説明

オルガノシロキサン組成物

希釈オルガノポリシロキサンポリマーの製造方法であって、(i)有機希釈材料、適当な触媒及び末端封鎖剤の存在下で、環状オルガノポリシロキサンモノマーを重合させることによってオルガノポリシロキサンポリマーを調製する工程と、(ii)必要とされる場合に重合プロセスを失活させる工程とを含み、希釈材料が、得られる希釈オルガノポリシロキサン中に実質的に保持される、希釈オルガノポリシロキサンポリマーの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、希釈剤の存在下におけるオルガノシロキサンポリマーの開環重合と、その結果得られるポリマーを含有する組成物とに関する。
【背景技術】
【0002】
対応するジオルガノジクロロシランの加水分解において形成され、蒸留による簡単な方法で単離することができる環状シロキサンは、高分子量の線状ポリジオルガノシロキサンの調製における主要な構成要素として使用され得るため、シリコーン産業における重要な中間体である。ポリマーの構成要素として使用するのに好ましいシクロシロキサンは、通常、シクロシロキサン環内に平均3〜10個のケイ素原子を有し、例としては、ヘキサオルガノシクロトリシロキサン及びオクタオルガノシクロテトラシロキサンが挙げられる。通常、シクロシロキサン及びこれらの混合物は、単独で、或いは適切に末端封鎖された線状ポリジオルガノシロキサンと一緒に、酸又は塩基等の触媒の存在下での反応によるシクロシロキサンの開環を含む重合プロセスを受ける。重合反応の過程で、所望される高分子量化合物と、環状化合物の混合物との間に平衡が生じる。得られる平衡は、シロキサンの性質及び量、使用される触媒、並びに反応温度に大きく依存する。このような重合プロセスは、一般に溶媒を存在させずに実行されるが、過去においては溶媒(例えば、極性及び非極性の有機溶媒)中、又はエマルジョン中で調製されていた。しかしながら、溶媒及び/又はエマルジョンの使用は、反応が完了した後にそれを除去するための複雑なプロセスが必要とされるので推奨されない。通常、官能性を付与し、ポリマーの分子量を調節するために末端封鎖剤が使用される。
【0003】
シクロシロキサンの重合において様々な触媒が知られている。例としては、水酸化カリウム又は水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシド又はアルカリ金属水酸化物とアルコールとの錯体、カリウムシラノレート又はトリメチルカリウムシラノレート等のアルカリ金属シラノレート、ハロゲン化ホスホニトリル(酸性ホスファゼンと呼ばれることもある)、ホスファゼン塩基、並びに米国特許第3,433,765号に記載されるような水酸化テトラアルキルアンモニウムとシロキサン四量体との反応によって誘導される触媒が挙げられる。反応が終了したら触媒は適当な方法で中和され、所望される場合には低分子成分を除去してもよい。
【0004】
ホスファゼン塩基は、極めて強い塩基であることが知られている。多数のホスファゼン塩基及びその合成経路が文献(例えば、Schwesingerら、Liebigs Ann. 1996, 1055‐1081)に記載されている。実験室規模におけるシクロシロキサンの開環重合のためのホスファゼン塩基触媒の使用は、Molenberg及びMoller、Macromol Rapid Commun. 16, 449‐453(1995)に記載されている。オクタメチルシクロテトラシロキサン(「D4」と呼ばれることもあり、ここでDは−Si(CHO−単位を示す)は、メタノールの存在下で、トルエン溶液中で重合され、使用されたホスファゼン塩基は1モルのヘキサン溶液であった。メタノールはホスファゼン塩基により脱プロトン化され、反応を開始させるメトキシドイオンを形成した。テトラフェニルテトラメチル−シクロテトラシロキサン、D4のフェニルメチル類似体を調製するために、Van Dyke及びClarsonによりPoly Prep ACS Div Polym Chem 1996, 37, 668において同様の反応系が使用されている。A W. Karlin及びS. N. Borissow(Plaste und Kautschuk 13(1966)3, page 161/165)は、酸及び塩基触媒(硫酸アルミニウム又はアルカリ金属シラノレートに基づく)を用いた高分子ポリジオルガノシロキサンの調製を記載している(ここでは酸重合が優先されている)。これは、低い温度(100℃)で実行することができ、平衡が生じるために長い時間(6〜8時間)が必要とされるので、プロセスの制御が容易になる。欧州特許第0860459号はシリコーン−充填剤混合物の製造プロセスを記載しており、このプロセスは、充填剤及び水の存在下でホスファゼン塩基によりシクロシロキサンの開環重合をもたらすことを含む。
【0005】
重合は、触媒と反応してそれを不活性にする中和剤を使用することによって終了させることができる。ほとんどの場合、触媒残渣は好ましくは、適当な分離方法、例えばろ過によって、得られたポリマー生成物から除去される。
【0006】
未硬化ポリマーのレオロジー特性は、主として、その粘度に依存する。一般に、ポリマーの粘度が低いほど、そのポリマーを含有する未硬化組成物の押出速度は高くなる。未硬化ポリマーの粘度は、ポリマーの分子量と、通常は重合度(dp)で定義されるポリマー鎖の長さとに直接関係する。未硬化ポリマーの粘度は、例えばシーラント組成物等のポリマーを取り込んだ組成物が後で硬化されたときに、このような組成物の物理的特性のいくつかに対しても大きな影響を与える。
【0007】
エラストマー固体に硬化するオルガノシロキサン組成物は既知であり、このような組成物は、水分の存在下室温で、又は熱を加えて硬化するように製造することができる。通常、水分の存在下室温で硬化する組成物は、反応性末端基を有するポリジオルガノシロキサンベースのポリマーと、適当なシラン(又はシロキサン)ベースの架橋剤とを、1つ又は複数の充填剤及び硬化触媒の存在下で混合することによって得られる。これらの組成物は、通常、室温で大気中の水分に曝されると硬化することができる一液型組成物又は室内条件で混合すると硬化することができる二液型組成物のいずれかの形態で調製される。
【0008】
上記の硬化性組成物の1つの重要な用途は、シーラントとしての使用である。シーラントとしての使用では、組成物は、基材表面同士の間の接合部にペーストとして塗布可能であるようにする種々の特性を併せ持つことが重要であり、硬化の前に滑らかな表面の材料(mass)を提供するように作用することができ、隣接する基材表面に接着するエラストマー体に硬化されるまでその塗布された場所に留まることができる。典型的なシーラント組成物は、数時間以内に堅固なシールを提供するのに十分に迅速であるが、塗布された材料が塗布の直後に所望の形状に細工されることが可能な速度で硬化するように設計される。その結果得られた硬化シーラントは、通常、関連する特定の接合部に対して適当な強度及び弾性を有するように形成される。
【0009】
影響を受けた、結果として得られる硬化組成物の物理的特性には、伸び及び(100%伸びにおける)弾性率が含まれ、これらは両方とも、例えば建築産業及び輸送産業における伸縮ジョイントで使用されるシーラントのために特に重要であり、低い弾性及び高い伸びを有するシーラントの必要性が必須である。
【0010】
従って、ポリマーの分子量を増大させるとシーラントのいくつかの物理的特性を改善し得ることは分かっているが、現在の配合物において通常使用される最大粘度は、実際には25℃で約150,000mPa・s以下である。25℃で1,000,000mPa・sまでの粘度を有するオルガノポリシロキサンポリマーが従来技術において議論されたが、このような粘度を有するポリマーの使用は、実質的及び経済的には取り扱いが困難であった。従って、オルガノポリシロキサンポリマー分子量を増大させるとシーラントのいくつかの特性を改善し得ることは分かっているが、現在の配合物において通常使用される最大粘度は、実際には、25℃で約150,000mPa・s以下である。
【0011】
シリコーンシーラント組成物を「増量する」及び/又は「可塑化する」働きをする添加剤を、1つ又は複数の増量化合物(以下、「増量剤」と称する)及び/又は可塑化化合物(以下、「可塑剤」と称する)を予め調製したポリマー及び組成物の他の成分と配合することによって含ませることは、室温硬化シーラントとして使用されるシリコーンベースの組成物の配合において一般的に行われている。
【0012】
