静電気放電保護回路
【課題】ドット反転方式をサポートする液晶表示装置の駆動集積回路チップのソースドライバに適用可能な新しい構造の静電気放電保護回路を提供する。
【解決手段】静電気放電保護回路は、第1の電源ラインと接地ラインとの間に接続され、入出力パッドに第1の動作電圧を提供する第1の出力バッファ206Aと、接地ラインと第2の電源ラインとの間に接続され、入出力パッドに第2の動作電圧を提供する第2の出力バッファ206Bと、第1の電源ラインと入出力パッドとの間に1つまたは複数のダイオードが直列に接続された第1の伝達部308Aと、入出力パッドと第2の電源ラインとの間に1つまたは複数のダイオードが直列に接続された第2の伝達部308Bと、を備え、第1の伝達部のダイオードが、第1の動作電圧より高い降伏電圧を有し、第2の伝達部のダイオードが、第2の動作電圧より高い降伏電圧を有する。
【解決手段】静電気放電保護回路は、第1の電源ラインと接地ラインとの間に接続され、入出力パッドに第1の動作電圧を提供する第1の出力バッファ206Aと、接地ラインと第2の電源ラインとの間に接続され、入出力パッドに第2の動作電圧を提供する第2の出力バッファ206Bと、第1の電源ラインと入出力パッドとの間に1つまたは複数のダイオードが直列に接続された第1の伝達部308Aと、入出力パッドと第2の電源ラインとの間に1つまたは複数のダイオードが直列に接続された第2の伝達部308Bと、を備え、第1の伝達部のダイオードが、第1の動作電圧より高い降伏電圧を有し、第2の伝達部のダイオードが、第2の動作電圧より高い降伏電圧を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電気放電保護回路に関し、特に、ドット反転方式(dot inversion scheme)をサポートする表示装置の駆動集積回路チップの静電気放電保護回路に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、静電気放電(ESD:ElectroStatic Discharge)保護回路は、半導体装置の設計時、静電気による製品の破壊や劣化を防止するために、半導体装置の内部回路と、外部入出力ピンが接続されるパッド(以下、「入出力パッド」とする)との間に設けられる回路を指す。
【0003】
帯電した人体や機械に半導体装置が接触すると、人体や機械に帯電した静電気が外部ピンを介して入出力パッドを経て半導体装置の内部回路に放電しながら、大きなエネルギーを有する過渡電流が内部回路に流れて半導体装置に大きな損傷を与え得る。また、半導体装置の内部回路に帯電した静電気が機械の接触により機械を介して外部に放電しながら、過渡電流が半導体装置の内部回路に流れて半導体装置を損傷させ得る。
【0004】
このため、大部分の半導体集積回路では、静電気放電に起因する損傷を防止するために、入出力パッドと半導体装置の内部回路との間に静電気放電保護回路を設ける。
【0005】
図1は、一般的な液晶表示装置の駆動集積回路(IC:Integrated Circuit)チップのソースドライバの出力端子に備えられた静電気放電保護回路を示す回路図である。
【0006】
図1に示すように、従来技術に係る静電気放電保護回路は、実質的に1チャネルあたりに割り当てられた領域の幅が狭いため、各パッドで自主的に静電気ストレスに耐え得るクランプを集積するには面積が不十分であり、ほとんどの場合、図1のように、ダイオードMPD、MNDを介して電流を放電する。大部分のソースドライバの出力は、接地電圧(すなわち、0V)から所定の正(+)の動作電圧の間の値を有する。このため、これを駆動する回路も、正の動作電圧を有する素子を用いて回路を構成し、静電気放電保護回路も、前記動作電圧に最適化して作製される。
【0007】
具体的には、静電気放電保護回路は、入出力パッドI/Oと、ソース電圧を入出力パッドI/Oに伝達する出力バッファ106と、入出力パッドI/Oを介して流入する静電気を多様な経路に伝達して内部回路を保護する伝達部108と、電源ライン102と接地ライン104との電圧差を一定電圧に維持させるクランプ110とを備える。また、静電気放電保護回路は、出力バッファ106に伝達される信号を入出力パッドI/Oに伝達するスイッチング部112と、抵抗114とを備える。
【0008】
伝達部108は、互いに順方向に直列に接続された2つのダイオードMPD、MNDからなる。ダイオードMPDは、電源ライン102と入出力パッドI/Oとの間に接続される。ダイオードMNDは、入出力パッドI/Oと接地ライン104との間に接続される。また、ダイオードMPDのカソード端子は、電源ライン102に接続され、アノード端子は、入出力パッドI/Oに接続される。ダイオードMNDのカソード端子は、入出力パッドI/Oに接続され、アノード端子は、接地ライン104に接続される。
【0009】
このような構成を有する静電気放電保護回路は、通常動作時、伝達部108のダイオードMPD、MNDがいずれも逆方向バイアス状態になって動作しないために回路動作には影響を与えない。反面、入出力パッドI/Oと電源電圧VPPパッドまたは接地電圧VSSパッドとの間に静電気が発生した場合、ダイオードMPD、MNDのいずれか1つが動作して静電気放電経路を提供し、静電気が内部回路に流入して内部回路を破壊することを防止する。
【0010】
このような従来技術に係る静電気放電保護回路は、フレーム反転やライン反転のように、接地電圧から正の動作電圧までを有する液晶表示装置に適用することは可能である。しかし、ドット反転方式をサポートする液晶表示装置では、フレーム反転やライン反転とは異なり、負(−)の動作電圧から正の動作電圧までが必要になる。すなわち、負の動作電圧から接地電圧、また、接地電圧から正の動作電圧までを要するため、図1に示す従来技術に係る静電気放電保護回路では適用できないという問題が発生する。
【0011】
関連する技術としては、例えば、米国特許出願公開第2007/0284666号明細書(特許文献1)に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0284666号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そこで、本発明は、従来技術の問題を解決するためになされたものであって、その目的は、ドット反転方式をサポートする液晶表示装置の駆動集積回路チップのソースドライバに適用可能な新しい構造の静電気放電保護回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するための本発明の静電気放電保護回路は、第1の電源ラインと接地ラインとの間に接続された第1のクランプと、前記接地ラインと第2の電源ラインとの間に接続された第2のクランプと、前記第1の電源ラインと前記接地ラインとの間に接続され、入出力パッドに第1の動作電圧を提供する第1の出力バッファと、前記接地ラインと前記第2の電源ラインとの間に接続され、前記入出力パッドに第2の動作電圧を提供する第2の出力バッファと、前記第1の動作電圧を前記入出力パッドに伝達する第1のスイッチング部と、前記