説明

COF用フレキシブルプリント配線板用銅箔

【課題】 エッチング後のポリイミドフィルムの透明性が高い事、ピール強度が高いこと、活性処理液浸漬後に銅箔―ポリイミドフィルム界面に液の侵食がないこと、ピール強度の長期信頼性がある特徴を有したCOF用フレキシブルプリント配線板用銅箔及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 銅箔のポリイミドフィルムに接着される面にモリブデン、タングステン、リン、ゲルマニウムの内の少なくとも一種類以上を含むコバルト及び/又はニッケルからなる耐熱・防錆層を有し、且つ該耐熱・防錆層上にクロメート皮膜層を有し、且つ該クロメート皮膜層上にシランカップリング剤及び、リン又はリン化合物からなる層を有し、該接着面についてJIS Z 8471に基づきGs(85°)で測定した鏡面光沢度が100以上である特徴を有する銅箔を使用し、COF用フレキシブルプリント配線板を作製する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明はフレキシブルプリント配線板に関するものであり、更に詳しくはIC或いはLSIなどの電子部品を実装するフィルムキャリアテープに用いるCOF用フレキシブルプリント配線板用銅箔に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、パソコンやモバイル情報機器として携帯電話・PDAが急速に進化を遂げており、それに伴いICの高速化、小型軽量化、高密度化が一層進みLCDのドライバー回路基板もTABの他にファインパターンに有利なCOF(Chip On FPC)方式が採用される様になってきた。TAB(Tape Automated Bonding)とはインナーボンディング接合方式として、回路基材上のフライングリードにTAB方式で接合するものである。従って、回路基材としてデバイスホールを有したテープキャリアを採用する事になる。
【0003】
また、TABは3層フレキシブル基材である。一方、COFはインナーボンディング接合方式として、ポリイミドフィルム上にリードがありフリップチップ方式で接合するものである。TABと違いデバイスホールを有していないことから導体回路はフライングリードではない為取り扱いが簡略化でき、更に回路基材としてもテープキャリアとFPC(Flexible Printed Circuit)の両方を採用することが出来る。また、COFは2層フレキシブル基材である。
【0004】
COFはTABに比べ以下の利点がある。
ファインパターン(ピッチ間40μm以下)に対応可能である
TABのフライングリード構造はピッチ間40μmが限界と考えられている。これに対しCOFはTABと違いリードが常にポリイミドフィルムに支持された状態にあるためインナーリードの変形がないことなどからピッチ間40μm以下の接続が可能である。
【0005】
・高温耐熱性に優れる
TABは、銅/接着剤(エポキシ、アクリル等)/ポリイミドフィルムの3層構造であり、接着剤層の特性がIC実装時の高温耐熱性を満足させる事が出来ない。これに対しCOFは、銅/ポリイミドフィルムの2層構造であり、接着剤層が無い事から高温耐熱性がTABに比べ良好である。
【0006】
・マイグレーション性に優れる
2層フレキシブル基材であるCOFは、3層フレキシブル基材で使用されている接着剤層が無い。このため、接着剤層で使用されているハロゲン、重金属が無いためマイグレーション性に優れている。
【0007】
・フレキシビリティーに優れる
2層フレキシブル基材であるCOFは、接着剤層が無い分TABに比べ基材厚みを薄くできるため、フレキシビリティー性に優れている。
この様な理由から世相は急速にTABからCOFへシフトし始めている。見方によれば全く別の市場としてCOFが伸びてきているとも言える。
【0008】
さて、COFに代表される2層フレキシブル基材であるがその製法としては、スパッタ/銅めっき法、ラミネート法、キャスティング法がある。スパッタ/銅めっき法は、ポリイミドフィルムを数種類の前処理を行った後、銅または異種金属をスパッタリングする事で薄い導電層を形成し、更に、湿式電解めっき法により銅層を形成する工法である。銅箔を使用せずめっきにより導体の形成を行うため、導体厚みの自由度が高い。
【0009】
ラミネート法は、接着性を有するポリイミドフィルムと銅箔を加熱圧着する工法であり使用する銅箔は9,12,18,35μmが一般的である。キャスティング法は、銅箔上にポリイミド前駆体であるポリイミドワニスを塗工し熱処理を行うことでポリイミド化する工法であり使用する銅箔は12,18,35μmが一般的である。
