説明

C−フェニルグリシト−ル化合物

SGLT1活性及びSGLT2活性の双方を阻害し、グルコ−ス吸収抑制と尿糖排泄作用を示すことで、糖尿病の予防又は治療剤となりうる新規なC−フェニル グリシト−ル化合物を提供する。
下記式(I)


式中、
及びRは、同一または異なるものであり、水素原子、水酸基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基又はハロゲン原子を表し、
は、水素原子、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基又はハロゲン原子であり、
Yは、C1−6アルキレン基、−O−(CH−(nは1〜4の整数である)、又はC2−6アルケニレン基である、ただし、Zが−NHC(=NH)NH又は−NHCON(R)Rである場合、nは1でない、
Zは、−CONHR、−NHC(=NH)NH、−NHCON(R)R


で表されるC−フェニル グリシト−ル化合物若しくはその製薬学的に許容される塩又はそれらの水和物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナトリウム依存性グルコ−ス共輸送体1(SGLT1)及びナトリウム依存性グルコ−ス共輸送体2(SGLT2)の阻害活性を有するC−フェニル グリシト−ル化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病に罹患すると、空腹時の血糖値は126mg/dL以上を示す。また、空腹時の血糖値が正常であっても、食事の後に140〜200mg/dLという高い血糖値を示す場合には、耐糖能異常(以下、IGT(impaired glucose tolerance)という。)と診断される。IGTから糖尿病の発症を遅らせることは、心血管障害のリスクを低減させると考えられ、それを示す幾つかの知見が得られている。例えば、1997年に中国で行われたDa Qing IGT and Diabetes Studyでは、ダイエットや運動を行うことでIGTから2型糖尿病への移行を有意に抑制したと報告されている(Pan XR, et al. Diabets Care, 第20巻, 534頁, 1997年参照)。また、薬剤治療が有効な例として、糖の加水分解酵素を阻害し、小腸からの糖の吸収を遅延させるα−グルコシダ−ゼ阻害剤アカルボ−スを投与すると、IGTから2型糖尿病への移行を抑制し、さらに高血圧の発症も有意に抑制することが報告されている(J.−L. Chiasson, et al. Lancent, 第359巻, 2072頁, 2002年参照)。
【0003】
以上のことから、糖尿病の発症を抑えるには、食事療法、運動及び薬物療法によってIGTをコントロ−ルすることが重要である。
それにも関わらず、糖尿病を発症した場合には、随時、血糖コントロ−ルが必要になってくる。糖尿病治療の基本は食事療法と運動療法であるが、これらを行っても充分な効果が得られない場合には薬物療法を採択する必要がある。
哺乳動物の小腸上皮には高い頻度でナトリウム依存性グルコ−ス共輸送体1(SGLT1)が発現している。このSGLT1は小腸において、ナトリウムに依存し、グルコ−ス又はガラクト−スの能動輸送を司っていることが知られている。そこで、食事由来のグルコ−ス吸収を抑制し、IGTの予防または治療を行うというコンセプトに基づき、SGLT1活性を阻害するピラゾ−ル誘導体が報告されている(国際公開第WO2002/098893号パンフレット、国際公開第WO2004/014932号パンフレット、国際公開第WO2004/018491号パンフレット、国際公開第WO2004/019958号パンフレット、国際公開第WO2005/121161号パンフレット及び国際公開第WO2004/050122号パンフレット参照)。
【0004】
また、腎臓には高頻度にナトリウム依存性グルコ−ス共輸送体2(SGLT2)が発現しており、糸球体で一旦濾過されたグルコ−スはSGLT2を介して再吸収される(E. M. Wright, Am. J. Physiol. Renal. Physiol. , 第280巻, F10頁, 2001年
参照)。そして、SGLT2阻害剤を糖尿病ラットに投与すると、尿への糖排泄を促進し、血糖低下作用を招来し、SGLT2特異的阻害剤は新たな糖尿病治療薬の標的分子と考えられるようになった(G. Toggenburger, et al. Biochem. Biophys. Acta., 第688巻, 557頁 1982年参照)。このような背景から、SGLT2阻害剤が研究され様々なO−アリ−ル グリコシド誘導体が提供されている(欧州特許出願公開第0850948号明細書、国際公開第WO2001/068660号パンフレット参照)。
【0005】
したがって、SGLT1及びSGLT2活性を同時に阻害できれば、SGLT1阻害に基づく食後高血糖抑制作用とSGLT2阻害に基づく随時血糖低下作用を併有する新しいタイプの糖尿病治療薬を提供できると考えられる。
【0006】
これまで、SGLT2に選択的な阻害活性を有するC−フェニル グルコシド誘導体については報告されているが(国際公開第WO2001/027128号パンフレット
参照)、SGLT1及びSGLT2の双方を強力に阻害するC−フェニル グルコシド誘導体についての報告はない。
【発明の開示】
【0007】
本発明は、SGLT1及びSGLT2の双方の活性を阻害し、消化管からのグルコ−ス吸収抑制と尿糖排泄作用を併有する新しいタイプの糖尿病治療薬として期待されるC−フェニル グリシト−ル化合物を提供することを課題とする。
【0008】
本発明者らは前記課題を解決するために鋭意研究した結果、アグリコンの末端に特異な側鎖を導入したC−フェニル グリシト−ル化合物が、優れたSGLT1及びSGLT2活性阻害作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
以下に、本発明のC−フェニル グリシト−ル化合物(以下、「本発明化合物」という)の態様を述べる。
本発明により、SGLT1及びSGLT2双方の活性を阻害する新規なC−フェニル グリシト−ル化合物を提供することが可能となった。
【0010】
本発明の第1の態様(1態様)は、下記式で表されるC−フェニル・グリシト−ル化合物若しくはその製薬学的に許容される塩又はそれらの水和物に関する:
【0011】
【化1】

【0012】
式中、
及びRは、同一または異なるものであり、水素原子、水酸基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基又はハロゲン原子を表し、
は、水素原子、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基又はハロゲン原子であり、
Yは、C1−6アルキレン基、−O−(CH−(nは1〜4の整数である)、又はC2−6アルケニレン基である、ただし、Zが−NHC(=NH)NH又は−NHCON(R)Rである場合、nは1でない、
Zは、−CONHR、−NHC(=NH)NH、−NHCON(R)R
【0013】
【化2】

【0014】
は、水酸基、アミノ基及びカルバモイル基からなる群より選ばれる1〜3個の置換基で置換されたC1−6アルキル基であり、
は、
(1)水素原子、
(2)A群から選ばれる1〜3個の置換基で置換されても良いC1−6アルキル基、
(3)水酸基及びC1−6ヒドロキシアルキル基から選ばれる1〜3個の置換基で置換されても良いC3−12シクロアルキル基、
(4)3〜12員ヘテロシクロアルキル基又は部分的に飽和されていて良い5〜13員ヘテロアリール基[これらの各々はO、N、S、SO、CO及びNR10(R10は水素原子、C1−6アルキル基、フェニルC1−6アルキル基又はC2−6アルコキシカルボニル基である)からなる群から選ばれる1〜3個の環構成原子を含有し、水酸基及びC1−6ヒドロキシアルキル基から成る群から選ばれる1〜3個の置換基で置換されても良い]、又は
(5)部分的に飽和されていて良いC6−13アリール基[これは、水酸基と、各々が水酸基(単数又は複数)で置換されて良いC1−6アルキル基、フェニルC1−6アルキル基及びC1−6アルキルスルホニル基とから成る群から選ばれる、1若しくは2個の置換基で置換されても良い]であり、
この場合、A群は、ハロゲン原子、水酸基、C1−6アルコキシ基(これは、水酸基(単数又は複数)で置換されて良い)、カルボキシル基、C2−6アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、C1−6アルキルアミノ基、ジC1−6アルキルアミノ基、C2−6アシルアミノ基、C1−6アルキルチオ基(これは、水酸基(単数又は複数)で置換されて良い)、フェノキシ基、フェニル基{これは、B群から選ばれる1〜3個の置換基で置換されても良い[B群は、水酸基、ハロゲン原子、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキル基(これは、水酸基(単数又は複数)で置換されて良い)、C1−6アルキルチオ基、チエニル基、フェニルチオ基(これは、水酸基(単数又は複数)若しくはC1−6ヒドロキシアルキル基(単数又は複数)で置換されて良い)、及びピペリジノ基(これは、水酸基(単数又は複数)若しくはC1−6ヒドロキシアルキル基(単数又は複数)で置換されて良い)から成る]}、C3−12シクロアルキル基(これは、水酸基及びC1−6ヒドロキシアルキル基から成る群から選ばれる1〜3個の置換基で置換されて良い)、3〜12員ヘテロシクロアルキル基又は部分的に飽和されていて良い5〜13員ヘテロアリール基[これらの各々は、O、N、S、SO、CO及びNR10(R10は水素原子、C1−6アルキル基、フェニルC1−6アルキル基又はC2−6アルコキシカルボニル基である)から成る群から選ばれる1〜3個の環構成原子を含有し、水酸基及びC1−6ヒドロキシアルキル基から成る群から選ばれる1〜3個の置換基で置換されても良い]、並びに−CONRB1B2[この場合、RB1とRB2は、それらが付着する窒素原子と共に、5〜6員ヘテロシクロアルキル基を形成する、該5〜6員ヘテロシクロアルキル基は、別の環構成原子として、酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含有することができ、C1−6アルキル基(これは水酸基(単数又は複数)で置換されても良い)、C2−6アルコキシカルボニル基及びフェニルC1−6アルキル基から成る群から選ばれる1若しくは2個の置換基で置換されうる]から成る、
は、水素原子、C1−6アルキル基(これは、水酸基、ジC1−6アルキルアミノ基、C2−6アルコキシカルボニル基及びC1−6アルコキシ基から成る群から選ばれる1若しくは2個の置換基で置換されても良い)、又はC3−12シクロアルキル基(これは、水酸基(単数又は複数)で置換されても良い)であり、
とRは、それらが付着する窒素原子と共に、3〜12員ヘテロシクロアルキル基又は部分的に飽和されていても良い5〜13員ヘテロアリール基[これらの各々は、O、N、NR11、S、SO及びCOから選ばれる1若しくは2個の環構成原子を含有することができ、水酸基、C2−6アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、C2−6アシル(C1−6アルキル)アミノ基、ジC1−6アルキルアミノカルボニル基、ピロリジニル基、モルホリノ基、ピロリジン−1−イル−カルボニル基、C1−6アルキル基(これは、水酸基、ピロリジン−1−イル基、フェニル基及びC2−6アルコキシカルボニル基から成る群から選ばれる1〜3個の置換基で置換されて良い)、並びにフェニル基(これは、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基及びハロゲン原子から成る群から選ばれる1〜3個の置換基で置換されても良い)から成る群から選ばれる1若しくは2個の置換基で置換されることができ、この場合、R11は、水素原子、C2−6アシル基、フェニル基(これは、水酸基(単数又は複数)で置換されて良い)、ピリジル基、フリルカルボニル基、オキソラニルカルボニル基、C2−6アルコキシカルボニル基、又はC1−6アルキル基(これは、水酸基、フェニル基、ジC1−6アルキルアミノ基、モルホリノ基及びピロリジン−1−イル−カルボニル基から成る群から選ばれる1若しくは2個の置換基で置換されて良い)である]を形成することができる、
は、水素原子又はC1−6アルキル基[これは、水酸基、C3−12シクロアルキル基、フェニル基(これは、水酸基(単数又は複数)で置換されて良い)、ピリジル基、C2−6アルコキシカルボニル基、イミダゾリル基及び1−ベンジルイミダゾリル基から成る群から選ばれる1若しくは2個の置換基で置換されて良い]であり、RDAは、水素原子又はC1−6アルキル基である。
【発明の実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、以下の他の態様2〜19を提供する。
2.
下記式(II)で示されるC−フェニル・グルシトール化合物若しくはその製薬学的に許容される塩又はそれらの水和物である、態様1記載のC−フェニル・グリシトール化合物:
【0016】
【化3】

【0017】
式中、R、R、R、Y、及びZは、式(I)で定義したとおりである。
3.
が水素原子、水酸基、C1−4アルキル基、又はC1−4アルコキシ基であり、RがC1−4アルキル基、又はハロゲン原子である、式(II)のC−フェニル・グリシトール化合物若しくはその製薬学的に許容される塩又はそれらの水和物。
4.
が水素原子である、態様2又は3に記載のC−フェニル・グリシトール化合物若しくはその製薬学的に許容される塩又はそれらの水和物。
5.
YがC1−6アルキレン基又は−O−(CH−(nは2〜4の整数である)であり、Zが−NHCON(R)R(RとRは、式(I)で定義したとおりである)である、態様3又は4に記載のC−フェニル・グリシトール化合物若しくはその製薬学的に許容される塩又はそれらの水和物。
6.
YがC1−6アルキレン基又は−O−(CH−(nは2〜4の整数である)であり、Zが−NHCON(R)Rであり、
この場合、R
(1)A群から選ばれる1〜3個の置換基で置換されても良いC1−6アルキル基、
(2)水酸基及びC1−6ヒドロキシアルキル基から選ばれる1〜3個の置換基で置換されても良いC3−12シクロアルキル基、
(3)3〜12員ヘテロシクロアルキル基又は部分的に飽和されていて良い5〜13員ヘテロアリール基[これらの各々はO、N、S及びNR10(R10は水素原子、C1−6アルキル基、フェニルC1−6アルキル基又はC2−6アルコキシカルボニル基である)からなる群から選ばれる1〜3個の環構成原子を含有し、水酸基及びC1−6ヒドロキシアルキル基から成る群から選ばれる1〜3個の置換基で置換されても良い]、又は
(4)部分的に飽和されていて良いC6−13アリール基[これは、水酸基と、各々が水酸基(単数又は複数)で置換されて良いC1−6アルキル基、フェニルC1−6アルキル基及びC1−6アルキルスルホニル基とから成る群から選ばれる、1若しくは2個の置換基で置換されても良い]であり、
この場合、A群は、ハロゲン原子、水酸基、C1−6アルコキシ基(これは、水酸基(単数又は複数)で置換されて良い)、C2−6アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、ジC1−6アルキルアミノ基、C1−6アルキルチオ基(これは、水酸基(単数又は複数)で置換されて良い)、フェノキシ基、チエニル基、ベンゾチエニル基、フリル基、フェニル基[これは、水酸基、ハロゲン原子、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキル基(これは、水酸基(単数又は複数)で置換されて良い)、C1−6アルキルチオ基、フェニルチオ基(これは、水酸基(単数又は複数)若しくはC1−6ヒドロキシアルキル基(単数又は複数)で置換されて良い)、及びピペリジノ基(これは、水酸基(単数又は複数)若しくはC1−6ヒドロキシアルキル基(単数又は複数)で置換されて良い)から成る群から選ばれる1〜3個の置換基で置換されて良い]、C3−12シクロアルキル基(これは、水酸基及びC1−6ヒドロキシアルキル基から成る群から選ばれる1〜3個の置換基で置換されて良い)、3〜12員ヘテロシクロアルキル基[これは、O、N、S及びNR10(R10は水素原子、C1−6アルキル基、フェニルC1−6アルキル基又はC2−6アルコキシカルボニル基である)から成る群から選ばれる1〜3個の環構成原子を含有し、水酸基及びC1−6ヒドロキシアルキル基から成る群から選ばれる1〜3個の置換基で置換されて良い]、並びに4−C1−6アルキルピペラジン−1−イルカルボニル基から成る、
は、水素原子であり、
とRは、それらが付着する窒素原子と共に、ピペリジン基[これは、ピロリジニル基若しくはC1−6アルキル基(これは、ジC1−6アルキルアミノ基若しくはピロリジン−1−イル基で置換される)で置換されうる]、又はチオモルホリン基、又はデカヒドロイソキノリン基を形成することができる、態様3又は4に記載のC−フェニル・グリシトール化合物若しくはその製薬学的に許容される塩又はそれらの水和物。
7.
YがC1−6アルキレン基であり、Zが−CONHRであり、この場合、Rは、水酸基及びカルバモイル基から成る群から選ばれる、1〜3個の置換基で置換されるC1−6アルキル基である、態様2〜4のいずれかに記載のC−フェニル・グリシトール化合物若しくはその製薬学的に許容される塩又はそれらの水和物。
8.
YがC1−6アルキレン基であり、そしてZが−NHC(=NH)NHである、態様2〜4のいずれかに記載のC−フェニル・グリシトール化合物若しくはその製薬学的に許容される塩又はそれらの水和物。
9.
YがC1−6アルキレン基であり、Zが、
【0018】
【化4】

【0019】
が、C1−6アルキル基(これは、C3−12シクロアルキル基若しくはフェニル基で置換される)であり、RDAが水素原子又はC1−6アルキル基である、態様2〜4のいずれかに記載のC−フェニル・グルシトール化合物若しくはその製薬学的に許容される塩又はそれらの水和物。
10.
下記式(III)で示されるC−フェニル・ガラシトール化合物若しくはその製薬学的に許容される塩又はそれらの水和物である、態様1記載のC−フェニル・グリシトール化合物:
【0020】
【化5】

【0021】
上記式中、
YはC1−6アルキレン基であり、Zが−CONHRであり、この場合、Rは、水酸基及びカルバモイル基から成る群から選ばれる、1〜3個の置換基で置換されるC1−6アルキル基である。
11.
下記式(IV)で示されるC−フェニル・グルシトール化合物若しくはその製薬学的に許容される塩又はそれらの水和物である、態様1記載のC−フェニル・グリシトール化合物:
【0022】
【化6】

【0023】
上記式中、
YはC1−6アルキレン基であり、Zは、−CONHRA1、−NHC(=NH)NH又は−NHCORB1であり、この場合、RA1は、水酸基、アミノ基及びカルバモニル基から成る群から選択される1〜3個の置換基で置換されるC1−6アルキル基であり、RB1は、1〜3個の水酸基、若しくは4−C1−6アルキルピペラジン−1−イル−カルボニル基で置換されうるC1−6アルキルアミノ基、又は4−C1−6アルキルピペラジン−1−イル基である。
12.
YがC1−6アルキレン基であり、Zが−CONHRA1又は−NHC(=NH)NH又は
【0024】
【化7】

【0025】
[上記式中、RA1は、水酸基、アミノ基及びカルバモニル基から成る群から選択される1〜3個の置換基で置換されるC1−6アルキル基である]である、態様11記載のC−フェニル・グリシトール化合物若しくはその製薬学的に許容される塩、又はそれらの水和物。
13.
YがC1−6アルキレン基であり、Zが−CONHRA1であり、この場合、RA1は、水酸基、アミノ基及びカルバモニル基から選ばれる1〜3個の置換基で置換されるC1−6アルキル基である、態様11記載のC−フェニル・グリシトール化合物若しくはその製薬学的に許容される塩、又はそれらの水和物。
14.
YがC1−6アルキレン基であり、Zが−NHC(=NH)NHである、態様11記載のC−フェニル・グリシトール化合物若しくはその製薬学的に許容される塩、又はそれらの水和物。
15.
YがC1−6アルキレン基であり、Zが−NHCORB1(この場合、RB1は、1〜3個の水酸基、若しくは4−C1−6アルキルピペラジン−1−イル−カルボニル基で置換されるC1−6アルキルアミノ基、又は4−C1−6アルキルピペラジン−1−イル基である)である、態様11記載のC−フェニル・グリシトール化合物若しくはその製薬学的に許容される塩、又はそれらの水和物。
16.
YがC1−6アルキレン基であり、Zが
【0026】
【化8】

【0027】
で示される、態様11記載のC−フェニル・グリシト−ル化合物若しくはその製薬学的に許容される塩又はそれらの水和物。
17.
態様1〜16のいずれかに記載のC−フェニル・グリシト−ル化合物若しくはその製薬学的に許容される塩又はそれらの水和物を有効成分として含む医薬的製剤。
18.
ナトリウム依存性グルコ−ス共輸送体1(SGLT1)活性及びナトリウム依存性グルコ−ス共輸送体2(SGLT2)活性の阻害剤である、態様17記載の医薬的製剤。
19.
糖尿病の予防又は治療剤である、態様17記載の医薬的製剤。
【0028】
本発明において使用する用語を以下に定義する。
「C1−6アルキル基」とは、炭素原子を1〜6個有する直鎖状又は分枝状のアルキル基を意味する。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基が挙げられる。
【0029】
「C1−6アルコキシ基」とは、炭素原子を1〜6個有する直鎖状又は分枝状のアルコキシ基を意味し、C1−4アルコキシ基が好ましい。C1−4アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基が挙げられる。
【0030】
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である。
「C1−6アルキレン基」とは、C1−6アルキル基の炭素原子からさらに水素を1個除いた2価基を意味する。例えば、直鎖状のものではメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が挙げられる。
【0031】
「C2−6アルケニレン基」とは、C2−6アルケニル基の炭素原子からさらに水素を1個除いた2価基を意味する。例えば、直鎖状のものではビニレン(エテニレン)基、プロペニレン基、ブテニレン基、ペンテニレン基、ヘキセニレン基が挙げられる。
【0032】
「水酸基、アミノ基及びカルバモイル基からなる群より選ばれる1〜3個の基で置換されたC1−6アルキル基」とは、C1−6アルキル基上の水素原子が、1〜3個の水酸基、アミノ基及びカルバモイル基の少なくとも1種によって置換されたアルキル基を示す。例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル基、1,3−ジヒドロキシ−2−メチルプロパン−2−イル基、1,3−ジヒドロキシ−2−ヒドロキシメチルプロパン−2−イル基、カルバモイルメチル基、2−カルバモイルエチル基が挙げられる。
【0033】
「C3−12シクロアルキル基」とは、炭素数3〜12個の環状アルキル基を示し、単環、2環系及びスピロ炭化水素も含まれる。例えば、単環系の物では、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基が挙げられる。2環系の物では、アダマンチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、ビシクロ[2.2.2]ヘプチル基、等が挙げられる。また、スピロ炭化水素としては、スピロ[3.4]オクチル基、スピロ[4.5]デカニル基が挙げられる。
【0034】
「O、N、NR10、S、SO及びCOからなる群より選ばれる1〜3個の環構成原子を含有する3〜12員ヘテロシクロアルキル基」なる用語は、1〜3個のメチレン基又はメチン基がO、N、NR10、S、SO及びCOから成る群から選ばれる原子(単数又は複数)で置換されている、上記で定義されたC3−12シクロアルキル基を意味する。その例は、オキサニル基、2−オキソオキサニル基、1,3−ジオキサニル基、ピロリジニル基、ピペリジノ基、2−ピペリジル基、4−ピペリジル基、ピペラジニル基、モルホリノ基、チオモルホリノ基、キヌクリジニル基、デカヒドロイソキノリニル基、デカヒドロキノリニル基、
【0035】
【化9】

