めっき装置、めっき方法、半導体装置、及び半導体装置の製造方法
【課題】 フェースダウン方式の噴流めっき装置において、操作性を損なうことなく、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物による、めっき品質の低下を防止する。
【解決手段】 フェースダウン方式のめっき装置において、半導体ウェハ1と陽極電極5との間に、隔壁7が設けられており、陽極電極5と半導体ウェハ1とが隔壁7により隔離され、めっき処理槽100が被めっき基板室と陽極電極室とに区分されている。
【解決手段】 フェースダウン方式のめっき装置において、半導体ウェハ1と陽極電極5との間に、隔壁7が設けられており、陽極電極5と半導体ウェハ1とが隔壁7により隔離され、めっき処理槽100が被めっき基板室と陽極電極室とに区分されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、めっき装置及びめっき方法に関するものであり、より詳しくは、被めっき面に配線用の微細なめっきを形成するめっき装置、めっき方法、半導体装置、及び半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、半導体ウェハ等へ配線を形成するために、金属めっきによる手法が採用されている。従来の金属めっきに用いる装置としては、フェースダウン方式の噴流めっき装置、ラック方式の縦型めっき装置、または、フェースアップ方式の噴流めっき装置が知られている。
【0003】
フェースダウン方式の噴流めっき装置は、図7に示すように、半導体ウェハ1’を保持するウェハ保持具2’と、カップ3’と、カップ3内にめっき液を供給するためのめっき液噴射管4’と、陽極電極5’とを備えている。陽極電極5’は、一般に、含リン銅からなっている。カップ3’の内部には、陽極電極5’が設けられている。そして、カップ3’には、ウェハ保持具2’が設けられており、半導体ウェハ1’は、ウェハ保持具2’により、カップ3’の上部に保持されている。フェースダウン方式の噴流めっき装置では、めっき液噴射管4’は、半導体ウェハ1’の下方に設けられている。このため、めっき液噴射管4’より噴射しためっき液が、半導体ウェハ1’の下方より供給されることになる。これにより、被めっき面のめっきが施される。
【0004】
なお、図7には示していないが、フェースダウン方式の噴流めっき装置は、カップ3’を内包するように設けられためっき液槽、めっき液供給源としてのめっき液貯槽、めっき液をめっき装置内に循環させるポンプ、めっき液中の固形異物をろ過するフィルター、及びこれらを接続する配管を備えている。
【0005】
フェースダウン方式の噴流めっき装置では、めっき液貯層中のめっき液は、ポンプによりフィルターを経て、カップ3’の下部へと至る。そして、カップ3’の下部から供給されためっき液は、めっき液噴射管4’を通って、陽極電極5’を経て半導体ウェハ1の被めっき面へと至る。そして、その後、めっき液は、カップ3’上部の辺縁部(ウェハ保持具2’とカップ3’との隙間)より、カップ3’外部へ漏れ出てめっき液槽にて回収され、再度、めっき液貯層へ還流される。
【0006】
このようなフェースダウン方式の噴流めっき装置は、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1に開示されている、フェースダウン方式の噴流めっき装置では、「めっき処理槽に流入しためっき液の一部を、陽極電極に設けた貫通孔又は陽極電極の周囲からめっき処理槽外部に流出せしめる流出口」が設けられている。また、陽極電極として、プラチナに体表される不溶解性電極を適用しためっき装置も知られている。
【0007】
また、ラック方式の縦型めっき装置は、図8に示すように、陽極電極6’’と、ラック24と、めっき処理槽12とを備えている。陽極電極6’’は、一般的に内部起毛の布性のアノードバッグ13内に設置されている。陽極電極6’’としては、球状の含リン銅をチタン製のバスケットに入れたもの、もしくは含リン銅から成る銅板が用いられる。また、ラック24は、半導体ウェハ1への給電部を備え、かつ半導体ウェハ1よりやや内径の小さい穴を穿った板状の治具である。そして、めっき処理槽12は、ラック24への半導体ウェハ1の固定と裏面の絶縁を兼ねるウェハ抑え25及びめっき液を攪拌する図示しないスキージを備えている。
【0008】
なお、図8には示していないが、ラック方式の縦型めっき装置は、めっき液槽、めっき液供給源としてのめっき液貯槽、めっき液をめっき装置内に循環させるポンプ、めっき液中の固形異物をろ過するフィルター、これらを接続する配管、及び付属装置を備えている。
【0009】
めっき液は、貯槽からポンプによってフィルターを経て注入口14へと至る。そして、めっき処理槽12槽内で陽極電極6を内包するアノードバッグ13近傍を流動する。その後、半導体ウェハ1表面の被めっき面へと至り、めっき処理槽12上縁よりダム15へと流出しダムの一部の設けられた図示しない戻り管を経てめっき液貯槽へと還流する。このようなラック方式の縦型めっき装置は、例えば特許文献2に開示されている。
【0010】
また、フェースアップ方式の噴流めっき装置は、半導体ウェハの被めっき面を上に向けて配置し、かつ被めっき面に対向させて陽極電極を配置して、めっき液が、半導体ウェハの上方より供給されるような構成である。
【0011】
このようなフェースアップ方式の噴流めっき装置は、例えば特許文献3及び4に開示されている。特許文献3に開示されている、フェースアップ方式の噴流めっき装置では、ブラックフィルムの乾燥による剥離を防止する目的で、陽極室の底部にイオン交換膜又は多孔性中性膜が設けられ、陽極室内がめっき液で満たされるようにしている。また、特許文献4に開示されている、フェースアップ方式の噴流めっき装置では、陽極室の底部に多数の細孔が形成された多孔体が設けられている。
【0012】
また、上述のめっき装置と異なる構成のものとして、例えば特許文献5には、めっき処理槽を陰イオン交換膜で陰極室と陽極室に隔離し、陽極として不溶性電極を使用して電気銅めっきを行う半導体ウェハの電気銅めっき装置が開示されている。
【0013】
これら従来のめっき装置において、半導体ウェハの被めっき面全面に均一なめっき液の層流を作ることは、めっき処理において極めて重要である。それゆえ、半導体ウェハの被めっき面の中央部から周辺部への層流を作ることは、めっきの仕上がりを大きく左右する。
【0014】
従来のフェースアップ方式の噴流めっき装置は、側方の流入口・流出口から、半導体ウェハの被めっき面全面に均一なめっき液の層流を作るために、その構造上、半導体ウェハを回転させることで、相対的に一様なめっき液の層流を得るような構成となっている。このため、従来のフェースアップ方式の噴流めっき装置では、半導体ウェハを保持する機構に加え、半導体ウェハを回転させる機構を付加する必要があり、装置が大掛かりになってしまう。
【0015】
一方、フェースダウン方式の噴流めっき装置では、半導体ウェハの被めっき面の中央部からめっき液を噴流することが可能であるため、めっき装置と半導体ウェハとは固定されており、より簡便な装置を実現できる。
【特許文献1】特開2001−24307号公報(平成13年1月26日公開)
【特許文献2】特開2000−87299号公報(平成12年3月28日公開)
【特許文献3】特開2001−49498号公報(平成13年2月20日公開)
【特許文献4】特開2001−24303号公報(平成13年1月26日公開)
【特許文献5】特開2003−73889号公報(平成15年3月12日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、上記従来のフェースダウン方式の噴流めっき装置には、以下の問題が生じる。
【0017】
フェースダウン方式の噴流めっき装置では、微小な固形異物が被めっき面に付着し、めっき品質の低下を招くという問題が生じる。この原因は、ポンプによりめっき液貯槽から供給されためっき液が、フィルターにてろ過された後、カップ下部から供給され陽極電極近傍を経て半導体ウェハの被めっき面へと至る経路のうち、陽極電極表面にある。陽極電極が、含リン銅を含む場合、その表面にはブラックフィルムと呼ばれる黒色皮膜が形成される。このブラックフィルムは、塩素(Cl)やリン(P)を含む一価の銅の錯体(Cu+からなり、陽極溶解により発生した一価の銅イオンと化合した結果生じたものである。
【0018】
このブラックフィルムは、下記(1)式に示す銅の不均化反応を抑制することで、スライムの発生を抑制する効果がある。
2Cu+→Cu+Cu2+ (1)
しかしながら、一方で、一旦形成されたブラックフィルムは、陽極電極表面から剥離しやすくなる。剥離した微小なブラックフィルムは、めっき液の流れと共に、半導体ウェハの被めっき面へ運ばれる。その結果、半導体ウェハのめっき面にブラックフィルムが付着するという問題が生じる。
【0019】
また、陽極電極として、不溶解性電極を適用することで、上記ブラックフィルムによる問題を防止することが可能である。しかしながら、この場合、陽極電極表面において、めっき液中の添加剤が、酸化分解しめっき液の消費量が増大したり、酸化分解で生成された分解生成物により、めっき液が汚染するという問題が生じる。
【0020】
一方、上記従来のラック式の縦型めっき装置では、内部起毛の布性アノードバッグ内に、含リン銅を含む陽極電極が設置されているので、ブラックフィルムに起因する固形異物による、半導体ウェハへの付着は防止することが可能である。しかしながら、このような縦型めっき装置では、半導体ウェハをめっき処理槽内に保持するために、半導体ウェハをラックに固定するという操作が必要になる。このため、この操作による生産性の低下、めっき品質の低下、及び自動化の妨げという問題が生じる。
【0021】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、フェースダウン方式の噴流めっき装置において、操作性を損なうことなく、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物による、めっき品質の低下を防止することができるめっき装置、めっき方法、半導体装置、及び半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明のめっき装置は、上記の課題を解決するために、内部に陽極電極が設けられためっき処理槽を備え、上記めっき処理槽内にめっき液を流入し、被めっき基板の被めっき面に下方側からめっき液の噴流を当接させながら上記陽極電極と上記被めっき基板との間を通電することでめっきを行うめっき装置であって、めっき処理槽には、上記被めっき基板と上記陽極電極との間に、隔壁が設けられており、上記陽極電極と上記被めっき基板とが上記隔壁により隔離され、上記めっき処理槽が被めっき基板室と陽極電極室とに区分されていることを特徴としている。
【0023】
本発明のめっき装置は、被めっき基板の被めっき面に下方側からめっき液の噴流を当接させながら上記陽極電極と上記被めっき基板との間を通電することでめっきを行う、すなわち、フェースダウン方式でめっきを行うものである。
【0024】
なお、上記「被めっき基板室」とは、上記隔壁により隔離された領域のうち、被めっき基板を含む空間のことをいう。また、上記「陽極電極室」とは、上記隔壁により隔離された領域のうち、陽極電極を含む空間のことをいう。
【0025】
また、上記の構成によれば、上記陽極電極と上記被めっき基板とが上記隔壁により隔離され、上記めっき処理槽が被めっき基板室と陽極電極室とに区分されているので、陽極電極に起因するパーティクルなどによるめっき面の汚染を防止できる。
【0026】
以上のように、上記の構成によれば、操作性を損なうことなく、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物による、めっき品質の低下を防止することができるめっき装置を提供することができる。
【0027】
また、本発明のめっき装置では、さらに、上記被めっき基板の被めっき面へめっき液を噴射するためのめっき液噴射管を備え、上記めっき液噴射管が、上記隔壁を貫通するとともに、上記被めっき基板室と上記陽極電極室との両方にめっき液が流入するように設けられていることが好ましい。
【0028】
上記の構成によれば、めっき液噴射管が、上記隔壁を貫通するとともに、上記被めっき基板室と上記陽極電極室との両方にめっき液が流入するように設けられているので、めっき処理槽に流入するめっき液を、上記めっき基板領域に流入するめっき液の層流と、上記陽極電極室に流入するめっき液の層流とに分離することができる。これにより、めっき処理槽内にめっき液を流入すると、被めっき基板の被めっき面へ十分な流速及び流量をもって、めっき液を噴流することが可能になる。
【0029】
「上記被めっき基板室と上記陽極電極室との両方にめっき液が流入するような」構成としては、例えば、上記めっき処理槽は、第1の円筒カップと第2の円筒カップとを備え、上記第1の円筒カップには、上記陽極電極が配されており、その底部には、めっき液をめっき処理槽へ流入するためのめっき液流入口が設けられており、上記第2の円筒カップの底部は、上記隔壁からなり、上記めっき液噴射管が、上記隔壁を貫通するとともに、上記めっき液流入口から流入しためっき液の層流が、第1の円筒カップへ流入するめっき液の層流と、第2の円筒カップへ流入するめっき液の層流とに分離するように設けられている構成が挙げられる。
【0030】
本発明のめっき装置では、上記陽極電極室に流入するめっき液が、上記被めっき基板室へ到達しないようになっていることが好ましい。
【0031】
上記の構成によれば、めっき処理槽から流入しためっき液は、めっき液噴射管によって被めっき基板室に流入しためっき液と、陽極電極室に流入しためっき液とに分離される。陽極電極室に流入しためっき液は、陽極電極と被めっき基板との間を通電することで、陽極電極に起因するパーティクルを含むめっき液になる。このめっき液は、隔壁を通過することで、パーティクルが除去される。このため、上記の構成によれば、陽極電極に起因するパーティクルは被めっき面に到達しない。それゆえ、パーティクルによるめっき面の汚染を防止することができる。また、さらに、上記陽極電極室へ流入するめっき液を、上記めっき処理槽の外部に流出するめっき液流出口が設けられていてもよい。
【0032】
また、本発明のめっき装置では、上記めっき処理槽における、上記隔壁を含む上記陽極電極と上記被めっき基板とを隔離する部分の一部または全部が、めっき液中に浸漬した状態で、めっき液中のイオンを透過する透過部材からなることが好ましい。
【0033】
上記の構成によれば、透過部材は、めっき液に浸漬した状態で、めっき液中のイオンを透過するので、めっき液に電圧を印加すると、めっき液中のイオンは透過部材を透過する。一方、陽極電極に起因するパーティクルは透過部材を透過しない。したがって、上記の構成によれば、陽極電極に流入しためっき液を、イオンとパーティクルとを分離することが可能になる。
【0034】
また、上記透過部材が、半透膜であってもよい。
【0035】
また、上記透過部材が、イオン交換膜を含んでいてもよい。
【0036】
また、本発明のめっき装置では、上記隔壁の厚さが、50μm以上200μm以下であることが好ましい。
【0037】
また、本発明のめっき装置では、上記隔壁が、炭化水素系カチオン交換膜を含むことが好ましい。
【0038】
また、本発明のめっき装置では、さらに、上記めっき処理槽へ供給するめっき液を貯留するめっき液供給源と、上記めっき液供給源に貯留されためっき液を上記めっき処理槽へ供給するめっき液供給手段と、上記めっき液供給手段より供給されためっき液をろ過するめっき液ろ過手段とを備え、上記めっき液供給源に貯留されためっき液は、上記めっき液供給手段と上記めっき液ろ過手段とを介して、上記めっき処理槽へ供給され、上記めっき処理槽に供給されためっき液は、再び上記めっき液供給源へ供給されることが好ましい。
【0039】
また、上記めっき液は、銅成分を含み、かつ、導電性の液体であることが好ましい。
【0040】
めっき液には、各種金属を形成するために様々なめっき液がある。上記の構成によれば、銅を含有するめっき液を用いることで、被めっき基板の被めっき面に銅めっきを形成することができる。なお、「銅成分」とは、金属銅、銅イオン、または、銅イオンを含む化合物のことをいう。
【0041】
また、上記めっき液は、めっき液1リットルに対して、14g以上40g以下の銅成分を含むことが好ましい。
【0042】
また、上記陽極電極は、含リン銅からなる溶解性陽極電極であることが好ましい。
【0043】
陽極電極として純銅を含む陽極電極に用いると、陽極電極からの異物発生量が増加する。一方、上記の構成によれば、陽極電極は、含リン銅からなる溶解性陽極電極であるので、陽極電極表面にブラックフィルムと呼ばれる黒色皮膜が形成され、これによって異物の原因となる銅錯体イオン(Cu+)がトラップされる。
【0044】
また、上記被めっき基板が、半導体ウェハであってもよい。
【0045】
本発明のめっき方法は、上記の課題を解決するために、めっき処理槽内にめっき液を流入し、被めっき基板の被めっき面に下方側からめっき液の噴流を当接させながら、上記めっき処理槽内に配設した陽極電極と上記被めっき基板との間を通電することでめっきを行うめっき方法であって、上記被めっき基板の被めっき面へ噴流するめっき液の層流と、上記陽極電極近傍に流入しためっき液の層流とを分離してめっきを行うことを特徴としている。
【0046】
上記の構成によれば、上記被めっき基板の被めっき面へ噴流するめっき液の層流と、上記陽極電極近傍に流入しためっき液の層流とを分離してめっきを行うので、陽極電極に起因するパーティクルなどによるめっき面の汚染を防止でき、操作性を損なうことなく、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物による、めっき品質の低下を防止することができる。
【0047】
本発明の半導体装置の製造方法は、上記の課題を解決するために、めっき処理槽内にめっき液を流入し、被めっき基板の被めっき面に下方側からめっき液の噴流を当接させながら、上記めっき処理槽内に配設した陽極電極と上記被めっき基板との間を通電することでめっきを行うめっき工程を含む半導体装置の製造方法であって、上記めっき工程において、めっき処理槽内で陽極電極と被めっき面とを隔壁により隔離して配置してめっきを行うことを特徴としている。
【0048】
上記の構成によれば、上記めっき工程において、めっき処理槽内で陽極電極と被めっき面とを隔壁により隔離して配置してめっきを行うので、陽極電極に起因するパーティクルなどによるめっき面の汚染を防止できる。
【0049】
それゆえ、上記の半導体装置の製造方法により、陽極電極表面のブラックフィルム等に起因する微小な固形異物の付着がなく、かつ高品質なめっき配線を備えた半導体装置を得ることが可能になる。
【0050】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、上記めっき工程において、めっき液の噴流のうち、上記被めっき基板の被めっき面に対する噴流と、上記陽極電極近傍に流入しためっき液の噴流とを分離してめっきを行うことが好ましい。
【0051】
これにより、めっき工程にて、めっき処理槽内にめっき液を流入する場合、被めっき基板の被めっき面へ十分な流速及び流量をもって、めっき液を噴流することが可能になる。
【0052】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、上記めっき工程において、上記陽極電極近傍に流入するめっき液が、上記被めっき基板の被めっき面へ到達しないように、めっき液を流入させることが好ましい。
【0053】
上記の構成によれば、陽極電極と被めっき基板との間を通電することにより発生するパーティクルを含むめっき液が、被めっき基板の被めっき面に到達しないので、パーティクルによるめっき面の汚染を防止することができる。また、本発明の半導体装置の製造方法では、上記めっき工程において、上記陽極電極近傍に流入するめっき液を、上記めっき処理槽の外部に流出させてもよい。
【0054】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、上記めっき処理槽における、上記隔壁を含む上記陽極電極と上記被めっき基板とを隔離する部分の一部または全部が、めっき液中に浸漬した状態で、めっき液中のイオンを透過する透過部材からなることが好ましい。
【0055】
上記の構成によれば、めっき液に電圧を印加すると、めっき液中のイオンは透過部材を透過する一方、陽極電極に起因するパーティクルは透過部材を透過しない。したがって、上記の構成によれば、陽極電極近傍に流入しためっき液を、イオンとパーティクルとを分離することが可能になる。
【0056】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、上記透過部材が、半透膜であってもよい。
【0057】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、上記透過部材が、イオン交換膜を含んでいてもよい。
【0058】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、上記隔壁の厚さが、50μm以上200μm以下であることが好ましい。
【0059】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、上記隔壁が、炭化水素系カチオン交換膜を含むことが好ましい。
【0060】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、上記めっき工程は、さらに、めっき液供給源に貯留されためっき液を上記めっき処理槽へ供給するめっき液供給段階と、めっき液供給工程にて供給されためっき液をろ過するめっき液ろ過段階と、上記めっき処理槽に供給されためっき液を、再び上記めっき液供給源へ供給するめっき液循環段階とを含むことが好ましい。
【0061】
なお、上記めっき液循環段階とは、めっき液供給段階にてめっき液供給源から供給されためっき液が、めっき液ろ過段階を経て、めっき処理槽へ供給した後、再びめっき液をめっき液供給源に供給する段階のことをいう。具体的には、本発明のめっき装置において、めっき液供給源に貯留されためっき液を、めっき液供給手段とめっき液ろ過手段とを介して、上記めっき処理槽へ供給し、上記めっき処理槽に供給されためっき液を、再び上記めっき液供給源へ供給することをいう。
【0062】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、上記めっき液は、銅成分を含み、かつ、導電性の液体であることが好ましい。
【0063】
上記めっき液は、めっき液1リットルに対して、14g以上40g以下の銅成分を含むことが好ましい。
【0064】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、上記陽極電極は、含リン銅からなる溶解性陽極電極であることが好ましい。
【0065】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、上記被めっき基板が、半導体ウェハであってもよい。
【0066】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、さらに、上記めっき工程前に、上記被めっき基板の被めっき面にシード層を形成するシード層形成工程と、上記シード層形成工程にて形成されたシード層表面に、フォトレジストを塗布するフォトレジスト塗布工程と、上記フォトレジストを露光し、現像することでパターン形状を形成するフォトレジストパターン形成工程とを含むことが好ましい。
【0067】
本発明の半導体装置は、上記の課題を解決するために、上述の半導体装置の製造方法により製造されたことを特徴としている。
【0068】
上記の構成によれば、半導体装置は、上述の半導体装置の製造方法により製造されているので、陽極電極表面のブラックフィルム等に起因する微小な固形異物の付着がなく、かつ高品質なめっき配線を備えた半導体装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0069】
本発明のめっき装置は、以上のように、上記被めっき基板と上記陽極電極との間に、隔壁が設けられており、上記陽極電極と上記被めっき基板とが上記隔壁により隔離され、上記めっき処理槽が被めっき基板室と陽極電極室とに区分されている。また、本発明のめっき方法は、以上のように、上記被めっき基板と上記陽極電極とを隔壁により隔離し、上記めっき処理槽を被めっき基板室と陽極電極室とに区分してめっきを行う。それゆえ、陽極電極に起因するパーティクルなどによるめっき面の汚染を防止でき、操作性を損なうことなく、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物による、めっき品質の低下を防止することができる。
【0070】
さらに、本発明の半導体装置の製造方法は、以上のように、めっき工程において、めっき処理槽内で陽極電極と被めっき面とを隔壁により隔離して配置してめっきを行う。また、本発明の半導体装置は、上記の半導体装置の製造方法により製造されたものである。それゆえ、陽極電極表面のブラックフィルム等に起因する微小な固形異物の付着がなく、かつ高品質なめっき配線を備えた半導体装置を得ることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0071】
〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態について図1〜図6に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0072】
図1は、本実施形態のめっき装置に設けられためっき処理槽の概略構成を示す断面図である。図1に示すように、めっき処理槽100は、半導体ウェハ(被めっき基板)1を保持するウェハ保持具2、カップ3、めっき液噴射管4、陽極電極5、陽極電極5を支持する支持体6、及び、隔壁7を備えている。カップ3は、内筒31と外筒32とを備えている。
【0073】
内筒(第2の円筒カップ)31及び外筒(第1の円筒カップ)32は、上面が開放された略円筒形の容器であり、内筒31の外径が外筒32の外径よりも小さくなるような構成である。また、外筒32の最も低い中央の部分には、めっき液が流入するめっき液流入口Eが形成されている。
【0074】
内筒31の底部には、ドーナツ状の隔壁7が設けられ、内筒31と外筒32とを仕切る。すなわち、隔壁7は、半導体ウェハ1の被めっき面Wと陽極電極5との間に設けられており、陽極電極5と半導体ウェハ1とを隔離する。これにより、めっき処理槽100が被めっき基板室と陽極電極室とに区分されている。なお、めっき処理槽100において「被めっき基板室」とは、内筒31と隔壁7とに囲まれた空間のことをいう。また、「陽極電極室」とは、外筒32と隔壁7とに囲まれた空間のことをいう。
【0075】
また、図1に示すように、めっき液噴射管4は、隔壁7の中央部の穴を貫通するように設けられている。支持体6は、外筒32に接続されており、めっき液を透過する構造を有している。さらに、支持体6上には、陽極電極5が設けられている。陽極電極5は、めっき液噴射管4の下端よりも上方側に位置する。
【0076】
隔壁7は、炭化水素系カチオン交換膜を備えている。しかしながら、隔壁7は、陽極電極5及び支持体6近傍、すなわち陽極電極室に流入しためっき液中の金属イオンを透過することが可能な構成を有する透過部材を備えていれば、特に限定されるものではない。例えば、隔壁7は、イオン交換膜、中性膜、または、多孔質性セラミック等を備えていてもよい。また、隔壁7が炭化水素系カチオン交換膜を備えている場合、炭化水素系カチオン交換膜として、具体的には、セレミオン(商標登録)(旭硝子エンジニアリング製 炭化水素系カチオン交換膜)、またはネオセプタCM−1(商標登録)(株式会社アトムス製 炭化水素系カチオン交換膜)が挙げられる。隔壁7の具体的な構成については、後述する。
【0077】
また、隔壁7は、金属イオン以外にも添加剤成分としての陽イオン(金属イオンと同様の電気的性質のイオン)を透過するものであってもよい。
【0078】
めっき液噴射管4、及び支持体6は、ポリプロピレンからなる。また、陽極電極5は、含リン銅からなる溶解性陽極電極である。しかしながら、めっき液噴射管4及び支持体6は、寸法安定性が確保され、かつめっき液に対し耐性を有するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、めっき液噴射管4及び支持体6は、硬質塩化ビニルからなっていてもよい。
【0079】
ここで、本発明に適用しうる半導体ウェハ1の寸法は、めっき処理槽100の各種部材の寸法に応じて適宜設定することが可能である。例えば、半導体ウェハ1としては、直径100mmないし500mm程度のものが適用可能である。より具体的には、直径150mm程度のものが、半導体ウェハ1として適用できる。
【0080】
また、内筒31は、その底部に隔壁7が密着して固定されている。内筒31の内径は、半導体ウェハ1の被めっき面Wよりも小さければよい。
【0081】
このように、内筒31の内径が半導体ウェハ1の被めっき面Wよりも小さい場合、めっき液噴射管4から噴射しためっき液は、めっき処理槽100外部の大気に接触することなく、半導体ウェハ1の被めっき面Wへ噴流される。このため、本発明のめっき装置では、大気と遮断してめっきを行うことができ、大気からの浮遊異物によるめっき液の汚染や、めっき液の蒸発、めっき液の蒸発やミストによる周辺環境の汚染を防止できる。
【0082】
また、内筒31の高さは、50mmないしは100mmであればよい。ここでは、内筒31の寸法は、外径150mm 内径140mm 厚さ5mm 高さ80mmであり、円筒状のものである。
【0083】
また、外筒32の高さは、後述するように、めっき液噴射管4から噴射しためっき液が半導体ウェハ1の被めっき面Wの中心部から外周部に渡って、十分に当接することができ、かつ、外筒32の上端が内筒31の上端よりも低ければ、特に限定されない。ここでは、外筒32は内径160mmとしたが、外筒32の高さは後に記するようにめっき液噴射管4から噴流しためっき液が半導体ウェハ1の表面外周部まで十分に接することができれば良く、外筒32の上端が内筒31の上端よりも低ければよい。
【0084】
また、内筒31は外径150mmであり、外筒32は内径160mmである。そして、内筒31と外筒32との間隙は5mmとしている。しかしながら、内筒31と外筒32との間隙は、これに限定されるものでない。内筒31と外筒32との間隙を少なくすることにより、後述するように、内筒31と外筒32とにおいて、互いの上端の高さの差を大きくすることができる。このように内筒31と外筒32との間隙を少なくすることで、液体の持つ粘性ゆえに抵抗(圧力)が高まり、よって内筒を高くしても内筒の上端部までめっき液が到達する。これにより、設計上の自由度を大きくすることができる。
【0085】
また、隔壁7は、外径140mm内径40mmのドーナツ状の形状を有している。そして、隔壁7は、その外周が内筒31に密着される一方、その内周がめっき液噴射管4に密着されて、固定されている。しかしながら、隔壁7の寸法は、これに限定されるものではない。
【0086】
また、支持体6は、外筒32とめっき液噴射管4との間に設けられている。支持体6は、外筒32の底部から上方に20mm、もしくは少なくとも5mmの空隙で設置されている。また、支持体6には、上下方向の貫通孔が多数形成されている。
【0087】
また、隔壁7の厚さは、好ましくは50μm以上200μm以下、より好ましくは50以上100μm以下で、使用可能である。隔壁7の厚さが50μmよりも小さい場合、めっきに要する電流が必要以上に多くなり、めっきの効率が下がるので、好ましくない。また、隔壁7の厚さが、200μmよりも大きい場合、めっき面外観に黒色の「ヤケ」と呼ばれる不良を発生するので好ましくない。
【0088】
また、隔壁7の内筒31への取り付けは、2〜10mm厚のカップ部材に、0.2mm〜9mm径の円形または1辺が0.2mm〜9mm長の正方形、長方形、または四変形の開口を有している。なお、隔壁7(セレミオン隔壁)が真円でなくともよく、極端には四角形であってもよい。
【0089】
また、含リン銅からなる陽極電極5の寸法は、外径150mm内径50mm厚さ8mである。しかしながら、陽極電極5の寸法は、これに限定されるものでなく、支持体6と隔壁7との間隙及び外筒32と当該陽極電極5との間隙を通過するめっき液の流動を妨げない範囲で任意に選択が可能である。また、陽極電極5に含まれる含リン銅は、特に限定されないが、0.04〜0.06%のリンが含まれていればよい。
【0090】
めっき液噴射管4は、隔壁7を貫通し隔壁7より20mm上方へと伸びている。しかしながら、めっき液噴射管4は、これに限定されるものでなく、陽極電極5よりも下方から隔壁7まで到達していればよい。
【0091】
以上、めっき処理槽100における、半導体ウェハ1、カップ3(内筒31及び外筒32)、めっき液噴射管4、陽極電極5、支持体6、及び隔壁7の寸法等を説明したが、めっき処理槽100における各種部材の寸法は、めっき処理槽100の大きさ、あるいは適用する半導体ウェハ1の大きさ等に応じて、適宜設定することが可能である。
【0092】
以下、半導体ウェハ1を保持するウェハ保持具2の具体的構成について、図2に基づいて説明する。図2は、めっき処理槽100のウェハ保持具2の構成の一例を示す断面図である。ウェハ保持具2は、図2に示すように、Oリング21と、コンタクト材22と、ウェハ保持リング23とを備えている。ウェハ保持リング23は、内筒31の上端部と所定の間隙を維持して、図示しない支柱に保持されている。そして、Oリング21及びコンタクト材22は、ウェハ保持リング23上に設けられており、保持する半導体ウェハ1との密着性を確保している。
【0093】
また、コンタクト材22は、半導体ウェハ1の外周部に均等な間隔で3箇所設けられている。しかしながら、コンタクト材22は、これに限定されることなく、半導体ウェハ1の外周部に均等な間隔で4箇所以上設けられていてもよい。さらには、コンタクト材22が半導体ウェハ1の外周部全周を接する構造であってもよい。
【0094】
ウェハ保持リング23の内径は140mmとしたがこれに限定されることなく、外形が円形である必要がないことは勿論のこと装置筐体等と一体構造であってもよい。
【0095】
以下、ウェハ保持具2の各種部材について説明する。
【0096】
Oリング21は、半導体ウェハ1との密着性が確保され、かつめっき液に対して耐性を有するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、Oリング21として、シリコーンゴムが挙げられる。具体的には、バイトン(商標登録)(デュポン ダウ エラストマー ジャパン製)が挙げられる。
【0097】
また、コンタクト材22は、半導体ウェハ1との密着が確保され、かつ導電性で使用するめっき液に耐性があるものであれば、特に限定されるものではない。例えば、チタンに金属めっきが施された部材が挙げられる。具体的には、コンタクト材22としては、チタンにプラチナめっきを施したもの、チタンに金めっきを施したもの、樹脂に金めっきなどを施したもの、または、その組み合わせたものが挙げられる。
【0098】
また、ウェハ保持リング23は、寸法安定性が確保され、かつ使用するめっき液に耐性があるものであれば、特に限定されるものではない。ウェハ保持リング23としては、例えば、硬質塩化ビニルまたはポリプロピレンからなるものが挙げられる。
【0099】
次に、めっき処理槽100において、半導体ウェハ1の被めっき面Wと陽極電極5との間に設けられている隔壁7の構造の一例について、図3を参照して、以下に説明する。図3は、めっき処理槽100において、内筒31と隔壁7とに囲まれた領域(被めっき基板室)の構成を示し、上の図は、半導体ウェハ1の被めっき面W側からみた上面図であり、下の図は、断面図である。
【0100】
図3に示すように、隔壁7は、被めっき面W側から見てドーナツ形状を有している。そして、隔壁7の中央部には、めっき液噴射管4が貫通している。また、隔壁7の外周部は、内筒31の底部に固定されている。
【0101】
また、隔壁7は、半透膜(透過部材)71と、半透膜支持体72・73とを備えている。隔壁7は、半透膜支持体72・73が、半透膜71を狭持した構成である。そして、陽極電極5側には、半透膜支持体72が配置されており、半導体ウェハ1の被めっき面W側には半透膜支持体73が配置されている。
【0102】
それゆえ、半導体ウェハ1と陽極電極5との間を通電することで、陽極電極5側(陽極電極室)に流入しためっき液は、半透膜支持体72にて透過される。そして、半透膜71にて、めっき液中の金属イオンが透過される。そして、半透膜71にて透過されためっき液中の金属イオンは、半透膜支持体73を透過して、半導体ウェハ1の被めっき面W側(被めっき基板室)へ流入する。この際、半透膜71では、めっき液中の金属イオンのみが透過され、めっき液中のパーティクルは透過されない。したがって、隔壁7により、めっき液中の金属イオンとパーティクルとを分離することが可能になり、陽極電極5に起因するパーティクルによるめっき面の汚染を防ぐことができる。
【0103】
半透膜71は、めっき液に浸漬した状態で、めっき液中の金属イオンを透過するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、半透膜71としては、炭化水素系カチオン交換膜、中性膜、または、多孔質性セラミック等が挙げられる。また、半透膜71が炭化水素系カチオン交換膜である場合、半透膜71として、具体的には、セレミオン(商標登録)(旭硝子エンジニアリング製 炭化水素系カチオン交換膜)、またはネオセプタCM−1(商標登録)(株式会社アトムス製 炭化水素系カチオン交換膜)が挙げられる。
【0104】
また、半透膜支持体72・73は、めっき液を透過する構造を有し、かつ、寸法安定性が確保され、めっき液に対し耐性を有するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、半透膜支持体72・73としては、ポリプロピレン、または硬質塩化ビニルからなるものが挙げられる。
【0105】
次に、半透膜71の構造について、イオン交換膜を含むイオン交換膜を例に挙げて、以下に説明する。図5は、イオン交換膜の構造を説明するための説明図である。また、図6は、イオン交換膜の選択透過性を説明するための説明図である。
【0106】
「イオン交換膜」とは、図5に示すように、イオンを選択透過させる膜のことをいう。このイオン交換膜は、大きく分けて陽イオン交換膜と陰イオン交換膜に区分される。陽イオン交換膜は、図5に示すように、めっき液に浸漬された状態で、通電すると、陽イオン(M+)を選択的に透過し、陰イオン(B−)を透過しない。
【0107】
陽イオン交換膜には、図6に示すように、マイナス電荷の置換基が固定されている。このため、陰イオン(B−)はマイナス電荷の置換基の反発を受け、透過できない。一方、陽イオン(M+)は、マイナス電荷の置換基の反発を受けないので、透過する。すなわち、陽イオン交換膜を透過できるイオンは、陽イオン(M+)だけということになる。
【0108】
一方、陰イオン交換膜は、上記の作用と反対の作用になる。これらイオン交換膜の選択透過は、電気透析装置の電気エネルギーによって行われる。なお、この電気透析装置の電気エネルギーは、特に限定されず、直流電流、パルス電流、または、交流電流による電気エネルギーであってもよい。
【0109】
次に、本発明のめっき装置の構成について、図4を参照して説明する。図4は、本発明のめっき装置の構成を示す概略図である。
【0110】
本発明のめっき装置は、図4に示すように、半導体ウェハ1の被めっき面Wにめっき処理を行うめっき処理槽100と、めっき処理槽100を内包するめっき液槽8と、めっき液供給源としてのめっき液貯槽9と、めっき液をめっき装置内に循環させるポンプ10と、めっき液中の固形異物をろ過するフィルター11と、これらを接続する配管Tを備えている。
【0111】
本発明のめっき装置では、めっき液貯槽9中のめっき液は、ポンプ10によりフィルター11を経て、めっき処理槽100の下部に形成されためっき液流入口Eへと至る。そして、めっき液流入口Eから供給されためっき液は、めっき液噴射管4を通って、半導体ウェハ1の被めっき面Wへと至る。そして、その後、めっき液は、内筒31上部の辺縁部(ウェハ保持具2と内筒31との隙間)より、めっき処理槽100外部へ漏れ出てめっき液槽8にて回収され、再度、めっき液貯槽9へ還流される。
【0112】
めっき液槽8、めっき液貯槽9、及び配管Tは、寸法安定性が確保され、かつ使用するめっき液に耐性がある材質であれば、特に限定されるものではない。これらの材質としては、例えば、硬質塩化ビニルまたはポリプロピレンが挙げられる。
【0113】
また、ポンプ10は、使用するめっき液に耐性があり、かつ、めっき液に悪影響を与えずに流動させることができれば、特に限定されるものではない。ポンプ10としては、例えば、イワキ製;商品名 マグネットポンプMD−70R、または、;商品名 イワキ製マグネットポンプMD−30RないしMD−100Rが挙げられる。また、ポンプ10の材質に関しても、寸法安定性が確保され、かつ使用するめっき液に耐性がある材質であれば、特に限定されるものではない。ポンプ10の材質としては、例えば、硬質塩化ビニルまたはポリプロピレンが挙げられる。
【0114】
