説明

EP2受容体アゴニスト

式(III) [式中、R5は場合により置換されたC5-20アリールまたはC4-20アルキル基であり;L’は単結合、-O-または-C(=O)-であり;Aは式(i)、(ii)、(iii)からなる群より選択され、そこにおいて、XおよびYはOおよびCR3;SおよびCR3;NHおよびCR3;NHおよびN;OおよびN;SおよびN;NおよびS;ならびにNおよびOからなる群より選択され、また、点線は適切な位置における二重結合を示し、また、QはNまたはCHのいずれかであり;Dは式(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(v)、(vi)、(vii)、(viii)、(ix)から選択され;Bは式(A)、(B)からなる群より選択され、そこにおいてRP6はフッ素および塩素から選択され;R2は(i) -CO2H;(ii) -CONH2;(iii) -CH2-OH;または(iv)テトラゾール-5-イルのいずれかである]の化合物、またはその塩、溶媒和物もしくは化学的に保護された形。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はEP2受容体アゴニスト、前記の化合物を含む医薬組成物、および種々の病気を治療するための前記の化合物および組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
プロスタノイドはプロスタグランジン(PG)およびトロンボキサン(Tx)を含み、それらの受容体は、5種類の天然のプロスタノイド、それぞれPGD2、PGE2、PGF、PGI2およびTxA2に対するそれらの感受性に基づいて、5種類の異なるクラス(DP、EP、FP、IPおよびTP)に分類される(Coleman, R.A.,「プロスタノイド受容体。受容体の特性および分類のIUPHAR一覧」(Prostanoid Receptors. IUPHAR compendium of receptor characterisationおよびclassification)、第2版、338-353, ISBN 0-9533510-3-3, 2000)。EP受容体(それに対する内在性リガンドはPGE2である)は、EP1、EP2、EP3およびEP4と呼ばれる4つのタイプに細分される。これらの4つのタイプのEP受容体はクローン化され、分子的および薬理的なレベルの両方で異なっている(Coleman, R.A., 2000)。
【0003】
EP2アゴニストは、月経困難症(WO 03/037433)、早期陣痛(GB 2 293 101)、緑内障(WO 03/040126)、高眼圧症(WO 03/040126)、免疫障害(Nataraj, C.ら、J. Clin. Invest., 108, 1229-1235 (2001))、骨粗鬆症(WO 98/27976、WO 01/46140)、ぜんそく(Tilleyら、Am. J. Physiol. Lung Cell Mol. Physiol., 284, L599-606 (2003))、アレルギー、骨疾患(WO 02/24647)、骨折修復(WO 98/27976, WO 02/24647)、男性機能障害(WO 00/40248)、女性機能障害(US 6,562,868)、歯周病(WO 00/31084)、胃潰瘍(US 5,576,347)および腎臓病(WO 98/34916)を含む(しかしこれらに限定されない)多くの状態の治療に有効であることが示されている。
【0004】
2003年12月22日に出願された同時係属出願GB 0329620.9および2003年12月24日に出願された対応する米国仮出願(これらを参照により本明細書に組み入れる)において、
EP2アゴニストがリンパ球の活性化および肺胞マクロファージからの炎症性サイトカインの放出を阻害することが示された。さらに、EP2活性化は単球および好中球の活性化を阻害する。したがって、EP2アゴニストは、乾癬、皮膚炎、関節リウマチ、多発性硬化症、強皮症、移植拒絶反応、アレルギー、全身性エリテマトーデス、血管炎、1型糖尿病、および炎症性肺疾患、たとえば慢性閉塞性肺疾患、ぜんそく、急性呼吸窮迫症候群および嚢胞性線維症などの炎症性疾患および免疫障害の治療に有用であると考えられる。
【0005】
さらに、EP2アゴニストは、突発性肺線維症、強皮症および全身性硬化症、線維柱体切除術(trabeculectomy、文中ではtrabulectomy) 後の手術後線維症、肝硬変後の肝修復および再生、肝炎、毒性、癌または腎線維症を含むが、これらに限定されない線維症の治療にも用いることができる。また、EP2アゴニストは、ぜんそくおよび他の繊維性肺疾患を治療するために、線維芽細胞の筋線維芽細胞への変換の予防に使用することもできる。また、EP2アゴニストは、先天性心疾患を有する幼児における動脈管開通を維持するために使用することができる。
【0006】
EP2受容体アゴニストおよびEP4受容体アンタゴニストの特性を併せ持つ化合物は、子宮筋障害、骨粗鬆症および変形性関節症を含む骨疾患、乾癬、移植拒絶反応およびぜんそくなどのアレルギーおよび免疫障害、関節リウマチ、慢性閉塞性肺疾患および急性呼吸器病症候群および繊維性肺疾患などの炎症性疾患を含むいくつかの病気の治療に有用であると思われる。
【発明の開示】
【0007】
発明の要約
本発明の第1の態様は、式(I):
【化1】

【0008】
[式中、
R5は、場合により置換されたC5-20アリールまたはC4-20アルキル基であり;
Lは、-O-または-C(=O)-であり;
Aは、
【化2】

【0009】
からなる群より選択され、そこにおいて、
XおよびYは、OおよびCR3;SおよびCR3;NHおよびCR3;NHおよびN;OおよびN;SおよびN;NおよびS;ならびにNおよびOからなる群より選択され、点線は適切な位置における二重結合を示し、QはNまたはCHのいずれかであり;
R3は、H、F、Cl、および場合により置換されたC1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C5-7アリールおよびC5-7アリール-C1-4アルキル基から選択され;
R4は、H、F、Cl、および場合により置換されたC1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C5-7アリールおよびC5-7アリール-C1-4アルキル基から選択され;
R6は、H、F、Cl、および場合により置換されたC1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C5-7アリールおよびC5-7アリール-C1-4アルキル基から選択され;
Dは、
【化3】

【0010】
から選択され;
Bは、
【化4】

【0011】
からなる群より選択され、そこにおいて、
RN’はHおよびC1-4アルキルから選択され;
RP3およびRP4の一方が-Cmアルキレン-R2であり、RP3およびRP4のもう一方がHである場合、mおよびnは0または1であり、かつm + n = 1または2であり;さらにRP3が-Cmアルキレン-R2である場合、mは2または3であってもよく、かつm + n = 1、2、3または4であり、R2がテトラゾール-5-イルである場合、m + nは0であってもよく;Bが、
【化5】

【0012】
からなる群より選択される場合、m + nは0であってもよく;
または、RP3およびRP4の一方がが-O-CH2-R2であり、RP3およびRP4のもう一方がHである場合、nは0であり;
RNはHまたは場合により置換されたC1-4アルキルであり;
R2は、
(i) -CO2H (カルボキシ);
(ii) -CONH2
(iii) -CH2-OH;または
(iv) テトラゾール-5-イル
のいずれかである]
の化合物、またはその塩、溶媒和物もしくは化学的に保護された形を提供する。
【0013】
本発明の第2の態様は、式(II):
【化6】

【0014】
[式中、
R5は、場合により置換されたC5-20アリールまたはC4-20アルキル基であり;
L’は、単結合、-O-または-C(=O)-であり;
Aは、
【化7】

【0015】
からなる群より選択され、そこにおいて、
XおよびYは、OおよびCR3;SおよびCR3;NHおよびCR3;NHおよびN;OおよびN;SおよびN;NおよびS;ならびにNおよびOからなる群より選択され、点線は適切な位置における二重結合を示し、QはNまたはCHのいずれかであり;
R3は、H、F、Cl、および場合により置換されたC1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C5-7アリールおよびC5-7アリール-C1-4アルキル基から選択され;
R4は、H、F、Cl、および場合により置換されたC1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C5-7アリールおよびC5-7アリール-C1-4アルキル基から選択され;
R6は、H、F、Cl、および場合により置換されたC1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C5-7アリールおよびC5-7アリール-C1-4アルキル基から選択され;
Dは、
【化8】

【0016】
から選択され;
Bは、
【化9】

【0017】
からなる群より選択され、そこにおいて、
RN’はHおよびC1-4アルキルから選択され;
RP3およびRP4の一方が-Cmアルキレン-R2であり、RP3およびRP4のもう一方がHである場合、mおよびnは0または1であり、かつm + n = 1または2であり;さらに、RP3が-Cmアルキレン-R2である場合、mは2または3であってもよく、かつm + n = 1、2、3または4であり、R2がテトラゾール-5-イルである場合、m + nは0であってよく;Bが、
【化10】

【0018】
からなる群より選択される場合、m + nは0であってもよく;
またはRP3およびRP4の一方が-O-CH2-R2であり、RP3およびRP4のもう一方がHである場合、nは0であり;
RNはHまたは場合により置換されたC1-4アルキルであり;
R2は、
(i) -CO2H (カルボキシ);
(ii) -CONH2
(iii) -CH2-OH;または
(iv) テトラゾール-5-イル
のいずれかである]
の化合物、またはその塩、溶媒和物もしくは化学的に保護された形を提供する。
【0019】
本発明の第3の態様は、式(III):
【化11】

【0020】
[式中、
R5は、場合により置換されたC5-20アリールまたはC4-20アルキル基であり;
L’は、単結合、-O-または-C(=O)-であり;
Aは、
【化12】

【0021】
からなる群より選択され、そこにおいて、
XおよびYは、OおよびCR3;SおよびCR3;NHおよびCR3;NHおよびN;OおよびN;SおよびN;NおよびS;ならびにNおよびOからなる群より選択され、点線は適切な位置における二重結合を示し、QはNまたはCHのいずれかであり;
R3は、H、F、Cl、および場合により置換されたC1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C5-7アリールおよびC5-7アリール-C1-4アルキル基から選択され;
R4は、H、F、Cl、および場合により置換されたC1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C5-7アリールおよびC5-7アリール-C1-4アルキル基から選択され;
R6は、H、F、Cl、および場合により置換されたC1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C5-7アリールおよびC5-7アリール-C1-4アルキル基から選択され;
Dは、
【化13】

【0022】
から選択され;
Bは、
【化14】

【0023】
からなる群より選択され、そこにおいて、
RP6はフッ素および塩素から選択され;
RP3およびRP4の一方が-Cmアルキレン-R2であり、RP3およびRP4のもう一方がHである場合、mおよびnは0または1であり、かつm + n = 1または2であり;さらに、RP3が-Cmアルキレン-R2である場合、mは2または3であってもよく、かつm + n = 1、2、3または4であり、R2がテトラゾール-5-イルである場合、m + nは0であってもよく;
またはRP3およびRP4の一方が-O-CH2-R2であり、RP3およびRP4のもう一方がHである場合、nは0であり;
RNはHまたは場合により置換されたC1-4アルキルであり;
R2は、
(i) -CO2H (カルボキシ);
(ii) -CONH2
(iii) -CH2-OH;または
(iv) テトラゾール-5-イル
のいずれかである]
の化合物、またはその塩、溶媒和物もしくは化学的に保護された形を提供する。
【0024】
本発明の第4の態様は、式(IV):
【化15】

【0025】
[式中、
A’は、
【化16】

【0026】
であり、そこにおいて、
TはOおよびSから選択され、RR1は、F、Cl、および場合により置換されたC1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C5-7アリールおよびC5-7アリール-C1-4アルキル基から選択される1個以上の場合により存在する置換基を表し、RR2は、F、Cl、および場合により置換されたC1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C5-7アリールおよびC5-7アリール-C1-4アルキル基から選択される1個以上の場合により存在する置換基を表し;
Dは、
【化17】

【0027】
から選択され;
Bは、
【化18】

【0028】
からなる群より選択され、そこにおいて、
RN’はHおよびC1-4アルキルから選択され;
RP6はフッ素および塩素から選択され;
RP3およびRP4の一方が-Cmアルキレン-R2であり、RP3およびRP4のもう一方がHである場合、mおよびnは0または1であり、かつm + n = 1または2であり;さらに、RP3が-Cmアルキレン-R2である場合、mは2または3であってもよく、かつm + n = 1、2、3または4であり、R2がテトラゾール-5-イルである場合、m + nは0であってもよく;Bが、
【化19】

【0029】
からなる群より選択される場合、m + nは0であってもよく;
またはRP3およびRP4の一方が-O-CH2-R2であり、RP3およびRP4のもう一方がHである場合、nは0であり;
RNはHまたは場合により置換されたC1-4アルキルであり;
R2は、
(i) -CO2H (カルボキシ);
(ii) -CONH2
(iii) -CH2-OH;または
(iv) テトラゾール-5-イル
のいずれかである]
の化合物、またはその塩、溶媒和物もしくは化学的に保護された形を提供する。
【0030】
本発明の第5の態様は、式(V):
【化20】

【0031】
[式中、
R5は、場合により置換されたC5-20アリールまたはC4-20アルキル基であり;
L’は、単結合、-O-または-C(=O)-であり;
Bは、
【化21】

【0032】
からなる群より選択され、そこにおいて、
RN’はHおよびC1-4アルキルから選択され;
RP6はフッ素および塩素から選択され;
RP3およびRP4の一方が-Cmアルキレン-R2であり、RP3およびRP4のもう一方がHである場合、mは1であり;さらにRP3が-Cmアルキレン-R2である場合、mは2または3であってもよく、R2がテトラゾール-5-イルである場合、mは0であってもよく;Bが、
【化22】

【0033】
からなる群より選択される場合、mは0であってもよく;
またはRP3およびRP4の一方は-O-CH2-R2であってよく、RP3およびRP4のもう一方はHであり;
RNはHまたは場合により置換されたC1-4アルキルであり;
R2は、
(i) -CO2H (カルボキシ);
(ii) -CONH2
(iii) -CH2-OH;または
(iv) テトラゾール-5-イル
のいずれかである]
の化合物、またはその塩、溶媒和物もしくは化学的に保護された形を提供する。
【0034】
したがって、Aは(存在する場合には)、下記の基:
【化23】