【0036】
を包含することができる。
「O、N、NR10、S、SO及びCOからなる群より選ばれる1〜3個の環構成原子を含有する、部分的に飽和されていて良い5〜13員ヘテロアリール基」なる用語は、5〜13員の不飽和単環状、二環状又は三環状複素環を意味し、フリル基、イミダゾリル基、チエニル基、ピリジル基、ベンゾチエニル基、2,3−ジヒドロ−ベンゾフラニル基、2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[デ]イソキノリニル基、2,3−ジヒドロ−1H−インドリル基、2,3−ジヒドロ−1H−イソインドリル基及び2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−b−カルボリニル基を包含することができる。
【0037】
「部分的に飽和されていて良いC6−13アリール基」なる用語は、6〜13個の炭素原子を有する不飽和単環状、二環状又は三環状炭化水素環を意味する。その例は、フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフチル基、インダニル基を包含することができる。
【0038】
「RB1とRB2が、それらが付着する窒素原子と一緒になって形成する5〜6員ヘテロシクロアルキル基であって、別の環構成原子として、酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含有しうる5〜6員ヘテロシクロアルキル基」なる用語は、ピペリジノ基、ピペラジノ基、モルホリノ基、チオモルホリノ基を包含することができる。
【0039】
「フェニルC1−6アルキル基」なる用語は、フェニル基で置換された直鎖状又は分岐鎖状のC1−6アルキル基を意味する。その例は、ベンジル基及びフェニルエチル基を包含することができる。
【0040】
「C2−6アルコキシカルボニル基」なる用語は、直鎖状又は分岐鎖状のC1−5アルコキシ基とカルボニル基とから構成される構造を有しており、好ましくは、C2−5アルコキシカルボニル基である。その例は、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基及びt−ブトキシカルボニル基を包含することができる。
【0041】
「C1−6アルキルチオ基」なる用語は、直鎖状又は分枝状のC1−6アルキル基と1個のチオ基(−S−)から構成される構造を有しており、好ましくは、C1−4アルキルチオ基である。C1−6アルキルチオ基の例は、メチルチオ基、エチルチオ基及びプロピルチオ基を包含する。
【0042】
「C1−6アルキルアミノ基」なる用語は、直鎖状又は分枝状のC1−6アルキル基とアミノ基とから構成される構造を有する。その例は、メチルアミノ基及びエチルアミノ基を包含することができる。
【0043】
「ジC1−6アルキルアミノ基」は、2個の直鎖状又は分枝状のC1−6アルキル基とアミノ基とから構成される構造を有する。その例は、ジメチルアミノ基及びジエチルアミノ基を包含することができる。
【0044】
「C2−6アシル基」なる用語は、炭素原子2〜6個を含有する、直鎖状又は分枝状の脂肪族アシル基を意味する。例は、アセチル基、プロピオニル基、ピバロイル基、ブチリル基、イソブチリル基及びバレリル基を包含する。
【0045】
「C2−6アシルアミノ基」なる用語は、C2−6アシル基とアミノ基とから構成される構造を有し、好ましくは、アセチルアミノ基である。
「C2−6アシル(C1−6アルキル)アミノ基」なる用語は、C2−6アシル基、C1−6アルキル及びアミノ基とから構成される構造を有する。
【0046】
「ジC1−6アルキルアミノカルボニル基」なる用語は、ジC1−6アルキルアミノ基とカルボニル基とから構成される構造を有する。
「C1−6ヒドロキシアルキル基」なる用語は、少なくとも1個の水酸基で置換されているC1−6アルキル基を意味する。例は、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシペンチル基及び2−ヒドロキシ−2−メチルブチル基を包含する。
【0047】
「RとRがそれらが付着する窒素原子と一緒になって形成する3〜12員ヘテロシクロアルキル基又は5〜13員ヘテロアリール基であって、それらの各々が、O、N、NR11、S、SO及びCOから選ばれる1若しくは2個の環構成原子を含有しうる3〜12員ヘテロシクロアルキル基又は5〜13員ヘテロアリール基」なる用語は、上記で定義したとおりの3〜12員ヘテロシクロアルキル基又は5〜13員ヘテロアリール基を意味する。
【0048】
「製薬学的に許容される塩」なる用語は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルキルアンモニウムの塩、又は無機酸若しくは有機酸の塩を意味する。その例は、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、アルミニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、ぎ酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、エチルコハク酸塩、ラクトビオン酸塩、グルコン酸塩、グルコヘプトン酸塩、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、アジピン酸塩、システインとの塩、N−アセチルシステインとの塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、ヨウ化水素酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、ピクリン酸塩、チオシアン酸塩、ウンデカン酸塩、アクリレート・ポリマーとの塩、及びカルボキシビニルポリマーとの塩を包含することができる。
【0049】
「水和物」なる用語は、本発明化合物又はその塩の製薬学的に許容される水和物を意味する。本発明化合物又はその塩は、大気に暴露される又は再結晶する場合に水分を吸収し、その結果、本発明化合物又はその塩は、場合によっては、吸湿水を有するか又は水和物となる。このような水和物は、本発明の該水和物に包含されうる。
【0050】
本発明化合物及びその中間体の一部は、キラル中心を有するので、ジアステレオマー又はエナンチオマーの形態で存在することができる。さらに、本発明化合物及びその中間体の一部は、ケト−エノール互変異性体として存在することができる。その上、本発明化合物及びその中間体の一部は、幾何異性体(E、Z体)として存在することができる。したがって、上記異性体及びそれらの混合物は、全て、本発明化合物及びその中間体に包含される。
【0051】
特に、式(I)で示される化合物において、グルコース部分の4位における水酸基の立体配置は、R体、S体のいずれかであり、これらは破線で表示される。
本発明化合物の好ましい例を以下に挙げる。
【0052】
式(I)において、RとRの好ましい置換位置は、式(II)に示すような位置である。
は、好ましくは、水素原子、水酸基、C1−4アルキル基及びC1−4アルコキシ基であり、より好ましくは、水酸基及びC1−4アルコキシ基であり、さらに好ましくは、水酸基及びメトキシ基である。
【0053】
は、好ましくは、水酸基、C1−6アルキル基及びハロゲン原子であり、より好ましくは、C1−4アルキル基及びハロゲン原子であり、さらに好ましくは、メチル基及び塩素原子である。
【0054】
式(I)又は(II)において、Rは、好ましくは、水素原子、C1−4アルキル基及びハロゲン原子であり、より好ましくは、水素原子、メチル基及びフッ素原子であり、最も好ましくは水素原子である。Rが水素原子以外である場合に、好ましい置換位置は、式(I)又は(II)においてベンジル部分に対してオルト位である。
【0055】
式(I)又は(II)において、Yは、好ましくは、C1−4アルキレン基、−O−(CH−又はC2−4アルケニレン基であり、より好ましくは、C1−3アルキレン基又は−O−(CH−であり、さらに好ましくは、C1−3アルキレン基である。Zが−NHCON(R)Rである場合に、Yは最も好ましくは−(CH−である。
【0056】
式(I)又は(II)において、Zが−NHCON(R)Rである場合に、R及びRは、好ましくは、下記(i)〜(v)の実施態様である。
(i)Rは水素原子であり、RはA群から選ばれる1、2、又は3個の置換基で置換されても良いC1−6アルキル基である。
【0057】
この場合、A群は、ハロゲン原子、水酸基、C1−6アルコキシ基(これは、水酸基(単数又は複数)で置換されて良い)、C2−6アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、ジC1−6アルキルアミノ基、C2−6アシルアミノ基、C1−6アルキルチオ基(これは、水酸基(単数又は複数)で置換されて良い)、フェノキシ基、フリル基、チエニル基、ベンゾチエニル基、2,3−ジヒドロ−ベンゾフラニル基、フェニル基[これは、B群から選ばれる1〜3個の置換基で置換されて良い、B群は、水酸基、ハロゲン原子、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキル基(これは、水酸基(単数又は複数)で置換されて良い)、C1−6アルキルチオ基、フェニルチオ基(これは、水酸基(単数又は複数)若しくはC1−6ヒドロキシアルキル基(単数又は複数)で置換されて良い)、及びピペリジノ基(これは、水酸基(単数又は複数)若しくはC1−6ヒドロキシアルキル基(単数又は複数)で置換されて良い)から成る]、C3−12シクロアルキル基(これは、水酸基及びC1−6ヒドロキシアルキル基から成る群から選ばれる1〜3個の置換基で置換されて良い)、3〜12員ヘテロシクロアルキル基[これは、O、N、S及びNR10(R10は、水素原子、C1−6アルキル基、フェニル−C1−6アルキル基又はC2−6アルコキシカルボニル基である)から成る群から選ばれる1〜3個の環構成原子(単数又は複数)を含有し、水酸基及びC1−6ヒドロキシアルキル基から成る群から選ばれる1〜3個の置換基で置換されて良い]、並びに4−C1−6アルキルピペラジン−1−イルカルボニル基から成る。
【0058】
A群のさらに好ましい例は、水酸基、メトキシ基、エトキシ基、C3−6シクロアルキル基(シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基)(これらは、水酸基及びC1−6ヒドロキシアルキル基から成る群から選ばれる1〜3個の置換基で置換されて良い)、メトキシカルボニル基、カルバモイル基、ジメチルアミノ基、アセチルアミノ基、メチルチオ基、フェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、4−メチルチオフェニル基、3−メトキシフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、フェノキシ基、2−(ヒドロキシメチルフェニルチオ)フェニル基、チエニル基、フリル基、ベンゾチエニル基、2,3−ジヒドロ−ベンゾフラニル基、4−メチルピペラジン−1−イルカルボニル基、1−ピロリジニル基、1,3−ジオキサン−2−イル基、2−オキサニル基(2-oxyanyl group)及びピペリジノ基を包含する。
(ii)Rは水素原子であり、RはC3−12シクロアルキル基(これは、水酸基及びC1−6ヒドロキシアルキル基から選ばれる1、2若しくは3個の置換基で置換されて良い)である。
【0059】
この場合のC3−12シクロアルキル基は、好ましくは、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル、シクロオクチル基、アダマンチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、ビシクロ[2.2.2]ヘプチル基であり、より好ましくは、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、又はアダマンチル基である。
(iii)Rは水素原子であり、Rは“3〜12員ヘテロシクロアルキル基又は部分的に飽和されていて良い5〜13員ヘテロアリール基[これらの各々は、O、N、S及びNR10(R10は、水素原子、C1−6アルキル基、フェニル−C1−6アルキル基又はC2−6アルコキシカルボニル基である)から成る群から選ばれる1〜3個の環構成原子(単数又は複数)を含有する]”であり、好ましくは、ピロリジニル基、ピペリジル基及びキヌクリジニル基であり、より好ましくは、ピロリジニル基、4−ピペリジル基(この場合、窒素原子が、フェニルC1−6アルキル基又はC2−6アルコキシカルボニル基で置換される)、さらに好ましくは、3−(1−ベンジル)ピロリジニル基、4−(1−ベンジル)ピペリジル基、又は4−(1−エトキシカルボニル)ピペリジル基である。
(iv)Rは水素原子であり、Rは6〜13員アリール基[これは、水酸基と、各々が水酸基(単数又は複数)で置換されても良いC1−6アルキル基、フェニルC1−6アルキル基及びC1−6アルキルスルホニル基とから選ばれる1若しくは2個の置換基(単数又は複数)で置換されて良い]、又は部分的に飽和されている6〜13員アリール基(これは、1若しくは2個の水酸基(単数又は複数)で置換されて良い)である。この場合、“6〜13員アリール基”は、フェニル基又はナフチル基を包含し、“部分的に飽和されている6〜13員アリール基”は、フルオレニル基、1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフチル基、又はインダニル基を包含する。これらのなかで、好ましいRは、フェニルC1−6アルキル基で置換されたフェニル基、或いは各々が1若しくは2個の水酸基(単数又は複数)で置換されても良い、フルオレニル基、1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフチル基又はインダニル基である。
【0060】
(v)他の好ましい例として、RとRは、それらが付着する窒素原子と共に、3〜12員ヘテロシクロアルキル基[これは、O、N、S及びNR11(R11は、ジC1−6アルキルアミノ基で置換されて良いC1−6アルキル基である)から選ばれる1若しくは2個の環構成原子を含有することができ、そしてピロリジニル基及びC1−6アルキル基(これは、水酸基とピロリジン−1−イル基から成る群から選ばれる置換基で置換されて良い)から選ばれる1若しくは2個の置換基で置換されることができる]を形成する。
【0061】
(v)の実施態様の例は、ピペリジノ基、4−メチルピペリジノ基、2−デカヒドロイソキノリニル基、チオモルホリノ基、4−[2−(ピロリジン−1−イル)エチル]ピペリジノ基、4−(ピロリジン−1−イル)ピペリジノ基、3−デカヒドロキノリニル基、4−[2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル]ピペラジン−1−イル基、及び3−ヒドロキシメチルピペリジノ基を包含する。
【0062】
式(I)又は(II)において、Zが−CONHRである場合に、Rは、好ましくは、水酸基及びカルバモイル基から成る群から選ばれる1〜3個の置換基で置換されたC1−6アルキル基である。

以下に、本発明化合物(I)の製造方法を説明する。
【0063】
製造法1
本発明化合物(I)において、YがC2−6アルキレン基又はC2−6アルケニレン基であり、Zが−CONHRである化合物は以下の方法で合成することができる。
【0064】
【化10】

【0065】
但し、式中、R11、R12は、同一または異なって、水素原子、ベンジルオキシ基、メトキシメトキシ基、(C1−6アルキル)SiO−、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基又はハロゲン原子、Yは単結合又はC1−4アルキレン基を示し、その他の記号は前記と同義である。
(1)工程1(Heck反応)
化合物(IA)とオレフィン酢酸(IB)をパラジウム触媒とホスフィンリガンド、及び適当な塩基の存在下、Heck反応を行うことにより化合物(IC)を合成することができる。このとき用いるパラジウム触媒としては、酢酸パラジウム、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム、ジベンジリデンアセトンパラジウム、ビストリフェニルホスフィンパラジウムクロリド、パラジウム活性炭等が挙げられる。ホスフィンリガンドとしてはトリフェニルホスフィンやトリス(2−メチルフェニル)ホスフィン等が挙げられる。また、塩基にはトリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸セシウム、カリウムt−ブトキシド等が用いられる。反応に用いられる溶媒としては、アセトニトリル、トルエン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。反応温度は0℃から還流温度であるが、マイクロウェ−ブを用いることもある。
(2)工程2(アミド基への変換)
化合物(IC)をアミン(RNH)にて脱水縮合し、化合物(ID)が得られる。この反応に使用する溶媒としては、クロロホルム、ジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド等が好ましく、脱水縮合剤としては、N,N´−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N−エチル−N´−3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド塩酸塩(WSC)、1、1´−カルボニルジイミダゾ−ル(CDI)、WSC/1−ヒドロキシベンゾトリアゾ−ル1水和物等が好ましい。ここでの反応温度は0℃〜60℃である。
(3)工程3(還元、脱保護)
上記で得られた化合物(ID)をパラジウム活性炭、水酸化パラジウム、又は白金−パラジウム活性炭等の触媒を用いて水素雰囲気下にて接触水素添加することにより、オレフィンの還元と脱ベンジル化を同時に行い、発明化合物(I)を得ることができる。中でもパラジウム活性炭、水酸化パラジウムが触媒として好ましい。この反応に使用する溶媒としては、メタノ−ル、エタノ−ル、2−プロパノール、酢酸エチル、酢酸、およびこれらの混合溶媒が挙げられる。反応温度は室温から還流温度であるが、室温が好ましい。
【0066】
また、脱ベンジル化においてはまたは、BF・EtO、BCl、BCl・MeS、BBr、AlCl、CFCOOH、TfOH等のルイス酸を用いることもできる。この反応に使用する溶媒としては、クロロホルム、ジクロロメタン、アセトニトリル、ジエチルエ−テル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルフィド、アニソ−ル等が挙げられる。中でも、CFCOOH、TfOH、エタンジチオ−ルをジメチルスルフィド中で用いる方法が好ましい。反応温度は−78℃〜40℃がよい。

製造法2
本発明化合物(I)において、YがC2−6アルキレン基又はC2−6アルケニレン基であり、Zが−NHC(=NH)NH、又は、−NHCON(R)R、である化合物は以下の方法で合成できる。ただし、式中、Zは、ベンジルオキシカルボニル基で保護されたグアニジノ基、または−NHCON(R)Rを示す。その他の記号は前記と同義である。
【0067】
【化11】

【0068】
(4)工程4(Heck反応)
化合物(IA)とアリルアミン(IE)を上記工程1に記載したHeck反応によって、化合物(IF)へ導くことができる。
(5)工程5(還元、脱保護)
上記で得られた化合物(IF)を工程3に記載した接触水素添加又はルイス酸による脱保護を行うことによって、Zがグアニジノ基又はウレイド基である本発明化合物(I)を得ることができる。

製造法3
本発明化合物(I)において、Yが単結合またはC1−6アルキレン基であり、Zが−NHCON(R)R、である化合物は以下の方法でも合成できる。
ただし、式中、R13、R14は、同一または異なって、水素原子、ベンジルオキシ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基又はハロゲン原子、Pはメトキシメチル基、テトラヒドロピラニル基又は(C1−6アルキル)Si−を示す。その他の記号は前記と同義である。中間体(IIB)またはYが単結合またはC1−6アルキレン基である中間体(IIF)は、下記の工程34〜36を用いて製造することもできる。
【0069】
【化12】

【0070】
(6)工程6
中間体化合物(IIA)(国際公開第WO06/073197号パンフレットに準じて製造することができる。)をn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム等の有機金属試薬を用いてアリ−ルリチウム試薬を調製することができる。これを、δ−ラクトン(X)と縮合することで化合物(IIB)を得ることができる。このとき反応に用いられる溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエ−テル、トルエン等が挙げられる。反応温度は−80℃から室温であり、好ましくは−78℃〜−25℃である。

(7)工程7(水酸基の還元)
化合物(IIB)とEtSiH、i−PrSiH、t−BuMeSiH又はPhSiHClを、ルイス酸の存在下で反応させ、水酸基を還元することができる。この反応に使用するルイス酸としては、BF・EtO、CFCOOH、InCl、TiCl、TMSOTf、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等が挙げられ、溶媒としては、クロロホルム、ジクロロメタン、トルエン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル又はそれらの混合溶媒が挙げられ、好ましいのはアセトニトリル/クロロホルム、アセトニトリル/ジクロロメタン、アセトニトリル/テトラヒドロフラン、アセトニトリル/テトラヒドロフラン/トルエン、等のアセトニトリルとの混合溶媒である。ここでの反応温度は−60℃〜25℃、好ましくは−30℃〜25℃である。
【0071】
また、上記の反応において、反応温度によっては保護基Pが外れるため、Pが除去された化合物(IIC)を得る場合もある。
(8)工程8(加水分解)
上記工程7に引き続いて、保護基Pを塩酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸1水和物、ピリジニウムp−トルエンスルホン酸、フッ化水素ピリジン、n−BuNF等を用いて除去することができる。この反応に用いる溶媒としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、クロロホルム、ジクロロメタン、トルエン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジイソプロピルエーテル、水又はそれらの混合溶媒が挙げられる。Pがメトキシメチル基であるときの好ましい酸は塩酸である。また溶媒は、メタノール、ジイソプロピルエーテル、トルエン、テトラヒドロフランであり、より好ましくは、メタノール/トルエン、メタノール/ジイソプロピルエーテル、メタノール/トルエン/ジイソプロピルエーテル等のメタノールとの混合溶媒が好ましい。ここでの反応温度は溶媒や用いる酸によって異なるが、0℃〜100℃、好ましくは0℃〜80℃である。
(9)工程9(置換反応)
化合物(IIC)(YがC1−6アルキレン基である)及び試薬(IID)をアゾ試薬及びホスフィン類を用いる光延反応条件(Org. Reactions, 第42巻, 第335頁)により縮合して、化合物(IIE)を得ることができる。
【0072】
光延反応に用いるホスフィン類としてトリフェニルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリ−t−ブチルホスフィン、トリトリルホスフィンやジフェニル−2−ピリジルホスフィン等を用いることができる。中でもトリフェニルホスフィン、ジフェニル−2−ピリジルホスフィンが好ましく、トリフェニルホスフィンがより好ましい。アゾ試薬としてジエチルアゾジカルボキシレート、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート、ジ−tert−ブチルアゾジカルボキシレート、1,1’−アゾビス(N,N−ジメチルホルムアミド)や1,1’−(アゾジカルボニル)ジピペリジン等を用いることができる。中でも、ジエチルアゾジカルボキシレート、ジイソプロピルアゾジカルボキシレートが好ましい。溶媒はテトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、塩化メチレン、クロロホルム、アセトニトリル、酢酸エチル、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド等であり、好ましくはテトラヒドロフラン、トルエンである。反応温度は−20℃から室温が好ましい。
(10)工程10(脱フタルイミド)
化合物(IIE)とヒドラジン水和物やメチルヒドラジンを適当な溶媒中反応させることで、アミン(IIF)を得ることができる。ここで用いる好ましい溶媒としては、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、水、およびこれらの混合溶媒があげられる。反応温度は室温〜100℃であり、好ましくは室温〜60℃である。
【0073】
また、得られたアミン(IIF)を上記に記載の鉱酸又は有機酸と塩を形成させることで、精製することもできる。ここで精製に好ましい塩は、塩酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩であり、より好ましくはベンゼンスルホン酸塩である。
(11)工程11(ウレア形成)
化合物(IIF)をカルボニル化試薬とNH(R)Rを用いて化合物(IIG)を合成することができる。ここで用いるカルボニル化試薬としては、1,1′−カルボニルジイミダゾール、p−ニトロフェニルクロロフォルメート、トリホスゲン等である。この反応には、トリエチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン等の塩基を用いることが好ましい。ここで用いる溶媒としては、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等であり、これらの混合溶媒を用いても良い。好ましい混合溶媒は、クロロホルム/N,N−ジメチルホルムアミド、クロロホルム/ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン/N,N−ジメチルホルムアミドである。また、反応温度としては室温〜80℃であり、反応の進行が遅い場合、温度を上げる事ができる。
(12)工程12(脱保護)
上記で得られた化合物(IIG)を工程3に記載した接触水素添加又はルイス酸による脱保護を行うことによって、Zがウレイド基である本発明化合物(I)を得ることができる。

製造法4
Zがウレイド基である本発明化合物(I)は、糖部分の水酸基をアセチル基等のアシル基で保護してから合成することもできる。
【0074】
【化13】

【0075】
(13)工程13(アミノ基の保護)
化合物(IIF)中のアミノ基を接触水素添加に耐性の保護基、例えば、tert−ブチルカーボネート(Boc)、9−フルオレニルメチルカーボネート(Fmoc)等で保護する。化合物(IIF)と(Boc)OやFmoc−Clをクロロホルム、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の溶媒中、適当な塩基存在下反応させ化合物(IIJ)を得ることができる。塩基としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、ピリジン、トリエチルアミン等が好ましい。
(14)工程14(脱ベンジル化)
上記で得られた化合物(IIJ)を工程3に記載した接触水素添加による脱保護を行うことによって、化合物(IIK)を得ることができる。
(15)工程15(アシル化)
化合物(IIK)中の水酸基をアセチル基等のアシル基で保護することにより、化合物(IIL)を得ることができる。化合物(IIK)と、無水酢酸、ピバロイルクロリド、ベンゾイルクロリド等を溶媒中、適当な塩基存在下反応させ化合物(IIL)を得ることができる。反応に用いる溶媒としては、クロロホルム、ジクロロメタン、ジオキサン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド等である。塩基としてはトリエチルアミン、コリジン、ピリジン等が好ましい。触媒として4−ジメチルアミノピリジンを用いることもできる。また、好ましい反応温度は0℃〜室温である。
(16)工程16(脱保護)
化合物(IIL)中、アミノ基の保護基を除去し化合物(IIM)を得ることができる。Boc基の場合は、化合物(IIL)をジクロロメタン、クロロホルム、ジオキサン等の溶媒中または無溶媒で塩酸またはトリフルオロ酢酸を作用させる。Fmoc基の場合は、化合物(IIL)をN,N−ジメチルホルムアミド中、ピペリジンまたはモルホリンを作用させることが好ましい。
(17)工程17(ウレア形成)
上記工程11と全く同様な方法で化合物(IIM)から(IIN)を合成することができる。
(18)工程18(脱保護)
化合物(IIN)中のアシル基を塩基性条件下除去することで化合物(I)を得ることができる。塩基としては、ナトリウムメトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、トリエチルアミン等があげられる。溶媒としては、メタノール、エタノール、含水メタノール等が好ましい。