また、フィルター11は、目標とするめっきパターンの最小間隔のおよそ1/2の粒径の捕集効率が100%であり、かつ使用するめっき液への耐性を備えめっき液に悪影響を与えずに流動させることができれば、特に限定されるものではない。フィルター11としては、例えば、日本ポール社製;商品名 ポリプロピレン製カートリッジフィルタHDCII(J012;1.2μm径粒子捕集効率100%)、日本ポール社製;商品名 ポリプロピレン製カートリッジフィルタHDCII(J006;1.0μm径粒子捕集効率100%)、テフロン(登録商標)製フィルター、または中空糸膜フィルターが挙げられる。また、フィルター11の材質に関しても、寸法安定性が確保され、かつ使用するめっき液に耐性がある材質であれば、特に限定されるものではない。フィルター11の材質としては、例えば、硬質塩化ビニルまたはポリプロピレンが挙げられる。
【0115】
また、図4では示していないが、配管Tの途中には弁、流量計、空気抜き管などが接続され、同じく図示しない制御装置によりめっき液の流動の制御が可能であり、更に図示しないめっき用電源部によって被めっき面と陽極電極5との間に電圧を印加することができる。
【0116】
次に、本発明のめっき装置におけるめっき処理の一例として、半導体ウェハ1の被めっき面Wに銅めっきを行う場合について、以下詳細に説明する。
【0117】
まず、ウェハ保持具2には、半導体ウェハ1の被めっき面Wが下側になるように、半導体ウェハ1が設置されている。半導体ウェハ1は、図示しないウェハ抑えによりOリング21及びコンタクト材22に密着されている。
【0118】
図4に示すように、めっき液貯槽9内のめっき液が、図示しない制御装置により制御されたポンプ10により、フィルター11に送られる。めっき液は、フィルター11にて、フィルター11の開口径以上の固形異物が除去され、配管を経てめっき処理槽100のめっき液流入口Eに流入する。カップ3の外筒32下部のめっき液流入口Eより流入しためっき液は、めっき液噴射管4を経て内筒31内に流入する。なお、上記めっき液は、添加剤と金属銅換算で約25g/Lの銅を含む銅めっき液(商品名 ミクロファブCu200 日本エレクトロプレイティング・エンジニヤース製)である。
【0119】
また、めっき液流入口Eに流入しためっき液のうち一部のめっき液は、外筒32底部と支持体6との間隙に流入する。外筒32底部と支持体6との間隙に流入しためっき液(以下、陽極電極室に流入しためっき液と記す)は、支持体6に穿たれた貫通孔を経て陽極電極5周囲を包み込むように上昇し隔壁7に沿って外周方向へ流動する。そして、内筒31と外筒32との間隙を通過してめっき処理槽100外へ流出される。なお、このめっき装置において、陽極電極5は、0.04〜0.06%のリンを含む含リン銅からなっている。
【0120】
一方、めっき液噴射管4を経て内筒31内に流入しためっき液(以下、被めっき基板室に流入しためっき液と記す)は、そのめっき液の運動エネルギーと、陽極電極室に流入しためっき液が内筒31と外筒32との間隙を通過してめっき処理槽100外へ流出するときの抵抗とにより、圧力が高められる。このため、被めっき基板室に流入しためっき液の液面が半導体ウェハ1の被めっき面Wに到達する。そして、被めっき基板室に流入しためっき液は、半導体ウェハ1表面の被めっき面Wの外周へと流動する。そして、内筒31とウェハ保持リング23との間隙を通過して、めっき処理槽100外へ流出する。
【0121】
内筒31と外筒32との間隙を通過してめっき処理槽100外へ流出しためっき液、及び内筒31とウェハ保持リング23との間隙を通過してめっき処理槽100外へ流出した液は、混合してめっき液槽8に溢れ出る。めっき液槽8内のめっき液は、高低差によってめっき液貯槽9へと還流する。
【0122】
このとき、半導体ウェハ1の被めっき面Wを陰極とし、被めっき面Wと陽極電極5との間に、図示しないめっき用電源によって電流を制御しながら電圧を印加すると、陽極電極5表面ではめっき液中の添加剤が所定の作用を為し、めっき液中に銅イオンが発生する。そして、発生した金属イオンは、隔壁7を透過して内筒31内を経て陰極電極となった半導体ウェハ1表面に至る。そして、半導体ウェハ1の被めっき面Wでは、めっき液中の添加剤が所定の作用を為しながら、銅イオンは銅として析出しめっきされる。
【0123】
なお、本発明のめっき装置において、ポンプ10によりフィルター11へ送られるめっき液の流量は、半導体ウェハ1の寸法、またはめっき処理槽100の寸法に応じて、適宜設定することができる。具体的には、毎分20L程度又は毎分2ないし20L程度の流量である。
【0124】
また、被めっき面Wと陽極電極5との間に印加される電圧、及び電圧印加時間もまた、半導体ウェハ1の寸法、またはめっき処理槽100の寸法に応じて、適宜設定することができる。具体的には、被めっき面Wでの電流密度が1平方センチメートルあたり20mAとなるように制御しながら、25分間電圧が印加される。
【0125】
なお、内筒31内は、フィルター11を経てフィルター開口径以上の固形異物を除去されためっき液で満たされており、陽極電極室に流入しためっき液は、隔壁7とめっき液の流れにより内筒31内には流入できない。そして、めっき液中の銅イオンのみが隔壁7を透過して内筒31内に至るため、陽極電極5表面のブラックフィルム等に起因する微小な固形異物の付着がない。また、従来のように、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物の付着を防止するために不溶解性電極を使用する必要がないため、めっき液中の添加剤の酸化分解による添加剤消費量の増大や分解生成物によるめっき液の汚染によるめっき品質の低下のない高品質なめっきを得ることができる。
【0126】
ここで、めっき液として、銅めっき液(ミクロファブCu200 日本エレクトロプレイティング・エンジニヤース製)を用いたが、これに限定されることなく、これ以外の所望の性能を達成できるめっき液であれば、これに限定されることがないのは勿論である。
【0127】
また、本発明のめっき装置では、隔壁7の一部または全部が、めっき液中の金属イオンを透過する透過部材からなる場合について説明したが、これに限定されない。本発明のめっき装置では、隔壁7を底面とする内筒31における、半導体ウェハ1の被めっき面Wと陽極電極5とを隔離する部分、すなわち、被めっき基板室における、陽極電極と被めっき基板とを隔離する部分の一部または全部が、めっき液中の金属イオンを透過する透過部材からなっていてもよい。例えば、内筒31の一部または全部が、めっき液中の金属イオンを透過する透過部材からなっていてもよい。
【0128】
また、フェースダウン方式のめっき装置においては、カップ下部より上昇するめっき液が、カップとウェハ保持具との間の隙間よりカップ外へ流出しますが、このとき上昇するめっき液の流量を大きくすることで液面が盛り上がるとともに、半導体ウェハとの表面張力(親水性)によって隙間よりも高い位置にある半導体ウェハの被めっき面を濡らしながらカップ周辺部へ流動しカップ外へ流出する。
【0129】
ここで、半導体ウェハの被めっき面全面に均一なめっき液の流れを作ることは、めっき時の銅イオンの供給にとってきわめて重要で、ウェハ表面で中央部から周辺部への層流を作ることはめっき仕上がりを大きく左右する。
【0130】
従来のフェースダウン方式で陽極電極と半導体ウェハとの間に隔壁を設けることは、ウェハへのめっき液の接触ができなくなり、めっき自体不可能となる。
【0131】
本発明においては、この問題を解決するために、カップの構造を従来の構造から内筒、外筒からなる2重構造とし、かつ、陽極電極より下から隔壁を貫通してウェハ側にめっき液噴射管を設け、ウェハ表面に至るめっきに関与する液と、陽極電極近傍を流れカップ外に排出される液とをこのノズルの入り口で分けることにより、ウェハ中央より十分な流速と流量をもってめっき液を噴流させウェハ表面で層流をつくることと陽極近傍を通り隔壁に沿ってカップ外に流出する流れを作ることができる。
【0132】
また、従来のフェースアップ方式の噴流めっき装置では、その構造上、側方の流入・流出口からウェハ表面に一様にめっき液の流れを作るために、ウェハを回転させることで相対的に一様な流れを得ようとしている。このため、ウェハ保持側の機構に回転機構を付加する必要があり、大掛かりな装置となる。
【0133】
これに対して本発明のめっき装置では、半導体ウェハ中央部からめっき液を噴出することが可能であるため、めっき処理槽と半導体ウェハとは固定されており、より簡便な装置構造を実現できる。
【0134】
本発明のめっき装置は、基板にめっきを形成するためのフェースダウン方式の噴流めっき装置であって、めっきカップ内で陽極電極と被めっき面を隔離して配置されている構成であるともいえる。また、前記めっき装置は前記めっきカップ内にめっき液を導入する。
【0135】
この結果、めっき装置はめっきカップ内にめっき液を流入することで被めっき面にめっき液を接触せしめ、めっきカップ内に配置した陽極電極と被めっき面間に通電することでめっきを行うめっき方法において、前記めっきカップ内の陽極電極近傍に流入しためっき液は流動によって被めっき面に到達しないか、もしくは前記めっき装置はめっきカップ内にめっき液を流入することで被めっき面にめっき液を接触せしめ、めっきカップ内に配置した陽極電極と被めっき面間に通電することでめっきを行うめっき方法において、前記めっきカップ内の陽極電極近傍に流入しためっき液は被めっき面に到達せずにめっきカップ外部に流出させることが可能である。
【0136】
前記めっき装置は前記めっきカップ内で陽極電極と被めっき面を隔離する構造の一部もしくは全部が、電解液中に浸漬することによってイオンを透過することができる材質が半透膜であるか、イオン交換膜であるか、または電解液中に浸漬することによってイオンを透過することができるその他の材質から成る。
【0137】
一方、前記めっき装置において前記めっき液は銅を含有する導電性の液体又は銅を含有する導電性の液体にその他の成分を添加した導電性の液体である。更に前記めっき液はめっき液1リットル中に金属銅として14乃至は40gの銅成分を含む。一方、前記めっき装置において、前記陽極電極は含リン銅からなる溶解性陽極電極板である。
〔実施の形態2〕
次に、本実施形態では、半導体装置、及び半導体装置の製造方法の一例として、上記実施の形態1において被めっき基板として用いた半導体ウェハ1及びその製造方法について、図9〜図12に基づいて、以下詳細に説明する。図9は、本実施形態で用いた半導体ウェハ1の概略構成を示す模式図である。また、図10は、めっき工程後の、半導体ウェハ1に形成された半導体チップ33の概略構成を示し、図10(a)は、平面図であり、図10(b)は、断面図である。
【0138】
図9に示すように、半導体ウェハ1表面には、半導体チップ41が複数形成されている。また、半導体ウェハ1の周辺には、コンタクト部42が設けられている。このコンタクト部42には、図示しないめっきシード層が露出されている。そして、コンタクト部42は、給電のために、図2に示すコンタクト材22と接するようになっている。
【0139】
また、図10(a)に示すように、半導体チップ41には、フォトレジスト層18が任意の形状で形成されている。さらに、図10(b)に示すように、めっき工程後の半導体チップ41の表面には、シード層19が形成されている。そして、シード層19の表面には、配線めっき層16及びフォトレジスト層18が形成されている。また、シード層19において、配線めっき層16及びフォトレジスト層18側と反対側には、パッド17が設けられている。そして、半導体チップ41では、配線めっき層16とパッド17とが電気的に接するようになっている。
【0140】
次に、本実施形態における半導体装置の製造方法の手順について、図11に基づいて、以下に説明する。図11は、本実施形態における半導体装置の製造方法の手順を示す断面図である。
【0141】
本実施形態における半導体装置の製造方法は、図11に示すように、半導体チップ41表面にシード層19を形成するシード層形成工程と、シード層19上にフォトレジスト層18を塗布するフォトレジスト塗布工程と、このフォトレジスト層18に任意の形状のパターンを形成するフォトレジストパターン形成工程と、フォトレジストパターンに金属をめっきし、配線めっき層を形成するめっき工程と、フォトレジスト層18を剥離する剥離工程と、シード層19をエッチングするエッチング工程とを含んでいる。なお、図11(a)は、シード層形成工程前の半導体チップ41の一部の概略構成を示しており、図11(b)は、シード層形成工程後の半導体チップ41の一部の概略構成を示しており、図11(c)は、フォトレジスト塗布工程後の半導体チップ41の一部の概略構成を示しており、図11(d)は、フォトレジストパターン形成工程後の半導体チップ41の一部の概略構成を示しており、図11(e)は、めっき工程後の半導体チップ41の一部の概略構成を示しており、図11(f)は、剥離工程後の半導体チップ41の一部の概略構成を示しており、図11(g)は、エッチング工程後の半導体チップ41の一部の概略構成を示している。
【0142】
図11(a)に示すように、シード層形成前の半導体チップ41には、その表面に、電気信号を外部と交換するためのパッド17が設けられている。
【0143】
図11(b)に示すように、シード層形成工程では、このような半導体チップ41の表面にシード層19を形成する。具体的には、スパッタリング装置内にて、半導体チップ41を含む半導体ウェハ1を、パッド形成面にシード層が形成されるように配置する。そして、半導体ウェハ1表面に、バリアメタルとなるチタン層を1000Å形成し、次に銅層を3000Å形成する。そして、この銅層を、めっきのためのシード層19とする。このシード層19は、後述するめっき工程において、めっき材(配線めっき層16)の成長を促進する役割を果たす。
【0144】
ここで、シード層形成工程にて、バリアメタルとしてチタン層を形成している。しかしながら、バリアメタルとなる層は、これに限定されるものではなく、クロム層であってもよい。また、チタンとタングステンとの合金からなる層であってもよい。さらには、これら以外に、バリア効果を得られる金属からなる層であればよい。
【0145】
さらに、チタン層の厚みを1000Åとしているが、これに限定されることなく、バリア性を確保できれば、500Å以上の任意の厚みであってもよい。また、めっきのためのシード層19としての銅層の厚みを3000Åとしているが、これに限定されることなく、めっき工程において均一な電流密度を確保できる厚みであれば、銅層の厚みは、1000Å以上の任意の厚みであってもよい。
【0146】
図11(c)に示すように、フォトレジスト塗布工程では、シード層19が形成された半導体チップ41を含む半導体ウェハ1にフォトレジスト層18を塗布する。フォトレジスト塗布工程では、フォトレジスト(東京応化製;商品名 PMER P−LA900)を回転塗布装置により、毎分1500回転で30秒間、半導体ウェハ1表面に回転塗布し、115℃で5分間加熱する。
【0147】
ここで、フォトレジストとして上記PMER P−LA900を用いている。しかしながら、フォトレジストは、これに限定されるものではなく、後述するめっき工程に対して耐性であればよい。フォトレジストとしては、例えば東京応化製;商品名 PMER N−CA3000であってもよい。さらには、フォトレジストの塗布方法も回転塗布に限定されるものではない。例えば、東京応化製;商品名 ORDYL MP100 Seriesなどのドライフィルムによって、半導体ウェハ1表面にフォトレジスト層18を形成してもよい。
【0148】
また、フォトレジスト塗布工程では、フォトレジストを、回転塗布装置により毎分1500回転で30秒間回転塗布し、115℃で5分間加熱している。しかしながら、回転塗布方法は、これに限定されるものではなく、例えば、毎分1000回転〜3000回転にて十分に均一な膜厚となるまで回転させた後、100℃〜120℃で5分程度加熱してもよい。
【0149】
図11(d)に示すように、フォトレジストパターン形成工程では、フォトレジスト塗布工程にて形成されたフォトレジスト層18に任意の形状のパターンを形成する。具体的には、フォトレジスト塗布工程後に、半導体チップ41を含む半導体ウェハ1を、図示しない露光装置にセットする。そして、フォトレジスト層18にg線(436nm)を照射する。その後、図示しない現像装置により、2.38%−TMAH水溶液にて、フォトレジスト層18の現像を行い、配線めっきを成すべき部分のフォトレジストを除去する。
【0150】
ここで、フォトレジスト層18にg線(436nm)を照射している。しかしながら、露光時にフォトレジスト層18に照射する光は、フォトレジストを露光させることができる光であれば、特に限定されるものではない。フォトレジスト層18に照射する光として、例えば、i線(365nm)や深紫外線(約200乃至300nm)であってもよい。また、フォトレジストパターン形成工程では、2.38%−TMAH水溶液にてフォトレジスト層18の現像を行っている。しかしながら、TMAH水溶液の濃度は、これに限定されるものではない。例えば、TMAH水溶液の濃度としては、1〜3%の濃度であってもよい。さらには、25%−TMAH水溶液を、現像するのに適当な濃度にまで、純水で希釈してもよい。
【0151】
図11(e)に示すように、めっき工程では、上記フォトレジストパターン形成工程にてフォトレジスト層18に任意の形状のパターンを形成した結果、シード層19が露出した部分にめっきを行っている。具体的には、フォトレジストパターン形成工程後に、半導体チップ41を含む半導体ウェハ1を、図1に示すめっき装置に設置する。すなわち、めっき装置のウェハ保持具2に半導体ウェハ1を設置する。そして、図示しないウェハ抑えにより、Oリング21及びコンタクト材22を、半導体チップ41のコンタクト部42に密着させる。なお、半導体ウェハ1をめっき装置に設置した後のめっき工程に関しては、上記実施の形態1にて説明しためっき方法と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0152】
また、剥離工程では、図11(f)に示すように、めっき工程後の半導体チップ41に形成されているフォトレジスト層18を剥離する。具体的には、図11(e)に示す半導体チップ41を含む半導体ウェハ1を、図示しない剥離装置に投入する。そして、半導体ウェハ1を、剥離液(東京応化製;商品名 104剥離液)に70度―20分間浸漬し、時折震盪する。これにより半導体ウェハ1表面に形成されたフォトレジスト層18が剥離される。
【0153】
ここで、剥離工程では、半導体ウェハ1を、上記104剥離液に70℃−20分間浸漬し時折震盪している。しかしながら、浸漬時間は、これに限定されるものではなく、例えば15〜25分間の浸漬であってもよい。また、剥離液として、例えば三菱ガス化学製R−100を用い、50℃で8〜15分間浸漬し時折震盪してもよい。あるいは、剥離液としてアセトンを用いてもよい。
【0154】
次に、エッチング工程では、図11(g)に示すように、配線めっき層16が形成されていないシード層19をエッチングにより除去する。具体的には、図11(f)に示す半導体チップ41を含む半導体ウェハ1を、図示しないエッチング装置に投入する。そして、半導体ウェハ1を、25℃の10%−過硫酸アンモニウム水溶液に1分30秒浸漬しつつ震淘して、銅めっき配線部(配線めっき層16)以外の銅(Cu)からなるシード層19(表面に配線めっき層16が形成されていないシード層19)をエッチングする。
【0155】
ここで、エッチング工程では、半導体ウェハ1を、25℃の10%−過硫酸アンモニウム水溶液に1分30秒浸漬しつつ震淘することとしている。しかしながら、エッチングに用いる水溶液は、これに限定されるものではなく、例えば、10%−水酸化ナトリウム水溶液や40%−塩化第二鉄水溶液、その他の水溶液であってもよい。また、水溶液の温度も、これに限定されるものではなく、15℃〜40℃であってもよい。
【0156】
さらに、エッチング工程では、次に、半導体ウェハ1を、90℃の25%−TMAHに1時間浸漬しつつ震淘する。これにより、銅めっき配線部(配線めっき層16)以外の図示しないバリアメタルとしてのチタン層(表面に配線めっき層16が形成されていないチタン層)がエッチングされる。
【0157】
ここで、チタン層をエッチングするために、90℃の25%−TMAHに1時間浸漬しつつ震淘することとしている。しかしながら、チタン層をエッチングするために用いる水溶液は、これに限定されるものではなく、例えば、塩酸、フッ酸と硝酸との混合液等であってもよい。
【0158】
このように上記シード層形成工程からめっき工程を経て製造された半導体チップ41を含む半導体ウェハ1は、上記めっき工程にて、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物によりめっき品質の低下が無くなる。それゆえ、本実施形態の半導体装置の製造方法では、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物による配線間のショート等を防ぐことが可能になり、半導体チップ表面により微細な配線パターンを形成することが可能になる。
【0159】
また、このように半導体ウェハ1上に配線めっき層16が形成された半導体チップ41には、外部接続端子が設置される。以下、配線めっき層16が形成された半導体チップ41に外部接続端子を設置する外部接続端子設置工程について、図12に基づいて、詳細に説明する。図12は、配線めっき層16が形成された半導体チップ41に外部接続端子26を設置する外部接続端子設置工程を示す断面図である。
【0160】
上記外部接続端子設置工程は、配線めっき層16が半導体チップ41表面にオーバーコート層を形成するオーバーコート層形成工程と、オーバーコート層に任意の形状のパターンを形成するオーバーコート層パターン形成工程と、オーバーコート層のパターン形状に基づいて外部接続端子を配線めっき層16に形成する外部接続端子形成工程とを含んでいる。なお、図12(a)は、オーバーコート層形成工程前の配線めっき層16が形成された半導体チップ41の一部の概略構成を示し、図12(b)は、オーバーコート層形成工程後の半導体チップ41の一部の概略構成を示し、図12(c)は、オーバーコート層パターン形成工程後の半導体チップ41の一部の概略構成を示し、図12(d)は、外部接続端子形成工程後の半導体チップ41の一部の概略構成を示している。
【0161】
図12(a)に示すように、半導体ウェハ1上に配線めっき層16が形成された半導体チップ41では、配線めっき層16の下(パッド17が形成されている側)に、シード層19が形成されている。配線めっき層16は、このシード層19を介して、半導体チップ41上に設けられているパッド17と電気的に接続している。
【0162】
図12(b)に示すように、オーバーコート層塗布工程では、配線めっき16が形成された半導体チップ41を含む半導体ウェハ1にオーバーコート層20を形成する。具体的には、オーバーコート層20(住友ベークライト製;商品名 CRC−8000シリーズ)を回転塗布装置により毎分1500回転で30秒間回転塗布し、130℃で5分間加熱する。
【0163】
ここで、上記オーバーコート層塗布工程では、オーバーコート層20として上記CRC−8000シリーズを用いている。しかしながら、オーバーコート層20に用いる材料は、これに限定されるものではなく、例えば日立化成製;商品名 HD−8800シリーズであってもよい。さらには、オーバーコート層20として、商品名 HD−8000シリーズ等の感光性耐熱性樹脂を用いてもよい。
【0164】
また、上記オーバーコート層塗布工程では、回転塗布装置により毎分1500回転で30秒間回転塗布し、130℃で5分間加熱している。しかしながら、オーバーコート層の塗布方法は、これに限定されるものではなく、例えば、毎分1000回転〜3000回転にて十分に均一な膜厚となるまで、半導体ウェハを回転させた後、120℃〜140℃で5分程度加熱してもよい。
【0165】
図12(c)に示すように、オーバーコート層パターン形成工程では、オーバーコート層20に、任意の形状のパターンを形成する。具体的には、オーバーコート層塗布工程後に、半導体チップ41を含む半導体ウェハ1を、図示しない露光装置にセットする。そして、露光装置によりオーバーコート層20にg線(436nm)を照射する。その後、図示しない現像装置により、2.38%−TMAH水溶液にてオーバーコート層20の現像を行い、外部接続端子を形成する部分に相当するオーバーコート層20を除去する。そして、除去後、300℃の窒素雰囲気下で、2時間硬化処理を行う。このオーバーコート層パターン形成工程により、半導体チップ41では、外部接続端子を形成する部分で、配線めっき層16が露出した状態になる。
【0166】
ここで、上記オーバーコート層パターン形成工程では、露光装置によりオーバーコート層20にg線(436nm)を照射している。しかしながら、オーバーコート層20に照射する光は、オーバーコート層を露光させることができる光であれば、特に限定されるものではない。オーバーコート層20に照射する光としては、例えば、i線(365nm)や深紫外線(約200乃至300nm)であってもよい。
【0167】
また、上記オーバーコート層パターン形成工程では、2.38%−TMAH水溶液にて、オーバーコート層20の現像を行っている。しかしながら、TMAH水溶液の濃度は、これに限定されるものではない。例えば、TMAH水溶液の濃度としては、1〜3%の濃度であってもよい。さらには、25%−TMAH水溶液を、現像するのに適当な濃度にまで、純水で希釈してもよい。
【0168】
さらに、上記オーバーコート層パターン形成工程では、外部接続端子を形成する部分に相当するオーバーコート層20を除去した後、300℃の窒素雰囲気下で2時間硬化処理を行うこととしている。しかしながら、オーバーコート層除去後の工程は、これに限定されるものではない。例えば、オーバーコート層除去後に、250〜350℃にて、1.5時間〜3時間の保持時間を有する工程であってもよい。また、その工程の前後に、昇温過程及び降温過程を有してもよい。
【0169】
図12(d)に示すように、外部接続端子形成工程では、オーバーコート層パターン形成工程にて、オーバーコート層20を除去した部分に、外部接続端子26を形成する。具体的には、図示しないボール搭載機に、半導体チップ41を含む半導体ウェハ1を設置する。そして、外部接続端子形成用の配線めっき層16が露出した部分に、図示しないフラックスを塗布する。そして、フラックスを塗布した部分に、図示しないツールに保持された外部接続端子26としての半田ボールを設置する。その後、半田ボールが設置された半導体チップ41を含む半導体ウェハ1を、245℃のリフロー装置により、半田ボールを再溶融させ冷却させることにより、配線めっき層16に外部接続端子26としての半田ボールを接合させる。
【0170】
ここで、外部接続端子26としての半田ボールは、SnAg3.0Cu0.5(千住金属工業製;商品名 M705)からなっている。しかしながら、半田ボールは、これに限定されるものではなく、例えば、Sn63Pb37からなっていてもよい。また、他の鉛フリー半田からなっていてもよい。
【0171】
また、上記外部接続端子形成工程では、リフロー装置による加熱温度を245℃としている。しかしながら、リフロー装置による加熱温度は、これに限定されるものではなく、例えば240〜250℃であってもよい。
【0172】
なお本発明は、以上説示した各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0173】
本発明のめっき装置は、以上のように、操作性を損なうことなく、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物による、めっき品質の低下を防止することができる。このため、本発明は、半導体産業に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0174】
【図1】本発明の実施の一形態のめっき装置に設けられためっき処理槽の概略構成を示す断面図である。
【図2】上記めっき処理槽のウェハ保持具の構成の一例を示す断面図である。
【図3】上記めっき処理槽において、内筒と隔壁とに囲まれた領域の構成を示し、上の図は、半導体ウェハの被めっき面側からみた上面図であり、下の図は、断面図である。
【図4】本発明の実施の一形態のめっき装置の構成を示す概略図である。
【図5】イオン交換膜の構造を説明するための説明図である。
【図6】イオン交換膜の選択透過性を説明するための説明図である。
【図7】従来のフェースダウン方式の噴流めっき装置の概略構成を示す断面図である。
【図8】従来のラック方式の縦型めっき装置の概略構成を示す断面図である。
【図9】本実施形態で用いた半導体ウェハの概略構成を示す模式図である。
【図10】めっき工程後の、半導体ウェハに形成された半導体チップの概略構成を示し、(a)は、平面図であり、(b)は、断面図である。
【図11】本実施形態における半導体ウェハの製造方法の手順を示す断面図であり、(a)は、シード層形成工程前の半導体チップの一部の概略構成を示しており、(b)は、シード層形成工程後の半導体チップの一部の概略構成を示しており、(c)は、フォトレジスト塗布工程後の半導体チップの一部の概略構成を示しており、(d)は、フォトレジストパターン形成工程後の半導体チップの一部の概略構成を示しており、(e)は、めっき工程後の半導体チップの一部の概略構成を示しており、(f)は、剥離工程後の半導体チップの一部の概略構成を示しており、(g)は、エッチング工程後の半導体チップの一部の概略構成を示している。
【図12】配線めっき層が形成された半導体ウェハに外部接続端子を設置する外部接続端子設置工程を示す断面図であり、(a)は、オーバーコート層形成工程前の配線めっき層が形成された半導体チップの一部の概略構成を示し、(b)は、オーバーコート層形成工程後の半導体チップの一部の概略構成を示し、(c)は、オーバーコート層パターン形成工程後の半導体チップの一部の概略構成を示し、(d)は、外部接続端子形成工程後の半導体チップの一部の概略構成を示している。
【符号の説明】
【0175】
1 半導体ウェハ(被めっき基板)
2 ウェハ保持具
3 カップ
4 めっき液噴射管
5 陽極電極
6 支持体
7 隔壁
8 めっき液槽
9 めっき液貯槽(めっき液供給源)
10 ポンプ(めっき供給手段)
11 フィルター(めっき液ろ過手段)
16 配線めっき層
17 パッド
18 フォトレジスト層
19 シード層
20 オーバーコート層
26 外部接続端子
31 内筒(第2の円筒カップ)
32 外筒(第1の円筒カップ)
41 半導体チップ
100 めっき処理槽
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、めっき装置及びめっき方法に関するものであり、より詳しくは、被めっき面に配線用の微細なめっきを形成するめっき装置、めっき方法、半導体装置、及び半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、半導体ウェハ等へ配線を形成するために、金属めっきによる手法が採用されている。従来の金属めっきに用いる装置としては、フェースダウン方式の噴流めっき装置、ラック方式の縦型めっき装置、または、フェースアップ方式の噴流めっき装置が知られている。
【0003】
フェースダウン方式の噴流めっき装置は、図7に示すように、半導体ウェハ1’を保持するウェハ保持具2’と、カップ3’と、カップ3内にめっき液を供給するためのめっき液噴射管4’と、陽極電極5’とを備えている。陽極電極5’は、一般に、含リン銅からなっている。カップ3’の内部には、陽極電極5’が設けられている。そして、カップ3’には、ウェハ保持具2’が設けられており、半導体ウェハ1’は、ウェハ保持具2’により、カップ3’の上部に保持されている。フェースダウン方式の噴流めっき装置では、めっき液噴射管4’は、半導体ウェハ1’の下方に設けられている。このため、めっき液噴射管4’より噴射しためっき液が、半導体ウェハ1’の下方より供給されることになる。これにより、被めっき面のめっきが施される。
【0004】
なお、図7には示していないが、フェースダウン方式の噴流めっき装置は、カップ3’を内包するように設けられためっき液槽、めっき液供給源としてのめっき液貯槽、めっき液をめっき装置内に循環させるポンプ、めっき液中の固形異物をろ過するフィルター、及びこれらを接続する配管を備えている。
【0005】
フェースダウン方式の噴流めっき装置では、めっき液貯層中のめっき液は、ポンプによりフィルターを経て、カップ3’の下部へと至る。そして、カップ3’の下部から供給されためっき液は、めっき液噴射管4’を通って、陽極電極5’を経て半導体ウェハ1の被めっき面へと至る。そして、その後、めっき液は、カップ3’上部の辺縁部(ウェハ保持具2’とカップ3’との隙間)より、カップ3’外部へ漏れ出てめっき液槽にて回収され、再度、めっき液貯層へ還流される。
【0006】
このようなフェースダウン方式の噴流めっき装置は、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1に開示されている、フェースダウン方式の噴流めっき装置では、「めっき処理槽に流入しためっき液の一部を、陽極電極に設けた貫通孔又は陽極電極の周囲からめっき処理槽外部に流出せしめる流出口」が設けられている。また、陽極電極として、プラチナに体表される不溶解性電極を適用しためっき装置も知られている。
【0007】
また、ラック方式の縦型めっき装置は、図8に示すように、陽極電極6’’と、ラック24と、めっき処理槽12とを備えている。陽極電極6’’は、一般的に内部起毛の布性のアノードバッグ13内に設置されている。陽極電極6’’としては、球状の含リン銅をチタン製のバスケットに入れたもの、もしくは含リン銅から成る銅板が用いられる。また、ラック24は、半導体ウェハ1への給電部を備え、かつ半導体ウェハ1よりやや内径の小さい穴を穿った板状の治具である。そして、めっき処理槽12は、ラック24への半導体ウェハ1の固定と裏面の絶縁を兼ねるウェハ抑え25及びめっき液を攪拌する図示しないスキージを備えている。
【0008】
なお、図8には示していないが、ラック方式の縦型めっき装置は、めっき液槽、めっき液供給源としてのめっき液貯槽、めっき液をめっき装置内に循環させるポンプ、めっき液中の固形異物をろ過するフィルター、これらを接続する配管、及び付属装置を備えている。
【0009】
めっき液は、貯槽からポンプによってフィルターを経て注入口14へと至る。そして、めっき処理槽12槽内で陽極電極6を内包するアノードバッグ13近傍を流動する。その後、半導体ウェハ1表面の被めっき面へと至り、めっき処理槽12上縁よりダム15へと流出しダムの一部の設けられた図示しない戻り管を経てめっき液貯槽へと還流する。このようなラック方式の縦型めっき装置は、例えば特許文献2に開示されている。
【0010】
また、フェースアップ方式の噴流めっき装置は、半導体ウェハの被めっき面を上に向けて配置し、かつ被めっき面に対向させて陽極電極を配置して、めっき液が、半導体ウェハの上方より供給されるような構成である。
【0011】
このようなフェースアップ方式の噴流めっき装置は、例えば特許文献3及び4に開示されている。特許文献3に開示されている、フェースアップ方式の噴流めっき装置では、ブラックフィルムの乾燥による剥離を防止する目的で、陽極室の底部にイオン交換膜又は多孔性中性膜が設けられ、陽極室内がめっき液で満たされるようにしている。また、特許文献4に開示されている、フェースアップ方式の噴流めっき装置では、陽極室の底部に多数の細孔が形成された多孔体が設けられている。
【0012】
また、上述のめっき装置と異なる構成のものとして、例えば特許文献5には、めっき処理槽を陰イオン交換膜で陰極室と陽極室に隔離し、陽極として不溶性電極を使用して電気銅めっきを行う半導体ウェハの電気銅めっき装置が開示されている。
【0013】
これら従来のめっき装置において、半導体ウェハの被めっき面全面に均一なめっき液の層流を作ることは、めっき処理において極めて重要である。それゆえ、半導体ウェハの被めっき面の中央部から周辺部への層流を作ることは、めっきの仕上がりを大きく左右する。
【0014】
従来のフェースアップ方式の噴流めっき装置は、側方の流入口・流出口から、半導体ウェハの被めっき面全面に均一なめっき液の層流を作るために、その構造上、半導体ウェハを回転させることで、相対的に一様なめっき液の層流を得るような構成となっている。このため、従来のフェースアップ方式の噴流めっき装置では、半導体ウェハを保持する機構に加え、半導体ウェハを回転させる機構を付加する必要があり、装置が大掛かりになってしまう。
【0015】
一方、フェースダウン方式の噴流めっき装置では、半導体ウェハの被めっき面の中央部からめっき液を噴流することが可能であるため、めっき装置と半導体ウェハとは固定されており、より簡便な装置を実現できる。
【特許文献1】特開2001−24307号公報(平成13年1月26日公開)
【特許文献2】特開2000−87299号公報(平成12年3月28日公開)
【特許文献3】特開2001−49498号公報(平成13年2月20日公開)
【特許文献4】特開2001−24303号公報(平成13年1月26日公開)
【特許文献5】特開2003−73889号公報(平成15年3月12日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、上記従来のフェースダウン方式の噴流めっき装置には、以下の問題が生じる。
【0017】
フェースダウン方式の噴流めっき装置では、微小な固形異物が被めっき面に付着し、めっき品質の低下を招くという問題が生じる。この原因は、ポンプによりめっき液貯槽から供給されためっき液が、フィルターにてろ過された後、カップ下部から供給され陽極電極近傍を経て半導体ウェハの被めっき面へと至る経路のうち、陽極電極表面にある。陽極電極が、含リン銅を含む場合、その表面にはブラックフィルムと呼ばれる黒色皮膜が形成される。このブラックフィルムは、塩素(Cl)やリン(P)を含む一価の銅の錯体(Cu+からなり、陽極溶解により発生した一価の銅イオンと化合した結果生じたものである。
【0018】
このブラックフィルムは、下記(1)式に示す銅の不均化反応を抑制することで、スライムの発生を抑制する効果がある。
2Cu+→Cu+Cu2+ (1)
しかしながら、一方で、一旦形成されたブラックフィルムは、陽極電極表面から剥離しやすくなる。剥離した微小なブラックフィルムは、めっき液の流れと共に、半導体ウェハの被めっき面へ運ばれる。その結果、半導体ウェハのめっき面にブラックフィルムが付着するという問題が生じる。
【0019】
また、陽極電極として、不溶解性電極を適用することで、上記ブラックフィルムによる問題を防止することが可能である。しかしながら、この場合、陽極電極表面において、めっき液中の添加剤が、酸化分解しめっき液の消費量が増大したり、酸化分解で生成された分解生成物により、めっき液が汚染するという問題が生じる。
【0020】
一方、上記従来のラック式の縦型めっき装置では、内部起毛の布性アノードバッグ内に、含リン銅を含む陽極電極が設置されているので、ブラックフィルムに起因する固形異物による、半導体ウェハへの付着は防止することが可能である。しかしながら、このような縦型めっき装置では、半導体ウェハをめっき処理槽内に保持するために、半導体ウェハをラックに固定するという操作が必要になる。このため、この操作による生産性の低下、めっき品質の低下、及び自動化の妨げという問題が生じる。
【0021】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、フェースダウン方式の噴流めっき装置において、操作性を損なうことなく、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物による、めっき品質の低下を防止することができるめっき装置、めっき方法、半導体装置、及び半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明のめっき装置は、上記の課題を解決するために、内部に陽極電極が設けられためっき処理槽を備え、上記めっき処理槽内にめっき液を流入し、被めっき基板の被めっき面に下方側からめっき液の噴流を当接させながら上記陽極電極と上記被めっき基板との間を通電することでめっきを行うめっき装置であって、上記めっき処理槽は、第1の円筒カップと、該第1の円筒カップよりも外径が小さい第2の円筒カップとを備え、第1の円筒カップと第2の円筒カップとからなる2重構造であり、上記第1の円筒カップには、上記陽極電極が配されており、その底部には、めっき液をめっき処理槽へ流入するためのめっき液流入口が設けられており、第1の円筒カップと第2の円筒カップとの互いの側壁により形成された間隙により、上記陽極電極室へ流入するめっき液を上記めっき処理槽の外部に流出するためのめっき液流出口が設けられており、上記第2の円筒カップの底部は、上記陽極電極と上記被めっき基板と隔離する隔壁からなり、めっき処理槽は、隔壁と第1の円筒カップとに囲まれた陽極電極室と、隔壁と第1の円筒カップとに囲まれた被めっき基板室とに区分されているとともに、さらに、上記被めっき基板の被めっき面へめっき液を噴射するためのめっき液噴射管を備え、上記めっき液噴射管が、上記隔壁を貫通するとともに、上記めっき液流入口から流入しためっき液の層流が、第1の円筒カップへ流入するめっき液の層流と、第2の円筒カップへ流入するめっき液の層流とに分離するように設けられていることを特徴としている。
【0023】
