説明

5−メチル−N−(メチルアリール)−2−ピロリドン、5−メチル−N−(メチルシクロアルキル)−2−ピロリドン、および5−メチル−N−アルキル−2−ピロリドンの製造

本発明は場合により担持される、金属触媒を使用したアリールシアノ化合物によるレブリン酸の還元的アミノ化によって、5−メチル−N−(メチルアリール)−2−ピロリドン、5−メチル−N−(メチルシクロアルキル)−2−ピロリドン、および5−メチル−N−アルキル−2−ピロリドンを製造する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、場合により担持される金属触媒を使用したアリールシアノ化合物によるレブリン酸の還元的アミノ化によって、5−メチル−N−(メチルアリール)−2−ピロリドン、5−メチル−N−(メチルシクロアルキル)−2−ピロリドン、および5−メチル−N−アルキル−2−ピロリドンを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レブリン酸は、ヘキソース酸加水分解の良く知られている生成物であり、セルロース原材料から安価に得ることができる。したがってこれは多くの有用な5−炭素化合物およびそれらの誘導体を製造する上で、魅力的な開始材料である。例えばN−シクロヘキシル−2−ピロリドンは、電子工業(フォトレジスト剥離溶液)、工業クリーナー、油田/ガス井戸保全、および繊維染色をはじめとする多くの産業上の利用において、溶剤または中間体として使用される。N−[2−ヒドロキシエチル]−2−ピロリドンは、工業洗浄、印捺インク、およびガソリンおよび油添加剤中で有用である。N−オクチル−2−ピロリドンは、例えば農産物製造で、工業および金属クリーナーで、印捺インクで、および繊維染色で、洗剤および分散剤として有用である。
【0003】
特許文献1は、圧力1.0〜101MPaにおいて一酸化炭素下で、温度50℃〜350℃でレブリン酸および一級アルキルアミンを使用して、5−メチル−1−アルキル−2−ピロリドンを製造するための方法を開示する。追加的可能な一級アミンとしては、アルキレンジアミン、アリールアミン、およびシクロアルキルアミンが挙げられる。ニトリル(アルキルシアノ化合物)は使用されない。特許文献2は、オキソカルボン酸化合物の還元的アミノ化によってラクタムを製造するための気相法について述べる。揮発性アルキルまたはアリール一級アミンを使用しても良い。ニトリルは使用されない。非特許文献1は、窒素雰囲気下で、レブリン酸とアニリンとを反応させて、5−メチル−2,3−ジヒドロ−1−H−ベンザゼピン−2−オンおよび5−(2−メチル−5−オキソ−1−フェニルピロリジン−2−イル)−4−オキソ−N−フェニルペンタンアミドを製造する方法について述べる。
【0004】
アリール、アルキル、およびシクロアルキルピロリドン製造のための効率的で低価格の方法は、有利であろう。
【0005】
【特許文献1】米国特許第3,337,585号明細書
【特許文献2】米国特許第3,235,562号明細書
【非特許文献1】キャンデロロ(Candeloro)およびボーイ(Bowie)(Aust.J.Chem.、1978、31:2031〜2037)
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下で詳述するように触媒存在下で、レブリン酸、またはその誘導体、およびシアノ化合物をアリール、アルキルおよびシクロアルキルピロリドンに変換するための新しいワンステップ法である。具体的には、本発明は、触媒および水素ガス存在下で、化合物レブリン酸(I)とアリールシアノ化合物(II)とを接触させる工程を含んでなる、5−メチル−N−(メチルアリール)−2−ピロリドン(III)、5−メチル−N−(メチルシクロアルキル)−2−ピロリドン(IV)、またはそれらの混合物を製造するた
めの方法に関する。
【0007】
【化1】

【0008】
式中、Rは6〜30個の炭素を有する芳香族基であり、Rは完全にまたは部分的に還元されたRの誘導体であり、5−メチル−(N−メチルアリール)−2−ピロリドン(III)、5−メチル−N−(メチルシクロアルキル)−2−ピロリドン、またはそれらの混合物が、形成される全生成物の100重量%を含んでなっても良く、または追加的生成物が生成されても良い。
【0009】
本発明の方法で有用な触媒は、パラジウム、ルテニウム、レニウム、ロジウム、イリジウム、白金、ニッケル、コバルト、銅、鉄、オスミウム、それらの化合物、およびそれらの組み合わせ物よりなる群からの金属から選択される。
【0010】
本発明はまた、触媒および水素ガス存在下で、レブリン酸(I)とアルキルシアノ化合物(V)とを接触させる工程を含んでなる、5−メチル−N−アルキル−2−ピロリドン(VI)を製造するための方法に関する。
【0011】
【化2】

【0012】
式中、RはC〜C30の非置換または置換アルキル、C〜C30の非置換または置換アルケニル、C〜C30の非置換または置換アルキニル、C〜C30の非置換または置換シクロアルキル、または少なくとも1種のヘテロ原子を含有するC〜C30の非置換または置換シクロアルキルであり、5−メチル−N−アルキル−2−ピロリドン(VI)が、形成される全生成物の100重量%を含んでなっても良く、または追加的生成物が生成されても良い。
【0013】
本発明の方法で有用な触媒は、パラジウム、ルテニウム、レニウム、ロジウム、イリジウム、白金、ニッケル、コバルト、銅、鉄、オスミウム、それらの化合物、およびそれらの組み合わせ物よりなる群からの金属から選択される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
「レブリン酸」とは、下記式を有する化合物を意味する。
【0015】
【化3】

【0016】
「アリールシアノ化合物」とは、式、R−CN(式中、Rは芳香族基である)を有する化合物を意味する。
【0017】
「5−メチル−N−(メチルアリール)−2−ピロリドン」とは、下記一般式、(式中、Rは6〜30個の炭素を有するアリール基である)を有する化合物を意味する。
【0018】
【化4】

