aを参照し、搬送モジュールから処理モジュールに基板を受け渡す手順を説明する。
【0104】
始めに、図9に示すように、搬送モジュール30のピック31bを処理モジュール11内の処理ステージ80の上方に進出させる。このとき、ピック31bの貫通孔33の位置と処理ステージ80の貫通孔83の位置とが略一致するように進出させる。
【0105】
次に、図10に示すように、処理ステージ80の昇降ピン85を上昇させ、ウェハWをピック31bから昇降ピン85に受け渡す。このとき、静電吸着部材60をピック31bの貫通孔33から上昇させ、静電吸着部材60がウェハWに吸着した状態で、静電吸着部材60をウェハWと一緒に受け渡す。
【0106】
次に、図11に示すように、ピック31bを処理ステージ80の上方から退却させる。このとき、ピック31bは、昇降ピン85と接触しないように退却させる。
【0107】
最後に、図5Aに示すような状態になるように、昇降ピン85を下降させ、ウェハWを昇降ピン85から処理ステージ80に受け渡す。このとき、静電吸着部材60が処理ステージ80の貫通孔83に嵌めこまれて係止されるように下降させ、静電吸着部材60がウェハWに吸着した状態で、静電吸着部材60をウェハWと一緒に受け渡す。
【0108】
以上のようにして、ウェハWと一緒に搬送モジュール30から処理モジュール11に受け渡される静電吸着部材60は、処理ステージ80の貫通孔83に着脱可能に取り付けられる。
【0109】
その後、処理モジュール11でウェハWについて処理を行った後、図5A、図11、図10、図9の順、すなわち、搬送モジュール30から処理モジュール11に受け渡す手順と逆の手順を行うことにより、ウェハWは、静電吸着した静電吸着部材60と一緒に、処理モジュール11から搬送モジュール30に受け渡される。さらに、図8、図7、図6、図3Aの順、すなわち、ロードロックモジュール17から搬送モジュール30に受け渡す手順と逆の手順を行うことにより、ウェハWは、静電吸着した静電吸着部材60と一緒に、搬送モジュール30からロードロックモジュール17に受け渡される。その後、ロードロックモジュール17で、前述した給電部71の短絡回路を用いて静電吸着部材60の正電極61bと負電極61cとを短絡することにより、ウェハWを静電吸着部材60から脱離させることができる。
【0110】
本実施の形態では、ロードロックモジュールにおいてウェハに静電吸着部材を静電吸着させ、静電吸着部材が静電吸着した状態で、ウェハWを搬送モジュール及び処理モジュールとの間で受け渡す。従って、真空中に電源やケーブルを導入する必要がない。
【0111】
また、本実施の形態では、静電吸着部材を貫通孔に嵌め込むことによって係止し、静電吸着部材が静電吸着したウェハWをロードロックモジュール、搬送モジュール、処理モジュールに着脱可能に取り付ける。従って、搬送モジュールにウェハを受け渡す際の基板の位置を高精度で制御することができる。
【0112】
なお、本実施の形態では、ロードロックモジュールの昇降ピンが基板を支持する位置が、静電吸着部材が基板に吸着する位置よりも、基板の外周側にある場合について説明した。しかし、本変形例を、昇降ピンが基板を支持する位置が、静電吸着部材が基板に吸着する位置よりも、基板の中心側にある場合についても適用することができる。このような場合、昇降ピンが上昇した状態で、搬送アームが載置ステージの上方との間で進退できればよく、搬送アームの昇降ピンと干渉する領域にスリットを設ける、載置ステージの上方に進退する際に、搬送アームを直進させるのではなく、昇降ピンを回避して例えばS字状に伸縮させる、等により、昇降ピンと搬送アームとが干渉することを防止することができる。
【0113】
また、本実施の形態では、静電吸着部材は、ロードロックモジュールで給電され、ロードロックモジュールで搬送モジュールに受け渡される前の基板に静電吸着し、ロードロックモジュールで搬送モジュールから受け渡された後の基板から脱離する。しかし、例えば搬送モジュールにバッファスペースを設け、バッファスペースで給電することにより基板に静電吸着し、その後、バッファスペースで基板から脱離するようにしてもよい(以下の変形例、実施の形態においても同様)。従って、静電吸着部材は、搬送モジュールで給電され、搬送モジュールで基板に静電吸着し、搬送モジュールで基板から脱離するようにしてもよい。
【0114】
また、基板に静電吸着した静電吸着部材の位置を、処理モジュールに備えられた少なくとも1つの位置検出機構によって検出し、検出した静電吸着部材の位置データに基づいて、前記基板の位置を補正するための位置補正データを取得するようにしてもよい(以下の変形例、実施の形態においても同様)。
(第1の実施の形態の変形例)
次に、図12及び図13を参照し、本発明の第1の実施の形態の変形例に係る半導体製造装置について説明する。
【0115】
本変形例に係る半導体製造装置は、ロードロックモジュール及び処理モジュールにおいて、静電吸着部材が取り付けられる取付部が昇降ピンの機能を有する点で、第1の実施の形態に係る半導体製造装置と相違する。
