説明

インストルメントパネル取付構造体

【課題】 部品点数を削減できて軽量化及びコスト低減を図り得ると共に、取付作業性に優れて生産性に優れ、かつパネルの取付剛性が十分に得られてパネルによる振動や騒音が十分に抑制され得るインストルメントパネル取付構造体を提供する。
【解決手段】 この発明のインストルメントパネル取付構造体1は、筒状のステアリングサポートビーム2と、パネル本体部31及び該パネル本体部の両端部から延ばされた側板部32、33を有したインストルメントパネルと、該インストルメントパネルの側板部に当接される張出部5、9を有したサイドブラケット3、7とを備えてなり、前記ステアリングサポートビーム2の両端部にそれぞれ前記サイドブラケット3、7が固着されるとともに、前記インストルメントパネル30は、その両側板部32、33が前記一対のサイドブラケットの張出部5、9の少なくとも一部を外側から挟み込んだ状態に配置されて前記サイドブラケット3、7に取付固定されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車等の車両の前部に設けられるインストルメントパネル取付構造体に関する。
【0002】
なお、この明細書において、「アルミニウム」の語は、アルミニウム及びその合金を含む意味で用いる。
【背景技術】
【0003】
自動車の前部には、車体の左右のフロントピラー間を連結するステアリングサポートビームが架設されている。このようなステアリングサポートビームが配置されることによって、側面からの衝突等による衝撃に対して十分な剛性、強度が確保される。このステアリングサポートビームの両端部にはサイドブラケットが固着されており、これらサイドブラケットがそれぞれ車体の左右のフロントピラーに取付固定されることによって、前記ステアリングサポートビームが車体の前部の左右間に架設されている。そして、前記ステアリングサポートビームの中間部に、インストルメントパネルを取付固定するための専用のブラケットが固着されており、この専用のブラケットを用いてインストルメントパネルが取付固定されることによって、自動車の前部に前記インストルメントパネルが強固に固定される(特許文献1〜3参照)。
【特許文献1】特表2004−501024号公報(段落0010、0013、図1)
【特許文献2】特開2003−34266号公報(段落0021〜0023、図1、図2)
【特許文献3】特開2001−328565号公報(段落0012)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1〜3に記載の技術では、ステアリングサポートビームを車体の左右のフロントピラーに取付けるためのブラケット(サイドブラケット)と、ステアリングサポートビームにインストルメントパネルを取付けるためのブラケット(専用ブラケット)とは別体に構成されており、このために部品点数が多くなると共に取付の作業工数も多くなって、生産性が低下するし、製造コストも高くなるという問題があった。また、ブラケットが略棒状に形成されている場合には、インストルメントパネルの取付剛性が低いものとなり、自動車走行時にインストルメントパネルの振動や騒音が発生することが懸念される。
【0005】
この発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、部品点数を削減できて軽量化及びコスト低減を図り得ると共に、取付作業性に優れて生産性に優れ、かつパネルの取付剛性が十分に得られてパネルによる振動や騒音が十分に抑制され得るインストルメントパネル取付構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0007】
[1]筒状のステアリングサポートビームと、パネル本体部及び該パネル本体部の両端部から延ばされた側板部を有したインストルメントパネルと、該インストルメントパネルの側板部に当接される張出部を有したサイドブラケットとを備えてなり、前記ステアリングサポートビームの両端部にそれぞれ前記サイドブラケットが固着されるとともに、前記インストルメントパネルは、その両側板部が前記一対のサイドブラケットの張出部の側面(内側の側面又は外側の側面)に当接した状態に配置されて前記サイドブラケットに取付固定されていることを特徴とするインストルメントパネル取付構造体。
【0008】