【0019】
「5−メチル−N−(メチルシクロアルキル)−2−ピロリドン」とは、下記一般式、(式中、Rは6〜30個の炭素を有するシクロアルキル基である)を有する化合物を意味する。
【0020】
【化5】

【0021】
「5−メチル−N−アルキル−2−ピロリドン」とは、下記一般式、(式中、RはC〜C30の非置換または置換アルキル、C〜C30の非置換または置換アルケニル、C〜C30の非置換または置換アルキニル、C〜C30の非置換または置換シクロアルキル、または少なくとも1種のヘテロ原子を含有するC〜C30の非置換または置換シクロアルキルである)を有する化合物を意味する。
【0022】
【化6】

【0023】
「触媒」とは、反応速度に影響するが反応平衡状態に影響せず、プロセスから化学的に変化せずに出てくる物質を意味する。
【0024】
「金属触媒」とは、少なくとも1種の金属、少なくとも1種のラネー金属、それらの化合物またはそれらの組み合わせ物を含んでなる触媒を意味する。
【0025】
「促進剤」とは、触媒の物理的または化学的機能を向上させるために添加される周期表の元素を意味する。促進剤はまた、望ましくない副反応を遅延させ、および/または反応速度に影響を与えるためにも添加できる。
【0026】
「金属促進剤」とは、触媒の物理的または化学的機能を向上させるために添加される金属化合物を意味する。金属促進剤はまた、望ましくない副反応を遅延させ、および/または反応速度に影響を与えるためにも添加できる。
【0027】
アリール化合物の「完全にまたは部分的に還元された誘導体」とは、芳香族環内の1種もしくはそれ以上の不飽和結合を飽和または還元することで、親化合物から誘導できる化
合物を意味する。不飽和化合物は、1種もしくはそれ以上の炭素−炭素二重または三重結合を含有する化合物である。例えばフェニル基の完全に還元された誘導体は、シクロヘキシル基である。
【0028】
本発明は、触媒および水素存在下における、レブリン酸(I)とアリールシアノ化合物(II)の間の反応
【0029】
【化7】

【0030】
(式中、Rは6〜30個の炭素を有する芳香族基であり、RはRの完全にまたは部分的に還元された誘導体であり、5−メチル−(N−メチルアリール)−2−ピロリドン(III)、5−メチル−N−(メチルシクロアルキル)−2−ピロリドン、またはそれらの混合物が、形成する全生成物の100重量%を含んでなっても良く、または追加的生成物が生成されても良い)からの5−メチル−N−(メチルアリール)−2−ピロリドン(III)、5−メチル−N−(メチルシクロアルキル)−2−ピロリドン(IV)、またはそれらの混合物の合成に関する。
【0031】
さらに本発明は、触媒および水素存在下における、レブリン酸(I)とアルキルシアノ(V)化合物の間の反応
【0032】
【化8】

