説明

PPARガンマモジュレータとしてのチロシン誘導体

一般式I:


[式中、R1は2-ベンゾイルフェニルアミノ基であり;R2は-(CH2)s-N(COR3)-A-J-Tまたは-(CH2)s-N(R4)-B-J-Tであり;s、R3、R4、A、B、JおよびTは本明細書に開示されている意味を有する]
で示される化合物およびその塩および溶媒和物。これらの化合物は、PPARγモジュレータであり、それゆえこれらのレセプターにより媒介される病態または疾患の治療または予防に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PPARγモジュレータとして作用する新規チロシン誘導体ならびにその製造に有用な方法および中間体、それを含む医薬組成物およびその医薬における適用に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
ペルオキシソーム増殖因子活性化レセプター(PPAR)は、核内レセプターとして知られている転写因子のスーパーファミリーに属する。このファミリーとしては、ステロイド、レチノイドおよび甲状腺ホルモンレセプターが挙げられる。三つのサブタイプのPPARは、ヒト、齧歯目およびアフリカツメガエルにおいて同定されている。それらはPPARα、PPARβ/δおよびPPARγであり、それぞれ異なる遺伝子によりコード化され、異なる組織分布を示す。
【0003】
PPARγについてコード化されている遺伝子は、異なるスプライシングおよびプロモーターの利用により、三つの異なるmRNAイソフォーム(PPARγ1、PPARγ2およびPPARγ3)にてヒトにおいて転写される(Fajas et al., J. Biol. Chem. 1997, vol. 272, p. 18779-18789)。PPARγ1イソフォームは広範な組織分布を示すが、PPARγ2およびPPARγ3はいくつかの組織に限られる:PPARγ2は脂肪組織のみにて発現し、PPARγ3は脂肪組織ならびにマクロファージにて発現する(Fajas et al., FEBS Lett. 1998, vol. 438, p. 55-60)。
【0004】
PPARγイソフォームの組織分布ならびに活性化プロファイルにおいて認められる差異は、それらがグルコース恒常性および脂質代謝に中心的な役割を果たす種々の生理学的機能に関与することを示唆する(Vamecq et al., Lancet 1999, vol. 354, p. 141-148)。これらの機能としては、例えば血漿における脂質運搬および脂肪酸の異化、インスリン感受性および血糖値の調整、アテローム班を形成させるマクロファージの分化、炎症反応、発癌、過形成、および脂肪細胞分化が挙げられ、後者はPPARγの最も検証された機能である(Grimaldi, Prog. Lipid Res. 2001, vol. 40, p. 269-281; Schiller et al., J. Biol. Chem. 2001, vol. 276, p. 14133-14137)。従って、これらの転写因子の発見は、糖尿病、肥満および異常脂質血症などの代謝疾患の予防および治療に有用な治療剤の発展のための新規な薬理学的標的を提供してきた。
【0005】
インスリン非依存性糖尿病(NIDDM)または2型糖尿病は、筋肉、肝臓および脂肪組織などの末梢組織におけるインスリン耐性により特徴付けられる。グリタゾン、選択的なPPARγアゴニスト化合物は、インスリン耐性および低血糖値を軽減する薬物である。このファミリーに現在属している二つの生成物、ロシグリタゾンおよびピオグリタゾンは、ヒトにおける2型糖尿病の治療に是認されてきた。
【0006】
大きな努力が近年なされ、第一グリタゾンの副作用プロファイルを改善し、PPARγリガンドとしてより大きな親和性を示し、2型糖尿病におけるその有効性を増大する新規な薬物を設計してきた。この合理的な設計により、大きな有効性および選択性を示す構造的に多様な化合物が得られている(例えばファルグリタザル)。
【0007】
PPARγアゴニストは、肝毒性(特にトログリタゾン)、体重増加、浮腫、心臓重量増加(齧歯目における)および脂肪過多症、ならびに2型糖尿病のための単治療に適度な有効性などのそれらの魅力を今までのところ損なってきたという欠点を有している。これらの事実は、改善されたインスリン増感剤を発展させるための動機を提供している。
【0008】
PPARγ活性を全体的にまたは部分的に遮断する化合物は、脂肪細胞分化を阻害するために示されている。従って、完全なアンタゴニストは、肥満に有効な治療を構成する。さらに、アンタゴニストであることに加えて部分的アゴニスト(partial agonist)である化合物は、肥満の治療だけでなく、高血糖症の制御にも有効であるので、特に所望でありうる。それゆえ、PPARγアンタゴニスト/部分的アゴニストは、肥満、および一般に、グルコース、トリグリセリドおよびインスリンの血漿中濃度の上昇などのインスリン非依存性糖尿病に起こる他の症状の治療に有効である。
【0009】
近年、PPARγアンタゴニストまたは部分的アゴニストである化合物の報告がされており(WO01/30343、WO02/08188、WO2004/020408)、これらは副作用が軽減し、肥満および2型糖尿病の治療に有用である(Berger et al., Trends Pharmacol. Sci. 2005, vol. 26, p. 244-51)。
【0010】
糖尿病についての臨床的発展における部分的アゴニストの例は、(−)-ハロフェナート(メタグリダセン)、FK 614(Minoura et al., Eur. J. Pharmacol. 2004, vol. 494, p. 273-8)、T131(Li et al., 64th Annu. Meet. Sci. Sess. Am. Diabetes Assoc. (Jun 4-Jun 8, Orlando) 2004, Abst 659-P)、LY818(Reifel-Miller et al., Diabetes 2003, 52 (Suppl. 1): Abst 614-P)および治療中の血漿レベルにて達成可能な濃度におけるPPAR部分的アゴニスト活性を有する、高血圧の治療に是認されているアンジオテンシンII遮断薬である、テルミサルタン(Kurtz et al., Acta Diabetol. 2005; vol. 42 Suppl 1: S 9-16)であり、これらは、現在第二相臨床開発中である。
【0011】
ヘンケルらの文献(Henkel et al., J. Med. Chem. 1998, vol. 41, p. 5020-5036);コリンズらの文献(Collins et al., J. Med. Chem. 1998, vol. 41, p. 5037-5054);コッブらの文献(Cobb et al., J. Med. Chem. 1998, vol. 41, p. 5055-5069)、国際公開公報WO 94/29285およびWO 97/31907には、N-(2-ベンゾイルフェニル)-L-チロシン誘導体が強力かつ選択的なPPARγアゴニストであると記載されている。文献WO 03/011814およびWO 03/011834は、部分的PPARγアゴニストとしてのN-(2-ベンゾイルフェニル)-L-チロシン誘導体を開示する。文献US 6274608は、レチノイドXレセプター(RXR)およびPPARファミリーにより媒介されている病態の治療および/または予防に有用であるものとしてN-(2-ベンゾイルフェニル)-L-チロシン誘導体を記載する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
明らかに、PPARγを調節する新規な治療剤を提供することは、大きな興味のあることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
発明の概要
本発明の一態様は、一般式I:
【化1】

