インク吐出パターン、線パターンおよび線パターン形成方法
【課題】 互いに接続されたインク領域においてインク領域間のインクの流れ出しを防止したインク吐出パターンを提供する。
【解決手段】 基板上に形成されるインクを吐出すべき第であって、互いに接続して形成される第1のパターン形成部10であって、それぞれライン状の太線部11と細線部12とを有する第1のパターン形成部10において、太線部11と細線部12との間に、太線部11との接続部における幅が太線部11よりも狭いと共に、細線部12との接続部における幅が細線部12よりも狭い、液滴流動阻止部13を設けている。
【解決手段】 基板上に形成されるインクを吐出すべき第であって、互いに接続して形成される第1のパターン形成部10であって、それぞれライン状の太線部11と細線部12とを有する第1のパターン形成部10において、太線部11と細線部12との間に、太線部11との接続部における幅が太線部11よりも狭いと共に、細線部12との接続部における幅が細線部12よりも狭い、液滴流動阻止部13を設けている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット装置を用いて線パターンを形成するためのインク吐出パターン、線パターン、および線パターン形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor)のゲート配線およびソース配線の形成は、スパッタ配線方式が用いられている。スパッタ配線方式について、図17(a)〜(d)を用いて説明する。
【0003】
図17(a)に示すように、まず、基板90上にスパッタリングによって導電膜91を形成する。次に、図17(b)に示すように、この導電膜91上の配線パターン(線パターン)を形成する箇所にフォトレジスト92を塗布する。そして、図17(c)に示すように、このフォトレジスト92を塗布していない箇所の導電膜91をエッチングする。最後に、図17(d)に示すように、フォトレジスト92を剥離して、基板90上に、導電膜91による配線パターンを形成することができる。
【0004】
このスパッタ配線方式は、スパッタリング、エッチングが必要であるため、工程が複雑であり、また、材料使用効率も低く、製造コストが高い、という問題があった。
【0005】
これに対して、近年、インクジェット方式という、インクジェット装置のノズルから金属インクを吐出し、直接配線パターンを描画する方法が採られている。このインクジェット方式によれば、工程が簡単で、材料使用効率も高く、かつ、製造コストを下げることができる。このインクジェット方式を用いて配線パターンの形成を行う場合には、インクを乱れなく基板上に塗布し、バルジ(インク集中部)の発生を防止することが重要である。このバルジは、特に、配線パターンを形成するラインとラインとで形成される角において発生し易い。
【0006】
特許文献1には、このラインとラインとの角に発生するバルジを防止するための配線パターンについて記載されている。この配線パターンは、図18に示すように、ライン100、ライン101、およびライン102を備えている。特に、ライン101は、ライン100と角を形成する位置に突出部101aを有している。また、ライン102は、ライン101と角を形成する位置に突出部102aを有している。
【0007】
このライン100・101・102の順にインクを滴下するとき、ライン100にインクを滴下した後に、ライン101にインクを滴下する際にライン101上ではない突出部101aからインクを滴下する。これによって角部103にバルジを発生することを防止することができる。また、同様にして、ライン101にインクを滴下した後に、ライン102にインクを滴下する際にライン102上ではない突出部102aからインクを滴下する。これによって、角部104にバルジを発生することを防止することができる。
【0008】
ところが、特許文献1では、インクの基板に対する接触角が30°〜60°となる程度に撥水性を有する基板上に直接インクを滴下している。そのため、滴下されたインクが所望のラインからそれてインクが流れ出す虞がある。加えて、異なる線幅の配線パターンを形成する事が困難であり、また、インクの着弾位置のズレに対するマージンが少ない。これに対して、予めインク吐出領域(インク吐出パターン)を基板側に設けておき、吐出領域を親水部、その他を撥水部とした親撥水コントラストを利用し、親水部にインクを吐出することによって、インクの配線形成領域以外への流れ出しを防ぎ、且つ、所望の配線幅への制御、及び、インクの着弾位置のズレに対するマージン向上を図り、配線パターンを形成する、という親撥水膜方式がある。その他、厚膜バンク方式、および薄膜バンク方式、という方式が知られている。なお、これらの方式の詳細な説明については、〔発明を実施するための最良の形態〕の欄で説明する。
【特許文献1】特開2003−142802(平成15年5月16日 公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、これらの方式では、インク吐出領域を構成するライン状のインク領域同士の連結部分において、一方のインク領域から他方のインク領域へインクが流れ出す、という問題がある。
【0010】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、基板上に形成され、互いに接続されたライン状のインク領域において、一方のインク領域から他方のインク領域へのインクの流れ出しを防止したインク吐出パターン、線パターン、および線パターン形成方法を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のインク吐出パターンは、上記課題を解決するために、基板上に形成されるインクを吐出すべきインク吐出パターンであって、互いに接続して形成される、それぞれライン状の第1のインク領域と第2のインク領域とを有するインク吐出パターンにおいて、
第1のインク領域と第2のインク領域との間に、第1のインク領域との接続部における幅が第1のインク領域よりも狭いと共に、第2のインク領域との接続部における幅が第2のインク領域よりも狭い、くびれ部を設けたことを特徴としている。
【0012】
従来、インク吐出パターンでは、インク領域間でインクの流れ出すという問題があった。特に、インクは、幅の狭い領域から幅の広い領域へと流れるという特性を有しており、全体として、膜厚のバラツキが大きくなり、バルジになりやすいという問題があった。これに対して、上記構成によれば、第1のインク領域と第2のインク領域との間に、第1のインク領域との接続部における幅が第1のインク領域よりも狭いと共に、第2のインク領域との接続部における幅が第2のインク領域よりも狭い、くびれ部を設けている。
【0013】
くびれ部は、第1の領域および第2の領域の接続部においていずれの領域よりも幅が狭くなっている。従って、第1のインク領域からくびれ部へのインクの流れ出しを防止できると共に、第2のインク領域からくびれ部へのインクの流れ出しを防止することができる。それゆえ、第1のインク領域および第2のインク領域間におけるインクの流れ出しを防止することができる。
【0014】
従って、第1のライン領域および第2のライン領域の膜厚のバラツキを防止することができる。また、これに伴い、バルジの発生も抑えることができる。さらに、インクがインク領域間で相互に流れ出さないため、インク領域間でインクが互いに交じり合うことがない。従って、インク領域毎に異なる材料からなるインクを用いることができる。さらに、インク領域間でインクが互いに交じり合うことがないため、インクの膜厚をインク領域毎に独立に制御することができる。
【0015】
また、本発明のインク吐出パターンでは、上記第2のインク領域は、上記第1のインク領域よりも幅が狭く、かつ、上記くびれ部の第2のインク領域との接続部における幅が、上記第2のインク領域の幅の1/2以下であってもよい。
【0016】
上記構成によれば、くびれ部における第1のインク領域との接続部の幅が、第1のインク領域の幅の1/2以下となっていると共に、くびれ部における第2のインク領域との接続部の幅が、第2のインク領域の幅の1/2以下となっている。
【0017】
このように、幅の異なる領域同士では、幅の狭い方の領域の幅を幅の広い方の領域の幅の1/2以下にすれば、幅の広い方の領域から幅の狭い方の領域へのインクの流れ出しをより一層防止することができる。それゆえ、第1のライン領域および第2のライン領域の膜厚のバラツキをより一層防止することができる。なお、この1/2という数値は、本発明者らが経験的に得た経験値である。
【0018】
また、本発明の線パターンでは、上記のインク吐出パターンにインクが吐出されることによって作製されることが好ましい。上記構成によれば、インクの膜厚のバラツキの少ない線パターンを形成することができる。
【0019】
また、本発明の線パターンでは、上記第1のインク領域と上記第2のインク領域とに吐出されたインクの材料は、互いに同一、若しくは、異なることが好ましい。
【0020】
また、本発明の線パターンでは、上記第1のインク領域と上記第2のインク領域とに吐出されるインクの量がそれぞれ独立に制御されることによって、領域毎の膜厚がそれぞれ独立に制御されていることが好ましい。
【0021】
本発明の線パターン形成方法は、上記課題を解決するために、それぞれライン状の第1のインク領域と第2のインク領域とが互いに接続して基板上に形成されている、インク吐出パターンにインクを吐出して線パターンを形成する線パターン形成方法において、
第1のインク領域と第2のインク領域との間に、第1のインク領域との接続部における幅が第1のインク領域よりも狭いと共に、第2のインク領域との接続部における幅が第2のインク領域よりも狭い、くびれ部が設けられ、上記第1のインク領域および第2のインク領域にインクを吐出して、吐出された該インクを乾燥させた後に、上記くびれ部にインクを吐出することを特徴としている。
【0022】
ここで乾燥させた後とは、インクの流れ出しまたは流れ込みが起こらない程度にインクが乾いた後をいう。
【0023】
上記構成によれば、第1のインク領域と第2のインク領域との間に、第1のインク領域との接続部における幅が第1のインク領域よりも狭いと共に、第2のインク領域との接続部における幅が第2のインク領域よりも狭い、くびれ部を設けている。
【0024】
くびれ部は、第1の領域および第2の領域の接続部においていずれの領域よりも幅が狭くなっている。従って、第1のインク領域からくびれ部へのインクの流れ出しを防止できると共に、第2のインク領域からくびれ部へのインクの流れ出しを防止することができる。それゆえ、第1のインク領域および第2のインク領域間におけるインクの流れ出しを防止することができる。
【0025】
さらに、第1のインク領域および第2のインク領域にインクと吐出して、このインクを乾燥させた後に、くびれ部にインクを吐出している。従って、くびれ部から第1のインク領域へのインクの流れ込みを防止することができると共に、くびれ部から第2のインク領域へのインクの流れ込みを防止することができる。
【0026】
また、本発明の線パターン形成方法では、上記くびれ部の第1のインク領域との接続部における幅が、上記の第1のインク領域の幅の1/2以下であると共に、上記くびれ部の第2のインク領域との接続部における幅が、上記第2のインク領域の幅の1/2以下である。上記構成によれば、第1のインク領域からくびれ部へのインクの流れ出し、第2のインク領域からくびれ部へのインクの流れ出しをより一層防止することができる。
【0027】
また、本発明の線パターン形成方法では、上記第1のインク領域と上記第2のインク領域とで、互いに同一材料のインク、若しくは、互いに異なる材料のインクを吐出することが好ましい。
【0028】
また、本発明の線パターン形成方法では、上記第1のインク領域と上記第2のインク領域とに吐出するインクの量をそれぞれ独立に制御することによって、領域毎に膜厚をそれぞれ独立に制御することが好ましい。
【0029】
また、本発明の線パターン形成方法は、上記課題を解決するために、それぞれライン状の第3のインク領域と第4のインク領域とが互いに接続して基板上に形成されている、インク吐出パターンにインクを吐出して線パターンを形成する線パターン形成方法において、上記第4のインク領域の幅が、上記第3のインク領域の幅の1/2以下であって、上記第3のインク領域にインクを吐出して該インクを乾燥させた後に、上記第4のインク領域にインクを吐出することを特徴としている。
【0030】
ここで乾燥させた後とは、インクの流れ出しまたは流れ込みが起こらない程度にインクが乾いた後をいう。
【0031】
上記構成によれば、第3のインク領域と第4のインク領域との間に新たな構成を設けなくてもよい。さらに、第3のインク領域にインクを滴下、乾燥した後に第4のインク領域にインクを吐出している。従って、第4のインク領域から第3のインク領域へのインクの流れ出しを防止することができる。また、第4のインク領域の幅が、上記第3のインク領域の幅の1/2以下であるので、第3のインク領域から第4のインク領域へのインクの流れ出しを防止することができる。
【0032】
また、本発明の線パターン形成方法では、上記第3のインク領域と上記第4のインク領域とで、互いに同一材料のインク、若しくは、互いに異なる材料のインクを吐出することが好ましい。
【0033】
また、本発明の線パターン形成方法では、上記第3のインク領域と上記第4のインク領域とに吐出するインクの量をそれぞれ独立に制御することによって、領域毎に膜厚をそれぞれ独立に制御することが好ましい。