増量剤(加工助剤又は二次可塑剤と呼ばれることもある)は、シーラント組成物を希釈するために使用され、基本的には、シーラント配合物の特性に実質的に悪い影響を与えることなくシーラントが経済的により競争力を持つようにする。シリコーンシーラント組成物中に1つ又は複数の増量剤を導入することは、製品の全体的なコストを削減するだけでなく、結果として得られる未硬化及び/又は硬化シリコーンシーラントの特性に影響を与えることもできる。増量剤の添加は、シリコーンシーラントのレオロジー、接着及び透明度の特性に或る程度プラスの影響を与えることができ、破断伸びの増大及び硬化製品の硬度の低下を引き起こす可能性があり、例えば蒸発又はブリードによって増量剤が硬化シーラントから損失されないならば、これらは両方とも硬化シーラントの寿命を著しく高めることができる。
【0013】
可塑剤(又は一次可塑剤とも呼ばれる)は、最終のポリマーベースの製品内の特性を提供するためにポリマー組成物に添加され、最終ポリマー組成物の柔軟性及び靭性を増大させる。これは硬化ポリマー組成物のガラス転移温度(T)の低下によって通常達成され、それにより例えばシーラントの場合には、通常、シーラントの弾性が増強され、次に、シリコーンシーラントにより形成されたジョイントの移動能力に可能性を与え、シーラントが塗布されて硬化されたときにシーラントと基材との間に形成される結合の破砕の可能性が大幅に低下する。可塑剤は、通常、シーラント配合物の弾性率を低下するためにも使用される。可塑剤はシーラントの全体の単位コストを削減し得るが、それは目的とされる主要な用途ではなく、実際にはいくつかの可塑剤は高価であり、これらが使用されたシーラント配合物の単位コストを増大し得る。可塑剤は一般に、増量剤よりも揮発性が低い傾向にあり、通常、液体又は低融点固体(加工中に混和性の液体になる)の形態でポリマー組成物中に導入される。通常、シリコーンベースの組成物の場合、可塑剤は、末端トリオルガノシロキシ基を有するポリジメチルシロキサン等の、非反応性短鎖シロキサンであり、有機置換基は、例えば、メチル、ビニル若しくはフェニル又はこれらの基の組み合わせである。このようなポリジメチルシロキサンは、普通は約5〜約100,000mPa・sの粘度を有する。相溶性の有機可塑剤をさらに使用することができ、例としては、ジアルキルフタレート(ここでアルキル基は線状及び/又は分枝状であってもよく、ジオクチル、ジヘキシル、ジノニル、ジデシル、ジアラニル及び他のフタレート等の6〜20個の炭素原子を含有する)、アジペート、アゼレート、オレエート及びセバケートエステル、エチレングリコール及びその誘導体等のポリオール、トリクレシルホスフェート及び/又はトリフェニルホスフェート等の有機リン酸塩、ヒマシ油、桐油、脂肪酸及び/又は脂肪酸エステルが挙げられる。
【0014】
増量剤は、組成物の残りの成分と十分に相溶性であると共に、得られた硬化シーラント固体が保持される温度(例えば、室温)においてできるだけ不揮発性でなければならない。しかしながら、いくつかの提案される増量剤は、貯蔵中は有効であるが、シーラントの塗布時、及び少なくともその後しばらくの間に、その使用に関するいくつかの既知の問題があることが分かっている。これらの問題には、
(i)UV安定性−UV光に長期間曝されたときの、増量剤を含有する硬化シーラントの変色、
(ii)時間と共にシーラントからの増量剤のブリードをもたらし、物理的及び審美的な特性並びに硬化製品、例えばシーラントの寿命に悪い影響を与える、ポリマー組成物(例えば、シーラント組成物)との貧相溶性、及び
(iii)増量剤が組成物からブリードすることによる周囲の基材の汚染
が含まれる。
【0015】
増量剤及び/又は可塑剤をシーラント組成物等のポリマー組成物中に導入するために業界で使用されるプロセスは、予め調製した成分、例えば、ポリマー、架橋剤、触媒、充填剤と、上記の増量剤及び/又は可塑剤とを全て一緒に、適当な添加の量及び順序で単に混合することから成る。シリコーン系ポリマー組成物中の有機増量剤及び/又は有機可塑剤と他の成分との相溶性は、有機系ポリマーに関するものよりも著しく大きい問題であり、増量剤及び/又は可塑剤が導入されたシリコーンポリマーは非常に粘性のポリマーである傾向があり、有機系とは対照的にシリコーン系であるポリマーの化学的な性質は相溶性に対して著しい影響を有し得る。相溶性のレベルは、ポリマー組成物中に導入することができる増量剤及び/又は可塑剤の量を有効に決定する。通常、この結果、特に増量剤は、所望されるよりも大幅に少ない量で組成物中に導入される。これは、特に、通常は組成物中の充填剤以外の最大の構成成分である予め形成されたポリマーでは、増量剤はポリマー組成物内に物理的に十分に混合されないからである。シリコーンポリマー組成物中の可塑剤と増量剤との相溶性の問題は、本発明者らが知る限り、有機増量剤の導入から、増え続ける多数の有機系増量剤の提案以外の方法による本発明に取り掛かるまでずっと、この業界で知られている。
【0016】
独国特許第3342026号には、予め形成されたオルガノシリコーンポリマーの一部を、可塑剤のいくらか又は全てと一緒に物理的に混合することを含むプロセスが記載されている。ポリマー及び可塑剤の物理的な混合は、20℃でわずか約80,000mPa・sに過ぎない粘度を有するアルファオメガジヒドロキシポリジメチルシロキサンを用いる実施例において例示されており、それにより、本発明者らが取り組んでいる問題が回避されている。この問題は、高粘度のポリマーのための物理的混合プロセス等を用いて遭遇され得るものであり、このような混合プロセスは、適当な配合物のようなものを得るために非常に高価な混合装置を長期間必要とし得るので、このようなプロセスは経済的に実行不可能とされ、おそらく適当な配合物を提供しないであろう。
【0017】
歴史的に、トリアルキルシリル末端ポリジオルガノシロキサン(例えば、トリメチルシリル末端ポリジメチルシロキサン(PDMS))等の非反応性のシロキサンは、化学的に類似し、且つ優れた相溶性を有するので、シリコーンベースのシーラント中の増量剤及び/又は可塑剤として当初使用された。
【0018】
シリコーンシーラント組成物のコストを削減するための増量剤として使用するために、様々な種類の有機化合物及び組成物が提案されてきた。これらの材料は通常、高揮発性増量剤及び低揮発性増量剤の2つの群に分類される。
【0019】
高揮発性増量剤を含有する組成物は、例えば、トルエン又はキシレンを含有し得る。これらの化合物の高揮発性は、高収縮(溶媒の蒸発による高い体積損失)、可燃性、VOC(揮発性有機含量)、有害成分表示、健康及び安全問題等を含む、シーラント配合物の多数の不都合を生じる。
【0020】
シーラント組成物中のポリマーとの良好な相溶性を有する低揮発性増量剤(より高分子量の増量剤と呼ばれることもある)は、本発明で選択される。結果生じるシーラントは「増量シーラント」と呼ばれ、一般的に希釈シーラントよりもはるかに高い受容可能特性を示す。これらのより高分子量の増量剤は、完全又は部分的に、配合物中のPDMS可塑剤の代わりとなることができる。
【0021】
低分子量ポリイソブチレン(PIB)は、独国特許第2364856号及び同第3217516号において増量剤として提案されているが、限られた相溶性のためにアセトキシシリコーンシーラント配合物に添加することができるPIB増量剤の最大量は、通常、25〜30(重量)%の範囲である。より高い添加濃度は増量剤を表面に滲み出させて、硬化シーラント表面を粘着性にする。独国特許第2802170号及び同第2653499号では、リン酸エステルは潜在的増量剤であると記載されている。
【0022】
鉱油留分(例えば、イソパラフィン)及び重質アルキレート(製油所における油の蒸留後に残るアルキル化芳香族材料)等のポリアルキルベンゼンも増量剤として提案されている。シリコーンシーラント組成物の増量剤材料として提案されるこれらの及び他の有機化合物及び混合物は、以下の刊行物において記載されている。
英国特許第2041955号は、有機増量剤としてのドデシルベンゼン及び他のアルキルアレーンの使用を記載している。英国特許第2012789号は、PDMSを部分的に置き換えるためのトリオクチルホスフェートの使用を記載している。独国特許第3342026号及び同第3342027号は、増量剤としての脂肪族モノカルボン酸エステルの使用を記載している。欧州特許第0043501号は、シーラント組成物の0.2〜15重量%の、シクロヘキサン、イソへキサン及びイソオクトデカン等の分枝状及び/又は環状パラフィン炭化水素の使用を提案する。欧州特許第0801101号は、1つ又は複数のアルキル芳香族化合物と組み合わせたパラフィン油(分子量>180)の混合物の使用を記載している。欧州特許第0842974号は、アルキルシクロヘキサン(分子量>220)の使用を記載している。国際公開第99/66012号及び同第00/27910号は、増量剤として、1つ又は複数の脂肪族液体ポリマー及び油、石油由来の有機油、アルキルホスフェート、ポリアルキレングリコール、ポリ(プロピレンオキシド)、ヒドロキシエチル化アルキルフェノール、ジアルキルジチオホスホネート、ポリ(イソブチレン)、ポリ(a−オレフィン)及びこれらの混合物を含有する耐油性シリコーン組成物について記載している。