[式中、
R1は2-ベンゾイルフェニルアミノ基であり;
R2は-(CH2)s-N(COR3)-A-J-Tまたは-(CH2)s-N(R4)-B-J-Tであり;
R3は適宜-F、-Cl、-Brおよび-O(C1-C4)アルキルから選択される一つ以上の置換基で置換されていてもよい-(C1-C10)アルキル;-(C2-C6)アルケニル;-(C2-C6)アルキニル;-(C1-C3)アルキレン-Y;-(C2-C3)アルケニレン-Y;-(C2-C3)アルキニレン-Yまたは-Yであり;
R4は適宜-F、-Cl、-Brおよび-O(C1-C4)アルキルから選択される一つ以上の置換基で置換されていてもよい-(C4-C10)アルキル;-(C2-C6)アルケニル;-(C2-C6)アルキニル;-(C1-C4)アルキレン-Y;-(C2-C4)アルケニレン-Y;-(C2-C4)アルキニレン-Yまたは-Yであり;
sは2または3であり;
Aは-(C1-C4)アルキレン-;-(C2-C4)アルケニレン-;-(C2-C4)アルキニレン-;-(C1-C4)アルキレン-Z-(ここに、アルキレン部分はN原子に結合し、ZはJに結合している);または-Z-であり;
Bは-(C4)アルキレン-;-(C2-C4)アルケニレン-;-(C2-C4)アルキニレン-;-(C1-C4)アルキレン-Z-(ここに、アルキレン部分はN原子に結合し、ZはJに結合している);または-Z-であり;
Jは以下の基:
a)-(CH2)1-4-、-O-、-S-、-SO-、-SO2-、-CO-、-OCO-、-COO-、-OCONR5-、-NR5COO-、-CONR5-、-NR5CO-、-NR5-、-NR5SO2-、-SO2NR5-;および
b)-O-(C1-C4)アルキル-、-(C1-C4)アルキル-O-、-S-(C1-C4)アルキル-、-(C1-C4)アルキル-S-、-SO-(C1-C4)アルキル-、-(C1-C4)アルキル-SO-、-SO2-(C1-C4)アルキル-、-(C1-C4)アルキル-SO2-、-OCO-(C1-C4)アルキル-、-COO-(C1-C4)アルキル-、-(C1-C4)アルキル-OCO-、-(C1-C4)アルキル-COO-、-OCONR5-(C1-C4)アルキル-、-NR5COO-(C1-C4)アルキル-、-(C1-C4)アルキル-OCONR5-、-(C1-C4)アルキル-NR5COO-、-CONR5-(C1-C4)アルキル-、-NR5CO-(C1-C4)アルキル-、-(C1-C4)アルキル-CONR5-、-(C1-C4)アルキル-NR5CO-、-NR5-(C1-C4)アルキル-、-(C1-C4)アルキル-NR5-、-SO2NR5-(C1-C4)アルキル-、-NR5SO2-(C1-C4)アルキル-、-(C1-C4)アルキル-SO2NR5-、-(C1-C4)アルキル-NR5SO2-
から選択される単結合またはビラジカルであり;
【0014】
Tは-H、-(C1-C4)アルキル、-(C2-C4)アルケニル、-(C2-C4)アルキニルまたは-Yであり;
Yは(C3-C6)シクロアルカン、シクロヘキセン、ヘテロ環、ベンゼンおよび二環式環から選択される環に由来するモノラジカルであり、ここに、これらすべての環は適宜-OH、-CHO、-SH、-NO2、-CN、-F、-Cl、-Br、-CO(C1-C4)アルキル、-COO(C1-C4)アルキル、-OCO(C1-C4)アルキル、-S(C1-C4)アルキル、-SO(C1-C4)アルキル、-SO2(C1-C4)アルキル、-SO2-O(C1-C4)アルキル、-O-SO2(C1-C4)アルキル、-NR5R6、-CONR5R6、適宜一つ以上の-OHまたは-Fで置換されていてもよい-(C1-C4)アルキル、および適宜一つ以上の-OHまたは-Fで置換されていてもよい-O(C1-C4)アルキルからなる群から選択される一つ以上の置換基で置換されていてもよく、該(C3-C6)シクロアルカン、シクロヘキセンおよび二環式環はまた、適宜一つ以上のオキソ(=O)置換基でも置換されていてもよく;
Zは(C3-C6)シクロアルカン、シクロヘキセン、ヘテロ環、ベンゼンおよび二環式環から選択される環に由来するビラジカルであり、ここに、これらすべての環は適宜-OH、-CHO、-SH、-NO2、-CN、-F、-Cl、-Br、-CO(C1-C4)アルキル、-COO(C1-C4)アルキル、-OCO(C1-C4)アルキル、-S(C1-C4)アルキル、-SO(C1-C4)アルキル、-SO2(C1-C4)アルキル、-SO2-O(C1-C4)アルキル、-O-SO2(C1-C4)アルキル、-NR5R6、-CONR5R6、適宜一つ以上の-OHまたは-Fで置換されていてもよい-(C1-C4)アルキル、および適宜一つ以上の-OHまたは-Fで置換されていてもよい-O(C1-C4)アルキルからなる群から選択される一つ以上の置換基で置換されていてもよく、該(C3-C6)シクロアルカン、シクロヘキセンおよび二環式環はまた、適宜一つ以上のオキソ(=O)置換基でも置換されていてもよく;
【0015】
R5およびR6は、独立して-Hまたは-(C1-C4)アルキルであり;
上記定義中のヘテロ環は、独立してO、SおよびNから選択される1〜3のヘテロ原子を含む5員または6員芳香環であり、ここに、該環は炭素または窒素原子により残りの分子に結合することができ;
上記定義中の二環式環は、独立してO、SおよびNから選択される1〜3のヘテロ原子を適宜含んでいてもよい、部分的に不飽和、飽和または芳香族の7〜10員環であり、ここに、該環は炭素または窒素原子により残りの分子に結合することができる]
で示される新規化合物、その立体異性体およびその混合物、その多形体およびその混合物、およびそれらすべての医薬的に許容される溶媒和物および付加塩の提供に関する。
【0016】
式Iの化合物は、PPARγモジュレータであり、それゆえ活性な医薬用物質として有用である。
【0017】
従って、本発明の別の態様は、有効量の式Iの化合物またはその医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物、および一つ以上の医薬的に許容される賦形剤を含む医薬組成物に関する。
【0018】
本発明の別の態様は、PPARγにより媒介される疾患の治療または予防のための医薬の製造のための式Iの化合物の使用に関する。本発明の別の態様は、それを必要とするヒトを含む対象における代謝疾患の治療または予防のための医薬の製造のための式Iの化合物の使用に関する。本発明の別の態様は、それを必要とするヒトを含む対象におけるインスリン非依存性糖尿病および肥満から選択される代謝疾患の治療または予防のための医薬の製造のための、式Iの化合物またはその医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物の使用に関する。本発明の別の態様は、それを必要とするヒトを含む対象におけるメタボリック症候群と関連する心疾患、炎症性疾患、癌、骨疾患、皮膚創傷治癒(skin wound healing)、表皮細胞の異常分化と関連する皮膚病、およびインスリン耐性が構成要素である他の障害の治療または予防のための医薬の製造のための、式Iの化合物またはその医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物の使用に関する。
【0019】
本発明の別の態様は、ヒトを含む哺乳動物に有効量の式Iの化合物またはその医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物を投与することを特徴とする、PPARγにより媒介される疾患の治療または予防方法に関する。本発明の別の態様は、ヒトを含む哺乳動物に有効量の式Iの化合物またはその医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物を投与することを特徴とする、代謝疾患の治療または予防方法に関する。本発明の別の態様は、ヒトを含む哺乳動物に有効量の式Iの化合物またはその医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物を投与することを特徴とする、インスリン非依存性糖尿病および肥満から選択される代謝疾患の治療または予防方法に関する。本発明の別の態様は、ヒトを含む哺乳動物に有効量の式Iの化合物またはその医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物を投与することを特徴とする、メタボリック症候群と関連する心疾患、炎症性疾患、癌、骨疾患、皮膚創傷治癒、表皮細胞の異常分化と関連する皮膚病、およびインスリン耐性が構成要素である他の障害の治療または予防方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
先の定義において、用語「アルキル」および「アルキレン」は、それぞれ指示数の炭素原子を有するモノラジカルまたはビラジカルの直鎖または分枝鎖の飽和炭化水素鎖を意味する。アルキルの例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
本明細書において用語「アルケニル」および「アルケニレン」は、それぞれ指示数の炭素原子を有し、一つ以上の二重結合も含む、モノラジカルまたはビラジカルの直鎖または分枝鎖の不飽和炭化水素鎖を意味する。アルケニルの例としては、エテニル、1-プロペニル、2-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、1,3-ブタジエニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、4-ペンテニル、1-ヘキセニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、4-ヘキセニル、5-ヘキセニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
本明細書において用語「アルキニル」および「アルキニレン」は、それぞれ指示数の炭素原子を有し、一つ以上の三重結合も含む、モノラジカルまたはビラジカルの直鎖または分枝鎖の不飽和炭化水素鎖を意味する。アルキニルの例としては、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル、1,3-ブタジイニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、3-ペンチニル、4-ペンチニル、1-ヘキシニル、2-ヘキシニル、3-ヘキシニル、4-ヘキシニル、5-ヘキシニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
本明細書において用語「ヘテロ環」は、独立してO、SおよびNから選択される1〜3のヘテロ原子を含む5員または6員単環式芳香環を意味する。先に述べられているように、これらのヘテロ環は、適宜一つ以上の置換基で置換されていてもよく、該置換基は、環のいずれの可能な位置にも置くことができ、いずれの可能な炭素または窒素原子によっても残りの分子に結合することができる。例としては、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、フラン、イミダゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、オキサゾール、ピラゾール、ピロール、チアゾール、チオフェン、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ピラジン、ピリダジン、ピリジン、ピリミジンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
本明細書において用語「(C3-C6)シクロアルカン」は、指示数の炭素原子を有する飽和単環式炭素環を意味する。先に述べられているように、これは適宜一つ以上の置換基で置換されていてもよく、該置換基は、環のいずれの可能な位置にも置くことができる。(C3-C6)シクロアルカンの例としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタンおよびシクロヘキサンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
本明細書において用語「二環式環」は、独立してO、SおよびNから選択される1〜3のヘテロ原子を適宜含んでいてもよい、部分的に不飽和、飽和または芳香族の7〜10員環を意味し、ここに、該環は、炭素または窒素原子により残りの分子に結合することができる。先に述べられているように、これは、適宜一つ以上の置換基で置換されていてもよく、該置換基は、環のいずれの可能な位置にも置くことができる。二環式環基の例としては、他のもののうち、ナフタレン、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、キノリン、1,2,3,4-テトラヒドロキノリン、イソキノリン、ベンゾフラン、2,3-ジヒドロベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[3.2.1]オクタンおよびビシクロ[3.2.2]ノナンが挙げられる。
【0026】
表現「適宜一つ以上(の置換基)で置換されていてもよく」は、基が非置換であるか、または一つ以上、好ましくは1、2、3または4の置換基で置換されていることができることを意味するが、但し、該基は置換が可能な1、2、3または4の位置を有する。
【0027】
本明細書および特許請求の範囲中、単語「を含む」、および「含んでいる」などのその単語の変形は、他の添加、成分、要素または工程を排除するものではない。本出願に伴う要約および優先権を主張する出願における開示は、本明細書にそのまま引用される。
【0028】
本明細書において用語「治療」は、上記病態の治療、予防および管理を含む。本明細書において用語「医薬的に許容される」は、医学的判断の範囲内において、過剰な毒性、炎症、アレルギー反応または他の問題もしくは合併症を伴わずに、適度な利益/危険性比に応じた、ヒトおよび動物の組織との接触における使用に適切な化合物、組成物および/または投薬形態を意味する。
【0029】
本発明の式Iの化合物は、少なくとも一つのキラル中心を含む。本発明は、ラセミ化合物および鏡像異性体化合物、すなわち以下に示されるように、式Iaで示される化合物(式中、R1に結合しているキラル炭素の立体配置は(S)である)および式Ibで示される化合物(式中、R1に結合しているキラル炭素の立体配置は(R)である)の両方を含む。
【化2】

