説明

ウェット処理装置及びウェット処理方法

【課題】処理槽の気液界面にパーティクルを滞留させることなく、半導体ウェハの洗浄やエッチングなどをクリーンな状態で行うことができるウェット処理装置を提供する。
【解決手段】本発明のウェット処理装置1は、処理液を貯留して、ウェハWを処理液に浸漬させながら保持することができる処理槽2と、処理槽2の第1の側壁3側に吐出口4aを備えた処理液供給機構4と、第1の側壁3と対面している第2の側壁5に排出口6とを備え、吐出口4aから処理液を吐出した後、排出口6からその処理液を排出できることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェット処理装置に関するものであり、詳しくは、パーティクルの再付着を防ぎながら、半導体デバイスの洗浄やエッチングなどをクリーンな状態で行うことができるウェット処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体ウェハを洗浄するプロセスでは、大容量槽を用いたバッチ処理が行われる。
バッチ式洗浄槽の一例構造として、図6の(a)に示すように、ウェハを洗浄、リンス処理する処理槽2Cに、薬液あるいは純水を導入する配管12が接続されており、処理槽2Cの底面あるいは側面には、配管12と連結している処理液供給機構14を備え、処理槽2Cの下部あるいは横方向から所定の流量、流速をもって処理液供給機構14の吐出口14aから処理液を噴出し、上部の開口部8からオーバーフローをさせて廃液、あるいは配管12を外槽9の底部と連結し、配管12に設けられた循環ポンプ10及びフィルタ11を介して処理液を循環させる方式である。
ウェハWを洗浄処理する際、洗浄用の薬液、水の流れは処理槽2C下部、あるいは横から上部の方向へ向かい、図6の(b)に示すように、気液界面に達した液がオーバーフローにより槽外に排出されるが、ウェハWから発生したパーティクルDは、槽内の液流にのって槽上部の気液界面まで運ばれるものの、図6の(c)に示すように、気液界面で滞留しやすく外に排出されにくい。
図6の(d)に示すように、洗浄後のウェハWを引き上げ、次のウェハWを入れる際、この気液界面を通過させて出し入れするため、気液界面にとどまったパーティクルDはウェハWがそこを通過する際、再度ウェハWにパーティクルDが付着してしまい、このままウェハを半導体製造工程に供すると、欠陥を引き起こすことが多かった。
【0003】
従来は、この気液界面のパーティクルD排出のために、薬液、水のオーバーフロー量を増加させたり、図7の(a)に示すように、処理槽2Dの開口部8Aに切欠8aを入れてオーバーフローする薬液が効率よく排出しやすくさせたウェット処理装置1Dや、図7の(b)に示すように、処理槽2Eの中でウェハWを揺動させることで排出効果を高めたウェット処理装置1Eなどの工夫がされたりしたが、実際の効果は低かった。
バッチ式処理槽の液流を制御しようとする試みとして、以下の特許文献1には、洗浄槽内にウェハを収納するキャリアを設け、キャリアの底部に設けたスノコ穴から洗浄液を供給し、キャリアの上方や洗浄層の側壁の穴から洗浄液を排出する洗浄装置が記載されている。
また、以下の特許文献2には、図7の(c)に示すように、処理槽2Fの側面及び底面に、吐出口15aを設けた処理液供給機構15を備え、処理槽2Fの底部16から処理液を供給しながら、吐出口15aから供給する処理液で槽内に乱流をおこすことで、オーバーフローしやすくする工夫がなされたウェット処理装置1Fが記載されている。
また、以下の特許文献3には、貯留している洗浄液の液面の上方と液面下にシャワーノズルを設け、ウェハの上方から洗浄液を供給し、洗浄槽の底部に設けた吸い込み口から排出することで、洗浄液の流れを制御する洗浄装置が記載されている。
【特許文献1】特開平2−44727号公報
【特許文献2】特開平6−53205号公報
【特許文献3】特開2000−173962号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の方法を用いた従来装置では、依然としてパーティクルが効率的に排出されていないため、気液界面に滞留するパーティクルがやはりウェハを槽から引き上げる時に再付着してしまう。そのため、このパーティクル再付着が原因となる不良、歩留まり低下が発生してしまうという課題が存在していた。
