ウエハの研磨方法、圧電振動片の製造方法、パッケージの製造方法、圧電振動子、発振器、電子機器および電波時計
【課題】定盤72,73の偏磨耗を抑制し、ウエハの表面精度を確保することが可能な、ウエハの研磨方法を提供する。
【解決手段】上定盤72および下定盤73と、リッド基板用ウエハ40を保持するキャリア76とを、遊星歯車機構77の中心軸L1の周りに相対回転させて、リッド基板用ウエハ40の両面を研磨する研磨工程を有し、研磨工程は、リッド基板用ウエハ40を研磨しながらキャリア76の自転方向を反転させる反転工程を有する。反転工程は、サンギヤ74の回転数とインターナルギヤ75の回転数との大小を逆転させることにより、キャリア76の自転方向を反転させる。
【解決手段】上定盤72および下定盤73と、リッド基板用ウエハ40を保持するキャリア76とを、遊星歯車機構77の中心軸L1の周りに相対回転させて、リッド基板用ウエハ40の両面を研磨する研磨工程を有し、研磨工程は、リッド基板用ウエハ40を研磨しながらキャリア76の自転方向を反転させる反転工程を有する。反転工程は、サンギヤ74の回転数とインターナルギヤ75の回転数との大小を逆転させることにより、キャリア76の自転方向を反転させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハの研磨方法、圧電振動片の製造方法、パッケージの製造方法、圧電振動子、発振器、電子機器および電波時計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話や携帯情報端末機器には、時刻源や制御信号等のタイミング源、リファレンス信号源等として水晶等を利用した圧電振動子が用いられている。この種の圧電振動子は、様々なものが知られているが、その1つとして、表面実装(SMD)型の圧電振動子が知られている。この種の圧電振動子としては、例えば互いに接合されたベース基板及びリッド基板と、両基板の間に形成されたキャビティと、キャビティ内に気密封止された状態で収納された圧電振動片とを備えている。
【0003】
圧電振動片は圧電ウエハから形成され、ベース基板およびリッド基板はガラスウエハから形成される。これらの圧電ウエハやガラスウエハ(以下、単に「ウエハ」という。)を研磨するため、両面研磨装置が利用されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
図16は、両面研磨装置の概略構成を示す側面断面図である。両面研磨装置71は、サンギヤ74およびインターナルギヤ75と、ウエハ40を保持するキャリア76と、を備えた遊星歯車機構77を有している。キャリア76は、下面側にウエハ40の下面を露出させ、上面側にウエハ40の上面を露出させた状態で、ウエハ40を保持している。また両面研磨装置71は、キャリア76の上面側に配置されウエハ40の上面を研磨する上定盤72と、キャリア76の下面側に配置されウエハ40の下面を研磨する下定盤73と、を備えている。そして、上定盤72および下定盤73とキャリア76とを、遊星歯車機構77の中心軸L1の周りに相対回転させて、ウエハ40の両面を研磨している。その際、サンギヤ74の回転数とインターナルギヤ75の回転数とを異ならせて、キャリアを同一方向に自転させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−331068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように両面研磨装置71を使用してウエハ40の両面を研磨すると、下定盤73および上定盤72に偏磨耗が発生するという問題がある。例えば図16に示すように、下定盤73の表面73sは内周側に比べて外周側の磨耗量が多くなり、上定盤72の表面72sは外周側に比べて内周側の磨耗量が多くなる。そして、このように偏磨耗した下定盤73および上定盤72を使用してウエハ40を研磨すると、ウエハ40の表面精度の確保が困難になるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、定盤の偏磨耗を抑制し、ウエハの表面精度を確保することが可能な、ウエハの研磨方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の問題を解決するために、本発明に係るウエハの研磨方法は、サンギヤおよびインターナルギヤと、ウエハを保持するキャリアとを備え、前記キャリアは、第1面側に前記ウエハの第1面を露出させ、第2面側に前記ウエハの第2面を露出させた状態で前記ウエハを保持する遊星歯車機構と、前記キャリアの第1面側に配置され、前記ウエハの第1面を研磨する第1定盤と、前記キャリアの第2面側に配置され、前記ウエハの第2面を研磨する第2定盤と、を備えた両面研磨装置を使用し、前記第1定盤および前記第2定盤と前記キャリアとを、前記遊星歯車機構の中心軸の周りに相対回転させて、前記ウエハの両面を研磨する研磨工程を有するウエハの研磨方法であって、前記研磨工程は、前記キャリアを第1方向に自転させながら研磨を行う第1研磨工程と、前記ウエハを研磨しながら前記キャリアの自転方向を前記第1方向から第2方向に反転させる反転工程と、前記キャリアを前記第2方向に自転させながら研磨を行う第2研磨工程と、を有することを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、反転工程でキャリアの自転方向を反転させることで、各定盤の内周側の磨耗量と外周側の磨耗量とが逆転する。そのため、第1研磨工程で発生した各定盤の偏磨耗を、第2研磨工程でキャンセルすることができる。したがって、各定盤の偏磨耗を抑制することができる。これに伴って、平面度の高い定盤でウエハを研磨することができ、ウエハの表面精度を確保することができる。
【0010】
また前記研磨工程は、前記サンギヤと前記インターナルギヤとを同方向に回転させて前記キャリアを公転させつつ、前記第1定盤と前記第2定盤とを逆方向に回転させて行い、前記反転工程は、前記サンギヤの回転数と前記インターナルギヤの回転数との大小を逆転させることにより、前記キャリアの自転方向を反転させることが望ましい。
【0011】
この発明によれば、サンギヤの回転数およびインターナルギヤの回転数を変化させることで、研磨を行いつつキャリアの自転方向を反転させることができる。特に、サンギヤの回転数およびインターナルギヤの回転数を徐々に変化させることで、キャリアに保持されたウエハに対して、各定盤から衝撃力が作用するのを防止できる。そのため、ウエハに各定盤を押し当てて研磨を行いつつ、キャリアの自転方向を反転させることができる。
【0012】
本発明に係る圧電振動片の製造方法は、上述したウエハの研磨方法を使用して、圧電ウエハを研磨することにより、圧電振動片を製造することを特徴とする。
この発明によれば、圧電振動片の表面精度を確保することができる。
【0013】
本発明に係るパッケージの製造方法は、上述したウエハの研磨方法を使用して、ガラスウエハを研磨することにより、ガラスパッケージを製造することを特徴とする。
この発明によれば、パッケージの表面精度を確保することができる。
【0014】
本発明に係る圧電振動子は、上述した圧電振動片の製造方法を使用して製造された圧電振動片を、パッケージの内部に封入したことを特徴とする。
また、上述したパッケージの製造方法を使用して製造されたパッケージの内部に、圧電振動片を封入してもよい。
これらの発明によれば、信頼性に優れた圧電振動子を提供することができる。
【0015】
本発明に係る発振器は、上述した圧電振動子が、発振子として集積回路に電気的に接続されていることを特徴とする。
本発明に係る電子機器は、上述した圧電振動子が、計時部に電気的に接続されていることを特徴とする。
本発明に係る電波時計は、上述した圧電振動子が、フィルタ部に電気的に接続されていることを特徴とする。
これらの発明によれば、信頼性に優れた圧電振動子を備えているので、デバイス自身の信頼性も確保することがでる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のウエハの研磨方法によれば、反転工程でキャリアの自転方向を反転させることで、各定盤の内周側の磨耗両と外周側の磨耗量とが逆転する。そのため、第1研磨工程で発生した各定盤の偏磨耗を、第2研磨工程でキャンセルすることができる。したがって、各定盤の偏磨耗を抑制することができる。これに伴って、平面度の高い定盤でウエハを研磨することができ、ウエハの表面精度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態による圧電振動子の一例を示す外観斜視図である。
【図2】圧電振動子の内部構成図であって、リッド基板を取り外した状態で圧電振動片を上方から見た図ある。
【図3】図2のA−A線に沿う断面図である。
【図4】圧電振動子の分解斜視図である。
【図5】図1に示す圧電振動子を製造する流れを示すフローチャートである。
【図6】リッド基板用ウエハの平面図である。
【図7】両面研磨装置の断面図(側面図)である。
【図8】両面研磨装置の平面図である。
【図9】各定盤とキャリアとの相対回転の説明図である。
【図10】第1ラッピング工程の研磨作用の説明図である。
【図11】第2ラッピング工程の研磨作用の説明図である。
【図12】角型ウエハを保持するキャリアの平面図である。
【図13】本発明に係る発振器の一実施形態を示す構成図である。
【図14】本発明に係る電子機器の一実施形態を示す構成図である。
【図15】本発明に係る電波時計の一実施形態を示す構成図である。
【図16】両面研磨装置の概略構成を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。以下には、本発明に係るウエハの研磨方法を使用して、圧電振動子のパッケージを製造するためリッド基板用ウエハを研磨する場合を例にして説明する。
【0019】
(圧電振動子)
図1は、本実施形態における圧電振動子の外観斜視図であり、図2は圧電振動子の内部構成図であって、リッド基板を取り外した状態で圧電振動片を上方から見た図ある。また、図3は図2に示すA−A線に沿った圧電振動子の断面図であり、図4は圧電振動子の分解斜視図である。
図1〜4に示すように、圧電振動子1は、ベース基板2とリッド基板3とで2層に積層されたパッケージ4を備えおり、内部のキャビティC内に圧電振動片5が収納された表面実装型の圧電振動子1である。そして、圧電振動片5とベース基板2の外側に設置された外部電極6,7とが、ベース基板2を貫通する一対の貫通電極8,9によって電気的に接続されている。
【0020】
ベース基板2は、ガラス材料、例えばソーダ石灰ガラスからなる透明な絶縁基板で板状に形成されている。ベース基板2には、一対の貫通電極8,9が形成される一対のスルーホール(貫通孔)21,22が形成されている。スルーホール21,22は、ベース基板2の下面から上面に向かって漸次径が縮径した断面テーパ形状をなしている。
【0021】
リッド基板3は、ベース基板2と同様に、ガラス材料、例えばソーダ石灰ガラスからなる透明の絶縁基板であり、ベース基板2に重ね合わせ可能な大きさの板状に形成されている。そして、リッド基板3のベース基板2が接合される接合面側には、圧電振動片5が収容される矩形状の凹部3aが形成されている。
この凹部3aは、ベース基板2及びリッド基板3が重ね合わされたときに、圧電振動片5を収容するキャビティCを形成する。そして、リッド基板3は、凹部3aをベース基板2側に対向させた状態でベース基板2に対して後述する接合層23を介して陽極接合されている。
【0022】
圧電振動片5は、水晶、タンタル酸リチウムやニオブ酸リチウム等の圧電材料から形成された音叉型の振動片であり、所定の電圧が印加されたときに振動するものである。
この圧電振動片5は、平行に配置された一対の振動腕部24,25と、一対の振動腕部24,25の基端側を一体的に固定する基部26とからなる平面視略コの字型で、一対の振動腕部24,25の外表面上には、振動腕部24,25を振動させる図示しない一対の第1の励振電極と第2の励振電極とからなる励振電極と、第1の励振電極及び第2の励振電極に電気的に接続された一対のマウント電極とを有している(何れも不図示)。