【0010】
2層フレキシブル基板はそれぞれの工法で一長一短であるが、COF用に使用されている工法ではスパッタ/銅めっき法が比較的多い。それは以下の理由による。COFテープのインナーリードの接合は、ポリイミド側からバンプとリードを透かしてアライメントしボンディングする方法が採られている。
【0011】
本方法は、従来のTABに使用されている実装装置が使用できるために、新たな設備投資を行う必要が無く、コストメリットがあるために広く採用されている。このためポリイミドフィルムには正確な位置決めが行える様に銅層をエッチングした後に高い透明性が求められる。
【0012】
このため、エッチング後もポリイミドフィルム由来の高い平滑な表面状態を維持できるスパッタ/銅めっき法が光の透過率が高く、IC実装時の位置決めの精度が高い理由から広く採用されている。一方、これと相反する特性としてピール強度が低い事や、ニッケル/クロム等のシード層のエッチング残によるマイグレーション等、懸念される点もあり、この点ではラミネート法、キャスティング法の方が有利であると言える。
【0013】
さて、ラミネート法、キャスティング法で作製されるCOFは銅箔を使用するが、その銅箔に要求される主な特性は以下の通りである。
【0014】
(1)エッチング後のポリイミドフィルムの透明性が高いこと
従来、銅箔はポリイミドフィルムとのピール強度を確保するために粗化処理が行われている。粗化処理により銅箔表面の粗度は上昇し、その結果機械的投錨効果により高いピール強度が得られる。一方、エッチング後のポリイミドフィルムは銅箔の粗化処理の形状をレプリカとした形状となるため艶消し状になりポリイミドフィルムの透明性が悪くなる。
【0015】
(2)ピール強度が高いこと
ピール強度を確保するために粗化処理を行いたいが、(1)の理由により銅箔表面形状は出来るだけ平滑にする事が望ましい。即ち(1)と(2)は相反する特性であることが分かる。
【0016】
(3)銅箔―ポリイミドフィルム界面への活性処理液の侵食がないこと
COF製造工程ではエッチング、ニッケル-金めっき、錫めっき等活性処理液を使用することが非常に多い。このため、銅箔-ポリイミドフィルム界面に活性処理液が侵食することがある。COFはファインパターン用途で使用される為、例え僅かな侵食であっても導体回路の剥離やピール強度の低下等の不具合が発生する。
【0017】
(4)ピール強度の長期信頼性があること
COF形成後、長期間使用した後も高いピール強度を維持する事が望まれる。
【0018】
これら問題点を解決する方法として、銅箔表面が粗化処理をされていない電解銅箔上に亜鉛系金属層を形成し、該亜鉛金属層上に設けられたポリアミック酸層をイミド化することによりポリイミド系樹脂を形成する方法が提案されている(特許文献1参照)
【0019】
しかし、本願発明者が追試したところ、銅箔表面に亜鉛層を設けた場合、COF製造工程で使用される殆どの活性処理液で銅箔―ポリイミド界面で侵食が確認でき、導体回路の剥離やピール強度の低下等の不具合が発生する。また、銅箔の絶縁フィルムに接する面の表面粗さRzを0.1〜1.8μmにする事が提案されている(特許文献2参照)
【0020】
しかし、本願発明者が追試したところ、本方法は多くの場合エッチング後のポリイミドフィルムの透明性は高くなるが、全ての場合において上記表面粗さの範囲で透明性が高いとは言えず、例えば、銅箔表面のうねりが大きい場合、Rzが1.3μmを超える場合においては光が乱反射を起こしピントがぼけた状態となり、光学的な位置決め精度が悪くなる場合が確認されている。また、ピール強度も十分でなく、更に長期信頼性においても十分ではない。
【特許文献1】特開2002−217507号公報
【特許文献2】特開2003−23046号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本願発明の解決しようとする課題は上記COF用フレキシブルプリント配線板用銅箔で特に強く要求される特性、(1)エッチング後のポリイミドフィルムの透明性が高い事、(2)ピール強度が高いこと、(3)活性処理液浸漬後に銅箔―ポリイミドフィルム界面に液の侵食がないこと、(4)ピール強度の長期信頼性があること、以上4点の特徴を有したCOF用フレキシブルプリント配線板用銅箔を提供する事にある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本課題を解決するべく様々な研究を行った結果、銅箔を以下の形態にする事により達成出来ることを見いだした。