【0033】
(式中、Rは1〜30個の炭素を有するアルキル基であり、RはC〜C30の非置換または置換アルキル、C〜C30の非置換または置換アルケニル、C〜C30の非置換または置換アルキニル、C〜C30の非置換または置換シクロアルキル、または少なくとも1種のヘテロ原子を含有するC〜C30の非置換または置換シクロアルキルであっても良く、5−メチル−N−アルキル−2−ピロリドン(VI)が、形成される全生
成物の100重量%を含んでなっても良く、または追加的生成物が生成されても良い)からの5−メチル−N−アルキル−2−ピロリドン合成に関する。
【0034】
本発明の方法において、担体有りまたは無しの触媒が存在してアミノ化反応を引き起こしても良い。場合により促進剤を使用して反応を助けても良い。促進剤は金属であることができる。
【0035】
本発明の方法は、バッチ、逐次バッチ(すなわち一連のバッチ反応器)で、または通例、連続法で用いられるあらゆる装置中において連続モードで実施しても良い(例えばH.S.フォグラー(Fogler)「基本化学反応工学(Elementary Chemical Reaction Engineering)」Prentice−Hall,Inc.、N.J.、USA)参照)。反応生成物として形成される凝縮水は、このような分離のために通例用いられる蒸留などの分離方法によって除去される。
【0036】
式(II)、(III)、および(IV)においてRおよびRで表されるアリールおよびシクロアルキル基は、好ましくは6〜30個の炭素を有する。より好ましくは、式(II)、(III)、および(IV)においてRおよびRで表されるアリールおよびシクロアルキル基は、6〜12個の炭素を有する。式(II)の好ましい実施態様の例はベンゾニトリルであり、したがって式(III)および(IV)は、それぞれ5−メチル−N−ベンジル−2−ピロリドンおよび5−メチル−N−(メチルシクロヘキシル)−2−ピロリドンになる。式(V)または(VI)においてRで表される非置換または置換アルキルまたはシクロアルキル基は、好ましくは1〜30個の炭素を有する。より好ましくは式(V)または(VI)においてRで表される非置換または置換アルキルまたはシクロアルキル基は、1〜12個の炭素を有する。
【0037】
本発明の方法において、反応開始時にシアノ化合物とレブリン酸またはその塩とのモル比が、約0.01/1〜約100/1であることが好ましい。反応開始時における約0.3/1〜約5/1のモル比がさらに好ましい。
【0038】
本発明の方法では、約25℃〜約300℃の温度範囲が好ましい。約75℃〜約200℃の温度範囲がさらに好ましい。
【0039】
本発明の方法では、約0.3MPa〜約20MPaの圧力範囲が用いられる。約1.3MPa〜約7.6MPaの圧力範囲が好ましい。
【0040】
本発明の反応は、水、アルコール、エーテル、およびピロリドンなどの非反応性溶剤媒質中で実施できる。代案としては、過剰なアリールまたはアルキルシアノ化合物も溶剤媒質として作動できる。
【0041】
本発明において有用な触媒は、反応速度に影響するが反応平衡状態に影響せず、プロセスから化学的に変化せずに出てくる物質である。化学的促進剤は、一般に触媒活性を増強する。ここでは促進剤は、触媒構成物の化学的処理のいずれかの工程中で、触媒中に組み込まれても良い。化学的促進剤は、一般に触媒剤の物理的または化学的機能を向上させるが、望ましくない副反応を遅延させるためにも添加できる。
【0042】
本発明の方法は、触媒存在下で引き起こされるアリールまたはアルキルシアノ化合物によるレブリン酸の還元的アミノ化を伴う。ここで有用な触媒の主要構成要素は、パラジウム、ルテニウム、レニウム、ロジウム、イリジウム、白金、ニッケル、コバルト、銅、鉄、オスミウム、それらの化合物、およびそれらの組み合わせ物よりなる群からの金属から選択される。
【0043】
場合により促進剤を本発明の反応中で使用しても良い。ここでは促進剤は、触媒構成物の化学的処理のいずれかの工程中で、触媒中に組み込まれても良い。本発明の方法に適した促進剤としては、スズ、亜鉛、銅、金、銀、およびそれらの組み合わせ物から選択される金属が挙げられる。好ましい金属促進剤はスズである。使用できるその他の促進剤は、周期表の1族および2族から選択される元素である。
【0044】
本方法で使用される触媒は、担持されていてもまたは担持されていなくても良い。担持触媒は、その中で活性触媒剤が、スプレー、浸漬または物理的混合とそれに続く乾燥、焼成などのいくつかの方法、そして必要ならば還元または酸化などの方法を通じた活性化によって、担体材料上に付着されているものである。担体として使用されることが多い材料は、触媒の単位重量あたり高濃度の活性部位を提供できる大きい総表面積(外部および内部)を有する多孔性固形物である。触媒担体は触媒剤の機能を向上させても良い。担持金属触媒は、触媒剤が金属である担持触媒である。
【0045】
触媒担体材料上に担持されていない触媒は、非担持触媒である。非担持触媒は、白金黒またはラネー触媒であっても良い。「ラネー触媒」という表現は、ここでの用法では活性金属およびリーチング可能な金属(通常アルミニウム)を含有する合金を選択的にリーチングした結果、大きい表面積を有する触媒を指す。ラネー触媒という用語は、いかなる特定の材料源を意味することも意図しない。ラネー触媒は、より高い比面積のために高活性を有し、水素付加反応中でのより低い温度の使用を可能にする。ラネー触媒の活性金属としては、ニッケル、銅、コバルト、鉄、ロジウム、ルテニウム、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、パラジウム、それらの化合物、およびそれらの組み合わせ物が挙げられる。
【0046】
また促進剤金属をベースラネー金属に添加して、ラネー触媒の選択性および/または活性に影響を与えても良い。ラネー触媒のための促進剤金属は、元素周期表のIIIA〜VIIIA、IBおよびIIB族からの遷移金属から選択されても良い。促進剤金属の例としては、典型的に総金属の約2重量%のクロム、モリブデン、白金、ロジウム、ルテニウム、オスミウム、およびパラジウムが挙げられる。
【0047】
ここで有用な触媒担体は、シリカ、アルミナおよびチタニアなどの酸化物、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、およびカーボンをはじめとするが、これに限定されるものではないあらゆる固形の不活性物質であることができる。触媒担体は、粉末、顆粒、ペレットなどの形態であることができる。
【0048】