【0023】
このように構成された圧電振動片5は、図3,4に示すように、金等のバンプBを利用して、ベース基板2の上面に形成された引き回し電極27,28上にバンプ接合されている。より具体的には、圧電振動片5の第1の励振電極が、一方のマウント電極及びバンプBを介して一方の引き回し電極27上にバンプ接合され、第2の励振電極が他方のマウント電極及びバンプBを介して他方の引き回し電極28上にバンプ接合されている。これにより、圧電振動片5は、ベース基板2の上面から浮いた状態で支持されるとともに、各マウント電極と引き回し電極27,28とがそれぞれ電気的に接続された状態となっている。
【0024】
そして、ベース基板2の上面側(リッド基板3が接合される接合面側)には、導電性材料(例えば、アルミニウム)からなる陽極接合用の接合層23が形成されている。この接合層23は、リッド基板3に形成された凹部3aの周囲を囲むようにベース基板2の周縁に沿って形成されている。そして、ベース基板2とリッド基板3とは、凹部3aをベース基板2の接合面側に対向させた状態でベース基板2に対して接合層23を介して陽極接合されている。
【0025】
また、外部電極6,7は、ベース基板2下面の長手方向の両端に設置されており、各貫通電極8,9及び各引き回し電極27,28を介して圧電振動片5に電気的に接続されている。より具体的には、一方の外部電極6は、一方の貫通電極8及び一方の引き回し電極27を介して圧電振動片5の一方のマウント電極に電気的に接続されている。また、他方の外部電極7は、他方の貫通電極9及び他方の引き回し電極28を介して、圧電振動片5の他方のマウント電極に電気的に接続されている。
【0026】
貫通電極8,9は、焼成によってスルーホール21,22に対して一体的に固定された筒体32及び芯材部31によって形成されたものであり、スルーホール21,22を完全に塞いでキャビティC内の気密を維持しているとともに、外部電極6,7と引き回し電極27,28とを導通させる役割を担っている。具体的に、一方の貫通電極8は、外部電極6と基部26との間で引き回し電極27の下方に位置しており、他方の貫通電極9は、外部電極7の上方で引き回し電極28の下方に位置している。
【0027】
筒体32は、ペースト状のガラスフリットが焼成されたものである。筒体32は、両端が平坦で且つベース基板2と略同じ厚みの円筒状に形成されている。そして、筒体32の中心には、芯材部31が筒体32の中心孔32aを貫通するように配されている。また、本実施形態ではスルーホール21,22の形状に合わせて、筒体32の外形が円錐状(断面テーパ状)となるように形成されている。そして、この筒体32は、スルーホール21,22内に埋め込まれた状態で焼成されており、これらスルーホール21,22に対して強固に固着されている。
上述した芯材部31は、金属材料により円柱状に形成された導電性の芯材であり、筒体32と同様に両端が平坦で、且つベース基板2の厚みと略同じ厚さとなるように形成されている。なお、貫通電極8,9は、導電性の芯材部31を通して電気導通性が確保されている。
【0028】
このように構成された圧電振動子1を作動させる場合には、ベース基板2に形成された外部電極6,7に対して、所定の駆動電圧を印加する。これにより、圧電振動片5の各励振電極に電流を流すことができ、一対の振動腕部24,25を接近・離間させる方向に所定の周波数で振動させることができる。そして、この一対の振動腕部24,25の振動を利用して、時刻源、制御信号のタイミング源やリファレンス信号源等として利用することができる。
【0029】
(圧電振動子の製造方法)
次に、上述した圧電振動子の製造方法について、図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。
まず、後にベース基板2となるベース基板用ウエハを、陽極接合を行う直前の状態まで作製するベース基板用ウエハ作製工程を行う(S10)。具体的には、ソーダ石灰ガラスを所定の厚さまで研磨加工して洗浄した後に、エッチング等により最表面の加工変質層を除去した円板状のベース基板用ウエハを形成する(S11)。次いで、例えばプレス加工等により、ベース基板用ウエハに一対の貫通電極8,9を配置するためのスルーホール21,22を複数形成するスルーホール形成工程を行う(S12)。具体的には、プレス加工によりベース基板用ウエハの表面に凹部を形成した後、ベース基板用ウエハの裏面側から研磨することで、凹部を貫通させ、スルーホール21,22を形成することができる。
【0030】
続いて、スルーホール形成工程(S12)で形成されたスルーホール21,22内に貫通電極8,9を形成する貫通電極形成工程(S13)を行う。これにより、スルーホール21,22内において、芯材部31がベース基板用ウエハの表面に対して面一な状態で保持される。以上により、貫通電極8,9を形成することができる。
【0031】
次に、ベース基板用ウエハの上面に導電性材料をパターニングして、接合層23を形成する接合層形成工程を行う(S14)とともに、引き回し電極を形成する引き回し電極形成工程を行う(S15)。このようにして、ベース基板用ウエハ作製工程(S10)が終了する。
【0032】
(リッド基板用ウエハ作製工程)
図6はリッド基板用ウエハの平面図である。上述したベース基板用ウエハ作製工程と同時或いは前後のタイミングで、後にリッド基板3となるリッド基板用ウエハ40を、陽極接合を行う直前の状態まで作製するリッド基板用ウエハ作製工程を行う(S20)。具体的には、図6に示すように、ソーダ石灰ガラスを所定の厚さまで研磨加工して洗浄した後に、エッチング等により最表面の加工変質層を除去した円板状のリッド基板用ウエハ40を形成する(S21)。次いで、リッド基板用ウエハ40の接合面41に、プレス加工やエッチング等により、キャビティC用の凹部3aを行列方向に複数形成する凹部形成工程を行う(S22)。
【0033】
(研磨工程)
次に、リッド基板用ウエハ40の両面を研磨する研磨工程(S23)を行う。研磨工程は、粗削りを行うラッピング工程(S24)と、鏡面仕上げを行うポリッシュ工程(S25)とを有している。ラッピング工程は、以下に説明する両面研磨装置を使用して行う。
【0034】
(両面研磨装置)
図7は両面研磨装置の断面図(側面図)であり、図8は両面研磨装置の平面図である。図7,8に示すように、両面研磨装置71は、平板リング状の上定盤72および下定盤73と、各定盤72,73の中央に位置するサンギヤ74と、各定盤72,73の外周を取り囲むインターナルギヤ75と、上定盤72と下定盤73との間で、サンギヤ74とインターナルギヤ75との間に配置され、リッド基板用ウエハ40を保持する複数のキャリア76と、リッド基板用ウエハ40の両面41,42(図6参照)に研磨剤Wを供給させる研磨剤供給手段78と、上定盤72、下定盤73、サンギヤ74およびインターナルギヤ75をそれぞれ独立して回転駆動させる図示しない駆動手段とで概略構成されている。
【0035】
上定盤72および下定盤73は、鋳鉄等により平板リング状に形成されている。各定盤72,73の表面には、格子状や放射状に複数の溝が形成されている。研磨剤供給手段78から供給された研磨剤Wは、この溝を通ってリッド基板用ウエハ40の表面に供給される。各定盤72,73は、互いに同軸L1上に配置され、中心軸L1の回りに回転可能に支持されている。
【0036】
サンギヤ74の外周及びインターナルギヤ75の内周には、歯74a,75aが一定のピッチで配設されている。サンギヤ74及びインターナルギヤ75は、上定盤72及び下定盤73と同軸L1上に配置され、中心軸L1の回りに回転するようになっている。
キャリア76は、サンギヤ74とインターナルギヤ75との間に、周方向等間隔で複数個(本実施形態では5個)が配置されている。キャリア76の外周には、歯(ギヤ部)76aが一定のピッチで鉛直且つ円環状に配設されている。そして、キャリア76は固定されず、キャリア76の歯76aが、回転するサンギヤ74及びインターナルギヤ75の歯74a,75aとかみ合うことでキャリア76は自転及び公転し、遊星歯車機構77として機能する。
【0037】
キャリア76には、厚さ方向に貫通するウエハ保持孔76bが形成されている。本実施形態のウエハ保持孔76bは、円形状のリッド基板用ウエハ40を保持するものであるため、平面視で円形状に形成されている。ウエハ保持孔76bの直径は、リッド基板用ウエハ40の直径より若干大きくなっている。ウエハ保持孔76bは、周方向に等間隔で複数個(本実施形態では4個)が形成されている。キャリア76の厚さは、リッド基板用ウエハ40の厚さより薄くなっている。そのためキャリア76は、ウエハ保持孔76bにリッド基板用ウエハ40をはめ込んだときに、キャリア76の上面にリッド基板用ウエハ40の上面を露出させ、キャリア76の下面にリッド基板用ウエハ40の下面を露出させた状態で、リッド基板用ウエハ40を保持するようになっている。
【0038】
研磨剤供給手段78は、研磨剤Wを収容し攪拌するモーターを備える図示しない収容部と、一端が収容部にポンプを介して接続され、他端の供給口79aが上定盤72に接続された複数の供給ホース79とを備えている。そして、研磨剤Wは、収容部からポンプによって供給ホース79内に送出され、上定盤72に形成された供給孔72bから、各定盤72,73とリッド基板用ウエハ40の両面41,42との間に供給されるようになっている。なお、研磨剤供給手段78は、下定盤73から外部へ流出した研磨剤Wを回収する研磨剤回収部(不図示)を備え、回収された研磨剤Wは再度供給ホース79へ搬送できる仕組みとなっている。なお、研磨剤Wには、一般的にガラス面の研磨に使用される酸化セリウム等が好適に用いられている。
【0039】
(ラッピング工程)
上述した両面研磨装置を使用してラッピング工程(S24)を行う。本実施形態では、両面研磨装置の各定盤72,73及び各ギヤ74,75を全て独立で回転駆動させる、いわゆる4ウェイ方式を採用してラッピング工程を行う。ラッピング工程は、研磨剤供給手段78によりリッド基板用ウエハ40の両面に研磨剤Wを供給させながら行う。ラッピング工程は、キャリア76を時計回りに自転させて研磨を行う第1ラッピング工程(S24a)と、研磨を行いつつキャリア76の自転方向を反転させる反転工程(S24b)と、キャリア76を反時計回りに自転させて研磨を行う第2ラッピング工程(S24c)と、を有している。
【0040】
図10および図11は、両面研磨装置の一部の分解斜視図である。図10は第1ラッピング工程の研磨作用の説明図であり、図11は第2ラッピング工程の研磨作用の説明図である。図10および図11では、図面を見やすくするため、両面研磨装置の構成部材を簡略化して描いている。また図10および図11では、回転方向を示す矢印の長さによって、回転数の大きさを表している。また図10および図11では、時計回り方向をCW(Clock Wise)方向とし、反時計回り方向をCCW(Counter Clock Wise)方向としている。
【0041】
ラッピング工程を通して、各定盤72,73の回転方向および回転数は同じである。また、遊星歯車機構77のサンギヤ74およびインターナルギヤ75の回転方向も同じであり、キャリア76の公転方向も同じである。これに対して、第1ラッピング工程、反転工程および第2ラッピング工程では、サンギヤ74およびインターナルギヤ75の回転数を変化させて、キャリア76の自転方向を反転させる。
【0042】
具体的には、ラッピング工程を通して、上定盤72と下定盤73とを逆方向に回転させる。すなわち、上定盤72をCW方向に回転(矢印TU)させ、下定盤73をCCW方向に回転(矢印TL)させる。ここで、下定盤73の回転数を上定盤72の回転数の3倍程度に設定する。なお、各定盤72,73の外周側の回転速度は、内周側の回転速度より速くなる。
【0043】
