説明

III族窒化物半導体層の製造方法、及びIII族窒化物半導体発光素子、並びにランプ

【課題】内部量子効率および光取り出し効率に優れた発光素子の形成に好適に使用できる結晶性に優れたIII族窒化物半導体層の得られる製造方法を提供する。
【解決手段】基板101上に単結晶のIII族窒化物半導体層103を形成するIII族窒化物半導体層の製造方法において、基板101の(0001)C面上に前記C面に非平行の表面12cからなる複数の凸部12を形成することにより、前記基板101上に前記C面からなる平面11と前記凸部12とからなる上面10を形成する基板加工工程と、前記上面10上に前記III族窒化物半導体層103をエピタキシャル成長させて、前記凸部12を前記III族窒化物半導体層103で埋めるエピ工程とを備えるIII族窒化物半導体層103の製造方法とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード(LED)等の発光素子に好適に用いられるIII族窒化物半導体層の製造方法、及びIII族窒化物半導体発光素子、並びにランプに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、短波長の光を発する発光素子用の半導体材料として、III族窒化物半導体が注目を集めている。III族窒化物半導体は、一般式AlGaInN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z=1)で表され、サファイア単結晶をはじめ種々の酸化物やIII−V族化合物からなる基板の上に、有機金属化学気相成長法(MOCVD法)や分子線エピタキシー法(MBE法)等によって形成される。
【0003】
III族窒化物半導体を用いた一般的な発光素子では、サファイア単結晶基板の上に、III族窒化物半導体からなるn型半導体層、発光層、p型半導体層がこの順で積層される。サファイア基板は絶縁体であるので、その素子構造は一般的に、p型半導体層上に形成された正極とn型半導体層上に形成された負極とが同一面上に存在する構造となる。このようなIII族窒化物半導体発光素子には、正極に透明電極を使用してp型半導体側から光を取り出すフェイスアップ方式と、正極にAgなどの高反射膜を使用してサファイア基板側から光を取り出すフリップチップ方式との2種類がある。
【0004】
このような発光素子の出力の指標として、外部量子効率が用いられる。外部量子効率が高ければ、出力の高い発光素子と言うことができる。外部量子効率は、内部量子効率と光取り出し効率とを掛け合わせたものである。内部量子効率とは、素子に注入した電流のエネルギーが発光層で光に変換される割合である。光取り出し効率とは、発光層で発生した光のうち発光素子の外部に取り出すことができる光の割合である。したがって、外部量子効率を向上させるには、光取り出し効率を改善する必要がある。
【0005】
光取り出し効率を改善するためには、主として2つの方法がある。一つは、光取り出し面に形成される電極などによる光の吸収を低減させる方法である。もう一つは、発光素子とその外部の媒体との屈折率の違いによって生じる発光素子の内部への光の閉じ込めを低減させる方法である。
【0006】
発光素子の光取り出し効率を向上させるため、p型半導体上に透明電極を設ける場合、従来はNi/Au等からなる金属透明電極が使用されていたが、最近ではITO等の透光性導電酸化膜からなる電極が使用されている。Ni/Au等の金属透明電極がITO等の透光性導電酸化膜からなる電極に置き替わった理由の一つとして、透光性導電酸化膜を用いることによって発光の吸収を低減できることが挙げられる。
【0007】
また、発光素子の内部への光の閉じ込めを低減させる方法としては、発光素子の光取り出し面に凹凸を形成する技術が挙げられる(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、機械的加工あるいは化学的加工により光取り出し面に凹凸を形成した発光素子では、光取り出し面に加工を施すことにより半導体層に負荷を掛けることになり、発光層にダメージを残してしまう。また、光取り出し面に凹凸が形成されるような条件で半導体層を成長した発光素子では、半導体層の結晶性が劣化してしまうため、発光層が欠陥を含んだものになる。このため、光取り出し面に凹凸を形成した場合、光取り出し効率は向上するものの、内部量子効率が低下してしまい、発光強度を増加させることができないという問題がある。
【0008】
そこで、光取り出し面に凹凸を形成するのではなく、サファイア基板の表面に凹凸を形成し、その上にIII族窒化物半導体層を成長させる方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この方法では、サファイア基板とIII族窒化物半導体層との界面が凹凸となり、サファイア基板とIII族窒化物半導体層との屈折率の違いによる界面での光の乱反射により、発光素子の内部への光の閉じ込めを低減させることができ、光取り出し効率を向上させることができる。
【特許文献1】特許第2836687号公報
【特許文献2】特開2002−280611号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、サファイア基板の表面に凹凸を形成し、その上に単結晶のIII族窒化物半導体層をエピタキシャル成長させる場合、表面が平坦で結晶性に優れたIII族窒化物半導体層を成長させることが難しいという問題があった。
例えば、サファイア基板のC面上に凸部を形成し、その上に単結晶のGaNを含むIII族窒化物半導体層をエピタキシャル成長させた場合、凸部の頂部に位置するC面から成長した半導体層と、凸部の基部周辺に位置するC面から成長した半導体層とが合体した部分に転位などの結晶欠陥が発生しやすく、結晶性に優れた半導体層を成長させることは困難であった。
【0010】
そして、基板上に成長される単結晶のIII族窒化物半導体層の結晶性は、そのIII族窒化物半導体層の上に積層されるn型層、発光層、p型層からなるLED構造を構成する半導体層の結晶性に影響を及ぼす。このため、基板上に成長された単結晶のIII族窒化物半導体層の結晶性が良好でないと、LED構造の結晶性も劣ったものになる。その結果、サファイア基板の表面に凹凸を形成した場合、発光素子の光取り出し効率は向上するものの、内部量子効率が低下したり、LEDのリーク電流が増大したりする場合があった。
【0011】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、内部量子効率および光取り出し効率に優れた発光素子の形成に好適に使用できる結晶性に優れたIII族窒化物半導体層の得られるIII族窒化物半導体層の製造方法を提供することを目的とする。
また、上記の製造方法によって製造されたIII族窒化物半導体層上にLED構造が形成されている、内部量子効率および光取り出し効率に優れ、しかもリークの少ないIII族窒化物半導体発光素子を提供することを目的とする。
さらに、上記のIII族窒化物半導体発光素子が用いられてなるランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、上記問題を解決するために鋭意検討した結果、本発明を完成した。即ち、本発明は以下に関する。
【0013】
(1)基板上に単結晶のIII族窒化物半導体層を形成するIII族窒化物半導体層の製造方法において、基板の(0001)C面上に前記C面に非平行の表面からなる複数の凸部を形成することにより、前記基板上に前記C面からなる平面と前記凸部とからなる上面を形成する基板加工工程と、前記上面上に前記III族窒化物半導体層をエピタキシャル成長させて、前記凸部を前記III族窒化物半導体層で埋めるエピ工程とを備えることを特徴とするIII族窒化物半導体層の製造方法。
(2)前記凸部は、基部幅が0.05〜5μm、高さが0.05〜5μm、かつ高さが基部幅の1/4以上のものであって、隣接する前記凸部間の間隔が前記基部幅の0.5〜5倍のものであることを特徴とする(1)に記載のIII族窒化物半導体層の製造方法。
【0014】
(3)前記凸部が上部に向かって徐々に外形が小さくなる形状であることを特徴とする(1)または(2)に記載のIII族窒化物半導体層の製造方法。
(4)前記凸部が略円錐状ないし略多角錐状であることを特徴とする(1)ないし(3)のいずれかに記載のIII族窒化物半導体層の製造方法。
(5)前記基板がサファイア基板であることを特徴とする(1)ないし(4)のいずれかに記載のIII族窒化物半導体層の製造方法。
(6)前記基板加工工程の後、前記エピ工程の前に、前記上面上に多結晶のAlGa1−xN(0≦x≦1)からなる厚さ0.01〜0.5μmのバッファ層をスパッタ法により積層するバッファ層形成工程を備えることを特徴とする(1)ないし(5)のいずれかに記載のIII族窒化物半導体層の製造方法。
(7)前記基板加工工程の後、前記エピ工程の前に、前記上面上に単結晶構造を有するAlGa1−xN(0≦x≦1)からなる厚さ0.01〜0.5μmのバッファ層をスパッタ法により積層するバッファ層形成工程を備えることを特徴とする(1)ないし(5)のいずれかに記載のIII族窒化物半導体層の製造方法。
【0015】
(8)基板上に形成された単結晶のIII族窒化物半導体層上にLED構造が形成されているIII族窒化物半導体発光素子であって、前記基板は、前記C面からなる平面と、前記C面に非平行の表面からなる複数の凸部とからなる上面を有するものであり、III族窒化物半導体層は、前記上面上に前記凸部を埋める前記III族窒化物半導体層をエピタキシャル成長させて形成されたものであることを特徴とするIII族窒化物半導体発光素子。
【0016】
(9)前記凸部は、基部幅が0.05〜5μm、高さが0.05〜5μm、かつ高さが基部幅の1/4以上のものであって、隣接する前記凸部間の間隔が前記基部幅の0.5〜5倍のものであることを特徴とする(8)に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
(10)前記凸部が上部に向かって徐々に外形が小さくなる形状であることを特徴とする(8)または(9)に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
(11)前記凸部が略円錐状ないし略多角錐状であることを特徴とする(8)ないし(10)のいずれかに記載のIII族窒化物半導体発光素子。
(12)前記基板がサファイア基板であることを特徴とする(8)ないし(11)のいずれかに記載のIII族窒化物半導体発光素子。
(13)前記基板加工工程の後、前記エピ工程の前に、前記上面上に多結晶のAlGa1−xN(0≦x≦1)からなる厚さ0.01〜0.5μmのバッファ層をスパッタ法により積層するバッファ層形成工程を備えることを特徴とする(8)ないし(12)のいずれかに記載のIII族窒化物半導体発光素子。
(14)前記基板加工工程の後、前記エピ工程の前に、前記上面上に単結晶構造を有するAlGa1−xN(0≦x≦1)からなる厚さ0.01〜0.5μmのバッファ層をスパッタ法により積層するバッファ層形成工程を備えることを特徴とする(8)ないし(12)のいずれかに記載のIII族窒化物半導体発光素子。
(15)前記LED構造が、III族窒化物半導体から各々なるn型層と発光層とp型層とを有することを特徴とする(8)ないし(14)のいずれかに記載のIII族窒化物半導体発光素子。
(16)前記n型層にnクラッド層が備えられているとともに、前記p型層にはpクラッド層が備えられており、前記nクラッド層及び/又は前記pクラッド層が、少なくとも超格子構造を含むことを特徴とする(15)に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
【0017】
(17)(8)ないし(16)のいずれかに記載のIII族窒化物半導体発光素子が用いられてなることを特徴とするランプ。
【発明の効果】
【0018】
本発明のIII族窒化物半導体層の製造方法は、基板の(0001)C面上に前記C面に非平行の表面からなる複数の凸部を形成することにより、前記基板上に前記C面からなる平面と前記凸部とからなる上面を形成する基板加工工程を備えているので、上面上に前記III族窒化物半導体層をエピタキシャル成長させて、前記凸部を前記III族窒化物半導体層で埋めるエピ工程を行なうことにより、内部量子効率および光取り出し効率に優れた発光素子の形成に好適に使用できる結晶性に優れたIII族窒化物半導体層が得られる。