【0030】
本発明の特有の具体的態様において、R1に結合しているキラル炭素の立体配置は(S)である。
【0031】
式IまたはIaで示される化合物における別の具体的態様において、R2は-(CH2)s-N(COR3)-A-J-Tである。式IまたはIaで示される化合物における別の具体的態様において、R2は-(CH2)s-N(R4)-B-J-Tである。式IまたはIaで示される化合物における別の具体的態様において、Jは単結合であり、Tは-Hである。式IまたはIaで示される化合物における別の具体的態様において、Jは-(CH2)1-4-、-O-、-S-、-SO-、-SO2-、-O(C1-C4)アルキル-または-S(C1-C4)アルキル-である。式IまたはIaで示される化合物における別の具体的態様において、Tは-Hまたは-(C1-C4)アルキルである。
【0032】
式IまたはIaで示される化合物における別の具体的態様において、R2は-(CH2)s-N(COR3)-A-J-Tであり;R3は適宜-F、-Cl、-Brおよび-O(C1-C4)アルキルから選択される一つ以上の置換基で置換されていてもよい-(C1-C10)アルキル;-(C2-C6)アルケニル;-(C1-C3)アルキレン-Y;-(C2-C3)アルケニレン-Y;-(C2-C3)アルキニレン-Yまたは-Yであり;R3におけるYは(C3-C6)シクロアルカン、ヘテロ環、ベンゼンおよび二環式環から選択される環に由来するモノラジカルであり、ここに、これらすべての環は、上記に定義されているように適宜置換されていてもよい。
【0033】
式IまたはIaで示される化合物における別の具体的態様において、R2は-(CH2)s-N(COR3)-A-J-Tであり;Aは-(C1-C4)アルキレン-;-(C1-C4)アルキレン-Z-または-Z-であり;AにおけるZは(C3-C6)シクロアルカン、ヘテロ環、ベンゼンおよび二環式環から選択される環に由来するビラジカルであり、ここに、これらすべての環は、-F、-Cl、-Br、-S(C1-C4)アルキル、適宜一つ以上の-OHまたは-Fで置換されていてもよい-(C1-C4)アルキル、および適宜一つ以上の-OHまたは-Fで置換されていてもよい-O(C1-C4)アルキルから選択される一つ以上の置換基で適宜置換されていてもよく;Jは単結合であり;Tは-Hである。
【0034】
式IまたはIaで示される化合物における別の具体的態様において、R2は-(CH2)s-N(COR3)-A-J-Tであり;Aは-(C1-C4)アルキレン-;-(C1-C4)アルキレン-Z-または-Z-であり;AにおけるZは(C3-C6)シクロアルカンおよびベンゼンから選択される環に由来する非置換ビラジカルであり;Jは単結合であり;Tは-Hである。
【0035】
式IまたはIaで示される化合物における別の具体的態様において、R2は-(CH2)s-N(R4)-B-J-Tであり;R4は適宜-F、-Cl、-Brおよび-O(C1-C4)アルキルから選択される一つ以上の置換基で置換されていてもよい-(C4-C10)アルキル;-(C1-C4)アルキレン-Y;または-Yであり;R4におけるYは(C3-C6)シクロアルカン、ヘテロ環、ベンゼンおよび二環式環から選択される環に由来するモノラジカルであり、ここに、これらすべての環は、上記に定義されているように適宜置換されていてもよい。
【0036】
式IまたはIaで示される化合物における別の具体的態様において、R2は-(CH2)s-N(R4)-B-J-Tであり、Bは-(C1-C4)アルキレン-Z-または-Z-であり;BにおけるZは(C3-C6)シクロアルカン、ヘテロ環、ベンゼンおよび二環式環から選択される環に由来するビラジカルであり、ここに、これらすべての環は、上記に定義されているように適宜置換されていてもよく;Jは単結合であり;Tは-Hである。
【0037】
さらに、上記に述べられている具体的態様のすべての可能な組合せもまた、本発明の一部を形成する。
【0038】
本発明化合物は、一つ以上の塩基性窒素原子を含むことができ、それゆえ酸との塩を形成することができ、これもまた本発明の一部を形成する。医薬的に許容される塩の例としては、他のもののうち、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、過塩素酸、硫酸およびリン酸などの無機酸との付加塩、ならびに酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、マンデル酸、シュウ酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸およびマレイン酸などの有機酸との付加塩が挙げられる。同様に、本発明化合物は、一つ以上の酸プロトンを含むことができ、それゆえ塩基との塩を形成することができ、これもまた本発明の一部を形成する。これらの塩の例としては、例えばアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンまたはアルミニウムイオンなどの金属カチオンとの塩が挙げられ;または有機もしくは無機塩基を有する有機物で配位されていることがある。許容される有機塩基としては、他のもののうち、ジエチルアミンおよびトリエチルアミンが挙げられる。許容される無機塩基としては、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムおよび水酸化ナトリウムが挙げられる。電荷を有する官能基の数およびカチオンおよびアニオンの価数に応じて、二以上のカチオンまたはアニオンがあり得る。
【0039】
医薬的に許容される有機無毒性塩基に由来する塩としては、第一級、第二級および第三級アミンの塩が挙げられ、置換アミンはアルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N-ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2-ジエチルアミノエタノール、2-ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N-エチルモルホリン、エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどの天然置換アミン、環状アミンおよび塩基性イオン交換樹脂を含む。
【0040】
用いうる塩の種類は限定されないが、但し、治療目的に用いるとき、これらは医薬的に許容されるものである。塩は、従来の化学的方法により塩基性または酸性部分を含む親化合物から合成することができる。一般に、そのような塩は、水または有機溶媒、例えばエーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノールもしくはアセトニトリルまたは両者の混合物中における、これらの化合物の遊離酸または遊離塩基の形態と化学量論量の適当な塩基または酸との反応により製造することができる。式Iの化合物およびその塩は、いくつかの物理的性質において異なるが、本発明の目的については等価である。
【0041】
いくつかの本発明の式Iの化合物は、非溶媒和物形態ならびに溶媒和物形態、例えば水和物にて存在することができる。本発明は、医薬的に活性なそのようなすべての上記の形態を包含する。
【0042】
いくつかの一般式Iの化合物は、多形性を示すことができ、本発明は、すべての可能な多形体およびその混合物を包含する。種々の多形体は、異なる条件下結晶化するか、または化合物を加熱もしくは融解した後、段階的にもしくは急速に冷却することにより製造することができる。多形体の存在は、固体NMR分光分析、IR分光分析、示差走査熱量測定、粉末X線回折またはそのような他の手法により測定することができる。
【0043】
本発明の式Iの化合物は、少なくとも一つのキラル中心を含む。さらに、本発明の式Iの化合物は、さらなるキラル中心を有することができる。本発明は、それぞれ一つの可能な立体異性体およびその混合物、特にそのラセミ混合物を含む。単一の鏡像異性体は、いずれの一般に用いられる方法によっても製造することができ、例えば固定キラル相におけるラセミ混合物のクロマトグラフ分離、そのジアステレオマー塩の分別結晶法によるラセミ混合物の分割、キラル合成、酵素分割または生体内変換により製造することができる。この分割は、いずれのキラル合成中間体または一般式Iの生成物にても行うことができる。あるいは、一般式Iの化合物のいずれの鏡像異性体も、光学的に純粋な既知の立体配置の出発物質または試薬を用いたエナンチオ選択的な合成により得ることができる。
【0044】
いくつかの本発明化合物は、いくつかのジアステレオマーとして存在することができ、これは、クロマトグラフィーまたは分別結晶などの従来の方法により分離することができる。いくつかの本発明化合物は、シス/トランス異性体を示すことができる。本発明はそれぞれの幾何異性体およびその混合物を含む。本発明は、合成により得られようと、物理的混合により得られようと、すべての異性体およびその混合物(例えばラセミ混合物)を含む。
【0045】
本発明は、上記新規化合物、その誘導体、その類似体、その互変異性体、その立体異性体、その多形体またはその医薬的に許容される塩および溶媒和物の製造方法に関する。
【0046】
本発明化合物は、以下に記載の方法、ならびに有機合成分野にて知られる他の方法を用いて合成することができる。好ましい方法は、本明細書中の反応式に示される一般的方法を含むが、これらに限定されない。特に明記されなければ、R1、R2、R3、R4、R5、R6、s、A、B、JおよびT基は、一般式I記載の意味を有する。
【0047】
式Iの化合物は一般に、式IIの化合物(ここに、R7は(C1-C4)アルキルである)の加水分解により得ることができる。この反応は、アルカリ水酸化物などの塩基の存在下、テトラヒドロフラン、水性メタノールまたはその混合物などの溶媒中、室温〜溶媒の沸点温度からなる温度、好ましくは室温にて行うことができる。
【化3】