[2]筒状のステアリングサポートビームと、パネル本体部及び該パネル本体部の両端部から延ばされた側板部を有したインストルメントパネルと、該インストルメントパネルの側板部に当接される張出部を有したサイドブラケットとを備えてなり、前記ステアリングサポートビームの両端部にそれぞれ前記サイドブラケットが固着されるとともに、前記インストルメントパネルは、その両側板部が前記一対のサイドブラケットの張出部の少なくとも一部を外側から挟み込んだ状態に配置されて前記サイドブラケットに取付固定されていることを特徴とするインストルメントパネル取付構造体。
【0009】
[3]筒状のステアリングサポートビームと、該ステアリングサポートビームに外嵌め可能な嵌合部を有すると共に該嵌合部の少なくとも一部から外方に向けて延ばされた張出部を有したサイドブラケットと、パネル本体部及び該パネル本体部の両端部から延ばされた側板部を有したインストルメントパネルとを備えてなり、前記ステアリングサポートビームの両端部にそれぞれ前記サイドブラケットの嵌合部が外嵌めされて固着されるとともに、前記インストルメントパネルは、その両側板部が前記一対のサイドブラケットの張出部の少なくとも一部を外側から挟み込んだ状態に配置されて前記サイドブラケットに取付固定されていることを特徴とするインストルメントパネル取付構造体。
【0010】
[4]前記インストルメントパネルのパネル本体部の両端縁部の内面形状は、前記サイドブラケットの張出部の外周面の形状に略適合した形状を有し、前記インストルメントパネルのパネル本体部の両端縁部の内面は、前記サイドブラケットの張出部の外周面に略適合状態に当接して配置されている前項1〜3のいずれか1項に記載のインストルメントパネル取付構造体。
【0011】
[5]前記サイドブラケットの張出部に複数個のインストルメントパネル固定用孔が穿設される一方、前記インストルメントパネルの両側板部にそれぞれ複数個の挿通孔が穿設され、ボルト等の固着手段が前記挿通孔及び前記固定用孔を挿通して固着されることによって、前記インストルメントパネルが前記サイドブラケットに取付固定されている前項1〜4のいずれか1項に記載のインストルメントパネル取付構造体。
【0012】
[6]前記サイドブラケットの張出部の外周面に複数個のインストルメントパネル固定用孔が穿設される一方、前記インストルメントパネルのパネル本体部の両端縁部にそれぞれ複数個の挿通孔が穿設され、ボルト等の固着手段が前記挿通孔及び前記固定用孔を挿通して固着されることによって、前記インストルメントパネルが前記サイドブラケットに取付固定されている前項1〜4のいずれか1項に記載のインストルメントパネル取付構造体。
【0013】
[7]前記サイドブラケットにおける前記インストルメントパネルの側板部で覆われていない非被覆領域に、複数個の車体取付用孔が設けられている前項1〜6のいずれか1項に記載のインストルメントパネル取付構造体。
【0014】
[8]前記サイドブラケットの張出部に1ないし複数の中空部が設けられている前項1〜7のいずれか1項に記載のインストルメントパネル取付構造体。
【0015】
[9]前記サイドブラケットの張出部は、外周枠部と、該外周枠部と前記嵌合部とを連結する複数の連結杆とを備えている前項8に記載のインストルメントパネル取付構造体。
【0016】
[10]前記連結杆は、前記嵌合部から前記外周枠部に向けて放射状に延ばされて該外周枠部に連結されている前項9に記載のインストルメントパネル取付構造体。
【0017】
[11]前記一対のサイドブラケットは、互いに同一形状で同一大きさである前項1〜10のいずれか1項に記載のインストルメントパネル取付構造体。
【0018】
[12]前記サイドブラケットは、押出材または射出成形材からなる前項1〜11のいずれか1項に記載のインストルメントパネル取付構造体。
【0019】
[13]前記サイドブラケットは、軽金属またはその合金からなる前項12に記載のインストルメントパネル取付構造体。
【0020】
[14]前記サイドブラケットは、アルミニウムからなる前項12に記載のインストルメントパネル取付構造体。
【0021】
[15]前記サイドブラケットは、合成樹脂からなる前項12に記載のインストルメントパネル取付構造体。
【0022】
[16]前記サイドブラケットは、軽金属またはその合金の鋳造材からなる前項1〜11のいずれか1項に記載のインストルメントパネル取付構造体。
【0023】
[17]前項1〜16のいずれか1項に記載のインストルメントパネル取付構造体を有する車両。
【発明の効果】
【0024】