【0035】
のうちの一つである。
【0036】
本発明の第6の態様は、治療の方法に使用するための式(I)〜(V)の化合物またはその製薬上許容される塩を提供する。
【0037】
本発明の第7の態様は、第1〜第5の態様において定義した通りの式(I)〜(V)の化合物またはその製薬上許容される塩を、製薬上許容される担体または希釈剤と共に含む医薬組成物を提供する。
【0038】
本発明の第8の態様は、EP2受容体の作動により緩和される状態の治療のための医薬品の調製における、式(I)〜(V)の化合物またはその製薬上許容される塩の使用を提供する。
【0039】
本発明の第9の態様は、治療を必要とする患者に有効量の式(I)〜(V)の化合物またはその製薬上許容される塩を投与することを含む、EP2受容体の作動により緩和され得る状態を治療する方法を提供する。
【0040】
本発明の第8および第9の態様において、EP2受容体の作動は選択的であってもよく、またはEP4受容体の拮抗を伴ってもよい。
【0041】
EP2受容体の作動により緩和され得る状態については上で論じたが、特に、月経困難症、早期陣痛、緑内障、高眼圧症、免疫障害、炎症性疾患、骨粗鬆症、ぜんそく、慢性閉塞性肺疾患、アレルギー、骨疾患、骨折修復、男性機能障害、女性機能障害、不妊症、歯周病、胃潰瘍、腎臓病および乾癬を含む。
【0042】
EP2受容体の作動とEP4受容体の拮抗の組合せにより緩和され得る状態については上で論じたが、特に、子宮筋障害、骨粗鬆症および変形性関節症を含む骨疾患、乾癬、移植拒絶反応およびぜんそくなどのアレルギーおよび免疫障害、関節リウマチ、慢性閉塞性肺疾患および急性呼吸器病症候群および繊維性肺疾患などの炎症性疾患を含む。
【0043】
EP受容体アゴニストは、T細胞の活性化および炎症性サイトカインの放出を阻害することができることが知られているが、ヒトT細胞においてこれらの作用の仲介に関与するEP受容体は以前には決定されていなかった。本発明者らの一部は、2004年12月22日にBorman, R.A.らの名前で出願された「EP2アゴニスト」という表題の同時係属米国および国際出願(WO 2005/061449)(この出願を参照により本明細書に組み入れる)に記載される通り、EP2アゴニストがヒトT細胞の活性化(増殖)を阻害し、インターロイキン2 (IL-2)腫瘍壊死因子(TNFα)およびインターフェロンガンマ(IFNγ)を含む多数の炎症性サイトカインの放出を阻害することを発見した。この活性のプロファイルは、EP2受容体アゴニストが、乾癬、乾癬性関節炎、皮膚炎、関節リウマチ、移植拒絶反応、炎症性腸疾患、全身性エリテマトーデス、グレーブズ病、強皮症、多発性硬化症、I型糖尿病、および移植拒絶反応を含むがこれらに限定されない免疫障害および炎症性疾患、および特に乾癬の治療に有用であることを強く示唆している(Griffiths, C., Current Drugs Targets - Inflammation & Allergy, 3, 157-161, (2004);Lebwohl, M., Lancet, 361, 1197-1204 (2003);Salim, A. & Emerson, R., Curr. Opin. Investig. Drugs, 2(11), 1546-8 (2001))。したがって、EP2受容体の作動により緩和され得る別の状態は乾癬である。
【0044】
さらに、本発明者らの一部は、2004年12月22日にBorman, R.A.らの名前で出願された「EP2アゴニスト」という表題の同時係属米国および国際出願(WO 2005/061449)(この出願を参照により本明細書に組み入れる)に記載される通り、EP2受容体アゴニストがヒト単球および肺胞マクロファージからの炎症性サイトカイン、TNFαの放出を阻害することをも示した。この活性のプロファイルは、EP2受容体アゴニストが、免疫および炎症性障害、および特に炎症性肺疾患(ぜんそく、慢性閉塞性肺疾患、急性呼吸窮迫症候群、肺線維症および嚢胞性線維症を含むが、これらに限定されない)の治療に有用であるという見方の更なる証拠を提供する。
【0045】
さらに、本発明の態様は、IL-2 TNFαおよび/またはIFNγ生産の阻害により緩和される状態を治療するためのEP2アゴニストの使用、およびIL-2生産の阻害により緩和される状態を治療するための医薬品の調製におけるEP2アゴニストの使用に関する。
【0046】
本発明はまた、細胞を有効量の本発明の第1の態様の化合物と接触させることを含む、in vitroまたはin vivoにおけるEP2受容体の刺激および/またはIL-2、TNFαおよび/またはIFNγの生産の阻害の方法を提供する。
【0047】
本発明の化合物について、それらがEP4受容体のアンタゴニストとして作用するかどうかを決定するためのアッセイをおこなうことができる。好適なアッセイ法を下記の実施例12に記載する。
【0048】
本発明はまた、細胞を有効量の式(I)〜(V)の化合物と接触させることを含む、in vitroまたはin vivoにおいてEP2を作動し、場合によりEP4受容体に拮抗する方法を提供する。
【0049】
いくつかの実施形態において、EP2アゴニストとして機能する上記の化合物は、1種以上の他の3種のEP受容体、すなわち、EP1、EP3およびEP4のモジュレーションと比較して選択的であり得る。この選択性により、ある状態の治療において利益を有する可能性がある本発明の化合物の作用の標的化が可能になる。
【0050】
定義
単座基
(すなわち、1つの共有結合の位置を有する基)
アルキル:本明細書において使用する「アルキル」という用語は、(他に特定されない限り)1〜20個の炭素原子を有する炭化水素化合物の炭素原子から1個の水素原子を除去して得られる1価の基であって、脂肪族または脂環式であってよく、飽和または不飽和であってよいものを意味する。したがって、「アルキル」という用語は、下で論じるアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル等のサブクラスを含む。
【0051】
アルキル基の文脈において、接頭辞(例えば、C1-4、C1-7、C1-20、C2-7、C3-7)は、炭素原子の数、または炭素原子の数の範囲を表す。たとえば、本明細書において使用する「C1-4アルキル」という用語は、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を意味する。アルキル基の群の例には、C1-4アルキル(「低級アルキル」)、C1-7アルキルおよびC4-20アルキルが含まれる。最初の接頭辞は、たとえば、不飽和アルキル基の場合には最初の接頭辞は少なくとも2でなければならない;環状アルキル基の場合には最初の接頭辞は少なくとも3でなければならない等の他の限定により変化する可能性がある。
【0052】
飽和アルキル基の例には、メチル(C1)、エチル(C2)、プロピル(C3)、ブチル(C4)、ペンチル(C5)、ヘキシル(C6)、ヘプチル(C7)、オクチル(C8)、ノニル(C9)、デシル(C10)、ウンデシル(C11)、ドデシル(C12)、トリデシル(C13)、テトラデシル(C14)、ペンタデシル(C15)、およびエイコデシル(C20)が含まれるが、これらに限定されない。
【0053】
飽和直鎖アルキル基の例には、メチル(C1)、エチル(C2)、n-プロピル(C3)、n-ブチル(C4)、n-ペンチル(アミル)(C5)、n-ヘキシル(C6)、およびn-ヘプチル(C7)が含まれるが、これらに限定されない。
【0054】
飽和分枝鎖アルキル基の例には、イソプロピル(C3)、イソブチル(C4)、sec-ブチル(C4)、tert-ブチル(C4)、イソペンチル(C5)、およびネオペンチル(C5)が含まれる。
【0055】
アルケニル:本明細書において使用する「アルケニル」という用語は、1個以上の炭素-炭素二重結合を有するアルキル基を意味する。アルケニル基の例には、C2-4アルケニル、C2-7アルケニルおよびC2-20アルケニルが含まれる。アルケニル基の例には、エテニル(ビニル、-CH=CH2)、1-プロペニル(-CH=CH-CH3)、2-プロペニル(アリル、-CH-CH=CH2)、イソプロペニル(1-メチルビニル、-C(CH3)=CH2)、ブテニル(C4)、ペンテニル(C5)、およびヘキセニル(C6)が含まれるが、これらに限定されない。
【0056】
アルキニル:本明細書において使用する「アルキニル」という用語は、1個以上の炭素-炭素三重結合を有するアルキル基を意味する。アルキニル基の群の例には、C2-4アルキニル、C2-7アルキニルおよびC2-20アルキニルが含まれる。アルキニル基の例には、エチニル(-C≡CH)および2-プロピニル(プロパルギル、-CH2-C≡CH)が含まれるが、これらに限定されない。
【0057】
シクロアルキル:本明細書において使用する「シクロアルキル」という用語は、シクリル基でもあるアルキル基を意味する。すなわち、炭素環化合物の炭素環の脂環式環原子から1個の水素原子を除去することにより得られる1価の基であって、前記の炭素環は飽和または不飽和であってよく、前記の基は(他に特定されない限り)3〜7個の環原子を含む3〜7個の炭素原子を有する。したがって、「シクロアルキル」という用語は、シクロアルケニルおよびシクロアルキニルのサブクラスを含む。好ましくは、それぞれの環は3〜7個の環原子を有する。シクロアルキル基の群の例には、C3-7シクロアルキルが含まれる。
【0058】
シクロアルキル基の例には、
飽和単環炭化水素化合物:
シクロプロパン(C3)、シクロブタン(C4)、シクロペンタン(C5)、シクロヘキサン(C6)、シクロヘプタン(C7)、メチルシクロプロパン(C4)、ジメチルシクロプロパン(C5)、メチルシクロブタン(C5)、ジメチルシクロブタン(C6)、メチルシクロペンタン(C6)、ジメチルシクロペンタン(C7)、メチルシクロヘキサン(C7)、ジメチルシクロヘキサン(C8)、メンタン(C10);
不飽和単環炭化水素化合物:
シクロプロペン(C3)、シクロブテン(C4)、シクロペンテン(C5)、シクロヘキセン(C6)、メチルシクロプロペン(C4)、ジメチルシクロプロペン(C5)、メチルシクロブテン(C5)、ジメチルシクロブテン(C6)、メチルシクロペンテン(C6)、ジメチルシクロペンテン(C7)、メチルシクロヘキセン(C7)、ジメチルシクロヘキセン(C8);
飽和多環炭化水素化合物:
ツジャン(C10)、カラン(C10)、ピナン(C10)、ボルナン(C10)、ノルカラン(C7)、ノルピナン(C7)、ノルボルナン(C7)、アダマンタン(C10)、デカリン(デカヒドロナフタレン)(C10);
不飽和多環炭化水素化合物:
カンフェン(C10)、リモネン(C10)、ピネン(C10)
から誘導されるものが含まれるが、これらに限定されない。
【0059】
ヘテロシクリル:本明細書において使用する「ヘテロシクリル」という用語は、複素環化合物の環原子から1個の水素原子を除去することにより得られる1価の基を意味し、前記の基は(他に特定されない限り)3〜20個の環原子を有し、そのうちの1〜10個は環ヘテロ原子である。好ましくは、それぞれの環は3〜7個の環原子を有し、そのうちの1〜4個は環ヘテロ原子である。
【0060】
この文脈において、接頭辞(例えば、C3-20、C3-7、C5-6等)は、炭素原子であるかヘテロ原子であるかを問わず、環原子の数または環原子の数の範囲を表す。たとえば、本明細書において使用する「C5-6ヘテロシクリル」という用語は、5または6個の環原子を有するヘテロシクリル基を意味する。ヘテロシクリル基の群の例には、C3-20ヘテロシクリル、C5-20ヘテロシクリル、C3-15ヘテロシクリル、C5-15ヘテロシクリル、C3-12ヘテロシクリル、C5-12ヘテロシクリル、C3-10ヘテロシクリル、C5-10ヘテロシクリル、C3-7ヘテロシクリル、C5-7ヘテロシクリル、およびC5-6ヘテロシクリルが含まれる。
【0061】
単環式ヘテロシクリル基の例には、
N1:アジリジン(C3)、アゼチジン(C4)、ピロリジン(テトラヒドロピロール)(C5)、ピロリン(例えば、3-ピロリン、2,5-ジヒドロピロール)(C5)、2H-ピロールまたは3H-ピロール(イソピロール、イソアゾール)(C5)、ピペリジン(C6)、ジヒドロピリジン(C6)、テトラヒドロピリジン(C6)、アゼピン(C7);
O1:オキシラン(C3)、オキセタン(C4)、オキソラン(テトラヒドロフラン)(C5)、オキソール(ジヒドロフラン)(C5)、オキサン(テトラヒドロピラン)(C6)、ジヒドロピラン(C6)、ピラン(C6)、オキセピン(C7);
S1:チイラン(C3)、チエタン(C4)、チオラン(テトラヒドロチオフェン)(C5)、チアン(テトラヒドロチオピラン)(C6)、チエパン(C7);
O2:ジオキソラン(C5)、ジオキサン(C6)、およびジオキセパン(C7);
O3:トリオキサン(C6);
N2:イミダゾリジン(C5)、ピラゾリジン(ジアゾリジン)(C5)、イミダゾリン(C5)、ピラゾリン(ジヒドロピラゾール)(C5)、ピペラジン(C6);
N1O1:テトラヒドロオキサゾール(C5)、ジヒドロオキサゾール(C5)、テトラヒドロイソキサゾール(C5)、ジヒドロイソキサゾール(C5)、モルホリン(C6)、テトラヒドロオキサジン(C6)、ジヒドロオキサジン(C6)、オキサジン(C6);
N1S1:チアゾリン(C5)、チアゾリジン(C5)、チオモルホリン(C6);
N2O1:オキサジアジン(C6);
O1S1:オキサチオール(C5)およびオキサチアン(チオキサン)(C6);および、
N1O1S1:オキサチアジン(C6)
から誘導されるものが含まれるが、これらに限定されない。
【0062】
アリール:本明細書において使用する「アリール」という用語は、芳香族化合物の芳香環原子から1個の水素原子を除去することにより得られる1価の基を意味し、前記の基は(他に特定されない限り)3〜20個の環原子を有する。好ましくは、それぞれの環は5〜7個の環原子を有する。
【0063】
この文脈において、接頭辞(例えば、C3-20、C5-7、C5-6等)は、炭素原子であるかヘテロ原子であるかを問わず、環原子の数または環原子の数の範囲を意味する。例えば、本明細書において使用する「C5-6アリール」という用語は、5または6個の環原子を有するアリール基を意味する。アリール基の群の例には、C3-20アリール、C5-20アリール、C5-15アリール、C5-12アリール、C5-10アリール、C5-7アリール、C5-6アリール、C5アリール、およびC6アリールが含まれる。
【0064】
環原子は「カルボアリール基」の場合のように、すべてが炭素原子であってもよい。カルボアリール基の例には、C3-20カルボアリール、C5-20カルボアリール、C5-15カルボアリール、C5-12カルボアリール、C5-10カルボアリール、C5-7カルボアリール、C5-6カルボアリール、C5カルボアリール、およびC6カルボアリールが含まれる。
【0065】
カルボアリール基の例には、ベンゼン(すなわち、フェニル)(C6)、ナフタレン(C10)、アズレン(C10)、アントラセン(C14)、フェナントレン(C14)、ナフタセン(C18)、およびピレン(C16)から誘導されるものが含まれるが、これらに限定されない。
【0066】
少なくとも1個の環が芳香環である縮合環を含むアリール基の例には、インダン(例えば、2,3-ジヒドロ-1H-インデン)(C9)、インデン(C9)、イソインデン(C9)、テトラリン(1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(C10)、アセナフテン(C12)、フルオレン(C13)、フェナレン(C13)、アセフェナントレン(C15)、およびアセアントレン(C16)から誘導される基が含まれるが、これらに限定されない。
【0067】
あるいは、環原子は「ヘテロアリール基」の場合のように、1個以上のヘテロ原子を含んでもよい。ヘテロアリール基の例には、C3-20ヘテロアリール、C5-20ヘテロアリール、C5-15ヘテロアリール、C5-12ヘテロアリール、C5-10ヘテロアリール、C5-7ヘテロアリール、C5-6ヘテロアリール、C5ヘテロアリール、およびC6ヘテロアリールが含まれる。
【0068】
単環式ヘテロアリール基の例には、
N1:ピロール(アゾール)(C5)、ピリジン(アジン)(C6);
O1:フラン(オキソール)(C5);
S1:チオフェン(チオール)(C5);
N1O1:オキサゾール(C5)、イソキサゾール(C5)、イソキサジン(C6);
N2O1:オキサジアゾール(フラザン)(C5);
N3O1:オキサトリアゾール(C5);
N1S1:チアゾール(C5)、イソチアゾール(C5);
N2:イミダゾール(1,3-ジアゾール)(C5)、ピラゾール(1,2-ジアゾール)(C5)、ピリダジン(1,2-ジアジン)(C6)、ピリミジン(1,3-ジアジン)(C6)、ピラジン(1,4-ジアジン)(C6);
N3:トリアゾール(C5)、トリアジン(C6);および、
N4:テトラゾール(C5)
から誘導されるものが含まれるが、これらに限定されない。
【0069】
縮合環を含むヘテロアリール基の例には、
ベンゾフラン(O1)、イソベンゾフラン(O1)、インドール(N1)、イソインドール(N1)、インドリジン(N1)、インドリン(N1)、イソインドリン(N1)、プリン(N4)(例えば、アデニン、グアニン)、ベンズイミダゾール(N2)、インダゾール(N2)、ベンゾオキサゾール(N1O1)、ベンズイソキサゾール(N1O1)、ベンゾジオキソール(O2)、ベンゾフラザン(N2O1)、ベンゾトリアゾール(N3)、ベンゾチオフラン(S1)、ベンゾチアゾール(N1S1)、ベンゾチアジアゾール(N2S)から誘導されるC9(2個の縮合環を有する);
クロメン(O1)、イソクロメン(O1)、クロマン(O1)、イソクロマン(O1)、ベンゾジオキサン(O2)、キノリン(N1)、イソキノリン(N1)、キノリジン(N1)、ベンズオキサジン(N1O1)、ベンゾジアジン(N2)、ピリドピリジン(N2)、キノキサリン(N2)、キナゾリン(N2)、シンノリン(N2)、フタラジン(N2)、ナフチリジン(N2)、プテリジン(N4)から誘導されるC10(2個の縮合環を有する);
ベンゾジアゼピン(N2)から誘導されるC11(2個の縮合環を有する);
カルバゾール(N1)、ジベンゾフラン(O1)、ジベンゾチオフェン(S1)、カルボリン(N2)、ペリミジン(N2)、ピリドインドール(N2)から誘導されるC13(3個の縮合環を有する);および、
アクリジン(N1)、キサンテン(O1)、チオキサンテン(S1)、オキサントレン(O2)、フェノキサチイン(O1S1)、フェナジン(N2)、フェノキサジン(N1O1)、フェノチアジン(N1S1)、チアントレン(S2)、フェナントリジン(N1)、フェナントロリン(N2)、フェナジン(N2)から誘導されるC14(3個の縮合環を有する)
が含まれるが、これらに限定されない。
【0070】
ヘテロアリールまたはヘテロシクリル基が窒素環原子を有する場合、この環原子は、可能な場合には、N-オキシドとして酸化された状態であってもよい。
【0071】
上記の基は、単独で、または別の置換基の一部として、それら自体が、場合により、それら自体、下に挙げる別の単座の置換基、およびアルコキシレンから選択される1個以上の基により置換されていてもよい。
【0072】
ハロ:-F、-Cl、-Br、および-I。
ヒドロキシ:-OH。
エーテル:-OR、そこにおいて、Rはエーテル置換基、例えば、C1-7アルキル基(C1-7アルコキシ基とも呼ばれる、下記)、C3-20ヘテロシクリル基(C3-20ヘテロシクリルオキシ基とも呼ばれる)、またはC5-20アリール基(C5-20アリールオキシ基とも呼ばれる)、好ましくはC1-7アルキル基である。
【0073】
C1-7アルコキシ:-OR、そこにおいて、RはC1-7アルキル基である。C1-7アルコキシ基の例には、-OMe(メトキシ)、-OEt(エトキシ)、-O(nPr)(n-プロポキシ)、-O(iPr)(イソプロポキシ)、-O(nBu)(n-ブトキシ)、-O(sBu)(sec-ブトキシ)、-O(iBu)(イソブトキシ)、および-O(tBu)(tert-ブトキシ)が含まれるが、これらに限定されない。
【0074】
オキソ(ケト、-オン):=O。
チオン(チオケトン):=S。
イミノ(イミン):=NR、そこにおいて、Rはイミノ置換基、たとえば、水素、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、またはC5-20アリール基、好ましくは水素またはC1-7アルキル基である。イミノ基の例には、=NH、=NMe、=NEt、および=NPhが含まれるが、これらに限定されない。
【0075】
ホルミル(カルバルデヒド、カルボキシアルデヒド):-C(=O)H。
アシル(ケト):-C(=O)R、そこにおいて、Rはアシル置換基、例えば、C1-7アルキル基(C1-7アルキルアシルまたはC1-7アルカノイルとも呼ばれる)、C3-20ヘテロシクリル基(C3-20ヘテロシクリルアシルとも呼ばれる)、またはC5-20アリール基(C5-20アリールアシルとも呼ばれる)、好ましくはC1-7アルキル基である。アシル基の例には、-C(=O)CH3 (アセチル)、-C(=O)CH2CH3 (プロピオニル)、-C(=O)C(CH3)3 (t-ブチリル)、および-C(=O)Ph(ベンゾイル、フェノン)が含まれるが、これらに限定されない。
【0076】
カルボキシ(カルボン酸):-C(=O)OH。
チオカルボキシ(チオカルボン酸):-C(=S)SH。
チオロカルボキシ(チオロカルボン酸):-C(=O)SH。
チオノカルボキシ(チオノカルボン酸):-C(=S)OH。
イミド酸:-C(=NH)OH。
ヒドロキサム酸:-C(=NOH)OH。
【0077】
エステル(カルボキシレート、カルボン酸エステル、オキシカルボニル):-C(=O)OR、そこにおいて、Rはエステル置換基、例えば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、またはC5-20アリール基、好ましくはC1-7アルキル基である。エステル基の例には、-C(=O)OCH3、-C(=O)OCH2CH3、−C(=O)OC(CH3)3、および-C(=O)OPhが含まれるが、これらに限定されない。
【0078】
アシルオキシ(逆エステル):-OC(=O)R、そこにおいて、Rはアシルオキシ置換基、例えば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、またはC5-20アリール基、好ましくはC1-7アルキル基である。アシルオキシ基の例には、-OC(=O)CH3(アセトキシ)、-OC(=O)CH2CH3、-OC(=O)C(CH3)3、-OC(=O)Ph、および-OC(=O)CH2Phが含まれるが、これらに限定されない。
【0079】
アミド(カルバモイル、カルバミル、アミノカルボニル、カルボキシアミド):-C(=O)NR1R2、そこにおいて、R1およびR2は独立して、アミノ基について定義する通りのアミノ置換基である。アミド基の例には、-C(=O)NH2、-C(=O)NHCH3、-C(=O)N(CH3)2、-C(=O)NHCH2CH3、および-C(=O)N(CH2CH3)2、ならびに、R1およびR2がそれらが結合する窒素原子と一緒になって、例えば、ピペリジノカルボニル、モルホリノカルボニル、チオモルホリノカルボニル、およびピペラジノカルボニルのような複素環構造を形成するアミド基が含まれるが、これらに限定されない。
【0080】
アシルアミノ:-NR1C(=O)R2、そこにおいて、R1はアミド置換基、例えば、水素、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、またはC5-20アリール基、好ましくは水素またはC1-7アルキル基であり、R2はアシル置換基、例えば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、またはC5-20アリール基、好ましくは水素またはC1-7アルキル基である。アシルアミド基の例には、-NHC(=O)CH3、-NHC(=O)CH2CH3、および-NHC(=O)Phが含まれるが、これらに限定されない。R1およびR2は一緒になって、例えば、スクシンイミジル、マレイミジル、およびフタルイミジルのような環構造を形成してもよい。
【化24】