【0048】
式IIの化合物は、上記反応式に示されるように、ウィリアムソンのエーテル合成(例えば文献(Bal-Tembe et al., Bioorg. Med. Chem. 1997, 5, 1381-1388; Cantello et al., J. Med. Chem. 1994, vol. 37, p. 3977-3985またはEP 875510)を参照のこと)または光延条件(Mitsunobu, Synthesis 1981, 1; Hughes, Org. React. 1992, 42, 335)により得ることができる。
【0049】
第一の場合、フェノールエステルIIIは、R2-LG(IVa)(ここに、LGは例えば-Cl、-Br、-Iなどのハロゲン、またはメシレート、トシレートもしくはノシレートなどのアルキルスルホネートもしくはアリールスルホネートなどの脱離基である)と反応することができる。この反応は、NaH、K2CO3またはCs2CO3などの塩基の存在下、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトンまたは酢酸エチルなどの溶媒中、室温〜溶媒の沸点温度からなる温度、好ましくは加熱条件下行う。
【0050】
第二の場合、式IIIの化合物は、溶媒としてのテトラヒドロフラン中、室温〜溶媒の沸点温度からなる温度、好ましくは室温にて、例えばアゾジカルボン酸ジエチル(DEAD)およびトリフェニルホスフィンを用いて式R2-OH(IVb)のアルコールと反応させることができる。
【0051】
式IaおよびIbの単離された鏡像異性体は、式Iの化合物をキラル分割するか、またはそれぞれ対応するキラル化合物IIIaおよびIIIbから出発するかのいずれかにより得ることができる。
【化4】

【0052】
式IIの化合物(ここに、R2は-(CH2)s-N(COR3)-A-J-Tである)(すなわち式IIaの化合物)はまた、式Vaの化合物と式R3-COX(VIa)の化合物(ここに、Xはハロゲン、好ましくはClである)とのアシル化によっても得ることができる。
【化5】

【0053】
本反応は、トリエチルアミンなどの塩基の存在下、ジクロロメタンまたは酢酸エチルなどの溶媒中、室温〜溶媒の沸点温度からなる温度にて行う。
【0054】
いくつかの式IIaの化合物はまた、化合物Vaと式VIbの対応する酸との反応によっても得ることができる(例えば文献(Elmore, Amino Acids Pep. Proteins 2001, 32, 107-162)を参照のこと)。この反応は、酢酸エチルまたはテトラヒドロフランなどの溶媒中、室温〜溶媒の沸点温度からなる温度にて、トリエチルアミンなどの塩基の存在下、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド(EDC)と1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)との組合せなどのカップリング剤の存在下行う。
【0055】
いくつかの式IIの化合物(ここに、R2は-(CH2)s-N(R4)-B-J-Tである)(すなわち式IIbの化合物)はまた、式Vbの化合物と式R4-LG(VII)のアルキル化剤(ここに、LGは先に記載の意味を有する)との反応によっても得ることができる。
【化6】

【0056】
本反応は、K2CO3などの塩基の存在下、N,N-ジメチルホルムアミドまたはアセトニトリルなどの適切な溶媒中、室温〜溶媒の沸点温度、好ましくは室温にて行う。
【0057】
あるいは、式IIの化合物は、Wangまたは2-クロロトリチル樹脂などの異なる種類のポリマー固相樹脂を用いた固相合成(Collins et al. J. Med. Chem. 1998, 41, 5037-5054)により得ることができる。式IIIの化合物は、文献(Cobb et al., J. Med. Chem. 1998, 41, 5055-69)に記載のものと同様の手順に従い製造することができる。
【0058】
化合物IVaおよびIVb(ここに、R2は-(CH2)s-N(R4)-B-J-Tである)(すなわちそれぞれ式IVaaおよびIVbaの化合物)は、反応式:
【化7】

で示されるようにして得ることができる。
【0059】
化合物VIIIは、化合物VaとVIaとの反応により化合物IIaを得る反応と同じ条件下、式IXの化合物によりアシル化され、式Xの化合物(ここに、R9は-CO2(C1-C4)アルキルまたは-OCO(C1-C4)アルキルである)を得る。ジエチルエーテル中における水素化アルミニウムリチウムなどの還元剤による化合物Xの還元により、化合物IVbaを得る。
【0060】
あるいは、化合物VIIIは、式XIのアルキル化剤と反応し、化合物IVbaを得ることができる(Daoud et al., J. Indian Chem. Soc. 1989, 66, 316-318)。式IVaaの化合物は、化合物IVbaのヒドロキシル基を脱離基に変換することにより得られる。本反応は、ピリジンまたはトリエチルアミンなどの塩基の存在下、ジクロロメタンまたはクロロホルムなどの溶媒中、塩化メタンスルホニルなどのハロゲン化スルホニルを用いて行うことができる。あるいは、化合物IVbaは、テトラヒドロフランなどの溶媒中SOCl2などのハロゲン化剤と反応することができる。
【0061】
化合物VIIIはまた、VIIIのIVbaへの変換について記載されているものと同じ条件下、式XIIの化合物(ここに、LGはそれぞれ、独立して上記に定義されている脱離基である)との反応により式IVaaの化合物に直接変換することもできる。
【化8】

【0062】
式Vの化合物(式VaおよびVbの化合物を含む)は、反応式:
【化9】

で示される二つの異なる一連の合成を用いて得ることができる。
【0063】
フェノールIIIは、式XIVaまたはXIVbの保護アミンと反応し、式XIIIの化合物(ここに、R8は-A-J-Tまたは-B-J-Tであり、LGは先に記載の脱離基であり、PGは例えばトリフルオロアセチルまたは2-ニトロベンゼンスルホニルなどの保護基である)を得ることができる。反応は式IIIの化合物の式IIの化合物への変換について記載のものと同じ条件下行う。次いで化合物Vは、化合物XIIIの脱保護により得られる。本反応は、保護基の性質(例えばトリフルオロアセトアミド基について文献(Harland et al. Synthesis 1984, 941-43, Hirschmann et al. J. Amer. Chem. Soc. 1993, 12550-12568)および2-ニトロベンゼンスルホニルアミド基について文献(Lin et al. tetrahedron Letters 2000, 3309-3313 for the)を参照のこと)に応じて異なる条件下行う。
【0064】
あるいは、式Vの化合物は、ウィリアムソンのエーテル合成によりフェノールIIIと式XVaの第二級アミンとの反応により得ることができる。式VIIIの化合物は市販されているか、または例えば文献(WO 03/53966またはEP 875510)に記載のものと同様の方法により製造することができる。化合物XIVaおよびXIVbは、式XVの対応する保護されていないアミンと保護基の反応により得ることができる(文献(Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley&Sons, 3rd Edition, 1999)を参照のこと)。
【0065】
式XVの化合物は、合成反応式:
【化10】

を用いて得ることができる。
【0066】
化合物XVIは、化合物VaとVIaの反応により化合物IIaを得る反応と同じ条件下、アシル化して化合物XVIIを得る。化合物XVIIの還元は、化合物Xの還元について記載の条件下、化合物XVbを得る。アミノ基がヒドロキシル基よりも反応性が低い化合物XVbは、IVbaのIVaaへの変換について記載の条件下、化合物XVaに変換することができる。
【0067】
さらに、式XVcの化合物は、式XVIIIの化合物から出発して得ることができる。
【化11】