【0023】
1.銅箔のポリイミドフィルムに接着される面にモリブデン、タングステン、リン、ゲルマニウムの内の少なくとも一種類以上を含むコバルト及び/又はニッケルからなる耐熱・防錆層を有し、且つ該耐熱・防錆層上にクロメート皮膜層を有し、且つ該クロメート皮膜層上にシランカップリング剤及び、リン又はリン化合物からなる層を有し、該接着面についてJIS Z 8471に基づきGs(85°)で測定した鏡面光沢度が100以上であること。
【0024】
2. 耐熱・防錆層の付着量が30〜500mg/m2であること。3. シランカップリング剤がウレイド系シランカップリング剤及び/又はアミノ系シランカップリング剤であること。
【発明の効果】
【0025】
本願発明の効果は銅箔のポリイミドフィルムに接着される面を上記形態にすることでCOF用フレキシブルプリント配線板用銅箔として極めて高い特性を有するものとなり、更に詳しくは、本願発明銅箔を使用し作製したCOF用フレキシブルプリント配線板用途において、エッチング後のポリイミドフィルムの透明性が極めて高い為、IC実装時の光学的な位置決めが正確に行え、更に、ピール強度が高く、また、そのピール強度が長時間加熱処理後も劣化率が低い為長期間にわたる使用が可能であり、活性処理液浸漬後に銅箔―ポリイミドフィルム界面に液の侵食がないためファインパターン形成時に導体回路の剥離やピール強度の低下がないなどの特徴を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に本願発明について詳述する。
【0027】
使用する未処理銅箔であるが電解、圧延銅箔に限定する必要性は無く、どちらの銅箔を使用しても良い。箔厚は特に規定しないが、本用途がファインパターン用途であることを考慮すると、サブトラクティブ法では6〜18μm、セミアディティブ法では1.5〜5μmが適切であると考えられる。
【0028】
本用途では、銅箔のポリイミドフィルムと接着する面がエッチング後のポリイミドの表面形状を決定するため、銅箔接着面側の表面状態を数値として表す事が可能なパラメータが必要である。銅箔の表面状態を表すパラメータとして一般的に使用されているのが粗度Ra、Rzである。しかし、粗度とエッチング後のポリイミドフィルムの透明性は必ずしも相関があるわけではないことが本願発明者により確認されている。
【0029】
そこでエッチング後のポリイミドフィルムの透明性と相関の取れるパラメータを調査したところJIS Z 8471記載のGs(85°)で測定した鏡面光沢度と相関があることを見い出した。ポリイミドフィルムと接着する面のGs(85°)で測定した鏡面光沢度が100以上、更に好ましくは110以上であれば、IC実装時に位置決め時に使用される一般的なCCDカメラの光源波長域である600〜700nmにおいて、光の透過率50%以上を得ることが出来ることが確認できている。一般的に600〜700nmでの光の透過率が50%以上であれば確実なIC実装が可能であると言われている。
【0030】
次に、上記した銅箔を用いて、耐熱・防錆層であるモリブデン、タングステン、リン、ゲルマニウムの内の少なくとも一種類以上を含むコバルト及び/又はニッケル層を施す。該耐熱・防錆層を施す事で、ピール強度が上昇する、ピール強度の長期信頼性が得られる等の特性が付与される。該耐熱・防錆層は上記イオンを含む電解液を用い該電解液中で銅箔を陰極電解する事で形成可能である。
【0031】
該耐熱・防錆層はコバルト及び/又はニッケルを基本とした合金層にする事でCOF用フレキシブルプリント配線板用銅箔として使用することが可能となる。例えば、コバルト単独層の場合、ピール強度の長期信頼性が良好であるものの、活性処理液に浸漬すると銅箔―ポリイミドフィルム界面に液の侵食が発生しピール強度が低下する欠点があり耐薬品性に劣る。
【0032】
また、ニッケル単独層の場合、ニッケルとポリイミドの相性が良くピール強度は十分に高いが、ピール強度の長期信頼性が悪く、ピール強度の劣化が大きくなる欠点がある。更に、回路形成の際のエッチングにおいてニッケルの残渣が生じ易い欠点もある。また、モリブデン、タングステン、リン、ゲルマニウムは鉄属の誘導析出型であり、水溶液中にコバルトまたはニッケルが無いと析出しない為水溶液からの単独析出は不可能である。
【0033】
以上の様に単独析出ではCOF用フレキシブルプリント配線板用銅箔として使用するには十分では無いが、モリブデン、タングステン、リン、ゲルマニウムの内の少なくとも一種類以上を含むコバルト及び/又はニッケル層の様に2元系、3元系合金層にする事で様々な特性を満足できる耐熱・防錆層となる。また、該耐熱・防錆層は付着量も重要であり30〜500mg/m2が好適である。