特許文献1に記載の浄装置では、洗浄液の流れが下から上であるため、従来と同様に気液界面にパーティクルが滞留する。
特許文献2に記載のウェット処理装置では、吐出をいろいろな方向から行っているが、あくまでも液は重力によるオーバーフローで排出されることからその効果が十分ではなく、かつ気液界面方向への排出になるため、滞留するパーティクルは多く発生してしまう。
特許文献3に記載の洗浄装置では、洗浄液の流れは上から下であるが、軽いパーティクルは洗浄槽下部まで沈みにくい。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、処理槽の気液界面にパーティクルを滞留させることなく、半導体ウェハの洗浄やエッチングなどをクリーンな状態で行うことができるウェット処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明のウェット処理装置は、処理液を貯留して、ウェハを前記処理液に浸漬させながら保持することができる処理槽と、前記処理槽の上部に前記ウェハを出し入れする開口部と、前記処理槽の第1の側壁側に吐出口を備えた処理液供給機構とを備え、前記吐出口から吐出された前記処理液を排出する排出口を、前記第1の側壁と対面している第2の側壁側に設け、前記吐出口と前記排出口が横向きに対面していることを特徴とする。
【0007】
また、本発明のウェット処理装置は、前記開口部からオーバーフローする処理液を貯留する外層を、前記開口部周縁を囲むように設け、貯留された前記処理液を循環させるポンプと前記処理液を濾過するフィルタとを備えた配管を、前記外槽の底部と前記処理液供給機構に連結させたこととした。
【0008】
また、本発明のウェット処理装置は、前記排出口に、前記処理液を強制的に排出する排出ポンプが連結されていることとした。
【0009】
また、本発明のウェット処理装置は、前記第1の側壁と前記第2の側壁に、前記吐出口の上方に同じ高さで補助吐出口を設け、前記補助吐出口の吐出方向が前記開口部の気液界面方向であることとした。
【0010】
また、本発明のウェット処理装置は、前記開口部を、前記処理液の横向きの液流と垂直方向に前記ウェハを出し入れできる位置に設けたこととした。
【0011】
また、本発明のウェット処理装置は、前記吐出口から前記排出口に流れる横向きの液流の水圧が、前記パーティクルの浮力よりも強いこととした。
【0012】
本発明のウェット処理方法は、処理槽内に処理液に貯留し、前記処理槽の第1の側壁側に設けた処理液供給機構の吐出口から、前記処理液を吐出した後、前記第1の側壁と対面している第2の側壁に設けた排出口からその処理液を排出して、前記処理液に横向きの液流をつくり、前記処理槽の上部に設けた開口部からウェハを入れて前記処理液に浸漬させながら前記処理槽内に保持し、前記ウェハに付着しているパーティクルを前記液流によって除去し、前記開口部における気液界面方向に前記パーティクルを滞留させずにウェット処理を行うことを特徴とする。
【0013】
また、本発明のウェット処理方法は、前記処理槽の開口部からオーバーフローした処理液を、前記開口部周縁を囲むように設けた外槽に貯留した後、フィルタとポンプを備えた配管を通して循環させ、前記処理液に含まれた前記パーティクルを前記フィルタで除去した後、前記外槽の底部と連結した前記吐出口から吐出することとした。
【0014】
また、本発明のウェット処理方法は、前記排出口に連結された排出ポンプによって、前記処理液を強制的に排出しながらウェット処理を行なうこととした。
【0015】
また、本発明のウェット処理方法は、ウェット処理終了時、前記ウェハを前記処理槽から引き上げる直前において、前記第1の側壁と前記第2の側壁に、前記吐出口の上方に同じ高さで設けた補助吐出口から、吐出方向を前記開口部の気液界面方向として処理液を吐出することとした。
【発明の効果】
【0016】
