説明

(−)−ハロフェナートの結晶性固体および非晶質の形態

本発明は(-)-ハロフェナートの結晶性固体および非晶質の形態を提供する。結晶性固体の形態はさまざまな薬学的組成物中で使用されてもよく、哺乳動物での血中脂質沈着と関係する状態、特に2型糖尿病および高脂血症に関連する疾患の予防および/または処置に特に有効である。本発明は同様に、哺乳動物において2型糖尿病および高脂血症を予防するまたは処置する方法であって、(-)-ハロフェナートの結晶性固体および非晶質の形態の治療的有効量を投与する段階を含む方法に関する。


【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は2005年4月20日付で出願された米国特許出願第60/673,655号の恩典を主張するものであり、その内容は参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
発明の背景
本発明は、以下に示される化学構造を有する表題の化合物の結晶性固体および非晶質の形態に関する:

【0003】
2-アセトアミドエチル4-クロロフェニル-(3-トリフルオロメチルフェノキシ)-アセテート、(3-トリフルオロメチルフェノキシ)-(4-クロロフェニル)酢酸2-アセチルアミノエチルエステルまたはハロフェナートは、2型糖尿病および高脂血症の緩和で有用なキラル化合物である(例えば、米国特許第6,262,118号(特許文献1)および米国特許出願第10/656,567号(特許文献2)を参照されたく、これらはその全体が参照により組み入れられる)。ハロフェナートはカルボニル炭素原子の1つ()に、非対称に置換された炭素原子αの単一のキラル中心を含んでおり、それゆえ2つのエナンチオマー形態で存在する。
【0004】
胃からの消化管出血および消化性潰瘍を含め、重大な副作用がラセミ化合物のハロフェナートによって示されている(例えば、Friedberg, S. J. et al., Clin. Res. (1986) Vol. 34, No. 2: 682A (非特許文献1)参照)。さらに、ワルファリン硫酸(3-(α-アセトニルベンジル)-4-ヒドロキシクマリンまたはCOUMADIN(商標) (Dupont Pharmaceuticals, E.I. Dupont de Nemours and Co., Inc., Wilmington, Del. U.S.A.)ともいわれる)などの薬剤とのラセミ化合物のハロフェナートの薬物間相互作用を示す徴候が認められた(例えば、Vesell, E. S. and Passantanti, G. T., Fed. Proc. (1972) 31(2): 538 (非特許文献2)参照)。COUMADIN(商標)は、いくつかの他の薬物のインビボでの薬物代謝を調節するヒト肝P450の主な形態シトクロムP450 2C9によって立体特異的に代謝されると考えられている(例えば、Miners, J. O. et al, Bri. J. Clin. Pharmacol. (1998) 45: 525-538 (非特許文献3)参照)。シトクロムP450 2C9は、ラセミ化合物のα-(フェノキシ)フェニル酢酸、例えば、ハロフェン酸により阻害される。したがって、ラセミ化合物のハロフェナートの投与は、抗凝固剤、抗炎症剤およびシトクロムP450 2C9によって代謝される他の薬物を含め、他の薬物とのさまざまな薬物相互作用の問題を引き起こすことがある。
【0005】
ハロフェン酸の(-)-エナンチオマーはその(+)-エナンチオマーに比べて、シトクロムP450 2C9を阻害するその能力で約20倍活性の低いことが分かっている(例えば、米国特許第6,262,118号(特許文献1)参照)。したがって、薬物相互作用の可能性を減らすために(+)-エナンチオマーを実質的に含まない、ハロフェン酸またはその誘導体の(-)-エナンチオマーを投与することが望ましい。
【0006】
生物活性は効果的な薬物に必須の条件であるが、化合物は同様に大規模に製造できなければならず、化合物の物理的特性は、製剤化された活性成分の有効性および費用に顕著に影響を与えうる。
【0007】
薬学的に有用な化合物のなかには、化合物の非晶質の形態および異なる結晶性固体の形態に直面することが多々ある。溶解度、融点/吸熱最大値、密度、硬度、結晶形状および安定性を含めた物理的特性は、同一化合物の異なる形態によって全く異なることがある。
【0008】
結晶性固体および非晶質の形態は、散乱技術、例えば、x線粉末回折パターンにより、分光法、例えば、赤外分光法、固体13Cおよび19F核磁気共鳴分光法によりならびに熱的技術、例えば、示差走査熱量測定または異なる熱分析により特徴付けることができる。異なるバッチの化合物のx線粉末回折パターンのピーク強度は若干異なるだけかもしれないが、ピークおよびピーク位置は特定の結晶性固体または非晶質の形態に特有である。さらに、赤外、ラマンおよび熱的方法は、結晶性の形態および固体非晶質の形態を分析および特徴付けるのに使われている。固体および非晶質の形態は、当技術分野において公知の手順にしたがい測定されたX線粉末回折パターンのデータによって特徴付けることができる(J. Haleblian, J. Pharm. Sci. 1975 64:1269-1288 (非特許文献4)、およびJ. Haleblain and W. McCrone, J. Pharm. Sci. 1969 58:911-929 (非特許文献5)を参照のこと)。
【0009】
(i) 製造工程の間に十分な化学的安定性を保持する、(ii) 効率的に調製され、精製され、回収される、(ii) 薬学的に許容される溶媒中で許容される溶解度を与える、(iii) 化合物の物理的および化学的性質の変化または分解がごくわずかなまま操作(例えば、流動性および粒径)ならびに製剤化しやすい、(iv) 製剤の中で許容される化学的安定性を示す適当な形態を特定するという問題がある。さらに、高いモル百分率の活性成分を含有する形態は、それらが治療的に有効な用量をもたらすよう製剤化され投与されなければならない材料の量を最小限にするので、極めて望ましい。これらのたびたび相反する必要条件によって、適当な形態の特定は、薬物開発が本格的に進行する前に、熟練した製薬科学者によって解決されなければならない困難かつ重要な問題になる。
【0010】
それゆえ、(-)-ハロフェナートの結晶性固体および非晶質の形態ならびに(-)-ハロフェナートの結晶性固体の形態を生成するのに効果的な工程が必要とされている。ハロフェナートがインスリン抵抗性、2型糖尿病および高脂血症の日常的な処置に有効となるには、上記の難事および不足に対する解決策が必要である。
【0011】
ビフェニル化合物は一般に、結晶性、水難溶性かつ疎水性であり、結果的に薬学的製剤の調製難および生体利用性に関連した問題を引き起こす。したがって、(-)-ハロフェナートの非晶質の形態および結晶性固体の形態を発見するためおよびそれらの特性を詳しく調べるため、努力がなされてきた。5つの結晶性固体の形態および1つの非晶質の形態が見出されている。本発明は(-)-ハロフェナートの非晶質の形態および結晶性固体の形態、ならびにいっそう良好な有害効果プロファイルを与えながらも、インスリン抵抗性、2型糖尿病および高脂血症を緩和する方法を提供することにより上記の必要性を満たす。
【0012】
【特許文献1】米国特許第6,262,118号
【特許文献2】米国特許出願第10/656,567号
【非特許文献1】Friedberg, S. J. et al., Clin. Res. (1986) Vol. 34, No. 2: 682A
【非特許文献2】Vesell, E. S. and Passantanti, G. T., Fed. Proc. (1972) 31(2): 538
【非特許文献3】Miners, J. O. et al, Bri. J. Clin. Pharmacol. (1998) 45: 525-538
【非特許文献4】J. Haleblian, J. Pharm. Sci. 1975 64:1269-1288
【非特許文献5】J. Haleblain and W. McCrone, J. Pharm. Sci. 1969 58:911-929
【発明の開示】
【0013】
発明の概要
本発明は実質的に純粋な結晶性固体または非晶質の形態の式(I)の化合物を提供する:

【0014】
1つの態様では、本発明は、本発明の目的のために形態A、B、C、DおよびEと特定される、結晶性固体の形態の、「(-)-2-アセトアミドエチル4-クロロフェニル-(3-トリフルオロメチルフェノキシ)-アセテート」、「(3-トリフルオロメチルフェノキシ)-(4-クロロフェニル)酢酸2-アセチルアミノエチルエステル」または「(-)-ハロフェナート」に関する。形態AからEは無水である。別の態様では、本発明は実質的に純粋な非晶質の形態の(-)-ハロフェナートに関する。
【0015】
上記の態様の各々のなかで、本発明は実質的に純粋な形態の結晶性形態および非晶質形態の各々を提供する。
【0016】
別の局面では、本発明は、以下の段階のうち少なくとも1つを含む、実質的に純粋な形態を含む、結晶性固体の形態Aの(-)-ハロフェナートの調製方法を提供する:
(i) ヘプタン、2-プロパノール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの溶媒の中で(-)-ハロフェナートを加熱する段階;約50℃〜-10℃の温度で結晶化する段階ならびに結晶が0.05%未満の溶媒を含むようになるまで乾燥する段階;
(ii) (-)-ハロフェナートの結晶性固体の形態Bの結晶を乾燥する段階;
(iii) (-)-ハロフェナートの結晶性固体の形態Cの結晶を乾燥する段階;
(iv) ヘプタン、2-プロパノール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの溶媒の中で(-)-ハロフェナートを加熱する段階;(-)-ハロフェナートの固体形態の結晶の存在下、約50℃〜-10℃の温度で結晶化する段階ならびに結晶が0.05%未満の溶媒を含むようになるまで乾燥する段階;および
(v) アセトニトリル、ベンゼン、シクロヘキサノール、t-ブチルメチルエーテルおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの溶媒から(-)-ハロフェナートを結晶化する段階ならびに乾燥する段階。
【0017】
別の局面では、本発明は実質的に純粋な結晶性固体の形態Bを含む、固体形態Bの(-)-ハロフェナートの調製方法であって、ヘプタン、2-プロパノール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの溶媒から、かつ約20℃〜-10℃の温度で(-)-ハロフェナートを結晶化する段階、ならびに結晶が約2%〜約3%の溶媒を含むようになるまで乾燥する段階を含む方法を提供する。
【0018】
別の局面では、本発明は実質的に純粋な結晶性固体の形態Cを含む、結晶性固体の形態Cの(-)-ハロフェナートの調製方法であって、ヘプタン、2-プロパノール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの溶媒から、かつ約20℃〜-10℃の温度で(-)-ハロフェナートを結晶化する段階、ならびに結晶が約0.05%〜約0.3%の溶媒を含むようになるまで乾燥する段階を含む方法を提供する。
【0019】
別の局面では、本発明は実質的に純粋な結晶性固体の形態Dを含む、結晶性固体の形態Dの(-)-ハロフェナートの調製方法であって、アセトニトリル、ベンゼン、シクロヘキサノール、t-ブチルメチルエーテル、メタノール、水およびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの溶媒から(-)-ハロフェナートを結晶化する段階、ならびに乾燥する段階を含む方法を提供する。
【0020】
別の局面では、本発明は実質的に純粋な結晶性固体の形態Eを含む、結晶性固体の形態Eの(-)-ハロフェナートの調製方法であって、t-ブチルメチルエーテルおよびヘプタンから(-)-ハロフェナートを結晶化する段階ならびに乾燥する段階を含む方法を提供する。
【0021】
別の局面では、本発明は実質的に純粋な非晶質の形態を含む、非晶質の形態の(-)-ハロフェナートの調製方法であって、(-)-ハロフェナートを高湿度で加熱する段階を含む方法を提供する。
【0022】
本発明は同様に、薬学的に許容される担体ならびに結晶性固体の形態A、B、C、D、Eおよび非晶質の形態からなる群より選択される実質的に純粋な形態などの(-)-ハロフェナートの治療的有効量を含む薬学的組成物を提供する。
【0023】
別の局面では、本発明は、結晶性固体の形態A、B、C、D、Eおよび非晶質の形態からなる群より選択される実質的に純粋な形態の(-)-ハロフェナートの治療的有効量ならびに薬学的に許容される担体を含む、哺乳動物において2型糖尿病を予防するまたは処置する/調節する方法を提供する。本発明はさらに、哺乳動物においてインスリン抵抗性を調節する方法およひ高脂血症を緩和する方法であって、結晶性固体の形態A、B、C、D、Eおよび非晶質の形態からなる群より選択される実質的に純粋な形態の(-)-ハロフェナートの治療的有効量を哺乳動物に投与する段階を含む方法を提供する。
【0024】
発明の詳細な説明
I. 定義
本明細書において用いられる「1つの(a)」または「1つの(an)」という語句の存在は、1つまたは複数のその存在をいい、例えば、化合物(a compound)とは、1つもしくは複数の化合物または少なくとも1つの化合物をいう。したがって、「1つの(a) (または1つの(an))」、「1つまたは複数の」、および「少なくとも1つの」という用語は、本明細書において互換的に使用することができる。
【0025】
本明細書において用いられる「約」という語句は、異なる機器、試料、および試料調製物のなかで得られた測定値に見られるバラツキを意味する。このようなバラツキとしては、例えば、熱測定の束一性を挙げることができる。異なるx線回折装置と結晶性固体の形態の試料調製物との間の典型的なバラツキは、約2θ=0.2°である。ラマンおよびIR分光計の典型的なバラツキは、分光計の分解能の約2倍である。使用された分光計の分解能は、約2 cm-1であった。
【0026】
本明細書において用いられる「溶媒和物」という用語は、本発明によって調製される場合には約0.3%を超える量で、非共有結合性の分子間力によって結合された、化学量論的または非化学量論的な量の溶媒をさらに含む本発明の化合物またはその塩を意味する。
【0027】
本明細書において用いられる「水和物」という用語は、非共有結合性の分子間力によって結合された、化学量論的または非化学量論的な量の水をさらに含む本発明の化合物またはその塩を意味する。水和物は、水がその分子状態をH2Oとして保ち続ける物質の1つとの1つまたは複数の水分子の組み合わせであって、1つまたは複数の水和物を形成できるその組み合わせによって形成される。
【0028】
本明細書において用いられる「無水の」という用語は、本発明によって調製される場合には約3重量%に満たない水または溶媒しか含まない本発明の化合物またはその塩を意味する。
【0029】
本明細書において用いられる「乾燥する」という用語は、本発明の化合物から溶媒および/または水を除去する方法であって、他に特に規定のない限り、含まれる溶媒および/または水のレベルが許容されるレベルに達するまで大気圧でまたは減圧下でおよび加熱してまたは加熱なしで行われうるその方法を意味する。
【0030】
本明細書において用いられる「多形」という用語は、化合物が異なる結晶充填配置で結晶化できる結晶構造であって、その全てが同じ元素組成を有するものを意味する。異なる結晶形態は、通常、異なるX線回折パターン、赤外スペクトル、融点/吸熱最大値、密度硬度、結晶形状、光学的および電気的特性、安定性ならびに溶解性を有する。再結晶溶媒、結晶化の速度、保存温度、およびその他の要因が1つの結晶形態を優位にさせる原因となることがある。
【0031】
本明細書において用いられる「固体(の)形態」という用語は、化合物が異なる充填配置で結晶化しうる結晶構造を意味する。固体形態は、その用語が本発明において用いられる場合、多形、水和物、および溶媒和物を含む。同じ化合物の、異なる多形を含め、異なる固体形態は、異なるx線粉末回折パターンならびに赤外スペクトル、ラマンスペクトルおよび固体NMRスペクトルを含め、異なるスペクトルを示す。それらの光学的、電気的な、安定特性および溶解特性は同様に、異なる場合がある。
【0032】
本明細書において用いられる「特徴付ける」という用語は、化合物のある固体形態を化合物のその他の固体形態と識別するためX線粉末回折法、赤外線分光法、ラマン分光法および/または固体NMR法などの分析的測定のデータを選別することを意味する。
【0033】
「哺乳動物」という用語は、非限定的に、ヒト、家庭用動物(例えば、イヌまたはネコ)、農場動物(ウシ、ウマまたはブタ)、サル、ウサギ、マウスおよび実験動物を含む。
【0034】
「インスリン抵抗性」という用語は一般的に、グルコース代謝の障害と定義することができる。より具体的には、インスリン抵抗性は、インスリンが広範囲の濃度にわたりその生物学的作用を及ぼす能力の低下により、予想されるよりも低い生物学的効果しかもたらさないことと定義することができる(例えば、Reaven, G. M., J. Basic & Clin. Phys. & Pharm. (1998) 9: 387-406およびFlier, J. Ann Rev. Med. (1983) 34:145-60を参照)。インスリン抵抗性の者は、グルコースを適切に代謝する能力が減少しており、インスリン療法に対し、仮にあったとしてもほとんど反応しない。インスリン抵抗性の症状発現としては、筋肉におけるグルコースの取込み、酸化および貯蔵に関する不十分なインスリン活性化ならびに脂肪組織における脂肪分解のかつ肝臓におけるグルコース産生および分泌の不適切なインスリン抑制が挙げられる。インスリン抵抗性は、多嚢胞性卵巣症候群、耐糖能異常(IGT)、妊娠性糖尿病、高血圧、肥満、アテローム性動脈硬化症およびさまざまなその他の障害を引き起こすかまたはこれらの一因となることがある。最終的に、インスリン抵抗性の個体は、糖尿病状態に達する点まで進行しうる。耐糖能障害、血漿トリグリセリドの増加および高比重リポタンパク質コレステロール濃度の減少、高血圧、高尿酸血症、小型高密度低比重リポタンパク質粒子、ならびにいっそう高い血中1型プラスミノゲン活性化因子阻害剤レベルとのインスリン抵抗性の関連は、「症候群X」といわれている(例えば、Reaven, G. M., Physiol. Rev. (1995) 75: 473-486を参照)。
【0035】
「真性糖尿病」または「糖尿病」という用語は、体内の適切な血糖レベルを維持することに不全を来たす、グルコースの産生および利用での代謝欠陥によって一般的に特徴付けられる疾患または状態を意味する。これらの欠陥の結果が、「高血糖症」といわれる血中グルコースの上昇である。糖尿病の2つの主な形態は1型糖尿病および2型糖尿病である。上記のように、1型糖尿病は一般的に、グルコース利用を調節するホルモンであるインスリンの絶対的欠乏の結果である。2型糖尿病は正常な、または場合によりいっそう高いレベルのインスリンにもかかわらず生じることが多く、組織がインスリンに対し適切に反応できないことから生じうる。大部分の2型糖尿病患者はインスリン抵抗性であり、インスリン分泌が末梢組織のインスリン反応抵抗性を相殺できないという点で、インスリンの相対的欠乏を有する。さらに、多くの2型糖尿病患者は肥満である。その他のタイプのグルコース恒常性障害としては、正常なグルコース恒常性と糖尿病との間の代謝中間段階である耐糖能異常、および1型または2型糖尿病の病歴がない女性における妊娠中の耐糖能障害である妊娠糖尿病が挙げられる。
【0036】
「二次性糖尿病」という用語は、以下を含む、その他の識別可能な病因から生じる糖尿病である:β細胞機能の遺伝的欠損(例えば、常染色体遺伝の有る早期発症型の2型糖尿病である「MODY」といわれる若年者の成人発症型糖尿病;例えば、Fajans S. et al., Diabet. Med. (1996) (9 Suppl 6): S90-5 and Bell, G. et al., Annu. Rev. Physiol. (1996) 58: 171-86を参照);インスリン作用における遺伝的欠損;外分泌膵臓の疾患(例えば、血色素症、膵炎、および嚢胞性線維症);過剰のホルモンがインスリン作用を妨害するある種の内分泌疾患(例えば、末端肥大症における成長ホルモンおよびクッシング症候群におけるコルチゾール);インスリン分泌を抑制するある種の薬物(例えば、フェニトイン)またはインスリン作用を阻害するある種の薬物(例えば、エストロゲンおよびグルココルチコイド);および感染(例えば、風疹、コクサッキー、およびCMV)によって引き起こされる糖尿病;ならびにその他の遺伝的症候群。2型糖尿病、耐糖能異常、および妊娠性糖尿病に対する診断のガイドラインは、米国糖尿病学会によって概略が示されている(例えば、The Expert Committee on the Diagnosis and Classification of Diabetes Mellitus, Diabetes Care, (1999) Vol 2 (Suppl 1): S5-19を参照)。
【0037】
多くの有機化合物は光学活性型で存在し、すなわちそれらは平面偏光面を回転させる能力を持っている。光学活性化合物について記述する際には、接頭辞RおよびSを用いて、分子の絶対配置をそのキラル中心に関して表示する。接頭辞「d」および「l」または(+)および(-)を利用して、化合物による平面偏光の回転のサインを指定し、(-)またはlは化合物が「左旋性」であることを意味し、(+)またはdは化合物が「右旋性」であることを意味する。エナンチオマーの絶対立体化学の命名法と回転の命名法との間には何の相関関係もない。所与の化学構造について、「立体異性体」と呼ばれるこれらの化合物は、それらが互いの鏡像であること以外は同一である。特定の立体異性体を「エナンチオマー」と呼ぶこともでき、そのような異性体の混合物を「エナンチオマー」混合物または「ラセミ」混合物と呼ぶことが多い。例えば、Streitwiesser, A. & Heathcock, C.H., INTRODUCTION TO ORGANIC CHEMISTRY, 2nd Edition, Chapter 7 (MacMillan Publishing Co., U.S.A. 1981)を参照されたい。(-)-ハロフェナートの旋光度[α]Dはメチルアルコール中で測定された。
【0038】
「キラル」または「キラル中心」とは、4つの異なる置換基を有する炭素原子をいう。しかしながら、キラリティの最終的な判断基準は鏡像の重ね合わせができないことである。
【0039】
「CPTA」および「ハロフェン酸」という用語は、4-クロロフェニル-(3-トリフルオロメチルフェノキシ)-酢酸の酸形態をいう。
【0040】
「エナンチオマー混合物」とは、ラセミ混合物を含めて、エナンチオマーの混合物を有するキラル化合物を意味する。好ましくは、エナンチオマー混合物とは、実質的に等量の各エナンチオマーを有するキラル化合物をいう。より好ましくは、エナンチオマー混合物とは、各エナンチオマーが等量で存在するラセミ混合物をいう。
【0041】
「エナンチオマー濃縮された」とは、1つのエナンチオマーが、分離工程に供される前よりも多量に存在する組成物をいう。
【0042】
「エナンチオマー過剰率」または「%ee」とは、第1エナンチオマーと第2エナンチオマーとの間の差異の量をいう。エナンチオマー過剰率は次式によって定義される:%ee = (第1エナンチオマーの割合(%))-(第2エナンチオマーの割合(%))。すなわち、組成物が98%の第1エナンチオマーおよび2%の第2エナンチオマーを含むなら、第1エナンチオマーのエナンチオマー過剰率は98%-2%すなわち96%である。
【0043】
「光学純度」とは、組成物中に存在する特定のエナンチオマーの量をいう。例えば、ある組成物が98%の第1エナンチオマーおよび2%の第2エナンチオマーを含むなら、第1エナンチオマーの光学純度は98%である。
【0044】
「誘導体」とは、米国特許第3,517,050号に開示されているものなどの化合物をいう。
【0045】
「速度」という用語は、塩の形成をいう場合、速度論的および/または熱力学的速度をいう。
【0046】
本明細書において用いられる「処理する」、「接触させる」または「反応させる」という用語は、表示のおよび/または所望の生成物を生成するのに適した条件の下で、2つまたはそれ以上の試薬を加えることまたは混合することをいう。表示のおよび/または所望の生成物を生成する反応は必ずしも、最初に加えられた2試薬の組み合わせから直接的に得られなくてもよい、すなわち、混合物中において生成される、表示のおよび/または所望の生成物の形成を最終的にもたらす、1つまたは複数の中間体が存在すると理解されるべきである。
【0047】