【0034】
付着量が30mg/m2未満の場合、2層フレキシブル基材製造時の高い熱履歴により、銅がポリイミド側に拡散し酸化銅を形成するため、接着界面が脆弱化し、ピール強度が低下する不具合が生じる。また、キャスティング法では、ポリアミック酸に銅が溶解しイオンとなり、ポリイミド前駆体中に溶け込み、熱履歴と共に酸化銅に変化するため、エッチング出来ない不具合が生じる場合がある。
【0035】
一方、500mg/m2以上では、これ以上付着させても特性の向上は認められず不経済であり、更に、付着させすぎると金属にもよるがエッチング後残渣となる場合がある。
【0036】
本耐熱・防錆層を施す処理浴組成としては例えば以下に示す組成が良いが特にこれに限定されるものではない。
【0037】
(コバルト-モリブデン層の場合)
硫酸コバルト七水和物 10〜100g/L(特に好ましくは20〜50g/L)
モリブデン酸二ナトリウム二水和物 1〜80g/L(特に好ましくは5〜50g/L)
クエン酸三ナトリウム二水和物 5〜100g/L(特に好ましくは20〜60g/L)
pH 4.0〜10.0(特に好ましくは5.0〜7.0)
【0038】
(ニッケル−リン層-タングステン層の場合)
硫酸ニッケル六水和物 10〜100g/L(特に好ましくは20〜50g/L)
次亜リン酸ナトリウム一水和物 0.1〜10g/L(特に好ましくは 0.5〜5g/L)
タングステン酸ナトリウム二水和物 0.1〜20g/L(特に好ましくは0.5〜10g/L)
酢酸ナトリウム三水和物 2〜20g/L(特に好ましくは3〜15g/L)
pH 3.0〜5.5(特に好ましくは3.5〜5.0)
【0039】
(コバルト-ニッケル-タングステン層の場合)
硫酸コバルト七水和物 10〜100g/L(特に好ましくは20〜50g/L)
硫酸ニッケル六水和物 10〜100g/L(特に好ましくは20〜50g/L)
タングステン酸ナトリウム二水和物 1〜80g/L(特に好ましくは5〜50g/L)
クエン酸三ナトリウム二水和物 5〜100g/L(特に好ましくは20〜60g/L)
pH 4.0〜7.0(特に好ましくは5.0〜7.0)
【0040】
(コバルト-ニッケル-ゲルマニウム層の場合)
硫酸コバルト七水和物 10〜100g/L(特に好ましくは20〜50g/L)
硫酸ニッケル六水和物 10〜100g/L(特に好ましくは20〜50g/L)
二酸化ゲルマニウム 0.1〜10g/L(特に好ましくは0.3〜3g/L)
クエン酸三ナトリウム二水和物 5〜100g/L(特に好ましくは20〜60g/L)
pH 3.0〜10.0(特に好ましくは4.0〜7.0)
【0041】
処理浴中のクエン酸三ナトリウム二水和物、酢酸ナトリウム三水和物は錯化剤、pH緩衝剤であり、処理浴を安定させる効果がある。また、その他、導電性の付与として硫酸ナトリウムを添加してもよい。
【0042】
本耐熱・防錆層を施す電解条件としては例えば以下に示す条件が良いが特にこれに限定されるものではない。
電流密度 0.1〜10.0A/dm2(特に好ましくは0.5〜5.0A/dm2
電気量 5.0〜40.0A・sec/dm2(特に好ましくは10.0〜30.0A・sec/dm2
液温 20〜50℃(特に好ましくは 25〜40℃)
陽極 白金
【0043】
更に該耐熱・防錆層上にクロメート皮膜層を施すことで、ピール強度が更に上昇する、防錆性が向上する等の特性が付与される。クロメート皮膜層はクロメート水溶液に銅箔を浸漬又は陰極電解する事で形成可能である。クロメート水溶液は公知のものでよく、例えばクロム酸、重クロム酸ナトリウム、重クロム酸カリウムなどの6価クロムを有する物であればよい。
【0044】
尚、クロメート皮膜層形成後のクロムの析出形態はCr(OH)3とCr203が混在した状態であり、人体に悪影響を及ぼす6価クロムはなく3価クロムの形態で析出している。また、特公昭58-15950号にある亜鉛イオン、6価クロムイオンを含むアルカリ性ジンククロメート液を使用してもよく、本クロム酸液を使用することで、クロム単独酸液からのクロメート皮膜層よりも耐酸化性を向上させる、ピール強度の長期信頼性が得られる等の特性が付与される。
【0045】
更に、該クロメート皮膜層上に、シランカップリング剤及び、リン又はリン化合物からなる層を施すことでピール強度が更に上昇する、耐薬品性が向上する等の特性が付与される。シランカップリング剤及び、リン又はリン化合物からなる層は、シランカップリング剤及び、リン又はリン化合物を含む水溶液に銅箔を浸漬する事で形成される。