本発明の好ましい担体材料は、カーボン、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、シリカ−チタニア、チタニア、チタニア−アルミナ、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、それらの化合物、およびそれらの組み合わせ物よりなる群から選択される。担持金属触媒はまた、1種もしくはそれ以上の化合物からできた担持材料を有することができる。より好ましい担体は、カーボン、アルミナ、およびチタニアである。さらに好ましい担体は、100m/gを超える表面積を有するカーボンである。さらに好ましい担体は、200m/gを超える表面積を有するカーボンである。好ましくは、カーボンは触媒担体の5重量%未満の灰分を有する。灰分は(カーボンの元の重量の百分率として表される)カーボン灰化後に残る無機残留物である。
【0049】
本発明中で使用しても良い市販されるカーボンとしては、バンビー&サトクリフ(Bameby&Sutcliffe)TM、ダルコ(Darco)TM、ニューカー(Nuchar)TM、コロンビア(Columbia)JXNTM、コロンビア(Columbia)LCKTM、カルゴン(Calgon)PCBTM、カルゴン(Calgon)B
PLTM、ウエストベーコ(Westvaco)TM、ノリット(Norit)TM、およびバーナビー・チェニー(Barnaby Cheny)NBTMの商標の元に販売されるものが挙げられる。カーボンは、カルシキャット(Calsicat)C、シブニット(Sibunit)C、またはカルゴン(Calgon)C(セントール(Centaur)(登録商標)の登録商標の下に市販される)などの市販されるカーボンであることができる。
【0050】
本発明の方法において、担持触媒中の好ましい金属触媒含有量は、金属触媒重量と担体重量の合計に基づいて、担持触媒の約0.1%〜約20%である。より好ましい金属触媒含量の範囲は、担持触媒の約1%〜約10%である。さらに好ましい金属触媒含量は、担持触媒の約3%〜約7%の範囲である。
【0051】
触媒および担体系の組み合わせ物は、ここで述べた金属のいずれか1つと、ここで述べた担体のいずれかを含んでも良い。好ましい触媒と担体の組み合わせ物としては、カーボン上のパラジウム、炭酸カルシウム上のパラジウム、硫酸バリウム上のパラジウム、アルミナ上のパラジウム、チタニア上のパラジウム、シリカ上のパラジウム、カーボン上の白金、アルミナ上の白金、シリカ上の白金、シリカ上のイリジウム、カーボン上のイリジウム、アルミナ上のイリジウム、カーボン上のロジウム、シリカ上のロジウム、アルミナ上のロジウム、カーボン上のニッケル、アルミナ上のニッケル、シリカ上のニッケル、カーボン上のレニウム、シリカ上のレニウム、アルミナ上のレニウム、カーボン上のルテニウム、アルミナ上のルテニウム、シリカ上のルテニウム、およびそれらの組み合わせ物が挙げられる。
【0052】
さらに好ましい触媒および担体の組み合わせ物としては、カーボン上のパラジウム、アルミナ上のパラジウム、チタニア上のパラジウム、カーボン上のルテニウム、アルミナ上のルテニウム、カーボン上のロジウム、アルミナ上のロジウム、カーボン上の白金、およびそれらの組み合わせ物が挙げられる。
【0053】
本発明の方法で有用なレブリン酸は、伝統的化学的経路を使用して得られても、またはバイオベースの再生可能なセルロース原材料から得られても良い。生物由来のレブリン酸の使用は、従来の方法と比べて、ここでは化合物の製造コストを低下させそうである。
【0054】
本発明の方法によって生成する化合物は、様々な用途において有用な特性を示す。炭素約8個までのアルキル鎖を有するN−アルキルピロリドンは、その他の溶剤よりも低い毒性プロフィールを有する非プロトン性化学溶剤として機能する。N−低級ピロリドンの炭素鎖は、水中でのミセル形成が可能になるほど十分長くない。したがってこれらの化合物は、顕著な界面活性剤特性を示さない。約C〜C14のアルキル基があるN−アルキルピロリドンは界面活性剤特性を示し、より長いN−アルキル鎖があるピロリドンは錯化剤として作動する。溶解性、湿潤、粘度樹立、乳化、および錯化などのアルキルピロリドンの表面活性特性については、米国特許第5,294,644号明細書で述べられている。N−アルキルピロリドンはまた、コロイド粒子を濃縮するのにも使用できる。それらの溶剤、界面活性剤、および錯化特性のために、ピロリドンは医薬品、パーソナルケア製品、工業、農業、および家庭用化学品を製造する上で非常に有用である。
【0055】
本発明の方法よって生成するピロリドンは、ヒト、動物、爬虫類、および魚で使用するための医薬品製品を調製するのに有用である。ここで開示されるピロリドンは、特に軟膏、クリーム、ローション、ペースト、ゲル、スプレー、エアロゾル、ローション、シャンプー、フォーム、クリーム、ゲル、軟膏、膏薬、ミルク、スティック、スプレー、香膏、エマルジョン、粉末、固形または液体石鹸、または油などの局所調合物において有用である。5−メチル−2−ピロリドンなどのピロリドンを使用して、活性構成要素のヒトまた
は動物組織およびシステム中への経皮浸透を向上させることができる。ピロリドンはまた溶解剤として作動して、キャリアシステム中の治療薬の溶解性を向上させることができる。
【0056】
本発明の方法によって生成するピロリドンはまた、例えば抗微生物、ホルモン、または抗炎症薬などの経皮投与のために、パッチなどのマトリックスシステム中に組み込まれても良い。医薬品組成物の調製方法は、一般に医薬品工業で実施され、本発明の方法で有用である。このような方法の考察については、例えばここで参照として組み込まれた「レミントンの医薬品化学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)」(ARジェナーロ(Gennaro)編、第20版、2000年、Williams&Wilkins、PA)を参照されたい。
【0057】
本発明の方法によって作られるピロリドンは、衣類、生地、およびカーペットなどのテキスタイル、ガラス、金属、セラミック、磁器、合成プラスチック、およびほうろうなどの硬質表面をはじめとする広範な表面の洗浄のために、液体、ゲルまたはエアロゾル洗浄組成物中で、溶剤または界面活性剤として使用されても良い。ピロリドンはまた、家庭内で、または施設または病院環境などにおける硬質表面、または皮膚表面、または生地表面、または食物調製において、レストランまたはホテル産業において、消毒用調合物中で使用されても良い。さらに洗浄組成物は、泥、グリース、油、インクなどの工業的汚れの除去のために有用である。ピロリドンはまた、製品または製造装置から、プラスチック樹脂またはポリマーを洗浄、溶媒和、および/または除去するための組成物中で、溶剤として使用しても良い。
【0058】
ピロリドンに加えて、洗浄組成物中にその他の構成要素が含まれても良い。これらの追加的構成要素としては、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、および溶剤が挙げられる。例証的な非イオン界面活性剤は、ヘンケル・コーポレーション(Henkel Corporation)からのグルコポン(Glucopon)などのアルキルポリグリコシド、アルキルフェノールのエチレンオキシドおよび混合エチレンオキシド/プロピレンオキシド付加物、長鎖アルコールまたは脂肪酸のエチレンオキシドおよび混合エチレンオキシド/プロピレンオキシド付加物、混合エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロック共重合体、ソルビタンモノオレアートやアルカノールアミドなどの脂肪酸と親水性アルコールとのエステルである。
