説明

3次元モデル生成装置およびコンピュータプログラム

【課題】地上物の表面の点群の位置の座標情報から柱状の3次元モデルを生成することができる3次元モデル生成装置を提供する。
【解決手段】3次元モデル生成装置1は、所定の3次元空間内に存在する地上物の表面の点群の位置の座標情報を取得する点群座標情報取得部111と、3次元空間内に平行な平面の対で挟まれた層状の空間を複数設定する層状空間設定部112と、層状の空間に含まれる点群を平面の一方である仮投影面に仮投影する仮投影部113と、それぞれの仮投影面に存在する共通の図形を抽出する共通図形抽出部114と、図形に特徴点を設定して各仮投影面の特徴点を結ぶ直線に垂直な実投影面を設定するとともに、点群を実投影面に垂直に投影した実投影点群を生成する実投影部115と、実投影点の分布に基づいて基準図形を生成する基準図形生成部116と、基準図形を底面とする柱状の3次元形モデルを生成する3次元モデル生成部117とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地上物の表面の点群に基づいて柱状の3次元モデルを生成する3次元モデル生成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、3次元空間を画面に表示して案内するナビゲーション装置が幅広く普及し利用されている。このようなナビゲーション装置には道路付近の地上物を表現するための3次元モデルから構成される3次元空間生成データが用いられる。3次元空間生成データはより現実に近い表現を可能にするものが望ましい。各3次元モデルは、レーザレンジファインダ等により計測した地上物の表面の点群に基づいて、3次元モデル生成装置により生成される。
従来の3次元モデル生成装置には、隣り合った点同士を結んで3角形を生成する方法が一般的に用いられている。また、レーザによる点群データを取得する計測車両の進行方向を基に取得した対象物の点群データにおける各点の結線データを生成することにより複数の3次元モデルを生成する3次元モデル生成装置も知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
上記特許文献1に記載された3次元モデル生成装置によれば、計測車両の進行方向を基に点間を結線することにより、結線すべきではない点間の結線が少なくなり精度良く3次元モデルを生成することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−70840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の3次元モデル生成装置は、道路付近の地上物においては、生成対象とならないものが多く存在するという問題点がある。
例えば、計測車両の進行方向に対して平行に配置されていない3次元モデル(例えば電柱)については、計測車両の進行方向に対して点群データの密度が粗なので、上記特許文献1に記載された3次元モデル生成装置を用いても生成することはできず生成対象から除外するしかなかった。
また、ガードレールについても、交差点付近等においては進行方向に対して平行に配置されていないことがあり、上記特許文献1に記載された3次元モデル生成装置を用いてもこうしたガードレールについては3次元モデルを生成することができない。
本発明は、地上物の表面の点群の位置の座標情報から柱状の3次元モデルを生成することができる3次元モデル生成装置およびコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の3次元モデル生成装置は、所定の3次元空間内に存在する地上物の表面の点群の位置の座標情報を取得する点群座標情報取得部と、前記3次元空間内に平行な平面の対で挟まれた層状の空間を複数設定する層状空間設定部と、前記層状の空間に含まれる前記点群を前記平面の一方である仮投影面に仮投影する仮投影部と、それぞれの仮投影面に存在する共通の図形を抽出する共通図形抽出部と、前記図形に特徴点を設定して各仮投影面の前記特徴点を結ぶ直線に垂直な実投影面を設定するとともに、前記点群を実投影面に垂直に投影した実投影点群を生成する実投影部と、前記実投影点の分布に基づいて基準図形を生成する基準図形生成部と、前記基準図形を底面とする柱状の3次元形モデルを生成する3次元モデル生成部とを備えることを特徴とするものである。
なお、上述した特徴は、本発明の特徴のすべてを列挙したものではなく、これらを要部とする構成(または方法)もまた発明となり得る。
【発明の効果】
【0006】