またラッピング工程を通して、遊星歯車機構77のサンギヤ74とインターナルギヤ75とを同方向に回転させる。すなわち、サンギヤ74をCCW方向に回転(矢印Q)させ、インターナルギヤ75をCCW方向に回転(矢印R)させる。これにより、キャリア76を、下定盤73と同じCCW方向に公転(矢印M)させる。ここで、キャリア76の公転の回転数が、上定盤72の回転数と同等になるように、サンギヤ74およびインターナルギヤ75の回転数を設定する。第1ラッピング工程では、両面研磨装置の各構成部材の回転数は一定とする。
【0044】
図9は、各定盤とキャリアとの相対回転の説明図である。図9では、CW方向の回転を左向きの矢印で示し、CCW方向の回転を右向きの矢印で示している。いま、時刻T0において周方向で同じ位置にある各定盤72,73上の点およびキャリア76上の点が、時刻T1にかけてそれぞれどのように移動するかを検討する。時刻T0からT1までの間に、上定盤72はCW方向にP1回転し、キャリア76はCCW方向にP1回転(公転)し、下定盤73はCCW方向にP3(=3×P1)回転する。これにより、時刻T0からT1までの間に、上定盤72はキャリア76に対してCW方向にP2(=2×P1)だけ相対回転し、下定盤73はキャリア76に対してCCW方向にP2だけ相対回転することになる。これにより、キャリア76に支持されたリッド基板用ウエハ40の、上面および下面の研磨レートを一致させることができる。
【0045】
(第1ラッピング工程)
図10に戻り、第1ラッピング工程では、サンギヤ74の回転数(矢印Q)を、インターナルギヤ75の回転数(矢印R)よりも大きく設定する。これにより、キャリア76をCW方向に自転(矢印SI,SO)させる。キャリア76を自転させることにより、キャリア76に支持された複数のリッド基板用ウエハ40が、各定盤72,73の内周側から外周側までの全面で研磨される。これにより、リッド基板用ウエハ40の表面精度のばらつきを抑制することができる。
【0046】
ところで、キャリア76の自転により、各定盤72,73の内周側ではリッド基板用ウエハ40が矢印SI方向に進行し、各定盤72,73の外周側ではリッド基板用ウエハ40が矢印SO方向に進行する。これらのリッド基板用ウエハ40の進行方向SI,SOと下定盤73の回転方向TLとを比較すると、下定盤73の内周側ではリッド基板用ウエハ40の進行方向SIと下定盤73の回転方向TLとが略同方向になり、下定盤73の外周側ではリッド基板用ウエハ40の進行方向SOと下定盤73の回転方向TLとが略逆方向になる。そのため図16に示すように、下定盤73の表面73sでは、内周側の磨耗量に比べて外周側の磨耗量が多くなるという問題がある。
【0047】
また図10において、リッド基板用ウエハ40の進行方向SI,SOと上定盤72の回転方向TUとを比較すると、上定盤72の内周側ではリッド基板用ウエハ40の進行方向SIと上定盤72の回転方向TUとが略逆方向になり、上定盤72の外周側ではリッド基板用ウエハ40の進行方向SOと上定盤72の回転方向TUとが略同方向になる。そのため図16に示すように、上定盤72の表面72sでは、外周側の磨耗量に比べて内周側の磨耗量が多くなるという問題がある。
従来のラッピング工程では、キャリアを同一方向に自転させたまま研磨を行っていたので、上記のような偏磨耗が進行する一方であった。この偏磨耗を解消するには、ラッピング工程を中断して各定盤72,73の表面72s,73sを補正する必要があった。
【0048】
(反転工程)
そこで本実施形態では、研磨を行いつつキャリアの自転方向を反転させる反転工程(S24b)を行う。図10に示す第1ラッピング工程は、サンギヤ74の回転数(矢印Q)をインターナルギヤ75の回転数(矢印R)よりも大きくして、キャリア76をCW方向に自転(矢印SI,SO)させた。この反転工程では、サンギヤ74の回転数を徐々に減少させるとともに、インターナルギヤ75の回転数を徐々に増加させる。これにより、キャリア76のCW方向への自転の回転数は徐々に減少する。そして、サンギヤ74およびインターナルギヤ75の回転数が一致した時点で、キャリア76の自転は一時停止する。さらに反転工程では、図11に示すように、インターナルギヤ75の回転数(矢印R)をサンギヤ74の回転数(矢印Q)よりも大きくして、キャリア76をCCW方向に自転(矢印SI,SO)させる。この場合でも、インターナルギヤ75の回転数を徐々に増加させるとともに、サンギヤの回転数を徐々に減少させることで、キャリア76のCCW方向への自転の回転数を徐々に増加させる。
【0049】
このように、キャリア76の自転の回転数を徐々に変化させることで、キャリア76に支持されたリッド基板用ウエハ40に対して、各定盤72,73から衝撃力が作用するのを防止することができる。そのため、リッド基板用ウエハ40に各定盤72,73を押し当てて研磨を続行しつつ、キャリア76の自転方向を反転させることができる。
【0050】
(第2ラッピング工程)
次に図11に示すように、第2ラッピング工程(S24c)を行う。第2ラッピング工程では、反転工程の終了時点の条件を維持しつつ研磨を行う。すなわち第2ラッピング工程では、インターナルギヤ75の回転数(矢印R)をサンギヤ74の回転数(矢印Q)よりも大きく設定する。この場合でも、キャリア76の公転の回転数が上定盤72の回転数と同等になるように、サンギヤ74およびインターナルギヤ75の回転数を設定する。これにより、リッド基板用ウエハ40の両面の研磨レートを一致させることができる。
【0051】
インターナルギヤ75の回転数(矢印R)をサンギヤ74の回転数(矢印Q)よりも大きく設定することにより、キャリア76をCCW方向に自転(矢印SI,SO)させる。ここで、リッド基板用ウエハ40の進行方向SI,SOと下定盤73の回転方向TLとを比較すると、下定盤73の内周側ではリッド基板用ウエハ40の進行方向SIと下定盤73の回転方向TLとが略逆方向になり、下定盤73の外周側ではリッド基板用ウエハ40の進行方向SOと下定盤73の回転方向TLとが略同方向になる。そのため下定盤73の表面では、外周側の磨耗量に比べて内周側の磨耗量が多くなる。これにより、第1ラッピング工程で発生した下定盤73の偏磨耗をキャンセルすることができる。
【0052】
また、リッド基板用ウエハ40の進行方向SI,SOと上定盤72の回転方向TUとを比較すると、上定盤72の内周側ではリッド基板用ウエハ40の進行方向SIと上定盤72の回転方向TUとが略同方向になり、上定盤72の外周側ではリッド基板用ウエハ40の進行方向SOと上定盤72の回転方向TUとが略逆方向になる。そのため、上定盤72の表面では、内周側の磨耗量に比べて外周側の磨耗量が多くなる。これにより、第1ラッピング工程で発生した下定盤73の偏磨耗をキャンセルすることができる。
【0053】
このように、キャリア76の自転方向を反転させることで、各定盤72,73の内周側の磨耗量と外周側の磨耗量とが逆転する。そのため、第1ラッピング工程で発生した各定盤の偏磨耗を、第2ラッピング工程でキャンセルすることができる。したがって、各定盤72,73の偏磨耗を抑制することができる。これに伴って、平面度の高い定盤72,73でリッド基板用ウエハ40を研磨することができ、リッド基板用ウエハ40の表面精度を確保することができる。その結果、ベース基板用ウエハとの陽極接合の信頼性が向上し、パッケージの気密性が確保されるので、信頼性に優れた圧電振動子を提供することができる。しかも、研磨を行いつつキャリア76の自転方向を反転させるので、定盤の表面を補正するためラッピング工程を中断する必要がない。したがって、圧電振動子の製造効率の低下を抑制することができる。
【0054】
次に、ポリッシュ工程(S25)を行う。ポリッシュ工程は、図7に示す両面研磨装置71の各定盤72,73の表面に研磨パッド(不図示)を装着した上で、両面研磨装置71を使用して行うことができる。研磨パッドとして、不織布や、スエード状の研磨布であるセリウムパッド等が好適に用いられる。なおポリッシュ工程では、キャリア76の自転方向を同一方向に維持した状態で行ってもよい。以上により、リッド基板用ウエハ作成工程(S20)が終了する。
【0055】
次に、ベース基板用ウエハ作製工程(S10)で作成されたベース基板用ウエハの各引き回し電極27,28上に、それぞれ金等のバンプBを介して圧電振動片5をマウントする(S31)。そして、上述した各ウエハの作製工程で作成されたベース基板用ウエハ及びリッド基板用ウエハ40を重ね合わせる、重ね合わせ工程を行う(S32)。具体的には、図示しない基準マーク等を指標としながら、両ウエハを正しい位置にアライメントする。これにより、マウントされた圧電振動片5が、リッド基板用ウエハ40に形成された凹部3aとベース基板用ウエハとで囲まれるキャビティC内に収納された状態となる。
【0056】
重ね合わせ工程後、重ね合わせた2枚のウエハを図示しない陽極接合装置に入れ、図示しない保持機構によりウエハの外周部分をクランプした状態で、所定の温度雰囲気で所定の電圧を印加して陽極接合する接合工程を行う(S33)。具体的には、接合層23とリッド基板用ウエハ40との間に所定の電圧を印加する。すると、接合層23とリッド基板用ウエハ40との界面に電気化学的な反応が生じ、両者がそれぞれ強固に密着して陽極接合される。これにより、圧電振動片5をキャビティC内に封止することができ、ベース基板用ウエハとリッド基板用ウエハ40とが接合したウエハ接合体を得ることができる。
【0057】
その後、一対の貫通電極8,9にそれぞれ電気的に接続された一対の外部電極6,7を形成し、圧電振動子1の周波数を微調整する。そして、ウエハ接合体を個片化する切断を行い、内部の電気特性検査を行うことで圧電振動片5を収容したパッケージ(圧電振動子1)が形成される。
【0058】
(変形例)
本発明に係るウエハの研磨方法を使用して、圧電ウエハを研磨することにより、圧電振動片を製造することも可能である。なお、上述した音叉型の圧電振動片だけでなく、ATカット圧電振動片を製造することもできる。
図12は、圧電ウエハを支持するキャリアの平面図である。圧電ウエハ240は、例えば水晶の原石からスライスして作成するため、平面視で矩形状の角型ウエハである場合が多い。そこで圧電ウエハ240を研磨する場合には、キャリア276のウエハ保持孔276bが平面視で矩形状に形成されている。
【0059】
このキャリア276を使用して、上記実施形態と同様に研磨工程を行うことにより、両面研磨装置の各定盤の偏磨耗を抑制することができる。
なお圧電ウエハ240は角型ウエハであるため、圧電ウエハのエッジ部が均等に研磨されにくい。具体的には、キャリア276の自転方向に対して前方に位置するエッジ部の研磨量が、後方に位置するエッジ部の研磨量より大きくなる。これに対して、本発明に係るウエハの研磨方法では、キャリアの自転方向を反転させる反転工程を有しているので、圧電ウエハ240の全周のエッジ部を均等に研磨することができる。したがって、圧電ウエハ240表面精度を確保することができる。
【0060】
(発振器)
次に、本発明に係る発振器の一実施形態について、図14を参照しながら説明する。 本実施形態の発振器100は、図14に示すように、圧電振動子1を、集積回路101に電気的に接続された発振子として構成したものである。この発振器100は、コンデンサ等の電子部品102が実装された基板103を備えている。基板103には、発振器用の上述した集積回路101が実装されており、この集積回路101の近傍に、圧電振動子1が実装されている。これら電子部品102、集積回路101及び圧電振動子1は、図示しない配線パターンによってそれぞれ電気的に接続されている。なお、各構成部品は、図示しない樹脂によりモールドされている。
【0061】
このように構成された発振器100において、圧電振動子1に電圧を印加すると、この圧電振動子1内の圧電振動片5が振動する。この振動は、圧電振動片5が有する圧電特性により電気信号に変換されて、集積回路101に電気信号として入力される。入力された電気信号は、集積回路101によって各種処理がなされ、周波数信号として出力される。これにより、圧電振動子1が発振子として機能する。
また、集積回路101の構成を、例えば、RTC(リアルタイムクロック)モジュール等を要求に応じて選択的に設定することで、時計用単機能発振器等の他、当該機器や外部機器の動作日や時刻を制御したり、時刻やカレンダー等を提供したりする機能を付加することができる。