第2の動作電圧を前記入出力パッドに伝達する第2のスイッチング部と、前記第1の電源ラインと前記入出力パッドとの間に1つまたは複数のダイオードが直列に接続された第1の伝達部と、前記入出力パッドと前記第2の電源ラインとの間に1つまたは複数のダイオードが直列に接続された第2の伝達部と、を備え、前記第1の伝達部のダイオードが、前記第1の動作電圧より高い降伏電圧を有し、前記第2の伝達部のダイオードが、前記第2の動作電圧より高い降伏電圧を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、負の動作電圧から正の動作電圧までの動作範囲を要するドット反転方式をサポートする液晶表示装置の駆動集積回路チップのソースドライバの内部回路を静電気放電から安全に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】従来技術に係る静電気放電保護回路を示す回路図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る静電気放電保護回路を示す回路図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る静電気放電保護回路を示す回路図である。
【図4】本発明の第3実施形態に係る静電気放電保護回路を示す回路図である。
【図5】本発明の第4実施形態に係る静電気放電保護回路を示す回路図である。
【図6】本発明の第5実施形態に係る静電気放電保護回路を示す回路図である。
【図7】図3に示す第1の伝達部308A及び第2の伝達部308Bの断面図である。
【図8】図4に示す第1の伝達部408A及び第2の伝達部408Bの断面図である。
【図9】図5に示す第1の伝達部508A及び第2の伝達部508Bの断面図である。
【図10】図6に示す第1の伝達部608A及び第2の伝達部608Bの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明の技術思想を容易に実施できる程度に詳細に説明するため、本発明の好ましい実施形態を添付した図面を参照して説明する。また、明細書全体にわたって同じ図面番号(または、参照番号)を付した部分は、同じ要素を表す。
【0018】
明細書全体の記載において、ある部分が他の部分に「接続」されているとした場合、それは、「直接に接続」されている場合に限らず、その間に他の素子を介して「電気的に接続」されている場合をも含む。また、ある部分が何らかの構成要素を備えている(または含んでいる)とした場合、それは、特に反対となる記載がない限り他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに備えることができることを意味する。
【0019】
<第1実施形態>
図2は、本発明の第1実施形態に係る静電気放電保護回路を示す回路図である。
【0020】
図2に示すように、本発明の第1実施形態に係る静電気放電保護回路は、ドット反転方式をサポートするために、図1に示す静電気放電保護回路とは異なって2つの出力バッファを備える。第1の出力バッファ206Aは、正の電源ライン202(以下、「第1の電源ライン」とする)と接地ライン203との間に接続され、接地電圧VSSから正の電源電圧VPP(以下、「第1の電源電圧」とする)までを出力する。第2の出力バッファ206Bは、接地ライン203と負の電源ライン204(以下、「第2の電源ライン」とする)との間に接続され、負の電源電圧VNN(以下、「第2の電源電圧」とする)から接地電圧VSSまでを出力する。
【0021】
また、本発明の第1実施形態に係る静電気放電保護回路は、第1の出力バッファ206A及び第2の出力バッファ206Bに伴って2つのクランプを備える。第1のクランプ210Aは、第1の電源ライン202と接地ライン203との間に接続され、第1の電源ライン202と接地ライン203との間を一定電圧に維持させる。第2のクランプ210Bは、接地ライン203と第2の電源ライン204との間に接続され、接地ライン203と第2の電源ライン204との間を一定電圧に維持させる。
【0022】
さらに、本発明の第1実施形態に係る静電気放電保護回路は、2つの伝達部を備える。第1の伝達部208A及び第2の伝達部208Bは、それぞれ1つのダイオードMPD、MNDからなる。第1の伝達部208Aは、第1の電源ライン202と入出力パッドI/Oとの間に接続される。第2の伝達部208Bは、入出力パッドI/Oと第2の電源ライン204との間に接続される。
【0023】
第1の伝達部208AのダイオードMPDと第2の伝達部208BのダイオードMNDとは順方向に接続される。ダイオードMPDは、ウェルを基準に、ダイオードMNDとは互いに異なる導電型(P型またはN型)で形成される。例えば、ダイオードMPDでは、ウェルがN型として構成され、ダイオードMNDでは、ウェルがP型として構成される。ダイオードMPD、MNDは、互いに同じ大きさの降伏電圧を有する。ここで、降伏電圧とは、ダイオードMPD、MNDの両端にかかる逆方向電圧でダイオードMPD、MNDが破壊されずに耐え得る最大電圧を意味する。
【0024】
ダイオードMPDは、第1の出力バッファ206Aの第1の動作電圧より高い降伏電圧を有し、ダイオードMNDは、第2の出力バッファ206Bの第2の動作電圧より高い降伏電圧を有する。ここで、第1の動作電圧及び第2の動作電圧は、入出力パッドI/Oを介して、内部回路、すなわち、ソースドライバに構成されている素子を動作させる電圧をいう。
【0025】
さらに、本発明の第1実施形態に係る静電気放電保護回路は、第1の出力バッファ206Aから出力される第1の動作電圧を入出力パッドI/Oに伝達する第1のスイッチング部212Aと、第2の出力バッファ206Bから出力される第2の動作電圧を入出力パッドI/Oに伝達する第2のスイッチング部212Bとをさらに備える。第1のスイッチング部212A及び第2のスイッチング部212Bは、それぞれPMOSトランジスタとNMOSトランジスタとが並列に接続された伝送ゲートからなる。
【0026】
前述のように、図2に示す本発明の第1実施形態に係る静電気放電保護回路は、ドット反転方式をサポートする液晶表示装置の駆動ICチップのソースドライバに適用可能である。
【0027】
例えば、第1の電源電圧VPPが5V、接地電圧VSSが0V、第2の電源電圧VNNが−5Vであれば、第1の出力バッファ206Aは、0V〜5Vの電圧レベルを有する第1の動作電圧を出力し、第2の出力バッファ206Bは、−5V〜0Vの電圧レベルを有する第2の動作電圧を出力する。これにより、入出力パッドI/Oに出力される動作電圧は、−5V〜5Vの電圧レベルを有するようになるため、第1のスイッチング部212A及び第2のスイッチング部212Bは、およそ30Vの高電圧スイッチを用いる。このような高電圧スイッチは、ワンチップの駆動ICチップにおいてゲート駆動のために用いられる素子と同じである。
【0028】
<第2実施形態>
図3は、本発明の第2実施形態に係る静電気放電保護回路を示す回路図である。
【0029】