【0068】
本変換は、1,2-ジクロロエタンなどの溶媒中、トリアセトキシボロヒドリドまたはシアノボロヒドリドなどの還元剤の存在下、式R10-CHOのアルデヒド(XIX)(ここに、R10はNに結合している基が-CH2であるR8である)との反応により行うことができる。あるいは、化合物XVIIIは、化合物XXまたはその誘導体と反応し、先に記載の対応するアミドを得ることができる。得られた生成物の還元は、式XVcの化合物を生じる。化合物VIa、VIb、VII、IX、XI、XII、XVI、XVIII、XIXおよびXXは、市販されているか、または従来の方法により容易に得ることができる。
【0069】
当業者に明らかなように、上記のいくつかの反応はまた、式Iの化合物にて行うこともできる。
【0070】
本発明化合物は、PPARγレセプターのリガンドである。それゆえ、それらは予期されるように、それを必要とするヒトを含む対象におけるPPARγにより媒介される病態の治療または予防に有用である。
【0071】
従って、本発明は、代謝疾患、メタボリック症候群と関連する心疾患(血管再狭窄など)、炎症性疾患、癌、骨疾患(特に骨粗鬆症)、皮膚創傷治癒、表皮細胞の異常分化と関連する皮膚病、特にケロイドの形成、およびシンドロームXなどのインスリン耐性が構成要素である他の障害の治療または予防のための医薬の製造のためのこれらの化合物の使用に関する。
【0072】
例として、治療または予防することができる代謝疾患としては、インスリン非依存性糖尿病、肥満、高コレステロール血症(HDLレベルの上昇など)、異常脂質血症(高脂血症および高トリグリセリド血症など)、および他の脂質媒介疾病が挙げられる。
【0073】
例として、治療または予防することができる炎症性疾患としては、関節リウマチ、アテローム性動脈硬化症、乾癬、炎症性大腸炎および膵炎が挙げられる。
【0074】
本明細書に記載の化合物は、これらの疾患もしくは病態を別々に治療するために用いることができるか、または肥満の治療とともに治療するために用いることができる。
【0075】
本発明はさらに、式Iの化合物またはその医薬的な塩もしくは溶媒和物を一つ以上の医薬的に許容される賦形剤とともに含む医薬組成物を、単回用量または複数回用量のいずれかにて提供する。以下に記載の賦形剤の例は、例示のためにのみ与えられ、本発明の範囲を限定するものとして解釈すべきではない。
【0076】
本発明化合物は、いずれの医薬製剤の形態にても投与することができる。医薬製剤は、活性化合物の性質およびその投与経路次第であろう。いずれの投与経路も用いることができ、例えば経口投与、口腔投与、経肺投与、局所性投与、非経口投与(皮下、筋肉内および静脈内など)、経皮投与、眼内投与(眼性)、吸入投与、経鼻投与、経耳投与(otic)、経粘膜投与、埋め込み投与または直腸投与などである。しかし、経口投与、局所性投与または非経口投与が好ましい。
【0077】
経口投与のための固体組成物としては、他のもののうち、錠剤、顆粒剤および硬ゼラチンカプセルが挙げられ、即時放出製剤または放出調節製剤の両方として製剤化される。
【0078】
製造方法は、活性化合物と賦形剤との、単純混合、乾式造粒、湿式造粒または凍結乾燥に基づくことができる。これらの賦形剤は、シロップ、アカシア、ゼラチン、ソルビトール、トラガカントゴム、トウモロコシデンプンまたはポリビニルピロリドンなどの結合剤;ラクトース、糖質、微結晶性セルロース、トウモロコシ(maize)デンプン、リン酸カルシウムまたはソルビトールなどの充填剤;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、ポリエチレングリコールまたはシリカなどの滑沢剤;ジャガイモデンプン、アルギン酸またはデンプングリコール酸ナトリウムなどの崩壊剤;ラウリル硫酸ナトリウムなどの湿潤剤、スクロース、ラクトース、デキストロース、マンニトール、ソルビトールまたはサッカリンなどの甘味剤;ヒドロキシプロピルセルロース、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(イソブチレン)、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどの生体接着剤;三ケイ酸マグネシウム、粉末セルロース、デンプン、タルクまたは三塩基性リン酸カルシウムなどの流動促進剤;コロイド状二酸化ケイ素などのフロー促進剤(flow enhancer);キサンタンゴム、エチルセルロース、カルボマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースもしくは蝋などの放出調節剤または重炭酸カリウムもしくは塩化ナトリウムなどの浸透圧性薬剤であることができる。
【0079】
錠剤は、水性分散コーティング、溶媒型(solvent-based)コーティングまたは乾燥コーティングなどの当業者によく知られている方法によりコーティングすることができる。活性化合物はまた、フィルムコーティング剤を用いた不活性ペレット上へのコーティングにより、押し出しおよび球形化工程により、熱融解ペレット化により組み込むこともできるか、またはトローチもしくはロゼンジの形態であることができる。単位投与形態は、カプセルであるとき、上記種類の物質に加えて、脂肪油または蝋などの液体担体を含むことができる。
【0080】
水の添加による経口懸濁液の調製のための散剤および顆粒剤は、活性化合物と分散剤または湿潤剤;懸濁剤、固化防止剤、緩衝剤および保存剤との混合により得ることができる。他の賦形剤、例えば甘味料、香料および着色料もまた、加えることができる。
【0081】
あるいは、本発明化合物は、乳剤、溶液剤、分散剤、懸濁剤、シロップ、エリキシルなどの経口液体製剤または軟ゼラチンカプセルの形態にて組み込むことができる。それらは、精製水、エタノール、ソルビトール、グリセロール、ポリエチレングリコール(マクロゴール)およびプロピレングリコールなどの一般的に用いられる不活性希釈剤を含むことができる。補助成分はまた、湿潤剤、懸濁剤、甘味料、香料、保存剤、緩衝剤、キレート剤および抗酸化剤などのコアジュバント(coadjuvant)も含むことができる。
【0082】
溶液剤または懸濁剤は、ラウリル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤と適切に混合された水中にて調製することができる。分散剤はまた、油中のグリセロール、液体ポリエチレングリコールおよびその混合物中にて調製することもできる。貯蔵および使用の通常条件下、これらの製剤は微生物の増殖を予防するための保存剤を含む。さらに、これらの化合物を含む製剤は、使用前に水または他の適切なビヒクルとともに乾燥製品構成物として存在することができる。
【0083】
非経口投与のための注射用製剤は、油性または水性ビヒクル中の滅菌溶液剤、懸濁剤または乳剤を含み、懸濁剤、安定化剤、等張化剤または分散剤などのコアジュバントを含むことができる。
【0084】
経鼻投与について、製剤はエアロゾル適用のために、液体担体、特に水性担体中に溶解または懸濁している式Iの化合物を含むことができる。担体は、可溶化剤、例えばプロピレングリコール、界面活性剤、レシチン(ホスファチジルコリン)もしくはシクロデキストリンなどの吸収促進剤、またはパラベンなどの保存剤などの添加剤を含むことができる。
【0085】
本化合物はまた、その局所適用のために製剤化することもできる。製剤としては、クリーム、ローション、ゲル、散剤、溶液剤、シャンプー製剤、経口ペースト、うがい製剤および貼付剤(ここに、化合物は適切な賦形剤中に分散または溶解している)が挙げられる。これらの賦形剤は、イミド尿素、プロピルパラベン、プロピレングリコールまたはメチルパラベンなどの抗菌性保存剤;セチルアルコール、メチルセルロース、ポロキサマー(poloxamer)または中鎖トリグリセリドなどの乳化剤;モノステアリン酸グリセリル、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、シクロデキストリンまたは蝋などの乳化安定剤;トリアセチン、グリセリン、プロピレングリコールまたはソルビトールなどの保湿剤;ミリスチン酸イソプロピル(isopropyl miristate)などの浸透促進剤;リンゴ酸、クエン酸カリウムまたは二塩基性リン酸ナトリウムなどの緩衝剤;ドキュセート・ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベートまたはソルビタンエステルなどの界面活性剤;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースまたはポリエチレンオキシドなどの増粘剤であることができる。
【0086】
活性成分の有効な投与量は、他の因子のうち、投与される特定の化合物、投与経路、治療される疾患の性質および重篤度、ならびに患者の年齢、一般的状態および体重に応じて変化することができる。適切な投与範囲の代表的な例は、約0.001〜約100 mg/体重Kg/日であり、これを単回用量または分割用量として投与することができる。しかし一般に、投与される用量は医師の判断に委ねられるだろう。
【0087】
PPARγ2結合アッセイ
hPPARγ2のオープン・リーディング・フレームをコード化するcDNAを、PCR(ポリメラーゼ鎖反応)により増幅し、プラスミドpGEX-4T-2に挿入した。グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として過剰発現し、半精製された、この構築物(pGEX-hPPARγ)を大腸菌に導入した(Elbrecht et al., J. Biol. Chem. 1999, 274, 7913-7922)。該化合物のGST-hPPARγ2への結合は、Lehmannら(J. Biol. Chem. 1995, 270, 12953-12957)により記載の方法における改変により決定した。レセプター2.5μgを生成物の存在下または非存在下、KCl 50 mMおよびDTT 10 mMを含む最終容積200μLの緩衝液Tris-HCl 10 mM pH:8.0中、96ウェルプレート中にて3時間4℃で[3H]BRL-49853(100 nM)とインキュベーションした。非特異的結合はBRL-49853 100μMの存在下、測定した。反応混合物を各ウェルにグルタチオン-セファロース4Bを含むマルチスクリーン・デュラポア(ミリポア製)マイクロプレートに移した。反応混合物を10分間樹脂とインキュベーションし、次いで735 gにて2分間遠心分離した。樹脂に結合したレセプターを解離するために、還元グルタチオン10 mMを加え、10分間インキュベーションする。レセプターを遠心分離により溶出した。次いで、シンチレーション液体を溶液に加え、含有放射能を液体シンチレーション分光学により定量した(Microbeta Wallac, Perkin Elmer)。
【0088】
LBD-hPPARトランス活性化アッセイ
COS-7細胞を、24ウェルプレートにて培養し、PPARγLBDと融合したGAL4 DNA結合ドメインを含むキメラタンパク質をコード化するpFACMVプラスミドとトランスフェクトさせた。前記構築物についてのレポータープラスミドはpFR-Lucであり、これはルシフェラーゼ遺伝子の転写を制御するプロモーターの前のGAL4応答要素の5つの繰り返しを含む。リポフェクトアミンをトランスフェクション剤として用いた。
キメラレセプターおよびレポーター遺伝子のプラスミドを、培養物中のCOS-7細胞における一時的なトランスフェクションにより細胞に挿入した。生成物を48時間培養物に加えたとき、ルシフェラーゼ活性はPPAR活性調節のレポーター構築物の転写への効果を示した(Wright et al., J. Biol. Chem. 2000, 275, 1873)。
【0089】
ヒトPPARγ2のクローニング
ヒトPPAR cDNAは、RT-PCRにより増幅させた。hPPARγ2について、RNAはヒト白色脂肪組織から得た。それぞれの増幅したフラグメントは、pBluescript(Stratagene(登録商標))にクローン化し、配列した。それぞれの構築物について、クローンを一つ選択し、さらなるサブクローニングおよびPCR増幅のためのテンプレートとして用いた。
【0090】
GST融合タンパク質構築
このキメラタンパク質を生成するために、ヒトPPARの完全なcDNAをpGEX4T2(Amersham Biosciences)にクローン化した。フラグメントはエンドヌクレアーゼにより要約されたpBluescript-cDNAクローンから得た。プラスミド同一性を分析し、タンパク質の同相クローニングを確認するために、pGEX構築を配列した。GST-hPPARγ2融合タンパク質を大腸菌(BL21菌株DE3)に生成した。細胞をLB培地中、A600=1.6 oduの密度に培養し、イソプロピル-1-チオ-β-D-ガラクトピラノシド(IPTG)誘導培養物の添加により過剰発現のために誘導し、最終濃度0.5 mMとした。IPTG誘導培養物を室温にて一晩(o/n)増殖した後、細胞を5000 g、15分間の遠心分離により集菌した。超音波処理後、製造業者により推奨される手順に従い、グルタチオン-セファロース樹脂を用いてGST融合タンパク質を細胞ペレットから精製した(Amersham Pharmacia Biotech)。過剰のグルタチオンを4℃における透析により一晩除去した。レセプター純度はSDS-PAGEにより評価し、タンパク質含有量はBradford法により測定した。レセプターのアリコートを使用まで-80℃にて貯蔵した。
【0091】
第1表において、いくつかの本発明化合物の親和性および機能活性データを示す。
【表1】

