説明

LEDチップの製造方法

【課題】裏面側からレーザ照射することにより分割起点を形成する場合に、予め、別途に分割予定ラインに沿って反射膜を除去しておく必要のないLEDの製造方法を提供する。
【解決手段】 光透過性基板1の表面側1aに複数のLED素子本体2がパターン形成されるとともに、裏面側1bに反射膜3が分割予定ライン上も含めて形成されているマザー基板1に対し、分割予定ラインに沿ってレーザビームLを照射することによってLED素子本体2ごとに分割するための分割起点Aを形成する工程を含むLEDチップの製造方法であって、反射膜3としてLED素子本体2が発する発光光および蛍光材料による蛍光の波長範囲を反射し、かつ、分割予定ラインに照射するレーザビームLの波長光を透過する性質を有する反射膜3を裏面側1bに形成し、レーザビームLを裏面側1bから反射膜3を透過させて基板裏面に直接照射するようにして基板1をレーザ加工する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光透過性基板の片側の主面(表面側とする)に発光光を生成するLED素子本体が形成され、他方の主面(裏面側とする)に当該発光光を反射する性質の反射膜が形成された構造を有するLEDチップの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
III族窒化物系半導体からなるLED素子本体をチップ状のサファイア基板の上に形成した構造のLEDチップは、例えば青色系の発光ダイオード(LED)として製品化されている。
最近では、LEDチップからの発光光の取り出し効率を高めるために、発光光が透過可能な光透過性基板(サファイア基板など)の裏面側に金属反射膜を形成しておき、LED素子本体から直接出射される発光光とともに、一旦基板内に入射し裏面側の金属反射膜で反射されて再び基板を通過して出射される発光光をも有効に利用するLEDチップが利用されている(特許文献1参照)。
【0003】
図6は、光透過性基板の裏面側に反射膜が形成されたLEDチップの典型例を示すGaN系LEDの断面構造図である。
サファイア基板10の第一主面(表面)の上には、GaNバッファ層12、n型GaN層13、n型AlGaN層14、GaInNからなる発光層15、p型AlGaN層16、およびp型GaN層17が順次積層された領域と、n型GaN層13の一部が露出されるまでn型AlGaN層14、発光層15、p型AlGaN層16、p型GaN層17の一部がエッチングで除去された領域とを備えた半導体積層構造が形成される。この半導体積層構造の外周面には、電極形成部分を除いてSiO膜18が絶縁保護膜として形成される。そしてp型GaN層17の上には透光性のp型電極19(Au薄膜)、n型GaN層13の上にはn型電極20(Ti/Al/Au膜)がそれぞれ形成される。
【0004】
サファイア基板10の第二主面(裏面側)上には、反射膜11が形成される。反射膜11には、発光層15からの発光光の波長に対する反射特性が優れた材料が使用され、具体的には、例えば単層のAu膜が形成され、これにより、裏面から抜け出ようとする発光光をサファイア基板10側に反射するようにしている。
【0005】
なお、反射膜11には、LED素子の発光特性や材料コストを勘案して、Au膜の他に、Al膜や誘電体多層膜が反射膜の材料として用いられる。すなわち、LED素子本体の半導体材料の種類と膜厚によって発光波長領域(発光スペクトル)が異なるので、素子およびLED(商品)に応じて、発光波長に対する反射特性の優れた材料が選択されて用いられる。例えば、素子の周辺に塗布する蛍光材料による蛍光光を利用する場合はこの影響も考慮して材料が選択される。具体的には、白色LED(蛍光材料と青色LEDとからなる白色LED、または、RGB3波蛍光材料と紫光源とからなる白色LED)であれば、可視光波長である約350nm〜800nmの波長領域で反射率が優れた誘電体多層膜が用いられることがある。一方、材料コストを優先する場合はAl膜が用いられる。
【0006】
裏面側に反射膜が形成されたLEDチップは、以下の製造工程を経ることにより製造される。すなわち、ウェハ状のサファイア基板をマザー基板として使用し、まず、マザー基板の第一主面(表面)にLED素子本体を格子状にパターン形成し、続いて裏面を必要な厚みまで研磨した後、マザー基板の第二主面(裏面)に反射膜を形成する(素子形成工程)。その後、個々のLED素子本体ごとに分割するために、サファイア基板をチップ状に分断してLEDチップ(製品)として取り出す(チップ分割工程)。