【0081】
チオアミド(チオカルバミル):-C(=S)NR1R2、そこにおいて、R1およびR2は独立して、アミノ基について定義する通りのアミノ置換基である。チオアミド基の例には、-C(=S)NH2、-C(=S)NHCH3、-C(=S)N(CH3)2、および-C(=S)NHCH2CH3が含まれるが、これらに限定されない。
【0082】
ウレイド:-N(R1)CONR2R3、そこにおいて、R2およびR3は独立して、アミノ基について定義する通りのアミノ置換基であり、R1はウレイド置換基、例えば、水素、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、またはC5-20アリール基、好ましくは水素またはC1-7アルキル基である。ウレイド基の例には、-NHCONH2、-NHCONHMe、-NHCONHEt、-NHCONMe2、-NHCONEt2、-NMeCONH2、-NMeCONHMe、-NMeCONHEt、-NMeCONMe2、および-NMeCONEt2が含まれるが、これらに限定されない。
【0083】
グアニジノ:-NH-C(=NH)NH2
テトラゾリル:4個の窒素原子および1個の炭素原子を有する5員芳香環、
【化25】

【0084】
アミノ:-NR1R2、そこにおいて、R1およびR2は独立してアミノ置換基、例えば、水素、C1-7アルキル基(C1-7アルキルアミノまたはジ-C1-7アルキルアミノとも呼ばれる)、C3-20ヘテロシクリル基、またはC5-20アリール基、好ましくはHまたはC1-7アルキル基であり、または「環状」アミノ基の場合には、R1およびR2は、それらが結合する窒素原子と一緒になって4〜8個の環原子を有する複素環を形成する。アミノ基は、第1級(-NH2)、第2級(-NHR1)、または第3級(-NHR1R2)であってよく、カチオン型において、第4級(-+NR1R2R3)であってもよい。アミノ基の例には、-NH2、-NHCH3、-NHC(CH3)2、-N(CH3)2、-N(CH2CH3)2、および-NHPhが含まれるが、これらに限定されない。環状アミノ基の例には、アジリジノ、アゼチジノ、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、およびチオモルホリノが含まれるが、これらに限定されない。
【0085】
アミジン(アミジノ):-C(=NR)NR2、そこにおいて、それぞれのRはアミジン置換基、例えば、水素、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、またはC5-20アリール基、好ましくはHまたはC1-7アルキル基である。アミジン基の例には、-C(=NH)NH2、-C(=NH)NMe2、および-C(=NMe)NMe2が含まれるが、これらに限定されない。
【0086】
ニトロ:-NO2
ニトロソ:-NO。
シアノ(ニトリル、カルボニトリル):-CN。
スルフヒドリル(チオール、メルカプト):-SH。
チオエーテル(スルフィド):-SR、そこにおいて、Rはチオエーテル置換基、例えば、C1-7アルキル基(C1-7アルキルチオ基とも呼ばれる)、C3-20ヘテロシクリル基、またはC5-20アリール基、好ましくはC1-7アルキル基である。C1-7アルキルチオ基の例には、-SCH3および-SCH2CH3が含まれるが、これらに限定されない。
【0087】
ジスルフィド:-SS-R、そこにおいて、Rはジスルフィド置換基、例えば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、またはC5-20アリール基、好ましくはC1-7アルキル基(C1-7アルキルジスルフィドとも呼ばれる)である。C1-7アルキルジスルフィド基の例には、-SSCH3および-SSCH2CH3が含まれるが、これらに限定されない。
【0088】
スルフィン(スルフィニル、スルホキシド):-S(=O)R、そこにおいて、Rはスルフィン置換基、例えば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、またはC5-20アリール基、好ましくはC1-7アルキル基である。スルフィン基の例には、-S(=O)CH3および-S(=O)CH2CH3が含まれるが、これらに限定されない。
【0089】
スルホン(スルホニル):-S(=O)2R、そこにおいて、Rはスルホン置換基、例えば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、またはC5-20アリール基、好ましくはC1-7アルキル基であり、例えば、フッ素化または過フッ素化C1-7アルキル基を含む。スルホン基の例には、-S(=O)2CH3(メタンスルホニル、メシル)、-S(=O)2CF3(トリフリル)、-S(=O)2CH2CH3(エシル)、-S(=O)2C4F9(ノナフリル)、-S(=O)2CH2CF3(トレシル)、-S(=O)2CH2CH2NH2(タウリル)、-S(=O)2Ph(フェニルスルホニル、ベシル)、4-メチルフェニルスルホニル(トシル)、4-クロロフェニルスルホニル(クロシル)、4-ブロモフェニルスルホニル(ブロシル)、4-ニトロフェニル(ノシル)、2-ナフタレンスルホネート(ナプシル)、および5-ジメチルアミノナフタレン-1-イルスルホネート(ダンシル)が含まれるが、これらに限定されない。
【0090】
スルフィン酸(スルフィノ):-S(=O)OH、-SO2H。
【0091】
スルホン酸(スルホ):-S(=O)2OH、-SO3H。
【0092】
スルフィネート(スルフィン酸エステル):-S(=O)OR、そこにおいて、Rはスルフィネート置換基、例えば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、またはC5-20アリール基、好ましくはC1-7アルキル基である。スルフィネート基の例には、-S(=O)OCH3(メトキシスルフィニル;メチルスルフィネート)および-S(=O)OCH2CH3(エトキシスルフィニル;エチルスルフィネート)が含まれるが、これらに限定されない。
【0093】
スルフィニルオキシ:-OS(=O)R、そこにおいて、Rはスルフィニルオキシ置換基、例えば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、またはC5-20アリール基、好ましくはC1-7アルキル基である。スルフィニルオキシ基の例には、-OS(=O)CH3および-OS(=O)CH2CH3が含まれるが、これらに限定されない。
【0094】
スルファミル(スルファモイル;スルフィン酸アミド;スルフィンアミド):-S(=O)NR1R2、そこにおいて、R1およびR2は独立して、アミノ基について定義した通りのアミノ置換基である。スルファミル基の例には、-S(=O)NH2、-S(=O)NH(CH3)、-S(=O)N(CH3)2、-S(=O)NH(CH2CH3)、-S(=O)N(CH2CH3)2、および-S(=O)NHPhが含まれるが、これらに限定されない。
【0095】
スルホンアミド(スルフィナモイル;スルホン酸アミド;スルホンアミド):-S(=O)2NR1R2、そこにおいて、R1およびR2は独立して、アミノ基について定義した通りのアミノ置換基である。スルホンアミド基の例には、-S(=O)2NH2、-S(=O)2NH(CH3)、-S(=O)2N(CH3)2、-S(=O)2NH(CH2CH3)、-S(=O)2N(CH2CH3)2、および-S(=O)2NHPhが含まれるが、これらに限定されない。
【0096】
スルホンアミノ:-NR1S(=O)2R、そこにおいて、R1はアミノ基について定義した通りのアミノ置換基であり、Rはスルホンアミノ置換基、例えば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、またはC5-20アリール基、好ましくはC1-7アルキル基である。スルホンアミノ基の例には、-NHS(=O)2CH3および-N(CH3)S(=O)2C6H5が含まれるが、これらに限定されない。
【0097】
スルフィンアミノ:-NR1S(=O)R、そこにおいて、R1はアミノ基について定義した通りのアミノ置換基であり、Rはスルフィンアミノ置換基、例えばC1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、またはC5-20アリール基、好ましくはC1-7アルキル基である。スルフィンアミノ基の例には、-NHS(=O)CH3および-N(CH3)S(=O)C6H5が含まれるが、これらに限定されない。
【0098】
既に述べたように、上記の基は置換されていてもよく、特定の例には、ベンジル(フェニルメチル、PhCH2-)、ベンズヒドリル(Ph2CH-)、トリチル(トリフェニルメチル、Ph3C-)、フェネチル(フェニルエチル、Ph-CH2CH2-)、スチリル(Ph-CH=CH-)およびシンナミル(Ph-CH=CH-CH2-)を含むC3-20アリール-C1-7アルキル基が含まれるが、これらに限定されない。
【0099】
二座の基
(すなわち、2つの共有結合の位置を有する基;連結基)
アルキレン:本明細書において使用する「C1-3アルキレン」という用語は、1〜3個の炭素原子を有し、飽和または不飽和であってよい直鎖炭化水素化合物の2個の異なる炭素原子から2個の水素原子を除去することにより得られる二座の基を意味する。したがって、「アルキレン」という用語には、アルケニレンおよびアルキニレンのサブクラスが含まれる。
【0100】
この文脈において、接頭辞C1-3は、炭素原子の数、または炭素原子の数の範囲を表す。
【0101】
飽和C1-3アルキレン基の例には、-CH2-(メチレン)、-CH2CH2-(エチレン)および-CH2CH2CH2-(プロピレン)が含まれる。
【0102】
不飽和C1-3アルキレン基(「C2-3アルケニレン」または「C2-3アルキニレン」の適切な方で呼んでもよい)の例には、-CH=CH-(ビニレン)、-CH=CH-CH2-、-CH2-CH=CH-、-C≡C-、-C≡C-CH2-および-CH2-C≡C-が含まれる。
【0103】
C1-3アルキレン基は上記の単座の置換基により置換されていてもよい。
アルコキシレン:本明細書において使用する「アルコキシレン」という用語は、式-O(CH2)nO-(式中、nは1または2である)の二座の基を意味する。
【0104】
含まれる他の形
他に特定しない限り、上記にはこれらの置換基の公知のイオン、塩、溶媒和物、および保護された形が含まれる。たとえば、カルボン酸(-COOH)という記載は、そのアニオン(カルボキシレート)型(-COO-)、塩または溶媒和物、ならびに通常の保護された形をも含む。同様に、アミノ基という記載は、アミノ基のプロトン化された形(-N+HR1R2)、塩または溶媒和物、例えば、塩酸塩、ならびにアミノ基の通常の保護された形を含む。同様に、ヒドロキシル基という記載は、そのアニオン型(-O-)、塩または溶媒和物、ならびにヒドロキシル基の通常の保護された形を含む。
【0105】
異性体、塩、溶媒和物および保護された形
ある種の化合物は、cisおよびtrans型;E-およびZ-型;c-、t-、およびr-型;endoおよびexo型;R-、S-、およびmeso型;D-およびL-型;d-およびl-型;(+)および(-)型、ケト、エノール、およびエノレート型;synおよびanti型;シンクリナルおよびアンチクリナル型;αおよびβ型;アキシアルおよびエクアトリアル型;舟、いす、ねじれ、封筒、および半いす型;およびそれらの組合せを含むがこれらに限定されない、1種以上の特定の幾何、光学、鏡像、ジアステレオマー、エピマー、立体、互変、配座、またはアノマー異性体として存在し得る。これらを以下に集合的に「異性体」(または「異性体型」)と呼ぶ。
【0106】
下で論じる互変異性型を除いて、本明細書において使用する「異性体」という用語からは、構造異性体(structuralまたはconstitutional isomer)(すなわち、単に空間における原子の位置ではなく、原子間の関係が異なる異性体)が特に除外されていることに留意されたい。例えば、メトキシ基、-OCH3という記載は、その構造異性体であるヒドロキシメチル基、-CH2OHを指すものとは解釈されない。同様に、オルトクロロフェニルという記載は、その構造異性体であるメタクロロフェニルを指すとは解釈されない。しかしながら、構造のクラスを記載する場合には、そのクラスに属する構造異性体はすべて含まれる(例えば、C1-7アルキルはn-プロピルおよびイソプロピルを含み;ブチルはn-、イソ、sec-、およびtert-ブチルを含み;メトキシフェニルはオルト、メタ、およびパラメトキシフェニルを含む)。
【0107】
上記の除外は、例えば次の互変対:ケト/エノール(下に図示する)、イミン/エナミン、アミド/イミノアルコール、アミジン/アミジン、ニトロソ/オキシム、チオケトン/エンチオール、N-ニトロソ/ヒドロキシアゾ、およびニトロ/アシニトロにおけるもののような互変異性体型、例えばケト、エノール、およびエノレート型には当てはまらない。
【化26】