【0092】
本発明のさらなる目的、利点および新規な特徴は、本明細書の一部に記載され、一部は本明細書の実施例により当業者に明らかであるか、または本発明の実践により確認することができる。本発明は、次の実施例によりさらに例示されよう。実施例は例示のためのみで与えられ、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【実施例】
【0093】
本明細書に用いられる異なる化合物の命名は、IUPACの体系的命名法を用いたBeilstein Institute製AUTONOMソフトウェア(自動命名)に基づく。
【0094】
LC-MSスペクトルは次のクロマトグラフ装置を用いて行った:選択的質量検出器モデル1100 VL、オートサンプラー、ChemStationソフトウェアおよびレーザープリンターを備えたHewlett-Packard model 1100(質量分析イオン化モード: 陽イオン検出を伴う大気圧イオン化)および次のクロマトグラフ法を用いた:
方法A: カラムKromasil 100 C18, 40×4.0 mm、3.5μm、流速: 0.7 mL/分、溶離液: A=水中0.1%ギ酸、B=アセトニトリル中0.1%ギ酸、勾配: 0分5%B〜8分90%B。
方法B: カラム: Gemini 5u C18 110, 40×4.0 mm、流速: 0.7 mL/分、溶離液: A=水中0.1%ギ酸、B=アセトニトリル中0.1%ギ酸、勾配: 0分5%B〜8分90%B。
【0095】
化合物の1H-NMRスペクトルをVARIAN GEMINI-200 MHzおよびVARIAN UNITY-300 MHz装置を用いて記録し、ケミカルシフトは、内部標準TMSからのppm(δ)として示す。質量スペクトルはAgilent 1100 VL質量分析により得た。
【0096】
次の省略を実施例において用いている:
DEAD: アゾジカルボン酸ジエチル
DMF: N,N-ジメチルホルムアミド
EDC: 1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド
eq: モル当量
EtOAc: 酢酸エチル
HOBT: 1-ヒドロキシベンゾトリアゾール
LC-MS: 液体クロマトグラフィー質量分析
rt: 保持時間
THF: テトラヒドロフラン
TMS: トリメチルシラン
【0097】
中間体IIIaおよびIIIb:
式IIIaおよびIIIbの化合物は、文献(Cobb et al., J. Med. Chem. 1998, 41, 5055-69)に記載のものと同様の手順に従い、製造することができる。
IIIa_1: (S)-2-(2-ベンゾイルフェニルアミノ)-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルエステル; rt: 7.357, MS [M+1]+: 376.
IIIb_1: (R)-2-(2-ベンゾイルフェニルアミノ)-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルエステル; rt: 7.357, MS [M+1]+: 376.
【0098】
中間体XIII:
第2表に示される式XIIIの化合物は、フェノールIIIおよび式XIVaまたはXIVbのアミン誘導体から出発し、以下に記載の手順A-Dの一つに従って得た。
【0099】
手順A: 無水炭酸カリウム(3 eq)および化合物XIVa(1.3 eq)を含むEtOAc中のフェノールIII(1 eq)の0.5 M懸濁液を18時間還流した。次いで、懸濁液を冷却し、白色固体をろ過した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0100】
手順B: 炭酸セシウム(3 eq)、化合物XIVa(1.3 eq)およびヨウ化カリウム(触媒量)を含む無水DMF中のフェノールIII(1 eq)の0.5 M懸濁液を80℃にて18時間加熱した。次いで、懸濁液を室温にて冷却し、水およびEtOAcで処理した。有機層を食塩水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0101】
手順C: 触媒量のヨウ化カリウムを含む無水DMF中のフェノールIII(1 eq)の0.1 M溶液に、水素化ナトリウム(60%, 1.1 eq)を加えた。得られた懸濁液を室温にて1時間撹拌した後、化合物XIVa(1.1 eq)を加えた。反応混合物を80℃にて18時間撹拌した後、室温まで冷却した。水およびEtOAcで処理した後、有機層を食塩水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0102】
手順D: 化合物XIVb(2.2 eq)およびトリフェニルホスフィン(2.2 eq)を含むTHF中のフェノールIII(1 eq)の0.2 M溶液に、DEAD(2.2 eq)を不活性雰囲気下加えた。溶液を室温にて18時間撹拌した。次いで、溶媒を減圧留去し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0103】
【表2−1】

【0104】
【表2−2】

【0105】
中間体V:
第3表に示される式Vの化合物は、フェノールIIIおよび式XVaのアミン誘導体から出発し、上記手順A-Cの一つに従うか、あるいは、化合物XIIIから出発し、以下に記載の手順E-Fを用いて得た。
【0106】
手順E: THF:メタノール(3:1)の混合物中の化合物XIII(1 eq)(PG=トリフルオロアセチル)の0.1 M溶液に、水酸化リチウム(5 eq)の1 M水溶液を加えた。溶液を室温にて18時間撹拌した後、水/EtOAcの混合物で希釈し、次いで1 N塩酸でpH=5まで酸性化した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をメタノールに再溶解させ、0.1 M溶液を得、これを塩化チオニル(3.2 eq)で処理した。溶液を18時間還流した後、室温まで冷却させた。溶媒を減圧留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0107】
手順F: 化合物XIII(PG=2-ニトロベンゼンスルホニル, 1 eq)のチオフェノール(1 eq)を含むDMF中の0.1 M溶液に、KOtBu(2 eq)を加えた。溶液を室温にて6時間撹拌した後、水/EtOAcの混合物で希釈した。有機層を食塩水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0108】
【表3−1】