【0019】
また、本発明のIII族窒化物半導体発光素子では、基板が、前記C面からなる平面と、前記C面に非平行の表面からなる複数の凸部とからなる上面を有するものであり、III族窒化物半導体層が、前記上面上に前記凸部を埋める前記III族窒化物半導体層をエピタキシャル成長させて形成されたものであるので、基板とIII族窒化物半導体層との界面が凹凸とされており、界面での光の乱反射により発光素子の内部への光の閉じ込めが低減されるため、光取り出し効率に優れたものとなる。
しかも、本発明のIII族窒化物半導体発光素子は、LED構造の結晶性に優れたものとなるので、内部量子効率の低下を防ぎリーク電流を低減することができ、出力が高く電気特性に優れた発光素子となる。
さらに、本発明においては、nクラッド層及び/又はpクラッド層を超格子構造を含んだ層構成にすることで、出力が格段に向上し、電気特性の優れた発光素子とすることができる。
さらに、本発明のランプは、本発明のIII族窒化物半導体発光素子が用いられてなるものであるので、発光特性に優れたものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係るIII族窒化物半導体層の製造方法、III族窒化物半導体発光素子、並びにランプの一実施形態について、図面を適宜参照して説明する。
図1は、本発明のIII族窒化物半導体層の製造方法の一例を説明するための図であって、本発明の製造方法を用いて、基板の表面上に、バッファ層と単結晶のIII族窒化物半導体層とが形成された積層構造を示した断面図である。図1において符号101は基板を示し、符号102はバッファ層を示し、符号103はIII族窒化物半導体層を示している。
【0021】
[III族窒化物半導体層の製造方法]
(基板加工工程)
図2は、図1に示す積層構造を製造する工程の一例を説明するための図であって、本実施形態の基板加工工程の終了した基板を示した斜視図である。
基板加工工程では、基板の(0001)C面上にC面に非平行の表面からなる複数の凸部を形成することにより、図1および図2に示すように、基板101上にC面からなる平面11と凸部12とからなる上面10を形成する。基板加工工程においては、基板101上における凸部12の平面配置を規定するマスクを形成するパターニング工程と、パターニング工程によって形成されたマスクを使って基板101をエッチングして凸部12を形成するエッチング工程とを行なう。
【0022】
本実施形態において、複数の凸部12の形成される基板101としては、(0001)C面を表面とするサファイア単結晶のウェーハが用いられる。ここで(0001)C面を表面とする基板には、基板の面方位に(0001)方向から±3°の範囲でオフ角が付与された基板も含まれる。また、C面に非平行の表面とは、(0001)C面から±3°の範囲と平行な表面のない表面であることを意味する。
【0023】
パターニング工程は、一般的なフォトリソグラフィー法で行なうことができる。基板加工工程において形成する凸部12の基部12aの基部幅dは5μm以下であることが好ましいため、基板101の表面全面を均一にパターニングするためには、フォトリソグラフィー法のうちステッパー露光法を用いるのが好ましい。しかし、1μm以下の基部幅dの凸部12のパターンを形成させるためには、高価なステッパー装置が必要となり高コストとなる。そのため、1μm以下の凸部幅dのパターンを形成させる場合には、光ディスクの分野で使用されているレーザー露光法、もしくはナノインプリント法を用いることが好ましい。
【0024】
エッチング工程において基板101をエッチングする方法としては、ドライエッチング法やウェットエッチング法が挙げられる。エッチング方法としてウェットエッチング法を用いる場合、基板101の結晶面が露出されるため、C面に非平行の表面12cからなる凸部12を形成することが難しい。このため、ドライエッチング法を用いることが好ましい。
【0025】
C面に非平行の表面12cからなる凸部12は、上述したパターニング工程で形成されたマスクが消失するまで基板101をドライエッチングする方法より形成させることが出来る。より具体的には、例えば、基板101上にレジストを形成し、所定の形状にパターニングした後、例えばオーブンを用いて110℃で30分の熱処理を行なうポストベークを行って、レジストの側面をテーパ状とする。次いで、横方向のエッチングを促進させる所定の条件でレジストが消失するまでドライエッチングを行なう方法によって形成できる。
【0026】
また、C面に非平行の表面12cからなる凸部12は、マスクを使って基板をドライエッチングした後、再度マスクを剥離して基板101をドライエッチングする方法によっても形成させることが出来る。より具体的には、例えば、基板101上にレジストを形成し、所定の形状にパターニングした後、例えばオーブンを用いて110℃で30分の熱処理を行なうポストベークを行って、レジストの側面をテーパ状とする。次いで、横方向のエッチングを促進させる所定の条件でドライエッチングを行ない、レジストが消失する前にドライエッチングを中断する。その後、レジストを剥離してドライエッチングを再開し、所定量エッチングを行なう方法によって形成できる。この方法で形成された凸部12は、高さの面内均一性に優れたものとなる。
【0027】
また、エッチング方法としてウェットエッチング法を用いる場合、ドライエッチング法と組み合わせることにより、C面に非平行の表面12cからなる凸部12を形成できる。
例えば、基板101がサファイア単結晶からなるものである場合、例えば、250℃以上の高温とした燐酸と硫酸との混酸などの酸を用いることによりウェットエッチングすることができる。
ウェットエッチング法とドライエッチング法と組み合わせる方法としては、例えば、マスクが消失するまで基板101をドライエッチングした後、高温の酸を用いて所定量ウェットエッチングする方法によって形成できる。このような方法を用いて凸部12を形成することにより、凸部12の側面を構成する斜面に結晶面が露出され、再現性よく凸部12の斜面の角度を形成できる。また、表面11にきれいな結晶面を再現性よく露出させることができる。
また、ウェットエッチング法とドライエッチング法と組み合わせる方法としては、上記の方法の他、マスクとしてSiOなどの酸に耐性のある材料からなるマスクを形成してウェットエッチングを行なった後、マスクを剥離し、横方向のエッチングを促進させる所定の条件でドライエッチングを行なう方法によっても形成できる。この方法で形成された凸部12は、高さの面内均一性に優れたものとなる。また、この方法を用いて凸部12を形成した場合も、再現性よく凸部12の側面を構成する斜面の角度を形成できる。
【0028】
なお、本実施形態おいては、凸部を形成するためにエッチングする方法を行なう場合を例に挙げて説明したが、本発明は上記方法に限定されるものではない。例えば、基板上に凸部となる材料を堆積させることにより凸部を形成してもよい。基板上に凸部となる材料を堆積させる方法としては、スパッタ法、蒸着法、CVD法などを使用できる。また、凸部となる材料としては、基板とほぼ同等の屈折率を有する材料を用いることが好ましく、サファイア基板に対しては、Al、SiN、SiO等を用いることができる。
【0029】
(基板形状)
基板加工工程の終了した基板101の上面10には、図2に示すように、複数の凸部12が形成されている。そして、図2に示すように、基板101の上面10において凸部12の形成されていない部分は、(0001)C面からなる平面11とされている。従って、図1および図2に示すように、基板101の上面10は、(0001)C面からなる平面11と、複数の凸部12とから構成されている。
【0030】
凸部12は、図1および図2に示すように、C面に非平行の表面12cからなるものであり、表面12cに(0001)C面が現れていないものである。図1および図2に示す凸部12は、基部12aの平面形状が略円形であり、上部に向かって徐々に外形が小さくなる形状とされており、側面12bが外側に向かって湾曲したお椀状(半球状)の形状とされている。また、凸部12の平面配置は、図1および図2に示すように、碁盤目状に等間隔に配置されている。
【0031】
また、図1および図2に示す凸部12は、基部幅dが0.05〜5μm、高さhが0.05〜5μm、かつ高さhが基部幅dの1/4以上のものであって、隣接する凸部12間の間隔dが基部幅dの0.5〜5倍とされている。ここで、凸部12の基部幅dとは凸部12の底辺(基部12a)における最大幅の長さのことをいう。また、隣接する凸部12の間隔dとは、最近接した凸部12の基部12aの縁の間の距離をいう。
【0032】
隣接する凸部12間の間隔dは、基部幅dの0.5〜5倍とされることが好ましい。凸部12間の間隔dが基部幅dの0.5倍未満であると、III族窒化物半導体層103をエピタキシャル成長させる際に、C面からなる平面11上からの結晶成長が促進され難くなり、凸部12をIII族窒化物半導体層103で完全に埋め込むことが難しくなるし、III族窒化物半導体層103の表面103aの平坦性が十分に得られない場合がある。したがって、凸部12を埋めるIII族窒化物半導体層103上にLED構造となる半導体層の結晶を形成した場合、LED構造を構成する半導体層の結晶は、当然にピットが多く形成されることとなり、形成されるIII族窒化物半導体発光素子の出力や電気特性等の悪化につながってしまう。また、凸部12間の間隔dが基部幅dの5倍を超えると、基板101を用いてIII族窒化物半導体発光素子を形成した場合に、基板101と、基板101上に形成されたIII族窒化物半導体層との界面での光の乱反射の機会が減少し、光の取り出し効率を十分に向上させることができなくなる恐れがある。
【0033】
基部幅dは0.05〜5μmとされることが好ましい。基部幅dが0.05μm未満であると、基板101を用いてIII族窒化物半導体発光素子を形成した場合に、光を乱反射させる効果が十分に得られない恐れがある。また、基部幅dが5μmを超えると、凸部12を埋めてIII族窒化物半導体層103をエピタキシャル成長させることが困難になる。
【0034】
凸部12の高さhは0.05〜5μmとされることが好ましい。凸部12の高さhが0.05μm未満であると、基板101を用いてIII族窒化物半導体発光素子を形成した場合に、光を乱反射させる効果が十分に得られない恐れがある。また、凸部12の高さhが5μmを超えると、凸部12を埋めてIII族窒化物半導体層103をエピタキシャル成長することが困難になり、III族窒化物半導体層103の表面103aの平坦性が十分に得られない場合がある。
【0035】
また、凸部12の高さhは基部幅dの1/4以上とされることが好ましい。凸部12の高さhが基部幅dの1/4未満であると、基板101を用いてIII族窒化物半導体発光素子を形成した場合における光を乱反射させる効果や、光の取り出し効率を向上させる効果が十分に得られない恐れがある。
【0036】
なお、凸部12の形状は、図2に示す例に限定されるものではなく、C面に非平行の表面からなるものであれば、いかなる形状であってもよい。例えば、基部の平面形状が略多角形であり、上部に向かって徐々に外形が小さくなる形状とされており、側面12が外側に向かって湾曲している形状であってもよい。また、側面が上部に向かって徐々に外形が小さくなる斜面からなる略円錐状や略多角錐状とされていてもよい。また、側面の傾斜角度が2段階的変化する形状であってもよい。
また、凸部12の平面配置も、図2に示す例に限定されるものではなく、等間隔であってもよいし、等間隔でなくてもよい。また、凸部12の平面配置は、四角形状であってもよいし、三角形状であってもよいし、ランダムであってもよい。
【0037】
(基板材料)
本実施形態の発光素子において、上述したような基板101に用いることができる材料としては、III族窒化物化合物半導体結晶が表面にエピタキシャル成長される基板材料であれば、特に限定されず、各種材料を選択して用いることができる。例えば、サファイア、SiC、シリコン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化マンガン、酸化ジルコニウム、酸化マンガン亜鉛鉄、酸化マグネシウムアルミニウム、ホウ化ジルコニウム、酸化ガリウム、酸化インジウム、酸化リチウムガリウム、酸化リチウムアルミニウム、酸化ネオジウムガリウム、酸化ランタンストロンチウムアルミニウムタンタル、酸化ストロンチウムチタン、酸化チタン、ハフニウム、タングステン、モリブデン等が挙げられる。