本発明のウェット処理装置よれば、処理液を貯留して、ウェハを前記処理液に浸漬させながら保持することができる処理槽と、前記処理槽の上部に前記ウェハを出し入れする開口部と、前記処理槽の第1の側壁側に吐出口を備えた処理液供給機構とを備え、前記吐出口から吐出された前記処理液を排出する排出口を、前記第1の側壁と対面している第2の側壁側に設け、前記吐出口と前記排出口が横向きに対面していることで、処理液の液流が水平方向となり、処理液よりも比重の軽いパーティクルが浮力により気液界面方向に上昇することを、液流の水圧によって防ぐことができる。
【0017】
また、前記開口部からオーバーフローする処理液を貯留する外層を、前記開口部周縁を囲むように設け、貯留された前記処理液を循環させるポンプと前記処理液を濾過するフィルタとを備えた配管を、前記外槽の底部と前記処理液供給機構に連結させたことで、一度ウェット処理に用いた処理液も、フィルタでパーティクルを取り除きながら、ポンプによって循環させて再利用できるため効率が良い。
【0018】
また、前記排出口に、前記処理液を強制的に排出する排出ポンプが連結されていることで、液流を強制的に制御することができ、パーティクルの上昇をより防ぎながら、乱流を低減させ、ウェットエッチングや、リンス効果の面内均一性を向上がはかれる。
【0019】
また、前記第1の側壁と前記第2の側壁に、前記吐出口の上方に同じ高さで補助吐出口を設け、前記補助吐出口の吐出方向が前記開口部の気液界面方向であることで、ウェハを処理槽から引き上げる直前において、補助吐出口から吐出される処理液が、気液界面のわずかなパーティクルを強制的にオーバーフローさせるので、パーティクルの再付着を防ぐ効果が高まる。
【0020】
また、前記開口部は、前記処理液の横向きの液流と垂直方向に前記ウェハを出し入れできる位置に設けたことで、処理液によって除去されたパーティクルの流れる方向と垂直であるため、ウェハ引き上げ時にパーティクルが再付着しにくくなる。
【0021】
また、前記吐出口から前記排出口に流れる横向きの液流の水圧が、前記パーティクルの浮力よりも強いことで、パーティクルが処理液中を上昇しないため、気液界面にパーティクルが滞留させることがなく、ウェハ引き上げ時もパーティクルを引っ掛けることなく液外に出すことができる。
【0022】
本発明のウェット処理方法によれば、処理槽内に処理液に貯留し、前記処理槽の第1の側壁側に設けた処理液供給機構の吐出口から、前記処理液を吐出した後、前記第1の側壁と対面している第2の側壁に設けた排出口からその処理液を排出して、前記処理液に横向きの液流をつくり、前記処理槽の上部に設けた開口部からウェハを入れて前記処理液に浸漬させながら前記処理槽内に保持し、前記ウェハに付着しているパーティクルを前記液流によって除去し、前記開口部における気液界面方向に前記パーティクルを滞留させずにウェット処理を行うことで、ウェット処理後のウェハを引き上げる時に通る気液界面にパーティクルが滞留する状況を作らないため、ウェハ引き上げ時もパーティクルを引っ掛けることなく液外に出すことができる。
【0023】
また、前記処理槽の開口部からオーバーフローした処理液を、前記開口部周縁を囲むように設けた外槽に貯留した後、フィルタとポンプを備えた配管を通して循環させ、前記処理液に含まれたパーティクルを前記フィルタで除去した後、前記外槽の底部と連結した前記吐出口から吐出することで、一度ウェット処理に用いた処理液もパーティクルを取り除きながら循環させて再利用できるため効率が良い。
【0024】
また、前記排出口に連結された排出ポンプによって、前記処理液を強制的に排出しながらウェット処理を行なうことで、処理液の液流を強制的に制御しながらウェット処理することができ、乱流を低減させ、ウェットエッチングや、リンス効果の面内均一性の向上がはかれる。
【0025】
また、ウェット処理終了時、前記ウェハを前記処理槽から引き上げる直前において、前記第1の側壁と前記第2の側壁に、前記吐出口の上方に同じ高さで設けた補助吐出口から、吐出方向を前記開口部の気液界面方向として処理液を吐出することで、補助吐出口から吐出される処理液が、気液界面のわずかなパーティクルを強制的にオーバーフローさせるので、パーティクルの再付着を防ぐ効果が高まる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態例について図面を参照して説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されない。