【発明の効果】
【0034】
本発明のインク吐出パターンは、以上のように、第1のインク領域と第2のインク領域との間に、第1のインク領域との接続部における幅が第1のインク領域よりも狭いと共に、第2のインク領域との接続部における幅が第2のインク領域よりも狭い、くびれ部を設けている。また、本発明の線パターン形成方法は、以上のように、それぞれライン状の第1のインク領域と第2のインク領域とが互いに接続して基板上に形成されている、インク吐出パターンにインクを吐出して線パターンを形成する線パターン形成方法において、
第1のインク領域と第2のインク領域との間に、第1のインク領域との接続部における幅が第1のインク領域よりも狭いと共に、第2のインク領域との接続部における幅が第2のインク領域よりも狭い、くびれ部が設けられ、上記第1のインク領域および第2のインク領域にインクを吐出して、吐出された該インクを乾燥させた後に、上記くびれ部にインクを吐出している。
【0035】
また、本発明の線パターン形成方法は、それぞれライン状の第3のインク領域と第4のインク領域とが互いに接続して基板上に形成されている、インク吐出パターンにインクを吐出して線パターンを形成する線パターン形成方法において、上記第4のインク領域の幅が、上記第3のインク領域の幅の1/2以下であって、上記第3のインク領域にインクを吐出して該インクを乾燥させた後に、上記第4のインク領域にインクを吐出している。
【0036】
従って、互いに接続されたインク領域においてインク領域間のインクの流れ出しを防止することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図1ないし図15に基づいて説明すると、以下の通りである。
【0038】
薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor)は、基板の洗浄、ゲート配線の形成、半導体層/絶縁層の形成、ソース配線の形成、層間絶縁膜の形成、および画素電極の形成の各プロセスを行うことによって、製造することができる。本実施の形態では、上記のゲート配線、ソース配線の形成、及び、画素電極形成のプロセスを、スパッタ配線方式ではなく、インクジェット装置を用いた配線形成方式(IJ(Ink Jet)方式)によって行う。
【0039】
IJ方式は、スパッタ配線方式を用いることに比べて、次のようなメリットを有している。IJ方式は、スパッタ配線方式とは異なり、スパッタリング、エッチングが、不要であるため、投資を削減することができる。また、インク(配線材料)を乾燥および焼成することによって、配線を形成することができるため、配線材料の利用効率を上げることができる。さらに、バンク(後述)を高くすることによって、配線の厚膜化が可能であるため、低抵抗配線を形成することができる。
【0040】
このIJ方式には、厚膜バンク配線方式、薄膜バンク配線方式、および親撥水膜方式の3つの方式がある。図2(a−1)〜(a−5)は、厚膜バンク配線方式のプロセスについて示す、断面図である。厚膜バンク配線方式は、まず、図2(a−1)に示す基板1上に、図2(a−2)に示すように、感光性アクリル樹脂2を塗布して、バンク(互いに一定の間隔をもって隔てられた2つの壁;隔壁)3を形成する。次に、図2(a−3)に示すように、このバンク3によってライン状に形成された線部(ライン部)4に金属ナノ粒子含有インク(インク)5を滴下(吐出)する。
【0041】
滴下されたインク5は、ライン部4に沿って伸びる(流れる)。その後、図2(a−4)に示すように、このインク5を乾燥して、インクの溶媒を除去した後、凝集を防ぐ有機物を除去するために焼成することによって、金属粒子が残り線パターン6が形成される。最後に、図2(a−5)に示すように、感光性アクリル樹脂2を剥離する。
【0042】
感光性アクリル樹脂、SOG(Spin On Glass)など、透過性の良い透明なバンク材料を用いる場合には、工程数を削減するため、または、製造コストを低減するために、剥離を行わなくてもよい。なお、ここではバンク生成材料を感光性アクリル樹脂2としたが、これに限らず、レジスト、またはSOGでもよい。
【0043】
図2(b−1)〜(b−5)は、薄膜バンク配線方式のプロセスについて示す、断面図である。薄膜バンク配線方式では、厚膜バンク配線方式よりも、例えば感光性アクリル樹脂2を薄く塗布することによって、厚膜バンク配線方式よりも高さの低いバルクを形成することによって、線パターンが形成される。線パターンの形成方法は、上記の厚膜バンク配線方式と同一であるので、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0044】
この薄膜バンク配線方式は、厚膜バンク配線方式よりも、バンク3の高さが低いため、インク5とバンク3との接触が少なく、インク5の流れを良くすることができる。また、インク5による段差被覆性(ステップカバレッジ)を良くすることができ、さらに、下地である感光性アクリル樹脂2が薄膜であるため、容易に感光性アクリル樹脂2を剥離することができる。
【0045】
図2(c−1)〜(c−4)は、親撥水膜方式のプロセスについて示す、断面図である。親撥水膜方式は、図2(c−1)に示すように、まず、基板1上に、撥水膜7を成膜する。そして、マスク露光などによって、撥水膜7を、親水部(ライン部)8と、撥水部9とに分ける。このようにして、基板1上に、図2(c−2)に示すように、段差を伴わない親水部8および撥水部9を形成することができる。そして、この親水部8および撥水部9の上に、インク5を滴下すると、このインク5は、親水部8に留まり易いため、図2(c−3)に示すように、親水部8に沿ってインク5が流れる。最後に、図2(c−4)に示すように、乾燥して、インクの溶媒を除去した後、凝集を防ぐ有機物を除去するために焼成することによって、線パターン6を形成することができる。
【0046】
このように、親撥水膜方式は、バンク3を形成することなく、位置精度を保って線パターン6を形成することが可能であり、かつ、感光性アクリル樹脂2を剥離する必要もない。このため、工程の短縮を図ることができる。また、バンクが無いため、側壁との接触が無いため、インク5の流れが良い。さらに、配線の形状を良くすることができる。
【0047】
以下に説明する、線パターンの形成方法では、上記のいずれのIJ方式を用いてもよい。なお、以下では、説明の便宜上、厚膜バンク配線方式または薄膜バンク配線方式を用いた場合について説明する。
【0048】
図1は、互いに幅が異なる太線と細線とが直線的に、すなわち、互いのバンクの壁が延びる方向(以下、「バンクの壁が延びる方向」を単に、「バンクの方向」と称する)が等しくなるように、配された、第1のパターン形成部を示す、平面図である。
【0049】
この第1のパターン形成部(インク吐出パターン)10は、互いに幅の異なる太線部(第1のインク領域;第2のインク領域;幅の広いインク領域)11および細線部(第2のインク領域;第1のインク領域;幅の狭いインク領域)12と、これら太線部11と細線部12との間に位置する、くびれ配線としての液滴流動阻止部(くびれ部)13と、から成っている。液滴流動阻止部13の一端は、太線部11の端部に接続されている一方、他端は、細線部12の端部に接続されている。これら太線部11、細線部12、および液滴流動阻止部13の領域は、それぞれ、例えばレジストから成るバンクによって規定されている。つまり、太線部11、細線部12、および液滴流動阻止部13は、バンクに沿って形成された溝である。
【0050】
太線部11および細線部12には、この太線部11および細線部12に滴下されたインクが乾燥および焼成されて、線パターンが形成される。液滴流動阻止部13は、細線部12から太線部11へ、インクが流れ出すのを防止する役割を有している。
【0051】
特に、液滴流動阻止部13の幅w1は、細線部12の幅w2の1/2以下に設定されている。ここで、液滴流動阻止部13の幅w1とは、液滴流動阻止部13を形成するバンクの壁間の距離いう。また、細線部12の幅w2とは、細線部12を形成するバンクの壁間の距離をいう。より詳細には、液滴流動阻止部13の幅w1は、細線部12との接続部における幅である。以下に液滴流動阻止部13’の幅w1’、液滴流動阻止部13’’の幅w1’’についての記載があるが、この幅w1’・w1’’についても同様である。
【0052】
次に、第1のパターン形成部10への線パターン形成の手順について、図3(a−1)〜(a−5)および(b−1)〜(b−5)を用いて説明する。図3(a−1)〜(a−5)は、第1のパターン形成部10へ線パターン形成を示す、平面図である一方、図(b−1)〜(b−5)は、同じく、図3(a−1)〜図3(a−5)のA−A’断面を示す、断面図である。なお、これらの図において、乾燥前のインク(インク)と、乾燥後のインク(乾燥インク)とは、互いに異なるハッチングを付している。また、説明の便宜上、平面図である図3(a−2)〜(a−5)にもハッチングを付している。
【0053】
図3(a−1)および図3(b−1)は、インク滴下前の太線部11、細線部12、および液滴流動阻止部13を有する第1のパターン形成部10を示している。まず、図3(a−2)および図3(b−2)に示すように、太線部11および細線部12にインク20を滴下する。
【0054】
次に、図3(a−3)および図3(b−3)に示すように、このインク20を乾燥させて、乾燥インク21とする。この乾燥は、大気中、N2雰囲気中、またはN2/O2の混合比を変えた雰囲気中において、インクの溶媒の沸点以上の温度でベークすることによって行う。なお、インクの乾燥の完了とは、インクの溶媒が抜けたときを指し、例えば、インクを手で触れて、手にインクが付着するか否かで判断することができる。
【0055】
その後、図3(a−4)および図3(b−4)に示すように、液滴流動阻止部13へ、インク20を滴下する。最後に、図3(a−5)および図3(b−5)に示すように、この液滴流動阻止部13のインク20を乾燥させて乾燥インク21とする。乾燥は、太線部11および細線部12のインクの乾燥と同一の方法にて行う。最後に、焼成することによって、太線部11、細線部12および液滴流動阻止部13が物理的に繋がった線パターンを形成することができる。
【0056】
上記のような構成・方法にてインクを吐出することによって、以下のような作用を奏する。液滴流動阻止部13の幅w1は、細線部12の幅w2の1/2以下となるように、設定されている。なお、液滴流動阻止部13の幅w1は、太線部11の幅の1/2以下であることは、言うまでもない。
【0057】
このため、太線部11および細線部12に滴下したインクは、太線部11または細線部12から液滴流動阻止部13へ流れ込むことはない。なお、この1/2という数値は、本発明者らが経験的に得た経験値である。
【0058】
具体的には、図1において、A方向(細線部12から太線部11へ流れる方向)へ流れようとするインクは、液滴流動阻止部13へは流れ込まず、細線部12における液滴流動阻止部13との接続部付近でB方向(細線部12のバンクと直交する方向)へ流れの向きを変える。
【0059】
また、互いに異なる幅を有する領域では、幅が狭い方の領域から幅が広い方の領域へインクが流れ込む、というインク特性がある。しかしながら、液滴流動阻止部13へインクを滴下するときには、図3(a−4)および図3(b−4)に示すように、太線部11および細線部12のインク20が、すでに乾燥して乾燥インク21となっているため、液滴流動阻止部13から太線部11または細線部12へインク20が流れ込むことがない。なお、液滴流動阻止部13にインクを滴下させる際に、必ずしも太線部11および細線部12のインクの乾燥が完了している必要はない。
【0060】
上記のような、太線部11、細線部12、および液滴流動阻止部13のいずれの領域間においても、互いにインク20の流れ出しが起こらない、という作用から、以下のような効果を奏する。
【0061】
第1パターン形成部10に形成された線パターン全体において、膜厚のばらつきが生じることがない。より詳細には、細線部12から太線部11へインクが流れ込み、太線部11の膜厚が厚くなることを防止することができる。なお、図3(b−5)では、多少の膜厚のばらつきが生じているが、ここでは、隣り合う領域が物理的に繋がっている、という点を強調していることを示す一例であり、実際には、インクの滴下量を調整することによって、全ての領域を平坦にすることも可能である。
【0062】
第1のパターン形成部10のいずれの領域にもバルジとよばれるインク集中部が生じることがない。このため、第1のパターン形成部10のいずれの領域でも、断線および短絡が起こらない。ここで断線とは、バルジによってインク20が吸い寄せられた結果、インク20の線が切れてしまう状態をいう。一方、短絡とは、バルジが大きくなりすぎて、隣りの線と接触することをいう。
【0063】
また、隣り合う領域間でインクが交じり合うことがないため、太線部11と、細線部12とのそれぞれに異なる材料のインク20を用いて、異なる材料の線パターンを形成することが可能である。また、隣り合う領域間で互いにインク20が流れ出すことがないため、太線部11と細線部12とに滴下するインク20の量を適宜変更することで、図示しない膜厚制御装置を用いて太線部11と細線部12とのインク20の膜厚を独立に制御することができる。
【0064】
なお、従来のパターン形成部は、図4に示すように、太線部61と細線部62とが、直線的が配置関係にあり、かつ、互いに直接接続されて構成されている。つまり、従来のパターン形成部には、上記の第1のパターン形成部10のような、液滴流動阻止部13が設けられていない。さらに、インクの流れ出しを防止する手段については何ら開示されていない。