本発明の3次元モデル生成装置は、3次元空間内に設定した複数の層状の空間内の点群をそれぞれの仮投影面に仮投影して共通の図形の特徴点を結ぶ直線を求め、この直線に垂直な実投影面に投影した実投影点の分布に基づいて生成した基準図形を底面とする3次元モデルを生成する。すなわち、本発明の3次元モデル生成装置によれば、柱状の地上物について、まず表面の点群に基づいて柱状の3次元モデルの母線に平行な直線を求め、直線に垂直に設定した実投影面上の実投影点に基づいて直線の移動軌跡に対応する基準図形を生成しているので、柱状の地上物が向いている方向に関係なく地上物の表面の点群の位置の座標情報から柱状の3次元モデルを生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施例の3次元モデル生成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本実施例の計測車両を示す図である。
【図3】計測車両が道路付近の地上物を計測する例を示す図である。
【図4】本実施例の3次元モデル生成装置の処理を示すフローチャートである。
【図5】本実施例の3次元モデル生成装置の処理を示すフローチャートである。
【図6】交差点付近の3次元空間内に複数の層状の空間を設定した例を示す図である。
【図7】図6の複数の層状の空間の部分を拡大した図である。
【図8】図6の各層状空間の仮投影面を示す図である。
【図9】図6の各仮投影面の特徴点を結ぶ直線の設定について説明する図である。
【図10】実投影面の例を示す図である。
【図11】実投影点の分布と基準図形の例を示す図である。
【図12】生成された3次元モデルの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を具体化した実施形態を説明する。
図1は、本実施例の3次元モデル生成装置の構成を示すブロック図である。本実施例における3次元モデル生成装置1は、計算機11、記憶部12および表示部13を備える。
【0009】
計算機11は、コンピュータプログラムや処理条件等が予め記憶されているROMやRAM等の内部記憶装置、およびこのコンピュータプログラムを実行するCPU等を備えた小型のコンピュータである。記憶部12は、フラッシュメモリ、ハードディスク、DVDまたはブルーレイディスク等の外部記憶装置である。表示部13は、LCD等の画像を表示するデバイスである。
【0010】
また、計算機11は、コンピュータプログラムを実行することにより実現される所定の機能を複数有しており、それぞれの機能に対応するユニットをそれぞれ備えている。具体的には、計算機11は、点群座標情報取得部111、層状空間設定部112、仮投影部113、共通図形抽出部114、実投影部115、基準図形生成部116、3次元モデル生成部117を備えている。
点群座標情報取得部111は、所定の3次元空間内に存在する地上物の表面の点群の位置の座標情報を取得する機能を有している。層状空間設定部112は、3次元空間内に平行な平面の対で挟まれた層状の空間を複数設定する機能を有している。仮投影部113は、層状の空間に含まれる点群を平面の一方である仮投影面に仮投影する機能を有している。共通図形抽出部114は、それぞれの仮投影面に存在する共通の図形を抽出する機能を有している。実投影部115は、図形に特徴点を設定して各仮投影面の特徴点を結ぶ直線に垂直な実投影面を設定するとともに、点群を実投影面に垂直に投影した実投影点群を生成する機能を有している。基準図形生成部116は、実投影点の分布に基づいて基準図形を生成する機能を有している。3次元モデル生成部117は、基準図形を底面とする柱状の3次元形モデルを生成する機能を有している。
【0011】
記憶部12は、地図描画用データおよびネットワークデータ等を含む地図データ、および点群データを記憶している。地図描画用データには、3次元空間を表現するための3次元モデルデータが含まれている。点群データには、計測車両により取得した所定の3次元空間内に存在する地上物の表面の点群の位置の座標情報、およびレーザの反射強度等が含まれている。なお、点群データは後述する計測装置が収集し、3次元モデル生成装置は計測装置との通信により入手する。
【0012】
図2は、計測車両の一例を示す図である。計測車両2は、ベース車両25にレーザレンジファインダ21および計測装置22が搭載された構成となっている。
【0013】
レーザレンジファインダ21は、近赤外線のパルスレーザ211を、当該レーザレンジファインダ21の1つの軸を基準にして回転させながら外方に向けて照射するとともに地上物の表面で反射したパルスレーザ211の反射光を図示しない受光部で受光する。そして、照射した方向を計測するとともに、パルスレーザ211が照射されてから受光するまでの伝播時間によりパルスレーザ211の反射点までの距離を位相比較法等により算出する光波測距儀である。レーザレンジファインダ21により、当該レーザレンジファインダ21の位置を基準にしたパルスレーザ211の反射点の軌跡が描くレーザ計測点画像が得られる。レーザ計測点画像の各点を構成する画素データには、反射点までの距離に関するレーザ距離情報、反射光を受光した方位に関するレーザ方位情報、パルスレーザ211の反射強度およびパルスレーザ211の反射時の時刻を示すレーザ計測時刻情報が含まれている。