【0116】
図12(a)及び図12(b)は、それぞれ搬送モジュール及びロードロックモジュールの構成を示す側面図及び平面図である。図13(a)及び図13(b)は、それぞれ搬送モジュール及び処理モジュールの構成を示す側面図及び平面図である。なお、以下の文中では、先に説明した部分には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある(以下の変形例、実施の形態についても同様)。
【0117】
本変形例でも、第1の実施の形態と同様に、搬送モジュール30が搬送アーム31を有し、搬送アーム31が多関節構造のアーム31a及びピック31cを有している。また、ピック31cがウェハWを保持する保持面に、静電吸着部材60が3つ取り付けられている。また、ピック31cに静電吸着部材60を取り付けるための取付部33cを有する。
【0118】
しかし、本変形例では、ピック31cが有する取付部33cは、ウェハWを静電吸着する側に形成された開口部と連通する貫通孔ではなく、図12に示すように、ピック31cに形成されたスリットである。また、本変形例では、ロードロックモジュール17の載置ステージ70には、図12に示すように、昇降ピンが設けられておらず、給電部71の給電ピン71aが昇降ピンの機能を兼備している。
【0119】
本変形例では、載置ステージ70からピック31cにウェハWを受け渡すとき、給電ピン71aを上昇させ、ウェハWを載置ステージ70から給電ピン71aに受け渡した状態で、ピック31cを載置ステージ70の上方に進出させる。従って、ピック31cが給電ピン71aに接触しないように、ピック31cの進出方向に沿って、ピック31cにスリット33cが形成される。
【0120】
静電吸着部材60の形状は、第1の実施の形態と同様にすることができるため、逆円錐台形状を有する主部を有する場合がある。その場合、ピック31cが進出する際にピック31cと接触するおそれがある静電吸着部材60の部分は、静電吸着部材60の下面側である外径の小さな部分である。従って、スリット33cのピック31cの先端側におけるスリット幅DS1は、スリット33cのピック31cの根元側におけるスリット幅DS2よりも小さくすることができる。
【0121】
また、本変形例では、処理モジュール11の処理ステージ80においても、第1の実施の形態に示した昇降ピンに代え、図13に示すように、貫通孔83の下方から貫通孔83を通って昇降可能に設けられた静電吸着部材昇降ピン81aを設けてもよい。また、静電吸着部材昇降ピン81aは、ロードロックモジュール17における給電ピン71aと異なり、静電吸着部材60に給電する機能を有していなくてもよい。
【0122】
本変形例によれば、ロードロックモジュール及び処理モジュールにおいて、静電吸着部材を取り付ける取付部以外の部分に別に昇降ピンを設ける必要がない。従って、第1の実施の形態における、真空中に電源やケーブルを導入する必要がなく、搬送モジュールにウェハを受け渡す際の基板の位置を高精度で制御することができる、という効果に加え、部品点数を少なくすることができ、製造コストを低減することができる。
【0123】
なお、本変形例では、基板として半導体基板等の円形形状を有する基板を搬送する場合について説明した。しかし、本変形例を、円形形状以外の形状を有する基板を搬送する場合に適用することができる。図14に、本変形例の他の例として、矩形形状を有する基板Sを搬送する場合に用いた例の構成を示す。図14(a)及び図14(b)は、それぞれ側面図及び平面図である。搬送モジュール30の搬送アーム31のピック31dは、静電吸着部材60を取り付ける取付部33dを3つ以上有していればよく、例えば図14(b)に示すように、4つ有していてもよい。また、静電吸着部材60がロードロックモジュール17の載置ステージ70dに取り付けられる取付部73dは、矩形形状を有する載置ステージ70dの左右両側に対向するように二列に配列して設けることができ、処理モジュールの個数に対応して複数組の静電吸着部材60が取り付けられるように多数の取付部を設けることができる。
【0124】
なお、図12(b)、図13(b)及び図14(b)においてウェハ又は基板及び静電吸着部材の図示を省略しているのは、図7等と同様である。
(第2の実施の形態)
次に、図15及び図16を参照し、本発明の第2の実施の形態に係る半導体製造装置について説明する。
【0125】
本実施の形態に係る半導体製造装置は、基板に吸着する静電吸着部材が一つである点で、第1の実施の形態に係る半導体製造装置と相違する。
【0126】
図15(a)及び図15(b)は、それぞれ搬送モジュール及びロードロックモジュールの構成を示す側面図及び平面図である。図16(a)及び図16(b)は、それぞれ搬送モジュール及び処理モジュールの構成を示す側面図及び平面図である。なお、図15(b)及び図16(b)においてウェハW及び静電吸着部材の図示を省略しているのは、図7等と同様である。
【0127】