【0065】
このため、細線部62からC方向(細線部62から太線部61への方向)へインクが流れ出し、インクが太線部61内へと広がる。このため、太線部61のインクの膜厚が厚くなり、太線部61および細線部62、トータルとして、膜厚のバラツキが大きくなる。また、これに伴い、図4に示すように、太線部61と細線部62との接続部付近の領域63にインク集中部(バルジ)が発生していた。
【0066】
ここで、異なる材料の線パターンを形成することが可能である点および各領域部でインクの膜厚を独立に制御できる点について図5(a)(b)を用いて説明する。
【0067】
図5(a)は、上記第1のパターン形成部10の太線部11と細線部12とで異なる材料を用い、かつ、異なる膜厚でインクを吐出する場合を示す、平面図である一方、図5(b)は、図5(a)のB−B’断面を示す、断面図である。
【0068】
第1のパターン形成部10には、上記したように、液滴流動阻止部13を設けているため、細線部12から液滴流動阻止部13および太線部11へのインクの流れ出しがない。このため、太線部11のインクと細線部12のインクとが混ざり合うことがない。従って、図5(a)に示すように、太線部11には、Ag(材料A)を材料としたインクを滴下する一方、細線部12にはITO(材料B)を材料としたインクを滴下することができる。これらのインクを乾燥および焼成し、最後に、液滴流動阻止部に、Ag(材料A)、ITO(材料B)、または新たな材料(材料C)を滴下し、乾燥する事で異なる材料からなる線パターンを混じり合う事なく形成することが可能である。
【0069】
さらに、細線部12から液滴流動阻止部13および太線部11へのインクの流れ出しがないため、図5(b)に示すように、膜厚を太線部11と、細線部12とで、図示しない膜厚制御装置によって独立に制御することができる。太線部11(Ag(材料A))と細線部12(ITO(材料B))とのインクを乾燥後、最後に、液滴流動阻止部に、材料A、材料B、または新たな材料(材料C)を目標とする膜厚となる様、滴下し、乾燥する。なお、同図中、説明の便宜上、バンクの上面と下面とを破線にて示している。なお、図5(a)(b)では、材料の違いを分かり易く示すため、太線部11と細線部12とで異なるハッチングを付している。
【0070】
また、液滴流動阻止部13についても、材料の違いを分かり易く示すため、太線部11、および細線部12とは異なるハッチングを付している。
【0071】
また、上記では、互いに異なる幅を有する太線と細線とが互いに直線的に配された場合について説明したが、これに限定されず、太線と細線とが互いにT字、斜め、または十字に接続された場合であってもよい。
【0072】
図6は、互いに幅が異なる太線と、細線とがT字を形成するように、すなわち、太線と細線とののバンクの方向が直交するように配された、第2のパターン形成部を示す、平面図である。
【0073】
この第2のパターン形成部(インク吐出パターン)16では、同図に示すように、液滴流動阻止部13の一端が、細線部12の端部に接続されている一方、液滴流動阻止部13の他端が、液滴流動阻止部13と太線部11とがT字を成すように、太線部11の側部に接続されている。つまり、太線部11を規定するバンクの一方の壁18に、開口部17が形成されており、この開口部17と、液滴流動阻止部13とが互いに接続されている。
【0074】
この第2のパターン形成部16においても、液滴流動阻止部13の幅w1は、細線部12の幅w2の1/2以下となっている。このため、細線部12をA方向(細線部12から太線部11へ流れる方向)に流れるインクは、液滴流動阻止部13には流れ込まず、細線部12における液滴流動阻止部13との接続部付近でB方向(細線部12のバンクと直交する方向)へ流れの向きを変える。従って、細線部12から、太線部11へのインクの流れ出しを防止することができる。
【0075】
それゆえ、この第2のパターン形成部16に対して、上記第1のパターン形成部10と同様にインクを吐出することによって、上記第1のパターン形成部10と同様の作用、効果を得ることができる。
【0076】
なお、従来は、図7に示すように、細線部62と太線部61とがT字を形成するように配されており、かつ、互いに直接接続されていた。つまり、従来のパターン形成部には、上記の第2のパターン形成部16のような、液滴流動阻止部13が設けられていない。さらに、インクの流れ出しを防止する手段については何ら開示されていない。このため、上記図4と同様に、細線部62からC方向へインクが流れ出し、太線部61と細線部62との接続部付近の領域63にインク集中部(バルジ)が発生していた。
【0077】
図8は、互いに異なる幅を有する太線と細線とが斜めになるように、すなわち、太線と細線とのバンクの方向の角度が0度〜90度となるように、配された第3のパターン形成部を示す、平面図である。
【0078】
この第3のパターン形成部(インク吐出パターン)30では、同図に示すように、細線部12と液滴流動阻止部13とが直線的に互いに接続されている、すなわち、細線部12のバンクの方向と液滴流動阻止部13のバンクの方向とが同じ方向である。さらに、液滴流動阻止部13が、太線部11に対して斜めに接続されている、すなわち、液滴流動阻止部13のバンクの方向と太線部11のバンクの方向とが0度〜90度の角度を持っている。
【0079】
この第3のパターン形成部30においても、上記第1のパターン形成部10および第2のパターン形成部16と同様に、液滴流動阻止部13の幅w1は、細線部12の幅w2の1/2以下となっている。従って、上記第1のパターン形成部10および第2のパターン形成部16と同様の作用・効果を奏するため、これ以上の説明は省略する。
【0080】
なお、従来は、図9に示すように、細線部62と太線部61とが斜めの位置関係になるように配されており、かつ、互いに直接接続されていた。つまり、従来のパターン形成部には、上記の第3のパターン形成部30のような、液滴流動阻止部13が設けられていない。さらに、インクの流れ出しを防止する手段については何ら開示されていない。このため、上記図4および図6と同様に、細線部62からC方向へインクが流れ出し、太線部61と細線部62との接続部付近の領域63にインク集中部(バルジ)が発生していた。
【0081】
図10(a)(b)は、互いに異なる幅を有する太線と細線とで、十字を形成するように、配された第4のパターン形成部・第5のパターン形成部を示す平面図である。
【0082】
この第4のパターン形成部(インク吐出パターン)40では、図10(a)に示すように、液滴流動阻止部13の一端が細線部12の端部に接続されている一方、液滴流動阻止部13の他端が液滴流動阻止部13と細線部12’とがT字を成すように、細線部12’の側部に接続されている。つまり、細線部12’を規定するバンクの一方の壁41に設けられた開口部42と液滴流動阻止部13とが互いに接続されている。
【0083】
また、第4のパターン形成部40では同図に示すように、液滴流動阻止部13’の一端が太線部11の一端に接続されている一方、液滴流動阻止部13’の他端が液滴流動阻止部13’と細線部12’とがT字を成すように、細線部12’の側部に接続されている。つまり、細線部12’を規定するバンクの他方の壁43に設けられた開口部44と液滴流動阻止部13’とが互いに接続されている。
【0084】
この第4のパターン形成部40では、液滴流動阻止部13の幅w1は、細線部12の幅w2の1/2以下となっている。このため、細線部12をD方向(細線部12から細線部12’へ流れる方向)へ流れるインクは、液滴流動阻止部13には流れ込まず、細線部12における液滴流動阻止部13との接続部付近でB方向(細線部12のバンクと直交する方向)へ流れの向きを変える。従って、細線部12から、細線部12’へのインクの流れ出しを防止することができる。
【0085】
さらに、第4のパターン形成部40では、液滴流動阻止部13’の幅w1’は、細線部12’の幅w2’の1/2以下となっている。また、液滴流動阻止部13の幅w1も細線部12’の幅w2’の1/2以下となっている。従って、細線部12’を流れるインクは、E方向(細線部12’のバンクの方向と平行な方向)へ流れるため、液滴流動阻止部13および液滴流動阻止部13’のいずれに対する流れ出しも防止することができる。従って、上記と同様の効果を奏するため、これ以上の説明は省略する。
【0086】
上記の第5のパターン形成部(インク吐出パターン)50では、図10(b)に示すように、液滴流動阻止部13の一端が、細線部12の端部に接続されている一方、液滴流動阻止部13の他端が、太線部11の端部に接続されている。また、液滴流動阻止部13’の一端が、細線部12’の端部に接続されている一方、液滴流動阻止部13’の他端が、太線部11の側部に接続されている。つまり、太線部11を規定するバンクの一方の壁51に設けられた開口部52と液滴流動阻止部13’とが互いに接続されている。
【0087】
さらに、液滴流動阻止部13’’の一端が、細線部12’’の端部に接続されている一方、液滴流動阻止部13’’の他端が、太線部11の側部に接続されている。つまり、太線部11を規定するバンクの他方の壁53に設けられた開口部54と液滴流動阻止部13’’とが互いに接続されている。
【0088】
さらに、第5のパターン形成部50では、液滴流動阻止部13の幅w1は、細線部12の幅w2の1/2以下となっている。また、液滴流動阻止部13’の幅w1’は、細線部12’の幅w2’の1/2以下となっている。さらに、液滴流動阻止部13’’の幅w1’’は、細線部12’’の幅w2’’の1/2以下となっている。従って、細線部12・12’・12’’をA・A’・A’’方向へ流れるインクは、液滴流動阻止部13・13’13’’へは流れ込まず、細線部12・12’・12’’における液滴流動阻止部13・13’13’’との接続部付近でB・B’・B’’方向へ流れの向きを変える。従って、細線部12・12’・12’’から太線部11へのインクの流れ出しを防止することができる。従って、上記と同様の効果を奏するため、これ以上の説明は省略する。
【0089】
なお、上記の第4のパターン形成部40および第5のパターン形成部50に対する従来技術は、図11に示すように、細線部62’と太線部61とがT字を形成するように配されており、かつ、細線部62’と細線部62とがT字を形成するように配されていた。そして、細線部62’と太線部61および細線部62とが直接接続されていた。さらに、細線部62’、細線部62、および太線部61は十字を形成するように配されていた。つまり、従来のパターン形成部には、上記の第4のパターン形成部40および第5のパターン形成部50のような液滴流動阻止部13・13’・13’’が設けられていない。さらに、インクの流れ出しを防止する手段については何ら開示されていない。このため、細線部62・62’からC方向へインクが流れ出し、太線部61と細線部62’との接続部付近および細線部62’と細線部62との接続部付近の領域63にインク集中部(バルジ)が発生していた。
【0090】
また、上記の液滴流動阻止部13・13’・13’’は、いずれも、平面略矩形状を有していた。つまり、液滴流動阻止部13・13’・13’’を規定するバンクの両壁が平行で、かつ、両壁が直線的に延びている。しかしながら、上記の液滴流動阻止部13・13’・13’’の形状は、平面略矩形状に限られない。
【0091】
図12は、互いに幅が異なる太線と細線とが直線的に、すなわち、バンクの方向が等しくなるように配され、かつ、太線と細線との間に位置する液滴流動阻止部の平面形状が台形状である、第1のパターン形成部の第1の変形例を示す、平面図である。
【0092】
この第1の変形例では、同図に示すように、第1のパターン形成部(図1)とは異なり、太線部11と細線部12との間に位置する液滴流動阻止部35の幅は、太線部11から細線部12に近づくにつれて徐々に小さく(狭く)なっている。この場合、液滴流動阻止部35における細線部12との接続部の幅w1が、細線部12の幅w2の1/2以下に設定されている。従って、第1のパターン形成部10と同様に、細線部12から液滴流動阻止部35および太線部11へのインクの流れ出しを防止することができる。
【0093】
また、第1の変形例では、液滴流動阻止部35の幅が太線部11へ近づくにつれて徐々に大きくなっている。従って、太線部11から液滴流動阻止部35へのインクの流れ出しが起きることも考えられる。それゆえ、液滴流動阻止部35における太線部11との接続部のバンクの幅が太線部11のバンクの幅の1/2以下に設定されていることが望ましい。
【0094】
図13は、互いに幅が異なる太線と細線とが直線的に、すなわち、バンクの方向が等しくなるように配され、かつ、太線と細線との間に位置する液滴流動阻止部の平面形状がS字の曲線形状をした、第1のパターン形成部の第2の変形例を示す、平面図である。
【0095】
この第2の変形例では、同図に示すように、第1のパターン形成部(図1)とは異なり、太線部11と細線部12との間に位置する液滴流動阻止部36の形状は、S字の曲線形状をしている。この場合も液滴流動阻止部36の幅w1は、細線部12の幅w2の1/2以下に設定されている。従って、第1のパターン形成部10と同様に、細線部12から液滴流動阻止部35および太線部11へのインクの流れ出しを防止することができる。
【0096】