【0023】
近年、業界では、増量剤としてパラフィン系炭化水素の使用が増している。欧州特許第0885921号は、60〜80%のパラフィン系炭素原子及び20〜40%のナフテン系炭素原子及び最大1%の芳香族炭素原子を含有するパラフィン系炭化水素混合物の使用を記載している。欧州特許第0807667号は、36〜40%の環状パラフィン油及び58〜64%の非環状パラフィン油を含むパラフィン油を完全又は部分的に含む同様の増量剤について記載しているようである。国際公開第99/65979号は、可塑剤の中でも特にパラフィン系油又はナフテン系油及びこれらの混合物を含み得る可塑剤を含む耐油性シーラント組成物について記載している。欧州特許第1481038号は、60重量%よりも多いナフテン系、少なくとも20重量%の多環式ナフテン系及び沸点が235℃〜400℃のASTM D−86を含有する炭化水素流体の使用を記載している。欧州特許第1252252号は、炭化水素100重量部を基準として40重量部よりも多い環状パラフィン系炭化水素及び60重量部未満の単環式パラフィン系炭化水素を有する炭化水素流体を含む増量剤の使用を記載している。欧州特許第1368426号は、好ましくは40重量%よりも多い環状パラフィンを含有する液体パラフィン系炭化水素「増量剤」を含有するアルキド塗料と共に使用するためのシーラント組成物について記載している。
【0024】
上記で提案される有機増量剤の多くは可能性があるが、これらは全て通常は問題を有する。例えば、アルキルベンゼン増量剤は、表面上は特性の適当な組み合わせ、すなわち、高沸点、ポリジオルガノシロキサンポリマーマトリックスとの優れた相溶性(良好〜きわめて優れた透明性の硬化シリコーンシーラントが得られる)、低環境影響、低蒸気圧(及び、それによる低収縮)、レオロジー特性に対するプラスの効果(ストリンジング(stringing)の低下)を有する。しかしながら、人工的又は自然の風化作用に曝されると、アルキルベンゼン増量シーラントは、かなり急速に黄色になる傾向がある。長期間の風化作用にわたって、これらの増量シーラントは黄色になり続け、その透明性も失われる。この問題は、リン酸エステル又はポリイソブチレン等の他の増量剤では生じない。
【0025】
さらに、シロキサン配合物における非常に高い重合度を有するポリマーの使用は、高弾性等のいくつかの有利な特性をもたらし得るが、このようなポリマーの粘度は通常非常に高い(すなわち、シリコーンガム)ので、充填剤、架橋剤、増量剤及び/又は可塑剤等の他の成分との混合に関して完全に扱いにくくなる。或いは、操作コストが高い非常に高せん断の混合機が必要とされる。従って、業界内では、高コストの装置の必要性を回避しながら、非常に高い重合度のシリコーンベースのポリマーを組成物中へ容易に導入するためのプロセスを開発することが長年にわたって必要とされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
ここで驚くべきことに、本発明者らは、オルガノポリシロキサン配合物中に増量剤及び/又は可塑剤を含有する有機系の希釈剤の取り込みを含むシリコーンガムを調製するための新しいプロセスを開発した。このプロセスは、例えば、著しく大きい鎖長及び粘度(増量剤及び/又は可塑剤が存在しない場合)のポリマーの調製を可能にするが、このような粘度のポリマーで通常遭遇される配合の問題を回避する。上記から得られるこのような希釈ポリマーは、従来技術の材料と比較して新しく有利な特性を有するこのようなポリマーを含む製品を提供する。
【0027】
本発明によると、
i)有機系の希釈材料、適当な触媒及び末端封鎖剤の存在下で、環状オルガノポリシロキサン含有モノマーの重合によってポリシロキサンポリマーを調製する工程と、
ii)必要ならば重合プロセスを失活させる(クエンチさせる)工程と
を含み、希釈材料は、結果として得られる希釈オルガノポリシロキサン中に実質的に保持される、希釈オルガノポリシロキサン含有ポリマーの製造方法が提供される。
【0028】
本発明によると、
(i)有機系の希釈材料、適当な触媒及び末端封鎖剤の存在下で、環状シロキサン含有モノマーを重合する工程と、
(ii)必要ならば重合プロセスを失活させる工程と
を含み、希釈材料は、結果として得られる希釈オルガノポリシロキサン内に実質的に保持されるプロセスを用いて得ることができる希釈オルガノポリシロキサン含有ポリマーが提供される。
【0029】
本明細書において使用される「含む(comprising)」の概念は、そのもっとも広い意味で使用され、「含む(include)」及び「から成る(consist of)」の概念を意味すると共に包含する。他に指示されない限り、与えられる全ての粘度値は、25℃の温度における値である。
【0030】
好ましくは、希釈剤は、最初に混合されるモノマー/オリゴマー出発材料と、より詳細には、中間の重合反応生成物及び最終重合生成物の両方と混和性又は少なくとも実質的に混和性である。「実質的に混和性の」希釈剤は、モノマー及び/若しくはオリゴマー並びに/又は重合中の反応混合物と完全に又は大部分は混和性である希釈剤を含むことが意図され、従って、重合プロセス中に反応混合物中で混和性の液体になる低融点の固体も含むことができる。
【0031】
本発明者らは、本発明に従う重合プロセスにおいて、任意の既知の適当な環状オルガノポリシロキサンモノマー/オリゴマーが利用可能であることを見出した。有用な環状シロキサンはよく知られており、市販の材料である。これらは一般式(RSiO)を有し、各Rは同じでも異なっていてもよく、水素、若しくは1〜18個の炭素原子を有する炭化水素基、1〜18個の炭素原子を有する置換炭化水素基、又は18個までの炭素原子を有するヒドロカルボノキシ基を示す。好ましくは、Rは、8個までの炭素原子を有する任意で置換されたアルキル、アルケニル、アリール、アルカリル又はアラルキル基であり、mは、3〜12の値を有する整数を示す。Rは、例えばフッ素又は塩素等のハロゲンによる置換基を含有してもよい。アルキル基は、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、トリフルオロプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、及びtert−ブチルであり得る。アルケニル基は、例えば、ビニル、アリル、プロペニル、及びブテニルであり得る。アリール及びアラルキル基は、例えば、フェニル、トリル、及びベンゾイルであり得る。好ましい基は、メチル、エチル、フェニル、ビニル、及びトリフルオロプロピルである。好ましくは、全てのR基の少なくとも80%はメチル又はフェニル基であり、最も好ましくはメチルである。好ましくは、mの平均値は3〜6である。適当な環状シロキサンの例は、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、シクロペンタ(メチルビニル)シロキサン、シクロテトラ(フェニルメチル)シロキサン、シクロペンタメチルヒドロシロキサン及びこれらの混合物である。1つの特に適当な市販の材料は、オクタメチルシクロテトラシロキサン及びデカメチルシクロペンタシロキサンを含む混合物である。
【0032】
本出願の目的のために、「置換」は、炭化水素基中の1つ又は複数の水素原子が、別の置換基で置き換えられていることを意味する。このような置換基の例には、塩素、フッ素、臭素、及びヨウ素等のハロゲン原子と、クロロメチル、パーフルオロブチル、トリフルオロエチル、及びノナフルオロヘキシル等のハロゲン原子含有基と、酸素原子と、(メタ)アクリル及びカルボキシル等の酸素原子含有基と、窒素原子と、アミノ官能基、アミド官能基、及びシアノ官能基等の窒素原子含有基と、硫黄原子と、メルカプト基等の硫黄原子含有基とが含まれるが、これらに限定されない。
【0033】
平衡重合のための出発材料は上記の環状シロキサンだけでもよいが、任意で、シクロシロキサンと、一般式RSiO4−a/2(式中、各Rは同じでも異なっていてもよく、上記で記載した通りである)の単位を有するポリジオルガノシロキサン材料との混合物を含んでもよい。下付き文字aはゼロ又は1〜4の整数(両端を含む)であるが、好ましくは、1分子当たり1〜3の平均値、好ましくは1.8〜2.2の平均値を有する。好ましくは、ポリジオルガノシロキサンはポリジアルキルシロキサンであり、最も好ましくはポリジメチルシロキサンである。これらは好ましくは実質的に線状材料であり、式R''SiO1/2、(式中、R''はR又はヒドロキシルである)のシロキサン基で末端封鎖される。場合によっては、出発材料のごく一部は、各R''が同じでアルキル基である式を有する1つの末端基と、少なくとも1つのR''基がヒドロキシ基である第2の末端基とを有する線状ポリジメチルシロキサンを含んでもよい。好ましくは、このようなポリマーは、1,000mPa・s〜100,000mPa・sの粘度を有する.