本実施の形態でも、第1の実施の形態と同様に、搬送モジュール30が搬送アーム31を有し、搬送アーム31が多関節構造のアーム31a及びピック31eを有している。
【0128】
しかし、本実施の形態では、ピック31eがウェハWを保持する保持面に、静電吸着部材60が1つ取り付けられている。1つの静電吸着部材60は、図15(b)に示すように、平面視において、ウェハWの中心に対応する位置に配置することができる。ピック31eは、1つの静電吸着部材60が配置されているウェハWの中心に対応する位置を中心として、環状に、かつ、等配に配置された位置に、ピック31eの保持面よりも上方(保持されるウェハW側の方向)に突出するように設けられた保持部35を有する。図15(b)に示すように、3つの位置に保持部35が設けられており、3つの保持部35が設けられている位置のそれぞれと、1つの静電吸着部材60が配置されている位置を結ぶY字形状にしてもよい。
【0129】
なお、静電吸着部材60の数及び平面視における配置は、ウェハWがピック31eから落下することがなく、安定してウェハWをピック31eに吸着させることができればよく、種々の数及び配置に設計することができる。
【0130】
また、保持部35の材料として、べスペル(登録商標)のようなポリイミド樹脂等の樹脂材料を用いることができる。あるいは、保持部を環状に設け、Oリングのようなリング状の部材を用いてもよい。
【0131】
また、静電吸着部材60の形状及びピック31eに設けられる貫通孔33eの形状は、第1の実施の形態と同様にすることができる。
【0132】
一方、ロードロックモジュール17の載置ステージ70eにも、ピック31eに対応して、静電吸着部材60を取り付ける貫通孔73eが1つ設けられる。また、貫通孔73eは、複数枚のウェハWに吸着する静電吸着部材60を交換可能に取り付けるために、載置ステージ70eは、回転ステージ部70aと、固定ステージ部70bとを有する。
【0133】
図15(b)に示す例では、貫通孔73eは、回転ステージ部70aの外周側に環状に、かつ、等配に複数の貫通孔73eが配置するように、設けられる。また、第1の実施の形態と異なり、回転ステージ部70aの中心と、載置ステージ70eの中心とが一致せず、環状に配置した貫通孔73eの一つが載置ステージ70eの中心を通るように、設けられる。これにより、複数の処理モジュールを用いて同時に並行して処理モジュールで処理を行うことができる。
【0134】
また、1枚のウェハWをピック31eに受け渡すごとに、静電吸着部材60が載置ステージ70eの中心位置に補充されるような構成を有していればよく、回転ステージ部70aに代え、直線運動するコンベア部を載置ステージ70eの中心に、載置ステージ70eを2分割するように配置してもよい。
【0135】
また、載置ステージ70eの外周側に、3本の昇降ピン75が昇降ピン用貫通孔76を通るように設けられるのは、第1の実施の形態と同様である。
【0136】
また、本実施の形態では、図16に示すように、処理モジュール11の処理ステージ80においても、1つの静電吸着部材60が取り付けられるように、処理ステージ80の中心に1つの貫通孔83eを設けてもよい。また、第1の実施の形態と同様に、処理ステージ80の外周側に、3本の昇降ピン85が昇降ピン用貫通孔86を通るように設けられる。
【0137】
本実施の形態でも、静電吸着部材が静電吸着した状態で、ウェハWを搬送モジュール及び処理モジュールとの間で受け渡し、静電吸着部材を貫通孔に嵌め込むことによって、静電吸着部材が静電吸着したウェハWをロードロックモジュール、搬送モジュール、処理モジュールに着脱可能に取り付ける。そのため、真空中に電源やケーブルを導入する必要がなく、搬送モジュールにウェハを受け渡す際の基板の位置を高精度で制御することができる。
【0138】
更に、本実施の形態によれば、ウェハWの裏面と静電吸着部材とが接触する面積を少なくすることができる。従って、ウェハWの裏面と静電吸着部材とが接触することによって発生するパーティクルを減少させることができる。
(第2の実施の形態の第1の変形例)
次に、図17を参照し、本発明の第2の実施の形態の第1の変形例に係る半導体製造装置について説明する。
【0139】
本変形例に係る半導体製造装置は、基板に吸着した静電吸着部材の位置を計測することによって基板の面に平行な方向の位置合わせを行う点で、第2の実施の形態に係る半導体製造装置と相違する。
【0140】
図17は、処理モジュール及び位置合わせ機構の構成及び位置合わせ方法を示す図である。図17(a)は、処理ステージに基板が載置されている状態を示す一部断面を含む側面図である。図17(b)は、位置合わせ機構を用いて位置合わせする場合に、表示部に表示される表示を模式的に示す図である。
【0141】
本変形例に係る搬送モジュール30及びロードロックモジュール17は、第2の実施の形態と同様である。一方、本変形例に係る処理モジュール11は、処理ステージ90を有し、第2の実施の形態と相違する。
【0142】