【0059】
例証的なアニオン界面活性剤は、石鹸、直鎖または分枝鎖中の高級アルキル基中に9〜16個の炭素を含有する高級アルキルベンゼンスルホネート、C〜C15アルキルトルエンスルホネート、C〜C15アルキルフェノールスルホネート、オレフィンスルホネート、パラフィンスルホネート、アルコールおよびアルコールエーテルスルフェート、リン酸エステルなどである。
【0060】
例証的なカチオン界面活性剤としては、アミン、アミンオキシド、アルキルアミンエトキシレート、BASF社(BASF Corporation)からのテトロニック(Tetronic)(登録商標)シリーズなどのエチレンジアミンアルコキシレート、四級アンモニウム塩などが挙げられる。
【0061】
例証的な両性界面活性剤は、アミノおよびカルボキシルラジカルまたはアミノおよびスルホン酸ラジカル、またはアミンオキシドなどそれらの構造中に酸性基および塩基性基の双方を有するものである。適切な両性界面活性剤としては、ベタイン、スルホベタイン、イミダゾリンなどが挙げられる。
【0062】
例証的な溶剤としては、グリコール、グリコールエーテル、脂肪族アルコール、アルカ
ノールアミン、ピロリドンおよび水が挙げられる。
【0063】
このような界面活性剤および溶剤については、例えばマカッチャン(McCutcheon)の第1巻「乳化剤および洗剤(Emulsifiers and Detergents)」および第2巻「機能性材料(Functional Materials)」、The Manufacturing Confectioner Publishing Co.、Glen Rock、NJ(2002)で述べられている。
【0064】
洗浄組成物は、キレート剤、腐蝕阻害剤、抗微生物化合物、緩衝およびpH調製剤、香料または香水、染料、酵素、および漂白剤などの追加的構成要素を含んでも良い。
【0065】
N−アルキル−2−ピロリドンは、基材からフォトレジストフィルム(またはその他の同様の有機ポリマー材料フィルム)または層を除去(または剥離)する、あるいは基材から様々なタイプのプラズマ−エッチング残留物を除去または洗浄するのに使用される、洗浄および剥離剤において有用である。N−アルキル−2−ピロリドンはまた、印捺アプリケーターおよび回路アセンブリーからハンダペーストを除去するための洗浄剤中で、界面活性剤としても有用である。
【0066】
5−メチル−N−オクチル−2−ピロリドンおよび5−メチル−N−ドデシル−2−ピロリドンなどのN−アルキル−2−ピロリドンは、画像に印刷した際にハイライトスミアに対する抵抗性を改善するために、インクジェットインク中に構成要素として含まれて、均一な印刷をもたらし(バンディングの程度を最小化し)、改善された耐水性および/またはより良い乾燥または湿潤こすり特性を与えても良い。5−メチル−N−シクロヘキシル−2−ピロリドンまたは5−メチル−N−メチル−2−ピロリドンなどの2−ピロリドンはまた、カラー印捺用ホットメルトまたは相変化インクの調製において溶剤として使用しても良い。
【0067】
本発明の方法によって作られるピロリドンはまた、除草剤、殺虫剤、殺菌・殺カビ剤、殺バクテリア剤、殺線虫剤、殺藻薬、殺貝剤(mulluscicides)、抗ウイルス剤、植物に抵抗性を誘導する化合物、鳥、動物、および昆虫忌避剤、および植物成長調節物質、またはそれらの混合物をはじめとするが、これに限定されるものではない農業の製造において使用できる。製造方法は、当業者に知られている農業化学的に効果的な薬剤と、本発明のいずれかの方法によって生成された少なくとも1種のピロリドンとを接触させる工程を含んでなる。農業組成物は、一般に農業工業で使用されるように、場合により補助的な追加的構成要素を含んでなることができる。
【0068】
5−メチル−N−メチルピロリドンおよび5−メチル−N−シクロヘキシルピロリドンなどのピロリドンを水不溶性の極性補助溶剤として使用して、水不溶性の有害生物防除剤およびその他の農業を可溶化し、活性成分の量を増大できる。N−アルキルピロリドン、好ましくはN−C3〜15アルキルピロリドン、特に5−メチル−N−オクチルピロリドンおよび5−メチル−N−ドデシルピロリドンは、乳化剤として支援する非イオン界面活性剤として使用できる。植物成長調節剤は、農業植物の経済的収量を改善するために使用される。5−メチル−N−オクチルピロリドンおよび5−メチル−N−ドデシルピロリドンは、植物成長調節剤を含有するエマルジョン中の溶剤として使用できる。
【0069】
さらにピロリドンは、ヒトによる昆虫忌避剤の皮膚への塗布のために、液体またはエアロゾル調合物中で使用できる。例としては蚊およびダニ忌避剤が挙げられる。このような昆虫忌避剤の製造は、有効量の少なくとも1種の昆虫忌避剤と、本発明の少なくとも1種の方法を使用して生成された少なくとも1種の生成物とを接触させることを含んでなる。
【0070】
5−メチル−N−メチル−2−ピロリドンなどのピロリドンはまた、動物サイレージの保存のための抗微生物調合物中で使用できる。
【0071】
5−メチル−N−アルキル−2−ピロリドンはまた、伝統的溶剤に代えて、環境により優しく配慮した界面活性剤および圧密化二酸化炭素を含む、衣類をドライクリーニングする方法の一部として使用できる。
【0072】
さらに5−メチル−2−ピロリドンは、車などの塗装表面で使用される保護組成物中で構成要素として使用できる。ピロリドンは表面を濡らす役目をして、保護剤の塗布性を増進させる。
【0073】
異なるプラスチック材料は混和性でないことが多く、不十分な機械的特性を示す生成物がもたらされる。モノマーおよびポリマー5−メチル−ピロリドン含有化合物は、プラスチック組成物のための相溶化剤として使用できる。相溶化剤は、それ自身を関与するポリマー間の境界面に付着させ、またはポリマー中に浸透させ、それによってポリマー間の接着を改善して機械的特性を向上させる。
【0074】
5−メチル−N−ピロリドンはまた、冷却および空調産業において相溶化剤として使用できる。クロロフルオロカーボンからヒドロフルオロカーボン冷媒への移行は、ミネラルオイル、ポリα−オレフィン、およびアルキルベンゼンなどの従来の潤滑剤との不混和性のために、新たなクラスの潤滑剤の使用を必要にした。しかし潤滑剤の新しいクラスは高価であり、また非常に引湿性である。水の吸収は、冷却システムの酸形成および腐蝕、ならびにスラッジの形成をもたらす。従来の潤滑剤中でのヒドロフルオロカーボンの溶解性の欠如は、非圧縮機ゾーンにおける高度に粘稠な潤滑剤をもたらし、不十分な潤滑剤が圧縮機内に戻る。これはやがて、圧縮機の過熱および急停止、そして冷却システム内の不十分な熱伝達をはじめとするいくつかの問題をもたらす。相溶化剤は、非圧縮機ゾーン内で、極性ハロゲン化炭化水素冷媒および従来の非極性潤滑剤を可溶化し、圧縮機ゾーンへの潤滑剤の効率的な返還がもたらされる。相溶化剤としては、5−メチル−N−アルキル−および5−メチル−N−シクロアルキル−2−ピロリドンが挙げられる。