【0007】
ここで、マザー基板から個々のLEDチップに分割するチップ分割加工について説明する。一般に、LEDチップの製造工程においても、他の半導体製品と同様に、マザー基板をチップごとに分割する際に、ダイシングブレード(ダイサー)、ダイヤモンドスクライバー等を用いたメカニカル加工、あるいはレーザビームを照射するレーザ加工のいずれかによる分割が行われている。
【0008】
このうち、ダイシングブレードやダイヤモンドスクライバーのような加工工具を用いたメカニカルなスクライブ加工でマザー基板を分断する場合、サファイアはガラスなどに比べてはるかに硬質な脆性材料であるため、加工工具が摩耗しやすく、また、加工された分割面には所望のクラック以外に製品不良の原因となるチッピングが生じやすい。
【0009】
一方、YAGレーザなどの高出力パルスレーザ(パルス幅10−9〜10−7秒)を用いたレーザ加工によってマザー基板を分割する場合には、周知技術であるレーザアブレーションや多光子吸収による分割がなされる。すなわち、レーザ光を基板表面近傍あるいは基板内部に集光し、基板表面近傍にアブレーションを生起させて溝を形成したり、多光子吸収によって基板内部に加工変質部を形成したりして、これらの加工部分を、ブレイクのための分割起点にするようにしている(特許文献2、特許文献3参照)。
【0010】
しかしながら、硬脆性材料であるサファイアをレーザで加工する場合は、アブレーション、多光子吸収のいずれでも、ガラス等に対する加工に比べて照射エネルギーを高める必要がある。その結果、アブレーションによる加工の場合には、形成される溝幅が広くなってしまう。多光子吸収によって基板内部の加工変質部を設ける場合においても、変質部位が広がってしまうとともに変質部位に形成される分割面の表面粗さが粗くなり、必ずしも好ましい精度での分断面は得られていない。
【0011】
そのため、パルス幅が10−10秒以下の超短パルスレーザ(以下パルス幅が10−10秒以下のパルスレーザを「超短パルスレーザ」と呼ぶ)を用いた新しいレーザ加工方法(以下、本明細書においてはBI法ともいう)が提案されている(特許文献4参照)。これによれば、Nd:YAGレーザ(波長1064nm)を用いて、極めて短いパルス幅および高パワー密度を有する超短パルスレーザを、サファイア基板の表面近傍で集光するように焦点を調整して射出する。このときのレーザ光は、集光点近傍以外では基板材料(サファイア)に吸収されないが、集光点では多光子吸収が惹起されて、瞬間的かつ局部的に溶融・昇華(局部的な微小アブレーション)が発生するようになる。そして、基板の表層部位から表面に至る範囲に微小クラックが形成される。すなわち、従来のアブレーションは照射されたレーザビームによるエネルギーのほとんどすべてが基板材料の溶融・蒸散に費やされ広いアブレーション穴の形成(穴径が8μm程度)に用いられるが、新しいレーザ加工方法(BI法)では照射レーザのエネルギーは微小な溶融痕(穴径が1μm程度の小穴)の形成に一部が費やされ、残りのエネルギーが微小クラックを形成する衝撃力として費やされる。このような溶解痕を分割予定ラインに沿ってミシン目のごとく離散的に形成することにより、隣接する溶解痕の間が微小クラックで連なった分離容易化領域が形成されるようになり、この領域に沿って基板が分割可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平10−308532号公報
【特許文献2】特開平11−177137号公報
【特許文献3】特開2004−268309号公報
【特許文献4】特開2005−271563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
LED製造におけるチップ分割工程には、レーザアブレーション加工、多光子吸収によるレーザ加工、超短パルスレーザによる新しいレーザ加工(BI法)が適用されることを説明した。
しかしながら、裏面側に反射膜が形成されているマザー基板を分割してLEDチップを切り出す場合に、上述したようなレーザ加工によって分割を行おうとすると、裏面側の反射膜の存在により、反射膜によってレーザ光が反射または吸収されることが加工上の支障になる。
【0014】