【0062】
本実施形態の発振器100は、上記のように信頼性に優れた圧電振動子1を備えているので、発振器100自体の信頼性も確保することができ、長期にわたって安定した高精度な周波数信号を得ることができる。
【0063】
(電子機器)
次に、本発明に係る電子機器の一実施形態について、図15を参照して説明する。なお電子機器として、上述した圧電振動子1を有する携帯情報機器110を例にして説明する。始めに本実施形態の携帯情報機器110は、例えば、携帯電話に代表されるものであり、従来技術における腕時計を発展、改良したものである。外観は腕時計に類似し、文字盤に相当する部分に液晶ディスプレイを配し、この画面上に現在の時刻等を表示させることができるものである。また、通信機として利用する場合には、手首から外し、バンドの内側部分に内蔵されたスピーカ及びマイクロフォンによって、従来技術の携帯電話と同様の通信を行うことが可能である。しかしながら、従来の携帯電話と比較して、格段に小型化及び軽量化されている。
【0064】
次に、本実施形態の携帯情報機器110の構成について説明する。この携帯情報機器110は、図15に示すように、圧電振動子1と、電力を供給するための電源部111とを備えている。電源部111は、例えば、リチウム二次電池からなっている。この電源部111には、各種制御を行う制御部112と、時刻等のカウントを行う計時部113と、外部との通信を行う通信部114と、各種情報を表示する表示部115と、それぞれの機能部の電圧を検出する電圧検出部116とが並列に接続されている。そして、電源部111によって、各機能部に電力が供給されるようになっている。
【0065】
制御部112は、各機能部を制御して音声データの送信及び受信、現在時刻の計測や表示等、システム全体の動作制御を行う。また、制御部112は、予めプログラムが書き込まれたROMと、このROMに書き込まれたプログラムを読み出して実行するCPUと、このCPUのワークエリアとして使用されるRAM等とを備えている。
【0066】
計時部113は、発振回路、レジスタ回路、カウンタ回路及びインターフェース回路等を内蔵する集積回路と、圧電振動子1とを備えている。圧電振動子1に電圧を印加すると圧電振動片5が振動し、この振動が水晶の有する圧電特性により電気信号に変換されて、発振回路に電気信号として入力される。発振回路の出力は二値化され、レジスタ回路とカウンタ回路とにより計数される。そして、インターフェース回路を介して、制御部112と信号の送受信が行われ、表示部115に、現在時刻や現在日付或いはカレンダー情報等が表示される。
【0067】
通信部114は、従来の携帯電話と同様の機能を有し、無線部117、音声処理部118、切替部119、増幅部120、音声入出力部121、電話番号入力部122、着信音発生部123及び呼制御メモリ部124を備えている。 無線部117は、音声データ等の各種データを、アンテナ125を介して基地局と送受信のやりとりを行う。音声処理部118は、無線部117又は増幅部120から入力された音声信号を符号化及び複号化する。増幅部120は、音声処理部118又は音声入出力部121から入力された信号を、所定のレベルまで増幅する。音声入出力部121は、スピーカやマイクロフォン等からなり、着信音や受話音声を拡声したり、音声を集音したりする。
【0068】
また、着信音発生部123は、基地局からの呼び出しに応じて着信音を生成する。切替部119は、着信時に限って、音声処理部118に接続されている増幅部120を着信音発生部123に切り替えることによって、着信音発生部123において生成された着信音が増幅部120を介して音声入出力部121に出力される。 なお、呼制御メモリ部124は、通信の発着呼制御に係るプログラムを格納する。また、電話番号入力部122は、例えば、0から9の番号キー及びその他のキーを備えており、これら番号キー等を押下することにより、通話先の電話番号等が入力される。
【0069】
電圧検出部116は、電源部111によって制御部112等の各機能部に対して加えられている電圧が、所定の値を下回った場合に、その電圧降下を検出して制御部112に通知する。このときの所定の電圧値は、通信部114を安定して動作させるために必要な最低限の電圧として予め設定されている値であり、例えば、3V程度となる。電圧検出部116から電圧降下の通知を受けた制御部112は、無線部117、音声処理部118、切替部119及び着信音発生部123の動作を禁止する。特に、消費電力の大きな無線部117の動作停止は、必須となる。更に、表示部115に、通信部114が電池残量の不足により使用不能になった旨が表示される。
【0070】
すなわち、電圧検出部116と制御部112とによって、通信部114の動作を禁止し、その旨を表示部115に表示することができる。この表示は、文字メッセージであっても良いが、より直感的な表示として、表示部115の表示面の上部に表示された電話アイコンに、×(バツ)印を付けるようにしても良い。 なお、通信部114の機能に係る部分の電源を、選択的に遮断することができる電源遮断部126を備えることで、通信部114の機能をより確実に停止することができる。
【0071】
本実施形態の携帯情報機器110は、上記のように信頼性に優れた圧電振動子1を備えているので、携帯情報機器110自体の信頼性も確保することができ、長期にわたって安定した高精度な時計情報を表示することができる。
【0072】
(電波時計)
次に、本発明に係る電波時計の一実施形態について、図16を参照して説明する。 本実施形態の電波時計130は、図16に示すように、フィルタ部131に電気的に接続された圧電振動子1を備えたものであり、時計情報を含む標準の電波を受信して、正確な時刻に自動修正して表示する機能を備えた時計である。 日本国内には、福島県(40kHz)と佐賀県(60kHz)とに、標準の電波を送信する送信所(送信局)があり、それぞれ標準電波を送信している。40kHz若しくは60kHzのような長波は、地表を伝播する性質と、電離層と地表とを反射しながら伝播する性質とを併せもつため、伝播範囲が広く、上述した2つの送信所で日本国内を全て網羅している。
【0073】
以下、電波時計130の機能的構成について詳細に説明する。 アンテナ132は、40kHz若しくは60kHzの長波の標準電波を受信する。長波の標準電波は、タイムコードと呼ばれる時刻情報を、40kHz若しくは60kHzの搬送波にAM変調をかけたものである。受信された長波の標準電波は、アンプ133によって増幅され、複数の圧電振動子1を有するフィルタ部131によって濾波、同調される。 本実施形態における圧電振動子1は、上述した搬送周波数と同一の40kHz及び60kHzの共振周波数を有する水晶振動子部138、139をそれぞれ備えている。
【0074】
さらに、濾波された所定周波数の信号は、検波、整流回路134により検波復調される。続いて、波形整形回路135を介してタイムコードが取り出され、CPU136でカウントされる。CPU136では、現在の年、積算日、曜日、時刻等の情報を読み取る。読み取られた情報は、RTC137に反映され、正確な時刻情報が表示される。 搬送波は、40kHz若しくは60kHzであるから、水晶振動子部138、139は、上述した音叉型の構造を持つ振動子が好適である。
【0075】
なお、上述の説明は、日本国内の例で示したが、長波の標準電波の周波数は、海外では異なっている。例えば、ドイツでは77.5KHzの標準電波が用いられている。従って、海外でも対応可能な電波時計130を携帯機器に組み込む場合には、さらに日本の場合とは異なる周波数の圧電振動子1を必要とする。
【0076】
本実施形態の電波時計130は、上記のように信頼性に優れた圧電振動子1を備えているので、電波時計130自体の信頼性も確保することができ、長期にわたって安定して高精度に時刻をカウントすることができる。
【0077】
なお、本発明の技術範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、実施形態で挙げた具体的な材料や層構成などはほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
【0078】
本発明に係るウエハの研磨方法は、各定盤72,73とキャリア76とが遊星歯車機構77の中心軸L1の周りを相対回転する場合に、広く適用することができる。実施形態のラッピング工程では、各定盤72,73及び各ギヤ74,75を全て独立で回転駆動させる4ウェイ方式を採用したが、各定盤72,73をともに固定する2ウェイ方式や、上定盤72のみを固定する3ウェイ方式等を採用してもよい。
また、実施形態ではインターナルギヤ75が独自に回転する両面研磨装置71を使用しているが、インターナルギヤ75が独自に回転せず、例えば下定盤73に固定されて下定盤73とともに回転する構造の両面研磨装置を使用してもよい。
【0079】
また、実施形態ではラッピング工程内で反転工程を1回だけ実施したが、複数回実施してもよい。すなわち、ラッピング工程内でキャリア76の自転方向を繰り返し反転させてもよい。
【符号の説明】
【0080】
CW…時計回り(第1方向) CCW…反時計回り(第2方向) L1…中心軸 S24…ラッピング工程(研磨工程) S24a…第1ラッピング工程(第1研磨工程) S24b…反転工程 S24c…第2ラッピング工程(第2研磨工程) 1…圧電振動子 4…パッケージ 5…圧電振動片 40…リッド基板用ウエハ(ウエハ) 71…両面研磨装置 72…上定盤(第1定盤) 73…下定盤(第2定盤) 74…サンギヤ 75…インターナルギヤ 76…キャリア 77…遊星歯車機構 100…発振器 110…携帯情報機器(電子機器) 130…電波時計
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハの研磨方法、圧電振動片の製造方法、パッケージの製造方法、圧電振動子、発振器、電子機器および電波時計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話や携帯情報端末機器には、時刻源や制御信号等のタイミング源、リファレンス信号源等として水晶等を利用した圧電振動子が用いられている。この種の圧電振動子は、様々なものが知られているが、その1つとして、表面実装(SMD)型の圧電振動子が知られている。この種の圧電振動子としては、例えば互いに接合されたベース基板及びリッド基板と、両基板の間に形成されたキャビティと、キャビティ内に気密封止された状態で収納された圧電振動片とを備えている。
【0003】
圧電振動片は圧電ウエハから形成され、ベース基板およびリッド基板はガラスウエハから形成される。これらの圧電ウエハやガラスウエハ(以下、単に「ウエハ」という。)を研磨するため、両面研磨装置が利用されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