【0075】
ピロリドンはまた、燃料および潤滑剤添加剤として使用できる。例えばN−アルキル−2−ピロリドンを燃料添加剤組成物中で洗剤および分散剤として使用して、バルブ、キャブレター、およびインジェクションシステムを清潔に保つことにより、燃焼特性を改善して沈着物を削減することで、大気汚染排気を削減できる。さらに5−メチル−N−メチル−2−ピロリドンを使用して、粗潤滑油留出物または脱アスファルト残留潤滑油素材から不飽和炭化水素を除去し、溶剤精製基油を潤滑剤として製造できる。
【0076】
洗浄、剥離、農業およびプラスチック調合物の調製方法は、当業者には良く知られている。同様に、昆虫忌避剤、インクジェットインク、塗料保護調合物、燃料添加剤および潤滑剤、冷却および空調潤滑剤、およびドライクリーニング用の調製方法は、技術分野で良く知られている。ピロリドンは、これらの調合物中で溶剤、界面活性剤、分散剤、洗剤、乳化剤、粘度ビルダー、および錯化剤として作動できる。適切なピロリドンは、製品性能についての標準スクリーニング手順に基づいて選択される。特定の調合物に、医薬品または農業活性剤または着色剤などの追加的構成要素を主要機能構成要素として添加しても良い。機能構成要素または構成要素群の性質は、特定の用途によって定まる。また調合物の有効性を向上させる、またはそれにとって重要な補助構成要素を添加しても良い。補助構成要素としては、溶剤または補助溶剤、増粘剤、抗酸化剤、展着剤、防腐剤、接着剤、乳化剤、脱泡剤、保湿剤、分散剤、界面活性剤、適切なキャリア、マトリックスシステム、デリバリビヒクル、香料、塩、エステル、アミド、アルコール、エーテル、ケトン、酸、塩基、アルカン、シリコーン、蒸発調節剤、パラフィン、脂肪族または芳香族炭化水素、
キレート剤、エアロゾル用、噴霧剤またはドライクリーニング用ガス、油および水が挙げられる。ここで述べる用途に適した補助構成要素は、当業者には知られている。
【0077】
以下の実施例は本発明を例証する。実施例1〜29は実際の実施例であり、実施例30〜35は予言的なものである。
【実施例】
【0078】
以下の略語が使用される。
ESCAT−XXX:ニュージャージー州イズリンのエンゲルハルト・コープ(Engelhard Corp.(Iselin、NJ))によって提供される一連の触媒
JM−AXXXX、JM−XXXX−SA、JM−XXXX、JM−BXXXX:ニュージャージー州のW.デットフォードのジョンソン・マッティ(Johnson Matthey、Inc.(W.Deptford、NJ))からの一連の触媒
カルシキャット(Calsicat)カーボン:エンゲルハルト・コープ(Engelhard Corp.)からの触媒担体(ロットS−96−140)
SCCM:標準立方センチメートル毎分
GC:ガスクロマトグラフィー
GC−MS:ガスクロマトグラフィー−質量分析法
【0079】
触媒調製のためには、カーボン、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナまたはチタニアなどの市販される担体を金属塩による初期湿潤(incipient wetness)によって含浸させた。使用した触媒前駆物質は、マサチューセッツ州ワードヒルのアルファ・ケミカル(Alfa Chemical Co.(Ward Hill、MA))からのNiCl・6HO、アルファ・ケミカル(Alfa Chemical Co.)からのRe、アルファ・ケミカル(Alfa Chemical Co.)からのPdCl、ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ・ケミカル(Aldrich Chemical Co.、Milwaukee、WI)からのRuCl・xHO、ジョンソン・マッティ(Johnson Matthey、Inc.)からのHPtCl、およびアルファ・ケミカル(Alfa Chemical Co.)からのRhCl・xHOであった。サンプルはH下で2時間、300〜450℃で乾燥して還元させた。
【0080】
ラネー触媒は、メリーランド州コロンビアのW.R.グレース&カンパニー(W.R.Grace&Co.(Columbia、MD))から入手でき、ペンテンニトリル、ベンゾニトリル、ジオキサン、およびレブリン酸はイリノイ州シカゴのフィッシャーサイエンス(Fisher Scientific(Chicago、IL))から入手できる。
【0081】
触媒調製:酸洗浄カルシキャット(Calsicat)カーボン上の5%Pt
150mlビーカー内に、4.5mlまでの0.3M HPtClと4.0mlの脱イオン水の溶液を作った。ビーカーに4.75gのカルシキャット(Calsicat)酸洗浄カーボンを添加した(12×20メッシュ、120℃で一晩乾燥させた)。スラリーを時々撹拌しながら室温に1時間放置して、続いて頻繁に撹拌しながら(易流動性になるまで)120℃で一晩乾燥させた。
【0082】
石英被覆管状炉内のアルミナボート内で、触媒を室温で15分間500SCCMのNで、次に室温で15分間100SCCMのHeでパージした。触媒を150℃に加熱して、He下で1時間150℃に保った。この次点で100SCCMのHを添加し、サンプルをHeおよびH下で1時間150℃に保った。温度を300℃に上昇させ、He−H下で8時間、触媒を300℃で還元した。Hを停止し、サンプルをHe下で30分間
300℃に保持し、次にHe気流内で室温に冷却した。触媒を室温で1時間、500SCCMのN中の1.5%O内で最終的に不動態化し取り出したところ4.93gの重量があった。
【0083】
本発明中で使用した追加的触媒は、同様の手順に従って調製した。
【0084】
レブリン酸(LA)の5−メチル−N−(メチルアリール)−2−ピロリドンおよび5−メチル−N−(メチルシクロアルキル)−2−ピロリドンへのバッチ還元
5mLの圧力容器に、50gの触媒と、35重量%のレブリン酸、31%のアリールシアノ化合物、および34%のジオキサンを含有する1gの溶液とを添加した。容器を密封して5.52MPaの水素を装入し、150℃で4時間加熱した。反応経過中、圧力を5.52MPaに維持した。反応終了時に容器を氷中で迅速に冷却し、排気して内部GC標準のメトキシエチルエーテルを添加した。ピペットを用いて溶液を触媒から分離し、FFAP 7717(30m)カラムを装着したHP 6890を使用して、GC−MSによって分析した。下の表に示す結果は面積%を基準とする。
【0085】
下で述べる実施例は、各実施例で示す条件下で同様の手順に従って実施した。
【0086】
実施例1〜25
レブリン酸(LA)および3−ペンテンニトリル(3PN)を使用した5−メチル−N−ペンテン−2−ピロリドン(PeMP)の製造
【0087】
【表1】