また、上記基板材料の中でも、特に、サファイアを用いることが好ましく、サファイア基板のc面上に中間層(バッファ層)102が形成されていることが望ましい。
【0038】
なお、上記基板材料の内、高温でアンモニアに接触することで化学的な変性を引き起こすことが知られている酸化物基板や金属基板等を用い、アンモニアを使用せずに中間層102を成膜するとともに、アンモニアを使用する方法で後述のn型半導体層104を構成する下地層103を成膜した場合には、中間層102がコート層としても作用するので、基板101の化学的な変質を防ぐ点で効果的である。
また、中間層102をスパッタ法により形成した場合、基板101の温度を低く抑えることが可能なので、高温で分解してしまう性質を持つ材料からなる基板101を用いた場合でも、基板101にダメージを与えることなく基板上への各層の成膜が可能である。
【0039】
(バッファ層形成工程)
本実施形態では、基板加工工程の後、エピ工程の前に、基板101の上面10上に図1に示すバッファ層102を積層する。
バッファ層102は、多結晶のAlGa1−xN(0≦x≦1)からなるものが好ましく、単結晶のAlGa1−xN(0≦x≦1)のものがより好ましい。
バッファ層102は、上述のように、例えば、多結晶のAlGa1−xN(0≦x≦1)からなる厚さ0.01〜0.5μmのものとすることができる。バッファ層102の厚みが0.01μm未満であると、バッファ層102により基板101とIII族窒化物半導体層103との格子定数の違い緩和する効果が十分に得られない場合がある。また、バッファ層102の厚みが0.5μmを超えると、バッファ層102としての機能には変化が無いのにも関わらず、バッファ層102の成膜処理時間が長くなり、生産性が低下する虞がある。
【0040】
バッファ層102は、基板101とIII族窒化物半導体層103との格子定数の違いを緩和し、基板101の(0001)C面上にC軸配向した単結晶層の形成を容易にする働きがある。したがって、バッファ層102の上に単結晶のIII族窒化物半導体層103を積層すると、より一層結晶性の良いIII族窒化物半導体層103が積層できる。なお、本発明においては、バッファ層形成工程を行なうことが好ましいが、行なわなくても良い。
【0041】
バッファ層102は、III族窒化物半導体からなる六方晶系の結晶構造を持つものである。バッファ層102をなすIII族窒化物半導体の結晶は、単結晶構造を有するものであることが好ましい。III族窒化物半導体の結晶は、成長条件を制御することにより、上方向だけでなく、面内方向にも成長して単結晶構造を形成する。このため、バッファ層102の成膜条件を制御することにより、単結晶構造のIII族窒化物半導体の結晶からなるバッファ層102とすることができる。このような単結晶構造を有するバッファ層102を基板101上に成膜した場合、バッファ層102のバッファ機能が有効に作用するため、その上に成膜されたIII族窒化物半導体は良好な配向性及び結晶性を有する結晶膜となる。
【0042】
また、バッファ層102をなすIII族窒化物半導体の結晶は、成膜条件をコントロールすることにより、六角柱を基本とした集合組織からなる柱状結晶(多結晶)とすることも可能である。なお、ここでの集合組織からなる柱状結晶とは、隣接する結晶粒との間に結晶粒界を形成して隔てられており、それ自体は縦断面形状として柱状になっている結晶のことをいう。
【0043】
バッファ層102を基板101の上面10上に形成する場合、基板101に前処理を施してからバッファ層102を形成することが望ましい。
前処理としては、例えば、スパッタ装置のチャンバ内に基板101を配置し、バッファ層102を形成する前にスパッタするなどの方法によって行うことができる。具体的には、チャンバ内において、基板101をArやNのプラズマ中に曝す事によって上面10を洗浄する前処理を行なうことができる。ArガスやNガスなどのプラズマを基板101の上面10に作用させることで、基板101の上面10に付着した有機物や酸化物を除去することができる。この場合、ターゲットにパワーを印加せずに、基板101とチャンバとの間に電圧を印加すれば、プラズマ粒子が効率的に基板101に作用する。
【0044】
また、基板101への前処理は、N、(Nなどのイオン成分と、Nラジカル、Nラジカルなどの電荷を持たないラジカル成分とが混合された雰囲気で行なわれるプラズマ処理で行なうことが好ましい。
ここで、基板の表面から有機物や酸化物等のコンタミを除去する際、例えば、イオン成分等を単独で基板表面に供給した場合には、エネルギーが強すぎて基板表面にダメージを与えてしまい、基板上に成長させる結晶の品質を低下させてしまうという問題がある。
本実施形態においては、基板101への前処理を、上述のようなイオン成分とラジカル成分とが混合された雰囲気で行なわれるプラズマ処理を用いた方法とし、基板101に適度なエネルギーを持つ反応種を作用させることにより、基板101表面にダメージを与えずにコンタミ等の除去を行なうことが可能となる。このような効果が得られるメカニズムとしては、イオン成分の割合が少ないプラズマを用いることで基板101表面に与えるダメージが抑制されることと、基板101表面にプラズマを作用させることによって効果的にコンタミを除去できること等が考えられる。
【0045】
基板101に前処理を行なった後、基板101上に、スパッタ法によってバッファ層102を成膜する。スパッタ法によって、単結晶構造を有するバッファ層102を形成する場合、チャンバ内の窒素原料と不活性ガスの流量に対する窒素流量の比を、窒素原料が50%〜100%、望ましくは75%となるようにすることが望ましい。
また、スパッタ法によって、柱状結晶(多結晶)有するバッファ層102を形成する場合、チャンバ内の窒素原料と不活性ガスの流量に対する窒素流量の比を、窒素原料が1%〜50%、望ましくは25%となるようにすることが望ましい。
【0046】
バッファ層102は、上述したスパッタ法だけでなく、MOCVD法で形成することが出来るが、基板101の上面10に凸部12が形成されているため、MOCVD法でバッファ層を形成すると上面10で原料ガスの流れが乱れてしまう。このため、MOCVD法で基板101の上面10に均一にバッファ層102を積層することは困難である。これに対し、スパッタ法は、原料粒子の直進性が高いので、上面10の形状に影響を受けずに均一なバッファ層102を積層することが可能である。従って、バッファ層102はスパッタ法で形成されることが好ましい。
【0047】
(エピ工程)
本実施形態では、バッファ層形成工程の後、バッファ層102の形成された基板101の上面10上に、単結晶のIII族窒化物半導体層103をエピタキシャル成長させて、凸部12をIII族窒化物半導体層103で埋めるエピ工程を行なう。
III族窒化物半導体層103としては、AlGaInN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z=1)が挙げられるが、AlGa1−xN(0≦x<1)を用いると結晶性の良いIII族窒化物半導体103を形成できるため好ましい。
【0048】
III族窒化物半導体層103の最大厚さHは、凸部12の高さhの2倍以上とすると、表面103aの平坦なIII族窒化物半導体層103が得られるため好ましい。III族窒化物半導体層103の最大厚さHが凸部12の高さhの2倍より小さいと、凸部12を埋め込んで成長したIII族窒化物半導体層103の表面103aの平坦性が不十分となり、III族窒化物半導体層103上にLED構造を積層した場合にLED構造を構成する結晶の結晶性が悪くなる場合がある。
【0049】
III族窒化物半導体層103の結晶性を良くするためには、III族窒化物半導体層103は不純物をドーピングしない方が望ましい。しかし、p型あるいはn型の導電性が必要な場合は、アクセプター不純物あるいはドナー不純物を添加することが出来る。
【0050】
例えば、サファイア基板の表面に単結晶のIII族窒化物半導体層をエピタキシャル成長する場合、C面からはC軸方向に配向した単結晶がエピタキシャル成長しやすく、C面以外の表面上からは単結晶のエピタキシャル成長が生じにくい傾向がある。また、MOCVD法を用いてサファイア基板の表面に単結晶のIII族窒化物半導体層を成長させると、C面からは単結晶層がエピタキシャル成長するが、C面以外の表面上には単結晶層がエピタキシャル成長しない。したがって、III族窒化物半導体層103の成長は、MOCVD法により行なうことが好ましい。本実施形態において、バッファ層102の形成された基板101の上面10上に、MOCVD法により単結晶のIII族窒化物半導体層103をエピタキシャル成長させると、C面に非平行の表面12cからなる凸部12の表面12cからは結晶が成長せず、(0001)C面からなる平面11からのみC軸方向に配向した結晶がエピタキシャル成長する。
【0051】
III族窒化物半導体層103をMOCVD法で積層する場合、キャリアガスとして水素(H)または窒素(N)、III族原料であるGa源としてトリメチルガリウム(TMG)またはトリエチルガリウム(TEG)、Al源としてトリメチルアルミニウム(TMA)またはトリエチルアルミニウム(TEA)、In源としてトリメチルインジウム(TMI)またはトリエチルインジウム(TEI)、V族原料であるN源としてアンモニア(NH)、ヒドラジン(N)などが用いられる。また、ドーパントとしては、n型にはSi原料としてモノシラン(SiH)またはジシラン(Si)を、Ge原料としてゲルマンガス(GeH)や、テトラメチルゲルマニウム((CHGe)やテトラエチルゲルマニウム((CGe)等の有機ゲルマニウム化合物を、p型にはMg原料としてシクロペンタジエニルマグネシウム(CpMg)を利用できる。
【0052】
また、凸部12の形成された基板101は、凸部12の形成されていない基板と比較して、上面10にIII族窒化物半導体層103をMOCVD法でエピタキシャル成長した場合に、平坦性の良好なIII族窒化物半導体層103を積層することが困難である。また、凸部12の形成された基板101の上面10に積層されたIII族窒化物半導体層103は、結晶性を悪化させるC軸方向の傾き(チルト)やC軸のねじれ(ツイスト)等が生じやすい。
このため、凸部12の形成された基板101の上面10にIII族窒化物半導体層103をMOCVD法でエピタキシャル成長させる場合、十分な表面平坦性や良好な結晶性を得るために、以下に示す成長条件とすることが望ましい。
【0053】
(成長条件)
凸部12の形成された基板101の上面10にIII族窒化物半導体層103をMOCVD法でエピタキシャル成長させる場合、成長圧力および成長温度を以下に示す条件とすることが好ましい。成長圧力を低くし成長温度を高くすると、横方向の結晶成長が促進され、成長圧力を高くし成長温度を低くすると、ファセット成長モード(△形状)になる。また、成長初期の成長圧力を高くすると、X線ロッキングカーブの半値幅(XRC−FWHM)が小さくなり、結晶性が向上する傾向がある。
【0054】
したがって、凸部12の形成された基板101の上面10にIII族窒化物半導体層103をMOCVD法でエピタキシャル成長させる場合、III族窒化物半導体層103の膜厚が2μm程度以上になるまで(前半)と、III族窒化物半導体層103を2μm程度以上積層した後(後半)とで成長圧力を2段階に変化させることが好ましい。
前半は、成長圧力を40kPa以上とすることが好ましく、60kPa程度とすることがより好ましい。成長圧力を40kPa以上とすると、ファセット成長モード(△形状)になり、転位が横方向に屈曲し、エピ表面に貫通しない。このため、成長圧力を高くすると、低転位化され、結晶性が良好となると推定される。また、成長圧力を40kPa未満とすると、結晶性が悪化し、X線ロッキングカーブの半値幅(XRC−FWHM)が大きくなるため好ましくない。
【0055】