また、上記では、第1のパターン形成部10〜第5のパターン形成部50、第1の変形例、および第2の変形例のいずれの構成も、互いに異なる幅を有する太線と細線とを有するパターン形成部について説明した。しかしながら、両線の幅は必ずしも異なっている必要はない。
【0097】
図14は、互いに等しい幅を有する線が直線的に繋がった第1のパターン形成部10の第3の変形例を示す平面図である。
【0098】
この第3の変形例では、同図に示すように、第1のパターン形成部(図1)とは異なり、太線部11と細線部12との幅が互いに等しくなっている。この場合も液滴流動阻止部13の幅w1は、細線部12の幅w2の1/2以下に設定されている。従って、第1のパターン形成部10と同様に、細線部12から液滴流動阻止部13および太線部11へのインクの流れ出しを防止することができる。さらに、この第3の変形例では、太線部11から液滴流動阻止部13へインクが流れ出る可能性がある。そこで、さらに、液滴流動阻止部13の幅w1は、太線部11の幅w3(=w2)の1/2以下に設定されている。従って、太線部11から液滴流動阻止部13および細線部12へのインクの流れ出しも防止することができる。なお、太線部11のインクの流れる向きを表す矢印の参照符号は、便宜上、細線部12のインクの流れる向きを表す矢印の参照符号の向きと同一にしている。
【0099】
図15は、液滴流動阻止部13全体の細線部12との接続部における幅を細線部12の幅の1/2以下にすることなく、細線部12からのインクの流れ出しを防止することができる第1のパターン形成部10の第4の変形例を示す平面図である。
【0100】
この第4の変形例では、同図に示すように、液滴流動阻止部13の幅が細線部12の幅よりも少しだけ狭くなっている。つまり、液滴流動阻止部13の幅が、細線部12の幅の1/2よりも大きくなっている。さらに、この第4の変形例では、液滴流動阻止部13に液滴流動阻止部13を規定するバンクの方向に沿って、太線部11から細線部12まで延びた複数本の領域仕切部29を有している。
【0101】
そして、この領域仕切部29によって、仕切られた各領域の細線部12との接続部の幅w4が、細線部12の幅の1/2以下となっている。従って、第1のパターン形成部10と同様に、細線部12から液滴流動阻止部13および太線部11へのインクの流れ出しを防止することができる。なお、各領域の細線部12との接続部の幅は、いずれもが細線部12の幅の1/2以下となっていれば、必ずしも全て等間隔である必要はない。
【0102】
また、第1の変形例、第2の変形例、第3の変形例、および第4の変形例では、第1のパターン形成部10に対する変形例、すなわち、太線と細線とが直線的に配されている場合、について説明したが、これに限定されず、第2のパターン形成部16、第3のパターン形成部30、第4のパターン形成部40、および第5のパターン形成部50の変形例として用いることもできる。
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施形態について、図16を用いて説明する。本実施の形態では、上記実施の形態との相違点について説明するため、説明の便宜上、上記実施の形態で説明した部材と同様の機能を有する部材には同一の番号を付し、その説明を省略する。
【0103】
上記実施の形態1では、いずれも液滴流動阻止部を設けている場合について、説明した。しかしながら、線パターン形成方法においては、液滴流動阻止部(くびれ部)は、必ずしも設けられている必要はない。
【0104】
本実施の形態の第6のパターン形成部37は、太線部(第3のインク領域)55と細線部(第4のインク領域)56とが直線的な位置関係にあり、かつ、互いに直接接続されている。さらに、細線部12の幅w5が太線部11の幅w6の1/2以下になっている。
【0105】
さらに、第6のパターン形成部37では、太線部55と細線部56とに同時にインクを滴下すると、細線部56から太線部55へインクが流れ出してしまうため、インクを吐出するためには、太線部55へ先にインクを滴下する必要がある。
【0106】
太線部55へ先にインクを滴下して、このインクを乾燥してから、細線部56へインクを滴下すれば、太線部55の幅w6と細線部56の幅w5とが上記の関係にあることから、細線部56から太線部55へのインクの流れ出しを防止することができる。
【0107】
また、この第6のパターン形成部37は、太線部55と細線部56との配置関係を第2のパターン形成部16、第3のパターン形成部30、第4のパターン形成部40、または第5のパターン形成部50のように置換してもよい。
【0108】
また、細線部56から太線部55へのインクの流れ出しを防止することができるため、太線部55に滴下するインクの材料を例えばAgにする一方、細線部56に滴下するインクの材料を例えばITOにするなどして、太線部55と細線部56とでインク材料を異なるものにすることができる。
【0109】
また、1/2以下という条件の下で、太線領域のみインクを滴下した場合、細線方向に流れ込まないというインクの挙動は、特に、インク溶媒の極性の度合いが強いもの(極性溶媒の中でも分子量の小さいもの)で顕著に見受けられる。具体的に、実証されている例を挙げれば、非極性溶媒であるテトラデカン、及び、極性の度合いが弱い(分子量の大きい極性溶媒である)ブチルカルビトールでは、上記制約、及び、液滴流動阻止部を設けても、インクの流れをコントロールする事は難しい。それに対し、極性の度合いが強い(分子量の小さい)メチルカルビトールでは、コントロール可能という結果が得られている。
【0110】
また、配線幅10〜200μm程度に対して、インクジェット装置の着弾精度は、±5μ程度である。加えて、上記したいずれのIJ方式においても、インクの親撥水特性を利用するため、インクの液滴が配線形成領域に少しでも交われば、インクは配線形成領域へと引き込まれる。
【0111】
配線形成するにあたり、断線に対するマージン確保、及び、インクの着弾位置ズレに対するマージン確保の為、下地は、親水部(配線形成領域)が、より親水性(よりインクが伸びる方向)に、又、撥水部(バンク領域)が、より撥水性になる様に、作製する。故に、細線領域へ先にインクを滴下すると、太線領域へ先にインクを滴下する場合と異なり、細線-太線接合部付近でのインク流れの自由度が広がる(不確定要素が多い)事と相俟って、太線へインクが流れ出してしまう。
【0112】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明のインク吐出パターンは、インクジェット方式を用いて配線を形成するのに用いられ、液晶、PDP、およびプリント基板上への配線の作製に、特に、好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明の一実施形態を示すものであり、互いに幅が異なる太線と細線とが直線的に配された、第1のパターン形成部を示す、平面図である。
【図2】(a−1)〜(a−5)は、厚膜バンク配線方式のプロセスを示す断面図であり、(b−1)〜(b−5)は、薄膜バンク配線方式のプロセスを示す断面図であり、(c−1)〜(c−4)は、親撥水膜方式のプロセスを示す断面図である。
【図3】(a−1)〜(a−5)は、パターン形成部への線パターン形成の手順について示した平面図であり、(b−1)〜(b−5)は、図3(a−1)〜(a−5)のB−B’断面を示す断面図である。
【図4】第1のパターン形成部に対応した従来のパターン形成部の構成を示す、平面図である。
【図5】(a)は、上記第1のパターン形成部の太線部と細線部とで異なる材料を用い、かつ、異なる膜厚でインクを吐出する場合を示す、平面図である一方、(b)は、図5(a)のB−B’断面を示す、断面図である。
【図6】互いに幅が異なる太線と、細線とがT字を形成するように配された第2のパターン形成部を示す、平面図である。
【図7】第2のパターン形成部に対応した従来のパターン形成部の構成を示す、平面図である。
【図8】互いに異なる幅を有する太線と細線とが斜めになるように配された第3のパターン形成部を示す、平面図である。
【図9】第3のパターン形成部に対応した従来のパターン形成部の構成を示す、平面図である。
【図10】(a)は、互いに異なる幅を有する太線と細線とで、十字を形成するように、配された第4のパターン形成部を示す、平面図であり、(b)は、同じく第5のパターン形成部を示す、平面図である。
【図11】第4のパターン形成部および第5のパターン形成部に対応した従来のパターン形成部の構成を示す、平面図である。
【図12】図1に示す第1のパターン形成部の第1の変形例を示す、平面図である。
【図13】図1に示す第1のパターン形成部の第2の変形例を示す、平面図である。
【図14】図1に示す第1のパターン形成部の第3の変形例を示す、平面図である。
【図15】図1に示す第1のパターン形成部の第4の変形例を示す、平面図である。
【図16】本発明の他の実施形態を示すものであり、液滴流動阻止部が設けられていない構成を示すパターン形成部の平面図である。
【図17】(a)〜(d)は、従来技術を示すものであり、スパッタ配線方法の手順を示す、断面図である。
【図18】従来のパターン形成部を示す、平面図である。
【符号の説明】
【0115】
10 第1のパターン形成部(インク吐出パターン)
11 太線部(第1のインク領域;第2のインク領域)
12 細線部(第2のインク領域;第1のインク領域)
13,13’,13’’ 液滴流動阻止部(くびれ部)
16 第2のパターン形成部(インク吐出パターン)
30 第3のパターン形成部(インク吐出パターン)
37 第6のパターン形成部(インク吐出パターン)
40 第4のパターン形成部(インク吐出パターン)
50 第5のパターン形成部(インク吐出パターン)
55 太線部(第3のインク領域)
56 細線部(第4のインク領域)
w1,w1’,w1’’ 液滴流動阻止部の幅(くびれ部の第2のインク領域との接続部における幅)
w2,w2’,w2’’ 細線部の幅(第2のインク領域の幅;第1のインク領域の幅)
w3 太線部の幅(第1のインク領域の幅;第2のインク領域の幅)
w5 細線部の幅(第3のインク領域の幅)
w6 太線部の幅(第4のインク領域の幅)
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット装置を用いて線パターンを形成するためのインク吐出パターン、線パターン、および線パターン形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor)のゲート配線およびソース配線の形成は、スパッタ配線方式が用いられている。スパッタ配線方式について、図17(a)〜(d)を用いて説明する。
【0003】
図17(a)に示すように、まず、基板90上にスパッタリングによって導電膜91を形成する。次に、図17(b)に示すように、この導電膜91上の配線パターン(線パターン)を形成する箇所にフォトレジスト92を塗布する。そして、図17(c)に示すように、このフォトレジスト92を塗布していない箇所の導電膜91をエッチングする。最後に、図17(d)に示すように、フォトレジスト92を剥離して、基板90上に、導電膜91による配線パターンを形成することができる。
【0004】
このスパッタ配線方式は、スパッタリング、エッチングが必要であるため、工程が複雑であり、また、材料使用効率も低く、製造コストが高い、という問題があった。
【0005】
これに対して、近年、インクジェット方式という、インクジェット装置のノズルから金属インクを吐出し、直接配線パターンを描画する方法が採られている。このインクジェット方式によれば、工程が簡単で、材料使用効率も高く、かつ、製造コストを下げることができる。このインクジェット方式を用いて配線パターンの形成を行う場合には、インクを乱れなく基板上に塗布し、バルジ(インク集中部)の発生を防止することが重要である。このバルジは、特に、配線パターンを形成するラインとラインとで形成される角において発生し易い。
【0006】
特許文献1には、このラインとラインとの角に発生するバルジを防止するための配線パターンについて記載されている。この配線パターンは、図18に示すように、ライン100、ライン101、およびライン102を備えている。特に、ライン101は、ライン100と角を形成する位置に突出部101aを有している。また、ライン102は、ライン101と角を形成する位置に突出部102aを有している。
【0007】
このライン100・101・102の順にインクを滴下するとき、ライン100にインクを滴下した後に、ライン101にインクを滴下する際にライン101上ではない突出部101aからインクを滴下する。これによって角部103にバルジを発生することを防止することができる。また、同様にして、ライン101にインクを滴下した後に、ライン102にインクを滴下する際にライン102上ではない突出部102aからインクを滴下する。これによって、角部104にバルジを発生することを防止することができる。
【0008】
ところが、特許文献1では、インクの基板に対する接触角が30°〜60°となる程度に撥水性を有する基板上に直接インクを滴下している。そのため、滴下されたインクが所望のラインからそれてインクが流れ出す虞がある。加えて、異なる線幅の配線パターンを形成する事が困難であり、また、インクの着弾位置のズレに対するマージンが少ない。これに対して、予めインク吐出領域(インク吐出パターン)を基板側に設けておき、吐出領域を親水部、その他を撥水部とした親撥水コントラストを利用し、親水部にインクを吐出することによって、インクの配線形成領域以外への流れ出しを防ぎ、且つ、所望の配線幅への制御、及び、インクの着弾位置のズレに対するマージン向上を図り、配線パターンを形成する、という親撥水膜方式がある。その他、厚膜バンク方式、および薄膜バンク方式、という方式が知られている。なお、これらの方式の詳細な説明については、〔発明を実施するための最良の形態〕の欄で説明する。