本発明のめっき装置は、被めっき基板の被めっき面に下方側からめっき液の噴流を当接させながら上記陽極電極と上記被めっき基板との間を通電することでめっきを行う、すなわち、フェースダウン方式でめっきを行うものである。
【0024】
なお、上記「被めっき基板室」とは、上記隔壁により隔離された領域のうち、被めっき基板を含む空間のことをいう。また、上記「陽極電極室」とは、上記隔壁により隔離された領域のうち、陽極電極を含む空間のことをいう。
【0025】
また、上記の構成によれば、上記陽極電極と上記被めっき基板とが上記隔壁により隔離され、上記めっき処理槽が被めっき基板室と陽極電極室とに区分されているので、陽極電極に起因するパーティクルなどによるめっき面の汚染を防止できる。
【0026】
以上のように、上記の構成によれば、操作性を損なうことなく、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物による、めっき品質の低下を防止することができるめっき装置を提供することができる。
【0027】
また、本発明のめっき装置では、さらに、上記被めっき基板の被めっき面へめっき液を噴射するためのめっき液噴射管を備え、上記めっき液噴射管が、上記隔壁を貫通するとともに、上記被めっき基板室と上記陽極電極室との両方にめっき液が流入するように設けられていることが好ましい。
【0028】
上記の構成によれば、めっき液噴射管が、上記隔壁を貫通するとともに、上記被めっき基板室と上記陽極電極室との両方にめっき液が流入するように設けられているので、めっき処理槽に流入するめっき液を、上記めっき基板領域に流入するめっき液の層流と、上記陽極電極室に流入するめっき液の層流とに分離することができる。これにより、めっき処理槽内にめっき液を流入すると、被めっき基板の被めっき面へ十分な流速及び流量をもって、めっき液を噴流することが可能になる。
【0029】
「上記被めっき基板室と上記陽極電極室との両方にめっき液が流入するような」構成としては、例えば、上記めっき処理槽は、第1の円筒カップと第2の円筒カップとを備え、上記第1の円筒カップには、上記陽極電極が配されており、その底部には、めっき液をめっき処理槽へ流入するためのめっき液流入口が設けられており、上記第2の円筒カップの底部は、上記隔壁からなり、上記めっき液噴射管が、上記隔壁を貫通するとともに、上記めっき液流入口から流入しためっき液の層流が、第1の円筒カップへ流入するめっき液の層流と、第2の円筒カップへ流入するめっき液の層流とに分離するように設けられている構成が挙げられる。
【0030】
本発明のめっき装置では、上記陽極電極室に流入するめっき液が、上記被めっき基板室へ到達しないようになっていることが好ましい。
【0031】
上記の構成によれば、めっき処理槽から流入しためっき液は、めっき液噴射管によって被めっき基板室に流入しためっき液と、陽極電極室に流入しためっき液とに分離される。陽極電極室に流入しためっき液は、陽極電極と被めっき基板との間を通電することで、陽極電極に起因するパーティクルを含むめっき液になる。このめっき液は、隔壁を通過することで、パーティクルが除去される。このため、上記の構成によれば、陽極電極に起因するパーティクルは被めっき面に到達しない。それゆえ、パーティクルによるめっき面の汚染を防止することができる。また、さらに、上記陽極電極室へ流入するめっき液を、上記めっき処理槽の外部に流出するめっき液流出口が設けられていてもよい。
【0032】
また、本発明のめっき装置では、上記めっき処理槽における、上記隔壁を含む上記陽極電極と上記被めっき基板とを隔離する部分の一部または全部が、めっき液中に浸漬した状態で、めっき液中のイオンを透過する透過部材からなることが好ましい。
【0033】
上記の構成によれば、透過部材は、めっき液に浸漬した状態で、めっき液中のイオンを透過するので、めっき液に電圧を印加すると、めっき液中のイオンは透過部材を透過する。一方、陽極電極に起因するパーティクルは透過部材を透過しない。したがって、上記の構成によれば、陽極電極に流入しためっき液を、イオンとパーティクルとを分離することが可能になる。
【0034】
また、上記透過部材が、半透膜であってもよい。
【0035】
また、上記透過部材が、イオン交換膜を含んでいてもよい。
【0036】
また、本発明のめっき装置では、上記隔壁の厚さが、50μm以上200μm以下であることが好ましい。
【0037】
また、本発明のめっき装置では、上記隔壁が、炭化水素系カチオン交換膜を含むことが好ましい。
【0038】
また、本発明のめっき装置では、さらに、上記めっき処理槽へ供給するめっき液を貯留するめっき液供給源と、上記めっき液供給源に貯留されためっき液を上記めっき処理槽へ供給するめっき液供給手段と、上記めっき液供給手段より供給されためっき液をろ過するめっき液ろ過手段とを備え、上記めっき液供給源に貯留されためっき液は、上記めっき液供給手段と上記めっき液ろ過手段とを介して、上記めっき処理槽へ供給され、上記めっき処理槽に供給されためっき液は、再び上記めっき液供給源へ供給されることが好ましい。
【0039】
また、上記めっき液は、銅成分を含み、かつ、導電性の液体であることが好ましい。
【0040】
めっき液には、各種金属を形成するために様々なめっき液がある。上記の構成によれば、銅を含有するめっき液を用いることで、被めっき基板の被めっき面に銅めっきを形成することができる。なお、「銅成分」とは、金属銅、銅イオン、または、銅イオンを含む化合物のことをいう。
【0041】
また、上記めっき液は、めっき液1リットルに対して、14g以上40g以下の銅成分を含むことが好ましい。
【0042】
また、上記陽極電極は、含リン銅からなる溶解性陽極電極であることが好ましい。
【0043】
陽極電極として純銅を含む陽極電極に用いると、陽極電極からの異物発生量が増加する。一方、上記の構成によれば、陽極電極は、含リン銅からなる溶解性陽極電極であるので、陽極電極表面にブラックフィルムと呼ばれる黒色皮膜が形成され、これによって異物の原因となる銅錯体イオン(Cu+)がトラップされる。
【0044】
また、上記被めっき基板が、半導体ウェハであってもよい。
【0045】
本発明のめっき方法は、上記の課題を解決するために、めっき処理槽内にめっき液を流入し、被めっき基板の被めっき面に下方側からめっき液の噴流を当接させながら、上記めっき処理槽内に配設した陽極電極と上記被めっき基板との間を通電することでめっきを行うめっき方法であって、上記めっき処理槽は、第1の円筒カップと、該第1の円筒カップよりも外径が小さい第2の円筒カップとを備え、第1の円筒カップと第2の円筒カップとからなる2重構造であり、上記被めっき基板の被めっき面へ噴流するめっき液の層流と、上記陽極電極近傍に流入しためっき液の層流とを分離し、第1の円筒カップと第2の円筒カップとの互いの側壁により形成された間隙を、めっき液流出口として、上記陽極電極室へ流入するめっき液を上記めっき処理槽の外部に流出させることを特徴としている。
【0046】
上記の構成によれば、上記被めっき基板の被めっき面へ噴流するめっき液の層流と、上記陽極電極近傍に流入しためっき液の層流とを分離してめっきを行うので、陽極電極に起因するパーティクルなどによるめっき面の汚染を防止でき、操作性を損なうことなく、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物による、めっき品質の低下を防止することができる。
【0047】
本発明の半導体装置の製造方法は、上記の課題を解決するために、めっき処理槽内にめっき液を流入し、被めっき基板の被めっき面に下方側からめっき液の噴流を当接させながら、上記めっき処理槽内に配設した陽極電極と上記被めっき基板との間を通電することでめっきを行うめっき工程を含む半導体装置の製造方法であって、上記めっき処理槽は、第1の円筒カップと、該第1の円筒カップよりも外径が小さい第2の円筒カップとを備え、第1の円筒カップと第2の円筒カップとからなる2重構造であり、上記めっき工程において、めっき処理槽内で陽極電極と被めっき面とを隔壁により隔離して配置し、めっき液の噴流のうち、上記被めっき基板の被めっき面に対する噴流と、上記陽極電極近傍に流入しためっき液の噴流とを分離してめっきを行うとともに、第1の円筒カップと第2の円筒カップとの互いの側壁により形成された間隙を、めっき液流出口として、上記陽極電極室へ流入するめっき液を上記めっき処理槽の外部に流出させることを特徴としている。
【0048】
上記の構成によれば、上記めっき工程において、めっき処理槽内で陽極電極と被めっき面とを隔壁により隔離して配置してめっきを行うので、陽極電極に起因するパーティクルなどによるめっき面の汚染を防止できる。
【0049】
それゆえ、上記の半導体装置の製造方法により、陽極電極表面のブラックフィルム等に起因する微小な固形異物の付着がなく、かつ高品質なめっき配線を備えた半導体装置を得ることが可能になる。
【0050】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、上記めっき工程において、めっき液の噴流のうち、上記被めっき基板の被めっき面に対する噴流と、上記陽極電極近傍に流入しためっき液の噴流とを分離してめっきを行うことが好ましい。
【0051】
これにより、めっき工程にて、めっき処理槽内にめっき液を流入する場合、被めっき基板の被めっき面へ十分な流速及び流量をもって、めっき液を噴流することが可能になる。
【0052】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、上記めっき工程において、上記陽極電極近傍に流入するめっき液が、上記被めっき基板の被めっき面へ到達しないように、めっき液を流入させることが好ましい。
【0053】
上記の構成によれば、陽極電極と被めっき基板との間を通電することにより発生するパーティクルを含むめっき液が、被めっき基板の被めっき面に到達しないので、パーティクルによるめっき面の汚染を防止することができる。また、本発明の半導体装置の製造方法では、上記めっき工程において、上記陽極電極近傍に流入するめっき液を、上記めっき処理槽の外部に流出させてもよい。
【0054】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、上記めっき処理槽における、上記隔壁を含む上記陽極電極と上記被めっき基板とを隔離する部分の一部または全部が、めっき液中に浸漬した状態で、めっき液中のイオンを透過する透過部材からなることが好ましい。
【0055】
上記の構成によれば、めっき液に電圧を印加すると、めっき液中のイオンは透過部材を透過する一方、陽極電極に起因するパーティクルは透過部材を透過しない。したがって、上記の構成によれば、陽極電極近傍に流入しためっき液を、イオンとパーティクルとを分離することが可能になる。
【0056】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、上記透過部材が、半透膜であってもよい。
【0057】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、上記透過部材が、イオン交換膜を含んでいてもよい。
【0058】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、上記隔壁の厚さが、50μm以上200μm以下であることが好ましい。
【0059】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、上記隔壁が、炭化水素系カチオン交換膜を含むことが好ましい。
【0060】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、上記めっき工程は、さらに、めっき液供給源に貯留されためっき液を上記めっき処理槽へ供給するめっき液供給段階と、めっき液供給工程にて供給されためっき液をろ過するめっき液ろ過段階と、上記めっき処理槽に供給されためっき液を、再び上記めっき液供給源へ供給するめっき液循環段階とを含むことが好ましい。
【0061】
なお、上記めっき液循環段階とは、めっき液供給段階にてめっき液供給源から供給されためっき液が、めっき液ろ過段階を経て、めっき処理槽へ供給した後、再びめっき液をめっき液供給源に供給する段階のことをいう。具体的には、本発明のめっき装置において、めっき液供給源に貯留されためっき液を、めっき液供給手段とめっき液ろ過手段とを介して、上記めっき処理槽へ供給し、上記めっき処理槽に供給されためっき液を、再び上記めっき液供給源へ供給することをいう。
【0062】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、上記めっき液は、銅成分を含み、かつ、導電性の液体であることが好ましい。
【0063】
上記めっき液は、めっき液1リットルに対して、14g以上40g以下の銅成分を含むことが好ましい。
【0064】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、上記陽極電極は、含リン銅からなる溶解性陽極電極であることが好ましい。
【0065】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、上記被めっき基板が、半導体ウェハであってもよい。
【0066】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、さらに、上記めっき工程前に、上記被めっき基板の被めっき面にシード層を形成するシード層形成工程と、上記シード層形成工程にて形成されたシード層表面に、フォトレジストを塗布するフォトレジスト塗布工程と、上記フォトレジストを露光し、現像することでパターン形状を形成するフォトレジストパターン形成工程とを含むことが好ましい。
【0067】
本発明の半導体装置は、上記の課題を解決するために、上述の半導体装置の製造方法により製造されたことを特徴としている。
【0068】
上記の構成によれば、半導体装置は、上述の半導体装置の製造方法により製造されているので、陽極電極表面のブラックフィルム等に起因する微小な固形異物の付着がなく、かつ高品質なめっき配線を備えた半導体装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0069】
本発明のめっき装置は、以上のように、上記めっき処理槽は、第1の円筒カップと、該第1の円筒カップよりも外径が小さい第2の円筒カップとを備え、第1の円筒カップと第2の円筒カップとからなる2重構造であり、上記第1の円筒カップには、上記陽極電極が配されており、その底部には、めっき液をめっき処理槽へ流入するためのめっき液流入口が設けられており、第1の円筒カップと第2の円筒カップとの互いの側壁により形成された間隙により、上記陽極電極室へ流入するめっき液を上記めっき処理槽の外部に流出するためのめっき液流出口が設けられており、上記第2の円筒カップの底部は、上記陽極電極と上記被めっき基板と隔離する隔壁からなり、めっき処理槽は、隔壁と第1の円筒カップとに囲まれた陽極電極室と、隔壁と第1の円筒カップとに囲まれた被めっき基板室とに区分されているとともに、さらに、上記被めっき基板の被めっき面へめっき液を噴射するためのめっき液噴射管を備え、上記めっき液噴射管が、上記隔壁を貫通するとともに、上記めっき液流入口から流入しためっき液の層流が、第1の円筒カップへ流入するめっき液の層流と、第2の円筒カップへ流入するめっき液の層流とに分離するように設けられている。また、本発明のめっき方法は、以上のように、上記めっき処理槽は、第1の円筒カップと、該第1の円筒カップよりも外径が小さい第2の円筒カップとを備え、第1の円筒カップと第2の円筒カップとからなる2重構造であり、上記被めっき基板の被めっき面へ噴流するめっき液の層流と、上記陽極電極近傍に流入しためっき液の層流とを分離し、第1の円筒カップと第2の円筒カップとの互いの側壁により形成された間隙を、めっき液流出口として、上記陽極電極室へ流入するめっき液を上記めっき処理槽の外部に流出させる。それゆえ、陽極電極に起因するパーティクルなどによるめっき面の汚染を防止でき、操作性を損なうことなく、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物による、めっき品質の低下を防止することができる。
【0070】
さらに、本発明の半導体装置の製造方法は、以上のように、上記めっき処理槽は、第1の円筒カップと、該第1の円筒カップよりも外径が小さい第2の円筒カップとを備え、第1の円筒カップと第2の円筒カップとからなる2重構造であり、上記めっき工程において、めっき処理槽内で陽極電極と被めっき面とを隔壁により隔離して配置し、めっき液の噴流のうち、上記被めっき基板の被めっき面に対する噴流と、上記陽極電極近傍に流入しためっき液の噴流とを分離してめっきを行うとともに、第1の円筒カップと第2の円筒カップとの互いの側壁により形成された間隙を、めっき液流出口として、上記陽極電極室へ流入するめっき液を上記めっき処理槽の外部に流出させる。また、本発明の半導体装置は、上記の半導体装置の製造方法により製造されたものである。それゆえ、陽極電極表面のブラックフィルム等に起因する微小な固形異物の付着がなく、かつ高品質なめっき配線を備えた半導体装置を得ることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0071】
〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態について図1〜図6に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0072】
図1は、本実施形態のめっき装置に設けられためっき処理槽の概略構成を示す断面図である。図1に示すように、めっき処理槽100は、半導体ウェハ(被めっき基板)1を保持するウェハ保持具2、カップ3、めっき液噴射管4、陽極電極5、陽極電極5を支持する支持体6、及び、隔壁7を備えている。カップ3は、内筒31と外筒32とを備えている。
【0073】
内筒(第2の円筒カップ)31及び外筒(第1の円筒カップ)32は、上面が開放された略円筒形の容器であり、内筒31の外径が外筒32の外径よりも小さくなるような構成である。また、外筒32の最も低い中央の部分には、めっき液が流入するめっき液流入口Eが形成されている。
【0074】
内筒31の底部には、ドーナツ状の隔壁7が設けられ、内筒31と外筒32とを仕切る。すなわち、隔壁7は、半導体ウェハ1の被めっき面Wと陽極電極5との間に設けられており、陽極電極5と半導体ウェハ1とを隔離する。これにより、めっき処理槽100が被めっき基板室と陽極電極室とに区分されている。なお、めっき処理槽100において「被めっき基板室」とは、内筒31と隔壁7とに囲まれた空間のことをいう。また、「陽極電極室」とは、外筒32と隔壁7とに囲まれた空間のことをいう。
【0075】
また、図1に示すように、めっき液噴射管4は、隔壁7の中央部の穴を貫通するように設けられている。支持体6は、外筒32に接続されており、めっき液を透過する構造を有している。さらに、支持体6上には、陽極電極5が設けられている。陽極電極5は、めっき液噴射管4の下端よりも上方側に位置する。
【0076】
隔壁7は、炭化水素系カチオン交換膜を備えている。しかしながら、隔壁7は、陽極電極5及び支持体6近傍、すなわち陽極電極室に流入しためっき液中の金属イオンを透過することが可能な構成を有する透過部材を備えていれば、特に限定されるものではない。例えば、隔壁7は、イオン交換膜、中性膜、または、多孔質性セラミック等を備えていてもよい。また、隔壁7が炭化水素系カチオン交換膜を備えている場合、炭化水素系カチオン交換膜として、具体的には、セレミオン(商標登録)(旭硝子エンジニアリング製 炭化水素系カチオン交換膜)、またはネオセプタCM−1(商標登録)(株式会社アトムス製 炭化水素系カチオン交換膜)が挙げられる。隔壁7の具体的な構成については、後述する。
【0077】
また、隔壁7は、金属イオン以外にも添加剤成分としての陽イオン(金属イオンと同様の電気的性質のイオン)を透過するものであってもよい。
【0078】
めっき液噴射管4、及び支持体6は、ポリプロピレンからなる。また、陽極電極5は、含リン銅からなる溶解性陽極電極である。しかしながら、めっき液噴射管4及び支持体6は、寸法安定性が確保され、かつめっき液に対し耐性を有するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、めっき液噴射管4及び支持体6は、硬質塩化ビニルからなっていてもよい。
【0079】
ここで、本発明に適用しうる半導体ウェハ1の寸法は、めっき処理槽100の各種部材の寸法に応じて適宜設定することが可能である。例えば、半導体ウェハ1としては、直径100mmないし500mm程度のものが適用可能である。より具体的には、直径150mm程度のものが、半導体ウェハ1として適用できる。
【0080】
また、内筒31は、その底部に隔壁7が密着して固定されている。内筒31の内径は、半導体ウェハ1の被めっき面Wよりも小さければよい。
【0081】
このように、内筒31の内径が半導体ウェハ1の被めっき面Wよりも小さい場合、めっき液噴射管4から噴射しためっき液は、めっき処理槽100外部の大気に接触することなく、半導体ウェハ1の被めっき面Wへ噴流される。このため、本発明のめっき装置では、大気と遮断してめっきを行うことができ、大気からの浮遊異物によるめっき液の汚染や、めっき液の蒸発、めっき液の蒸発やミストによる周辺環境の汚染を防止できる。
【0082】
また、内筒31の高さは、50mmないしは100mmであればよい。ここでは、内筒31の寸法は、外径150mm 内径140mm 厚さ5mm 高さ80mmであり、円筒状のものである。
【0083】
また、外筒32の高さは、後述するように、めっき液噴射管4から噴射しためっき液が半導体ウェハ1の被めっき面Wの中心部から外周部に渡って、十分に当接することができ、かつ、外筒32の上端が内筒31の上端よりも低ければ、特に限定されない。ここでは、外筒32は内径160mmとしたが、外筒32の高さは後に記するようにめっき液噴射管4から噴流しためっき液が半導体ウェハ1の表面外周部まで十分に接することができれば良く、外筒32の上端が内筒31の上端よりも低ければよい。
【0084】
また、内筒31は外径150mmであり、外筒32は内径160mmである。そして、内筒31と外筒32との間隙は5mmとしている。しかしながら、内筒31と外筒32との間隙は、これに限定されるものでない。内筒31と外筒32との間隙を少なくすることにより、後述するように、内筒31と外筒32とにおいて、互いの上端の高さの差を大きくすることができる。このように内筒31と外筒32との間隙を少なくすることで、液体の持つ粘性ゆえに抵抗(圧力)が高まり、よって内筒を高くしても内筒の上端部までめっき液が到達する。これにより、設計上の自由度を大きくすることができる。
【0085】
また、隔壁7は、外径140mm内径40mmのドーナツ状の形状を有している。そして、隔壁7は、その外周が内筒31に密着される一方、その内周がめっき液噴射管4に密着されて、固定されている。しかしながら、隔壁7の寸法は、これに限定されるものではない。
【0086】
また、支持体6は、外筒32とめっき液噴射管4との間に設けられている。支持体6は、外筒32の底部から上方に20mm、もしくは少なくとも5mmの空隙で設置されている。また、支持体6には、上下方向の貫通孔が多数形成されている。
【0087】
また、隔壁7の厚さは、好ましくは50μm以上200μm以下、より好ましくは50以上100μm以下で、使用可能である。隔壁7の厚さが50μmよりも小さい場合、めっきに要する電流が必要以上に多くなり、めっきの効率が下がるので、好ましくない。また、隔壁7の厚さが、200μmよりも大きい場合、めっき面外観に黒色の「ヤケ」と呼ばれる不良を発生するので好ましくない。
【0088】
また、隔壁7の内筒31への取り付けは、2〜10mm厚のカップ部材に、0.2mm〜9mm径の円形または1辺が0.2mm〜9mm長の正方形、長方形、または四変形の開口を有している。なお、隔壁7(セレミオン隔壁)が真円でなくともよく、極端には四角形であってもよい。
【0089】
また、含リン銅からなる陽極電極5の寸法は、外径150mm内径50mm厚さ8mである。しかしながら、陽極電極5の寸法は、これに限定されるものでなく、支持体6と隔壁7との間隙及び外筒32と当該陽極電極5との間隙を通過するめっき液の流動を妨げない範囲で任意に選択が可能である。また、陽極電極5に含まれる含リン銅は、特に限定されないが、0.04〜0.06%のリンが含まれていればよい。
【0090】
めっき液噴射管4は、隔壁7を貫通し隔壁7より20mm上方へと伸びている。しかしながら、めっき液噴射管4は、これに限定されるものでなく、陽極電極5よりも下方から隔壁7まで到達していればよい。
【0091】
以上、めっき処理槽100における、半導体ウェハ1、カップ3(内筒31及び外筒32)、めっき液噴射管4、陽極電極5、支持体6、及び隔壁7の寸法等を説明したが、めっき処理槽100における各種部材の寸法は、めっき処理槽100の大きさ、あるいは適用する半導体ウェハ1の大きさ等に応じて、適宜設定することが可能である。
【0092】
以下、半導体ウェハ1を保持するウェハ保持具2の具体的構成について、図2に基づいて説明する。図2は、めっき処理槽100のウェハ保持具2の構成の一例を示す断面図である。ウェハ保持具2は、図2に示すように、Oリング21と、コンタクト材22と、ウェハ保持リング23とを備えている。ウェハ保持リング23は、内筒31の上端部と所定の間隙を維持して、図示しない支柱に保持されている。そして、Oリング21及びコンタクト材22は、ウェハ保持リング23上に設けられており、保持する半導体ウェハ1との密着性を確保している。
【0093】
また、コンタクト材22は、半導体ウェハ1の外周部に均等な間隔で3箇所設けられている。しかしながら、コンタクト材22は、これに限定されることなく、半導体ウェハ1の外周部に均等な間隔で4箇所以上設けられていてもよい。さらには、コンタクト材22が半導体ウェハ1の外周部全周を接する構造であってもよい。
【0094】
ウェハ保持リング23の内径は140mmとしたがこれに限定されることなく、外形が円形である必要がないことは勿論のこと装置筐体等と一体構造であってもよい。
【0095】
以下、ウェハ保持具2の各種部材について説明する。
【0096】
Oリング21は、半導体ウェハ1との密着性が確保され、かつめっき液に対して耐性を有するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、Oリング21として、シリコーンゴムが挙げられる。具体的には、バイトン(商標登録)(デュポン ダウ エラストマー ジャパン製)が挙げられる。
【0097】
また、コンタクト材22は、半導体ウェハ1との密着が確保され、かつ導電性で使用するめっき液に耐性があるものであれば、特に限定されるものではない。例えば、チタンに金属めっきが施された部材が挙げられる。具体的には、コンタクト材22としては、チタンにプラチナめっきを施したもの、チタンに金めっきを施したもの、樹脂に金めっきなどを施したもの、または、その組み合わせたものが挙げられる。
【0098】
また、ウェハ保持リング23は、寸法安定性が確保され、かつ使用するめっき液に耐性があるものであれば、特に限定されるものではない。ウェハ保持リング23としては、例えば、硬質塩化ビニルまたはポリプロピレンからなるものが挙げられる。
【0099】
次に、めっき処理槽100において、半導体ウェハ1の被めっき面Wと陽極電極5との間に設けられている隔壁7の構造の一例について、図3を参照して、以下に説明する。図3は、めっき処理槽100において、内筒31と隔壁7とに囲まれた領域(被めっき基板室)の構成を示し、上の図は、半導体ウェハ1の被めっき面W側からみた上面図であり、下の図は、断面図である。
【0100】
図3に示すように、隔壁7は、被めっき面W側から見てドーナツ形状を有している。そして、隔壁7の中央部には、めっき液噴射管4が貫通している。また、隔壁7の外周部は、内筒31の底部に固定されている。
【0101】
また、隔壁7は、半透膜(透過部材)71と、半透膜支持体72・73とを備えている。隔壁7は、半透膜支持体72・73が、半透膜71を狭持した構成である。そして、陽極電極5側には、半透膜支持体72が配置されており、半導体ウェハ1の被めっき面W側には半透膜支持体73が配置されている。
【0102】
それゆえ、半導体ウェハ1と陽極電極5との間を通電することで、陽極電極5側(陽極電極室)に流入しためっき液は、半透膜支持体72にて透過される。そして、半透膜71にて、めっき液中の金属イオンが透過される。そして、半透膜71にて透過されためっき液中の金属イオンは、半透膜支持体73を透過して、半導体ウェハ1の被めっき面W側(被めっき基板室)へ流入する。この際、半透膜71では、めっき液中の金属イオンのみが透過され、めっき液中のパーティクルは透過されない。したがって、隔壁7により、めっき液中の金属イオンとパーティクルとを分離することが可能になり、陽極電極5に起因するパーティクルによるめっき面の汚染を防ぐことができる。
【0103】
半透膜71は、めっき液に浸漬した状態で、めっき液中の金属イオンを透過するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、半透膜71としては、炭化水素系カチオン交換膜、中性膜、または、多孔質性セラミック等が挙げられる。また、半透膜71が炭化水素系カチオン交換膜である場合、半透膜71として、具体的には、セレミオン(商標登録)(旭硝子エンジニアリング製 炭化水素系カチオン交換膜)、またはネオセプタCM−1(商標登録)(株式会社アトムス製 炭化水素系カチオン交換膜)が挙げられる。
【0104】
また、半透膜支持体72・73は、めっき液を透過する構造を有し、かつ、寸法安定性が確保され、めっき液に対し耐性を有するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、半透膜支持体72・73としては、ポリプロピレン、または硬質塩化ビニルからなるものが挙げられる。
【0105】
次に、半透膜71の構造について、イオン交換膜を含むイオン交換膜を例に挙げて、以下に説明する。図5は、イオン交換膜の構造を説明するための説明図である。また、図6は、イオン交換膜の選択透過性を説明するための説明図である。
【0106】
「イオン交換膜」とは、図5に示すように、イオンを選択透過させる膜のことをいう。このイオン交換膜は、大きく分けて陽イオン交換膜と陰イオン交換膜に区分される。陽イオン交換膜は、図5に示すように、めっき液に浸漬された状態で、通電すると、陽イオン(M+)を選択的に透過し、陰イオン(B−)を透過しない。
【0107】
陽イオン交換膜には、図6に示すように、マイナス電荷の置換基が固定されている。このため、陰イオン(B−)はマイナス電荷の置換基の反発を受け、透過できない。一方、陽イオン(M+)は、マイナス電荷の置換基の反発を受けないので、透過する。すなわち、陽イオン交換膜を透過できるイオンは、陽イオン(M+)だけということになる。
【0108】
一方、陰イオン交換膜は、上記の作用と反対の作用になる。これらイオン交換膜の選択透過は、電気透析装置の電気エネルギーによって行われる。なお、この電気透析装置の電気エネルギーは、特に限定されず、直流電流、パルス電流、または、交流電流による電気エネルギーであってもよい。
【0109】
次に、本発明のめっき装置の構成について、図4を参照して説明する。図4は、本発明のめっき装置の構成を示す概略図である。
【0110】
本発明のめっき装置は、図4に示すように、半導体ウェハ1の被めっき面Wにめっき処理を行うめっき処理槽100と、めっき処理槽100を内包するめっき液槽8と、めっき液供給源としてのめっき液貯槽9と、めっき液をめっき装置内に循環させるポンプ10と、めっき液中の固形異物をろ過するフィルター11と、これらを接続する配管Tを備えている。
【0111】
本発明のめっき装置では、めっき液貯槽9中のめっき液は、ポンプ10によりフィルター11を経て、めっき処理槽100の下部に形成されためっき液流入口Eへと至る。そして、めっき液流入口Eから供給されためっき液は、めっき液噴射管4を通って、半導体ウェハ1の被めっき面Wへと至る。そして、その後、めっき液は、内筒31上部の辺縁部(ウェハ保持具2と内筒31との隙間)より、めっき処理槽100外部へ漏れ出てめっき液槽8にて回収され、再度、めっき液貯槽9へ還流される。
【0112】
めっき液槽8、めっき液貯槽9、及び配管Tは、寸法安定性が確保され、かつ使用するめっき液に耐性がある材質であれば、特に限定されるものではない。これらの材質としては、例えば、硬質塩化ビニルまたはポリプロピレンが挙げられる。
【0113】
また、ポンプ10は、使用するめっき液に耐性があり、かつ、めっき液に悪影響を与えずに流動させることができれば、特に限定されるものではない。ポンプ10としては、例えば、イワキ製;商品名 マグネットポンプMD−70R、または、;商品名 イワキ製マグネットポンプMD−30RないしMD−100Rが挙げられる。また、ポンプ10の材質に関しても、寸法安定性が確保され、かつ使用するめっき液に耐性がある材質であれば、特に限定されるものではない。ポンプ10の材質としては、例えば、硬質塩化ビニルまたはポリプロピレンが挙げられる。
【0114】
また、フィルター11は、目標とするめっきパターンの最小間隔のおよそ1/2の粒径の捕集効率が100%であり、かつ使用するめっき液への耐性を備えめっき液に悪影響を与えずに流動させることができれば、特に限定されるものではない。フィルター11としては、例えば、日本ポール社製;商品名 ポリプロピレン製カートリッジフィルタHDCII(J012;1.2μm径粒子捕集効率100%)、日本ポール社製;商品名 ポリプロピレン製カートリッジフィルタHDCII(J006;1.0μm径粒子捕集効率100%)、テフロン(登録商標)製フィルター、または中空糸膜フィルターが挙げられる。また、フィルター11の材質に関しても、寸法安定性が確保され、かつ使用するめっき液に耐性がある材質であれば、特に限定されるものではない。フィルター11の材質としては、例えば、硬質塩化ビニルまたはポリプロピレンが挙げられる。
【0115】
また、図4では示していないが、配管Tの途中には弁、流量計、空気抜き管などが接続され、同じく図示しない制御装置によりめっき液の流動の制御が可能であり、更に図示しないめっき用電源部によって被めっき面と陽極電極5との間に電圧を印加することができる。
【0116】
次に、本発明のめっき装置におけるめっき処理の一例として、半導体ウェハ1の被めっき面Wに銅めっきを行う場合について、以下詳細に説明する。
【0117】
まず、ウェハ保持具2には、半導体ウェハ1の被めっき面Wが下側になるように、半導体ウェハ1が設置されている。半導体ウェハ1は、図示しないウェハ抑えによりOリング21及びコンタクト材22に密着されている。
【0118】
図4に示すように、めっき液貯槽9内のめっき液が、図示しない制御装置により制御されたポンプ10により、フィルター11に送られる。めっき液は、フィルター11にて、フィルター11の開口径以上の固形異物が除去され、配管を経てめっき処理槽100のめっき液流入口Eに流入する。カップ3の外筒32下部のめっき液流入口Eより流入しためっき液は、めっき液噴射管4を経て内筒31内に流入する。なお、上記めっき液は、添加剤と金属銅換算で約25g/Lの銅を含む銅めっき液(商品名 ミクロファブCu200 日本エレクトロプレイティング・エンジニヤース製)である。
【0119】
また、めっき液流入口Eに流入しためっき液のうち一部のめっき液は、外筒32底部と支持体6との間隙に流入する。外筒32底部と支持体6との間隙に流入しためっき液(以下、陽極電極室に流入しためっき液と記す)は、支持体6に穿たれた貫通孔を経て陽極電極5周囲を包み込むように上昇し隔壁7に沿って外周方向へ流動する。そして、内筒31と外筒32との間隙を通過してめっき処理槽100外へ流出される。なお、このめっき装置において、陽極電極5は、0.04〜0.06%のリンを含む含リン銅からなっている。
【0120】
一方、めっき液噴射管4を経て内筒31内に流入しためっき液(以下、被めっき基板室に流入しためっき液と記す)は、そのめっき液の運動エネルギーと、陽極電極室に流入しためっき液が内筒31と外筒32との間隙を通過してめっき処理槽100外へ流出するときの抵抗とにより、圧力が高められる。このため、被めっき基板室に流入しためっき液の液面が半導体ウェハ1の被めっき面Wに到達する。そして、被めっき基板室に流入しためっき液は、半導体ウェハ1表面の被めっき面Wの外周へと流動する。そして、内筒31とウェハ保持リング23との間隙を通過して、めっき処理槽100外へ流出する。
【0121】
内筒31と外筒32との間隙を通過してめっき処理槽100外へ流出しためっき液、及び内筒31とウェハ保持リング23との間隙を通過してめっき処理槽100外へ流出した液は、混合してめっき液槽8に溢れ出る。めっき液槽8内のめっき液は、高低差によってめっき液貯槽9へと還流する。
【0122】
このとき、半導体ウェハ1の被めっき面Wを陰極とし、被めっき面Wと陽極電極5との間に、図示しないめっき用電源によって電流を制御しながら電圧を印加すると、陽極電極5表面ではめっき液中の添加剤が所定の作用を為し、めっき液中に銅イオンが発生する。そして、発生した金属イオンは、隔壁7を透過して内筒31内を経て陰極電極となった半導体ウェハ1表面に至る。そして、半導体ウェハ1の被めっき面Wでは、めっき液中の添加剤が所定の作用を為しながら、銅イオンは銅として析出しめっきされる。
【0123】
なお、本発明のめっき装置において、ポンプ10によりフィルター11へ送られるめっき液の流量は、半導体ウェハ1の寸法、またはめっき処理槽100の寸法に応じて、適宜設定することができる。具体的には、毎分20L程度又は毎分2ないし20L程度の流量である。
【0124】
また、被めっき面Wと陽極電極5との間に印加される電圧、及び電圧印加時間もまた、半導体ウェハ1の寸法、またはめっき処理槽100の寸法に応じて、適宜設定することができる。具体的には、被めっき面Wでの電流密度が1平方センチメートルあたり20mAとなるように制御しながら、25分間電圧が印加される。
【0125】
なお、内筒31内は、フィルター11を経てフィルター開口径以上の固形異物を除去されためっき液で満たされており、陽極電極室に流入しためっき液は、隔壁7とめっき液の流れにより内筒31内には流入できない。そして、めっき液中の銅イオンのみが隔壁7を透過して内筒31内に至るため、陽極電極5表面のブラックフィルム等に起因する微小な固形異物の付着がない。また、従来のように、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物の付着を防止するために不溶解性電極を使用する必要がないため、めっき液中の添加剤の酸化分解による添加剤消費量の増大や分解生成物によるめっき液の汚染によるめっき品質の低下のない高品質なめっきを得ることができる。
【0126】
ここで、めっき液として、銅めっき液(ミクロファブCu200 日本エレクトロプレイティング・エンジニヤース製)を用いたが、これに限定されることなく、これ以外の所望の性能を達成できるめっき液であれば、これに限定されることがないのは勿論である。
【0127】
また、本発明のめっき装置では、隔壁7の一部または全部が、めっき液中の金属イオンを透過する透過部材からなる場合について説明したが、これに限定されない。本発明のめっき装置では、隔壁7を底面とする内筒31における、半導体ウェハ1の被めっき面Wと陽極電極5とを隔離する部分、すなわち、被めっき基板室における、陽極電極と被めっき基板とを隔離する部分の一部または全部が、めっき液中の金属イオンを透過する透過部材からなっていてもよい。例えば、内筒31の一部または全部が、めっき液中の金属イオンを透過する透過部材からなっていてもよい。
【0128】
また、フェースダウン方式のめっき装置においては、カップ下部より上昇するめっき液が、カップとウェハ保持具との間の隙間よりカップ外へ流出しますが、このとき上昇するめっき液の流量を大きくすることで液面が盛り上がるとともに、半導体ウェハとの表面張力(親水性)によって隙間よりも高い位置にある半導体ウェハの被めっき面を濡らしながらカップ周辺部へ流動しカップ外へ流出する。
【0129】
ここで、半導体ウェハの被めっき面全面に均一なめっき液の流れを作ることは、めっき時の銅イオンの供給にとってきわめて重要で、ウェハ表面で中央部から周辺部への層流を作ることはめっき仕上がりを大きく左右する。
【0130】
従来のフェースダウン方式で陽極電極と半導体ウェハとの間に隔壁を設けることは、ウェハへのめっき液の接触ができなくなり、めっき自体不可能となる。
【0131】
本発明においては、この問題を解決するために、カップの構造を従来の構造から内筒、外筒からなる2重構造とし、かつ、陽極電極より下から隔壁を貫通してウェハ側にめっき液噴射管を設け、ウェハ表面に至るめっきに関与する液と、陽極電極近傍を流れカップ外に排出される液とをこのノズルの入り口で分けることにより、ウェハ中央より十分な流速と流量をもってめっき液を噴流させウェハ表面で層流をつくることと陽極近傍を通り隔壁に沿ってカップ外に流出する流れを作ることができる。
【0132】
また、従来のフェースアップ方式の噴流めっき装置では、その構造上、側方の流入・流出口からウェハ表面に一様にめっき液の流れを作るために、ウェハを回転させることで相対的に一様な流れを得ようとしている。このため、ウェハ保持側の機構に回転機構を付加する必要があり、大掛かりな装置となる。