しかし、成長圧力を40kPa以上とすると、エピタキシャル成長させたIII族窒化物半導体層103の表面にピットが発生しやすくなり、十分な表面平坦性が得られない場合がある。このため、成長圧力を40kPa以上とする場合、成長温度を1140℃以下とすることが好ましく、1120℃程度とすることがより好ましい。成長温度を1140℃以下とすることで、成長圧力を40kPa以上、好ましくは60kPa程度とした場合であっても、ピットの発生を十分に抑制できる。
【0056】
また、後半は、成長圧力を40kPa以下とすることが好ましく、20kPa程度とすることがより好ましい。後半に成長圧力を40kPa以下とすることで、横方向の結晶成長を促進することができ、表面平坦性に優れたIII族窒化物半導体層103が得られる。
【0057】
以上の工程により、図1に示す積層構造が得られる。
本実施形態のIII族窒化物半導体層の製造方法では、C面からなる平面11と、C面に非平行の表面12cからなる複数の凸部12とからなる上面10を形成する基板加工工程と、上面10上に凸部12を埋めるIII族窒化物半導体層103を成長させるエピ工程とを備えるので、III族窒化物半導体層103の結晶中に転位などの結晶欠陥が生じにくく、良好な結晶性を有するIII族窒化物半導体層103が形成できる。
【0058】
ここで、例えば、凸部の表面にC面が存在する場合、凸部の形成された基板上に単結晶のIII族窒化物半導体層をエピタキシャル成長させると、凸部の表面に存在するC面と、凸部の形成されていない領域のC面とから結晶が成長することになる。この場合、凸部の表面から成長した結晶と、凸部の形成されていない領域から成長した結晶とが合体した部分に転位などの結晶欠陥が発生しやすく、結晶性の良好なIII族窒化物半導体層が得られにくい。ここで生じた結晶欠陥は、III族窒化物半導体層の上に、n型層、発光層、p型層からなるLED構造を形成した場合、LED構造を構成する半導体層の結晶に引き継がれ、発光素子を形成した場合における内部量子効率の低下やリーク電流の増大の原因となる。
【0059】
しかし、本実施形態では、基板101上にC面に非平行の表面12cからなる凸部12を形成することにより、C面からなる平面11と凸部12とからなる上面10を形成するので、基板101の上面10にIII族窒化物半導体層103のエピタキシャル成長を行った場合、平面11からのみ結晶が成長することになる。従って、基板101の上面10に形成されるIII族窒化物半導体層103は、上面10上に凸部12を埋め込んでエピタキシャル成長し、結晶中に転位などの結晶欠陥を生じない。
【0060】
従って、本実施形態の製造方法により得られたIII族窒化物半導体層103の上に、III族窒化物半導体からなるn型層、発光層、p型層からなるLED構造を形成した場合、LED構造を構成する結晶の結晶性が良好となり、発光素子を形成した場合に、内部量子効率に優れ、リークの少ないものとなる。しかも、本実施形態では、基板101上に凸部12を形成するので、基板101とIII族窒化物半導体層との界面が凹凸とされることになり、図1に示す積層構造は、界面での光の乱反射により優れた光取り出し効率が得られる発光素子を実現可能なものとなる。
【0061】
[III族窒化物半導体発光素子]
図3は、本発明のIII族窒化物半導体発光素子の一例を示した断面図である。図3に示すIII族窒化物半導体発光素子(以下、発光素子と略称することがある)1は、図1に示す積層構造のIII族窒化物半導体層103上にLED構造20が形成されてなるものである。また、図3において、符号107は正極ボンディングパッドを示し、符号108は負極ボンディングパッドを示している。また、図4は、図3に示す発光素子1の内、n型層104、発光層105及びp型層106を示す部分拡大断面図である。
【0062】
本実施形態のIII族窒化物半導体発光素子1は、図3に示す例のように、一面電極型のものであり、上述したような基板101上に、中間層102と、III族元素としてGaを含有するIII族窒化物半導体からなるLED構造(III族窒化物半導体層)20とが形成されているものである。LED構造20は、図3に示すように、n型半導体層104、発光層105及びp型半導体層106の各層がこの順で積層されてなるものである。
【0063】
(LED構造)
LED構造20は、III族窒化物半導体から各々なるn型層104と発光層105とp型層106とを有する。LED構造20は、MOCVD法で形成すると結晶性の良いものが得られる。
n型層104は、通常nコンタクト層104aとnクラッド層104bとから構成される。nコンタクト層104aはnクラッド層104bを兼ねることも可能である。
【0064】
nコンタクト層104aは、負極を設けるための層である。nコンタクト層104aとしては、AlGa1−xN層(0≦x<1、好ましくは0≦x≦0.5、さらに好ましくは0≦x≦0.1)から構成されることが好ましい。また、nコンタクト層104aにはn型不純物がドープされていることが好ましく、n型不純物を1×1017〜1×1020/cm、好ましくは1×1018〜1×1019/cmの濃度で含有すると、負極との良好なオーミック接触の維持の点で好ましい。n型不純物としては、特に限定されないが、例えば、Si、GeおよびSn等が挙げられ、好ましくはSiおよびGeが挙げられる。
【0065】
nコンタクト層104aの膜厚は、0.5〜5μmとされることが好ましく、1〜3μmの範囲に設定することがより好ましい。nコンタクト層104aの膜厚が上記範囲にあると、半導体の結晶性が良好に維持される。
【0066】
nコンタクト層104aと発光層105との間には、nクラッド層104bを設けることが好ましい。nクラッド層104bは、発光層105へのキャリアの注入とキャリアの閉じ込めを行なう層である。nクラッド層104bはAlGaN、GaN、GaInNなどで形成することが可能である。また、これらの構造のヘテロ接合や複数回積層した超格子構造としてもよい。nクラッド層104bをGaInNで形成する場合には、発光層105のGaInNのバンドギャップよりも大きくすることが望ましいことは言うまでもない。
【0067】
nクラッド層104bの膜厚は、特に限定されないが、好ましくは0.005〜0.5μmであり、より好ましくは0.005〜0.1μmである。nクラッド層104bのn型ドープ濃度は1×1017〜1×1020/cmが好ましく、より好ましくは1×1018〜1×1019/cmである。ドープ濃度がこの範囲であると、良好な結晶性の維持および素子の動作電圧低減の点で好ましい。
【0068】
なお、nクラッド層104bを、超格子構造を含む層とする場合には、詳細な図示を省略するが、100オングストローム以下の膜厚を有したIII族窒化物半導体からなるn側第1層と、該n側第1層と組成が異なるとともに100オングストローム以下の膜厚を有したIII族窒化物半導体からなるn側第2層とが積層された構造を含むものであっても良い。また、nクラッド層104bは、n側第1層とn側第2層とが交互に繰返し積層された構造を含んだものであってもよい。また、好ましくは、前記n側第1層又はn側第2層の何れかが、活性層(発光層15)に接する構成とすれば良い。
【0069】
上述のようなn側第1層及びn側第2層は、例えばAlを含むAlGaN系(単にAlGaNと記載することがある)、Inを含むGaInN系(単にGaInNと記載することがある)、GaNの組成とすることができる。また、n側第1層及びn側第2層は、GaInN/GaNの交互構造、AlGaN/GaNの交互構造、GaInN/AlGaNの交互構造、組成の異なるGaInN/GaInNの交互構造(本発明における“組成の異なる”との説明は、各元素組成比が異なることを指し、以下同様である)、組成の異なるAlGaN/AlGaNの交互構造であってもよい。本発明においては、n側第1層及びn側第2層は、GaInN/GaNの交互構造又は組成の異なるGaInN/GaInNであることが好ましい。
【0070】
上記n側第1層及びn側第2層の超格子層は、それぞれ60オングストローム以下であることが好ましく、それぞれ40オングストローム以下であることがより好ましく、それぞれ10オンストローム〜40オングストロームの範囲であることが最も好ましい。超格子層を形成するn側第1層とn側第2層の膜厚が100オングストローム超だと、結晶欠陥が入りやすく好ましくない。
【0071】
上記n側第1層及びn側第2層は、それぞれドープした構造であってもよく、また、ドープ構造/未ドープ構造の組み合わせであってもよい。ドープされる不純物としては、上記材料組成に対して従来公知のものを、何ら制限無く適用できる。例えば、nクラッド層として、GaInN/GaNの交互構造又は組成の異なるGaInN/GaInNの交互構造のものを用いた場合には、不純物としてSiが好適である。また、上述のようなn側超格子多層膜は、GaInNやAlGaN、GaNで代表される組成が同じであっても、ドーピングを適宜ON、OFFしながら作製してもよい。
【0072】
n型層104の上に積層される発光層105としては、単一量子井戸構造あるいは多重量子井戸構造などの発光層105がある。図4に示すような、量子井戸構造の井戸層105bとしては、Ga1−yInN(0<y<0.4)からなるIII族窒化物半導体層が通常用いられる。井戸層105bの膜厚としては、量子効果の得られる程度の膜厚、例えば1〜10nmとすることができ、好ましくは2〜6nmとすると発光出力の点で好ましい。
また、多重量子井戸構造の発光層105の場合は、上記Ga1−yInNを井戸層105bとし、井戸層105bよりバンドギャップエネルギーが大きいAlGa1−xN(0≦z<0.3)を障壁層105aとする。井戸層105bおよび障壁層105aには、設計により不純物をドープしてもしなくてもよい。
【0073】
p型層106は、通常、pクラッド層106aおよびpコンタクト層106bから構成される。また、pコンタクト層106bがpクラッド層106aを兼ねることも可能である。
【0074】
pクラッド層106aは、発光層105へのキャリアの閉じ込めとキャリアの注入を行なう層である。pクラッド層106aとしては、発光層105のバンドギャップエネルギーより大きくなる組成であり、発光層105へのキャリアの閉じ込めができるものであれば特に限定されないが、好ましくは、AlGa1−xN(0<x≦0.4)のものが挙げられる。pクラッド層106aが、このようなAlGaNからなると、発光層へのキャリアの閉じ込めの点で好ましい。pクラッド層106aの膜厚は、特に限定されないが、好ましくは1〜400nmであり、より好ましくは5〜100nmである。pクラッド層106aのp型ドープ濃度は、1×1018〜1×1021/cmが好ましく、より好ましくは1×1019〜1×1020/cmである。p型ドープ濃度が上記範囲であると、結晶性を低下させることなく良好なp型結晶が得られる。
また、pクラッド層106aは、複数回積層した超格子構造としてもよい。
【0075】
なお、pクラッド層106aを、超格子構造を含む層とする場合には、詳細な図示を省略するが、100オングストローム以下の膜厚を有したIII族窒化物半導体からなるp側第1層と、該p側第1層と組成が異なるとともに100オングストローム以下の膜厚を有したIII族窒化物半導体からなるp側第2層とが積層された構造を含むものであっても良い。また、p側第1層とp側第2層とが交互に繰返し積層された構造を含んだものであっても良い。
【0076】
上述のようなp側第1層及びp側第2層は、それぞれ異なる組成、例えば、AlGaN、GaInN又はGaNの内の何れの組成であっても良い、また、GaInN/GaNの交互構造、AlGaN/GaNの交互構造、又はGaInN/AlGaNの交互構造であっても良い。本発明においては、p側第1層及びp側第2層は、AlGaN/AlGaN又はAlGaN/GaNの交互構造であることが好ましい。
【0077】
上記p側第1層及びp側第2層の超格子層は、それぞれ60オングストローム以下であることが好ましく、それぞれ40オングストローム以下であることがより好ましく、それぞれ10オングストローム〜40オングストロームの範囲であることが最も好ましい。超格子層を形成するp側第1層とp側第2層の膜厚が100オングストローム超だと、結晶欠陥等を多く含む層となり、好ましくない。
【0078】