【特許文献1】特開2003−142802(平成15年5月16日 公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、これらの方式では、インク吐出領域を構成するライン状のインク領域同士の連結部分において、一方のインク領域から他方のインク領域へインクが流れ出す、という問題がある。
【0010】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、基板上に形成され、互いに接続されたライン状のインク領域において、一方のインク領域から他方のインク領域へのインクの流れ出しを防止したインク吐出パターン、線パターン、および線パターン形成方法を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のインク吐出パターンは、上記課題を解決するために、基板上に形成されるインクを吐出すべきインク吐出パターンであって、互いに接続して形成される、それぞれライン状の第1のインク領域と第2のインク領域とを有するインク吐出パターンにおいて、
第1のインク領域と第2のインク領域との間に、第1のインク領域との接続部における幅が第1のインク領域よりも狭いと共に、第2のインク領域との接続部における幅が第2のインク領域よりも狭い、くびれ部を設けたことを特徴としている。
【0012】
従来、インク吐出パターンでは、インク領域間でインクの流れ出すという問題があった。特に、インクは、幅の狭い領域から幅の広い領域へと流れるという特性を有しており、全体として、膜厚のバラツキが大きくなり、バルジになりやすいという問題があった。これに対して、上記構成によれば、第1のインク領域と第2のインク領域との間に、第1のインク領域との接続部における幅が第1のインク領域よりも狭いと共に、第2のインク領域との接続部における幅が第2のインク領域よりも狭い、くびれ部を設けている。
【0013】
くびれ部は、第1の領域および第2の領域の接続部においていずれの領域よりも幅が狭くなっている。従って、第1のインク領域からくびれ部へのインクの流れ出しを防止できると共に、第2のインク領域からくびれ部へのインクの流れ出しを防止することができる。それゆえ、第1のインク領域および第2のインク領域間におけるインクの流れ出しを防止することができる。
【0014】
従って、第1のライン領域および第2のライン領域の膜厚のバラツキを防止することができる。また、これに伴い、バルジの発生も抑えることができる。さらに、インクがインク領域間で相互に流れ出さないため、インク領域間でインクが互いに交じり合うことがない。従って、インク領域毎に異なる材料からなるインクを用いることができる。さらに、インク領域間でインクが互いに交じり合うことがないため、インクの膜厚をインク領域毎に独立に制御することができる。
【0015】
また、本発明のインク吐出パターンでは、上記第2のインク領域は、上記第1のインク領域よりも幅が狭く、かつ、上記くびれ部の第2のインク領域との接続部における幅が、上記第2のインク領域の幅の1/2以下であってもよい。
【0016】
上記構成によれば、くびれ部における第1のインク領域との接続部の幅が、第1のインク領域の幅の1/2以下となっていると共に、くびれ部における第2のインク領域との接続部の幅が、第2のインク領域の幅の1/2以下となっている。
【0017】
このように、幅の異なる領域同士では、幅の狭い方の領域の幅を幅の広い方の領域の幅の1/2以下にすれば、幅の広い方の領域から幅の狭い方の領域へのインクの流れ出しをより一層防止することができる。それゆえ、第1のライン領域および第2のライン領域の膜厚のバラツキをより一層防止することができる。なお、この1/2という数値は、本発明者らが経験的に得た経験値である。
【0018】
また、本発明の線パターンでは、上記のインク吐出パターンにインクが吐出されることによって作製されることが好ましい。上記構成によれば、インクの膜厚のバラツキの少ない線パターンを形成することができる。
【0019】
また、本発明の線パターンでは、上記第1のインク領域と上記第2のインク領域とに吐出されたインクの材料は、互いに同一、若しくは、異なることが好ましい。
【0020】
また、本発明の線パターンでは、上記第1のインク領域と上記第2のインク領域とに吐出されるインクの量がそれぞれ独立に制御されることによって、領域毎の膜厚がそれぞれ独立に制御されていることが好ましい。
【0021】
本発明の線パターン形成方法は、上記課題を解決するために、それぞれライン状の第1のインク領域と第2のインク領域とが互いに接続して基板上に形成されている、インク吐出パターンにインクを吐出して線パターンを形成する線パターン形成方法において、
第1のインク領域と第2のインク領域との間に、第1のインク領域との接続部における幅が第1のインク領域よりも狭いと共に、第2のインク領域との接続部における幅が第2のインク領域よりも狭い、くびれ部が設けられ、上記第1のインク領域および第2のインク領域にインクを吐出して、吐出された該インクを乾燥させた後に、上記くびれ部にインクを吐出することを特徴としている。
【0022】
ここで乾燥させた後とは、インクの流れ出しまたは流れ込みが起こらない程度にインクが乾いた後をいう。
【0023】
上記構成によれば、第1のインク領域と第2のインク領域との間に、第1のインク領域との接続部における幅が第1のインク領域よりも狭いと共に、第2のインク領域との接続部における幅が第2のインク領域よりも狭い、くびれ部を設けている。
【0024】
くびれ部は、第1の領域および第2の領域の接続部においていずれの領域よりも幅が狭くなっている。従って、第1のインク領域からくびれ部へのインクの流れ出しを防止できると共に、第2のインク領域からくびれ部へのインクの流れ出しを防止することができる。それゆえ、第1のインク領域および第2のインク領域間におけるインクの流れ出しを防止することができる。
【0025】
さらに、第1のインク領域および第2のインク領域にインクと吐出して、このインクを乾燥させた後に、くびれ部にインクを吐出している。従って、くびれ部から第1のインク領域へのインクの流れ込みを防止することができると共に、くびれ部から第2のインク領域へのインクの流れ込みを防止することができる。
【0026】
また、本発明の線パターン形成方法では、上記くびれ部の第1のインク領域との接続部における幅が、上記の第1のインク領域の幅の1/2以下であると共に、上記くびれ部の第2のインク領域との接続部における幅が、上記第2のインク領域の幅の1/2以下である。上記構成によれば、第1のインク領域からくびれ部へのインクの流れ出し、第2のインク領域からくびれ部へのインクの流れ出しをより一層防止することができる。
【0027】
また、本発明の線パターン形成方法では、上記第1のインク領域と上記第2のインク領域とで、互いに同一材料のインク、若しくは、互いに異なる材料のインクを吐出することが好ましい。
【0028】
また、本発明の線パターン形成方法では、上記第1のインク領域と上記第2のインク領域とに吐出するインクの量をそれぞれ独立に制御することによって、領域毎に膜厚をそれぞれ独立に制御することが好ましい。
【0029】
また、本発明の線パターン形成方法は、上記課題を解決するために、それぞれライン状の第3のインク領域と第4のインク領域とが互いに接続して基板上に形成されている、インク吐出パターンにインクを吐出して線パターンを形成する線パターン形成方法において、上記第4のインク領域の幅が、上記第3のインク領域の幅の1/2以下であって、上記第3のインク領域にインクを吐出して該インクを乾燥させた後に、上記第4のインク領域にインクを吐出することを特徴としている。
【0030】
ここで乾燥させた後とは、インクの流れ出しまたは流れ込みが起こらない程度にインクが乾いた後をいう。
【0031】
上記構成によれば、第3のインク領域と第4のインク領域との間に新たな構成を設けなくてもよい。さらに、第3のインク領域にインクを滴下、乾燥した後に第4のインク領域にインクを吐出している。従って、第4のインク領域から第3のインク領域へのインクの流れ出しを防止することができる。また、第4のインク領域の幅が、上記第3のインク領域の幅の1/2以下であるので、第3のインク領域から第4のインク領域へのインクの流れ出しを防止することができる。
【0032】
また、本発明の線パターン形成方法では、上記第3のインク領域と上記第4のインク領域とで、互いに同一材料のインク、若しくは、互いに異なる材料のインクを吐出することが好ましい。
【0033】
また、本発明の線パターン形成方法では、上記第3のインク領域と上記第4のインク領域とに吐出するインクの量をそれぞれ独立に制御することによって、領域毎に膜厚をそれぞれ独立に制御することが好ましい。
【発明の効果】
【0034】
本発明のインク吐出パターンは、以上のように、第1のインク領域と第2のインク領域との間に、第1のインク領域との接続部における幅が第1のインク領域よりも狭いと共に、第2のインク領域との接続部における幅が第2のインク領域よりも狭い、くびれ部を設けている。また、本発明の線パターン形成方法は、以上のように、それぞれライン状の第1のインク領域と第2のインク領域とが互いに接続して基板上に形成されている、インク吐出パターンにインクを吐出して線パターンを形成する線パターン形成方法において、
第1のインク領域と第2のインク領域との間に、第1のインク領域との接続部における幅が第1のインク領域よりも狭いと共に、第2のインク領域との接続部における幅が第2のインク領域よりも狭い、くびれ部が設けられ、上記第1のインク領域および第2のインク領域にインクを吐出して、吐出された該インクを乾燥させた後に、上記くびれ部にインクを吐出している。
【0035】
また、本発明の線パターン形成方法は、それぞれライン状の第3のインク領域と第4のインク領域とが互いに接続して基板上に形成されている、インク吐出パターンにインクを吐出して線パターンを形成する線パターン形成方法において、上記第4のインク領域の幅が、上記第3のインク領域の幅の1/2以下であって、上記第3のインク領域にインクを吐出して該インクを乾燥させた後に、上記第4のインク領域にインクを吐出している。
【0036】
従って、互いに接続されたインク領域においてインク領域間のインクの流れ出しを防止することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図1ないし図15に基づいて説明すると、以下の通りである。
【0038】
薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor)は、基板の洗浄、ゲート配線の形成、半導体層/絶縁層の形成、ソース配線の形成、層間絶縁膜の形成、および画素電極の形成の各プロセスを行うことによって、製造することができる。本実施の形態では、上記のゲート配線、ソース配線の形成、及び、画素電極形成のプロセスを、スパッタ配線方式ではなく、インクジェット装置を用いた配線形成方式(IJ(Ink Jet)方式)によって行う。
【0039】
IJ方式は、スパッタ配線方式を用いることに比べて、次のようなメリットを有している。IJ方式は、スパッタ配線方式とは異なり、スパッタリング、エッチングが、不要であるため、投資を削減することができる。また、インク(配線材料)を乾燥および焼成することによって、配線を形成することができるため、配線材料の利用効率を上げることができる。さらに、バンク(後述)を高くすることによって、配線の厚膜化が可能であるため、低抵抗配線を形成することができる。
【0040】
このIJ方式には、厚膜バンク配線方式、薄膜バンク配線方式、および親撥水膜方式の3つの方式がある。図2(a−1)〜(a−5)は、厚膜バンク配線方式のプロセスについて示す、断面図である。厚膜バンク配線方式は、まず、図2(a−1)に示す基板1上に、図2(a−2)に示すように、感光性アクリル樹脂2を塗布して、バンク(互いに一定の間隔をもって隔てられた2つの壁;隔壁)3を形成する。次に、図2(a−3)に示すように、このバンク3によってライン状に形成された線部(ライン部)4に金属ナノ粒子含有インク(インク)5を滴下(吐出)する。
【0041】
滴下されたインク5は、ライン部4に沿って伸びる(流れる)。その後、図2(a−4)に示すように、このインク5を乾燥して、インクの溶媒を除去した後、凝集を防ぐ有機物を除去するために焼成することによって、金属粒子が残り線パターン6が形成される。最後に、図2(a−5)に示すように、感光性アクリル樹脂2を剥離する。
【0042】
感光性アクリル樹脂、SOG(Spin On Glass)など、透過性の良い透明なバンク材料を用いる場合には、工程数を削減するため、または、製造コストを低減するために、剥離を行わなくてもよい。なお、ここではバンク生成材料を感光性アクリル樹脂2としたが、これに限らず、レジスト、またはSOGでもよい。
【0043】
図2(b−1)〜(b−5)は、薄膜バンク配線方式のプロセスについて示す、断面図である。薄膜バンク配線方式では、厚膜バンク配線方式よりも、例えば感光性アクリル樹脂2を薄く塗布することによって、厚膜バンク配線方式よりも高さの低いバルクを形成することによって、線パターンが形成される。線パターンの形成方法は、上記の厚膜バンク配線方式と同一であるので、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0044】