製造法5
本発明化合物(I)において、Yが−O−(CH)n−であり、Zが−NHCON(R)R、である化合物は以下の方法で合成できる。
ただし、式中、YはC2−4アルキレン基を示し、その他の記号は前記と同義である。
【0076】
【化14】

【0077】
(19)工程19
化合物(IIO)(国際公開第WO06/073197号パンフレットに準じて製造することができる。)と化合物(X)から製造法3、工程6と同様な方法で化合物(IIP)を合成することができる。
(20−21)工程20および工程21
化合物(IIP)の水酸基の還元と保護基Pの除去を、製造法3、工程7および工程8と同様な方法で行うことにより、化合物(IIQ)を合成することができる。

(22)工程22
化合物(IIQ)と試薬(IIR)を塩基性条件下、反応させ化合物(IIS)を得ることができる。この反応に使用する好ましい塩基の例としては炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、ピリジン、トリエチルアミン等があげられる。溶媒としては、ジオキサン、アセトニトリル、トルエン、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド等があげられる。また、反応温度は20〜100℃が好ましい。

(23)工程23
化合物(IIS)から製造法3、工程10と同様な方法でフタルイミド基を除去し、化合物(IIT)を合成することができる。

(24)工程24
化合物(IIT)から製造法3、工程11と同様な方法で化合物(IIU)を合成することができる。

(25)工程25
化合物(IIU)から製造法3、工程12と同様な方法で脱保護し、Yが−O−(CH)n−である、本発明化合物(I)を合成することができる。

製造法6
本発明化合物(I)において、Yが−O−(CH)n−であり、Zが−CONHRである、化合物は以下の方法で合成できる。
ただし、式中、YはC1−4アルキレン基を示し、Lはハロゲン原子、MeSO2O-等の脱離基を示し、その他の記号は前記と同義である。
【0078】
【化15】

【0079】
(26)工程26
化合物(IIQ)を適当な塩基の存在下で、化合物(IIV)と反応させることにより化合物(IIW)を得ることができる。ここで用いられる好ましい塩基の例としては水素化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、n−ブチルリチウムがあげられ、この反応に使用する溶媒の好ましい例としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、DMSOがあげられる。ここでこの反応の温度は0℃〜60℃である。

(27)工程27
化合物(IIW)から製造法3、工程12と同様な方法で脱保護し、Yが−O−(CH)n−、Zが−CONHR、である、本発明化合物(I)を合成することができる。
【0080】

製造法7
本発明化合物(I)において、Zが例えば、2,4−ジオキソイミダゾリジニル基の様なヘテロシクロアルキル基は以下の方法によって製造できる。
ただし、式中、Rは水酸基、C1−4アルコキシ基またはフェニル基を示し、その他の記号は前記と同義である。
【0081】
【化16】

【0082】
(28)工程28
製造法4の工程17に記載の方法で、RANHとして、例えば、2−アミノアセトフェノンや、アミノ酸の様なα位にカルボニル基を有するアミン用いて化合物(IIM)と縮合することにより、化合物(IIX)を合成することができる。

(29)工程29(塩基性条件での脱保護)
化合物(IIX)を、アセチル基の脱保護を行うと同時に、化合物(IIX)中の側鎖が分子内環化し、Zが上記のヘテロシクロアルキル基である本発明化合物(1)を製造することができる。このときに用いる塩基としてはナトリウムメトキシドが好ましく、溶媒はメタノールまたはエタノールが良い。

製造法8
本発明化合物(I)において、Yが単結合、メチレン基又は−O−(CH)n−であり、Zが−NHC(=NH)NHである化合物は以下の方法で合成できる。

【0083】
【化17】

【0084】
(30)工程30(グアニジノ基の導入)
工程38または工程23で合成された化合物(IIF)または(IIT)に対し試薬(IIA1)を作用させて化合物(IIA2)に誘導することができる。この反応に使用する好ましい溶媒としては、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、トルエン等が挙げられる。反応温度は室温から還流温度である。

(31)工程31
化合物(IIA2)から製造法3、工程12と同様な方法で脱保護し、Yが単結合、メチレン基又は−O−(CH)n−、Zが−NHC(=NH)NHである、本発明化合物(I)を合成することができる

以下に化合物(I)を製造するための中間体の製造方法を示す。
【0085】
中間体(IA)の製造法
本発明化合物(I)の製造に必要な中間体(IA)の製造法を以下に示す。ただし、DはLi又はMgBrを示す。その他の記号は前記と同義である。
【0086】
【化18】

【0087】
(32)工程32
中間体化合物(IIIA)(国際公開第WO06/073197号パンフレットに準じて製造することができる。)をn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム等の有機金属試薬を用いてアリ−ルリチウム試薬を調製することができる。これを、δ−ラクトン(X)と縮合することで化合物(IIIB)を得ることができる。このとき反応に用いられる溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエ−テル、トルエン等が挙げられる。反応温度は−80℃から室温であり、好ましくは−78℃〜−25℃である。
(33)工程33(酸加水分解)
化合物(IIIB)中のアセタ−ル基を、塩酸、p−トルエンスルホン酸1水和物等を用いて加水分解することで、化合物(IIIC)を製造することができる。このとき用いられる好ましい溶媒としては、テトラヒドロフラン、エタノ−ル、メタノ−ル、水又はこれらの混合溶媒があげられる。反応温度は4℃から室温であり、室温が好ましい。また、反応時間は反応温度により異なるが、1時間〜24時間である。
(34)工程34
化合物(IIID)から、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム等1当量を用いてモノリチウム試薬化合物(IIIE)を製造することができる。反応に用いられる溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエ−テル、トルエン等が挙げられる。反応温度は−80℃から室温であり、好ましくは−78℃〜−25℃である。反応時間は5分から30分が好ましい。また、1当量の金属マグネシウムを用いてGrignard試薬(IIIE)を製造することもできる。反応に用いられる溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエ−テル、ジグリム等が挙げられる。次に、試薬(IIIE)を中間体化合物(IIIC)に加えることで、化合物(IIIF)を製造することができる。反応温度は−80℃から室温であり、好ましくは−78℃〜−25℃である。
(35)工程35(水酸基の還元)
上記工程7と同様な方法で化合物(IIIF)から(IA)を合成することができる。

中間体(IIB)または(IIF)の製造法
上記記載の、中間体(IIB)または(IIF)は以下に示す別ルートによって合成することができる。
【0088】
【化19】

【0089】
(36)工程36
上記工程34と同様な方法で化合物(IVA)または(IVB)から化合物(IVC)または(IVD)を合成することができる。
(37)工程37(水酸基の還元)
上記工程7と同様な方法で化合物(IVC)から中間体(IIB)を合成することができる。また、化合物(IVD)から中間体(IVE)を合成することができる。
(38)工程38
化合物(IVE)をクロロホルムまたはジクロロメタン中、塩酸またはトリフルオロ酢酸で処理することで、アミノ基の保護基トリチル(Tr)を除去し、中間体(IIF)を合成することができる。この時の反応温度は0℃〜室温が好ましい。
【0090】
本発明化合物は、消化管からのグルコ−ス吸収抑制と尿糖排泄作用に各々関与する、SGLT1及びSGLT2双方の活性を阻害する。SGLT1阻害により、本発明化合物は、糖尿病を治療し、IGTを改善することにより、糖尿病の進行を防止することができる。SGLT2阻害により、本発明化合物は、糖再吸収を抑制し、身体から過剰な糖を取り除き、これにより、糖尿病を治療することができる。したがって、本発明化合物は、グルコース毒性による膵臓β細胞の消耗なく、高血糖を治し、インスリン耐性を改善することができる。
【0091】
したがって、本発明化合物は、SGLT1阻害剤及びSGLT2阻害剤として使用することができる。本発明は、SGLT1及びSGLT2活性の阻害により緩和することができる疾患又は状態、例えば、糖尿病、糖尿病関連疾患及び糖尿病合併症を予防又は治療するための医薬を提供する。
【0092】
ここで、「糖尿病」には、1型糖尿病、2型糖尿病の他、特定の原因によるその他の型の糖尿病が含まれる。
ここで、「糖尿病関連疾患」とは、肥満、高インスリン血症、糖代謝異常、高脂質血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、脂質代謝異常、高血圧、うっ血性心不全、浮腫、高尿酸血症、痛風などが挙げられる。
【0093】
ここで、「糖尿病合併症」は、急性合併症及び慢性合併症に分類される。
「急性合併症」には、高血糖(ケトアシドーシスなど)、感染症(皮膚、軟部組織、胆道系、呼吸系、尿路感染など)などが挙げられる。
【0094】
「慢性合併症」には、細小血管症(腎症、網膜症)、動脈硬化症(アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、脳梗塞、下肢動脈閉塞など)、神経障害(感覚神経、運動神経、自律神経など)、足壊疽などが挙げられる。
【0095】
主要な合併症は、糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害である。
本発明化合物は、SGLT1及びSGLT2活性阻害薬以外のことなった作用機序の医薬、例えば、糖尿病治療剤、糖尿病性合併症治療剤、抗高脂血症剤、降圧剤、抗肥満剤、利尿剤、抗血栓剤などの薬剤( 以下、併用薬剤と略記する)と組み合わせて用いることができる。他の医薬と組み合わせる場合、本発明化合物の作用の増強または該化合物の投与量を低減することが期待できる。この際、本発明化合物と併用薬剤の投与時期は限定されず、これらを投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。さらに、本発明化合物と併用薬剤とは、それぞれの活性成分を含む2種類の製剤として投与されてもよいし、両方の活性成分を含む単一の製剤として投与されてもよい。併用薬剤の投与量は、臨床上用いられている用量を基準として適宜選択することができる。また、本発明化合物と併用薬剤の配合比は、投与対象、投与ルート、対象疾患、症状、組み合わせなどにより適宜選択することができる。例えば、投与対象がヒトである場合、本発明化合物1質量部に対し、併用薬剤を0.01〜100質量部用いればよい。
【0096】
なお、糖尿病治療剤としては、例えばインスリン製剤(例、ウシ、ブタの膵臓から抽出された動物インスリン製剤;大腸菌またはイーストを用い、遺伝子工学的に合成したヒトインスリン製剤;インスリン亜鉛; プロタミンインスリン亜鉛; インスリンのフラグメントまたは誘導体(例、INS−1等)、経口インスリン製剤)、インスリン抵抗性改善剤(例、ピオグリタゾンまたはその塩(好ましくは塩酸塩)、ロシグリタゾンまたはその塩(好ましくはマレイン酸塩) 、リボグリタゾン(Rivoglitazone) (CS−011)(R−119702)、シポグリタザール(Sipoglitazar)(TAK−654)、メタグリダセン(Metaglidasen)(M B X−1 0 2)、ナベグリタザール(Naveglitazar)(L Y−5 1 9 8 1 8)、MX−6054、バラグリタゾン(Balaglitazone) (NN−2344)、T - 1 3 1(AMG131)、P P A Rγ アゴニスト、P P A Rγアンタゴニスト、P P A Rγ/αデュアルアゴニスト、α−グルコシダーゼ阻害剤(例、ボグリボース、アカルボース、ミグリトール、エミグリテート)、ビグアナイド剤(例、フェンホルミン、メトホルミン、ブホルミンまたはそれらの塩(例、塩酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩))、インスリン分泌促進剤(スルホニルウレア剤(例、トルブタミド、グリベンクラミド、グリクラジド、クロルプロパミド、トラザミド、アセトヘキサミド、グリクロピラミド、グリメピリド、グリピザイド、グリブゾール等)、レパグリニド、セナグリニド、ナテグリニド、ミチグリニドまたはそのカルシウム塩水和物)、GPR40アゴニスト、GPR40アンタゴニスト、GLP−1受容体アゴニスト(例、GLP−1、GLP−1MR剤、リラグルチド(Liraglutide)(NN−2211)、Exenatide(AC−2993) (exendin−4)、Exenatide LAR、BIM-51077、A i b (8,35) hGLP−1(7,37) NH2、CJC-1 1 3 1、AVE0010、GSK-716155)、アミリンアゴニスト(例、プラムリンチド) 、フォスフォチロシンフォスファターゼ阻害剤(例、バナジン酸ナトリウム) 、ジペプチジルペプチダーゼIV 阻害剤( 例、WO02/038541に記載の化合物、NVP−DPP−278、PT−100、P32/98、ビルダグリプチン(Vildagliptin)(LAF−237)、P93/01、シタグリプチン(Sitagliptin)(MK−431)、サクサグリプチン(Saxagliptin)(BMS−477118)、SYR−322、MP−513、T−6666、GRC−8200等)、β3アゴニスト(例、AJ−9677、AZ40140等) 、糖新生阻害剤(例、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、グルコース−6−ホスファターゼ阻害剤、グルカゴン拮抗剤、フルクトース−1, 6−ビスホスファターゼ阻害剤)、SGLT (sodium−glucose cotransporter) 阻害剤(例、WO04/014931、WO04/089967、WO06/073197に記載の化合物、T−1095、Sergliflozin(GSK−869682)、GSK−189075、KGT−1251、KGT−1681、KGA−2727、BMS−512148、AVE2268、SAR7226等)、1 1β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ阻害薬(例、WO06051662に記載の化合物、BVT-3498、INCB13739)、GPR119アゴニスト(例、PSN−632408、APD−668)、アディポネクチンまたはその作動薬、I K K阻害薬(例、A S−2868)、AMPK活性化薬、レプチン抵抗性改善薬、ソマトスタチン受容体作動薬、グルコキナーゼ活性化薬(例、Ro−28−1675)、膵リパーゼ阻害薬(例、オルリスタット、ATL- 9 6 2)、DGAT−1阻害薬が挙げられる。
【0097】
糖尿病性合併症治療剤としては、例えばアルドース還元酵素阻害剤(例、トルレスタット、エパルレスタット、ゼナレスタット、ゾポルレスタット、ミナルレスタット、フィダレスタット、CT−112)、神経栄養因子およびその増加薬(例、NGF、NT−3、BDNF、ニューロトロフィン産生・分泌促進剤)、神経再生促進薬(例、Y−128)、PKC阻害剤(例、ルボキシスタウリンメシレート(ruboxistaurin mesylate; LY−333531))、AGE阻害剤(例、ALT946、ピマゲジン、ピラトキサチン、N−フェナシルチアゾリウムブロマイド(ALT766)、ALT−711、EXO- 2 2 6、ピリドリン(Pyridorin)、ピリドキサミン)、活性酸素消去薬(例、チオクト酸)、脳血管拡張剤(例、チアプリド、メキシレチン)、ソマトスタチン受容体作動薬(例、B I M 2 3 1 9 0)、アポトーシスシグナルレギュレーティングキナーゼ−1(ASK−1) 阻害薬が挙げられる。
【0098】
抗高脂血症剤としては、例えばスタチン系化合物(例、プラバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、イタバスタチン、ロスバスタチン、ピタバスタチンまたはそれらの塩( 例、ナトリウム塩、カルシウム塩)) 、スクアレン合成酵素阻害剤( 例、TAK−475)、フィブラート系化合物(例、ベザフィブラート、クロフィブラート、シムフィブラート、クリノフィブラート)、ACAT阻害剤(例、アバシマイブ(Avasimibe)、エフルシマイブ(Eflucimibe))、陰イオン交換樹脂(例、コレスチラミン)、プロブコール、ニコチン酸系薬剤(例、ニコモール(nicomol)、ニセリトロール(niceritrol))、イコサペント酸エチル、植物ステロール(例、ソイステロール(soysterol)、ガンマオリザノール(γ−oryzanol))、CETP阻害薬(例、Torcetrapib、JTT−705、JTT-302、FM-VP4等)、コレステロール吸収抑制薬(例、エゼチミブ(Ezetimibe)等)が上げられる。
【0099】
降圧剤としては、例えばアンジオテンシン変換酵素阻害剤(例、カプトプリル、エナラプリル、デラプリル) 、アンジオテンシンI I拮抗剤( 例、カンデサルタン、シレキセチル、ロサルタン、エプロサルタン、バルサルタン、テルミサルタン、イルベサルタン、タソサルタン、アジルザルタン(TAK−536))、カルシウム拮抗剤(例、マニジピン、ニフェジピン、アムロジピン、エホニジピン、ニカルジピン)、カリウムチャンネル開口薬(例、レブクロマカリム、L−2 7 1 5 2、A L0 6 7 1、N I P−1 2 1)、クロニジンが挙げられる。
【0100】
抗肥満剤としては、例えば中枢性抗肥満薬(例、デキスフェンフルラミン、フェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、アンフェプラモン、デキサンフェタミン、マジンドール、フェニルプロパノールアミン、クロベンゾレックス;MCH受容体拮抗薬(例、WO06/035967に記載の化合物、SB−5 6 8 8 4 9; SNAP−7 9 4 1、T−226296);ニューロペプチドY拮抗薬(例、CP−4 2 2 9 3 5);カンナビノイド受容体拮抗薬( 例、リモナバント(Rimonabant)(SR−1 4 1 7 1 6)、SR−147778) ; グレリン拮抗薬; 1 1β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ阻害薬( 例、BVT−3 4 9 8、INCB13739))、膵リパーゼ阻害薬(例、オルリスタット、ATL- 9 6 2)、DGAT−1阻害薬、β3アゴニスト(例、AJ−9 6 7 7、AZ4 0 1 4 0)、ペプチド性食欲抑制薬(例、レプチン、CNTF( 毛様体神経栄養因子))、コレシストキニンアゴニスト(例、リンチトリプト、FPL−15849)、摂食抑制薬(例、P−57)が挙げられる。
【0101】
利尿剤としては、例えば、キサンチン誘導体( 例、サリチル酸ナトリウムテオブロミン、サリチル酸カルシウムテオブロミン)、チアジド系製剤(例、エチアジド、シクロペンチアジド、トリクロルメチアジド、ヒドロクロロチアジド、ヒドロフルメチアジド、ベンチルヒドロクロロチアジド、ペンフルチジド、ポリチアジド、メチクロチアジド)、抗アルドステロン製剤(例、スピロノラクトン、トリアムテレン)、炭酸脱水酵素阻害剤(例、アセタゾラミド)、クロルベンゼンスルホンアミド系製剤(例、クロルタリドン、メフルシド、インダパミド)、アゾセミド、イソソルビド、エタクリン酸、ピレタニド、ブメタニド、フロセミドが挙げられる。
【0102】
抗血栓剤としては、例えば、ヘパリン(例、ヘパリンナトリウム、ヘパリンカルシウム、ダルテパリンナトリウム(dalteparin sodium)、AVE−5026) 、ワルファリン(例、ワルファリンカリウムなど) 、抗トロンビン薬(例、アルガトロバン(argatroban)、キシメラガトラン(Ximelagatran)、ダビガトラン(Dabigatran)、Odiparcil、Lepirudin、bivalirudin、Desirudin、ART−123、Idraparinux、SR−123781、AZD−0837、MCC−977、TGN−255、TGN−167、RWJ−58436、LB−30870、MPC−0920、Pegmusirudin、Org-426751等)、血栓溶解薬( 例、ウロキナーゼ(urokinase)、チソキナーゼ(tisokinase)、アルテプラーゼ(alteplase)、ナテプラーゼ(nateplase)、モンテプラーゼ(monteplase)、パミテプラーゼ(pamiteplase)等)、血小板凝集抑制薬( 例、塩酸チクロピジン(ticlepidine hydrochloride)、シロスタゾール(cilostazol)、イコサペント酸エチル、ベラプロストナトリウム(beraprost sodium)、塩酸サルポグレラート(sarpogrelate hydrochloride)など)、抗Xa阻害薬(例、Fondaparinux、BAY−59−7939、DU-176b、YM-150、SR−126517、Apixaban、Razaxaban、LY−517717、MLN−102、Octaparine、Otamixaban、EMD−503982、TC−10、CS−3030、AVE−3247、GSK−813893、KFA−1982等)、血漿中カルボキシペプチターゼB(または活性型thrombin−activatable fibrinolysis inhibitor [TAFIa]としても知られている)阻害薬(例、AZD−9684、EF−6265、MN−462)などが挙げられる。
【0103】
本発明の医薬は、全身的に又は局所的に、経口又は非経口(例えば、直腸内、皮下、筋肉内、静脈内、経皮)経路で投与することができる。
医薬としての使用のために、本発明化合物を、目的に応じて、固形組成物、液体組成物及びその他の組成物から選択される所望の投与形に製剤化することができる。
【0104】
の種々の態様の製剤形態を適宜に採択することができる。本発明の製剤は、本発明化合物を、製薬学的に許容される担体(単数又は複数種類)と配合することによって調製することができる。より具体的には、本発明化合物を、一般的な賦形剤、増量剤、結合剤、崩壊剤、被覆剤、糖衣剤、pH調整剤、溶解剤又は水性若しくは非水性溶媒などと一緒にし、次に、標準的な技術を用いて、錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、粉剤、散剤、液剤、乳剤、懸濁剤、注射剤等へ製剤化することができる。
【0105】
また、本発明化合物は、例えば、α、β若しくはγ−シクロデキストリン又はメチル化シクロデキストリンと包接化合物を形成させて、製剤化することも可能である。
本発明化合物の投与量は、治療される疾患若しくは症状、体重、年齢、性別、投与経路等により異なってくるが、成人に対し、1日当たり0.1〜1000mg/kg体重であり、0.1〜200mg/kg体重が好ましく、0.1〜10mg/kg体重がより好ましい。これを1日1回から数回に分けて投与することができる。