第1の実施形態として、図1および図2に示すように、ウェット処理装置1は、処理液を貯留して、ウェハWを処理液に浸漬させながら、ウェハWの面を向かい合わせて横に並列に保持することができる処理槽2を備え、ウェハWと直交する方向の処理槽2の第1の側壁3には、複数本からなる円筒型パイプ形状の処理液供給機構4を縦に並列に備え、処理液供給機構4はそれぞれ複数個の吐出口4aを備え、吐出口4aは処理液がウェハWの面に平行かつ水平に流れるように設定され、第1の側壁3と対面している第2の側壁5の中央に排出口6を1つ備えている。
【0027】
処理液供給機構4の形状は、設置が容易で体積をできるだけとらないような形状が好ましく、例えば真円筒型のパイプ形状などにすればよいが、特に限定はない。
処理液供給機構4の配置方法も、供給される処理液の液流が均一となるように配置されていればよく、横に並列などに配置してもよい。また、第1の側壁3に埋め込まれていてもよいし、配管12において処理液供給機構4を連結している部分を内層2の外部に配置してもよく、特に限定はない。
吐出口4aの形状や配置も特に限定はないが、吐出される処理液の液流が均一となるように複数個を等間隔に配置すると好ましく、例えば50枚のウェハWを処理する場合、各ウェハW間に1個ずつ49個の穴を配置し、両外側に2個加え、合わせて51個からなる吐出口4aを設ければよい。
排出口6は、第2の側壁5に吐出口4aと対面するように設けてあればよい。
【0028】
さらに、処理槽2の開口部8周縁を囲むように外槽9を設け、循環ポンプ10とフィルタ11とを備えた配管12は外槽9の底部と吐出口4aとを連結し、処理槽2の開口部8からオーバーフローした処理液を外槽9に貯留した後、配管12を通して処理液を循環させ、再び吐出口4aから吐出する。
処理液は、ウェット処理に応じて薬液や水などを用いることができ、水の場合はオーバーフローした液をそのまま開口部8から排液してもよいが、薬液の場合は外槽9で回収して配管12を通し、フィルタ11でパーティクルDを除去しながら、循環ポンプ10によって循環させて再利用すると経済的であり、好ましい。
【0029】
また、排出口6には処理槽2の外にある排出ポンプ7が連結され、吐出口4aから処理液を吐出して排出ポンプ7で吸引しながら排出口6を介してその処理液を強制的に排出することで、処理槽2内において処理液を水平方向に流すことができる。そして、液流を強制的に制御することによって、乱流を低減させ、ウェットエッチングや、リンス効果の面内均一性の向上がはかれる。
【0030】
第2の実施形態として、図3に示すウェット処理装置1Aでは、処理槽2Aの第1の側壁3と第2の側壁5に、処理液供給機構4の上方に同じ高さで第2の処理液供給機構13を設け、第2の処理液供給機構13には補助吐出口13aを上向きに設け、補助吐出口13aから気液界面方向に処理液を吐出させることで、気液界面のわずかなパーティクルDを強制的にオーバーフローさせることができ、パーティクルDの再付着を防ぐ効果が高まる。
また、第2の処理液供給機構13には、さらに下向吐出口13bを設け、下方に設けた処理液供給機構4の吐出口4aは上向きに設定し、それぞれウェハWの方向に処理液を吐出することで、ウェット処理効果を高めることができる。その他の構造は、第1の実施形態と同じである。
【0031】
また、第3の実施形態として、図4に示すウェット処理装置1Bでは、処理槽2Bの第2の側壁5に、排出口6を縦方向に複数個設けることで、排出効果が高まる。その他の構造は、第1の実施形態と同じである。
【0032】
次に、本発明のウェット処理装置を用いたウェット処理方法について説明する。ウェット処理としては、例えば、半導体のウェハの洗浄、ウェットエッチングなどの用途に用いることができる。
まず、図5の(a)に示すように、ウェハWが浸漬される前に、吐出口4aから処理液を吐出させて水平に流した後、排出口6から強制的に処理液を排出することで、処理槽2内の液流を発生させる。このとき、吐出と吸引を同時に行うか、吸引を先に開始し、吐出を後から開始する。吸引を先に行うことで、パーティクルDが開口部8の気液界面へ排出されることを防ぐ。