上記p側第1層及びp側第2層は、それぞれドープした構造であっても良く、また、ドープ構造/未ドープ構造の組み合わせであっても良い。ドープされる不純物としては、上記材料組成に対して従来公知のものを、何ら制限無く適用できる。例えば、pクラッド層として、AlGaN/GaNの交互構造又は組成の異なるAlGaN/AlGaNの交互構造のものを用いた場合には、不純物としてMgが好適である。また、上述のようなp側超格子多層膜は、GaInNやAlGaN、GaNで代表される組成が同じであっても、ドーピングを適宜ON、OFFしながら作製してもよい。
【0079】
pコンタクト層106bは、正極を設けるための層である。pコンタクト層106bは、AlGa1−xN(0≦x≦0.4)が好ましい。Al組成が上記範囲であると、良好な結晶性の維持およびpオーミック電極との良好なオーミック接触の点で好ましい。p型不純物(ドーパント)を1×1018〜1×1021/cmの濃度、好ましくは5×1019〜5×1020/cmの濃度で含有していると、良好なオーミック接触の維持、クラック発生の防止、良好な結晶性の維持の点で好ましい。p型不純物としては、特に限定されないが、例えば好ましくはMgが挙げられる。pコンタクト層106bの膜厚は、特に限定されないが、0.01〜0.5μmが好ましく、より好ましくは0.05〜0.2μmである。pコンタクト層106bの膜厚がこの範囲であると、発光出力の点で好ましい。
【0080】
(電極)
正極ボンディングパッド107は、p型層106と接する透光性導電酸化膜層からなる透光性正極109上の一部に設けられている。
透光性正極109は、ITO(In−SnO)、AZnO(ZnO−Al)、IZnO(In−ZnO)、GZO(ZnO−Ga)から選ばれる少なくとも一種類を含んだ材料を、この技術分野でよく知られた慣用の手段で設けることができる。また、透光性正極109の構造も、従来公知の構造を含めて如何なる構造のものも何ら制限なく用いることができる。また、透光性正極109は、p型層106上のほぼ全面を覆うように形成しても構わないし、隙間を開けて格子状や樹形状に形成しても良い。透光性正極109を形成した後に、合金化や透明化を目的とした熱アニールを施す場合もあるが、施さなくても構わない。
【0081】
正極ボンディングパッド107は、回路基板やリードフレーム等との電気接続のために設けられる。正極ボンディングパッドとしては、Au、Al、NiおよびCu等を用いた各種構造が周知であり、これら周知の材料、構造を何ら制限無く用いることができる。
【0082】
正極ボンディングパッド107の厚さは、100〜1000nmの範囲内であることが好ましい。また、ボンディングパッドの特性上、厚さが大きい方が、ボンダビリティーが高くなるため、正極ボンディングパッド107の厚さは300nm以上とすることがより好ましい。また、正極ボンディングパッド107の厚さは製造コストの観点から500nm以下とすることがより好ましい。
【0083】
負極ボンディングパッド108は、LED構造20のn型層104に接するように形成される。このため、負極ボンディングパッド108を形成する際には、発光層105およびp型層106の一部を除去してn型層104のnコンタクト層を露出させ、この上に負極ボンディングパッド108を形成する。
【0084】
負極ボンディングパッド108としては、各種組成や構造が周知であり、これら周知の組成や構造を何ら制限無く用いることができ、この技術分野でよく知られた慣用の手段で設けることができる。
【0085】
図3に示すIII族窒化物半導体発光素子1は、本発明の製造方法によって製造されたIII族窒化物半導体層103上にLED構造20が形成されているものであるので、基板101とIII族窒化物半導体層との界面が凹凸とされており、界面での光の乱反射により優れた光取り出し効率が得られる。しかも、図3に示すIII族窒化物半導体発光素子1は、上述したように、LED構造20を構成するIII族窒化物半導体からなるn型層104、発光層105、p型層106の結晶性に優れたものとなるので、内部量子効率の低下を防ぎリーク電流を低減することができ、出力が高く電気特性に優れたものとなる。
【0086】
(ランプ)
本発明のランプは、本発明のIII族窒化物半導体発光素子が用いられてなるものである。
本発明のランプとしては、例えば、本発明のIII族窒化物半導体発光素子と蛍光体とを組み合わせてなるものを挙げることができる。III族窒化物半導体発光素子と蛍光体とを組み合わせたランプは、当業者周知の手段によって当業者周知の構成とすることができる。また、従来より、III族窒化物半導体発光素子と蛍光体と組み合わせることによって発光色を変える技術が知られており、本発明のランプにおいてもこのような技術を何ら制限されることなく採用することが可能である。
【0087】
図5は、本発明に係るIII族窒化物半導体発光素子を用いて構成したランプの一例を模式的に示した概略図である。図5に示すランプ3は、砲弾型のものであり、図3に示すIII族窒化物半導体発光素子1が用いられている。図5に示すように、III族窒化物半導体発光素子1の正極ボンディングパッド107がワイヤー33で2本のフレーム31、32の内の一方(図5ではフレーム31)に接着され、発光素子1の負極ボンディングパッド108がワイヤー34で他方のフレーム32に接合されることにより、III族窒化物半導体発光素子1が実装されている。また、III族窒化物半導体発光素子1の周辺は、透明な樹脂からなるモールド35で封止されている。
【0088】
本発明のランプは、本発明のIII族窒化物半導体発光素子1が用いられてなるものであるので、優れた発光特性を備えたものとなる。
なお、本発明のランプは、一般用途の砲弾型、携帯のバックライト用途のサイドビュー型、表示器に用いられるトップビュー型等いかなる用途にも用いることができる。
【実施例】
【0089】
次に、本発明を、実施例および比較例を示してより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
[実施例1]
サファイア基板の(0001)C面上に、表1に示す「基部幅」「高さ」「基部幅/4」「隣接する凸部間の間隔」「凸部表面C面の有無」の複数の凸部を、以下に示すようにして形成した(基板加工工程)。すなわち、直径2インチのC面サファイア基板に公知のフォトリソグラフィー法でマスクを形成し、ドライエッチング法でサファイア基板をエッチングすることにより凸部を形成した。なお、露光法として、紫外光を用いたステッパー露光法を用いた。また、ドライエッチングにはBClとClの混合ガスを用いた。
【0090】
【表1】

【0091】
このようにして得られた実施例1の凸部は、基部の平面形状が円形で上部に向かって徐々に外形が小さくなる形状であり、側面が外側に向かって湾曲したお椀状(半球状)の形状であった。
【0092】
[比較例1、比較例2]
露光時のマスクをそれぞれ異ならせたこと以外は実施例1と同様にして、比較例1および比較例2の凸部を形成した。
得られた比較例1の凸部は、基部の平面形状が円形、断面形状が台形であった。また、比較例2は、凸部の形状は実施例1と同じであるが「隣接する凸部間の間隔」が実施例1と異なっていた。
【0093】
[比較例3]
ウェットエッチング法を用いてエッチングしたこと以外は実施例1と同様にして、比較例3の凸部を形成した。得られた比較例3の凸部は、基部の平面形状が円形、断面形状が台形であった。
【0094】
その後、以下に示すように、実施例1、比較例1〜比較例3の複数の凸部の形成された基板の上面に、RFスパッタ法を用いて単結晶構造を有するAlNからなる厚さ50nmバッファ層を形成した(バッファ層形成工程)。
スパッタ成膜装置としては、高周波式の電源を持ち、ターゲット内でマグネットの位置を動かすことができる機構を持っているものを使用した。まず、複数の凸部の形成された基板をスパッタ成膜装置のチャンバ内へ導入して500℃まで加熱し、チャンバ内に窒素ガスだけを15sccmの流量で導入した後、チャンバ内の圧力を1Paに保持して、基板側に500Wの高周波バイアスを印加して基板を窒素プラズマに曝すことで、基板の表面を洗浄した(前処理)。
【0095】
続いて、チャンバ内にアルゴンおよび窒素ガスを導入し、基板の温度を500℃に保ったまま、2000Wの高周波バイアスを金属Alターゲット側に印加し、チャンバ内の圧力を0.5Paに保ち、Arガスを5sccm、窒素ガスを15sccm流通させた条件(ガス全体に対する窒素の比は75%)で、複数の凸部の形成された基板上にAlNからなるバッファ層を成膜した。成長レートは0.08nm/sであった。なお、ターゲット内のマグネットは、基板洗浄の際もバッファ層成膜の際も揺動させておいた。そして、予め測定した成膜速度に従って規定した時間の間成膜を行い、50nmのAlN層からなるバッファ層を複数の凸部の形成された基板上に堆積した後、プラズマを立てるのを止め、基板温度を低下させた。
【0096】
このようにして得られたバッファ層上に、以下に示す減圧MOCVD法を用いてIII族窒化物半導体層をエピタキシャル成長させた(エピ工程)。
まず、スパッタ成膜装置から取り出したバッファ層まで形成された基板を、MOCVD法によるIII族窒化物半導体層の成長のための反応炉内に導入し、高周波(RF)誘導加熱式ヒータで成膜温度に加熱される半導体用高純度グラファイト製のサセプタ(susceptor)上に載置した。その後、ステンレス鋼製の気相成長反応炉内に窒素ガスを流通し、反応炉内をパージした。
【0097】
そして、気相成長反応炉内に窒素ガスを8分間に亘って流通させた後、誘導加熱式ヒータを作動させてサファイア基板の温度を約10分間で室温から500℃に昇温した。その後、基板の温度を500℃にて、NHガスおよび窒素ガスを反応炉内に流通させた。気相成長反応炉内の圧力を95kPaとした。続いて、基板の温度を約10分間かけて1000℃まで昇温させ、この温度及び圧力下で10分間放置して、基板の表面をサーマルクリーニング(thermal cleaning)した。サーマルクリーニングの終了後、気相成長反応炉内への窒素ガスの供給は継続させた。
【0098】
その後、アンモニアガスの流通を続けながら水素雰囲気中で、基板の温度を1120℃に昇温させた。反応炉内の圧力を60kPaとした。基板温度が1120℃で安定したのを確認した後、トリメチルガリウム(TMG)の気相成長反応炉内への供給を開始し、AlNバッファ層上にアンドープのGaN層を3μmの膜厚までエピタキシャル成長させた。このとき、アンモニアの量はV族(N)/III族(Ga)比が600となるように調節した。そして、3μmのGaN層からなるIII族窒化物半導体層を成長後、反応炉への原料の供給を停止し、基板の温度を低下させた。
【0099】
その後、反応炉からGaN層の形成された基板を取り出し、GaN層の表面の平坦性を観察した。また、GaN層のX線ロッキングカーブの半値幅(XRC−FWHM)を測定した。GaN層の平坦性およびXRCの半値幅(XRC−FWHM)の結果を表1に示す。
【0100】
表1に示すように、比較例1では、凸部の表面にC面があるので、実施例1と比較して結晶性が悪かった(XRC−FWHMが(0002)面で150arcsec以上、(10−10)面で200arcsec以上)。また、比較例1では、「隣接する凸部間の間隔」が基部幅の0.5倍未満であるので、実施例1と比較して、表面の平坦性も悪かった(△)。
また、比較例2では、実施例1よりもよくないが、実施例1と同様に凸部の表面にC面がないため結晶性は悪くない(XRC−FWHMが(0002)面で100arcsec以下、(10−10)面で200arcsec以下)。しかし、比較例2では、「隣接する凸部間の間隔」が基部幅の0.5倍より小さいので、実施例1と比較して表面の平坦性が悪い(△)。
また、比較例3では、「隣接する凸部間の間隔」が基部幅の0.5倍以上であるので、表面の平坦性が良い(○)。しかし、比較例3では、凸部の表面にC面があるので、実施例1と比較して結晶性が悪い(XRC−FWHMが(0002)面で150arcsec以上(10−10)面で200arcsec以上)。
【0101】
これに対し、実施例1では、「隣接する凸部間の間隔」が基部幅の0.5倍以上であるので、表面の平坦性が良い(○)。また、実施例1では、凸部の表面にC面がないため結晶性がよい(XRC−FWHMが(0002)面で100arcsec以下、(10−10)面で200arcsec以下)。