図3に示すように、本発明の第2実施形態に係る静電気放電保護回路は、図2に示す第1の実施形態に係る静電気放電保護回路と同様の構成を有する。ただし、第1の伝達部308A及び第2の伝達部308Bを構成するダイオードにおいては互いに大きな差がある。
【0030】
まず、図2に示す本発明の第1実施形態に係る静電気放電保護回路の動作特性を説明する。
【0031】
接地電圧VSSモードにおける正の放電の場合、放電経路は、第1の電源ライン202を介して形成される。このとき、ダイオードMNDにかかる逆方向電圧VRMNDは、下記式(1)(数1)のとおりである。
【0032】
【数1】
【0033】
上記式(1)において、「VMPD」はダイオードMPDの順方向電圧、「VC」はクランプ電圧である。
【0034】
上記式(1)のように、ダイオードMNDの逆方向電圧VRMNDは、ダイオードMPDの順方向電圧VMPDとクランプ電圧VCとによりダイオードMNDの降伏電圧を超えることができる。
【0035】
第1の電源電圧VPPモードにおける負の放電の場合、放電経路は、第2の電源ライン204を介して形成される。このとき、ダイオードMPDにかかる逆方向電圧VRMPDは、下記式(2)(数2)のとおりである。
【0036】
【数2】
【0037】
上記式(2)において、「VMND」はダイオードMNDの順方向電圧、「VC」はクランプ電圧である。
【0038】
上記式(2)のように、ダイオードMPDの逆方向電圧VRMPDは、ダイオードMNDの順方向電圧VMNDとクランプ電圧VCとによりダイオードMPDの降伏電圧を超えることができる。
【0039】
一方、第1の電源電圧VPPモードまたは接地電圧VSSモードとは無関係であるCDM(Charged Device Model)放電の場合も、同じ経路の放電が生じ得る。
【0040】
このように、本発明の第1実施形態に係る静電気放電保護回路はドット反転をサポートする駆動ICチップに適用することができるが、静電気放電保護回路のダイオードが破壊される可能性がある。これを防止するためには、第1の伝達部208A及び第2の伝達部208BのダイオードMPD、MNDの降伏電圧を高めなければならない。
【0041】
このため、図3に示すように、本発明の第2実施形態に係る静電気放電保護回路では、第1の伝達部308Aは、降伏電圧が高い1つの高電圧ダイオードHPDで具現し、第2の伝達部308Bは、降伏電圧が中間電圧(medium)である2つの中電圧ダイオードMND1、MND2を直列に接続して具現する。このように具現すると、高電圧ダイオードHPDは、上記式(2)の逆方向電圧VRMPDに耐えることができ、直列に接続された中電圧ダイオードMND1、MND2は、上記式(1)の逆方向電圧VRMNDに耐えることができる。
【0042】
図7は、図3に示す第1の伝達部308A及び第2の伝達部308Bの断面図である。
【0043】
図7に示すように、図3において、第1の伝達部308Aの高電圧ダイオードHPDは、半導体基板100内に形成された高電圧NウェルHNW(High−voltage N−Well)と、高電圧Nウェル内に形成された高電圧Pドーピング領域HP+とからなる。高電圧ダイオードHPDを構成する高電圧Pドーピング領域HP+は、入出力パッドI/Oに接続され、高電圧NウェルHNWは、第1の電源電圧VPPが印加される第1の電源ライン202に接続される。
【0044】
第2の伝達部308Bの中電圧ダイオードMND1、MND2は、それぞれ高電圧NウェルHNW内に形成された中電圧PウェルMPW(Medium−voltage P−Well)と、中電圧PウェルMPW内に形成された中電圧Nドーピング領域MN+とからなる。中電圧ダイオードMND1の中電圧PウェルMPWは、第2の電源電圧VNNが印加される第2の電源ライン204に接続され、中電圧Nドーピング領域MN+は、中電圧ダイオードMND2の中電圧PウェルMPWに接続される。中電圧ダイオードMND2の中電圧Nドーピング領域MN+は、高電圧ダイオードHPDの高電圧Pドーピング領域HP+に接続される。
【0045】
図7に示すように、第1の伝達部308Aの高電圧ダイオードHPDにおいて、高電圧NウェルHNWは、第1の電源電圧VPPが印加される第1の電源ライン202に接続される。これにより、中電圧ダイオードMND2の中電圧PウェルMPWと高電圧ダイオードHPDの高電圧Pドーピング領域HP+との間の間隔さえ維持すれば、狭いチャネル領域に高電圧ダイオードHPDを具現することが可能である。また、中電圧ダイオードMND1、MND2においても、これらMND1、MND2の中電圧PウェルMPW間の間隔さえ維持すれば、狭いチャネル領域に2つの中電圧ダイオードMND1、MND2を具現することが可能である。
【0046】
<第3実施形態>
図4は、本発明の第3実施形態に係る静電気放電保護回路を示す回路図である。図8は、図4に示す第1の伝達部408A及び第2の伝達部408Bの断面図である。
【0047】
図4に示すように、本発明の第3実施形態に係る静電気放電保護回路は、図3に示す第2実施形態に係る静電気放電保護回路とは異なり、第1の伝達部408Aを2つの中電圧ダイオードMPD1、MPD2で構成し、第2の伝達部408Bを1つの高電圧ダイオードHNDで構成する。第1の伝達部408A及び第2の伝達部408B以外の構成は、図3と同様である。
【0048】
図8に示すように、本発明の第3実施形態では、図7に示す第2実施形態とは異なって高電圧PウェルHPWを使用する。高電圧PウェルHPWは、第2の電源電圧VNNが印加される第2の電源ライン204に接続される。また、高電圧PウェルHPW内には、第1の伝達部408Aの中電圧ダイオードMPD1、MPD2をそれぞれ形成するために、中電圧NウェルMNWがそれぞれ形成される。また、第2の伝達部408Bの高電圧ダイオードHNDを形成するために、高電圧PウェルHPW内には、高電圧Nドーピング領域HN+が形成される。第2の伝達部408Bの高電圧ダイオードHNDは、第2の出力バッファ206Bの第2の動作電圧より高い降伏電圧を有する。また、第1の伝達部408Aの中電圧ダイオードMPD1、MPD2の各々は、第1の出力バッファ206Aの第1の動作電圧と同じ降伏電圧を有するか、またはより高い降伏電圧を有する。もちろん、高電圧ダイオードHNDは、中電圧ダイオードMPD1、MPD2より高い降伏電圧を有する。例えば、ソース動作電圧が−5V〜5Vの範囲でスイングする場合、高電圧ダイオードHNDは30V、中電圧ダイオードMPD1、MPD2は5Vの降伏電圧を有するように作製される。
【0049】
<第4実施形態>
図5は、本発明の第4実施形態に係る静電気放電保護回路を示す回路図である。図9は、図5に示す第1の伝達部508A及び第2の伝達部508Bの断面図である。
【0050】
図5に示すように、本発明の第4実施形態に係る静電気放電保護回路は、第1の伝達部508Aと第2の伝達部508Bが、それぞれ2つの中電圧ダイオードMPD1及びMPD2、並びに、MND1及びMND2で構成される。
【0051】