【0109】
【表3−2】

【0110】
【表3−3】

【0111】
【表3−4】

【0112】
【表3−5】

【0113】
中間体II:
第4表に示される式IIの化合物は、フェノールIIIおよび式IVaまたはIVbの化合物から出発し、上記手順A-Dの一つに従って得た。
【表4−1】

【0114】
【表4−2】

【0115】
【表4−3】

【0116】
【表4−4】

【0117】
【表4−5】

【0118】
【表4−6】

【0119】
【表4−7】

【0120】
【表4−8】

【0121】
【表4−9】

【0122】
【表4−10】

【0123】
中間体IIa:
第5表に示される式IIaの化合物は、化合物Vaおよび式VIaまたはVIbの化合物から出発し、上記手順G-Hの一つに従って得た。
手順G: ジクロロメタンまたはEtOAc中の化合物Va(1 eq)の0.2 M溶液に、トリエチルアミン(3 eq)および塩化アシルVIa(1.2 eq)の溶液を加えた。18時間撹拌した後、粗製物を5%NaHCO3で処理した。有機層を5%NaHCO3で2回および食塩水で1回洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。溶媒を減圧留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製した。
手順H: HOBT(1.5 eq)およびEDC(1.5 eq)を含むEtOAc中の化合物Va(1 eq)の0.3 M懸濁液に、トリエチルアミン(3 eq)を加えた。次いで、カルボン酸VIb(1 eq)を加え、18時間撹拌した。反応混合物を水で処理し、有機層を分離し、水層をEtOAcで1回抽出した。集めた有機層を5%NaHCO3で1回、食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0124】
【表5−1】

【0125】
【表5−2】

【0126】
【表5−3】

【0127】
【表5−4】

【0128】
【表5−5】

【0129】
【表5−6】

【0130】
【表5−7】

【0131】
【表5−8】

【0132】
【表5−9】

【0133】
【表5−10】

【0134】
【表5−11】

【0135】
【表5−12】

【0136】
【表5−13】

【0137】
【表5−14】

【0138】
【表5−15】

【0139】
【表5−16】

【0140】
【表5−17】

【0141】
【表5−18】

【0142】
【表5−19】

【0143】
【表5−20】

【0144】
【表5−21】

【0145】
【表5−22】

【0146】
【表5−23】

【0147】
【表5−24】

【0148】
【表5−25】

【0149】
【表5−26】

【0150】
【表5−27】

【0151】
【表5−28】

【0152】
【表5−29】

【0153】
【表5−30】

【0154】
【表5−31】

【0155】
【表5−32】

【0156】
【表5−33】

【0157】
【表5−34】

【0158】
【表5−35】

【0159】
【表5−36】

【0160】
【表5−37】

【0161】
【表5−38】

【0162】
【表5−39】

【0163】
【表5−40】

【0164】
【表5−41】

【0165】
【表5−42】

【0166】
【表5−43】

【0167】
【表5−44】

【0168】
【表5−45】

【0169】
【表5−46】

【0170】
【表5−47】

【0171】
【表5−48】

【0172】
【表5−49】

【0173】
【表5−50】

【0174】
【表5−51】

【0175】
【表5−52】

【0176】
【表5−53】

【0177】
【表5−54】

【0178】
【表5−55】

【0179】
【表5−56】

【0180】
【表5−57】

【0181】
【表5−58】

【0182】
【表5−59】

【0183】
【表5−60】

【0184】
【表5−61】

【0185】
【表5−62】

【0186】
【表5−63】

【0187】
【表5−64】

【0188】
【表5−65】

【0189】
【表5−66】

【0190】
【表5−67】

【0191】
【表5−68】

【0192】
【表5−69】

【0193】
【表5−70】

【0194】
【表5−71】

【0195】
【表5−72】

【0196】
【表5−73】

【0197】
化合物I:
第6表に示される化合物Iは、対応する式IIエステル誘導体から出発し、以下に記載の手順JまたはKのいずれかに従って得た。
手順J: THF:メタノール(3:1)の混合物またはTHF中の化合物II(1 eq)の0.02 M溶液に、水酸化リチウム(1.5 eq)の1 M水溶液を加えた。得られた混合物を室温にて18時間撹拌した後、1 N塩酸でpH=5-6まで処理し、EtOAcで2回抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。溶媒を減圧留去した。
手順K: メタノール中の化合物II(1 eq)の0.03 M溶液に、水酸化カリウム(10 eq)を加えた。得られた溶液を室温にて18時間撹拌した後、1 N塩酸で酸pH=4-5まで処理した。得られた懸濁液に、水およびEtOAcを加えた。有機層を分離し、水層をEtOAcで1回抽出した。集めた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。溶媒を減圧留去した。
【0198】
【表6−1】