【0014】
計測装置22は、GPS受信器221、慣性計測装置(IMU:Inertial
Measurement Unit)222、計算部223、車載記憶部224を備えている。慣性計測装置222は、図示しない加速度センサおよびジャイロセンサを備えており、計測車両2の移動軌跡データを求めるものである。移動軌跡データには、一定間隔で地上物の表面を計測したときの計測装置22の位置に関する計測位置情報および計測したときの時刻に関する慣性計測時刻情報が含まれている。計測位置情報は、GPS受信器221が出力するGPS位置情報および記憶部12に記憶されている地図データを用いてマップマッチングを行なうことにより、より正確な計測位置情報に補正される。計測車両2が走行に用いる地図データは、計測装置22が3次元モデル生成装置1と通信することにより取得される。計測装置22は、レーザ計測点画像と移動軌跡データとを、レーザ計測時刻情報および慣性計測時刻情報の時間的な同期により関連させ、レーザ計測点画像の各点を3次元座標上に結びつけるとともに、レーザレンジファインダ21の校正情報を用いてレーザで測位した各反射点の3次元座標を補正し、地上物の表面の点群の位置の座標情報をより正確に算出する。
【0015】
図3は、計測車両が道路付近の地上物を計測する例を示す図である。図3に示すように、計測装置22は、計測車両2により整備対象とする道路RDを走行してレーザ計測点画像の各点を構成する画素データおよび計測車両2の移動軌跡データを収集する。パルスレーザ211は図3の矢印の方向に回転して照射される。しかる後に、計測装置22は、計算部223により画素データおよび移動軌跡データに基づいて算出した地上物の表面の点群の位置の座標情報およびパルスレーザ211の反射強度を車載記憶部224に記憶し、点群データとして蓄積する。
【0016】
次に、本実施例の3次元モデル生成装置1が、地上物の表面の点群の位置の座標情報を用いて3次元モデルを生成する処理について説明する。図4および図5は、本実施例の3次元モデル生成装置1の処理を示すフローチャートである。
【0017】
まず、計算機11は、オペレータによって指定された地図上の範囲を、点群座標情報を取得するための範囲としての指示に応じて地図上の所定のエリアに3次元空間を決定する処理を実行する(ステップS101)。本例においては、3次元空間を交差点付近に設定している。
【0018】
計算機11は、ステップS101が終了すると、点群座標情報取得部111により、決定した3次元空間に含まれる点群の座標情報を取得する処理を実行する(ステップS102)。
【0019】
計算機11は、ステップS102が終了すると、層状空間設定部112により、3次元空間内に、層状の空間を複数設定する処理を実行する(ステップS103)。図6は、交差点付近の3次元空間内に複数の層状の空間を設定した例を示す図であり、図7は、図6の複数の層状の空間の部分を拡大した図である。具体的には、それぞれの層状の空間SC1〜SC4は、3次元空間を同じ間隔で平行な複数の面で分割することにより得られている。結果的に、平行な平面の対で挟まれており、いずれの空間SC1〜SC4も同じ厚みに設定されたものとなる。また、本例においては、各平面は道路ネットワークを構成する道路リンクに対応する線に対して垂直に設定されており、各層状の空間は同じ寸法の直方体を並べたものとしている。
【0020】
計算機11は、ステップS103が終了すると、各層状の空間の点群に含まれているノイズを除去する処理を実行する(ステップS104)。具体的には、点群のうち他の点との距離が予め設定した閾値以上離れている点を除去する。このほかにも、周知の粒状性ノイズ除去ノイズ除去法等のノイズ除去方法を適用してもよい。
【0021】
計算機11は、ステップS104が終了すると、仮投影部113により、層状の空間SC1〜SC4内に含まれる点群を仮投影面PL1〜PL4に投影して仮投影点群を生成する処理を実行する(ステップS105)。具体的には、計算機11は、層状の空間SC1〜SC4を構成する1対の平面のうちの一方を該当する層状の空間SC1〜SC4の仮投影面PL1〜PL4として設定する。また、仮投影面PL1〜PL4は該当する層状の空間における位置が共通しており、平行に等間隔で並ぶ。
【0022】
計算機11は、ステップS105が終了すると、共通図形抽出部114により、仮投影点群の分布に基づいて近似する線や面等の図形を生成する処理を実行する(ステップS106)。図8は、図6の各層状空間の仮投影面を示す図である。図8に示すように、本例においては、仮投影面SC1〜SC3に、それぞれ仮投影された仮投影点群TPが存在しており、共通図形抽出部114によって、仮投影点群TPの分布に対し、予め用意した図形のテンプレートと近似させて近似するテンプレートを抽出し、相似関係を維持しつつ大きさを調整することにより図形L11,L12,L21,L22,L31,L32が生成される。図8においては、図形L12、L22が直線のテンプレートと近似し、他の図形L11、L21、L31、L32が円弧状の曲線のテンプレートと近似した。計算機11は、ステップS106が終了すると、共通図形抽出部114により、図8に示す線のうち、仮投影面SC1〜SC3に存在する共通の図形L11,L21,L31を抽出する処理を実行する(ステップS107)。