本明細書において用いられる「その(+)立体異性体を実質的に含まない」という用語は、組成物がハロフェナートの、(+)異性体に比べて実質的に高い割合の(-)異性体を含むことを意味する。本発明において、「(-)-ハロフェナート」という用語は、ハロフェナートがその(+)異性体を実質的に含まないことを意味する。1つの態様では、本明細書において用いられる「その(+)立体異性体を実質的に含まない」という用語は、組成物が少なくとも90重量%の(-)異性体および10重量%またはそれ以下の(+)異性体であることを意味する。別の態様では、本明細書において用いられる「その(+)立体異性体を実質的に含まない」という用語は、組成物が少なくとも91重量%の(-)異性体および9重量%またはそれ以下の(+)異性体を含むことを意味する。別の態様では、本明細書において用いられる「その(+)立体異性体を実質的に含まない」という用語は、組成物が少なくとも92重量%の(-)異性体および8重量%またはそれ以下の(+)異性体を含むことを意味する。別の態様では、本明細書において用いられる「その(+)立体異性体を実質的に含まない」という用語は、組成物が少なくとも93重量%の(-)異性体および7重量%またはそれ以下の(+)異性体を含むことを意味する。別の態様では、本明細書において用いられる「その(+)立体異性体を実質的に含まない」という用語は、組成物が少なくとも94重量%の(-)異性体および6重量%またはそれ以下の(+)異性体を含むことを意味する。別の態様では、本明細書において用いられる「その(+)立体異性体を実質的に含まない」という用語は、組成物が少なくとも95重量%の(-)異性体および5重量%またはそれ以下の(+)異性体を含むことを意味する。別の態様では、本明細書において用いられる「その(+)立体異性体を実質的に含まない」という用語は、組成物が少なくとも96重量%の(-)異性体および4重量%またはそれ以下の(+)異性体を含むことを意味する。別の態様では、本明細書において用いられる「その(+)立体異性体を実質的に含まない」という用語は、組成物が少なくとも97重量%の(-)異性体および3重量%またはそれ以下の(+)異性体を含むことを意味する。別の態様では、本明細書において用いられる「その(+)立体異性体を実質的に含まない」という用語は、組成物が少なくとも98重量%の(-)異性体および2重量%またはそれ以下の(+)異性体を含むことを意味する。別の態様では、本明細書において用いられる「その(+)立体異性体を実質的に含まない」という用語は、組成物が99重量%を超える(-)異性体を含むことを意味する。これらの百分率は組成物中のハロフェナートの総量に基づく。
【0048】
(+)異性体に関係なく本明細書において用いられる「実質的に純粋な」という用語は、組成物がハロフェナートの(+)異性体、(-)-ハロフェナートのその他の結晶性固体の形態および非晶質の形態、ならびに化学的不純物を含めて、溶媒以外のその他の化合物、つまりひとまとめにして「非溶媒化合物」の合計に比べて実質的に高い割合の(-)-ハロフェナートを含むことを意味する。1つの態様では、本明細書において用いられる「実質的に純粋な」という用語は、組成物が少なくとも90重量%の(-)-ハロフェナートおよび10重量%またはそれ以下のその他の非溶媒化合物であることを意味する。1つの態様では、本明細書において用いられる「実質的に純粋な」という用語は、組成物が少なくとも91重量%の(-)-ハロフェナートおよび9重量%またはそれ以下のその他の非溶媒化合物であることを意味する。1つの態様では、本明細書において用いられる「実質的に純粋な」という用語は、組成物が少なくとも92重量%の(-)-ハロフェナートおよび8重量%またはそれ以下のその他の非溶媒化合物であることを意味する。1つの態様では、本明細書において用いられる「実質的に純粋な」という用語は、組成物が少なくとも93重量%の(-)-ハロフェナートおよび7重量%またはそれ以下のその他の非溶媒化合物であることを意味する。1つの態様では、本明細書において用いられる「実質的に純粋な」という用語は、組成物が少なくとも94重量%の(-)-ハロフェナートおよび6重量%またはそれ以下のその他の非溶媒化合物であることを意味する。1つの態様では、本明細書において用いられる「実質的に純粋な」という用語は、組成物が少なくとも95重量%の(-)-ハロフェナートおよび5重量%またはそれ以下のその他の非溶媒化合物であることを意味する。1つの態様では、本明細書において用いられる「実質的に純粋な」という用語は、組成物が少なくとも96重量%の(-)-ハロフェナートおよび4重量%またはそれ以下のその他の非溶媒化合物であることを意味する。1つの態様では、本明細書において用いられる「実質的に純粋な」という用語は、組成物が少なくとも97重量%の(-)-ハロフェナートおよび3重量%またはそれ以下のその他の非溶媒化合物であることを意味する。1つの態様では、本明細書において用いられる「実質的に純粋な」という用語は、組成物が少なくとも98重量%の(-)-ハロフェナートおよび2重量%またはそれ以下のその他の非溶媒化合物であることを意味する。1つの態様では、本明細書において用いられる「実質的に純粋な」という用語は、組成物が少なくとも99重量%の(-)-ハロフェナートおよび1重量%またはそれ以下のその他の非溶媒化合物であることを意味する。1つの態様では、本明細書において用いられる「実質的に純粋な」という用語は、組成物が少なくとも99.5重量%の(-)-ハロフェナートおよび0.5重量%またはそれ以下のその他の非溶媒化合物であることを意味する。別の態様では、本明細書において用いられる「実質的に純粋な」という用語は、組成物が少なくとも90重量%の(-)-異性体の特定の結晶性固体または非晶質の形態および10重量%またはそれ以下の(-)-異性体のその他の結晶性固体または非晶質の形態を含むことを意味する。別の態様では、本明細書において用いられる「実質的に純粋な」という用語は、組成物が少なくとも90重量%の(-)-異性体の特定の結晶性固体または非晶質の形態および10重量%またはそれ以下の(-)-異性体のその他の結晶性固体または非晶質の形態を含むことを意味する。別の態様では、本明細書において用いられる「実質的に純粋な」という用語は、組成物が少なくとも91重量%の(-)-異性体の特定の結晶性固体または非晶質の形態および9重量%またはそれ以下の(-)-異性体のその他の結晶性固体または非晶質の形態を含むことを意味する。別の態様では、本明細書において用いられる「実質的に純粋な」という用語は、組成物が少なくとも92重量%の(-)-異性体の特定の結晶性固体または非晶質の形態および8重量%またはそれ以下の(-)-異性体のその他の結晶性固体または非晶質の形態を含むことを意味する。別の態様では、本明細書において用いられる「実質的に純粋な」という用語は、組成物が少なくとも93重量%の(-)-異性体の特定の結晶性固体または非晶質の形態および7重量%またはそれ以下の(-)-異性体のその他の結晶性固体または非晶質の形態を含むことを意味する。別の態様では、本明細書において用いられる「実質的に純粋な」という用語は、組成物が少なくとも94重量%の(-)-異性体の特定の結晶性固体または非晶質の形態および6重量%またはそれ以下の(-)-異性体のその他の結晶性固体または非晶質の形態を含むことを意味する。別の態様では、本明細書において用いられる「実質的に純粋な」という用語は、組成物が少なくとも95重量%の(-)-異性体の特定の結晶性固体または非晶質の形態および5重量%またはそれ以下の(-)-異性体のその他の結晶性固体または非晶質の形態を含むことを意味する。別の態様では、本明細書において用いられる「実質的に純粋な」という用語は、組成物が少なくとも96重量%の(-)-異性体の特定の結晶性固体または非晶質の形態および4重量%またはそれ以下の(-)-異性体のその他の結晶性固体または非晶質の形態を含むことを意味する。別の態様では、本明細書において用いられる「実質的に純粋な」という用語は、組成物が少なくとも97重量%の(-)-異性体の特定の結晶性固体または非晶質の形態および3重量%またはそれ以下の(-)-異性体のその他の結晶性固体または非晶質の形態を含むことを意味する。別の態様では、本明細書において用いられる「実質的に純粋な」という用語は、組成物が少なくとも98重量%の(-)-異性体の特定の結晶性固体または非晶質の形態および2重量%またはそれ以下の(-)-異性体のその他の結晶性固体または非晶質の形態を含むことを意味する。別の態様では、本明細書において用いられる「実質的に純粋な」という用語は、組成物が少なくとも99重量%の(-)-異性体の特定の結晶性固体または非晶質の形態および1重量%またはそれ以下の(-)-異性体のその他の結晶性固体または非晶質の形態を含むことを意味する。別の態様では、本明細書において用いられる「実質的に純粋な」という用語は、組成物が少なくとも99.5重量%の(-)-異性体の特定の結晶性固体または非晶質の形態および0.5重量%またはそれ以下の(-)-異性体のその他の結晶性固体または非晶質の形態を含むことを意味する。これらの百分率は組成物中のハロフェナートの総量に基づく。
【0049】
「単体での」という用語は、薬学的に許容される賦形剤または担体とともに混合されていないことまたは製剤化されていないことを意味する。
【0050】
「高インスリン血症」という用語は、血中における異常に上昇したインスリンレベルの存在をいう。
【0051】
「分泌促進物質」という用語は、分泌を刺激する物質または化合物を意味する。例えば、インスリン分泌促進物質は、インスリンの分泌を刺激する物質または化合物である。
【0052】
「ヘモグロビン」または「Hb」という用語は、酸素輸送に大きな役割を果たしている、赤血球中に存在する呼吸色素をいう。ヘモグロビン分子は4つのポリペプチドサブユニット(それぞれ、2つのα鎖系および2つのβ鎖系)を含む。各サブユニットは、1つのグロビンタンパク質と、鉄-プロトポルフィリン錯体である1つのヘム分子との会合によって形成される。正常な成体溶血血液中に見出される主なクラスのヘモグロビンは、α2β2サブユニットを有する、成体ヘモグロビン(「HbA」といわれる;以下に記述される、「HbA1」といわれる、糖化ヘモグロビンとそれとを識別するためHbA0ともいわれる)である。HbA22δ2)などの微量成分を正常な成体溶血血液中に見出すこともできる。
【0053】
成体ヘモグロビンHbAのクラスの中には、糖化ヘモグロビン(「HbA1」または「グリコシル化ヘモグロビン」といわれる)が存在しており、これをイオン交換樹脂分画によってHbA1a1、HbA1a2、HbA1b、およびHbA1cにさらに分画することができる。これらのサブクラスの全てが同じ一次構造を有しており、この構造は、正常ヘモグロビンHbAのβサブユニット鎖中のN末端バリンのアミノ基およびグルコース(あるいは、グルコース-6-リン酸またはフルクトース)によるアルジミン(シッフ塩基)の形成、続いてアマドリ転位によるケトアミンの形成によって安定化される。
【0054】
「グリコシル化ヘモグロビン」という用語(「HbA1c」、「GHb」、「ヘモグロビングリコシル化」、「糖尿病管理指標」および「グリコヘモグロビン」ともいわれ;以下「ヘモグロビンA1c」という)は、血漿グルコースによるヘモグロビンβ鎖の非酵素的グリコシル化の安定な産物をいう。ヘモグロビンA1cは血中に糖化ヘモグロビンの主要部分を含む。グリコシル化ヘモグロビンの比率は血中グルコースレベルに比例する。それゆえ、ヘモグロビンA1c形成率は、血漿グルコースレベルの増加に伴って直接的に増加する。グリコシル化は赤血球の120日の寿命の間に一定の比率で生じるため、グリコシル化ヘモグロビンレベルの測定値は、その2〜3ヶ月前の間の個体に対する平均血中グルコースレベルを反映する。それゆえ、グリコシル化ヘモグロビンHbA1cの量の測定は、炭水化物代謝制御の良好な指標とすることができる。したがって、この2ヶ月の血中グルコースレベルは、総ヘモグロビンHbとのHbA1cの比率に基づいて推定することができる。血中のヘモグロビンA1cの分析は、血中グルコースレベルの長期制御を可能にする尺度として使われる(例えば、Jain, S., et al., Diabetes (1989) 38: 1539-1543;Peters A., et al., JAMA (1996) 276: 1246-1252を参照)。
【0055】
糖尿病の「症状」という用語は、本明細書において用いられる場合、その一般的な用法を含めて、多尿症、多渇症、および多食症を含むが、これらに限定されることはない。例えば、「多尿症」とは、一定期間内の大量の尿の排泄を意味し;「多渇症」とは、慢性的な過度の口渇を意味し;および「多食症」とは、過度の摂食を意味する。糖尿病のその他の症状としては、例えば、ある種の感染(特に、真菌感染およびブドウ球菌感染)に対する感受性の増大、悪心、ならびにケトアシドーシス(血中におけるケトン体の産生増加)が挙げられる。
【0056】
糖尿病の「合併症」という用語は、微小血管合併症および巨大血管合併症を含むが、これらに限定されることはない。微小血管合併症は、微小血管の損傷を一般的にもたらす合併症である。これらの合併症としては、例えば、網膜症(眼における血管損傷に起因した視力の欠陥または喪失);神経障害(神経系に対する血管損傷に起因した神経損傷および足の障害);ならびに腎症(腎臓における血管損傷に起因した腎臓疾患)が挙げられる。巨大血管合併症は、大血管の損傷から一般的に生じる合併症である。これらの合併症としては、例えば、心血管疾患および末梢血管疾患が挙げられる。心血管疾患とは、心臓の血管の疾患をいう。例えば、Kaplan, R. M., et al.,「Cardiovascular diseases」HEALTH AND HUMAN BEHAVIOR中, pp. 206-242 (McGraw-Hill, New York 1993)を参照されたい。心血管疾患は一般的に、例えば、高血圧(hypertension) (高血圧(high blood pressure)ともいわれる)、冠状動脈心臓疾患、発作、およびリウマチ心疾患を含めて、いくつかの形態のうちの1つである。末梢血管疾患とは、心臓外部の血管のいずれかの疾患をいう。末梢血管疾患は多くの場合、血液を脚および腕の筋肉に運搬する血管の狭窄である。
【0057】
「アテローム性動脈硬化症」という用語は、関連する医学分野において業務を行っている医師によって認識され理解される、血管の疾患および状態を包含する。アテローム性動脈硬化性心血管疾患、冠状動脈心臓疾患(冠状動脈疾患または虚血性心臓疾患としても知られる)、脳血管疾患および末梢血管疾患は全てアテローム性動脈硬化症の臨床所見であり、それゆえ「アテローム性動脈硬化症」および「アテローム性動脈硬化疾患」という用語によって包含される。
【0058】
「抗高脂血症」という用語は、血中における過度の脂質濃度の、所望のレベルへの低下をいう。
【0059】
「高脂血症」という用語は、血中における異常に上昇した脂質レベルの存在をいう。高脂血症は少なくとも3つの形態で出現しうる:(1) 高コレステロール血症、すなわち、コレステロールレベルの上昇;(2) 高トリグリセリド血症、すなわち、トリグリセリドレベルの上昇;および(3) 複合型高脂血症、すなわち、高コレステロール血症と高トリグリセリド血症との組み合わせ。
【0060】
「調節する」という用語は、機能または状態の処置、予防、抑制、増強または誘導をいう。例えば、本発明の化合物は、ヒトにおいてコレステロールを低下し、それにより高脂血症を抑制することで高脂血症を調節することができる。
【0061】
「処置する」という用語はまた、疾患、状態、または障害と闘う目的でのヒト被験体の管理および看護をも意味し、症状もしくは合併症の発症を予防するための、症状もしくは合併症を緩和するための、または疾患、状態もしくは障害を取り除くための本発明の化合物の投与を含む。
【0062】
「コレステロール」という用語は、細胞膜およびミエリン鞘の必須成分であるステロイドアルコールをいい、本明細書において用いられる場合、その一般的な用法を含む。コレステロールはステロイドホルモンおよび胆汁酸の前駆体としても働く。
【0063】
「トリグリセリド」(「TG」)という用語は、本明細書において用いられる場合、その一般的な用法を含む。TGは、グリセロール分子とエステル結合している3つの脂肪酸分子からなり、エネルギー生産のため筋肉細胞により用いられる脂肪酸または脂肪組織に取り込まれて貯蔵される脂肪酸を貯蔵するよう働く。
【0064】
コレステロールおよびTGは不水溶性であるので、これらは、血漿中において輸送されるためには「リポタンパク質」として知られる特殊な分子複合体の中にパッケージングされなければならない。リポタンパク質は過剰産生および/または不十分な除去に起因して血漿中に蓄積しうる。サイズ、組成、密度、および機能が異なる少なくとも5つの別個のリポタンパク質が存在する。小腸の細胞では、食物中の脂質は、高いTG含量および低いコレステロール含量を有する「カイロミクロン」と呼ばれる、大きなリポタンパク質複合体の中にパッケージングされる。肝臓では、TGおよびコレステロールエステルはパッケージングされ、超低比重リポタンパク質(「VLDL」)と呼ばれるTGに富んだリポタンパク質として血漿中に放出される。超低比重リポタンパク質の主な機能は、肝臓中で作出されたかまたは脂肪組織によって放出されたTGの内因性輸送である。酵素作用を通じて、VLDLは、還元されて肝臓により取り込まれるか、または中間比重リポタンパク質(「IDL」)に変換されるかのいずれかでありうる。IDLは次いで、肝臓により取り込まれるか、またはさらに修飾されて低比重リポタンパク質(「LDL」)を形成するかのいずれかである。LDLは肝臓により取り込まれて破壊されるか、または肝臓外の組織により取り込まれるかのいずれかである。高比重リポタンパク質(「HDL」)は、コレステロール逆輸送と呼ばれるプロセスのなかでコレステロールを末梢組織から除去するのに役立つ。
【0065】
「異脂肪血症」という用語は、低下したおよび/または上昇したリポタンパク質レベル(例えば、上昇したLDL、VLDLレベルおよび低下したHDLレベル)の両方を含む血漿中のリポタンパク質の異常なレベルをいう。
【0066】
例示的な原発性高脂血症としては、以下が挙げられるが、これらに限定されることはない:
(1) 脂肪分子を分解する酵素LPリパーゼでの欠損を引き起こす、稀な遺伝的障害である家族性高カイロミクロン血症。LPリパーゼの欠損は血中における大量の脂肪またはリポタンパク質の蓄積を引き起こしうる;
(2) 基礎をなす欠損がLDL受容体の機能不全および/またはLDL受容体の欠如をもたらす、LDL受容体遺伝子での一連の変異である場合に引き起こされる比較的に一般的な遺伝的障害である、家族性高コレステロール血症。これはLDL受容体による効果のないLDLクリアランスをもたらし、血漿中でのLDLおよび総コレステロールレベルの上昇を引き起こす;
(3) 多発性リポタンパク質型高脂血症としても知られる家族性複合型高脂血症;患者およびその第一度近親者が種々の時点で高コレステロールおよび高トリグリセリドを現しうる遺伝性障害。HDLコレステロールのレベルはやや減少することが多い;
(4) 家族性欠損性アポリポタンパク質B-100は、比較的に一般的な常染色体優性の遺伝的異常である。この欠損はアルギニンからグルタミンへの置換をもたらす単一ヌクレオチド変異により引き起こされ、これによりLDL受容体に対するLDL粒子の親和性の低下が起こりうる。結果的に、これは高い血漿LDLおよび総コレステロールレベルを引き起こしうる;
(5) III型高リポタンパク質血症ともいわれる家族性異常βリポタンパク質血症(Dysbetaliproteinemia)は、異常なアポリポタンパク質E機能とともに血清TGおよびコレステロールレベルの中程度から重度の上昇をもたらす珍しい遺伝性障害である。HDLレベルは、通常、正常である;ならびに
(6) 家族性高トリグリセリド血症は、血漿VLDLの濃度が上昇している一般的な遺伝性障害である。これはトリグリセリドレベルの軽度から中程度の上昇を引き起こすことがあり(通常、コレステロールレベルはそうでなく)、多くの場合、低血漿HDLレベルと関連しうる。
【0067】
例示的な二次性高脂血症での危険因子としては、以下が挙げられるが、これらに限定されることはない:(1) 1型糖尿病、2型糖尿病、クッシング症候群、甲状腺機能低下症(hypothroidism)およびある種の腎不全の病歴などの、疾患危険因子;(2) 経口避妊薬;エストロゲンおよびコルチコステロイドなどの、ホルモン;ある種の利尿薬;および種々のβ遮断薬を含む、薬物危険因子;(3) 総カロリーあたり、40%を超える脂肪食摂取;総カロリーあたり、10%を超える飽和脂肪摂取;1日あたり300 mgを超えるコレステロール摂取;習慣的なおよび過剰なアルコール摂取;ならびに肥満を含む食事性危険因子。
【0068】
「肥満の」および「肥満」という用語は、世界保健機関によれば、男性の場合には27.8 kg/m2および女性の場合には27.3 kg/m2を超える肥満度指数(BMI)をいう(BMIは体重(kg)/身長(m2)に等しい)。肥満は糖尿病および高脂血症を含めた種々の医学的状態に関係している。肥満は2型糖尿病発症の公知の危険因子でもある(例えば、Barrett-Conner, E., Epidemol. Rev. (1989) 11: 172-181;およびKnowler, et al., Am. J Clin. Nutr. (1991) 53:1543-1551を参照)。
【0069】
II. 本発明の固体および非晶質での態様ならびにその調製
本発明は実質的に純粋な結晶性固体および/または非晶質の形態の(-)-ハロフェナート、ならびにその調製の方法、ならびにこれらの形態を含むおよびこれらの形態を単体で含む薬学的組成物を対象とする。(-)-ハロフェナートは以下の一般式を有する:

【0070】
ハロフェナートのラセミ混合物の化学合成は、米国特許第3,517,050号に記述の方法により行うことができ、その教示は参照により本明細書に組み入れられる。個別のエナンチオマーは、米国特許第6,262,118号および米国特許出願第60/608,927号に記述の方法によって、ならびに当業者に公知かつ当業者により使われている従来の方法を用いて、エナンチオマーのラセミ混合物の分割により得ることができる(例えば、Jaques, J., et al., ENANTIOMERS, RACEMATES, AND RESOLUTIONS中, John Wiley and Sons, New York (1981)を参照されたく、その教示は参照により本明細書に組み入れられる)。単純な結晶化およびクロマトグラフィー分割を含むがこれらに限定されない、当業者に公知の他の標準的な分割方法を使用することもできる(例えば、STEREOCHEMISTRY OF CARBON COMPOUNDS (1962) E. L. Eliel, McGraw Hill;Lochmuller, J. Chromatography (1975) 113, 283-302を参照)。さらに、光学的に純粋な異性体を酵素的生体触媒での分割によりラセミ混合物から調製することができる。酵素的生体触媒での分割は、以前に報告されている(例えば、米国特許第5,057,427号および同第5,077,217号を参照されたく、これらの開示は参照により本明細書に組み入れられる)。エナンチオマーを得るその他の方法としては、立体選択的合成が挙げられる(例えば、Li, A. J. et al., Pharm. Sci. (1997) 86:1073-1077を参照)。
【0071】
薬剤有効成分(active pharmaceutical ingredient:API)としての(-)-ハロフェナートの生産工程の開発において、2つの要素、すなわち(-)-ハロフェナートの不純物プロファイルおよび結晶形態が極めて重要であった。最初の単離および結晶化作業の結果、(-)-ハロフェナートの不純物プロファイルは主にCPTAからなり、その存在度は1.07%から3.9%までの幅があることが分かった。APIは不純物レベルが0.2%未満で、熱力学的に最も安定した結晶性固体の形態であることが好ましい。APIの不純物レベルおよび結晶性固体の特性を制御することは困難であるため、必要な純度および適切な結晶形態を提供するための(-)-ハロフェナートの生産工程の開発が必要であった。その後の単離および結晶化作業により、APIの少なくとも5つの結晶性固体の形態(形態A、B、C、DおよびEと呼ばれる)ならびに1つの非晶質の形態の存在が示唆された。1つの態様では、本発明は、非晶質の形態に加えてさらに形態A、形態B、形態C、形態Dおよび形態Eと呼ばれる新規の結晶形態で(-)-ハロフェナートを提供する。
【0072】
本発明の固体形態は、X線粉末回折、ラマン分光法、IR分光法、および熱的方法を含むいくつかの技法のうちの1つまたは複数により記述されてもよい。さらに、そのような技法の組み合わせが本発明を記述するために用いられてもよい。例えば、1つまたは複数のラマン法のピークと組み合わされた1つまたは複数のX線粉末回折のピークが、本発明の1つまたは複数の固体形態を記述するために、それを他の固体形態と区別するように用いられてもよい。
【0073】