図9に示すように、本発明の第4実施形態に係る静電気放電保護回路は、高電圧NウェルHNWまたは高電圧PウェルHPW内に中電圧NウェルMNW及び中電圧PウェルMPWが形成され、中電圧NウェルMNW内には中電圧Pドーピング領域MP+が形成され、中電圧PウェルMPW内には中電圧Nドーピング領域MN+が形成される。中電圧ダイオードMPD1の中電圧NウェルMNWは、第1の電源電圧VPPが印加される第1の電源ライン202に接続され、中電圧ダイオードMND1の中電圧PウェルMPWは、第2の電源電圧VNNが印加される第2の電源ライン204に接続される。
【0052】
<第5実施形態>
図6は、本発明の第5実施形態に係る静電気放電保護回路を示す回路図である。図10は、図6に示す第1の伝達部608A及び第2の伝達部608Bの断面図である。
【0053】
図6に示すように、本発明の第5実施形態に係る静電気放電保護回路は、第3実施形態及び第4実施形態とは異なり、第1の伝達部608A及び第2の伝達部608Bが、それぞれ1つの高電圧ダイオードHPD、HNDで構成される。
【0054】
図10に示すように、本発明の第5実施形態では、第1の伝達部608A及び第2の伝達部608Bを、それぞれ高電圧ダイオードHPD、HNDで構成する。高電圧ダイオードHPD、HNDは、第1の出力バッファ206A及び第2の出力バッファ206Bの第1の動作電圧及び第2の動作電圧より高い降伏電圧、好ましくは、ソース動作電圧が−5V〜5Vの範囲でスイングする場合、30Vの降伏電圧を有する素子で作製される。
【0055】
上述のように、本発明の技術思想は、好ましい実施形態により具体的に記述されたが、上記の実施形態は、それを説明するためのものであって、それを制限するためのものではないことに留意しなければならない。特に、ドット反転方式をサポートする液晶表示装置の駆動ICチップのソースドライバの出力端(入出力パッド)に備えられる静電気放電保護回路について説明したが、これは一例であって、負の動作電圧から正の動作電圧までを要する素子であれば、すべて適用可能である。このように、この技術分野における通常の専門家であれば、本発明の技術思想の範囲内で様々な実施形態が可能であることを理解することができるであろう。
【符号の説明】
【0056】
202 第1の電源ライン(正の電源ライン)
203 接地ライン
204 第2の電源ライン(負の電源ライン)
214 抵抗
206A 第1の出力バッファ
206B 第2の出力バッファ
208A、308A、408A、508A、608A 第1の伝達部
208B、308B、408B、508B、608B 第2の伝達部
210A 第1のクランプ
210B 第2のクランプ
212A 第1のスイッチング部
212B 第2のスイッチング部
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電気放電保護回路に関し、特に、ドット反転方式(dot inversion scheme)をサポートする表示装置の駆動集積回路チップの静電気放電保護回路に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、静電気放電(ESD:ElectroStatic Discharge)保護回路は、半導体装置の設計時、静電気による製品の破壊や劣化を防止するために、半導体装置の内部回路と、外部入出力ピンが接続されるパッド(以下、「入出力パッド」とする)との間に設けられる回路を指す。
【0003】
帯電した人体や機械に半導体装置が接触すると、人体や機械に帯電した静電気が外部ピンを介して入出力パッドを経て半導体装置の内部回路に放電しながら、大きなエネルギーを有する過渡電流が内部回路に流れて半導体装置に大きな損傷を与え得る。また、半導体装置の内部回路に帯電した静電気が機械の接触により機械を介して外部に放電しながら、過渡電流が半導体装置の内部回路に流れて半導体装置を損傷させ得る。
【0004】
このため、大部分の半導体集積回路では、静電気放電に起因する損傷を防止するために、入出力パッドと半導体装置の内部回路との間に静電気放電保護回路を設ける。
【0005】
図1は、一般的な液晶表示装置の駆動集積回路(IC:Integrated Circuit)チップのソースドライバの出力端子に備えられた静電気放電保護回路を示す回路図である。
【0006】
図1に示すように、従来技術に係る静電気放電保護回路は、実質的に1チャネルあたりに割り当てられた領域の幅が狭いため、各パッドで自主的に静電気ストレスに耐え得るクランプを集積するには面積が不十分であり、ほとんどの場合、図1のように、ダイオードMPD、MNDを介して電流を放電する。大部分のソースドライバの出力は、接地電圧(すなわち、0V)から所定の正(+)の動作電圧の間の値を有する。このため、これを駆動する回路も、正の動作電圧を有する素子を用いて回路を構成し、静電気放電保護回路も、前記動作電圧に最適化して作製される。
【0007】
具体的には、静電気放電保護回路は、入出力パッドI/Oと、ソース電圧を入出力パッドI/Oに伝達する出力バッファ106と、入出力パッドI/Oを介して流入する静電気を多様な経路に伝達して内部回路を保護する伝達部108と、電源ライン102と接地ライン104との電圧差を一定電圧に維持させるクランプ110とを備える。また、静電気放電保護回路は、出力バッファ106に伝達される信号を入出力パッドI/Oに伝達するスイッチング部112と、抵抗114とを備える。
【0008】
伝達部108は、互いに順方向に直列に接続された2つのダイオードMPD、MNDからなる。ダイオードMPDは、電源ライン102と入出力パッドI/Oとの間に接続される。ダイオードMNDは、入出力パッドI/Oと接地ライン104との間に接続される。また、ダイオードMPDのカソード端子は、電源ライン102に接続され、アノード端子は、入出力パッドI/Oに接続される。ダイオードMNDのカソード端子は、入出力パッドI/Oに接続され、アノード端子は、接地ライン104に接続される。
【0009】
このような構成を有する静電気放電保護回路は、通常動作時、伝達部108のダイオードMPD、MNDがいずれも逆方向バイアス状態になって動作しないために回路動作には影響を与えない。反面、入出力パッドI/Oと電源電圧VPPパッドまたは接地電圧VSSパッドとの間に静電気が発生した場合、ダイオードMPD、MNDのいずれか1つが動作して静電気放電経路を提供し、静電気が内部回路に流入して内部回路を破壊することを防止する。
【0010】
このような従来技術に係る静電気放電保護回路は、フレーム反転やライン反転のように、接地電圧から正の動作電圧までを有する液晶表示装置に適用することは可能である。しかし、ドット反転方式をサポートする液晶表示装置では、フレーム反転やライン反転とは異なり、負(−)の動作電圧から正の動作電圧までが必要になる。すなわち、負の動作電圧から接地電圧、また、接地電圧から正の動作電圧までを要するため、図1に示す従来技術に係る静電気放電保護回路では適用できないという問題が発生する。
【0011】