【0133】
これに対して本発明のめっき装置では、半導体ウェハ中央部からめっき液を噴出することが可能であるため、めっき処理槽と半導体ウェハとは固定されており、より簡便な装置構造を実現できる。
【0134】
本発明のめっき装置は、基板にめっきを形成するためのフェースダウン方式の噴流めっき装置であって、めっきカップ内で陽極電極と被めっき面を隔離して配置されている構成であるともいえる。また、前記めっき装置は前記めっきカップ内にめっき液を導入する。
【0135】
この結果、めっき装置はめっきカップ内にめっき液を流入することで被めっき面にめっき液を接触せしめ、めっきカップ内に配置した陽極電極と被めっき面間に通電することでめっきを行うめっき方法において、前記めっきカップ内の陽極電極近傍に流入しためっき液は流動によって被めっき面に到達しないか、もしくは前記めっき装置はめっきカップ内にめっき液を流入することで被めっき面にめっき液を接触せしめ、めっきカップ内に配置した陽極電極と被めっき面間に通電することでめっきを行うめっき方法において、前記めっきカップ内の陽極電極近傍に流入しためっき液は被めっき面に到達せずにめっきカップ外部に流出させることが可能である。
【0136】
前記めっき装置は前記めっきカップ内で陽極電極と被めっき面を隔離する構造の一部もしくは全部が、電解液中に浸漬することによってイオンを透過することができる材質が半透膜であるか、イオン交換膜であるか、または電解液中に浸漬することによってイオンを透過することができるその他の材質から成る。
【0137】
一方、前記めっき装置において前記めっき液は銅を含有する導電性の液体又は銅を含有する導電性の液体にその他の成分を添加した導電性の液体である。更に前記めっき液はめっき液1リットル中に金属銅として14乃至は40gの銅成分を含む。一方、前記めっき装置において、前記陽極電極は含リン銅からなる溶解性陽極電極板である。
〔実施の形態2〕
次に、本実施形態では、半導体装置、及び半導体装置の製造方法の一例として、上記実施の形態1において被めっき基板として用いた半導体ウェハ1及びその製造方法について、図9〜図12に基づいて、以下詳細に説明する。図9は、本実施形態で用いた半導体ウェハ1の概略構成を示す模式図である。また、図10は、めっき工程後の、半導体ウェハ1に形成された半導体チップ33の概略構成を示し、図10(a)は、平面図であり、図10(b)は、断面図である。
【0138】
図9に示すように、半導体ウェハ1表面には、半導体チップ41が複数形成されている。また、半導体ウェハ1の周辺には、コンタクト部42が設けられている。このコンタクト部42には、図示しないめっきシード層が露出されている。そして、コンタクト部42は、給電のために、図2に示すコンタクト材22と接するようになっている。
【0139】
また、図10(a)に示すように、半導体チップ41には、フォトレジスト層18が任意の形状で形成されている。さらに、図10(b)に示すように、めっき工程後の半導体チップ41の表面には、シード層19が形成されている。そして、シード層19の表面には、配線めっき層16及びフォトレジスト層18が形成されている。また、シード層19において、配線めっき層16及びフォトレジスト層18側と反対側には、パッド17が設けられている。そして、半導体チップ41では、配線めっき層16とパッド17とが電気的に接するようになっている。
【0140】
次に、本実施形態における半導体装置の製造方法の手順について、図11に基づいて、以下に説明する。図11は、本実施形態における半導体装置の製造方法の手順を示す断面図である。
【0141】
本実施形態における半導体装置の製造方法は、図11に示すように、半導体チップ41表面にシード層19を形成するシード層形成工程と、シード層19上にフォトレジスト層18を塗布するフォトレジスト塗布工程と、このフォトレジスト層18に任意の形状のパターンを形成するフォトレジストパターン形成工程と、フォトレジストパターンに金属をめっきし、配線めっき層を形成するめっき工程と、フォトレジスト層18を剥離する剥離工程と、シード層19をエッチングするエッチング工程とを含んでいる。なお、図11(a)は、シード層形成工程前の半導体チップ41の一部の概略構成を示しており、図11(b)は、シード層形成工程後の半導体チップ41の一部の概略構成を示しており、図11(c)は、フォトレジスト塗布工程後の半導体チップ41の一部の概略構成を示しており、図11(d)は、フォトレジストパターン形成工程後の半導体チップ41の一部の概略構成を示しており、図11(e)は、めっき工程後の半導体チップ41の一部の概略構成を示しており、図11(f)は、剥離工程後の半導体チップ41の一部の概略構成を示しており、図11(g)は、エッチング工程後の半導体チップ41の一部の概略構成を示している。
【0142】
図11(a)に示すように、シード層形成前の半導体チップ41には、その表面に、電気信号を外部と交換するためのパッド17が設けられている。
【0143】
図11(b)に示すように、シード層形成工程では、このような半導体チップ41の表面にシード層19を形成する。具体的には、スパッタリング装置内にて、半導体チップ41を含む半導体ウェハ1を、パッド形成面にシード層が形成されるように配置する。そして、半導体ウェハ1表面に、バリアメタルとなるチタン層を1000Å形成し、次に銅層を3000Å形成する。そして、この銅層を、めっきのためのシード層19とする。このシード層19は、後述するめっき工程において、めっき材(配線めっき層16)の成長を促進する役割を果たす。
【0144】
ここで、シード層形成工程にて、バリアメタルとしてチタン層を形成している。しかしながら、バリアメタルとなる層は、これに限定されるものではなく、クロム層であってもよい。また、チタンとタングステンとの合金からなる層であってもよい。さらには、これら以外に、バリア効果を得られる金属からなる層であればよい。
【0145】
さらに、チタン層の厚みを1000Åとしているが、これに限定されることなく、バリア性を確保できれば、500Å以上の任意の厚みであってもよい。また、めっきのためのシード層19としての銅層の厚みを3000Åとしているが、これに限定されることなく、めっき工程において均一な電流密度を確保できる厚みであれば、銅層の厚みは、1000Å以上の任意の厚みであってもよい。
【0146】
図11(c)に示すように、フォトレジスト塗布工程では、シード層19が形成された半導体チップ41を含む半導体ウェハ1にフォトレジスト層18を塗布する。フォトレジスト塗布工程では、フォトレジスト(東京応化製;商品名 PMER P−LA900)を回転塗布装置により、毎分1500回転で30秒間、半導体ウェハ1表面に回転塗布し、115℃で5分間加熱する。
【0147】
ここで、フォトレジストとして上記PMER P−LA900を用いている。しかしながら、フォトレジストは、これに限定されるものではなく、後述するめっき工程に対して耐性であればよい。フォトレジストとしては、例えば東京応化製;商品名 PMER N−CA3000であってもよい。さらには、フォトレジストの塗布方法も回転塗布に限定されるものではない。例えば、東京応化製;商品名 ORDYL MP100 Seriesなどのドライフィルムによって、半導体ウェハ1表面にフォトレジスト層18を形成してもよい。
【0148】
また、フォトレジスト塗布工程では、フォトレジストを、回転塗布装置により毎分1500回転で30秒間回転塗布し、115℃で5分間加熱している。しかしながら、回転塗布方法は、これに限定されるものではなく、例えば、毎分1000回転〜3000回転にて十分に均一な膜厚となるまで回転させた後、100℃〜120℃で5分程度加熱してもよい。
【0149】
図11(d)に示すように、フォトレジストパターン形成工程では、フォトレジスト塗布工程にて形成されたフォトレジスト層18に任意の形状のパターンを形成する。具体的には、フォトレジスト塗布工程後に、半導体チップ41を含む半導体ウェハ1を、図示しない露光装置にセットする。そして、フォトレジスト層18にg線(436nm)を照射する。その後、図示しない現像装置により、2.38%−TMAH水溶液にて、フォトレジスト層18の現像を行い、配線めっきを成すべき部分のフォトレジストを除去する。
【0150】
ここで、フォトレジスト層18にg線(436nm)を照射している。しかしながら、露光時にフォトレジスト層18に照射する光は、フォトレジストを露光させることができる光であれば、特に限定されるものではない。フォトレジスト層18に照射する光として、例えば、i線(365nm)や深紫外線(約200乃至300nm)であってもよい。また、フォトレジストパターン形成工程では、2.38%−TMAH水溶液にてフォトレジスト層18の現像を行っている。しかしながら、TMAH水溶液の濃度は、これに限定されるものではない。例えば、TMAH水溶液の濃度としては、1〜3%の濃度であってもよい。さらには、25%−TMAH水溶液を、現像するのに適当な濃度にまで、純水で希釈してもよい。
【0151】
図11(e)に示すように、めっき工程では、上記フォトレジストパターン形成工程にてフォトレジスト層18に任意の形状のパターンを形成した結果、シード層19が露出した部分にめっきを行っている。具体的には、フォトレジストパターン形成工程後に、半導体チップ41を含む半導体ウェハ1を、図1に示すめっき装置に設置する。すなわち、めっき装置のウェハ保持具2に半導体ウェハ1を設置する。そして、図示しないウェハ抑えにより、Oリング21及びコンタクト材22を、半導体チップ41のコンタクト部42に密着させる。なお、半導体ウェハ1をめっき装置に設置した後のめっき工程に関しては、上記実施の形態1にて説明しためっき方法と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0152】
また、剥離工程では、図11(f)に示すように、めっき工程後の半導体チップ41に形成されているフォトレジスト層18を剥離する。具体的には、図11(e)に示す半導体チップ41を含む半導体ウェハ1を、図示しない剥離装置に投入する。そして、半導体ウェハ1を、剥離液(東京応化製;商品名 104剥離液)に70度―20分間浸漬し、時折震盪する。これにより半導体ウェハ1表面に形成されたフォトレジスト層18が剥離される。
【0153】
ここで、剥離工程では、半導体ウェハ1を、上記104剥離液に70℃−20分間浸漬し時折震盪している。しかしながら、浸漬時間は、これに限定されるものではなく、例えば15〜25分間の浸漬であってもよい。また、剥離液として、例えば三菱ガス化学製R−100を用い、50℃で8〜15分間浸漬し時折震盪してもよい。あるいは、剥離液としてアセトンを用いてもよい。
【0154】
次に、エッチング工程では、図11(g)に示すように、配線めっき層16が形成されていないシード層19をエッチングにより除去する。具体的には、図11(f)に示す半導体チップ41を含む半導体ウェハ1を、図示しないエッチング装置に投入する。そして、半導体ウェハ1を、25℃の10%−過硫酸アンモニウム水溶液に1分30秒浸漬しつつ震淘して、銅めっき配線部(配線めっき層16)以外の銅(Cu)からなるシード層19(表面に配線めっき層16が形成されていないシード層19)をエッチングする。
【0155】
ここで、エッチング工程では、半導体ウェハ1を、25℃の10%−過硫酸アンモニウム水溶液に1分30秒浸漬しつつ震淘することとしている。しかしながら、エッチングに用いる水溶液は、これに限定されるものではなく、例えば、10%−水酸化ナトリウム水溶液や40%−塩化第二鉄水溶液、その他の水溶液であってもよい。また、水溶液の温度も、これに限定されるものではなく、15℃〜40℃であってもよい。
【0156】
さらに、エッチング工程では、次に、半導体ウェハ1を、90℃の25%−TMAHに1時間浸漬しつつ震淘する。これにより、銅めっき配線部(配線めっき層16)以外の図示しないバリアメタルとしてのチタン層(表面に配線めっき層16が形成されていないチタン層)がエッチングされる。
【0157】
ここで、チタン層をエッチングするために、90℃の25%−TMAHに1時間浸漬しつつ震淘することとしている。しかしながら、チタン層をエッチングするために用いる水溶液は、これに限定されるものではなく、例えば、塩酸、フッ酸と硝酸との混合液等であってもよい。
【0158】
このように上記シード層形成工程からめっき工程を経て製造された半導体チップ41を含む半導体ウェハ1は、上記めっき工程にて、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物によりめっき品質の低下が無くなる。それゆえ、本実施形態の半導体装置の製造方法では、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物による配線間のショート等を防ぐことが可能になり、半導体チップ表面により微細な配線パターンを形成することが可能になる。
【0159】
また、このように半導体ウェハ1上に配線めっき層16が形成された半導体チップ41には、外部接続端子が設置される。以下、配線めっき層16が形成された半導体チップ41に外部接続端子を設置する外部接続端子設置工程について、図12に基づいて、詳細に説明する。図12は、配線めっき層16が形成された半導体チップ41に外部接続端子26を設置する外部接続端子設置工程を示す断面図である。
【0160】
上記外部接続端子設置工程は、配線めっき層16が半導体チップ41表面にオーバーコート層を形成するオーバーコート層形成工程と、オーバーコート層に任意の形状のパターンを形成するオーバーコート層パターン形成工程と、オーバーコート層のパターン形状に基づいて外部接続端子を配線めっき層16に形成する外部接続端子形成工程とを含んでいる。なお、図12(a)は、オーバーコート層形成工程前の配線めっき層16が形成された半導体チップ41の一部の概略構成を示し、図12(b)は、オーバーコート層形成工程後の半導体チップ41の一部の概略構成を示し、図12(c)は、オーバーコート層パターン形成工程後の半導体チップ41の一部の概略構成を示し、図12(d)は、外部接続端子形成工程後の半導体チップ41の一部の概略構成を示している。
【0161】
図12(a)に示すように、半導体ウェハ1上に配線めっき層16が形成された半導体チップ41では、配線めっき層16の下(パッド17が形成されている側)に、シード層19が形成されている。配線めっき層16は、このシード層19を介して、半導体チップ41上に設けられているパッド17と電気的に接続している。
【0162】
図12(b)に示すように、オーバーコート層塗布工程では、配線めっき16が形成された半導体チップ41を含む半導体ウェハ1にオーバーコート層20を形成する。具体的には、オーバーコート層20(住友ベークライト製;商品名 CRC−8000シリーズ)を回転塗布装置により毎分1500回転で30秒間回転塗布し、130℃で5分間加熱する。
【0163】
ここで、上記オーバーコート層塗布工程では、オーバーコート層20として上記CRC−8000シリーズを用いている。しかしながら、オーバーコート層20に用いる材料は、これに限定されるものではなく、例えば日立化成製;商品名 HD−8800シリーズであってもよい。さらには、オーバーコート層20として、商品名 HD−8000シリーズ等の感光性耐熱性樹脂を用いてもよい。
【0164】
また、上記オーバーコート層塗布工程では、回転塗布装置により毎分1500回転で30秒間回転塗布し、130℃で5分間加熱している。しかしながら、オーバーコート層の塗布方法は、これに限定されるものではなく、例えば、毎分1000回転〜3000回転にて十分に均一な膜厚となるまで、半導体ウェハを回転させた後、120℃〜140℃で5分程度加熱してもよい。
【0165】
図12(c)に示すように、オーバーコート層パターン形成工程では、オーバーコート層20に、任意の形状のパターンを形成する。具体的には、オーバーコート層塗布工程後に、半導体チップ41を含む半導体ウェハ1を、図示しない露光装置にセットする。そして、露光装置によりオーバーコート層20にg線(436nm)を照射する。その後、図示しない現像装置により、2.38%−TMAH水溶液にてオーバーコート層20の現像を行い、外部接続端子を形成する部分に相当するオーバーコート層20を除去する。そして、除去後、300℃の窒素雰囲気下で、2時間硬化処理を行う。このオーバーコート層パターン形成工程により、半導体チップ41では、外部接続端子を形成する部分で、配線めっき層16が露出した状態になる。
【0166】
ここで、上記オーバーコート層パターン形成工程では、露光装置によりオーバーコート層20にg線(436nm)を照射している。しかしながら、オーバーコート層20に照射する光は、オーバーコート層を露光させることができる光であれば、特に限定されるものではない。オーバーコート層20に照射する光としては、例えば、i線(365nm)や深紫外線(約200乃至300nm)であってもよい。
【0167】
また、上記オーバーコート層パターン形成工程では、2.38%−TMAH水溶液にて、オーバーコート層20の現像を行っている。しかしながら、TMAH水溶液の濃度は、これに限定されるものではない。例えば、TMAH水溶液の濃度としては、1〜3%の濃度であってもよい。さらには、25%−TMAH水溶液を、現像するのに適当な濃度にまで、純水で希釈してもよい。
【0168】
さらに、上記オーバーコート層パターン形成工程では、外部接続端子を形成する部分に相当するオーバーコート層20を除去した後、300℃の窒素雰囲気下で2時間硬化処理を行うこととしている。しかしながら、オーバーコート層除去後の工程は、これに限定されるものではない。例えば、オーバーコート層除去後に、250〜350℃にて、1.5時間〜3時間の保持時間を有する工程であってもよい。また、その工程の前後に、昇温過程及び降温過程を有してもよい。
【0169】
図12(d)に示すように、外部接続端子形成工程では、オーバーコート層パターン形成工程にて、オーバーコート層20を除去した部分に、外部接続端子26を形成する。具体的には、図示しないボール搭載機に、半導体チップ41を含む半導体ウェハ1を設置する。そして、外部接続端子形成用の配線めっき層16が露出した部分に、図示しないフラックスを塗布する。そして、フラックスを塗布した部分に、図示しないツールに保持された外部接続端子26としての半田ボールを設置する。その後、半田ボールが設置された半導体チップ41を含む半導体ウェハ1を、245℃のリフロー装置により、半田ボールを再溶融させ冷却させることにより、配線めっき層16に外部接続端子26としての半田ボールを接合させる。
【0170】
ここで、外部接続端子26としての半田ボールは、SnAg3.0Cu0.5(千住金属工業製;商品名 M705)からなっている。しかしながら、半田ボールは、これに限定されるものではなく、例えば、Sn63Pb37からなっていてもよい。また、他の鉛フリー半田からなっていてもよい。
【0171】
また、上記外部接続端子形成工程では、リフロー装置による加熱温度を245℃としている。しかしながら、リフロー装置による加熱温度は、これに限定されるものではなく、例えば240〜250℃であってもよい。
【0172】
なお本発明は、以上説示した各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0173】
本発明のめっき装置は、以上のように、操作性を損なうことなく、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物による、めっき品質の低下を防止することができる。このため、本発明は、半導体産業に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0174】
【図1】本発明の実施の一形態のめっき装置に設けられためっき処理槽の概略構成を示す断面図である。
【図2】上記めっき処理槽のウェハ保持具の構成の一例を示す断面図である。
【図3】上記めっき処理槽において、内筒と隔壁とに囲まれた領域の構成を示し、上の図は、半導体ウェハの被めっき面側からみた上面図であり、下の図は、断面図である。
【図4】本発明の実施の一形態のめっき装置の構成を示す概略図である。
【図5】イオン交換膜の構造を説明するための説明図である。
【図6】イオン交換膜の選択透過性を説明するための説明図である。
【図7】従来のフェースダウン方式の噴流めっき装置の概略構成を示す断面図である。
【図8】従来のラック方式の縦型めっき装置の概略構成を示す断面図である。
【図9】本実施形態で用いた半導体ウェハの概略構成を示す模式図である。
【図10】めっき工程後の、半導体ウェハに形成された半導体チップの概略構成を示し、(a)は、平面図であり、(b)は、断面図である。
【図11】本実施形態における半導体ウェハの製造方法の手順を示す断面図であり、(a)は、シード層形成工程前の半導体チップの一部の概略構成を示しており、(b)は、シード層形成工程後の半導体チップの一部の概略構成を示しており、(c)は、フォトレジスト塗布工程後の半導体チップの一部の概略構成を示しており、(d)は、フォトレジストパターン形成工程後の半導体チップの一部の概略構成を示しており、(e)は、めっき工程後の半導体チップの一部の概略構成を示しており、(f)は、剥離工程後の半導体チップの一部の概略構成を示しており、(g)は、エッチング工程後の半導体チップの一部の概略構成を示している。
【図12】配線めっき層が形成された半導体ウェハに外部接続端子を設置する外部接続端子設置工程を示す断面図であり、(a)は、オーバーコート層形成工程前の配線めっき層が形成された半導体チップの一部の概略構成を示し、(b)は、オーバーコート層形成工程後の半導体チップの一部の概略構成を示し、(c)は、オーバーコート層パターン形成工程後の半導体チップの一部の概略構成を示し、(d)は、外部接続端子形成工程後の半導体チップの一部の概略構成を示している。
【符号の説明】
【0175】
1 半導体ウェハ(被めっき基板)
2 ウェハ保持具
3 カップ
4 めっき液噴射管
5 陽極電極
6 支持体
7 隔壁
8 めっき液槽
9 めっき液貯槽(めっき液供給源)
10 ポンプ(めっき供給手段)
11 フィルター(めっき液ろ過手段)
16 配線めっき層
17 パッド
18 フォトレジスト層
19 シード層
20 オーバーコート層
26 外部接続端子
31 内筒(第2の円筒カップ)
32 外筒(第1の円筒カップ)
41 半導体チップ
100 めっき処理槽
【技術分野】
【0001】
本発明は、めっき装置及びめっき方法に関するものであり、より詳しくは、被めっき面に配線用の微細なめっきを形成するめっき装置、めっき方法、半導体装置、及び半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、半導体ウェハ等へ配線を形成するために、金属めっきによる手法が採用されている。従来の金属めっきに用いる装置としては、フェースダウン方式の噴流めっき装置、ラック方式の縦型めっき装置、または、フェースアップ方式の噴流めっき装置が知られている。
【0003】
フェースダウン方式の噴流めっき装置は、図7に示すように、半導体ウェハ1’を保持するウェハ保持具2’と、カップ3’と、カップ3内にめっき液を供給するためのめっき液噴射管4’と、陽極電極5’とを備えている。陽極電極5’は、一般に、含リン銅からなっている。カップ3’の内部には、陽極電極5’が設けられている。そして、カップ3’には、ウェハ保持具2’が設けられており、半導体ウェハ1’は、ウェハ保持具2’により、カップ3’の上部に保持されている。フェースダウン方式の噴流めっき装置では、めっき液噴射管4’は、半導体ウェハ1’の下方に設けられている。このため、めっき液噴射管4’より噴射しためっき液が、半導体ウェハ1’の下方より供給されることになる。これにより、被めっき面のめっきが施される。
【0004】
なお、図7には示していないが、フェースダウン方式の噴流めっき装置は、カップ3’を内包するように設けられためっき液槽、めっき液供給源としてのめっき液貯槽、めっき液をめっき装置内に循環させるポンプ、めっき液中の固形異物をろ過するフィルター、及びこれらを接続する配管を備えている。
【0005】
フェースダウン方式の噴流めっき装置では、めっき液貯層中のめっき液は、ポンプによりフィルターを経て、カップ3’の下部へと至る。そして、カップ3’の下部から供給されためっき液は、めっき液噴射管4’を通って、陽極電極5’を経て半導体ウェハ1の被めっき面へと至る。そして、その後、めっき液は、カップ3’上部の辺縁部(ウェハ保持具2’とカップ3’との隙間)より、カップ3’外部へ漏れ出てめっき液槽にて回収され、再度、めっき液貯層へ還流される。
【0006】
このようなフェースダウン方式の噴流めっき装置は、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1に開示されている、フェースダウン方式の噴流めっき装置では、「めっき処理槽に流入しためっき液の一部を、陽極電極に設けた貫通孔又は陽極電極の周囲からめっき処理槽外部に流出せしめる流出口」が設けられている。また、陽極電極として、プラチナに体表される不溶解性電極を適用しためっき装置も知られている。
【0007】
また、ラック方式の縦型めっき装置は、図8に示すように、陽極電極6’’と、ラック24と、めっき処理槽12とを備えている。陽極電極6’’は、一般的に内部起毛の布性のアノードバッグ13内に設置されている。陽極電極6’’としては、球状の含リン銅をチタン製のバスケットに入れたもの、もしくは含リン銅から成る銅板が用いられる。また、ラック24は、半導体ウェハ1への給電部を備え、かつ半導体ウェハ1よりやや内径の小さい穴を穿った板状の治具である。そして、めっき処理槽12は、ラック24への半導体ウェハ1の固定と裏面の絶縁を兼ねるウェハ抑え25及びめっき液を攪拌する図示しないスキージを備えている。
【0008】
なお、図8には示していないが、ラック方式の縦型めっき装置は、めっき液槽、めっき液供給源としてのめっき液貯槽、めっき液をめっき装置内に循環させるポンプ、めっき液中の固形異物をろ過するフィルター、これらを接続する配管、及び付属装置を備えている。
【0009】
めっき液は、貯槽からポンプによってフィルターを経て注入口14へと至る。そして、めっき処理槽12槽内で陽極電極6を内包するアノードバッグ13近傍を流動する。その後、半導体ウェハ1表面の被めっき面へと至り、めっき処理槽12上縁よりダム15へと流出しダムの一部の設けられた図示しない戻り管を経てめっき液貯槽へと還流する。このようなラック方式の縦型めっき装置は、例えば特許文献2に開示されている。
【0010】
また、フェースアップ方式の噴流めっき装置は、半導体ウェハの被めっき面を上に向けて配置し、かつ被めっき面に対向させて陽極電極を配置して、めっき液が、半導体ウェハの上方より供給されるような構成である。
【0011】
このようなフェースアップ方式の噴流めっき装置は、例えば特許文献3及び4に開示されている。特許文献3に開示されている、フェースアップ方式の噴流めっき装置では、ブラックフィルムの乾燥による剥離を防止する目的で、陽極室の底部にイオン交換膜又は多孔性中性膜が設けられ、陽極室内がめっき液で満たされるようにしている。また、特許文献4に開示されている、フェースアップ方式の噴流めっき装置では、陽極室の底部に多数の細孔が形成された多孔体が設けられている。
【0012】
また、上述のめっき装置と異なる構成のものとして、例えば特許文献5には、めっき処理槽を陰イオン交換膜で陰極室と陽極室に隔離し、陽極として不溶性電極を使用して電気銅めっきを行う半導体ウェハの電気銅めっき装置が開示されている。
【0013】
これら従来のめっき装置において、半導体ウェハの被めっき面全面に均一なめっき液の層流を作ることは、めっき処理において極めて重要である。それゆえ、半導体ウェハの被めっき面の中央部から周辺部への層流を作ることは、めっきの仕上がりを大きく左右する。
【0014】
従来のフェースアップ方式の噴流めっき装置は、側方の流入口・流出口から、半導体ウェハの被めっき面全面に均一なめっき液の層流を作るために、その構造上、半導体ウェハを回転させることで、相対的に一様なめっき液の層流を得るような構成となっている。このため、従来のフェースアップ方式の噴流めっき装置では、半導体ウェハを保持する機構に加え、半導体ウェハを回転させる機構を付加する必要があり、装置が大掛かりになってしまう。
【0015】
一方、フェースダウン方式の噴流めっき装置では、半導体ウェハの被めっき面の中央部からめっき液を噴流することが可能であるため、めっき装置と半導体ウェハとは固定されており、より簡便な装置を実現できる。
【特許文献1】特開2001−24307号公報(平成13年1月26日公開)
【特許文献2】特開2000−87299号公報(平成12年3月28日公開)
【特許文献3】特開2001−49498号公報(平成13年2月20日公開)
【特許文献4】特開2001−24303号公報(平成13年1月26日公開)
【特許文献5】特開2003−73889号公報(平成15年3月12日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、上記従来のフェースダウン方式の噴流めっき装置には、以下の問題が生じる。
【0017】
フェースダウン方式の噴流めっき装置では、微小な固形異物が被めっき面に付着し、めっき品質の低下を招くという問題が生じる。この原因は、ポンプによりめっき液貯槽から供給されためっき液が、フィルターにてろ過された後、カップ下部から供給され陽極電極近傍を経て半導体ウェハの被めっき面へと至る経路のうち、陽極電極表面にある。陽極電極が、含リン銅を含む場合、その表面にはブラックフィルムと呼ばれる黒色皮膜が形成される。このブラックフィルムは、塩素(Cl)やリン(P)を含む一価の銅の錯体(Cu+からなり、陽極溶解により発生した一価の銅イオンと化合した結果生じたものである。
【0018】
このブラックフィルムは、下記(1)式に示す銅の不均化反応を抑制することで、スライムの発生を抑制する効果がある。
2Cu+→Cu+Cu2+ (1)
しかしながら、一方で、一旦形成されたブラックフィルムは、陽極電極表面から剥離しやすくなる。剥離した微小なブラックフィルムは、めっき液の流れと共に、半導体ウェハの被めっき面へ運ばれる。その結果、半導体ウェハのめっき面にブラックフィルムが付着するという問題が生じる。
【0019】
また、陽極電極として、不溶解性電極を適用することで、上記ブラックフィルムによる問題を防止することが可能である。しかしながら、この場合、陽極電極表面において、めっき液中の添加剤が、酸化分解しめっき液の消費量が増大したり、酸化分解で生成された分解生成物により、めっき液が汚染するという問題が生じる。
【0020】
一方、上記従来のラック式の縦型めっき装置では、内部起毛の布性アノードバッグ内に、含リン銅を含む陽極電極が設置されているので、ブラックフィルムに起因する固形異物による、半導体ウェハへの付着は防止することが可能である。しかしながら、このような縦型めっき装置では、半導体ウェハをめっき処理槽内に保持するために、半導体ウェハをラックに固定するという操作が必要になる。このため、この操作による生産性の低下、めっき品質の低下、及び自動化の妨げという問題が生じる。
【0021】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、フェースダウン方式の噴流めっき装置において、操作性を損なうことなく、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物による、めっき品質の低下を防止することができるめっき装置、めっき方法、半導体装置、及び半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明のめっき装置は、上記の課題を解決するために、内部に陽極電極が設けられためっき処理槽を備え、上記めっき処理槽内にめっき液を流入し、被めっき基板の被めっき面に下方側からめっき液の噴流を当接させながら上記陽極電極と上記被めっき基板との間を通電することでめっきを行うめっき装置であって、めっき処理槽には、上記被めっき基板と上記陽極電極との間に、隔壁が設けられており、上記陽極電極と上記被めっき基板とが上記隔壁により隔離され、上記めっき処理槽が被めっき基板室と陽極電極室とに区分されていることを特徴としている。
【0023】
本発明のめっき装置は、被めっき基板の被めっき面に下方側からめっき液の噴流を当接させながら上記陽極電極と上記被めっき基板との間を通電することでめっきを行う、すなわち、フェースダウン方式でめっきを行うものである。
【0024】
なお、上記「被めっき基板室」とは、上記隔壁により隔離された領域のうち、被めっき基板を含む空間のことをいう。また、上記「陽極電極室」とは、上記隔壁により隔離された領域のうち、陽極電極を含む空間のことをいう。
【0025】
また、上記の構成によれば、上記陽極電極と上記被めっき基板とが上記隔壁により隔離され、上記めっき処理槽が被めっき基板室と陽極電極室とに区分されているので、陽極電極に起因するパーティクルなどによるめっき面の汚染を防止できる。
【0026】
以上のように、上記の構成によれば、操作性を損なうことなく、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物による、めっき品質の低下を防止することができるめっき装置を提供することができる。
【0027】
また、本発明のめっき装置では、さらに、上記被めっき基板の被めっき面へめっき液を噴射するためのめっき液噴射管を備え、上記めっき液噴射管が、上記隔壁を貫通するとともに、上記被めっき基板室と上記陽極電極室との両方にめっき液が流入するように設けられていることが好ましい。
【0028】
上記の構成によれば、めっき液噴射管が、上記隔壁を貫通するとともに、上記被めっき基板室と上記陽極電極室との両方にめっき液が流入するように設けられているので、めっき処理槽に流入するめっき液を、上記めっき基板領域に流入するめっき液の層流と、上記陽極電極室に流入するめっき液の層流とに分離することができる。これにより、めっき処理槽内にめっき液を流入すると、被めっき基板の被めっき面へ十分な流速及び流量をもって、めっき液を噴流することが可能になる。
【0029】
「上記被めっき基板室と上記陽極電極室との両方にめっき液が流入するような」構成としては、例えば、上記めっき処理槽は、第1の円筒カップと第2の円筒カップとを備え、上記第1の円筒カップには、上記陽極電極が配されており、その底部には、めっき液をめっき処理槽へ流入するためのめっき液流入口が設けられており、上記第2の円筒カップの底部は、上記隔壁からなり、上記めっき液噴射管が、上記隔壁を貫通するとともに、上記めっき液流入口から流入しためっき液の層流が、第1の円筒カップへ流入するめっき液の層流と、第2の円筒カップへ流入するめっき液の層流とに分離するように設けられている構成が挙げられる。
【0030】
本発明のめっき装置では、上記陽極電極室に流入するめっき液が、上記被めっき基板室へ到達しないようになっていることが好ましい。
【0031】
上記の構成によれば、めっき処理槽から流入しためっき液は、めっき液噴射管によって被めっき基板室に流入しためっき液と、陽極電極室に流入しためっき液とに分離される。陽極電極室に流入しためっき液は、陽極電極と被めっき基板との間を通電することで、陽極電極に起因するパーティクルを含むめっき液になる。このめっき液は、隔壁を通過することで、パーティクルが除去される。このため、上記の構成によれば、陽極電極に起因するパーティクルは被めっき面に到達しない。それゆえ、パーティクルによるめっき面の汚染を防止することができる。また、さらに、上記陽極電極室へ流入するめっき液を、上記めっき処理槽の外部に流出するめっき液流出口が設けられていてもよい。
【0032】
また、本発明のめっき装置では、上記めっき処理槽における、上記隔壁を含む上記陽極電極と上記被めっき基板とを隔離する部分の一部または全部が、めっき液中に浸漬した状態で、めっき液中のイオンを透過する透過部材からなることが好ましい。
【0033】
上記の構成によれば、透過部材は、めっき液に浸漬した状態で、めっき液中のイオンを透過するので、めっき液に電圧を印加すると、めっき液中のイオンは透過部材を透過する。一方、陽極電極に起因するパーティクルは透過部材を透過しない。したがって、上記の構成によれば、陽極電極に流入しためっき液を、イオンとパーティクルとを分離することが可能になる。
【0034】
また、上記透過部材が、半透膜であってもよい。
【0035】
また、上記透過部材が、イオン交換膜を含んでいてもよい。
【0036】
また、本発明のめっき装置では、上記隔壁の厚さが、50μm以上200μm以下であることが好ましい。
【0037】
また、本発明のめっき装置では、上記隔壁が、炭化水素系カチオン交換膜を含むことが好ましい。
【0038】
また、本発明のめっき装置では、さらに、上記めっき処理槽へ供給するめっき液を貯留するめっき液供給源と、上記めっき液供給源に貯留されためっき液を上記めっき処理槽へ供給するめっき液供給手段と、上記めっき液供給手段より供給されためっき液をろ過するめっき液ろ過手段とを備え、上記めっき液供給源に貯留されためっき液は、上記めっき液供給手段と上記めっき液ろ過手段とを介して、上記めっき処理槽へ供給され、上記めっき処理槽に供給されためっき液は、再び上記めっき液供給源へ供給されることが好ましい。
【0039】
また、上記めっき液は、銅成分を含み、かつ、導電性の液体であることが好ましい。
【0040】
めっき液には、各種金属を形成するために様々なめっき液がある。上記の構成によれば、銅を含有するめっき液を用いることで、被めっき基板の被めっき面に銅めっきを形成することができる。なお、「銅成分」とは、金属銅、銅イオン、または、銅イオンを含む化合物のことをいう。
【0041】
また、上記めっき液は、めっき液1リットルに対して、14g以上40g以下の銅成分を含むことが好ましい。
【0042】
また、上記陽極電極は、含リン銅からなる溶解性陽極電極であることが好ましい。
【0043】
陽極電極として純銅を含む陽極電極に用いると、陽極電極からの異物発生量が増加する。一方、上記の構成によれば、陽極電極は、含リン銅からなる溶解性陽極電極であるので、陽極電極表面にブラックフィルムと呼ばれる黒色皮膜が形成され、これによって異物の原因となる銅錯体イオン(Cu+)がトラップされる。
【0044】
また、上記被めっき基板が、半導体ウェハであってもよい。
【0045】
本発明のめっき方法は、上記の課題を解決するために、めっき処理槽内にめっき液を流入し、被めっき基板の被めっき面に下方側からめっき液の噴流を当接させながら、上記めっき処理槽内に配設した陽極電極と上記被めっき基板との間を通電することでめっきを行うめっき方法であって、上記被めっき基板の被めっき面へ噴流するめっき液の層流と、上記陽極電極近傍に流入しためっき液の層流とを分離してめっきを行うことを特徴としている。
【0046】
上記の構成によれば、上記被めっき基板の被めっき面へ噴流するめっき液の層流と、上記陽極電極近傍に流入しためっき液の層流とを分離してめっきを行うので、陽極電極に起因するパーティクルなどによるめっき面の汚染を防止でき、操作性を損なうことなく、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物による、めっき品質の低下を防止することができる。
【0047】
本発明の半導体装置の製造方法は、上記の課題を解決するために、めっき処理槽内にめっき液を流入し、被めっき基板の被めっき面に下方側からめっき液の噴流を当接させながら、上記めっき処理槽内に配設した陽極電極と上記被めっき基板との間を通電することでめっきを行うめっき工程を含む半導体装置の製造方法であって、上記めっき工程において、めっき処理槽内で陽極電極と被めっき面とを隔壁により隔離して配置してめっきを行うことを特徴としている。
【0048】
上記の構成によれば、上記めっき工程において、めっき処理槽内で陽極電極と被めっき面とを隔壁により隔離して配置してめっきを行うので、陽極電極に起因するパーティクルなどによるめっき面の汚染を防止できる。
【0049】
それゆえ、上記の半導体装置の製造方法により、陽極電極表面のブラックフィルム等に起因する微小な固形異物の付着がなく、かつ高品質なめっき配線を備えた半導体装置を得ることが可能になる。
【0050】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、上記めっき工程において、めっき液の噴流のうち、上記被めっき基板の被めっき面に対する噴流と、上記陽極電極近傍に流入しためっき液の噴流とを分離してめっきを行うことが好ましい。
【0051】
これにより、めっき工程にて、めっき処理槽内にめっき液を流入する場合、被めっき基板の被めっき面へ十分な流速及び流量をもって、めっき液を噴流することが可能になる。
【0052】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、上記めっき工程において、上記陽極電極近傍に流入するめっき液が、上記被めっき基板の被めっき面へ到達しないように、めっき液を流入させることが好ましい。
【0053】
上記の構成によれば、陽極電極と被めっき基板との間を通電することにより発生するパーティクルを含むめっき液が、被めっき基板の被めっき面に到達しないので、パーティクルによるめっき面の汚染を防止することができる。また、本発明の半導体装置の製造方法では、上記めっき工程において、上記陽極電極近傍に流入するめっき液を、上記めっき処理槽の外部に流出させてもよい。