レーザ照射による分割方法の一つとして、レーザ照射を、裏面側からではなく、LED素子本体が形成された表面側から照射することが可能であるが、照射したレーザビームの発光がLED素子本体にも影響を及ぼし、LED素子自体の発光効率を低下させてしまう問題が生じるので、レーザ照射は裏面側から行うことが発光効率を維持させる観点から望ましい。
【0015】
また、これまでのLEDの製造工程では、材料コストという実用的な観点からは反射膜にAl膜が使用され、材料コストよりも発光光の取り出し効率を重視する観点からは、Al膜よりも発光波長に対する反射特性が優れたAu膜や誘電体多層膜などの材料の使用が検討されているが、チップ分割工程の観点からは反射膜としてどのような膜が好ましいかは何も考慮されていなかった。
【0016】
そのため、裏面側にAl膜等の反射膜が形成されている構造のマザー基板を、裏面側からレーザ照射して分割起点を形成する場合には、先に、分割予定ラインに沿って反射膜を帯状に除去(剥離)してマザー基板を露出させておき、続いて、マザー基板の裏面側からレーザ光を露出部分に向けて照射するようにしていた。
【0017】
その場合、分割予定ラインに沿って、フォトリソグラフィによるパターニングで剥離するか、あるいは、反射膜を除去するための照射条件(後述する分割起点形成のためのレーザ照射とは異なる)で反射膜除去用のレーザアブレーションを行うかが必要であり、いずれにしても、分割予定ラインに沿って格子状に反射膜を除去(剥離)する工程が余分に必要となって、加工工数が増える要因となっていた。
【0018】
そこで、本発明は裏面に反射膜が形成されているマザー基板を、裏面側からレーザ照射することにより分割起点を形成する場合に、予め、別途に分割予定ラインに沿って反射膜を除去しておく必要のないLEDの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するためになされた本発明のLEDチップの製造方法は、光透過性基板の表面側に複数のLED素子本体がパターン形成されるとともに、裏面側に反射膜が分割予定ライン上も含めて形成されているマザー基板に対し、分割予定ラインに沿ってレーザビームを照射することによってLED素子本体ごとに分割するための分割起点を形成する工程を含むLEDチップの製造方法であって、以下の構成を備える。
すなわち、反射膜としてLED素子本体が発する発光光の波長範囲(好ましくは、さらに蛍光材料からの蛍光光の波長範囲)を反射し、かつ、分割予定ラインに照射するレーザビームの波長光を透過する性質を有する反射膜を裏面側に形成し、レーザビームを裏面側から反射膜を透過させて基板裏面に直接照射するようにして基板をレーザ加工するものである。
【0020】
ここで、光透過性基板はサファイア基板であってもよい。
また、反射膜は400nm〜700nmの可視光領域の反射率が90%以上であり、900nm以上の赤外領域の透過率が50%以上であってもよい。
具体的には、反射膜は誘電体多層膜で形成されていてもよい。
また、レーザビームとしてNd:YAGレーザによる1064nmのパルスレーザを照射すればよい。
さらには、パルスレーザとして、パルス幅が10−10秒よりも短い超短パルスレーザを、分割予定ラインに沿って離散的に照射して分割起点を形成するようにしてもよい。
ここで、「離散的に照射」とは、新しいレーザ加工方法(BI法)での照射を、距離を隔てて離散的に行うことにより、微小な溶融痕(穴径が1μm程度の小穴)が間隔を隔てて形成されるが、隣接する溶融痕の間に形成される微小クラックどうしがつながるような間隔での照射をいう。すなわち、溶融痕と微小クラックとが連続するように形成されることで、クラックが進展するように誘導するようにした加工を行う。
このように、溶解痕を分割予定ラインに沿ってミシン目のごとく離散的に形成することにより、隣接する溶解痕の間が微小クラックで連なった分離容易化領域が形成されるようになり、この領域に沿って基板が分割可能になる。
【発明の効果】
【0021】
本発明のLEDチップの製造方法によれば、LED素子の発光光を透過する透過性基板の裏面側に形成する反射膜が有する光学特性として、LED素子本体および蛍光材料の波長領域を反射することができるとともに、分割予定ラインに照射するレーザビームの波長光を透過する性質を有するようにすることで、分割予定ラインに沿ってレーザ照射を行うときに、裏面側から照射すれば反射膜を透過してレーザビームが基板に直接照射されるようになる。