【0108】
「異性体」という用語には、1種以上の同位体置換を有する化合物が特に含まれることに留意されたい。例えば、Hは1H、2H(D)、および3H(T)を含むいかなる同位体型であってもよく;Cは12C、13C、および14Cを含むいかなる同位体型であってもよく;Oは16Oおよび18Oを含むいかなる同位体型であってもよい等である。
【0109】
他に特定されない限り、特定の化合物の記載は、(完全または部分的)ラセミ体および他の混合物を含む、前記のすべての異性体型を含む。前記の異性体型の調製(例えば不斉合成)および分離(例えば分別結晶およびクロマトグラフィー手段)の方法は、当業者に公知であるか、または本明細書に記載する方法または公知の方法を公知の方式で応用することにより容易に実施することができる。
【0110】
他に特定されない限り、特定の化合物の記載は、例えば下に論じるもののような、それらのイオン型、塩、溶媒和物、および保護された形をも含む。
【0111】
対応する活性化合物の塩、例えば製薬上許容される塩を調製、精製する、および/または取り扱うことが便利であるまたは望ましい場合がある。製薬上許容される塩の例は、Bergeら、J. Pharm. Sci., 66, 1-19 (1977)に論じられている。
【0112】
例えば、化合物がアニオン性である、またはアニオン性になり得る官能基(例えば、-COOHは-COO-になり得る)を有する場合、塩は好適なカチオンと共に形成される。好適な無機カチオンの例には、Na+およびK+などのアルカリ金属イオン、Ca2+およびMg2+などのアルカリ土類金属カチオン、およびAl3+などの他のカチオンが含まれるが、これらに限定されない。好適な有機カチオンの例には、アンモニウムイオン(すなわち、NH4+)および置換アンモニウムイオン(すなわち、NH3R+、NH2R2+、NHR3+、NR4+)が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの好適な置換アンモニウムイオンの例は、エチルアミン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン、ベンジルアミン、フェニルベンジルアミン、コリン、メグルミン、およびトロメタミン、ならびにリシンおよびアルギニンなどのアミノ酸から誘導されるものである。一般的な第4級アンモニウムイオンの例はN(CH3)4+である。
【0113】
化合物がカチオン性である、またはカチオン性になり得る官能基(例えば、-NH2は-NH3+になり得る)を有する場合、塩は好適なアニオンと共に形成される。好適な無機アニオンの例には、次の無機酸、すなわち、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、リン酸、および亜リン酸から誘導されるものが含まれるが、これらに限定されない。
【0114】
好適な有機アニオンの例には、次の有機酸、2-アセトキシ安息香酸、酢酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、ケイ皮酸、クエン酸、エデト酸、エタンジスルホン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヒドロキシマレイン酸、ヒドロキシナフタレンカルボン酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、粘液酸、オレイン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、パントテン酸、フェニル酢酸、フェニルスルホン酸、プロピオン酸、ピルビン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、酒石酸、トルエンスルホン酸および吉草酸から誘導されるものが含まれるが、これらに限定されない。好適な高分子有機アニオンには、次の高分子酸:タンニン酸、カルボキシメチルセルロースから誘導されるものが含まれるが、これらに限定されない。
【0115】
対応する活性化合物の溶媒和物を調製、精製する、および/または取り扱うことが便利であるまたは望ましい場合がある。「溶媒和物」という用語は、本明細書において通常の意味で使用し、溶質(例えば、活性化合物、活性化合物の塩)と溶媒の複合体を指す。溶媒が水である場合には、溶媒和物は便利に水和物、例えば一水和物、二水和物、三水和物等と呼ばれる。
【0116】
活性化合物を化学的に保護された形で調製、精製する、および/または取り扱うことが便利であるまたは望ましい場合がある。「化学的に保護された形」という用語は、本明細書において通常の化学的意味で使用し、1個以上の反応性の官能基が、特定の条件下(例えば、pH、温度、放射線、溶媒等)での望まれない化学反応から保護されている化合物を意味する。実施に当たっては、公知の化学的方法を使用して、特定の条件下で反応性である官能基を、反応性のない官能基に可逆的に変える。化学的に保護された形においては、1個以上の反応性の官能基が保護された基または保護基の形である(マスクされた基もしくはマスキング基またはブロックされた基もしくはブロッキング基としても知られている)。反応性の官能基を保護することにより、保護された基に影響を与えることなく、他の保護されていない反応性の官能基が関与する反応をおこなうことができる。保護基は、通常次の段階で、実質的に分子の他の部分に影響を与えることなく除去される。例えば、「有機合成における保護基」(Protective Groups in Organic Synthesis)(T. GreenおよびP. Wuts;第3版;John WileyおよびSons、1999)を参照されたい。
【0117】
非常にさまざまな前記の「保護」、「ブロッキング」または「マスキング」法が、有機合成において広く使用され、よく知られている。例えば、ある特定の条件下では両方が反応性であるような2個の反応性の異なる官能基を有する化合物を誘導体化して、官能基の一方を「保護された」形、すなわち特定の条件下で反応性のない形とする。そのように保護された状態で、化合物を実際上1個のみの反応性の官能基を有する反応物質として使用する。(他方の官能基が関与する)所望の反応が完了した後に、保護基を「脱保護」して、元の官能基に戻す。
【0118】
たとえば、ヒドロキシ基は、エーテル(-OR)またはエステル(-OC(=O)R)として、例えば、t-ブチルエーテル;ベンジル、ベンズヒドリル(ジフェニルメチル)、もしくはトリチル(トリフェニルメチル)エーテル;トリメチルシリルまたはt-ブチルジメチルシリルエーテル;またはアセチルエステル(-OC(=O)CH3、-OAc)として保護する。
【0119】
例えば、アルデヒドまたはケトン基は、カルボニル基(>C=O)を、例えば第1アルコールとの反応によりジエーテル(>C(OR)2)に変換した、それぞれアセタール(R-CH(OR)2)またはケタール(R2C(OR)2)として保護する。アルデヒドまたはケトン基は、酸の存在下、大過剰の水を用いて加水分解することにより容易に再生される。
【0120】
例えば、アミン基は、例えばアミド(-NRCO-R)またはウレタン(-NRCO-OR)として、例えば、アセトアミド(-NHCO-CH3);ベンジルオキシアミド(-NHCO-OCH2C6H5、-NH-Cbz)として;t-ブトキシアミド(-NHCO-OC(CH3)3、-NH-Boc)として;2-ビフェニル-2-プロポキシアミド(-NHCO-OC(CH3)2C6H4C6H5、-NH-Bpoc)として、9-フルオレニルメトキシアミド(-NH-Fmoc)として、6-ニトロベラトリルオキシアミド(-NH-Nvoc)として、2-トリメチルシリルエチルオキシアミド(-NH-Teoc)として、2,2,2-トリクロロエチルオキシアミド(-NH-Troc)として、アリルオキシアミド(-NH-Alloc)として、2-(フェニルスルホニル)エチルオキシアミド(-NH-Psec)として;または、好適な場合には(例えば、環状アミン)、ニトロキシドラジカル(>N-O・)として、保護する。
【0121】
例えば、カルボン酸基は、エステルとして、例えば、C1-7アルキルエステル(例えば、メチルエステル;t-ブチルエステル);C1-7ハロアルキルエステル(例えば、C1-7トリハロアルキルエステル);トリC1-7アルキルシリル-C1-7アルキルエステル;またはC5-20アリール-C1-7アルキルエステル(例えば、ベンジルエステル;ニトロベンジルエステル)として;またはアミドとして、例えば、メチルアミドとして保護する。
【0122】
例えば、チオール基は、チオエーテル(-SR)として、例えば、ベンジルチオエーテル;アセトアミドメチルエーテル(-S-CH2NHC(=O)CH3)として保護する。
【0123】
本明細書において状態を治療するという文脈で使用する「治療」という用語は、対象がヒトであるか動物(例えば獣医学による適用において)であるかを問わず、一般的に治療および療法を意味し、そこにおいて、ある望まれる治療効果、例えば状態の進行の阻害(進行速度の減少、進行速度の停止、状態の緩和、および状態の治癒を含む)が達成されるものである。予防手段としての治療(すなわち、予防)も含まれる。
【0124】
本明細書において使用する「治療上有効な量」という用語は、所望の治療計画に従って投与した場合に、合理的な利益/リスクの比に見合った、ある望まれる治療効果を与えるのに有効な活性化合物、または活性化合物を含む材料、組成物または製剤の量を意味する。好適な用量の範囲は、典型的には0.01〜20 mg/kg/日、好ましくは0.1〜10 mg/kg/日の範囲である。
【0125】
組成物およびその投与
組成物はいかなる好適な経路および投与手段用に製剤してもよい。製薬上許容される担体および希釈剤には、経口、直腸、鼻内、局所(口腔および舌下を含む)、腟内または非経口(皮下、筋内、静脈内、皮内、鞘内および硬膜外を含む)投与に適した製剤において使用されるものが含まれる。製剤は単位用量製剤として便利に提供することができ、製薬業界において公知のいかなる方法により調製してもよい。前記の方法には、活性成分を1種以上の補助成分からなる担体と混合する段階が含まれる。一般的に、製剤は、活性成分を液体の担体または微細に粉砕された固体の担体またはその両方と均一かつ緊密に混合した後、必要に応じて製品を成形することにより調製される。
【0126】
固体の組成物に用いる通常の無毒の固体の担体には、例えば、医薬品等級のマンニトール、ラクトース、セルロース、セルロース誘導体、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルク、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウム等が使用される。上で定義した通りの活性化合物は、例えば、担体としてポリアルキレングリコール、アセチル化トリグリセリド等を使用して坐剤として製剤してもよい。医薬として投与可能な液体の組成物は、例えば、上で定義した通りの活性化合物および場合により医薬助剤を、例えば水、デキストロース入り生理食塩水、グリセロール、エタノール等などの担体に溶解、分散等して溶液または懸濁液を形成することにより調製することができる。所望により、投与する医薬組成物は、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤等、例えば酢酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンナトリウムアセテート、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンオレエート等などの少量の無毒の補助物質を含有してもよい。前記の剤形を調製するための実際の方法は公知であるか、当業者に明白である。例えば、「Remingtonの薬学」(Remington's Pharmaceutical Sciences)、第20版、Lippincott、Williams & Wilkins出版、2000を参照されたい。いかなる場合でも、投与するべき組成物または製剤は、治療される被験体の症状を緩和するのに有効な量の活性化合物を含有する。
【0127】
0.25〜95%の範囲で活性成分を含有し、残りが無毒の担体からなる剤形または組成物を調製することができる。
【0128】
経口投与に用いる製薬上許容される無毒の組成物は、例えば医薬品等級のマンニトール、ラクトース、セルロース、セルロース誘導体、クロスカルメロースナトリウム、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルク、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウム等などの通常使用する賦形剤のいずれかを混合することにより形成する。前記の組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、丸剤、カプセル、粉末、徐放性製剤等の剤形を取る。前記の組成物は、1%〜95%、より好ましくは2〜50%、最も好ましくは5〜8%の活性成分を含有する。
【0129】
非経口投与は、一般的に、皮下、筋内または静脈注射を特徴とする。注射剤は、液体の溶液または懸濁液、注射の前に液体を加えて溶液または懸濁液とするのに適した固体の剤形、またはエマルションとして、通常の剤形に調製することができる。好適な賦形剤は、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノール等である。さらに、所望により、投与する医薬組成物は、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤等、例えば酢酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンオレエート、トリエタノールアミンナトリウムアセテート等などの少量の無毒の補助物質を含有してもよい。
【0130】
前記の非経口組成物に含有される活性化合物のパーセンテージは、それらの特定の性質、ならびに化合物の活性および被験体の必要に高度に依存する。しかしながら、溶液において0.1%〜10%の活性化合物のパーセンテージを採用することができ、組成物が後から上記のパーセンテージに希釈するための固体である場合にはより高いものとなる。好ましくは、組成物は、溶液において0.2〜2%の活性薬剤を含む。
【0131】
軟膏は、典型的には活性化合物およびパラフィン性または水混和性の軟膏基剤から調製される。
【0132】
クリームは、典型的には活性化合物および水中油型クリーム基剤から調製される。所望の場合には、クリーム基剤の水相は、例えば、少なくとも約30% w/wの多価アルコール、すなわち、プロピレングリコール、ブタン-1,3-ジオール、マンニトール、ソルビトール、グリセロールおよびポリエチレングリコールおよびそれらの混合物などの2個以上のヒドロキシル基を有するアルコールを含んでもよい。局所製剤は、望ましくは、活性化合物の皮膚または他の投与される領域を通しての吸収または浸透を増大する化合物を含む。前記の皮膚浸透エンハンサーの例には、ジメチルスルホキシドおよび関連する類似物が含まれる。
【0133】
腟内投与に適した製剤は、活性化合物に加えて、当業者に適切であることが知られている担体を含有するペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、泡またはスプレー製剤として提供することができる。
【0134】
一般的合成法
R2がテトラゾール-5-イルである本発明の化合物は、R2がシアノである化合物をナトリウムアジド、トリメチルスズアジドまたはトリメチルシリルアジドにより処理することにより合成することができる。
【0135】
R2がカルボキシである本発明の化合物は、R2がエステルである化合物から、たとえば水酸化ナトリウムを用いた加水分解反応により合成することができる。
【0136】
式(I)〜(IV)の化合物、ならびにそれらの前駆体および保護された形は、
【化27】

【0137】
[式中、RAはR5-L-A-、A’またはその前駆体および保護された形を表し、RBは-(CH2)n-Bまたはその前駆体および保護された形を表す]
と表される。
【0138】
Dが-C(=O)-N(RN)-である式1の化合物は、基RAおよびRBが上で定義した通りである式2および式3の化合物をカップリングすることにより合成することができる。
【化28】

【0139】
前記のカップリングの段階は1種以上のカップリング剤、例えば、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート、TBTUおよびDIPEA、またはEDCおよびHOAtを使用して実施することができる。
【0140】
Dが-N(RN)-C(=O)-である式1の化合物は、基RAおよびRBが上で定義した通りである式4および式5の化合物をカップリングすることにより合成することができる。
【化29】

【0141】
前記のカップリングの段階は、上記の通りの1種以上のカップリング剤を使用して実施することができる。
【0142】
Dが-CH2-O-または-CH2-S-である式1の化合物は、基RAおよびRBが上で定義した通りである式6および7の化合物を、DMFおよびヘプタンまたはTHFなどの有機溶媒中でNaHを用いてカップリングすることにより調製することができる。
【化30】

【0143】
[式中、X”はOまたはSである]
【0144】
Dが-C(=O)-CH2-である式1の化合物の合成の重要な段階は、分子の残りの部分のRAへのカップリングである。これは式8:
【化31】

【0145】
の化合物またはその前駆体を好適な方法によりRAにカップリングすることにより達成することができる。例えば、Aが
【化32】

【0146】
である場合、カップリングはP2O5の存在下、有機溶媒中で起こる。
【0147】
Dが-CHOH-CH2-である式1の化合物は、Dが-C(=O)-CH2-である式1の化合物を、例えば有機溶媒中で水素化ホウ素ナトリウムを用いて還元することにより合成することができる。
【0148】
Dが-CH2=CH2-である式1の化合物は、Dが-CH(OH)-CH2-である式1の化合物を、例えば有機溶媒中で塩化メタンスルホニルを用いて脱水することにより合成することができる。
【0149】
Dが-S-である式1の化合物は、基RAおよびRBが上で定義した通りである式9および10の化合物を、アセトンなどの有機溶媒中、例えばマイクロ波により加熱しながら、K2CO3を用いてカップリングすることにより調製することができる。
【化33】

【0150】
Dが-C(=NH)-NH-である式1の化合物は、基RAおよびRBが上で定義した通りである式11および12の化合物を、有機溶媒中で式12の化合物にトリエチルアルミニウム溶液を加えた後、加熱しながら式11の化合物を加えて、カップリングすることにより調製することができる。
【化34】

【0151】
R5がアリール基であり、Lが単結合である本発明の化合物は、R5が臭素である化合物から、式13aの化合物(または相当する式13bのエステル):
【化35】

【0152】
の鈴木カップリングにより合成することができる。鈴木カップリングは、パラジウム触媒として、例えば[1,1’-ビス(ビフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)を用いて達成することができる。あるいは、カップリングは、パラジウム触媒のPd(PPh3)4と共にCsCO3を用いて達成することができる。この反応において、他の官能基、例えばカルボキシは適切に保護しなければならない。
【0153】
R5がアルキル基であり、Lが単結合であり、Aが
【化36】

【0154】
である本発明の化合物は、Aが
【化37】

【0155】
である化合物を、o-ジクロロベンゼンなどの有機溶媒中、AlCl3の存在下でR5-Brと反応させた後、酸基の脱保護をおこなうことにより合成することができる。この方法は他のA基にも容易に応用することができる。
【0156】
式Vの化合物は式14:
【化38】

【0157】
[式中、RB’はBまたはその前駆体であり、R5’はR5-L-またはその前駆体である]
と表すことができる。
【0158】
式14の化合物は、式15および16:
【化39】