参考例
本発明の化合物を製造するために必要な中間体の製造を以下の参考例により以下に例示する。

参考例1
2−[4−(ベンジルオキシ)−5−ブロモ−2−メチルフェニル]−1,3−ジオキソランの製造
【0106】
【化20】

【0107】
(1)1−[4−(ベンジルオキシ)−2−メチルフェニル]エタノンの製造
4’−ヒドロキシ−2’−メチルアセトフェノン(3.06g、20mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(20mL)溶液に炭酸カリウム(3.66g、26.4mmol)、ベンジルブロミド(2.7mL、22.4mmol)及びn−BuNI(0.75g、2.03mmol)を加え室温で14時間攪拌した。氷冷下、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、次いで水及び酢酸エチルを加えて有機層を分離後、有機層を20%チオ硫酸ナトリウム水溶液及びブラインで洗浄して、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を炉別後、溶媒を減圧下留去して、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(ヘキサン:酢酸エチル=8:1〜6:1)にて精製し、無色粉末として表題化合物(5.05g、quant.)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-D) δppm 2.55 (s, 3 H) 2.57 (s, 3 H) 5.11 (s, 2 H) 6.78 − 6.86 (m, 2 H) 7.30 − 7.47 (m, 5 H) 7.75 (dd, J=7.93, 1.09 Hz, 1 H).
(2)4−(ベンジルオキシ)−5−ブロモ−2−メチルベンゾイックアシドの製造
1−[4−(ベンジルオキシ)−2−メチルフェニル]エタノン(20.9g、87.1mmol)のアセトン(300mL)溶液にNaBr(9.86g、95.9mmol)の水溶液(100mL)、水(200mL)及びオキソン(登録商標、オキソン一過硫酸塩化物、アルドリッチ)(59.0g、95.9mmol)を加えて室温にて2.5時間攪拌した。氷冷下、反応液に亜硫酸ナトリウム(20g)の水溶液(50mL)を加え、次いで水及び酢酸エチルを加えて有機層を分離した。その有機層を20%亜硫酸ナトリウム水溶液及びブラインで洗浄して無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を炉別後、溶媒を減圧下留去して、1−[4−(ベンジルオキシ)−5−ブロモ−2−メチルフェニル]エタノンと1−[4−(ベンジルオキシ)−3−ブロモ−2−メチルフェニル]エタノンの混合物(27.2g)を得た。これに5%次亜塩素酸ナトリウム水溶液(300mL、255mmol)と水酸化カリウム(4.80g、85.3mmol)の水溶液(10mL)を加え、120℃にて1時間攪拌した後、室温まで冷却し析出した不溶物を炉別した。この不溶物に2M塩酸を加えて酢酸エチルで抽出後、有機層を2M塩酸及びブラインで洗浄して、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を炉別後、溶媒を減圧下留去し得られた残渣をメタノ−ルで洗浄し、無色粉末状の表題化合物(16.6g、59%、2工程)を得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO−D6) δ ppm 2.45 − 2.57 (m, 3 H) 5.28 (s, 2 H) 7.18 (s, 1 H) 7.31 − 7.54 (m, 5 H) 8.03 (s, 1 H) 12.83 (brs, 1 H).
ESI m/z = 319(M−H), 321(M+2−H).
(3)2−[4−(ベンジルオキシ)−5−ブロモ−2−メチルフェニル]−1,3−ジオキソランの製造
4−(ベンジルオキシ)−5−ブロモ−2−メチルベンゾイックアシド(16.6g、51.7mmol)のクロロホルム(80mL)懸濁液にオキザリルクロリド(5mL、56.9mmol)とN,N−ジメチルホルムアミド(6滴)を加え、室温にて1時間攪拌した後、反応液を濃縮し4−(ベンジルオキシ)−5−ブロモ−2−メチルベンゾイルクロリドを得た。次にN,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(5.55g、56.9mmol)とトリエチルアミン(15mL、103mmol)のクロロホルム(60mL)懸濁液に、氷冷下、4−(ベンジルオキシ)−5−ブロモ−2−メチルベンゾイルクロリドのクロロホルム(60mL)溶液を滴下し、室温にて1時間攪拌した。氷冷下、水及びクロロホルムを加えて有機層を分離後、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、及びブラインにて洗浄して無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を炉別後、溶媒を減圧下留去して、4−(ベンジルオキシ)−5−ブロモ−N−メトキシ−N−メチルベンズアミドを得た。4−(ベンジルオキシ)−5−ブロモ−N−メトキシ−N−メチルベンズアミドのテトラヒドロフラン(150mL)溶液に−10℃にて水酸化リチウムアルミニウム(1.96g、51.7mmol)を加え、同温にて1時間攪拌した。反応液に1M塩酸を加え、酢酸エチルを加えて有機層を分離後、有機層を1M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム、及びブラインにて洗浄して無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を炉別後、溶媒を減圧下留去して、4−(ベンジルオキシ)−5−ブロモ−2−メチルベンズアルデヒドを得た。4−(ベンジルオキシ)−5−ブロモ−2−メチルベンズアルデヒドのトルエン(120mL)溶液にエチレングリコ−ル(30mL、517mmol)とp−トルエンスルホン酸一水和物(0.50g、2.58mmol)を加えDean−Stark装置を用いて1.5時間加熱還流した。反応液に酢酸エチルを加えて有機層を分離後、有機層を水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及びブラインにて洗浄して無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を炉別後、溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)にて精製した。さらにNH型シリカゲルカラムクロマトグラフィ−(クロロホルム)にて精製し、無色粉末として表題化合物(12.8g、71%、3工程)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-D) δ ppm 2.34 (s, 3 H) 3.92 − 4.19 (m, 4 H) 5.15 (s, 2 H) 5.87 (s, 1 H) 6.74 (s, 1 H) 7.27 − 7.51 (m, 5 H) 7.72 (s, 1 H).
参考例1−2
2−[4−(ベンジルオキシ)−5−ブロモ−2−メチルフェニル]−1,3−ジオキソランの製造
4−(ベンジルオキシ)−2−メチルベンズアルデヒド(0.50g、2.21mmol)のメタノール(3.75mL)懸濁液に、氷冷下臭化水素酸ピリジニウムペルブロミド(pyridinium hydrobromide perbromide)(1.06g、3.32mmol)を加え、30分攪拌した。反応混合物を室温で2.5時間攪拌した。反応液に20%NaSO溶液、水、酢酸エチルを加えた。有機層を酢酸エチルで抽出し、その有機層に1M塩酸(20mL)を加え、5分攪拌した。この有機層を分離し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、及びブラインで洗浄して無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を炉別後、溶媒を減圧下留去し、1.03gの残渣を得た。残渣のトルエン(7.0mL)溶液にエチレングリコ−ル(1.89mL、33.9mmol)とピリジニウムp−トルエンスルホン酸(43mg、0.170mmol)を加えDean−Stark装置を用いて14時間加熱還流した。反応液を冷却後、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、及びブラインにて洗浄して無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を炉別後、溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をヘキサン/酢酸エチル(10:1)から再結晶し、表題化合物(748mg、63%)を得た。
【0108】
参考例2
(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[2−(ベンジルオキシ)−5−(4−ブロモベンジル)−4−メチルフェニル]−D−グルシト−ルの製造
【0109】
【化21】

【0110】
(1)2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−C−[2−(ベンジルオキシ)−5−(1,3−ジオキソラン−2−イル)−4−メチルフェニル]−D−グルコピラノ−スの製造
2−[4−(ベンジルオキシ)−5−ブロモ−2−メチルフェニル]−1,3−ジオキソラン(5.82g、16.6mmol)のテトラヒドロフラン(36mL)溶液に窒素雰囲気下、−78℃にて2.67Mn−ブチルリチウムへキサン溶液(6.40mL、16.6mmol)を滴下し、同温にて30分間攪拌した。次いで2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−D−グルコノ−1,5−ラクトン(8.16g、15.1mmol)のテトラヒドロフラン(18mL)溶液を滴下し、同温にて20分間攪拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出後、有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液、及びブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を炉別後、溶媒を減圧下留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(ヘキサン:酢酸エチル=3:1〜2:1)にて精製し、黄色油状化合物として表題化合物(10.7g、87%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-D) δ ppm 2.40 (s, 3 H) 3.65 − 3.86 (m, 3 H) 3.89 − 4.21 (m, 8 H) 4.45 − 4.69 (m, 4 H) 4.78 − 5.03 (m, 5 H) 5.91 (s, 1 H) 6.71 (s, 1 H) 6.97 (dd, J=7.31, 2.18 Hz, 2 H) 7.10 − 7.37 (m, 23 H) 7.81 (s, 1 H).
(2)2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−C−[2−(ベンジルオキシ)−5−ホルミル−4−メチルフェニル]−D−グルコピラノ−スの製造
2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−C−[2−(ベンジルオキシ)−5−(1,3−ジオキソラン−2−イル)−4−メチルフェニル]−D−グルコピラノ−ス(10.6g、13.0mmol)のテトラヒドロフラン(80mL)溶液に、氷冷下6M塩酸(80mL)を加え、室温にて14時間攪拌した。反応液に氷水を加え、酢酸エチルで抽出後、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及びブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を炉別後、溶媒を減圧下留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)にて精製し、黄色油状化合物として表題化合物(10.2g、quant.)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-D) δ ppm 2.66 (s, 3 H) 3.60 − 3.72 (m, 2 H) 3.74 − 3.82 (m, 1 H) 4.01 (t, J=9.09 Hz, 1 H) 4.07 − 4.20 (m, 3 H) 4.40 − 4.61 (m, 5 H) 4.71 − 5.05 (m, 5 H) 6.70 (s, 1 H) 6.87 (d, J=6.68 Hz, 2 H) 7.06 − 7.40 (m, 23 H) 8.07 (s, 1 H) 10.06 (s, 1 H).
(3)2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−C−[2−(ベンジルオキシ)−5−[(4−ブロモフェニル)(ヒドロキシ)メチル]−4−メチルフェニル]−D−グルコピラノ−スの製造
1,4−ジブロモベンゼン(6.20g、26.1mmol)のテトラヒドロフラン(80mL)溶液に窒素雰囲気下、−78℃にて2.67Mn−ブチルリチウムへキサン溶液(10.5mL、26.1mmol)を滴下し、同温にて15分間攪拌した。次いで2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−C−[2−(ベンジルオキシ)−5−ホルミル−4−メチルフェニル]−D−グルコピラノ−ス(10.0g、13.0mmol)のテトラヒドロフラン(20mL)溶液を滴下し、同温にて30分間攪拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、有機層を酢酸エチルで抽出後、有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を炉別後、溶媒を減圧下留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)にて精製した。さらにNH型シリカゲルカラムクロマトグラフィ−(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)にて精製し、黄色油状の表題化合物をジアステレオマ−混合物(5.50g、46%)として得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-D) δ ppm 2.21 (s, 3 H) 3.54 − 3.82 (m, 3 H) 3.98 − 4.23 (m, 4 H) 4.36 − 4.64 (m, 4 H) 4.75 − 5.06 (m, 5 H) 5.83− 5.86 (m, 1 H) 6.71 and 6.73 (each s, 1 H) 6.89 − 7.44 (m, 29 H) 7.67 and 7.71 (each s, 1 H).
(4)(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[2−(ベンジルオキシ)−5−(4−ブロモベンジル)−4−メチルフェニル]−D−グルシト−ルの製造
2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−C−[2−(ベンジルオキシ)−5−[(4−ブロモフェニル)(ヒドロキシ)メチル]−4−メチルフェニル]−D−グルコピラノ−ス(5.50g、5.96mmol)のアセトニトリル(60mL)溶液に、窒素雰囲気下−10℃にてEtSiH(2.90mL、17.8mmol)とBF・EtO(1.90mL、14.9mmol)を加え、同温で15分間、室温で2時間半攪拌した。氷冷下、反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出後、有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を炉別後、溶媒を減圧下留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(ヘキサン:酢酸エチル=15:1〜10:1)にて精製し、淡黄色の油状化合物として表題化合物(2.70g、51%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-D) δ ppm 2.17 (s, 3 H) 3.53 − 3.63 (m, 1 H) 3.68 − 3.91 (m, 7 H) 4.00 (d, J=11.04 Hz, 1 H) 4.39 − 4.95 (m, 8 H) 5.01 (s, 2 H) 6.75 (s, 1 H) 6.86 − 6.97 (m, 4 H) 7.10 − 7.35 (m, 24 H) 7.36 − 7.46 (m, 2 H).
参考例3
(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[2−(ベンジルオキシ)−5−[4−[(1E)−3−カルボキシプロパ−1−エン−1−イル]ベンジル]−4−メチルフェニル]−D−グルシト−ルの製造
【0111】
【化22】

【0112】
(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[2−(ベンジルオキシ)−5−(4−ブロモベンジル)−4−メチルフェニル]−D−グルシト−ル(780mg、0.876mmol)のアセトニトリル(8.8mL)溶液にビニル酢酸(184mg、2.14mmol)、酢酸パラジウム(II)(20mg、0.0890mmol)、トリ−O−トリルホスフィン(54mg、0.177mmol)、トリエチルアミン(0.64mL、4.38mmol)を加え、biotage社製マイクロウェ−ブを用いて120℃、20分間反応を行った。反応液を減圧下留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(ヘキサン:酢酸エチル=5:1、クロロホルム:メタノ−ル=40:1)にて精製し、橙黄色アモルファスとして表題化合物(681mg、87%)を得た。
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-D) δ ppm 2.17 (s, 3 H) 3.25 (d, J=5.50 Hz, 2 H) 3.53 − 3.84 (m, 6 H) 3.84 − 3.95 (m, 2 H) 4.00 (d, J=10.55 Hz, 1 H) 4.43 (d, J=10.55 Hz, 1 H) 4.50 (d, J=11.92 Hz, 1 H) 4.57 − 4.65 (m, 2 H) 4.80 − 4.93 (m, 4 H) 4.99 (s, 2 H) 6.12 − 6.22 (m, 1 H) 6.42 (d, J=15.59 Hz, 1 H) 6.74 (s, 1 H) 6.89 − 7.03 (m, 4 H) 7.11 − 7.47 (m, 26 H).
ESI m/z = 893(M−H).
参考例4
(1S)−1−[5−[4−(2−アミノエチル)ベンジル]−2−(ベンジルオキシ)−4-メチルフェニル]−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−D−グルシトールの製造
【0113】
【化23】

【0114】
(1)2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−C−[2−(ベンジルオキシ)−5−[ヒドロキシ[4−[2−(トリチルアミノ)エチル]フェニル]メチル]−4−メチルフェニル]−D−グルコピラノースの製造
2-(4-ブロモフェニル)-N−トリチルエタンアミン(0.814g、1.84mmol)のテトラヒドロフラン(3mL)溶液に窒素雰囲気下、−78℃にて2.66M n−ブチルリチウムへキサン溶液(0.69mL、1.84mmol)を滴下し、同温にて30分間攪拌した。次いで2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−C−[2−(ベンジルオキシ)−5−ホルミル−4−メチルフェニル]−D−グルコピラノ−ス(0.670g、0.876mmol)のテトラヒドロフラン(3mL)溶液を滴下し、同温にて30分間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を炉別後、溶媒を減圧下留去し得られた残渣をNH型シリカゲルカラムクロマトグラフィ−(クロロホルム)にて精製し、黄色油状化合物として表題化合物(0.634g、64%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-D) δ ppm 2.12 - 2.22 (m, 3 H) 2.30 - 2.43 (m, 2 H) 2.65 - 2.76 (m, 2 H) 3.64 - 3.84 (m, 3 H) 3.99 - 4.22 (m, 4 H) 4.42 - 4.65 (m, 5 H) 4.75 - 5.04 (m, 5 H) 5.83 - 5.91 (m, 1 H) 6.67 - 6.72 (m, 1 H) 6.88 - 7.43 (m, 44 H).
(2)(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[2−(ベンジルオキシ)−4−メチル−5−[4−[2−(トリチルアミノ)エチル]ベンジル]フェニル]−D−グルシトールの製造
2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−C−[2−(ベンジルオキシ)−5−[ヒドロキシ[4−[2−(トリチルアミノ)エチル]フェニル]メチル]−4−メチルフェニル]−D−グルコピラノース(0.638g、0.565mmol)のアセトニトリル(6mL)溶液に、窒素雰囲気下、0℃にてEtSiH(0.27mL、1.695mmol)とBF・EtO(1.58mL、1.24mmol)を加え、同温で30分間攪拌した。氷冷下、反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を炉別後、溶媒を減圧下留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(ヘキサン:酢酸エチル=9:1)にて精製し、淡黄色の油状化合物として表題化合物(0.402g、59%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-D) δ ppm 2.16 (s, 3 H) 2.36 (t, J=6.84 Hz, 2 H) 2.68 (t, J=6.84 Hz, 2 H) 3.52 - 3.65 (m, 1 H) 3.67 - 3.92 (m, 7 H) 4.00 (d, J=10.88 Hz, 1 H) 4.37 - 4.67 (m, 5 H) 4.78 - 5.06 (m, 5 H) 6.73 (s, 1 H) 6.83 - 7.01 (m, 5 H) 7.05 - 7.45 (m, 40 H).
(3)(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[5-[4-(2-アミノエチル)ベンジル]-2-(ベンジルオキシ)−4−メチルフェニル]−D−グルシトールの製造
(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[2−(ベンジルオキシ)−4−メチル−5−[4−[2−(トリチルアミノ)エチル]ベンジル]フェニル]−D−グルシトール(0.402g、0.336mmol)のクロロホルム溶液に室温でトリフルオロ酢酸(0.5mL)を加え、同温で3時間攪拌した。反応液にエタノールを加えた後に、溶媒を減圧留去し、残渣をNH型シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:6,クロロホルム:メタノール=20:1)で精製し、無色の油状化合物として表題化合物(0.296g、quant.)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-D) d ppm 2.20 (s, 3 H) 2.65 (t, J=6.84 Hz, 2 H) 2.89 (t, J=6.84 Hz, 2 H) 3.52 - 3.95 (m, 8 H) 4.00 (d, J=10.72 Hz, 1 H) 4.38 - 4.67 (m, 5 H) 4.81 - 5.04 (m, 5 H) 6.74 (s, 1 H) 6.88 - 7.45 (m, 30 H).
参考例5
ジベンジル[(Z)−(アリルアミノ)メチルイリデン]ビスカルバメ−トの製造
【0115】
【化24】

【0116】
アリルアミン(250mg、4.38mmol)のテトラヒドロフラン(4.3mL)溶液にN,N’−ビス−ベンジルオキシカルボニル−1−グアニルピラゾ−ル(1.98g、5.25mmol)を加え、室温にて一晩攪拌した。反応液を減圧下留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)にて精製し、無色粉末として表題化合物(1.45g、90%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-D) δ ppm 4.03 − 4.12 (m, 2 H) 5.11 − 5.28 (m, 6 H) 5.81 − 5.96 (m, 1 H) 7.23 − 7.43 (m, 10 H) 8.35 − 8.45 (m, 1 H) 11.76 (s, 1 H).
ESI m/z = 368(M+H).
参考例6
N−アリル−4−メチルピペラジン−1−カルボキシアミドの製造
【0117】
【化25】

【0118】
アリルアミン(400mg、7.00mmol)のクロロホルム(70mL)溶液にトリエチルアミン(1.31mL、9.45mmol)、4−ニトロフェニル クロロホルメ−ト(1.62g、8.06mmol)を加え、室温で一晩攪拌した。この反応液に1−メチルピペラジン(771mg、7.70mmol)を加えて、室温で一晩攪拌した。反応液を減圧下留去し、得られた残渣に酢酸エチルを加え、析出した不溶物を濾過した。ろ液を濃縮し、得られた残渣をNH型シリカゲルカラムクロマトグラフィ−(ヘキサン:酢酸エチル=5:1,酢酸エチル)、シリカゲルカラムクロマトグラフィ−(酢酸エチル、クロロホルム:メタノ−ル=20:1〜5:1)にて精製し、無色粉末として表題化合物(1.38g、quant.)を得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO−D6) δ ppm 2.16 (s, 3 H) 2.18 − 2.26 (m, 4 H) 3.23 − 3.31 (m, 4 H) 3.59 − 3.68 (m, 2 H) 4.95 − 5.12 (m, 2 H) 5.72 − 5.87 (m, 1 H) 6.63 (t, J=5.44 Hz, 1 H).
ESI m/z = 206(M+Na).
参考例7
tert−ブチル[3−(ブタ−3−エノイルアミノ)プロピル]カルバメ−トの製造
【0119】
【化26】

【0120】
ビニル酢酸(500mg、5.81mmol)のクロロホルム(58mL)溶液にN−(3−アミノプロピル)カルバミン酸 tert−ブチルエステル(2.02g、11.6mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾ−ル(0.86g、6.39mmol)、WSC(1.56g、8.13mmol)を加え、室温にて一晩攪拌した。反応液に水を加え、有機層をクロロホルムで抽出し、有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液及びブラインで洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を炉別後、溶媒を減圧下留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(ヘキサン:酢酸エチル=1:1,酢酸エチル)で精製した。無色粉末として表題化合物(1.32g、94%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-D) δ ppm 1.44 (s, 9 H) 1.52 − 1.71 (m, 2 H) 3.01 (d, J=6.99 Hz, 2 H) 3.09 − 3.23 (m, 2 H) 3.30 (q, J=6.37 Hz, 2 H) 4.89 (s, 1 H) 5.14 − 5.31 (m, 2 H) 5.83 − 6.06 (m, 1 H) 6.21 (s, 1 H).
ESI m/z = 265(M+Na).
参考例8
N−アリル−N´−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)ウレアの製造
【0121】
【化27】

【0122】
アリルアミン(1.5g、26.3mmol)のクロロホルム(60mL)溶液にトリエチルアミン(4.9mL、35.5mmol)を加え、4℃にて4−ニトロフェニル クロロホルメ−ト(6.09g、30.2mmol)を加え1時間攪拌した。この反応液に同温にて2−アミノ−2−メチルプロパノ−ル(2.58g、28.9mmol)のクロロホルム(3mL)溶液を加えて、室温で一晩攪拌した。反応溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(酢酸エチル)にて精製し、黄色油状化合物として表題化合物(4.0g、88%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-D) δ ppm 1.26 (s, 6 H) 3.55 (s, 2 H) 3.71 - 3.80 (m, 2 H) 4.85 - 5.08 (m, 2 H) 5.08 - 5.24 (m, 2 H) 5.77 - 5.91 (m, 1 H).
ESI m/z = 195 (M+Na).
参考例9
1−ベンジルオキシ−2−ブロモ−5−メチル−4−[4−[2−(メトキシメトキシ)エチル]ベンジル]ベンゼンの製造
【0123】
【化28】

【0124】
1−ブロモ−4−[2−(メトキシメトキシ)エチル]ベンゼン(50.2g、0.205mol)のテトラヒドロフラン(1L)溶液に窒素雰囲気下、−78℃にて2.6Mn−ブチルリチウムへキサン溶液(78.8mL、0.205mol)を滴下し、同温にて15分間攪拌した。次いで4−ベンジルオキシ−5−ブロモ−2−メチルベンズアルデヒド(56.9g、0.195mol)のテトラヒドロフラン(150mL)溶液を1時間かけて滴下し、同温にて30分間攪拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、有機層を酢酸エチルで抽出後、有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液及びブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を炉別後、溶媒を減圧下留去し[4−(ベンジルオキシ)−5−ブロモ−2−メチルフェニル][4−[2−(メトキシメトキシ)エチル]フェニル]メタノールを得た。
【0125】
次いで、[4−(ベンジルオキシ)−5−ブロモ−2−メチルフェニル][4−[2−(メトキシメトキシ)エチル]フェニル]メタノール(102g)のクロロホルム(1L)溶液に、EtSiH(46.7mL、0.293mol)とBF・EtO(29.7mL、0.243mol)を氷冷下にて加え、同温で15分間攪拌した。氷冷下、反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、室温まで温めた。酢酸エチルで抽出後、ブラインで洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を炉別後、溶媒を減圧下留去し得られた残渣をNH型シリカゲルカラムクロマトグラフィ−(ヘキサン:酢酸エチル=19:1〜9:1)にて精製し、淡黄色の油状化合物として表題化合物(60g、68%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-D) δ ppm 2.16 (s, 3 H) 2.87 (t, J=6.99 Hz, 2 H) 3.28 (s, 3 H) 3.75 (t, J=6.99 Hz, 2 H) 3.85 (s, 2 H) 4.61 (s, 2 H) 5.12 (s, 2 H) 6.77 (s, 1 H) 7.03 (d, J=8.08 Hz, 2 H) 7.15 (d, 2 H) 7.26 (d, J=3.57 Hz, 1 H) 7.30 - 7.45 (m, 3 H) 7.47 (d, 2 H).
参考例10
(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[2-(ベンジルオキシ)−5−[4−(2−ヒドロキシエチル)ベンジル]−4−メチルフェニル]−D−グルシトールの製造
【0126】
【化29】