すなわち、これまでは反射膜を予め除去することで、基板にレーザビームが照射されるようにしていたが、裏面側に反射膜を設けたまま、レーザ照射を行ってもレーザビームが基板裏面に到達するようになり、実質的に反射膜がないときと同様のレーザ加工が可能になる。
これにより、裏面反射膜を備えたLEDチップの製造において、分割予定ラインに沿って反射膜を除去する工程が不要になり、加工工数を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】マザー基板の表面側にLED素子本体を形成した状態を示す図である。
【図2】LED素子本体が形成されたマザー基板の裏面側に反射膜を形成した状態を示す図である。
【図3】反射膜として理想的な反射スペクトルを示す図である。
【図4】レーザ照射により、マザー基板を個々のLEDチップに分割するときの加工状態を示す図である。
【図5】分割起点に沿ってブレイク処理を行う状態を示す図である。
【図6】LED素子本体の構造の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、III族窒化物系半導体を用いたLEDチップを例にして、本発明のLEDチップの製造工程を、順次、図面に基づいて詳細に説明する。本発明にかかるLEDチップの製造方法は、主として素子形成工程と、チップ分割工程との2つの工程からなる。
【0024】
(素子形成工程)
素子形成工程では、マザー基板の表面側(第一主面側)に多数のLED素子本体をパターン形成するとともに、裏面側(第二主面側)に反射膜を形成する。
【0025】
図1はマザー基板の表面側にLED素子本体を形成した状態を示す図であり、図1(a)は上面図(表面側の平面図)、図1(b)は正面図である。マザー基板1は、ウェハ形状のサファイア基板からなり、表面1a(第一主面)上には、正方格子を形成するように縦横に規則的に並んだ多数のLED素子本体2がパターン形成してある。個々のLED素子本体2は、図6で示した素子構造を有しており、周知の半導体製造プロセスによって形成されている。
また、隣接する素子本体2の間には、LED素子本体ごとに分割するときの分割予定ラインになる間隙が設けられている。
【0026】
マザー基板1として用いるサファイアは、LED素子本体2が発光する波長領域(350nm〜800nm)に対し光透過性を有する材料である。なお、LED素子本体2の発光波長領域に対して光透過性を有する材料であればサファイア基板以外を基板として用いてもよい。LED素子本体2が白色発光ダイオードではなく、単色光発光ダイオードの場合は、可視光領域全体ではなく該当する単色光の発光波長に対して光透過性を有していればよい。
【0027】
図2は、LED素子本体2が形成されたマザー基板1の裏面側に反射膜を形成した状態を示す図であり、図2(a)は下面図(裏面側の平面図)、図2(b)は正面図である。マザー基板1の裏面側1bには全面に反射膜3が形成してある。
反射膜3には、LED素子本体2の発光光を選択的に反射するとともに、分割予定ラインに照射するレーザビームの波長光を透過する性質の材料が使用される。レーザビームには、通常、900nm以上の波長光である赤外レーザ(YAGレーザ、YVOレーザなど)を使用するので、900nm以上の赤外波長領域を透過する反射材が使用される。
具体的には、例えば400nm〜700nmの波長領域を90%以上の反射率で反射し、Nd:YAGレーザの波長光(1064nm)を50%以上の透過率で透過する反射膜を使用することが好ましい。
【0028】
図3は、反射膜3として理想的な反射スペクトルを示す図である。
このような特性に近い反射膜は、誘電多層膜によって形成することができる。
【0029】
(チップ分割工程)
次に、LED素子本体2および反射膜3が形成されたマザー基板を、個々のLEDチップに分割する。
図4は、レーザ照射により、マザー基板を個々のLEDチップに分割するときの加工状態を示す図である。
レーザ4としてNd:YAGパルスレーザを用いて、波長1064nm、パルス幅20ピコ秒、パルスエネルギー0.1μJ〜50μJ、繰り返し周波数10KHz〜200KHz、分割予定ライン方向への走査速度50mm/秒〜3000mm/秒の条件で、裏面1b側から超短レーザビームを照射する。なお、走査速度は、繰り返し周波数との兼ね合いで、前回の照射位置の間隔(照射ピッチ)が3μm〜20μmになるようにする。