形態を特徴付けるものではあるが、固体形態を特徴付けるために、全部の回折パターンまたはスペクトルのみに頼る必要はない。医薬分野の当業者は、固体形態と他の特徴付けられる形態をサブセットが区別するという条件で、固体形態を特徴付けるために、回折パターンまたはスペクトルのサブセットが用いられてもよいことを認識している。したがって、1つまたは複数のX線粉末回折のピークのみが、固体形態を特徴付けるために用いられてもよい。同様に、1つまたは複数のIRピークのみ、またはラマン法のピークのみが、固体形態を特徴付けるために用いられてもよい。このような特徴付けは、形態間でX線、ラマン法、およびIRデータを比較して特性ピークを決定することにより行われる。
【0074】
このような特徴付けにおいては他の技法のデータを組み合わせてもよい。したがって、形態を特徴付けるために、x線粉末回折の1つまたは複数のピークおよび、例えばラマン法またはIRデータに頼ってもよい。例えば、1つまたは複数のx線ピークが形態を特徴付ける場合、形態を特徴付けるためにラマン法またはIRデータを検討することも可能である。薬剤製剤化において、例えばラマン法のデータを検討することが有用な場合もある。
【0075】
(-)-ハロフェナートのD形態についての最初の試験で、まず3つの異なる結晶形態、すなわち形態A、BおよびCが確認された。この多形は6/1 (v/v)のヘプタン/2-プロパノールから結晶化する工程の3つの段階で確認された。(1) 結晶性の形態Bは、25%水性イソプロピルアルコールから粗湿性ケーキを結晶化した後に単離され、(2) 結晶性の形態Cは、粗湿性ケーキを乾燥させて溶媒除去を達成した後に形成され、さらに(3) 結晶性固体の形態Aは、完全な溶媒除去の後に形成された。実施例に記載のプロトコルを用いて、これらの3つの多形を生成して相互変換し、溶媒の取り込みおよび多形の相互変換の同時並行性を実証することが可能である。
【0076】
したがって、6/1のヘプタン/2-プロパノール(IPA)中の(-)-ハロフェナートのスラリーをろ過した後に、単離された白色結晶性固体を室温の減圧下で乾燥させ、形態学的に異なる結晶性固体(-)-ハロフェナート/形態Bを得た。図15および13は、それぞれ結晶性固体のDSCトレースおよびX線粉末回折パターンを示す。DSCトレースにおいて、約71℃での吸熱ピークの尖鋭さは特に注目に値する。また、X線粉末回折パターンにおいて、2θ=約6.2°および2θ=約12.4°のピークは、このパターンの特性ピークである(X線粉末回折パターンの理論に関する考察については、H. P. Klug and L. E. Alexander, J. Wiley, New York (1974)による「X-ray diffraction procedures」を参照)。2θ=約6.2°および2θ=約12.4°のピークが形態Bを形態A、C、D、およびEに対して特徴付けるのは、形態Bの2つのピークの、X線粉末回折ピークの近似精度の2倍である0.4°2θ以内に、それらの形態がいずれもピークを持たないことによる。
【0077】
任意のx線粉末回折ピークの典型的な変動が2θ=約0.2°であるため、多形を特徴付けるためにピークを選択する場合は、別の多形のピークの値の少なくとも2倍(すなわちθ=0.4°)のピークを選択する。したがって、特定の多形のx線パターンにおいて、別の多形のピークの少なくともθ=0.4°のピークが、その多形を特徴付けるために単独または別のピークと一緒に用いられるピークと見なされるのにふさわしい。表1に示すように、形態Bの場合、2θ=約6.2°および2θ=約12.4°のピークの組は、形態A、C、D、またはEのいずれのピークからも少なくとも0.4°θ離れている。表1および2は、形態A、B、C、DおよびEの主要ピークを特定する。
【0078】
これらの表中のデータは、2シータ(2θ)角度を小数第4位まで報告している図2、14、19、27および32に基づく。x線データのバラツキは小数第1位にあるため、本発明は小数点第一位まで記述している。例えば、表2に22.05と記載されているピークは、2θ=22.0479°と記載の図2に由来する。小数点第一位までは、この値は2θ=22.1°ではなく2θ=22.0°である。したがって、「2θ=約22.0°」の値は「2θ=約22.1°」が不適な場合に本発明の記述を助けるために利用される。同様に、表2の2θ=17.45 °の値は、2θ=17.4451°と記載の図19に由来し、したがって2θ=17.5°ではなく、2θ=17.4°に丸められている。このリストから、小数点第一位までと解釈すると、2θ=約6.2°(表には2θ=6.16°と記載)のピークは、形態A、CまたはDのいずれのピークからも0.4°2θより大きく離れていることが分かる。したがって、2θ=約6.2°のピークは、形態Bを形態A、CおよびDと区別するのに用いることができる。それを単独で形態Eに関して区別するのに用いることはできないのは、その形態が2θ=約6.4°のピークを有することによる(表1および2では2θ=6.43°)。このため、形態Bと形態Eを区別するデータがもっと必要である。2θ=約12.4°のピーク(表1および2では2θ=12.42°)は、形態Eのいずれのピークからも0.4°2θを上回って離れている。
【0079】
図27の形態Eのピークリストに2θ=約12.4°のピークが記載されているが、図26の実際のパターンにおけるその位置の強度はノイズと識別不能で、また確かに、図27に記載されているピークの強度は最大ピークのわずか4%である。このことから、図27で2θ=約12.4°のピークと呼ばれるものはピークではないため、表1のピークリストに記載しなかった。ちなみに、図13の形態BのX線粉末回折パターンは、2θ=約12.4°に明確に識別可能なピークを有する。したがって、2θ=12.4°のピークは、形態Bを形態Eと区別するのに用いることができる。したがって、2θ=約6.2°および2θ=約12.4°の形態B のピークは、形態Bを形態A、C、D、およびEに対して特徴付ける。工程のこの段階で単離された固体形態は約2〜3重量%の溶媒を含み、乾燥またはスラリー化により他の固体形態に変換されることが可能である。
【0080】
(表1)(-)-ハロフェナートのXRPDピーク(°2θ)および相対強度リスト(I/I1)

【0081】
(表2)有効数字を小数点以下2けたとする、固有の、 結晶性(-)-ハロフェナートのXRPDピーク(±0.4°2θ以内のピークで、それぞれの結晶性形態の固有の集合を作り出すものは他にはない)

【0082】
XRPDパターンにおいて、選択配向はピーク強度に作用しうるが、ピーク位置には作用しない。(-)-ハロフェナートの場合、選択配向は22〜30°2θの領域に最も大きな影響を与える。選択配向はこの領域のいくつかのピークを減少(または増加)させ、互いの分離を減少させる。晶癖は固体形態間で明確に区別されず、針状、羽根状、板状、および不規則形の粒子を含むそれぞれの形態に、さまざまな晶癖が観察されている。
【0083】
したがって、1つの態様では、本発明は実質的に純粋な形態を含む、結晶性固体の形態の(-)-ハロフェナートに関し、これは以下のうち少なくとも1つを提供し、本明細書では形態Bと呼ばれる:
(i) 図13に実質的に一致するX線粉末回折パターン;および
(ii) 図15に実質的に一致するDSCスキャン。
【0084】
別の態様では、本発明は実質的に純粋な形態を含む、結晶性固体の形態の(-)-ハロフェナートに関し、これは以下のうち少なくとも1つを提供し、本明細書では形態Bと呼ばれる:
(i) 2θ=約6.2°および2θ=約12.4°のピークを含むX線粉末回折パターン;ならびに
(ii) 約71℃のDSC吸熱最大。
【0085】
別の態様では、本発明は実質的に純粋な形態を含む、結晶性固体の形態の(-)-ハロフェナートに関し、これは2θ=約6.2°および2θ=約12.4°のピークを含むX線粉末回折パターンを提供し、本明細書では形態Bと呼ばれる。
【0086】
本発明のさらに別の態様では、本発明は実質的に純粋な形態を含む、結晶性固体の形態の(-)-ハロフェナートに関し、これは2θ=約6.2°、2θ=約12.4°のピーク、ならびに2θ=約18.8°、2θ=約20.1°、および2θ=約14.0°から選択される少なくとも1つのピークを含むx線粉末回折パターンを提供し、本明細書では形態Bと呼ばれる。
【0087】
別の態様では、本発明は実質的に純粋な形態を含む、結晶性固体の形態の(-)-ハロフェナートに関し、これは約71℃のDSC吸熱最大を提供し、本明細書では形態Bと呼ばれる。
【0088】
得られた湿性ケーキを50℃の減圧下でさらに乾燥させた際に、白色の結晶性固体、多形のCが単離された。図17および16は、それぞれこの結晶性固体のDSCトレースおよびX線粉末パターンを示す。これらの結果はヘプタンのレベルが約0.3重量%にまで下がった場合に観察された。このデータは、形態Cから形態Aへ多形の相互変換を引き起こすために、0.3重量%またはそれ以上のヘプタンが必要であったことを示す。DSCトレースにおいて、約75℃での転移が弱いことは注目に値するが、X線粉末回折パターンにおける2θ=約9.9°および2θ=約13.3°のピークは、形態Cを形態A、B、D、およびEに対して特徴付ける。これは、X線粉末回折ピークの近似精度で、形態Cの2つの特性ピークの0.4°2θ以内に、それらの形態がいずれもピークを持たないからである(表1および2参照)。そのリストから、2θ=約9.9°および2θ=13.3°(表1および2にはそれぞれ2θ=9.86°および2θ=13.30°と記載)のピークは、小数点第一位までと解釈すると、形態A、B、DまたはEのいずれのピークからも0.4°2θより大きく離れていることが分かる。したがって、2θ=約9.9°および2θ=13.3°のピークは、形態Bを形態A、B、DおよびEと区別するのに用いることができる。形態Cは、乾燥またはスラリー化により他の形態に変換されることが可能である。
【0089】
したがって、1つの態様では、本発明は実質的に純粋な形態を含む、結晶性固体の形態の(-)-ハロフェナートに関し、この化合物は以下のうち少なくとも1つを提供し、本明細書では形態Cと呼ばれる:
(i) 図17に実質的に一致するX線粉末回折パターン;および
(ii) 図16に実質的に一致するDSCスキャン。
【0090】
別の態様では、本発明は実質的に純粋な形態を含む、結晶性固体の形態の(-)-ハロフェナートに関し、この化合物は2θ=約9.9°および2θ=約13.3°のピークを含むX線粉末回折パターンを提供し、本明細書では形態Cと呼ばれる。
【0091】
本発明のさらに別の態様では、本発明は実質的に純粋な形態を含む、結晶性固体の形態の(-)-ハロフェナートに関し、これは2θ=約9.9°、2θ=約13.3°のピーク、ならびに2θ=約15.5°、2θ=約23.1°、2θ=約14.7°、および2θ=約25.9°から選択される少なくとも1つのピークを含むx線粉末回折パターンを提供し、本明細書では形態Cと呼ばれる。
【0092】
形態Cの形態A への変換は、白色の結晶性固体を50℃の減圧下でさらに乾燥することにより達成された。図3、7および1は、それぞれこの結晶性固体のIRスペクトル、DSCトレース、およびX線粉末パターンを示す。これらの結果は残留溶媒が除去された際に観察された。これらのデータと、(-)-ハロフェナートの他の結晶性固体の形態で示されるデータとの比較は、この結晶性固体が固有の結晶性固体の形態を持つことを明確に示す。(-)-ハロフェナートの形態Aの示差走査熱量測定(Differential scanning calorimetry:DSC)は、78℃における吸熱の融解開始とともに約80℃の吸熱最大を規定した(図10参照)。高温顕微鏡検査は、約73℃における融解開始とともに、約76℃における融解完了を示した(図8参照)。DSCトレースにおける80℃の強力な転移は、図15および図17に示す71℃および75℃のピークとは対照的である。分解は約200℃で開始した。サイクリックDSC試験時に発熱事象がないことからも明らかなように、融解した固体は冷却により再結晶しなかったが、光学顕微鏡検査で観察したとおり、前記材料は閉鎖系において溶解物から結晶化すると思われる(図9参照)。X線粉末回折パターンは、多形Bと比較した場合に、この結晶性固体が固有であることを決定的に証明する。このパターンは、形態Bで得られるパターンとは明確に異なる2θ=約10.8°、2θ=約22.0°、および2θ=約29.3°のピークによって特徴付けられる(表1および2参照)。2θ=約10.8°、2θ=約22.0°、および2θ=約29.3°のピークが形態Aを特徴付けるのは、形態B、D、またはEのいずれもが、それぞれ2θ=約10.8°、2θ=約22.0°、および2θ=約29.3°の0.4°2θ以内にある3つのピークを有さないことによる。形態AはDSCによれば約80℃で吸熱最大を示し、形態CはDSCによれば約75℃で融解する。したがって、DSCは、本発明の操作パラメータにしたがい測定が行われる場合に、形態Aを形態Cと区別するのに用いることができる。その結果、形態A の2θ=約10.8°、2θ=約22.0°、および2θ=約29.3°のX線回折ピークは、約80℃のDSC最大吸熱とともに、形態Aを形態B、C、D、およびEに対して特徴付ける。TGAの25〜100℃における0.16%の重量減少が示すように、これは無水の材料である。この材料はさらに、65%相対湿度(relative humidity:RH)では重量が増加せず、また65〜95% RHではわずか1.6%しか重量が増加せず、水分収着分析後に本質的に変化がなかったことから、非吸湿性であることが分かった。すべての重量増加は5% RHの脱着試験中に失われた(図11参照)。溶液相1H NMRスペクトルは、形態Aが0.05%未満の溶媒を含有することを示した(図12参照)。工程のこの段階で単離された結晶性固体は、熱力学的に最も安定した結晶性の白色固体を提供し、分解せずに長期間(何ヶ月も)保存可能である。
【0093】
結晶形態Aの生成は、アセトニトリル、ベンゼン、シクロヘキサノール、t-ブチルメチルエーテル、メタノール、メチルエチルケトン、トルエン、テトラヒドロフランおよびそれらの組み合わせからの結晶化によっても起こる。
【0094】
したがって、1つの態様では、本発明は実質的に純粋な形態を含む、結晶性固体の形態の(-)-ハロフェナートに関し、これは以下のうち少なくとも1つを提供し、本明細書では形態Aと呼ばれる:
(i) 図3に実質的に一致する赤外スペクトル;
(ii) 図5に実質的に一致するラマンスペクトル;
(iii) 図1に実質的に一致するX線粉末回折パターン;および
(iv) 図7に実質的に一致するDSCスキャン。
【0095】
したがって、1つの態様では、本発明は実質的に純粋な形態を含む、結晶性固体の形態の(-)-ハロフェナートに関し、これは図3に実質的に一致するIRスペクトルを提供し、本明細書では形態Aと呼ばれる。
【0096】
したがって、1つの態様では、本発明は実質的に純粋な形態を含む、結晶性固体の形態の(-)-ハロフェナートに関し、これは図5に実質的に一致するラマンスペクトルを提供し、本明細書では形態Aと呼ばれる。
【0097】
別の態様では、本発明は実質的に純粋な形態を含む、結晶性固体の形態の(-)-ハロフェナートに関し、これは以下のうち少なくとも1つを提供し、本明細書では形態Aと呼ばれる:
(i) 波数cm-1で表される約3479、3322、3082、2886、2842、1918、1850、1753、1709、1651、1596、1548、1494、1461、1430、1371、1340、1272、1231、1127、1070、1017、926、903および884の吸収ピークを含む赤外スペクトル;
(ii) 波数cm-1で表される約3087、3071、2959、2933、2857、1747、1663、1647、1622、1598、1451、1433、1333、1290、1274、1231、1208、1177、1095、1015、1001、964、948、926、905、882、872、833、767、757、723および631の吸収ピークを含むラマンスペクトル;
(iii) 2θ=約10.8°、2θ=約22.0°、および2θ=約29.3°のピークを含むX線粉末回折パターンならびに
(iv) 約80℃のDSC吸熱最大。
【0098】
別の態様では、本発明は実質的に純粋な形態を含む、結晶性固体の形態の(-)-ハロフェナートに関し、これは2θ=約10.8°、2θ=約22.0°および2θ=約29.3°のピークを含むX線粉末回折パターンを提供し、本明細書では形態Aと呼ばれる。
【0099】
本発明のさらに別の態様では、本発明は実質的に純粋な形態を含む、結晶性固体の形態の(-)-ハロフェナートに関し、これは2θ=約10.8°、2θ=約22.0°、2θ=約29.3°のピークを含むx線粉末回折パターン、ならびに約3322 cm-1および約2886 cm-1から選択される少なくとも1つのピークを含む赤外スペクトルを提供し、本明細書では形態Aと呼ばれる。
【0100】
本発明のさらなる態様では、本発明は実質的に純粋な形態を含む、結晶性固体の形態の(-)-ハロフェナートに関し、これは2θ=約10.8°、2θ=約22.0°、2θ=約29.3°のピークを含むx線粉末回折パターン、ならびに約3087 cm-1および約1663 cm-1から選択される少なくとも1つのピークを含むラマンスペクトルを提供し、本明細書では形態Aと呼ばれる。
【0101】
本発明の追加の態様では、本発明は実質的に純粋な形態を含む、結晶性固体の形態の(-)-ハロフェナートに関し、これは2θ=約10.8°、2θ=約22.0°、2θ=約29.3°のピークを含むx線粉末回折パターン、約3322 cm-1および約2886 cm-1から選択される少なくとも1つのピークを含む赤外スペクトル、ならびに約3087 cm-1および約1663 cm-1から選択される少なくとも1つのピークを含むラマンスペクトルを提供し、本明細書では形態Aと呼ばれる。
【0102】
別の態様では、本発明は実質的に純粋な形態を含む、結晶性固体の形態の(-)-ハロフェナートに関し、これは約80℃のDSC吸熱最大を提供し、本明細書では形態Aと呼ばれる。
【0103】
形態BおよびCのAへの相互変換もまた、それぞれの溶解物を結晶化することにより達成可能である。したがって、これらの新規に開発された工程により、Bは直接にAに変換されてもよく、もしくはBはCを経てAに変換されてもよい。いずれの工程も、化学的純度が99%を超える、単一の、熱力学的に最も安定した多形の(-)-ハロフェナートのAを製造する。結晶形態Cの試料のその後の解析では、ゆっくり時間をかけて結晶形態Eへの変換(下記)が起こることも分かった。
【0104】
溶媒系に関する工程への依存性について研究が行われ、さらにもう2つの固体形態DおよびEが確認された。水およびさまざまな有機溶媒中の形態Aに関する溶解度研究が行われた。そのデータを図36にまとめている。概して、(-)-ハロフェナートは、試験されたほとんどの有機溶媒にきわめて溶けやすく(300 mg/mLを超える)、例外は水および極めて非極性の溶媒(すなわち、シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタンおよび2,2,4-トリメチルペンタン)であった。これらの溶媒について、環境溶解度は1 mg/mL未満であった。溶解度はさらにこれらの溶媒において約50℃で測定された(図36参照)。測定可能な増加のなかった水を除き、概して温度を上げることは(-)-ハロフェナートの溶解度を増加させた。形態Aは製剤用に好まれるとはいえ、難溶解性を示し、それゆえ結晶化溶媒中に溶解させるのにより高い温度およびより長い時間を必要とする。
【0105】
結晶形態Dの生成は、アセトンまたはエタノールからの結晶化によって起こる。図20、24および18は、それぞれこの結晶性固体のIRスペクトル、DSCトレースおよびX線粉末パターンを示す。すべての特徴付けのデータは、ジクロロメタンから調製した試料を用いて得られた。これらのデータと上記に示すデータとの比較は、この結晶性固体が固有の固体形態を持つことを明確に示している。形態DのXRPDパターンと(-)-ハロフェナートの他の形態との比較を表2に示す。X線粉末回折パターンは、多形A、B、CおよびEと比較した場合に、この結晶性固体が固有であることを決定的に証明する。このパターンは、形態A、B、CおよびEで得られるパターンとは明確に異なる2θ=約9.6°および2θ=約17.4°のピークによって特徴付けられる。2θ=約9.6°および2θ=約17.4°のピークが形態Dを形態A、B、CおよびEに対して特徴付けるのは、これらの他の形態のいずれも、それぞれ2θ=9.6°および2θ=17.4°の0.4°2θ以内にある2つのピークを有さないことによる。(-)-ハロフェナートの形態DのDSCは、約72℃における吸熱の融解開始とともに約74℃の吸熱最大を規定した(図24参照)。高温顕微鏡検査は、約73℃における融解開始とともに約74℃における完全な融解を示した。分解は約225℃で開始した。DSCトレースにおける74℃の転移は形態A〜CおよびEに見られる800C、71℃、75℃および75℃のそれとは対照的である。形態D は約25〜100℃からの約0.15%の重量減少を示した(図25)。TGAの重量減少は、おそらく1H NMRスペクトルに見られるような微量の表面水が原因とみられる(図12)。そのほかの溶媒はNMRにより検出されず、このことは形態Dが無水であることを裏付ける。形態Dの非吸湿性は、水分収着/脱着試験により証明された。形態Dの試料は無視しうる重量増加を示した(95% RHで0.1%未満。図25参照)。水分収着/脱着の結果生じた結晶性固体は形態Dのままであった。形態Dについて取得した他の分光分析データ、すなわちFT-IR(図21〜22参照)およびFTラマン(図23〜24参照)により、形態Dがこれらの方法で他の形態と区別できることが分かった(表3および4参照)。形態Dはスラリー化により形態Aに変換されることが可能である。
【0106】
(表3)(-)-ハロフェナートのIRピークリスト(ピーク > 400 cm-1)

【0107】
(表4)(-)-ハロフェナートのラマンピークリスト(ピーク > 400 cm-1)

【0108】
したがって、1つの態様では、本発明は実質的に純粋な形態を含む、結晶性固体の形態の(-)-ハロフェナートに関し、これは以下のうち少なくとも1つを提供し、本明細書では形態Dと呼ばれる:
(i) 図20に実質的に一致する赤外スペクトル;
(ii) 図22に実質的に一致するラマンスペクトル;および
(iii) 図18に実質的に一致するX線粉末回折パターン;および
(iv) 図24に実質的に一致するDSCスキャン。
【0109】
したがって、1つの態様では、本発明は実質的に純粋な形態を含む、結晶性固体の形態の(-)-ハロフェナートに関し、これは図20に実質的に一致する赤外スペクトルを提供し、本明細書では形態Dと呼ばれる。
【0110】
したがって、1つの態様では、本発明は実質的に純粋な形態を含む、結晶性固体の形態の(-)-ハロフェナートに関し、これは図22に実質的に一致するラマンスペクトルを提供し、本明細書では形態Dと呼ばれる。
【0111】
別の態様では、本発明は実質的に純粋な形態を含む、結晶性固体の形態の(-)-ハロフェナートに関し、これは以下のうち少なくとも1つを提供し、本明細書では形態Dと呼ばれる:
(i) 約3469、3297、3086、2968、2930、2870、1747、1740、1703、1647、1597、1554、1492、1460、1429、1369、1345、1295、1232、1209、1193、1124、1069、1015、906、880、838および819 cm-1の吸収ピークを含む赤外スペクトル;
(ii) 約3077、3063、2970、2932、1743、1649、1621、1598、1430、1329、1208、1192、1182、1093、1000、936、906、881、756、723および632 cm-1の吸収ピークを含むラマンスペクトル;
(iii) 2θ=約9.6°および2θ=約17.4°のピークを含むX線粉末回折パターン;ならびに
(iv) 約74℃のDSC吸熱最大。
【0112】
別の態様では、本発明は実質的に純粋な形態を含む、結晶性固体の形態の(-)-ハロフェナートに関し、これは2θ=約9.6°および2θ=約17.4°のピークを含むX線粉末回折パターンを提供し、本明細書では形態Dと呼ばれる。
【0113】
別の態様では、本発明は実質的に純粋な形態を含む、結晶性固体の形態の(-)-ハロフェナートに関し、これは約74℃のDSC吸熱最大を提供し、本明細書では形態Dと呼ばれる。
【0114】
本発明のさらに別の態様では、本発明は実質的に純粋な形態を含む、結晶性固体の形態の(-)-ハロフェナートに関し、これは2θ=約9.6°、2θ=約17.4°のピークを含むx線粉末回折パターン、ならびに約3469 cm-1および約2870 cm-1から選択される少なくとも1つのピークを含む赤外スペクトルを提供し、本明細書では形態Dと呼ばれる。
【0115】