【0159】
の化合物を、適切な条件下、例えばNMP中で加熱して、互いに反応させた後、炭酸カリウムにより塩基性にして、カップリングすることにより合成することができる。
【0160】
好適な基
次の好適な基を互いに組み合わせることができ、それらは本発明のそれぞれの態様により異なってもよい。
【0161】
R5は、フラン-2-イルおよびフェニルなどのC5-7アリール基であってよい。
【0162】
R5は、好ましくはC6アリール基であり、より好ましくはフェニルである。R5は置換されていてもよく、好ましい置換基には、C1-7アルコキシ基が含まれ、より好ましくはC1-4アルコキシ基、例えば、-OMe、-OCF3、-OEt、-OCHF2であり、-OCHF2が最も好ましい。
【0163】
R5がフェニルである場合、好ましい置換基には、C1-4アルキル(例えば、メチル、-CF3、イソプロピル);C1-4アルコキシ(例えば、メトキシ、-OCF3)および置換C1-4アルコキシ(例えば、ベンジルオキシ);C5-6アリール(例えば、フェニル);ハロ(例えば、Cl、F、ジ-Cl);アシル(例えば、-COMe);アミノ(例えば、-NH2、-NMe2);アルコキシレン(例えば、-O-CH2-O-)が含まれる。ある実施形態において、C1-4アルキル(例えば、メチル、-CF3、イソプロピル);C1-4アルコキシ(例えば、メトキシ、-OCF3);ハロ(例えば、Cl、F、ジ-Cl);アシル(例えば、-COMe);およびアルコキシレン(例えば、-O-CH2-O-)が好ましい。
【0164】
置換基はフェニル環のいかなる位置、例えば2、3、および4位にあってもよく、2個の置換基がある場合(例えばジクロロ)、それらは、例えば、2,3-;2,4-;3,5-または3,4-位に存在してよい。
【0165】
R5は、好ましくは、C9-10アリール基、例えば、ナフチル(より好ましくはナフト-1-イル)およびインドリル(より好ましくはインドール-4-イル)である。
【0166】
R5がC4-20アルキル基である場合、それはC4-10アルキル基、好ましくは分枝鎖C4-10アルキル基、例えば、t-ブチル、-CH2-CH(CH3)2、またはシクロヘキシルもしくはアダマンチルなどの環状アルキル基であってよい。これらの中で、環状基がより好ましく、アダマンチルが最も好ましい。
【0167】
式(II)、(III)および(V)の化合物において、L’は好ましくは単結合である。
【0168】
ある実施形態において、R4は、H、F、Cl、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C5-7アリールおよびC5-7アリール-C1-4アルキル基から選択される。
【0169】
ある実施形態において、R3は、H、F、Cl、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C5-7アリールおよびC5-7アリール-C1-4アルキル基から選択される。
【0170】
Aが5員環である場合:
(i) R3は(存在する場合)、好ましくは、Hおよび場合により置換されたC1-4アルキル(特にメチル)から選択され、最も好ましくはHであり;および
(ii) R4は、好ましくは、Hおよび場合により置換されたC1-4アルキル(特にメチル)から選択され、最も好ましくはHである。
【0171】
Aが6員環である場合:
(i) R3、R4およびR6が(存在する場合)Hである;または
(ii) R3、R4およびR6のうちの一つが(存在する場合)ClまたはFである
のいずれかであることが好ましい。
【0172】
Aが
【化40】

【0173】
である場合の一つの好ましい選択肢は、R4がFであるものである。
【0174】
Aは、好ましくは、
【化41】

【0175】
から選択され、より好ましくは、
【化42】

【0176】
から選択される。
【0177】
Aは、最も好ましくは、
【化43】

【0178】
から選択される。
【0179】
Aの最も好ましい選択肢は、
【化44】

【0180】
である。
【0181】
式(III)〜(V)の化合物において、Dは、好ましくは、
【化45】

【0182】
から選択される。
【0183】
式(I)および(III)〜(V)の化合物において、Dはより好ましくは、
【化46】

【0184】
から選択され、最も好ましくは、
【化47】

【0185】
[式中、RNは好ましくはHまたはメチルであり、より好ましくはHである]
である。
【0186】
式(II)の化合物において、Dは好ましくは、
【化48】

【0187】
から選択され、ある実施形態において、Dは、
【化49】

【0188】
である。
【0189】
式(IV)および(V)の化合物において、Bは好ましくは、
【化50】

【0190】
から選択される。
【0191】
式(I)、(II)、(IV)および(V)の化合物において、Bはより好ましくは、
【化51】

【0192】
から選択され、最も好ましくは、
【化52】

【0193】
から選択される。
【0194】
式(III)の化合物において、Bは好ましくは、
【化53】

【0195】
である。
【0196】
式(IV)の化合物において、Tは、好ましくはOである。ある実施形態において、A’は置換されていない。
【0197】
R2は好ましくはカルボキシまたはテトラゾリル-5-イルであり、カルボキシが最も好ましい。
【0198】
RP4がHである場合、RP3は好ましくは-CH=CH-R2である。
【0199】
ある実施形態において、mおよびnは0または1のいずれかであり、m + nは1または2のいずれかである。これらの実施形態において、好ましくはn + m = 1であり、より好ましくはnが0であり、mが1である。
【0200】
別の実施形態において、nが0であり、RP3およびRP4の一方(好ましくはRP3)が-O-CH2-R2であることが好ましく、そこにおいて、R2は好ましくはカルボキシまたはテトラゾール-5-イル、より好ましくはカルボキシである。
【0201】
特に好ましい化合物には、
3-{3-[(5-フェノキシフラン-2-カルボニル)アミノ]フェニル}アクリル酸(5);
3-{3-[(5-ベンゾイルフラン-2-カルボニル)アミノ]フェニル}アクリル酸(11);
3-[3-(6-フェニルピリジン-2-イルスルファニル)フェニル]アクリル酸(16);
3-{3-[(ジベンゾフラン-2-カルボニル)アミノ]フェニル}アクリル酸(20);
3-{3-[2-ヒドロキシ-2-(5-フェニルフラン-2-イル)エチル]フェニル}アクリル酸(28);
3-{3-[2-(5-フェニルフラン-2-イル)ビニル]フェニル}アクリル酸(29);
3-[3-(5-フェニルベンゾオキサゾール-2-イル)フェニル]アクリル酸(34);
3-{6-[(5-フェニルフラン-2-カルボニル)アミノ]ピリジン-2-イル}アクリル酸(40);
3-{4-フルオロ-3-[(5-フェニルフラン-2-カルボニル)アミノ]フェニル}アクリル酸(45);
3-{4-クロロ-3-[(4-フルオロビフェニル-3-カルボニル)アミノ]フェニル}アクリル酸(52);
3-{3-[(4-フルオロビフェニル-3-カルボキシイミドイル)アミノ]フェニル}アクリル酸(58).
が含まれる。
【0202】
EP2受容体をモジュレートする化合物の、1種以上の他のEP受容体(すなわち、EP1、EP3、EP4)と比較した選択性は、EP2に対するKi(下記参照)を他のEP受容体に対するKi(下記参照)で割ることにより数値化することができる。得られる比は、好ましくは10以上、より好ましくは100以上である。
【実施例】
【0203】
合成例
略語
便宜上、多くの化学基を公知の略語を用いて表す。前記の略語は、メチル(Me)、エチル(Et)、n-プロピル(nPr)、イソプロピル(iPr)、n-ブチル(nBu)、sec-ブチル(sBu)、イソブチル(iBu)、tert-ブチル(tBu)、n-ヘキシル(nHex)、シクロヘキシル(cHex)、フェニル(Ph)、ビフェニル(biPh)、ベンジル(Bn)、ナフチル(naph)、メトキシ(MeO)、エトキシ(EtO)、ベンゾイル(Bz)、およびアセチル(Ac)を含むが、これらに限定されない。
【0204】
便宜上、次の略語を用いる。
【0205】
d 二重項
DCM ジクロロメタン
dd 二重の二重項
DIPEA N,N-ジイソプロピルエチルアミン
DMAP 4-(ジメチルアミノ)ピリジン
DME 1,2-ジメトキシエタン
DMF N,N-ジメチルホルムアミド
EDC 1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩
eq 当量
EtOAc 酢酸エチル
EtOH エタノール
HCl 塩化水素
HOAt 1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール
K2CO3 炭酸カリウム
m 多重項
MeCN アセトニトリル
MeOH メタノール
MgSO4 硫酸マグネシウム
NaOH 水酸化ナトリウム
NaHCO3 炭酸水素ナトリウム
Na2SO4 硫酸ナトリウム
NMP 1-メチル-2-ピロリジノン
q 四重項
s 一重項
sept 七重項
t 三重項
tlc 薄層クロマトグラフィー
TBME tert-ブチルメチルエーテル
TBTU o-ベンゾトリアゾール-1-イル-N,N,N',N’-テトラメチルウロニウム
テトラフルオロボレート
THF テトラヒドロフラン
vol 体積
一般的な方法
市販の試薬および溶媒(HPLC等級)はそれ以上精製せずに使用した。
【0206】
マイクロ波照射は、CEM Discoverフォーカスドマイクロ波反応器を用いて実施した。
【0207】
1H NMRスペクトルは、Bruker 400 MHz AV分光計を用いて重水素化した溶媒中で記録した。化学シフト(δ)はppmで表し、カップリング定数はHzで表した。薄層クロマトグラフィー(TLC)分析は、Kieselgel 60 F254 (Merck)プレートを用いて実施し、UVを用いて可視化した。
【0208】
分析用HPLC-MSは、Agilent HP1100、Waters 600またはWaters 1525 LCシステムにより、逆相Hypersil BDS C18カラム(5 μm、2.1 X 50 mm)を用いて、勾配0〜95% B (A = 水/0.1% TFA、B = アセトニトリル/0.1% TFA)を2.10分、流速 = 1.0 ml/分で実施した。UVスペクトルは、Gilson G1315Aダイオードアレイ検出器、G1214A単波長UV検出器、Waters 2487二波長UV検出器、Waters 2488二波長UV検出器、またはWaters 2996ダイオードアレイUV検出器を用いて、215 nmで記録した。マススペクトルは、m/z 150〜850の範囲で、1秒あたり2スキャンまたは1.2秒あたり1スキャンのサンプリング速度で、Z-スプレーインターフェースを有するMicromass LCTまたはZ-スプレーもしくはMUXインターフェースを有するMicromass LCTを用いて得た。データは、OpenLynxおよびOpenLynx Browserソフトウェアを用いて統合し、報告した。
【0209】
分取HPLCによる化合物の精製は、Gilsonシステムにより、逆相ThermoHypersil-Keystone Hyperprep HS C18カラム(12μm、100 X 21.2 mm)を用いて、勾配20〜100% B(A = 水/0.1% TFA、B = アセトニトリル/0.1% TFA)を9.5分、流速 = 30 ml/分、インジェクション溶媒2:1 DMSO:アセトニトリル(1.6 ml)、215 nmのUV検出で実施した。
【0210】
一般法
A)
【化54】

【0211】
ニトロ誘導体をEtOH(5 vol)に溶解し、SnCl2.2H2O(50 eq)を固体のまま加えた。次に、得られた溶液を60℃で2時間攪拌した。室温に冷却した後、飽和ロッシェル塩(10 vol)および飽和NaHCO3溶液(10 vol)のあらかじめ混合した溶液を反応混合物に加え、水層をEtOAc(3 x 20 vol)により抽出した。有機層を合わせて乾燥し(MgSO4)、溶媒を減圧除去した。
【0212】
B)
【化55】

【0213】
カルボン酸(1 eq)およびアミノ酸エステル(1 eq)のDMF(20 vol)溶液を撹拌し、DIPEA(1 eq)、次いでTBTU(1 eq)を加えた。反応液を室温で一晩、またはLC/MSにより反応の終了が確認されるまで撹拌した。反応混合物にEtOAc(30 vol)を加え、有機層を2M HCl(2 x 50 vol)、食塩水(2 x 50 vol)、飽和NaHCO3水溶液(2 x 50 vol)および食塩水(2 x 50 vol)により洗浄した。有機層を乾燥し(MgSO4)、濾過し、溶媒を減圧除去した。
【0214】
C)
【化56】

【0215】
エチルエステルのEtOHまたはMeOH(5 vol)溶液に1M NaOH(5 vol)を加え、得られた溶液を室温で30分間撹拌した。次に、EtOHを減圧除去し、残渣をTBME(50 vol)および水(50 vol)に再溶解した。水層をTBME(2 x 50 vol)により抽出した後、2M HClにより、白色の沈殿が形成されるまで酸性化した。次にこれをEtOAc(3 x 50 vol)により抽出した。有機層を食塩水により洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、溶媒を減圧除去した。
【0216】
D)
【化57】

【0217】
カルボン酸(1 eq)、EDC(1.2 eq)、およびHOAt(1.2 eq)を固体のままバイアル瓶に加えた。アミノエステル(1.2 eq)をDMF(10 vol)に溶解してバイアル瓶に加えた。反応液を室温で一晩、またはLC/MSにより反応の終了が確認されるまで撹拌した。、水(20 vol)を加え、混合物をEtOAc(3 x 10 vol)により抽出した。次に、有機層を水(10 vol)により洗浄し、乾燥し(MgSO4)、濾過し、減圧濃縮した。ヘプタン中のEtOAcの段階勾配を用いたカラムクロマトグラフィーにより生成物を得た。
【0218】
E)
【化58】

【0219】
臭化アリール(1 eq)、Cs2CO3(1.2 eq)およびボロン酸(1.1 eq)のトルエン(15 vol)およびMeOH(4 vol)中の懸濁液にPd(PPh3)4(0.1 eq)を加えた。得られた混合物をCEM Discoverマイクロ波反応器中で120℃に30分間加熱した(150 W、250 psi)。LC-MSにより分析をおこない、必要ならば、反応液を再度加熱して反応を終了させた。終了後、反応混合物をセライトにより濾過し、溶媒を減圧除去した。粗残渣をEtOAcに再溶解し、水(3 x 5 vol)により洗浄した。有機層を合わせて乾燥し(Na2SO4)、濾過し、溶媒を減圧除去した。次に化合物をカラムクロマトグラフィーにより精製した。存在するエステル基がエチルである場合には、MeOHの代わりにEtOHを使用した。
【0220】
後処理E1)
ある場合には、LC-MS分析により、反応中に部分的な加水分解が起こったことが示される。この場合には、溶媒を減圧除去した後、残渣をEtOAc(1.5 vol)に再溶解し、有機層を1M HCl(2 x 1 vol)により洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、溶媒を減圧除去した。残渣をTBME(1.5 vol)と共に粉砕した。
【0221】
F)
【化59】

【0222】
臭化アリール(1.2 eq)、Cs2CO3(4.0 eq)およびボロン酸(1 eq)のトルエン(5 vol)およびEtOH(5 vol)中の懸濁液に、N2雰囲気下、Pd(PPh3)4 (0.05 eq)を加え、得られた混合物を85℃に3時間加熱した。溶媒を減圧除去し、固体をEtOAc(10 vol)に再度懸濁した。次いで、水(10 vol)を加えると、すべての固体が溶解した。層を分離し、水層をEtOAc(3 x 5 vol)により洗浄し、2M HClによりpH 4に酸性化すると、沈殿が生成した。次にこれをEtOAc(2 x 10 vol)により抽出した。有機層を合わせて乾燥し(Na2SO4)、減圧除去して、生成物を得た。
【0223】
実施例1:3-{3-[(5-フェノキシフラン-2-カルボニル)アミノ]フェニル}アクリル酸(5)
【化60】

【0224】
(a) 3-(3-アミノフェニル)アクリル酸エチルエステル(2)
方法Aを、EtOH(20 mL)中のSnCl2.2H2O(10.2 g、45.20 mmol)を使用し、反応後に溶媒を減圧濃縮し、ロッシェル塩および飽和NaHCO3 (1:1、80 mL)を加え、水層を1N NaOHにより塩基性にした点を変更して用いて、3-ニトロケイ皮酸エチル(1)(2.0 g、9.04 mmol)を還元した。水層をEtOAc(3 x 40 mL)により抽出し、ロッシェル塩/飽和NaHCO3溶液(2 x 40 mL)により洗浄し、乾燥し(MgSO4)、溶媒を減圧濃縮して、表題の化合物を得た。収量:1.77 g、>100%;LC/MS tr 0.89分;MS(ES+) m/z 192 (M+H)
【0225】
(b) 3-{3-[(5-フェノキシフラン-2-カルボニル)アミノ]フェニル}アクリル酸エチルエステル(4)
方法Bを、DIPEA(270 mg、2.09 mmol)およびDMF(2 mL)を使用した点を変更して用いて、5-フェノキシ-2-フロ酸(3)(213 mg、1.05 mmol)をアニリン(2)(200 mg、1.05 mmol)とカップリングして、表題の化合物を得た。収量:178 mg、96%;LC/MS tr 1.65分;HPLC純度:95%;MS(ES+) m/z 378 (M+H)
【0226】
(c) 3-{3-[(5-フェノキシフラン-2-カルボニル)アミノ]フェニル}アクリル酸(5)
方法Cを、EtOH(1 mL)、THF(0.5 mL)および1M NaOH(1 mL)を用い、反応液を4時間攪拌した点を変更して用いて、エステル(4)(100 mg、0.27 mmol)を加水分解した。溶媒を窒素ガス流下で除去し、残った水溶液を1N HClを用いてpH 5に酸性化し、EtOAc(2 x 2 mL)により抽出し、乾燥し(MgSO4)、濾過し、溶媒を減圧濃縮して、表題の化合物を白っぽい固体として得た。収量:89 mg、96%;LC-MS tr 1.47分;HPLC純度:100%;MS(ES+) m/z 350 (M+H)
1H NMR (400 MHz;DMSO):δ5.95 (d, 1H), 6.45 (d, 1H) 7.20-7.30 (m, 3H), 7.35-7.60 (m, 6H), 7.80 (d, 1H), 8.00 (s, 1H), 10.15 (s, 1H), 12.50 (br. s, 1H)
【0227】
実施例2:3-{3-[(5-ベンゾイルフラン-2-カルボニル)アミノ]フェニル}アクリル酸(11)
【化61】