図16は、両面研磨装置の概略構成を示す側面断面図である。両面研磨装置71は、サンギヤ74およびインターナルギヤ75と、ウエハ40を保持するキャリア76と、を備えた遊星歯車機構77を有している。キャリア76は、下面側にウエハ40の下面を露出させ、上面側にウエハ40の上面を露出させた状態で、ウエハ40を保持している。また両面研磨装置71は、キャリア76の上面側に配置されウエハ40の上面を研磨する上定盤72と、キャリア76の下面側に配置されウエハ40の下面を研磨する下定盤73と、を備えている。そして、上定盤72および下定盤73とキャリア76とを、遊星歯車機構77の中心軸L1の周りに相対回転させて、ウエハ40の両面を研磨している。その際、サンギヤ74の回転数とインターナルギヤ75の回転数とを異ならせて、キャリアを同一方向に自転させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−331068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように両面研磨装置71を使用してウエハ40の両面を研磨すると、下定盤73および上定盤72に偏磨耗が発生するという問題がある。例えば図16に示すように、下定盤73の表面73sは内周側に比べて外周側の磨耗量が多くなり、上定盤72の表面72sは外周側に比べて内周側の磨耗量が多くなる。そして、このように偏磨耗した下定盤73および上定盤72を使用してウエハ40を研磨すると、ウエハ40の表面精度の確保が困難になるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、定盤の偏磨耗を抑制し、ウエハの表面精度を確保することが可能な、ウエハの研磨方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の問題を解決するために、本発明に係るウエハの研磨方法は、サンギヤおよびインターナルギヤと、ウエハを保持するキャリアとを備え、前記キャリアは、第1面側に前記ウエハの第1面を露出させ、第2面側に前記ウエハの第2面を露出させた状態で前記ウエハを保持する遊星歯車機構と、前記キャリアの第1面側に配置され、前記ウエハの第1面を研磨する第1定盤と、前記キャリアの第2面側に配置され、前記ウエハの第2面を研磨する第2定盤と、を備えた両面研磨装置を使用し、前記第1定盤および前記第2定盤と前記キャリアとを、前記遊星歯車機構の中心軸の周りに相対回転させて、前記ウエハの両面を研磨する研磨工程を有するウエハの研磨方法であって、前記研磨工程は、前記キャリアを第1方向に自転させながら研磨を行う第1研磨工程と、前記ウエハを研磨しながら前記キャリアの自転方向を前記第1方向から第2方向に反転させる反転工程と、前記キャリアを前記第2方向に自転させながら研磨を行う第2研磨工程と、を有することを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、反転工程でキャリアの自転方向を反転させることで、各定盤の内周側の磨耗量と外周側の磨耗量とが逆転する。そのため、第1研磨工程で発生した各定盤の偏磨耗を、第2研磨工程でキャンセルすることができる。したがって、各定盤の偏磨耗を抑制することができる。これに伴って、平面度の高い定盤でウエハを研磨することができ、ウエハの表面精度を確保することができる。
【0010】
また前記研磨工程は、前記サンギヤと前記インターナルギヤとを同方向に回転させて前記キャリアを公転させつつ、前記第1定盤と前記第2定盤とを逆方向に回転させて行い、前記反転工程は、前記サンギヤの回転数と前記インターナルギヤの回転数との大小を逆転させることにより、前記キャリアの自転方向を反転させることが望ましい。
【0011】
この発明によれば、サンギヤの回転数およびインターナルギヤの回転数を変化させることで、研磨を行いつつキャリアの自転方向を反転させることができる。特に、サンギヤの回転数およびインターナルギヤの回転数を徐々に変化させることで、キャリアに保持されたウエハに対して、各定盤から衝撃力が作用するのを防止できる。そのため、ウエハに各定盤を押し当てて研磨を行いつつ、キャリアの自転方向を反転させることができる。
【0012】
本発明に係る圧電振動片の製造方法は、上述したウエハの研磨方法を使用して、圧電ウエハを研磨することにより、圧電振動片を製造することを特徴とする。
この発明によれば、圧電振動片の表面精度を確保することができる。
【0013】
本発明に係るパッケージの製造方法は、上述したウエハの研磨方法を使用して、ガラスウエハを研磨することにより、ガラスパッケージを製造することを特徴とする。
この発明によれば、パッケージの表面精度を確保することができる。
【0014】
本発明に係る圧電振動子は、上述した圧電振動片の製造方法を使用して製造された圧電振動片を、パッケージの内部に封入したことを特徴とする。
また、上述したパッケージの製造方法を使用して製造されたパッケージの内部に、圧電振動片を封入してもよい。
これらの発明によれば、信頼性に優れた圧電振動子を提供することができる。
【0015】
本発明に係る発振器は、上述した圧電振動子が、発振子として集積回路に電気的に接続されていることを特徴とする。
本発明に係る電子機器は、上述した圧電振動子が、計時部に電気的に接続されていることを特徴とする。
本発明に係る電波時計は、上述した圧電振動子が、フィルタ部に電気的に接続されていることを特徴とする。
これらの発明によれば、信頼性に優れた圧電振動子を備えているので、デバイス自身の信頼性も確保することがでる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のウエハの研磨方法によれば、反転工程でキャリアの自転方向を反転させることで、各定盤の内周側の磨耗両と外周側の磨耗量とが逆転する。そのため、第1研磨工程で発生した各定盤の偏磨耗を、第2研磨工程でキャンセルすることができる。したがって、各定盤の偏磨耗を抑制することができる。これに伴って、平面度の高い定盤でウエハを研磨することができ、ウエハの表面精度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態による圧電振動子の一例を示す外観斜視図である。
【図2】圧電振動子の内部構成図であって、リッド基板を取り外した状態で圧電振動片を上方から見た図ある。
【図3】図2のA−A線に沿う断面図である。
【図4】圧電振動子の分解斜視図である。
【図5】図1に示す圧電振動子を製造する流れを示すフローチャートである。
【図6】リッド基板用ウエハの平面図である。
【図7】両面研磨装置の断面図(側面図)である。
【図8】両面研磨装置の平面図である。
【図9】各定盤とキャリアとの相対回転の説明図である。
【図10】第1ラッピング工程の研磨作用の説明図である。
【図11】第2ラッピング工程の研磨作用の説明図である。
【図12】角型ウエハを保持するキャリアの平面図である。
【図13】本発明に係る発振器の一実施形態を示す構成図である。
【図14】本発明に係る電子機器の一実施形態を示す構成図である。
【図15】本発明に係る電波時計の一実施形態を示す構成図である。
【図16】両面研磨装置の概略構成を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。以下には、本発明に係るウエハの研磨方法を使用して、圧電振動子のパッケージを製造するためリッド基板用ウエハを研磨する場合を例にして説明する。
【0019】
(圧電振動子)
図1は、本実施形態における圧電振動子の外観斜視図であり、図2は圧電振動子の内部構成図であって、リッド基板を取り外した状態で圧電振動片を上方から見た図ある。また、図3は図2に示すA−A線に沿った圧電振動子の断面図であり、図4は圧電振動子の分解斜視図である。
図1〜4に示すように、圧電振動子1は、ベース基板2とリッド基板3とで2層に積層されたパッケージ4を備えおり、内部のキャビティC内に圧電振動片5が収納された表面実装型の圧電振動子1である。そして、圧電振動片5とベース基板2の外側に設置された外部電極6,7とが、ベース基板2を貫通する一対の貫通電極8,9によって電気的に接続されている。
【0020】
ベース基板2は、ガラス材料、例えばソーダ石灰ガラスからなる透明な絶縁基板で板状に形成されている。ベース基板2には、一対の貫通電極8,9が形成される一対のスルーホール(貫通孔)21,22が形成されている。スルーホール21,22は、ベース基板2の下面から上面に向かって漸次径が縮径した断面テーパ形状をなしている。
【0021】
リッド基板3は、ベース基板2と同様に、ガラス材料、例えばソーダ石灰ガラスからなる透明の絶縁基板であり、ベース基板2に重ね合わせ可能な大きさの板状に形成されている。そして、リッド基板3のベース基板2が接合される接合面側には、圧電振動片5が収容される矩形状の凹部3aが形成されている。
この凹部3aは、ベース基板2及びリッド基板3が重ね合わされたときに、圧電振動片5を収容するキャビティCを形成する。そして、リッド基板3は、凹部3aをベース基板2側に対向させた状態でベース基板2に対して後述する接合層23を介して陽極接合されている。
【0022】
圧電振動片5は、水晶、タンタル酸リチウムやニオブ酸リチウム等の圧電材料から形成された音叉型の振動片であり、所定の電圧が印加されたときに振動するものである。
この圧電振動片5は、平行に配置された一対の振動腕部24,25と、一対の振動腕部24,25の基端側を一体的に固定する基部26とからなる平面視略コの字型で、一対の振動腕部24,25の外表面上には、振動腕部24,25を振動させる図示しない一対の第1の励振電極と第2の励振電極とからなる励振電極と、第1の励振電極及び第2の励振電極に電気的に接続された一対のマウント電極とを有している(何れも不図示)。
【0023】
このように構成された圧電振動片5は、図3,4に示すように、金等のバンプBを利用して、ベース基板2の上面に形成された引き回し電極27,28上にバンプ接合されている。より具体的には、圧電振動片5の第1の励振電極が、一方のマウント電極及びバンプBを介して一方の引き回し電極27上にバンプ接合され、第2の励振電極が他方のマウント電極及びバンプBを介して他方の引き回し電極28上にバンプ接合されている。これにより、圧電振動片5は、ベース基板2の上面から浮いた状態で支持されるとともに、各マウント電極と引き回し電極27,28とがそれぞれ電気的に接続された状態となっている。
【0024】
そして、ベース基板2の上面側(リッド基板3が接合される接合面側)には、導電性材料(例えば、アルミニウム)からなる陽極接合用の接合層23が形成されている。この接合層23は、リッド基板3に形成された凹部3aの周囲を囲むようにベース基板2の周縁に沿って形成されている。そして、ベース基板2とリッド基板3とは、凹部3aをベース基板2の接合面側に対向させた状態でベース基板2に対して接合層23を介して陽極接合されている。
【0025】
また、外部電極6,7は、ベース基板2下面の長手方向の両端に設置されており、各貫通電極8,9及び各引き回し電極27,28を介して圧電振動片5に電気的に接続されている。より具体的には、一方の外部電極6は、一方の貫通電極8及び一方の引き回し電極27を介して圧電振動片5の一方のマウント電極に電気的に接続されている。また、他方の外部電極7は、他方の貫通電極9及び他方の引き回し電極28を介して、圧電振動片5の他方のマウント電極に電気的に接続されている。
【0026】
貫通電極8,9は、焼成によってスルーホール21,22に対して一体的に固定された筒体32及び芯材部31によって形成されたものであり、スルーホール21,22を完全に塞いでキャビティC内の気密を維持しているとともに、外部電極6,7と引き回し電極27,28とを導通させる役割を担っている。具体的に、一方の貫通電極8は、外部電極6と基部26との間で引き回し電極27の下方に位置しており、他方の貫通電極9は、外部電極7の上方で引き回し電極28の下方に位置している。
【0027】
筒体32は、ペースト状のガラスフリットが焼成されたものである。筒体32は、両端が平坦で且つベース基板2と略同じ厚みの円筒状に形成されている。そして、筒体32の中心には、芯材部31が筒体32の中心孔32aを貫通するように配されている。また、本実施形態ではスルーホール21,22の形状に合わせて、筒体32の外形が円錐状(断面テーパ状)となるように形成されている。そして、この筒体32は、スルーホール21,22内に埋め込まれた状態で焼成されており、これらスルーホール21,22に対して強固に固着されている。
上述した芯材部31は、金属材料により円柱状に形成された導電性の芯材であり、筒体32と同様に両端が平坦で、且つベース基板2の厚みと略同じ厚さとなるように形成されている。なお、貫通電極8,9は、導電性の芯材部31を通して電気導通性が確保されている。
【0028】
このように構成された圧電振動子1を作動させる場合には、ベース基板2に形成された外部電極6,7に対して、所定の駆動電圧を印加する。これにより、圧電振動片5の各励振電極に電流を流すことができ、一対の振動腕部24,25を接近・離間させる方向に所定の周波数で振動させることができる。そして、この一対の振動腕部24,25の振動を利用して、時刻源、制御信号のタイミング源やリファレンス信号源等として利用することができる。
