説明

エンジンの自動停止再始動装置

【課題】エンジン再始動による車両の振動抑制と車両の発進応答性とを両立し得る装置を提供する。
【解決手段】エンジン自動停止許可条件を満足したときエンジン自動停止制御を開始してエンジンを停止し、エンジン自動停止許可条件を満足しなくなったときエンジンの再始動を行なうエンジンの自動停止再始動装置において、エンジン停止後に再始動要求があったときには、初回の燃焼によってエンジンの共振回転速度帯域を通過できる時期に燃焼開始タイミングを設定し(S2、S5、S6、S7)、前記エンジン自動停止制御中に再始動要求があったときには、前記エンジン停止後に再始動要求があったときの燃焼開始タイミングより燃焼開始タイミングを早く設定する(S2、S3、S4)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はエンジンの自動停止再始動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンの自動停止・再始動を行なう自動停止再始動装置がある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−65105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1の技術では、エンジン再始動による車両の振動抑制と車両の発進応答性との両立については考慮しておらず、改善の余地があった。
【0005】
そこで本発明は、エンジン再始動による車両の振動抑制と車両の発進応答性とを両立し得る装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のエンジンの自動停止再始動装置は、エンジン自動停止許可条件を満足したときエンジン自動停止制御を開始してエンジンを停止し、エンジン自動停止許可条件を満足しなくなったときエンジンの再始動を行なう。さらに、エンジン停止後に再始動要求があったときには、初回の燃焼によってエンジンの共振回転速度帯域を通過できる時期に燃焼開始タイミングを設定し、前記エンジン自動停止制御中に再始動要求があったときには、前記エンジン停止後に再始動要求があったときの燃焼開始タイミングより燃焼開始タイミングを早く設定する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、エンジン停止後に再始動用要求があったときのように素早い車両の発進応性が求められないときには車両の振動抑制を優先し、エンジン自動停止制御中に再始動要求があったときのように素早い車両の発進応答性が求められるときには始動レスポンスを優先するよう初爆タイミングを切換えるので、車両の振動抑制と素早い車両の発進応答性とを両立できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1実施形態の車両の全体図である。
【図2】クランキング開始からのエンジン回転速度の変化を示すタイミングチャートである。
【図3】第1実施形態の通常時の再始動要求があったときのアイドルストップ実施判定フラグ等の変化を示すタイミングチャートである。
【図4】第1実施形態のチェンジマインド時の再始動要求があったときのアイドルストップ実施判定フラグ等の変化を示すタイミングチャートである。
【図5】第1実施形態の再始動制御を説明するためのフローチャートである。
【図6】第2実施形態の車両の全体図である。
【図7】第2実施形態の通常時の再始動要求があったときのアイドルストップ実施判定フラグ等の変化を示すタイミングチャートである。
【図8】第2実施形態のチェンジマインド時の再始動要求があったときのアイドルストップ実施判定フラグ等の変化を示すタイミングチャートである。
【図9】第2実施形態の通常時の再始動要求があったときかつ発進要求が相対的に大きいときのアイドルストップ実施判定フラグ等の変化を示すタイミングチャートである。
【図10】第2実施形態の再始動制御を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態の車両1Aの全体図である。図1において、2はエンジン、3は手動変速機、5はプロペラシャフト、6はディファレンシャルギヤ、7は駆動輪である。手動変速機3はエンジン2と変速機とを断接可能なクラッチ4を有し、クラッチ4はクラッチペダル15によって断続操作される。手動変速機3ではシフトレバーなどのシフト装置16によって変速比(変速段)を設定する。エンジン2はここではガソリンエンジンの場合で説明するが、ディーゼルエンジンの場合でもかまわない。
【0011】
エンジン2にはスタータモータ14、ピニオン機構、スイッチ部からなるスタータを備える。スタータはエンジン2を起動するときのみスタータモータ14につながるピニオンをエンジンのリングギヤに連結することによってエンジン2のクランキングを行わせるためのものである。スタータモータ14は、ドライバによって駆動されるほか、エンジンコントローラ21からの指令によっても駆動される。
【0012】
エンジンコントローラ21には、クラッチペダル15に付属させているクラッチアッパースイッチ24、クラッチロアースイッチ25からの信号、ニュートラルスイッチ26からの信号が入力されている。
【0013】