【0127】
1−ベンジルオキシ−2−ブロモ−5−メチル−5−[4−[2−(メトキシメトキシ)エチル]ベンジル]ベンゼン(13.0g、28.5mmol)のテトラヒドロフラン(150mL)溶液に窒素雰囲気下、−78℃にて2.6Mn−ブチルリチウムへキサン溶液(11.0mL、28.5mmol)を滴下し、同温にて15分間攪拌した。次いで2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−D−グルコノ−1,5−ラクトン(14.0g、26.0mmol)のテトラヒドロフラン(30mL)溶液を滴下し、同温にて15分間攪拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、有機層をトルエンで抽出後、有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液及びブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を炉別後、溶媒を減圧下留去し26.0gの残渣を得た。
【0128】
これをアセトニトリル(70mL)とテトラヒドロフラン(70mL)に溶解し、EtSiH(2.90mL、17.8mmol)とBF・EtO(1.90mL、14.9mmol)を氷冷下にて加え、同温で1時間攪拌した。氷冷下、反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、室温まで温めた。水(70mL)を加え、有機層をトルエンで抽出後、有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を炉別後、溶媒を減圧下留去し27.0gの残渣を得た。
【0129】
これをイソプロピルエーテル(140mL)に溶解した。次に、2−プロパノール(140mL)と6M塩酸(140mL)を加え、反応混合物を80℃にて2時間攪拌した。室温まで冷却した後に、水(70mL)を加えた。有機層をトルエンで抽出し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及びブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(ヘキサン:酢酸エチル=9:1〜7:3)にて精製し、淡黄色の油状化合物として表題化合物(12.0g、54%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-D) δ ppm 2.20 (s, 3 H) 2.78 (t, J=6.53 Hz, 2 H) 3.54 - 3.64 (m, 1 H) 3.68 - 3.88 (m, 8 H) 3.93 (br. s., 2 H) 4.00 (d, J=10.72 Hz, 1 H) 4.42 (d, J=10.72 Hz, 1 H) 4.50 (d, 1 H) 4.56 - 4.66 (m, 2 H) 4.81 - 4.95 (m, 3 H) 5.00 (s, 2 H) 6.75 (s, 1 H) 6.92 (d, J=7.77 Hz, 2 H) 7.02 (s, 4 H) 7.10 - 7.35 (m, 22 H) 7.36 - 7.44 (m, 2 H).
ESI m/z = 873 (M+NH4).
参考例11
(1S)−1−[5−[4−(2−アミノエチル)ベンジル]−2−(ベンジルオキシ)−4-メチルフェニル]−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−D−グルシトール ベンゼンスルホン酸の製造
【0130】
【化30】

【0131】
(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[2−(ベンジルオキシ)−5−[4−(2−ヒドロキシエチル)ベンジル−4−メチルフェニル]−D−グルシトール(12.0g、14.0mmol)、トリフェニルホスフィン(5.51g、21.0mmol)及びフタルイミド(2.27g、15.4mmol)のテトラヒドロフラン(140mL)溶液に窒素雰囲気下、40%ジイソプロピルアゾジカルボキシレートのトルエン溶液(11.1mL,21.0mmol)を0℃にて3分かけて加えた。反応液を室温にて30分攪拌した後にメタノール(70mL)を加えた。次いで、ヒドラジン1水和物(6.79mL、140mmol)を加え、反応混合物を60℃にて3時間攪拌した。室温まで冷却した後に、2M水酸化ナトリウム水溶液(100mL)を加え、有機層をトルエンで抽出した。有機層を2M水酸化ナトリウム水溶液(100mL)、ブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去して22.7gの残渣を得た。
【0132】
これをメタノール(140mL)に溶解し、ベンゼンスルホン酸1水和物(2.51g、14.0mmol)のメタノール(50mL)溶液を加え室温で15分攪拌した。混合物を減圧下留去して得られたアモルファス状の化合物に、2−プロパノール(230mL)とメタノール(90mL)を加え、加熱還流し残渣を溶解させた。混合物を室温に冷却し15時間放置した。得られた結晶を濾過し、無色の表題化合物(9.89g、70%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-D) δ ppm 2.12 (s, 3 H) 2.72 - 2.85 (m, 2 H) 2.89 - 3.05 (m, 2 H) 3.54 - 3.63 (m, 1 H) 3.68 - 3.89 (m, 8 H) 3.99 (d, J=10.57 Hz, 1 H) 4.39 - 4.53 (m, 2 H) 4.56 - 4.65 (m, 2 H) 4.82 - 4.94 (m, 3 H) 4.98 (s, 2 H) 6.72 (s, 1 H) 6.79 - 6.85 (m, 2 H) 6.87 - 6.96 (m, 4 H) 7.06 - 7.44 (m, 25 H) 7.75 - 7.90 (m, 4 H).
参考例12
(1S)−1−[5−[4−(2−アミノエチル)ベンジル]−2−アセトキシ−4−メチルフェニル]−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−D−グルシトールの製造
【0133】
【化31】

【0134】
(1)(1S)−1−[5−[4−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノエチル)ベンジル]−2−アセトキシ−4−メチルフェニル]−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−D−グルシトール の製造
(1S)−1−[5−[4−(2−アミノエチル)ベンジル]−2−(ベンジルオキシ)−4-メチルフェニル]−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−D−グルシトール ベンゼンスルホン酸(10.7g、10.6mmol)のクロロホルム(100mL)溶液に窒素雰囲気下、トリエチルアミン(2.22mL、15.9mmol)とジ−tert−ブチルジカーボネート(2.78g、12.7mmol)を氷冷下にて加え、同温で30分間攪拌した。反応液に水を加え、室温まで温めた後に、酢酸エチルで抽出した。有機層を1M塩酸、ブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を炉別後、溶媒を減圧下留去し11.8gの残渣を得た。
【0135】
これを酢酸エチル(50mL)とメタノール(100mL)に溶解し、20%水酸化パラジウム(2.50g)を加え、水素雰囲気下、室温にて2.5時間攪拌した。反応液をセライトろ過後、溶媒を減圧下留去し残渣を得た。
【0136】
これをピリジン(100mL)に溶解し、窒素雰囲気下、無水酢酸(6.01mL、63.6mmol)とN、N−ジメチルアミノピリジンを加え、室温にて一晩攪拌した。その後、更に無水酢酸(4.00mL、42.4mmol)を加え、同温にて2時間攪拌した。反応液に水を加え、有機層を酢酸エチルで抽出した。有機層を3M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、ブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を炉別後、溶媒を減圧留去して残渣を得た。得られた残渣へ酢酸エチルを加えて溶解させ、ヘキサンを加えて得られた結晶を濾過し、無色粉末の表題化合物(5.58g、74%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-D) δ ppm 1.43 (s, 9 H) 1.77 (s, 3 H) 2.00 (s, 3 H) 2.04 (s, 3 H) 2.07 (s, 3 H) 2.19 (s, 3 H) 2.35 (s, 3 H) 2.75 (t, J=6.92 Hz, 2 H) 3.28 - 3.42 (m, 2 H) 3.75 - 3.83 (m, 1 H) 3.92 (s, 2 H) 4.08 (dd, J=12.43, 2.18 Hz, 1 H) 4.30 (dd, J=12.36, 4.74 Hz, 1 H) 4.54 (t, 1 H) 5.14 - 5.23 (m, 1 H) 5.25 - 5.37 (m, 2 H) 6.87 (s, 1 H) 7.02 (d, 2 H) 7.10 (d, 2 H) 7.16 (s, 1 H).
ESI m/z = 731 (M+NH4).
(2)(1S)−1−[5−[4−(2−アミノエチル)ベンジル]−2−アセトキシ−4−メチルフェニル]−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−D−グルシトール の製造
(1S)−1−[5−[4−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノエチル)ベンジル]−2−アセトキシ−4−メチルフェニル]−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−D−グルシトールのクロロホルム(80mL)溶液にトリフルオロアセテート(23mL)を加え、室温にて1.5時間攪拌した。溶媒を減圧下留去して得られた残渣をクロロホルムで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、ブラインで洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥して乾燥剤を炉別後、溶媒を減圧留去し、無色粉末として表題化合物(4.67g、quant.)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-D) δ ppm 1.77 (s, 3 H) 2.00 (s, 3 H) 2.04 (s, 3 H) 2.07 (s, 3 H) 2.19 (s, 3 H) 2.35 (s, 3 H) 2.67 (t, 2 H) 2.85 - 3.07 (m, 2 H) 3.75 - 3.84 (m, 1 H) 3.92 (s, 2 H) 4.08 (dd, J=12.36, 2.10 Hz, 1 H) 4.30 (dd, J=12.36, 4.59 Hz, 1 H) 4.53 (t, 1 H) 5.13 - 5.23 (m, 1 H) 5.24 - 5.36 (m, 2 H) 6.86 (s, 1 H) 7.02 (d, 2 H) 7.11 (d, 2 H) 7.17 (s, 1 H).
ESI m/z = 614 (M+H).
参考例13
(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[2−(ベンジルオキシ)−5−(4−ヒドロキシ−2−メチルベンジル)−4−メチルフェニル]−D−グルシトールの製造
【0137】
【化32】

【0138】
1−ブロモ−4−メトキシメトキシ−2−メチルベンゼン(0.80g、3.46mmol)のテトラヒドロフラン(15mL)溶液に窒素雰囲気下、−60℃にて2.6Mn−ブチルリチウムへキサン溶液(1.33mL、3.46mmol)を滴下し、同温にて15分間攪拌した。次いで2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−C−[2−(ベンジルオキシ)−5−ホルミル−4−メチルフェニル]−D−グルコピラノ−ス(1.10g、1.44mmol)のテトラヒドロフラン(6mL)溶液を滴下し、同温にて15分間攪拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、室温まで温めた後に、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を炉別後、溶媒を減圧下留去し1.7gの油状物を得た。
【0139】
次に、この油状物をアセトニトリル(10mL)とクロロホルム(10mL)に溶解し、4℃にてEtSiH(0.92mL、5.76mmol)とBF・EtO(0.46mL、3.60mmol)を加えた。反応液を同温で30分間、室温で30分攪拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、揮発物を減圧下留去し、残渣を酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を炉別後、溶媒を減圧下留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)にて精製し、淡黄色の油状化合物として表題化合物(420mg、35%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-D) δ ppm 2.17 (s, 3 H) 2.22 (s, 3 H) 3.49 - 3.59 (m, 1 H) 3.63 - 3.84 (m, 6 H) 3.97 (d, J=11.04 Hz, 1 H) 4.31 - 4.50 (m, 3 H) 4.52 - 4.68 (m, 3 H) 4.79 - 4.92 (m, 4 H) 5.02 (s, 2 H) 6.37 (dd, J=8.32, 2.41 Hz, 1 H) 6.55 (d, J=2.49 Hz, 1 H) 6.66 (d, J=8.24 Hz, 1 H) 6.78 (s, 1 H) 6.88 - 6.97 (m, J=5.21, 4.43 Hz, 2 H) 7.01 (s, 1 H) 7.10 - 7.50 (m, 23 H).
ESI m/z = 858 (M+NH4), 839 (M-H).
参考例14
(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[2−(ベンジルオキシ)−5−[4−[2−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)エトキシ]−2−メチルベンジル]−4−メチルフェニル]−D−グルシトール
【0140】
【化33】

【0141】
(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[2−(ベンジルオキシ)−5−(4−ヒドロキシ−2−メチルベンジル)−4−メチルフェニル]−D−グルシトール(340mg、0.40mmol)とN−(2−ブロモエチル)フタルイミド(1.02g、4.0mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(5.0mL)溶液に炭酸カリウム(553mg、4.0mmoL)とn−BuNI(14mg、0.038mmol)を加えた。反応混合物を80℃にて3.5時間攪拌した。室温に冷却後、水を加え、有機層を酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を炉別後、溶媒を減圧下留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)にて精製し、淡黄色の油状化合物として表題化合物(60mg、15%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-D) δ ppm 2.17 (s, 3 H) 2.18 (s, 3 H) 3.49 - 3.60 (m, 1 H) 3.63 - 3.85 (m, 6 H) 3.89 - 4.19 (m, 5 H) 4.34 - 4.52 (m, 3 H) 4.53 - 4.65 (m, 3 H) 4.75 - 4.93 (m, 3 H) 5.01 (s, 2 H) 6.44 (dd, J=8.55, 2.64 Hz, 1 H) 6.60 - 6.71 (m, 2 H) 6.77 (s, 1 H) 6.88 - 6.97 (m, 2 H) 7.05 (s, 1 H) 7.13 - 7.45 (m, 23 H) 7.66 - 7.72 (m, 2 H) 7.80 - 7.88 (m, 2 H).
参考例15
(1S)−1−[5−[4−(2−アミノエトキシ)−2−メチルベンジル]−2−(ベンジルオキシ)−4−メチルフェニル]−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−D−グルシトールの製造
【0142】
【化34】

【0143】
(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[2−(ベンジルオキシ)−5−[4−[2−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)エトキシ]−2−メチルベンジル]−4−メチルフェニル]−D−グルシトール(60mg、0.059mmol)のテトラヒドロフラン(0.8mL)とメタノール(0.2mL)溶液に、ヒドラジン1水和物(30mg、0.59mmol)を加え、反応混合物を65℃にて1時間攪拌した。室温まで冷却した後に、2M水酸化ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去して表題化合物を定量的に得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-D) δ ppm 2.21 (s, 3 H) 2.22 (s, 3 H) 3.03 (t, J=4.74 Hz, 2 H) 3.50 - 3.62 (m, 1 H) 3.65 - 3.83 (m, 6 H) 3.88 (t, J=4.74 Hz, 2 H) 3.98 (d, J=10.88 Hz, 1 H) 4.34 - 4.51 (m, 3 H) 4.55 - 4.65 (m, 3 H) 4.77 - 4.93 (m, 3 H) 5.02 (s, 2 H) 6.43 - 6.51 (m, 1 H) 6.66 - 6.72 (m, 2 H) 6.78 (s, 1 H) 6.91 - 6.98 (m, 2 H) 7.06 (s, 1 H) 7.11 - 7.45 (m, 23 H)
また、出発物質に1−ブロモ−2−メトキシ−4−メトキシメトキシベンゼン又は1−ブロモ−2−フルオロ−4−メトキシメトキシベンゼンを用い、参考例13乃至15と同様な方法で、化合物(I)において、Rがメトキシ基又はフッ素原子である化合物を合成することができる。
【0144】
参考例16
4−(ベンジルオキシ)−5−ブロモ−2−クロロベンズアルデヒドの製造
【0145】
【化35】

【0146】
2−クロロ−4−ヒドロキシベンゾニトリル(14.0g、91.2mmol)のクロロホルム(300mL)溶液に窒素雰囲気下、−50℃にて0.95Mジイソブチルアルミニウムヒドリドへキサン溶液(307mL、291mmol)を滴下し、同温で1.5 時間攪拌した。室温まで昇温し、さらに3時間攪拌した。続いて反応液を氷冷してメタノールを滴下した。反応液に3M塩酸を加え、酢酸エチルで抽出後、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、ブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を炉別後、溶媒を減圧下留去し、7.25gの残渣を得た。
【0147】
これをメタノール(140mL)に溶解し、この溶液に、窒素雰囲気下氷冷下にてピリジンヒドロブロミドペルブロミド(16.3g、50.9mmol)を加え、混合物を4時間攪拌した。反応液にNaSOの20%溶液を加え、生じた混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を3M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、ブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を炉別後、溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)にて精製し、無色粉末を6.17g得た。
【0148】
これをアセトン(260mL)に溶解し、この溶液に窒素雰囲気下ベンジルブロマイド(3.45mL、28.8mmol)と炭酸カリウム(4.70g、34.1mmol)を加え、混合物を50℃で4.5時間攪拌した。反応液を室温まで冷却した後にセライト濾過した。溶媒を減圧下留去して得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィ−(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)にて精製し、無色粉末として表題化合物(2.02g、6.9%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-D) δ ppm 5.23 (s, 2 H) 6.97 (s, 1 H) 7.32 - 7.50 (m, 5 H) 8.15 (s, 1 H) 10.27 (s, 1 H).
ESI m/z = 325 (M+H).
参考例17
[4−(ベンジルオキシ)−5−ブロモ−2−クロロフェニル][4−[2−(メトキシメトキシ)エチル]フェニル]メタノールの製造
【0149】
【化36】

【0150】
1−ブロモ−4−[2−(メトキシメトキシ)エチル]ベンゼン(1.52g、6.20mmol)のテトラヒドロフラン(6mL)溶液に窒素雰囲気下、−78℃にて2.6Mn−ブチルリチウムのへキサン溶液(2.38mL、6.20mmol)を滴下し、混合物を同温にて10分間攪拌した。次いで4−(ベンジルオキシ)−5−ブロモ−2−クロロベンズアルデヒド(2.02g、6.20mmol)のテトラヒドロフラン(6mL)溶液を10分間かけて滴下し、混合物を同温にて30分間攪拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、得られた混合物を酢酸エチルで抽出後、有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液、ブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を炉別後、溶媒を減圧下留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)にて精製し、無色の油状化合物として表題化合物(750mg、25%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-D) δ ppm 2.24 (d, J=3.57 Hz, 1 H) 2.89 (t, J=6.92 Hz, 2 H) 3.27 (s, 3 H) 3.75 (t, J=6.84 Hz, 2 H) 4.60 (s, 2 H) 5.12 (s, 2 H) 6.09 (d, J=3.57 Hz, 1 H) 6.91 (s, 1 H) 7.15 - 7.51 (m, 9 H) 7.80 (s, 1 H).
ESI m/z = 508 (M+NH4).
参考例18
1−(ベンジルオキシ)−2−ブロモ−5−クロロ−4−[4−[2−(メトキシメトキシ)エチル]ベンジル]ベンゼンの製造
【0151】
【化37】

【0152】
[4−(ベンジルオキシ)−5−ブロモ−2−クロロフェニル][4−[2−(メトキシメトキシ)エチル]フェニル]メタノール(750mg、1.53mmol)のクロロホルム(8mL)溶液に、EtSiH(367μL、2.30mmol)とBF・EtO(232μL、1.83mmol)を氷冷下にて加え、同温で1時間攪拌した。氷冷下、反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、室温まで温めた。有機層を酢酸エチルで抽出後、ブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を炉別後、溶媒を減圧下留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)にて精製し、無色の油状化合物として表題化合物(290mg、40%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-D) δ ppm 2.88 (t, J=7.15 Hz, 2 H) 3.28 (s, 3 H) 3.75 (t, J=6.99 Hz, 2 H) 3.97 (s, 2 H) 4.61 (s, 2 H) 5.12 (s, 2 H) 6.96 (s, 1 H) 7.10 (d, 2 H) 7.17 (d, 2 H) 7.28 - 7.50 (m, 6 H).
ESI m/z = 492 (M+NH4).
参考例19
2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−C−[2−(ベンジルオキシ)−4−クロロ−5−[4−[2−(メトキシメトキシ)エチル]ベンジル]フェニル]−D−グルコピラノースの製造
【0153】
【化38】

【0154】
1−(ベンジルオキシ)−2−ブロモ−5−クロロ−4−[4−[2−(メトキシメトキシ)エチル]ベンジル]ベンゼン(290mg、0.609mmol)のテトラヒドロフラン(3mL)溶液に窒素雰囲気下、−78℃にて2.6Mn−ブチルリチウムへキサン溶液(234μL、0.609mmol)を滴下し、同温にて5分間攪拌した。次いで2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−D−グルコノ−1,5−ラクトン(328mg、0.609mmol)のテトラヒドロフラン(3mL)溶液を滴下し、同温にて1時間攪拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出後、有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液、ブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を炉別後、溶媒を減圧下留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)にて精製し、無色の油状化合物として表題化合物(124mg、22%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-D) δ ppm 2.85 (t, J=6.99 Hz, 2 H) 3.28 (s, 3 H) 3.60 (s, 5 H) 3.94 - 4.02 (m, 3 H) 4.04 - 4.15 (m, 3 H) 4.43 - 4.61 (m, 6 H) 4.71 - 4.97 (m, 5 H) 6.89 (s, 3 H) 7.37 (s, 27 H) 7.50 (s, 1 H).
ESI m/z = 952 (M+NH4).
参考例20
(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[2−(ベンジルオキシ)−4−クロロ−5−[4−(2−ヒドロキシエチル)ベンジル]フェニル]−D−グルシトールの製造
【0155】
【化39】

【0156】
2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−C−[2−(ベンジルオキシ)−4−クロロ−5−[4−[2−(メトキシメトキシ)エチル]ベンジル]フェニル]−D−グルコピラノース(124mg、0.133mmol)のアセトニトリル(0.5mL)とテトラヒドロフラン(0.5mL)溶液に、EtSiH(63.6μL、0.400mmol)とBF・EtO(40.4μL、0.320mmol)を氷冷下にて加え、同温で1.5時間、室温で4.5時間攪拌した。氷冷下、反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、有機層を酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を炉別後、溶媒を減圧下留去し119mgの残渣を得た。
【0157】
これをイソプロピルエーテル(0.7mL)に溶解した。次に、2−プロパノール(0.7mL)と6M塩酸(0.7mL)を加え、反応混合物を80℃にて3時間攪拌した。室温まで冷却した後に、水を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、ブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(ヘキサン:酢酸エチル=7:3)にて精製し、無色の油状化合物として表題化合物(79.1mg、68%)を得た。
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-D) δ ppm 2.77 (t, J=6.42 Hz, 2 H) 3.52 - 3.60 (m, 1 H) 3.64 - 3.82 (m, 7 H) 3.92 - 3.99 (m, 3 H) 4.03 (d, 1 H) 4.41 - 4.51 (m, 2 H) 4.54 - 4.64 (m, 2 H) 4.82 - 4.89 (m, 3 H) 4.91 - 4.97 (m, 2 H) 6.86 (d, J=7.34 Hz, 2 H) 6.90 (s, 1 H) 7.02 - 7.06 (m, 2 H) 7.06 - 7.10 (m, 2 H) 7.13 (t, J=7.34 Hz, 2 H) 7.15 - 7.20 (m, 3 H) 7.20 - 7.33 (m, 17 H) 7.36 (d, J=7.79 Hz, 2 H).
ESI m/z = 892 (M+NH4).
参考例21
(1S)−1−[5−[4−(2−アミノエチル)ベンジル]−2−(ベンジルオキシ)−4−クロロフェニル]−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−D−グルシトールの製造
【0158】
【化40】

【0159】
(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[2−(ベンジルオキシ)−4−クロロ−5−[4−(2−ヒドロキシエチル)ベンジル]フェニル]−D−グルシトール(79.0mg、0.090mmol)、トリフェニルホスフィン(53.1mg、0.203mmol)とフタルイミド(23.9mg、0.162mmol)のテトラヒドロフラン(2.0mL)溶液に窒素雰囲気下、40%ジイソプロピルアゾジカルボキシレートのトルエン溶液(386μL、0.203mmol)を氷冷にて加えた。反応液を室温にて1.5時間攪拌した後にメタノール(1mL)を加えた。次いで、ヒドラジン1水和物(43.7μL、0.90mmol)を加え、反応混合物を60℃にて3時間攪拌した。室温まで冷却した後に、2M水酸化ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(クロロホルム:メタノール=9:1)にて精製し、無色の油状化合物として表題化合物(39.2mg、50%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-D) δ ppm 2.68 (t, 2 H) 2.83 - 2.96 (m, 2 H) 3.52 - 3.61 (m, 1 H) 3.62 - 3.86 (m, 5 H) 3.99 (t, J=10.57 Hz, 3 H) 4.41 - 4.67 (m, 5 H) 4.81 - 4.92 (m, 3 H) 4.95 (s, 2 H) 6.88 (d, J=5.60 Hz, 3 H) 6.97 - 7.43 (m, 28 H).
ESI m/z = 874 (M+H).
参考例22
5−ブロモ−2−クロロベンズアルデヒドの製造
【0160】
【化41】