【0029】
(圧電振動子の製造方法)
次に、上述した圧電振動子の製造方法について、図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。
まず、後にベース基板2となるベース基板用ウエハを、陽極接合を行う直前の状態まで作製するベース基板用ウエハ作製工程を行う(S10)。具体的には、ソーダ石灰ガラスを所定の厚さまで研磨加工して洗浄した後に、エッチング等により最表面の加工変質層を除去した円板状のベース基板用ウエハを形成する(S11)。次いで、例えばプレス加工等により、ベース基板用ウエハに一対の貫通電極8,9を配置するためのスルーホール21,22を複数形成するスルーホール形成工程を行う(S12)。具体的には、プレス加工によりベース基板用ウエハの表面に凹部を形成した後、ベース基板用ウエハの裏面側から研磨することで、凹部を貫通させ、スルーホール21,22を形成することができる。
【0030】
続いて、スルーホール形成工程(S12)で形成されたスルーホール21,22内に貫通電極8,9を形成する貫通電極形成工程(S13)を行う。これにより、スルーホール21,22内において、芯材部31がベース基板用ウエハの表面に対して面一な状態で保持される。以上により、貫通電極8,9を形成することができる。
【0031】
次に、ベース基板用ウエハの上面に導電性材料をパターニングして、接合層23を形成する接合層形成工程を行う(S14)とともに、引き回し電極を形成する引き回し電極形成工程を行う(S15)。このようにして、ベース基板用ウエハ作製工程(S10)が終了する。
【0032】
(リッド基板用ウエハ作製工程)
図6はリッド基板用ウエハの平面図である。上述したベース基板用ウエハ作製工程と同時或いは前後のタイミングで、後にリッド基板3となるリッド基板用ウエハ40を、陽極接合を行う直前の状態まで作製するリッド基板用ウエハ作製工程を行う(S20)。具体的には、図6に示すように、ソーダ石灰ガラスを所定の厚さまで研磨加工して洗浄した後に、エッチング等により最表面の加工変質層を除去した円板状のリッド基板用ウエハ40を形成する(S21)。次いで、リッド基板用ウエハ40の接合面41に、プレス加工やエッチング等により、キャビティC用の凹部3aを行列方向に複数形成する凹部形成工程を行う(S22)。
【0033】
(研磨工程)
次に、リッド基板用ウエハ40の両面を研磨する研磨工程(S23)を行う。研磨工程は、粗削りを行うラッピング工程(S24)と、鏡面仕上げを行うポリッシュ工程(S25)とを有している。ラッピング工程は、以下に説明する両面研磨装置を使用して行う。
【0034】
(両面研磨装置)
図7は両面研磨装置の断面図(側面図)であり、図8は両面研磨装置の平面図である。図7,8に示すように、両面研磨装置71は、平板リング状の上定盤72および下定盤73と、各定盤72,73の中央に位置するサンギヤ74と、各定盤72,73の外周を取り囲むインターナルギヤ75と、上定盤72と下定盤73との間で、サンギヤ74とインターナルギヤ75との間に配置され、リッド基板用ウエハ40を保持する複数のキャリア76と、リッド基板用ウエハ40の両面41,42(図6参照)に研磨剤Wを供給させる研磨剤供給手段78と、上定盤72、下定盤73、サンギヤ74およびインターナルギヤ75をそれぞれ独立して回転駆動させる図示しない駆動手段とで概略構成されている。
【0035】
上定盤72および下定盤73は、鋳鉄等により平板リング状に形成されている。各定盤72,73の表面には、格子状や放射状に複数の溝が形成されている。研磨剤供給手段78から供給された研磨剤Wは、この溝を通ってリッド基板用ウエハ40の表面に供給される。各定盤72,73は、互いに同軸L1上に配置され、中心軸L1の回りに回転可能に支持されている。
【0036】
サンギヤ74の外周及びインターナルギヤ75の内周には、歯74a,75aが一定のピッチで配設されている。サンギヤ74及びインターナルギヤ75は、上定盤72及び下定盤73と同軸L1上に配置され、中心軸L1の回りに回転するようになっている。
キャリア76は、サンギヤ74とインターナルギヤ75との間に、周方向等間隔で複数個(本実施形態では5個)が配置されている。キャリア76の外周には、歯(ギヤ部)76aが一定のピッチで鉛直且つ円環状に配設されている。そして、キャリア76は固定されず、キャリア76の歯76aが、回転するサンギヤ74及びインターナルギヤ75の歯74a,75aとかみ合うことでキャリア76は自転及び公転し、遊星歯車機構77として機能する。
【0037】
キャリア76には、厚さ方向に貫通するウエハ保持孔76bが形成されている。本実施形態のウエハ保持孔76bは、円形状のリッド基板用ウエハ40を保持するものであるため、平面視で円形状に形成されている。ウエハ保持孔76bの直径は、リッド基板用ウエハ40の直径より若干大きくなっている。ウエハ保持孔76bは、周方向に等間隔で複数個(本実施形態では4個)が形成されている。キャリア76の厚さは、リッド基板用ウエハ40の厚さより薄くなっている。そのためキャリア76は、ウエハ保持孔76bにリッド基板用ウエハ40をはめ込んだときに、キャリア76の上面にリッド基板用ウエハ40の上面を露出させ、キャリア76の下面にリッド基板用ウエハ40の下面を露出させた状態で、リッド基板用ウエハ40を保持するようになっている。
【0038】
研磨剤供給手段78は、研磨剤Wを収容し攪拌するモーターを備える図示しない収容部と、一端が収容部にポンプを介して接続され、他端の供給口79aが上定盤72に接続された複数の供給ホース79とを備えている。そして、研磨剤Wは、収容部からポンプによって供給ホース79内に送出され、上定盤72に形成された供給孔72bから、各定盤72,73とリッド基板用ウエハ40の両面41,42との間に供給されるようになっている。なお、研磨剤供給手段78は、下定盤73から外部へ流出した研磨剤Wを回収する研磨剤回収部(不図示)を備え、回収された研磨剤Wは再度供給ホース79へ搬送できる仕組みとなっている。なお、研磨剤Wには、一般的にガラス面の研磨に使用される酸化セリウム等が好適に用いられている。
【0039】
(ラッピング工程)
上述した両面研磨装置を使用してラッピング工程(S24)を行う。本実施形態では、両面研磨装置の各定盤72,73及び各ギヤ74,75を全て独立で回転駆動させる、いわゆる4ウェイ方式を採用してラッピング工程を行う。ラッピング工程は、研磨剤供給手段78によりリッド基板用ウエハ40の両面に研磨剤Wを供給させながら行う。ラッピング工程は、キャリア76を時計回りに自転させて研磨を行う第1ラッピング工程(S24a)と、研磨を行いつつキャリア76の自転方向を反転させる反転工程(S24b)と、キャリア76を反時計回りに自転させて研磨を行う第2ラッピング工程(S24c)と、を有している。
【0040】
図10および図11は、両面研磨装置の一部の分解斜視図である。図10は第1ラッピング工程の研磨作用の説明図であり、図11は第2ラッピング工程の研磨作用の説明図である。図10および図11では、図面を見やすくするため、両面研磨装置の構成部材を簡略化して描いている。また図10および図11では、回転方向を示す矢印の長さによって、回転数の大きさを表している。また図10および図11では、時計回り方向をCW(Clock Wise)方向とし、反時計回り方向をCCW(Counter Clock Wise)方向としている。
【0041】
ラッピング工程を通して、各定盤72,73の回転方向および回転数は同じである。また、遊星歯車機構77のサンギヤ74およびインターナルギヤ75の回転方向も同じであり、キャリア76の公転方向も同じである。これに対して、第1ラッピング工程、反転工程および第2ラッピング工程では、サンギヤ74およびインターナルギヤ75の回転数を変化させて、キャリア76の自転方向を反転させる。
【0042】
具体的には、ラッピング工程を通して、上定盤72と下定盤73とを逆方向に回転させる。すなわち、上定盤72をCW方向に回転(矢印TU)させ、下定盤73をCCW方向に回転(矢印TL)させる。ここで、下定盤73の回転数を上定盤72の回転数の3倍程度に設定する。なお、各定盤72,73の外周側の回転速度は、内周側の回転速度より速くなる。
【0043】
またラッピング工程を通して、遊星歯車機構77のサンギヤ74とインターナルギヤ75とを同方向に回転させる。すなわち、サンギヤ74をCCW方向に回転(矢印Q)させ、インターナルギヤ75をCCW方向に回転(矢印R)させる。これにより、キャリア76を、下定盤73と同じCCW方向に公転(矢印M)させる。ここで、キャリア76の公転の回転数が、上定盤72の回転数と同等になるように、サンギヤ74およびインターナルギヤ75の回転数を設定する。第1ラッピング工程では、両面研磨装置の各構成部材の回転数は一定とする。
【0044】
図9は、各定盤とキャリアとの相対回転の説明図である。図9では、CW方向の回転を左向きの矢印で示し、CCW方向の回転を右向きの矢印で示している。いま、時刻T0において周方向で同じ位置にある各定盤72,73上の点およびキャリア76上の点が、時刻T1にかけてそれぞれどのように移動するかを検討する。時刻T0からT1までの間に、上定盤72はCW方向にP1回転し、キャリア76はCCW方向にP1回転(公転)し、下定盤73はCCW方向にP3(=3×P1)回転する。これにより、時刻T0からT1までの間に、上定盤72はキャリア76に対してCW方向にP2(=2×P1)だけ相対回転し、下定盤73はキャリア76に対してCCW方向にP2だけ相対回転することになる。これにより、キャリア76に支持されたリッド基板用ウエハ40の、上面および下面の研磨レートを一致させることができる。
【0045】
(第1ラッピング工程)
図10に戻り、第1ラッピング工程では、サンギヤ74の回転数(矢印Q)を、インターナルギヤ75の回転数(矢印R)よりも大きく設定する。これにより、キャリア76をCW方向に自転(矢印SI,SO)させる。キャリア76を自転させることにより、キャリア76に支持された複数のリッド基板用ウエハ40が、各定盤72,73の内周側から外周側までの全面で研磨される。これにより、リッド基板用ウエハ40の表面精度のばらつきを抑制することができる。
【0046】
ところで、キャリア76の自転により、各定盤72,73の内周側ではリッド基板用ウエハ40が矢印SI方向に進行し、各定盤72,73の外周側ではリッド基板用ウエハ40が矢印SO方向に進行する。これらのリッド基板用ウエハ40の進行方向SI,SOと下定盤73の回転方向TLとを比較すると、下定盤73の内周側ではリッド基板用ウエハ40の進行方向SIと下定盤73の回転方向TLとが略同方向になり、下定盤73の外周側ではリッド基板用ウエハ40の進行方向SOと下定盤73の回転方向TLとが略逆方向になる。そのため図16に示すように、下定盤73の表面73sでは、内周側の磨耗量に比べて外周側の磨耗量が多くなるという問題がある。
【0047】
また図10において、リッド基板用ウエハ40の進行方向SI,SOと上定盤72の回転方向TUとを比較すると、上定盤72の内周側ではリッド基板用ウエハ40の進行方向SIと上定盤72の回転方向TUとが略逆方向になり、上定盤72の外周側ではリッド基板用ウエハ40の進行方向SOと上定盤72の回転方向TUとが略同方向になる。そのため図16に示すように、上定盤72の表面72sでは、外周側の磨耗量に比べて内周側の磨耗量が多くなるという問題がある。
従来のラッピング工程では、キャリアを同一方向に自転させたまま研磨を行っていたので、上記のような偏磨耗が進行する一方であった。この偏磨耗を解消するには、ラッピング工程を中断して各定盤72,73の表面72s,73sを補正する必要があった。
【0048】
(反転工程)