【0199】
【表6−2】

【0200】
【表6−3】

【0201】
【表6−4】

【0202】
【表6−5】

【0203】
【表6−6】

【0204】
【表6−7】

【0205】
【表6−8】

【0206】
【表6−9】

【0207】
【表6−10】

【0208】
【表6−11】

【0209】
【表6−12】

【0210】
【表6−13】

【0211】
【表6−14】

【0212】
【表6−15】

【0213】
【表6−16】

【0214】
【表6−17】

【0215】
【表6−18】

【0216】
【表6−19】

【0217】
【表6−20】

【0218】
【表6−21】

【0219】
【表6−22】

【0220】
【表6−23】

【0221】
【表6−24】

【0222】
【表6−25】

【0223】
【表6−26】

【0224】
【表6−27】

【0225】
【表6−28】

【0226】
【表6−29】

【0227】
【表6−30】

【0228】
【表6−31】

【0229】
【表6−32】

【0230】
【表6−33】

【0231】
【表6−34】

【0232】
【表6−35】

【0233】
【表6−36】

【0234】
【表6−37】

【0235】
【表6−38】

【0236】
【表6−39】

【0237】
【表6−40】

【0238】
【表6−41】

【0239】
【表6−42】

【0240】
【表6−43】

【0241】
【表6−44】

【0242】
【表6−45】

【0243】
【表6−46】

【0244】
【表6−47】

【0245】
【表6−48】

【0246】
【表6−49】

【0247】
【表6−50】

【0248】
【表6−51】

【0249】
【表6−52】

【0250】
【表6−53】

【0251】
【表6−54】

【0252】
【表6−55】

【0253】
【表6−56】

【0254】
【表6−57】

【0255】
【表6−58】

【0256】
【表6−59】

【0257】
【表6−60】

【0258】
【表6−61】

【0259】
【表6−62】

【0260】
【表6−63】

【0261】
【表6−64】

【0262】
【表6−65】

【0263】
【表6−66】

【0264】
【表6−67】

【0265】
【表6−68】

【0266】
【表6−69】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

で示される化合物、その立体異性体およびその混合物、その多形体およびその混合物、およびそれらすべての医薬的に許容される溶媒和物および付加塩:
[式中、
R1は2-ベンゾイルフェニルアミノ基であり;
R2は-(CH2)s-N(COR3)-A-J-Tまたは-(CH2)s-N(R4)-B-J-Tであり;
R3は適宜-F、-Cl、-Brおよび-O(C1-C4)アルキルから選択される一つ以上の置換基で置換されていてもよい-(C1-C10)アルキル;-(C2-C6)アルケニル;-(C2-C6)アルキニル;-(C1-C3)アルキレン-Y;-(C2-C3)アルケニレン-Y;-(C2-C3)アルキニレン-Yまたは-Yであり;
R4は適宜-F、-Cl、-Brおよび-O(C1-C4)アルキルから選択される一つ以上の置換基で置換されていてもよい-(C4-C10)アルキル;-(C2-C6)アルケニル;-(C2-C6)アルキニル;-(C1-C4)アルキレン-Y;-(C2-C4)アルケニレン-Y;-(C2-C4)アルキニレン-Yまたは-Yであり;
sは2または3であり;
Aは-(C1-C4)アルキレン-;-(C2-C4)アルケニレン-;-(C2-C4)アルキニレン-;-(C1-C4)アルキレン-Z-(ここに、アルキレン部分はN原子に結合し、ZはJに結合している);または-Z-であり;
Bは-(C4)アルキレン-;-(C2-C4)アルケニレン-;-(C2-C4)アルキニレン-;-(C1-C4)アルキレン-Z-(ここに、アルキレン部分はN原子に結合し、ZはJに結合している);または-Z-であり;
Jは以下の基:
a)-(CH2)1-4-、-O-、-S-、-SO-、-SO2-、-CO-、-OCO-、-COO-、-OCONR5-、-NR5COO-、-CONR5-、-NR5CO-、-NR5-、-NR5SO2-、-SO2NR5-;および
b)-O-(C1-C4)アルキル-、-(C1-C4)アルキル-O-、-S-(C1-C4)アルキル-、-(C1-C4)アルキル-S-、-SO-(C1-C4)アルキル-、-(C1-C4)アルキル-SO-、-SO2-(C1-C4)アルキル-、-(C1-C4)アルキル-SO2-、-OCO-(C1-C4)アルキル-、-COO-(C1-C4)アルキル-、-(C1-C4)アルキル-OCO-、-(C1-C4)アルキル-COO-、-OCONR5-(C1-C4)アルキル-、-NR5COO-(C1-C4)アルキル-、-(C1-C4)アルキル-OCONR5-、-(C1-C4)アルキル-NR5COO-、-CONR5-(C1-C4)アルキル-、-NR5CO-(C1-C4)アルキル-、-(C1-C4)アルキル-CONR5-、-(C1-C4)アルキル-NR5CO-、-NR5-(C1-C4)アルキル-、-(C1-C4)アルキル-NR5-、-SO2NR5-(C1-C4)アルキル-、-NR5SO2-(C1-C4)アルキル-、-(C1-C4)アルキル-SO2NR5-、-(C1-C4)アルキル-NR5SO2-
から選択される単結合またはビラジカルであり;
Tは-H、-(C1-C4)アルキル、-(C2-C4)アルケニル、-(C2-C4)アルキニルまたは-Yであり;
Yは(C3-C6)シクロアルカン、シクロヘキセン、ヘテロ環、ベンゼンおよび二環式環から選択される環に由来するモノラジカルであり、ここに、これらすべての環は適宜-OH、-CHO、-SH、-NO2、-CN、-F、-Cl、-Br、-CO(C1-C4)アルキル、-COO(C1-C4)アルキル、-OCO(C1-C4)アルキル、-S(C1-C4)アルキル、-SO(C1-C4)アルキル、-SO2(C1-C4)アルキル、-SO2-O(C1-C4)アルキル、-O-SO2(C1-C4)アルキル、-NR5R6、-CONR5R6、適宜一つ以上の-OHまたは-Fで置換されていてもよい-(C1-C4)アルキル、および適宜一つ以上の-OHまたは-Fで置換されていてもよい-O(C1-C4)アルキルからなる群から選択される一つ以上の置換基で置換されていてもよく、該(C3-C6)シクロアルカン、シクロヘキセンおよび二環式環はまた、適宜一つ以上のオキソ置換基でも置換されていてもよく;
Zは(C3-C6)シクロアルカン、シクロヘキセン、ヘテロ環、ベンゼンおよび二環式環から選択される環に由来するビラジカルであり、ここに、これらすべての環は適宜-OH、-CHO、-SH、-NO2、-CN、-F、-Cl、-Br、-CO(C1-C4)アルキル、-COO(C1-C4)アルキル、-OCO(C1-C4)アルキル、-S(C1-C4)アルキル、-SO(C1-C4)アルキル、-SO2(C1-C4)アルキル、-SO2-O(C1-C4)アルキル、-O-SO2(C1-C4)アルキル、-NR5R6、-CONR5R6、適宜一つ以上の-OHまたは-Fで置換されていてもよい-(C1-C4)アルキル、および適宜一つ以上の-OHまたは-Fで置換されていてもよい-O(C1-C4)アルキルからなる群から選択される一つ以上の置換基で置換されていてもよく、該(C3-C6)シクロアルカン、シクロヘキセンおよび二環式環はまた、適宜一つ以上のオキソ置換基でも置換されていてもよく;
R5およびR6は、独立して-Hまたは-(C1-C4)アルキルであり;
上記定義中のヘテロ環は、独立してO、SおよびNから選択される1〜3のヘテロ原子を含む5員または6員芳香環であり、ここに、該環は炭素または窒素原子により残りの分子に結合することができ;
上記定義中の二環式環は、独立してO、SおよびNから選択される1〜3のヘテロ原子を適宜含んでいてもよい、部分的に不飽和、飽和または芳香族の7〜10員環であり、ここに、該環は炭素または窒素原子により残りの分子に結合することができる]。
【請求項2】
R1に結合しているキラル炭素の立体配置が(S)であり、式Ia:
【化2】

で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
R2が-(CH2)s-N(COR3)-A-J-Tである、請求項1または2記載の化合物。
【請求項4】
R3が適宜-F、-Cl、-Brおよび-O(C1-C4)アルキルから選択される一つ以上の置換基で置換されていてもよい-(C1-C10)アルキル;-(C2-C6)アルケニル;-(C1-C3)アルキレン-Y;-(C2-C3)アルケニレン-Y;-(C2-C3)アルキニレン-Yまたは-Yであり;R3におけるYが(C3-C6)シクロアルカン、ヘテロ環、ベンゼンおよび二環式環から選択される環に由来するモノラジカルであり、これらすべての環が請求項1に定義されているように適宜置換されていてもよい、請求項3記載の化合物。
【請求項5】
Aが-(C1-C4)アルキレン-;-(C1-C4)アルキレン-Z-または-Z-であり;AにおけるZが(C3-C6)シクロアルカン、ヘテロ環、ベンゼンおよび二環式環から選択される環に由来するビラジカルであり、これらすべての環が適宜-F、-Cl、-Br、-S(C1-C4)アルキル、適宜一つ以上の-OHまたは-Fで置換されていてもよい-(C1-C4)アルキル、および適宜一つ以上の-OHまたは-Fで置換されていてもよい-O(C1-C4)アルキルからなる群から選択される一つ以上の置換基で置換されていてもよく;Jが単結合であり;Tが-Hである、請求項3記載の化合物。
【請求項6】
AにおけるZが(C3-C6)シクロアルカンおよびベンゼンから選択される環に由来する非置換ビラジカルである、請求項5記載の化合物。
【請求項7】
R2が-(CH2)s-N(R4)-B-J-Tである、請求項1または2記載の化合物。
【請求項8】
R4が適宜-F、-Cl、-Brおよび-O(C1-C4)アルキルから選択される一つ以上の置換基で置換されていてもよい-(C4-C10)アルキル;-(C1-C4)アルキレン-Y;または-Yであり;R4におけるYが(C3-C6)シクロアルカン、ヘテロ環、ベンゼンおよび二環式環から選択される環に由来するモノラジカルであり、これらすべての環が請求項1に定義されているように適宜置換されていてもよい、請求項7記載の化合物。
【請求項9】
Bが-(C1-C4)アルキレン-Z-または-Z-であり;BにおけるZが(C3-C6)シクロアルカン、ヘテロ環、ベンゼンおよび二環式環から選択される環に由来するビラジカルであり、これらすべての基が請求項1に定義されているように適宜置換されていてもよく;Jが単結合であり;Tが-Hである、請求項7記載の化合物。
【請求項10】
治療的有効量の請求項1〜9のいずれかに定義されている式Iの化合物を、適当量の医薬的に許容される賦形剤とともに含む、医薬組成物。
【請求項11】
PPARγにより媒介される疾患の治療または予防のための医薬の製造のための請求項1〜9のいずれかに定義されている式Iの化合物の使用。
【請求項12】
ヒトを含む哺乳動物における代謝疾患の治療または予防のための医薬の製造のための請求項1〜9のいずれかに定義されている式Iの化合物の使用。
【請求項13】
代謝疾患がインスリン非依存性糖尿病および肥満から選択される、請求項12記載の使用。
【請求項14】
ヒトを含む哺乳動物におけるメタボリック症候群と関連する心疾患、炎症性疾患、癌、骨疾患、皮膚創傷治癒、表皮細胞の異常分化と関連する皮膚病、およびインスリン耐性が構成要素である他の障害の治療または予防のための医薬の製造のための請求項1〜9のいずれかに定義されている式Iの化合物の使用。
【請求項15】
ヒトを含む哺乳動物に有効量の請求項1〜9のいずれかに定義されている式Iの化合物を投与することを特徴とする、PPARγにより媒介される疾患の治療または予防方法。
【請求項16】
ヒトを含む哺乳動物に有効量の請求項1〜9のいずれかに定義されている式Iの化合物を投与することを特徴とする、代謝疾患の治療または予防方法。
【請求項17】
代謝疾患がインスリン非依存性糖尿病および肥満から選択される、請求項16記載の方法。
【請求項18】
ヒトを含む哺乳動物に有効量の請求項1〜9のいずれかに定義されている式Iの化合物を投与することを特徴とする、メタボリック症候群と関連する心疾患、炎症性疾患、癌、骨疾患、皮膚創傷治癒、表皮細胞の異常分化と関連する皮膚病、およびインスリン耐性が構成要素である他の障害の治療または予防方法。

【公表番号】特表2008−508238(P2008−508238A)
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−523086(P2007−523086)
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【国際出願番号】PCT/EP2005/053728
【国際公開番号】WO2006/010775
【国際公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(501048446)ラボラトリオス・サルバト・ソシエダッド・アノニマ (8)
【氏名又は名称原語表記】LABORATORIOS SALVAT, S.A.
【Fターム(参考)】