[1]の発明では、ステアリングサポートビームを車体に取付けるのに用いられるサイドブラケットは、インストルメントパネルをステアリングサポートビームに取付けるためのブラケットとしても機能するものであるから、部品点数を削減することができて軽量化を図ることができると共にコストも低減できるし、さらには取付作業性も向上させることができて生産性を向上することができる。また、インストルメントパネルは、その両側板部が一対のサイドブラケットの張出部の側面(内側の側面又は外側の側面)に当接した状態に配置されてサイドブラケットに取付固定されているから、インストルメントパネルの取付剛性が十分に得られるものとなり、これによりインストルメントパネルによる振動や騒音を十分に抑制することができる。
【0025】
[2]の発明では、ステアリングサポートビームを車体に取付けるのに用いられるサイドブラケットは、インストルメントパネルをステアリングサポートビームに取付けるためのブラケットとしても機能するものであるから、部品点数を削減することができて軽量化を図ることができると共にコストも低減できるし、さらには取付作業性も向上させることができて生産性を向上することができる。また、インストルメントパネルは、その両側板部が一対のサイドブラケットの張出部の少なくとも一部を外側から挟み込んだ状態に配置されてサイドブラケットに取付固定されているから、インストルメントパネルの取付剛性が十分に得られるものとなり、これによりインストルメントパネルによる振動や騒音を十分に抑制することができる。
【0026】
[3]の発明では、ステアリングサポートビームを車体に取付けるのに用いられるサイドブラケットは、インストルメントパネルをステアリングサポートビームに取付けるためのブラケットとしても機能するものであるから、部品点数を削減することができて軽量化を図ることができると共にコストも低減できるし、さらには取付作業性も向上させることができて生産性を向上することができる。また、インストルメントパネルは、その両側板部が一対のサイドブラケットの張出部の少なくとも一部を外側から挟み込んだ状態に配置されてサイドブラケットに取付固定されているから、インストルメントパネルの取付剛性が十分に得られるものとなり、これによりインストルメントパネルによる振動や騒音を十分に抑制することができる。更に、ステアリングサポートビームの両端部にサイドブラケットの嵌合部が外嵌めされて固着されているから、サイドブラケットは、ステアリングサポートビームに対して強固かつ安定状態に固着される。
【0027】
[4]の発明では、インストルメントパネルのパネル本体部の両端縁部の内面形状は、サイドブラケットの張出部の外周面の形状に略適合した形状を有し、インストルメントパネルのパネル本体部の両端縁部の内面は、サイドブラケットの張出部の外周面に略適合状態に当接して配置されているから、インストルメントパネルを取り付ける際の位置合わせが容易になり取付作業性が向上すると共に、インストルメントパネルはサイドブラケットに対して適性位置に精度高く取付固定され得る。
【0028】
[5]の発明では、サイドブラケットの張出部に複数個のインストルメントパネル固定用孔が穿設される一方、インストルメントパネルの両側板部にそれぞれ複数個の挿通孔が穿設され、ボルト等の固着手段が挿通孔及び固定用孔を挿通して固着されることによってインストルメントパネルが前記サイドブラケットに取付固定されているから、インストルメントパネルがステアリングサポートビームに対して強固かつ安定状態に取付固定される。
【0029】
[6]の発明では、サイドブラケットの張出部の外周面に複数個のインストルメントパネル固定用孔が穿設される一方、インストルメントパネルのパネル本体部の両端縁部にそれぞれ複数個の挿通孔が穿設され、ボルト等の固着手段が挿通孔及び固定用孔を挿通して固着されることによってインストルメントパネルがサイドブラケットに取付固定されているから、インストルメントパネルがステアリングサポートビームに対して強固かつ安定状態に取付固定される。
【0030】
[7]の発明では、サイドブラケットにおけるインストルメントパネルの側板部で覆われていない非被覆領域に複数個の車体取付用孔が設けられているから、ステアリングサポートビームの車体への取付作業性を向上させることができる。
【0031】
[8]の発明では、サイドブラケットの張出部に1ないし複数の中空部が設けられているから、より軽量化を図ることができる利点がある。
【0032】