図17(a)に示すように、処理ステージ90の中心、すなわち、ウェハWに静電吸着した静電吸着部材60に対応する位置において、処理ステージ90には、処理ステージ90のウェハWを保持する側に開口する開口部94と連通する貫通孔93を有する。貫通孔93には、上面側(ウェハW側)と下面側(ウェハWと反対側)とを隔てる石英ガラス等よりなる窓93aが設けられ、窓の下方側からCCD(Charge Coupled Device)等による撮像素子93bが設けられる。
【0143】
また、本変形例では、処理ステージ90に設けられた3本の昇降ピン95は、第1の実施の形態と同様のウェハWの面に垂直な方向(Z方向)に加え、ウェハWの面に平行な2つの方向(X方向、Y方向)も併せて3つの方向に、一体的に移動可能に設けられる。すなわち、3本の昇降ピン95は、XYZ駆動機構55により、3つの方向に駆動される。昇降ピン95がウェハWの面に平行な2つの方向に移動可能に設けられるため、昇降ピン95が通る昇降ピン用貫通孔96の内径は、昇降ピン95の外径よりも、昇降ピン95のX方向、Y方向の移動可能距離の分だけ、大きい。
【0144】
すなわち、本変形例に係る位置合わせ機構は、処理ステージ90に昇降可能に設けられると共に、一体的に処理ステージ90のステージ面に平行に移動可能に設けられ、ウェハWを昇降させると共にステージ面に平行に移動させる複数の昇降ピン95を有する。また、処理ステージ90に、静電吸着部材60を撮像する撮像素子93bが設けられ、撮像素子93bが撮像した静電吸着部材60の位置に基づいて、複数の昇降ピン95を移動させて、ウェハWの位置を所定の位置に合わせる。
【0145】
撮像素子93bにより撮像された画像データは、制御部50に転送され、制御部50のユーザインターフェース部52に含まれる表示部54に表示される。また、制御部50は、表示部54に表示された静電吸着部材60の位置を、目標の位置に移動して位置を補正するために、XYZ駆動機構55を駆動する。
【0146】
ここで、撮像素子93bにより位置精度よく静電吸着部材60の位置を計測するために、静電吸着部材60の中に、図示しないレーザ等の発光素子を内蔵し、撮像素子93bに向けてレーザ光等の光を発光するようにしてもよい。
【0147】
図17(b)に位置合わせの一例を示すように、計測された静電吸着部材60の位置P1(X1、Y1)が、所定の位置P0(X0、Y0)からそれぞれX座標がΔX(=X1−X0)、Y座標がΔY(=Y1−Y0)だけずれた位置にあったとする。このとき、X方向、Y方向にそれぞれ、−ΔX、−ΔYだけ移動させることによって、静電吸着部材60の位置を所定の位置P0に位置合わせすることができる。
【0148】
本変形例によれば、処理モジュールに載置した基板の位置を所定の位置に位置合わせすることができる。従って、第1の実施の形態における、真空中に電源やケーブルを導入する必要がなく、搬送モジュールにウェハを受け渡す際の基板の位置を高精度で制御することができる、という効果に加え、更に、搬送モジュールで処理モジュールに搬送した後の基板の位置を高精度で制御することができる。
(第2の実施の形態の第2の変形例)
次に、図18を参照し、本発明の第2の実施の形態の第2の変形例に係る半導体製造装置について説明する。図18は、静電吸着部材及び給電部の構成を模式的に示す図である。
【0149】
本変形例に係る半導体製造装置は、静電吸着部材の内部にセンサが設けられている点で、第2の実施の形態に係る半導体製造装置と相違する。
【0150】
図18に示すように、静電吸着部材60aの内部には、温度センサ、加速度センサ等のセンサ63a、及び記憶部63bが内蔵されている。処理モジュール11で処理を行う間に経験した温度、搬送モジュール30で搬送される間に経験した加速度、等のデータをセンサ63aにより計測し、計測して得られたデータを記憶部63bに記憶し、ロードロックモジュール17の載置ステージ70eに戻ってきた後に、給電部71(給電ピン71a)を介して制御部50にデータを転送し、表示部54に表示する等により、半導体製造装置における基板処理が異常なく行われているかを監視することができる。
【0151】
なお、本変形例は、ウェハWに吸着する静電吸着部材60が複数の場合にも適用することができる。例えば第1の実施の形態のように3つの静電吸着部材60でウェハWを吸着する場合、処理モジュール11で処理を行う間の基板温度の面内の均一性を監視することができる。
【0152】
また、静電吸着部材はロードロックモジュールの給電部等から電気的接続によりデータを制御部に転送するのみならず、静電吸着部材に部材側無線通信部を設け、部材側無線通信部から制御部に設けられた制御側無線通信部に無線通信でデータを転送してもよい。
(第3の実施の形態)
次に、図19から図21を参照し、本発明の第3の実施の形態に係る半導体製造装置について説明する。
【0153】
本実施の形態に係る半導体製造装置は、1つの静電吸着部材がウェハW全体を載置し、かつ、静電吸着部材が皿状部材である点で、第1の実施の形態に係る半導体製造装置と相違する。