関連する技術としては、例えば、米国特許出願公開第2007/0284666号明細書(特許文献1)に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0284666号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そこで、本発明は、従来技術の問題を解決するためになされたものであって、その目的は、ドット反転方式をサポートする液晶表示装置の駆動集積回路チップのソースドライバに適用可能な新しい構造の静電気放電保護回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するための本発明の静電気放電保護回路は、第1の電源ラインと接地ラインとの間に接続された第1のクランプと、前記接地ラインと第2の電源ラインとの間に接続された第2のクランプと、前記第1の電源ラインと前記接地ラインとの間に接続され、入出力パッドに第1の動作電圧を提供する第1の出力バッファと、前記接地ラインと前記第2の電源ラインとの間に接続され、前記入出力パッドに第2の動作電圧を提供する第2の出力バッファと、前記第1の動作電圧を前記入出力パッドに伝達する第1のスイッチング部と、前記第2の動作電圧を前記入出力パッドに伝達する第2のスイッチング部と、前記第1の電源ラインと前記入出力パッドとの間に1つまたは複数のダイオードが直列に接続された第1の伝達部と、前記入出力パッドと前記第2の電源ラインとの間に1つまたは複数のダイオードが直列に接続された第2の伝達部と、を備え、前記第1の伝達部のダイオードが、前記第1の動作電圧より高い降伏電圧を有し、前記第2の伝達部のダイオードが、前記第2の動作電圧より高い降伏電圧を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、負の動作電圧から正の動作電圧までの動作範囲を要するドット反転方式をサポートする液晶表示装置の駆動集積回路チップのソースドライバの内部回路を静電気放電から安全に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】従来技術に係る静電気放電保護回路を示す回路図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る静電気放電保護回路を示す回路図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る静電気放電保護回路を示す回路図である。
【図4】本発明の第3実施形態に係る静電気放電保護回路を示す回路図である。
【図5】本発明の第4実施形態に係る静電気放電保護回路を示す回路図である。
【図6】本発明の第5実施形態に係る静電気放電保護回路を示す回路図である。
【図7】図3に示す第1の伝達部308A及び第2の伝達部308Bの断面図である。
【図8】図4に示す第1の伝達部408A及び第2の伝達部408Bの断面図である。
【図9】図5に示す第1の伝達部508A及び第2の伝達部508Bの断面図である。
【図10】図6に示す第1の伝達部608A及び第2の伝達部608Bの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明の技術思想を容易に実施できる程度に詳細に説明するため、本発明の好ましい実施形態を添付した図面を参照して説明する。また、明細書全体にわたって同じ図面番号(または、参照番号)を付した部分は、同じ要素を表す。
【0018】
明細書全体の記載において、ある部分が他の部分に「接続」されているとした場合、それは、「直接に接続」されている場合に限らず、その間に他の素子を介して「電気的に接続」されている場合をも含む。また、ある部分が何らかの構成要素を備えている(または含んでいる)とした場合、それは、特に反対となる記載がない限り他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに備えることができることを意味する。
【0019】
<第1実施形態>
図2は、本発明の第1実施形態に係る静電気放電保護回路を示す回路図である。
【0020】
図2に示すように、本発明の第1実施形態に係る静電気放電保護回路は、ドット反転方式をサポートするために、図1に示す静電気放電保護回路とは異なって2つの出力バッファを備える。第1の出力バッファ206Aは、正の電源ライン202(以下、「第1の電源ライン」とする)と接地ライン203との間に接続され、接地電圧VSSから正の電源電圧VPP(以下、「第1の電源電圧」とする)までを出力する。第2の出力バッファ206Bは、接地ライン203と負の電源ライン204(以下、「第2の電源ライン」とする)との間に接続され、負の電源電圧VNN(以下、「第2の電源電圧」とする)から接地電圧VSSまでを出力する。
【0021】
また、本発明の第1実施形態に係る静電気放電保護回路は、第1の出力バッファ206A及び第2の出力バッファ206Bに伴って2つのクランプを備える。第1のクランプ210Aは、第1の電源ライン202と接地ライン203との間に接続され、第1の電源ライン202と接地ライン203との間を一定電圧に維持させる。第2のクランプ210Bは、接地ライン203と第2の電源ライン204との間に接続され、接地ライン203と第2の電源ライン204との間を一定電圧に維持させる。
【0022】
さらに、本発明の第1実施形態に係る静電気放電保護回路は、2つの伝達部を備える。第1の伝達部208A及び第2の伝達部208Bは、それぞれ1つのダイオードMPD、MNDからなる。第1の伝達部208Aは、第1の電源ライン202と入出力パッドI/Oとの間に接続される。第2の伝達部208Bは、入出力パッドI/Oと第2の電源ライン204との間に接続される。
【0023】
第1の伝達部208AのダイオードMPDと第2の伝達部208BのダイオードMNDとは順方向に接続される。ダイオードMPDは、ウェルを基準に、ダイオードMNDとは互いに異なる導電型(P型またはN型)で形成される。例えば、ダイオードMPDでは、ウェルがN型として構成され、ダイオードMNDでは、ウェルがP型として構成される。ダイオードMPD、MNDは、互いに同じ大きさの降伏電圧を有する。ここで、降伏電圧とは、ダイオードMPD、MNDの両端にかかる逆方向電圧でダイオードMPD、MNDが破壊されずに耐え得る最大電圧を意味する。
【0024】
ダイオードMPDは、第1の出力バッファ206Aの第1の動作電圧より高い降伏電圧を有し、ダイオードMNDは、第2の出力バッファ206Bの第2の動作電圧より高い降伏電圧を有する。ここで、第1の動作電圧及び第2の動作電圧は、入出力パッドI/Oを介して、内部回路、すなわち、ソースドライバに構成されている素子を動作させる電圧をいう。
【0025】
さらに、本発明の第1実施形態に係る静電気放電保護回路は、第1の出力バッファ206Aから出力される第1の動作電圧を入出力パッドI/Oに伝達する第1のスイッチング部212Aと、第2の出力バッファ206Bから出力される第2の動作電圧を入出力パッドI/Oに伝達する第2のスイッチング部212Bとをさらに備える。第1のスイッチング部212A及び第2のスイッチング部212Bは、それぞれPMOSトランジスタとNMOSトランジスタとが並列に接続された伝送ゲートからなる。
【0026】