そして、レーザ4に内蔵されたレンズ光学系(不図示)で、深さ方向の焦点位置を、基板裏面側1bよりもわずかに基板内側に入った位置A(分割起点)に集光するように焦点を調整する。
【0030】
このようにしてレーザを照射すると、レーザビームLは反射膜3を透過して、マザー基板1の焦点位置まで直接到達して作用するようになり、マザー基板1を移動させながら加工することで、3μm〜20μmの間隔で離散的に小穴が形成され、隣接する穴と穴との間には微小クラックが形成されるようになり、これらによって分割起点となる加工ライン(スクライブライン)が形成される。すべての格子状の分割予定ラインすべてに沿って同じ処理を繰り返して、LED素子本体ごとに分割するための分割起点を形成する。
【0031】
図5は、分割起点が形成されたマザー基板1に対して、ブレイク処理を行う状態を示す図である。
分割起点Aが形成された位置に対向する表面側の位置P1にブレイクバー5を当てるとともに、裏面側で分割起点Aから左右両側に離隔した位置P2,P3に支持バー6a,6bを当て、3点支持状態で曲げモーメントを与えることにより、分割予定ラインに沿ったブレイクを行う。そして同様のブレイク処理をすべての分割起点に沿って実行することで、LEDチップごとに分割することができる。
【0032】
したがって、本発明によれば、反射膜3を形成した後に、反射膜3を分割予定ラインに沿って剥離することなく、いきなり、マザー基板自体をレーザ加工することができるようになる。
【0033】
上記実施形態では、超短パルスレーザの照射によるチップ分割を実行したが、従来からのアブレーション加工、あるいは多光子吸収による加工を適用してもよい。これらの場合でも、裏面側に形成した反射膜を分割予定ラインに沿って剥離することなく、いきなりレーザ加工することができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、基板裏面に反射膜が形成されたLEDチップの製造に利用される。
【符号の説明】
【0035】
A 焦点位置(分割起点)
L レーザビーム
1 光透過性基板(サファイア基板)
1a 表面側
1b 裏面側
2 LED素子本体
3 反射膜
4 レーザ(Nd:YAGレーザ)
5 ブレイクバー
6a,6b 支持バー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性基板の表面側に複数のLED素子本体がパターン形成されるとともに、裏面側に反射膜が分割予定ライン上も含めて形成されているマザー基板に対し、分割予定ラインに沿ってレーザビームを照射することによってLED素子本体ごとに分割するための分割起点を形成する工程を含むLEDチップの製造方法であって、
前記反射膜として前記LED素子本体が発する発光光の波長範囲を反射し、かつ、分割予定ラインに照射するレーザビームの波長光を透過する性質を有する反射膜を裏面側に形成し、
前記レーザビームを裏面側から反射膜を透過させて基板裏面に直接照射するようにして基板をレーザ加工することを特徴とするLEDチップの製造方法。
【請求項2】
光透過性基板がサファイア基板である請求項1に記載のLEDチップの製造方法。
【請求項3】
前記反射膜は400nm〜700nmの可視光領域の反射率が90%以上であり、900nm以上の赤外領域の透過率が50%以上である請求項1または請求項2に記載のLEDチップの製造方法。
【請求項4】
前記反射膜は誘電体多層膜で形成される請求項3に記載のLEDチップの製造方法。
【請求項5】
レーザビームとしてNd:YAGレーザによる1064nmのパルスレーザを照射する請求項1〜請求項4のいずれかに記載のLEDチップの製造方法。
【請求項6】
パルスレーザとして、パルス幅が10−10秒よりも短い超短パルスレーザを、分割予定ラインに沿って離散的に照射する請求項5に記載のLEDチップの製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−156217(P2012−156217A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−12547(P2011−12547)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(390000608)三星ダイヤモンド工業株式会社 (383)
【Fターム(参考)】