この薄膜バンク配線方式は、厚膜バンク配線方式よりも、バンク3の高さが低いため、インク5とバンク3との接触が少なく、インク5の流れを良くすることができる。また、インク5による段差被覆性(ステップカバレッジ)を良くすることができ、さらに、下地である感光性アクリル樹脂2が薄膜であるため、容易に感光性アクリル樹脂2を剥離することができる。
【0045】
図2(c−1)〜(c−4)は、親撥水膜方式のプロセスについて示す、断面図である。親撥水膜方式は、図2(c−1)に示すように、まず、基板1上に、撥水膜7を成膜する。そして、マスク露光などによって、撥水膜7を、親水部(ライン部)8と、撥水部9とに分ける。このようにして、基板1上に、図2(c−2)に示すように、段差を伴わない親水部8および撥水部9を形成することができる。そして、この親水部8および撥水部9の上に、インク5を滴下すると、このインク5は、親水部8に留まり易いため、図2(c−3)に示すように、親水部8に沿ってインク5が流れる。最後に、図2(c−4)に示すように、乾燥して、インクの溶媒を除去した後、凝集を防ぐ有機物を除去するために焼成することによって、線パターン6を形成することができる。
【0046】
このように、親撥水膜方式は、バンク3を形成することなく、位置精度を保って線パターン6を形成することが可能であり、かつ、感光性アクリル樹脂2を剥離する必要もない。このため、工程の短縮を図ることができる。また、バンクが無いため、側壁との接触が無いため、インク5の流れが良い。さらに、配線の形状を良くすることができる。
【0047】
以下に説明する、線パターンの形成方法では、上記のいずれのIJ方式を用いてもよい。なお、以下では、説明の便宜上、厚膜バンク配線方式または薄膜バンク配線方式を用いた場合について説明する。
【0048】
図1は、互いに幅が異なる太線と細線とが直線的に、すなわち、互いのバンクの壁が延びる方向(以下、「バンクの壁が延びる方向」を単に、「バンクの方向」と称する)が等しくなるように、配された、第1のパターン形成部を示す、平面図である。
【0049】
この第1のパターン形成部(インク吐出パターン)10は、互いに幅の異なる太線部(第1のインク領域;第2のインク領域;幅の広いインク領域)11および細線部(第2のインク領域;第1のインク領域;幅の狭いインク領域)12と、これら太線部11と細線部12との間に位置する、くびれ配線としての液滴流動阻止部(くびれ部)13と、から成っている。液滴流動阻止部13の一端は、太線部11の端部に接続されている一方、他端は、細線部12の端部に接続されている。これら太線部11、細線部12、および液滴流動阻止部13の領域は、それぞれ、例えばレジストから成るバンクによって規定されている。つまり、太線部11、細線部12、および液滴流動阻止部13は、バンクに沿って形成された溝である。
【0050】
太線部11および細線部12には、この太線部11および細線部12に滴下されたインクが乾燥および焼成されて、線パターンが形成される。液滴流動阻止部13は、細線部12から太線部11へ、インクが流れ出すのを防止する役割を有している。
【0051】
特に、液滴流動阻止部13の幅w1は、細線部12の幅w2の1/2以下に設定されている。ここで、液滴流動阻止部13の幅w1とは、液滴流動阻止部13を形成するバンクの壁間の距離いう。また、細線部12の幅w2とは、細線部12を形成するバンクの壁間の距離をいう。より詳細には、液滴流動阻止部13の幅w1は、細線部12との接続部における幅である。以下に液滴流動阻止部13’の幅w1’、液滴流動阻止部13’’の幅w1’’についての記載があるが、この幅w1’・w1’’についても同様である。
【0052】
次に、第1のパターン形成部10への線パターン形成の手順について、図3(a−1)〜(a−5)および(b−1)〜(b−5)を用いて説明する。図3(a−1)〜(a−5)は、第1のパターン形成部10へ線パターン形成を示す、平面図である一方、図(b−1)〜(b−5)は、同じく、図3(a−1)〜図3(a−5)のA−A’断面を示す、断面図である。なお、これらの図において、乾燥前のインク(インク)と、乾燥後のインク(乾燥インク)とは、互いに異なるハッチングを付している。また、説明の便宜上、平面図である図3(a−2)〜(a−5)にもハッチングを付している。
【0053】
図3(a−1)および図3(b−1)は、インク滴下前の太線部11、細線部12、および液滴流動阻止部13を有する第1のパターン形成部10を示している。まず、図3(a−2)および図3(b−2)に示すように、太線部11および細線部12にインク20を滴下する。
【0054】
次に、図3(a−3)および図3(b−3)に示すように、このインク20を乾燥させて、乾燥インク21とする。この乾燥は、大気中、N2雰囲気中、またはN2/O2の混合比を変えた雰囲気中において、インクの溶媒の沸点以上の温度でベークすることによって行う。なお、インクの乾燥の完了とは、インクの溶媒が抜けたときを指し、例えば、インクを手で触れて、手にインクが付着するか否かで判断することができる。
【0055】
その後、図3(a−4)および図3(b−4)に示すように、液滴流動阻止部13へ、インク20を滴下する。最後に、図3(a−5)および図3(b−5)に示すように、この液滴流動阻止部13のインク20を乾燥させて乾燥インク21とする。乾燥は、太線部11および細線部12のインクの乾燥と同一の方法にて行う。最後に、焼成することによって、太線部11、細線部12および液滴流動阻止部13が物理的に繋がった線パターンを形成することができる。
【0056】
上記のような構成・方法にてインクを吐出することによって、以下のような作用を奏する。液滴流動阻止部13の幅w1は、細線部12の幅w2の1/2以下となるように、設定されている。なお、液滴流動阻止部13の幅w1は、太線部11の幅の1/2以下であることは、言うまでもない。
【0057】
このため、太線部11および細線部12に滴下したインクは、太線部11または細線部12から液滴流動阻止部13へ流れ込むことはない。なお、この1/2という数値は、本発明者らが経験的に得た経験値である。
【0058】
具体的には、図1において、A方向(細線部12から太線部11へ流れる方向)へ流れようとするインクは、液滴流動阻止部13へは流れ込まず、細線部12における液滴流動阻止部13との接続部付近でB方向(細線部12のバンクと直交する方向)へ流れの向きを変える。
【0059】
また、互いに異なる幅を有する領域では、幅が狭い方の領域から幅が広い方の領域へインクが流れ込む、というインク特性がある。しかしながら、液滴流動阻止部13へインクを滴下するときには、図3(a−4)および図3(b−4)に示すように、太線部11および細線部12のインク20が、すでに乾燥して乾燥インク21となっているため、液滴流動阻止部13から太線部11または細線部12へインク20が流れ込むことがない。なお、液滴流動阻止部13にインクを滴下させる際に、必ずしも太線部11および細線部12のインクの乾燥が完了している必要はない。
【0060】
上記のような、太線部11、細線部12、および液滴流動阻止部13のいずれの領域間においても、互いにインク20の流れ出しが起こらない、という作用から、以下のような効果を奏する。
【0061】
第1パターン形成部10に形成された線パターン全体において、膜厚のばらつきが生じることがない。より詳細には、細線部12から太線部11へインクが流れ込み、太線部11の膜厚が厚くなることを防止することができる。なお、図3(b−5)では、多少の膜厚のばらつきが生じているが、ここでは、隣り合う領域が物理的に繋がっている、という点を強調していることを示す一例であり、実際には、インクの滴下量を調整することによって、全ての領域を平坦にすることも可能である。
【0062】
第1のパターン形成部10のいずれの領域にもバルジとよばれるインク集中部が生じることがない。このため、第1のパターン形成部10のいずれの領域でも、断線および短絡が起こらない。ここで断線とは、バルジによってインク20が吸い寄せられた結果、インク20の線が切れてしまう状態をいう。一方、短絡とは、バルジが大きくなりすぎて、隣りの線と接触することをいう。
【0063】
また、隣り合う領域間でインクが交じり合うことがないため、太線部11と、細線部12とのそれぞれに異なる材料のインク20を用いて、異なる材料の線パターンを形成することが可能である。また、隣り合う領域間で互いにインク20が流れ出すことがないため、太線部11と細線部12とに滴下するインク20の量を適宜変更することで、図示しない膜厚制御装置を用いて太線部11と細線部12とのインク20の膜厚を独立に制御することができる。
【0064】
なお、従来のパターン形成部は、図4に示すように、太線部61と細線部62とが、直線的が配置関係にあり、かつ、互いに直接接続されて構成されている。つまり、従来のパターン形成部には、上記の第1のパターン形成部10のような、液滴流動阻止部13が設けられていない。さらに、インクの流れ出しを防止する手段については何ら開示されていない。
【0065】
このため、細線部62からC方向(細線部62から太線部61への方向)へインクが流れ出し、インクが太線部61内へと広がる。このため、太線部61のインクの膜厚が厚くなり、太線部61および細線部62、トータルとして、膜厚のバラツキが大きくなる。また、これに伴い、図4に示すように、太線部61と細線部62との接続部付近の領域63にインク集中部(バルジ)が発生していた。
【0066】
ここで、異なる材料の線パターンを形成することが可能である点および各領域部でインクの膜厚を独立に制御できる点について図5(a)(b)を用いて説明する。
【0067】
図5(a)は、上記第1のパターン形成部10の太線部11と細線部12とで異なる材料を用い、かつ、異なる膜厚でインクを吐出する場合を示す、平面図である一方、図5(b)は、図5(a)のB−B’断面を示す、断面図である。
【0068】
第1のパターン形成部10には、上記したように、液滴流動阻止部13を設けているため、細線部12から液滴流動阻止部13および太線部11へのインクの流れ出しがない。このため、太線部11のインクと細線部12のインクとが混ざり合うことがない。従って、図5(a)に示すように、太線部11には、Ag(材料A)を材料としたインクを滴下する一方、細線部12にはITO(材料B)を材料としたインクを滴下することができる。これらのインクを乾燥および焼成し、最後に、液滴流動阻止部に、Ag(材料A)、ITO(材料B)、または新たな材料(材料C)を滴下し、乾燥する事で異なる材料からなる線パターンを混じり合う事なく形成することが可能である。
【0069】
さらに、細線部12から液滴流動阻止部13および太線部11へのインクの流れ出しがないため、図5(b)に示すように、膜厚を太線部11と、細線部12とで、図示しない膜厚制御装置によって独立に制御することができる。太線部11(Ag(材料A))と細線部12(ITO(材料B))とのインクを乾燥後、最後に、液滴流動阻止部に、材料A、材料B、または新たな材料(材料C)を目標とする膜厚となる様、滴下し、乾燥する。なお、同図中、説明の便宜上、バンクの上面と下面とを破線にて示している。なお、図5(a)(b)では、材料の違いを分かり易く示すため、太線部11と細線部12とで異なるハッチングを付している。
【0070】
また、液滴流動阻止部13についても、材料の違いを分かり易く示すため、太線部11、および細線部12とは異なるハッチングを付している。
【0071】
また、上記では、互いに異なる幅を有する太線と細線とが互いに直線的に配された場合について説明したが、これに限定されず、太線と細線とが互いにT字、斜め、または十字に接続された場合であってもよい。
【0072】
図6は、互いに幅が異なる太線と、細線とがT字を形成するように、すなわち、太線と細線とののバンクの方向が直交するように配された、第2のパターン形成部を示す、平面図である。
【0073】
この第2のパターン形成部(インク吐出パターン)16では、同図に示すように、液滴流動阻止部13の一端が、細線部12の端部に接続されている一方、液滴流動阻止部13の他端が、液滴流動阻止部13と太線部11とがT字を成すように、太線部11の側部に接続されている。つまり、太線部11を規定するバンクの一方の壁18に、開口部17が形成されており、この開口部17と、液滴流動阻止部13とが互いに接続されている。
【0074】
この第2のパターン形成部16においても、液滴流動阻止部13の幅w1は、細線部12の幅w2の1/2以下となっている。このため、細線部12をA方向(細線部12から太線部11へ流れる方向)に流れるインクは、液滴流動阻止部13には流れ込まず、細線部12における液滴流動阻止部13との接続部付近でB方向(細線部12のバンクと直交する方向)へ流れの向きを変える。従って、細線部12から、太線部11へのインクの流れ出しを防止することができる。
【0075】
それゆえ、この第2のパターン形成部16に対して、上記第1のパターン形成部10と同様にインクを吐出することによって、上記第1のパターン形成部10と同様の作用、効果を得ることができる。
【0076】
なお、従来は、図7に示すように、細線部62と太線部61とがT字を形成するように配されており、かつ、互いに直接接続されていた。つまり、従来のパターン形成部には、上記の第2のパターン形成部16のような、液滴流動阻止部13が設けられていない。さらに、インクの流れ出しを防止する手段については何ら開示されていない。このため、上記図4と同様に、細線部62からC方向へインクが流れ出し、太線部61と細線部62との接続部付近の領域63にインク集中部(バルジ)が発生していた。