[9]の発明では、サイドブラケットの張出部は、外周枠部と、該外周枠部と嵌合部とを連結する複数の連結杆とを備えた構成であるから、サイドブラケットの強度を向上させることができる。
【0033】
[10]の発明では、連結杆は、嵌合部から外周枠部に向けて放射状に延ばされて該外周枠部に連結されているから、サイドブラケットの強度をより一層向上させることができる。
【0034】
[11]の発明では、一対のサイドブラケットは、互いに同一形状で同一大きさに構成されているから、左右一対のサイドブラケットを共用することができ、さらにコストの低減を図ることができる。
【0035】
[12]の発明では、サイドブラケットは押出材または射出成形材からなる構成であるので、生産性を向上させることができてコストをさらに低減することができる。
【0036】
[13]の発明では、サイドブラケットは軽金属またはその合金からなるので、十分な軽量性を確保することができる。
【0037】
[14]の発明では、サイドブラケットはアルミニウムからなるので、優れた軽量性を確保することができる。
【0038】
[15]の発明では、サイドブラケットは合成樹脂からなるので、優れた軽量性を確保することができる。
【0039】
[16]の発明では、サイドブラケットは軽金属またはその合金の鋳造材からなる構成であるので、サイドブラケットの強度をさらに向上させることができる。
【0040】
[17]の発明では、インストルメントパネルの振動や騒音を十分に抑制することのできる、軽量で低コストの車両が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
この発明に係るインストルメントパネル取付構造体(車体前部構造体)の一実施形態を図1、3に示す。本実施形態のインストルメントパネル取付構造体(1)は、自動車内の前部に配設されるインストルメントパネル取付構造体である。これらの図において、(2)はステアリングサポートビーム、(3)(7)はサイドブラケット、(30)はインストルメントパネルである。
【0042】
前記ステアリングサポートビーム(2)は、長尺円筒状の押出材からなる。図3に示すように、前記ステアリングサポートビーム(2)の軸線方向の中間部にエアバッグユニット取付用ブラケット(20)、取付用センターブラケット(26)(26)及びステアリング取付用ブラケット(23)が溶接により固着され、また前記ステアリングサポートビーム(2)の一端部にサイドブラケット(3)が溶接により固着され、更に前記ステアリングサポートビーム(2)の他端部にサイドブラケット(7)が溶接により固着されている。
【0043】
前記エアバッグユニット取付用ブラケット(20)は、図3に示すように、前記ステアリングサポートビーム(2)に外嵌め可能な円筒状の嵌合部(21)と、該嵌合部(21)の外周面から外方に向けて突設された取付部(22)とからなる。
【0044】
また、ステアリング取付用ブラケット(23)は、図3に示すように、前記ステアリングサポートビーム(2)に外嵌め可能な円筒状の嵌合部(24)と、該嵌合部(24)の外周面から外方に向けて突設された取付部(25)とからなる。
【0045】
また、取付用センターブラケット(26)は、図3に示すように、前記ステアリングサポートビーム(2)(2)に外嵌め可能な円筒状の嵌合部(27)と、該嵌合部(27)の外周面から外方に向けて突設された突出部(28)とからなり、該突出部(28)から長尺のセンターステー(29)が延設されている。
【0046】
前記サイドブラケット(3)は、図3、4に示すように、前記ステアリングサポートビーム(2)に外嵌め可能な円筒状の嵌合部(4)と、該嵌合部(4)の一部から外方に向けて延ばされた略板状の張出部(5)とを備えている。前記張出部(5)は、両端が前記嵌合部(4)に接合された外周枠部(5a)と、該外周枠部(5a)と前記嵌合部(4)とを連結する連結杆(5b)(5b)(5b)(5b)とを備えてなり、このような構造によって前記張出部(5)に中空部(16)(16)(16)(16)(16)(16)(16)が形成されている。
【0047】
前記サイドブラケット(3)の張出部(5)の連結杆(5b)(5b)(5b)(5b)には、それぞれインストルメントパネル固定用孔(12)(12)(12)(12)が穿設されている(図3、4参照)。また、前記サイドブラケット(3)には、複数個の車体取付用孔(11)(11)(11)(11)が設けられている(図3、4参照)。
【0048】