【0228】
(a) 5-ベンゾイルフラン-2-カルボン酸メチルエステル(8)
2-フロ酸メチル(7)(100 mg、0.79 mmol)、塩化鉄(III)(193 mg、1.19 mmol)および無水安息香酸(6)(180 mg、0.79 mmol)をDCM中で混合し、室温で一晩撹拌した。反応混合物を濾過し、有機層を飽和NaHCO3溶液により洗浄し、乾燥し(MgSO4)、濾過し、溶媒を減圧濃縮した。粗生成物を、カラムクロマトグラフィーを用いてヘプタン中10〜20% EtOAcにより溶離して部分精製した。生成物をDCMに溶解し、飽和NaHCO3溶液により洗浄(x3)することにより、過剰の安息香酸を除去した。有機層を乾燥し(MgSO4)、濾過し、溶媒を減圧濃縮して、表題の化合物を得た。収量:粗80 mg、44%;LC tr 1.29分
【0229】
(b) 5-ベンゾイルフラン-2-カルボン酸(9)
方法Cを、MeOH(0.8 mL)および1 M NaOH(0.8 mL)を使用した点を変更して用いて、粗エスエル(8)(80 mg、0.35 mmol)を加水分解した。反応の後、溶媒を窒素ガス流下で除去し、1N HClを用いて酸性化し、EtOAcにより抽出し、乾燥し(MgSO4)、濾過し、溶媒を減圧濃縮して、表題の粗生成物を得た。収量:48 mg;HPLC純度:>66%;LC tr 1.09分
【0230】
(c) 3-{3-[(5-ベンゾイルフラン-2-カルボニル)アミノ]フェニル}アクリル酸エチルエステル(10)
方法Bを、DIPEA(57 mg、0.44 mmol)およびDMF(0.5 mL)を使用した点を変更して用いて、酸(9)(48 mg、0.22 mmol)をアニリン(2)(43 mg、0.22 mmol)とカップリングした。粗生成物を分取HPLCにより精製して表題の化合物を得た。収量:28 mg;LC-MS tr 1.54分;MS(ES+) m/z 389 (M+H)
【0231】
(d) 3-{3-[(5-ベンゾイルフラン-2-カルボニル)アミノ]フェニル}アクリル酸(11)
方法Cを、EtOH(0.15 mL)および1M NaOH(0.15 mL)を使用した点を変更して用いて、エステル(10)(28 mg、0.072 mmol)を加水分解した。反応の後、溶媒を窒素ガス流下で除去し、残渣を1N HClを用いてpH 5に酸性化した。沈殿を濾過して乾燥し、表題の化合物を得た。収量:8 mg、31%;LC-MS tr 1.95分;HPLC純度:98%;MS(ES+) m/z 362 (M+H);1H NMR (400 MHz;DMSO):δ6.4 (d, 1H), 7.10 (d, 1H), 7.20-7.40 (m, 2H), 7.55 (m, 1H), 7.60-7.80 (m, 3H), 7.80-7.90 (d, 1H), 7.95 (s, 1H), 7.95-8.10 (m, 3H)
【0232】
実施例3:3-[3-(6-フェニルピリジン-2-イルスルファニル)フェニル]アクリル酸(16)
【化62】

【0233】
(a) 2-ブロモ-6-フェニルピリジン(13)
ヘプタン(10 mL)中のN,N-ジメチルエタノールアミン(0.8 mL、8.00 mmol)を外部から0℃に冷却し、2.5 M n-ブチルリチウム溶液(6.40 mL)を滴下して、反応混合物を30分間撹拌した。次に、ヘプタン(5 mL)中の2-フェニルピリジン(12)(412 mg、2.66 mmol)を加えて、反応混合物をさらに1時間攪拌した。次に反応液を冷却し、温度を-78℃に維持しながら四臭化炭素(3.18 g、9.60 mmol)を加えた。反応液を-78℃に1時間維持した後、室温に温めた。水を注意深く加え、TBME(x 2)により抽出し、乾燥し(Na2SO4)、溶媒を減圧濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより、ヘプタン中5% EtOAcにより溶離して精製して、表題の化合物を得た。収量:300 mg、48%;LC-MS tr 1.63分;HPLC純度:97%;MS(ES+) m/z 234、236 (M+H)
【0234】
(b) 2-(3-ブロモフェニルスルファニル)-6-フェニルピリジン(14)
アセトン(2 mL)中の2-ブロモ-6-フェニルピリジン(13)(100 mg、0.43 mmol)、K2CO3 (117 mg、0.85 mmol)に3-ブロモチオフェノールを加えて、反応混合物をCEM Discoverマイクロ波反応器中で、90℃に1 x 30分、次いで130℃に4 x 2時間、次いで130℃に1 x 8時間加熱した。粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより、ヘプタン中10% EtOAcにより溶離して部分精製して、表題の化合物を得た。収量:100 mg、68%;LC-MS tr 1.97分;HPLC純度:55%;MS(ES+) m/z 342、344 (M+H)
【0235】
(c) 3-[3-(6-フェニルピリジン-2-イルスルファニル)フェニル]アクリル酸メチルエステル(15)
粗臭化アリール(14)(100 mg、0.18 mmol)、アクリル酸メチル(18 mg、0.21 mmol)、トリエチルアミン(71 mg、0.70 mmol)、トリ(o-トリル)ホスフィン (5 mg、0.016 mmol)および酢酸パラジウム(II)(12 mg、0.054 mmol)をアセトニトリル(2 mL)中で混合し、CEM Discoverマイクロ波反応器中で90℃に45分間加熱した。さらにトリ(o-トリル)ホスフィン(3 mg)および酢酸パラジウム(II)(3 mg)を加えて、反応混合物をマイクロ波反応器中で20分間再度処理した。次に酢酸パラジウム(II)(2 mg)を加えてさらに25分間前記方法を繰り返した。溶媒を窒素ガス流下で除去し、水を加え、EtOAcにより有機物を抽出し、水により洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、溶媒を減圧濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより部分精製した。収量:51 mg、60%;LC-MS tr 1.82分;HPLC純度:70%;MS(ES+) m/z 348 (M+H)
【0236】
(d) 3-[3-(6-フェニルピリジン-2-イルスルファニル)フェニル]アクリル酸(16)
方法Cを、反応液を2時間攪拌した点を変更して用いて、エステル(15)(51 mg、0.11 mmol)を加水分解した。粗固体を分取HPLCにより精製して表題の化合物を得た。収量:3 mg、10%;LC-MS tr 1.65分;HPLC純度:100%;MS(ES+) m/z 334 (M+H);1H NMR (400 MHz;MeOH):δ6.65 (d, 1H), 7.05 (d, 1H), 7.45-7.55 (m, 3H), 7.60-7.65 (dd, 1H), 7.65-7.85 (m, 5H), 8.00 (m, 3H)
【0237】
実施例4:3-{3-[(ジベンゾフラン-2-カルボニル)アミノ]フェニル}アクリル酸(20)
【化63】

【0238】
(a) ジベンゾフラン-2-カルボン酸(18)
ジベンゾフラン-2-カルボキシアルデヒド(17)(200 mg、1.02 mmol)に、固体のNaOH(49 mg、1.22 mmol)、次いで10% NaOH溶液(1.8 mL)を加えた。次に硝酸銀(173 mg、1.02 mmol)を加え、反応混合物を60℃に1.5時間加熱した後、室温で一晩撹拌した。次に反応混合物を濾過し、水で洗浄した。濾液を濃HClを用いてpH 2に酸性化し、沈殿した生成物を濾過し、乾燥して、表題の化合物を白っぽい固体として得た。収量:83 mg、38%;LC-MS tr 1.31分;HPLC純度:100%;MS(ES+) m/z検出されず(M+H)
【0239】
(b) 3-{3-[(ジベンゾフラン-2-カルボニル)アミノ]フェニル}アクリル酸エチルエステル(19)
方法Dを、DMF(1 mL)を使用した点を変更して用いて、酸(18)(50 mg、0.24 mmol)をアニリン(2)(54 mg、0.28 mmol)にカップリングした。生成物をDCM/ヘプタン中で粉砕することによりさらに精製して、表題の化合物を得た。収量:46 mg、51%;LC-MS tr 1.70分;HPLC純度:97-100%;MS(ES+) m/z 386 (M+H)
【0240】
(c) 3-{3-[(ジベンゾフラン-2-カルボニル)アミノ]フェニル}アクリル酸(20)
方法Cを、MeOH(1 mL)およびTHF(1 mL)を使用し、反応混合物を40℃に1時間加熱した点を変更して用いて、エステル(19)(46 mg、0.12 mmol)を加水分解した。反応の後、TBMEを加えて、混合物を6N HClを用いて酸性化した。水層をさらにTBME(x 3)、EtOAc(x 3)により抽出し、乾燥し(MgSO4)、溶媒を減圧濃縮した。粗固体をDCM中で粉砕し、濾過し、ヘプタンにより洗浄し、乾燥して、表題の化合物を得た。収量:34 mg、81%;LC-MS tr 2.08分;HPLC純度:100%;MS(ES+) m/z 358 (M+H);1H NMR (400 MHz;DMSO):δ6.60 (d, 1H), 7.55-7.75 (m, 5H), 7.9 (d, 1H), 7.95-8.05 (m, 2H), 8.25 (s, 1H), 8.30 (d, 1H), 8.40 (d, 1H), 8.95 (s, 1H), 10.65 (s, 1H)
【0241】
実施例5:3-{3-[2-ヒドロキシ-2-(5-フェニルフラン-2-イル)エチル]フェニル}アクリル酸(28)
【化64】

【0242】
(a) 2-フェニル-フラン(23)
方法Eを、Cs2CO3 (17.47 g、53.58 mmol)、Pd(PPh3)4 (6.20 g、0.54 mmol)、トルエン(25 mL)およびEtOH(25 mL)を使用し、反応液をCEM Discoverマイクロ波反応器中で140℃に加熱した(200 W、200 psi)点を変更して用いて、フラン-2-ボロン酸(22)(3.6 g、32.14 mmol)をブロモベンゼン(21)(4.2 g、26.79 mmol)にカップリングした。粗生成物をドライフラッシュクロマトグラフィーにより、ヘプタン中のEtOAcにより溶離して精製して、表題の化合物を得た。収量:2.94 g、62%;LC tr 1.50分;HPLC純度:84%
【0243】
(b) 2-(3-ブロモフェニル)-1-(5-フェニルフラン-2-イル)エタノン(25)
五酸化リン(2.02 g、14.20 mmol)を1,2-ジクロロベンゼン(60 mL)中に懸濁し、2-フェニルフラン(23)(500 mg、2.84 mmol)と3-ブロモフェニル酢酸(24)(1.34 g、6.25 mmol)の混合物に加えた。反応混合物を80℃に2時間加熱した後、室温に冷却した。DCMを加え、有機層を水により洗浄し、一部を減圧濃縮した。粗生成物をFlash Master Jonesクロマトグラフィーにより、50 gシリカカートリッジを用いて、まずヘプタンにより溶離して過剰の1,2-ジクロロベンゼンを除去した後、ヘプタン中5〜10% EtOAcにより溶離して精製して、表題の化合物を得た。収量:278 mg、38%;LC-MS tr 1.73分;HPLC純度:100%;MS(ES+) m/z 341、343 (M+H)
【0244】
(c) 3-{3-[2-オキソ-2-(5-フェニルフラン-2-イル)エチル]フェニル}アクリル酸メチルエステル(26)
アセトニトリル(1 mL)中のトリ(o-トリル)ホスフィン(25 mg、0.082 mmol)および酢酸パラジウム(II)(9 mg、0.041 mmol)をアクリル酸メチル(84 mg、0.98 mmol)とトリエチルアミン(329 mg、3.26 mmol)の混合物に加えた。次に、アセトニトリル(3 mL)中の臭化アリール(25)(278 mg、0.82 mmol)を加えて、反応混合物をCEM Discoverマイクロ波反応器中で90℃に45分間加熱した。溶媒を減圧濃縮し、粗生成物をFlash Master Jonesクロマトグラフィーにより、25 gシリカカートリッジを用いて、ヘプタン中5〜17% EtOAcにより溶離して精製した。収量:222 mg、78%;LC-MS tr 1.62分;HPLC純度:100%;MS(ES+) m/z 347 (M+H)
【0245】
(d) 3-{3-[2-オキソ-2-(5-フェニルフラン-2-イル)エチル]フェニル}アクリル酸(27)
方法Cを、MeOH(1 mL)、THF(1 mL)および1 M NaOH(1 mL)を使用し、反応液を1.5時間攪拌した点を変更して用いて、エステル(26)(222 mg、0.64 mmol)を加水分解した。後処理後、粗生成物をDCM/ヘプタン(x 3)中で粉砕して、表題の化合物を得た。収量:134 mg;LC tr 1.39分;HPLC純度:92%

【0246】
(e) 3-{3-[2-ヒドロキシ-2-(5-フェニルフラン-2-イル)エチル]フェニル}アクリル酸(28)
ケトン(27)(33 mg、0.10 mmol)をMeOH(2 mL)に溶解し、水素化ホウ素ナトリウム(8 mg、0.21 mmol)を加えた。反応が終了するまで追加の水素化ホウ素ナトリウム(2 mg)を順次加えた。反応混合物を1N HClを滴下することによりpH 5に酸性化し、TBME (x 3)により抽出した。有機層を乾燥し(MgSO4)、溶媒を減圧濃縮して、表題の化合物を白色の固体として得た。収量:20 mg、61%;LC-MS tr 2.02分;HPLC純度:100%;MS(ES+) m/z 335 (M+H)、317 (M-H2O+H);1H NMR (400 MHz;CDCl3):δ3.20-3.30 (d, 2H), 5.0 (t, 1H), 6.3 (d, 1H), 6.40 (d, 1H), 6.60 (d, 1H), 7.20-7.50 (m, 7H), 7.65-7.80 (m, 3H)
【0247】
実施例6:3-{3-[2-(5-フェニルフラン-2-イル)ビニル]フェニル}アクリル酸(29)
【化65】

【0248】
DCM(1 mL)中の酸(28)(9.2 mg、0.028 mmol)を外部から-78℃に冷却し、塩化メタンスルホニル(20 mg、0.17 mmol)およびトリエチルアミン(29 mg、0.29 mmol)を加えた。次に溶液を室温に温め、さらに2時間攪拌した。溶媒を減圧濃縮し、残渣をFlash Master Jonesクロマトグラフィーにより、2 gシリカカートリッジを用いて、ヘプタン中50% EtOAcにより溶離して精製して、表題の化合物を白色の固体として得た。収量:3.6 mg、41%;LC-MS tr 1.77分;NMR純度:> 85%;MS(ES+) m/z 317 (M+H);1H NMR (400 MHz;DMSO):δ6.70-6.80 (m, 2H), 7.15 (d, 1H), 7.25-7.35 (d, 1H), 7.35-7.45 (m, 2H), 7.50-7.60 (m, 4H), 7.65-7.75 (m, 3H), 7.90 (d, 2H), 8.10 (s, 1H)
【0249】
実施例7:3-[3-(5-フェニルベンゾオキサゾール-2-イル)フェニル]アクリル酸(34)
【化66】