前述のように、図2に示す本発明の第1実施形態に係る静電気放電保護回路は、ドット反転方式をサポートする液晶表示装置の駆動ICチップのソースドライバに適用可能である。
【0027】
例えば、第1の電源電圧VPPが5V、接地電圧VSSが0V、第2の電源電圧VNNが−5Vであれば、第1の出力バッファ206Aは、0V〜5Vの電圧レベルを有する第1の動作電圧を出力し、第2の出力バッファ206Bは、−5V〜0Vの電圧レベルを有する第2の動作電圧を出力する。これにより、入出力パッドI/Oに出力される動作電圧は、−5V〜5Vの電圧レベルを有するようになるため、第1のスイッチング部212A及び第2のスイッチング部212Bは、およそ30Vの高電圧スイッチを用いる。このような高電圧スイッチは、ワンチップの駆動ICチップにおいてゲート駆動のために用いられる素子と同じである。
【0028】
<第2実施形態>
図3は、本発明の第2実施形態に係る静電気放電保護回路を示す回路図である。
【0029】
図3に示すように、本発明の第2実施形態に係る静電気放電保護回路は、図2に示す第1の実施形態に係る静電気放電保護回路と同様の構成を有する。ただし、第1の伝達部308A及び第2の伝達部308Bを構成するダイオードにおいては互いに大きな差がある。
【0030】
まず、図2に示す本発明の第1実施形態に係る静電気放電保護回路の動作特性を説明する。
【0031】
接地電圧VSSモードにおける正の放電の場合、放電経路は、第1の電源ライン202を介して形成される。このとき、ダイオードMNDにかかる逆方向電圧VRMNDは、下記式(1)(数1)のとおりである。
【0032】
【数1】
【0033】
上記式(1)において、「VMPD」はダイオードMPDの順方向電圧、「VC」はクランプ電圧である。
【0034】
上記式(1)のように、ダイオードMNDの逆方向電圧VRMNDは、ダイオードMPDの順方向電圧VMPDとクランプ電圧VCとによりダイオードMNDの降伏電圧を超えることができる。
【0035】
第1の電源電圧VPPモードにおける負の放電の場合、放電経路は、第2の電源ライン204を介して形成される。このとき、ダイオードMPDにかかる逆方向電圧VRMPDは、下記式(2)(数2)のとおりである。
【0036】
【数2】
【0037】
上記式(2)において、「VMND」はダイオードMNDの順方向電圧、「VC」はクランプ電圧である。
【0038】
上記式(2)のように、ダイオードMPDの逆方向電圧VRMPDは、ダイオードMNDの順方向電圧VMNDとクランプ電圧VCとによりダイオードMPDの降伏電圧を超えることができる。
【0039】
一方、第1の電源電圧VPPモードまたは接地電圧VSSモードとは無関係であるCDM(Charged Device Model)放電の場合も、同じ経路の放電が生じ得る。
【0040】
このように、本発明の第1実施形態に係る静電気放電保護回路はドット反転をサポートする駆動ICチップに適用することができるが、静電気放電保護回路のダイオードが破壊される可能性がある。これを防止するためには、第1の伝達部208A及び第2の伝達部208BのダイオードMPD、MNDの降伏電圧を高めなければならない。
【0041】
このため、図3に示すように、本発明の第2実施形態に係る静電気放電保護回路では、第1の伝達部308Aは、降伏電圧が高い1つの高電圧ダイオードHPDで具現し、第2の伝達部308Bは、降伏電圧が中間電圧(medium)である2つの中電圧ダイオードMND1、MND2を直列に接続して具現する。このように具現すると、高電圧ダイオードHPDは、上記式(2)の逆方向電圧VRMPDに耐えることができ、直列に接続された中電圧ダイオードMND1、MND2は、上記式(1)の逆方向電圧VRMNDに耐えることができる。
【0042】
図7は、図3に示す第1の伝達部308A及び第2の伝達部308Bの断面図である。
【0043】
図7に示すように、図3において、第1の伝達部308Aの高電圧ダイオードHPDは、半導体基板100内に形成された高電圧NウェルHNW(High−voltage N−Well)と、高電圧Nウェル内に形成された高電圧Pドーピング領域HP+とからなる。高電圧ダイオードHPDを構成する高電圧Pドーピング領域HP+は、入出力パッドI/Oに接続され、高電圧NウェルHNWは、第1の電源電圧VPPが印加される第1の電源ライン202に接続される。
【0044】
第2の伝達部308Bの中電圧ダイオードMND1、MND2は、それぞれ高電圧NウェルHNW内に形成された中電圧PウェルMPW(Medium−voltage P−Well)と、中電圧PウェルMPW内に形成された中電圧Nドーピング領域MN+とからなる。中電圧ダイオードMND1の中電圧PウェルMPWは、第2の電源電圧VNNが印加される第2の電源ライン204に接続され、中電圧Nドーピング領域MN+は、中電圧ダイオードMND2の中電圧PウェルMPWに接続される。中電圧ダイオードMND2の中電圧Nドーピング領域MN+は、高電圧ダイオードHPDの高電圧Pドーピング領域HP+に接続される。
【0045】
図7に示すように、第1の伝達部308Aの高電圧ダイオードHPDにおいて、高電圧NウェルHNWは、第1の電源電圧VPPが印加される第1の電源ライン202に接続される。これにより、中電圧ダイオードMND2の中電圧PウェルMPWと高電圧ダイオードHPDの高電圧Pドーピング領域HP+との間の間隔さえ維持すれば、狭いチャネル領域に高電圧ダイオードHPDを具現することが可能である。また、中電圧ダイオードMND1、MND2においても、これらMND1、MND2の中電圧PウェルMPW間の間隔さえ維持すれば、狭いチャネル領域に2つの中電圧ダイオードMND1、MND2を具現することが可能である。
【0046】
<第3実施形態>
図4は、本発明の第3実施形態に係る静電気放電保護回路を示す回路図である。図8は、図4に示す第1の伝達部408A及び第2の伝達部408Bの断面図である。
【0047】
図4に示すように、本発明の第3実施形態に係る静電気放電保護回路は、図3に示す第2実施形態に係る静電気放電保護回路とは異なり、第1の伝達部408Aを2つの中電圧ダイオードMPD1、MPD2で構成し、第2の伝達部408Bを1つの高電圧ダイオードHNDで構成する。第1の伝達部408A及び第2の伝達部408B以外の構成は、図3と同様である。
【0048】
図8に示すように、本発明の第3実施形態では、図7に示す第2実施形態とは異なって高電圧PウェルHPWを使用する。高電圧PウェルHPWは、第2の電源電圧VNNが印加される第2の電源ライン204に接続される。また、高電圧PウェルHPW内には、第1の伝達部408Aの中電圧ダイオードMPD1、MPD2をそれぞれ形成するために、中電圧NウェルMNWがそれぞれ形成される。また、第2の伝達部408Bの高電圧ダイオードHNDを形成するために、高電圧PウェルHPW内には、高電圧Nドーピング領域HN+が形成される。第2の伝達部408Bの高電圧ダイオードHNDは、第2の出力バッファ206Bの第2の動作電圧より高い降伏電圧を有する。また、第1の伝達部408Aの中電圧ダイオードMPD1、MPD2の各々は、第1の出力バッファ206Aの第1の動作電圧と同じ降伏電圧を有するか、またはより高い降伏電圧を有する。もちろん、高電圧ダイオードHNDは、中電圧ダイオードMPD1、MPD2より高い降伏電圧を有する。例えば、ソース動作電圧が−5V〜5Vの範囲でスイングする場合、高電圧ダイオードHNDは30V、中電圧ダイオードMPD1、MPD2は5Vの降伏電圧を有するように作製される。