本発明のさらなる態様では、本発明は実質的に純粋な形態を含む、結晶性固体の形態の(-)-ハロフェナートに関し、これは2θ=約9.6°、2θ=約17.4°のピークを含むx線粉末回折パターン、ならびに約3077 cm-1および約1329 cm-1から選択される少なくとも1つのピークを含むラマンスペクトルを提供し、本明細書では形態Dと呼ばれる。
【0116】
本発明の追加の態様では、本発明は実質的に純粋な形態を含む、結晶性固体の形態の(-)-ハロフェナートに関し、これは2θ=約9.6°、2θ=約17.4°のピークを含むx線粉末回折パターン、約3469 cm-1および約2870 cm-1から選択される少なくとも1つのピークを含む赤外スペクトル、ならびに約3077 cm-1および約1329 cm-1から選択される少なくとも1つのピークを含むラマンスペクトルを提供し、本明細書では形態Dと呼ばれる。
【0117】
結晶形態Eの生成は、ヘプタンおよびt-ブチルメチルエーテルからの結晶化によって起こる。図28、32および26は、それぞれこの結晶性固体のIRスペクトル、DSCトレース、およびX線粉末パターンを示す。形態EのXRPDパターンと(-)-ハロフェナートの他の形態との比較は、表1および2に示されており、この結晶性固体が固有の固体形態を持つことを明確に示している。このパターンは、形態A〜Dで得られるパターンとは異なる2θ=約11.8°、および2θ=約13.0°のピークによって特徴付けられる。2θ=約11.8°、および2θ=約13.0°のピークが形態Eを特徴付けるのは、形態A、B、CまたはDのいずれもが、2θ=約11.8°および2θ=約13.0°の0.4°2θ以内にあるピークを有さないことによる。DSCでは75および80℃の主吸熱を示す。高温顕微鏡検査は、75℃における第1の吸熱転移が融解転移の開始であることを示し(図33)、それゆえ最初の融解後に、形態の相互変換が起こりうる。第2の吸熱はおそらく80℃における形態Aの融解に相当する。分解は約225℃で開始した。形態Eは約25〜100℃からの約0.42%の重量減少を示した(図34)。TGAの重量減少は、おそらく1H NMRスペクトルに見られるような微量の表面水が原因とみられる(図12参照)。そのほかの溶媒はNMRにより検出されず、このことは形態Eが無水であることを裏付ける。形態Eの非吸湿性は、水分収着/脱着試験により証明された。形態Eの試料は無視しうる重量増加を示した(95% RHで0.2%未満。図34参照)。水分収着/脱着の結果生じた結晶性固体は形態Eのままであった。形態Eについて取得した他の分光分析データ(FT-IR、図28〜29およびFTラマン、図30〜31)により、形態Eがこれらの方法で区別できることが分かった。形態Eはスラリー化により形態Aに変換されることが可能である。
【0118】
したがって、1つの態様では、本発明は実質的に純粋な形態を含む、結晶性固体の形態の(-)-ハロフェナートに関し、これは以下のうち少なくとも1つを提供し、本明細書では形態Eと呼ばれる:
(i) 図28に実質的に一致する赤外スペクトル;
(ii) 図30に実質的に一致するラマンスペクトル;および
(iii) 図26に実質的に一致するX線粉末回折パターン。
【0119】
したがって、1つの態様では、本発明は実質的に純粋な形態を含む、結晶性固体の形態の(-)-ハロフェナートに関し、これは図28に実質的に一致する赤外スペクトルを提供し、本明細書では形態Eと呼ばれる。
【0120】
したがって、1つの態様では、本発明は実質的に純粋な形態を含む、結晶性固体の形態の(-)-ハロフェナートに関し、これは図30に実質的に一致するラマンスペクトルを提供し、本明細書では形態Eと呼ばれる。
【0121】
別の態様では、本発明は実質的に純粋な形態を含む、結晶性固体の形態の(-)-ハロフェナートに関し、これは以下のうち少なくとも1つを提供し、本明細書では形態Eと呼ばれる:
(i) 約3475、3301、3092、2969、2933、2871、1750、1706、1660、1597、1563、1493、1460、1429、1370、1338、1232、1178、1126、1070、1015、906、886および820 cm-1の吸収ピークを含む赤外スペクトル;
(ii) 約3071、2969、2933、1746、1657、1621、1598、1448、1432、1334、1291、1232、1179、1094、1001、907、881、767、756、722および632 cm-1の吸収ピークを含むラマンスペクトル;
(iii) 2θ=約11.8°、および2θ=約13.0°のピークを含むX線粉末回折パターン。
【0122】
別の態様では、本発明は実質的に純粋な形態を含む、結晶性固体の形態の(-)-ハロフェナートに関し、これは2θ=約11.8°および2θ=約13.0°のピークを含むX線粉末回折パターンを提供し、本明細書では形態Eと呼ばれる。
【0123】
本発明のさらに別の態様では、本発明は実質的に純粋な形態を含む、結晶性固体の形態の(-)-ハロフェナートに関し、これは2θ=約11.8°、2θ=約13.0°のピークを含むx線粉末回折パターン、ならびに約3092 cm-1、約2871 cm-1、および約1563 cm-1から選択される少なくとも1つのピークを含む赤外スペクトルを提供し、本明細書では形態Eと呼ばれる。
【0124】
本発明のさらなる態様では、本発明は実質的に純粋な形態を含む、結晶性固体の形態の(-)-ハロフェナートに関し、これは2θ=約11.8°および2θ=約13.0°のピークを含むx線粉末回折パターン、ならびに約2969 cm-1、約1746 cm-1、および約1657 cm-1から選択される少なくとも1つのピークを含むラマンスペクトルを提供し、本明細書では形態Eと呼ばれる。
【0125】
本発明の追加の態様では、本発明は実質的に純粋な形態を含む、結晶性固体の形態の(-)-ハロフェナートに関し、これは2θ=約11.8°、2θ=約13.0°のピークを含むx線粉末回折パターン、ならびに約3092 cm-1、約2871 cm-1、および約1563 cm-1から選択される少なくとも1つのピークを含む赤外スペクトル、ならびに約2969 cm-1、約1746 cm-1、および約1657 cm-1から選択される少なくとも1つのピークを含むラマンスペクトルを提供し、本明細書では形態Eと呼ばれる。
【0126】
本発明のさらなる態様では、2θ=約10.8°のピークを含むX線粉末回折パターン、ならびに約3322 cm-1および約2886 cm-1から選択される少なくとも1つのピークを含む赤外スペクトルによって特徴付けられる結晶性固体の形態Aの(-)-ハロフェナートの化合物;2θ=約10.8°のピークを含むX線粉末回折パターン、ならびに約3087 cm-1および約1663 cm-1から選択される少なくとも1つのピークを含むラマンスペクトルによって特徴付けられる結晶性固体の形態Aの(-)-ハロフェナートの化合物;ならびに2θ=約10.8°のピークを含むX線粉末回折パターン、約3322 cm-1および約2886 cm-1から選択される少なくとも1つのピークを含む赤外スペクトル、ならびに約3087 cm-1および約1663 cm-1から選択される少なくとも1つのピークを含むラマンスペクトルによって特徴付けられる結晶性固体の形態Aの(-)-ハロフェナートの化合物を含む。
【0127】
形態Aは形態Bおよび形態Cよりも高い純度で生成可能であり、形態Aは最も安定な結晶性固体の形態である。これらの要因を考慮して、(1) (-)-ハロフェナートを6/1のヘプタン/イソプロピルアルコールに溶解し、(2) この溶液に(-)-ハロフェナートの結晶(30℃で不溶性)の種を入れ、ならびに(3) この溶液を冷却しおよび/または濃縮し、APIを結晶性固体の形態Aとして単離する、最適化された結晶化工程を開発した。この工程の実施によって、どの単一不純物も0.2%に満たないレベルで多形Aが再現性良く得られる。
【0128】
多くの試験後に、粗生成物のスラリーに形態Aの種晶を入れると、不純物がそれぞれ0.04%および0.11%まで低下することが偶然発見された。この結果を実施例のなかで以下に示す。
【0129】
最適化された工程では、どの単一不純物も0.2%未満でかつ熱力学的に最も安定した結晶性の形態AでAPIをもたらす方法として、(-)-ハロフェナートの結晶性固体および非晶質の形態の制御操作を利用する。
【0130】
本発明の別の態様では、実質的に純粋な形態Aを含む、結晶性固体の形態Aの(-)-ハロフェナートを提供し、これは以下のうち、少なくとも1つによって得られる:
(i) ヘプタン、2-プロパノール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの溶媒の中で(-)-ハロフェナートを加熱する段階;約50℃〜-10℃の温度で結晶化する段階ならびに結晶が0.05%未満の溶媒を含むようになるまで乾燥する段階;
(ii) (-)-ハロフェナートの固体形態Bの結晶を乾燥する段階;
(iii) (-)-ハロフェナートの固体形態Cの結晶を乾燥する段階;
(iv) ヘプタン、2-プロパノール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの溶媒の中で(-)-ハロフェナートを加熱する段階;(-)-ハロフェナートの固体形態の結晶の存在下、約50℃〜-10℃の温度で結晶化する段階ならびに結晶が0.05%未満の溶媒を含むようになるまで乾燥する段階;および
(v) アセトニトリル、ベンゼン、シクロヘキサノール、t-ブチルメチルエーテルおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの溶媒から(-)-ハロフェナートを結晶化する段階ならびに乾燥する段階。
【0131】
さらに、本発明は、固体形態A、B、C、DおよびEならびに非晶質の形態の調製方法を対象とする。したがって、別の態様では、本発明は、以下のうち少なくとも1つを含む、実質的に純粋な形態Aを含む、結晶性固体の形態Aの(-)-ハロフェナートの調製方法に関する:
(i) ヘプタン、2-プロパノール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの溶媒の中で(-)-ハロフェナートを加熱する段階;約50℃〜-10℃の温度で結晶化する段階ならびに結晶が0.05%未満の溶媒を含むようになるまで乾燥する段階;
(ii) (-)-ハロフェナートの固体形態Bの結晶を乾燥する段階;
(iii) (-)-ハロフェナートの固体形態Cの結晶を乾燥する段階;
(iv) ヘプタン、2-プロパノール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの溶媒の中で(-)-ハロフェナートを加熱する段階;(-)-ハロフェナートの固体形態の結晶の存在下、約50℃〜-10℃の温度で結晶化する段階ならびに結晶が0.05%未満の溶媒を含むようになるまで乾燥する段階;および
(v) アセトニトリル、ベンゼン、シクロヘキサノール、t-ブチルメチルエーテルおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの溶媒から(-)-ハロフェナートを結晶化する段階ならびに乾燥する段階。
【0132】
本発明の別の態様では、実質的に純粋な形態Bを含む、結晶性固体の形態Bの(-)-ハロフェナートを提供し、これはヘプタン、2-プロパノール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの溶媒からかつ約20℃〜-10℃の温度で(-)-ハロフェナートを結晶化する段階ならびに結晶が約2%〜約3%の溶媒を含むようになるまで乾燥する段階によって得られる。
【0133】
別の態様では、本発明は実質的に純粋な形態Bを含む、結晶性固体の形態Bの(-)-ハロフェナートの調製方法であって、ヘプタン、2-プロパノール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの溶媒からかつ約20℃〜-10℃の温度で(-)-ハロフェナートを結晶化する段階ならびに結晶が約2%〜約3%の溶媒を含むようになるまで乾燥する段階を含む方法に関する。
【0134】
本発明の別の態様では、実質的に純粋な形態Cを含む、結晶性固体の形態Cの(-)-ハロフェナートを提供し、これはヘプタン、2-プロパノール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの溶媒からかつ約50℃〜0℃の温度で(-)-ハロフェナートを結晶化する段階ならびに結晶が約0.05%〜約0.3%の溶媒を含むようになるまで乾燥する段階によって得られる。
【0135】
別の態様では、本発明は実質的に純粋な形態Cを含む、結晶性固体の形態Cの(-)-ハロフェナートの調製方法であって、ヘプタン、2-プロパノール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの溶媒からかつ約50℃〜0℃の温度で(-)-ハロフェナートを結晶化する段階ならびに結晶が約0.05%〜約0.3%の溶媒を含むようになるまで乾燥する段階を含む方法に関する。
【0136】
本発明の別の態様では、実質的に純粋な形態Dを含む、結晶性固体の形態Dの(-)-ハロフェナートを提供し、これはアセトン、エタノール、ジクロロメタンおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの溶媒から(-)-ハロフェナートを結晶化する段階ならびに乾燥する段階によって得られる。
【0137】
別の態様では、本発明は実質的に純粋な形態Dを含む、結晶性固体の形態Dの(-)-ハロフェナートの調製方法であって、アセトン、エタノール、ジクロロメタンおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの溶媒から(-)-ハロフェナートを結晶化する段階ならびに乾燥する段階を含む方法に関する。
【0138】
本発明の別の態様では、実質的に純粋な形態Eを含む、結晶性固体の形態Eの(-)-ハロフェナートを提供し、これはt-ブチルメチルエーテルおよびヘプタンから(-)-ハロフェナートを結晶化する段階ならびに乾燥する段階によって得られる。
【0139】
別の態様では、本発明は実質的に純粋な形態Eを含む、結晶性固体の形態Eの(-)-ハロフェナートの調製方法であって、t-ブチルメチルエーテルおよびヘプタンから(-)-ハロフェナートを結晶化する段階ならびに乾燥する段階を含む方法に関する。
【0140】
1つの態様では、本発明は実質的に純粋な形態を含む、非晶質の形態の(-)-ハロフェナートに関する。
【0141】
1つの態様では、本発明は実質的に純粋な形態を含む、非晶質の形態の(-)-ハロフェナートに関し、これは図35に実質的に一致するX線粉末回折パターンを提供する。
【0142】
別の態様では、本発明は実質的に純粋な形態を含む、非晶質の形態の(-)-ハロフェナートに関し、これは実質的に2θ=約15°〜約30°の間にブロードなピークを含むX線粉末回折パターンを提供する。
【0143】
本発明の別の態様では、実質的に純粋な形態を含む、非晶質の形態の(-)-ハロフェナートを提供し、これは(-)-ハロフェナートを高湿度中で加熱する段階によって得られる。
【0144】
本発明の別の態様では、実質的に純粋な形態を含む、非晶質の形態の(-)-ハロフェナートを提供し、これは(-)-ハロフェナートを少なくとも約74%の湿度中、少なくとも約3週間、約60℃を超える温度で加熱する段階によって得られる。
【0145】
したがって、他の態様では、結晶性固体の形態A、B、C、D、Eおよび非晶質の形態からなる群より選択される単離された形態の(-)-ハロフェナートを提供する。上記の各態様のなかで、該化合物は個別に、実質的な純粋な形態Aであり、実質的な純粋な形態Bであり、実質的な純粋な形態Cであり、実質的な純粋な形態Dであり、実質的な純粋な形態Eでありまたは非晶質の形態である。
【0146】
他の態様では、本発明は、(-)-ハロフェナートの総重量に基づき91%を上回る(-)-ハロフェナートおよび9%を下回る(-)-ハロフェナート以外の化学的不純物からなる、実質的に純粋な固体形態の(-)-ハロフェナートに関する。上記の各態様のなかで、個々の態様における該化合物は重量で(-)-ハロフェナートが92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%および99%を上回る。
【0147】
別の態様では、本発明は、(-)-ハロフェナートの総重量に基づき91%を上回る(-)-ハロフェナートの形態Aおよび9%を下回る(-)-ハロフェナートの他の形態からなる、実質的に純粋な固体形態の(-)-ハロフェナートに関する。上記の各態様のなかで、個々の態様における該化合物は(-)-ハロフェナートの重量で結晶性固体の形態Aが92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%および99%を上回る。
【0148】
別の態様では、本発明は実質的に、実質的に純粋な固体形態の、同様に(+)異性体を実質的に含まない(-)-ハロフェナートに関する。1つの態様では、該化合物はハロフェナートの総重量に基づき(-)-異性体が91%を上回り、(+)異性体が9%を下回る。上記の各態様のなかで、個々の態様における該化合物はハロフェナートの重量で(-)異性体が92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%および99%を上回る。
【0149】
別の態様では、本発明は、(-)-ハロフェナートを溶媒中で加熱する段階、約50℃〜-10℃の温度で結晶化する段階および結晶が0.05%未満の溶媒を含むようになるまで乾燥する段階を含む、(-)-ハロフェナートをエナンチオマー濃縮する方法を提供する。
【0150】
別の態様では、本発明は少なくとも約95%のエナンチオマー過剰率を有する、溶媒中の(-)-ハロフェナートをもたらす方法を提供する。
【0151】
これらの結晶性固体の形態の大きな利点は、それらが非晶質の形態よりも吸湿性が低いということである。それゆえ、結晶性の形態はさらに取り扱い良好とすることができ、通常の環境湿度レベルでさらに安定である。無水の結晶性の形態Aはその非吸湿性のため、さらに長期にわたり、さらに良好な形状および取り扱い性を維持する。薬物の剤形の形状の改善によって、医師および患者双方の許容性が高まり、処置の成功の可能性が増す。
【0152】
本発明のさらなる態様では、(-)-ハロフェナートの異なる結晶性固体の形態、および非晶質の形態の混合物を含む。そのような混合物は、形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、および非晶質の形態から選択される少なくとも1つの固体形態または少なくとも2つの固体形態を含んだ組成物を含む。本明細書において記述される分析技法のいずれかを用いて、そのような組成物における固体形態の存在を検出することができる。検出は、固体分析分野の当業者により使用され理解されるようなその用語と同じく、定性的に、定量的に、または半定量的に行うことができる。
【0153】
これらの分析の場合、参照基準を伴う標準的な分析技法を使用することができる。さらに、そのような方法としては、回折分析法または分光分析法と併せた部分最小二乗法などの技法の使用を挙げることができる。これらの技法を本発明の薬学的組成物において使用することもできる。
【0154】
エナンチオマーはX線データおよびラマンデータと同様に、同じ結晶性の物性を有するので(例えば、Z. Jane Li et al., J. Pharm. Sci., 1999, 88, pages 337-346参照)、上記の発明は対応する(+)エナンチオマーにも関する。本発明の目的では、上記の、(-)-エナンチオマーの結晶多形および非晶質の形態が好ましい。
【0155】
結晶性固体または非晶質の形態の(-)-ハロフェナートは、実施例のなかでさらに後述されるように種々の方法によって調製することができる。それらの実例は本発明の範囲を例証するが、その範囲を限定することはない。結晶性固体または非晶質の形態の(-)-ハロフェナートは、例えば、クロマトグラフィー法、再結晶法およびその他の結晶法ならびに以上の方法の修正を含め、当技術分野において公知の典型的な単離および精製の技法により単離することができる。
【0156】
III. 薬学的製剤および投与方法
本明細書において記述される異なる固体形態の(-)-ハロフェナートであって、そのような形態を単離された形態で含むものを対象とするのに加えて、他の態様では、少なくとも1つの薬学的に許容される担体または賦形剤との混合体で上記の態様のいずれかの(-)-ハロフェナートの治療的有効量を含む薬学的組成物を提供する。
【0157】
実質的に純粋な結晶性固体および/または非晶質の形態の(-)-ハロフェナートを単一成分または混合物として使用することができる。例えば、形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、および非晶質の形態の任意の組み合わせを薬学的組成物のなかで少なくとも1つの薬学的に許容される担体または賦形剤と組み合わせることができる。
【0158】
(-)-ハロフェナートの薬学的組成物に関して、これらは(-)-ハロフェナートの総量に基づき、実質的に純粋な形態の、上記の態様のいずれかの(-)-ハロフェナートまたはその組み合わせを25〜100重量%、とりわけ50〜100重量%含むことが好ましい。好ましくは、実質的に純粋な結晶性固体および/または非晶質の形態の(-)-ハロフェナートのそのような量は、75〜100重量%、とりわけ90〜100重量%である。極めて好ましいのは95〜100重量%の量である。
【0159】
本発明はさらに、(-)-ハロフェナートの(+)立体異性体を実質的に含まない、(-)-ハロフェナートの固体形態の治療量の混合物を含んだ薬学的組成物を含む。例えば、各々の形態が、対応するその(+)立体異性体を実質的に含まない、形態B、形態C、形態D、形態E、および非晶質の形態のうち少なくとも1つの治療的有効量とともに形態Aの治療的有効量を薬学的組成物のなかで組み合わせることが可能であり、この組成物は少なくとも1つの薬学的に許容される担体または賦形剤をさらに含むことができる。
【0160】
本発明は同様に、対応する(+)立体異性体を実質的に含まない、(-)-ハロフェナートの少なくとも1つの固体形態の治療的有効量を治療量以下の用量の、対応する立体異性体を実質的に含まない、(-)-ハロフェナートの少なくとも1つの他の固体形態とともに含有する薬学的組成物を含む。そのような治療量以下の用量では、例えば、(-)-ハロフェナートの他の固体形態の1つの微量不純物を含みうる。そのような薬学的組成物はさらに、少なくとも1つの薬学的に許容される担体または賦形剤を含むことができる。
【0161】
本発明のさらなる態様は以下を含む。
【0162】
2θ=約10.8°、2θ=約22.0°、2θ=約29.3°のピークを含むX線粉末回折パターン、ならびに約3087 cm-1および約1663 cm-1から選択される少なくとも1つのピークを含むラマンスペクトルによって特徴付けられる結晶性固体の形態Aの(-)-ハロフェナートの治療的有効量;および少なくとも1つの薬学的に許容される担体または賦形剤を含む薬学的組成物。
【0163】
2θ=約6.2°、2θ=約12.4°のピーク、ならびに2θ=約18.8°、2θ=約20.1°、および2θ=約14.0°から選択される少なくとも1つのピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる結晶性固体の形態Bの(-)-ハロフェナートの治療的有効量;および少なくとも1つの薬学的に許容される担体または賦形剤を含む薬学的組成物。
【0164】
2θ=約9.9°、2θ=約13.3°のピーク、ならびに2θ=約15.5°、2θ=約23.1°、2θ=約14.7°、および2θ=約25.9°から選択される少なくとも1つのピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる結晶性固体の形態Cの(-)-ハロフェナートの治療的有効量;および少なくとも1つの薬学的に許容される担体または賦形剤を含む薬学的組成物。
【0165】
2θ=約9.6°および2θ=約17.4°のピークを含むX線粉末回折パターン、ならびに約3077 cm-1および約1329 cm-1から選択される少なくとも1つのピークを含むラマンスペクトルによって特徴付けられる結晶性固体の形態Dの(-)-ハロフェナートの治療的有効量;および少なくとも1つの薬学的に許容される担体または賦形剤を含む薬学的組成物。
【0166】
2θ=約11.8°および2θ=約13.0°のピークを含むX線粉末回折パターン、ならびに約2969 cm-1、約1746 cm-1、および約1657 cm-1から選択される少なくとも1つのピークを含むラマンスペクトルによって特徴付けられる結晶性固体の形態Eの(-)-ハロフェナートの治療的有効量;および少なくとも1つの薬学的に許容される担体または賦形剤を含む薬学的組成物。
【0167】
2θ=約15°〜2θ=約30°の間のブロードなピークによって特徴付けられる非晶質の形態の(-)-ハロフェナートの治療的有効量;および少なくとも1つの薬学的に許容される担体または賦形剤を含む薬学的組成物。