【0161】
5−ブロモ−2−クロロ安息香酸(18.5g、78.5mmol)のクロロホルム(157mL)懸濁液にN,N−ジメチルホルムアミド(0.5mL)を加え、オキサリルクロリド(8.1mL、94.2mmol)を室温で滴下した。30分間攪拌後、反応液を減圧濃縮した。この残渣をクロロホルム(157mL)に溶解させ、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(9.19g、94.2mmol)とトリエチルアミン(26.3mL、188mmol)のクロロホルム懸濁液に0℃で滴下した。同温で30分間攪拌後、反応液を水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、ブラインで洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を濾別後、溶媒を減圧下留去し、24.0gの残渣を得た。
【0162】
得られた残渣をテトラヒドロフラン(157mL)に溶解させ、0℃で水酸化リチウムアルミニウム(1.19g、29.0mmol)を徐々に加えた。反応液を0℃に冷却後、2M塩酸を徐々に加え、室温で30分間攪拌した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、ブラインで順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を濾別後、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣を酢酸エチル:ヘキサン混合液(1:9)を用いて再結晶し、無色結晶として表題化合物(11.3g、65%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-D) δ ppm 7.35 (d, J=8.47 Hz, 1 H) 7.65 (dd, J=8.47, 2.56 Hz, 1 H) 8.04 (d, J=2.56 Hz, 1 H) 10.41 (s, 1 H).
参考例23
(5−ブロモ−2−クロロフェニル)[4−[2−(メトキシメトキシ)エチル]フェニル]メタノールの製造
【0163】
【化42】

【0164】
4−(ベンジルオキシ)−5−ブロモ−2−クロロベンズアルデヒドの代わりに5−ブロモ−2−クロロベンズアルデヒドを用いて、参考例17と同様の方法で無色油状の化合物として表題化合物(4.55g、63%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-D) δ ppm 2.89 (t, J=6.99 Hz, 2 H) 3.26 (s, 3 H) 3.74 (t, J=6.99 Hz, 2 H) 4.59 (s, 2 H) 6.11 (s, 1 H) 7.13 - 7.39 (m, 6 H) 7.82 - 7.84 (m, 1 H).
参考例24
5−ブロモ−2−クロロ−4−[4−[2−(メトキシメトキシ)エチル]ベンジル]ベンゼンの製造
【0165】
【化43】

【0166】
(5−ブロモ−2−クロロフェニル)[4−[2−(メトキシメトキシ)エチル]フェニル]メタノール(0.265g、0.687mmol)のクロロホルム(1.4mL)溶液にトリエチルアミン(105μL、0.756mmol)を加え、0℃でメタンスルホニルクロリド(58.5μL、0.756mmol)を滴下し、同温で2時間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで2回抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を炉別後、溶媒を減圧下留去し、残渣を得た。
【0167】
得られた残渣とEtSiH(165μL、1.03mmol)のクロロホルム(3.4mL)溶液に0℃でBF・EtO(104μL、0.824mmol)を加え、同温で1時間攪拌した。反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(2回)、ブラインで順次洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を炉別後、溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(ヘキサン:酢酸エチル=9:1)にて精製し、淡黄色状の粗生成物(41mg)を得た。
ESI m/z = 386 (M+NH4).
参考例25
2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−C−[4−クロロ−3−[4−[2−(メトキシメトキシ)エチル]ベンジル]フェニル]−D−グルコピラノースの製造
【0168】
【化44】

【0169】
1−(ベンジルオキシ)−2−ブロモ−5−クロロ−4−[4−[2−(メトキシメトキシ)エチル]ベンジル]ベンゼンの代わりに5−ブロモ−2−クロロ−4−[4−[2−(メトキシメトキシ)エチル]ベンジル]ベンゼンを用いて、参考例19と同様の方法で無色の油状物質として粗表題化合物(1.07g)を得た。
ESI m/z = 846 (M+NH4).
参考例26
(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[4−クロロ−3−[4−(2−ヒドロキシエチル)ベンジル]フェニル]−D−グルシトールの製造
【0170】
【化45】

【0171】
2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−C−[2−(ベンジルオキシ)−4−クロロ−5−[4−[2−(メトキシメトキシ)エチル]ベンジル]フェニル]−D−グルコピラノースの代わりに2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−C−[4−クロロ−3−[4−[2−(メトキシメトキシ)エチル]ベンジル]フェニル]−D−グルコピラノースを用いて、参考例20と同様の方法で無色の油状物質として粗表題化合物(0.262g)を得た。
ESI m/z = 786 (M+NH4).
参考例27
(1S)−1−[3−[4−(2−アミノエチル)ベンジル]−4−クロロフェニル]−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−D−グルシトールの製造
【0172】
【化46】

【0173】
(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[2−(ベンジルオキシ)−4−クロロ−5−[4−(2−ヒドロキシエチル)ベンジル]フェニル]−D−グルシトールの代わりに(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[4−クロロ−3−[4−(2−ヒドロキシエチル)ベンジル]フェニル]−D−グルシトールを用いて、参考例21と同様の方法で淡黄色の油状物質として粗表題化合物(0.230g)を得た。
【0174】
参考例28
(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[2−(ベンジルオキシ)−5−(4−ブロモベンジル)−4−メチルフェニル]−D−ガラクシトール(galactitol)の製造
【0175】
【化47】

【0176】
2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−D−グルコノ−1,5−ラクトンの代わりに2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−D−ガラクトノ−1,5−ラクトンを用いて参考例2と同様な方法で表題化合物を合成した。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-D) δ ppm 2.12 (s, 3 H) 3.32 - 3.81 (m, 4 H) 3.86 (s, 2 H) 4.07 (t, J=10.72 Hz, 3 H) 4.32 - 4.47 (m, 2 H) 4.49 - 4.80 (m, 5 H) 4.93 - 5.07 (m, 3 H) 6.72 (s, 1 H) 6.80 - 7.01 (m, 4 H) 7.06 - 7.46 (m, 26 H) .ESI m/z = 911 (M+Na). 913(M+2+Na).
参考例29
(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−(2−(ベンジルオキシ)−5−[4−[(1E)−3−カルボキシプロパ−1−エン−1−イル]ベンジル]−4−メチルフェニル)−D−ガラクシト−ルの製造
【0177】
【化48】

【0178】
(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[2−(ベンジルオキシ)−5−(4−ブロモベンジル)−4−メチルフェニル]−D−ガラクシトール(918mg、1.03mmol)から参考例3と同様な方法で、表題化合物(377mg、41%)を淡黄色のアモルファス化合物として得た。
実施例
本発明の化合物を以下の実施例及び試験例にてさらに詳しく説明するが、これらは、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。

実施例1
(1S)−1,5−アンヒドロ−1−[2−ヒドロキシ−5−[4−[4−[(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)アミノ]−4−オキソブチル]ベンジル]−4−メチルフェニル]−D−グルシト−ルの製造
【0179】
【化49】

【0180】
(1)(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[2−(ベンジルオキシ)−5−[4−[(1E)−4−[(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)アミノ]−4−オキソブタ−1−エン−1−イル]ベンジル]−4−メチルフェニル]−D−グルシト−ルの製造
(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[2−(ベンジルオキシ)−5−[4−[(1E)−3−カルボキシプロパ−1−エン−1−イル]ベンジル]−4−メチルフェニル]−D−グルシト−ル(200mg、0.223mmol)のクロロホルム(2.2mL)溶液に2−アミノ−2−メチル−1−プロパノ−ル(40mg、0.446mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾ−ル(33mg、0.245mmol)、WSC(60mg、0.312mmol)を加え、室温にて一晩攪拌した。反応液に水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層をブラインで洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を炉別後、溶媒を減圧下留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(ヘキサン:酢酸エチル=5:1〜1:2)で精製し、橙黄色の油状化合物として表題化合物(120mg、56%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-D) δ ppm 1.26 (s, 6 H) 2.19 (s, 3 H) 3.11 (d, J=7.46 Hz, 2 H) 3.54 − 3.63 (m, 3 H) 3.67 − 3.85 (m, 5 H) 3.89 − 4.05 (m, 3 H) 4.40 − 4.68 (m, 4 H) 4.81 − 4.95 (m, 3 H) 5.00 (s, 2 H) 5.60 (s, 1 H) 6.08 − 6.21 (m, 1 H) 6.45 (d, J=15.54 Hz, 1 H) 6.75 (s, 1 H) 6.89 − 6.97 (m, 2 H) 7.03 (d, J=7.93 Hz, 2 H) 7.11 − 7.45 (m, 26 H).
ESI m/z = 988.5(M+Na).
(2)(1S)−1,5−アンヒドロ−1−[2−ヒドロキシ−5−[4−[4−[(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)アミノ]−4−オキソブチル]ベンジル]−4−メチルフェニル]−D−グルシト−ルの製造
(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[2−(ベンジルオキシ)−5−[4−[(1E)−4−[(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)アミノ]−4−オキソブタ−1−エン−1−イル]ベンジル]−4−メチルフェニル]−D−グルシト−ル(120mg、0.124mmol)のメタノ−ル(1.2mL)溶液に10%パラジウム−活性炭素(22mg)を加え、水素雰囲気下、室温にて一晩攪拌した。反応液をセライトろ過後、減圧下留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(クロロホルム:メタノ−ル=20:1〜5:1)にて精製し、無色粉末として表題化合物(58mg、90%)を得た。NMRデ−タ及びMSデ−タを表1に示す。
【0181】
実施例2
(1S)−1,5−アンヒドロ−1−[2−ヒドロキシ−5−[4−[4−[[2−ヒドロキシ−1−(ヒドロキシメチル)−1−メチルエチル]アミノ]−4−オキソブチル]ベンジル]−4−メチルフェニル]−D−グルシト−ルの製造
【0182】
【化50】

【0183】
(1)(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[2−(ベンジルオキシ)−5−[4−[(1E)−4−[[2−ヒドロキシ−1−(ヒドロキシメチル)−1−メチルエチル]アミノ]−4−オキソブタ−1−エン−1−イル]ベンジル]−4−メチルフェニル]−D−グルシト−ルの製造
2−アミノ−2−メチル−1−プロパノ−ルの代わりに2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオ−ルを用いて実施例1(1)と同様の方法で無色油状の化合物として表題化合物(91mg、44%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-D) δ ppm 1.19 (s, 3 H) 2.20 (s, 3 H) 3.15 (d, J=6.06 Hz, 2 H) 3.49 − 3.83 (m, 10 H) 3.87 − 4.04 (m, 3 H) 4.37 − 4.67 (m, 4 H) 4.80 − 4.94 (m, 3 H) 5.00 (s, 2 H) 6.00 − 6.23 (m, 2 H) 6.40 − 6.52 (m, 1 H) 6.75 (s, 1 H) 6.93 (dd, J=7.38, 1.94 Hz, 2 H) 7.03 (d, J=8.24 Hz, 2 H) 7.11 − 7.35 (m, 24 H) 7.35 − 7.46 (m, 2 H).
ESI m/z = 1004.5(M+Na).
(2)(1S)−1,5−アンヒドロ−1−[2−ヒドロキシ−5−[4−[4−[[2−ヒドロキシ−1−(ヒドロキシメチル)−1−メチルエチル]アミノ]−4−オキソブチル]ベンジル]−4−メチルフェニル]−D−グルシト−ルの製造
(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[2−(ベンジルオキシ)−5−[4−[(1E)−4−[[2−ヒドロキシ−1−(ヒドロキシメチル)−1−メチルエチル]アミノ]−4−オキソブタ−1−エン−1−イル]]ベンジル]−4−メチルフェニル]−D−グルシトール(91mg、0.0926mmol)のメタノール(1mL)溶液に10%パラジウム−活性炭素(16mg)を加え、水素雰囲気下、室温にて一晩攪拌した。反応液をセライトろ過後、減圧下留去し得られた残渣をメタノール(1mL)に溶解し、20%水酸化パラジウム(91mg)を加え、水素雰囲気下、室温にて2日間攪拌した。反応液をセライトろ過後、減圧下留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(クロロホルム:メタノール=5:1)にて精製し、無色粉末として表題化合物(32mg、65%)を得た。NMRデ−タ及びMSデ−タを表1に示す。
【0184】
実施例3
(1S)−1,5−アンヒドロ−1−[2−ヒドロキシ−5−[4−[4−[[2−ヒドロキシ−1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]アミノ]−4−オキソブチル]ベンジル]−4−メチルフェニル]−D−グルシト−ルの製造
【0185】
【化51】

【0186】
(1)(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[2−(ベンジルオキシ)−5−[4−[(1E)−4−[[2−ヒドロキシ−1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]アミノ]−4−オキソブタ−1−エン−1−イル]ベンジル]−4−メチルフェニル]−D−グルシト−ルの製造
2−アミノ−2−メチル−1−プロパノ−ルの代わりにトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを用いて実施例1(1)と同様の方法で淡黄色粉末として表題化合物(151mg、55%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-D) δ ppm 2.22 (s, 3 H) 3.18 (dd, J=7.15, 1.09 Hz, 2 H) 3.43 − 3.81 (m, 12 H) 3.87 − 4.02 (m, 3 H) 4.36 − 4.67 (m, 4 H) 4.80 − 4.93 (m, 3 H) 5.00 (s, 2 H) 6.10 − 6.22 (m, 1 H) 6.47 (d, J=15.85 Hz, 1 H) 6.68 (s, 1 H) 6.75 (s, 1 H) 6.93 (d, J=5.91 Hz, 2 H) 7.03 (d, J=8.08 Hz, 2 H) 7.10 − 7.35 (m, 24 H) 7.36 − 7.44 (m, 2 H).
ESI m/z = 998.5(M+H).
(2)(1S)−1,5−アンヒドロ−1−[2−ヒドロキシ−5−[4−[4−[[2−ヒドロキシ−1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]アミノ]−4−オキソブチル]ベンジル]−4−メチルフェニル]−D−グルシト−ルの製造
実施例2(2)と同様の方法で無色粉末として表題化合物(60mg、76%)を得た。NMRデ−タ及びMSデ−タを表1に示す。
【0187】
実施例4
(1S)−1−[5−[4−[4−[(2−アミノ−1,1−ジメチル−2−オキソエチル)アミノ]−4−オキソブチル]ベンジル]−2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル]−1,5−アンヒドロ−D−グルシト−ルの製造
【0188】
【化52】

【0189】
(1)(1S)−1−[5−[4−[(1E)−4−[(2−アミノ−1,1−ジメチル−2−オキソエチル)アミノ]−4−オキソブタ−1−エン−1−イル]ベンジル]−2−(ベンジルオキシ)−4−メチルフェニル]−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−D−グルシト−ルの製造
2−アミノ−2−メチル−1−プロパノ−ルの代わりに2−アミノ−2−メチルプロピオンアミドを用いて実施例1(1)と同様の方法で淡黄色粉末として表題化合物(75mg、42%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-D) δ ppm 1.55 (s, 3 H) 1.57 (s, 3 H) 2.19 (s, 3 H) 3.12 (dd, J=7.38, 1.17 Hz, 2 H) 3.53 − 3.87 (m, 6 H) 3.89 − 4.05 (m, 3 H) 4.39 − 4.54 (m, 2 H) 4.57 − 4.66 (m, 2 H) 4.81 − 4.94 (m, 3 H) 5.00 (s, 2 H) 6.08 − 6.23 (m, 2 H) 6.46 (d, J=16.01 Hz, 1 H) 6.75 (s, 1 H) 6.93 (dd, J=7.07, 1.79 Hz, 2 H) 7.03 (d, J=8.24 Hz, 2 H) 7.10 − 7.35 (m, 24 H) 7.36 − 7.45 (m, 2 H).
ESI m/z = 1001.5(M+Na).
(2)(1S)−1−[5−[4−[4−[(2−アミノ−1,1−ジメチル−2−オキソエチル)アミノ]−4−オキソブチル]ベンジル]−2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル]−1,5−アンヒドロ−D−グルシト−ルの製造
(1S)−1−[5−(4−[(1E)−4−[(2−アミノ−1,1−ジメチル−2−オキソエチル)アミノ]−4−オキソブタ−1−エン−1−イル]ベンジル)−2−(ベンジルオキシ)−4−メチルフェニル]−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−D−グルシトール(75mg、0.0765mmol)のメタノール(1mL)溶液に20%水酸化パラジウム(15mg) を加え、水素雰囲気下、室温にて一晩攪拌した。反応液をセライトろ過後、減圧下留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(クロロホルム:メタノール=5:1、酢酸エチル:エタノール:水=20:2:1)にて精製し、無色粉末として表題化合物(32mg、79%)を得た。NMRデ−タ及びMSデ−タを表1に示す。
【0190】
実施例5
(1S)−1−[5−[4−[3−[[アミノ(イミノ)メチル]アミノ]プロピル]ベンジル]−2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル]−1,5−アンヒドロ−D−グルシトールの製造
【0191】
【化53】

【0192】
(1)(1S)−1−[5−[4−[(1E)−3−[[ベンジルオキシカルボニルアミノ(ベンジルオキシカルボニルイミノ)メチル]アミノ]プロパ−1−エン−1−イル]ベンジル]−2−(ベンジルオキシ)−4−メチルフェニル]−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−D−グリシト−ルの製造
(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[2−(ベンジルオキシ)−5−(4−ブロモベンジル)−4−メチルフェニル]−D−グルシト−ル(271mg、0.305mmol)のアセトニトリル(3mL)溶液にジベンジル[(Z)−(アリルアミノ)メチルイリデン]ビスカルバメ−ト(335mg、0.914mmol)、酢酸パラジウム(II)(18mg、0.0791mmol)、トリ−O−トリルホスフィン(61mg、0.201mmol)、トリエチルアミン(154mg、1.52mmol)を加え、biotage社製マイクロウェ−ブを用いて120℃、20分間反応を行った。反応液を減圧下留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)にて精製し、淡黄色アモルファスとして表題化合物(163mg、46%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-D) δ ppm 2.18 (s, 3 H) 3.53 − 3.86 (m, 6 H) 3.91 (s, 1 H) 4.00 (d, J=11.04 Hz, 1 H) 4.19 (t, J=5.75 Hz, 2 H) 4.38 − 4.55 (m, 2 H) 4.57 − 4.67 (m, 2 H) 4.80 − 4.95 (m, 3 H) 5.00 (s, 2 H) 5.10 − 5.20 (m, 4 H) 6.03 − 6.16 (m, 1 H) 6.41 − 6.52 (m, 1 H) 6.75 (s, 1 H) 6.92 (dd, J=7.31, 1.71 Hz, 2 H) 7.01 (d, J=8.08 Hz, 2 H) 7.07 − 7.44 (m, 37 H) 8.38 − 8.45 (m, 1 H) 11.77 (s, 1 H)
ESI m/z = 1176(M+H).
(2)(1S)−1−[5−[4−[3−[[アミノ(イミノ)メチル]アミノ]プロピル]ベンジル]−2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル]−1,5−アンヒドロ−D−グルシトールの製造
(1S)−1−[5−[4−[(1E)−3−[[ベンジルオキシカルボニルアミノ(ベンジルオキシカルボニルイミノ)メチル]アミノ]プロパ−1−エン−1−イル]ベンジル]−2−(ベンジルオキシ)−4−メチルフェニル]−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−D−グリシトール(154mg、0.131mmol)のメタノール(2.6mL)−酢酸エチル(1.3mL)混合溶液に20%水酸化パラジウム(160mg)を加え、水素雰囲気下、室温にて一晩攪拌した。反応液をセライトろ過後、減圧下留去し得られた残渣をメタノール(1.5mL)に溶かし、20%水酸化パラジウム(63mg) を加え、水素雰囲気下、室温にて2日間攪拌した。反応液をセライトろ過後、減圧下留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(酢酸エチル:エタノール:水=10:2:1〜5:2:1〜エタノール:水=10:1)にて精製し、無色粉末として表題化合物(38mg、63%)を得た。NMRデ−タ及びMSデ−タを表1に示す。
【0193】
実施例6
(1S)−1,5−アンヒドロ−1−[2−ヒドロキシ−4−メチル−5−[4−[3−[[(4−メチルピペラジン−1−イル)カルボニル]アミノ]プロピル]ベンジル]フェニル]−D−グルシトールの製造
【0194】
【化54】

【0195】
(1)(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[2−(ベンジルオキシ)−4−メチル−5−[4−[(1E)−3−[[(4−メチルピペラジン−1−イル)カルボニル]アミノ]プロパ−1−エン−1−イル]ベンジル]フェニル]−D−グリシトールの製造
ジベンジル[(Z)−(アリルアミノ)メチルイリデン]ビスカルバメートの代わりにN−アリル−4−メチルピペラジン−1−カルボキシアミドを用いて実施例5(1)と同様の方法で淡黄色の油状化合物として表題化合物(180mg、54%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-D) δ ppm 2.18 (s, 3 H) 2.23 - 2.64 (m, 5 H) 3.31 - 3.86 (m, 11 H) 3.91 (s, 2 H) 3.95 - 4.07 (m, 2 H) 4.36 - 4.55 (m, 3 H) 4.55 - 4.66 (m, 2 H) 4.77 - 4.95 (m, 4 H) 5.00 (s, 2 H) 6.05 - 6.23 (m, 1 H) 6.38 - 6.50 (m, 1 H) 6.74 (s, 1 H) 6.92 (dd, J=8.24, 1.24 Hz, 2 H) 7.03 (t, J=6.99 Hz, 2 H) 7.08 - 7.36 (m, 25 H) 7.37 - 7.46 (m, 2 H)
ESI m/z = 992(M+H).
(2)(1S)−1,5−アンヒドロ−1−[2−ヒドロキシ−4−メチル−5−[4−[3−[[(4−メチルピペラジン−1−イル)カルボニル]アミノ]プロピル]ベンジル]フェニル]−D−グルシトールの製造
実施例5(2)と同様の方法で無色粉末として表題化合物(51mg、53%)を得た。NMRデ−タ及びMSデ−タを表1に示す。
【0196】
実施例7
(1S)−1−[5−[4−[4−[(3−アミノプロピル)アミノ]−4−オキソブチル]ベンジル]−2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル]−1,5−アンヒドロ−D−グルシトールの製造
【0197】
【化55】