【0046】
シランカップリング剤は多種あるが特に制限はなく、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリキドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等が使用できる。
【0047】
また、リンまたはリン化合物の供給剤としては、例えば、リン酸、リン酸のアルカリ金属塩、トリポリリン酸、トリポリリン酸のアルカリ金属塩、ピロリン酸、ピロリン酸のアルカリ金属塩、リン酸トリエチル、リン酸トリメチル、等が上げられる。シランカップリング剤はSiとして好ましくは0.01〜20mg/m2であり、更に好ましくは0.1〜10mg/m2である。リン又はリン化合物の量はPとして0.01〜20mg/m2であり、更に好ましくは0.1〜10mg/m2である。
【0048】
本願発明者の研究によると、該層は一般的によく形成されているシランカップリング剤単独層よりピール強度向上に効果があることが確認されており、最も良好な組合わせは、ウレイド系シランカップリング剤及び/又はアミノ系シランカップリング剤とリン酸からなる層であることも確認されている。
以下に本願発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0049】
特開2004−263289号に記載の製造方法で作成した12μmの電解銅箔を用意した。該電解銅箔は未処理の状態では何れの面も光沢外観を呈するが、それぞれの面の鏡面光沢度Gs(85°)は異なり一般的に粗面、マット面、非ドラム面等と呼ばれるめっき終了面は100以上であり、平滑面、光沢面、シャイニー面、ドラム面等と呼ばれるめっき開始面は100未満である。尚、これ以降該電解銅箔のめっき終了面を粗面、めっき開始面を平滑面と呼称する。
【0050】
まず粗面側の鏡面光沢度Gs(85°)が129の該未処理銅箔を硫酸濃度100g/L、浴温度30℃の硫酸溶液に120秒間浸漬し、表面の酸化層の除去を行い、水洗を行った。次いで、表1に示す浴組成、電解条件で陽極に白金を使用し陰極電解を行い、粗面側にコバルト-モリブデンからなる耐熱・防錆層を施した。水洗後、以下の浴組成・電解条件で陽極に白金を使用し陰極電解を行い耐熱・防錆層上にクロメート皮膜層を形成した。
【0051】
(クロメート処理浴組成)
重クロム酸ナトリウム 10g/L
浴温度 30℃
pH 4.5
電流密度 0.5A/dm2
電解時間 5秒
水洗後、表1に示す浴組成のシランカップリング剤及びリン酸の混合水溶液に10秒間浸漬することで、クロメート皮膜層上にシランカップリング剤及びリン酸からなる層を形成した。次いで水洗を行うことなく乾燥した。
【0052】
次にこの電解銅箔処理面にピロメリット酸型のポリイミド前駆体をクリアランス350μmで塗布を行った。このポリイミド前駆体はセパラブルフラスコ中にN,N−ジメチルアセトアミドを425g採取し、無水ピロメリット酸0.18モル、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル0.18モルを撹拌しながら溶解させ4時間の撹拌により重合反応を行なうことで得られた。
【0053】
次いでポリイミド前駆体塗布後の銅箔を大気雰囲気の乾燥機で130℃−12分、160℃−2分、220℃―2分、250℃―2分で溶剤を揮発させた後イナート乾燥機により、360℃−2分間の加熱硬化処理を行いCOF用フレキシブル基材を作製した。この時のポリイミド膜の厚みは35μmであった。
【実施例2】
【0054】
粗面側の鏡面光沢度Gs(85°)が125である12μmの電解銅箔を使用したこと以外は実施例1と同じ方法で表面処理を行い、同じ方法でCOF用フレキシブル基材を作製した。尚、耐熱・防錆層の浴組成・電解条件、シランカップリング剤及びリン酸の混合水溶液組成を表1に示す。
【実施例3】
【0055】
粗面側の鏡面光沢度Gs(85°)が120である12μmの電解銅箔を使用し、耐熱・防錆層にコバルト-ニッケル-タングステン層を施したこと以外は実施例1、2と同じ方法で表面処理を行い、同じ方法でCOF用フレキシブル基材を作製した。尚、耐熱・防錆層の浴組成・電解条件、シランカップリング剤及びリン酸の混合水溶液組成を表1に示す。
【実施例4】
【0056】