【0034】
既に示したように、適当な触媒の存在下で、このようなモノマーは、シクロシロキサンの開環及び平衡段階を含む重合プロセスに関与し得る。
【0035】
従って、本発明に従うプロセスは、一般式RSiO4−a/2(式中、R及びaは上記の通りである)の単位を有するオルガノポリシロキサンを製造するために有用である。好ましくは、全てのR基の少なくとも80%はアルキル又はアリール基であり、より好ましくはメチル基である。最も好ましくは、実質的に全てのR基はアルキル又はアリール基、特にメチル基である。オルガノポリシロキサンは、好ましくは、末端基の単位を除いて事実上全ての単位に対してaの値が2であるものであり、シロキサンは、一般式R''(RSiO)SiRR''(式中、R及びR''は上記で定義された通りであり、pは整数である)を有する実質的に線状ポリマーである。しかしながら、aの値が0又は1である少量の単位が存在することも可能である。鎖中にこのような単位を有するポリマーは、少量の枝分かれが存在するであろう。本発明に従い、触媒を用いるプロセスによって製造することができるオルガノポリシロキサンの粘度は、本発明の方法において使用される反応条件及び原材料に応じて25℃で1,000mPa・s〜数百万mPa・sの範囲であり得る。
【0036】
本発明に従うプロセスは、液体シロキサンポリマー及び高分子量、例えば1×10mPa・s〜100×10mPa・sのガムを含むあらゆる種類のシロキサンポリマーを製造するために使用することができる。本発明で使用される触媒は、低い触媒濃度において妥当な時間内にポリマーの形成を可能にするのに十分な活性を有する。
【0037】
重合中の分子量の変化は、重合中に反応をサンプリングして、各試料をゲル浸透クロマトグラフィにより分析して分子量を求める(ASTM D5296−05)ことによってモニタリングすることができる。重合に必要とされる触媒濃度が非常に低いので非常に高分子量のポリマーを得ることができ、その結果、生成されるポリマーの分子量は末端基の濃度に依存し、潜在的に非常に低い濃度の末端基が存在し得る(特に、添加される末端封鎖剤の非存在下において)。しかしながら、我々は、2ppmのような非常に低い触媒濃度では、得られる分子量は反応時間と共に増大することを発見した。プロセスは、これらの高分子量ポリマーでは非常にゆっくりである触媒の拡散によって制限され得る。
【0038】
好ましくは、本発明に従って製造されるポリマーは、ポリスチレン分子量換算値で求められる値を用いてD5296−05によって決定される場合に132,000よりも大きい数平均分子量(Mn)及び1,800よりも大きい重合度を有する。
【0039】
適当な触媒を用いることができる。これらには、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又は水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシド又はアルカリ金属水酸化物とアルコールとの錯体、カリウムシラノレート、セシウムシラノレート、ナトリウムシラノレート及びリチウムシラノレート又はトリメチルカリウムシラノレート等のアルカリ金属シラノレートが含まれる。使用され得るその他の触媒には、水酸化テトラアルキルアンモニウムとシロキサン四量体との反応によって誘導される触媒が含まれる。これらの様々な触媒剤は、本発明の重合プロセスに関して種々の相対的な反応性を有し、従って、これらに対して補償がなされなければならない。例えば、水酸化ナトリウムは他のものよりもゆっくりと反応を触媒し、従って反応は所与の温度でより長くかかる。一方、水酸化セシウムはより迅速に反応を生じさせる。従って、水酸化セシウムは、より低い反応温度が用いられる場合、又は非常に高粘度を有するシリコーンガムを製造することが所望される場合には、より有効であり得る。上記のうち、カリウムシラノレートは水酸化カリウムの活性形態であり、オクタメチルシクロテトラシロキサン等のモノマー溶液中にも非常に可溶性なので特に好ましい。触媒濃度は、約5ppm〜約500ppmのKOH当量であり得る。カリウムシラノレートのKOH当量は、約0.05重量%〜6.0重量%KOHの範囲である。本発明のプロセスの好ましい実施形態では、カリウムシラノレートは、約20重量ppmのKOH濃度で使用される。
【0040】
しかしながら、このタイプの反応のために最も好ましい触媒は、欧州特許第0860461号及び欧州特許第1008598号(その内容は参照により本明細書に援用される)に記載されているもの等の、ハロゲン化ホスホニトリル(酸性ホスファゼンと呼ばれることもある)、並びにホスファゼン塩基である。
【0041】
また、好ましい塩化ホスホニトリル、触媒は、米国特許第3,839,388号及び同第4,564,693号又は欧州特許第215470号に従って調製されるもの、及び英国特許第2252975号に記載されるような一般式[X(PX=N)PX[M(v−t+1)R'''(式中、Xはハロゲン原子を示し、Mは、ポーリングのスケールに従って1.0〜2.0の電子電気陰性度を有する元素であり、R'''は12個までの炭素原子を有するアルキル基であり、sは1〜6の値を有し、vはMの価数又は酸化状態であり、tは0〜v−1の値を有する)を有するハロゲン化ホスホニトリルイオンに基づく触媒を含む。
【0042】
代替的には、触媒は、以下の一般式
−PCl=N(−PCl=N)−PCl−O
(式中、Zは、酸素を介してリンに結合された有機ケイ素ラジカル、塩素原子又はヒドロキシル基を表し、nは0又は1〜8の整数を表す)
を有する有機ケイ素ラジカルを含有する酸素含有クロロホスファゼンを含み得る。また触媒は、上記の縮合生成物及び/又はその互変異性体(Zがヒドロキシル基である場合には、触媒は互変異性形態で存在する)を含むことができる。塩素原子の全て又はいくつかは、Qラジカルによって置換することができ、ここでQは、ヒドロキシル基、アルコキシラジカル又はアリールオキシラジカル等の一価の有機ラジカル、塩素以外のハロゲン原子、有機ケイ素ラジカル及びリン含有ラジカルを表す。式(I)の酸素含有クロロホスファゼンは、好ましくは、どの塩素原子もQラジカルによって置換されていないものである。多くのホスファゼン塩基及びそれらの合成経路は、例えばSchwesingerら、Liebigs Ann.(1996, 1055‐1081)等の文献に記載されている。
【0043】
本発明において触媒として使用され得るさらに代替的な触媒は、国際公開第01/79330号において定義されるような少なくとも1つのシラノール基と相互作用をすることができる少なくとも1つの四置換ホウ素原子及びプロトンを含むアニオン源を提供する任意の適当な化合物である。このタイプの触媒の場合、ホウ素含有アニオンは、それ自体はケイ素原子に対して直接的に共有結合を形成しないこと、及び分解又は転移してケイ素原子に対して直接共有結合を形成するアニオンを生成しないことが重要である。適当な材料には、集団内に配置された1つ又は複数のホウ素原子と、それぞれのホウ素原子に結合されたいくつか、例えば10個以上のハロゲン原子とを取り込んだものが含まれる。このような化合物中のハロゲン原子は少なくとも1つの炭素原子を取り込んだ結合によってホウ素原子に結合され、フッ素、塩素及び臭素から選択され、最も好ましくはフッ素である。
【0044】
好ましいアニオンは、4つの有機置換基を有する1つ又は複数のホウ素の原子を取り込み、最も好ましくは四置換ホウ酸塩である。有機置換基は、適切には、ハロゲン化炭化水素基である。五フッ素化フェニル基及びビス(トリフルオロメチル)フェニル基等及び好ましい材料は、各ホウ素原子に結合したこのような基を4つ有する。例としては、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸アニオン(過フッ素化アリールホウ酸イオン)が挙げられ、材料は、好ましくはこのアニオンの酸、すなわちH{(CB}として使用される。他の効力のある材料には、2つの四置換ホウ素原子を有するアニオン、例えば二過フッ素化アリール(diperfluoroinatedaryl)ホウ酸イオン、例えばH{B(CCNB(Cが含まれる。本発明のプロセスにおいて使用するための他の適当なホウ素含有アニオンには、例えば式{CB10、{CB、{CB1112及び{CB11(式中、Xはそれぞれ同じであるか又は異なり、上記の通りである)のカルボランが含まれる。カルボランは、四置換よりも高度に置換された、例えば五置換及び六置換のホウ素原子を含有してもよく、明確にするために、本明細書において使用される「四置換」は、四置換及びより高度に置換されたホウ素原子を含有するアニオンを含むことが意図される。
【0045】
プロセスにおいて使用される温度及び圧力は、有機ケイ素化合物の重縮合のために今まで知られているプロセスの場合と同じであり得る。一般的な方法はバッチ式又は連続式のいずれかの操作モードで実行され、重合を容易にするために熱又は真空は必要とされない(しかしながら所望される場合には、化学平衡に影響を与えるために熱及び/又は真空が適用されてもよい)。ホスファゼンで触媒される方法の場合には、重合は50℃〜200℃の温度、より好ましくは80℃〜160℃の温度で生じ得る。
【0046】