また、前記サイドブラケット(7)は、前記サイドブラケット(3)と同一形状でかつ同一大きさである。即ち図3に示すように、前記ステアリングサポートビーム(2)に外嵌め可能な円筒状の嵌合部(8)と、該嵌合部(8)の一部から外方に向けて延ばされた略板状の張出部(9)とを備えている。前記張出部(9)は、両端が前記嵌合部(8)に接合された外周枠部(9a)と、該外周枠部(9a)と前記嵌合部(8)とを連結する連結杆(9b)(9b)(9b)(9b)とを備えてなり、このような構造によって前記張出部(9)に中空部(16)(16)(16)(16)(16)(16)(16)が形成されている。前記サイドブラケット(7)の張出部(9)の連結杆(9b)(9b)(9b)(9b)には、それぞれインストルメントパネル固定用孔(12)(12)(12)(12)が穿設されている(図3参照)。また、前記サイドブラケット(7)には、複数個の車体取付用孔(11)(11)(11)(11)が設けられている(図3参照)。
【0049】
なお、上記ブラケット(3)(7)(20)(23)(26)はいずれも押出材からなる。
【0050】
一方、前記インストルメントパネル(30)は、図3に示すように、パネル本体部(31)の両端部から背面側(内面側)に向けて側板部(32)(33)が延ばされた構成からなる。前記パネル本体部(31)には、助手席正面側のボックス、エアコン用の送風用開口部などが形成されている。前記パネル本体部(31)の両端縁部の内面(裏面)形状は、前記サイドブラケット(3)(7)の張出部(5)(9)の外周面(6)(10)の形状に略適合した形状を有している。また、前記側板部(32)(33)は、いずれも前記サイドブラケット(3)(7)の張出部(5)(9)の大部分を覆うことができる大きさ及び形状に形成されている。更に、前記インストルメントパネル(30)の側板部(32)(33)には、それぞれ複数個の挿通孔(13)(13)(13)(13)が穿設されている(図3参照)。
【0051】
しかして、図3に示すように、前記ステアリングサポートビーム(2)の一端部にサイドブラケット(3)の嵌合部(4)が外嵌めされて溶接により固着されている。また、前記ステアリングサポートビーム(2)の他端部にサイドブラケット(7)の嵌合部(8)が外嵌めされて溶接により固着されている。更に、前記ステアリングサポートビーム(2)の中間部に、前記エアバッグユニット取付用ブラケット(20)の嵌合部(21)、前記取付用センターブラケット(26)(26)の嵌合部(27)(27)及び前記ステアリング取付用ブラケット(23)の嵌合部(24)がそれぞれ外嵌めされて溶接により固着されている。なお、前記取付用センターブラケット(26)の突出部(28)から長尺のセンターステー(29)が下方に向けて延設されている。
【0052】
更に、前記インストルメントパネル(30)は、図1に示すように、その両端の側板部(32)(33)が前記左右一対のサイドブラケット(3)(7)の張出部(5)(9)の一部を外側から挟み込んだ状態に配置され、この状態で前記サイドブラケット(3)(7)に取付固定されている。即ち、前記インストルメントパネル(30)は、その両端の側板部(32)(33)が前記左右一対のサイドブラケット(3)(7)の張出部(5)(9)の外側の側面(15)(15)の一部に当接した状態に配置され、この状態で前記サイドブラケット(3)(7)に取付固定されている。ボルト等の固着手段(14)が前記インストルメントパネル(30)の側板部(32)(33)の挿通孔(13)…及び前記サイドブラケット(3)(7)の連結杆(5b)(9b)の固定用孔(12)…に挿通されて固定されることによって、前記インストルメントパネル(30)が前記サイドブラケット(3)(7)に取付固定されている。
【0053】
そして、前記パネル本体部(31)の両端縁部の内面形状は、前記サイドブラケット(3)(7)の張出部(5)(9)の外周面(6)(10)の形状に略適合した形状を有しているから、前記取付時には、前記インストルメントパネル(30)のパネル本体部(31)の両端縁部の内面は、前記サイドブラケット(3)(7)の張出部(5)(9)の外周面(6)(10)に略適合状態に当接して配置されるものとなり、これにより前記インストルメントパネル(30)を前記サイドブラケット(3)(7)に対して適性位置に精度高く取付固定することが可能となると共に、インストルメントパネル(30)の振動や騒音もより効果的に防止できる。
【0054】