【0154】
図19(a)及び図19(b)は、それぞれ搬送モジュール及びロードロックモジュールの構成を示す側面図及び平面図である。図19(a)では、図示を分かり易くするため、静電吸着部材を搬送アームから上方に移動させて図示している。図19(b)においてウェハW及び静電吸着部材の図示を省略しているのは、図7等と同様である。図20は、ロードロックモジュールに皿状部材を補充する様子を模式的に説明する図である。図21は、皿状部材及び給電部の構成を模式的に示す図である。
【0155】
本実施の形態でも、第1の実施の形態と同様に、搬送モジュール30が搬送アーム31を有し、搬送アーム31が多関節構造のアーム31a及びピック31fを有している。
【0156】
しかし、本実施の形態では、静電吸着部材60bが第1の実施の形態におけるピン形状部材ではなく、皿状部材である。図19(a)に示すように、静電吸着部材60bは、上面にウェハWを載置する凹状の載置部64を有し、下面に平坦な下面部65を有し、皿状形状を有する。また、静電吸着部材60bは、下面部65の外周側に、周縁の角が面取りされて形成された面取り部66を有する。
【0157】
一方、ピック31fは、1つの静電吸着部材60bに対応した形状を有する。ピック31fは、静電吸着部材60bの下面部65及び面取り部66に対応し、外周にテーパー部を有する凹状部33fを有する。また、ピック31fを載置ステージ70fの上方に進退させるときに後述する給電ピンに接触しないように、凹状部33fの底面の中心側の部分はくり抜かれ、除去されている。更に、ピック31fの先端側の方向においても、大きく切り欠かれ、平面視において、外周部分の略3分の1程度の部分が切り欠かれたリング形状の一部よりなる形状を有している。
【0158】
なお、ピック31fにおいて、静電吸着部材60bを取り付ける取付部は、静電吸着部材60bの下面部65が嵌めこまれて係止される凹状部33fである。
【0159】
図19(a)に示すように、載置ステージ70fにも、ピック31fと同様に、静電吸着部材の下面部65が嵌めこまれて係止される凹状部77が設けられてもよい。また、図19(a)及び図19(b)に示すように、静電吸着部材60bに給電するとともに、静電吸着部材60bに載置された状態で、ウェハWを昇降させる給電ピン71aが、貫通孔73fを通るように、3本設けられてもよい。
【0160】
本実施の形態でも、半導体製造装置が処理モジュールを複数有するときは、静電吸着部材の数も、同時に並行して処理することができるウェハWの枚数分あってもよい。
【0161】
図20に示す例では、ロードロックモジュール17内の、載置ステージ70fに隣接して、静電吸着部材補充機構78が設けられる。静電吸着部材補充機構78は、上下に重ねて配置された複数の段よりなり、複数の静電吸着部材を上下に重ねて格納する棚部78aと、棚部78aを上下動させ、所望の静電吸着部材が格納された棚の高さを載置ステージ70fと同じ高さに調節する棚昇降部78bと、載置ステージ70fと同じ高さに調節された棚に格納されている静電吸着部材60bを水平移動させ、載置ステージ70fに進出させるか退却させる水平移動部78cとを有する。静電吸着部材補充機構78により、複数の静電吸着部材60bを載置ステージ70f上に補充することができるため、ロードロックモジュール17のみにより、複数の処理モジュールを用いて同時に並行して処理モジュールで処理を行うことができる。
【0162】
図21に示すように、下面部65の下面には、給電部71の給電ピン71aが当接され電気的に接続するための正電極61b及び負電極61cが設けられ、正電極61bと負電極61cとは、静電吸着部材の内部を引き回される配線61dにより接続される。配線61dは、下面部65の上面側に設けられる誘電体67中を引き回される。誘電体67として、ポリイミド等を用いることができる。
【0163】
一方、給電部71は、電源71b、抵抗71c、第1のスイッチ71d、第2のスイッチ71eを有し、図21に示すように、電源71bの両端が、少なくとも一方が抵抗71c及び第1のスイッチ71dを介して、給電ピン71aの静電吸着部材60bと電気的に接続される正電極71f及び負電極71gに接続される。第1の実施の形態と同様に、第1のスイッチ71dを閉じることにより、電源71bから静電吸着部材60bに給電することができる。
【0164】
また、給電部71には、給電ピン71aの正電極71f及び負電極71gを短絡するための第2のスイッチ71eを設けることができる。第1の実施の形態と同様に、第1のスイッチ71dを開いた状態で第2のスイッチ71eを閉じることにより、静電吸着部材60bの正電極61b及び負電極61cを短絡することができ、静電吸着部材60bをウェハWから脱離させることができる。
【0165】