開環及び平衡反応は任意の適当な圧力下で実行することができ、好ましくは、80kPaよりも低い圧力で実行される。
【0047】
触媒の活性は、好ましくは、触媒と反応してそれを不活性にする中和剤を用いることによって失活される。任意の適当な中和剤を用いることができる。酸性触媒に対して、適当な塩基中和剤としては、ジエチルアミン、プロピルアミン、モノ/ジ及びトリアルカノールアミン、例えばモノエタノールアミン(MEA)及びトリエタノールアミン(TEA)等の第一級、第二級及び第三級アミン、トリメチルクロロシラン、トリクロロエチルホスファイト、第一級、第二級及び第三級アミン、アンモニア、アミド、イミド及び環状ジアミン、ヘキサメチルジシラザン、ピペラジン、メチルモルホリン及びスクシンアミド又はPが挙げられる。当然ながら、酸触媒、例えばCFSOHを用いることも可能であり、これは一般的なアルカリ性物質で中和される必要がある。本発明の好ましいプロセスを実施する際に用いることができる好ましい中和剤は、塩基触媒を中和するのに有効な弱酸のいずれでもよい。このような中和剤は、例えば、リン酸、トリス(クロロエチル)ホスファイト及びシリルホスフェートから選択することができる。1つの特に好ましい中和剤は、シロキサンポリマーにかなり溶解性であり、迅速な中和を可能にすることからシリルホスフェートである。
【0048】
ホスファゼンをベースとする触媒の場合、所望の粘度が達成されたときに、プロセスで得られる有機ケイ素化合物の粘度を一定に保つことができる。これは、ホスファゼンと関連して今まで使用されてきた抑制剤又は不活性剤の添加によって、使用された触媒、又は平衡を受けるように有機ケイ素化合物と反応させることによってこの触媒から形成され、且つ同様に有機ケイ素化合物の平衡を促進する反応生成物が、抑制又は不活性化される手順による。このような抑制剤又は不活性剤は、例えば、トリイソノニルアミン、n−ブチルリチウム、リチウムシロキサノレート、ヘキサメチルジシラザン及び酸化マグネシウムである。ホスファゼン塩基触媒に関して、適当な中和剤は、酢酸、シリルホスフェート、ポリアクリル酸、塩素置換シラン、シリルホスホネート又は二酸化炭素等の酸である。
【0049】
末端封鎖剤は、ポリマーの分子量を調節するため、及び/又は官能性を追加するために使用される。末端封鎖剤は、ポリマーの反応性/ポリマー鎖長を制御する手段であり、得られるポリマーに官能性を導入する手段である。末端封鎖剤は重合反応を中止させ、それにより、得られるポリマーの平均分子量を制限する。当業者に知られている任意の適当な末端封鎖剤を用いることができ、通常は、考慮されるポリマーの最終用途によって選択されるであろう。適当な末端封鎖剤としては、単鎖(例えば、2〜27個のケイ素原子の重合度)アルケニルジアルキル末端ポリジメチルシロキサン、Si−H結合を含有する末端基を有するポリジメチルシロキサン、トリアルキルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン(ポリマー主鎖に2〜1,000個のケイ素原子を有する)、ジスアルキルシラノール(disalkylsilanol)末端ポリジメチルシロキサン(ポリマー主鎖に2〜2,000個のケイ素原子を有する)、又はこれらの混合物が挙げられる。その他の可能性のある末端封鎖剤としては、シラン、例えばアルコキシ官能性シラン、及びトリメチルシラノール、トリメチルメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン等のシラノールが挙げられる。また、これらとしては、シロキサン、例えばトリメチルシリル末端封鎖ポリジメチルシロキサン、ジメチルシラノール末端封鎖ポリジメチルシロキサン、トリメチルシロキサン末端封鎖ジメチルメチルフェニルシロキサンが挙げられる。末端封鎖剤及び必要とされる場合にはその後の反応を用いて導入することができる加水分解性基としては、−SiOH、−(R)SiOH、−(RSiOH、−RSi(OR、−Si(OR、−RSiOR又は−RSi−R−SiR(OR3−p(式中、Rはそれぞれ独立して一価のヒドロカルビル基、例えば特に1〜8個の炭素原子を有するアルキル基を表し(好ましくはメチルである)、R及びR基はそれぞれ独立してアルキル又はアルコキシ基であり、アルキル基は適宜6個までの炭素原子を有し、Rは、6個までのケイ素原子を有する1つ又は複数のシロキサンスペーサーが介在し得る二価の炭化水素基であり、pは0、1又は2の値を有する)が含まれる。水も末端封鎖剤としての役割を果たすことができ、ヒドロキシ官能基が導入される。
【0050】
本発明の方法に従ってポリマーを製造する任意の適当な方法が使用され得る。希釈剤及び触媒は、どの順序でモノマーに添加されてもよい。混合は、得られた生成物の粘度が一定になるか、或いは時間と共に低下し始めるまで継続され、この時点で、例えば上記で記載した中和剤を用いて触媒が失活/中和される。
【0051】
好ましくは、上記の有機系の希釈剤は、1つ若しくは複数の増量剤及び/又は可塑剤である。通常、本発明に従って使用される希釈剤は、モノマー/オリゴマー出発材料又は中間体又は最終重合生成物に化学的に結合することは意図されない。しかしながら、ポリマー反応生成物と希釈剤との間にいくつかの化学結合及び/又は可逆的な相互作用が生じることもある。好ましくは、ポリマーと希釈剤との間に生じる化学結合は、ポリマーと希釈剤との間に架橋網目構造を形成するように、ポリマー末端基ではなくポリマーの主鎖に沿った置換基によって起こる。それにより、例えばシーラント組成物での使用時に希釈剤の損失及び/又は収縮をもたらす可能性の低いポリマー生成物を提供する。この段落に関する説明のために、「化学的に結合」という用語は、共有結合又は同様の結合の形成を意味することが意図され、水素結合等の単なる化学的な相互作用ではない。
【0052】
ポリマーと相溶性である任意の適当な増量剤及び/若しくは可塑剤、又は増量剤及び/若しくは可塑剤の組み合わせを使用することができる。
【0053】
これらとしては、以下の:
ポリイソブチレン(PIB)、
トリオクチルホスフェート等のリン酸エステル、
ポリアルキルベンゼン、
重質アルキレート、ドデシルベンゼン及びその他のアルキルアレン等の線状及び/又は分枝状アルキルベンゼン、
脂肪族モノカルボン酸のエステル、
ジアルキルフタレート(ここでアルキル基は線状及び/又は分枝状でよく、ジオクチル、ジヘキシル、ジノニル、ジデシル、ジアラニル及びその他のフタレート等の6〜20個の炭素原子を含有する)、
アジペート、アゼレート、オレエート及びセバケートエステル、
桐油、
脂肪酸及び/又は脂肪酸エステル、
エチレングリコール及びその誘導体等のポリオール、
トリクレシルホスフェート及び/又はトリフェニルホスフェート等の有機リン酸塩、及び/又はヒマシ油、
12〜25個の炭素原子を含有する線状又は分枝状アルケン又はこれらの混合物等の線状又は分枝状モノ不飽和炭化水素、及び/又は
線状(例えば、n−パラフィン系)鉱油、分枝状(イソパラフィン系)鉱油、環状(従来技術によってはナフテン系と称される)鉱油及びこれらの混合物を含む鉱油留分
のそれぞれを単独で、又は列挙される他のものと組み合わせて挙げられる。好ましくは、炭化水素が、1分子当たり5〜25個の炭素原子を含む。好ましくは、増量剤は任意の適当な鉱油を含むことができ、例としては、少なくとも12個、例えば12〜25個の炭素原子を含有する線状又は分枝状アルケン又はこれらの混合物等の線状又は分枝状モノ不飽和炭化水素、並びに/若しくは線状(例えば、n−パラフィン系)鉱油、分枝状(イソパラフィン系)鉱油、環状(当該技術分野ではナフテン系と称されることもある)鉱油及びこれらの混合物を含む鉱油留分が挙げられる。好ましくは、使用される炭化水素は、1分子当たり少なくとも10個、好ましくは少なくとも12個、及び最も好ましくは20個よりも多い炭素原子を含む。
【0054】
好ましい増量剤には、鉱油留分、アルキル脂環式化合物、及びポリアルキルベンゼンを含むアルキルベンゼンが含まれる。
【0055】
本発明における増量剤として鉱油留分の任意の適当な混合物が用いられてもよいが、高分子量の増量剤(例えば、>220の平均分子量)が特に好ましい。例としては、アルキルシクロヘキサン(分子量>220)と、1〜99%、好ましくは15〜80%のn−パラフィン系及び/又はイソパラフィン系炭化水素(線状分枝状パラフィン系)、1〜99%、好ましくは85〜20%の環状炭化水素(ナフテン系)、そして最大3%、好ましくは最大1%の芳香族炭素原子を含有するパラフィン系炭化水素及びこれらの混合物が挙げられる。環状パラフィン系炭化水素(ナフテン系)は、環状及び/又は多環式炭化水素を含有することができる。鉱油留分の任意の適当な混合物、例えば、
(i)60〜80%のパラフィン系及び20〜40%のナフテン系及び最大1%の芳香族炭素原子、
(ii)30〜50%、好ましくは35〜45%のナフテン系及び70〜50%のパラフィン系及び/又はイソパラフィン系油、
(iii)60重量%よりも多いナフテン系、少なくとも20重量%の多環式ナフテン系及び沸点が235℃よりも高いASTM D−86を含有する炭化水素流体、
(iv)炭化水素100重量部を基準として40重量部よりも多いナフテン系炭化水素及び60重量部よりも少ないパラフィン系及び/又はイソパラフィン系炭化水素を有する炭化水素流体