【0198】
(1)(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[2−(ベンジルオキシ)−5−[4−[(1E)−4−[[3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]プロピル]アミノ]−4−オキソブタ−1−エン−1−イル]ベンジル]−4−メチルフェニル]−D−グリシトールの製造
ジベンジル[(Z)−(アリルアミノ)メチルイリデン]ビスカルバメートの代わりにtert−ブチル [3−(ブタ−3−エノイルアミノ)プロピル]カルバメートを用いて実施例5(1)と同様の方法で無色の油状化合物として表題化合物(200mg、56%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-D) δ ppm 1.40 (s, 9 H) 1.49 - 1.67 (m, 2 H) 2.18 (s, 3 H) 3.05 - 3.20 (m, 4 H) 3.29 (q, J=6.32 Hz, 2 H) 3.50 - 3.85 (m, 6 H) 3.91 (s, 2 H) 4.00 (d, J=10.72 Hz, 1 H) 4.37 - 4.56 (m, 2 H) 4.56 - 4.67 (m, 2 H) 4.78 - 4.95 (m, 4 H) 5.00 (s, 2 H) 6.10 - 6.37 (m, 2 H) 6.46 (d, J=15.70 Hz, 1 H) 6.74 (s, 1 H) 6.88 - 6.96 (m, 2 H) 7.02 (d, J=8.24 Hz, 2 H) 7.10 - 7.33 (m, 25 H) 7.37 - 7.44 (m, 2 H).
ESI m/z = 1073(M+Na).
(2)(1S)−1−[5−[4−[(1E)−4−[(3−アミノプロピル)アミノ]−4−オキソブチル−1−エン−1−イル]ベンジル]−2−(ベンジルオキシ)−4−メチルフェニル]−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−D−グルシトールの製造
(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[2−(ベンジルオキシ)−5−[4−[(1E)−4−[[3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]プロピル]アミノ]−4−オキソブタ−1−エン−1−イル]ベンジル]−4−メチルフェニル]−D−グリシトール(200mg、0.190mmol)の酢酸エチル(2mL)溶液に氷冷下、4M塩酸/酢酸エチル溶液を加え室温で2日間攪拌した。反応溶液に酢酸エチルと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、有機層を分離して、有機層を水、ブラインで洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を炉別後、溶媒を減圧下留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(クロロホルム:メタノール=5:1〜酢酸エチル:エタノール:水=5:2:1)で精製した。淡黄色の油状化合物として表題化合物(54mg、30%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-D) δ ppm 1.83 - 1.98 (m, 2 H) 2.17 (s, 3 H) 2.87 - 3.03 (m, 2 H) 3.03 - 3.20 (m, 2 H) 3.26 - 3.40 (m, 2 H) 3.51 - 3.83 (m, 6 H) 3.89 (s, 2 H) 4.00 (d, J=10.57 Hz, 1 H) 4.38 - 4.54 (m, 2 H) 4.54 - 4.66 (m, 2 H) 4.80 - 4.94 (m, 3 H) 4.99 (s, 2 H) 6.06 - 6.22 (m, 1 H) 6.37 - 6.62 (m, 2 H) 6.74 (s, 1 H) 6.91 (dd, J=6.92, 1.63 Hz, 2 H) 7.01 (d, J=8.08 Hz, 2 H) 7.07 - 7.35 (m, 25 H) 7.35 - 7.47 (m, 4 H).
ESI m/z = 951(M+H).
(3)(1S)−1−[5−[4−[4−[(3−アミノプロピル)アミノ]−4−オキソブチル]ベンジル]−2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル]−1,5−アンヒドロ−D−グルシトールの製造
実施例5(2)と同様の方法で無色アモルファスとして表題化合物(1mg、3.5%)を得た。NMRデ−タ及びMSデ−タを表1に示す。
【0199】
実施例8
(1S)−1,5−アンヒドロ−1−[5−[4−[3−[[(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)アミノカルボニル]アミノ]プロピル]ベンジル]−2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル]−D−グルシト−ルの製造
【0200】
【化56】

【0201】
(1)(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[5−[4−[(1E)−3−[[(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)アミノカルボニル]アミノ]プロパ−1−エン−1−イル]ベンジル]−2−(ベンジルオキシ)−4−メチルフェニル]−D−グルシト−ルの製造
(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[2−(ベンジルオキシ)−5−(4−ブロモベンジル)−4−メチルフェニル]−D−グルシトール(0.48g、0.539mmol)のアセトニトリル(5.4mL)溶液にN−アリル−N’−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)ウレア(223mg、1.29mmol)、酢酸パラジウム(II)(24mg、0.108mmol)、トリ−O−トリルホスフィン(66mg、0.216mmol)、トリエチルアミン(273mg、2.69mmol)を加え、Biotage社製マイクロウェ−ブを用いて120℃で20分間攪拌した。反応溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(クロロホルム〜クロロホルム:メタノ−ル=50:1)にて精製し淡黄色アモルファスとして表題化合物(210mg、40%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-D) δ ppm 1.26 (s, 6 H) 2.19 (s, 3 H) 3.45 - 4.13 (m, 13 H) 4.31 - 4.69 (m, 6 H) 4.77 - 5.06 (m, 5 H) 5.98 - 6.18 (m, 1 H) 6.44 (d, J=15.85 Hz, 1 H) 6.74 (s, 1 H) 6.86 - 7.48 (m, 31 H)
ESI m/z = 982 (M+H).
(2)(1S)−1−[2−(アセトキシ)−5−[4−[3−[[[[2−(アセトキシ)−1,1−ジメチルエチル]アミノ]カルボニル]アミノ]プロピル]ベンジル]−4−メチルフェニル]−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−D−グルシト−ルの製造
(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[5−[4−[(1E)−3−[[(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)アミノカルボニル]アミノ]プロパ−1−エン−1−イル]ベンジル]−2−(ベンジルオキシ)−4−メチルフェニル]−D−グルシト−ル(210mg、0.214mmol)のエタノール(3mL)溶液に20%水酸化パラジウム(210mg)を加え、水素雰囲気下、室温にて一晩攪拌した。反応液をセライトろ過後、溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(クロロホルム:メタノール=5:1)にて精製し、無色粉末状物質(83mg)を得た。この物質のピリジン(1mL)溶液に無水酢酸(0.25mL)を加え室温にて一晩攪拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、有機層を酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を濾過後、溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(ヘキサン:酢酸エチル=2:3〜1:2)にて精製し、無色アモルファスとして表題化合物(70mg)を得た。
(3)(1S)−1,5−アンヒドロ−1−[5−[4−[3−[[(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)アミノカルボニル]アミノ]プロピル]ベンジル]−2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル]−D−グルシト−ルの製造
(1S)−1−[2−(アセトキシ)−5−[4−[3−[[[[2−(アセトキシ)−1,1−ジメチルエチル]アミノ]カルボニル]アミノ]プロピル]ベンジル]−4−メチルフェニル]−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−D−グルシト−ル(70mg)のメタノール溶液(1mL)にナトリウムメトキシド(1Mメタノール溶液、0.5mL、0.5mmol)を加え、室温で1時間攪拌した。反応液にドライアイスを加え、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(クロロホルム:メタノール=5:1)にて精製し、無色油状の表題化合物(35mg、31%、3工程)を得た。NMRデ−タ及びMSデ−タを表1に示す。
【0202】
実施例9
(1S)−1,5−アンヒドロ−1−[5−[4−[3−[[[2−ヒドロキシ−1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]アミノカルボニル]アミノ]プロピル]ベンジル]−2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル]−D−グルシトールの製造
【0203】
【化57】

【0204】
(1)(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[5−[4−[(1E)−3−[[[2−ヒドロキシ−1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]アミノカルボニル]アミノ]プロパ−1−エン−1−イル]ベンジル]−2−(ベンジルオキシ)−4−メチルフェニル]−D−グルシトールの製造
N−アリル−N’−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)尿素の代わりに、N−アリル−N’−[2−ヒドロキシ−1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]尿素を用いて実施例8(1)と同様の方法で淡黄色のアモルファスとして表題化合物(322mg)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-D) δ ppm 2.19 (s, 3 H) 3.48 - 4.06 (m, 17 H) 4.34 - 5.08 (m, 11 H) 5.98 - 6.11 (m, 1 H) 6.44 (d, J=16.32 Hz, 1 H) 6.74 (s, 1 H) 6.84 - 7.46 (m, 31 H)
ESI/APCl m/z=1014(M+H)
(2)(1S)−1,5−アンヒドロ−1−[5−[4−[2−[[[2−ヒドロキシ−1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]アミノカルボニル]アミノ]プロピル]ベンジル]−2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル]−D−グルシトールの製造
(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[5−[4−[(1E)−3−[[(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)アミノカルボニル]アミノ]プロパ−1−エン−1−イル]ベンジル]−2−(ベンジルオキシ)−4−メチルフェニル]−D−グルシト−ルの代わりに(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[5−[4−[(1E)−3−[[[2−ヒドロキシ−1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]アミノカルボニル]アミノ]プロパ−1−エン−1−イル]ベンジル]−2−(ベンジルオキシ)−4−メチルフェニル]−D−グルシトールを用いて実施例8(2)と同様の方法で無色粉末として表題化合物(60mg)を得た。NMRデ−タ及びMSデ−タを表1に示す。
【0205】
実施例10
(1S)−1,5−アンヒドロ−1−[5−[4−[2−[[(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)アミノカルボニル]アミノ]エチル]ベンジル]−2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル]−D−グルシトールの製造
【0206】
【化58】

【0207】
(1)(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[2−(ベンジルオキシ)−5−[4−[2−[[[(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)アミノ]カルボニル]アミノ]エチル]ベンジル]−4−メチルフェニル]−D−グルシト−ルの製造
クロロギ酸4−ニトロフェニル(0.177g、0.879mmol)とピリジン(0.071mL、0.88mmol)のクロロホルム(3mL)溶液に氷冷下、(1S)-1-[5-[4-(2-アミノエチル)ベンジル]-2-(ベンジルオキシ)−4-メチルフェニル]−1、5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−D−グルシトール(0.250g、0.293mmol)のクロロホルム(3mL)溶液を滴下し、室温で20分攪拌した。その後、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(0.209g、2.344mmol)のクロロホルム(3mL)溶液、およびジメチルスルホキシド(3mL)を加え、同温で一晩攪拌した。反応液に水を加え、有機層を酢酸エチルで抽出後、有機層を水、ブライン(3回)で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を炉別後、溶媒を減圧下留去し得られた残渣をNH型シリカゲルカラムクロマトグラフィ−(クロロホルム)にて精製し、淡黄色の油状化合物として表題化合物(0.184g、65%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-D) δ ppm 1.18 (s, 6 H) 2.21 (s, 3 H) 2.68 (t, J=6.68 Hz, 2 H) 3.21 - 3.37 (m, 2 H) 3.45 - 3.94 (m, 10 H) 4.00 (d, J=10.88 Hz, 1 H) 4.37 - 4.65 (m, 5 H) 4.81 - 5.03 (m, 5 H) 6.75 (s, 1 H) 6.87 - 7.05 (m, 7 H) 7.07 - 7.44 (m, 23 H).
(2)(1S)−1,5−アンヒドロ−1−[5−[4−[2−[[(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)アミノカルボニル]アミノ]エチル]ベンジル]−2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル]−D−グルシトールの製造
(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[2−(ベンジルオキシ)−5−[4−[2−[[[(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)アミノ]カルボニル]アミノ]エチル]ベンジル]−4−メチルフェニル]−D−グルシト−ル(0.184mg、0.190mmol)のメタノ−ル(4mL)溶液に20%水酸化パラジウム(0.180g)を加え、水素雰囲気下、室温にて一晩攪拌した。反応液をセライトろ過後、減圧下留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(クロロホルム:メタノ−ル=17:3)にて精製し、無色粉末として表題化合物(57mg、58%)を得た。NMRデ−タ及びMSデ−タを表1に示す。
【0208】
実施例11
(1S)−1,5−アンヒドロ−1−[5−[4−[2−[[[2−ヒドロキシ−1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]アミノカルボニル]アミノ]エチル]ベンジル]−2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル]−D−グルシトールの製造
【0209】
【化59】

【0210】
(1)(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[2−(ベンジルオキシ)−5−[4−[2−[[[[2−ヒドロキシ−1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]アミノ]カルボニル]アミノ]エチル]ベンジル]−4−メチルフェニル]−D−グルシト−ルの製造
2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールの代わりにトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを用いて実施例10(1)と同様の方法で淡黄色のアモルファスとして表題化合物(251mg)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-D) δ ppm 2.22 (s, 3 H) 2.68 (t, J=6.61 Hz, 2 H) 3.24 - 3.35 (m, 2 H) 3.41 - 3.99 (m, 14 H) 4.00 (d, J=10.88 Hz, 1 H) 4.38 - 4.70 (m, 5 H) 4.79 - 5.03 (m, 5 H) 5.27 (s, 1 H) 6.76 (s, 1 H) 6.87 - 7.44 (m, 30 H).
(2)(1S)−1,5−アンヒドロ−1−[5−[4−[2−[[[2−ヒドロキシ−1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]アミノカルボニル]アミノ]エチル]ベンジル]−2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル]−D−グルシトールの製造
(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[2−(ベンジルオキシ)−5−[4−[2−[[[(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)アミノ]カルボニル]アミノ]エチル]ベンジル]−4−メチルフェニル]−D−グルシト−ルの代わりに(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[2−(ベンジルオキシ)−5−[4−[2−[[[[2−ヒドロキシ−1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]アミノ]カルボニル]アミノ]エチル]ベンジル]−4−メチルフェニル]−D−グルシト−ルを用いて実施例10(2)と同様の方法で無色粉末として表題化合物(85mg)を得た。NMRデ−タ及びMSデ−タを表1に示す。
【0211】
実施例12
(1S)−1,5−アンヒドロ−1−[5−[4−[2−[[[1−[1−(4−メチルピペラジン−1−イル)カルボニル]−1−(メチル)エチル]アミノカルボニル]アミノ]エチル]ベンジル]−2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル]−D−グルシトールの製造
【0212】
【化60】

【0213】
(1)(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[2−(ベンジルオキシ)−5−[4−[2−[[[[1−[1−(4−メチルピペラジン−1−イル)カルボニル]−1−(メチル)エチル]アミノ]カルボニル]アミノ]エチル]ベンジル]−4−メチルフェニル]−D−グルシト−ルの製造
2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールの代わりに2−メチル−1−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1−オキソプロパン−2−アミンを用いて実施例10(1)と同様の方法で淡黄色のアモルファスとして表題化合物(326mg)を得た。
1H NMR (300 MHz, CHLOROFORM-D) δ ppm 1.41 (s, 6 H) 2.20 (s, 3 H) 2.26 (s, 3 H) 2.31 - 2.37 (m, 4 H) 2.70 (t, J=6.84 Hz, 2 H) 3.29 - 3.41 (m, 2 H) 3.50 - 3.94 (m, 12 H) 4.00 (d, J=10.88 Hz, 1 H) 4.37 - 4.67 (m, 5 H) 4.81 - 5.02 (m, 5 H) 6.75 (s, 1 H) 6.88 - 7.44 (m, 30 H).
(2)(1S)−1,5−アンヒドロ−1−[5−[4−[2−[[[1−[1−(4−メチルピペラジン−1−イル)カルボニル]−1−(メチル)エチル]アミノカルボニル]アミノ]エチル]ベンジル]−2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル]−D−グルシトールの製造
(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[2−(ベンジルオキシ)−5−[4−[2−[[[(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)アミノ]カルボニル]アミノ]エチル]ベンジル]−4−メチルフェニル]−D−グルシト−ルの代わりに(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[2−(ベンジルオキシ)−5−[4−[2−[[[[1−[1−(4−メチルピペラジン−1−イル)カルボニル]−1−(メチル)エチル]アミノ]カルボニル]アミノ]エチル]ベンジル]−4−メチルフェニル]−D−グルシト−ルを用いて実施例10(2)と同様の方法で無色粉末として表題化合物(35mg)を得た。NMRデ−タ及びMSデ−タを表1に示す。
【0214】
実施例13
(1S)−1,5−アンヒドロ−1−[5−[4−[2−[[[2−ヒドロキシ−1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]アミノカルボニル]アミノ]エトキシ]−2−メチルベンジル]−2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル]−D−グルシトールの製造
【0215】
【化61】

【0216】
1,1′−カルボニルジイミダゾール(14mg、0.089mmol)のクロロホルム溶液(0.5mL)に、(1S)−1−[5−[4−(2−アミノエトキシ)−2−メチルベンジル]−2−(ベンジルオキシ)−4−メチルフェニル]−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−D−グルシトール(52mg、0.059mmol)のクロロホルム溶液(1.5mL)とN−メチルモルホリン(9mg)を加え、室温で15分攪拌した。次に、反応液にトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(21mg、0.177mmol)とN,N−ジメチルホルムアミド(2mL)を加え、反応混合物を60℃で1.5時間攪拌した。室温に冷却後、酢酸エチルを加え、これを水、1M塩酸、ブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を炉別後、溶媒を減圧下留去し、60mgの残渣を得た。
【0217】
得られた残渣をメタノール(1mL)に溶解し、20%水酸化パラジウム(15mg) を加え、水素雰囲気下、室温にて2時間攪拌した。反応液をセライトろ過後、減圧下留去し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(酢酸エチル:エタノール:水=10:2:1)にて精製し、無色粉末の表題化合物(30mg、86%)を得た。NMRデ−タ及びMSデ−タを表1に示す。
【0218】
実施例14
(1S)−1,5−アンヒドロ−1−[4−クロロ−5−[4−[2−[[[2−ヒドロキシ−1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]アミノカルボニル]アミノ]エチル]ベンジル]−2−ヒドロキシフェニル]−D−グルシトールの製造
【0219】
【化62】

【0220】
1,1′−カルボニルジイミダゾール(10.8mg、0.0669mmol)のクロロホルム溶液(1mL)に、(1S)−1−[5−[4−(2−アミノエチル)ベンジル]−2−(ベンジルオキシ)−4-クロロフェニル]−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−D−グルシトール(39.0mg、0.0446mmol)のクロロホルム溶液(1mL)とN−メチルモルホリン(7.36μL)を加え、室温で10分攪拌した。次に、反応液にトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(16.2mg、0.134mmol)とN,N−ジメチルホルムアミド(1mL)を加え、反応混合物を60℃で2時間攪拌した。室温に冷却後、酢酸エチルを加え、これを水、1M塩酸、ブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を炉別後、溶媒を減圧下留去し、41.2mgの残渣を得た。
【0221】
得られた残渣(22.3mg、0.022mmol)をクロロホルム(250μL)とエタンチオール(250μL)に溶解し、氷冷にてBF・EtO(50μL)を加え、同温で2時間攪拌した。溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(酢酸エチル:エタノール:水=10:2:1〜メタノール)にて精製し、無色のアモルファスとして表題化合物(10.8mg、86%)を得た。NMRデ−タ及びMSデ−タを表1に示す。
【0222】
実施例15
(1S)−1,5−アンヒドロ−1−[5−[4−[2−[[[2−ヒドロキシ−1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]アミノカルボニル]アミノ]エチル]ベンジル]−2−ヒドロキシフェニル]−D−グルシトールの製造
【0223】
【化63】

【0224】
(1S)−1−[5−[4−(2−アミノエトキシ)−2−メチルベンジル]−2−(ベンジルオキシ)−4−メチルフェニル]−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−D−グルシトールの代わりに(1S)−1−[5−[4−(2−アミノエチル)ベンジル]−2−(ベンジルオキシ)−4-クロロフェニル]−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−D−グルシトールを用いて実施例13と同様の方法で無色の油状化合物として表題化合物(8.5mg、93%)を得た。NMRデ−タ及びMSデ−タを表1に示す。
【0225】
実施例16
(1S)−1,5−アンヒドロ−1−[3−[4−[2−[[[2−ヒドロキシ−1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]アミノカルボニル]アミノ]エチル]ベンジル]フェニル]−D−グルシトールの製造
【0226】
【化64】

【0227】
(1S)−1−[5−[4−(2−アミノエトキシ)−2−メチルベンジル]−2−(ベンジルオキシ)−4−メチルフェニル]−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−D−グルシトールの代わりに(1S)−1−[3−[4−(2−アミノエチル)ベンジル]−4−クロロフェニル]−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−D−グルシトールを用いて、実施例13と同様の方法で、粗表題化合物とした後、HPLC(0.025%酢酸水溶液:アセトニトリル=3:1、YMC−Pack ODS-AM 150×10mmI.D.,5.0mL/min.,λ=210nM)を用いて精製を行い、無色アモルファスとして表題化合物(13mg、15%)を得た。NMRデ−タ及びMSデ−タを表1に示す。
【0228】
実施例17
(1S)−1,5−アンヒドロ−1−[4−クロロ−3−[4−[2−[[[2−ヒドロキシ−1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]アミノカルボニル]アミノ]エチル]ベンジル]フェニル]−D−グルシトールの製造
【0229】
【化65】

【0230】
(1S)−1−[5−[4−(2−アミノエチル)ベンジル]−2−(ベンジルオキシ)−4-クロロフェニル]−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−D−グルシトールの代わりに(1S)−1−[3−[4−(2−アミノエチル)ベンジル]−4−クロロフェニル]−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−D−グルシトールを用いて、実施例14と同様の方法で、粗表題化合物とした後、HPLC(0.025%酢酸水溶液:アセトニトリル=7:3、Waters Sunfire PrepC、150×19mmI.D.,8.0mL/min.,λ=210nM)を用いて精製を行い、無色アモルファスとして表題化合物(12mg、17%)を得た。
NMRデ−タ及びMSデ−タを表1に示す。
【0231】
実施例18
(1S)−1,5−アンヒドロ−1−[2−ヒドロキシ−5−[4−[4−[[2−ヒドロキシ−1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]アミノ]−4−オキソブチル]ベンジル]−4−メチルフェニル]−D−ガラクシト−ルの製造
【0232】
【化66】

【0233】
実施例3と同様な方法で、(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−ベンジル−1−[2−(ベンジルオキシ)−5−[4−[(1E)−3−カルボキシプロパ−1−エン−1−イル]ベンジル]−4−メチルフェニル]−D−ガラクシト−ル(199mg、0.222mmol)から無色粉末の表題化合物(37mg、47%)を得た。NMRデ−タ及びMSデ−タを表1に示す。
【0234】
また、化合物19〜36も相当する原料から参考例および実施例に準じて合成した。
【0235】
【表1−1】

【0236】
【表1−2】

【0237】
【表1−3】

【0238】
【表1−4】

【0239】
【表1−5】

【0240】
【表1−6】

【0241】
【表1−7】

【0242】
実施例11−1(実施例11の化合物の別製造法)
(1S)−1,5−アンヒドロ−1−[5−[4−[2−[[[2−ヒドロキシ−1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]アミノカルボニル]アミノ]エチル]ベンジル]−2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル]−D−グルシトールの製造
【0243】
【化67】

【0244】
(1)(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−1−[2−アセトキシ−5−[4−[2−[[[[2−ヒドロキシ−1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]アミノ]カルボニル]アミノ]エチル]ベンジル]−4−メチルフェニル]−D−グルシト−ルの製造
1,1′−カルボニルジイミダゾール(7.30mg、0.045mmol)のクロロホルム溶液(300μL)に、(1S)−1−[5−[4−(2-アミノエチル)ベンジル]−2−アセトキシ−4−メチルフェニル]−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−D−グルシトール(18.4mg、0.030mmol)のクロロホルム溶液(150μL)とN−メチルモルホリン(4.95μL、0.045mmol)を加え、室温で30分攪拌した。次に、反応液にトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(10.9mg、0.09mmol)とN,N−ジメチルホルムアミド(150μL)を加え、反応混合物を60℃で一晩攪拌した。室温に冷却後、酢酸エチルを加え、これを水、1M塩酸、ブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を炉別後、溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(クロロホルム:メタノール =95:5)にて精製し、無色のアモルファスとして表題化合物(7.9mg、35%)を得た。
(2)(1S)−1,5−アンヒドロ−1−[5−[4−[2−[[[2−ヒドロキシ−1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]アミノカルボニル]アミノ]エチル]ベンジル]−2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル]−D−グルシトールの製造
(1S)−1,5−アンヒドロ−2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−1−[2−アセトキシ−5−[4−[2−[[[[2−ヒドロキシ−1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]アミノ]カルボニル]アミノ]エチル]ベンジル]−4−メチルフェニル]−D−グルシト−ル(7.9mg、0.0104mmol)のメタノール(600μL)溶液に、2.5wt.%ナトリウムメトキシドメタノール溶液(34μL、0.015mmol) を加え、室温にて1時間攪拌した。溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(メタノール)にて精製し、無色のアモルファスとして表題化合物(3.0mg、52%)を得た。
【0245】
相当するアミンを用いることで実施例11−1と同じ方法で化合物37乃至188を合成した。
【0246】
【表2−1】