本実施の形態でも、静電吸着部材が静電吸着した状態で、ウェハWを搬送モジュール及び処理モジュールとの間で受け渡し、静電吸着部材を貫通孔に嵌め込むことによって、静電吸着部材が静電吸着したウェハWをロードロックモジュール、搬送モジュール、処理モジュールに着脱可能に取り付ける。そのため、真空中に電源やケーブルを導入する必要がなく、搬送モジュールにウェハを受け渡す際の基板の位置を高精度で制御することができる。
【0166】
更に、本実施の形態によれば、皿状部材である静電吸着部材に載置した状態で、ウェハWを搬送することができる。従って、ウェハWを昇降ピンで上方に移動する際、及びウェハWをピックで搬送する際に、ウェハWの一部の領域に力が集中することがなく、ウェハWを搬送中に割るおそれを低減させることができる。
(第3の実施の形態の変形例)
次に、図22から図23を参照し、本発明の第3の実施の形態の変形例に係る半導体製造装置について説明する。
【0167】
本変形例に係る半導体製造装置は、静電吸着部材がリング状部材である点で、第3の実施の形態に係る半導体製造装置と相違する。
【0168】
図22(a)及び図22(b)は、それぞれ搬送モジュール及びロードロックモジュールの構成を示す側面図及び平面図である。図22(a)では、図示を分かり易くするため、静電吸着部材を搬送アームから上方に移動させて図示している。図22(b)においてウェハW及び静電吸着部材の図示を省略しているのは、図7等と同様である。図23は、リング状部材及び給電部の構成を模式的に示す図である。
【0169】
本変形例でも、第3の実施の形態と同様に、搬送モジュール30が搬送アーム31を有し、搬送アーム31が多関節構造のアーム31a及びピック31gを有している。また、第3の実施の形態と同様に、1つの静電吸着部材60cがウェハW全体を載置する。
【0170】
しかし、本変形例では、静電吸着部材60cが皿状部材ではなく、リング状部材である。図22(a)に示すように、静電吸着部材60cは、リング形状を構成する外周部68の上面にウェハWを載置する。
【0171】
一方、ピック31gは、静電吸着部材60cに対応した形状を有する。ピック31gは、静電吸着部材60cの外周部68の内径に略等しい外径を最も下の部分に有し、上方に向けて外径が減少するようにテーパー部が設けられた凸状部33gを有する。また、ピック31gを載置ステージ70gの上方に進退させるときに後述する給電ピン71aに接触しないように、ピック31gには、スリット37が形成されている。
【0172】
なお、ピック31gにおいて、静電吸着部材60cを取り付ける取付部は、静電吸着部材60cの外周部68が嵌めこまれて係止される凸状部33gである。
【0173】
また、載置ステージ70gにも、ピック31gと同様に、静電吸着部材60cの外周部68が嵌めこまれて係止される凸状部79が設けられてもよい。また、図22に示すように、静電吸着部材60cに給電するとともに、静電吸着部材60cに載置された状態で、ウェハWを昇降させる給電ピン71aが、貫通孔73gを通るように、3本設けられてもよい。
【0174】
本変形例でも、第3の実施の形態と同様に、半導体製造装置が処理モジュールを複数有するときは、静電吸着部材の数も、同時に並行して処理することができるウェハWの枚数分あってもよい。従って、第3の実施の形態で説明した静電吸着部材補充機構78を用いて複数の静電吸着部材60cを載置ステージ70g上に補充することにより、ロードロックモジュール17のみにより、複数の処理モジュールを用いて同時に並行して処理モジュールで処理を行うことができる。
【0175】
図23に示すように、外周部68の下面には、給電部71の給電ピン71aが当接され電気的に接続するための正電極61b及び負電極61cが設けられ、正電極61bと負電極61cとは、静電吸着部材60cの内部を引き回される配線61dにより接続される。配線61dは、外周部68の上面側に設けられる誘電体67中を引き回され、負電極61cに接続する。誘電体67として、ポリイミド等を用いることができる。
【0176】
一方、給電部71は、電源71b、抵抗71c、第1のスイッチ71d、第2のスイッチ71eを有し、図23に示すように、電源71bの両端が、少なくとも一方が抵抗71c及び第1のスイッチ71dを介して、給電ピン71aの静電吸着部材60cと電気的に接続される正電極71f及び負電極71gに接続される。第1の実施の形態と同様に、第1のスイッチ71dを閉じることにより、電源71bから静電吸着部材60cに給電することができる。
【0177】
また、給電部71には、給電ピン71aの正電極71f及び負電極71gを短絡するための第2のスイッチ71eを設けることができる。第1の実施の形態と同様に、第1のスイッチ71dを開いた状態で第2のスイッチ71eを閉じることにより、静電吸着部材60cの正電極61b及び負電極61cを短絡することができ、静電吸着部材60cをウェハWから脱離させることができる。
【0178】
本変形例でも、静電吸着部材が静電吸着した状態で、ウェハWを搬送モジュール及び処理モジュールとの間で受け渡し、静電吸着部材を貫通孔に嵌め込むことによって、静電吸着部材が静電吸着したウェハWをロードロックモジュール、搬送モジュール、処理モジュールに着脱可能に取り付ける。そのため、真空中に電源やケーブルを導入する必要がなく、搬送モジュールにウェハを受け渡す際の基板の位置を高精度で制御することができる。