粗面側の鏡面光沢度Gs(85°)が112である12μmの電解銅箔を使用し、耐熱・防錆層にニッケル-リン-タングステン層を施したこと以外は実施例1〜3と同じ方法で表面処理を行い、同じ方法でCOF用フレキシブル基材を作製した。尚、耐熱・防錆層の浴組成・電解条件、シランカップリング剤及びリン酸の混合水溶液組成を表1に示す。
【実施例5】
【0057】
粗面側の鏡面光沢度Gs(85°)が132である12μmの電解銅箔を使用し、耐熱・防錆層にニッケル-リン-モリブデン層を施したこと以外は実施例1〜4と同じ方法で表面処理を行い、同じ方法でCOF用フレキシブル基材を作製した。尚、耐熱・防錆層の浴組成・電解条件、シランカップリング剤及びリン酸の混合水溶液組成を表1に示す。
【実施例6】
【0058】
粗面側の鏡面光沢度Gs(85°)が118である12μmの電解銅箔を使用し、耐熱・防錆層にコバルト-ゲルマニウム層を施したこと以外は実施例1〜5と同じ方法で表面処理を行い、同じ方法でCOF用フレキシブル基材を作製した。尚、耐熱・防錆層の浴組成・電解条件、シランカップリング剤及びリン酸の混合水溶液組成を表1に示す。
【実施例7】
【0059】
鏡面光沢度Gs(85°)が124の未処理圧延銅箔を用意した。まず、該圧延銅箔を炭化水素系有機溶剤に60秒間浸漬し圧延油の除去を行った。水洗後、表1に示す浴組成、電解条件で陽極に白金を使用し陰極電解を行いコバルト-ニッケル-ゲルマニウムからなる耐熱・防錆層を施した。水洗後、以下の浴組成・電解条件で陽極に白金を使用し陰極電解を行い、耐熱・防錆層上にクロメート皮膜層を形成した。
【0060】
(クロメート処理浴組成)
重クロム酸ナトリウム 10g/L
浴温度 30℃
pH 4.5
電流密度 0.5A/dm2
電解時間 5秒
水洗後、表1に示す浴組成のシランカップリング剤及びリン酸の混合水溶液に10秒間浸漬することで、クロメート皮膜層上にシランカップリング剤及びリン酸からなる層を形成した。次いで水洗を行うことなく乾燥した。
【0061】
次に実施例1〜6と同じ方法でCOF用フレキシブル基材を作製した。
【実施例8】
【0062】
鏡面光沢度Gs(85°)が119である12μmの未処理圧延銅箔を使用し、耐熱・防錆層にニッケル-リン-タングステン層を施したこと以外は実施例7と同じ方法で表面処理を行い、同じ方法でCOF用フレキシブル基材を作製した。尚、耐熱・防錆層の浴組成・電解条件、シランカップリング剤及びリン酸の混合水溶液組成を表1に示す。
【実施例9】
【0063】
鏡面光沢度Gs(85°)が139である12μmの未処理圧延銅箔を使用し、耐熱・防錆層にコバルト-ニッケル-タングステン層を施したこと以外は実施例7、8と同じ方法で表面処理を行い、同じ方法でCOF用フレキシブル基材を作製した。尚、耐熱・防錆層の浴組成・電解条件、シランカップリング剤及びリン酸の混合水溶液組成を表1に示す。
【0064】
以下に比較例を説明する。
(比較例1)
【0065】
鏡面光沢度Gs(85°)が94である12μmの電解銅箔を使用し、耐熱・防錆層にコバルト-モリブデン層を施したこと以外は、実施例1〜6と同じ方法で表面処理を行い、同じ方法でCOF用フレキシブル基材を作製した。尚、耐熱・防錆層の浴組成・電解条件、シランカップリング剤及びリン酸の混合水溶液組成を表1に示す。
(比較例2)
【0066】
鏡面光沢度Gs(85°)が85である12μmの電解銅箔を使用し、耐熱・防錆層にコバルト-モリブデン層を施したこと以外は、実施例1〜6と同じ方法で表面処理を行い、同じ方法でCOF用フレキシブル基材を作製した。尚、耐熱・防錆層の浴組成・電解条件、シランカップリング剤及びリン酸の混合水溶液組成を表1に示す。
(比較例3)
【0067】
鏡面光沢度Gs(85°)が120である12μmの電解銅箔を使用し、耐熱・防錆層にコバルト単独層を施した事以外は実施例1〜6と同じ方法で表面処理を行い、同じ方法でCOF用フレキシブル基材を作製した。尚、耐熱・防錆層のコバルト単独層の浴組成・電解条件、シランカップリング剤及びリン酸の混合水溶液組成を表1に示す。
(比較例4)
【0068】
鏡面光沢度Gs(85°)が120である12μmの電解銅箔を使用し、耐熱・防錆層にニッケル単独層を施した事以外は実施例1〜6と同じ方法で表面処理を行い、同じ方法でCOF用フレキシブル基材を作製した。尚、耐熱・防錆層のニッケル単独層の浴組成・電解条件、シランカップリング剤及びリン酸の混合水溶液組成を表1に示す。
(比較例5)
【0069】
鏡面光沢度Gs(85°)が120である12μmの電解銅箔を使用し、耐熱・防錆層に亜鉛単独層を施した事以外は実施例1〜6と同じ方法で表面処理を行い、同じ方法でCOF用フレキシブル基材を作製した。尚、耐熱・防錆層の亜鉛単独層の浴組成・電解条件、シランカップリング剤及びリン酸の混合水溶液組成を表1に示す。