【0250】
(a) 2-(3-ブロモフェニル)-5-フェニルベンゾオキサゾール(32)
2-アミノ-4-フェニルフェノール(30)(250 mg、1.20 mmol)および塩化3-ブロモベンゾイル(31)(265 mg、1.20 mmol)をNMP中で150℃に一晩加熱した。反応液を室温に冷却した後、K2CO3水溶液および食塩水を加え、水層をEtOAc(x5)により抽出した。有機層を食塩水により洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、溶媒を減圧濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより、DCMとヘプタンの1:1混合物により溶離して精製して、表題の化合物を得た。収量:210 mg、49%;LC-MS tr 2.02分;HPLC純度:67%;MS(ES+) m/z 350、352 (M+H)
【0251】
(b) 3-[3-(5-フェニルベンゾオキサゾール-2-イル)フェニル]アクリル酸メチルエステル(33)
トリ(o-トリル)ホスフィン(9 mg、0.030 mmol)、酢酸パラジウム(II)(6 mg、0.027 mmol)、アクリル酸メチル(31 mg、0.34 mmol)、トリエチルアミン(116 mg、1.14 mmol)および臭化アリール(32)(100 mg、0.29 mmol)をアセトニトリル(3 mL)中で混合し、CEM Discoverマイクロ波反応器中で、90℃に90分間加熱した。溶媒を窒素ガス流下で除去し、水を加えて、有機物をEtOAcにより抽出した。有機層を乾燥し(Na2SO4)、溶媒を減圧濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより、ヘプタン中20% EtOAcにより溶離して精製した。収量:41 mg、40%;LC-MS tr 1.86分;HPLC純度:67%;MS(ES+) m/z 356 (M+H)
【0252】
(c) 3-[3-(5-フェニルベンゾオキサゾール-2-イル)フェニル]アクリル酸(34)
方法Cを、MeOH(3 mL)、THF(3 mL)および1M NaOH(5 mL)を使用し、反応液を2時間攪拌した点を変更して用いて、エステル(33)(41 mg、0.12 mmol)を加水分解した。収量:21 mg、53%;LC-MS tr 1.74分;HPLC純度:96%;MS(ES+) m/z 342 (M+H);1H NMR (400 MHz;DMSO):δ6.7 (d, 1H), 7.4 (t, 1H), 7.45-7.55 (t, 2H), 7.70-7.80 (m, 5H), 7.9 (d, 1H), 8.05 (d, 1H), 8.10 (s, 1H), 8.30 (d, 1H), 8.50 (s, 1H), 12.55 (br. s, 1H)
【0253】
実施例8:3-{6-[(5-フェニルフラン-2-カルボニル)アミノ]ピリジン-2-イル}アクリル酸(40)
【化67】

【0254】
(a) 5-フェニル-フラン-2-カルボン酸(36)
5-フェニル-2-フルアルデヒド(35)(690 mg、4.01 mmol)に、固体のNaOH(176 mg、4.40 mmol)、次いで10% NaOH溶液(6.2 mL)を加えた。硝酸銀(680 mg、4.00 mmol)を加えて、反応混合物を60℃に4.5時間加熱した後、室温に冷却した。次に反応混合物を濾過し、水により洗浄した。濾液を2N HClを用いてpH 2に酸性化し、沈殿した生成物を濾過し、乾燥して表題の化合物を得た。収量:527 mg、70%;LC-MS tr 1.57分;HPLC純度:98%;MS(ES+) m/z 189 (M+H)
【0255】
(b) 3-(6-アミノピリジン-2-イル)アクリル酸メチルエステル(38)
トリ(o-トリル)ホスフィン(26 mg、0.086 mmol)、酢酸パラジウム(II)(214 mg、0.96 mmol)、アクリル酸メチル(90 mg、1.04 mmol)、トリエチルアミン(351 mg、3.47 mmol)および2-アミノ-6-ブロモピリジン(37)(150 mg、0.87 mmol)をアセトニトリル(3 mL)中で混合し、CEM Discoverマイクロ波反応器中で90℃に1時間加熱した。溶媒を窒素ガス流下で除去し、4N HClを加えて、水層をTBME(x 2)により抽出した。次に、水層をK2CO3水溶液を用いてpH 9/10の塩基性にし、EtOAc(x 5)により抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、溶媒を減圧濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより、ヘプタン中50% EtOAcにより溶離して部分精製し、表題の化合物を得た。収量:95 mg、61%;LC-MS tr 0.76分;HPLC純度:42%;MS(ES+) m/z 179 (M+H)
【0256】
(c) 3-{6-[(5-フェニルフラン-2-カルボニル)アミノ]ピリジン-2-イル}アクリル酸メチルエステル(39)
酸(36)(100 mg、0.53 mmol)に塩化チオニル(0.5 mL)、触媒量のDMF(1滴)を加え、反応液を50℃に30分間加熱した。冷却後、溶媒を減圧濃縮し、トルエンと共沸して、酸塩化物をin situ生成した。この酸塩化物にDCM(2 mL)中のアミン(38)(95 mg、0.53 mmol)およびDIPEA(69 mg、0.53 mmol)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。次にK2CO3水溶液を加え、水層をDCMにより抽出した。有機層を水により洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、溶媒を減圧濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィーを用いて、ヘプタン中50% EtOAcにより溶離して部分精製して、表題の化合物を得た。収量:35 mg、19%;LC-MS tr 1.67分;HPLC純度:52%;MS(ES+) m/z 349 (M+H)
【0257】
(d) 3-{6-[(5-フェニルフラン-2-カルボニル)アミノ]ピリジン-2-イル}アクリル酸(40)
方法Cを、EtOH(2 mL)、THF(1 mL)および1 M NaOH(2 mL)を使用し、反応液を2時間攪拌した点を変更して用いて、エステル(39)(35 mg、0.10 mmol)を加水分解した。後処理後、粗生成物を分取HPLCにより精製して、表題の化合物を得た。収量:9.8 mg、29%;LC-MS tr 2.00分;HPLC純度:97%;MS(ES+) m/z 335 (M+H);1H NMR (400 MHz;MeOH):δ6.95 (d, 1H), 7.05 (d, 1H), 7.35-7.55 (m, 5H), 7.65 (d, 1H), 7.85-8.00 (m, 3H), 8.30 (d, 1H)
【0258】
実施例9:3-{4-フルオロ-3-[(5-フェニルフラン-2-カルボニル)アミノ]フェニル}アクリル酸(45)
【化68】

【0259】
(a) 3-(4-フルオロ-3-ニトロフェニル)アクリル酸メチルエステル(42)
THF(1.70 mL)中のホスホノ酢酸トリメチル(182 mg、1.00 mmol)を、窒素雰囲気下、0℃でTHF(1.70 mL)中の水素化ナトリウム(油中60%)(60 mg、1.50 mmol)に滴下した(激しい反応に注意!)。反応混合物を0℃で15分間撹拌した後、THF(0.50 mL)中の4-フルオロ-3-ニトロベンズアルデヒド(169 mg、1.00 mmol)を加えた。1時間後、EtOAc/水を加えて、有機層をさらに水により洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、溶媒を減圧濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより、ヘプタン中33% EtOAcにより溶離して精製し、表題の化合物を得た。収量:160 mg、71%;LC-MS tr 1.31分;HPLC純度:>75%;MS(ES+) m/z検出されず(M+H)
【0260】
(b) 3-(3-アミノ-4-フルオロフェニル)アクリル酸メチルエステル(43)
方法Aを、SnCl2.2H2O(0.80 g、3.55 mmol)およびEtOH(3.2 mL)を使用した点を変更して用いて、粗ニトロ化合物(42)(160 mg、0.71 mmol)を還元した。粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより、ヘプタン中25% EtOAcにより溶離して精製し、表題の化合物を得た。収量:65 mg、47%;LC-MS tr 1.14分;HPLC純度:88%;MS(ES+) m/z 195 (M+H)
【0261】
(c) 3-{4-フルオロ-3-[(5-フェニルフラン-2-カルボニル)アミノ]フェニル}アクリル酸メチルエステル(44)
方法Bを、DIPEA (40 mg、0.31 mmol)およびDMF(2 mL)を使用し、反応液を室温で2.5時間、次いで40℃で24時間攪拌した点を変更して用いて、5-フェニル-2-フロ酸(36)(18 mg、0.15 mmol)をアニリン(43)(30 mg、0.15 mmol)とカップリングした。追加のTBTU(1 eq)および酸(1 eq)を加え、反応液を60℃でさらに6時間加熱し、後処理した後に表題の粗化合物を得た。残渣をカラムクロマトグラフィーを用いて、ヘプタン中20% EtOAcにより溶離して精製し、表題の化合物を得た。収量:18 mg、32%;LC-MS tr 1.55分;HPLC純度:83%;MS(ES+) m/z 366 (M+H)
【0262】
(d) 3-{4-フルオロ-3-[(5-フェニルフラン-2-カルボニル)アミノ]フェニル}アクリル酸(45)
方法Cを、MeOH(1 mL)、THF(1 mL)および1M NaOH(2 mL)を使用し、反応液を1時間攪拌した点を変更して用いて、エステル(44)(18 mg、0.049 mmol)を加水分解した。収量:3 mg、17%;LC-MS tr 1.44分;HPLC純度:91%;MS(ES+) m/z 352 (M+H);1H NMR (400 MHz;MeOH):δ6.50 (d, 1H), 7.05 (d, 1H), 7.25-7.60 (m, 6H), 7.70 (d, 1H), 7.95 (d, 2H), 8.15 (d, 1H)
【0263】
実施例10:3-{4-クロロ-3-[(4-フルオロビフェニル-3-カルボニル)アミノ]フェニル}アクリル酸(52)
【化69】

【0264】
(a) 3-(4-クロロ-3-ニトロフェニル)アクリル酸メチルエステル(47)
THF(2.5 mL)中のホスホノ酢酸トリメチル(245 mg、1.35 mmol)を、窒素雰囲気下、0℃で水素化ナトリウム(油中60% )(83 mg、2.02 mmol)に滴下した(激しい反応に注意!)。反応混合物を0℃で15分間撹拌した後、THF中の4-クロロ-3-ニトロベンズアルデヒド(46)(250 mg、1.35 mmol)を滴下した、2時間後、水を加えて、溶媒を減圧濃縮した。固体を濾過し、乾燥して表題の粗化合物を得た。収量:190 mg
【0265】
(b) 3-(3-アミノ-4-クロロフェニル)アクリル酸メチルエステル(48)
方法Aを、SnCl2.2H2O(0.89 g、3.94 mmol)およびMeOH(2 mL)を使用し、反応液を3時間加熱した点を変更して用いて、粗ニトロ化合物(47)(190 mg、0.79 mmol)を還元した。粗生成物を、カラムクロマトグラフィーにより、ヘプタン中10% EtOAcにより溶離して精製して、表題の化合物を白色の固体として得た。収量:69 mg (2段階の収率24%);LC-MS tr 1.32分;MS(ES+) m/z 212 (M+H)
【0266】
(c) 4-フルオロビフェニル-3-カルボン酸(50)
方法Fを、2時間の反応の後に水(50 mL)およびTBME(50 mL)を加えた点を変更して用いて、5-ブロモ-2-フルオロ安息香酸(49)(2.0 g、9.00 mmol)をフェニルボロン酸(1.23 g、10.00 mmol)とカップリングした。混合物を濾過し、水層をTBMEにより洗浄した。次に、水層を1N HClにより酸性化し、沈殿した固体を収集して乾燥した。収量:1.6 g、82%
【0267】
(d) 3-{4-クロロ-3-[(4-フルオロビフェニル-3-カルボニル)アミノ]フェニル}アクリル酸メチルエステル(51)
DCM(1.3 mL)中の酸(50)(66 mg、0.30 mmol)に、塩化オキサリル(39 mg、0.30 mmol)、触媒量のDMF(1滴)を加え、反応液を室温で1時間攪拌した。溶媒を減圧濃縮して、酸塩化物をin situ生成した。DCM(1 mL)中の酸塩化物に、DCM(0.5 mL)中のアニリン(48)(64 mg、0.30 mmol)、次いでDIPEA(39 mg、0.30 mmol)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を減圧濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィーを用いて、ヘプタン中20% EtOAcにより溶離して精製し、表題の化合物を得た。収量:124 mg、100%;LC-MS tr 1.94分;HPLC純度:> 69%;MS(ES+) m/z 410 (M+H)
【0268】
(e) 3-{4-クロロ-3-[(4-フルオロビフェニル-3-カルボニル)アミノ]フェニル}アクリル酸(52)
方法Cを、MeOH(1.25 mL)、THFおよび1M NaOH(1.25 mL)を使用し、反応液を3時間攪拌した点を変更して用いて、エステル(51)(124 mg、0.21 mmol)を加水分解した。溶媒を窒素ガス流下で除去し、残渣を1N HClにより酸性化した。固体を濾過し、乾燥して表題の化合物を得た。収量:91 mg、76%;LC-MS tr 2.28分;HPLC純度:94%;MS(ES+) m/z 396 (M+H);1H NMR (400 MHz;DMSO):δ6.60 (d, 1H), 7.45-7.75 (m, 7H), 7.80 (d, 2H), 7.95 (m, 1H), 8.10 (d, 1H), 8.15 (s, 1H), 10.25 (s, 1H), 12.55 (br. s, 1H)
【0269】
実施例11:3-{3-[(4-フルオロビフェニル-3-カルボキシイミドイル)アミノ]フェニル}アクリル酸(58)
【化70】

【0270】
(a) 4-フルオロビフェニル-3-カルボニトリル(54)
5-ブロモ-2-フルオロベンゾニトリル(53)(500 mg、2.54 mmol)とフェニルボロン酸(335 mg、2.75 mmol)を、トルエン(4 mL)中、Cs2CO3 (1.63 g、5.00 mmol)を加えて140℃で30分間マイクロ波反応器中で加熱することによりカップリングした。水を加え、有機物をEtOAcにより数回抽出し、乾燥し(MgSO4)、濾過し、溶媒を減圧濃縮した。粗生成物を、Flash Master Jonesクロマトグラフィーにより、25 gシリカカートリッジを用いて、ヘプタン中10% EtOAcにより溶離して精製し、表題の化合物を得た。収量:375 mg、76%;LC-MS tr 1.63分;HPLC純度:97%;MS(ES+) m/z 検出されず(M+H)
【0271】
(b) N-(3-[1,3]ジオキサン-2-イルフェニル)-4-フルオロビフェニル-3-カルボキシアミジン(56)
トルエン(7.5 mL)中の3-(1,3-ジオキサン-2-イル)アニリン(55)(336 mg、1.87 mmol)を0℃に冷却し、2Mトリメチルアルミニウムヘプタン溶液(1.32 mL)を滴下して、得られた混合物を室温で3.5時間攪拌した。トルエン(7.5 mL)中のニトリル(54)(370 mg、1.88 mmol)を加えて、反応液を70℃に一晩加熱した。次に、反応液を冷却し、シリカのDCM/MeOH中のスラリー上に注ぎ、有機物を別のDCM/MeOHにより洗い流した。濾液を減圧濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィーにより、ヘプタン中のEtOAcの勾配(5〜100%)を用いて精製し、表題の化合物を得た。収量:378 mg、53%;LC-MS tr 1.32分;HPLC純度:71%;MS(ES+) m/z 377 (M+H)
【0272】
(c) 4-フルオロ-N-(3-ホルミルフェニル)ビフェニル-3-カルボキシアミジン(57)
THF(2 mL)中のアセタール(56)(378 mg)に1N塩酸(2 mL)を加えて、反応混合物を室温で一晩撹拌した後、50℃でさらに3時間加熱した。反応混合物を0℃に冷却し、飽和NaHCO3溶液により中和した。有機物をEtOAcにより抽出し、乾燥し(MgSO4)、溶媒を減圧濃縮して表題の化合物を得た。収量:307 mg、96%;LC-MS tr 1.26分;HPLC純度:71%;MS(ES+) m/z 319 (M+H)
【0273】
(d) 3-{3-[(4-フルオロビフェニル-3-カルボキシイミドイル)アミノ]フェニル}アクリル酸(58)
THF(1.5 mL)中のホスホノ酢酸トリメチル(176 mg、0.97 mmol)を、窒素雰囲気下、0℃で、水素化ナトリウム(油中60%)(58 mg、1.46 mmol)に滴下した(激しい反応に注意!)。反応混合物を0℃で15分間撹拌した後、THF(1.50 mL)中のアルデヒド(57)(307 mg、0.97 mmol)を加えた。3時間後、さらに水素化ナトリウム(油中60%)(1.5 eq)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。飽和NaHCO3溶液を加えて、EtOAcにより洗浄した。1.2 M HClを用いて水層をpH 1に酸性化し、EtOAcにより抽出した。次に、水層をpH 7に中和し、EtOAcにより抽出した。有機層を合わせて乾燥し(MgSO4)、溶媒を減圧濃縮した。残渣をFlash Master Jonesクロマトグラフィーにより、2 gシリカカートリッジならびにヘプタン中のEtOAcおよびEtOAc中のMeOHの勾配を用いて精製して、表題の化合物を得た。収量:25 mg、7%;LC-MS tr 1.77分;HPLC純度:91%;MS(ES+) m/z 361 (M+H);1H NMR (400 MHz;MeOH):δ6.6 (d, 1H), 7.35-7.80 (m, 11H), 8.05 (m, 1H), 8.15 (d, 1H)
【0274】
実施例12:生物学的な結果
ヒトEP受容体に対する結合能力
ヒトEP受容体cDNAで安定にトランスフェクトされた細胞から膜を調製した。簡単に述べると、細胞を密集するまで培養し、培養フラスコからこすり取り、遠心分離した(800 g、8分間、4℃)。細胞を、氷冷した10 mM Tris-HCl、1 mM EDTA.2Na、250 mMスクロース、1 mM PMSF、0.3 mMインドメタシンを含有するpH 7.4のホモジナイズ緩衝液中で2回洗浄し、ホモジナイズし、再度前記のように遠心分離した。上清を氷冷保存し、ペレットを再度ホモジナイズして、再度遠心分離した。上清をプールして4℃、40000gで10分間遠心分離した。得られた膜ペレットを使用するまで-80℃で保存した。
【0275】
アッセイには、ヒトEP4、EP3、EP2またはEP1受容体を発現する膜を、アッセイ緩衝液、放射性標識した[3H]PGE2および濃度0.1〜10 000 nMの化合物の入ったMillipore (MHVBN45)プレート中でインキュベートした。インキュベーションは好適な温度で、平衡に達するのに好適な時間でおこなった。10uM PGE2の存在下で、非特異的結合を測定した。結合したおよび遊離の放射性標識を、適切な洗浄緩衝液を使用した真空マニホールド濾過により分離し、結合した放射性標識をシンチレーション計数により測定した。それぞれの緩衝液の成分を、下記の表1に記載する。
【0276】
それぞれの受容体に対するそれぞれの化合物の親和性またはpKiは、50%放射性リガンド置換を起こす濃度(IC50)から、Cheng-Prusoffの等式:
【数1】