【0179】
更に、本変形例によれば、リング状部材である静電吸着部材に載置した状態で、ウェハWを搬送することができる。従って、ウェハWを昇降ピンで上方に移動する際、及びウェハWをピックで搬送する際に、ウェハWの一部の領域に力が集中することがなく、ウェハWを搬送中に割るおそれを低減させることができる。
【0180】
以上、本発明の好ましい実施の形態について記述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0181】
なお、本発明に係る各実施形態においては、下方からウェハを水平に支持する搬送アームに取り付けられる静電吸着部材について述べてきたが、本発明は係る向きに限定されるものではない。すなわち、上方からウェハを水平に静電吸着する搬送アームに取り付けられる静電吸着部材であっても良いし、水平ではなく、垂直や斜め方向にウェハを静電吸着する搬送アームに取り付けられる静電吸着部材であっても良い。
【符号の説明】
【0182】
1 半導体製造装置
11〜16 処理モジュール
17、18 ロードロックモジュール
30 搬送モジュール
31b ピック
60 静電吸着部材
70 載置ステージ
71a 給電ピン
75 昇降ピン
80 処理ステージ
85 昇降ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を大気中と真空中との間で受け渡すロードロックモジュールと、基板を真空中で処理する処理モジュールとの間で、基板を搬送する搬送モジュールに着脱可能に取り付けられ、前記搬送モジュールが搬送する基板に静電吸着する静電吸着部材であって、
前記ロードロックモジュールと前記搬送モジュールとの間、又は前記搬送モジュールと前記処理モジュールとの間で、前記基板に静電吸着した状態で、前記基板と一緒に受け渡される、静電吸着部材。
【請求項2】
前記ロードロックモジュールで、前記搬送モジュールに受け渡される前の前記基板に静電吸着し、
前記ロードロックモジュールで、前記搬送モジュールから受け渡された後の前記基板から脱離する、請求項1に記載の静電吸着部材。
【請求項3】
前記ロードロックモジュールで給電される、請求項2に記載の静電吸着部材。
【請求項4】
前記搬送モジュールで前記基板に静電吸着し、
前記搬送モジュールで前記基板から脱離する、請求項1に記載の静電吸着部材。
【請求項5】
前記搬送モジュールで給電される、請求項4に記載の静電吸着部材。
【請求項6】
温度センサ又は加速度センサを内蔵した、請求項1から請求項5のいずれかに記載の静電吸着部材。
【請求項7】
前記ロードロックモジュールに設けられ、請求項1から請求項6のいずれかに記載の静電吸着部材を保持する静電吸着部材保持機構であって、
前記ロードロックモジュールに備えられ、前記基板を載置する、載置ステージに設けられ、前記載置ステージに前記静電吸着部材を着脱可能に取り付けるための第1の取付部と、
前記ロードロックモジュールに備えられ、前記第1の取付部に取り付けられる前記静電吸着部材に給電する給電部と
を有する、静電吸着部材保持機構。
【請求項8】
受け渡される前記基板に静電吸着した前記静電吸着部材は少なくとも1つ以上であり、
静電吸着した前記静電吸着部材を、該静電吸着部材に対応する前記第1の取付部に取り付けることにより、受け渡される前記基板の位置を位置決めする、請求項7に記載の静電吸着部材保持機構。
【請求項9】
前記第1の取付部は、前記載置ステージの前記基板を載置する側に形成された第1の開口部と連通する第1の貫通孔であり、
前記静電吸着部材は、該静電吸着部材の前記基板を静電吸着する側が前記第1の開口部に係止される、請求項7又は請求項8に記載の静電吸着部材保持機構。
【請求項10】
前記給電部は、前記第1の貫通孔を通って昇降可能に設けられ、前記静電吸着部材と電気的に接続される給電ピンを有する、請求項9に記載の静電吸着部材保持機構。
【請求項11】
前記載置ステージは、回転可能に設けられており、
前記第1の貫通孔は、前記載置ステージの回転方向に沿って、複数組設けられ、
一の組の前記第1の貫通孔に取り付けられている一の組の前記静電吸着部材を、一の基板に静電吸着させて前記搬送モジュールに受け渡した後、前記載置ステージを回転させ、
他の組の前記第1の貫通孔に取り付けられている他の組の前記静電吸着部材を、他の基板に静電吸着させて前記搬送モジュールに受け渡すことを特徴とする、請求項9又は請求項10に記載の静電吸着部材保持機構。
【請求項12】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の静電吸着部材が静電吸着した状態の前記基板を搬送する搬送モジュールであって、
前記ロードロックモジュール及び前記処理モジュールとの間で前記基板を載置して搬送する搬送アームと、