【0054】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、上記めっき処理槽における、上記隔壁を含む上記陽極電極と上記被めっき基板とを隔離する部分の一部または全部が、めっき液中に浸漬した状態で、めっき液中のイオンを透過する透過部材からなることが好ましい。
【0055】
上記の構成によれば、めっき液に電圧を印加すると、めっき液中のイオンは透過部材を透過する一方、陽極電極に起因するパーティクルは透過部材を透過しない。したがって、上記の構成によれば、陽極電極近傍に流入しためっき液を、イオンとパーティクルとを分離することが可能になる。
【0056】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、上記透過部材が、半透膜であってもよい。
【0057】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、上記透過部材が、イオン交換膜を含んでいてもよい。
【0058】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、上記隔壁の厚さが、50μm以上200μm以下であることが好ましい。
【0059】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、上記隔壁が、炭化水素系カチオン交換膜を含むことが好ましい。
【0060】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、上記めっき工程は、さらに、めっき液供給源に貯留されためっき液を上記めっき処理槽へ供給するめっき液供給段階と、めっき液供給工程にて供給されためっき液をろ過するめっき液ろ過段階と、上記めっき処理槽に供給されためっき液を、再び上記めっき液供給源へ供給するめっき液循環段階とを含むことが好ましい。
【0061】
なお、上記めっき液循環段階とは、めっき液供給段階にてめっき液供給源から供給されためっき液が、めっき液ろ過段階を経て、めっき処理槽へ供給した後、再びめっき液をめっき液供給源に供給する段階のことをいう。具体的には、本発明のめっき装置において、めっき液供給源に貯留されためっき液を、めっき液供給手段とめっき液ろ過手段とを介して、上記めっき処理槽へ供給し、上記めっき処理槽に供給されためっき液を、再び上記めっき液供給源へ供給することをいう。
【0062】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、上記めっき液は、銅成分を含み、かつ、導電性の液体であることが好ましい。
【0063】
上記めっき液は、めっき液1リットルに対して、14g以上40g以下の銅成分を含むことが好ましい。
【0064】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、上記陽極電極は、含リン銅からなる溶解性陽極電極であることが好ましい。
【0065】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、上記被めっき基板が、半導体ウェハであってもよい。
【0066】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、さらに、上記めっき工程前に、上記被めっき基板の被めっき面にシード層を形成するシード層形成工程と、上記シード層形成工程にて形成されたシード層表面に、フォトレジストを塗布するフォトレジスト塗布工程と、上記フォトレジストを露光し、現像することでパターン形状を形成するフォトレジストパターン形成工程とを含むことが好ましい。
【0067】
本発明の半導体装置は、上記の課題を解決するために、上述の半導体装置の製造方法により製造されたことを特徴としている。
【0068】
上記の構成によれば、半導体装置は、上述の半導体装置の製造方法により製造されているので、陽極電極表面のブラックフィルム等に起因する微小な固形異物の付着がなく、かつ高品質なめっき配線を備えた半導体装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0069】
本発明のめっき装置は、以上のように、上記被めっき基板と上記陽極電極との間に、隔壁が設けられており、上記陽極電極と上記被めっき基板とが上記隔壁により隔離され、上記めっき処理槽が被めっき基板室と陽極電極室とに区分されている。また、本発明のめっき方法は、以上のように、上記被めっき基板と上記陽極電極とを隔壁により隔離し、上記めっき処理槽を被めっき基板室と陽極電極室とに区分してめっきを行う。それゆえ、陽極電極に起因するパーティクルなどによるめっき面の汚染を防止でき、操作性を損なうことなく、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物による、めっき品質の低下を防止することができる。
【0070】
さらに、本発明の半導体装置の製造方法は、以上のように、めっき工程において、めっき処理槽内で陽極電極と被めっき面とを隔壁により隔離して配置してめっきを行う。また、本発明の半導体装置は、上記の半導体装置の製造方法により製造されたものである。それゆえ、陽極電極表面のブラックフィルム等に起因する微小な固形異物の付着がなく、かつ高品質なめっき配線を備えた半導体装置を得ることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0071】
〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態について図1〜図6に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0072】
図1は、本実施形態のめっき装置に設けられためっき処理槽の概略構成を示す断面図である。図1に示すように、めっき処理槽100は、半導体ウェハ(被めっき基板)1を保持するウェハ保持具2、カップ3、めっき液噴射管4、陽極電極5、陽極電極5を支持する支持体6、及び、隔壁7を備えている。カップ3は、内筒31と外筒32とを備えている。
【0073】
内筒(第2の円筒カップ)31及び外筒(第1の円筒カップ)32は、上面が開放された略円筒形の容器であり、内筒31の外径が外筒32の外径よりも小さくなるような構成である。また、外筒32の最も低い中央の部分には、めっき液が流入するめっき液流入口Eが形成されている。
【0074】
内筒31の底部には、ドーナツ状の隔壁7が設けられ、内筒31と外筒32とを仕切る。すなわち、隔壁7は、半導体ウェハ1の被めっき面Wと陽極電極5との間に設けられており、陽極電極5と半導体ウェハ1とを隔離する。これにより、めっき処理槽100が被めっき基板室と陽極電極室とに区分されている。なお、めっき処理槽100において「被めっき基板室」とは、内筒31と隔壁7とに囲まれた空間のことをいう。また、「陽極電極室」とは、外筒32と隔壁7とに囲まれた空間のことをいう。
【0075】
また、図1に示すように、めっき液噴射管4は、隔壁7の中央部の穴を貫通するように設けられている。支持体6は、外筒32に接続されており、めっき液を透過する構造を有している。さらに、支持体6上には、陽極電極5が設けられている。陽極電極5は、めっき液噴射管4の下端よりも上方側に位置する。
【0076】
隔壁7は、炭化水素系カチオン交換膜を備えている。しかしながら、隔壁7は、陽極電極5及び支持体6近傍、すなわち陽極電極室に流入しためっき液中の金属イオンを透過することが可能な構成を有する透過部材を備えていれば、特に限定されるものではない。例えば、隔壁7は、イオン交換膜、中性膜、または、多孔質性セラミック等を備えていてもよい。また、隔壁7が炭化水素系カチオン交換膜を備えている場合、炭化水素系カチオン交換膜として、具体的には、セレミオン(商標登録)(旭硝子エンジニアリング製 炭化水素系カチオン交換膜)、またはネオセプタCM−1(商標登録)(株式会社アトムス製 炭化水素系カチオン交換膜)が挙げられる。隔壁7の具体的な構成については、後述する。
【0077】
また、隔壁7は、金属イオン以外にも添加剤成分としての陽イオン(金属イオンと同様の電気的性質のイオン)を透過するものであってもよい。
【0078】
めっき液噴射管4、及び支持体6は、ポリプロピレンからなる。また、陽極電極5は、含リン銅からなる溶解性陽極電極である。しかしながら、めっき液噴射管4及び支持体6は、寸法安定性が確保され、かつめっき液に対し耐性を有するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、めっき液噴射管4及び支持体6は、硬質塩化ビニルからなっていてもよい。
【0079】
ここで、本発明に適用しうる半導体ウェハ1の寸法は、めっき処理槽100の各種部材の寸法に応じて適宜設定することが可能である。例えば、半導体ウェハ1としては、直径100mmないし500mm程度のものが適用可能である。より具体的には、直径150mm程度のものが、半導体ウェハ1として適用できる。
【0080】
また、内筒31は、その底部に隔壁7が密着して固定されている。内筒31の内径は、半導体ウェハ1の被めっき面Wよりも小さければよい。
【0081】
このように、内筒31の内径が半導体ウェハ1の被めっき面Wよりも小さい場合、めっき液噴射管4から噴射しためっき液は、めっき処理槽100外部の大気に接触することなく、半導体ウェハ1の被めっき面Wへ噴流される。このため、本発明のめっき装置では、大気と遮断してめっきを行うことができ、大気からの浮遊異物によるめっき液の汚染や、めっき液の蒸発、めっき液の蒸発やミストによる周辺環境の汚染を防止できる。
【0082】
また、内筒31の高さは、50mmないしは100mmであればよい。ここでは、内筒31の寸法は、外径150mm 内径140mm 厚さ5mm 高さ80mmであり、円筒状のものである。
【0083】
また、外筒32の高さは、後述するように、めっき液噴射管4から噴射しためっき液が半導体ウェハ1の被めっき面Wの中心部から外周部に渡って、十分に当接することができ、かつ、外筒32の上端が内筒31の上端よりも低ければ、特に限定されない。ここでは、外筒32は内径160mmとしたが、外筒32の高さは後に記するようにめっき液噴射管4から噴流しためっき液が半導体ウェハ1の表面外周部まで十分に接することができれば良く、外筒32の上端が内筒31の上端よりも低ければよい。
【0084】
また、内筒31は外径150mmであり、外筒32は内径160mmである。そして、内筒31と外筒32との間隙は5mmとしている。しかしながら、内筒31と外筒32との間隙は、これに限定されるものでない。内筒31と外筒32との間隙を少なくすることにより、後述するように、内筒31と外筒32とにおいて、互いの上端の高さの差を大きくすることができる。このように内筒31と外筒32との間隙を少なくすることで、液体の持つ粘性ゆえに抵抗(圧力)が高まり、よって内筒を高くしても内筒の上端部までめっき液が到達する。これにより、設計上の自由度を大きくすることができる。
【0085】
また、隔壁7は、外径140mm内径40mmのドーナツ状の形状を有している。そして、隔壁7は、その外周が内筒31に密着される一方、その内周がめっき液噴射管4に密着されて、固定されている。しかしながら、隔壁7の寸法は、これに限定されるものではない。
【0086】
また、支持体6は、外筒32とめっき液噴射管4との間に設けられている。支持体6は、外筒32の底部から上方に20mm、もしくは少なくとも5mmの空隙で設置されている。また、支持体6には、上下方向の貫通孔が多数形成されている。
【0087】
また、隔壁7の厚さは、好ましくは50μm以上200μm以下、より好ましくは50以上100μm以下で、使用可能である。隔壁7の厚さが50μmよりも小さい場合、めっきに要する電流が必要以上に多くなり、めっきの効率が下がるので、好ましくない。また、隔壁7の厚さが、200μmよりも大きい場合、めっき面外観に黒色の「ヤケ」と呼ばれる不良を発生するので好ましくない。
【0088】
また、隔壁7の内筒31への取り付けは、2〜10mm厚のカップ部材に、0.2mm〜9mm径の円形または1辺が0.2mm〜9mm長の正方形、長方形、または四変形の開口を有している。なお、隔壁7(セレミオン隔壁)が真円でなくともよく、極端には四角形であってもよい。
【0089】
また、含リン銅からなる陽極電極5の寸法は、外径150mm内径50mm厚さ8mである。しかしながら、陽極電極5の寸法は、これに限定されるものでなく、支持体6と隔壁7との間隙及び外筒32と当該陽極電極5との間隙を通過するめっき液の流動を妨げない範囲で任意に選択が可能である。また、陽極電極5に含まれる含リン銅は、特に限定されないが、0.04〜0.06%のリンが含まれていればよい。
【0090】
めっき液噴射管4は、隔壁7を貫通し隔壁7より20mm上方へと伸びている。しかしながら、めっき液噴射管4は、これに限定されるものでなく、陽極電極5よりも下方から隔壁7まで到達していればよい。
【0091】
以上、めっき処理槽100における、半導体ウェハ1、カップ3(内筒31及び外筒32)、めっき液噴射管4、陽極電極5、支持体6、及び隔壁7の寸法等を説明したが、めっき処理槽100における各種部材の寸法は、めっき処理槽100の大きさ、あるいは適用する半導体ウェハ1の大きさ等に応じて、適宜設定することが可能である。
【0092】
以下、半導体ウェハ1を保持するウェハ保持具2の具体的構成について、図2に基づいて説明する。図2は、めっき処理槽100のウェハ保持具2の構成の一例を示す断面図である。ウェハ保持具2は、図2に示すように、Oリング21と、コンタクト材22と、ウェハ保持リング23とを備えている。ウェハ保持リング23は、内筒31の上端部と所定の間隙を維持して、図示しない支柱に保持されている。そして、Oリング21及びコンタクト材22は、ウェハ保持リング23上に設けられており、保持する半導体ウェハ1との密着性を確保している。
【0093】
また、コンタクト材22は、半導体ウェハ1の外周部に均等な間隔で3箇所設けられている。しかしながら、コンタクト材22は、これに限定されることなく、半導体ウェハ1の外周部に均等な間隔で4箇所以上設けられていてもよい。さらには、コンタクト材22が半導体ウェハ1の外周部全周を接する構造であってもよい。
【0094】
ウェハ保持リング23の内径は140mmとしたがこれに限定されることなく、外形が円形である必要がないことは勿論のこと装置筐体等と一体構造であってもよい。
【0095】
以下、ウェハ保持具2の各種部材について説明する。
【0096】
Oリング21は、半導体ウェハ1との密着性が確保され、かつめっき液に対して耐性を有するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、Oリング21として、シリコーンゴムが挙げられる。具体的には、バイトン(商標登録)(デュポン ダウ エラストマー ジャパン製)が挙げられる。
【0097】
また、コンタクト材22は、半導体ウェハ1との密着が確保され、かつ導電性で使用するめっき液に耐性があるものであれば、特に限定されるものではない。例えば、チタンに金属めっきが施された部材が挙げられる。具体的には、コンタクト材22としては、チタンにプラチナめっきを施したもの、チタンに金めっきを施したもの、樹脂に金めっきなどを施したもの、または、その組み合わせたものが挙げられる。
【0098】
また、ウェハ保持リング23は、寸法安定性が確保され、かつ使用するめっき液に耐性があるものであれば、特に限定されるものではない。ウェハ保持リング23としては、例えば、硬質塩化ビニルまたはポリプロピレンからなるものが挙げられる。
【0099】
次に、めっき処理槽100において、半導体ウェハ1の被めっき面Wと陽極電極5との間に設けられている隔壁7の構造の一例について、図3を参照して、以下に説明する。図3は、めっき処理槽100において、内筒31と隔壁7とに囲まれた領域(被めっき基板室)の構成を示し、上の図は、半導体ウェハ1の被めっき面W側からみた上面図であり、下の図は、断面図である。
【0100】
図3に示すように、隔壁7は、被めっき面W側から見てドーナツ形状を有している。そして、隔壁7の中央部には、めっき液噴射管4が貫通している。また、隔壁7の外周部は、内筒31の底部に固定されている。
【0101】
また、隔壁7は、半透膜(透過部材)71と、半透膜支持体72・73とを備えている。隔壁7は、半透膜支持体72・73が、半透膜71を狭持した構成である。そして、陽極電極5側には、半透膜支持体72が配置されており、半導体ウェハ1の被めっき面W側には半透膜支持体73が配置されている。
【0102】
それゆえ、半導体ウェハ1と陽極電極5との間を通電することで、陽極電極5側(陽極電極室)に流入しためっき液は、半透膜支持体72にて透過される。そして、半透膜71にて、めっき液中の金属イオンが透過される。そして、半透膜71にて透過されためっき液中の金属イオンは、半透膜支持体73を透過して、半導体ウェハ1の被めっき面W側(被めっき基板室)へ流入する。この際、半透膜71では、めっき液中の金属イオンのみが透過され、めっき液中のパーティクルは透過されない。したがって、隔壁7により、めっき液中の金属イオンとパーティクルとを分離することが可能になり、陽極電極5に起因するパーティクルによるめっき面の汚染を防ぐことができる。
【0103】
半透膜71は、めっき液に浸漬した状態で、めっき液中の金属イオンを透過するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、半透膜71としては、炭化水素系カチオン交換膜、中性膜、または、多孔質性セラミック等が挙げられる。また、半透膜71が炭化水素系カチオン交換膜である場合、半透膜71として、具体的には、セレミオン(商標登録)(旭硝子エンジニアリング製 炭化水素系カチオン交換膜)、またはネオセプタCM−1(商標登録)(株式会社アトムス製 炭化水素系カチオン交換膜)が挙げられる。
【0104】
また、半透膜支持体72・73は、めっき液を透過する構造を有し、かつ、寸法安定性が確保され、めっき液に対し耐性を有するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、半透膜支持体72・73としては、ポリプロピレン、または硬質塩化ビニルからなるものが挙げられる。
【0105】
次に、半透膜71の構造について、イオン交換膜を含むイオン交換膜を例に挙げて、以下に説明する。図5は、イオン交換膜の構造を説明するための説明図である。また、図6は、イオン交換膜の選択透過性を説明するための説明図である。
【0106】
「イオン交換膜」とは、図5に示すように、イオンを選択透過させる膜のことをいう。このイオン交換膜は、大きく分けて陽イオン交換膜と陰イオン交換膜に区分される。陽イオン交換膜は、図5に示すように、めっき液に浸漬された状態で、通電すると、陽イオン(M+)を選択的に透過し、陰イオン(B−)を透過しない。
【0107】
陽イオン交換膜には、図6に示すように、マイナス電荷の置換基が固定されている。このため、陰イオン(B−)はマイナス電荷の置換基の反発を受け、透過できない。一方、陽イオン(M+)は、マイナス電荷の置換基の反発を受けないので、透過する。すなわち、陽イオン交換膜を透過できるイオンは、陽イオン(M+)だけということになる。
【0108】
一方、陰イオン交換膜は、上記の作用と反対の作用になる。これらイオン交換膜の選択透過は、電気透析装置の電気エネルギーによって行われる。なお、この電気透析装置の電気エネルギーは、特に限定されず、直流電流、パルス電流、または、交流電流による電気エネルギーであってもよい。
【0109】
次に、本発明のめっき装置の構成について、図4を参照して説明する。図4は、本発明のめっき装置の構成を示す概略図である。
【0110】
本発明のめっき装置は、図4に示すように、半導体ウェハ1の被めっき面Wにめっき処理を行うめっき処理槽100と、めっき処理槽100を内包するめっき液槽8と、めっき液供給源としてのめっき液貯槽9と、めっき液をめっき装置内に循環させるポンプ10と、めっき液中の固形異物をろ過するフィルター11と、これらを接続する配管Tを備えている。
【0111】
本発明のめっき装置では、めっき液貯槽9中のめっき液は、ポンプ10によりフィルター11を経て、めっき処理槽100の下部に形成されためっき液流入口Eへと至る。そして、めっき液流入口Eから供給されためっき液は、めっき液噴射管4を通って、半導体ウェハ1の被めっき面Wへと至る。そして、その後、めっき液は、内筒31上部の辺縁部(ウェハ保持具2と内筒31との隙間)より、めっき処理槽100外部へ漏れ出てめっき液槽8にて回収され、再度、めっき液貯槽9へ還流される。
【0112】
めっき液槽8、めっき液貯槽9、及び配管Tは、寸法安定性が確保され、かつ使用するめっき液に耐性がある材質であれば、特に限定されるものではない。これらの材質としては、例えば、硬質塩化ビニルまたはポリプロピレンが挙げられる。
【0113】
また、ポンプ10は、使用するめっき液に耐性があり、かつ、めっき液に悪影響を与えずに流動させることができれば、特に限定されるものではない。ポンプ10としては、例えば、イワキ製;商品名 マグネットポンプMD−70R、または、;商品名 イワキ製マグネットポンプMD−30RないしMD−100Rが挙げられる。また、ポンプ10の材質に関しても、寸法安定性が確保され、かつ使用するめっき液に耐性がある材質であれば、特に限定されるものではない。ポンプ10の材質としては、例えば、硬質塩化ビニルまたはポリプロピレンが挙げられる。
【0114】
また、フィルター11は、目標とするめっきパターンの最小間隔のおよそ1/2の粒径の捕集効率が100%であり、かつ使用するめっき液への耐性を備えめっき液に悪影響を与えずに流動させることができれば、特に限定されるものではない。フィルター11としては、例えば、日本ポール社製;商品名 ポリプロピレン製カートリッジフィルタHDCII(J012;1.2μm径粒子捕集効率100%)、日本ポール社製;商品名 ポリプロピレン製カートリッジフィルタHDCII(J006;1.0μm径粒子捕集効率100%)、テフロン(登録商標)製フィルター、または中空糸膜フィルターが挙げられる。また、フィルター11の材質に関しても、寸法安定性が確保され、かつ使用するめっき液に耐性がある材質であれば、特に限定されるものではない。フィルター11の材質としては、例えば、硬質塩化ビニルまたはポリプロピレンが挙げられる。
【0115】
また、図4では示していないが、配管Tの途中には弁、流量計、空気抜き管などが接続され、同じく図示しない制御装置によりめっき液の流動の制御が可能であり、更に図示しないめっき用電源部によって被めっき面と陽極電極5との間に電圧を印加することができる。
【0116】
次に、本発明のめっき装置におけるめっき処理の一例として、半導体ウェハ1の被めっき面Wに銅めっきを行う場合について、以下詳細に説明する。
【0117】
まず、ウェハ保持具2には、半導体ウェハ1の被めっき面Wが下側になるように、半導体ウェハ1が設置されている。半導体ウェハ1は、図示しないウェハ抑えによりOリング21及びコンタクト材22に密着されている。
【0118】
図4に示すように、めっき液貯槽9内のめっき液が、図示しない制御装置により制御されたポンプ10により、フィルター11に送られる。めっき液は、フィルター11にて、フィルター11の開口径以上の固形異物が除去され、配管を経てめっき処理槽100のめっき液流入口Eに流入する。カップ3の外筒32下部のめっき液流入口Eより流入しためっき液は、めっき液噴射管4を経て内筒31内に流入する。なお、上記めっき液は、添加剤と金属銅換算で約25g/Lの銅を含む銅めっき液(商品名 ミクロファブCu200 日本エレクトロプレイティング・エンジニヤース製)である。
【0119】
また、めっき液流入口Eに流入しためっき液のうち一部のめっき液は、外筒32底部と支持体6との間隙に流入する。外筒32底部と支持体6との間隙に流入しためっき液(以下、陽極電極室に流入しためっき液と記す)は、支持体6に穿たれた貫通孔を経て陽極電極5周囲を包み込むように上昇し隔壁7に沿って外周方向へ流動する。そして、内筒31と外筒32との間隙を通過してめっき処理槽100外へ流出される。なお、このめっき装置において、陽極電極5は、0.04〜0.06%のリンを含む含リン銅からなっている。
【0120】
一方、めっき液噴射管4を経て内筒31内に流入しためっき液(以下、被めっき基板室に流入しためっき液と記す)は、そのめっき液の運動エネルギーと、陽極電極室に流入しためっき液が内筒31と外筒32との間隙を通過してめっき処理槽100外へ流出するときの抵抗とにより、圧力が高められる。このため、被めっき基板室に流入しためっき液の液面が半導体ウェハ1の被めっき面Wに到達する。そして、被めっき基板室に流入しためっき液は、半導体ウェハ1表面の被めっき面Wの外周へと流動する。そして、内筒31とウェハ保持リング23との間隙を通過して、めっき処理槽100外へ流出する。
【0121】
内筒31と外筒32との間隙を通過してめっき処理槽100外へ流出しためっき液、及び内筒31とウェハ保持リング23との間隙を通過してめっき処理槽100外へ流出した液は、混合してめっき液槽8に溢れ出る。めっき液槽8内のめっき液は、高低差によってめっき液貯槽9へと還流する。
【0122】
このとき、半導体ウェハ1の被めっき面Wを陰極とし、被めっき面Wと陽極電極5との間に、図示しないめっき用電源によって電流を制御しながら電圧を印加すると、陽極電極5表面ではめっき液中の添加剤が所定の作用を為し、めっき液中に銅イオンが発生する。そして、発生した金属イオンは、隔壁7を透過して内筒31内を経て陰極電極となった半導体ウェハ1表面に至る。そして、半導体ウェハ1の被めっき面Wでは、めっき液中の添加剤が所定の作用を為しながら、銅イオンは銅として析出しめっきされる。
【0123】
なお、本発明のめっき装置において、ポンプ10によりフィルター11へ送られるめっき液の流量は、半導体ウェハ1の寸法、またはめっき処理槽100の寸法に応じて、適宜設定することができる。具体的には、毎分20L程度又は毎分2ないし20L程度の流量である。
【0124】
また、被めっき面Wと陽極電極5との間に印加される電圧、及び電圧印加時間もまた、半導体ウェハ1の寸法、またはめっき処理槽100の寸法に応じて、適宜設定することができる。具体的には、被めっき面Wでの電流密度が1平方センチメートルあたり20mAとなるように制御しながら、25分間電圧が印加される。
【0125】
なお、内筒31内は、フィルター11を経てフィルター開口径以上の固形異物を除去されためっき液で満たされており、陽極電極室に流入しためっき液は、隔壁7とめっき液の流れにより内筒31内には流入できない。そして、めっき液中の銅イオンのみが隔壁7を透過して内筒31内に至るため、陽極電極5表面のブラックフィルム等に起因する微小な固形異物の付着がない。また、従来のように、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物の付着を防止するために不溶解性電極を使用する必要がないため、めっき液中の添加剤の酸化分解による添加剤消費量の増大や分解生成物によるめっき液の汚染によるめっき品質の低下のない高品質なめっきを得ることができる。
【0126】
ここで、めっき液として、銅めっき液(ミクロファブCu200 日本エレクトロプレイティング・エンジニヤース製)を用いたが、これに限定されることなく、これ以外の所望の性能を達成できるめっき液であれば、これに限定されることがないのは勿論である。
【0127】
また、本発明のめっき装置では、隔壁7の一部または全部が、めっき液中の金属イオンを透過する透過部材からなる場合について説明したが、これに限定されない。本発明のめっき装置では、隔壁7を底面とする内筒31における、半導体ウェハ1の被めっき面Wと陽極電極5とを隔離する部分、すなわち、被めっき基板室における、陽極電極と被めっき基板とを隔離する部分の一部または全部が、めっき液中の金属イオンを透過する透過部材からなっていてもよい。例えば、内筒31の一部または全部が、めっき液中の金属イオンを透過する透過部材からなっていてもよい。
【0128】
また、フェースダウン方式のめっき装置においては、カップ下部より上昇するめっき液が、カップとウェハ保持具との間の隙間よりカップ外へ流出しますが、このとき上昇するめっき液の流量を大きくすることで液面が盛り上がるとともに、半導体ウェハとの表面張力(親水性)によって隙間よりも高い位置にある半導体ウェハの被めっき面を濡らしながらカップ周辺部へ流動しカップ外へ流出する。
【0129】
ここで、半導体ウェハの被めっき面全面に均一なめっき液の流れを作ることは、めっき時の銅イオンの供給にとってきわめて重要で、ウェハ表面で中央部から周辺部への層流を作ることはめっき仕上がりを大きく左右する。
【0130】
従来のフェースダウン方式で陽極電極と半導体ウェハとの間に隔壁を設けることは、ウェハへのめっき液の接触ができなくなり、めっき自体不可能となる。
【0131】
本発明においては、この問題を解決するために、カップの構造を従来の構造から内筒、外筒からなる2重構造とし、かつ、陽極電極より下から隔壁を貫通してウェハ側にめっき液噴射管を設け、ウェハ表面に至るめっきに関与する液と、陽極電極近傍を流れカップ外に排出される液とをこのノズルの入り口で分けることにより、ウェハ中央より十分な流速と流量をもってめっき液を噴流させウェハ表面で層流をつくることと陽極近傍を通り隔壁に沿ってカップ外に流出する流れを作ることができる。
【0132】
また、従来のフェースアップ方式の噴流めっき装置では、その構造上、側方の流入・流出口からウェハ表面に一様にめっき液の流れを作るために、ウェハを回転させることで相対的に一様な流れを得ようとしている。このため、ウェハ保持側の機構に回転機構を付加する必要があり、大掛かりな装置となる。
【0133】
これに対して本発明のめっき装置では、半導体ウェハ中央部からめっき液を噴出することが可能であるため、めっき処理槽と半導体ウェハとは固定されており、より簡便な装置構造を実現できる。
【0134】
本発明のめっき装置は、基板にめっきを形成するためのフェースダウン方式の噴流めっき装置であって、めっきカップ内で陽極電極と被めっき面を隔離して配置されている構成であるともいえる。また、前記めっき装置は前記めっきカップ内にめっき液を導入する。
【0135】
この結果、めっき装置はめっきカップ内にめっき液を流入することで被めっき面にめっき液を接触せしめ、めっきカップ内に配置した陽極電極と被めっき面間に通電することでめっきを行うめっき方法において、前記めっきカップ内の陽極電極近傍に流入しためっき液は流動によって被めっき面に到達しないか、もしくは前記めっき装置はめっきカップ内にめっき液を流入することで被めっき面にめっき液を接触せしめ、めっきカップ内に配置した陽極電極と被めっき面間に通電することでめっきを行うめっき方法において、前記めっきカップ内の陽極電極近傍に流入しためっき液は被めっき面に到達せずにめっきカップ外部に流出させることが可能である。
【0136】
前記めっき装置は前記めっきカップ内で陽極電極と被めっき面を隔離する構造の一部もしくは全部が、電解液中に浸漬することによってイオンを透過することができる材質が半透膜であるか、イオン交換膜であるか、または電解液中に浸漬することによってイオンを透過することができるその他の材質から成る。
【0137】
一方、前記めっき装置において前記めっき液は銅を含有する導電性の液体又は銅を含有する導電性の液体にその他の成分を添加した導電性の液体である。更に前記めっき液はめっき液1リットル中に金属銅として14乃至は40gの銅成分を含む。一方、前記めっき装置において、前記陽極電極は含リン銅からなる溶解性陽極電極板である。
〔実施の形態2〕
次に、本実施形態では、半導体装置、及び半導体装置の製造方法の一例として、上記実施の形態1において被めっき基板として用いた半導体ウェハ1及びその製造方法について、図9〜図12に基づいて、以下詳細に説明する。図9は、本実施形態で用いた半導体ウェハ1の概略構成を示す模式図である。また、図10は、めっき工程後の、半導体ウェハ1に形成された半導体チップ33の概略構成を示し、図10(a)は、平面図であり、図10(b)は、断面図である。
【0138】
図9に示すように、半導体ウェハ1表面には、半導体チップ41が複数形成されている。また、半導体ウェハ1の周辺には、コンタクト部42が設けられている。このコンタクト部42には、図示しないめっきシード層が露出されている。そして、コンタクト部42は、給電のために、図2に示すコンタクト材22と接するようになっている。
【0139】
また、図10(a)に示すように、半導体チップ41には、フォトレジスト層18が任意の形状で形成されている。さらに、図10(b)に示すように、めっき工程後の半導体チップ41の表面には、シード層19が形成されている。そして、シード層19の表面には、配線めっき層16及びフォトレジスト層18が形成されている。また、シード層19において、配線めっき層16及びフォトレジスト層18側と反対側には、パッド17が設けられている。そして、半導体チップ41では、配線めっき層16とパッド17とが電気的に接するようになっている。
【0140】
次に、本実施形態における半導体装置の製造方法の手順について、図11に基づいて、以下に説明する。図11は、本実施形態における半導体装置の製造方法の手順を示す断面図である。
【0141】
本実施形態における半導体装置の製造方法は、図11に示すように、半導体チップ41表面にシード層19を形成するシード層形成工程と、シード層19上にフォトレジスト層18を塗布するフォトレジスト塗布工程と、このフォトレジスト層18に任意の形状のパターンを形成するフォトレジストパターン形成工程と、フォトレジストパターンに金属をめっきし、配線めっき層を形成するめっき工程と、フォトレジスト層18を剥離する剥離工程と、シード層19をエッチングするエッチング工程とを含んでいる。なお、図11(a)は、シード層形成工程前の半導体チップ41の一部の概略構成を示しており、図11(b)は、シード層形成工程後の半導体チップ41の一部の概略構成を示しており、図11(c)は、フォトレジスト塗布工程後の半導体チップ41の一部の概略構成を示しており、図11(d)は、フォトレジストパターン形成工程後の半導体チップ41の一部の概略構成を示しており、図11(e)は、めっき工程後の半導体チップ41の一部の概略構成を示しており、図11(f)は、剥離工程後の半導体チップ41の一部の概略構成を示しており、図11(g)は、エッチング工程後の半導体チップ41の一部の概略構成を示している。
【0142】
図11(a)に示すように、シード層形成前の半導体チップ41には、その表面に、電気信号を外部と交換するためのパッド17が設けられている。
【0143】
図11(b)に示すように、シード層形成工程では、このような半導体チップ41の表面にシード層19を形成する。具体的には、スパッタリング装置内にて、半導体チップ41を含む半導体ウェハ1を、パッド形成面にシード層が形成されるように配置する。そして、半導体ウェハ1表面に、バリアメタルとなるチタン層を1000Å形成し、次に銅層を3000Å形成する。そして、この銅層を、めっきのためのシード層19とする。このシード層19は、後述するめっき工程において、めっき材(配線めっき層16)の成長を促進する役割を果たす。
【0144】
ここで、シード層形成工程にて、バリアメタルとしてチタン層を形成している。しかしながら、バリアメタルとなる層は、これに限定されるものではなく、クロム層であってもよい。また、チタンとタングステンとの合金からなる層であってもよい。さらには、これら以外に、バリア効果を得られる金属からなる層であればよい。
【0145】
さらに、チタン層の厚みを1000Åとしているが、これに限定されることなく、バリア性を確保できれば、500Å以上の任意の厚みであってもよい。また、めっきのためのシード層19としての銅層の厚みを3000Åとしているが、これに限定されることなく、めっき工程において均一な電流密度を確保できる厚みであれば、銅層の厚みは、1000Å以上の任意の厚みであってもよい。
【0146】
図11(c)に示すように、フォトレジスト塗布工程では、シード層19が形成された半導体チップ41を含む半導体ウェハ1にフォトレジスト層18を塗布する。フォトレジスト塗布工程では、フォトレジスト(東京応化製;商品名 PMER P−LA900)を回転塗布装置により、毎分1500回転で30秒間、半導体ウェハ1表面に回転塗布し、115℃で5分間加熱する。
【0147】
ここで、フォトレジストとして上記PMER P−LA900を用いている。しかしながら、フォトレジストは、これに限定されるものではなく、後述するめっき工程に対して耐性であればよい。フォトレジストとしては、例えば東京応化製;商品名 PMER N−CA3000であってもよい。さらには、フォトレジストの塗布方法も回転塗布に限定されるものではない。例えば、東京応化製;商品名 ORDYL MP100 Seriesなどのドライフィルムによって、半導体ウェハ1表面にフォトレジスト層18を形成してもよい。
【0148】
また、フォトレジスト塗布工程では、フォトレジストを、回転塗布装置により毎分1500回転で30秒間回転塗布し、115℃で5分間加熱している。しかしながら、回転塗布方法は、これに限定されるものではなく、例えば、毎分1000回転〜3000回転にて十分に均一な膜厚となるまで回転させた後、100℃〜120℃で5分程度加熱してもよい。
【0149】
図11(d)に示すように、フォトレジストパターン形成工程では、フォトレジスト塗布工程にて形成されたフォトレジスト層18に任意の形状のパターンを形成する。具体的には、フォトレジスト塗布工程後に、半導体チップ41を含む半導体ウェハ1を、図示しない露光装置にセットする。そして、フォトレジスト層18にg線(436nm)を照射する。その後、図示しない現像装置により、2.38%−TMAH水溶液にて、フォトレジスト層18の現像を行い、配線めっきを成すべき部分のフォトレジストを除去する。
【0150】
ここで、フォトレジスト層18にg線(436nm)を照射している。しかしながら、露光時にフォトレジスト層18に照射する光は、フォトレジストを露光させることができる光であれば、特に限定されるものではない。フォトレジスト層18に照射する光として、例えば、i線(365nm)や深紫外線(約200乃至300nm)であってもよい。また、フォトレジストパターン形成工程では、2.38%−TMAH水溶液にてフォトレジスト層18の現像を行っている。しかしながら、TMAH水溶液の濃度は、これに限定されるものではない。例えば、TMAH水溶液の濃度としては、1〜3%の濃度であってもよい。さらには、25%−TMAH水溶液を、現像するのに適当な濃度にまで、純水で希釈してもよい。
【0151】
図11(e)に示すように、めっき工程では、上記フォトレジストパターン形成工程にてフォトレジスト層18に任意の形状のパターンを形成した結果、シード層19が露出した部分にめっきを行っている。具体的には、フォトレジストパターン形成工程後に、半導体チップ41を含む半導体ウェハ1を、図1に示すめっき装置に設置する。すなわち、めっき装置のウェハ保持具2に半導体ウェハ1を設置する。そして、図示しないウェハ抑えにより、Oリング21及びコンタクト材22を、半導体チップ41のコンタクト部42に密着させる。なお、半導体ウェハ1をめっき装置に設置した後のめっき工程に関しては、上記実施の形態1にて説明しためっき方法と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0152】
また、剥離工程では、図11(f)に示すように、めっき工程後の半導体チップ41に形成されているフォトレジスト層18を剥離する。具体的には、図11(e)に示す半導体チップ41を含む半導体ウェハ1を、図示しない剥離装置に投入する。そして、半導体ウェハ1を、剥離液(東京応化製;商品名 104剥離液)に70度―20分間浸漬し、時折震盪する。これにより半導体ウェハ1表面に形成されたフォトレジスト層18が剥離される。
【0153】
ここで、剥離工程では、半導体ウェハ1を、上記104剥離液に70℃−20分間浸漬し時折震盪している。しかしながら、浸漬時間は、これに限定されるものではなく、例えば15〜25分間の浸漬であってもよい。また、剥離液として、例えば三菱ガス化学製R−100を用い、50℃で8〜15分間浸漬し時折震盪してもよい。あるいは、剥離液としてアセトンを用いてもよい。
【0154】
次に、エッチング工程では、図11(g)に示すように、配線めっき層16が形成されていないシード層19をエッチングにより除去する。具体的には、図11(f)に示す半導体チップ41を含む半導体ウェハ1を、図示しないエッチング装置に投入する。そして、半導体ウェハ1を、25℃の10%−過硫酸アンモニウム水溶液に1分30秒浸漬しつつ震淘して、銅めっき配線部(配線めっき層16)以外の銅(Cu)からなるシード層19(表面に配線めっき層16が形成されていないシード層19)をエッチングする。
【0155】
ここで、エッチング工程では、半導体ウェハ1を、25℃の10%−過硫酸アンモニウム水溶液に1分30秒浸漬しつつ震淘することとしている。しかしながら、エッチングに用いる水溶液は、これに限定されるものではなく、例えば、10%−水酸化ナトリウム水溶液や40%−塩化第二鉄水溶液、その他の水溶液であってもよい。また、水溶液の温度も、これに限定されるものではなく、15℃〜40℃であってもよい。
【0156】