そこで本実施形態では、研磨を行いつつキャリアの自転方向を反転させる反転工程(S24b)を行う。図10に示す第1ラッピング工程は、サンギヤ74の回転数(矢印Q)をインターナルギヤ75の回転数(矢印R)よりも大きくして、キャリア76をCW方向に自転(矢印SI,SO)させた。この反転工程では、サンギヤ74の回転数を徐々に減少させるとともに、インターナルギヤ75の回転数を徐々に増加させる。これにより、キャリア76のCW方向への自転の回転数は徐々に減少する。そして、サンギヤ74およびインターナルギヤ75の回転数が一致した時点で、キャリア76の自転は一時停止する。さらに反転工程では、図11に示すように、インターナルギヤ75の回転数(矢印R)をサンギヤ74の回転数(矢印Q)よりも大きくして、キャリア76をCCW方向に自転(矢印SI,SO)させる。この場合でも、インターナルギヤ75の回転数を徐々に増加させるとともに、サンギヤの回転数を徐々に減少させることで、キャリア76のCCW方向への自転の回転数を徐々に増加させる。
【0049】
このように、キャリア76の自転の回転数を徐々に変化させることで、キャリア76に支持されたリッド基板用ウエハ40に対して、各定盤72,73から衝撃力が作用するのを防止することができる。そのため、リッド基板用ウエハ40に各定盤72,73を押し当てて研磨を続行しつつ、キャリア76の自転方向を反転させることができる。
【0050】
(第2ラッピング工程)
次に図11に示すように、第2ラッピング工程(S24c)を行う。第2ラッピング工程では、反転工程の終了時点の条件を維持しつつ研磨を行う。すなわち第2ラッピング工程では、インターナルギヤ75の回転数(矢印R)をサンギヤ74の回転数(矢印Q)よりも大きく設定する。この場合でも、キャリア76の公転の回転数が上定盤72の回転数と同等になるように、サンギヤ74およびインターナルギヤ75の回転数を設定する。これにより、リッド基板用ウエハ40の両面の研磨レートを一致させることができる。
【0051】
インターナルギヤ75の回転数(矢印R)をサンギヤ74の回転数(矢印Q)よりも大きく設定することにより、キャリア76をCCW方向に自転(矢印SI,SO)させる。ここで、リッド基板用ウエハ40の進行方向SI,SOと下定盤73の回転方向TLとを比較すると、下定盤73の内周側ではリッド基板用ウエハ40の進行方向SIと下定盤73の回転方向TLとが略逆方向になり、下定盤73の外周側ではリッド基板用ウエハ40の進行方向SOと下定盤73の回転方向TLとが略同方向になる。そのため下定盤73の表面では、外周側の磨耗量に比べて内周側の磨耗量が多くなる。これにより、第1ラッピング工程で発生した下定盤73の偏磨耗をキャンセルすることができる。
【0052】
また、リッド基板用ウエハ40の進行方向SI,SOと上定盤72の回転方向TUとを比較すると、上定盤72の内周側ではリッド基板用ウエハ40の進行方向SIと上定盤72の回転方向TUとが略同方向になり、上定盤72の外周側ではリッド基板用ウエハ40の進行方向SOと上定盤72の回転方向TUとが略逆方向になる。そのため、上定盤72の表面では、内周側の磨耗量に比べて外周側の磨耗量が多くなる。これにより、第1ラッピング工程で発生した下定盤73の偏磨耗をキャンセルすることができる。
【0053】
このように、キャリア76の自転方向を反転させることで、各定盤72,73の内周側の磨耗量と外周側の磨耗量とが逆転する。そのため、第1ラッピング工程で発生した各定盤の偏磨耗を、第2ラッピング工程でキャンセルすることができる。したがって、各定盤72,73の偏磨耗を抑制することができる。これに伴って、平面度の高い定盤72,73でリッド基板用ウエハ40を研磨することができ、リッド基板用ウエハ40の表面精度を確保することができる。その結果、ベース基板用ウエハとの陽極接合の信頼性が向上し、パッケージの気密性が確保されるので、信頼性に優れた圧電振動子を提供することができる。しかも、研磨を行いつつキャリア76の自転方向を反転させるので、定盤の表面を補正するためラッピング工程を中断する必要がない。したがって、圧電振動子の製造効率の低下を抑制することができる。
【0054】
次に、ポリッシュ工程(S25)を行う。ポリッシュ工程は、図7に示す両面研磨装置71の各定盤72,73の表面に研磨パッド(不図示)を装着した上で、両面研磨装置71を使用して行うことができる。研磨パッドとして、不織布や、スエード状の研磨布であるセリウムパッド等が好適に用いられる。なおポリッシュ工程では、キャリア76の自転方向を同一方向に維持した状態で行ってもよい。以上により、リッド基板用ウエハ作成工程(S20)が終了する。
【0055】
次に、ベース基板用ウエハ作製工程(S10)で作成されたベース基板用ウエハの各引き回し電極27,28上に、それぞれ金等のバンプBを介して圧電振動片5をマウントする(S31)。そして、上述した各ウエハの作製工程で作成されたベース基板用ウエハ及びリッド基板用ウエハ40を重ね合わせる、重ね合わせ工程を行う(S32)。具体的には、図示しない基準マーク等を指標としながら、両ウエハを正しい位置にアライメントする。これにより、マウントされた圧電振動片5が、リッド基板用ウエハ40に形成された凹部3aとベース基板用ウエハとで囲まれるキャビティC内に収納された状態となる。
【0056】
重ね合わせ工程後、重ね合わせた2枚のウエハを図示しない陽極接合装置に入れ、図示しない保持機構によりウエハの外周部分をクランプした状態で、所定の温度雰囲気で所定の電圧を印加して陽極接合する接合工程を行う(S33)。具体的には、接合層23とリッド基板用ウエハ40との間に所定の電圧を印加する。すると、接合層23とリッド基板用ウエハ40との界面に電気化学的な反応が生じ、両者がそれぞれ強固に密着して陽極接合される。これにより、圧電振動片5をキャビティC内に封止することができ、ベース基板用ウエハとリッド基板用ウエハ40とが接合したウエハ接合体を得ることができる。
【0057】
その後、一対の貫通電極8,9にそれぞれ電気的に接続された一対の外部電極6,7を形成し、圧電振動子1の周波数を微調整する。そして、ウエハ接合体を個片化する切断を行い、内部の電気特性検査を行うことで圧電振動片5を収容したパッケージ(圧電振動子1)が形成される。
【0058】
(変形例)
本発明に係るウエハの研磨方法を使用して、圧電ウエハを研磨することにより、圧電振動片を製造することも可能である。なお、上述した音叉型の圧電振動片だけでなく、ATカット圧電振動片を製造することもできる。
図12は、圧電ウエハを支持するキャリアの平面図である。圧電ウエハ240は、例えば水晶の原石からスライスして作成するため、平面視で矩形状の角型ウエハである場合が多い。そこで圧電ウエハ240を研磨する場合には、キャリア276のウエハ保持孔276bが平面視で矩形状に形成されている。
【0059】
このキャリア276を使用して、上記実施形態と同様に研磨工程を行うことにより、両面研磨装置の各定盤の偏磨耗を抑制することができる。
なお圧電ウエハ240は角型ウエハであるため、圧電ウエハのエッジ部が均等に研磨されにくい。具体的には、キャリア276の自転方向に対して前方に位置するエッジ部の研磨量が、後方に位置するエッジ部の研磨量より大きくなる。これに対して、本発明に係るウエハの研磨方法では、キャリアの自転方向を反転させる反転工程を有しているので、圧電ウエハ240の全周のエッジ部を均等に研磨することができる。したがって、圧電ウエハ240表面精度を確保することができる。
【0060】
(発振器)
次に、本発明に係る発振器の一実施形態について、図14を参照しながら説明する。 本実施形態の発振器100は、図14に示すように、圧電振動子1を、集積回路101に電気的に接続された発振子として構成したものである。この発振器100は、コンデンサ等の電子部品102が実装された基板103を備えている。基板103には、発振器用の上述した集積回路101が実装されており、この集積回路101の近傍に、圧電振動子1が実装されている。これら電子部品102、集積回路101及び圧電振動子1は、図示しない配線パターンによってそれぞれ電気的に接続されている。なお、各構成部品は、図示しない樹脂によりモールドされている。
【0061】
このように構成された発振器100において、圧電振動子1に電圧を印加すると、この圧電振動子1内の圧電振動片5が振動する。この振動は、圧電振動片5が有する圧電特性により電気信号に変換されて、集積回路101に電気信号として入力される。入力された電気信号は、集積回路101によって各種処理がなされ、周波数信号として出力される。これにより、圧電振動子1が発振子として機能する。
また、集積回路101の構成を、例えば、RTC(リアルタイムクロック)モジュール等を要求に応じて選択的に設定することで、時計用単機能発振器等の他、当該機器や外部機器の動作日や時刻を制御したり、時刻やカレンダー等を提供したりする機能を付加することができる。
【0062】
本実施形態の発振器100は、上記のように信頼性に優れた圧電振動子1を備えているので、発振器100自体の信頼性も確保することができ、長期にわたって安定した高精度な周波数信号を得ることができる。
【0063】
(電子機器)
次に、本発明に係る電子機器の一実施形態について、図15を参照して説明する。なお電子機器として、上述した圧電振動子1を有する携帯情報機器110を例にして説明する。始めに本実施形態の携帯情報機器110は、例えば、携帯電話に代表されるものであり、従来技術における腕時計を発展、改良したものである。外観は腕時計に類似し、文字盤に相当する部分に液晶ディスプレイを配し、この画面上に現在の時刻等を表示させることができるものである。また、通信機として利用する場合には、手首から外し、バンドの内側部分に内蔵されたスピーカ及びマイクロフォンによって、従来技術の携帯電話と同様の通信を行うことが可能である。しかしながら、従来の携帯電話と比較して、格段に小型化及び軽量化されている。
【0064】
次に、本実施形態の携帯情報機器110の構成について説明する。この携帯情報機器110は、図15に示すように、圧電振動子1と、電力を供給するための電源部111とを備えている。電源部111は、例えば、リチウム二次電池からなっている。この電源部111には、各種制御を行う制御部112と、時刻等のカウントを行う計時部113と、外部との通信を行う通信部114と、各種情報を表示する表示部115と、それぞれの機能部の電圧を検出する電圧検出部116とが並列に接続されている。そして、電源部111によって、各機能部に電力が供給されるようになっている。
【0065】
制御部112は、各機能部を制御して音声データの送信及び受信、現在時刻の計測や表示等、システム全体の動作制御を行う。また、制御部112は、予めプログラムが書き込まれたROMと、このROMに書き込まれたプログラムを読み出して実行するCPUと、このCPUのワークエリアとして使用されるRAM等とを備えている。
【0066】
計時部113は、発振回路、レジスタ回路、カウンタ回路及びインターフェース回路等を内蔵する集積回路と、圧電振動子1とを備えている。圧電振動子1に電圧を印加すると圧電振動片5が振動し、この振動が水晶の有する圧電特性により電気信号に変換されて、発振回路に電気信号として入力される。発振回路の出力は二値化され、レジスタ回路とカウンタ回路とにより計数される。そして、インターフェース回路を介して、制御部112と信号の送受信が行われ、表示部115に、現在時刻や現在日付或いはカレンダー情報等が表示される。
【0067】
通信部114は、従来の携帯電話と同様の機能を有し、無線部117、音声処理部118、切替部119、増幅部120、音声入出力部121、電話番号入力部122、着信音発生部123及び呼制御メモリ部124を備えている。 無線部117は、音声データ等の各種データを、アンテナ125を介して基地局と送受信のやりとりを行う。音声処理部118は、無線部117又は増幅部120から入力された音声信号を符号化及び複号化する。増幅部120は、音声処理部118又は音声入出力部121から入力された信号を、所定のレベルまで増幅する。音声入出力部121は、スピーカやマイクロフォン等からなり、着信音や受話音声を拡声したり、音声を集音したりする。
【0068】