前記搬送アームに設けられ、前記静電吸着部材を着脱可能に取り付けるための第2の取付部と
を有する、搬送モジュール。
【請求項13】
前記基板に静電吸着した前記静電吸着部材の位置を、前記処理モジュールに備えられた少なくとも1つの位置検出機構によって検出し、
検出した前記静電吸着部材の位置データに基づいて、前記基板の位置を補正するための位置補正データを取得する、請求項12に記載の搬送モジュール。
【請求項14】
前記第2の取付部は、前記搬送アームの前記基板を載置する側に形成された第2の開口部と連通する第2の貫通孔であり、
前記静電吸着部材は、該静電吸着部材の前記基板を静電吸着する側が前記第2の開口部に係止される、請求項12又は請求項13に記載の搬送モジュール。
【請求項15】
前記静電吸着部材は、前記搬送アームが搬送する前記基板に、環状に配列する複数の位置で静電吸着し、
前記第2の貫通孔は、前記静電吸着部材に対応して設けられる、請求項14に記載の搬送モジュール。
【請求項16】
前記静電吸着部材は、前記搬送アームが搬送する前記基板に、該基板の中央の位置で静電吸着し、
前記第2の貫通孔は、前記静電吸着部材に対応して設けられる、請求項14に記載の搬送モジュール。
【請求項17】
前記静電吸着部材は、前記基板を載置する皿状部材であり、
前記第2の取付部は、前記皿状部材が取り付けられる凹状部である、請求項12又は請求項13に記載の搬送モジュール。
【請求項18】
前記静電吸着部材は、前記基板を載置するリング状部材であり、
前記第2の取付部は、前記リング状部材が取り付けられる凸状部である、請求項12又は請求項13に記載の搬送モジュール。
【請求項19】
請求項12から請求項18のいずれかに記載の搬送モジュールを備える、半導体製造装置。
【請求項20】
前記載置ステージと、請求項7から請求項11のいずれかに記載の静電吸着部材保持機構とを有するロードロックモジュールを備える、請求項19に記載の半導体製造装置。
【請求項21】
前記基板を載置し処理する処理ステージを有する前記処理モジュールを備え、
前記処理ステージに、前記静電吸着部材を着脱可能に取り付けるための第3の取付部が設けられた、請求項19又は請求項20に記載の半導体製造装置。
【請求項22】
前記第3の取付部は、前記処理ステージの前記基板を載置する側に形成された第3の開口部と連通する第3の貫通孔であり、
前記静電吸着部材は、該静電吸着部材の前記基板を静電吸着する側が前記第3の開口部に係止される、請求項21に記載の半導体製造装置。
【請求項23】
前記処理モジュールは、前記第3の貫通孔を通って昇降可能に取り付けられ、前記基板を昇降させる昇降ピンを有する、請求項22に記載の半導体製造装置。
【請求項24】
前記処理モジュールは、前記処理ステージに昇降可能に設けられると共に、一体的に前記処理ステージのステージ面に平行に移動可能に設けられ、前記基板を昇降させると共に前記ステージ面に平行に移動させる複数の昇降ピンを有し、
前記処理ステージに、該処理ステージに載置される前記基板に静電吸着した前記静電吸着部材を撮像する撮像素子が設けられ、
前記撮像素子が撮像した前記静電吸着部材の位置に基づいて、前記複数の昇降ピンを移動させて、前記基板の位置を所定の位置に合わせる、請求項22に記載の半導体製造装置。
【請求項25】
基板を大気中と真空中との間で受け渡すロードロックモジュールと、基板を真空中で処理する処理モジュールとの間で、基板を搬送する搬送モジュールに着脱可能に取り付けられた静電吸着部材を基板に静電吸着させ、前記搬送モジュールにより前記基板を搬送する搬送方法であって、
前記ロードロックモジュールと前記搬送モジュールとの間、又は前記搬送モジュールと前記処理モジュールとの間で、前記静電吸着部材を前記基板に静電吸着させた状態で、前記基板と一緒に前記静電吸着部材を受け渡す、搬送方法。
【請求項26】
前記ロードロックモジュールで、前記搬送モジュールに受け渡す前の前記基板に、前記静電吸着部材を静電吸着させ、
前記ロードロックモジュールで、前記搬送モジュールから受け渡された後の前記基板から、前記静電吸着部材を脱離させる、請求項25に記載の搬送方法。
【請求項27】
前記ロードロックモジュールで前記静電吸着部材に給電する、請求項26に記載の搬送方法。
【請求項28】
前記搬送モジュールで前記基板に前記静電吸着部材を静電吸着させ、
前記搬送モジュールで前記基板から前記静電吸着部材を脱離させる、請求項25に記載の搬送方法。
【請求項29】
前記搬送モジュールで前記静電吸着部材に給電する、請求項28に記載の搬送方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2011−71294(P2011−71294A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−220776(P2009−220776)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】