を含有する混合物を用いることができる。
【0056】
好ましくは、鉱油ベースの増量剤又はその混合物は、以下のパラメータ:
(i)150よりも大きく、最も好ましくは200よりも大きい分子量、
(ii)230℃以上の初留点(ASTM D86に準ずる)、
(iii)0.9以下の粘度密度定数(ASTM 2501に準ずる)
(iv)平均して1分子当たり少なくとも12個の炭素原子、最も好ましくは1分子当たり12〜30個の炭素原子、
(v)70℃以上のアニリン点、最も好ましくは、アニリン点は80〜110℃である(ASTM D611に準ずる)、
(vi)増量剤の20〜70重量%のナフテン含量、鉱油をベースとする増量剤は、増量剤の30〜80重量%のパラフィン含量を有する(ASTM D3238に準ずる)、
(vii)−50〜60℃の流動点(ASTM D97に準ずる)、
(viii)40℃で1〜20cStの動粘度(ASTM D445に準ずる)、
(ix)0.7〜1.1の比重(ASTM D1298に準ずる)、
(x)20℃で1.1〜1.8の屈折率(ASTM D1218に準ずる)、
(xi)700kg/mより大きい15℃の密度(ASTM D4052に準ずる)、及び/又は
(xii)100℃より高く、より好ましくは110℃より高い引火点(ASTM D93に準ずる)、
(xiii)少なくとも+30のセイボルト色度(ASTM D156に準ずる)、
(xiv)250ppm以下の含水量(ASTM D6304に準ずる)、
(xv)2.5ppm未満の硫黄含量(ASTM D4927に準ずる)
のうちの少なくとも1つを含む。
【0057】
使用に適したアルキルベンゼン化合物には、重質アルキレートアルキルベンゼン又はアルキル脂環式化合物が含まれる。増量剤及び/又は可塑剤として有用なアルキル置換アリール化合物の例は、アルキル、及び場合によっては他の置換基で置換されたアリール基、特にベンゼンを有し、少なくとも200の分子量を有する化合物である。このような増量剤の例は、米国特許第4,312,801号に記載されており、その内容は参照によって本明細書中に援用される。これらの化合物は、一般式(I)、(II)、(III)及び(IV)によって表すことができる。
【0058】
【化1】

【0059】
(式中、Rは1〜30個の炭素原子のアルキル鎖であり、R〜R16はそれれぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ニトリル、アミン、アミド、アルキルエーテル等のエーテル、又はアルキルエステル基等のエステルから選択され、nは1〜25の整数である)によって表すことができる。
【0060】
特に、本発明のプロセスに従って使用される増量剤は式(I)(式中、R、R、R、R10及びR11はそれぞれ水素であり、RはC10〜C13アルキル基である)を有する。このような化合物の特に有用な源は、いわゆる「重質アルキレート」であり、これは、油の蒸留後に製油所から回収することができる。通常、蒸留は230〜330℃の範囲の温度で行われ、重質アルキレートは、より軽い留分が蒸留された後に残存する留分中に存在する。
【0061】
アルキル脂環式化合物の例は、220を超える分子量を有する置換シクロヘキサンである。このような化合物の例は欧州特許第0842974号に記載されており、その内容は参照によって本明細書中に援用される。このような化合物は、一般式(v):
【0062】
【化2】

【0063】
(式中、R17は1〜25個の炭素原子を有する線状又は分枝状アルキル基であり、R18及びR19は独立して、水素又はC1〜25線状又は分枝鎖アルキル基から選択される)によって表すことができる。
【0064】
組成物中に含まれ得る希釈剤の量は、組成物が投入される目的、関係する希釈剤の分子量等の因子に依存するであろう。本発明によるポリマーの生成物は、これらの因子に応じて、5%w/w〜70%w/wの希釈剤(ポリマー及び希釈剤の混合重量を基準として)を含有することができる。しかしながら通常、希釈剤の分子量が高いほど、組成物中の許容量は少なくなるであろう。典型的な組成物は70%w/wまでの希釈剤を含有するであろう。より適当なポリマー生成物は30〜60%w/wの線状希釈剤を含むが、希釈剤が重質アルキレートである場合には25〜35%w/wがより好ましいであろう。
【0065】
本発明の最も重要な態様の1つは、希釈剤の存在下でポリマーを重合させることによって、重合時にポリマー混合物中に粘度を低下する希釈剤が存在するので、重合プロセスの間中、得られるポリマー/加工助剤及び/又はポリマー/可塑剤混合物は、普通に期待され得るよりも著しく低い粘度を有するということである。ほんの少量、例えば5〜20重量%が本発明に従う重合プロセスのために存在する場合でさえもそうであることは理解されるべきである。例えば、希釈剤を充填剤及び既存のポリマーと一緒に混合する標準プロセスを用いると、より粘度の高いポリマーを用いる取扱い及び配合の問題のために、通常、80,000mPa・sのポリマーに約28重量%の希釈剤しか取り込むことができない。希釈剤を重合の前に導入することによって、配合の問題が回避され、そして得られるポリマーは、数百万mPa・sのオルガノポリシロキサンガムを用いて通常利用される用途の代替物として用いることができる。
【0066】
本発明のプロセスは、取扱いの問題のためにこれまで考えられなかった粘度を有するポリマーと共に、著しく多い量の希釈剤の使用を可能にする。達成することができる希釈剤とシリコーン相との比率は、ポリジメチルシロキサン中の希釈剤の混和性及びその逆の場合の混和性に依存する。混和性は、少なくとも部分的にポリジメチルシロキサンの分子量に依存することが分かった。
【0067】
この組み合わせは、これまでは使用するのが不可能であったポリマー鎖長/粘度を有するポリマーの使用のために、様々な改善された物理的特性(特に、得られる生成物の弾性)を有する本発明の希釈ポリマーを含む配合物もユーザーに提供する。用途には、シーラント配合物、コーティング配合物、高粘稠性ゴム用途のための高粘稠性オルガノポリシロキサンガム配合物、及びパーソナルケア製品で使用するための揮発性及び不揮発性アルキルシリコーン流体中に分散させるための高粘稠性オルガノポリシロキサンガム配合物が含まれる。
【0068】
好ましくは、本発明のプロセスに従って調製され、結果として得られたオルガノポリシロキサン生成物は、一般式
−A−X (1)
(式中、X及びXは末端シリル基である)を有し、末端シリル基の官能性は重合プロセスにおいて使用される末端封鎖剤(上記で記載される適当な末端封鎖剤のいずれでもよい)によって実質的に決定される。基Aは、好ましくは、式(2)
−(RSiO(4−s)/2)− (2)
(式中、Rはそれぞれ独立して、塩素又はフッ素等の1つ又は複数のハロゲン基で任意で置換された1〜10個の炭素原子を有するヒドロカルビル基等の有機基であり、sは0、1又は2である)のシロキサン単位を含む。基Rの特定の例としては、3,3,3−トリフルオロプロピル、クロロフェニル、β−(パーフルオロブチル)エチル又はクロロシクロヘキシル基等の塩素又はフッ素で置換されたメチル、エチル、プロピル、ブチル、ビニル、シクロヘキシル、フェニル、トリル基、プロピル基が挙げられる。
【0069】
適宜、少なくともいくつか、そして好ましくは実質的に全てのR基がメチルである。式(1)の化合物中のAは、100,000,000mPa・sまでのポリマー粘度(本発明による増量剤が存在しない場合)を与える、すなわち、式(2)の200,000単位まで、又はそれよりもさらに大きい任意の適当なシロキサンポリマー鎖を含むことができる。好ましい材料は線状材料であり、すなわち全ての鎖単位に対してs=2である。好ましい材料は、一般式(3)
−(RSiO)− (3)
(式中、各Rは同じであるか又は異なり、上記の通りに定義されるが、好ましくはアルキル基であり、好ましくはメチル又はエチル基であり、tは少なくとも200,000までの値を有する)によるポリジオルガノ−シロキサン鎖を有する。適当な場合には、重合が完了した後にさらなる希釈剤を組成物に添加してもよい。
【0070】
本発明によると、
(i)末端封鎖剤を含むヒドロキシル基又は加水分解性基を用いて、上記で記載したオルガノポリシロキサンポリマーを調製する工程と、
(ii)得られた希釈オルガノポリシロキサンポリマーを、
(iii)
(i)オルガノポリシロキサンポリマーと反応性を有する適当な架橋剤と、
(ii)適当な縮合触媒と、
任意で(iii)充填剤と
配合する工程と
を含む、エラストマー体に硬化することができる湿分硬化性組成物を製造する方法が提供される。
【0071】
一実施形態では、このプロセスは、一液型又は二液型のオルガノポリシロキサンシーラント組成物を調製するために使用される。
【0072】
本発明のまたさらなる実施形態によると、エラストマー体に硬化することができる湿分硬化性組成物が提供され、該組成物は、
a)本発明に従うプロセスにより得られるケイ素に結合した縮合性基(好ましくはヒドロキシル基又は加水分解性基)を少なくとも2つ有する希釈オルガノポリシロキサンと、
b)1分子当たり少なくとも2つの、(a)のヒドロキシル基又は加水分解性基と反応性を有する基を有するシロキサン及び/又はシラン架橋剤と、