(比較例6)
【0070】
鏡面光沢度Gs(85°)が120である12μmの電解銅箔を使用し、耐熱・防錆層を施さなかった事以外は実施例1〜6と同じ方法で表面処理を行い、同じ方法でCOF用フレキシブル基材を作製した。尚、シランカップリング剤及びリン酸の混合水溶液組成を表1に示す。
(比較例7)
【0071】
鏡面光沢度Gs(85°)が120である12μmの電解銅箔を使用し、耐熱・防錆層にコバルト-ニッケル-タングステン層を施し、シランカップリング剤層にエポキシシラン単独層を施し、水洗を行わず、乾燥させたこと以外は実施例1〜6と同じ方法で表面処理を行い、同じ方法でCOF用フレキシブル基材を作製した。尚、耐熱・防錆層の浴組成・電解条件、エポキシシラン単独層の浴組成を表1に示す。
(比較例8)
【0072】
鏡面光沢度Gs(85°)が120である12μmの電解銅箔を使用し、耐熱・防錆層にニッケル-リン-モリブデン層を施し、シランカップリング剤層にアミノ系シランカップリング剤単独層を施し、水洗を行わず、乾燥させたこと以外は実施例1〜6と同じ方法で表面処理を行い、同じ方法でCOF用フレキシブル基材を作製した。尚、耐熱・防錆層の浴組成・電解条件、アミノ系シランカップリング剤単独層の浴組成を表1に示す。
(比較例9)
【0073】
鏡面光沢度Gs(85°)が120である12μmの電解銅箔を使用し、耐熱・防錆層にニッケル-リン-モリブデン層を施し、シランカップリング剤層を施さなかったこと以外は実施例1〜6と同じ方法で表面処理を行い、同じ方法でCOF用フレキシブル基材を作製した。尚、耐熱・防錆層の浴組成・電解条件を表1に示す。
【0074】
【表1】

【0075】
以上、実施例1〜9、比較例1〜9の銅箔について測定した耐熱・防錆量の付着量、鏡面光沢度Gs(85°)の結果、また、実施例1〜9、比較例1〜9を用いて作製したCOF用フレキシブル基材の特性として測定したピール強度(初期値)、塩酸浸漬後の銅箔―ポリイミドフィルム界面への液の侵食、長時間加熱処理後のピール強度及び初期値からの劣化率、銅箔エッチング後のポリイミドフィルムの光の透過率の結果を表2に示す。尚、各評価、試験は以下の方法、装置を使用し行った。
【0076】
・耐熱・防錆層の付着量
理学電機株式会社製蛍光エックス線装置RIX 2000で定量した。
鏡面光沢度Gs(85°)
JIS Z 8741に準じて、コニカ・ミノルタ製MULTI GLOSS 268を用い、Gs(85°)での値を測定値とした。
【0077】
・ピール強度
JIS C 5016の方法に準じて、90°でのピール強度を測定。
・塩酸浸漬後の銅箔―ポリイミドフィルム界面への液の侵食
1mm幅の回路を作製し、6N塩酸水溶液に25℃―20分間浸漬後、金属顕微鏡を用いて銅箔―ポリイミドフィルム界面への液の侵食幅(片側)を測定した。
・長時間加熱処理後のピール強度
大気雰囲気の乾燥機を使用し150℃―168時間加熱処理後、90°でのピール強度を測定した。
【0078】
・銅箔エッチング後のポリイミドフィルムの光の透過率
JIS Z 8722の直線透過率に準じて、日本分光株式会社製 V−570型紫外可視分光光度計を使用し、波長600nmでの値を測定値とした。
【0079】
【表2】

【0080】
以上の様に、本願発明である実施例1〜9の銅箔を用いて作製したCOF用フレキシブル基材は、本文中に示したCOF用フレキシブルプリント配線板用銅箔で特に強く要求される特性(1)〜(4)を十分に満足していることが分かる。
【0081】
要求特性(1)のエッチング後のポリイミドフィルムの透明性が高いことでは、銅箔のポリイミドとの接着面の鏡面光沢度Gs(85°)を100以上のものを使用することで、IC実装時の位置決め時に使用される一般的なCCDカメラの光源波長域である600nmにおいて、光の透過率50%以上を達成しており、光学的な位置決め精度が良くなることが分かる。
【0082】
また、要求特性(2)のピール強度が高いことでは、相反する特性である(1)を満足しつつ、ピール強度アップに寄与する耐熱・防錆層、シランカップリング剤及び、リン又はリン化合物層を施すことで十分なレベルのピール強度を達成していることが分かる。
【0083】
また、要求特性(3)の銅箔―ポリイミドフィルム界面への活性処理液の侵食がないことでは、耐熱・防錆層に活性処理液に対し耐性を示す合金層を使用することで、活性処理液の侵食を防ぎ、その結果、ピッチ間40μm以下(L/S=20/20μm)の様な超ファインパターンおいても導体回路の剥離、ピール強度の低下等のトラブルが発生しない特性を得ることが出来る。