前記サイドブラケット(3)の複数個の車体取付用孔(11)(11)(11)(11)は、図1に示すように、前記サイドブラケット(3)におけるインストルメントパネル(30)の側板部(32)で覆われていない非被覆領域に設けられている。前記もう一方のサイドブラケット(7)の複数個の車体取付用孔(11)(11)(11)(11)についても同様にサイドブラケット(7)におけるインストルメントパネル(30)の側板部(33)で覆われていない非被覆領域に設けられている(図2参照)。
【0055】
前記一対のセンターステー(29)(29)は、いずれもその下端部が車室底部に固定される。また、前記一端側サイドブラケット(3)は、その車体取付用孔(11)(11)(11)(11)にボルト等の固着手段が挿通されて車体のフロントピラーに固定され、更に他端側のサイドブラケット(7)も、その車体取付用孔(11)(11)(11)(11)にボルト等の固着手段が挿通されて車体のフロントピラーに固定されることによって、前記ステアリングサポートビーム(1)は車体に対して安定状態にかつ強固に固着されると共に、前記サイドブラケット(3)(7)に取付固定された前記インストルメントパネル(30)も安定状態にかつ強固に固定されるものとなる。
【0056】
上記実施形態のインストルメントパネル取付構造体(1)では、ステアリングサポートビーム(2)を車体に取付けるのに用いられるサイドブラケット(3)(7)は、インストルメントパネル(30)をステアリングサポートビーム(2)に取付けるためのブラケットとしても機能するものであるから、部品点数を削減することができて軽量化を図ることができると共にコストも低減できるし、さらには取付作業性も向上させることができて生産性を向上することができる。
【0057】
また、インストルメントパネル(30)は、その両側板部(32)(33)が一対のサイドブラケット(3)(7)の張出部(5)(9)の少なくとも一部を外側から挟み込んだ状態に配置されてサイドブラケット(3)(7)に取付固定されているから、インストルメントパネル(30)の取付剛性が十分に得られるものとなり、これによりインストルメントパネル(30)による振動や騒音を十分に抑制することができる。
【0058】
上記実施形態では、ボルト等の固着手段(14)が前記インストルメントパネル(30)の側板部(32)(33)の挿通孔(13)…及び前記サイドブラケット(3)(7)の連結杆(5b)(9b)の固定用孔(12)…に挿通されて固定されることによって、前記インストルメントパネル(30)が前記サイドブラケット(3)(7)に取付固定されているが、特にこのような取付固定態様に限定されるものではない。例えば図6に示すように、前記サイドブラケット(3)の張出部(5)の外周面(6)に、即ち外周枠部(5a)に複数個のインストルメントパネル固定用孔(12)(12)(12)(12)(12)が穿設される一方、他方のサイドブラケット(7)の張出部(9)の外周面(10)にも、即ち外周枠部(9a)にも複数個のインストルメントパネル固定用孔(12)(12)(12)(12)(12)が穿設され、図5に示すように前記パネル本体部(31)の両端縁部にそれぞれ複数個の挿通孔(13)(13)(13)(13)(13)が穿設された構成を採用し、ボルト等の固着手段(14)が前記インストルメントパネル(30)のパネル本体部(31)の挿通孔(13)…及び前記サイドブラケット(3)(7)の外周面の固定用孔(12)…に挿通されて固定されることによって、前記インストルメントパネル(30)が前記サイドブラケット(3)(7)に取付固定されるようにしても良い。
【0059】
上記実施形態では、インストルメントパネル(30)は、その両側板部(32)(33)が一対のサイドブラケット(3)(7)の張出部(5)(9)の一部を外側から挟み込んだ状態に配置されてサイドブラケット(3)(7)に取付固定されているが、特にこのような構成に限定されるものではなく、例えばインストルメントパネル(30)は、その両側板部(32)(33)が一対のサイドブラケット(3)(7)の張出部(5)(9)の内側の側面に当接した状態に配置されてサイドブラケット(3)(7)に取付固定された構成を採用しても良い、即ちインストルメントパネルの両側板部(32)(33)が一対のサイドブラケット(3)(7)の張出部(5)(9)に対して内嵌め状態に配置されて取付固定された構成を採用しても良い。或いはまた、インストルメントパネルの一方の側板部(32)が一方のサイドブラケット(3)の張出部(5)の外側の側面(15)に当接した状態に配置されると共に、もう一方の側板部(33)が他方のサイドブラケット(7)の張出部(9)の内側の側面に当接した状態に配置され、この状態でインストルメントパネル(30)がサイドブラケット(3)(7)に取付固定された構成を採用しても良い。