c)任意で、1つ又は複数の充填剤と、
d)適当な硬化触媒と
を含む。
【0073】
好ましくは、本発明による湿分硬化性配合物のためのオルガノポリシロキサン成分(a)は、少なくとも2つのヒドロキシル基又は加水分解性基を含有するポリシロキサン含有ポリマーであり、最も好ましくは、ポリマーは、末端ヒドロキシル基又は加水分解性基を含む。好ましくは、ポリマーは一般式
−A−X (1)
(式中、X及びXは、末端がヒドロキシル基又は加水分解性基であるシリル基から独立して選択され、Aは上記で記載した通りである)を有する。ヒドロキシル末端又は加水分解性基であるX又はXの例としては、−SiOH、−(R)SiOH、−(RSiOH、−RSi(OR、−Si(OR、−RSiOR又は−RSi−R−SiR(OR3−pが挙げられ、式中、Rはそれぞれ独立して一価のヒドロカルビル基、例えば特に1〜8個の炭素原子を有するアルキル基を表し(好ましくはメチルである)、R及びR基はそれぞれ独立してアルキル又はアルコキシ基(ここで、アルキル基は適宜6個までの炭素原子を有する)であり、Rは、6個までのケイ素原子を有する1つ又は複数のシロキサンスペーサーが介在し得る二価の炭化水素基であり、pは0、1又は2の値を有する。本発明のこの実施形態のために適宜、X及び/又はXは、水分の存在下で加水分解性の基である。
【0074】
任意の適当な架橋剤を使用することができる。上記のような湿分硬化性組成物において使用される架橋剤(b)は、加水分解性基を含むシラン化合物であることが好ましい。これらとしては、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ、オクタノイルオキシ及びベンゾイルオキシ基)、ケトキシミノ基(例えば、ジメチルケトキシモ及びイソブチルケトキシミノ)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ)、及びアルケニルオキシ基(例えば、イソプロペニルオキシ及び1−エチル−2−メチルビニルオキシ)等のケイ素に結合した加水分解性基を含有する1つ又は複数のシラン又はシロキサンが挙げられる。
【0075】
シロキサンベースの架橋剤の場合、分子構造は線状、分岐、又は環状であり得る。
【0076】
架橋剤は、ケイ素に結合した縮合性(好ましくはヒドロキシル)基を1分子当たり2つ有し得るが、好ましくは3つ又は4つを有する。架橋剤がシランである場合、及びシランが1分子当たりケイ素に結合した加水分解性基を3つ有する場合、第4の基は適切には非加水分解性のケイ素に結合した有機基である。これらのケイ素に結合した有機基は、任意にフッ素及び塩素等のハロゲンで置換される適当なヒドロカルビル基である。このような第4の基の例としては、アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル及びブチル)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル及びシクロヘキシル)、アルケニル基(例えば、ビニル及びアリル)、アリール基(例えば、フェニル及びトリル)、アラルキル基(例えば、2−フェニルエチル)、及び先行する有機基における全て又は一部の水素をハロゲンに置き換えることによって得られる基が挙げられる。しかしながら、第4のケイ素に結合した有機基はメチルであることが好ましい。
【0077】
架橋剤として使用することができるシラン及びシロキサンとしては、メチルトリメトキシシラン(MTM)及びメチルトリエトキシシラン等のアルキルトリアルコキシシラン、ビニルトリメトキシシラン及びビニルトリエトキシシラン等のアルケニルトリアルコキシシラン、並びにイソブチルトリメトキシシラン(iBTM)が挙げられる。他の適当なシランとしては、エチルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、アルコキシトリオキシモシラン、アルケニルトリオキシモシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、ジ−ブトキシジアセトキシシラン、フェニル−トリプロピオンオキシシラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシモ)シラン、ビニル−トリス(メチルエチルケトキシモ)シラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシミノ)シラン、メチルトリス(イソプロペノキシ)シラン、ビニルトリス(イソプロペノキシ)シラン、エチルポリシリケート、n−プロピルオルトシリケート、エチルオルトシリケート、ジメチルテトラアセトキシジシロキサンが挙げられる。使用される架橋剤は上記の2つ以上の任意の組み合わせを含んでもよい。
【0078】
組成物中に存在する架橋剤の量は、架橋剤の特定の性質、特に選択される分子の分子量に依存し得る。組成物は、適切には、上記のポリマー材料と比較して少なくとも化学量論的な量の架橋剤を含有する。組成物は、例えば2〜30%w/wの架橋剤を含有するが、通常は2〜10%w/wの架橋剤を含有することができる。アセトキシ架橋剤は、通常、3〜8%w/w、好ましくは4〜6%w/wの量で存在し得るが、通常、より高い分子量を有するオキシミノ架橋剤は一般的に3〜8%w/wを構成し得る。
【0079】
組成物はさらに、縮合触媒を含む。これは、組成物が硬化する速度を増大させる。特にシリコーンシーラント組成物中に含有させるために選択される触媒は、必要とされる硬化の速度に依存する。組成物を硬化させるために、スズ、鉛、アンチモン、鉄、カドミウム、バリウム、マンガン、亜鉛、クロム、コバルト、ニッケル、チタン、アルミニウム、ガリウム又はゲルマニウム及びジルコニウム系の触媒(有機スズ金属触媒等)を含む任意の適当な縮合触媒を用いることができ、鉄、コバルト、マンガン、鉛及び亜鉛の2−エチルヘキソエートが代替的に使用されてもよい。有機スズ、チタネート及び/又はジルコネート系の触媒が好ましい。
【0080】
オキシモシラン又はアセトキシシランを含有するシリコーンシーラント組成物は、通常、酒石酸トリエチルスズ、オクタン酸スズ、オレイン酸スズ、ナフトエ酸スズ、ブチルスズトリ−2−エチルヘキソエート、酪酸スズ、カルボメトキシスズトリスベレート、イソブチルスズトリセロエート、並びにジラウリン酸ジブチルスズ、二酪酸ジメチルスズ、ジブチルスズジメトキシド、二酢酸ジブチルスズ、ビスネオデカン酸ジメチルスズ、二安息香酸ジブチルスズ、オクタン酸第一スズ、ジネオデカン酸ジメチルスズ、ジオクタン酸ジブチルスズ等のジオルガノスズ塩、特にジカルボン酸ジオルガノスズ化合物等の硬化用スズ触媒を用いる。ジラウリン酸ジブチルスズ、二酢酸ジブチルスズが特に好ましい。
【0081】
アルコキシシラン架橋剤化合物を含む組成物について、好ましい硬化触媒は、チタネート又はジルコネート化合物である。このようなチタネートは、一般式Ti[OR22に従う化合物を含むことができ、式中、各R22は同じでも異なっていてもよく、1〜10個の炭素原子を含有する線状又は分枝状でよい一価の第一級、第二級又は第三級脂肪族炭化水素基を表す。任意で、チタネートは、部分的に不飽和の基を含有してもよい。しかしながら、Rの好ましい例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、及び2,4−ジメチル−3−ペンチル等の分枝状の第二級アルキル基が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、各Rが同じである場合、Rはイソプロピル、分枝状の第二級アルキル基又は第三級アルキル基であり、特に第三級ブチルである。例としては、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、又はキレート化チタネート若しくはキレート化ジルコネートが挙げられる。キレート化は、メチル又はエチルアセチルアセトナート等のアルキルアセチルアセトナート等の任意の適当なキレート化剤により行うことができ、適当な触媒は、例えば、ジイソプロピルビス(アセチルアセトニル)チタネート、ジイソプロピルビス(エチルアセトアセトニル)チタネート、ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセテート)等である。適当な触媒のさらなる例は、欧州特許第1254192号(参照によって本明細書中に援用される)に記載されている。使用される触媒の量は使用中の硬化系に依存するが、通常は全組成物の0.01〜3重量%である。
【0082】
好ましくは、触媒である構成成分(d)は、組成物の約0.1〜3重量%の量で存在し、キレート化剤が使用される場合には、構成成分(d)はより多い量で存在し得る。
【0083】