【0277】
を用いて計算した。
【0278】
このアプローチは、Kenakin, T.P., 「薬物受容体相互作用の薬理的分析」(Pharmacologic analysis of drug receptor interaction), Raven Press, New York, 第2版の記載に従っている。
【表1】

【0279】
組み換えヒトEP2プロスタノイド受容体におけるアゴニスト活性およびEP4プロスタノイド受容体におけるアンタゴニスト活性の測定
ヒトEP2またはEP4プロスタノイド受容体で安定にトランスフェクトされたHEK-293細胞クローンを、96ウェルポリ-L-リシンコートプレート中、50,000細胞/ウェルの密度で、5% CO2インキュベーターの中で、37℃で培養した。培地は、10%ウシ胎仔血清、100U/mlペニシリン、100ng/mlストレプトマイシン、2.5μg/mlファンギゾン、2mMグルタミンを補足した最小必須培地(MEM)であった。細胞を使用前に密集するまで培養した(3〜4日)。
【0280】
培地を除去し、密集した細胞をMEM中で3回洗浄した。175μlのアッセイ緩衝液(補足しないMEM + 1mM IBMX)に細胞を加えて60分間インキュベートした。次に、25μlのアッセイ緩衝液中に調製したPGE2またはアゴニストを加えることにより細胞を刺激した。アンタゴニストの研究においては、PGE2による刺激の前に細胞を化合物と共に30分間プレインキュベートした。
【0281】
プレートを37℃で15分間インキュベートした後、25μlの1M HClを加えて反応を終了した。次にプレートを-20℃で一晩凍結した後、cAMP濃度を測定した。
【0282】
刺激されたcAMP濃度を放射性リガンド置換結合により測定した。簡単に述べると、プレートを水浴中で迅速に解凍し、25μlの1M NaOHを加えてサンプルを中和した。30μlを、0.5%ポリエチレンイミン(PEI)を予めコーティングしたMilliporeプレートに移した。90μlのcAMP測定緩衝液(50mM Tris、5mM EDTA、pH 7.0)を加えてサンプルを希釈した。cAMP標準曲線(10-11M〜10-5M)を作成した。15μlの2nM(最終濃度)[3H] cAMP、および15μlの3’5’-cAMPプロテインキナーゼ(8μg/ウェルの最終濃度)を、0.1% BSAを含有するcAMP測定緩衝液中に調製し、それぞれのウェルに加えた。
【0283】
プレートを氷上で2時間インキュベートした後、終結緩衝液として氷冷した水を用いて、Millipore真空マニホールドを用いた真空濾過ハーベスティングにより結合したおよび遊離の放射性標識を分離した。
【0284】
Milliporeプレートからシーリングマットを取り除き、フィルターを一晩乾燥させた。それぞれのウェルに50μl Microscint 0 (Packard Bioscience)を加えて、Micro-Beta Trilux topcount 3Hプログラムを用いてプレートをカウントした。
【0285】
cAMPの蓄積を標準曲線から決定し、値をpmoles cAMP/ウェルで計算した。傾きが一定であることおよびpA2 = log[濃度比-1]-log[アンタゴニスト]のGaddam-Schildの等式を仮定して、アンタゴニストアフィニティー(pA2値)を決定した。アゴニストの能力は、アゴニスト反応の50%を生じるのに必要なアゴニストの濃度を意味するlog EC50値から決定した。
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(III):
【化1】

[式中、
R5は、場合により置換されたC5-20アリールまたはC4-20アルキル基であり;
L’は単結合、-O-または-C(=O)-であり;
Aは、
【化2】

からなる群より選択され、そこにおいて、
XおよびYは、OおよびCR3;SおよびCR3;NHおよびCR3;NHおよびN;OおよびN;SおよびN;NおよびS;ならびにNおよびOからなる群より選択され、点線は適切な位置における二重結合を示し、QはNまたはCHのいずれかであり;
R3は、H、F、Cl、および場合により置換されたC1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C5-7アリールおよびC5-7アリール-C1-4アルキル基から選択され;
R4は、H、F、Cl、および場合により置換されたC1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C5-7アリールおよびC5-7アリール-C1-4アルキル基から選択され;
R6は、H、F、Cl、および場合により置換されたC1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C5-7アリールおよびC5-7アリール-C1-4アルキル基から選択され;
Dは、
【化3】

から選択され;
Bは、
【化4】

からなる群より選択され、
RP6はフッ素および塩素から選択され;
RP3およびRP4の一方が-Cmアルキレン-R2であり、RP3およびRP4のもう一方がHである場合、mおよびnは0または1であり、かつm + n = 1または2であり;さらにRP3が-Cmアルキレン-R2である場合、mは2または3であってもよく、かつm + n = 1、2、3または4であり、R2がテトラゾール-5-イルである場合、m + nは0であってもよく;
または、RP3およびRP4の一方が-O-CH2-R2であり、RP3およびRP4のもう一方がHである場合、nは0であり;
RNはHまたは場合により置換されたC1-4アルキルであり;
R2は、
(i) -CO2H;
(ii) -CONH2
(iii) -CH2-OH;または
(iv) テトラゾール-5-イル
のいずれかである]
の化合物、またはその塩、溶媒和物もしくは化学的に保護された形。
【請求項2】
R5がC6アリール基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R5がフェニルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
L’が単結合である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
Aが、
【化5】

である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
R3およびR4がHである、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
Dが、
【化6】

である、前記の請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
RNがHである、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
Bが、
【化7】

である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
R2がカルボキシである、前記の請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
RP4がHであり、RP3が-CH=CH-R2である、前記の請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
nが0である、前記の請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
式(I):
【化8】

[式中、
R5は、場合により置換されたC5-20アリールまたはC4-20アルキル基であり;
Lは-O-または-C(=O)-であり;
Aは、
【化9】

からなる群より選択され、そこにおいて、
XおよびYは、OおよびCR3;SおよびCR3;NHおよびCR3;NHおよびN;OおよびN;SおよびN;NおよびS;ならびにNおよびOからなる群より選択され、点線は適切な位置における二重結合を示し、Qは、NまたはCHのいずれかであり;
R3は、H、F、Cl、および場合により置換されたC1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C5-7アリールおよびC5-7アリール-C1-4アルキル基から選択され;
R4は、H、F、Cl、および場合により置換されたC1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C5-7アリールおよびC5-7アリール-C1-4アルキル基から選択され;
R6は、H、F、Cl、および場合により置換されたC1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C5-7アリールおよびC5-7アリール-C1-4アルキル基から選択され;
Dは、
【化10】

から選択され;
Bは、
【化11】

からなる群より選択され、
RN’はHおよびC1-4アルキルから選択され;
RP3およびRP4の一方が-Cmアルキレン-R2であり、RP3およびRP4のもう一方がHである場合、mおよびnは0または1であり、かつm + n = 1または2であり;さらにRP3が-Cmアルキレン-R2である場合、mは2または3であってもよく、かつm + n = 1、2、3または4であり、R2がテトラゾール-5-イルである場合、m + nは0であってもよく;Bが
【化12】

からなる群より選択される場合、m + nは0であってもよく;
または、RP3およびRP4の一方が-O-CH2-R2であり、RP3およびRP4のもう一方がHである場合、nは0であり;
RNはHまたは場合により置換されたC1-4アルキルであり;
R2は、
(i) -CO2H;
(ii) -CONH2
(iii) -CH2-OH;または
(iv) テトラゾール-5-イル
のいずれかである]
の化合物、またはその塩、溶媒和物もしくは化学的に保護された形。
【請求項14】
R5がC6アリール基である、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
R5がフェニルである、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
Aが、
【化13】

である、請求項13〜15のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項17】
R3およびR4がHである、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
Dが、
【化14】

である、請求項13〜17のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項19】
RNがHである、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
Bが、
【化15】

である、請求項13〜19のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項21】
R2がカルボキシである、請求項13〜20のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項22】
RP4がHであり、RP3が-CH=CH-R2である、請求項13〜21のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項23】
nが0である、請求項13〜22のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項24】
式(II):
【化16】

[式中、
R5は、場合により置換されたC5-20アリールまたはC4-20アルキル基であり;
L’は、単結合、-O-または-C(=O)-であり;
Aは、
【化17】

からなる群より選択され、そこにおいて、
XおよびYは、OおよびCR3;SおよびCR3;NHおよびCR3;NHおよびN;OおよびN;SおよびN;NおよびS;ならびにNおよびOからなる群より選択され、点線は適切な位置における二重結合を示し、Qは、NまたはCHのいずれかであり;
R3は、H、F、Cl、および場合により置換されたC1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C5-7アリールおよびC5-7アリール-C1-4アルキル基から選択され;
R4は、H、F、Cl、および場合により置換されたC1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C5-7アリールおよびC5-7アリール-C1-4アルキル基から選択され;
R6は、H、F、Cl、および場合により置換されたC1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C5-7アリールおよびC5-7アリール-C1-4アルキル基から選択され;
Dは、
【化18】

から選択され;
Bは、
【化19】

からなる群より選択され、
RN’はHおよびC1-4アルキルから選択され;
RP3およびRP4の一方が-Cmアルキレン-R2であり、RP3およびRP4のもう一方がHである場合、mおよびnは0または1であり、かつm + n = 1または2であり;さらにRP3が-Cmアルキレン-R2である場合、mは2または3であってもよく、かつm + n = 1、2、3または4であり、R2がテトラゾール-5-イルである場合、m + nは0であってもよく;Bが、
【化20】

からなる群より選択される場合、m + nは0であってもよく;
または、RP3およびRP4の一方が-O-CH2-R2であり、RP3およびRP4のもう一方がHである場合、nは0であり;
RNはHまたは場合により置換されたC1-4アルキルであり;
R2は、
(i) -CO2H;
(ii) -CONH2
(iii) -CH2-OH;または
(iv) テトラゾール-5-イル
のいずれかである]
の化合物、またはその塩、溶媒和物もしくは化学的に保護された形。
【請求項25】
R5がC6アリール基である、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
R5がフェニルである、請求項25に記載の化合物。
【請求項27】
L’が単結合である、請求項24〜26のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項28】
Aが、
【化21】

である、請求項24〜27のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項29】
R3およびR4がHである、請求項28に記載の化合物。
【請求項30】
Dが、
【化22】

から選択される、請求項24〜29のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項31】
Bが、
【化23】

である、請求項24〜30のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項32】
R2がカルボキシである、請求項24〜31のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項33】
RP4がHであり、RP3が-CH=CH-R2である、請求項24〜32のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項34】
nが0である、請求項24〜33のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項35】
式(IV):
【化24】

[式中、
A’は、
【化25】

であり、そこにおいて、
TはOおよびSから選択され、RR1は、F、Cl、および場合により置換されたC1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C5-7アリールおよびC5-7アリール-C1-4アルキル基から選択される1個以上の場合により存在する置換基を表し、RR2は、F、Cl、および場合により置換されたC1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C5-7アリールおよびC5-7アリール-C1-4アルキル基から選択される1個以上の場合により存在する置換基を表し;
Dは、
【化26】

から選択され;
Bは、
【化27】

からなる群より選択され、
RN’はHおよびC1-4アルキルから選択され;
RP6はフッ素および塩素から選択され;
RP3およびRP4の一方が-Cmアルキレン-R2であり、RP3およびRP4のもう一方がHである場合、mおよびnは0または1であり、かつm + n = 1または2であり;さらに、RP3が-Cmアルキレン-R2である場合、mは2または3であってもよく、かつm + n = 1、2、3または4であり、R2がテトラゾール-5-イルである場合、m + nは0であってもよく;Bが、
【化28】

からなる群より選択される場合、m + nは0であってもよく;
または、RP3およびRP4の一方が-O-CH2-R2であり、RP3およびRP4のもう一方がHである場合、nは0であり;
RNはHまたは場合により置換されたC1-4アルキルであり;
R2は、
(i) -CO2H;
(ii) -CONH2
(iii) -CH2-OH;または
(iv) テトラゾール-5-イル
のいずれかである]
の化合物、またはその塩、溶媒和物もしくは化学的に保護された形。
【請求項36】
TがOである、請求項35に記載の化合物。
【請求項37】
A’が置換されていない、請求項35または請求項36に記載の化合物。
【請求項38】
Dが、
【化29】

である、請求項35〜37のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項39】
RNがHである、請求項38に記載の化合物。
【請求項40】
Bが、
【化30】

である、請求項35〜39のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項41】
R2がカルボキシである、請求項35〜40のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項42】
RP4がHであり、RP3が-CH=CH-R2である、請求項35〜41のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項43】
nが0である、請求項35〜42のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項44】
式(V):
【化31】

[式中、
R5は、場合により置換されたC5-20アリールまたはC4-20アルキル基であり;
L’は、単結合、-O-または-C(=O)-であり;
Bは、
【化32】

からなる群より選択され、
RN’はHおよびC1-4アルキルから選択され;
RP6はフッ素および塩素から選択され;
RP3およびRP4の一方が-Cmアルキレン-R2であり、RP3およびRP4のもう一方がHである場合、mおよびnは0または1であり、かつm + n = 1または2であり;さらに、RP3が-Cmアルキレン-R2である場合、mは2または3であってもよく、かつm + n = 1、2、3または4であり、R2がテトラゾール-5-イルである場合、m + nは0であってもよく;Bが、
【化33】

からなる群より選択される場合、m + nは0であってもよく;
または、RP3およびRP4の一方が-O-CH2-R2であり、RP3およびRP4のもう一方がHである場合、nは0であり;
RNはHまたは場合により置換されたC1-4アルキルであり;
R2は、
(i) -CO2H;
(ii) -CONH2
(iii) -CH2-OH;または
(iv) テトラゾール-5-イル
のいずれかである]
の化合物、またはその塩、溶媒和物もしくは化学的に保護された形。
【請求項45】
R5がC6アリール基である、請求項44に記載の化合物。
【請求項46】
R5がフェニルである、請求項45に記載の化合物。
【請求項47】
L’が単結合である、請求項44〜46のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項48】
Bが、
【化34】

である、請求項44〜47のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項49】
R2がカルボキシである、請求項44〜48のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項50】
RP4がHであり、RP3が-CH=CH-R2である、請求項44〜49のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項51】
治療の方法に使用するための、請求項1〜50のいずれか1項に記載の化合物またはその製薬上許容される塩。
【請求項52】
請求項1〜50のいずれか1項に記載の化合物またはその製薬上許容される塩を、製薬上許容される担体または希釈剤と共に含む医薬組成物。
【請求項53】
EP2受容体の作動により緩和される状態の治療のための医薬品の調製における、請求項1〜50のいずれか1項に記載の化合物またはその製薬上許容される塩の使用。
【請求項54】
EP2受容体の作動により緩和される状態が、月経困難症、早期陣痛、緑内障、高眼圧症、免疫障害、炎症性疾患、骨粗鬆症、ぜんそく、慢性閉塞性肺疾患、アレルギー、骨疾患、骨折修復、男性機能障害、女性機能障害、不妊症、歯周病、胃潰瘍、腎臓病および乾癬から選択される、請求項53に記載の使用。

【公表番号】特表2009−505973(P2009−505973A)
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−525637(P2008−525637)
【出願日】平成18年8月9日(2006.8.9)
【国際出願番号】PCT/GB2006/002979
【国際公開番号】WO2007/017687
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(506126004)アステランド ユーケイ リミテッド (2)
【Fターム(参考)】