【0060】
上記実施形態では、ステアリングサポートビーム(2)は、円筒状に形成されているが、特にこのような形状に限定されるものではなく、例えば六角形等の多角形状や楕円状、その他の異形断面形状に形成されていても良い。例えばステアリングサポートビーム(2)が多角形状である場合には、前記ブラケットの嵌合部は、この多角形状のステアリングサポートビーム(2)に外嵌め可能な多角形状に構成すれば良い。
【0061】
また、上記実施形態では、ステアリングサポートビーム(2)及びブラケット(3)(7)(20)(23)(26)のいずれもが押出材からなる構成が採用されているが、特にこのような構成に限定されるものではない。例えば、ステアリングサポートビーム(2)やブラケット(3)(7)(20)(23)(26)は射出成形材によって形成されていても良い。或いは、前記ブラケット(3)(7)(20)(23)(26)は軽金属またはその合金の鋳造材からなる構成であっても良い。
【0062】
前記ブラケット(3)(7)(20)(23)(26)は、軽金属またはその合金の押出材または射出成形材からなるのが好ましく、この場合には軽量化を図ることができる。中でも、前記ブラケットはアルミニウムの押出材または射出成形材からなるのが特に好ましい。
【0063】
或いはまた、前記ブラケット(3)(7)(20)(23)(26)は、合成樹脂の押出材または射出成形材からなるのが好ましく、この場合にはさらに軽量化を図ることができる。
【0064】
この発明において、前記ブラケット(3)(7)(20)(23)(26)を前記ステアリングサポートビーム(2)に固着する手法は、特に限定されない。例えば接着剤で固着しても良いし、TIG溶接、MIG溶接等の溶接により固着しても良いし、或いは摩擦撹拌接合法により固相接合して固着しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】この発明の一実施形態に係るインストルメントパネル取付構造体を示す斜視図である。
【図2】図1におけるX−X線の断面図である。
【図3】図1のインストルメントパネル取付構造体を分離状態で示す斜視図である。
【図4】サイドブラケットを示す側面図である。
【図5】他の実施形態に係るインストルメントパネル取付構造体を分離状態で示す斜視図である。
【図6】図5で用いたサイドブラケットを示す側面図である。
【符号の説明】
【0066】
1…インストルメントパネル取付構造体
2…ステアリングサポートビーム
3…サイドブラケット
4…嵌合部
5…張出部
5a…外周枠部
5b…連結杆
6…外周面
7…サイドブラケット
8…嵌合部
9…張出部
9a…外周枠部
9b…連結杆
10…外周面
11…車体取付用孔
12…インストルメントパネル固定用孔
13…挿通孔
14…固着手段
15…張出部の外側側面
30…インストルメントパネル
31…パネル本体部
32…側板部
33…側板部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のステアリングサポートビームと、
パネル本体部及び該パネル本体部の両端部から延ばされた側板部を有したインストルメントパネルと、
該インストルメントパネルの側板部に当接される張出部を有したサイドブラケットとを備えてなり、
前記ステアリングサポートビームの両端部にそれぞれ前記サイドブラケットが固着されるとともに、前記インストルメントパネルは、その両側板部が前記一対のサイドブラケットの張出部の側面に当接した状態に配置されて前記サイドブラケットに取付固定されていることを特徴とするインストルメントパネル取付構造体。
【請求項2】
筒状のステアリングサポートビームと、
パネル本体部及び該パネル本体部の両端部から延ばされた側板部を有したインストルメントパネルと、
該インストルメントパネルの側板部に当接される張出部を有したサイドブラケットとを備えてなり、
前記ステアリングサポートビームの両端部にそれぞれ前記サイドブラケットが固着されるとともに、前記インストルメントパネルは、その両側板部が前記一対のサイドブラケットの張出部の少なくとも一部を外側から挟み込んだ状態に配置されて前記サイドブラケットに取付固定されていることを特徴とするインストルメントパネル取付構造体。