【0023】
計算機11は、ステップS107が終了すると、共通図形抽出部114により、それぞれの仮投影面に共通の図形が存在するか否かを判定する(ステップS108)。本例においては、図8に示す曲線L11,L21,L31が仮投影面SC1〜SC3に共通の図形として抽出されている。なお、ステップS108において、共通の図形が存在しないと判定した場合は(ステップS108:No)、設定した3次元空間における一連の処理を終了する。一連の処理が終了した後は、次に整備対象とする3次元空間についてステップS101以降の処理を実行する。
【0024】
計算機11は、ステップS108において、本例の通り共通の図形が存在すると判定した場合は(ステップS108:Yes)、実投影部115により、共通の図形L11,L21,L31の特徴点NPを抽出し特徴点NPとして設定する処理を実行する(ステップS109)。特徴点NPは、本実施例においては、予め用意した図形のテンプレートのそれぞれに設定にしておいたものを用いている。計算機11は、ステップS109が終了すると、実投影部115により、各仮投影面の特徴点NPを結ぶ直線を設定する処理を実行する(ステップS110)。図9は、図6の各仮投影面の特徴点を結ぶ直線の設定について説明する図である。本例においては、図9に示すように、各仮投影面の特徴点NPの座標を結ぶことにより直線BLが設定されている。
【0025】
計算機11は、ステップS110が終了すると、実投影部115により、直線BLの長手方向に垂直な実投影面を設定する処理を実行し(ステップS111)、続けて、点群を実投影面に投影して実投影点群を生成する処理を実行する(ステップS112)。図10は、実投影面の例を示す図である。本例においては、図10に示すように、先に求めた直線BLに垂直に設定された実投影面QPに、投影された実投影点群FPが生成されている。
【0026】
計算機11は、ステップS112が終了すると、基準図形生成部116により、実投影点群FPの分布に基づいて基準図形を抽出する処理を実行し(ステップS113)、続けて、基準図形が存在するか否かを判定する処理を実行する(ステップS114)。基準図形は、共通図形のときと同様の手法により行なう。すなわち、基準図形は、基準図形生成部116により、予め用意した図形のテンプレートと近似させて近似するテンプレートを抽出し、相似関係を維持しつつ大きさを調整することにより抽出される。基準図形に対応する図形のテンプレートは、3次元モデルとして取得しようとする地上物を想定して用意されている。具体的には、本実施例の3次元モデル生成装置が3次元モデルとして取得しようとする地上物は交差点付近の柱状物であり、存在が想定される柱状物の断面形状が基準図形として用意されている。図11は、実投影点の分布と基準図形の例を示す図である。計算機11は、ステップS114において、図11に示すように、円柱状の地上物の断面と想定される基準図形ELが存在すると判定した場合は(ステップS114:Yes)、3次元モデル生成部117により、基本図形ELを底面とする柱状の3次元モデルを生成する処理を実行する(ステップS115)。図12は、生成された3次元モデルの例を示す図である。なお、図12は生成された3次元モデルが対応する地上物の実態を確認するために表示部13に表示した確認画面であり、整備対象とする道路RDについて地図描画用データを所定の視点から見た2次元画像として生成するとともに、生成した3次元モデルを重ねたものである。図12に示すように、本実施例においては、道路RDが延びる方向に対して斜めに配置された柱状の3次元モデルMLが生成されている。本実施例で生成された柱状の3次元モデルMLは、形状としての円柱であるという情報、基準位置の情報、回転角度の情報、半径の情報、および厚みの情報がそれぞれ生成される。なお、3次元モデルの形状が四角柱であれば、四角形に関する情報が生成される。現地で確認すると、生成された柱状の3次元モデルMLはガードレールを構成する地面に平行に配置されたガードパイプであった。
【0027】
計算機11は、ステップS114において、基準図形ELが存在しないと判定した場合は(ステップS114:No)、設定した3次元空間における一連の処理を終了する。
【0028】