【0168】
本発明の方法において、実質的に純粋な結晶性固体および/または非晶質の形態の(-)-ハロフェナートは、哺乳動物に、例えば、ヒト患者または被験体に、単独で、薬学的に許容されるその塩もしくは加水分解性前駆体の形態で、または該化合物が治療的有効量の適当な担体もしくは賦形剤と混合されている薬学的組成物の形態で送達または投与することができる。「治療的に有効な用量」、「治療的有効量」、または互換的に「薬理学的に許容される用量」もしくは「薬理学的に許容される量」とは、所望の結果、例えば、2型糖尿病の症状または合併症の緩和を達成するのに十分な量の、本発明の化合物、または例えば、(+)立体異性体を実質的に含まない本発明の化合物、および薬学的に許容される担体の組み合わせが存在することを意味する。別の例では、(+)立体異性体を実質的に含まない(-)-ハロフェナートの複数の固体形態を、所望の結果、例えば、2型糖尿病の症状または合併症の緩和を達成するのに十分な量で、薬学的に許容される担体と組み合わせて調製することができる。
【0169】
本発明の方法において使用される、少なくとも1つの実質的に純粋な結晶性固体および/または非晶質の形態の(-)-ハロフェナートは、治療的投与のため種々の製剤に組み入れることができる。より詳細には、実質的に純粋な結晶性固体および/または非晶質の形態の(-)-ハロフェナートは、適切な、薬学的に許容される担体または希釈剤との組み合わせによって薬学的組成物に製剤化することができ、錠剤、カプセル、丸剤、粉末、顆粒、糖衣錠、ゲル、スラリー、軟膏、溶液、坐剤、注射剤、吸入剤およびエアロゾルなどの、固体、半固体、液体または気体の形態の調製物に製剤化することができる。したがって、少なくとも1つの実質的に純粋な結晶性固体および/または非晶質の形態の(-)-ハロフェナートの投与は、経口投与、口腔投与、直腸投与、非経口投与、腹腔内投与、皮内投与、経皮投与、気管内投与を含めて、さまざまな方法で達成することができる。さらに、実質的に純粋な結晶性固体および/または非晶質の形態の(-)-ハロフェナートは、全身的な様式よりも局所的な様式で、デポー剤または徐放性製剤中で投与することができる。さらに、該化合物はリポソーム中で投与することができる。
【0170】
さらに、少なくとも1つの実質的に純粋な結晶性固体および/または非晶質の形態の(-)-ハロフェナートは、一般的な賦形剤、希釈剤または担体とともに製剤化し、錠剤に圧縮してもよく、または簡便な経口投与のためエリキシル剤または溶液として製剤化されてもよく、または筋肉内もしくは静脈内経路により投与されてもよい。少なくとも1つの実質的に純粋な結晶性固体および/または非晶質の形態の(-)-ハロフェナートは、経皮的に投与されてもよい。
【0171】
本発明のさらなる態様では、治療的有効量の形態A、ならびに形態B、形態C、形態D、形態E、および非晶質の形態のうち少なくとも1つなどの、(-)-ハロフェナートの薬学的組成物を含む。形態B、形態C、形態D、形態E、および非晶質の形態のうち少なくとも1つの前記の量は、治療的有効量であってもまたはそうでなくてもよい。そのような薬学的組成物は、錠剤もしくはカプセルなどの固体経口用組成物の形態であってもまたは吸入用の乾燥粉末としてでもよい。
【0172】
少なくとも1つの実質的に純粋な結晶性固体および/または非晶質の形態の(-)-ハロフェナートは、単独で投与されても、互いと組み合わせて投与されてもよく、またはそれらは、その他の治療薬を含め、その他の公知の化合物と組み合わせて使用されてもよい(前記)。薬学的剤形において、少なくとも1つの実質的に純粋な結晶性固体および/または非晶質の形態の(-)-ハロフェナートは、それらの薬学的に許容されるその塩の形態で投与されてもよい。それらは加水分解性の部分を含んでもよい。それらは同様に、単独でまたはその他の薬学的に活性な化合物との適切な関連で、および組み合わせで使用されてもよい。
【0173】
本発明で用いるのに適した製剤は、Remington's Pharmaceutical Sciences (Mack Publishing Company (1985) Philadelphia, Pa., 17th ed.)において見出され、これは参照により本明細書に組み入れられる。さらに、薬物送達の方法の概略については、Langer, Science (1990) 249:1527-1533を参照されたく、これは参照により本明細書に組み入れられる。本明細書において記述される薬学的組成物は、当業者に公知の方法で、すなわち、従来の混合、溶解、顆粒化、糖衣錠作製、湿式粉砕、乳化、カプセル封入、封入または凍結乾燥の工程によって製造することができる。以下の方法および賦形剤は単なる例示にすぎず、決して限定ではない。
【0174】
注射の場合、実質的に純粋な結晶性固体および/または非晶質の形態の(-)-ハロフェナートは、それらを植物油もしくはその他類似の油、合成脂肪酸グリセリド、高級脂肪酸のエステルまたはプロピレングリコールなどの、水性または非水性溶媒に;ならびに必要に応じて、可溶化剤、等張剤、懸濁化剤、乳化剤、安定剤および保存剤などの従来の添加剤とともに、溶解、懸濁または乳化させることで調製物に製剤化することができる。好ましくは、本発明の実質的に純粋な結晶性固体および/または非晶質の形態の(-)-ハロフェナートは、水溶液に、好ましくはハンクス溶液、リンゲル溶液、または生理食塩緩衝液などの生理学的に適合する緩衝液中で製剤化することができる。経粘膜投与の場合、透過される障壁に適した浸透剤を製剤中に使用する。このような浸透剤は当技術分野において一般に公知である。
【0175】
経口投与の場合、実質的に純粋な結晶性固体および/または非晶質の形態の(-)-ハロフェナートは、当技術分野において周知の薬学的に許容される担体と組み合わせることにより容易に製剤化することができる。このような担体によって、実質的に純粋な結晶性固体および/または非晶質の形態の(-)-ハロフェナートは、処置される患者による経口摂取のため、錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル、乳濁液、親油性および親水性懸濁液、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液などとして製剤化されることができる。経口用の薬学的調製物は、実質的に純粋な結晶性固体および/または非晶質の形態の(-)-ハロフェナートを固体賦形剤と混合し、任意で、得られた混合物を粉砕し、必要に応じて、錠剤または糖衣錠のコアを得るため、適当な補助剤を添加した後に、顆粒の混合物を加工することにより得ることができる。適当な賦形剤は、詳細には、ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールを含む、糖などの増量剤;例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル-セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)などのセルロース調製物である。必要に応じて、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはアルギン酸ナトリウムなどのその塩のような、崩壊剤が添加されてもよい。
【0176】
糖衣錠のコアには適当なコーティングが提供される。この目的のため、濃縮糖溶液が使用されてもよく、これは任意でアラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、ならびに適当な有機溶媒または溶媒混合物を含んでもよい。識別のためまたは実質的に純粋な結晶性固体および/もしくは非晶質の形態の(-)-ハロフェナートの別用量の組み合わせを特徴付けるため、染料または色素が錠剤または糖衣コーティングに添加されてもよい。
【0177】
経口的に使用できる薬学的調製物としてはゼラチン製の押し込み式カプセル、ならびにゼラチンおよびグリセロールまたはソルビトールなどの可塑剤で作られた軟らかい密閉カプセルが挙げられる。押し込み式カプセルは、ラクトースなどの増量剤、デンプンなどの結合剤、および/またはタルクもしくはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤ならびに、任意で、安定剤との混合物の中に活性成分を含むことができる。軟らかいカプセルでは、活性化合物は、脂肪油、液体パラフィン、または液体ポリエチレングリコールなどの、適当な液体に溶解するかまたは懸濁することができる。さらに、安定剤が添加されてもよい。経口投与用の全ての製剤は、このような投与に適した投与量でなくてはならない。
【0178】
口腔投与の場合、組成物は、従来の方法で製剤化される錠剤またはトローチ剤の形態をとることができる。
【0179】
吸入による投与の場合、本発明によって用いられる化合物は、適当な高圧ガス、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素もしくはその他の適当な気体を用いて、加圧パックもしくは噴霧器からエアロゾルスプレーの体裁の形態で、または高圧ガスを含まない乾燥粉末吸入器から送達されることが好都合である。加圧エアロゾルの場合、投与量単位は、定量を送達するよう弁を付与することにより決定することができる。吸入器または注入器で用いられる、例えば、ゼラチンのカプセルおよびカートリッジは、化合物の混合粉体およびラクトースまたはデンプンなどの適当な粉末基剤を含んだ状態で製剤化することができる。
【0180】
実質的に純粋な結晶性固体および/または非晶質の形態の(-)-ハロフェナートは、注入による、例えば、ボーラス注入または持続注入による非経口投与に向けて製剤化することができる。注入用の製剤は、添加される保存剤とともに、単位剤形中で、例えば、アンプル中でまたは複数用量容器中で供与することができる。組成物は、油性または水性媒体の懸濁液、溶液または乳濁液のような形態をとることができ、懸濁化剤、安定化剤および/または分散剤などの製剤化用剤を含むことができる。
【0181】
非経口投与用の薬学的製剤は、水溶性形態の実質的に純粋な結晶性固体および/または非晶質の形態の(-)-ハロフェナートの水溶液を含む。さらに、実質的に純粋な結晶性固体および/または非晶質の形態の(-)-ハロフェナートの懸濁液は、適切な油性注射懸濁液として調製することができる。適当な親油性溶媒または媒体としては、ゴマ油などの脂肪油、またはオレイン酸エチルもしくはトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、またはリポソームが挙げられる。水性注射懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランなどの、懸濁液の粘性を増大する物質を含むことができる。任意で、懸濁液は同様に、実質的に純粋な結晶性固体および/または非晶質の形態の(-)-ハロフェナートの溶解度を増加させて高濃度溶液の調製を可能にする適当な安定剤または薬剤を含んでもよい。または、活性成分は使用前に、適当な媒体、例えば、発熱物質を含まない滅菌水での構成に向けた粉末形態であってもよい。
【0182】
実質的に純粋な結晶性固体および/または非晶質の形態の(-)-ハロフェナートは同様に、例えば、ココアバター、カーボワックス、ポリエチレングリコールまたはその他のグリセリドなどの、これらは全て体温で融解するが、室温で凝固する、従来の坐剤基剤を含む、坐剤または停留浣腸のような直腸組成物に製剤化することができる。
【0183】
前述の製剤に加えて、実質的に純粋な結晶性固体および/または非晶質の形態の(-)-ハロフェナートは同様に、デポー剤として製剤化することができる。このような長期作用型の製剤は、移植により(例えば、皮下にもしくは筋肉内に)または筋肉内注射により投与することができる。したがって、例えば、該化合物は、適当な高分子材料もしくは疎水性材料とともに(例えば、許容される油中の乳濁液として)またはイオン交換樹脂とともに、あるいは難溶性誘導体として、例えば、難溶性塩として製剤化することができる。
【0184】
または、疎水性の薬学的化合物に向けたその他の送達系を利用することができる。リポソームおよび乳濁液は、疎水性薬物に向けた送達媒体または担体の周知の例である。現在の好ましい態様では、長期循環リポソーム、すなわち、ステルスリポソームを利用することができる。このようなリポソームはWoodleら、米国特許第5,013,556号に概ね記述されており、その教示は参照により本明細書に組み入れられる。本発明の実質的に純粋な結晶性固体および/または非晶質の形態の(-)-ハロフェナートは同様に、米国特許第3,845,770号、同第3,916,899号、同第3,536,809号、同第3,598,123号、および同第4,008,719号に記述されているものなどの制御放出手段および/または送達装置によって投与することができ、それらの開示は参照により本明細書に組み入れられる。
【0185】
通常はさらに高い毒性という代償を払うことになるが、ジメチルスルホキシド(DMSO)などのある種の有機溶媒を利用することもできる。さらに、実質的に純粋な結晶性固体および/または非晶質の形態の(-)-ハロフェナートは、治療薬を含有する固体疎水性高分子の半透性マトリックスなどの、徐放系を用いて送達することができる。各種の徐放材料が確立されており、当業者に周知である。徐放カプセルは、その化学的性質に依り、数時間から最大100日間にわたり化合物を放出することができる。
【0186】
薬学的組成物は同様に、適当な固相またはゲル相の担体または賦形剤を含むことができる。このような担体または賦形剤の例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、種々の糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、およびポリエチレングリコールなどの高分子が挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0187】
本発明で用いるのに適した薬学的組成物は、活性成分が治療的有効量で含有されている組成物を含む。もちろん、投与される組成物の量は、処置される被験体に依存し、被験体の体重、苦痛の重篤度、投与の方法および処方する医師の判断に依存するであろう。有効量の判定は、とりわけ本明細書において提供される詳細な開示に照らして、当業者が十分に対応できる範囲にある。
【0188】
本発明の方法で使用される実質的に純粋な結晶性固体および/または非晶質の形態の(-)-ハロフェナートのいずれかの場合、治療的に有効な用量は細胞培養物アッセイまたは動物モデルから最初に推定することができる。
【0189】
さらに、本明細書において記述される実質的に純粋な結晶性固体および/または非晶質の形態の(-)-ハロフェナートの毒性および治療的効力は、細胞培養物または実験動物での標準的な薬学的手順により、例えば、LD50(集団の50%致死用量)およびED50(集団の50%で治療的に有効な用量)の判定により、判定することができる。毒性と治療的効果との間の用量比は治療指数であり、LD50とED50との比として表すことができる。高い治療指数を示す実質的に純粋な結晶性固体および/または非晶質の形態の(-)-ハロフェナートが好ましい。これらの細胞培養アッセイおよび動物試験から得られたデータは、ヒトで用いるのに有毒でない投与量範囲で処方するために使用することができる。このような実質的に純粋な結晶性固体および/または非晶質の形態の(-)-ハロフェナートの投与量は、毒性のほとんどまたは全くないED50を含む血中濃度の範囲内にあることが好ましい。投与量は、使用される剤形および利用される投与経路に依ってこの範囲内で変化しうる。正確な処方、投与経路および投与量は、患者の状態を考慮して、個々の医師が選択できる(例えば、Fingl et al. 1975 The Pharmacological Basis of Therapeutics中、第1章を参照のこと)。
【0190】
担体材料と組み合わせて単一の剤形を作出できる実質的に純粋な結晶性固体および/または非晶質の形態の(-)-ハロフェナートの量は、処置される疾患、哺乳動物種、および特定の投与方法に依って変化するであろう。しかしながら、一般的な指針として、本発明の実質的に純粋な結晶性固体および/または非晶質の形態の(-)-ハロフェナートに適した単位用量は、例えば、好ましくは活性化合物を100 mg〜約3000 mg含むことができる。好ましい単位用量は500 mg〜約1500 mgである。より好ましい単位用量は500〜約1000 mgである。このような単位用量は1日に複数回、例えば、1日に2回、3回、4回、5回または6回投与されてもよいが、70 kgの成人の1日総投与量が投与あたり被験体の体重1 kgについて0.1〜約250 mgの範囲にあるように、1日あたり1回または2回投与されることが好ましい。好ましい投与量は投与あたり被験体の体重1 kgについて5〜約250 mgであり、このような治療は何週間または何ヶ月にも、場合によっては、何年にもわたることができる。しかしながら、任意の特定の患者に特異的な用量レベルは、当該領域における当業者によって十分に理解されるように、利用される(-)-ハロフェナートの特定の形態の活性;処置される個体の年齢、体重、全般的な健康状態、性別および食事;投与の時間および経路;排泄速度;以前に投与されたその他の薬物;ならびに治療を受ける特定の疾患の重篤度を含めてさまざまな要因に依存することが理解されよう。
【0191】
典型的な投与量は1日に1回、もしくは、1日につき複数回摂取される10〜約1500 mgの錠剤1錠、または1日に1回摂取されるおよび比例的に高い含量の活性成分を含有する徐放性のカプセルもしくは錠剤1錠とすることができる。徐放性効果は異なるpH値で溶解するカプセル材料により、浸透圧によってゆっくり放出するカプセルにより、またはその他任意の公知の制御放出手段により得ることができる。
【0192】
当業者に明らかなように場合によっては、これらの範囲外の投与量を使用することが必要な場合もある。さらに、臨床医または処置医師は、個々の患者の反応と連動して、いつどのようにして治療を中断、調整、または終結するかを承知していることに留意されたい。
【0193】
IV. 処置の方法
A. インスリン抵抗性、2型糖尿病および高脂血症の調節
別の態様では、本発明は哺乳動物においてインスリン抵抗性を調節する方法であって、実質的に純粋な結晶性固体および/または非晶質の形態の(-)-ハロフェナートの治療的有効量を哺乳動物に投与する段階を含む方法を包含する。この方法ではシトクロムP450 2C9の阻害に関連する有害効果を引き起こすのに不十分な、結晶性固体または非晶質の形態のハロフェナートの(-)立体異性体の富化量を提供することで、ハロフェナートのラセミ混合物の投与に関連する有害効果を回避する。
【0194】
本発明は同様に、哺乳動物において2型糖尿病を調節する方法であって、実質的に純粋な結晶性固体および/または非晶質の形態の(-)-ハロフェナートの治療的有効量を哺乳動物に投与する段階を含む方法を包含する。この方法ではシトクロムP450 2C9の阻害に関連する有害効果を引き起こすのに不十分な、結晶性固体または非晶質の形態のハロフェナートの(-)立体異性体の富化量を提供することで、ハロフェナートのラセミ混合物の投与に関連する有害効果を回避する。
【0195】
本発明はさらに、哺乳動物において高脂血症を調節する方法であって、実質的に純粋な結晶性固体および/または非晶質の形態の(-)-ハロフェナートの治療的有効量を哺乳動物に投与する段階を含む方法を包含する。この方法ではシトクロムP450 2C9の阻害に関連する有害効果を引き起こすのに不十分な、結晶性固体または非晶質の形態のハロフェナートの(-)立体異性体の富化量を提供することで、ハロフェナートのラセミ混合物の投与に関連する有害効果を回避する。
【0196】
ハロフェナートのラセミ混合物(すなわち、2つのエナンチオマーの1:1のラセミ混合物)は、抗高脂血症活性を保有しており、この疾患を処置するのに一般に使われるある種の他の薬物と組み合わされる場合に糖尿病と関連する高血糖の低減および治療法を提供する。しかしながら、このラセミ混合物は、効力が期待されるとはいえ、有害効果を引き起こす。「有害効果」という用語は吐き気、消化管潰瘍、および消化管出血を含むが、これらに限定されることはない。ラセミ化合物のハロフェナートで報告されているその他の副作用には、とりわけCOUMADIN(商標)での抗凝固の制御困難を含めて、薬物間相互作用に関連する潜在的な問題が含まれる。実質的に純粋な本発明の化合物を利用することで、より明確な用量依存性の効力規定、有害効果の減少、およびしたがって、治療指数の改善が得られる。したがって、現在では、ラセミ化合物のハロフェナートに代えてハロフェナートの(-)エナンチオマーを投与することがいっそう望ましく、好都合であることが分かっている。
【0197】
B. さらなる活性薬剤との併用療法
組成物は、以下に詳述されるのと同じ方法で製剤化および投与することができる。「製剤」とは、化合物または薬物の比較的安定で、望ましく、有用な形態をもたらす、種々の賦形剤および重要な成分の混合物を含有する薬学的調製物と定義される。本発明の場合、「製剤」は「組成物」という用語の意味のなかに含まれる。本発明の実質的に純粋な結晶性固体および/または非晶質の形態の(-)-ハロフェナートは、単独でまたは所望の標的療法に応じて1つもしくは複数のさらなる活性薬剤との併用で効果的に使用することができる(例えば、Turner, N. et al. Prog. Drug Res. (1998) 51: 33-94;Haffner, S. Diabetes Care (1998) 21: 160-178;およびDeFronzo, R. et al. (編), Diabetes Reviews (1997) Vol. 5 No. 4を参照のこと)。いくつかの研究によって経口薬剤との併用療法の利点が詳細に調べられている(例えば、Mahler, R., J. Clin. Endocrinol. Metab. (1999) 84: 1165-71;United Kingdom Prospective Diabetes Study Group: UKPDS 28, Diabetes Care (1998) 21: 87-92;Bardin, C. W.,(編), CURRENT THERAPY IN ENDOCRINOLOGY AND METABOLISM, 第6版(Mosby--Year Book, Inc., St. Louis, Mo. 1997);Chiasson, J. et al., Ann. Intern. Med. (1994) 121: 928-935;Coniff, R. et al., Clin. Ther. (1997) 19: 16-26;Coniff, R. et al., Am. J. Med. (1995) 98: 443-451;およびIwamoto, Y. et al, Diabet. Med. (1996) 13 365-370;Kwiterovich, P. Am. J. Cardiol (1998) 82(12A): 3U-17Uを参照のこと)。これらの研究は、治療計画への第2の薬剤の追加により糖尿病および高脂血症の調節をさらに改善できることを示している。併用療法としては、実質的に純粋な結晶性固体および/または非晶質の形態の(-)-ハロフェナートならびに1つまたは複数のさらなる活性薬剤を含有する単一の薬学的投薬製剤の投与のほか、それぞれ別々の薬学的投薬製剤中での実質的に純粋な結晶性固体および/または非晶質の形態の(-)-ハロフェナートならびに各活性薬剤の投与が挙げられる。例えば、実質的に純粋な結晶性固体および/または非晶質の形態の(-)-ハロフェナートならびにHMG-CoAレダクターゼ阻害剤は錠剤またはカプセルなどの、単一の経口投薬組成物中で一緒にヒト被験体に投与されてもよく、あるいは各薬剤は別々の経口投薬製剤中で投与されてもよい。別々の投薬製剤が使用される場合、実質的に純粋な結晶性固体および/または非晶質の形態の(-)-ハロフェナートならびに1つまたは複数のさらなる活性薬剤は、本質的に同じ時点で(すなわち、同時に)、または別々に時間をずらして(すなわち、逐次的に)投与されてもよい。併用療法はこれらの計画の全てを含むと理解される。
【0198】