【請求項3】
筒状のステアリングサポートビームと、
該ステアリングサポートビームに外嵌め可能な嵌合部を有すると共に該嵌合部の少なくとも一部から外方に向けて延ばされた張出部を有したサイドブラケットと、
パネル本体部及び該パネル本体部の両端部から延ばされた側板部を有したインストルメントパネルとを備えてなり、
前記ステアリングサポートビームの両端部にそれぞれ前記サイドブラケットの嵌合部が外嵌めされて固着されるとともに、前記インストルメントパネルは、その両側板部が前記一対のサイドブラケットの張出部の少なくとも一部を外側から挟み込んだ状態に配置されて前記サイドブラケットに取付固定されていることを特徴とするインストルメントパネル取付構造体。
【請求項4】
前記インストルメントパネルのパネル本体部の両端縁部の内面形状は、前記サイドブラケットの張出部の外周面の形状に略適合した形状を有し、前記インストルメントパネルのパネル本体部の両端縁部の内面は、前記サイドブラケットの張出部の外周面に略適合状態に当接して配置されている請求項1〜3のいずれか1項に記載のインストルメントパネル取付構造体。
【請求項5】
前記サイドブラケットの張出部に複数個のインストルメントパネル固定用孔が穿設される一方、前記インストルメントパネルの両側板部にそれぞれ複数個の挿通孔が穿設され、ボルト等の固着手段が前記挿通孔及び前記固定用孔を挿通して固着されることによって、前記インストルメントパネルが前記サイドブラケットに取付固定されている請求項1〜4のいずれか1項に記載のインストルメントパネル取付構造体。
【請求項6】
前記サイドブラケットの張出部の外周面に複数個のインストルメントパネル固定用孔が穿設される一方、前記インストルメントパネルのパネル本体部の両端縁部にそれぞれ複数個の挿通孔が穿設され、ボルト等の固着手段が前記挿通孔及び前記固定用孔を挿通して固着されることによって、前記インストルメントパネルが前記サイドブラケットに取付固定されている請求項1〜4のいずれか1項に記載のインストルメントパネル取付構造体。
【請求項7】
前記サイドブラケットにおける前記インストルメントパネルの側板部で覆われていない非被覆領域に、複数個の車体取付用孔が設けられている請求項1〜6のいずれか1項に記載のインストルメントパネル取付構造体。
【請求項8】
前記サイドブラケットの張出部に1ないし複数の中空部が設けられている請求項1〜7のいずれか1項に記載のインストルメントパネル取付構造体。
【請求項9】
前記サイドブラケットの張出部は、外周枠部と、該外周枠部と前記嵌合部とを連結する複数の連結杆とを備えている請求項8に記載のインストルメントパネル取付構造体。
【請求項10】
前記連結杆は、前記嵌合部から前記外周枠部に向けて放射状に延ばされて該外周枠部に連結されている請求項9に記載のインストルメントパネル取付構造体。
【請求項11】
前記一対のサイドブラケットは、互いに同一形状で同一大きさである請求項1〜10のいずれか1項に記載のインストルメントパネル取付構造体。
【請求項12】
前記サイドブラケットは、押出材または射出成形材からなる請求項1〜11のいずれか1項に記載のインストルメントパネル取付構造体。
【請求項13】
前記サイドブラケットは、軽金属またはその合金からなる請求項12に記載のインストルメントパネル取付構造体。
【請求項14】
前記サイドブラケットは、アルミニウムからなる請求項12に記載のインストルメントパネル取付構造体。
【請求項15】
前記サイドブラケットは、合成樹脂からなる請求項12に記載のインストルメントパネル取付構造体。
【請求項16】
前記サイドブラケットは、軽金属またはその合金の鋳造材からなる請求項1〜11のいずれか1項に記載のインストルメントパネル取付構造体。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか1項に記載のインストルメントパネル取付構造体を有する車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−8113(P2006−8113A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−147536(P2005−147536)
【出願日】平成17年5月20日(2005.5.20)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】