さらに、エッチング工程では、次に、半導体ウェハ1を、90℃の25%−TMAHに1時間浸漬しつつ震淘する。これにより、銅めっき配線部(配線めっき層16)以外の図示しないバリアメタルとしてのチタン層(表面に配線めっき層16が形成されていないチタン層)がエッチングされる。
【0157】
ここで、チタン層をエッチングするために、90℃の25%−TMAHに1時間浸漬しつつ震淘することとしている。しかしながら、チタン層をエッチングするために用いる水溶液は、これに限定されるものではなく、例えば、塩酸、フッ酸と硝酸との混合液等であってもよい。
【0158】
このように上記シード層形成工程からめっき工程を経て製造された半導体チップ41を含む半導体ウェハ1は、上記めっき工程にて、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物によりめっき品質の低下が無くなる。それゆえ、本実施形態の半導体装置の製造方法では、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物による配線間のショート等を防ぐことが可能になり、半導体チップ表面により微細な配線パターンを形成することが可能になる。
【0159】
また、このように半導体ウェハ1上に配線めっき層16が形成された半導体チップ41には、外部接続端子が設置される。以下、配線めっき層16が形成された半導体チップ41に外部接続端子を設置する外部接続端子設置工程について、図12に基づいて、詳細に説明する。図12は、配線めっき層16が形成された半導体チップ41に外部接続端子26を設置する外部接続端子設置工程を示す断面図である。
【0160】
上記外部接続端子設置工程は、配線めっき層16が半導体チップ41表面にオーバーコート層を形成するオーバーコート層形成工程と、オーバーコート層に任意の形状のパターンを形成するオーバーコート層パターン形成工程と、オーバーコート層のパターン形状に基づいて外部接続端子を配線めっき層16に形成する外部接続端子形成工程とを含んでいる。なお、図12(a)は、オーバーコート層形成工程前の配線めっき層16が形成された半導体チップ41の一部の概略構成を示し、図12(b)は、オーバーコート層形成工程後の半導体チップ41の一部の概略構成を示し、図12(c)は、オーバーコート層パターン形成工程後の半導体チップ41の一部の概略構成を示し、図12(d)は、外部接続端子形成工程後の半導体チップ41の一部の概略構成を示している。
【0161】
図12(a)に示すように、半導体ウェハ1上に配線めっき層16が形成された半導体チップ41では、配線めっき層16の下(パッド17が形成されている側)に、シード層19が形成されている。配線めっき層16は、このシード層19を介して、半導体チップ41上に設けられているパッド17と電気的に接続している。
【0162】
図12(b)に示すように、オーバーコート層塗布工程では、配線めっき16が形成された半導体チップ41を含む半導体ウェハ1にオーバーコート層20を形成する。具体的には、オーバーコート層20(住友ベークライト製;商品名 CRC−8000シリーズ)を回転塗布装置により毎分1500回転で30秒間回転塗布し、130℃で5分間加熱する。
【0163】
ここで、上記オーバーコート層塗布工程では、オーバーコート層20として上記CRC−8000シリーズを用いている。しかしながら、オーバーコート層20に用いる材料は、これに限定されるものではなく、例えば日立化成製;商品名 HD−8800シリーズであってもよい。さらには、オーバーコート層20として、商品名 HD−8000シリーズ等の感光性耐熱性樹脂を用いてもよい。
【0164】
また、上記オーバーコート層塗布工程では、回転塗布装置により毎分1500回転で30秒間回転塗布し、130℃で5分間加熱している。しかしながら、オーバーコート層の塗布方法は、これに限定されるものではなく、例えば、毎分1000回転〜3000回転にて十分に均一な膜厚となるまで、半導体ウェハを回転させた後、120℃〜140℃で5分程度加熱してもよい。
【0165】
図12(c)に示すように、オーバーコート層パターン形成工程では、オーバーコート層20に、任意の形状のパターンを形成する。具体的には、オーバーコート層塗布工程後に、半導体チップ41を含む半導体ウェハ1を、図示しない露光装置にセットする。そして、露光装置によりオーバーコート層20にg線(436nm)を照射する。その後、図示しない現像装置により、2.38%−TMAH水溶液にてオーバーコート層20の現像を行い、外部接続端子を形成する部分に相当するオーバーコート層20を除去する。そして、除去後、300℃の窒素雰囲気下で、2時間硬化処理を行う。このオーバーコート層パターン形成工程により、半導体チップ41では、外部接続端子を形成する部分で、配線めっき層16が露出した状態になる。
【0166】
ここで、上記オーバーコート層パターン形成工程では、露光装置によりオーバーコート層20にg線(436nm)を照射している。しかしながら、オーバーコート層20に照射する光は、オーバーコート層を露光させることができる光であれば、特に限定されるものではない。オーバーコート層20に照射する光としては、例えば、i線(365nm)や深紫外線(約200乃至300nm)であってもよい。
【0167】
また、上記オーバーコート層パターン形成工程では、2.38%−TMAH水溶液にて、オーバーコート層20の現像を行っている。しかしながら、TMAH水溶液の濃度は、これに限定されるものではない。例えば、TMAH水溶液の濃度としては、1〜3%の濃度であってもよい。さらには、25%−TMAH水溶液を、現像するのに適当な濃度にまで、純水で希釈してもよい。
【0168】
さらに、上記オーバーコート層パターン形成工程では、外部接続端子を形成する部分に相当するオーバーコート層20を除去した後、300℃の窒素雰囲気下で2時間硬化処理を行うこととしている。しかしながら、オーバーコート層除去後の工程は、これに限定されるものではない。例えば、オーバーコート層除去後に、250〜350℃にて、1.5時間〜3時間の保持時間を有する工程であってもよい。また、その工程の前後に、昇温過程及び降温過程を有してもよい。
【0169】
図12(d)に示すように、外部接続端子形成工程では、オーバーコート層パターン形成工程にて、オーバーコート層20を除去した部分に、外部接続端子26を形成する。具体的には、図示しないボール搭載機に、半導体チップ41を含む半導体ウェハ1を設置する。そして、外部接続端子形成用の配線めっき層16が露出した部分に、図示しないフラックスを塗布する。そして、フラックスを塗布した部分に、図示しないツールに保持された外部接続端子26としての半田ボールを設置する。その後、半田ボールが設置された半導体チップ41を含む半導体ウェハ1を、245℃のリフロー装置により、半田ボールを再溶融させ冷却させることにより、配線めっき層16に外部接続端子26としての半田ボールを接合させる。
【0170】
ここで、外部接続端子26としての半田ボールは、SnAg3.0Cu0.5(千住金属工業製;商品名 M705)からなっている。しかしながら、半田ボールは、これに限定されるものではなく、例えば、Sn63Pb37からなっていてもよい。また、他の鉛フリー半田からなっていてもよい。
【0171】
また、上記外部接続端子形成工程では、リフロー装置による加熱温度を245℃としている。しかしながら、リフロー装置による加熱温度は、これに限定されるものではなく、例えば240〜250℃であってもよい。
【0172】
なお本発明は、以上説示した各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0173】
本発明のめっき装置は、以上のように、操作性を損なうことなく、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物による、めっき品質の低下を防止することができる。このため、本発明は、半導体産業に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0174】
【図1】本発明の実施の一形態のめっき装置に設けられためっき処理槽の概略構成を示す断面図である。
【図2】上記めっき処理槽のウェハ保持具の構成の一例を示す断面図である。
【図3】上記めっき処理槽において、内筒と隔壁とに囲まれた領域の構成を示し、上の図は、半導体ウェハの被めっき面側からみた上面図であり、下の図は、断面図である。
【図4】本発明の実施の一形態のめっき装置の構成を示す概略図である。
【図5】イオン交換膜の構造を説明するための説明図である。
【図6】イオン交換膜の選択透過性を説明するための説明図である。
【図7】従来のフェースダウン方式の噴流めっき装置の概略構成を示す断面図である。
【図8】従来のラック方式の縦型めっき装置の概略構成を示す断面図である。
【図9】本実施形態で用いた半導体ウェハの概略構成を示す模式図である。
【図10】めっき工程後の、半導体ウェハに形成された半導体チップの概略構成を示し、(a)は、平面図であり、(b)は、断面図である。
【図11】本実施形態における半導体ウェハの製造方法の手順を示す断面図であり、(a)は、シード層形成工程前の半導体チップの一部の概略構成を示しており、(b)は、シード層形成工程後の半導体チップの一部の概略構成を示しており、(c)は、フォトレジスト塗布工程後の半導体チップの一部の概略構成を示しており、(d)は、フォトレジストパターン形成工程後の半導体チップの一部の概略構成を示しており、(e)は、めっき工程後の半導体チップの一部の概略構成を示しており、(f)は、剥離工程後の半導体チップの一部の概略構成を示しており、(g)は、エッチング工程後の半導体チップの一部の概略構成を示している。
【図12】配線めっき層が形成された半導体ウェハに外部接続端子を設置する外部接続端子設置工程を示す断面図であり、(a)は、オーバーコート層形成工程前の配線めっき層が形成された半導体チップの一部の概略構成を示し、(b)は、オーバーコート層形成工程後の半導体チップの一部の概略構成を示し、(c)は、オーバーコート層パターン形成工程後の半導体チップの一部の概略構成を示し、(d)は、外部接続端子形成工程後の半導体チップの一部の概略構成を示している。
【符号の説明】
【0175】
1 半導体ウェハ(被めっき基板)
2 ウェハ保持具
3 カップ
4 めっき液噴射管
5 陽極電極
6 支持体
7 隔壁
8 めっき液槽
9 めっき液貯槽(めっき液供給源)
10 ポンプ(めっき供給手段)
11 フィルター(めっき液ろ過手段)
16 配線めっき層
17 パッド
18 フォトレジスト層
19 シード層
20 オーバーコート層
26 外部接続端子
31 内筒(第2の円筒カップ)
32 外筒(第1の円筒カップ)
41 半導体チップ
100 めっき処理槽
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、めっき装置及びめっき方法に関するものであり、より詳しくは、被めっき面に配線用の微細なめっきを形成するめっき装置、めっき方法、半導体装置、及び半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、半導体ウェハ等へ配線を形成するために、金属めっきによる手法が採用されている。従来の金属めっきに用いる装置としては、フェースダウン方式の噴流めっき装置、ラック方式の縦型めっき装置、または、フェースアップ方式の噴流めっき装置が知られている。
【0003】
フェースダウン方式の噴流めっき装置は、図7に示すように、半導体ウェハ1’を保持するウェハ保持具2’と、カップ3’と、カップ3内にめっき液を供給するためのめっき液噴射管4’と、陽極電極5’とを備えている。陽極電極5’は、一般に、含リン銅からなっている。カップ3’の内部には、陽極電極5’が設けられている。そして、カップ3’には、ウェハ保持具2’が設けられており、半導体ウェハ1’は、ウェハ保持具2’により、カップ3’の上部に保持されている。フェースダウン方式の噴流めっき装置では、めっき液噴射管4’は、半導体ウェハ1’の下方に設けられている。このため、めっき液噴射管4’より噴射しためっき液が、半導体ウェハ1’の下方より供給されることになる。これにより、被めっき面のめっきが施される。
【0004】
なお、図7には示していないが、フェースダウン方式の噴流めっき装置は、カップ3’を内包するように設けられためっき液槽、めっき液供給源としてのめっき液貯槽、めっき液をめっき装置内に循環させるポンプ、めっき液中の固形異物をろ過するフィルター、及びこれらを接続する配管を備えている。
【0005】
フェースダウン方式の噴流めっき装置では、めっき液貯層中のめっき液は、ポンプによりフィルターを経て、カップ3’の下部へと至る。そして、カップ3’の下部から供給されためっき液は、めっき液噴射管4’を通って、陽極電極5’を経て半導体ウェハ1の被めっき面へと至る。そして、その後、めっき液は、カップ3’上部の辺縁部(ウェハ保持具2’とカップ3’との隙間)より、カップ3’外部へ漏れ出てめっき液槽にて回収され、再度、めっき液貯層へ還流される。
【0006】
このようなフェースダウン方式の噴流めっき装置は、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1に開示されている、フェースダウン方式の噴流めっき装置では、「めっき処理槽に流入しためっき液の一部を、陽極電極に設けた貫通孔又は陽極電極の周囲からめっき処理槽外部に流出せしめる流出口」が設けられている。また、陽極電極として、プラチナに体表される不溶解性電極を適用しためっき装置も知られている。
【0007】
また、ラック方式の縦型めっき装置は、図8に示すように、陽極電極6’’と、ラック24と、めっき処理槽12とを備えている。陽極電極6’’は、一般的に内部起毛の布性のアノードバッグ13内に設置されている。陽極電極6’’としては、球状の含リン銅をチタン製のバスケットに入れたもの、もしくは含リン銅から成る銅板が用いられる。また、ラック24は、半導体ウェハ1への給電部を備え、かつ半導体ウェハ1よりやや内径の小さい穴を穿った板状の治具である。そして、めっき処理槽12は、ラック24への半導体ウェハ1の固定と裏面の絶縁を兼ねるウェハ抑え25及びめっき液を攪拌する図示しないスキージを備えている。
【0008】
なお、図8には示していないが、ラック方式の縦型めっき装置は、めっき液槽、めっき液供給源としてのめっき液貯槽、めっき液をめっき装置内に循環させるポンプ、めっき液中の固形異物をろ過するフィルター、これらを接続する配管、及び付属装置を備えている。
【0009】
めっき液は、貯槽からポンプによってフィルターを経て注入口14へと至る。そして、めっき処理槽12槽内で陽極電極6を内包するアノードバッグ13近傍を流動する。その後、半導体ウェハ1表面の被めっき面へと至り、めっき処理槽12上縁よりダム15へと流出しダムの一部の設けられた図示しない戻り管を経てめっき液貯槽へと還流する。このようなラック方式の縦型めっき装置は、例えば特許文献2に開示されている。
【0010】
また、フェースアップ方式の噴流めっき装置は、半導体ウェハの被めっき面を上に向けて配置し、かつ被めっき面に対向させて陽極電極を配置して、めっき液が、半導体ウェハの上方より供給されるような構成である。
【0011】
このようなフェースアップ方式の噴流めっき装置は、例えば特許文献3及び4に開示されている。特許文献3に開示されている、フェースアップ方式の噴流めっき装置では、ブラックフィルムの乾燥による剥離を防止する目的で、陽極室の底部にイオン交換膜又は多孔性中性膜が設けられ、陽極室内がめっき液で満たされるようにしている。また、特許文献4に開示されている、フェースアップ方式の噴流めっき装置では、陽極室の底部に多数の細孔が形成された多孔体が設けられている。
【0012】
また、上述のめっき装置と異なる構成のものとして、例えば特許文献5には、めっき処理槽を陰イオン交換膜で陰極室と陽極室に隔離し、陽極として不溶性電極を使用して電気銅めっきを行う半導体ウェハの電気銅めっき装置が開示されている。
【0013】
これら従来のめっき装置において、半導体ウェハの被めっき面全面に均一なめっき液の層流を作ることは、めっき処理において極めて重要である。それゆえ、半導体ウェハの被めっき面の中央部から周辺部への層流を作ることは、めっきの仕上がりを大きく左右する。
【0014】
従来のフェースアップ方式の噴流めっき装置は、側方の流入口・流出口から、半導体ウェハの被めっき面全面に均一なめっき液の層流を作るために、その構造上、半導体ウェハを回転させることで、相対的に一様なめっき液の層流を得るような構成となっている。このため、従来のフェースアップ方式の噴流めっき装置では、半導体ウェハを保持する機構に加え、半導体ウェハを回転させる機構を付加する必要があり、装置が大掛かりになってしまう。
【0015】
一方、フェースダウン方式の噴流めっき装置では、半導体ウェハの被めっき面の中央部からめっき液を噴流することが可能であるため、めっき装置と半導体ウェハとは固定されており、より簡便な装置を実現できる。
【特許文献1】特開2001−24307号公報(平成13年1月26日公開)
【特許文献2】特開2000−87299号公報(平成12年3月28日公開)
【特許文献3】特開2001−49498号公報(平成13年2月20日公開)
【特許文献4】特開2001−24303号公報(平成13年1月26日公開)
【特許文献5】特開2003−73889号公報(平成15年3月12日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、上記従来のフェースダウン方式の噴流めっき装置には、以下の問題が生じる。
【0017】
フェースダウン方式の噴流めっき装置では、微小な固形異物が被めっき面に付着し、めっき品質の低下を招くという問題が生じる。この原因は、ポンプによりめっき液貯槽から供給されためっき液が、フィルターにてろ過された後、カップ下部から供給され陽極電極近傍を経て半導体ウェハの被めっき面へと至る経路のうち、陽極電極表面にある。陽極電極が、含リン銅を含む場合、その表面にはブラックフィルムと呼ばれる黒色皮膜が形成される。このブラックフィルムは、塩素(Cl)やリン(P)を含む一価の銅の錯体(Cu+からなり、陽極溶解により発生した一価の銅イオンと化合した結果生じたものである。
【0018】
このブラックフィルムは、下記(1)式に示す銅の不均化反応を抑制することで、スライムの発生を抑制する効果がある。
2Cu+→Cu+Cu2+ (1)
しかしながら、一方で、一旦形成されたブラックフィルムは、陽極電極表面から剥離しやすくなる。剥離した微小なブラックフィルムは、めっき液の流れと共に、半導体ウェハの被めっき面へ運ばれる。その結果、半導体ウェハのめっき面にブラックフィルムが付着するという問題が生じる。
【0019】
また、陽極電極として、不溶解性電極を適用することで、上記ブラックフィルムによる問題を防止することが可能である。しかしながら、この場合、陽極電極表面において、めっき液中の添加剤が、酸化分解しめっき液の消費量が増大したり、酸化分解で生成された分解生成物により、めっき液が汚染するという問題が生じる。
【0020】
一方、上記従来のラック式の縦型めっき装置では、内部起毛の布性アノードバッグ内に、含リン銅を含む陽極電極が設置されているので、ブラックフィルムに起因する固形異物による、半導体ウェハへの付着は防止することが可能である。しかしながら、このような縦型めっき装置では、半導体ウェハをめっき処理槽内に保持するために、半導体ウェハをラックに固定するという操作が必要になる。このため、この操作による生産性の低下、めっき品質の低下、及び自動化の妨げという問題が生じる。
【0021】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、フェースダウン方式の噴流めっき装置において、操作性を損なうことなく、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物による、めっき品質の低下を防止することができるめっき装置、めっき方法、半導体装置、及び半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明のめっき装置は、上記の課題を解決するために、内部に陽極電極が設けられためっき処理槽を備え、上記めっき処理槽内にめっき液を流入し、被めっき基板の被めっき面に下方側からめっき液の噴流を当接させながら上記陽極電極と上記被めっき基板との間を通電することでめっきを行うめっき装置であって、上記めっき処理槽は、第1の円筒カップと、該第1の円筒カップよりも外径が小さい第2の円筒カップとを備え、第1の円筒カップと第2の円筒カップとからなる2重構造であり、上記第1の円筒カップには、上記陽極電極が配されており、その底部には、めっき液をめっき処理槽へ流入するためのめっき液流入口が設けられており、第1の円筒カップと第2の円筒カップとの互いの側壁により形成された間隙により、上記陽極電極室へ流入するめっき液を上記めっき処理槽の外部に流出するためのめっき液流出口が設けられており、上記第2の円筒カップの底部は、上記陽極電極と上記被めっき基板と隔離する隔壁からなり、めっき処理槽は、隔壁と第1の円筒カップとに囲まれた陽極電極室と、隔壁と第1の円筒カップとに囲まれた被めっき基板室とに区分されているとともに、さらに、上記被めっき基板の被めっき面へめっき液を噴射するためのめっき液噴射管を備え、上記めっき液噴射管が、上記隔壁を貫通するとともに、上記めっき液流入口から流入しためっき液の層流が、第1の円筒カップへ流入するめっき液の層流と、第2の円筒カップへ流入するめっき液の層流とに分離するように設けられていることを特徴としている。
【0023】
本発明のめっき装置は、被めっき基板の被めっき面に下方側からめっき液の噴流を当接させながら上記陽極電極と上記被めっき基板との間を通電することでめっきを行う、すなわち、フェースダウン方式でめっきを行うものである。
【0024】
なお、上記「被めっき基板室」とは、上記隔壁により隔離された領域のうち、被めっき基板を含む空間のことをいう。また、上記「陽極電極室」とは、上記隔壁により隔離された領域のうち、陽極電極を含む空間のことをいう。
【0025】
また、上記の構成によれば、上記陽極電極と上記被めっき基板とが上記隔壁により隔離され、上記めっき処理槽が被めっき基板室と陽極電極室とに区分されているので、陽極電極に起因するパーティクルなどによるめっき面の汚染を防止できる。
【0026】
以上のように、上記の構成によれば、操作性を損なうことなく、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物による、めっき品質の低下を防止することができるめっき装置を提供することができる。
【0027】
また、本発明のめっき装置では、さらに、上記被めっき基板の被めっき面へめっき液を噴射するためのめっき液噴射管を備え、上記めっき液噴射管が、上記隔壁を貫通するとともに、上記被めっき基板室と上記陽極電極室との両方にめっき液が流入するように設けられていることが好ましい。
【0028】
上記の構成によれば、めっき液噴射管が、上記隔壁を貫通するとともに、上記被めっき基板室と上記陽極電極室との両方にめっき液が流入するように設けられているので、めっき処理槽に流入するめっき液を、上記めっき基板領域に流入するめっき液の層流と、上記陽極電極室に流入するめっき液の層流とに分離することができる。これにより、めっき処理槽内にめっき液を流入すると、被めっき基板の被めっき面へ十分な流速及び流量をもって、めっき液を噴流することが可能になる。
【0029】
「上記被めっき基板室と上記陽極電極室との両方にめっき液が流入するような」構成としては、例えば、上記めっき処理槽は、第1の円筒カップと第2の円筒カップとを備え、上記第1の円筒カップには、上記陽極電極が配されており、その底部には、めっき液をめっき処理槽へ流入するためのめっき液流入口が設けられており、上記第2の円筒カップの底部は、上記隔壁からなり、上記めっき液噴射管が、上記隔壁を貫通するとともに、上記めっき液流入口から流入しためっき液の層流が、第1の円筒カップへ流入するめっき液の層流と、第2の円筒カップへ流入するめっき液の層流とに分離するように設けられている構成が挙げられる。
【0030】
本発明のめっき装置では、上記陽極電極室に流入するめっき液が、上記被めっき基板室へ到達しないようになっていることが好ましい。
【0031】
上記の構成によれば、めっき処理槽から流入しためっき液は、めっき液噴射管によって被めっき基板室に流入しためっき液と、陽極電極室に流入しためっき液とに分離される。陽極電極室に流入しためっき液は、陽極電極と被めっき基板との間を通電することで、陽極電極に起因するパーティクルを含むめっき液になる。このめっき液は、隔壁を通過することで、パーティクルが除去される。このため、上記の構成によれば、陽極電極に起因するパーティクルは被めっき面に到達しない。それゆえ、パーティクルによるめっき面の汚染を防止することができる。また、さらに、上記陽極電極室へ流入するめっき液を、上記めっき処理槽の外部に流出するめっき液流出口が設けられていてもよい。
【0032】
また、本発明のめっき装置では、上記めっき処理槽における、上記隔壁を含む上記陽極電極と上記被めっき基板とを隔離する部分の一部または全部が、めっき液中に浸漬した状態で、めっき液中のイオンを透過する透過部材からなることが好ましい。
【0033】
上記の構成によれば、透過部材は、めっき液に浸漬した状態で、めっき液中のイオンを透過するので、めっき液に電圧を印加すると、めっき液中のイオンは透過部材を透過する。一方、陽極電極に起因するパーティクルは透過部材を透過しない。したがって、上記の構成によれば、陽極電極に流入しためっき液を、イオンとパーティクルとを分離することが可能になる。
【0034】
また、上記透過部材が、半透膜であってもよい。
【0035】
また、上記透過部材が、イオン交換膜を含んでいてもよい。
【0036】
また、本発明のめっき装置では、上記隔壁の厚さが、50μm以上200μm以下であることが好ましい。
【0037】
また、本発明のめっき装置では、上記隔壁が、炭化水素系カチオン交換膜を含むことが好ましい。
【0038】
また、本発明のめっき装置では、さらに、上記めっき処理槽へ供給するめっき液を貯留するめっき液供給源と、上記めっき液供給源に貯留されためっき液を上記めっき処理槽へ供給するめっき液供給手段と、上記めっき液供給手段より供給されためっき液をろ過するめっき液ろ過手段とを備え、上記めっき液供給源に貯留されためっき液は、上記めっき液供給手段と上記めっき液ろ過手段とを介して、上記めっき処理槽へ供給され、上記めっき処理槽に供給されためっき液は、再び上記めっき液供給源へ供給されることが好ましい。
【0039】
また、上記めっき液は、銅成分を含み、かつ、導電性の液体であることが好ましい。
【0040】
めっき液には、各種金属を形成するために様々なめっき液がある。上記の構成によれば、銅を含有するめっき液を用いることで、被めっき基板の被めっき面に銅めっきを形成することができる。なお、「銅成分」とは、金属銅、銅イオン、または、銅イオンを含む化合物のことをいう。
【0041】
また、上記めっき液は、めっき液1リットルに対して、14g以上40g以下の銅成分を含むことが好ましい。
【0042】
また、上記陽極電極は、含リン銅からなる溶解性陽極電極であることが好ましい。
【0043】
陽極電極として純銅を含む陽極電極に用いると、陽極電極からの異物発生量が増加する。一方、上記の構成によれば、陽極電極は、含リン銅からなる溶解性陽極電極であるので、陽極電極表面にブラックフィルムと呼ばれる黒色皮膜が形成され、これによって異物の原因となる銅錯体イオン(Cu+)がトラップされる。
【0044】
また、上記被めっき基板が、半導体ウェハであってもよい。
【0045】
本発明のめっき方法は、上記の課題を解決するために、めっき処理槽内にめっき液を流入し、被めっき基板の被めっき面に下方側からめっき液の噴流を当接させながら、上記めっき処理槽内に配設した陽極電極と上記被めっき基板との間を通電することでめっきを行うめっき方法であって、上記めっき処理槽は、第1の円筒カップと、該第1の円筒カップよりも外径が小さい第2の円筒カップとを備え、第1の円筒カップと第2の円筒カップとからなる2重構造であり、上記被めっき基板の被めっき面へ噴流するめっき液の層流と、上記陽極電極近傍に流入しためっき液の層流とを分離し、第1の円筒カップと第2の円筒カップとの互いの側壁により形成された間隙を、めっき液流出口として、上記陽極電極室へ流入するめっき液を上記めっき処理槽の外部に流出させることを特徴としている。
【0046】
上記の構成によれば、上記被めっき基板の被めっき面へ噴流するめっき液の層流と、上記陽極電極近傍に流入しためっき液の層流とを分離してめっきを行うので、陽極電極に起因するパーティクルなどによるめっき面の汚染を防止でき、操作性を損なうことなく、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物による、めっき品質の低下を防止することができる。
【0047】
本発明の半導体装置の製造方法は、上記の課題を解決するために、めっき処理槽内にめっき液を流入し、被めっき基板の被めっき面に下方側からめっき液の噴流を当接させながら、上記めっき処理槽内に配設した陽極電極と上記被めっき基板との間を通電することでめっきを行うめっき工程を含む半導体装置の製造方法であって、上記めっき処理槽は、第1の円筒カップと、該第1の円筒カップよりも外径が小さい第2の円筒カップとを備え、第1の円筒カップと第2の円筒カップとからなる2重構造であり、上記めっき工程において、めっき処理槽内で陽極電極と被めっき面とを隔壁により隔離して配置し、めっき液の噴流のうち、上記被めっき基板の被めっき面に対する噴流と、上記陽極電極近傍に流入しためっき液の噴流とを分離してめっきを行うとともに、第1の円筒カップと第2の円筒カップとの互いの側壁により形成された間隙を、めっき液流出口として、上記陽極電極室へ流入するめっき液を上記めっき処理槽の外部に流出させることを特徴としている。
【0048】
上記の構成によれば、上記めっき工程において、めっき処理槽内で陽極電極と被めっき面とを隔壁により隔離して配置してめっきを行うので、陽極電極に起因するパーティクルなどによるめっき面の汚染を防止できる。
【0049】
それゆえ、上記の半導体装置の製造方法により、陽極電極表面のブラックフィルム等に起因する微小な固形異物の付着がなく、かつ高品質なめっき配線を備えた半導体装置を得ることが可能になる。
【0050】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、上記めっき工程において、めっき液の噴流のうち、上記被めっき基板の被めっき面に対する噴流と、上記陽極電極近傍に流入しためっき液の噴流とを分離してめっきを行うことが好ましい。
【0051】
これにより、めっき工程にて、めっき処理槽内にめっき液を流入する場合、被めっき基板の被めっき面へ十分な流速及び流量をもって、めっき液を噴流することが可能になる。
【0052】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、上記めっき工程において、上記陽極電極近傍に流入するめっき液が、上記被めっき基板の被めっき面へ到達しないように、めっき液を流入させることが好ましい。
【0053】
上記の構成によれば、陽極電極と被めっき基板との間を通電することにより発生するパーティクルを含むめっき液が、被めっき基板の被めっき面に到達しないので、パーティクルによるめっき面の汚染を防止することができる。また、本発明の半導体装置の製造方法では、上記めっき工程において、上記陽極電極近傍に流入するめっき液を、上記めっき処理槽の外部に流出させてもよい。
【0054】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、上記めっき処理槽における、上記隔壁を含む上記陽極電極と上記被めっき基板とを隔離する部分の一部または全部が、めっき液中に浸漬した状態で、めっき液中のイオンを透過する透過部材からなることが好ましい。
【0055】
上記の構成によれば、めっき液に電圧を印加すると、めっき液中のイオンは透過部材を透過する一方、陽極電極に起因するパーティクルは透過部材を透過しない。したがって、上記の構成によれば、陽極電極近傍に流入しためっき液を、イオンとパーティクルとを分離することが可能になる。
【0056】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、上記透過部材が、半透膜であってもよい。
【0057】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、上記透過部材が、イオン交換膜を含んでいてもよい。
【0058】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、上記隔壁の厚さが、50μm以上200μm以下であることが好ましい。
【0059】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、上記隔壁が、炭化水素系カチオン交換膜を含むことが好ましい。
【0060】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、上記めっき工程は、さらに、めっき液供給源に貯留されためっき液を上記めっき処理槽へ供給するめっき液供給段階と、めっき液供給工程にて供給されためっき液をろ過するめっき液ろ過段階と、上記めっき処理槽に供給されためっき液を、再び上記めっき液供給源へ供給するめっき液循環段階とを含むことが好ましい。
【0061】
なお、上記めっき液循環段階とは、めっき液供給段階にてめっき液供給源から供給されためっき液が、めっき液ろ過段階を経て、めっき処理槽へ供給した後、再びめっき液をめっき液供給源に供給する段階のことをいう。具体的には、本発明のめっき装置において、めっき液供給源に貯留されためっき液を、めっき液供給手段とめっき液ろ過手段とを介して、上記めっき処理槽へ供給し、上記めっき処理槽に供給されためっき液を、再び上記めっき液供給源へ供給することをいう。
【0062】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、上記めっき液は、銅成分を含み、かつ、導電性の液体であることが好ましい。
【0063】
上記めっき液は、めっき液1リットルに対して、14g以上40g以下の銅成分を含むことが好ましい。
【0064】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、上記陽極電極は、含リン銅からなる溶解性陽極電極であることが好ましい。
【0065】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、上記被めっき基板が、半導体ウェハであってもよい。
【0066】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、さらに、上記めっき工程前に、上記被めっき基板の被めっき面にシード層を形成するシード層形成工程と、上記シード層形成工程にて形成されたシード層表面に、フォトレジストを塗布するフォトレジスト塗布工程と、上記フォトレジストを露光し、現像することでパターン形状を形成するフォトレジストパターン形成工程とを含むことが好ましい。
【0067】
本発明の半導体装置は、上記の課題を解決するために、上述の半導体装置の製造方法により製造されたことを特徴としている。
【0068】
上記の構成によれば、半導体装置は、上述の半導体装置の製造方法により製造されているので、陽極電極表面のブラックフィルム等に起因する微小な固形異物の付着がなく、かつ高品質なめっき配線を備えた半導体装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0069】
本発明のめっき装置は、以上のように、上記めっき処理槽は、第1の円筒カップと、該第1の円筒カップよりも外径が小さい第2の円筒カップとを備え、第1の円筒カップと第2の円筒カップとからなる2重構造であり、上記第1の円筒カップには、上記陽極電極が配されており、その底部には、めっき液をめっき処理槽へ流入するためのめっき液流入口が設けられており、第1の円筒カップと第2の円筒カップとの互いの側壁により形成された間隙により、上記陽極電極室へ流入するめっき液を上記めっき処理槽の外部に流出するためのめっき液流出口が設けられており、上記第2の円筒カップの底部は、上記陽極電極と上記被めっき基板と隔離する隔壁からなり、めっき処理槽は、隔壁と第1の円筒カップとに囲まれた陽極電極室と、隔壁と第1の円筒カップとに囲まれた被めっき基板室とに区分されているとともに、さらに、上記被めっき基板の被めっき面へめっき液を噴射するためのめっき液噴射管を備え、上記めっき液噴射管が、上記隔壁を貫通するとともに、上記めっき液流入口から流入しためっき液の層流が、第1の円筒カップへ流入するめっき液の層流と、第2の円筒カップへ流入するめっき液の層流とに分離するように設けられている。また、本発明のめっき方法は、以上のように、上記めっき処理槽は、第1の円筒カップと、該第1の円筒カップよりも外径が小さい第2の円筒カップとを備え、第1の円筒カップと第2の円筒カップとからなる2重構造であり、上記被めっき基板の被めっき面へ噴流するめっき液の層流と、上記陽極電極近傍に流入しためっき液の層流とを分離し、第1の円筒カップと第2の円筒カップとの互いの側壁により形成された間隙を、めっき液流出口として、上記陽極電極室へ流入するめっき液を上記めっき処理槽の外部に流出させる。それゆえ、陽極電極に起因するパーティクルなどによるめっき面の汚染を防止でき、操作性を損なうことなく、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物による、めっき品質の低下を防止することができる。
【0070】
さらに、本発明の半導体装置の製造方法は、以上のように、上記めっき処理槽は、第1の円筒カップと、該第1の円筒カップよりも外径が小さい第2の円筒カップとを備え、第1の円筒カップと第2の円筒カップとからなる2重構造であり、上記めっき工程において、めっき処理槽内で陽極電極と被めっき面とを隔壁により隔離して配置し、めっき液の噴流のうち、上記被めっき基板の被めっき面に対する噴流と、上記陽極電極近傍に流入しためっき液の噴流とを分離してめっきを行うとともに、第1の円筒カップと第2の円筒カップとの互いの側壁により形成された間隙を、めっき液流出口として、上記陽極電極室へ流入するめっき液を上記めっき処理槽の外部に流出させる。また、本発明の半導体装置は、上記の半導体装置の製造方法により製造されたものである。それゆえ、陽極電極表面のブラックフィルム等に起因する微小な固形異物の付着がなく、かつ高品質なめっき配線を備えた半導体装置を得ることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0071】
〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態について図1〜図6に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0072】
図1は、本実施形態のめっき装置に設けられためっき処理槽の概略構成を示す断面図である。図1に示すように、めっき処理槽100は、半導体ウェハ(被めっき基板)1を保持するウェハ保持具2、カップ3、めっき液噴射管4、陽極電極5、陽極電極5を支持する支持体6、及び、隔壁7を備えている。カップ3は、内筒31と外筒32とを備えている。
【0073】
内筒(第2の円筒カップ)31及び外筒(第1の円筒カップ)32は、上面が開放された略円筒形の容器であり、内筒31の外径が外筒32の外径よりも小さくなるような構成である。また、外筒32の最も低い中央の部分には、めっき液が流入するめっき液流入口Eが形成されている。
【0074】
内筒31の底部には、ドーナツ状の隔壁7が設けられ、内筒31と外筒32とを仕切る。すなわち、隔壁7は、半導体ウェハ1の被めっき面Wと陽極電極5との間に設けられており、陽極電極5と半導体ウェハ1とを隔離する。これにより、めっき処理槽100が被めっき基板室と陽極電極室とに区分されている。なお、めっき処理槽100において「被めっき基板室」とは、内筒31と隔壁7とに囲まれた空間のことをいう。また、「陽極電極室」とは、外筒32と隔壁7とに囲まれた空間のことをいう。
【0075】
また、図1に示すように、めっき液噴射管4は、隔壁7の中央部の穴を貫通するように設けられている。支持体6は、外筒32に接続されており、めっき液を透過する構造を有している。さらに、支持体6上には、陽極電極5が設けられている。陽極電極5は、めっき液噴射管4の下端よりも上方側に位置する。
【0076】
隔壁7は、炭化水素系カチオン交換膜を備えている。しかしながら、隔壁7は、陽極電極5及び支持体6近傍、すなわち陽極電極室に流入しためっき液中の金属イオンを透過することが可能な構成を有する透過部材を備えていれば、特に限定されるものではない。例えば、隔壁7は、イオン交換膜、中性膜、または、多孔質性セラミック等を備えていてもよい。また、隔壁7が炭化水素系カチオン交換膜を備えている場合、炭化水素系カチオン交換膜として、具体的には、セレミオン(商標登録)(旭硝子エンジニアリング製 炭化水素系カチオン交換膜)、またはネオセプタCM−1(商標登録)(株式会社アトムス製 炭化水素系カチオン交換膜)が挙げられる。隔壁7の具体的な構成については、後述する。
【0077】
また、隔壁7は、金属イオン以外にも添加剤成分としての陽イオン(金属イオンと同様の電気的性質のイオン)を透過するものであってもよい。