実質的に純粋な結晶性固体および/または非晶質の形態の(-)-ハロフェナートを以下の活性薬剤の1つまたは複数と併せて投与する、アテローム性動脈硬化症を調節(症状または関連する合併症の発症を予防)する併用療法の例:抗高脂血症剤;血漿HDL惹起剤;コレステロール生合成阻害剤、例えば、ヒドロキシメチルグルタリル(HMG)CoAレダクターゼ阻害剤(ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、およびアトルバスタチンなどの、スタチンともいわれる)、HMG-CoAシンターゼ阻害剤、スクアレンエポキシダーゼ阻害剤、またはスクアレンシンセターゼ阻害剤(スクアレンシンターゼ阻害剤ともいわれる)などの、抗高コレステロール血症剤;メリナミドなどの、アシル-補酵素Aコレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)阻害剤;プロブコール;ニコチン酸およびその塩ならびにナイアシンアミド;β-シトステロールなどの、コレステロール吸収阻害剤;コレスチラミン、コレスチポールまたは架橋デキストランのジアルキルアミノアルキル誘導体などの、胆汁酸金属イオン封鎖剤の陰イオン交換樹脂;LDL(低比重リポタンパク質)受容体誘導因子;クロフィブラート、ベザフィブラート、フェノフィブラート、およびゲムフィブリゾール(gemfibrizol)などの、フィブラート;ビタミンB6(ピリドキシンとしても知られる)およびHCl塩などの、薬学的に許容されるその塩;ビタミンB12(シアノコバラミンとしても知られる);ビタミンB3(ニコチン酸およびナイアシンアミドとしても知られる、前記);ビタミンCおよびビタミンEならびにβカロテンなどの、抗酸化ビタミン;β遮断薬;アンギオテンシンIIアンタゴニスト;アンギオテンシン変換酵素阻害剤;ならびにフィブリノゲン受容体アンタゴニスト(すなわち、糖タンパク質IIb/IIIaフィブリノゲン受容体アンタゴニスト)およびアスピリンなどの、血小板凝集阻害剤。上記のように、実質的に純粋な結晶性固体および/もしくは非晶質の形態の(-)-ハロフェナートは、複数のさらなる活性薬剤と併せて、例えば、実質的に純粋な結晶性固体および/もしくは非晶質の形態の(-)-ハロフェナートをHMG-CoAレダクターゼ阻害剤(例えば、ロバスタチン、シンバスタチンおよびプラバスタチン)ならびにアスピリンと併せて、または実質的に純粋な結晶性固体および/もしくは非晶質の形態の(-)-ハロフェナートをHMG-CoAレダクターゼ阻害剤およびβ遮断薬と併せて投与することができる。
【0199】
併用療法の別の例は、肥満または肥満に関連する障害の処置において見出すことができ、この場合には、実質的に純粋な結晶性固体および/または非晶質の形態の(-)-ハロフェナートを、例えば、フェニルプロパノールアミン、フェンテルミン、ジエチルプロピオン、マジンドール;フェンフルラミン、デクスフェンフルラミン、フェンチラミン、β3アドレナリン受容体アゴニスト剤;シブトラミン、胃腸リパーゼ阻害剤(オルリスタットなどの)、およびレプチンとの併用で効果的に使用することができる。肥満または肥満に関連する障害の処置で用いられるその他の薬剤、例えば、神経ペプチドY、エンテロスタチン、コレシトキニン、ボンベシン、アミリン、ヒスタミンH3受容体、ドパミンD2受容体、メラノサイト刺激ホルモン、コルチコトロピン放出因子、ガラニンおよびγアミノ酪酸(GABA)と併せて、実質的に純粋な結晶性固体および/または非晶質の形態の(-)-ハロフェナートを効果的に使用することができる。
【0200】
併用療法のさらに別の例は、糖尿病の調節(または糖尿病ならびに関連するその症状、合併症、および障害の処置)において見出すことができ、この場合には、実質的に純粋な結晶性固体および/または非晶質の形態の(-)-ハロフェナートを、例えば、スルホニル尿素(クロルプロパミド、トルブタミド、アセトヘキサミド、トラザミド、グリブリド、グリクラジド、グリナーゼ、グリメピリド、およびグリピジドなどの)、ビグアニド(メトホルミンなどの)、チアゾリジンジオン(シグリタゾン、ピオグリタゾン、トログリタゾン、およびロシグリタゾンなどの)およびその他のインスリン感作物質(ムラグリタザール、AMG-131/T-131、テサグリタザール、DRF-10945、AZD-4619、E-3030、GSK-677954、GW-501516、GW-590735、R-483、KRP-101、GSK-641597、LY-674、LY-929、ナベグリタザール、ネトグリタゾン、MBX-2044、NS-220、LBM-642、NO-5129、PLX-204およびM-24などの);デヒドロエピアンドロステロン(DHEAまたはその結合硫酸エステルDHEA-SO4ともいわれる);抗グルココルチコイド;TNFα阻害剤;α-グルコシダーゼ阻害剤(アカルボース、ミグリトール、およびボグリボースなどの)、プラムリンチド(ヒトホルモンアミリンの合成類似体)、その他のインスリン分泌促進物質(レパグリニド、グリキドン、およびナテグリニドなどの)、インスリン、ならびにアテローム性動脈硬化症の処置で上記に論じられた活性薬剤との併用で効果的に使用することができる。
【0201】
併用療法のさらなる例は、高脂血症の調節(高脂血症および関連するその合併症の処置)において見出すことができ、この場合には、実質的に純粋な結晶性固体および/または非晶質の形態の(-)-ハロフェナートを、例えば、スタチン(フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチンもしくはシンバスタチンなどの)、胆汁酸結合樹脂(コレスチポールもしくはコレスチラミンなどの)、ニコチン酸、プロブコール、βカロテン、ビタミンE、またはビタミンCとの併用で効果的に使用することができる。
【0202】
本発明によれば、実質的に純粋な結晶性固体および/または非晶質の形態の(-)-ハロフェナートの治療的有効量を糖尿病の処置、高脂血症の処置、肥満の処置、トリグリセリドレベルの低下、コレステロールレベルの低下、高比重リポタンパク質の血漿レベルの上昇に有用な、およびアテローム性動脈硬化症の処置、予防またはその発症の危険性の低減に有用な薬学的組成物の調製に使用することができる。
【0203】
さらに、実質的に純粋な結晶性固体および/または非晶質の形態の(-)-ハロフェナートの有効量、ならびに抗高脂血症剤;血漿HDL惹起剤;コレステロール生合成阻害剤、例えば、HMG-CoAレダクターゼ阻害剤、HMG-CoAシンターゼ阻害剤、スクアレンエポキシダーゼ阻害剤、またはスクアレンシンセターゼ阻害剤(スクアレンシンターゼ阻害剤ともいわれる)などの、抗高コレステロール血症剤;アシル-補酵素Aコレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤;プロブコール;ニコチン酸およびその塩;ナイアシンアミド;コレステロール吸収阻害剤;胆汁酸金属イオン封鎖剤の陰イオン交換樹脂;低比重リポタンパク質受容体誘導因子;クロフィブラート、フェノフィブラート、およびゲムフィブロジル;ビタミンB6および薬学的に許容されるその塩;ビタミンB12;抗酸化ビタミン;β遮断薬;アンギオテンシンIIアンタゴニスト;アンギオテンシン変換酵素阻害剤;血小板凝集阻害剤;フィブリノゲン受容体アンタゴニスト;アスピリン;フェンチラミン、β3アドレナリン受容体アゴニスト;スルホニル尿素、ビグアニド、α-グルコシダーゼ阻害剤、その他のインスリン分泌促進物質、ならびにインスリンからなる群より選択される1つまたは複数の活性薬剤の治療的有効量を上記の処置に有用な薬学的組成物の調製に一緒に使用することができる。
【0204】
さらに、本発明は、経口用量または注射用量のいずれかで、実質的に純粋な結晶性固体および/または非晶質の形態の(-)-ハロフェナートの単位用量を含むキットを提供する。単位用量を含む容器のほかには、2型糖尿病に関連する症状および/または合併症を緩和するうえでのならびに高脂血症を緩和するうえでの薬物の使用および付随利益について記述している情報添付文書が存在できる。好ましい化合物および単位用量は、本明細書において先に記述されたものである。
【0205】
前述の考察、態様および実例は単に、ある種の好ましい態様の詳細な説明を与えるにすぎず、決して限定するものではないと理解されるべきである。本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく種々の変更および等価物の作成を行えることが当業者には明らかであろう。上記に論じられているまたは引用されている特許、学術論文およびその他の文献は全て、参照により本明細書に組み入れられる。
【0206】
V. 実施例
本発明の実質的に純粋な結晶性固体および/または非晶質の形態の(-)-ハロフェナートは、実例となる以下の実施例に示す工程を用いて容易に調製することができる。
【0207】
A. 機器
1. X線粉末回折
Shimadzu XRD6000 粉末X線回折装置またはInel XRG-3000 回折装置を用いて、X線粉末回折(X-ray powder diffraction:XRPD)解析を行った。Shimadzu XRD6000 粉末X線回折装置はCu Kα線を使用し、長・微小焦点X線管が装備されている。管電圧および管電流をそれぞれ40 kV および40 mAに設定した。拡散および散乱スリットを1°に設定し、入射スリットを0.15 mmに設定した。回折された放射線はNaIシンチレーション検出器により検出した。θ-2θ連続スキャンは、3°/分(0.4秒/0.02°ステップ)で2θ=2.5°から40°まで用いた。標準シリコンを解析し、装置のアライメントのチェックを行った。データを収集し、XRD-6000 v. 4.1を用いて解析した。シリコンインサートを用いて試料をアルミニウムのホルダーに入れることにより、解析の準備をした。
【0208】
本明細書に記載の測定に用いたShimadzuシステムのようなBragg-Brentano型装置は、Chen et al.; J Pharmaceutical and Biomedical Analysis, 2001; 26,63で報告されているとおり、試料調製誤差の結果、2θ角度において系統的なピークシフト(すべてのピークが同じ角度により同方向にシフトされる)が生じることがある。この系統的なピークシフトは最大約0.2°2θの範囲で起こりうる。
【0209】
Inel XRG-3000 回折装置は、2θ範囲が120°のCPS (Curved Position Sensitive:湾曲位置検出型)検出器が装備されている。約4°2θで開始するCu Kα線を使用し、0.03°2θの分解能で実時間データを収集した。管電圧および管電流をそれぞれ40 kV および30 mAに設定した。パターンは2θ=2.5〜40°から表示した。試料を薄壁のガラスキャピラリーに詰めることにより、解析の準備をした。それぞれのキャピラリーをゴニオメータヘッド上に載せ、データ取得時にモーター駆動でキャピラリーを回転させた。試料の解析は5〜10分間行った。機器較正はシリコン標準品を用いて行った。
【0210】
2. 熱解析
TA Instruments 2920示差走査熱量測定装置を用いて、示差走査熱量測定(DSC)を行った。試料をアルミニウムDSCパンに入れ、重量を正確に記録した。パンを蓋で覆ってから圧着した。試料セルを25℃で平衡化し、窒素パージ下で、10℃/分の速度で最終温度350℃まで加熱した。較正基準としてインジウム金属を用いた。報告された温度は転移の最大時である。
【0211】
TA Instruments 2920サーモグラフィ分析装置を用いて、サーモグラフィによる分析(TGA)を行った。試料をアルミニウム試料パンに入れ、TGAファーナスに差し込んだ。試料を最初に25℃で平衡化してから、窒素雰囲気下で、10℃/分の速度で最終温度350℃まで加熱した。較正基準としてニッケルおよびALUMEL (商標)を用いた。
【0212】
3. サイクリックDSC
TA Instruments 2920示差走査熱量測定装置を用いて、サイクリック示差走査熱量測定(DSC)を行った。試料をアルミニウムDSCパンに入れ、重量を正確に記録した。パンを蓋で覆ってから圧着した。方法は次のとおりであった。
1.Ramp 10℃/分で90℃へ
2.等温 15分間
3.平衡化 -50℃
4.等温 5分
5.Ramp 10℃/分で140℃または200℃へ
較正基準としてインジウム金属を用いた。報告された温度は転移の最大時である。
【0213】
4. 高温顕微鏡検査
Leica DM LP顕微鏡上に装着したLinkamホットステージ(型式FTIR 600)を用いて、高温顕微鏡検査を行った。ラムダプレートを用いて、交差した偏光器で100×〜400×の倍率範囲で試料を観察した。カバースリップにシリコン油を1滴置いて、その上に試料を置いてから、もう1枚のカバースリップで試料を覆った。ステージを加熱しながらそれぞれの試料を視覚的に観察し、一部の試料については画像を取り込んだ。ホットステージの較正は、USP融解点標準を用いて行った。
【0214】
5. 光学顕微鏡検査
画像が取り込まれなかった場合に、Wolfe偏光顕微鏡を用いて光学顕微鏡検査を行った。交差した偏光器を用いた場合と用いない場合で、20×〜40×の倍率範囲で試料を観察した。試料をスライドガラス上に置くか、またはバイアル内に入れて観察した。画像を取り込むために、Leica DM LP顕微鏡を用いて偏光顕微鏡検査を行った。ラムダプレートを用いて、交差した偏光器で50×〜400×の倍率範囲で試料を観察した。試料はスライドガラス上に置いた。
【0215】
6. 赤外分光法
範囲を拡大した臭化カリウム(KBr)ビームスプリッター、および重水素化硫酸トリグリシン(deuterated triglycine sulfate:DTGS)検出器が装備されている、MAGNA-IR 860(登録商標)フーリエ変換赤外分光光度計(Fourier transform infrared spectrophotometer:FT-IR) (Thermo Nicolet)により、赤外スペクトルを取得した。試料採取には拡散反射アクセサリー(THE COLLECTOR(商標), Thermo Spectra-Tech)を用いた。それぞれのスペクトルは128回の同時追加スキャンを示し、4.000 cm-1のスペクトル分解能で収集している。3 mmまたは13 mm径のカップに試料を入れて、試料の調製を行った。所定の位置のアラインメントミラーにより、バックグラウンドのデータ集合を取得した。これらの2つのデータ集合の互いに対する比を出すことにより、Log 1/R (R=反射率)スペクトルを取得した。波長較正はポリスチレンを用いて行った。
【0216】
7. ラマン分光法
FT-ラマン960分光計(Thermo Nicolet)により、FT-ラマンスペクトルを取得した。この分光計は1064 nmの励起波長を用いる。約1.011 WのNd:YVO4レーザー出力を用いて、試料の照射を行った。材料をガラス管に入れてその管をアクセサリーの金で被覆した管ホルダーに配置するか、または試料を金で被覆したキャピラリーホルダーに入れることにより、ラマンスペクトルの解析の準備をした。3600〜98 cm-1の合計256回の試料スキャンを、Happ-Genzelアポディゼーションを用いて、4.000 cm-1のスペクトル分解能で収集した。波長較正は硫黄およびシクロヘキサンを用いて行った。
【0217】
8. NMR分光法
受け取ったままの状態の材料について、Bruker Instruments AM-250分光計を用いて、磁場強度5.87テスラ(1Hラーモア周波数=250 MHz)の周囲温度で、溶液の1H NMRスペクトルを取得した。約0.5 mL のNMRグレードDMSO-d6に、試料0.7〜0.8 mgを溶解することにより、試料を調製した。スペクトルは、1Hパルス幅7.5 μs、取得時間2.34秒、スキャン間の遅延5秒、データポイント数16384のスペクトル幅3496.5 Hz、過渡数128で取得した。それぞれの自由誘導減衰(free induction decay:FID)は、感度を向上させるための指数関数的線幅拡大因子0.43 Hzとともに、取得ポイントの2倍に等しいフーリエ数を用いて、GRAMS/32 AIソフトウェアv. 6.00により処理した。GRAMSソフトウェアのピーク・ピッキング・アルゴリズムにより、ピークテーブルを作成した。スペクトルは0.0 ppmにおける内部TMSを基準にした。
【0218】
9. 自動水分収着/脱着
VTI-SGA-100蒸気収着分析装置により、水分収着/脱着データを収集した。収着および脱着データは、窒素パージ下で、相対湿度(RH)5%〜95%の範囲にわたって10%RH間隔で収集した。分析前に試料の乾燥は行わなかった。分析に用いた平衡基準は、5分間の重量変化が0.0100%未満であり、重量基準に満たない場合は最大平衡時間3時間とした。データは試料の初期水分含量に対して補正されなかった。較正基準として塩化ナトリウムおよびポリビニルピロリドンを用いた。潜在的な形態変化については、脱着完了後に試料を採取して粉末X線回折により解析した。
【0219】
B. 形態A、B、C、D、E、および非晶質の調製法
実施例1. (-)-ハロフェナート形態Aの結晶化
方法i
100 mLのボトムドレイン反応器に、(-)-ハロフェナート(94.2%ee)2.62 gおよび6/1(v/v)のヘプタン/2-プロパノール26.2 gを充填した。この混合物を39℃に加熱して溶液を得た。次に1℃/分の速度で10℃まで冷却し、スラリーを得た。このスラリーを加熱して、23℃で薄いスラリーを得た。薄いスラリーを0.05℃/分の速度で6.2℃まで冷却し、約10時間保持した後に、真空濾過により固体を単離した。室温で真空オーブン乾燥することにより、約2〜3%のヘプタンを含有する1.57 g(回収率60%、99.76%ee)の(-)-ハロフェナート形態Bを得た。さらに約50℃で真空オーブン乾燥することにより、ヘプタンを含有する形態Cを得たが、その濃度は約0.3%であった。さらに約50℃で真空オーブン乾燥することにより、わずか約0.05%のヘプタンを含有する形態Aを得た。
【0220】
方法ii
(-)-ハロフェナート形態Bを融解するまで加熱し、周囲条件で冷却することにより、形態Aを得た。
【0221】
方法iii
(-)-ハロフェナート形態Cを融解するまで加熱し、周囲条件で冷却することにより、形態Aを得た。
【0222】
方法iv
Teflon製のボトム用プラグバルブを備えた200 mLのガラスジャケット式容器に、三枚刃のインペラ(下降流圧送用ピッチ)およびハステロイ熱電対を設置した。さらに、結晶化装置の容器ヘッドに窒素バブリング装置の頂部を有するコンデンサを設置した。(-)-ハロフェナート(4.5 g、乾燥)および溶媒[46.8 g、n-ヘプタン(Phillips純度グレード):2-プロパノール(Fisher HPLCグレード)、6:1、v:v]を、マグネティック撹拌バーと一緒に100 mLの一ツ口フラスコに添加した。頚部にコンデンサを配置し、そのフラスコをウォーターバスで約50℃で加熱して溶液にした。この溶液を、HPLC溶媒濾過装置により0.5 mmのPTFEフィルターで濾過した。濾液は容器ヘッドに注がれ、合計で49.6 gとなった。溶解/濾過装置へと失われた溶液中の溶質の量を0.15 gと見積もった。この溶液を30℃まで冷却し、(-)-ハロフェナート(形態A)0.0303 gを種晶として加えた。内容物を275 rpmで撹拌し、ジャケット設定点を27℃に設定することにより冷却した。種晶を加えて13分後、28℃で冷却する間に付加的な核形成が観察された。27℃で1.5時間かけて、より濃厚なスラリーを生じた。懸濁液を28℃に加熱して、0.75時間保持した後に、以下のジャケットプロファイルを用いて冷却した。0.833℃/時で28℃から20℃まで、2.40℃/時で20℃から8℃まで、3.50℃/時で8℃から-6℃まで。スラリーを-6℃で5時間保持した後に、60 mLのCフリットのガラス漏斗を用いて吸引濾過により単離した。母液(38.32 g)は無色透明であった。冷却したn-ヘプタン(13.8 g)をリンス剤として容器に添加し、湿性ケーキの頂部に装填した。この洗浄液と前の母液を組み合わせて合計で51.94 gとなった。洗浄した湿性ケーキ(5.62 g)をシャーレに移し、室温で19時間、真空オーブン内で乾燥させた。乾燥生成物(3.42 g、単離収率78.6%)をXRDにより解析したところ、形態Aの結晶構造のパターンと一致した。HPLCにより、結晶生成物中に(+)-ハロフェナートは検出されなかった。NMRにより、この生成物は0.04%のヘプタンを含有した。母液および洗浄液は約0.079%の(+)-ハロフェナートおよび1.39%の(-)-ハロフェナートを含有した。
【0223】
方法v
12インチ径の三枚羽根後退カーブアジテーター(撹拌機)が備わっている50ガロンのガラス張りした鋼製反応槽に、粗(-)-ハロフェナートを21ポンド、n-ヘプタンを177ポンド、2-プロパノールを34ポンド充填した。この混合物を48℃に加熱して(-)-ハロフェナートを完全に溶解させた。この反応溶液を、0.2ミクロンのポリッシュフィルターを通して、同様に装備した100ガロンのガラス張りした鋼製反応槽へ圧力により移送して、潜在的固体汚染物質を除去した。この移送には概して約10分間を要した。n-ヘプタン約9ポンドおよび2-プロパノール2ポンドを、12インチ径の三枚羽根後退カーブアジテーターが備わっている50ガロンのガラス張りした鋼製反応槽に装填した。50℃に加熱した後、この溶媒を100ガロンの反応槽へ圧力により移送して、移送ラインおよびフィルターを洗い流した。100ガロンの反応溶液を12℃/時で50℃から27℃まで冷却した。この過飽和溶液に(-)-ハロフェナート約50 gを種晶として加えた。種晶をn-ヘプタンと混合し、得られたスラリーを反応槽サンプルラインを通して真空装填した。100ガロンの反応槽内容物を核形成が起こるまで27℃で保持した。約30分後に概して白色のスラリーが観察できた。100ガロンの反応槽内の(-)-ハロフェナートは、冷却することにより結晶化した。標準的なジャケット冷却プロファイルは以下のとおりであった。1℃/時で27℃から20℃まで、2.4℃/時で20℃から8℃まで、3.5℃/時で8℃から-8℃まで。100ガロンの反応槽のスラリーを-8℃以下で4時間保持した後、そのスラリーを30インチ径の316ステンレス鋼製遠心分離機に移し、1〜3ミクロンのポリプロピレンの濾布を用いて遠心分離することにより、生成物を単離した。n-ヘプタン60ポンドを用いて反応槽を洗い流し、反応槽内にまだ残存する生成物を除去した。最終的に、湿性ケーキを、遠心分離機洗浄ノズルを通した冷却n-ヘプタン32ポンドで洗浄した。遠心分離機から湿性ケーキ約33ポンドを取り出した(乾燥による消失は約50%)。この湿性ケーキを実験室の真空オーブンまたは3立方フィートのガラス張りしたタンブル乾燥機内で、LODが0.3%以下になるまで25℃で乾燥させた。この乾燥生成物を3メッシュのワイヤスクリーンに通して、ラインファイバーパッケージに取り出した。
【0224】
方法vi
(-)-ハロフェナート約66 mgをアセトニトリル約2 mLに溶解した。この溶液約1 mLを0.2 μmのナイロンシリンジフィルターにより、開放性の20 mLシンチレーションバイアルの中に濾過した。この溶液をドラフト内にて周囲条件で白色の固体に乾燥させた。
【0225】
方法vii
(-)-ハロフェナート約65 mgをアセトニトリル約0.5 mLに溶解し、0.2 μmのナイロンシリンジフィルターを通して濾過した。この溶液に水15 mLを加え、手短にボルテックスした。わずかに濁った溶液が得られた。この溶液を周囲温度で5分間遠心分離した。少量の固体とともに無色の溶液が生成された。この溶液を集め、ドラフト内で乾燥した。
【0226】
方法viii
(-)-ハロフェナート約60 mgをベンゼン約2 mLに溶解した。この溶液約1 mLを0.2 μmのナイロンシリンジフィルターにより、針穴を有するアルミ箔で覆われた20 mLシンチレーションバイアルの中に濾過した。この溶液をドラフト内にて周囲条件で白色の固体に乾燥させた。
【0227】
方法ix
(-)-ハロフェナート約53 mgをシクロヘキサノール約2 mLに溶解した。この溶液約1 mLを0.2 μmのナイロンシリンジフィルターにより、開放性の20 mLシンチレーションバイアルの中に濾過した。ドラフト内にて周囲条件で白色の固体に乾燥させた。
【0228】
方法x
(-)-ハロフェナート約51 mgを第3ブチルメチルエーテル約2 mLに溶解した。この溶液約1 mLを0.2 μmのナイロンシリンジフィルターにより、開放性の20 mLシンチレーションバイアルの中に濾過した。ドラフト内にて周囲条件で白色の固体に乾燥させた。
【0229】
方法xi
(-)-ハロフェナート約97 mgをトルエン約2 mLに溶解した。この溶液約1 mLを0.2 μmのナイロンシリンジフィルターにより、開放性の20 mLシンチレーションバイアルの中に濾過した。ドラフト内にて周囲条件で白色の固体に乾燥させた。
【0230】
実施例2. (-)-ハロフェナート形態Bの結晶化
方法i
100 mLのボトムドレイン反応器に、(-)-ハロフェナート(94.2%ee)2.62 gおよび6/1(v/v)のヘプタン/2-プロパノール26.2 gを充填した。この混合物を39℃に加熱して溶液を得た。次に1℃/分の速度で10℃まで冷却し、スラリーを得た。このスラリーを加熱して、23℃で薄いスラリーを得た。薄いスラリーを0.05℃/分の速度で6.2℃まで冷却し、約10時間保持した後に、真空濾過により固体を単離した。室温で真空オーブン乾燥することにより、約2〜3%のヘプタンを含有する1.57 g(回収率60%、99.76%ee)の(-)-ハロフェナートを得た。
【0231】
方法ii