続いて、図5の(b)に示すように、ウェハWを浸漬してウェット処理を行なう。ウェット処理時は、液流を水平に保った状態で保持するが、このときウェハWから発生したパーティクルDは液流に運ばれるため、図5の(c)に示すように、ウェハW上部の気液界面に漂うことなく排出口6から排出される。
最後に、図5の(d)に示すように、ウェハWのウェット処理終了時に、ウェハWを処理液から搬出する。このとき、パーティクルDが気液界面に滞留していないことで、ウェハWの引き上げ時にウェハWへのパーティクルDの再付着を防ぐことができる。
【0033】
以上説明したように、本発明のウェット処理装置1、1A、1Bを用いることで、パーティクルDを気液界面に出さず、滞留することを防ぐ。これによりウェハWを出し入れする気液界面にパーティクルが滞留する状況を作らないため、ウェハW引き上げ時も、パーティクルDを引っ掛けることなく液外に出すことができる。
また、開口部8からオーバーフローした処理液を外槽9に貯留した後、配管12を通して循環させ、吐出口4aから吐出することで、一度ウェット処理に用いた処理液も、フィルタ11でパーティクルDを取り除きながら、循環ポンプ10によって循環させて再利用することができる。
【実施例】
【0034】
本発明の実施例について詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。
図1および図2に示されるようなウェット処理装置1を用いて、以下の条件で50枚のウェハWの洗浄を行なった。処理液供給機構4(パイプ)は3本で、真円筒型のパイプ形状であり、各々等間隔に51個の吐出口4aが設けられている。
【0035】
図5の(a)に示すように、ウェハWが浸漬される前に、吐出口4aから洗浄液を吐出させて水平に流した後、排出口6から強制的に洗浄液を排出し、処理槽2内の液流を発生させた。このとき、吸引を先に開始し、吐出を後から開始した。
続いて、図5の(b)に示すように、ウェハWを浸漬してウェハWの洗浄を行った。洗浄時の液流は水平に保った状態で保持し、ウェハWから発生したパーティクルDは液流に運ばせ、図5の(c)に示すように、ウェハW上部の気液界面に漂うことなく排出口6から排出した。
最後に、図5の(d)に示すように、ウェハWの洗浄終了時に、ウェハWを洗浄液から引き上げ搬出した。50枚のウェハWで繰り返したが、パーティクルDの付着は見られなかった。このとき、パーティクルDが気液界面に滞留していないことで、ウェハWの引き上げ時にウェハWへのパーティクルDの再付着を防ぐことができた。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の活用例として、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の半導体デバイスの洗浄やエッチングが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1の実施形態の係るウェット処理装置の透視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るウェット処理装置の断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係るウェット処理装置の断面図である。
【図4】本発明の第3の実施形態に係るウェット処理装置の断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係るウェット処理方法について説明するものであり、(a)は液流を発生させている状態を示す工程断面図、(b)はウェハを浸漬させた状態を示す工程断面図、(c)はパーティクルを排出口から排出している状態を示す工程断面図、(d)はウェハを処理槽から引き上げる状態を示す工程断面図である。
【図6】従来例のウェット処理装置とウェット処理方法について説明するものであり、(a)は液流を発生させている状態を示す工程断面図、(b)はウェハを浸漬させた状態を示す工程断面図、(c)はパーティクルが気液界面に滞留している状態を示す工程断面図、(d)はウェハを処理槽から引き上げる状態を示す工程断面図である。
【図7】従来のウェット処理装置とウェット処理方法における改良例を示すものであり、(a)は処理槽の開口部にきりかけを有する装置の斜視図であり、(b)は処理液中でウェハを揺動する装置の断面図であり、(c)は処理槽の側壁と底部に吐出口を有する装置の断面図である。