【0088】
実施例26〜29
レブリン酸(LA)およびベンゾニトリル(BN)を使用した5−メチル−N−ベンジル−2−ピロリドン(BzMP)および5−メチル−N−(メチルシクロヘキシル)−2−ピロリドン(CHMMP)の製造
反応時間は4時間であった。温度および圧力は、それぞれ150℃および5.52MPaであった。結果を以下の表に示す。
【0089】
【表2】

【0090】
実施例30:医薬品調合物
【0091】
【表3】

【0092】
【表4】

【0093】
手順:
キサンタンガムを水に分散し、静置する。相1構成要素および相2構成要素を別々に75℃に加熱する。高速に撹拌しながら相1を相2中に混和する。10分間の撹拌の間、温度を75℃に維持する。次に低速で撹拌しながら、混合物を緩慢に冷却する。40℃で相3を添加する。次にナフチフィンをトランスクトール(Transcutol)中に良く混ぜて、混合物をクリームに添加し、良く混合してクリームを室温に冷却する。
【0094】
【表5】

【0095】
実施例31:洗浄組成物
【0096】
【表6】

【0097】
【表7】

【0098】
【表8】

【0099】
【表9】

【0100】
【表10】

【0101】
【表11】

【0102】
抗微生物ふき取り繊維は、基材を上記組成物に含浸して作ることができる。基材は、7
0:30の比率でビスコース/ポリエステルを含んでなり、比重量が50g/mのスパンレースであることができる。組成物と基材の比は、約2.6:1である。
【0103】
【表12】

【0104】
【表13】

【0105】
実施例32:剥離/洗浄剤
【0106】
【表14】

【0107】
実施例33:インクジェットインク
【0108】
【表15】

【0109】
実施例34:農業組成物
【0110】
【表16】

【0111】
【表17】

【0112】
【表18】

【0113】
実施例35:塗装自動車表面保護組成物用調合物
【0114】
【表19】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素ガスおよび場合により触媒担体上に担持される触媒存在下で、レブリン酸(I)とアリールシアノ化合物(II)とを接触させ、そして該接触が場合により溶剤存在下で行われる工程を含んでなる、5−メチル−(N−メチルアリール)−2−ピロリドン(III)、5−メチル−N−(メチルシクロアルキル)−2−ピロリドン、またはそれらの混合物を含んでなる、反応生成物の製造方法:
【化1】

式中、Rは6〜30個の炭素を有する芳香族基であり、RはRの完全にまたは部分的に還元された誘導体である。
【請求項2】
水素ガスおよび場合により触媒担体上に担持される触媒存在下で、レブリン酸(I)とアルキルシアノ化合物(V)とを接触させ、そして該接触が場合により溶剤存在下で行われる工程を含んでなる、5−メチル−N−アルキル−2−ピロリドン(VI)を含んでなる反応生成物の製造方法:
【化2】