【0078】
めっき液噴射管4、及び支持体6は、ポリプロピレンからなる。また、陽極電極5は、含リン銅からなる溶解性陽極電極である。しかしながら、めっき液噴射管4及び支持体6は、寸法安定性が確保され、かつめっき液に対し耐性を有するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、めっき液噴射管4及び支持体6は、硬質塩化ビニルからなっていてもよい。
【0079】
ここで、本発明に適用しうる半導体ウェハ1の寸法は、めっき処理槽100の各種部材の寸法に応じて適宜設定することが可能である。例えば、半導体ウェハ1としては、直径100mmないし500mm程度のものが適用可能である。より具体的には、直径150mm程度のものが、半導体ウェハ1として適用できる。
【0080】
また、内筒31は、その底部に隔壁7が密着して固定されている。内筒31の内径は、半導体ウェハ1の被めっき面Wよりも小さければよい。
【0081】
このように、内筒31の内径が半導体ウェハ1の被めっき面Wよりも小さい場合、めっき液噴射管4から噴射しためっき液は、めっき処理槽100外部の大気に接触することなく、半導体ウェハ1の被めっき面Wへ噴流される。このため、本発明のめっき装置では、大気と遮断してめっきを行うことができ、大気からの浮遊異物によるめっき液の汚染や、めっき液の蒸発、めっき液の蒸発やミストによる周辺環境の汚染を防止できる。
【0082】
また、内筒31の高さは、50mmないしは100mmであればよい。ここでは、内筒31の寸法は、外径150mm 内径140mm 厚さ5mm 高さ80mmであり、円筒状のものである。
【0083】
また、外筒32の高さは、後述するように、めっき液噴射管4から噴射しためっき液が半導体ウェハ1の被めっき面Wの中心部から外周部に渡って、十分に当接することができ、かつ、外筒32の上端が内筒31の上端よりも低ければ、特に限定されない。ここでは、外筒32は内径160mmとしたが、外筒32の高さは後に記するようにめっき液噴射管4から噴流しためっき液が半導体ウェハ1の表面外周部まで十分に接することができれば良く、外筒32の上端が内筒31の上端よりも低ければよい。
【0084】
また、内筒31は外径150mmであり、外筒32は内径160mmである。そして、内筒31と外筒32との間隙は5mmとしている。しかしながら、内筒31と外筒32との間隙は、これに限定されるものでない。内筒31と外筒32との間隙を少なくすることにより、後述するように、内筒31と外筒32とにおいて、互いの上端の高さの差を大きくすることができる。このように内筒31と外筒32との間隙を少なくすることで、液体の持つ粘性ゆえに抵抗(圧力)が高まり、よって内筒を高くしても内筒の上端部までめっき液が到達する。これにより、設計上の自由度を大きくすることができる。
【0085】
また、隔壁7は、外径140mm内径40mmのドーナツ状の形状を有している。そして、隔壁7は、その外周が内筒31に密着される一方、その内周がめっき液噴射管4に密着されて、固定されている。しかしながら、隔壁7の寸法は、これに限定されるものではない。
【0086】
また、支持体6は、外筒32とめっき液噴射管4との間に設けられている。支持体6は、外筒32の底部から上方に20mm、もしくは少なくとも5mmの空隙で設置されている。また、支持体6には、上下方向の貫通孔が多数形成されている。
【0087】
また、隔壁7の厚さは、好ましくは50μm以上200μm以下、より好ましくは50以上100μm以下で、使用可能である。隔壁7の厚さが50μmよりも小さい場合、めっきに要する電流が必要以上に多くなり、めっきの効率が下がるので、好ましくない。また、隔壁7の厚さが、200μmよりも大きい場合、めっき面外観に黒色の「ヤケ」と呼ばれる不良を発生するので好ましくない。
【0088】
また、隔壁7の内筒31への取り付けは、2〜10mm厚のカップ部材に、0.2mm〜9mm径の円形または1辺が0.2mm〜9mm長の正方形、長方形、または四変形の開口を有している。なお、隔壁7(セレミオン隔壁)が真円でなくともよく、極端には四角形であってもよい。
【0089】
また、含リン銅からなる陽極電極5の寸法は、外径150mm内径50mm厚さ8mである。しかしながら、陽極電極5の寸法は、これに限定されるものでなく、支持体6と隔壁7との間隙及び外筒32と当該陽極電極5との間隙を通過するめっき液の流動を妨げない範囲で任意に選択が可能である。また、陽極電極5に含まれる含リン銅は、特に限定されないが、0.04〜0.06%のリンが含まれていればよい。
【0090】
めっき液噴射管4は、隔壁7を貫通し隔壁7より20mm上方へと伸びている。しかしながら、めっき液噴射管4は、これに限定されるものでなく、陽極電極5よりも下方から隔壁7まで到達していればよい。
【0091】
以上、めっき処理槽100における、半導体ウェハ1、カップ3(内筒31及び外筒32)、めっき液噴射管4、陽極電極5、支持体6、及び隔壁7の寸法等を説明したが、めっき処理槽100における各種部材の寸法は、めっき処理槽100の大きさ、あるいは適用する半導体ウェハ1の大きさ等に応じて、適宜設定することが可能である。
【0092】
以下、半導体ウェハ1を保持するウェハ保持具2の具体的構成について、図2に基づいて説明する。図2は、めっき処理槽100のウェハ保持具2の構成の一例を示す断面図である。ウェハ保持具2は、図2に示すように、Oリング21と、コンタクト材22と、ウェハ保持リング23とを備えている。ウェハ保持リング23は、内筒31の上端部と所定の間隙を維持して、図示しない支柱に保持されている。そして、Oリング21及びコンタクト材22は、ウェハ保持リング23上に設けられており、保持する半導体ウェハ1との密着性を確保している。
【0093】
また、コンタクト材22は、半導体ウェハ1の外周部に均等な間隔で3箇所設けられている。しかしながら、コンタクト材22は、これに限定されることなく、半導体ウェハ1の外周部に均等な間隔で4箇所以上設けられていてもよい。さらには、コンタクト材22が半導体ウェハ1の外周部全周を接する構造であってもよい。
【0094】
ウェハ保持リング23の内径は140mmとしたがこれに限定されることなく、外形が円形である必要がないことは勿論のこと装置筐体等と一体構造であってもよい。
【0095】
以下、ウェハ保持具2の各種部材について説明する。
【0096】
Oリング21は、半導体ウェハ1との密着性が確保され、かつめっき液に対して耐性を有するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、Oリング21として、シリコーンゴムが挙げられる。具体的には、バイトン(商標登録)(デュポン ダウ エラストマー ジャパン製)が挙げられる。
【0097】
また、コンタクト材22は、半導体ウェハ1との密着が確保され、かつ導電性で使用するめっき液に耐性があるものであれば、特に限定されるものではない。例えば、チタンに金属めっきが施された部材が挙げられる。具体的には、コンタクト材22としては、チタンにプラチナめっきを施したもの、チタンに金めっきを施したもの、樹脂に金めっきなどを施したもの、または、その組み合わせたものが挙げられる。
【0098】
また、ウェハ保持リング23は、寸法安定性が確保され、かつ使用するめっき液に耐性があるものであれば、特に限定されるものではない。ウェハ保持リング23としては、例えば、硬質塩化ビニルまたはポリプロピレンからなるものが挙げられる。
【0099】
次に、めっき処理槽100において、半導体ウェハ1の被めっき面Wと陽極電極5との間に設けられている隔壁7の構造の一例について、図3を参照して、以下に説明する。図3は、めっき処理槽100において、内筒31と隔壁7とに囲まれた領域(被めっき基板室)の構成を示し、上の図は、半導体ウェハ1の被めっき面W側からみた上面図であり、下の図は、断面図である。
【0100】
図3に示すように、隔壁7は、被めっき面W側から見てドーナツ形状を有している。そして、隔壁7の中央部には、めっき液噴射管4が貫通している。また、隔壁7の外周部は、内筒31の底部に固定されている。
【0101】
また、隔壁7は、半透膜(透過部材)71と、半透膜支持体72・73とを備えている。隔壁7は、半透膜支持体72・73が、半透膜71を狭持した構成である。そして、陽極電極5側には、半透膜支持体72が配置されており、半導体ウェハ1の被めっき面W側には半透膜支持体73が配置されている。
【0102】
それゆえ、半導体ウェハ1と陽極電極5との間を通電することで、陽極電極5側(陽極電極室)に流入しためっき液は、半透膜支持体72にて透過される。そして、半透膜71にて、めっき液中の金属イオンが透過される。そして、半透膜71にて透過されためっき液中の金属イオンは、半透膜支持体73を透過して、半導体ウェハ1の被めっき面W側(被めっき基板室)へ流入する。この際、半透膜71では、めっき液中の金属イオンのみが透過され、めっき液中のパーティクルは透過されない。したがって、隔壁7により、めっき液中の金属イオンとパーティクルとを分離することが可能になり、陽極電極5に起因するパーティクルによるめっき面の汚染を防ぐことができる。
【0103】
半透膜71は、めっき液に浸漬した状態で、めっき液中の金属イオンを透過するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、半透膜71としては、炭化水素系カチオン交換膜、中性膜、または、多孔質性セラミック等が挙げられる。また、半透膜71が炭化水素系カチオン交換膜である場合、半透膜71として、具体的には、セレミオン(商標登録)(旭硝子エンジニアリング製 炭化水素系カチオン交換膜)、またはネオセプタCM−1(商標登録)(株式会社アトムス製 炭化水素系カチオン交換膜)が挙げられる。
【0104】
また、半透膜支持体72・73は、めっき液を透過する構造を有し、かつ、寸法安定性が確保され、めっき液に対し耐性を有するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、半透膜支持体72・73としては、ポリプロピレン、または硬質塩化ビニルからなるものが挙げられる。
【0105】
次に、半透膜71の構造について、イオン交換膜を含むイオン交換膜を例に挙げて、以下に説明する。図5は、イオン交換膜の構造を説明するための説明図である。また、図6は、イオン交換膜の選択透過性を説明するための説明図である。
【0106】
「イオン交換膜」とは、図5に示すように、イオンを選択透過させる膜のことをいう。このイオン交換膜は、大きく分けて陽イオン交換膜と陰イオン交換膜に区分される。陽イオン交換膜は、図5に示すように、めっき液に浸漬された状態で、通電すると、陽イオン(M+)を選択的に透過し、陰イオン(B−)を透過しない。
【0107】
陽イオン交換膜には、図6に示すように、マイナス電荷の置換基が固定されている。このため、陰イオン(B−)はマイナス電荷の置換基の反発を受け、透過できない。一方、陽イオン(M+)は、マイナス電荷の置換基の反発を受けないので、透過する。すなわち、陽イオン交換膜を透過できるイオンは、陽イオン(M+)だけということになる。
【0108】
一方、陰イオン交換膜は、上記の作用と反対の作用になる。これらイオン交換膜の選択透過は、電気透析装置の電気エネルギーによって行われる。なお、この電気透析装置の電気エネルギーは、特に限定されず、直流電流、パルス電流、または、交流電流による電気エネルギーであってもよい。
【0109】
次に、本発明のめっき装置の構成について、図4を参照して説明する。図4は、本発明のめっき装置の構成を示す概略図である。
【0110】
本発明のめっき装置は、図4に示すように、半導体ウェハ1の被めっき面Wにめっき処理を行うめっき処理槽100と、めっき処理槽100を内包するめっき液槽8と、めっき液供給源としてのめっき液貯槽9と、めっき液をめっき装置内に循環させるポンプ10と、めっき液中の固形異物をろ過するフィルター11と、これらを接続する配管Tを備えている。
【0111】
本発明のめっき装置では、めっき液貯槽9中のめっき液は、ポンプ10によりフィルター11を経て、めっき処理槽100の下部に形成されためっき液流入口Eへと至る。そして、めっき液流入口Eから供給されためっき液は、めっき液噴射管4を通って、半導体ウェハ1の被めっき面Wへと至る。そして、その後、めっき液は、内筒31上部の辺縁部(ウェハ保持具2と内筒31との隙間)より、めっき処理槽100外部へ漏れ出てめっき液槽8にて回収され、再度、めっき液貯槽9へ還流される。
【0112】
めっき液槽8、めっき液貯槽9、及び配管Tは、寸法安定性が確保され、かつ使用するめっき液に耐性がある材質であれば、特に限定されるものではない。これらの材質としては、例えば、硬質塩化ビニルまたはポリプロピレンが挙げられる。
【0113】
また、ポンプ10は、使用するめっき液に耐性があり、かつ、めっき液に悪影響を与えずに流動させることができれば、特に限定されるものではない。ポンプ10としては、例えば、イワキ製;商品名 マグネットポンプMD−70R、または、;商品名 イワキ製マグネットポンプMD−30RないしMD−100Rが挙げられる。また、ポンプ10の材質に関しても、寸法安定性が確保され、かつ使用するめっき液に耐性がある材質であれば、特に限定されるものではない。ポンプ10の材質としては、例えば、硬質塩化ビニルまたはポリプロピレンが挙げられる。
【0114】
また、フィルター11は、目標とするめっきパターンの最小間隔のおよそ1/2の粒径の捕集効率が100%であり、かつ使用するめっき液への耐性を備えめっき液に悪影響を与えずに流動させることができれば、特に限定されるものではない。フィルター11としては、例えば、日本ポール社製;商品名 ポリプロピレン製カートリッジフィルタHDCII(J012;1.2μm径粒子捕集効率100%)、日本ポール社製;商品名 ポリプロピレン製カートリッジフィルタHDCII(J006;1.0μm径粒子捕集効率100%)、テフロン(登録商標)製フィルター、または中空糸膜フィルターが挙げられる。また、フィルター11の材質に関しても、寸法安定性が確保され、かつ使用するめっき液に耐性がある材質であれば、特に限定されるものではない。フィルター11の材質としては、例えば、硬質塩化ビニルまたはポリプロピレンが挙げられる。
【0115】
また、図4では示していないが、配管Tの途中には弁、流量計、空気抜き管などが接続され、同じく図示しない制御装置によりめっき液の流動の制御が可能であり、更に図示しないめっき用電源部によって被めっき面と陽極電極5との間に電圧を印加することができる。
【0116】
次に、本発明のめっき装置におけるめっき処理の一例として、半導体ウェハ1の被めっき面Wに銅めっきを行う場合について、以下詳細に説明する。
【0117】
まず、ウェハ保持具2には、半導体ウェハ1の被めっき面Wが下側になるように、半導体ウェハ1が設置されている。半導体ウェハ1は、図示しないウェハ抑えによりOリング21及びコンタクト材22に密着されている。
【0118】
図4に示すように、めっき液貯槽9内のめっき液が、図示しない制御装置により制御されたポンプ10により、フィルター11に送られる。めっき液は、フィルター11にて、フィルター11の開口径以上の固形異物が除去され、配管を経てめっき処理槽100のめっき液流入口Eに流入する。カップ3の外筒32下部のめっき液流入口Eより流入しためっき液は、めっき液噴射管4を経て内筒31内に流入する。なお、上記めっき液は、添加剤と金属銅換算で約25g/Lの銅を含む銅めっき液(商品名 ミクロファブCu200 日本エレクトロプレイティング・エンジニヤース製)である。
【0119】
また、めっき液流入口Eに流入しためっき液のうち一部のめっき液は、外筒32底部と支持体6との間隙に流入する。外筒32底部と支持体6との間隙に流入しためっき液(以下、陽極電極室に流入しためっき液と記す)は、支持体6に穿たれた貫通孔を経て陽極電極5周囲を包み込むように上昇し隔壁7に沿って外周方向へ流動する。そして、内筒31と外筒32との間隙を通過してめっき処理槽100外へ流出される。なお、このめっき装置において、陽極電極5は、0.04〜0.06%のリンを含む含リン銅からなっている。
【0120】
一方、めっき液噴射管4を経て内筒31内に流入しためっき液(以下、被めっき基板室に流入しためっき液と記す)は、そのめっき液の運動エネルギーと、陽極電極室に流入しためっき液が内筒31と外筒32との間隙を通過してめっき処理槽100外へ流出するときの抵抗とにより、圧力が高められる。このため、被めっき基板室に流入しためっき液の液面が半導体ウェハ1の被めっき面Wに到達する。そして、被めっき基板室に流入しためっき液は、半導体ウェハ1表面の被めっき面Wの外周へと流動する。そして、内筒31とウェハ保持リング23との間隙を通過して、めっき処理槽100外へ流出する。
【0121】
内筒31と外筒32との間隙を通過してめっき処理槽100外へ流出しためっき液、及び内筒31とウェハ保持リング23との間隙を通過してめっき処理槽100外へ流出した液は、混合してめっき液槽8に溢れ出る。めっき液槽8内のめっき液は、高低差によってめっき液貯槽9へと還流する。
【0122】
このとき、半導体ウェハ1の被めっき面Wを陰極とし、被めっき面Wと陽極電極5との間に、図示しないめっき用電源によって電流を制御しながら電圧を印加すると、陽極電極5表面ではめっき液中の添加剤が所定の作用を為し、めっき液中に銅イオンが発生する。そして、発生した金属イオンは、隔壁7を透過して内筒31内を経て陰極電極となった半導体ウェハ1表面に至る。そして、半導体ウェハ1の被めっき面Wでは、めっき液中の添加剤が所定の作用を為しながら、銅イオンは銅として析出しめっきされる。
【0123】
なお、本発明のめっき装置において、ポンプ10によりフィルター11へ送られるめっき液の流量は、半導体ウェハ1の寸法、またはめっき処理槽100の寸法に応じて、適宜設定することができる。具体的には、毎分20L程度又は毎分2ないし20L程度の流量である。
【0124】
また、被めっき面Wと陽極電極5との間に印加される電圧、及び電圧印加時間もまた、半導体ウェハ1の寸法、またはめっき処理槽100の寸法に応じて、適宜設定することができる。具体的には、被めっき面Wでの電流密度が1平方センチメートルあたり20mAとなるように制御しながら、25分間電圧が印加される。
【0125】
なお、内筒31内は、フィルター11を経てフィルター開口径以上の固形異物を除去されためっき液で満たされており、陽極電極室に流入しためっき液は、隔壁7とめっき液の流れにより内筒31内には流入できない。そして、めっき液中の銅イオンのみが隔壁7を透過して内筒31内に至るため、陽極電極5表面のブラックフィルム等に起因する微小な固形異物の付着がない。また、従来のように、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物の付着を防止するために不溶解性電極を使用する必要がないため、めっき液中の添加剤の酸化分解による添加剤消費量の増大や分解生成物によるめっき液の汚染によるめっき品質の低下のない高品質なめっきを得ることができる。
【0126】
ここで、めっき液として、銅めっき液(ミクロファブCu200 日本エレクトロプレイティング・エンジニヤース製)を用いたが、これに限定されることなく、これ以外の所望の性能を達成できるめっき液であれば、これに限定されることがないのは勿論である。
【0127】
また、本発明のめっき装置では、隔壁7の一部または全部が、めっき液中の金属イオンを透過する透過部材からなる場合について説明したが、これに限定されない。本発明のめっき装置では、隔壁7を底面とする内筒31における、半導体ウェハ1の被めっき面Wと陽極電極5とを隔離する部分、すなわち、被めっき基板室における、陽極電極と被めっき基板とを隔離する部分の一部または全部が、めっき液中の金属イオンを透過する透過部材からなっていてもよい。例えば、内筒31の一部または全部が、めっき液中の金属イオンを透過する透過部材からなっていてもよい。
【0128】
また、フェースダウン方式のめっき装置においては、カップ下部より上昇するめっき液が、カップとウェハ保持具との間の隙間よりカップ外へ流出しますが、このとき上昇するめっき液の流量を大きくすることで液面が盛り上がるとともに、半導体ウェハとの表面張力(親水性)によって隙間よりも高い位置にある半導体ウェハの被めっき面を濡らしながらカップ周辺部へ流動しカップ外へ流出する。
【0129】
ここで、半導体ウェハの被めっき面全面に均一なめっき液の流れを作ることは、めっき時の銅イオンの供給にとってきわめて重要で、ウェハ表面で中央部から周辺部への層流を作ることはめっき仕上がりを大きく左右する。
【0130】
従来のフェースダウン方式で陽極電極と半導体ウェハとの間に隔壁を設けることは、ウェハへのめっき液の接触ができなくなり、めっき自体不可能となる。
【0131】
本発明においては、この問題を解決するために、カップの構造を従来の構造から内筒、外筒からなる2重構造とし、かつ、陽極電極より下から隔壁を貫通してウェハ側にめっき液噴射管を設け、ウェハ表面に至るめっきに関与する液と、陽極電極近傍を流れカップ外に排出される液とをこのノズルの入り口で分けることにより、ウェハ中央より十分な流速と流量をもってめっき液を噴流させウェハ表面で層流をつくることと陽極近傍を通り隔壁に沿ってカップ外に流出する流れを作ることができる。
【0132】
また、従来のフェースアップ方式の噴流めっき装置では、その構造上、側方の流入・流出口からウェハ表面に一様にめっき液の流れを作るために、ウェハを回転させることで相対的に一様な流れを得ようとしている。このため、ウェハ保持側の機構に回転機構を付加する必要があり、大掛かりな装置となる。
【0133】
これに対して本発明のめっき装置では、半導体ウェハ中央部からめっき液を噴出することが可能であるため、めっき処理槽と半導体ウェハとは固定されており、より簡便な装置構造を実現できる。
【0134】
本発明のめっき装置は、基板にめっきを形成するためのフェースダウン方式の噴流めっき装置であって、めっきカップ内で陽極電極と被めっき面を隔離して配置されている構成であるともいえる。また、前記めっき装置は前記めっきカップ内にめっき液を導入する。
【0135】
この結果、めっき装置はめっきカップ内にめっき液を流入することで被めっき面にめっき液を接触せしめ、めっきカップ内に配置した陽極電極と被めっき面間に通電することでめっきを行うめっき方法において、前記めっきカップ内の陽極電極近傍に流入しためっき液は流動によって被めっき面に到達しないか、もしくは前記めっき装置はめっきカップ内にめっき液を流入することで被めっき面にめっき液を接触せしめ、めっきカップ内に配置した陽極電極と被めっき面間に通電することでめっきを行うめっき方法において、前記めっきカップ内の陽極電極近傍に流入しためっき液は被めっき面に到達せずにめっきカップ外部に流出させることが可能である。
【0136】
前記めっき装置は前記めっきカップ内で陽極電極と被めっき面を隔離する構造の一部もしくは全部が、電解液中に浸漬することによってイオンを透過することができる材質が半透膜であるか、イオン交換膜であるか、または電解液中に浸漬することによってイオンを透過することができるその他の材質から成る。
【0137】
一方、前記めっき装置において前記めっき液は銅を含有する導電性の液体又は銅を含有する導電性の液体にその他の成分を添加した導電性の液体である。更に前記めっき液はめっき液1リットル中に金属銅として14乃至は40gの銅成分を含む。一方、前記めっき装置において、前記陽極電極は含リン銅からなる溶解性陽極電極板である。
〔実施の形態2〕
次に、本実施形態では、半導体装置、及び半導体装置の製造方法の一例として、上記実施の形態1において被めっき基板として用いた半導体ウェハ1及びその製造方法について、図9〜図12に基づいて、以下詳細に説明する。図9は、本実施形態で用いた半導体ウェハ1の概略構成を示す模式図である。また、図10は、めっき工程後の、半導体ウェハ1に形成された半導体チップ33の概略構成を示し、図10(a)は、平面図であり、図10(b)は、断面図である。
【0138】
図9に示すように、半導体ウェハ1表面には、半導体チップ41が複数形成されている。また、半導体ウェハ1の周辺には、コンタクト部42が設けられている。このコンタクト部42には、図示しないめっきシード層が露出されている。そして、コンタクト部42は、給電のために、図2に示すコンタクト材22と接するようになっている。
【0139】
また、図10(a)に示すように、半導体チップ41には、フォトレジスト層18が任意の形状で形成されている。さらに、図10(b)に示すように、めっき工程後の半導体チップ41の表面には、シード層19が形成されている。そして、シード層19の表面には、配線めっき層16及びフォトレジスト層18が形成されている。また、シード層19において、配線めっき層16及びフォトレジスト層18側と反対側には、パッド17が設けられている。そして、半導体チップ41では、配線めっき層16とパッド17とが電気的に接するようになっている。
【0140】
次に、本実施形態における半導体装置の製造方法の手順について、図11に基づいて、以下に説明する。図11は、本実施形態における半導体装置の製造方法の手順を示す断面図である。
【0141】
本実施形態における半導体装置の製造方法は、図11に示すように、半導体チップ41表面にシード層19を形成するシード層形成工程と、シード層19上にフォトレジスト層18を塗布するフォトレジスト塗布工程と、このフォトレジスト層18に任意の形状のパターンを形成するフォトレジストパターン形成工程と、フォトレジストパターンに金属をめっきし、配線めっき層を形成するめっき工程と、フォトレジスト層18を剥離する剥離工程と、シード層19をエッチングするエッチング工程とを含んでいる。なお、図11(a)は、シード層形成工程前の半導体チップ41の一部の概略構成を示しており、図11(b)は、シード層形成工程後の半導体チップ41の一部の概略構成を示しており、図11(c)は、フォトレジスト塗布工程後の半導体チップ41の一部の概略構成を示しており、図11(d)は、フォトレジストパターン形成工程後の半導体チップ41の一部の概略構成を示しており、図11(e)は、めっき工程後の半導体チップ41の一部の概略構成を示しており、図11(f)は、剥離工程後の半導体チップ41の一部の概略構成を示しており、図11(g)は、エッチング工程後の半導体チップ41の一部の概略構成を示している。
【0142】
図11(a)に示すように、シード層形成前の半導体チップ41には、その表面に、電気信号を外部と交換するためのパッド17が設けられている。
【0143】
図11(b)に示すように、シード層形成工程では、このような半導体チップ41の表面にシード層19を形成する。具体的には、スパッタリング装置内にて、半導体チップ41を含む半導体ウェハ1を、パッド形成面にシード層が形成されるように配置する。そして、半導体ウェハ1表面に、バリアメタルとなるチタン層を1000Å形成し、次に銅層を3000Å形成する。そして、この銅層を、めっきのためのシード層19とする。このシード層19は、後述するめっき工程において、めっき材(配線めっき層16)の成長を促進する役割を果たす。
【0144】
ここで、シード層形成工程にて、バリアメタルとしてチタン層を形成している。しかしながら、バリアメタルとなる層は、これに限定されるものではなく、クロム層であってもよい。また、チタンとタングステンとの合金からなる層であってもよい。さらには、これら以外に、バリア効果を得られる金属からなる層であればよい。
【0145】
さらに、チタン層の厚みを1000Åとしているが、これに限定されることなく、バリア性を確保できれば、500Å以上の任意の厚みであってもよい。また、めっきのためのシード層19としての銅層の厚みを3000Åとしているが、これに限定されることなく、めっき工程において均一な電流密度を確保できる厚みであれば、銅層の厚みは、1000Å以上の任意の厚みであってもよい。
【0146】
図11(c)に示すように、フォトレジスト塗布工程では、シード層19が形成された半導体チップ41を含む半導体ウェハ1にフォトレジスト層18を塗布する。フォトレジスト塗布工程では、フォトレジスト(東京応化製;商品名 PMER P−LA900)を回転塗布装置により、毎分1500回転で30秒間、半導体ウェハ1表面に回転塗布し、115℃で5分間加熱する。
【0147】
ここで、フォトレジストとして上記PMER P−LA900を用いている。しかしながら、フォトレジストは、これに限定されるものではなく、後述するめっき工程に対して耐性であればよい。フォトレジストとしては、例えば東京応化製;商品名 PMER N−CA3000であってもよい。さらには、フォトレジストの塗布方法も回転塗布に限定されるものではない。例えば、東京応化製;商品名 ORDYL MP100 Seriesなどのドライフィルムによって、半導体ウェハ1表面にフォトレジスト層18を形成してもよい。
【0148】
また、フォトレジスト塗布工程では、フォトレジストを、回転塗布装置により毎分1500回転で30秒間回転塗布し、115℃で5分間加熱している。しかしながら、回転塗布方法は、これに限定されるものではなく、例えば、毎分1000回転〜3000回転にて十分に均一な膜厚となるまで回転させた後、100℃〜120℃で5分程度加熱してもよい。
【0149】
図11(d)に示すように、フォトレジストパターン形成工程では、フォトレジスト塗布工程にて形成されたフォトレジスト層18に任意の形状のパターンを形成する。具体的には、フォトレジスト塗布工程後に、半導体チップ41を含む半導体ウェハ1を、図示しない露光装置にセットする。そして、フォトレジスト層18にg線(436nm)を照射する。その後、図示しない現像装置により、2.38%−TMAH水溶液にて、フォトレジスト層18の現像を行い、配線めっきを成すべき部分のフォトレジストを除去する。
【0150】
ここで、フォトレジスト層18にg線(436nm)を照射している。しかしながら、露光時にフォトレジスト層18に照射する光は、フォトレジストを露光させることができる光であれば、特に限定されるものではない。フォトレジスト層18に照射する光として、例えば、i線(365nm)や深紫外線(約200乃至300nm)であってもよい。また、フォトレジストパターン形成工程では、2.38%−TMAH水溶液にてフォトレジスト層18の現像を行っている。しかしながら、TMAH水溶液の濃度は、これに限定されるものではない。例えば、TMAH水溶液の濃度としては、1〜3%の濃度であってもよい。さらには、25%−TMAH水溶液を、現像するのに適当な濃度にまで、純水で希釈してもよい。
【0151】
図11(e)に示すように、めっき工程では、上記フォトレジストパターン形成工程にてフォトレジスト層18に任意の形状のパターンを形成した結果、シード層19が露出した部分にめっきを行っている。具体的には、フォトレジストパターン形成工程後に、半導体チップ41を含む半導体ウェハ1を、図1に示すめっき装置に設置する。すなわち、めっき装置のウェハ保持具2に半導体ウェハ1を設置する。そして、図示しないウェハ抑えにより、Oリング21及びコンタクト材22を、半導体チップ41のコンタクト部42に密着させる。なお、半導体ウェハ1をめっき装置に設置した後のめっき工程に関しては、上記実施の形態1にて説明しためっき方法と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0152】
また、剥離工程では、図11(f)に示すように、めっき工程後の半導体チップ41に形成されているフォトレジスト層18を剥離する。具体的には、図11(e)に示す半導体チップ41を含む半導体ウェハ1を、図示しない剥離装置に投入する。そして、半導体ウェハ1を、剥離液(東京応化製;商品名 104剥離液)に70度―20分間浸漬し、時折震盪する。これにより半導体ウェハ1表面に形成されたフォトレジスト層18が剥離される。
【0153】
ここで、剥離工程では、半導体ウェハ1を、上記104剥離液に70℃−20分間浸漬し時折震盪している。しかしながら、浸漬時間は、これに限定されるものではなく、例えば15〜25分間の浸漬であってもよい。また、剥離液として、例えば三菱ガス化学製R−100を用い、50℃で8〜15分間浸漬し時折震盪してもよい。あるいは、剥離液としてアセトンを用いてもよい。
【0154】
次に、エッチング工程では、図11(g)に示すように、配線めっき層16が形成されていないシード層19をエッチングにより除去する。具体的には、図11(f)に示す半導体チップ41を含む半導体ウェハ1を、図示しないエッチング装置に投入する。そして、半導体ウェハ1を、25℃の10%−過硫酸アンモニウム水溶液に1分30秒浸漬しつつ震淘して、銅めっき配線部(配線めっき層16)以外の銅(Cu)からなるシード層19(表面に配線めっき層16が形成されていないシード層19)をエッチングする。
【0155】
ここで、エッチング工程では、半導体ウェハ1を、25℃の10%−過硫酸アンモニウム水溶液に1分30秒浸漬しつつ震淘することとしている。しかしながら、エッチングに用いる水溶液は、これに限定されるものではなく、例えば、10%−水酸化ナトリウム水溶液や40%−塩化第二鉄水溶液、その他の水溶液であってもよい。また、水溶液の温度も、これに限定されるものではなく、15℃〜40℃であってもよい。
【0156】
さらに、エッチング工程では、次に、半導体ウェハ1を、90℃の25%−TMAHに1時間浸漬しつつ震淘する。これにより、銅めっき配線部(配線めっき層16)以外の図示しないバリアメタルとしてのチタン層(表面に配線めっき層16が形成されていないチタン層)がエッチングされる。
【0157】
ここで、チタン層をエッチングするために、90℃の25%−TMAHに1時間浸漬しつつ震淘することとしている。しかしながら、チタン層をエッチングするために用いる水溶液は、これに限定されるものではなく、例えば、塩酸、フッ酸と硝酸との混合液等であってもよい。
【0158】
このように上記シード層形成工程からめっき工程を経て製造された半導体チップ41を含む半導体ウェハ1は、上記めっき工程にて、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物によりめっき品質の低下が無くなる。それゆえ、本実施形態の半導体装置の製造方法では、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物による配線間のショート等を防ぐことが可能になり、半導体チップ表面により微細な配線パターンを形成することが可能になる。
【0159】
また、このように半導体ウェハ1上に配線めっき層16が形成された半導体チップ41には、外部接続端子が設置される。以下、配線めっき層16が形成された半導体チップ41に外部接続端子を設置する外部接続端子設置工程について、図12に基づいて、詳細に説明する。図12は、配線めっき層16が形成された半導体チップ41に外部接続端子26を設置する外部接続端子設置工程を示す断面図である。
【0160】
上記外部接続端子設置工程は、配線めっき層16が半導体チップ41表面にオーバーコート層を形成するオーバーコート層形成工程と、オーバーコート層に任意の形状のパターンを形成するオーバーコート層パターン形成工程と、オーバーコート層のパターン形状に基づいて外部接続端子を配線めっき層16に形成する外部接続端子形成工程とを含んでいる。なお、図12(a)は、オーバーコート層形成工程前の配線めっき層16が形成された半導体チップ41の一部の概略構成を示し、図12(b)は、オーバーコート層形成工程後の半導体チップ41の一部の概略構成を示し、図12(c)は、オーバーコート層パターン形成工程後の半導体チップ41の一部の概略構成を示し、図12(d)は、外部接続端子形成工程後の半導体チップ41の一部の概略構成を示している。
【0161】
図12(a)に示すように、半導体ウェハ1上に配線めっき層16が形成された半導体チップ41では、配線めっき層16の下(パッド17が形成されている側)に、シード層19が形成されている。配線めっき層16は、このシード層19を介して、半導体チップ41上に設けられているパッド17と電気的に接続している。
【0162】
図12(b)に示すように、オーバーコート層塗布工程では、配線めっき16が形成された半導体チップ41を含む半導体ウェハ1にオーバーコート層20を形成する。具体的には、オーバーコート層20(住友ベークライト製;商品名 CRC−8000シリーズ)を回転塗布装置により毎分1500回転で30秒間回転塗布し、130℃で5分間加熱する。
【0163】
ここで、上記オーバーコート層塗布工程では、オーバーコート層20として上記CRC−8000シリーズを用いている。しかしながら、オーバーコート層20に用いる材料は、これに限定されるものではなく、例えば日立化成製;商品名 HD−8800シリーズであってもよい。さらには、オーバーコート層20として、商品名 HD−8000シリーズ等の感光性耐熱性樹脂を用いてもよい。
【0164】
また、上記オーバーコート層塗布工程では、回転塗布装置により毎分1500回転で30秒間回転塗布し、130℃で5分間加熱している。しかしながら、オーバーコート層の塗布方法は、これに限定されるものではなく、例えば、毎分1000回転〜3000回転にて十分に均一な膜厚となるまで、半導体ウェハを回転させた後、120℃〜140℃で5分程度加熱してもよい。
【0165】
図12(c)に示すように、オーバーコート層パターン形成工程では、オーバーコート層20に、任意の形状のパターンを形成する。具体的には、オーバーコート層塗布工程後に、半導体チップ41を含む半導体ウェハ1を、図示しない露光装置にセットする。そして、露光装置によりオーバーコート層20にg線(436nm)を照射する。その後、図示しない現像装置により、2.38%−TMAH水溶液にてオーバーコート層20の現像を行い、外部接続端子を形成する部分に相当するオーバーコート層20を除去する。そして、除去後、300℃の窒素雰囲気下で、2時間硬化処理を行う。このオーバーコート層パターン形成工程により、半導体チップ41では、外部接続端子を形成する部分で、配線めっき層16が露出した状態になる。
【0166】
ここで、上記オーバーコート層パターン形成工程では、露光装置によりオーバーコート層20にg線(436nm)を照射している。しかしながら、オーバーコート層20に照射する光は、オーバーコート層を露光させることができる光であれば、特に限定されるものではない。オーバーコート層20に照射する光としては、例えば、i線(365nm)や深紫外線(約200乃至300nm)であってもよい。
【0167】
また、上記オーバーコート層パターン形成工程では、2.38%−TMAH水溶液にて、オーバーコート層20の現像を行っている。しかしながら、TMAH水溶液の濃度は、これに限定されるものではない。例えば、TMAH水溶液の濃度としては、1〜3%の濃度であってもよい。さらには、25%−TMAH水溶液を、現像するのに適当な濃度にまで、純水で希釈してもよい。
【0168】
さらに、上記オーバーコート層パターン形成工程では、外部接続端子を形成する部分に相当するオーバーコート層20を除去した後、300℃の窒素雰囲気下で2時間硬化処理を行うこととしている。しかしながら、オーバーコート層除去後の工程は、これに限定されるものではない。例えば、オーバーコート層除去後に、250〜350℃にて、1.5時間〜3時間の保持時間を有する工程であってもよい。また、その工程の前後に、昇温過程及び降温過程を有してもよい。
【0169】
図12(d)に示すように、外部接続端子形成工程では、オーバーコート層パターン形成工程にて、オーバーコート層20を除去した部分に、外部接続端子26を形成する。具体的には、図示しないボール搭載機に、半導体チップ41を含む半導体ウェハ1を設置する。そして、外部接続端子形成用の配線めっき層16が露出した部分に、図示しないフラックスを塗布する。そして、フラックスを塗布した部分に、図示しないツールに保持された外部接続端子26としての半田ボールを設置する。その後、半田ボールが設置された半導体チップ41を含む半導体ウェハ1を、245℃のリフロー装置により、半田ボールを再溶融させ冷却させることにより、配線めっき層16に外部接続端子26としての半田ボールを接合させる。
【0170】
ここで、外部接続端子26としての半田ボールは、SnAg3.0Cu0.5(千住金属工業製;商品名 M705)からなっている。しかしながら、半田ボールは、これに限定されるものではなく、例えば、Sn63Pb37からなっていてもよい。また、他の鉛フリー半田からなっていてもよい。
【0171】
また、上記外部接続端子形成工程では、リフロー装置による加熱温度を245℃としている。しかしながら、リフロー装置による加熱温度は、これに限定されるものではなく、例えば240〜250℃であってもよい。
【0172】
なお本発明は、以上説示した各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0173】
本発明のめっき装置は、以上のように、操作性を損なうことなく、ブラックフィルム等に起因する微小な固形異物による、めっき品質の低下を防止することができる。このため、本発明は、半導体産業に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0174】
【図1】本発明の実施の一形態のめっき装置に設けられためっき処理槽の概略構成を示す断面図である。
【図2】上記めっき処理槽のウェハ保持具の構成の一例を示す断面図である。
【図3】上記めっき処理槽において、内筒と隔壁とに囲まれた領域の構成を示し、上の図は、半導体ウェハの被めっき面側からみた上面図であり、下の図は、断面図である。