【0077】
図8は、互いに異なる幅を有する太線と細線とが斜めになるように、すなわち、太線と細線とのバンクの方向の角度が0度〜90度となるように、配された第3のパターン形成部を示す、平面図である。
【0078】
この第3のパターン形成部(インク吐出パターン)30では、同図に示すように、細線部12と液滴流動阻止部13とが直線的に互いに接続されている、すなわち、細線部12のバンクの方向と液滴流動阻止部13のバンクの方向とが同じ方向である。さらに、液滴流動阻止部13が、太線部11に対して斜めに接続されている、すなわち、液滴流動阻止部13のバンクの方向と太線部11のバンクの方向とが0度〜90度の角度を持っている。
【0079】
この第3のパターン形成部30においても、上記第1のパターン形成部10および第2のパターン形成部16と同様に、液滴流動阻止部13の幅w1は、細線部12の幅w2の1/2以下となっている。従って、上記第1のパターン形成部10および第2のパターン形成部16と同様の作用・効果を奏するため、これ以上の説明は省略する。
【0080】
なお、従来は、図9に示すように、細線部62と太線部61とが斜めの位置関係になるように配されており、かつ、互いに直接接続されていた。つまり、従来のパターン形成部には、上記の第3のパターン形成部30のような、液滴流動阻止部13が設けられていない。さらに、インクの流れ出しを防止する手段については何ら開示されていない。このため、上記図4および図6と同様に、細線部62からC方向へインクが流れ出し、太線部61と細線部62との接続部付近の領域63にインク集中部(バルジ)が発生していた。
【0081】
図10(a)(b)は、互いに異なる幅を有する太線と細線とで、十字を形成するように、配された第4のパターン形成部・第5のパターン形成部を示す平面図である。
【0082】
この第4のパターン形成部(インク吐出パターン)40では、図10(a)に示すように、液滴流動阻止部13の一端が細線部12の端部に接続されている一方、液滴流動阻止部13の他端が液滴流動阻止部13と細線部12’とがT字を成すように、細線部12’の側部に接続されている。つまり、細線部12’を規定するバンクの一方の壁41に設けられた開口部42と液滴流動阻止部13とが互いに接続されている。
【0083】
また、第4のパターン形成部40では同図に示すように、液滴流動阻止部13’の一端が太線部11の一端に接続されている一方、液滴流動阻止部13’の他端が液滴流動阻止部13’と細線部12’とがT字を成すように、細線部12’の側部に接続されている。つまり、細線部12’を規定するバンクの他方の壁43に設けられた開口部44と液滴流動阻止部13’とが互いに接続されている。
【0084】
この第4のパターン形成部40では、液滴流動阻止部13の幅w1は、細線部12の幅w2の1/2以下となっている。このため、細線部12をD方向(細線部12から細線部12’へ流れる方向)へ流れるインクは、液滴流動阻止部13には流れ込まず、細線部12における液滴流動阻止部13との接続部付近でB方向(細線部12のバンクと直交する方向)へ流れの向きを変える。従って、細線部12から、細線部12’へのインクの流れ出しを防止することができる。
【0085】
さらに、第4のパターン形成部40では、液滴流動阻止部13’の幅w1’は、細線部12’の幅w2’の1/2以下となっている。また、液滴流動阻止部13の幅w1も細線部12’の幅w2’の1/2以下となっている。従って、細線部12’を流れるインクは、E方向(細線部12’のバンクの方向と平行な方向)へ流れるため、液滴流動阻止部13および液滴流動阻止部13’のいずれに対する流れ出しも防止することができる。従って、上記と同様の効果を奏するため、これ以上の説明は省略する。
【0086】
上記の第5のパターン形成部(インク吐出パターン)50では、図10(b)に示すように、液滴流動阻止部13の一端が、細線部12の端部に接続されている一方、液滴流動阻止部13の他端が、太線部11の端部に接続されている。また、液滴流動阻止部13’の一端が、細線部12’の端部に接続されている一方、液滴流動阻止部13’の他端が、太線部11の側部に接続されている。つまり、太線部11を規定するバンクの一方の壁51に設けられた開口部52と液滴流動阻止部13’とが互いに接続されている。
【0087】
さらに、液滴流動阻止部13’’の一端が、細線部12’’の端部に接続されている一方、液滴流動阻止部13’’の他端が、太線部11の側部に接続されている。つまり、太線部11を規定するバンクの他方の壁53に設けられた開口部54と液滴流動阻止部13’’とが互いに接続されている。
【0088】
さらに、第5のパターン形成部50では、液滴流動阻止部13の幅w1は、細線部12の幅w2の1/2以下となっている。また、液滴流動阻止部13’の幅w1’は、細線部12’の幅w2’の1/2以下となっている。さらに、液滴流動阻止部13’’の幅w1’’は、細線部12’’の幅w2’’の1/2以下となっている。従って、細線部12・12’・12’’をA・A’・A’’方向へ流れるインクは、液滴流動阻止部13・13’13’’へは流れ込まず、細線部12・12’・12’’における液滴流動阻止部13・13’13’’との接続部付近でB・B’・B’’方向へ流れの向きを変える。従って、細線部12・12’・12’’から太線部11へのインクの流れ出しを防止することができる。従って、上記と同様の効果を奏するため、これ以上の説明は省略する。
【0089】
なお、上記の第4のパターン形成部40および第5のパターン形成部50に対する従来技術は、図11に示すように、細線部62’と太線部61とがT字を形成するように配されており、かつ、細線部62’と細線部62とがT字を形成するように配されていた。そして、細線部62’と太線部61および細線部62とが直接接続されていた。さらに、細線部62’、細線部62、および太線部61は十字を形成するように配されていた。つまり、従来のパターン形成部には、上記の第4のパターン形成部40および第5のパターン形成部50のような液滴流動阻止部13・13’・13’’が設けられていない。さらに、インクの流れ出しを防止する手段については何ら開示されていない。このため、細線部62・62’からC方向へインクが流れ出し、太線部61と細線部62’との接続部付近および細線部62’と細線部62との接続部付近の領域63にインク集中部(バルジ)が発生していた。
【0090】
また、上記の液滴流動阻止部13・13’・13’’は、いずれも、平面略矩形状を有していた。つまり、液滴流動阻止部13・13’・13’’を規定するバンクの両壁が平行で、かつ、両壁が直線的に延びている。しかしながら、上記の液滴流動阻止部13・13’・13’’の形状は、平面略矩形状に限られない。
【0091】
図12は、互いに幅が異なる太線と細線とが直線的に、すなわち、バンクの方向が等しくなるように配され、かつ、太線と細線との間に位置する液滴流動阻止部の平面形状が台形状である、第1のパターン形成部の第1の変形例を示す、平面図である。
【0092】
この第1の変形例では、同図に示すように、第1のパターン形成部(図1)とは異なり、太線部11と細線部12との間に位置する液滴流動阻止部35の幅は、太線部11から細線部12に近づくにつれて徐々に小さく(狭く)なっている。この場合、液滴流動阻止部35における細線部12との接続部の幅w1が、細線部12の幅w2の1/2以下に設定されている。従って、第1のパターン形成部10と同様に、細線部12から液滴流動阻止部35および太線部11へのインクの流れ出しを防止することができる。
【0093】
また、第1の変形例では、液滴流動阻止部35の幅が太線部11へ近づくにつれて徐々に大きくなっている。従って、太線部11から液滴流動阻止部35へのインクの流れ出しが起きることも考えられる。それゆえ、液滴流動阻止部35における太線部11との接続部のバンクの幅が太線部11のバンクの幅の1/2以下に設定されていることが望ましい。
【0094】
図13は、互いに幅が異なる太線と細線とが直線的に、すなわち、バンクの方向が等しくなるように配され、かつ、太線と細線との間に位置する液滴流動阻止部の平面形状がS字の曲線形状をした、第1のパターン形成部の第2の変形例を示す、平面図である。
【0095】
この第2の変形例では、同図に示すように、第1のパターン形成部(図1)とは異なり、太線部11と細線部12との間に位置する液滴流動阻止部36の形状は、S字の曲線形状をしている。この場合も液滴流動阻止部36の幅w1は、細線部12の幅w2の1/2以下に設定されている。従って、第1のパターン形成部10と同様に、細線部12から液滴流動阻止部35および太線部11へのインクの流れ出しを防止することができる。
【0096】
また、上記では、第1のパターン形成部10〜第5のパターン形成部50、第1の変形例、および第2の変形例のいずれの構成も、互いに異なる幅を有する太線と細線とを有するパターン形成部について説明した。しかしながら、両線の幅は必ずしも異なっている必要はない。
【0097】
図14は、互いに等しい幅を有する線が直線的に繋がった第1のパターン形成部10の第3の変形例を示す平面図である。
【0098】
この第3の変形例では、同図に示すように、第1のパターン形成部(図1)とは異なり、太線部11と細線部12との幅が互いに等しくなっている。この場合も液滴流動阻止部13の幅w1は、細線部12の幅w2の1/2以下に設定されている。従って、第1のパターン形成部10と同様に、細線部12から液滴流動阻止部13および太線部11へのインクの流れ出しを防止することができる。さらに、この第3の変形例では、太線部11から液滴流動阻止部13へインクが流れ出る可能性がある。そこで、さらに、液滴流動阻止部13の幅w1は、太線部11の幅w3(=w2)の1/2以下に設定されている。従って、太線部11から液滴流動阻止部13および細線部12へのインクの流れ出しも防止することができる。なお、太線部11のインクの流れる向きを表す矢印の参照符号は、便宜上、細線部12のインクの流れる向きを表す矢印の参照符号の向きと同一にしている。
【0099】
図15は、液滴流動阻止部13全体の細線部12との接続部における幅を細線部12の幅の1/2以下にすることなく、細線部12からのインクの流れ出しを防止することができる第1のパターン形成部10の第4の変形例を示す平面図である。
【0100】
この第4の変形例では、同図に示すように、液滴流動阻止部13の幅が細線部12の幅よりも少しだけ狭くなっている。つまり、液滴流動阻止部13の幅が、細線部12の幅の1/2よりも大きくなっている。さらに、この第4の変形例では、液滴流動阻止部13に液滴流動阻止部13を規定するバンクの方向に沿って、太線部11から細線部12まで延びた複数本の領域仕切部29を有している。
【0101】
そして、この領域仕切部29によって、仕切られた各領域の細線部12との接続部の幅w4が、細線部12の幅の1/2以下となっている。従って、第1のパターン形成部10と同様に、細線部12から液滴流動阻止部13および太線部11へのインクの流れ出しを防止することができる。なお、各領域の細線部12との接続部の幅は、いずれもが細線部12の幅の1/2以下となっていれば、必ずしも全て等間隔である必要はない。
【0102】
また、第1の変形例、第2の変形例、第3の変形例、および第4の変形例では、第1のパターン形成部10に対する変形例、すなわち、太線と細線とが直線的に配されている場合、について説明したが、これに限定されず、第2のパターン形成部16、第3のパターン形成部30、第4のパターン形成部40、および第5のパターン形成部50の変形例として用いることもできる。
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施形態について、図16を用いて説明する。本実施の形態では、上記実施の形態との相違点について説明するため、説明の便宜上、上記実施の形態で説明した部材と同様の機能を有する部材には同一の番号を付し、その説明を省略する。
【0103】
上記実施の形態1では、いずれも液滴流動阻止部を設けている場合について、説明した。しかしながら、線パターン形成方法においては、液滴流動阻止部(くびれ部)は、必ずしも設けられている必要はない。
【0104】
本実施の形態の第6のパターン形成部37は、太線部(第3のインク領域)55と細線部(第4のインク領域)56とが直線的な位置関係にあり、かつ、互いに直接接続されている。さらに、細線部12の幅w5が太線部11の幅w6の1/2以下になっている。
【0105】
さらに、第6のパターン形成部37では、太線部55と細線部56とに同時にインクを滴下すると、細線部56から太線部55へインクが流れ出してしまうため、インクを吐出するためには、太線部55へ先にインクを滴下する必要がある。
【0106】
太線部55へ先にインクを滴下して、このインクを乾燥してから、細線部56へインクを滴下すれば、太線部55の幅w6と細線部56の幅w5とが上記の関係にあることから、細線部56から太線部55へのインクの流れ出しを防止することができる。
【0107】
また、この第6のパターン形成部37は、太線部55と細線部56との配置関係を第2のパターン形成部16、第3のパターン形成部30、第4のパターン形成部40、または第5のパターン形成部50のように置換してもよい。
【0108】