クラッチアッパースイッチ24は、クラッチペダル15の踏み込み方向手前に設置しているスイッチである。クラッチアッパースイッチ24はクラッチペダル15の踏み込みがないときOFFとなり、クラッチペダル15の踏み込みの開始があったときONとなる。
【0014】
クラッチ4が完全に切れたか否かを判定するために、クラッチペダル15の踏み込み方向奥にクラッチロアースイッチ25を設置している。クラッチロアースイッチ25はクラッチペダル15が一杯にまで踏み込まれたとき(クラッチ4が完全に切れたとき)にONとなり、それ以外でOFFとなる。
【0015】
なお、クラッチアッパースイッチ24及びクラッチロアースイッチ25を備える場合に限定されない。これら2つのスイッチ24、25に代えて、クラッチストロークセンサを設けてもかまない。クラッチストロークセンサは、クラッチペダル15の踏み込み量に応じた出力をするものである。
【0016】
ニュートラルスイッチ26はシフトレバーがニュートラル位置にあるときONとなり、それ以外の位置にあるときOFFとなるスイッチである。
【0017】
エンジンコントローラ21では、エンジンの運転条件に応じたエンジン出力トルクが得られるように、各気筒に設けた燃料噴射弁12を介しての燃料供給量制御と、点火プラグ13を介しての点火制御とを行う。エンジンの運転条件は、クランク角センサ22により得られるエンジン回転速度の信号と、エアフロメータ23からの吸入空気量の信号とに基づいて決定している。
【0018】
また、エンジンコントローラ21では、エンジン自動停止許可条件を満足するか否かをみる。例えばニュートラルスイッチ26がONのとき、エンジン自動停止許可条件を満足すると判断し、エンジン自動停止制御を開始し、エンジン2への燃料供給と火花点火とを停止させることにより、エンジン2を停止する。エンジン自動停止制御中には、エンジン自動停止許可条件を満足しなくなったか否かをみる。例えばクラッチペダル15が踏み込まれたときにはエンジン自動停止許可条件を満足しなくなったと判断し、エンジン2が停止するのを待ってエンジン2を自動的に再始動する。エンジン2を再始動するため、スタータモータ14を駆動してエンジン2をクランキングすると共に、所定のタイミングを燃焼開始タイミングとしてエンジン2への燃料供給と火花点火とを再開する。
【0019】
さて、従来技術では、エンジン再始動による車両の振動の抑制と素早い再始動応答性との両立については考慮しておらず、改善の余地があった。
【0020】
これについて図2を参照して説明する。まず車両振動に対する要求とは次のようなものである。すなわち、スタータモータ14によるクランキング開始よりクランキング回転速度は徐々に高くなってくる。この場合、燃焼開始タイミングを早くしすぎると、クランキング回転速度がまだ十分に立ち上がっていないので、初回の燃焼によって得られたエンジン回転速度がエンジンの共振回転速度帯域に停滞し、車両振動が大きくなって運転者に違和感を与えてしまう。よって、車両の振動低減の観点からは、クランキング回転速度が十分立ち上がってから燃焼開始させることで、初回の燃焼によってエンジン共振回転速度帯域を通過できるようにすることが望ましい。
【0021】
次に、車両の発進応答性に対する要求とは次のようなものである。すなわち、エンジン自動停止制御中にクラッチペダル15の踏み込みによる再始動要求があったときには、エンジン2が停止しないと再始動できないので、クラッチペダル15がある程度踏み込まれた状態からエンジンを再始動して車両を発進させることになる。この場合、クラッチミートまでの時間が短く素早い車両の発進応答性が求められているので、燃焼開始タイミングを可能な限り早い時期に設定することが望まれる。ここで、「エンジン自動停止制御中」とは、エンジン自動停止許可条件を満足したとき(あるいはエンジンコントローラ21がエンジン自動停止指令を出したとき)から実際にエンジン2が停止するまでの間とする。
【0022】
これら2つの要求は相反するものであり、上記従来技術はこれら2つの要求を両立させるものでなかった。
【0023】
そこで本発明の第1実施形態は、ドライバ操作に応じてエンジン停止後に再始動要求があったときとエンジン自動停止制御中に再始動要求があったときとの2つのシーンに分割し、2つの各シーンで燃焼開始タイミングを異ならせることにより、エンジン再始動による車両の振動抑制と車両の発進応答性(始動時間短縮)との両立性を確保する。すなわち、エンジン停止後に再始動要求があったときには、初回の燃焼によってエンジンの共振回転速度帯域を通過できる時期に燃焼開始タイミングを設定する。一方、エンジン自動停止制御中に再始動要求があったときにはエンジン停止後に再始動要求があったときの燃焼開始タイミングより燃焼開始タイミングを早く設定する。
【0024】
以下、ドライバによるエンジン停止後の再始動要求を「通常時の再始動要求」と、ドライバによるエンジン自動停止制御中の再始動要求を「チェンジマインド時の再始動要求」と定義する。
【0025】
ここで、燃焼開始タイミングについて図2を参照して説明する。図2に細実線で示したように、通常時の再始動要求があったときには、クランキングの開始よりエンジンが3回転するのを待ち、クランキング回転速度が共振回転速度帯域の下限値に到達したt1のタイミングを燃焼開始タイミングとしている。これによって、その後のエンジン回転速度は、一気に共振回転速度帯域を横切って上昇し、目標アイドル回転速度へと向かっている。この場合には、エンジン回転速度が共振回転速度帯域にある期間は短いため、車両の振動を抑制できる。