【0247】
【表2−2】

【0248】
【表2−3】

【0249】
【表2−4】

【0250】
【表2−5】

【0251】
【表2−6】

【0252】
【表2−7】

【0253】
【表2−8】

【0254】
【表2−9】

【0255】
【表2−10】

【0256】
【表2−11】

【0257】
【表2−12】

【0258】
【表2−13】

【0259】
【表2−14】

【0260】
【表2−15】

【0261】
【表2−16】

【0262】
【表2−17】

【0263】
【表2−18】

【0264】
【表2−19】

【0265】
【表2−20】

【0266】
【表2−21】

【0267】
また、エチレンジアミン又はN−メチル−1,3−プロパンジアミンを用い、実施例11−1と同様の方法により、化合物(III)において、Rがアミノ基で置換されたアルキル基である化合物を合成することができる。
【0268】
実施例19
(1S)−1,5−アンヒドロ−1−[5−[4−[2−[(4S)−4−(シクロヘキシルメチル)−2,5−ジオキソイミダゾリジン−1−イル]エチル]ベンジル]−2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル]−D−グルシトールの製造
【0269】
【化68】

【0270】
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンの代わりに3−シクロヘキシル−L−アラニンメチルエステル塩酸塩を用いて、実施例11−1と同様の方法で無色の油状化合物として表題化合物(5mg、29%)を得た。
1H NMR (600 MHz, METHANOL-D4) δ ppm 0.81 - 1.00 (m, 2 H) 1.31 (br. s., 3 H) 1.38 - 1.47 (m, 1 H) 1.48 - 1.55 (m, 1 H) 1.56 - 1.78 (m, 4 H) 2.05 (s, 3 H) 2.83 (t, J=7.34 Hz, 2 H) 3.28 - 3.33 (m, 2 H) 3.35 - 3.43 (m, 2 H) 3.46 (t, J=8.71 Hz, 1 H) 3.54 (t, J=9.17 Hz, 1 H) 3.57 - 3.71 (m, 3 H) 3.81 - 3.88 (m, 3 H) 3.96 (dd, J=9.40, 4.36 Hz, 1 H) 4.50 (d, J=10.09 Hz, 1 H) 6.60 (s, 1 H) 7.00 (d, 2 H) 7.04 (d, 2 H) 7.08 (d, J=5.96 Hz, 1 H).
ESI m/z=605(M+Na). 581(M-H).
相当するアミノ酸を用いることで実施例19と同じ方法で化合物190乃至202を合成した。
【0271】
【表3−1】

【0272】
【表3−2】

【0273】
【表3−3】

【0274】
製剤実施例
【0275】
【表4】

【0276】
製造方法
薬物(本発明の化合物)を乳糖一水和物、結晶セルロ−ス、カルボキシメチルセルロ−スカルシウム及びヒドロキシプロピルセルロ−スと混合し、この混合物を粉砕機で粉砕する。粉砕された混合物を撹拌造粒機で1分間混合し、その後、水で4〜8分間造粒する。得られた造粒物を70℃、40分間乾燥する。造粒乾燥末を500μmの篩で篩過する。篩過後の造粒乾燥末とステアリン酸マグネシウムを、V型混合機を用いて30rpmで3分間混合する。ロ−タリ−式打錠機を用いて、得られた打錠用顆粒を圧縮成形し製錠する。
【0277】
【表5】

【0278】
試験例1
(1)ヒトSGLT1及びヒトSGLT2のクロ−ニング並びに発現ベクタ−への導入
ヒト小腸由来mRNAからヒトSGLT1配列(NM_000343)を逆転写の後増幅し、pCMV−tag5A(ストラタジ−ン社)に導入した。また、ヒトSGLT2配列(NM_003041)はヒト腎由来mRNAから同様な方法で調製し、pcDNA3.1+hygro(インビトロジェン社)に導入した。それぞれのクロ−ンの配列が、報告されている配列と一致することを確認した。
(2)ヒトSGLT1及びヒトSGLT2を安定に発現するCHO−k1細胞の作成
ヒトSGLT1及びヒトSGLT2発現ベクタ−を、リポフェクトアミン2000(インビトロジェン社)を用いてCHO−k1細胞へトランスフェクションした。SGLT発現細胞は、500μg/mLの濃度のジェネティシン(SGLT1)又はハイグロマイシンB(SGLT2)の存在下で培養し耐性株を選択し、下記に示す系により糖取り込み比活性を指標に取得した。
(3)細胞におけるナトリウム依存的糖取り込み阻害試験
ヒトSGLT1又はヒトSGLT2を安定に発現する細胞をナトリウム依存的グルコ−ス取り込み活性阻害試験に用いた。
【0279】
細胞を前処理用緩衝液A(SGLT1阻害では200μL、及びSGLT2阻害では2mL)中で20分間インキュベ−ションした。前処理用緩衝液を除去し、試験化合物を含む取り込み用緩衝液B(SGLT1阻害では75μL、及びSGLT2阻害では200μL)を加え、37℃にて30分(SGLT1)又は1時間(SGLT2)取り込み反応を行った。反応後細胞を洗浄用緩衝液C(SGLT1阻害では200μL、及びSGLT2阻害では2mL)で2回洗浄し、0.2M NaOH溶液(SGLT1阻害では75μL、及びSGLT2阻害では400μL)に溶かした。液体シンチレ−タ−を加えよく混和した後、microBETA(SGLT1)または液体シンチレ−ションカウンタ−(ベックマンコ−ルタ−社)(SGLT2)で放射活性を測定した。対照群として試験化合物を含まない取り込み用緩衝液を調製した。また基礎取り込み用としてNaClに代えて塩化コリンを含む取り込み用緩衝液Bを調製した。
・前処理用緩衝液A:140mM 塩化コリン、2mM KCl、1mM CaCl、1mM MgCl、10mM HEPES/5mM Tris、pH7.4
・取り込み用緩衝液B:[14C]メチル α−D−グルコピラノシドを含む1mMのメチル α−D−グルコピラノシド、140mM NaCl、2mM KCl、1mM CaCl、1mM MgCl、10mM HEPES/5mM Tris、pH7.4
・洗浄用緩衝液C:10mM メチル α−D−グルコピラノシド、140mM 塩化コリン、2mM KCl、1mM CaCl、1mM MgCl、10mM HEPES/5mM Tris、pH7.4

IC50値を求めるにあたり、適当な6濃度の試験化合物を用い、対照群の糖取り込み量(100%)に対し、糖取り込み量が50%阻害される試験化合物濃度(IC50値)を算出した。試験結果を表6に示す。
【0280】
【表6】

【0281】
また、試験化合物濃度が100nMにおける、対照群に対する糖取り込み阻害率を表7に示す。
【0282】
【表7】

【0283】
試験例2
ストレプトゾトシン糖尿病モデルラットにおける血糖値上昇抑制作用確認試験
(1)糖尿病モデルラットの作製
7週齢のSD/IGSラット(日本チャールスリバー株式会社,雄性)について約16時間の絶食後、エーテル麻酔下でストレプトゾトシン(STZ)50mg/kgを尾静脈内投与し、糖尿病モデルラットを作製した.同様にエーテル麻酔下,1.25mmol/Lクエン酸生理食塩液1mL/kgを尾静脈内投与し、正常対照ラットを作製した。STZまたは1.25mmol/Lクエン酸生理食塩液投与1週後(8週齢)、経口グルコース負荷試験に供した。
(2)経口グルコース負荷試験
ラットを約16時間の絶食後、薬物投与群には、0.5%カルボキシメチルセルロース(CMC)水溶液に懸濁した薬物(1mg/kg)を,対照群には0.5%CMC水溶液のみ経口投与した。投与5分後に、グルコース溶液(2g/kg)を経口投与し、薬物投与前(0time)、及び、経口投与0.25、0.5、1,2時間後の計5点で採血した。
【0284】
採血は、エーテル麻酔下でラット眼窩静脈洞よりヘパリンコート採血管を用いて行い、遠心分離後、血漿を分取した。血漿中グルコース濃度の定量は、グルコースCIIテストワコー(和光純薬株式会社)を用いて測定した。 血糖値の上昇に対する抑制効果の強度に関して、血糖値曲線下面積(AUC)を、0時間〜1時間(from 0 time to 1 hour time)の薬剤治療したグループの血糖値に基づいて台形法則によって計算した。そして、基底値をAUCから控除して、血糖値下面積の増分(△AUC)として該強度を表し、対照群の△AUCからの低下率(decrease rate)として該強度を表す。
結果を表8に示す。
【0285】
【表8】

【0286】
本発明により、小腸上皮に発現するSGLT1(ナトリウム依存性グルコ−ス共輸送体1)及び腎臓に発現するSGLT2(ナトリウム依存性グルコ−ス共輸送体2)を阻害し、消化管からのグルコ−ス吸収抑制と尿糖排泄作用とを併有するC−フェニル グリシト−ル化合物を有効成分として含む糖尿病の予防又は治療剤を提供することが期待される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)で表されるC−フェニル・グリシト−ル化合物若しくはその製薬学的に許容される塩又はそれらの水和物:
【化1】

式中、
及びRは、同一または異なるものであり、水素原子、水酸基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基又はハロゲン原子を表し、
は、水素原子、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基又はハロゲン原子であり、
Yは、C1−6アルキレン基、−O−(CH−(nは1〜4の整数である)、又はC2−6アルケニレン基である、ただし、Zが−NHC(=NH)NH又は−NHCON(R)Rである場合、nは1でない、
Zは、−CONHR、−NHC(=NH)NH、−NHCON(R)R
【化2】

は、水酸基、アミノ基及びカルバモイル基からなる群より選ばれる1〜3個の置換基で置換されたC1−6アルキル基であり、
は、
(1)水素原子、
(2)A群から選ばれる1〜3個の置換基で置換されても良いC1−6アルキル基、
(3)水酸基及びC1−6ヒドロキシアルキル基から選ばれる1〜3個の置換基で置換されても良いC3−12シクロアルキル基、
(4)3〜12員ヘテロシクロアルキル基又は部分的に飽和されていて良い5〜13員ヘテロアリール基[これらの各々はO、N、S、SO、CO及びNR10(R10は水素原子、C1−6アルキル基、フェニルC1−6アルキル基又はC2−6アルコキシカルボニル基である)からなる群から選ばれる1〜3個の環構成原子を含有し、水酸基及びC1−6ヒドロキシアルキル基から成る群から選ばれる1〜3個の置換基で置換されても良い]、又は
(5)部分的に飽和されていて良いC6−13アリール基[これは、水酸基と、各々が水酸基(単数又は複数)で置換されて良いC1−6アルキル基、フェニルC1−6アルキル基及びC1−6アルキルスルホニル基とから成る群から選ばれる、1若しくは2個の置換基で置換されても良い]であり、
この場合、A群は、ハロゲン原子、水酸基、C1−6アルコキシ基(これは、水酸基(単数又は複数)で置換されて良い)、カルボキシル基、C2−6アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、C1−6アルキルアミノ基、ジC1−6アルキルアミノ基、C2−6アシルアミノ基、C1−6アルキルチオ基(これは、水酸基(単数又は複数)で置換されて良い)、フェノキシ基、フェニル基{これは、B群から選ばれる1〜3個の置換基で置換されても良い[B群は、水酸基、ハロゲン原子、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキル基(これは、水酸基(単数又は複数)で置換されて良い)、C1−6アルキルチオ基、チエニル基、フェニルチオ基(これは、水酸基(単数又は複数)若しくはC1−6ヒドロキシアルキル基(単数又は複数)で置換されて良い)、及びピペリジノ基(これは、水酸基(単数又は複数)若しくはC1−6ヒドロキシアルキル基(単数又は複数)で置換されて良い)から成る]}、C3−12シクロアルキル基(これは、水酸基及びC1−6ヒドロキシアルキル基から成る群から選ばれる1〜3個の置換基で置換されて良い)、3〜12員ヘテロシクロアルキル基又は部分的に飽和されていて良い5〜13員ヘテロアリール基[これらの各々は、O、N、S、SO、CO及びNR10(R10は水素原子、C1−6アルキル基、フェニルC1−6アルキル基又はC2−6アルコキシカルボニル基である)から成る群から選ばれる1〜3個の環構成原子を含有し、水酸基及びC1−6ヒドロキシアルキル基から成る群から選ばれる1〜3個の置換基で置換されても良い]、並びに−CONRB1B2[この場合、RB1とRB2は、それらが付着する窒素原子と共に、5〜6員ヘテロシクロアルキル基を形成する、該5〜6員ヘテロシクロアルキル基は、別の環構成原子として、酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を含有することができ、C1−6アルキル基(これは水酸基(単数又は複数)で置換されても良い)、C2−6アルコキシカルボニル基及びフェニルC1−6アルキル基から成る群から選ばれる1若しくは2個の置換基で置換されうる]から成る、
は、水素原子、C1−6アルキル基(これは、水酸基、ジC1−6アルキルアミノ基、C2−6アルコキシカルボニル基及びC1−6アルコキシ基から成る群から選ばれる1若しくは2個の置換基で置換されても良い)、又はC3−12シクロアルキル基(これは、水酸基(単数又は複数)で置換されても良い)であり、
とRは、それらが付着する窒素原子と共に、3〜12員ヘテロシクロアルキル基又は部分的に飽和されていても良い5〜13員ヘテロアリール基[これらの各々は、O、N、NR11、S、SO及びCOから選ばれる1若しくは2個の環構成原子を含有することができ、水酸基、C2−6アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、C2−6アシル(C1−6アルキル)アミノ基、ジC1−6アルキルアミノカルボニル基、ピロリジニル基、モルホリノ基、ピロリジン−1−イル−カルボニル基、C1−6アルキル基(これは、水酸基、ピロリジン−1−イル基、フェニル基及びC2−6アルコキシカルボニル基から成る群から選ばれる1〜3個の置換基で置換されて良い)、並びにフェニル基(これは、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基及びハロゲン原子から成る群から選ばれる1〜3個の置換基で置換されても良い)から成る群から選ばれる1若しくは2個の置換基で置換されることができ、この場合、R11は、水素原子、C2−6アシル基、フェニル基(これは、水酸基(単数又は複数)で置換されて良い)、ピリジル基、フリルカルボニル基、オキソラニルカルボニル基、C2−6アルコキシカルボニル基、又はC1−6アルキル基(これは、水酸基、フェニル基、ジC1−6アルキルアミノ基、モルホリノ基及びピロリジン−1−イル−カルボニル基から成る群から選ばれる1若しくは2個の置換基で置換されて良い)である]を形成することができる、
は、水素原子又はC1−6アルキル基[これは、水酸基、C3−12シクロアルキル基、フェニル基(これは、水酸基(単数又は複数)で置換されて良い)、ピリジル基、C2−6アルコキシカルボニル基、イミダゾリル基及び1−ベンジルイミダゾリル基から成る群から選ばれる1若しくは2個の置換基で置換されて良い]であり、RDAは、水素原子又はC1−6アルキル基である。
【請求項2】
下記式(II)で示されるC−フェニル・グルシトール化合物若しくはその製薬学的に許容される塩又はそれらの水和物である、請求項1記載のC−フェニル・グリシトール化合物:
【化3】

式中、R、R、R、Y、及びZは請求項1で定義したとおりである。
【請求項3】
が水素原子、水酸基、C1−4アルキル基、又はC1−4アルコキシ基であり、RがC1−4アルキル基、又はハロゲン原子である、請求項2記載のC−フェニル・グリシトール化合物若しくはその製薬学的に許容される塩又はそれらの水和物。
【請求項4】
が水素原子である、請求項2又は3に記載のC−フェニル・グリシトール化合物若しくはその製薬学的に許容される塩又はそれらの水和物。
【請求項5】
YがC1−6アルキレン基又は−O−(CH−(nは2〜4の整数である)であり、Zが−NHCON(R)R(RとRは、請求項1で定義したとおりである)である、請求項3又は4に記載のC−フェニル・グリシトール化合物若しくはその製薬学的に許容される塩又はそれらの水和物。
【請求項6】
YがC1−6アルキレン基又は−O−(CH−(nは2〜4の整数である)であり、Zが−NHCON(R)Rであり、
この場合、R
(1)A群から選ばれる1〜3個の置換基で置換されても良いC1−6アルキル基、
(2)水酸基及びC1−6ヒドロキシアルキル基から選ばれる1〜3個の置換基で置換されても良いC3−12シクロアルキル基、
(3)3〜12員ヘテロシクロアルキル基又は部分的に飽和されていて良い5〜13員ヘテロアリール基[これらの各々はO、N、S及びNR10(R10は水素原子、C1−6アルキル基、フェニルC1−6アルキル基又はC2−6アルコキシカルボニル基である)からなる群から選ばれる1〜3個の環構成原子を含有し、水酸基及びC1−6ヒドロキシアルキル基から成る群から選ばれる1〜3個の置換基で置換されても良い]、又は
(4)部分的に飽和されていて良いC6−13アリール基[これは、水酸基と、各々が水酸基(単数又は複数)で置換されて良いC1−6アルキル基、フェニルC1−6アルキル基及びC1−6アルキルスルホニル基とから成る群から選ばれる、1若しくは2個の置換基で置換されても良い]であり、
この場合、A群は、ハロゲン原子、水酸基、C1−6アルコキシ基(これは、水酸基(単数又は複数)で置換されて良い)、C2−6アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、ジC1−6アルキルアミノ基、C1−6アルキルチオ基(これは、水酸基(単数又は複数)で置換されて良い)、フェノキシ基、チエニル基、ベンゾチエニル基、フリル基、フェニル基[これは、水酸基、ハロゲン原子、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキル基(これは、水酸基(単数又は複数)で置換されて良い)、C1−6アルキルチオ基、フェニルチオ基(これは、水酸基(単数又は複数)若しくはC1−6ヒドロキシアルキル基(単数又は複数)で置換されて良い)、及びピペリジノ基(これは、水酸基(単数又は複数)若しくはC1−6ヒドロキシアルキル基(単数又は複数)で置換されて良い)から成る群から選ばれる1〜3個の置換基で置換されて良い]、C3−12シクロアルキル基(これは、水酸基及びC1−6ヒドロキシアルキル基から成る群から選ばれる1〜3個の置換基で置換されて良い)、3〜12員ヘテロシクロアルキル基[これは、O、N、S及びNR10(R10は水素原子、C1−6アルキル基、フェニルC1−6アルキル基又はC2−6アルコキシカルボニル基である)から成る群から選ばれる1〜3個の環構成原子を含有し、水酸基及びC1−6ヒドロキシアルキル基から成る群から選ばれる1〜3個の置換基で置換されて良い]、並びに4−C1−6アルキルピペラジン−1−イルカルボニル基から成る、
は、水素原子であり、
とRは、それらが付着する窒素原子と共に、ピペリジン基[これは、ピロリジニル基若しくはC1−6アルキル基(これは、ジC1−6アルキルアミノ基若しくはピロリジン−1−イル基で置換される)で置換されうる]、又はチオモルホリン基、又はデカヒドロイソキノリン基を形成することができる、請求項3又は4に記載のC−フェニル・グリシトール化合物若しくはその製薬学的に許容される塩又はそれらの水和物。
【請求項7】
YがC1−6アルキレン基であり、Zが−CONHRであり、この場合、Rは、水酸基及びカルバモイル基から成る群から選ばれる、1〜3個の置換基で置換されるC1−6アルキル基である、請求項2〜4のいずれか1項に記載のC−フェニル・グリシトール化合物若しくはその製薬学的に許容される塩又はそれらの水和物。
【請求項8】
YがC1−6アルキレン基であり、そしてZが−NHC(=NH)NHである、請求項2〜4のいずれか1項に記載のC−フェニル・グリシトール化合物若しくはその製薬学的に許容される塩又はそれらの水和物。
【請求項9】
YがC1−6アルキレン基であり、Zが、
【化4】

が、C1−6アルキル基(これは、C3−12シクロアルキル基若しくはフェニル基で置換される)であり、RDAが水素原子又はC1−6アルキル基である、請求項2〜4のいずれか1項に記載のC−フェニル・グルシトール化合物若しくはその製薬学的に許容される塩又はそれらの水和物。
【請求項10】
下記式(III)で示されるC−フェニル・ガラシトール化合物若しくはその製薬学的に許容される塩又はそれらの水和物である、請求項1記載のC−フェニル・グリシトール化合物:
【化5】

上記式中、
YはC1−6アルキレン基であり、Zが−CONHRであり、この場合、Rは、水酸基及びカルバモイル基から成る群から選ばれる、1〜3個の置換基で置換されるC1−6アルキル基である。
【請求項11】
下記式(IV)で示されるC−フェニル・グルシトール化合物若しくはその製薬学的に許容される塩又はそれらの水和物である、請求項1記載のC−フェニル・グリシトール化合物:
【化6】

上記式中、
YはC1−6アルキレン基であり、Zは、−CONHRA1、−NHC(=NH)NH又は−NHCORB1であり、この場合、RA1は、水酸基、アミノ基及びカルバモニル基から成る群から選択される1〜3個の置換基で置換されるC1−6アルキル基であり、RB1は、1〜3個の水酸基、若しくは4−C1−6アルキルピペラジン−1−イル−カルボニル基で置換されうるC1−6アルキルアミノ基、又は4−C1−6アルキルピペラジン−1−イル基である。
【請求項12】
YがC1−6アルキレン基であり、Zが−CONHRA1又は−NHC(=NH)NH又は
【化7】

[上記式中、RA1は、水酸基、アミノ基及びカルバモニル基から成る群から選択される1〜3個の置換基で置換されるC1−6アルキル基である]
である、請求項11記載のC−フェニル・グリシトール化合物若しくはその製薬学的に許
容される塩、又はそれらの水和物。
【請求項13】
YがC1−6アルキレン基であり、Zが−CONHRA1であり、この場合、RA1は、水酸基、アミノ基及びカルバモニル基から選ばれる1〜3個の置換基で置換されるC1−6アルキル基である、請求項11記載のC−フェニル・グリシトール化合物若しくはその製薬学的に許容される塩、又はそれらの水和物。
【請求項14】
YがC1−6アルキレン基であり、Zが−NHC(=NH)NHである、請求項11記載のC−フェニル・グリシトール化合物若しくはその製薬学的に許容される塩、又はそれらの水和物。
【請求項15】
YがC1−6アルキレン基であり、Zが−NHCORB1(この場合、RB1は、1〜
3個の水酸基、若しくは4−C1−6アルキルピペラジン−1−イル−カルボニル基で置換されるC1−6アルキルアミノ基、又は4−C1−6アルキルピペラジン−1−イル基である)である、請求項11記載のC−フェニル・グリシトール化合物若しくはその製薬学的に許容される塩、又はそれらの水和物。
【請求項16】
YがC1−6アルキレン基であり、Zが
【化8】

で示される、請求項11記載のC−フェニル・グリシト−ル化合物若しくはその製薬学的に許容される塩又はそれらの水和物。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか1項に記載のC−フェニル・グリシト−ル化合物若しくはその製薬学的に許容される塩又はそれらの水和物を有効成分として含む医薬的製剤。
【請求項18】
ナトリウム依存性グルコ−ス共輸送体1(SGLT1)活性及びナトリウム依存性グルコ−ス共輸送体2(SGLT2)活性の阻害剤である、請求項17記載の医薬的製剤。
【請求項19】
糖尿病の予防又は治療剤である、請求項17記載の医薬的製剤。

【公表番号】特表2009−537509(P2009−537509A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−510714(P2009−510714)
【出願日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【国際出願番号】PCT/JP2007/060653
【国際公開番号】WO2007/136116
【国際公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(000002819)大正製薬株式会社 (437)
【Fターム(参考)】