【0102】
[実施例2、比較例4]
実施例1、比較例3と同様の方法で作製したIII族窒化物半導体層上に、以下に示す方法でLED構造のn型層、発光層、p型層となる各層を積層した。
(n型層)
n型層として、nコンタクト層とnクラッド層を形成した。まず、実施例1、比較例3と同様の方法でIII族窒化物半導体層を成長させた後、V族(N)/III族(Ga)比が450になるようにアンモニアの量を調整し、III族窒化物半導体層の上にアンドープのGaN層を1μm成長させ、続いて同じ条件下で、ドーパントガスであるモノシラン(SiH4)ガスを用いて2μmのn型GaN層からなるnコンタクト層を形成した。Siのドープ量は5×1018/cm3とした。nコンタクト層を成長させた後、TMGのバルブを閉めて、TMGの反応炉内への供給を停止した。
【0103】
nコンタクト層を成長させた後、アンモニアをそのまま流通させながら、キャリアガスをオール水素ガスからオール窒素へと切り替えた。次いで、基板の温度を1100℃から760℃へと低下させ、反応炉内の温度の変更を待つ間に、SiH4の供給量を設定した。反応炉内に流通させるSiH4の量は、事前に検討してあり、SiドープGaInNクラッド層の電子濃度が1×1018cm-3となるように調整した。アンモニアはそのままの流量で反応炉内へ供給し続けた。
【0104】
その後、反応炉内の状態が安定するのを待って、TMIとTEGとSiH4のバルブを同時に切り替え、これらの原料の反応炉内への供給を開始した。所定の時間だけ反応炉内への供給を継続し、20nmの膜厚を有するSiドープGa0.99In0.01Nからなるnクラッド層を形成した。その後、TMI、TEGおよびSiH4のバルブを切り替えて、これらの原料の供給を停止した。
【0105】
(発光層)
発光層として、障壁層と井戸層とからなる多重量子井戸構造を形成した。まず、nクラッド層を形成した後の反応炉内へのSiH4の供給量の設定を変更した。反応炉内に流通させるSiH4の量は事前に検討してあり、SiドープGaN層からなる障壁層の電子濃度が3×1017cm-3となるように調整した。そして、基板温度を750℃とし、TEGとSiH4の反応炉内への供給を開始し、所定の時間SiをドープしたGaN層からなる薄層の障壁層Aを形成し、TEGとSiH4の供給を停止した。
【0106】
その後、成長を中断した状態でサセプタの温度を920℃に昇温した。温度が安定した後、基板温度や反応炉内の圧力、アンモニアガスおよびキャリアガスの流量や種類はそのままで、TEGとSiH4のバルブを切り替えてTEGとSiH4の反応炉内への供給を再開し、基板温度930℃にて規定の時間のSiドープGaN層からなる障壁層Bの成長を行った。障壁層Bの成長後、TEGとSiH4の反応炉内への供給を停止した。
続いて、サセプタ温度を750℃に下げ、TEGとSiH4の反応炉内への供給を開始し、SiドープGaN層からなる障壁層Cの成長を行った。その後、再びバルブを切り替えてTEGとSiH4の反応炉内への供給を停止して障壁層Cの成長を終了した。これにより、障壁層A、障壁層Bおよび障壁層Cからなる3層構造の総膜厚20nmのSiドープGaN層からなる障壁層を形成した。
【0107】
障壁層の成長終了後、30秒間に渡ってTEGとSiH4の供給を停止し、TEGの供給量の設定を事前に検討した流量に変更した後、基板温度や反応炉内の圧力、アンモニアガスおよびキャリアガスの流量や種類はそのままで、TEGとTMIのバルブを切り替えてTEGとTMIの反応炉内への供給を行ない、井戸層の形成を行なった。あらかじめ決めた時間の間TEGとTMIの供給を行なった後、再びバルブを切り替えてTEGとTMIの供給を停止してGa0.93In0.07Nからなる井戸層の成長を終了した。このようにして、井戸層として3nmの膜厚を成すGa0.93In0.07N層が形成された。井戸層の成長終了後、TEGの供給量の設定を変更した。引き続いて、TEGおよびSiH4の供給を再開し、2層目の障壁層の形成に入った。
【0108】
このような手順を5回繰り返し、5層のSiドープGaN層からなる障壁層と5層のGa0.93In0.07Nからなる井戸層とを形成した。これらの井戸層、障壁層の作製工程において、750℃にて障壁層Aを形成した後、障壁層Bを形成するため920℃へ昇温する工程では、III族原料の供給を停止することによって半導体層の成長を中断した。
【0109】
そして、5層目の井戸層を形成した後、引き続いて6層目の障壁層の形成を行なった。6層目の障壁層の形成においては、SiH4の反応炉内への供給を再開し、SiドープGaNからなる薄層の障壁層Aを形成した後、TEGとSiH4の反応炉内への供給を続けたまま、基板温度を930℃に昇温し、そのまま基板温度920℃にて規定の時間障壁層Bの成長を行ない、障壁層Bを成長後、TEGとSiH4の炉内供給を停止した。続いて基板温度を750℃に下げ、TEGとSiH4の供給を開始し、障壁層Cの成長を行った後、再びバルブを切り替えてTEGとSiH4の供給を停止してGaN障壁層の成長を終了した。これにより、障壁層A、障壁層Bおよび障壁層Cからなる3層構造の総膜厚20nmのSiドープGaN層からなる障壁層を形成した。
【0110】
以上の手順にて、厚さが不均一な井戸層(1〜4層目)と厚さが均一な井戸層(5層目)を含んだ多重量子井戸構造の発光層を形成した。
【0111】
(p型層)
このようにして得られたSiドープGaNからなる障壁層で終了する発光層上に、pクラッド層とpコンタクト層とからなるp型層を形成した。
まず、発光層上にMgドープのp型Al0.08Ga0.92Nからなるpクラッド層を形成した。 発光層を構成するSiドープGaNからなる障壁層の成長が終了した後、基板の温度を1050℃へ昇温し、キャリアガスの種類を水素に切り替え、反応炉内の圧力を15kPaに変更した。反応炉内の圧力が安定するのを待って、TMGとTMAとCp2Mgのバルブを切り替え、これらの原料の反応炉内への供給を開始した。その後、約3分間に渡ってMgドープのp型Al0.08Ga0.92Nからなるpクラッド層の成長を行ない、TMGとTMAとCp2Mgの供給を停止した。これにより、12nmの膜厚を有するMgドープのp型Al0.08Ga0.92Nからなるpクラッド層を形成した。
【0112】
次いで、このpクラッド層上にpコンタクト層を形成した。すなわち、pクラッド層の成長が終了した後、キャリアガスと炉内の圧力はそのままで、TMG、TMA、CpMgの供給量の変更を行なった。その後、アンモニアガスの反応炉内への供給を続けた状態で、さらに、TMGとTMAとCp2Mgのバルブを切り替えて、これらの原料の反応炉内への供給を開始した。Cp2Mgを流通させる量は事前に検討してあり、Mgドープp型Al0.02Ga0.98Nからなるpコンタクト層の正孔濃度が8×1017cm-3となるように調整した。その後、約12分間に渡ってMgドープp型Al0.02Ga0.98Nからなるpコンタクト層の成長を行った後、TMGとTMAとCp2Mgの供給を停止した。これにより、約0.2μmの膜厚を成すMgドープp型Al0.02Ga0.98Nからなるpコンタクト層を形成させた。
【0113】
pコンタクト層の気相成長を終了させた後、直ちに基板を加熱するために利用していた高周波誘導加熱式ヒータへの通電を停止すると同時に、キャリアガスを水素から窒素へと切り替え、アンモニアの流量を低下させた。具体的には、成長中には全流通ガス量のうち体積にして約14%を締めていたアンモニアガスを0.2%まで下げた。更に、この状態で45秒保持した後、アンモニアの流通を停止した。この状態で、基板温度が室温まで降温したのを確認して、III族窒化物半導体積層の積層された基板を大気中に取り出した。このようにして、実施例1、比較例3と同様の方法で作製したIII族窒化物半導体層上に、LED構造のn型層、発光層、p型層となる各層の形成を終了した。
ここでMgドープp型Al0.02Ga0.98Nからなるpコンタクト層は、p型キャリアを活性化するためのアニール処理を行なわなくてもp型を示した。
【0114】
次いで、このようにして得られたLED構造となる各層の形成された基板を用いて、以下に示すようにして、半導体発光素子の一種である発光ダイオードを作製した。
まず、公知のフォトリソグラフィー技術によって、LED構造となる各層の形成された基板のpコンタクト層上に、ITOからなる透明p電極と、透明p電極上にチタン、アルミニウム、金を順に積層した構造を持つ正極ボンディングパッドを形成した。
続いて、正極ボンディングパッドの形成された基板にドライエッチングを行い、負極ボンディングパッドを形成する部分のn型層を露出させ、露出したn型層上にNi、Al、TiおよびAuの4層よりなる負極ボンディングパッドを作製した。
【0115】
このようにして正極ボンディングパッドおよび負極ボンディングパッドの形成された基板の裏面を研削および研磨してミラー状の面とした。その後、その基板を350μm角の正方形のチップに切断し、正極ボンディングパッドおよび負極ボンディングパッドが上になるように、リードフレーム上に載置し、金線でリードフレームへ結線して発光素子とした。
【0116】
このようにして得られた発光素子について、20Vの逆方向電圧を印加した時の逆方向電流(リーク電流(IR))を測定した。その結果を表2に示す。なお、表2において、実施例2とは、実施例1と同様の方法で作製したIII族窒化物半導体層までの形成された基板を用いて得られた発光素子であり、比較例4とは、比較例3と同様の方法で作製したIII族窒化物半導体層までの形成された基板を用いて得られた発光素子である。
【0117】
【表2】

【0118】
表1および表2より、実施例2では、実施例1で作製したIII族窒化物半導体層の結晶性が良く平坦性も良好であったため、発光素子の逆方向電流は3μA以下と良好であった。
一方、比較例4では、比較例3で作製したIII族窒化物半導体層の結晶性が良くなかったため、逆方向電流は5μA以上と不良であった。
【0119】
[実施例3、実施例4、比較例5、比較例6]
「基部幅」「高さ」「基部幅/4」「隣接する凸部間の間隔」「凸部表面C面の有無」を表3に示すものとしたこと以外は、実施例1と同様の方法によりIII族窒化物半導体層まで形成し、実施例2と同様の方法により発光素子を作製した。
なお、実施例3、実施例4、比較例6の凸部は、基部の平面形状が円形で上部に向かって徐々に外形が小さくなる形状であり、側面が外側に向かって湾曲したお椀状の形状であった。また、実施例3、実施例4、比較例6の凸部は、エッチング時間を変更することにより、凸部の高さを変えて得られたものである。
そして、得られた発光素子に順方向に20mAの電流を印加して、発光出力(Po)を測定した。その結果を表3に示す。
【0120】
【表3】

【0121】
表3より、凸部のない比較例5と、凸部の高さが基部幅の1/4未満である比較例6では、発光出力が13mW以下と低かった。
これに対し、凸部の高さが基部幅の1/4以上である実施例3および実施例4では、発光出力が13mW以上と高かった。
【0122】
[実施例5]
実施例5においては、基板表面を洗浄する際の条件と中間層を成膜する条件以外は、実施例1と同様にして、基板上に中間層および下地層を形成した。
【0123】
すなわち、以下に示すように、実施例1と同様の複数の凸部の形成された基板の上面に、RFスパッタ法を用いて柱状結晶の集合体(多結晶)からなるAlNからなる厚さ50nmバッファ層を形成した(バッファ層形成工程)。
スパッタ成膜装置としては、高周波式の電源を持ち、ターゲット内でマグネットの位置を動かすことができる機構を持っているものを使用した。まず、複数の凸部の形成された基板をスパッタ成膜装置のチャンバ内へ導入して750℃まで加熱し、チャンバ内に窒素ガスだけを15sccmの流量で導入した後、チャンバ内の圧力を0.08Paに保持して、基板側に500Wの高周波バイアスを印加して基板を窒素プラズマに曝すことで、基板の表面を洗浄した(前処理)。
【0124】