【0026】
一方、チェンジマインド時の再始動要求があったときには、図2に太実線で示したようにクランキングの開始よりエンジンが1回転したt2のタイミングを燃焼開始タイミングとする。このときには、エンジン回転速度が共振回転速度帯域にある期間が通常時の再始動要求があったときより長引くものの、エンジン回転速度の立ち上がりは通常時の再始動要求があったときより早くなり、その分、車両の発進応答性を素早いものとすることができる。
【0027】
このように、再始動要求がエンジン停止前後のいずれにあったかによって優先順位を相違させ、通常時の再始動要求があったときには車両の振動抑制を、チェンジマインド時の再始動要求があったときには素早い車両の発進応答性を優先させるようにしたのである。
【0028】
次には、具体的に図3、図4のタイミングチャートを参照して説明する。図3は通常時の再始動要求があったときに、図4はチェンジマインド時の再始動要求があったときに3つの各判定フラグ、クラッチストローク、エンジン回転速度がどのように変化するのかをモデルで示している。なお、図3に示すt1、t2のタイミングは図2に示したt1、t2のタイミングとは同じでない。
【0029】
先に、図3から説明する。ニュートラルスイッチ26がONとなるt1のタイミングでエンジン自動停止許可条件が満たされアイドルストップ実施判定フラグがゼロから1に切換わる。これによって、エンジンコントローラ21は、エンジンへの燃料供給と点火とを停止することによってエンジン自動停止制御を開始する。アイドルストップ実施判定フラグは、このフラグの値が1のときエンジン自動停止制御中であることを、このフラグの値がゼロのときエンジン自動停止制御中でないことを表す。
【0030】
このエンジン自動停止制御の開始によって、エンジン回転速度はt1のタイミングより低下してゆき、t2のタイミングでゼロとなる(エンジン停止)。このt2のタイミングでエンジン停止判定フラグがゼロから1に切換わる。エンジン停止判定フラグはこのフラグの値がゼロのときエンジンが回転していることを、このフラグの値が1のときエンジンが回転停止していることを表すものである。
【0031】
エンジン停止より少し後のt3のタイミングでドライバがクラッチペダル15を踏み込んでギヤをニュートラル以外の1速や2速のギヤに切換え、車両を発進させようとする。このとき、t4のタイミングでクラッチアッパースイッチ24がOFFからONに、t5のタイミングでクラッチロアースイッチ25がOFFからONに切換わったものとする。クラッチアッパースイッチ24からの信号のONへの変化を受けてエンジンコントローラ21は、通常時の再始動要求があったと判断し、アイドルストップ実施判定フラグを1からゼロに切換え、再始動の処理を行う。すなわち、スタータモータ14を駆動させてエンジン2のクランキングを行い、クランキング回転速度が共振回転速度帯域の下限値に到達したt6のタイミングを燃焼開始タイミングとして燃焼を開始させる。
【0032】
具体的にはエンジンコントローラ21は、クランキングの開始より気筒判別を行っており、t6のタイミングの近くで点火時期を迎える気筒に対して燃料噴射と点火とを行う。これによって、エンジン回転速度は共振回転速度帯域を横切って一気に上昇し目標アイドル回転速度へと向かう。
【0033】
通常時の再始動要求があったと判断されるため初爆タイミング早期化判定フラグはゼロのままである。
【0034】
なお、後述するチェンジマインド時の再始動要求があったときとの差異を明確にするため、図3ではクランキングの開始よりエンジンが2回空転したt6のタイミングを燃焼開始タイミングであるとしている。上記の図2ではクランキングによりエンジンが3回空転したタイミングを燃焼開始タイミングとしているが、両者は矛盾するものでない。クランキングの開始より何回空転したタイミングを燃焼開始タイミングとするかは、エンジン仕様により定めることとなるので、図2、図3のいずれの場合もあり得る。
【0035】
次に、チェンジマインド時の再始動要求があったときを説明する。図4においてニュートラルスイッチ26がONとなるt1のタイミングでアイドルストップ実施判定フラグがゼロから1に切換わる。これによってエンジン自動停止許可条件が満たされるので、エンジンコントローラ21は、エンジンへの燃料供給と点火とを停止することによってエンジン自動停止制御を行う。このエンジン自動停止制御によって、エンジン回転速度はt1のタイミングより低下してゆく。ここまでは、通常時の再始動要求があったときと変わりない。
【0036】
ところが、エンジンが停止する前(エンジン自動停止制御中)のt11のタイミングでドライバがクラッチペダル15を踏み込んでギヤをニュートラルから1速や2速のギヤに切換え、車両を発進させようとしたとする。このとき、t12のタイミングでクラッチアッパースイッチ24がOFFからONに、t13のタイミングでクラッチロアースイッチ25がOFFからONに切換わる。エンジン自動停止制御中(アイドルストップ実施判定フラグ=1)にクラッチロアースイッチ25からの信号がONへと変化すると、この変化を受けてエンジンコントローラ21は、チェンジマインド時の再始動要求があったと判断する。このときには、エンジン回転速度がゼロとなるのを待ち、エンジン回転速度がゼロとなるt14のタイミングで、初爆タイミング早期化判定フラグをゼロから1へと切換えると共に、アイドルストップ実施判定フラグを1からゼロに切換える。初爆タイミング早期化判定フラグは、このフラグの値がゼロのとき燃焼開始タイミングを早期化しないことを、このフラグの値が1のとき燃焼開始タイミングを早期化することを表す。なお、エンジン回転速度がゼロとなるt14のタイミングでエンジン判定フラグがゼロから1に切換わる。