また、着信音発生部123は、基地局からの呼び出しに応じて着信音を生成する。切替部119は、着信時に限って、音声処理部118に接続されている増幅部120を着信音発生部123に切り替えることによって、着信音発生部123において生成された着信音が増幅部120を介して音声入出力部121に出力される。 なお、呼制御メモリ部124は、通信の発着呼制御に係るプログラムを格納する。また、電話番号入力部122は、例えば、0から9の番号キー及びその他のキーを備えており、これら番号キー等を押下することにより、通話先の電話番号等が入力される。
【0069】
電圧検出部116は、電源部111によって制御部112等の各機能部に対して加えられている電圧が、所定の値を下回った場合に、その電圧降下を検出して制御部112に通知する。このときの所定の電圧値は、通信部114を安定して動作させるために必要な最低限の電圧として予め設定されている値であり、例えば、3V程度となる。電圧検出部116から電圧降下の通知を受けた制御部112は、無線部117、音声処理部118、切替部119及び着信音発生部123の動作を禁止する。特に、消費電力の大きな無線部117の動作停止は、必須となる。更に、表示部115に、通信部114が電池残量の不足により使用不能になった旨が表示される。
【0070】
すなわち、電圧検出部116と制御部112とによって、通信部114の動作を禁止し、その旨を表示部115に表示することができる。この表示は、文字メッセージであっても良いが、より直感的な表示として、表示部115の表示面の上部に表示された電話アイコンに、×(バツ)印を付けるようにしても良い。 なお、通信部114の機能に係る部分の電源を、選択的に遮断することができる電源遮断部126を備えることで、通信部114の機能をより確実に停止することができる。
【0071】
本実施形態の携帯情報機器110は、上記のように信頼性に優れた圧電振動子1を備えているので、携帯情報機器110自体の信頼性も確保することができ、長期にわたって安定した高精度な時計情報を表示することができる。
【0072】
(電波時計)
次に、本発明に係る電波時計の一実施形態について、図16を参照して説明する。 本実施形態の電波時計130は、図16に示すように、フィルタ部131に電気的に接続された圧電振動子1を備えたものであり、時計情報を含む標準の電波を受信して、正確な時刻に自動修正して表示する機能を備えた時計である。 日本国内には、福島県(40kHz)と佐賀県(60kHz)とに、標準の電波を送信する送信所(送信局)があり、それぞれ標準電波を送信している。40kHz若しくは60kHzのような長波は、地表を伝播する性質と、電離層と地表とを反射しながら伝播する性質とを併せもつため、伝播範囲が広く、上述した2つの送信所で日本国内を全て網羅している。
【0073】
以下、電波時計130の機能的構成について詳細に説明する。 アンテナ132は、40kHz若しくは60kHzの長波の標準電波を受信する。長波の標準電波は、タイムコードと呼ばれる時刻情報を、40kHz若しくは60kHzの搬送波にAM変調をかけたものである。受信された長波の標準電波は、アンプ133によって増幅され、複数の圧電振動子1を有するフィルタ部131によって濾波、同調される。 本実施形態における圧電振動子1は、上述した搬送周波数と同一の40kHz及び60kHzの共振周波数を有する水晶振動子部138、139をそれぞれ備えている。
【0074】
さらに、濾波された所定周波数の信号は、検波、整流回路134により検波復調される。続いて、波形整形回路135を介してタイムコードが取り出され、CPU136でカウントされる。CPU136では、現在の年、積算日、曜日、時刻等の情報を読み取る。読み取られた情報は、RTC137に反映され、正確な時刻情報が表示される。 搬送波は、40kHz若しくは60kHzであるから、水晶振動子部138、139は、上述した音叉型の構造を持つ振動子が好適である。
【0075】
なお、上述の説明は、日本国内の例で示したが、長波の標準電波の周波数は、海外では異なっている。例えば、ドイツでは77.5KHzの標準電波が用いられている。従って、海外でも対応可能な電波時計130を携帯機器に組み込む場合には、さらに日本の場合とは異なる周波数の圧電振動子1を必要とする。
【0076】
本実施形態の電波時計130は、上記のように信頼性に優れた圧電振動子1を備えているので、電波時計130自体の信頼性も確保することができ、長期にわたって安定して高精度に時刻をカウントすることができる。
【0077】
なお、本発明の技術範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、実施形態で挙げた具体的な材料や層構成などはほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
【0078】
本発明に係るウエハの研磨方法は、各定盤72,73とキャリア76とが遊星歯車機構77の中心軸L1の周りを相対回転する場合に、広く適用することができる。実施形態のラッピング工程では、各定盤72,73及び各ギヤ74,75を全て独立で回転駆動させる4ウェイ方式を採用したが、各定盤72,73をともに固定する2ウェイ方式や、上定盤72のみを固定する3ウェイ方式等を採用してもよい。
また、実施形態ではインターナルギヤ75が独自に回転する両面研磨装置71を使用しているが、インターナルギヤ75が独自に回転せず、例えば下定盤73に固定されて下定盤73とともに回転する構造の両面研磨装置を使用してもよい。
【0079】
また、実施形態ではラッピング工程内で反転工程を1回だけ実施したが、複数回実施してもよい。すなわち、ラッピング工程内でキャリア76の自転方向を繰り返し反転させてもよい。
【符号の説明】
【0080】
CW…時計回り(第1方向) CCW…反時計回り(第2方向) L1…中心軸 S24…ラッピング工程(研磨工程) S24a…第1ラッピング工程(第1研磨工程) S24b…反転工程 S24c…第2ラッピング工程(第2研磨工程) 1…圧電振動子 4…パッケージ 5…圧電振動片 40…リッド基板用ウエハ(ウエハ) 71…両面研磨装置 72…上定盤(第1定盤) 73…下定盤(第2定盤) 74…サンギヤ 75…インターナルギヤ 76…キャリア 77…遊星歯車機構 100…発振器 110…携帯情報機器(電子機器) 130…電波時計
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンギヤおよびインターナルギヤと、ウエハを保持するキャリアとを備え、前記キャリアは、第1面側に前記ウエハの第1面を露出させ、第2面側に前記ウエハの第2面を露出させた状態で前記ウエハを保持する遊星歯車機構と、
前記キャリアの第1面側に配置され、前記ウエハの第1面を研磨する第1定盤と、
前記キャリアの第2面側に配置され、前記ウエハの第2面を研磨する第2定盤と、
を備えた両面研磨装置を使用し、
前記第1定盤および前記第2定盤と前記キャリアとを、前記遊星歯車機構の中心軸の周りに相対回転させて、前記ウエハの両面を研磨する研磨工程を有するウエハの研磨方法であって、
前記研磨工程は、
前記キャリアを第1方向に自転させながら研磨を行う第1研磨工程と、
前記ウエハを研磨しながら前記キャリアの自転方向を前記第1方向から第2方向に反転させる反転工程と、
前記キャリアを前記第2方向に自転させながら研磨を行う第2研磨工程と、
を有することを特徴とするウエハの研磨方法。
【請求項2】
前記研磨工程は、前記サンギヤと前記インターナルギヤとを同方向に回転させて前記キャリアを公転させつつ、前記第1定盤と前記第2定盤とを逆方向に回転させて行い、
前記反転工程は、前記サンギヤの回転数と前記インターナルギヤの回転数との大小を逆転させることにより、前記キャリアの自転方向を反転させることを特徴とする請求項1に記載のウエハの研磨方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のウエハの研磨方法を使用して、圧電ウエハを研磨することにより、圧電振動片を製造することを特徴とする圧電振動片の製造方法。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載のウエハの研磨方法を使用して、ガラスウエハを研磨することにより、ガラスパッケージを製造することを特徴とするパッケージの製造方法。
【請求項5】
請求項3に記載の圧電振動片の製造方法を使用して製造された圧電振動片を、パッケージの内部に封入したことを特徴とする圧電振動子。
【請求項6】
請求項4に記載のパッケージの製造方法を使用して製造されたパッケージの内部に、圧電振動片を封入したことを特徴とする圧電振動子。
【請求項7】
請求項5または6に記載の圧電振動子が、発振子として集積回路に電気的に接続されていることを特徴とする発振器。
【請求項8】
請求項5または6に記載の圧電振動子が、計時部に電気的に接続されていることを特徴とする電子機器。
【請求項9】
請求項5または6に記載の圧電振動子が、フィルタ部に電気的に接続されていることを特徴とする電波時計。
【請求項1】
サンギヤおよびインターナルギヤと、ウエハを保持するキャリアとを備え、前記キャリアは、第1面側に前記ウエハの第1面を露出させ、第2面側に前記ウエハの第2面を露出させた状態で前記ウエハを保持する遊星歯車機構と、
前記キャリアの第1面側に配置され、前記ウエハの第1面を研磨する第1定盤と、
前記キャリアの第2面側に配置され、前記ウエハの第2面を研磨する第2定盤と、
を備えた両面研磨装置を使用し、
前記第1定盤および前記第2定盤と前記キャリアとを、前記遊星歯車機構の中心軸の周りに相対回転させて、前記ウエハの両面を研磨する研磨工程を有するウエハの研磨方法であって、
前記研磨工程は、
前記キャリアを第1方向に自転させながら研磨を行う第1研磨工程と、
前記ウエハを研磨しながら前記キャリアの自転方向を前記第1方向から第2方向に反転させる反転工程と、
前記キャリアを前記第2方向に自転させながら研磨を行う第2研磨工程と、
を有することを特徴とするウエハの研磨方法。
【請求項2】
前記研磨工程は、前記サンギヤと前記インターナルギヤとを同方向に回転させて前記キャリアを公転させつつ、前記第1定盤と前記第2定盤とを逆方向に回転させて行い、
前記反転工程は、前記サンギヤの回転数と前記インターナルギヤの回転数との大小を逆転させることにより、前記キャリアの自転方向を反転させることを特徴とする請求項1に記載のウエハの研磨方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のウエハの研磨方法を使用して、圧電ウエハを研磨することにより、圧電振動片を製造することを特徴とする圧電振動片の製造方法。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載のウエハの研磨方法を使用して、ガラスウエハを研磨することにより、ガラスパッケージを製造することを特徴とするパッケージの製造方法。
【請求項5】
請求項3に記載の圧電振動片の製造方法を使用して製造された圧電振動片を、パッケージの内部に封入したことを特徴とする圧電振動子。
【請求項6】
請求項4に記載のパッケージの製造方法を使用して製造されたパッケージの内部に、圧電振動片を封入したことを特徴とする圧電振動子。
【請求項7】
請求項5または6に記載の圧電振動子が、発振子として集積回路に電気的に接続されていることを特徴とする発振器。
【請求項8】
請求項5または6に記載の圧電振動子が、計時部に電気的に接続されていることを特徴とする電子機器。
【請求項9】
請求項5または6に記載の圧電振動子が、フィルタ部に電気的に接続されていることを特徴とする電波時計。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−209690(P2012−209690A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72733(P2011−72733)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】
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