このように、本実施例の3次元モデル生成装置1は、柱状の地上物を想定し、まず表面の点群に基づいて直線を求めており、この直線の長手方向に垂直に設定した実投影面上の実投影点に基づいて基準図形を生成している。すなわち、本実施例の3次元モデル生成装置1によれば、点群の仮投影により求めた直線を柱状の3次元モデルの母線と平行な直線として扱うことにより、柱状の地上物が向いている方向に関係なく地上物の表面の点群の位置の座標情報から柱状の地上物についての3次元モデルの生成を可能にしている。
【0029】
本実施例の3次元モデル生成装置1により生成された3次元モデルは、3次元空間を画面に表示して案内するナビゲーション装置に使用される3次元空間生成データにおいて道路付近の地上物を表現するための3次元モデルとして用いることができる。
【0030】
<その他の例>
なお、本発明は上述の実施例の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更、改良が可能である。例えば、上述した実施例においては、ガードレールを構成するガードパイプの3次元モデルを生成しているが、ガードパイプ以外にも、例えば、斜めに配置されている電信柱の支柱や、信号機が取り付けられるアーム部等の3次元モデルを生成することも可能である。
【0031】
例えば、斜めに配置されている電信柱の支柱であれば、3次元空間内に設定する層状の空間について、平行な平面の対を地面と平行に設定することにより3次元モデルとして生成することが可能である。また、信号機が取り付けられるアーム部であれば、3次元空間内に設定する層状の空間について、平行な平面の対を道路と平行に設定することにより、アーム部が若干道路に対して斜めに設置されていたとしても、問題なく3次元モデルとして生成することが可能である。
【0032】
また、上述した実施例においては、生成された3次元モデルは3次元空間を画面に表示して案内するナビゲーション装置に使用されているが、このような形態に限定するものではない。例えば、道路付近の電柱が設置されているエリアの点群から3次元モデルを生成し、生成された電柱の3次元モデルについて現実に設置されている電柱に対する傾きを計算して算出された傾きが所定の閾値を超えている場合には電柱の設置状態が異常であると判定する、という形態も可能である。また、これ以外の地上物について設置状態を分析する手段に利用することも可能である。
【0033】
また、上述した実施例において3次元モデルに使用される点群データは、計測車両2で道路を走行して計測することにより得たものであるが、このような計測手段に限定するものではなく、レーザレンジファインダ21および計測装置22を航空機等に搭載して上空から計測した点群データを用いることも可能である。
【符号の説明】
【0034】
1…3次元モデル生成装置
11…計算機
111…点群座標情報取得部
112…層状空間設定部
113…仮投影部
114…共通図形抽出部
115…実投影部
116…基準図形生成部
117…3次元モデル生成部
12…記憶部
13…表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の3次元空間内に存在する地上物の表面の点群の位置の座標情報を取得する点群座標情報取得部と、
前記3次元空間内に平行な平面の対で挟まれた層状の空間を複数設定する層状空間設定部と、
前記層状の空間に含まれる前記点群を前記平面の一方である仮投影面に仮投影する仮投影部と、
それぞれの仮投影面に存在する共通の図形を抽出する共通図形抽出部と、
前記図形に特徴点を設定して各仮投影面の前記特徴点を結ぶ直線に垂直な実投影面を設定するとともに、前記点群を実投影面に垂直に投影した実投影点群を生成する実投影部と、
前記実投影点の分布に基づいて基準図形を生成する基準図形生成部と、
前記基準図形を底面とする柱状の3次元形モデルを生成する3次元モデル生成部と
を備える3次元モデル生成装置。
【請求項2】
所定の3次元空間内に存在する地上物の表面の点群の位置の座標情報を取得する処理と、
前記3次元空間内に平行な平面の対で挟まれた層状の空間を複数設定する処理と、
前記層状の空間に含まれる前記点群を前記平面の一方である仮投影面に仮投影する処理と、
それぞれの仮投影面に存在する共通の図形を抽出する処理と、
前記図形に特徴点を設定して各仮投影面の前記特徴点を結ぶ直線に垂直な実投影面を設定するとともに、前記点群を実投影面に垂直に投影した実投影点群を生成する処理と、
前記実投影点の分布に基づいて基準図形を生成する処理と、
前記基準図形を底面とする柱状の3次元モデルを生成する処理と
をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−181028(P2011−181028A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−47385(P2010−47385)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(597151563)株式会社ゼンリン (155)
【Fターム(参考)】