【0037】
エンジン判定フラグがゼロから1に切換わるt14のタイミングから少し余裕を持ったt15のタイミングで、エンジンコントローラ21は再始動の処理を開始する。すなわち、スタータモータ14を駆動させてエンジンのクランキングを行い、エンジンが1回空転したタイミングであるt16を燃焼開始タイミングとして燃焼を開始させる。初爆タイミング早期化判定フラグが1のときには、燃焼開始タイミングを通常時の再始動要求があったときより早めるため、クランキングの開始よりエンジンが1回空転したタイミングを燃焼開始タイミングとするのである。これによって、エンジン回転速度は共振回転速度帯域に留まる期間が通常時の再始動要求があったときより多少長くなるものの、その分、目標アイドル回転速度へと向かうのが早くなる。チェンジマインド時の再始動要求があったときには、エンジン回転速度が共振回転速度帯域に留まる期間が多少長くなることを承知で燃焼開始タイミングを早期化するのは、チェンジマインド時の再始動要求に応えるためである。
【0038】
エンジンコントローラ21で行われるこの再始動制御を図5のフローチャートに基づいてさらに説明する。図5のフローは処理の流れを示すもので一定時間毎に実行するものでない。
【0039】
図5において、アイドルストップ実施判定フラグが1となったときにステップ1でエンジン自動停止制御を開始する。
【0040】
ステップ2ではクラッチロアースイッチ25がONであるか否かをみる。クラッチロアースイッチ25がONであるときには、チェンジマインド時の再始動要求があったと判断し、ステップ3に進む。
【0041】
ステップ3ではエンジン停止判定フラグによりエンジンが停止しているか否かをみる。ステップ3でエンジンがまだ停止していない(エンジン停止判定フラグ=0)ときにはステップ2に戻って、チェンジマインド時の再始動要求が続いている状態でエンジンが停止するのを待つ。エンジンが停止するのを待つのは、エンジンが回転しているときにエンジン側のリングギヤにスタータモータ14につながるピニオンを噛み込ませることはできないためである。チェンジマインド時の再始動要求が続いている状態でエンジンが停止すればステップ4に進み、初爆タイミング早期化判定フラグ=1とし、再始動の処理を開始する。
【0042】
図示しない別のフローでは、この初爆タイミング早期化判定フラグ=1の指示を受けて燃焼開始タイミングを早期化する。例えば、通常時の再始動要求があったとき、クランキングの開始からエンジンが3回空回りした直後を燃焼開始タイミングとしている場合に、チェンジマインド時の再始動要求があったときにはエンジンが1回空回りした直後を燃焼開始タイミングとする。
【0043】
ステップ2でクラッチロアースイッチ25がOFFであるときにはステップ5に進む。ステップ5以降は、通常時の再始動要求があったときに対応するものである。ステップ5ではクラッチアッパースイッチ24がONであるか否か、ステップ6ではエンジンが停止しているか否かをみる。クラッチアッパースイッチ24がON(クラッチ4が半クラッチ領域にある)でありかつエンジンが停止していない(エンジン停止判定フラグ=0)ときにはステップ2戻り、エンジンが停止するのを待つ。
【0044】
クラッチアッパースイッチ24がONでありかつエンジンが停止したときには通常時の再始動要求があったと判断し、ステップ7に進み、初爆タイミング早期化判定フラグ=0とし、再始動の処理を開始する。図示しない別のフローでは、この初爆タイミング早期化判定フラグ=0の指示を受けて燃焼開始タイミングを早期化することはしない。例えば、クランキングの開始からエンジンが3回空回りした直後を燃焼開始タイミングとする。
【0045】
ステップ5でクラッチアッパースイッチ24がOFF(クラッチペダル15は踏み込まれていない)のときにはステップ8に進みバッテリ17のSOC(State of Charge)をみる。バッテリ17のSOCが所定値を超えていれば、バッテリ17は十分充電されていると判断し、ステップ9に進んでエンジン自動停止制御を継続する。
【0046】
一方、バッテリ17のSOCが所定値以下であるときには、エンジン停止後に発進操作以外の再始動要求があったと判断し、エンジン自動停止制御を中止して早期にバッテリ17を充電させる必要がある。このため、ステップ10に進んでエンジンが停止しているか否かみて、エンジンが停止していなければステップ2に戻ってエンジンが停止するのを待つ。バッテリ17のSOCが所定値以下である状態でエンジンが停止すれば、エンジンの再始動を行わせるためステップ11に進んで初爆タイミング早期化判定フラグ=0とし、再始動の処理を開始する。
【0047】
ここで、本実施形態の作用効果を説明する。
【0048】