【0049】
<第4実施形態>
図5は、本発明の第4実施形態に係る静電気放電保護回路を示す回路図である。図9は、図5に示す第1の伝達部508A及び第2の伝達部508Bの断面図である。
【0050】
図5に示すように、本発明の第4実施形態に係る静電気放電保護回路は、第1の伝達部508Aと第2の伝達部508Bが、それぞれ2つの中電圧ダイオードMPD1及びMPD2、並びに、MND1及びMND2で構成される。
【0051】
図9に示すように、本発明の第4実施形態に係る静電気放電保護回路は、高電圧NウェルHNWまたは高電圧PウェルHPW内に中電圧NウェルMNW及び中電圧PウェルMPWが形成され、中電圧NウェルMNW内には中電圧Pドーピング領域MP+が形成され、中電圧PウェルMPW内には中電圧Nドーピング領域MN+が形成される。中電圧ダイオードMPD1の中電圧NウェルMNWは、第1の電源電圧VPPが印加される第1の電源ライン202に接続され、中電圧ダイオードMND1の中電圧PウェルMPWは、第2の電源電圧VNNが印加される第2の電源ライン204に接続される。
【0052】
<第5実施形態>
図6は、本発明の第5実施形態に係る静電気放電保護回路を示す回路図である。図10は、図6に示す第1の伝達部608A及び第2の伝達部608Bの断面図である。
【0053】
図6に示すように、本発明の第5実施形態に係る静電気放電保護回路は、第3実施形態及び第4実施形態とは異なり、第1の伝達部608A及び第2の伝達部608Bが、それぞれ1つの高電圧ダイオードHPD、HNDで構成される。
【0054】
図10に示すように、本発明の第5実施形態では、第1の伝達部608A及び第2の伝達部608Bを、それぞれ高電圧ダイオードHPD、HNDで構成する。高電圧ダイオードHPD、HNDは、第1の出力バッファ206A及び第2の出力バッファ206Bの第1の動作電圧及び第2の動作電圧より高い降伏電圧、好ましくは、ソース動作電圧が−5V〜5Vの範囲でスイングする場合、30Vの降伏電圧を有する素子で作製される。
【0055】
上述のように、本発明の技術思想は、好ましい実施形態により具体的に記述されたが、上記の実施形態は、それを説明するためのものであって、それを制限するためのものではないことに留意しなければならない。特に、ドット反転方式をサポートする液晶表示装置の駆動ICチップのソースドライバの出力端(入出力パッド)に備えられる静電気放電保護回路について説明したが、これは一例であって、負の動作電圧から正の動作電圧までを要する素子であれば、すべて適用可能である。このように、この技術分野における通常の専門家であれば、本発明の技術思想の範囲内で様々な実施形態が可能であることを理解することができるであろう。
【符号の説明】
【0056】
202 第1の電源ライン(正の電源ライン)
203 接地ライン
204 第2の電源ライン(負の電源ライン)
214 抵抗
206A 第1の出力バッファ
206B 第2の出力バッファ
208A、308A、408A、508A、608A 第1の伝達部
208B、308B、408B、508B、608B 第2の伝達部
210A 第1のクランプ
210B 第2のクランプ
212A 第1のスイッチング部
212B 第2のスイッチング部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電源ラインと接地ラインとの間に接続された第1のクランプと、
前記接地ラインと第2の電源ラインとの間に接続された第2のクランプと、
前記第1の電源ラインと前記接地ラインとの間に接続され、入出力パッドに第1の動作電圧を提供する第1の出力バッファと、
前記接地ラインと前記第2の電源ラインとの間に接続され、前記入出力パッドに第2の動作電圧を提供する第2の出力バッファと、
前記第1の動作電圧を前記入出力パッドに伝達する第1のスイッチング部と、
前記第2の動作電圧を前記入出力パッドに伝達する第2のスイッチング部と、
前記第1の電源ラインと前記入出力パッドとの間に1つまたは複数のダイオードが直列に接続された第1の伝達部と、
前記入出力パッドと前記第2の電源ラインとの間に1つまたは複数のダイオードが直列に接続された第2の伝達部と、を備え、
前記第1の伝達部のダイオードは、前記第1の動作電圧より高い降伏電圧を有し、前記第2の伝達部のダイオードは、前記第2の動作電圧より高い降伏電圧を有することを特徴とする静電気放電保護回路。
【請求項2】
前記第1の伝達部は、1つのダイオードを備え、
前記第2の伝達部は、前記第1の伝達部のダイオードより低い降伏電圧を有する2つのダイオードを備えることを特徴とする請求項1に記載の静電気放電保護回路。
【請求項3】
前記第1の伝達部及び第2の伝達部は、
基板内に形成されたNウェルと、
該Nウェル内に形成された第1のPウェルと、
該第1のPウェル内に形成された第1のNドーピング領域と、
前記第1のPウェルから一定の距離をおいて前記Nウェル内に形成された第2のPウェルと、
該第2のPウェル内に形成された第2のNドーピング領域と、
前記Nウェル内に形成されたPドーピング領域と、
を備えることを特徴とする請求項2に記載の静電気放電保護回路。
【請求項4】
前記Nウェルは、前記第1の電源ラインに接続され、
前記第1のPウェルは、前記第2の電源ラインに接続され、
前記第1のNドーピング領域は、前記第2のPウェルに接続され、
前記第2のNドーピング領域及び前記Pドーピング領域は、前記入出力パッドに接続されることを特徴とする請求項3に記載の静電気放電保護回路。
【請求項5】
前記第1の伝達部は、2つのダイオードを備え、
前記第2の伝達部は、前記第1の伝達部のダイオードより高い降伏電圧を有する1つのダイオードを備えることを特徴とする請求項1に記載の静電気放電保護回路。
【請求項6】
前記第1の伝達部及び第2の伝達部は、
基板内に形成されたPウェルと、
該Pウェル内に形成された第1のNウェルと、
該第1のNウェル内に形成された第1のPドーピング領域と、
前記第1のNウェルから一定の距離をおいて前記Pウェル内に形成された第2のNウェルと、
該第2のNウェル内に形成された第2のPドーピング領域と、
前記Pウェル内に形成されたNドーピング領域と、
を備えることを特徴とする請求項5に記載の静電気放電保護回路。
【請求項7】
前記Pウェルは、前記第2の電源ラインに接続され、
前記第1のNウェルは、前記第1の電源ラインに接続され、
前記第1のPドーピング領域は、前記第2のNウェルに接続され、
前記第2のPドーピング領域及び前記Nドーピング領域は、前記入出力パッドに接続されることを特徴とする請求項6に記載の静電気放電保護回路。
【請求項8】
前記第1の伝達部は、前記第2の伝達部のダイオードと同じ降伏電圧を有する1つのダイオードを備えることを特徴とする請求項1に記載の静電気放電保護回路。