続いて、チャンバ内にアルゴンおよび窒素ガスを導入し、基板の温度を500℃まで低下させた。その後、2000Wの高周波バイアスを金属Alターゲット側に印加し、チャンバ内の圧力を0.5Paに保ち、Arガスを15sccm、窒素ガスを5sccm流通させた条件(ガス全体に対する窒素の比は25%)で、複数の凸部の形成された基板上にAlNからなるバッファ層を成膜した。成長レートは0.08nm/sであった。なお、ターゲット内のマグネットは、基板洗浄の際もバッファ層成膜の際も揺動させておいた。そして、予め測定した成膜速度に従って規定した時間の間成膜を行い、50nmのAlN層からなるバッファ層を複数の凸部の形成された基板上に堆積した後、プラズマを立てるのを止め、基板温度を低下させた。
【0125】
このようにして得られたバッファ層上に、実施例1と同様にしてGaN層を形成し、得られたGaN層の表面の平坦性を観察した。また、GaN層のX線ロッキングカーブの半値幅(XRC−FWHM)を測定した。GaN層の平坦性およびXRCの半値幅(XRC−FWHM)の結果を表1に示す。表1に示すように、実施例5の結果は、実施例1と同等であった。
【0126】
[実施例6]
実施例5と同様の方法で作製したIII族窒化物半導体層上に、実施例2と同様の方法により発光素子を作製した。
【0127】
このようにして得られた発光素子について、20Vの逆方向電圧を印加した時の逆方向電流(リーク電流(IR))を測定した。その結果を表2に示す。
表1および表2より、実施例6では、実施例5で作製したIII族窒化物半導体層の結晶性が良く平坦性も良好であったため、発光素子の逆方向電流は3μA以下と良好であった。
【0128】
[実施例7、実施例8、比較例7、比較例8]
「基部幅」「高さ」「基部幅/4」「隣接する凸部間の間隔」「凸部表面C面の有無」を表3に示すものとしたこと以外は、実施例5と同様の方法によりIII族窒化物半導体層まで形成し、実施例2と同様の方法により発光素子を作製した。
なお、実施例7、実施例8、比較例7の凸部は、基部の平面形状が円形で上部に向かって徐々に外形が小さくなる形状であり、側面が外側に向かって湾曲したお椀状の形状であった。また、実施例7、実施例8、比較例7の凸部は、エッチング時間を変更することにより、凸部の高さを変えて得られたものである。
そして、得られた発光素子に順方向に20mAの電流を印加して、発光出力(Po)を測定した。その結果を表3に示す。
【0129】
表3より、凸部のない比較例7と、凸部の高さが基部幅の1/4未満である比較例8では、発光出力が13mW以下と低かった。
これに対し、凸部の高さが基部幅の1/4以上である実施例7および実施例8では、発光出力が13mW以上と高かった。
【0130】
[実施例9]
次に、実施例9として、図3(図4も参照)に示すような発光素子1を作成し、図5に示すような、発光素子1が用いられてなるランプ3(発光ダイオード:LED)を作成した。
本例においては、まず、サファイアからなる基板101のc面上に、バッファ層102としてRFスパッタ法を用いてAlNからなる単結晶の層を形成したものの上に、下地層103として、MOCVD法を用いて、GaN(III族窒化物半導体)からなる層を以下の方法で形成した後、各層を積層した。
【0131】
『バッファ層の形成』
まず、表面を鏡面研磨した直径2インチの(0001)c面サファイアからなる基板101を、チャンバ中へ導入した。この際、高周波式のスパッタ装置を用い、ターゲットとしては、金属Alからなるものを用いた。
そして、チャンバ内で基板101を500℃まで加熱し、窒素ガスを導入した後、基板101側に高周波バイアスを印加し、窒素プラズマに晒すことによって基板101表面を洗浄した。
【0132】
次いで、基板101の温度はそのままに、スパッタ装置内にアルゴン及び窒素ガスを導入した。そして、高周波バイアスを金属Alターゲット側に印加し、炉内の圧力を0.5Paに保ち、Arガスを5sccm、窒素ガスを15sccm流通させた条件下で、サファイアからなる基板101上に、AlNからなる単結晶のバッファ層102を成膜した。そして、予め測定した成膜速度に従い、規定した時間の処理により、40nmのAlN(バッファ層102)を成膜後、プラズマ動作を停止し、基板101の温度を低下させた。
【0133】
そして、基板101上に形成したバッファ層102のX線ロッキングカーブ(XRC)を、X線測定装置(スペクトリス社製、型番:X‘pert Pro MRD)を用いて測定した。この測定は、CuKα線X線発生源を光源として用いて行なった。この結果、バッファ層102のXRC半値幅は0.1°と優れた特性を示しており、バッファ層102が良好に配向していることが確認できた。
【0134】
『下地層の形成』
次いで、AlN(バッファ層102)が成膜された基板101を、スパッタ装置内から取り出してMOCVD装置内に搬送し、バッファ層102上に、以下の手順でGaNからなる下地層103を成膜した。
まず、当該基板101を反応炉(MOCVD装置)内に導入した。次いで、反応炉内に窒素ガスを流通させた後、ヒータを作動させて、基板温度を室温から500℃に昇温した。そして、基板の温度を500℃に保ったまま、NHガスおよび窒素ガスを流通させて、気相成長反応炉内の圧力を95kPa(圧力単位:Pa)とした。続いて、基板温度を1000℃まで昇温させ、基板の表面をサーマルクリーニング(thermal cleaning)した。なお、サーマルクリーニングの終了後も、気相成長反応炉内への窒素ガスの供給を継続させた。
【0135】
その後、アンモニアガスの流通を続けながら、水素雰囲気中で基板の温度を1100℃に昇温させるとともに、反応炉内の圧力を40kPaとした。基板温度が1100℃で安定するのを確認した後、トリメチルガリウム(TMG)の、気相成長反応炉内への供給を開始し、バッファ層102上に下地層103を構成するIII族窒化物半導体(GaN)を成膜する工程を開始した。このようにしてGaNを成長させた後、TMGの配管のバルブを切り替え、原料の反応炉への供給を終了してGaNの成長を停止した。
以上の工程により、基板101上に成膜された単結晶組織のAlNからなるバッファ層102の上に、アンドープで8μmの膜厚のGaNからなる下地層103を成膜した。
【0136】
『nコンタクト層の形成』
下地層103の形成に引き続き、同じMOCVD装置によってGaNからなるnコンタクト層104aの初期層を形成した。この際、nコンタクト層104aにはSiをドープした。結晶成長は、Siのドーパント原料としてSiHを流通させた以外は、下地層と同じ条件によって行った。
【0137】
以上説明したような工程により、表面に逆スパッタを施したサファイアからなる基板101上に、単結晶組織を持つAlNのバッファ層102を形成し、その上にアンドープで8μmの膜厚のGaN層(n型下地層103)と、5×1018cm−3のキャリア濃度を持つ2μmのSiドープGaN層(nコンタクト層104aをなす初期層)を形成した。成膜後に装置内から取り出した基板は無色透明であり、GaN層(ここではnコンタクト層104aをなす初期層)の表面は鏡面であった。
【0138】
上述のようにして形成したSiドープGaN層のX線ロッキングカーブ(XRC)を、X線測定装置(スペクトリス社製、型番:X‘pert Pro MRD)を用いて測定した。この測定は、Cuβ線X線発生源を光源として用い、対称面である(0002)面と非対称面である(10−10)面で行った。一般的に、III族窒化物化合物半導体の場合、(0002)面のXRCスペクトル半値幅は結晶の平坦性(モザイシティ)の指標となり、(10−10)面のXRCスペクトル半値幅は転位密度(ツイスト)の指標となる。この測定の結果、本発明の製造方法で作製したSiドープGaN層(nコンタクト層)は、(0002)面の測定では半値幅46arcsec、(10−10)面では220arcsecを示した。
【0139】
『nクラッド層及び発光層の形成』
上記手順で作製したnコンタクト層104a上に、MOCVD法により、nクラッド層104b及び発光層105を積層した。
【0140】
「nクラッド層104bの形成」
上記手順でnコンタクト層104aを成長させた基板をMOCVD装置に導入した後、アンモニアを流通させながら、キャリアガスを窒素として、基板温度を760℃へ低下させた。
この際、炉内の温度の変更を待つ間に、SiHの供給量を設定した。流通させるSiHの量については事前に計算を行い、Siドープ層の電子濃度が4×1018cm−3となるように調整した。アンモニアはそのままの流量で炉内へ供給し続けた。
【0141】
次いで、アンモニアをチャンバ内に流通させながら、SiHガスと、バブリングによって発生させたTMI及びTEGの蒸気を炉内へ流通させ、Ga0.99In0.01Nからなる層を1.7nm、GaNからなる層を1.7nmで各々成膜した。このような成膜処理を19サイクル繰り返した後、最後に、Ga0.99In0.01Nからなる層を1.7nmで再度、成長させた。また、この工程処理を行なっている間は、SiHの流通を継続した。これにより、SiドープのGa0.99In0.01NとGaNの超格子構造からなるnクラッド層104bを形成した。
【0142】
「発光層の形成」
発光層105は、GaNからなる障壁層105aと、Ga0.92In0.08Nからなる井戸層105bとから構成され、多重量子井戸構造を有する。この発光層105の形成にあたっては、SiドープのGaInNとGaNの超格子構造からなるnクラッド層104c上に、まず、障壁層105aを形成し、この障壁層105a上に、In0.2Ga0.8Nからなる井戸層105bを形成した。このような積層手順を6回繰り返した後、6番目に積層した井戸層105b上に、7番目の障壁層105aを形成し、多重量子井戸構造を有する発光層105の両側に障壁層105aを配した構造とした。
【0143】
まず、基板温度は760℃のままでTEGaとSiHの炉内への供給を開始し、所定の時間SiをドープしたGaNからなる初期障壁層を0.8nm形成し、TEGaとSiHの供給を停止した。その後、サセプタの温度を920℃に昇温した。そして、TEGaとSiHの炉内への供給を再開し、基板温度920℃のままで、さらに、1.7nmの中間障壁層の成長を行った後、TEGaとSiHの炉内供給を停止した。続いて、サセプタ温度を760℃に下げ、TEGaとSiHの供給を開始し、さらに、3.5nmの最終障壁層の成長を行った後、再びTEGaとSiHの供給を停止して、GaN障壁層の成長を終了した。上述のような3段階の成膜処理により、初期障壁層、中間障壁層及び最終障壁層の3層からなり、総膜厚が6nmのSiドープGaN障壁層(障壁層105a)を形成した。SiHの量は、Si濃度が1×1017cm−3になるように調整した。
【0144】
上記GaN障壁層(障壁層105a)の成長終了後、TEGaとTMInを炉内へ供給して井戸層の成膜処理を行ない、3nmの膜厚を成すGa0.92In0.08N層(井戸層105b)を形成した。
そして、Ga0.92In0.08Nからなる井戸層105bの成長終了後、TEGaの供給量の設定を変更した。引き続いて、TEGaおよびSiH4の供給を再開し、2層目の障壁層105aの形成を行なった。
【0145】
上述のような手順を6回繰り返すことにより、6層のSiドープGaNからなる障壁層105aと、6層のGa0.92In0.08Nからなる井戸層105bを形成した。
【0146】
そして、6層目のGa0.92In0.08Nからなる井戸層105bを形成した後、引き続いて7層目の障壁層の形成を行った。7層目の障壁層の形成処理においては、まず、SiHの供給を停止し、アンドープGaNからなる初期障壁層を形成した後、TEGaの炉内への供給を続けたままで基板温度を920℃に昇温し、この基板温度920℃にて規定の時間で中間障壁層の成長を行なった後、TEGaの炉内への供給を停止した。続いて、基板温度を760℃に下げ、TEGaの供給を開始し、最終障壁層の成長を行った後、再びTEGaの供給を停止し、GaN障壁層の成長を終了した。これにより、初期障壁層、中間障壁層及び最終障壁層の3層からなり、総膜厚が4nmのアンドープGaNからなる障壁層を形成した(図4における発光層105の内、最上層の障壁層105aを参照)。
【0147】
以上の手順にて、厚さが不均一な井戸層(図4におけるn型層104側から1〜5層目の井戸層105b)と、厚さが均一な井戸層(図4におけるn型層104側から6層目の井戸層105bを参照)を含んだ多重量子井戸構造の発光層105を形成した。
【0148】
『p型半導体層の形成』