本実施形態によれば、エンジン自動停止許可条件を満足したときエンジン自動停止制御を開始してエンジンを停止し、エンジン自動停止許可条件を満足しなくなったときエンジンの再始動を行なうエンジンの自動停止再始動装置において、通常時の再始動要求があったとき(エンジン停止後に再始動要求があったとき)には、初回の燃焼によってエンジンの共振回転速度帯域を通過できる時期に燃焼開始タイミングを設定し(図5のステップ2、5、6、7参照)、チェンジマインド時の再始動要求があったとき(エンジン自動停止制御中に再始動要求があったとき)には、通常時の再始動要求があったときの燃焼開始タイミングより燃焼開始タイミングを早く設定している(図5のステップ2、3、4参照)。本実施形態によれば、通常時の再始動要求があったときのように素早い車両の発進応性が求められないときには車両の振動抑制を優先し、チェンジマインド時の再始動要求があったときのように素早い車両の発進応答性が求められるときには始動レスポンスを優先するよう燃焼開始タイミングを切換えるので、車両の振動抑制と素早い車両の発進応答性とを両立できる。
【0049】
本実施形態によれば、エンジン2の搭載される車両1Aに、クラッチペダル15によりエンジンと変速機とを断接可能なクラッチ4を有する手動変速機3を備え、エンジン自動停止制御中にクラッチ4が切れたとき、チェンジマインド時の再始動要求があった(エンジン自動停止制御中の再始動要求があった)と判定するので(図5のステップ2参照)、エンジンの搭載される車両に、クラッチペダル15によりエンジンと変速機とを断接可能なクラッチ4を有する手動変速機3を備える場合に、チェンジマインド時の再始動要求があったことを判定することができる。
【0050】
(第2実施形態)
図6は第2実施形態の車両1Bの全体図である。図1と同一部分には同一番号を付している。
【0051】
図6において、2はエンジン、31は自動変速機、5はプロペラシャフト、6はディファレンシャルギヤ、7は駆動輪である。
【0052】
第1実施形態の車両1Aと相違して、第2実施形態の車両1Bは自動変速機31を備えるので、エンジンコントローラ21に入力する信号が異なっている。すなわち、再始動要求があったか否かを判定するため、ブレーキスイッチ41からの信号、アクセル開度センサ42からの信号、パワステ操舵トルクセンサ43からの信号がエンジンコントローラ21に入力されている。
【0053】
ここで、ブレーキスイッチ41は、ブレーキペダル32が踏み込まれたときONとなり、ブレーキペダル32が離されているときOFFとなるスイッチである。アクセル開度センサ42は、アクセルペダル33の踏み込みの程度を検出するものである。例えば、アクセルペダル33を一杯にまで踏み込んだ状態を1として、半分まで踏み込んだ状態であれば1/2、全く踏み込まれていなければゼロといった値を出力する。パワステ操舵トルクセンサ43はパワーステヤリング34(ハンドル)をドライバが操作したときにパワーステヤリング33に作用するトルク(操舵トルク)を検出するものである。これによってドライバがパワーステヤリング34をドライバが操作したか否かを知り得る。
【0054】
第2実施形態でも、エンジン自動停止許可条件を満足するとき、エンジン自動停止制御を開始してエンジンを停止し、エンジン自動停止許可条件を満足しなくなったときエンジンの再始動を行なう点は同じである。ただし、エンジン自動停止許可条件を満足するか否かの判定に用いる信号は異なっている。すなわち、ブレーキスイッチ41がONのとき、アクセル開度がゼロのとき、パワーステヤリング33を操作していないときの全てが成立するときにエンジン自動停止許可条件を満足すると判断する。一方、その後に、ブレーキスイッチ41がOFFとなった、アクセル開度が正の値となった、パワーステヤリング33が操作されたのいずれか一つが成立し、かつエンジン停止しているときにエンジン自動停止許可条件を満足しなくなったと判断する。
【0055】
第2実施形態でも、通常時の再始動要求があったとき(エンジン停止後に再始動用要求があったとき)には初回の燃焼によってエンジンの共振回転速度帯域を通過できる時期に燃焼開始タイミングを設定する。一方、チェンジマインド時の再始動要求があったとき(エンジン自動停止制御中に再始動要求があったとき)には通常時の再始動要求があったときの燃焼開始タイミングより燃焼開始タイミングを早く設定する。
【0056】
具体的に図7、図8のタイミングチャートを参照して説明する。図7は通常時の再始動要求があったときに、図8はチェンジマインド時の再始動要求があったときに3つの各判定フラグ、アクセル開度、ブレーキスイッチ41、エンジン回転速度がどのように変化するのかをモデルで示している。
【0057】
先に、図7から説明する。t21のタイミングでエンジン自動停止許可条件が満たされアイドルストップ実施判定フラグがゼロから1に切換わる。これによって、エンジンコントローラ21は、エンジンへの燃料供給と点火とを停止することによってエンジン自動停止制御を開始する。アイドルストップ実施判定フラグは、このフラグの値が1のときエンジン自動停止制御中であることを、このフラグの値がゼロのときエンジン自動停止制御中でないことを表す。
【0058】
このエンジン自動停止制御の開始によって、エンジン回転速度はt21のタイミングより低下してゆき、t22のタイミングでゼロとなっている(エンジン停止)。このt22のタイミングでエンジン停止判定フラグがゼロから1に切換わる。エンジン停止判定フラグはゼロのとき、エンジンが回転していることを、1のときエンジンが停止していることを表すものである。
【0059】