【0084】
更に、要求特性(4)のピール強度の長期信頼性があることでは、耐熱・防錆層に銅との拡散速度が遅い合金層を使用することで長時間加熱処理後のピール強度の劣化を極めて低く抑えることが可能となり、長期間の使用に耐え得る特性が付与されている。
【0085】
一方、比較例1〜9の銅箔を使用し作製したCOF用フレキシブル基材は以下の様な欠点がある。
【0086】
・比較例1、2
鏡面光沢度が100未満の銅箔を使用して作製したCOF用フレキシブル基材は、エッチング後のポリイミドフィルムの透明性が低いため、IC実装時の光学的な位置決め精度が悪くなる欠点がある。
【0087】
・比較例3、4、5、6
耐熱・防錆層にコバルト単独層(比較例3)、亜鉛単独層(比較例5)を適用した銅箔を使用し作製したCOF用フレキシブル基材は、活性液浸漬後に銅箔―ポリイミドフィルム界面に液の侵食が認められ、ファインパターンが求められる本用途では導体回路の剥離やピール強度の低下等の不具合が発生する欠点がある。また、ニッケル単独層を適用した銅箔(比較例4)はピール強度は十分に高いが、長時間加熱処理後のピール強度が低い、即ち、長期信頼性が悪い欠点がある。また、耐熱・防錆層を施さなかった銅箔(比較例6)はピール強度が低く、長時間加熱処理後のピールが低く、更に、活性液浸漬後に銅箔―ポリイミドフィルム界面に液の侵食が認められる欠点がある。
【0088】
・比較例7、8、9
シランカップリング剤にエポキシシラン単独層を適用した銅箔(比較例7)を使用し作製したCOF用フレキシブル基材は、ピール強度が低い欠点がある。また、アミノシシラン単独層を適用した銅箔(比較例8)は、エポキシシラン単独層、シランカップリング剤層無し(比較例9)に比べるとピール強度(初期)は高いものの、本願発明の実施例に比べるとやや低いことが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、銅箔のポリイミドフィルムに接着される面にモリブデン、タングステン、リン、ゲルマニウムの内の少なくとも一種類以上を含むコバルト及び/又はニッケルからなる耐熱・防錆層を有し、且つ該耐熱・防錆層上にクロメート皮膜層を有し、且つ該クロメート皮膜層上にシランカップリング剤及び、リン又はリン化合物からなる層を有し、該接着面についてJIS Z 8471に基づきGs(85°)で測定した鏡面光沢度が100以上である事を特徴とする銅箔に関するものであり、
【0090】
該銅箔を使用しCOF用フレキシブルプリント配線板を作製した場合、ポリイミドフィルムのエッチング後の透明性が高く、ピール強度が高く、そのピール強度が長時間加熱処理後も劣化率が低く、活性処理液浸漬後に銅箔―ポリイミドフィルム界面に液の侵食がない特徴を有したCOF用フレキシブルプリント配線板用銅箔及びその製造方法に関するものである。本願発明の銅箔は、今後更にファインピッチ化が進むCOF用フレキシブルプリント配線板用途においても十分に適用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
COF用フレキシブルプリント配線板において、銅箔のポリイミドフィルムに接着される面にモリブデン、タングステン、リン、ゲルマニウムの内の少なくとも一種類以上を含むコバルト及び/又はニッケルからなる耐熱・防錆層を有し、且つ該耐熱・防錆層上にクロメート皮膜層を有し、且つ該クロメート皮膜層上にシランカップリング剤及び、リン又はリン化合物からなる層を有し、該接着面についてJIS Z 8471に基づきGs(85°)で測定した鏡面光沢度が100以上である事を特徴とするCOF用フレキシブルプリント配線板用銅箔。
【請求項2】
耐熱・防錆層の付着量が30〜500mg/m2であることを特徴とする請求項1に記載のCOF用フレキシブルプリント配線板用銅箔。
【請求項3】
シランカップリング剤がウレイド系シランカップリング剤及び/又はアミノ系シランカップリング剤であることを特徴とする請求項1、2のいずれかに記載のCOF用フレキシブルプリント配線板用銅箔。

【公開番号】特開2007−165674(P2007−165674A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−361416(P2005−361416)
【出願日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(000239426)福田金属箔粉工業株式会社 (83)
【Fターム(参考)】