【請求項9】
前記第1の伝達部及び第2の伝達部は、
基板内に形成されたPウェルと、
該Pウェル内に形成されたNウェルと、
該Nウェル内に形成されたPドーピング領域と、
前記Nウェルから一定の距離をおいて前記Pウェル内に形成されたNドーピング領域と、
を備えることを特徴とする請求項8に記載の静電気放電保護回路。
【請求項10】
前記Pウェルは、前記第2の電源ラインに接続され、
前記Nウェルは、前記第1の電源ラインに接続され、
前記Pドーピング領域及び前記Nドーピング領域は、前記入出力パッドに接続されることを特徴とする請求項9に記載の静電気放電保護回路。
【請求項11】
前記第1の電源ラインは、正の電源電圧と接地電圧との間の電圧を有し、
前記第2の電源ラインは、負の電源電圧と接地電圧との間の電圧を有することを特徴とする請求項1に記載の静電気放電保護回路。
【請求項12】
前記第1のクランプ及び第2のクランプは、対応する電源ラインと接地ラインとの間の電圧を一定の電圧レベルに維持することを特徴とする請求項1に記載の静電気放電保護回路。
【請求項1】
第1の電源ラインと接地ラインとの間に接続された第1のクランプと、
前記接地ラインと第2の電源ラインとの間に接続された第2のクランプと、
前記第1の電源ラインと前記接地ラインとの間に接続され、入出力パッドに第1の動作電圧を提供する第1の出力バッファと、
前記接地ラインと前記第2の電源ラインとの間に接続され、前記入出力パッドに第2の動作電圧を提供する第2の出力バッファと、
前記第1の動作電圧を前記入出力パッドに伝達する第1のスイッチング部と、
前記第2の動作電圧を前記入出力パッドに伝達する第2のスイッチング部と、
前記第1の電源ラインと前記入出力パッドとの間に1つまたは複数のダイオードが直列に接続された第1の伝達部と、
前記入出力パッドと前記第2の電源ラインとの間に1つまたは複数のダイオードが直列に接続された第2の伝達部と、を備え、
前記第1の伝達部のダイオードは、前記第1の動作電圧より高い降伏電圧を有し、前記第2の伝達部のダイオードは、前記第2の動作電圧より高い降伏電圧を有することを特徴とする静電気放電保護回路。
【請求項2】
前記第1の伝達部は、1つのダイオードを備え、
前記第2の伝達部は、前記第1の伝達部のダイオードより低い降伏電圧を有する2つのダイオードを備えることを特徴とする請求項1に記載の静電気放電保護回路。
【請求項3】
前記第1の伝達部及び第2の伝達部は、
基板内に形成されたNウェルと、
該Nウェル内に形成された第1のPウェルと、
該第1のPウェル内に形成された第1のNドーピング領域と、
前記第1のPウェルから一定の距離をおいて前記Nウェル内に形成された第2のPウェルと、
該第2のPウェル内に形成された第2のNドーピング領域と、
前記Nウェル内に形成されたPドーピング領域と、
を備えることを特徴とする請求項2に記載の静電気放電保護回路。
【請求項4】
前記Nウェルは、前記第1の電源ラインに接続され、
前記第1のPウェルは、前記第2の電源ラインに接続され、
前記第1のNドーピング領域は、前記第2のPウェルに接続され、
前記第2のNドーピング領域及び前記Pドーピング領域は、前記入出力パッドに接続されることを特徴とする請求項3に記載の静電気放電保護回路。
【請求項5】
前記第1の伝達部は、2つのダイオードを備え、
前記第2の伝達部は、前記第1の伝達部のダイオードより高い降伏電圧を有する1つのダイオードを備えることを特徴とする請求項1に記載の静電気放電保護回路。
【請求項6】
前記第1の伝達部及び第2の伝達部は、
基板内に形成されたPウェルと、
該Pウェル内に形成された第1のNウェルと、
該第1のNウェル内に形成された第1のPドーピング領域と、
前記第1のNウェルから一定の距離をおいて前記Pウェル内に形成された第2のNウェルと、
該第2のNウェル内に形成された第2のPドーピング領域と、
前記Pウェル内に形成されたNドーピング領域と、
を備えることを特徴とする請求項5に記載の静電気放電保護回路。
【請求項7】
前記Pウェルは、前記第2の電源ラインに接続され、
前記第1のNウェルは、前記第1の電源ラインに接続され、
前記第1のPドーピング領域は、前記第2のNウェルに接続され、
前記第2のPドーピング領域及び前記Nドーピング領域は、前記入出力パッドに接続されることを特徴とする請求項6に記載の静電気放電保護回路。
【請求項8】
前記第1の伝達部は、前記第2の伝達部のダイオードと同じ降伏電圧を有する1つのダイオードを備えることを特徴とする請求項1に記載の静電気放電保護回路。
【請求項9】
前記第1の伝達部及び第2の伝達部は、
基板内に形成されたPウェルと、
該Pウェル内に形成されたNウェルと、
該Nウェル内に形成されたPドーピング領域と、
前記Nウェルから一定の距離をおいて前記Pウェル内に形成されたNドーピング領域と、
を備えることを特徴とする請求項8に記載の静電気放電保護回路。
【請求項10】
前記Pウェルは、前記第2の電源ラインに接続され、
前記Nウェルは、前記第1の電源ラインに接続され、
前記Pドーピング領域及び前記Nドーピング領域は、前記入出力パッドに接続されることを特徴とする請求項9に記載の静電気放電保護回路。
【請求項11】
前記第1の電源ラインは、正の電源電圧と接地電圧との間の電圧を有し、
前記第2の電源ラインは、負の電源電圧と接地電圧との間の電圧を有することを特徴とする請求項1に記載の静電気放電保護回路。
【請求項12】
前記第1のクランプ及び第2のクランプは、対応する電源ラインと接地ラインとの間の電圧を一定の電圧レベルに維持することを特徴とする請求項1に記載の静電気放電保護回路。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2010−153779(P2010−153779A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−193485(P2009−193485)
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【出願人】(505087780)マグナチップセミコンダクター有限会社 (125)
【氏名又は名称原語表記】MAGNACHIP SEMICONDUCTOR LTD
【住所又は居所原語表記】1 Hyangjeong−dong,Heungduk−gu,Cheongju City,Chung Cheong Bok−do,Korea
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【出願人】(505087780)マグナチップセミコンダクター有限会社 (125)
【氏名又は名称原語表記】MAGNACHIP SEMICONDUCTOR LTD
【住所又は居所原語表記】1 Hyangjeong−dong,Heungduk−gu,Cheongju City,Chung Cheong Bok−do,Korea
【Fターム(参考)】
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