上述の各工程に引き続き、同じMOCVD装置を用いて、4層のノンドープのAl0.06Ga0.94Nと3層のMgをドープしたGaNよりなる超格子構造を持つpクラッド層106aを成膜し、更に、その上に膜厚が200nmのMgドープGaNからなるpコンタクト層106bを成膜し、p型半導体層106とした。
【0149】
まず、NHガスを供給しながら基板温度を975℃へ昇温した後、この温度でキャリアガスを窒素から水素に切り替えた。続いて、基板温度を1050℃に変更した。そして、炉内へTMGaとTMAlを供給することにより、ノンドープのAl0.06Ga0.94Nからなる層2.5nmを成膜した。引き続き、インターバルを取らずに、TMAlのバルブを閉じてCpMgのバルブを開け、MgをドープしたGaNの層を2.5nm成膜した。
以上のような操作を3回繰り返し、最後にアンドープAl0.06Ga0.94Nの層を形成することにより、超格子構造よりなるpクラッド層106aを形成した。
【0150】
その後、CpMgとTMGaのみを炉内へ供給して、200nmのp型GaNよりなるpコンタクト層106bを形成した。
【0151】
上述のようにして作製したLED用のエピタキシャルウェーハは、c面を有するサファイアからなる基板101上に、単結晶構造を有するAlN層(バッファ層102)を形成した後、基板101側から順に、8μmのアンドープGaN層(下地層103)、5×1018cm−3の電子濃度を持つ2μmのSiドープGaN初期層と200nmのSiドープGaN再成長層とからなるnコンタクト層104a、4×1018cm−3のSi濃度を有し、20層の1.7nmのGa0.99In0.01Nと19層の1.7nmのGaNからなる超格子構造を有するクラッド層(nクラッド層104b)、GaN障壁層に始まってGaN障壁層に終わり、層厚が6nmとされた6層のSiドープのGaN障壁層(障壁層105a)と、層厚が3nmとされた6層のノンドープのGa0.92In0.08N井戸層(井戸層105b)と、ノンドープのGaNからなる最終障壁層を備える最上位障壁層(図4における発光層105の内、最上層の障壁層105aを参照)からなる多重量子井戸構造(発光層105)、膜厚が2.5nmのノンドープAl0.06Ga0.94Nからなる4つの層と、膜厚が2.5nmのMgドープAl0.01Ga0.99Nからなり超格子構造を有する3つの層から構成されるpクラッド層106a、及び、膜厚が200nmのMgドープGaNからなるpコンタクト層106bから構成されるp型半導体層106を積層した構造を有する。
【0152】
[実施例10]
上記実施例9で説明したような発光層105を形成する工程において、7層の障壁層105aの内、最後に形成する障壁層についてはノンドープとした点を除き、実施例9と同様の操作手順により、n型半導体層104、発光層105、p型半導体層106が順次積層されてなる、LED用のエピタキシャルウェーハを製造した。
【0153】
[実施例11]
上記実施例9及び実施例10で説明したような、発光層105上にp型半導体層106を形成する工程を以下に説明するような手順とした点を除き、実施例9と同様の操作手順により、LED用のエピタキシャルウェーハを製造した。
本例では、発光層105の上に、該発光層105の形成に用いたものと同じMOCVD装置を用いて、4層のノンドープのAl0.06Ga0.94Nと3層のMgをドープしたAl0.01Ga0.99よりなる超格子構造を持つp型クラッド層106aを、TMGa、TMAl及びCpMgの供給量を適宜調整して成膜し、更に、その上に膜厚が200nmのMgドープGaNからなるp型コンタクト層106bを成膜し、p型半導体層106とした。
【0154】
[実施例12]
次いで、上記各実施例の方法で得られたLED用のエピタキシャルウェーハを用いて、LEDを作製した。
すなわち、例えば、上記エピタキシャルウェーハのMgドープGaN層(pコンタクト層106b)の表面に、公知のフォトリソグラフィー技術によってIZOからなる透光性正極109を形成し、その上に、クロム、チタン及び金を順に積層した構造を有する正極ボンディングパッド107(p電極ボンディングパッド)を形成し、p側電極とした。さらに、ウェーハに対してドライエッチングを施し、nコンタクト層104bのn側電極(負極)を形成する領域を露出させ、この露出領域にCr、Ti及びAuの3層が順に積層されてなる負極108(n側電極)を形成した。このような手順により、ウェーハ上に、図3に示すような形状を有する各電極を形成した。
【0155】
そして、上述の手順でp側及びn側の各電極が形成されたウェーハについて、サファイアからなる基板101の裏面を研削及び研磨してミラー状の面とした。そして、このウェーハを350μm角の正方形のチップに切断し、図3に示すような発光素子1とした。そして、各電極が上になるようにリードフレーム上に配置し、金線でリードフレームへ結線して発光ダイオード(LED)とした(図5のランプ3を参照)。上述のようにして作製した発光ダイオードのp側およびn側の電極間に順方向電流を流したところ、電流20mAにおける順方向電圧は3.1Vであった。また、p側の透光性正極109を通して発光状態を観察したところ、発光波長は460nmであり、発光出力は20mWを示した。このような発光ダイオードの特性は、作製したウェーハのほぼ全面から作製された発光ダイオードについて、ばらつきなく得られた。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】図1は、本発明のIII族窒化物半導体層の製造方法の一例を説明するための図であって、本発明の製造方法を用いて、基板の表面上に、バッファ層と単結晶のIII族窒化物半導体層とが形成された積層構造を示した断面図である。
【図2】図2は、図1に示す積層構造を製造する工程の一例を説明するための図であって、本実施形態の基板加工工程の終了した基板を示した斜視図である。
【図3】図3は、本発明のIII族窒化物半導体発光素子の一例を示した断面図である。
【図4】図4は、本発明のIII族窒化物半導体発光素子の一例を示した断面図であり、図3に示すIII族窒化物半導体発光素子の部分拡大断面図である。
【図5】図5は、本発明に係るIII族窒化物半導体発光素子を用いて構成したランプの一例を模式的に示した概略図である。
【符号の説明】
【0157】
1…III族窒化物半導体発光素子、10…上面、11…平面、12…凸部、12c…表面、20…LED構造、101…基板、102…バッファ層、103…III族窒化物半導体層、104…n型層、104b…nクラッド層、105…発光層、106…p型層、106a…pクラッド層、107…正極ボンディングパッド、108…負極ボンディングパッド、3…ランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に単結晶のIII族窒化物半導体層を形成するIII族窒化物半導体層の製造方法において、
基板の(0001)C面上に前記C面に非平行の表面からなる複数の凸部を形成することにより、前記基板上に前記C面からなる平面と前記凸部とからなる上面を形成する基板加工工程と、
前記上面上に前記III族窒化物半導体層をエピタキシャル成長させて、前記凸部を前記III族窒化物半導体層で埋めるエピ工程とを備えることを特徴とするIII族窒化物半導体層の製造方法。
【請求項2】
前記凸部は、基部幅が0.05〜5μm、高さが0.05〜5μm、かつ高さが基部幅の1/4以上のものであって、隣接する前記凸部間の間隔が前記基部幅の0.5〜5倍のものであることを特徴とする請求項1に記載のIII族窒化物半導体層の製造方法。
【請求項3】
前記凸部が上部に向かって徐々に外形が小さくなる形状であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のIII族窒化物半導体層の製造方法。
【請求項4】
前記凸部が略円錐状ないし略多角錐状であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のIII族窒化物半導体層の製造方法。
【請求項5】
前記基板がサファイア基板であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のIII族窒化物半導体層の製造方法。
【請求項6】
前記基板加工工程の後、前記エピ工程の前に、前記上面上に多結晶のAlGa1−xN(0≦x≦1)からなる厚さ0.01〜0.5μmのバッファ層をスパッタ法により積層するバッファ層形成工程を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のIII族窒化物半導体層の製造方法。
【請求項7】
前記基板加工工程の後、前記エピ工程の前に、前記上面上に単結晶構造を有するAlGa1−xN(0≦x≦1)からなる厚さ0.01〜0.5μmのバッファ層をスパッタ法により積層するバッファ層形成工程を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のIII族窒化物半導体層の製造方法。
【請求項8】
基板上に形成された単結晶のIII族窒化物半導体層上にLED構造が形成されているIII族窒化物半導体発光素子であって、
前記基板は、前記C面からなる平面と、前記C面に非平行の表面からなる複数の凸部とからなる上面を有するものであり、
III族窒化物半導体層は、前記上面上に前記凸部を埋める前記III族窒化物半導体層をエピタキシャル成長させて形成されたものであることを特徴とするIII族窒化物半導体発光素子。
【請求項9】
前記凸部は、基部幅が0.05〜5μm、高さが0.05〜5μm、かつ高さが基部幅の1/4以上のものであって、隣接する前記凸部間の間隔が前記基部幅の0.5〜5倍のものであることを特徴とする請求項8に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
【請求項10】
前記凸部が上部に向かって徐々に外形が小さくなる形状であることを特徴とする請求項8または請求項9に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
【請求項11】
前記凸部が略円錐状ないし略多角錐状であることを特徴とする請求項8ないし請求項10のいずれかに記載のIII族窒化物半導体発光素子。
【請求項12】
前記基板がサファイア基板であることを特徴とする請求項8ないし請求項11のいずれかに記載のIII族窒化物半導体発光素子。
【請求項13】
前記基板加工工程の後、前記エピ工程の前に、前記上面上に多結晶のAlGa1−xN(0≦x≦1)からなる厚さ0.01〜0.5μmのバッファ層をスパッタ法により積層するバッファ層形成工程を備えることを特徴とする請求項8ないし請求項12のいずれかに記載のIII族窒化物半導体発光素子。
【請求項14】
前記基板加工工程の後、前記エピ工程の前に、前記上面上に単結晶構造を有するAlGa1−xN(0≦x≦1)からなる厚さ0.01〜0.5μmのバッファ層をスパッタ法により積層するバッファ層形成工程を備えることを特徴とする請求項8ないし請求項12のいずれかに記載のIII族窒化物半導体発光素子。
【請求項15】
前記LED構造が、III族窒化物半導体から各々なるn型層と発光層とp型層とを有することを特徴とする請求項8ないし請求項14のいずれかに記載のIII族窒化物半導体発光素子。
【請求項16】
前記n型層にnクラッド層が備えられているとともに、前記p型層にはpクラッド層が備えられており、前記nクラッド層及び/又は前記pクラッド層が、少なくとも超格子構造を含むことを特徴とする請求項15に記載のIII族窒化物半導体発光素子。
【請求項17】
請求項8ないし請求項16のいずれかに記載のIII族窒化物半導体発光素子が用いられてなることを特徴とするランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−123717(P2009−123717A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−286690(P2007−286690)
【出願日】平成19年11月2日(2007.11.2)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】