エンジン停止後のt23のタイミングでドライバがブレーキペダル32から脚を離し、アクセルペダル33を踏み込んで車両を発進させるとする。このときアイドルストップ実施判定フラグが1からゼロに切換わる。アイドルストップ実施判定フラグのゼロへの変化を受けてエンジンコントローラ21は、通常時の再始動要求があったと判断し、再始動の処理を行う。すなわち、スタータモータ14を駆動させてエンジンのクランキングを行い、クランキング回転速度が共振回転速度帯域の下限値に到達したt24のタイミングを燃焼開始タイミングとして燃焼を開始させる。
【0060】
なお、後述するチェンジマインド時の再始動要求があったときとの差異を明確にするため、図7ではクランキングの開始よりエンジンが2回空転したt24のタイミングを燃焼開始タイミングであるとしている。上記の図2ではクランキングによりエンジンが3回空転したタイミングを燃焼開始タイミングとしているが、両者は矛盾するものでない。クランキングの開始より何回空転したタイミングを燃焼開始タイミングとするかは、エンジン仕様により定めることとなるので、図7、図2のいずれの場合もあり得る。
【0061】
次に、チェンジマインド時の再始動要求があったときを説明する。図8においてt21のタイミングでアイドルストップ実施判定フラグがゼロから1に切換わる。これによってエンジン自動停止許可条件が満たされエンジン自動停止制御が行われるため、エンジン回転速度がt21のタイミングより低下してゆく。ここまでは、通常時の再始動要求があったときと変わりない。
【0062】
ところが、エンジンが停止する前のt31のタイミングでドライバがブレーキペダル32を離しアクセルペダル33を踏み込んで車両を発進させようとしたとする。このとき、ブレーキスイッチ41がOFFからONに切換わる。エンジン自動停止制御中(アイドルストップ実施判定フラグ=1)にブレーキスイッチ41からの信号がOFFへと変化すると、この変化を受けてエンジンコントローラ21は、チェンジマインド時の再始動要求があったと判断する。このときには、エンジン回転速度がゼロとなるのを待ち、エンジン回転速度がゼロとなるt32のタイミングで、初爆タイミング早期化判定フラグをゼロから1へと切換えると共に、アイドルストップ実施判定フラグを1からゼロに切換える。初爆タイミング早期化判定フラグは、このフラグの値がゼロのとき燃焼開始タイミングを早期化しないことを、このフラグの値が1のとき燃焼開始タイミングを早期化することを表す。なお、エンジン回転速度がゼロとなるt32のタイミングでエンジン判定フラグがゼロから1に切換わる。
【0063】
エンジン判定フラグがゼロから1に切換わるt32のタイミングから少し余裕を持ったt33のタイミングで、エンジンコントローラ21は再始動の処理を開始する。すなわち、スタータモータ14を駆動させてエンジンのクランキングを行い、エンジンが1回空転したタイミングであるt34を燃焼開始タイミングとして燃焼を開始させる。初爆タイミング早期化判定フラグが1のときには、燃焼開始タイミングを通常時の再始動要求があったときより早めるため、クランキングの開始よりエンジンが1回空転したタイミングを燃焼開始タイミングとするのである。これによって、エンジン回転速度は共振回転速度帯域に留まる期間が通常時の再始動要求があったときより多少長くなるものの、その分、目標アイドル回転速度へと向かうのが早くなる。チェンジマインド時の再始動要求があったときには、エンジン回転速度が共振回転速度帯域に留まる期間が多少長くなることを承知で燃焼開始タイミングを早期化するのは、チェンジマインド時の再始動要求に応えるためである。
【0064】
図9は通常時の再始動要求があったときかつ発進要求が相対的に大きいときに3つの各判定フラグ、アクセル開度、ブレーキスイッチ、エンジン回転速度がどのように変化するのかをモデルで示している。図7と同じ部分は同じに記載している。
【0065】
t23のタイミングまでは図7と同じである。図7と相違してt23のタイミングでドライバが車両を急発進させようとしてアクセルペダル33を素早く踏み込んだとする。このときには、ドライバの相対的に大きな発進要求に応えるためアクセル開度が初爆タイミング切換閾値に到達するt41のタイミングで 初爆タイミング早期化判定フラグをゼロから1へと切換える。
【0066】
エンジンコントローラ21はt23のタイミングより再始動の処理を開始しスタータモータ14を駆動させてクランキングを行っている。この初爆タイミング早期化判定フラグの1への変化を受けて、クランキングの開始よりエンジンが1回空転するタイミングであるt42のタイミングを燃焼開始タイミングとして燃焼を開始させる。この場合、アクセル開度が初爆タイミング切換閾値に到達するタイミングが、クランキングの開始よりエンジンが1回空転するタイミング(t42)より前に生じるように、初爆タイミング切換閾値を設定することが必要である。
【0067】
エンジンコントローラ21で行われるこの再始動制御を図10のフローチャートに基づいてさらに説明する。図10は処理の流れを示すもので一定時間毎に実行するものでない。図5と同一部分には同一のステップ番号を付している。
【0068】
図10において、アイドルストップ実施判定フラグが1となったときにステップ1でエンジン自動停止制御を開始する。
【0069】