また、細線部56から太線部55へのインクの流れ出しを防止することができるため、太線部55に滴下するインクの材料を例えばAgにする一方、細線部56に滴下するインクの材料を例えばITOにするなどして、太線部55と細線部56とでインク材料を異なるものにすることができる。
【0109】
また、1/2以下という条件の下で、太線領域のみインクを滴下した場合、細線方向に流れ込まないというインクの挙動は、特に、インク溶媒の極性の度合いが強いもの(極性溶媒の中でも分子量の小さいもの)で顕著に見受けられる。具体的に、実証されている例を挙げれば、非極性溶媒であるテトラデカン、及び、極性の度合いが弱い(分子量の大きい極性溶媒である)ブチルカルビトールでは、上記制約、及び、液滴流動阻止部を設けても、インクの流れをコントロールする事は難しい。それに対し、極性の度合いが強い(分子量の小さい)メチルカルビトールでは、コントロール可能という結果が得られている。
【0110】
また、配線幅10〜200μm程度に対して、インクジェット装置の着弾精度は、±5μ程度である。加えて、上記したいずれのIJ方式においても、インクの親撥水特性を利用するため、インクの液滴が配線形成領域に少しでも交われば、インクは配線形成領域へと引き込まれる。
【0111】
配線形成するにあたり、断線に対するマージン確保、及び、インクの着弾位置ズレに対するマージン確保の為、下地は、親水部(配線形成領域)が、より親水性(よりインクが伸びる方向)に、又、撥水部(バンク領域)が、より撥水性になる様に、作製する。故に、細線領域へ先にインクを滴下すると、太線領域へ先にインクを滴下する場合と異なり、細線-太線接合部付近でのインク流れの自由度が広がる(不確定要素が多い)事と相俟って、太線へインクが流れ出してしまう。
【0112】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明のインク吐出パターンは、インクジェット方式を用いて配線を形成するのに用いられ、液晶、PDP、およびプリント基板上への配線の作製に、特に、好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明の一実施形態を示すものであり、互いに幅が異なる太線と細線とが直線的に配された、第1のパターン形成部を示す、平面図である。
【図2】(a−1)〜(a−5)は、厚膜バンク配線方式のプロセスを示す断面図であり、(b−1)〜(b−5)は、薄膜バンク配線方式のプロセスを示す断面図であり、(c−1)〜(c−4)は、親撥水膜方式のプロセスを示す断面図である。
【図3】(a−1)〜(a−5)は、パターン形成部への線パターン形成の手順について示した平面図であり、(b−1)〜(b−5)は、図3(a−1)〜(a−5)のB−B’断面を示す断面図である。
【図4】第1のパターン形成部に対応した従来のパターン形成部の構成を示す、平面図である。
【図5】(a)は、上記第1のパターン形成部の太線部と細線部とで異なる材料を用い、かつ、異なる膜厚でインクを吐出する場合を示す、平面図である一方、(b)は、図5(a)のB−B’断面を示す、断面図である。
【図6】互いに幅が異なる太線と、細線とがT字を形成するように配された第2のパターン形成部を示す、平面図である。
【図7】第2のパターン形成部に対応した従来のパターン形成部の構成を示す、平面図である。
【図8】互いに異なる幅を有する太線と細線とが斜めになるように配された第3のパターン形成部を示す、平面図である。
【図9】第3のパターン形成部に対応した従来のパターン形成部の構成を示す、平面図である。
【図10】(a)は、互いに異なる幅を有する太線と細線とで、十字を形成するように、配された第4のパターン形成部を示す、平面図であり、(b)は、同じく第5のパターン形成部を示す、平面図である。
【図11】第4のパターン形成部および第5のパターン形成部に対応した従来のパターン形成部の構成を示す、平面図である。
【図12】図1に示す第1のパターン形成部の第1の変形例を示す、平面図である。
【図13】図1に示す第1のパターン形成部の第2の変形例を示す、平面図である。
【図14】図1に示す第1のパターン形成部の第3の変形例を示す、平面図である。
【図15】図1に示す第1のパターン形成部の第4の変形例を示す、平面図である。
【図16】本発明の他の実施形態を示すものであり、液滴流動阻止部が設けられていない構成を示すパターン形成部の平面図である。
【図17】(a)〜(d)は、従来技術を示すものであり、スパッタ配線方法の手順を示す、断面図である。
【図18】従来のパターン形成部を示す、平面図である。
【符号の説明】
【0115】
10 第1のパターン形成部(インク吐出パターン)
11 太線部(第1のインク領域;第2のインク領域)
12 細線部(第2のインク領域;第1のインク領域)
13,13’,13’’ 液滴流動阻止部(くびれ部)
16 第2のパターン形成部(インク吐出パターン)
30 第3のパターン形成部(インク吐出パターン)
37 第6のパターン形成部(インク吐出パターン)
40 第4のパターン形成部(インク吐出パターン)
50 第5のパターン形成部(インク吐出パターン)
55 太線部(第3のインク領域)
56 細線部(第4のインク領域)
w1,w1’,w1’’ 液滴流動阻止部の幅(くびれ部の第2のインク領域との接続部における幅)
w2,w2’,w2’’ 細線部の幅(第2のインク領域の幅;第1のインク領域の幅)
w3 太線部の幅(第1のインク領域の幅;第2のインク領域の幅)
w5 細線部の幅(第3のインク領域の幅)
w6 太線部の幅(第4のインク領域の幅)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成されるインクを吐出すべきインク吐出パターンであって、互いに接続して形成される、それぞれライン状の第1のインク領域と第2のインク領域とを有するインク吐出パターンにおいて、
第1のインク領域と第2のインク領域との間に、第1のインク領域との接続部における幅が第1のインク領域よりも狭いと共に、第2のインク領域との接続部における幅が第2のインク領域よりも狭い、くびれ部を設けたことを特徴とするインク吐出パターン。
【請求項2】
上記くびれ部の第1のインク領域との接続部における幅が、上記の第1のインク領域の幅の1/2以下であると共に、上記くびれ部の第2のインク領域との接続部における幅が、上記第2のインク領域の幅の1/2以下であることを特徴とする請求項1に記載のインク吐出パターン。
【請求項3】
請求項1または2に記載のインク吐出パターンにインクが吐出されることによって作製されたことを特徴とする線パターン。
【請求項4】
上記第1のインク領域と上記第2のインク領域とに吐出されたインクの材料は、互いに同一、若しくは、異なることを特徴とする請求項3に記載の線パターン。
【請求項5】
上記第1のインク領域と上記第2のインク領域とに吐出されるインクの量がそれぞれ独立に制御されることによって、領域毎の膜厚がそれぞれ独立に制御されていることを特徴とする請求項3に記載の線パターン。
【請求項6】
それぞれライン状の第1のインク領域と第2のインク領域とが互いに接続して基板上に形成されている、インク吐出パターンにインクを吐出して線パターンを形成する線パターン形成方法において、
第1のインク領域と第2のインク領域との間に、第1のインク領域との接続部における幅が第1のインク領域よりも狭いと共に、第2のインク領域との接続部における幅が第2のインク領域よりも狭い、くびれ部が設けられ、
上記第1のインク領域および第2のインク領域にインクを吐出して、吐出された該インクを乾燥させた後に、上記くびれ部にインクを吐出することを特徴とする線パターン形成方法。
【請求項7】
上記第2のインク領域は、上記第1のインク領域よりも幅が狭く、かつ、上記くびれ部の第2のインク領域との接続部における幅が、上記第2のインク領域の幅の1/2以下であることを特徴とする請求項6に記載の線パターン形成方法。
【請求項8】
上記第1のインク領域と上記第2のインク領域とで、互いに同一材料のインク、若しくは、互いに異なる材料のインクを吐出することを特徴とする請求項6または7に記載の線パターン形成方法。
【請求項9】
上記第1のインク領域と上記第2のインク領域とに吐出するインクの量をそれぞれ独立に制御することによって、領域毎に膜厚をそれぞれ独立に制御することを特徴とする請求項6ないし8のいずれか1項に記載の線パターン形成方法。
【請求項10】
それぞれライン状の第3のインク領域と第4のインク領域とが互いに接続して基板上に形成されている、インク吐出パターンにインクを吐出して線パターンを形成する線パターン形成方法において、
上記第4のインク領域の幅が、上記第3のインク領域の幅の1/2以下であって、上記第3のインク領域にインクを吐出して該インクを乾燥させた後に、上記第4のインク領域にインクを吐出することを特徴とする線パターン形成方法。
【請求項11】
上記第3のインク領域と上記第4のインク領域とで、互いに同一材料のインク、若しくは、互いに異なる材料のインクを吐出することを特徴とする請求項10に記載の線パターン形成方法。
【請求項12】
上記第3のインク領域と上記第4のインク領域とに吐出するインクの量をそれぞれ独立に制御することによって、領域毎に膜厚をそれぞれ独立に制御することを特徴とする請求項10または11に記載の線パターン形成方法。
【請求項1】
基板上に形成されるインクを吐出すべきインク吐出パターンであって、互いに接続して形成される、それぞれライン状の第1のインク領域と第2のインク領域とを有するインク吐出パターンにおいて、
第1のインク領域と第2のインク領域との間に、第1のインク領域との接続部における幅が第1のインク領域よりも狭いと共に、第2のインク領域との接続部における幅が第2のインク領域よりも狭い、くびれ部を設けたことを特徴とするインク吐出パターン。
【請求項2】
上記くびれ部の第1のインク領域との接続部における幅が、上記の第1のインク領域の幅の1/2以下であると共に、上記くびれ部の第2のインク領域との接続部における幅が、上記第2のインク領域の幅の1/2以下であることを特徴とする請求項1に記載のインク吐出パターン。
【請求項3】
請求項1または2に記載のインク吐出パターンにインクが吐出されることによって作製されたことを特徴とする線パターン。
【請求項4】
上記第1のインク領域と上記第2のインク領域とに吐出されたインクの材料は、互いに同一、若しくは、異なることを特徴とする請求項3に記載の線パターン。
【請求項5】
上記第1のインク領域と上記第2のインク領域とに吐出されるインクの量がそれぞれ独立に制御されることによって、領域毎の膜厚がそれぞれ独立に制御されていることを特徴とする請求項3に記載の線パターン。
【請求項6】
それぞれライン状の第1のインク領域と第2のインク領域とが互いに接続して基板上に形成されている、インク吐出パターンにインクを吐出して線パターンを形成する線パターン形成方法において、
第1のインク領域と第2のインク領域との間に、第1のインク領域との接続部における幅が第1のインク領域よりも狭いと共に、第2のインク領域との接続部における幅が第2のインク領域よりも狭い、くびれ部が設けられ、
上記第1のインク領域および第2のインク領域にインクを吐出して、吐出された該インクを乾燥させた後に、上記くびれ部にインクを吐出することを特徴とする線パターン形成方法。
【請求項7】
上記第2のインク領域は、上記第1のインク領域よりも幅が狭く、かつ、上記くびれ部の第2のインク領域との接続部における幅が、上記第2のインク領域の幅の1/2以下であることを特徴とする請求項6に記載の線パターン形成方法。
【請求項8】
上記第1のインク領域と上記第2のインク領域とで、互いに同一材料のインク、若しくは、互いに異なる材料のインクを吐出することを特徴とする請求項6または7に記載の線パターン形成方法。
【請求項9】
上記第1のインク領域と上記第2のインク領域とに吐出するインクの量をそれぞれ独立に制御することによって、領域毎に膜厚をそれぞれ独立に制御することを特徴とする請求項6ないし8のいずれか1項に記載の線パターン形成方法。
【請求項10】
それぞれライン状の第3のインク領域と第4のインク領域とが互いに接続して基板上に形成されている、インク吐出パターンにインクを吐出して線パターンを形成する線パターン形成方法において、
上記第4のインク領域の幅が、上記第3のインク領域の幅の1/2以下であって、上記第3のインク領域にインクを吐出して該インクを乾燥させた後に、上記第4のインク領域にインクを吐出することを特徴とする線パターン形成方法。
【請求項11】
上記第3のインク領域と上記第4のインク領域とで、互いに同一材料のインク、若しくは、互いに異なる材料のインクを吐出することを特徴とする請求項10に記載の線パターン形成方法。
【請求項12】
上記第3のインク領域と上記第4のインク領域とに吐出するインクの量をそれぞれ独立に制御することによって、領域毎に膜厚をそれぞれ独立に制御することを特徴とする請求項10または11に記載の線パターン形成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2006−286922(P2006−286922A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−104703(P2005−104703)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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