式中、RはC〜C30の非置換または置換アルキル、C〜C30の非置換または置換アルケニル、C〜C30の非置換または置換アルキニル、C〜C30の非置換または置換シクロアルキル、または少なくとも1種のヘテロ原子を含有するC〜C30の非置換または置換シクロアルキルである。
【請求項3】
触媒が、ニッケル、銅、コバルト、鉄、ロジウム、ルテニウム、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、パラジウム、少なくとも1種のラネー金属、それらの化合物、およびそれらの組み合わせ物よりなる群から選択される金属から選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
触媒が担持されて担持金属触媒を形成し、担持金属触媒中の金属含量が0.1〜20重量%である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
触媒担体が、炭素、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、シリカ−チタニア、チタニア、チタニア−アルミナ、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、それらの化合物、およびそれらの組み合わせ物よりなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
カーボンが触媒担体の約5重量%未満の灰分を有し、場合によりカーボンが約200m/gを超える表面積を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
方法が場合により促進剤の存在下で実施される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
が6〜12個の炭素を有する芳香族基であり、Rが6〜12個の炭素を有するシクロアルキル基である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
が1〜12個の炭素を有するアルキルまたはシクロアルキル基である、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
−CN/レブリン酸およびR−CN/レブリン酸の比率が反応開始時に約0.01/1〜約100/1である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項11】
反応が約25℃〜約300℃の温度で実施される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
反応が約0.34MPa〜約20.00MPaの水素圧で実施される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
担持金属触媒が、カーボン上のパラジウム、炭酸カルシウム上のパラジウム、硫酸バリウム上のパラジウム、アルミナ上のパラジウム、チタニア上のパラジウム、カーボン上の白金、アルミナ上の白金、シリカ上の白金、シリカ上のイリジウム、カーボン上のイリジウム、アルミナ上のイリジウム、カーボン上のロジウム、シリカ上のロジウム、アルミナ上のロジウム、カーボン上のニッケル、アルミナ上のニッケル、シリカ上のニッケル、カーボン上のレニウム、シリカ上のレニウム、アルミナ上のレニウム、カーボン上のルテニウム、アルミナ上のルテニウム、およびシリカ上のルテニウムよりなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項14】
担持金属触媒が、カーボン上のパラジウム、アルミナ上のパラジウム、チタニア上のパラジウム、カーボン上のルテニウム、アルミナ上のルテニウム、カーボン上のロジウム、アルミナ上のロジウム、カーボン上の白金、およびそれらの組み合わせ物よりなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
反応のための溶剤媒質が、水、アルコール、エーテル、式(II)または式(V)のシアノ化合物、ピロリドン、および請求項1または2それぞれの反応生成物よりなる群から選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項16】
が1〜12個の炭素を有するシクロアルキル基または6〜12個の炭素を有するシクロアルキル基であり、触媒が担持され、担持触媒がカーボン上のパラジウムまたはチタニア上のパラジウムであり、反応温度が約75℃〜200℃であり、反応圧が約1.3MPa〜約7.6MPaである、請求項2に記載の方法。
【請求項17】
i)場合により溶剤存在下で、水素ガスおよび場合により担持される金属触媒存在下で、レブリン酸(I)とアルキルシアノ化合物(V)とを接触させる工程を含んでなる方法を使用して、5−メチル−N−アルキル−2−ピロリドン(VI)を製造する工程:
【化3】

式中、RはC〜C30の非置換または置換アルキル、C〜C30の非置換または置換アルケニル、C〜C30の非置換または置換アルキニル、C〜C30の非置換または置換シクロアルキル、または少なくとも1種のヘテロ原子を含有するC〜C30の非置換または置換シクロアルキルである、および
ii)5−メチル−N−アルキル−2−ピロリドン(VI)と少なくとも1種の薬学的治療用剤とを接触させる工程
を含んでなる、医薬品組成物の調製方法。
【請求項18】
i)場合により溶剤存在下で、水素ガスおよび場合により担持される金属触媒存在下で、レブリン酸(I)とアルキルシアノ化合物(V)とを接触させる工程を含んでなる方法を使用して、5−メチル−N−アルキル−2−ピロリドン(VI)を製造する工程:
【化4】

式中、RはC〜C30の非置換または置換アルキル、C〜C30の非置換または置換アルケニル、C〜C30の非置換または置換アルキニル、C〜C30の非置換または置換シクロアルキル、または少なくとも1種のヘテロ原子を含有するC〜C30の非置換または置換シクロアルキルである、および
ii)5−メチル−N−アルキル−2−ピロリドン(VI)と少なくとも1種の農業化学的に効果的な薬剤とを接触させる工程
を含んでなる、農薬組成物の調製方法。
【請求項19】
i)場合により溶剤存在下で、水素ガスおよび場合により担持される金属触媒存在下で、レブリン酸(I)とアルキルシアノ化合物(V)とを接触させる工程を含んでなる方法を使用して、5−メチル−N−アルキル−2−ピロリドン(VI)を製造する工程:
【化5】

式中、RはC〜C30の非置換または置換アルキル、C〜C30の非置換または置換アルケニル、C〜C30の非置換または置換アルキニル、C〜C30の非置換または置換シクロアルキル、または少なくとも1種のヘテロ原子を含有するC〜C30の非置換または置換シクロアルキルである、および
ii)5−メチル−N−アルキル−2−ピロリドン(VI)と、アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、グリコール、グリコールエーテル、脂肪族アルコール、アルカノールアミン、ピロリドン、水、およびそれらの混合物よりなる群から選択される化合物とを接触させる工程
を含んでなる、洗浄組成物の調製方法。
【請求項20】
i)場合により溶剤存在下で、水素ガスおよび場合により担持される金属触媒存在下で、レブリン酸(I)とアルキルシアノ化合物(V)とを接触させる工程を含んでなる方法を使用して、5−メチル−N−アルキル−2−ピロリドン(VI)を製造する工程:
【化6】

式中、RはC〜C30の非置換または置換アルキル、C〜C30の非置換または置換アルケニル、C〜C30の非置換または置換アルキニル、C〜C30の非置換また
は置換シクロアルキル、または少なくとも1種のヘテロ原子を含有するC〜C30の非置換または置換シクロアルキルである、および
ii)5−メチル−N−アルキル−2−ピロリドン(VI)と少なくとも1種の着色剤とを接触させる工程
を含んでなる、インクジェットインク組成物の調製方法。
【請求項21】
i)場合により溶剤存在下で、水素ガスおよび場合により担持される金属触媒存在下で、レブリン酸(I)とアルキルシアノ化合物(V)とを接触させる工程を含んでなる方法を使用して、5−メチル−N−アルキル−2−ピロリドン(VI)を製造する工程:
【化7】

式中、RはC〜C30の非置換または置換アルキル、C〜C30の非置換または置換アルケニル、C〜C30の非置換または置換アルキニル、C〜C30の非置換または置換シクロアルキル、または少なくとも1種のヘテロ原子を含有するC〜C30の非置換または置換シクロアルキルである、および
ii)5−メチル−N−アルキル−2−ピロリドン(VI)と少なくとも1種の冷媒とを接触させる工程
を含んでなる、冷媒または空調潤滑剤の調製方法。

【公表番号】特表2006−521390(P2006−521390A)
【公表日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509253(P2006−509253)
【出願日】平成16年3月23日(2004.3.23)
【国際出願番号】PCT/US2004/009001
【国際公開番号】WO2004/084888
【国際公開日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】