ステップ21ではエンジン停止判定フラグよりエンジンが停止しているか否かをみる。エンジンが停止していない(エンジン停止判定フラグ=0)ときにはステップ22に進んで、ドライバの発進操作があったか否かをみる。ドライバの発進操作とは、ブレーキスイッチ41がOFFとなった、アクセルペダル33の踏み込みがあった、パワーステヤリング34が操作されたのいずれか一つが行われることである。ドライバの発進操作がないときにはステップ21に戻る。
【0070】
ステップ22でドライバの発進操作があった、つまりエンジン2が停止する前にドライバの発進操作があったときにはチェンジマインド時の再始動要求があったと判断し、ステップ23に進み、再度エンジンが停止しているか否かをみる。エンジンが停止していなければステップ22に戻ってエンジンが停止するのを待つ。ドライバの発進操作があった状態でエンジンが停止したときにはステップ24に進み、初爆タイミング早期化判定フラグ=1とし、再始動の処理を開始する。
【0071】
図示しない別のフローでは、この初爆タイミング早期化判定フラグ=1の指示を受けて初爆タイミングを早期化する。例えば、通常時の再始動要求があったとき、クランキングの開始からエンジンが3回空回した直後を燃焼開始タイミングとしている場合に、チェンジマインド時の再始動要求があったときにはエンジンが1回空回りした直後を燃焼開始タイミングとする。
【0072】
ステップ21でエンジンが停止しているときにはステップ25以降に進む。ステップ25以降は通常時の再始動要求があったときに対応するものである。ステップ25ではドライバの発進操作があったか否か、ステップ26ではアクセル開度が初爆タイミング切換閾値以上であるか否かをみる。ステップ25でのドライバの発進操作があったか否かの判定操作は、ステップ22でのドライバの発進操作があったか否かの判定操作と同じである。初爆タイミング切換閾値は通常時の再始動要求があったときに、さらにドライバの発進要求が相対的に大きいか否かを判定するための値である。
【0073】
ステップ25、26でドライバの発進操作がありかつアクセル開度が初爆タイミング切換閾値未満であるときには、通常時の再始動要求があったときかつ相対的に小さいドライバの発進要求があったと判断し、ステップ27に進み、初爆タイミング早期化判定フラグ=0とし、再始動制御を開始する。図示しない別のフローでは、この初爆タイミング早期化判定フラグ=0の指示を受けて初爆タイミングを早期化することはしない。例えば、クラキングの開始よりエンジンが3回空回りした直後を燃焼開始タイミングとする。
【0074】
一方、ステップ25、26でドライバの発進操作がありかつアクセル開度が初爆タイミング切換閾値以上であるときには、通常時の再始動要求があったときかつ相対的に大きいドライバの発進要求があったと判断する。このときにはステップ28に進み、初爆タイミング早期化判定フラグ=1とし、再始動制御を開始する。図示しない別のフローでは、この初爆タイミング早期化判定フラグ=1の指示を受けて燃焼開始タイミングを早期化する。例えば、通常時の再始動要求があったときかつ相対的に小さい発進要求があったとき、クランキングの開始よりエンジンが3回空回りした直後を燃焼開始タイミングとしているとする。これに対して、通常時の再始動要求があったときかつ相対的に大きい発進要求があったときにはクランキングの開始よりエンジンが1回空回りした直後を燃焼開始タイミングとする。
【0075】
ステップ25でドライバの発進操作がないときにはステップ8に進み、バッテリ17のSOC(State of Charge)をみる。バッテリ17のSOCが所定値を超えていれば、バッテリ17は十分充電されていると判断し、ステップ9に進んでエンジン自動停止制御を継続する。
【0076】
一方、バッテリ17のSOCが所定値以下であるときには、エンジン停止後に発進操作以外の再始動要求があったと判断し、エンジン自動停止制御を中止して早期にバッテリ17を充電させる必要がある。このときにはエンジン自動停止制御を中止してエンジンの再始動を行わせるためステップ11に進み、初爆タイミング早期化判定フラグ=0とし、再始動の処理を開始する。
【0077】
第2実施形態によっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。すなわち、第2実施形態によれば、エンジン自動停止許可条件を満足したときエンジン自動停止制御を開始してエンジンを停止し、エンジン自動停止許可条件を満足しなくなったときエンジンの再始動を行なうエンジンの自動停止再始動装置において、通常時の再始動要求があったとき(エンジン停止後に再始動要求があったとき)には、初回の燃焼によってエンジンの共振回転速度帯域を通過できる時期に燃焼開始タイミングを設定し(図10のステップ21、22、23、24参照)、チェンジマインド時の再始動要求があったとき(エンジン自動停止制御中に再始動要求があったとき)には、通常時の再始動要求があったときの燃焼開始タイミングより燃焼開始タイミングを早く設定している(図10のステップ21、25、26、27参照)。第2実施形態によれば、通常時の再始動要求があったときのように素早い車両の発進応性が求められないときには車両の振動抑制を優先し、チェンジマインド時の再始動要求があったときのように素早い車両の発進応答性が求められるときには始動レスポンスを優先するよう燃焼開始タイミングを切換えるので、車両の振動抑制と素早い車両の発進応答性とを両立できる。
【0078】