【符号の説明】
【0038】
1…ウェット処理装置、2…処理槽、3…第1の側壁、4…処理液供給機構、4a…吐出口、5…第2の側壁、6…排出口、7…排出ポンプ、8…開口部、9…外槽、10…循環ポンプ、11…フィルタ、12…配管、13…第2の処理液供給機構、13a…補助吐出口、13b…下向吐出口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理液を貯留して、ウェハを前記処理液に浸漬させながら保持することができる処理槽と、前記処理槽の上部に前記ウェハを出し入れする開口部と、前記処理槽の第1の側壁側に吐出口を備えた処理液供給機構とを備え、前記吐出口から吐出された前記処理液を排出する排出口を、前記第1の側壁と対面している第2の側壁側に設け、前記吐出口と前記排出口が横向きに対面していることを特徴とするウェット処理装置。
【請求項2】
前記開口部からオーバーフローする処理液を貯留する外層を、前記開口部周縁を囲むように設け、貯留された前記処理液を循環させるポンプと前記処理液を濾過するフィルタとを備えた配管を、前記外槽の底部と前記処理液供給機構に連結させたことを特徴とする請求項1記載のウェット処理装置。
【請求項3】
前記排出口に、前記処理液を強制的に排出する排出ポンプが連結されていることを特徴とする請求項1または2に記載のウェット処理装置。
【請求項4】
前記第1の側壁と前記第2の側壁に、前記吐出口の上方に同じ高さで補助吐出口を設け、前記補助吐出口の吐出方向が前記開口部の気液界面方向であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のウェット処理装置。
【請求項5】
前記開口部は、前記処理液の横向きの液流と垂直方向に前記ウェハを出し入れできる位置に設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のウェット処理装置。
【請求項6】
前記吐出口から前記排出口に流れる横向きの液流の水圧が、前記パーティクルの浮力よりも強いことを特徴とするウェット処理装置。
【請求項7】
処理槽内に処理液に貯留し、前記処理槽の第1の側壁側に設けた処理液供給機構の吐出口から、前記処理液を吐出した後、前記第1の側壁と対面している第2の側壁に設けた排出口からその処理液を排出して、前記処理液に横向きの液流をつくり、前記処理槽の上部に設けた開口部からウェハを入れて前記処理液に浸漬させながら前記処理槽内に保持し、前記ウェハに付着しているパーティクルを前記液流によって除去し、前記開口部における気液界面方向に前記パーティクルを滞留させずにウェット処理を行うことを特徴とするウェット処理方法。
【請求項8】
前記処理槽の開口部からオーバーフローした処理液を、前記開口部周縁を囲むように設けた外槽に貯留した後、フィルタとポンプを備えた配管を通して循環させ、前記処理液に含まれた前記パーティクルを前記フィルタで除去した後、前記外槽の底部と連結した前記吐出口から前記処理液を吐出することを特徴とする請求項7記載のウェット処理方法。
【請求項9】
前記排出口に連結された排出ポンプによって、前記処理液を強制的に排出しながらウェット処理を行なうことを特徴とする請求項7または8に記載のウェット処理方法。
【請求項10】
ウェット処理終了時、前記ウェハを前記処理槽から引き上げる直前において、前記第1の側壁と前記第2の側壁に、前記吐出口の上方に同じ高さで設けた補助吐出口から、吐出方向を前記開口部の気液界面方向として処理液を吐出することを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載のウェット処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−306104(P2008−306104A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−153915(P2007−153915)
【出願日】平成19年6月11日(2007.6.11)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【Fターム(参考)】