(-)-ハロフェナート約200 mgをガラスバイアルに充填した。このバイアルにヘプタン2.57 mL、その後2-プロパノール0.43 mL (6:1(v:v)のヘプタン/IPA 3 mL)をピペットで移した。この試料を数分間ボルテックスしたが、多くの固体が残っていた。バイアルを次いで、約25℃の恒温槽(水/不凍)に入れた。槽の温度を少しずつ上げて、全ての固体を溶解させた。手短くボルテックスするため、この試料を周期的に取り出した。40℃で、30分以上の後、全ての固体が溶解した。
【0232】
得られた溶液を2つのきれいなガラスバイアルの中に熱濾過した。両バイアルを40℃の槽内に約10分間保持して、濾過による固体の沈殿がないことを確実にした。槽の温度を18℃にゆっくり下げた。5時間半以上の後、槽の温度は18℃に達し、それからバイアルの一方を冷凍庫(約-20℃)の中に入れた。どちらの試料も少しの固体も含むようには見えなかった。その後、槽の温度を25℃に上げた。25℃で15分以上の後、もう一方のバイアルを同じ冷凍庫の中に入れた。冷凍庫に入れる際、この試料には固体が全く含まれていなかった。
【0233】
どちらの試料も、冷凍庫内で一晩保存した後には、固体で粘稠となった。試料を周囲温度に加温し、上清を除去した。各固体試料のごく一部をスライドガラスに移し、偏光顕微鏡検査により分析した。スライドを周囲条件の下で保存し、単結晶X線に供した。各バイアル試料の一部をInelキャピラリーXRPDにより解析した。固体が湿っているうちに、キャピラリーに詰めた。
【0234】
残りの試料を含有するバイアルを、ドラフト内でキャップを外したままにし、固体を風乾した。固体を約5時間乾燥し、バイアルをキャップした。バイアルを約1日間、周囲温度で放置した。試料の1つ約12 mgをきれいなバイアルに移し、真空により周囲温度で約5時間乾燥した。真空乾燥した試料をInelキャピラリーXRPDにより解析した。風乾した試料は保存のため冷蔵庫(約4℃)に移した。
【0235】
方法iii
(-)-ハロフェナート約200 mgをヘプタン約2.5 mLおよび2-プロパノール約0.4 mLに溶解した。試料を40℃の水槽内で約50分間加熱し、清澄な溶液を得た。次いで、この溶液の約半分を熱いうちに、温かい0.2 μmナイロンシリンジフィルターを通して濾過した。濾液を水槽に戻し、約4.5時間18℃に冷却した。沈殿は認められなかった。試料を約-17℃の冷凍庫に一晩移した。試料を冷凍庫から取り出し、溶液が周囲温度に加温されたら、容器を傾け上清を取り除いて、白色の固体を回収した。
【0236】
実施例3. (-)-ハロフェナート形態Cの結晶化
100 mLのボトムドレイン反応器に、(-)-ハロフェナート(94.2%ee)2.62 gおよび6/1(v/v)のヘプタン/2-プロパノール26.2 gを充填した。この混合物を39℃に加熱して溶液を得た。次に1℃/分の速度で10℃まで冷却し、スラリーを得た。このスラリーを加熱して、23℃で薄いスラリーを得た。薄いスラリーを0.05℃/分の速度で6.2℃まで冷却し、約10時間保持した後に、真空濾過により固体を単離した。室温で真空オーブン乾燥することにより、約2〜3%のヘプタンを含有する1.57 g(回収率60%、99.76%ee)の(-)-ハロフェナートを得た。さらに約50℃で真空オーブン乾燥することにより、ヘプタンを含有する形態Cを得たが、その濃度は約0.3%であった。
【0237】
実施例4. (-)-ハロフェナート形態Dの結晶化
方法i
(-)-ハロフェナート約52 mgをアセトン約1 mLに溶解した。この溶液を0.2 μmのナイロンシリンジフィルターにより濾過し、濾液を回転蒸発させた。得られた試料を真空下、周囲温度で乾燥して、白色の固体を得た。
【0238】
方法ii
(-)-ハロフェナート約59 mgをエタノール約2 mLに溶解した。この溶液約1 mLを0.2 μmのナイロンシリンジフィルターにより、開放性の20 mLシンチレーションバイアルの中に濾過した。ドラフト内にて周囲条件で白色の固体に乾燥させた。
【0239】
実施例5. (-)-ハロフェナート形態Eの結晶化
(-)-ハロフェナート約60 mgを第3ブチルメチルエーテル0.5 mLに溶解した。この溶液を0.2 μmのナイロンシリンジフィルターにより、ドライアイス/アセトン浴中で冷却された冷ヘプタン40 mLの中に濾過し、キャップした。溶液は濁りだし、約1時間後に固体が生じた。溶液を注ぎ出すことで、固体を回収した。この試料を周囲温度で真空乾燥して、白色の粉末を得た。
【0240】
実施例6. 非晶質の(-)-ハロフェナートの調製
(-)-ハロフェナート約114 mgを細粉に刻んで、開口バイアルの中に入れた。このバイアルを約74%の相対湿度の、飽和塩溶液を含有するジャーの中に入れ、これを3週間60℃のオーブンの中に入れた。試料は清澄/無色の液体になり、これはジャーから取り出されると清澄からオフホワイトのゲルに速やかに変換された。このオフホワイトのゲルは非晶質であった。
【0241】
実施例7. スラリー相互変換の研究
XRPDによる混合形態および純粋な形態の試料を相互変換の研究に使用した(図37参照)。
【0242】
(-)-ハロフェナート形態Aおよそ4 mgをシクロヘキサン約5〜6 mL中でボルテックスおよび超音波処理することで、飽和溶液を調製した。この溶液を、形態A/形態Dおよそ40 mgの混合物を含有する試料の中に濾過した。この混合物を回転ホイール上にて周囲温度で約6日間スラリー化した。固体を真空濾過により回収し、周囲温度で真空乾燥した。乾燥固体を偏光顕微鏡検査およびXRPDにより分析した。
【0243】
シクロヘキサン2 mLを使い、およそ50℃のシェイカーブロックを用いて実験を繰り返し、およそ3日間スラリー化し、上清をデカンテーションにより除去した。純粋な形態AおよびE (各形態およそ20 mg)を用いて、周囲温度と50℃の両方での実験を繰り返した。周囲温度での実験は同じく、冷蔵庫(およそ5℃)内の磁気撹拌プレート上にておよび回転ホイール上にてA、B、D、およびE (各形態およそ10 mg、約7日でスラリー化)でも繰り返した。XRPDにより、変換が完全だと思われなかった場合には、固体をシクロヘキサン中で再スラリー化した。
【0244】
相互変換の研究はシクロヘキサン中にて周囲温度、50℃および5℃で行った(図37参照)。一般的な有機溶媒中での各種形態の高い溶解度のため、溶媒を選択した。形態A、B、DおよびEを出発材料として使用した。スラリーは全て形態Aを生じた。このことは、形態Aが(-)-ハロフェナートの最も安定な結晶形態であることを裏付けている。
【0245】
理解を明確にする目的で例証および実例により先述の発明を詳細に記述してきたが、ある種の変更および修正を、添付の特許請求の範囲内で実践できることを当業者は理解するであろう。さらに、本明細書において示される各参考文献は、各参考文献が個別的に参照により組み入れられるのと同じ程度に、その全体が参照により組み入れられる。
【図面の簡単な説明】
【0246】
【図1】(-)-ハロフェナートの結晶性固体の形態AのXRPDパターンを示す。
【図2】(-)-ハロフェナートの結晶性固体の形態AのXRPDピークリストを示す。
【図3】(-)-ハロフェナートの結晶性固体の形態AのFT-赤外スペクトルを示す。
【図4】(-)-ハロフェナートの結晶性固体の形態Aのピーク表示付きFT-赤外スペクトルを示す。
【図5】(-)-ハロフェナートの結晶性固体の形態AのFT-ラマンスペクトルを示す。
【図6】(-)-ハロフェナートの結晶性固体の形態Aのピーク表示付きFT-ラマンスペクトルを示す。
【図7】(-)-ハロフェナートの結晶性固体の形態AのサイクリックDSC分析を示す。
【図8】(-)-ハロフェナートの結晶性固体の形態Aの高温顕微鏡検査を示す。
【図9】サイクリックDSC後の(-)-ハロフェナートの結晶性固体の形態Aの光学顕微鏡検査を示す。
【図10】(-)-ハロフェナートの結晶性固体の形態Aの熱分析を示す。
【図11】(-)-ハロフェナートの結晶性固体の形態Aの自動水分収着/脱着データを示す。
【図12】(-)-ハロフェナートの結晶性固体の形態A、DおよびEの1H NMRスペクトルを示す。
【図13】(-)-ハロフェナートの結晶性固体の形態BのXRPDパターンを示す。
【図14】(-)-ハロフェナートの結晶性固体の形態BのXRPDピークリストを示す。
【図15】(-)-ハロフェナートの結晶性固体の形態BのDSC分析を示す。
【図16】(-)-ハロフェナートの結晶性固体の形態CのXRPDパターンを示す。
【図17】(-)-ハロフェナートの結晶性固体の形態CのDSC分析を示す。
【図18】(-)-ハロフェナートの結晶性固体の形態DのXRPDパターンを示す。
【図19】(-)-ハロフェナートの結晶性固体の形態DのXRPDピークリストを示す。
【図20】(-)-ハロフェナートの結晶性固体の形態DのFT-赤外スペクトルを示す。
【図21】(-)-ハロフェナートの結晶性固体の形態Dのピーク表示付きFT-赤外スペクトルを示す。
【図22】(-)-ハロフェナートの結晶性固体の形態DのFT-ラマンスペクトルを示す。
【図23】(-)-ハロフェナートの結晶性固体の形態Dのピーク表示付きFT-ラマンスペクトルを示す。
【図24】(-)-ハロフェナートの結晶性固体の形態Dの熱分析を示す。
【図25】(-)-ハロフェナートの結晶性固体の形態Dの自動水分収着/脱着データを示す。
【図26】(-)-ハロフェナートの結晶性固体の形態EのXRPDパターンを示す。
【図27】(-)-ハロフェナートの結晶性固体の形態EのXRPDピークリストを示す。
【図28】(-)-ハロフェナートの結晶性固体の形態EのFT-赤外スペクトルを示す。
【図29】(-)-ハロフェナートの結晶性固体の形態Eのピークリスト付きFT-赤外スペクトルを示す。
【図30】(-)-ハロフェナートの結晶性固体の形態EのFT-ラマンスペクトルを示す。
【図31】(-)-ハロフェナートの結晶性固体の形態Eのピークリスト付きFT-ラマンスペクトルを示す。
【図32】(-)-ハロフェナートの結晶性固体の形態Eの熱分析を示す。
【図33】(-)-ハロフェナートの結晶性固体の形態Eの高温顕微鏡検査を示す。
【図34】(-)-ハロフェナートの結晶性固体の形態Eの自動水分収着/脱着分析を示す。
【図35】(-)-ハロフェナートの非晶質の形態のXRPDを示す。
【図36】RTのおよび50℃の溶媒中での(-)-ハロフェナートのおおよその溶解度を示す。
【図37】相互変換の研究の要約表を示す。
【図38】(-)-ハロフェナートの結晶性固体の形態CのXRPDピークリストを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のうち、少なくとも1つによって特徴付けられる、結晶性固体の形態Aの(-)-ハロフェナート化合物:
(i) 図3に実質的に一致する赤外スペクトル;
(ii) 図5に実質的に一致するラマンスペクトル;
(iii) 図1に実質的に一致するX線粉末回折パターン;および
(iv) 図7に実質的に一致するDSCスキャン。
【請求項2】
図3に実質的に一致する赤外スペクトルによって特徴付けられる、結晶性固体の形態Aの(-)-ハロフェナート化合物。
【請求項3】
図5に実質的に一致するラマンスペクトルによって特徴付けられる、結晶性固体の形態Aの(-)-ハロフェナート化合物。
【請求項4】
以下のうち、少なくとも1つによって特徴付けられる、結晶性固体の形態Aの(-)-ハロフェナート化合物:
(i) 約3479、3322、3082、2886、2842、1918、1850、1753、1709、1651、1596、1548、1494、1461、1430、1371、1340、1272、1231、1127、1070、1017、926、903および884 cm-1の吸収ピークを含む赤外スペクトル;
(ii) 約3087、3071、2959、2933、2857、1747、1663、1647、1622、1598、1451、1433、1333、1290、1274、1231、1208、1177、1095、1015、1001、964、948、926、905、882、872、833、767、757、723および631 cm-1の吸収ピークを含むラマンスペクトル;
(iii) 2θ=約10.8°、2θ=約22.0°および2θ=約29.3°のピークを含むX線粉末回折パターン;ならびに
(iv) 約80℃のDSC最大吸熱。
【請求項5】
2θ=約10.8°および2θ=約22.0°、および2θ=約29.3°のピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、結晶性固体の形態Aの(-)-ハロフェナート化合物。
【請求項6】
約80℃のDSC最大吸熱によって特徴付けられる、結晶性固体の形態Aの(-)-ハロフェナート化合物。
【請求項7】
以下のうち、少なくとも1つによって特徴付けられる、実質的に純粋な結晶性固体の形態Aの(-)-ハロフェナート化合物:
(i) 図3に実質的に一致する赤外スペクトル;
(ii) 図5に実質的に一致するラマンスペクトル;
(iii) 図1に実質的に一致するX線粉末回折パターン;および
(iv) 図7に実質的に一致するDSCスキャン。
【請求項8】
図3に実質的に一致する赤外スペクトルによって特徴付けられる、実質的に純粋な結晶性固体の形態Aの(-)-ハロフェナート化合物。
【請求項9】
図5に実質的に一致するラマンスペクトルによって特徴付けられる、実質的に純粋な結晶性固体の形態Aの(-)-ハロフェナート化合物。
【請求項10】
以下のうち、少なくとも1つによって特徴付けられる、実質的に純粋な結晶性固体の形態Aの(-)-ハロフェナート化合物:
(i) 約3479、3322、3082、2886、2842、1918、1850、1753、1709、1651、1596、1548、1494、1461、1430、1371、1340、1272、1231、1127、1070、1017、926、903および884 cm-1の吸収ピークを含む赤外スペクトル;
(ii) 約3087、3071、2959、2933、2857、1747、1663、1647、1622、1598、1451、1433、1333、1290、1274、1231、1208、1177、1095、1015、1001、964、948、926、905、882、872、833、767、757、723および631 cm-1の吸収ピークを含むラマンスペクトル;
(iii) 2θ=約10.8°および2θ=約22.0°、および2θ=約29.3°のピークを含むX線粉末回折パターン、ならびに
(iv) 約80℃のDSC最大吸熱。
【請求項11】
2θ=約10.8°、2θ=約22.0°、および2θ=約29.3°のピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、実質的に純粋な結晶性固体の形態Aの(-)-ハロフェナート化合物。
【請求項12】
約80℃のDSC最大吸熱によって特徴付けられる、実質的に純粋な結晶性固体の形態Aの(-)-ハロフェナート化合物。
【請求項13】
以下のうち、少なくとも1つによって特徴付けられる、結晶性固体の形態Bの(-)-ハロフェナート化合物:
(i) 図13に実質的に一致するX線粉末回折パターン;および
(ii) 図15に実質的に一致するDSCスキャン。
【請求項14】
以下のうち、少なくとも1つによって特徴付けられる、結晶性固体の形態Bの(-)-ハロフェナート化合物:
(i) 2θ=約6.2°および2θ=約12.4°のピークを含むX線粉末回折パターン;ならびに
(ii) 約71℃のDSC吸熱最大。
【請求項15】
2θ=約6.2°および2θ=約12.4°のピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、結晶性固体の形態Bの(-)-ハロフェナート化合物。
【請求項16】
約71℃のDSC吸熱最大によって特徴付けられる、結晶性固体の形態Bの(-)-ハロフェナート化合物。
【請求項17】
以下のうち、少なくとも1つによって特徴付けられる、実質的に純粋な結晶性固体の形態Bの(-)-ハロフェナート化合物:
(i) 図13に実質的に一致するX線粉末回折パターン;および
(ii) 図15に実質的に一致するDSCスキャン。
【請求項18】
以下のうち、少なくとも1つによって特徴付けられる、実質的に純粋な結晶性固体の形態Bの(-)-ハロフェナート化合物:
(i) 2θ=約6.2°および2θ=約12.4°のピークを含むX線粉末回折パターン;ならびに
(ii) 約71℃のDSC吸熱最大。
【請求項19】
2θ=約6.2°および2θ=約12.4°のピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、実質的に純粋な結晶性固体の形態Bの(-)-ハロフェナート化合物。
【請求項20】
約71℃のDSC吸熱最大によって特徴付けられる、実質的に純粋な結晶性固体の形態Bの(-)-ハロフェナート化合物。
【請求項21】
以下のうち、少なくとも1つによって特徴付けられる、結晶性固体の形態Cの(-)-ハロフェナート化合物:
(i) 図16に実質的に一致するX線粉末回折パターン;および
(ii) 図17に実質的に一致するDSCスキャン。
【請求項22】
2θ=約9.9°および2θ=約13.3°のピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、結晶性固体の形態Cの(-)-ハロフェナート化合物。
【請求項23】
以下のうち、少なくとも1つによって特徴付けられる、実質的に純粋な結晶性固体の形態Cの(-)-ハロフェナート化合物:
(i) 図16に実質的に一致するX線粉末回折パターン;および
(ii) 図17に実質的に一致するDSCスキャン。
【請求項24】
2θ=約9.9°および2θ=約13.3°のピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、実質的に純粋な結晶性固体の形態Cの(-)-ハロフェナート化合物。
【請求項25】
以下のうち、少なくとも1つによって特徴付けられる、結晶性固体の形態Dの(-)-ハロフェナート化合物:
(i) 図20に実質的に一致する赤外スペクトル;
(ii) 図22に実質的に一致するラマンスペクトル;および
(iii) 図18に実質的に一致するX線粉末回折パターン。
【請求項26】
図20に実質的に一致する赤外スペクトルによって特徴付けられる、結晶性固体の形態Dの(-)-ハロフェナート化合物。
【請求項27】
図22に実質的に一致するラマンスペクトルによって特徴付けられる、結晶性固体の形態Dの(-)-ハロフェナート化合物。
【請求項28】
以下のうち、少なくとも1つによって特徴付けられる、結晶性固体の形態Dの(-)-ハロフェナート化合物:
(i) 約3469、3297、3086、2968、2930、2870、1747、1740、1703、1647、1597、1554、1492、1460、1429、1369、1345、1295、1232、1209、1193、1124、1069、1015、906、880、838、819 cm-1の吸収ピークを含む赤外スペクトル;
(ii) 約3077、3063、2970、2932、1743、1649、1621、1598、1430、1329、1208、1192、1182、1093、1000、936、906、881、756、723および632 cm-1の吸収ピークを含むラマンスペクトル;ならびに
(iii) 2θ=約9.6°および2θ=約17.4°のピークを含むX線粉末回折パターン;ならびに
(iv) 約74℃のDSC吸熱最大。
【請求項29】
2θ=約9.6°および2θ=約17.4°のピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、結晶性固体の形態Dの(-)-ハロフェナート化合物。
【請求項30】
約74℃のDSC吸熱最大によって特徴付けられる、結晶性固体の形態Dの(-)-ハロフェナート化合物。
【請求項31】
以下のうち、少なくとも1つによって特徴付けられる、実質的に純粋な結晶性固体の形態Dの(-)-ハロフェナート化合物:
(i) 図20に実質的に一致する赤外スペクトル;
(ii) 図22に実質的に一致するラマンスペクトル;および
(iii) 図18に実質的に一致するX線粉末回折パターン。
【請求項32】
図20に実質的に一致する赤外スペクトルによって特徴付けられる、実質的に純粋な結晶性固体の形態Dの(-)-ハロフェナート化合物。
【請求項33】
図22に実質的に一致するラマンスペクトルによって特徴付けられる、実質的に純粋な結晶性固体の形態Dの(-)-ハロフェナート化合物。
【請求項34】
以下のうち、少なくとも1つによって特徴付けられる、実質的に純粋な結晶性固体の形態Dの(-)-ハロフェナート化合物:
(i) 約3469、3297、3086、2968、2930、2870、1747、1740、1703、1647、1597、1554、1492、1460、1429、1369、1345、1295、1232、1209、1193、1124、1069、1015、906、880、838、819 cm-1の吸収ピークを含む赤外スペクトル;
(ii) 約3077、3063、2970、2932、1743、1649、1621、1598、1430、1329、1208、1192、1182、1093、1000、936、906、881、756、723および632 cm-1の吸収ピークを含むラマンスペクトル;ならびに
(iii) 2θ=約9.6°および2θ=約17.4°のピークを含むX線粉末回折パターン;ならびに
(iv) 約74℃のDSC吸熱最大。
【請求項35】
2θ=約9.6°および2θ=約17.4°のピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、実質的に純粋な結晶性固体の形態Dの(-)-ハロフェナート化合物。
【請求項36】
約74℃のDSC吸熱最大によって特徴付けられる、実質的に純粋な結晶性固体の形態Dの(-)-ハロフェナート化合物。
【請求項37】
以下のうち、少なくとも1つによって特徴付けられる、結晶性固体の形態Eの(-)-ハロフェナート化合物:
(i) 図28に実質的に一致する赤外スペクトル;
(ii) 図30に実質的に一致するラマンスペクトル;および
(iii) 図26に実質的に一致するX線粉末回折パターン。
【請求項38】
図28に実質的に一致する赤外スペクトルによって特徴付けられる、結晶性固体の形態Eの(-)-ハロフェナート化合物。
【請求項39】
図30に実質的に一致するラマンスペクトルによって特徴付けられる、結晶性固体の形態Eの(-)-ハロフェナート化合物。
【請求項40】
以下のうち、少なくとも1つによって特徴付けられる、結晶性固体の形態Eの(-)-ハロフェナート化合物:
(i) 約3475、3301、3092、2969、2933、2871、1750、1706、1660、1597、1563、1493、1460、1429、1370、1338、1232、1178、1126、1070、1015、906、886および820 cm-1の吸収ピークを含む赤外スペクトル;
(ii) 約3071、2969、2933、1746、1657、1621、1598、1448、1432、1334、1291、1232、1179、1094、1001、907、881、767、756、722および632 cm-1の吸収ピークを含むラマンスペクトル;ならびに
(iii) 2θ=約11.8°および2θ=約13.0°のピークを含むX線粉末回折パターン。
【請求項41】
2θ=約11.8°および2θ=約13.0°のピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、結晶性固体の形態Eの(-)-ハロフェナート化合物。
【請求項42】
以下のうち、少なくとも1つによって特徴付けられる、実質的に純粋な結晶性固体の形態Eの(-)-ハロフェナート化合物:
(i) 図28に実質的に一致する赤外スペクトル;
(ii) 図30に実質的に一致するラマンスペクトル;および
(iii) 図26に実質的に一致するX線粉末回折パターン。
【請求項43】
図28に実質的に一致する赤外スペクトルによって特徴付けられる、実質的に純粋な結晶性固体の形態Eの(-)-ハロフェナート化合物。
【請求項44】
図30に実質的に一致するラマンスペクトルによって特徴付けられる、実質的に純粋な結晶性固体の形態Eの(-)-ハロフェナート化合物。
【請求項45】
以下のうち、少なくとも1つによって特徴付けられる、実質的に純粋な結晶性固体の形態Eの(-)-ハロフェナート化合物:
(i) 約3475、3301、3092、2969、2933、2871、1750、1706、1660、1597、1563、1493、1460、1429、1370、1338、1232、1178、1126、1070、1015、906、886および820 cm-1の吸収ピークを含む赤外スペクトル;
(ii) 約3071、2969、2933、1746、1657、1621、1598、1448、1432、1334、1291、1232、1179、1094、1001、907、881、767、756、722および632 cm-1の吸収ピークを含むラマンスペクトル;ならびに