第2実施形態によれば、エンジン2の搭載される車両に自動変速機31を備え、エンジン自動停止制御中に発進操作がされたときに、チェンジマインド時の再始動要求があった(エンジン自動停止制御中の再始動要求があった)と判定するので(図10のステップ21、22参照)、エンジンの搭載される車両に自動変速機を備える場合に、チェンジマインド時の再始動要求があったことを判定することができる。
【0079】
第2実施形態によれば、通常時の再始動要求があったとき(エンジン停止後の再始動要求があったとき)(図10のステップ25参照)、さらに発進要求が相対的に大きいか否かを判定し、通常時の再始動要求があったときかつ相対的に大きい発進要求があったと判定したときには、通常時の再始動要求があったときかつ相対的に小さい発進要求があったと判定したときの燃焼開始タイミングより燃焼開始タイミングを早く設定している(図10のステップ26〜28参照)。通常時の再始動要求があったときかつ相対的に小さい発進要求があったと判定したときのように素早い車両の発進応性が求められないときには車両の振動抑制を優先し、通常時の再始動要求があったときかつ相対的に大きい発進要求があったと判定したときのように素早い車両の発進応答性が求められるときには始動レスポンスを優先するよう初爆タイミングを切換えるので、車両の振動抑制と素早い車両の発進応答性とを両立できる。
【0080】
第2実施形態によれば、エンジン停止後に発進操作があったときには燃焼開始タイミングを相対的に早く設定し(図10のステップ21、25、26、28参照)、エンジン停止後にバッテリ17のSOCが所定値以下に低下しているときのように発進操作以外の再始動要求があったときには燃焼開始タイミングを相対的に遅く設定している(図10のステップ21、25、8、11参照)。これによって、通常時の再始動要求があった場合であっても、バッテリ17のSOCが低下しているときのように相対的に小さい発進要求があったときには燃焼開始タイミングを遅らせて車両の振動抑制を優先させることで、ドライバーへの不快感を軽減できる。
【符号の説明】
【0081】
1A、1B 車両
2 エンジン
3 手動変速機
4 クラッチ
14 スタータモータ
15 クラッチペダル
21 エンジンコントローラ
24 クラッチアッパースイッチ
25 クラッチロアースイッチ
26 ニュートラルスイッチ
31 自動変速機
32 ブレーキペダル
33 アクセルペダル
34 パワーステヤリング
41 ブレーキスイッチ
42 アクセル開度センサ
43 パワステ操舵トルクセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン自動停止許可条件を満足したときエンジン自動停止制御を開始してエンジンを停止し、エンジン自動停止許可条件を満足しなくなったときエンジンの再始動を行なうエンジンの自動停止再始動装置において、
エンジン停止後に再始動要求があったときには、初回の燃焼によってエンジンの共振回転速度帯域を通過できる時期に燃焼開始タイミングを設定し、
前記エンジン自動停止制御中に再始動要求があったときには、前記エンジン停止後に再始動要求があったときの燃焼開始タイミングより燃焼開始タイミングを早く設定することを特徴とするエンジンの自動停止再始動装置。
【請求項2】
前記エンジンの搭載される車両に、クラッチペダルによりエンジンと変速機とを断接可能なクラッチを有する手動変速機を備え、
前記エンジン自動停止制御中に前記クラッチが切れたとき、前記エンジン自動停止制御中の再始動要求があったと判定することを特徴とする請求項1に記載のエンジンの自動停止再始動装置。
【請求項3】
前記クラッチが切れたか否かは、前記クラッチペダルの踏み込み方向奥に設置しているスイッチで判定することを特徴とする請求項2に記載のエンジンの自動停止再始動装置。
【請求項4】
前記クラッチが切れたか否かは、クラッチストロークセンサで判定することを特徴とする請求項2に記載のエンジンの自動停止再始動装置。
【請求項5】
前記エンジンの搭載される車両に自動変速機を備え、
前記エンジン自動停止制御中に発進操作がされたときに、前記エンジン自動停止制御中の再始動要求があったと判定することを特徴とする請求項1に記載のエンジンの自動停止再始動装置。
【請求項6】
前記エンジン停止後の再始動要求があったとき、さらに発進要求が相対的に大きいか否かを判定し、エンジン停止後の再始動要求があったときかつ相対的に大きい発進要求があったと判定したときには、エンジン停止後の再始動要求があったときかつ相対的に小さい発進要求があったと判定したときの燃焼開始タイミングより燃焼開始タイミングを早く設定することを特徴とする請求項5に記載のエンジンの自動停止再始動装置。
【請求項7】
前記エンジン停止後に発進操作があったときには燃焼開始タイミングを相対的に早く設定し、前記エンジン停止後に発進操作以外の再始動要求があったときには燃焼開始タイミングを相対的に遅く設定することを特徴とする請求項5に記載のエンジンの自動停止再始動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−241526(P2012−241526A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−109158(P2011−109158)
【出願日】平成23年5月16日(2011.5.16)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】