【図4】本発明の実施の一形態のめっき装置の構成を示す概略図である。
【図5】イオン交換膜の構造を説明するための説明図である。
【図6】イオン交換膜の選択透過性を説明するための説明図である。
【図7】従来のフェースダウン方式の噴流めっき装置の概略構成を示す断面図である。
【図8】従来のラック方式の縦型めっき装置の概略構成を示す断面図である。
【図9】本実施形態で用いた半導体ウェハの概略構成を示す模式図である。
【図10】めっき工程後の、半導体ウェハに形成された半導体チップの概略構成を示し、(a)は、平面図であり、(b)は、断面図である。
【図11】本実施形態における半導体ウェハの製造方法の手順を示す断面図であり、(a)は、シード層形成工程前の半導体チップの一部の概略構成を示しており、(b)は、シード層形成工程後の半導体チップの一部の概略構成を示しており、(c)は、フォトレジスト塗布工程後の半導体チップの一部の概略構成を示しており、(d)は、フォトレジストパターン形成工程後の半導体チップの一部の概略構成を示しており、(e)は、めっき工程後の半導体チップの一部の概略構成を示しており、(f)は、剥離工程後の半導体チップの一部の概略構成を示しており、(g)は、エッチング工程後の半導体チップの一部の概略構成を示している。
【図12】配線めっき層が形成された半導体ウェハに外部接続端子を設置する外部接続端子設置工程を示す断面図であり、(a)は、オーバーコート層形成工程前の配線めっき層が形成された半導体チップの一部の概略構成を示し、(b)は、オーバーコート層形成工程後の半導体チップの一部の概略構成を示し、(c)は、オーバーコート層パターン形成工程後の半導体チップの一部の概略構成を示し、(d)は、外部接続端子形成工程後の半導体チップの一部の概略構成を示している。
【符号の説明】
【0175】
1 半導体ウェハ(被めっき基板)
2 ウェハ保持具
3 カップ
4 めっき液噴射管
5 陽極電極
6 支持体
7 隔壁
8 めっき液槽
9 めっき液貯槽(めっき液供給源)
10 ポンプ(めっき供給手段)
11 フィルター(めっき液ろ過手段)
16 配線めっき層
17 パッド
18 フォトレジスト層
19 シード層
20 オーバーコート層
26 外部接続端子
31 内筒(第2の円筒カップ)
32 外筒(第1の円筒カップ)
41 半導体チップ
100 めっき処理槽
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に陽極電極が設けられためっき処理槽を備え、上記めっき処理槽内にめっき液を流入し、被めっき基板の被めっき面に下方側からめっき液の噴流を当接させながら上記陽極電極と上記被めっき基板との間を通電することでめっきを行うめっき装置であって、
めっき処理槽には、上記被めっき基板と上記陽極電極との間に、隔壁が設けられており、
上記陽極電極と上記被めっき基板とが上記隔壁により隔離され、上記めっき処理槽が被めっき基板室と陽極電極室とに区分されていることを特徴とするめっき装置。
【請求項2】
さらに、上記被めっき基板の被めっき面へめっき液を噴射するためのめっき液噴射管を備え、
上記めっき液噴射管が、上記隔壁を貫通するとともに、上記被めっき基板室と上記陽極電極室との両方にめっき液が流入するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載のめっき装置。
【請求項3】
上記めっき処理槽は、第1の円筒カップと第2の円筒カップとを備え、
上記第1の円筒カップには、上記陽極電極が配されており、その底部には、めっき液をめっき処理槽へ流入するためのめっき液流入口が設けられており、
上記第2の円筒カップの底部は、上記隔壁からなり、
上記めっき液噴射管が、上記隔壁を貫通するとともに、上記めっき液流入口から流入しためっき液の層流が、第1の円筒カップへ流入するめっき液の層流と、第2の円筒カップへ流入するめっき液の層流とに分離するように設けられていることを特徴とする請求項2に記載のめっき装置。
【請求項4】
上記陽極電極室に流入するめっき液が、上記被めっき基板室へ到達しないようになっていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項5】
さらに、上記陽極電極室へ流入するめっき液を、上記めっき処理槽の外部に流出するめっき液流出口が設けられていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項6】
上記めっき処理槽における、上記隔壁を含む上記陽極電極と上記被めっき基板とを隔離する部分の一部または全部が、めっき液中に浸漬した状態で、めっき液中のイオンを透過する透過部材からなることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項7】
上記透過部材が、半透膜であることを特徴とする請求項6に記載のめっき装置。
【請求項8】
上記透過部材が、イオン交換膜を含むことを特徴とする請求項6または7に記載のめっき装置。
【請求項9】
上記隔壁の厚さが、50μm以上200μm以下であることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項10】
上記隔壁が、炭化水素系カチオン交換膜を含むことを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項11】
さらに、上記めっき処理槽へ供給するめっき液を貯留するめっき液供給源と、
上記めっき液供給源に貯留されためっき液を上記めっき処理槽へ供給するめっき液供給手段と、
上記めっき液供給手段より供給されためっき液をろ過するめっき液ろ過手段とを備え、
上記めっき液供給源に貯留されためっき液は、上記めっき液供給手段と上記めっき液ろ過手段とを介して、上記めっき処理槽へ供給され、
上記めっき処理槽に供給されためっき液は、再び上記めっき液供給源へ供給されることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項12】
上記めっき液は、銅成分を含み、かつ、導電性の液体であることを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項13】
上記めっき液は、めっき液1リットルに対して、14g以上40g以下の銅成分を含むことを特徴とする請求項1〜12の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項14】
上記陽極電極は、含リン銅からなる溶解性陽極電極であることを特徴とする請求項1〜13の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項15】
上記被めっき基板が、半導体ウェハであることを特徴とする請求項1〜14の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項16】
めっき処理槽内にめっき液を流入し、被めっき基板の被めっき面に下方側からめっき液の噴流を当接させながら、上記めっき処理槽内に配設した陽極電極と上記被めっき基板との間を通電することでめっきを行うめっき方法であって、
上記被めっき基板の被めっき面へ噴流するめっき液の層流と、上記陽極電極近傍に流入しためっき液の層流とを分離してめっきを行うことを特徴とするめっき方法。
【請求項17】
めっき処理槽内にめっき液を流入し、被めっき基板の被めっき面に下方側からめっき液の噴流を当接させながら、上記めっき処理槽内に配設した陽極電極と上記被めっき基板との間を通電することでめっきを行うめっき工程を含む半導体装置の製造方法であって、
上記めっき工程において、めっき処理槽内で陽極電極と被めっき面とを隔壁により隔離して配置してめっきを行うことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項18】
上記めっき工程において、めっき液の噴流のうち、上記被めっき基板の被めっき面に対する噴流と、上記陽極電極近傍に流入しためっき液の噴流とを分離してめっきを行うことを特徴とする請求項17に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
上記めっき工程において、上記陽極電極近傍に流入するめっき液が、上記被めっき基板の被めっき面へ到達しないように、めっき液を流入させることを特徴とする請求項17または18に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項20】
上記めっき工程において、上記陽極電極近傍に流入するめっき液を、上記めっき処理槽の外部に流出させることを特徴とする請求項17〜19の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項21】
上記めっき処理槽における、上記隔壁を含む上記陽極電極と上記被めっき基板とを隔離する部分の一部または全部が、めっき液中に浸漬した状態で、めっき液中のイオンを透過する透過部材からなることを特徴とする請求項17〜20の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項22】
上記透過部材が、半透膜であることを特徴とする請求項21に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項23】
上記透過部材が、イオン交換膜を含むことを特徴とする請求項21または22に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項24】
上記隔壁の厚さが、50μm以上200μm以下であることを特徴とする請求項17〜23の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項25】
上記隔壁が、炭化水素系カチオン交換膜を含むことを特徴とする請求項17〜24の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項26】
上記めっき工程は、さらに、
めっき液供給源に貯留されためっき液を上記めっき処理槽へ供給するめっき液供給段階と、
めっき液供給工程にて供給されためっき液をろ過するめっき液ろ過段階と、
上記めっき処理槽に供給されためっき液を、再び上記めっき液供給源へ供給するめっき液循環段階とを含むことを特徴とする請求項17〜25の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項27】
上記めっき液は、銅成分を含み、かつ、導電性の液体であることを特徴とする請求項17〜26の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項28】
上記めっき液は、めっき液1リットルに対して、14g以上40g以下の銅成分を含むことを特徴とする請求項17〜27の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項29】
上記陽極電極は、含リン銅からなる溶解性陽極電極であることを特徴とする請求項17〜28の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項30】
上記被めっき基板が、半導体ウェハであることを特徴とする請求項17〜29の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項31】
さらに、上記めっき工程前に、
上記被めっき基板の被めっき面にシード層を形成するシード層形成工程と、
上記シード層形成工程にて形成されたシード層表面に、フォトレジストを塗布するフォトレジスト塗布工程と、
上記フォトレジストを露光し、現像することでパターン形状を形成するフォトレジストパターン形成工程とを含むことを特徴とする請求項17〜30の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項32】
請求項17〜31の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法により製造されたことを特徴とする半導体装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に陽極電極が設けられためっき処理槽を備え、上記めっき処理槽内にめっき液を流入し、被めっき基板の被めっき面に下方側からめっき液の噴流を当接させながら上記陽極電極と上記被めっき基板との間を通電することでめっきを行うめっき装置であって、
上記めっき処理槽は、第1の円筒カップと、該第1の円筒カップよりも外径が小さい第2の円筒カップとを備え、第1の円筒カップと第2の円筒カップとからなる2重構造であり、
上記第1の円筒カップには、上記陽極電極が配されており、その底部には、めっき液をめっき処理槽へ流入するためのめっき液流入口が設けられており、
第1の円筒カップと第2の円筒カップとの互いの側壁により形成された間隙により、上記陽極電極室へ流入するめっき液を上記めっき処理槽の外部に流出するためのめっき液流出口が設けられており、
上記第2の円筒カップの底部は、上記陽極電極と上記被めっき基板と隔離する隔壁からなり、
めっき処理槽は、隔壁と第1の円筒カップとに囲まれた陽極電極室と、隔壁と第1の円筒カップとに囲まれた被めっき基板室とに区分されているとともに、
さらに、上記被めっき基板の被めっき面へめっき液を噴射するためのめっき液噴射管を備え、上記めっき液噴射管が、上記隔壁を貫通するとともに、上記めっき液流入口から流入しためっき液の層流が、第1の円筒カップへ流入するめっき液の層流と、第2の円筒カップへ流入するめっき液の層流とに分離するように設けられていることを特徴とするめっき装置。
【請求項2】
上記陽極電極室に流入するめっき液が、上記被めっき基板室へ到達しないようになっていることを特徴とする請求項1に記載のめっき装置。
【請求項3】
上記めっき処理槽における、上記隔壁を含む上記陽極電極と上記被めっき基板とを隔離する部分の一部または全部が、めっき液中に浸漬した状態で、めっき液中のイオンを透過する透過部材からなることを特徴とする請求項1または2に記載のめっき装置。
【請求項4】
上記透過部材が、半透膜であることを特徴とする請求項3に記載のめっき装置。
【請求項5】
上記透過部材が、イオン交換膜を含むことを特徴とする請求項3または4に記載のめっき装置。
【請求項6】
上記隔壁の厚さが、50μm以上200μm以下であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項7】
上記隔壁が、炭化水素系カチオン交換膜を含むことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項8】
さらに、上記めっき処理槽へ供給するめっき液を貯留するめっき液供給源と、
上記めっき液供給源に貯留されためっき液を上記めっき処理槽へ供給するめっき液供給手段と、
上記めっき液供給手段より供給されためっき液をろ過するめっき液ろ過手段とを備え、
上記めっき液供給源に貯留されためっき液は、上記めっき液供給手段と上記めっき液ろ過手段とを介して、上記めっき処理槽へ供給され、
上記めっき処理槽に供給されためっき液は、再び上記めっき液供給源へ供給されることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項9】
上記めっき液は、銅成分を含み、かつ、導電性の液体であることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項10】
上記めっき液は、めっき液1リットルに対して、14g以上40g以下の銅成分を含むことを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項11】
上記陽極電極は、含リン銅からなる溶解性陽極電極であることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項12】
上記被めっき基板が、半導体ウェハであることを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項13】
めっき処理槽内にめっき液を流入し、被めっき基板の被めっき面に下方側からめっき液の噴流を当接させながら、上記めっき処理槽内に配設した陽極電極と上記被めっき基板との間を通電することでめっきを行うめっき方法であって、
上記めっき処理槽は、第1の円筒カップと、該第1の円筒カップよりも外径が小さい第2の円筒カップとを備え、第1の円筒カップと第2の円筒カップとからなる2重構造であり、
上記被めっき基板の被めっき面へ噴流するめっき液の層流と、上記陽極電極近傍に流入しためっき液の層流とを分離し、
第1の円筒カップと第2の円筒カップとの互いの側壁により形成された間隙を、めっき液流出口として、上記陽極電極室へ流入するめっき液を上記めっき処理槽の外部に流出させることを特徴とするめっき方法。
【請求項14】
めっき処理槽内にめっき液を流入し、被めっき基板の被めっき面に下方側からめっき液の噴流を当接させながら、上記めっき処理槽内に配設した陽極電極と上記被めっき基板との間を通電することでめっきを行うめっき工程を含む半導体装置の製造方法であって、
上記めっき処理槽は、第1の円筒カップと、該第1の円筒カップよりも外径が小さい第2の円筒カップとを備え、第1の円筒カップと第2の円筒カップとからなる2重構造であり、
上記めっき工程において、めっき処理槽内で陽極電極と被めっき面とを隔壁により隔離して配置し、
めっき液の噴流のうち、上記被めっき基板の被めっき面に対する噴流と、上記陽極電極近傍に流入しためっき液の噴流とを分離してめっきを行うとともに、
第1の円筒カップと第2の円筒カップとの互いの側壁により形成された間隙を、めっき液流出口として、上記陽極電極室へ流入するめっき液を上記めっき処理槽の外部に流出させることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項15】
上記めっき工程において、上記陽極電極近傍に流入するめっき液が、上記被めっき基板の被めっき面へ到達しないように、めっき液を流入させることを特徴とする請求項14に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
上記めっき処理槽における、上記隔壁を含む上記陽極電極と上記被めっき基板とを隔離する部分の一部または全部が、めっき液中に浸漬した状態で、めっき液中のイオンを透過する透過部材からなることを特徴とする請求項14または15の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
上記透過部材が、半透膜であることを特徴とする請求項16に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
上記透過部材が、イオン交換膜を含むことを特徴とする請求項16または17に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
上記隔壁の厚さが、50μm以上200μm以下であることを特徴とする請求項14〜18の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項20】
上記隔壁が、炭化水素系カチオン交換膜を含むことを特徴とする請求項14〜19の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項21】
上記めっき工程は、さらに、
めっき液供給源に貯留されためっき液を上記めっき処理槽へ供給するめっき液供給段階と、
めっき液供給工程にて供給されためっき液をろ過するめっき液ろ過段階と、
上記めっき処理槽に供給されためっき液を、再び上記めっき液供給源へ供給するめっき液循環段階とを含むことを特徴とする請求項14〜20の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項22】
上記めっき液は、銅成分を含み、かつ、導電性の液体であることを特徴とする請求項14〜21の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項23】
上記めっき液は、めっき液1リットルに対して、14g以上40g以下の銅成分を含むことを特徴とする請求項14〜22の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項24】
上記陽極電極は、含リン銅からなる溶解性陽極電極であることを特徴とする請求項14〜23の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項25】
上記被めっき基板が、半導体ウェハであることを特徴とする請求項14〜24の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項26】
さらに、上記めっき工程前に、
上記被めっき基板の被めっき面にシード層を形成するシード層形成工程と、
上記シード層形成工程にて形成されたシード層表面に、フォトレジストを塗布するフォトレジスト塗布工程と、
上記フォトレジストを露光し、現像することでパターン形状を形成するフォトレジストパターン形成工程とを含むことを特徴とする請求項14〜25の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項27】
請求項14〜26の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法により製造されたことを特徴とする半導体装置。
【請求項1】
内部に陽極電極が設けられためっき処理槽を備え、上記めっき処理槽内にめっき液を流入し、被めっき基板の被めっき面に下方側からめっき液の噴流を当接させながら上記陽極電極と上記被めっき基板との間を通電することでめっきを行うめっき装置であって、
めっき処理槽には、上記被めっき基板と上記陽極電極との間に、隔壁が設けられており、
上記陽極電極と上記被めっき基板とが上記隔壁により隔離され、上記めっき処理槽が被めっき基板室と陽極電極室とに区分されていることを特徴とするめっき装置。
【請求項2】
さらに、上記被めっき基板の被めっき面へめっき液を噴射するためのめっき液噴射管を備え、
上記めっき液噴射管が、上記隔壁を貫通するとともに、上記被めっき基板室と上記陽極電極室との両方にめっき液が流入するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載のめっき装置。
【請求項3】
上記めっき処理槽は、第1の円筒カップと第2の円筒カップとを備え、
上記第1の円筒カップには、上記陽極電極が配されており、その底部には、めっき液をめっき処理槽へ流入するためのめっき液流入口が設けられており、
上記第2の円筒カップの底部は、上記隔壁からなり、
上記めっき液噴射管が、上記隔壁を貫通するとともに、上記めっき液流入口から流入しためっき液の層流が、第1の円筒カップへ流入するめっき液の層流と、第2の円筒カップへ流入するめっき液の層流とに分離するように設けられていることを特徴とする請求項2に記載のめっき装置。
【請求項4】
上記陽極電極室に流入するめっき液が、上記被めっき基板室へ到達しないようになっていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項5】
さらに、上記陽極電極室へ流入するめっき液を、上記めっき処理槽の外部に流出するめっき液流出口が設けられていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項6】
上記めっき処理槽における、上記隔壁を含む上記陽極電極と上記被めっき基板とを隔離する部分の一部または全部が、めっき液中に浸漬した状態で、めっき液中のイオンを透過する透過部材からなることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項7】
上記透過部材が、半透膜であることを特徴とする請求項6に記載のめっき装置。
【請求項8】
上記透過部材が、イオン交換膜を含むことを特徴とする請求項6または7に記載のめっき装置。
【請求項9】
上記隔壁の厚さが、50μm以上200μm以下であることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項10】
上記隔壁が、炭化水素系カチオン交換膜を含むことを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項11】
さらに、上記めっき処理槽へ供給するめっき液を貯留するめっき液供給源と、
上記めっき液供給源に貯留されためっき液を上記めっき処理槽へ供給するめっき液供給手段と、
上記めっき液供給手段より供給されためっき液をろ過するめっき液ろ過手段とを備え、
上記めっき液供給源に貯留されためっき液は、上記めっき液供給手段と上記めっき液ろ過手段とを介して、上記めっき処理槽へ供給され、
上記めっき処理槽に供給されためっき液は、再び上記めっき液供給源へ供給されることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項12】
上記めっき液は、銅成分を含み、かつ、導電性の液体であることを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項13】
上記めっき液は、めっき液1リットルに対して、14g以上40g以下の銅成分を含むことを特徴とする請求項1〜12の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項14】
上記陽極電極は、含リン銅からなる溶解性陽極電極であることを特徴とする請求項1〜13の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項15】
上記被めっき基板が、半導体ウェハであることを特徴とする請求項1〜14の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項16】
めっき処理槽内にめっき液を流入し、被めっき基板の被めっき面に下方側からめっき液の噴流を当接させながら、上記めっき処理槽内に配設した陽極電極と上記被めっき基板との間を通電することでめっきを行うめっき方法であって、
上記被めっき基板の被めっき面へ噴流するめっき液の層流と、上記陽極電極近傍に流入しためっき液の層流とを分離してめっきを行うことを特徴とするめっき方法。
【請求項17】
めっき処理槽内にめっき液を流入し、被めっき基板の被めっき面に下方側からめっき液の噴流を当接させながら、上記めっき処理槽内に配設した陽極電極と上記被めっき基板との間を通電することでめっきを行うめっき工程を含む半導体装置の製造方法であって、
上記めっき工程において、めっき処理槽内で陽極電極と被めっき面とを隔壁により隔離して配置してめっきを行うことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項18】
上記めっき工程において、めっき液の噴流のうち、上記被めっき基板の被めっき面に対する噴流と、上記陽極電極近傍に流入しためっき液の噴流とを分離してめっきを行うことを特徴とする請求項17に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
上記めっき工程において、上記陽極電極近傍に流入するめっき液が、上記被めっき基板の被めっき面へ到達しないように、めっき液を流入させることを特徴とする請求項17または18に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項20】
上記めっき工程において、上記陽極電極近傍に流入するめっき液を、上記めっき処理槽の外部に流出させることを特徴とする請求項17〜19の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項21】
上記めっき処理槽における、上記隔壁を含む上記陽極電極と上記被めっき基板とを隔離する部分の一部または全部が、めっき液中に浸漬した状態で、めっき液中のイオンを透過する透過部材からなることを特徴とする請求項17〜20の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項22】
上記透過部材が、半透膜であることを特徴とする請求項21に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項23】
上記透過部材が、イオン交換膜を含むことを特徴とする請求項21または22に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項24】
上記隔壁の厚さが、50μm以上200μm以下であることを特徴とする請求項17〜23の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項25】
上記隔壁が、炭化水素系カチオン交換膜を含むことを特徴とする請求項17〜24の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項26】
上記めっき工程は、さらに、
めっき液供給源に貯留されためっき液を上記めっき処理槽へ供給するめっき液供給段階と、
めっき液供給工程にて供給されためっき液をろ過するめっき液ろ過段階と、
上記めっき処理槽に供給されためっき液を、再び上記めっき液供給源へ供給するめっき液循環段階とを含むことを特徴とする請求項17〜25の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項27】
上記めっき液は、銅成分を含み、かつ、導電性の液体であることを特徴とする請求項17〜26の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項28】
上記めっき液は、めっき液1リットルに対して、14g以上40g以下の銅成分を含むことを特徴とする請求項17〜27の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項29】
上記陽極電極は、含リン銅からなる溶解性陽極電極であることを特徴とする請求項17〜28の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項30】
上記被めっき基板が、半導体ウェハであることを特徴とする請求項17〜29の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項31】
さらに、上記めっき工程前に、
上記被めっき基板の被めっき面にシード層を形成するシード層形成工程と、
上記シード層形成工程にて形成されたシード層表面に、フォトレジストを塗布するフォトレジスト塗布工程と、
上記フォトレジストを露光し、現像することでパターン形状を形成するフォトレジストパターン形成工程とを含むことを特徴とする請求項17〜30の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項32】
請求項17〜31の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法により製造されたことを特徴とする半導体装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に陽極電極が設けられためっき処理槽を備え、上記めっき処理槽内にめっき液を流入し、被めっき基板の被めっき面に下方側からめっき液の噴流を当接させながら上記陽極電極と上記被めっき基板との間を通電することでめっきを行うめっき装置であって、
上記めっき処理槽は、第1の円筒カップと、該第1の円筒カップよりも外径が小さい第2の円筒カップとを備え、第1の円筒カップと第2の円筒カップとからなる2重構造であり、
上記第1の円筒カップには、上記陽極電極が配されており、その底部には、めっき液をめっき処理槽へ流入するためのめっき液流入口が設けられており、
第1の円筒カップと第2の円筒カップとの互いの側壁により形成された間隙により、上記陽極電極室へ流入するめっき液を上記めっき処理槽の外部に流出するためのめっき液流出口が設けられており、
上記第2の円筒カップの底部は、上記陽極電極と上記被めっき基板と隔離する隔壁からなり、
めっき処理槽は、隔壁と第1の円筒カップとに囲まれた陽極電極室と、隔壁と第1の円筒カップとに囲まれた被めっき基板室とに区分されているとともに、
さらに、上記被めっき基板の被めっき面へめっき液を噴射するためのめっき液噴射管を備え、上記めっき液噴射管が、上記隔壁を貫通するとともに、上記めっき液流入口から流入しためっき液の層流が、第1の円筒カップへ流入するめっき液の層流と、第2の円筒カップへ流入するめっき液の層流とに分離するように設けられていることを特徴とするめっき装置。
【請求項2】
上記陽極電極室に流入するめっき液が、上記被めっき基板室へ到達しないようになっていることを特徴とする請求項1に記載のめっき装置。
【請求項3】
上記めっき処理槽における、上記隔壁を含む上記陽極電極と上記被めっき基板とを隔離する部分の一部または全部が、めっき液中に浸漬した状態で、めっき液中のイオンを透過する透過部材からなることを特徴とする請求項1または2に記載のめっき装置。
【請求項4】
上記透過部材が、半透膜であることを特徴とする請求項3に記載のめっき装置。
【請求項5】
上記透過部材が、イオン交換膜を含むことを特徴とする請求項3または4に記載のめっき装置。
【請求項6】
上記隔壁の厚さが、50μm以上200μm以下であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項7】
上記隔壁が、炭化水素系カチオン交換膜を含むことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項8】
さらに、上記めっき処理槽へ供給するめっき液を貯留するめっき液供給源と、
上記めっき液供給源に貯留されためっき液を上記めっき処理槽へ供給するめっき液供給手段と、
上記めっき液供給手段より供給されためっき液をろ過するめっき液ろ過手段とを備え、
上記めっき液供給源に貯留されためっき液は、上記めっき液供給手段と上記めっき液ろ過手段とを介して、上記めっき処理槽へ供給され、
上記めっき処理槽に供給されためっき液は、再び上記めっき液供給源へ供給されることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項9】
上記めっき液は、銅成分を含み、かつ、導電性の液体であることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項10】
上記めっき液は、めっき液1リットルに対して、14g以上40g以下の銅成分を含むことを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項11】
上記陽極電極は、含リン銅からなる溶解性陽極電極であることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項12】
上記被めっき基板が、半導体ウェハであることを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載のめっき装置。
【請求項13】
めっき処理槽内にめっき液を流入し、被めっき基板の被めっき面に下方側からめっき液の噴流を当接させながら、上記めっき処理槽内に配設した陽極電極と上記被めっき基板との間を通電することでめっきを行うめっき方法であって、
上記めっき処理槽は、第1の円筒カップと、該第1の円筒カップよりも外径が小さい第2の円筒カップとを備え、第1の円筒カップと第2の円筒カップとからなる2重構造であり、
上記被めっき基板の被めっき面へ噴流するめっき液の層流と、上記陽極電極近傍に流入しためっき液の層流とを分離し、
第1の円筒カップと第2の円筒カップとの互いの側壁により形成された間隙を、めっき液流出口として、上記陽極電極室へ流入するめっき液を上記めっき処理槽の外部に流出させることを特徴とするめっき方法。
【請求項14】
めっき処理槽内にめっき液を流入し、被めっき基板の被めっき面に下方側からめっき液の噴流を当接させながら、上記めっき処理槽内に配設した陽極電極と上記被めっき基板との間を通電することでめっきを行うめっき工程を含む半導体装置の製造方法であって、
上記めっき処理槽は、第1の円筒カップと、該第1の円筒カップよりも外径が小さい第2の円筒カップとを備え、第1の円筒カップと第2の円筒カップとからなる2重構造であり、
上記めっき工程において、めっき処理槽内で陽極電極と被めっき面とを隔壁により隔離して配置し、
めっき液の噴流のうち、上記被めっき基板の被めっき面に対する噴流と、上記陽極電極近傍に流入しためっき液の噴流とを分離してめっきを行うとともに、
第1の円筒カップと第2の円筒カップとの互いの側壁により形成された間隙を、めっき液流出口として、上記陽極電極室へ流入するめっき液を上記めっき処理槽の外部に流出させることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項15】
上記めっき工程において、上記陽極電極近傍に流入するめっき液が、上記被めっき基板の被めっき面へ到達しないように、めっき液を流入させることを特徴とする請求項14に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
上記めっき処理槽における、上記隔壁を含む上記陽極電極と上記被めっき基板とを隔離する部分の一部または全部が、めっき液中に浸漬した状態で、めっき液中のイオンを透過する透過部材からなることを特徴とする請求項14または15の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
上記透過部材が、半透膜であることを特徴とする請求項16に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
上記透過部材が、イオン交換膜を含むことを特徴とする請求項16または17に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
上記隔壁の厚さが、50μm以上200μm以下であることを特徴とする請求項14〜18の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項20】
上記隔壁が、炭化水素系カチオン交換膜を含むことを特徴とする請求項14〜19の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項21】
上記めっき工程は、さらに、
めっき液供給源に貯留されためっき液を上記めっき処理槽へ供給するめっき液供給段階と、
めっき液供給工程にて供給されためっき液をろ過するめっき液ろ過段階と、
上記めっき処理槽に供給されためっき液を、再び上記めっき液供給源へ供給するめっき液循環段階とを含むことを特徴とする請求項14〜20の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項22】
上記めっき液は、銅成分を含み、かつ、導電性の液体であることを特徴とする請求項14〜21の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項23】
上記めっき液は、めっき液1リットルに対して、14g以上40g以下の銅成分を含むことを特徴とする請求項14〜22の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項24】
上記陽極電極は、含リン銅からなる溶解性陽極電極であることを特徴とする請求項14〜23の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項25】
上記被めっき基板が、半導体ウェハであることを特徴とする請求項14〜24の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項26】
さらに、上記めっき工程前に、
上記被めっき基板の被めっき面にシード層を形成するシード層形成工程と、
上記シード層形成工程にて形成されたシード層表面に、フォトレジストを塗布するフォトレジスト塗布工程と、
上記フォトレジストを露光し、現像することでパターン形状を形成するフォトレジストパターン形成工程とを含むことを特徴とする請求項14〜25の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項27】
請求項14〜26の何れか1項に記載の半導体装置の製造方法により製造されたことを特徴とする半導体装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
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【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−193822(P2006−193822A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−47938(P2005−47938)
【出願日】平成17年2月23日(2005.2.23)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月23日(2005.2.23)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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