(iii) 2θ=約11.8°および2θ=約13.0°のピークを含むX線粉末回折パターン。
【請求項46】
2θ=約11.8°および2θ=約13.0°のピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、実質的に純粋な結晶性固体の形態Eの(-)-ハロフェナート化合物。
【請求項47】
非晶質の形態の(-)-ハロフェナート化合物。
【請求項48】
実質的に2θ=約15°〜約30°の間にブロードなピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、実質的に純粋な非晶質の形態の(-)-ハロフェナート化合物。
【請求項49】
図35に実質的に一致するX線粉末回折パターンによって特徴付けられる、実質的に純粋な非晶質の形態の(-)-ハロフェナート化合物。
【請求項50】
以下のうち、少なくとも1つによって得られる、結晶性固体の形態Aを有する請求項1〜12のいずれか一項記載の化合物:
(i) ヘプタン、2-プロパノール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの溶媒の中で(-)-ハロフェナートを加熱する段階;約50℃〜-10℃の温度で結晶化する段階ならびに結晶が0.05%未満の溶媒を含むようになるまで乾燥する段階;
(ii) (-)-ハロフェナートの固体形態Bの結晶を乾燥する段階;
(iii) (-)-ハロフェナートの固体形態Cの結晶を乾燥する段階;
(iv) ヘプタン、2-プロパノール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの溶媒の中で(-)-ハロフェナートを加熱する段階;(-)-ハロフェナートの固体形態の結晶の存在下、約50℃〜-10℃の温度で結晶化する段階ならびに結晶が0.05%未満の溶媒を含むようになるまで乾燥する段階;ならびに
(v) アセトニトリル、ベンゼン、シクロヘキサノール、t-ブチルメチルエーテル、メタノール、メチルエチルケトン、トルエン、テトラヒドロフランおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの溶媒から(-)-ハロフェナートを結晶化する段階ならびに乾燥する段階。
【請求項51】
ヘプタン、2-プロパノール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの溶媒から、かつ約20℃〜-10℃の温度で(-)-ハロフェナートを結晶化する段階ならびに結晶が約2%〜約3%の溶媒を含むようになるまで乾燥する段階によって得られる、結晶性固体の形態Bを有する請求項13〜20のいずれか一項記載の化合物。
【請求項52】
ヘプタン、2-プロパノール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの溶媒から、かつ約20℃〜-10℃の温度で(-)-ハロフェナートを結晶化する段階ならびに結晶が約0.05%〜約0.3%の溶媒を含むようになるまで乾燥する段階によって得られる、結晶性固体の形態Cを有する請求項21〜24のいずれか一項記載の化合物。
【請求項53】
アセトン、エタノール、ジクロロメタンおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの溶媒から(-)-ハロフェナートを結晶化する段階ならびに乾燥する段階によって得られる、結晶性固体の形態Dを有する請求項25〜36のいずれか一項記載の化合物。
【請求項54】
ヘキサン、ならびにt-ブチルメチルエーテルおよび2-プロパノールからなる群より選択される少なくとも1つの溶媒から(-)-ハロフェナートを結晶化する段階ならびに乾燥する段階によって得られる、結晶性固体の形態Eを有する請求項37〜46のいずれか一項記載の化合物。
【請求項55】
(-)-ハロフェナートを高湿度中で加熱する段階によって得られる、非晶質の形態の請求項47〜49のいずれか一項記載の化合物。
【請求項56】
(-)-ハロフェナートを少なくとも約70%の湿度中、少なくとも約3週間、約60℃超で加熱する段階によって得られる、非晶質の形態の請求項55記載の化合物。
【請求項57】
単離された形態で存在する、結晶性固体の形態A、B、C、D、Eおよび非晶質からなる群より選択される形態の(-)-ハロフェナート化合物。
【請求項58】
実質的に純粋な形態Aの請求項57記載の化合物。
【請求項59】
実質的に純粋な形態Bの請求項57記載の化合物。
【請求項60】
実質的に純粋な形態Cの請求項57記載の化合物。
【請求項61】
実質的に純粋な形態Dの請求項57記載の化合物。
【請求項62】
実質的に純粋な形態Eの請求項57記載の化合物。
【請求項63】
実質的に純粋な非晶質の形態の請求項57記載の化合物。
【請求項64】
(-)-ハロフェナートの総重量に基づき、91%を上回る(-)-ハロフェナートおよび9%を下回る(-)-ハロフェナート以外の化学的不純物からなる、前記請求項のいずれか一項記載の化合物。
【請求項65】
92重量%を上回る(-)-ハロフェナートからなる請求項64記載の化合物。
【請求項66】
93重量%を上回る(-)-ハロフェナートからなる請求項64記載の化合物。
【請求項67】
94重量%を上回る(-)-ハロフェナートからなる請求項64記載の化合物。
【請求項68】
95重量%を上回る(-)-ハロフェナートからなる請求項64記載の化合物。
【請求項69】
96重量%を上回る(-)-ハロフェナートからなる請求項64記載の化合物。
【請求項70】
97重量%を上回る(-)-ハロフェナートからなる請求項64記載の化合物。
【請求項71】
98重量%を上回る(-)-ハロフェナートからなる請求項64記載の化合物。
【請求項72】
99重量%を上回る(-)-ハロフェナートからなる請求項64記載の化合物。
【請求項73】
(-)-ハロフェナートの総重量に基づき少なくとも91%が結晶性固体の形態Aで存在し、9%未満がB、C、D、Eおよび非晶質からなる群より選択される形態で存在する、前記請求項のいずれか一項記載の化合物。
【請求項74】
少なくとも92重量%が結晶性固体の形態Aで存在する、請求項73記載の化合物。
【請求項75】
少なくとも93重量%が結晶性固体の形態Aで存在する、請求項73記載の化合物。
【請求項76】
少なくとも94重量%が結晶性固体の形態Aで存在する、請求項73記載の化合物。
【請求項77】
少なくとも95重量%が結晶性固体の形態Aで存在する、請求項73記載の化合物。
【請求項78】
少なくとも96重量%が結晶性固体の形態Aで存在する、請求項73記載の化合物。
【請求項79】
少なくとも97重量%が結晶性固体の形態Aで存在する、請求項73記載の化合物。
【請求項80】
少なくとも98重量%が結晶性固体の形態Aで存在する、請求項73記載の化合物。
【請求項81】
少なくとも99重量%が結晶性固体の形態Aで存在する、請求項73記載の化合物。
【請求項82】
ハロフェナートの総重量に基づき少なくとも91%が(-)異性体であり、9%未満が(+)異性体である、前記請求項のいずれか一項記載の化合物。
【請求項83】
少なくとも92重量%が(-)異性体である、請求項82記載の化合物。
【請求項84】
少なくとも93重量%が(-)異性体である、請求項82記載の化合物。
【請求項85】
少なくとも94重量%が(-)異性体である、請求項82記載の化合物。
【請求項86】
少なくとも95重量%が(-)異性体である、請求項82記載の化合物。
【請求項87】
少なくとも96重量%が(-)異性体である、請求項82記載の化合物。
【請求項88】
少なくとも97重量%が(-)異性体である、請求項82記載の化合物。
【請求項89】
少なくとも98重量%が(-)異性体である、請求項82記載の化合物。
【請求項90】
少なくとも99重量%が(-)異性体である、請求項82記載の化合物。
【請求項91】
前記請求項のいずれか一項記載の化合物の治療的有効量および薬学的に許容される媒体または担体を含む薬学的組成物。
【請求項92】
固体経口用組成物である、請求項91記載の薬学的組成物。
【請求項93】
錠剤またはカプセルである、請求項91記載の薬学的組成物。
【請求項94】
吸入用のエアロゾルまたは乾燥粉末である、請求項91記載の薬学的組成物。
【請求項95】
請求項1〜90のいずれか一項記載の化合物の治療的有効量およびさらなる治療薬を含む薬学的組成物。
【請求項96】
さらなる治療薬がスルホニル尿素またはその他のインスリン分泌促進物質、チアゾリジンジオンまたはその他のインスリン感作物質、フィブラート、HMG-CoAレダクターゼ阻害剤、ビグアニド、胆汁酸結合樹脂、ニコチン酸、α-グルコシダーゼ阻害剤およびインスリンからなる群より選択される、請求項95記載の薬学的組成物。
【請求項97】
以下のうち、少なくとも1つを含む、結晶性固体の形態Aを有する請求項1〜12のいずれか一項記載の化合物を生成する方法:
(i) ヘプタン、2-プロパノール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの溶媒の中で(-)-ハロフェナートを加熱する段階;約50℃〜-10℃の温度で結晶化する段階ならびに結晶が0.05%未満の溶媒を含むようになるまで乾燥する段階;
(ii) (-)-ハロフェナートの固体形態Bの結晶を乾燥する段階;
(iii) (-)-ハロフェナートの固体形態Cの結晶を乾燥する段階;
(iv) ヘプタン、2-プロパノール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの溶媒の中で(-)-ハロフェナートを加熱する段階;(-)-ハロフェナートの固体形態の結晶の存在下、約50℃〜-10℃の温度で結晶化する段階ならびに結晶が0.05%未満の溶媒を含むようになるまで乾燥する段階;ならびに
(v) アセトニトリル、ベンゼン、シクロヘキサノール、t-ブチルメチルエーテル、メタノール、メチルエチルケトン、トルエン、テトラヒドロフランおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの溶媒から(-)-ハロフェナートを結晶化する段階ならびに乾燥する段階。
【請求項98】
ヘプタン、2-プロパノール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの溶媒から、かつ約20℃〜-10℃の温度で(-)-ハロフェナートを結晶化する段階、ならびに結晶が約2%〜約3%の溶媒を含むようになるまで乾燥する段階を含む、結晶性固体の形態Bを有する請求項13〜20のいずれか一項記載の化合物を生成する方法。
【請求項99】
ヘプタン、2-プロパノール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの溶媒から、かつ約20℃〜-10℃の温度で(-)-ハロフェナートを結晶化する段階、ならびに結晶が約0.05%〜約0.3%の溶媒を含むようになるまで乾燥する段階を含む、結晶性固体の形態Cを有する請求項21〜24のいずれか一項記載の化合物を生成する方法。
【請求項100】
アセトン、エタノール、ジクロロメタンおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つの溶媒から(-)-ハロフェナートを結晶化する段階ならびに乾燥する段階を含む、結晶性固体の形態Dを有する請求項25〜36のいずれか一項記載の化合物を生成する方法。
【請求項101】
t-ブチルメチルエーテルおよびヘプタンから(-)-ハロフェナートを結晶化する段階ならびに乾燥する段階を含む、結晶性固体の形態Eを有する請求項37〜46のいずれか一項記載の化合物を生成する方法。
【請求項102】
(-)-ハロフェナートを高湿度中で加熱する段階を含む、非晶質の形態の請求項47〜49のいずれか一項記載の化合物を生成する方法。
【請求項103】
(-)-ハロフェナートを少なくとも約74%の湿度中、少なくとも約3週間、約60℃超で加熱する段階を含む、非晶質の形態の請求項102記載の化合物を生成する方法。
【請求項104】
(-)-ハロフェナートを溶媒中で加熱する段階;約50℃〜-10℃の温度で結晶化する段階、および結晶が0.05%未満の溶媒を含むようになるまで乾燥する段階を含む、請求項1〜90のいずれか一項記載の化合物をエナンチオマー濃縮する方法。
【請求項105】
少なくとも約95%のエナンチオマー過剰率を有する、溶媒中の(-)-ハロフェナートをもたらす、請求項104記載の方法。
【請求項106】
請求項1〜90のいずれか一項記載の化合物の治療的有効量を哺乳動物に投与する段階を含む、哺乳動物において血中脂質沈着と関係する状態を予防するまたは処置する方法。
【請求項107】
哺乳動物がヒトである、請求項106記載の方法。
【請求項108】
状態の少なくとも1つが2型糖尿病および高脂血症からなる群より選択される、請求項106記載の方法。
【請求項109】
化合物が経口的に、非経口的にまたは局所的に投与される、請求項106記載の方法。
【請求項110】
化合物が第2の治療薬と併せて投与される、請求項106記載の方法。
【請求項111】
第2の治療薬がスルホニル尿素またはその他のインスリン分泌促進物質、チアゾリジンジオンまたはその他のインスリン感作物質、フィブラート、HMG-CoAレダクターゼ阻害剤、ビグアニド、胆汁酸結合樹脂、ニコチン酸、α-グルコシダーゼ阻害剤およびインスリンからなる群より選択される、請求項110記載の方法。
【請求項112】
請求項1〜90のいずれか一項記載の治療的有効量を薬学的に許容される媒体または担体と混合する段階を含む、薬学的組成物の調製方法。
【請求項113】
形態A、形態B、形態C、形態D、形態E、および非晶質の形態からなる群より選択される、(-)-ハロフェナートの少なくとも1つの固体形態を含む組成物。
【請求項114】
各固体形態が形態A、形態B、形態C、形態D、および非晶質の形態からなる群より独立して選択される、(-)-ハロフェナートの少なくとも2つの固体形態を含む組成物。
【請求項115】
形態Aの(-)-ハロフェナート、形態B、形態C、形態D、形態E、非晶質の形態およびそれらの組み合わせからなる群より選択される固体形態の(-)-ハロフェナート、ならびに少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む、(-)-ハロフェナートの薬学的組成物。
【請求項116】
形態Aが治療的有効量で存在する、請求項115記載の薬学的組成物。
【請求項117】
形態A、ならびに形態B、形態C、形態D、形態E、および非晶質の形態の少なくとも1つが治療的有効量で存在する、請求項115記載の薬学的組成物。
【請求項118】
固体経口用組成物、錠剤、カプセル、および吸入用の乾燥粉末からなる群より選択される、請求項113〜117のいずれか一項記載の薬学的組成物。
【請求項119】
約3322 cm-1および約2886 cm-1のピークを含む赤外スペクトルによってさらに特徴付けられる、請求項5または11記載の結晶性固体の形態Aの(-)-ハロフェナート化合物。
【請求項120】
約3087 cm-1および約1663 cm-1のピークを含むラマンスペクトルによってさらに特徴付けられる、請求項5または11記載の結晶性固体の形態Aの(-)-ハロフェナート化合物。
【請求項121】
約3087 cm-1および約1663 cm-1のピークを含むラマンスペクトルによってさらに特徴付けられる、請求項119記載の結晶性固体の形態Aの(-)-ハロフェナート化合物。
【請求項122】
2θ=約10.8°、2θ=約22.0°、2θ=約29.3°のピークを含むX線粉末回折パターン、ならびに約3087 cm-1および約1663 cm-1から選択される少なくとも1つのピークを含むラマンスペクトルによって特徴付けられる結晶性固体の形態Aの(-)-ハロフェナートの治療的有効量;ならびに少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的組成物。
【請求項123】
2θ=約18.8°、2θ=約20.1°、および2θ=約14.0°から選択される少なくとも1つのx線粉末回折ピークによってさらに特徴付けられる、請求項15または19記載の結晶性固体の形態Bの(-)-ハロフェナート化合物。
【請求項124】
2θ=約6.2°および2θ=約12.4°のピーク、ならびに2θ=約18.8°、2θ=約20.1°、および2θ=約14.0°から選択される少なくとも1つのピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる結晶性固体の形態Bの(-)-ハロフェナートの治療的有効量;ならびに少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的組成物。
【請求項125】
2θ=約15.5°、2θ=約23.1°、2θ=約14.7°、および2θ=約25.9°から選択される少なくとも1つのx線粉末回折ピークによってさらに特徴付けられる、請求項22または24記載の結晶性固体の形態Cの(-)-ハロフェナート化合物。
【請求項126】
2θ=約9.9°および2θ=約13.3°のピーク、ならびに2θ=約15.5°、2θ=約23.1°、2θ=約14.7°、および2θ=約25.9°から選択される少なくとも1つのピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる結晶性固体の形態Cの(-)-ハロフェナートの治療的有効量;ならびに少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的組成物。
【請求項127】
約3469 cm-1および約2870 cm-1から選択される少なくとも1つのピークを含む赤外スペクトルによってさらに特徴付けられる、請求項29または35記載の結晶性固体の形態Dの(-)-ハロフェナート化合物。
【請求項128】
約3077 cm-1および約1329 cm-1のピークを含むラマンスペクトルによってさらに特徴付けられる、請求項29または35記載の結晶性固体の形態Dの(-)-ハロフェナート化合物。
【請求項129】
約3077 cm-1および約1329 cm-1のピークを含むラマンスペクトルによってさらに特徴付けられる、請求項127記載の結晶性固体の形態Dの(-)-ハロフェナート化合物。
【請求項130】
2θ=約9.6°および2θ=約17.4°のピークを含むX線粉末回折パターン、ならびに約3077 cm-1および約1329 cm-1から選択される少なくとも1つのピークを含むラマンスペクトルによって特徴付けられる結晶性固体の形態Dの(-)-ハロフェナートの治療的有効量;ならびに少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的組成物。
【請求項131】
約3092 cm-1、約2871 cm-1、および約1563 cm-1から選択される少なくとも1つのピークを含む赤外スペクトルによってさらに特徴付けられる、請求項41または46記載の結晶性固体の形態Eの(-)-ハロフェナート化合物。
【請求項132】
約2969 cm-1、約1746 cm-1、および約1657 cm-1から選択される少なくとも1つのピークを含むラマンスペクトルによってさらに特徴付けられる、請求項41または46記載の結晶性固体の形態Eの(-)-ハロフェナート化合物。
【請求項133】
約2969 cm-1、約1746 cm-1、および約1657 cm-1から選択される少なくとも1つのピークを含むラマンスペクトルによってさらに特徴付けられる、請求項132記載の結晶性固体の形態Eの(-)-ハロフェナート化合物。
【請求項134】
2θ=約11.8°および2θ=約13.0°のピークを含むX線粉末回折パターン、ならびに約2969 cm-1、約1746 cm-1、および約1657 cm-1から選択される少なくとも1つのピークを含むラマンスペクトルによって特徴付けられる結晶性固体の形態Eの(-)-ハロフェナートの治療的有効量;ならびに少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的組成物。
【請求項135】
2θ=約15°〜2θ=約30°の間のブロードなピークによって特徴付けられる非晶質の形態の(-)-ハロフェナートの治療的有効量;および少なくとも1つの薬学的に許容される担体、賦形剤を含む薬学的組成物。
【請求項136】
固体経口用組成物が錠剤またはカプセルである、請求項118記載の薬学的組成物。
【請求項137】
2θ=約10.8°のピークを含むX線粉末回折パターン、ならびに約3322 cm-1および約2886 cm-1から選択される少なくとも1つのピークを含む赤外スペクトルによって特徴付けられる結晶性固体の形態Aの(-)-ハロフェナートの化合物。
【請求項138】
2θ=約10.8°のピークを含むX線粉末回折パターン、ならびに約3087 cm-1および約1663 cm-1から選択される少なくとも1つのピークを含むラマンスペクトルによって特徴付けられる結晶性固体の形態Aの(-)-ハロフェナートの化合物。
【請求項139】
約3087 cm-1および約1663 cm-1から選択される少なくとも1つのピークを含むラマンスペクトルによってさらに特徴付けられる、請求項137記載の化合物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20A】
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【図20B】
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【図21A】
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【図21B】
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【図22】
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【図23A】
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【図23B】
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【図23C】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27A】
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【図27B】
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【図28】
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【図29A】
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【図29B】
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【図29C】
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【図30】
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【図31A】
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【図31B】
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【図31C】
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【図32】
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【図33A】
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【図33B】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38A】
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【図38B】
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【公表番号】特表2008−538570(P2008−538570A)
【公表日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−507933(P2008−507933)
【出願日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際出願番号】PCT/US2006/015163
【国際公開番号】WO2006/113917
【国際公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(504214280)メタボレックス インコーポレーティッド (21)
【Fターム(参考)】