本発明の組成物は、任意成分として、シーラント等のようなシリコーンエラストマー製品の配合物にとって慣習的な他の成分を含有することができる。例えば、組成物は普通、1つ又は複数の微粉化した、もみ殼灰(rice hull ash)及びある程度の炭酸カルシウムを含む高表面積ヒュームドシリカ及び沈降シリカ等の強化充填剤、又は破砕石英、珪藻土、硫酸バリウム、酸化鉄、二酸化チタン及びカーボンブラック、タルク、ウォラストナイト等のさらなる非強化充填剤を含有することができる。単独又は上記のものと組み合わせて使用され得る他の充填剤には、アルミナイト、硫酸カルシウム(無水石膏)、石膏、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン等のクレイ、三水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム(ブルーサイト)、黒鉛、炭酸銅、例えばマラカイト、炭酸ニッケル、例えばザラカイト、炭酸バリウム、例えばウィゼライト、及び/又は炭酸ストロンチウム、例えばストロンチアナイトが含まれる。
【0084】
酸化アルミニウム、ケイ酸塩は、カンラン石族、ザクロ石族、アルミノケイ酸塩、環状ケイ酸塩、鎖状ケイ酸塩及びシート状ケイ酸塩から成る群より選択される。カンラン石群は、フォルステライト及びMgSiO(これらに限定されない)等のケイ酸塩鉱物を含む。ザクロ石群は、パイロープ、MgAlSi12、グロシュラー、及びCaAlSi12(これらに限定されない)等の粉砕ケイ酸塩鉱物を含む。アルミノケイ酸塩は、シリマナイト、AlSiO、ムライト、3Al・2SiO、カイヤナイト、及びAlSiO(これらに限定されない)等の粉砕ケイ酸塩鉱物を含む。環状ケイ酸塩は、コージライト及びAg(Mg,Fe)[SiAlO18](これらに限定されない)等のケイ酸塩鉱物を含む。鎖状ケイ酸塩群は、ウォラストナイト及びCa[SiO](これらに限定されない)等の粉砕ケイ酸塩鉱物を含む。
【0085】
シート状ケイ酸塩群は、マイカ、KAl14[SiAl20](OH)、パイロフィライト、Al[Si20](OH)、タルク、及びMg[Si20](OH)、蛇紋石(例えば、アスベスト、カオリナイト、Al[Si10](OH)、及びバーミキュライト)(これらに限定されない)等のケイ酸塩鉱物を含む。
【0086】
さらに、例えば、脂肪酸又はステアリン酸エステル等の脂肪酸エステルによって、或いはオルガノシラン、オルガノシロキサン、又はオルガノシラザンヘキサアルキルジシラザン又は短鎖シロキサンジオールによって充填剤の表面処理が実行されて、充填剤を疎水性にし、そのために取り扱いをより容易にし、他のシーラント成分との均一な混合物を得ることができる。充填剤の表面処理は、粉砕シリケート鉱物がシリコーンポリマーによって容易に湿潤されるようにする。これらの表面修飾された充填剤は凝集せず、シリコーンポリマー中に均一に取り込むことができる。この結果、未硬化組成物の室温機械特性が改善される。さらに、表面処理された充填剤は未処理材料又は原料よりも低い伝導率を与える。
【0087】
使用される場合のこのような充填剤の割合は、エラストマー形成組成物及び硬化エラストマーにおいて所望される特性に依存し得る。通常、組成物の充填剤含量は、希釈剤部分を除いたポリマー100重量部当たり約5〜約800重量部の範囲、好ましくは25〜400重量部の範囲内である。
【0088】
組成物中に含まれ得る他の成分には、カルボン酸及びアミンの金属塩等の組成物の硬化を加速させるための共触媒、レオロジー調節剤、接着促進剤、顔料、熱安定剤、難燃剤、UV安定剤、硬度改質剤、鎖延長剤、電気及び/又は熱伝導性充填剤、殺生物剤及び/又は殺生物剤等(適切には0〜1重量%の量で存在し得る(by present))、水捕捉剤(通常、架橋剤として使用されるものと同じ化合物又はシラザン)が含まれるが、これらに限定されない。添加剤のいくつかが2つ以上の添加剤リストに含まれることが認識されるであろう。このような添加剤は次に、参照されるあらゆる方法で機能する能力がある。
【0089】
レオロジー添加剤には、ポリエーテル又はポリエステルのポリオールに基づく欧州特許第0802233号に記載されるもの等のシリコーン有機コポリマー、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エトキシル化ヒマシ油、オレイン酸エトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、コポリマー又はエチレンオキシド(EO)及びプロピレンオキシド(PO)、並びにシリコーンポリエーテルコポリマーから成る群から選択される非イオン性界面活性剤、並びにシリコーングリコールが含まれる。いくつかの場合には、上記のレオロジー添加剤は接着を強めるようにも作用し得る。
【0090】
任意の適当な接着促進剤が本発明に従うシーラント組成物中に取り込まれてもよい。これらには、例えば、アミノアルキルアルコキシシラン、エポキシアルキルアルコキシシラン、例えば3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、及びメルカプト−アルキルアルコキシシラン並びにγ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシランが含まれ得る。1,3,5−トリス(トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレート等のケイ素基を含有するイソシアヌレートがさらに使用されてもよい。さらに適当な接着促進剤は、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシアルキルアルコキシシランと、3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ置換アルコキシシラン、並びに任意でメチル−トリメトキシシラン、エポキシアルキルアルコキシシラン、メルカプトアルキルアルコキシシラン、及びこれらの誘導体等のアルキルアルコキシシランとの反応生成物である。
【0091】
鎖延長剤は、架橋が生じる前にポリシロキサンポリマー鎖の長さを延長して、それにより硬化エラストマーの伸び率(modulus of elongation)を低下させる二官能性シランを含むことができる。鎖延長剤及び架橋剤は、官能性ポリマー末端との反応において競合し、顕著な鎖延長を達成するために、二官能性シランは実質的に典型的な三官能性架橋剤よりも高い反応性を有さなければならない。縮合硬化系に適当な鎖延長剤は、例えば、メチルビニルビス(N−メチルアセタミド)シラン、メチルハイドロジェンジアセトキシシラン、ジメチルビス(N−ジエチルアミノキシ)シラン及びジメチルビス(sec−ブチルアミノ)シランである。
【0092】
熱安定剤としては、酸化鉄及びカーボンブラック、カルボン酸鉄塩、セリウム水和物、チタニア、ジルコン酸バリウム、オクチル酸セリウム、オクチル酸マンガン及びオクチル酸ジルコニウム、並びにポルフィリンが挙げられ得る。
【0093】
難燃剤としては、例えば、カーボンブラック、水和水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、及びウォラストナイト等のシリケート、白金及び白金化合物が挙げられ得る。
【0094】
電気伝導性充填剤は、カーボンブラック、銀粒子等の金属粒子、表面がスズ及び/又はアンチモンで処理された酸化チタン粉末、表面がスズ及び/又はアンチモンで処理されたチタン酸カリウム粉末、表面がアンチモンで処理された酸化スズ、並びに表面がアルミニウムで処理された酸化亜鉛等の任意の適当な電気伝導性金属酸化物充填剤を含むことができる。
【0095】
熱伝導性充填剤は、粉末、薄片及びコロイド状の銀、銅、ニッケル、白金、金、アルミニウム及びチタン等の金属粒子、金属酸化物、特に酸化アルミニウム(Al)及び酸化ベリリウム(BeO)、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム;一炭化タングステン、炭化ケイ素及び窒化アルミニウム、窒化ホウ素及びダイヤモンド等のセラミック充填剤を含むことができる。
【0096】
任意の適当な殺生物剤及び殺生剤を利用することができ、これらとしては、N−置換ベンズイミダゾールカルバメートである、メチル2−ベンズイミダゾリルカルバメート、エチル2−ベンズイミダゾリルカルバメート、イソプロピル2−ベンズイミダゾリルカルバメート、メチルN−{2−[1−(N,N−ジメチルカルバモイル)ベンズイミダゾリル]}カルバメート、メチルN−{2−[1−(N,N−ジメチルカルバモイル)−6−メチルベンズイミダゾリル]}カルバメート、メチルN−{2−[1−(N,N−ジメチルカルバモイル)−5−メチルベンズイミダゾリル]}カルバメート、メチルN−{2−[1−(N−メチルカルバモイル)ベンズイミダゾリル]}カルバメート、メチルN−{2−[1−(N−メチルカルバモイル)−6−メチルベンズイミダゾリル]}カルバメート、メチルN−{2−[1−(N−メチルカルバモイル)−5−メチルベンズイミダゾリル]}カルバメート、エチルN−{2−[1−(N,N−ジメチルカルバモイル)ベンズイミダゾリル]}カルバメート、エチルN−{2−[2−(N−メチルカルバモイル)ベンズイミダゾリル]}カルバメート、エチルN−{2−[1−(N,N−ジメチルカルバモイル)−6−メチルベンズイミダゾリル]}カルバメート、エチルN−{2−[1−(N−メチルカルバモイル)−6−メチルベンズイミダゾリル]}カルバメート、イソプロピルN−{2−[1−(N,N−ジメチルカルバモイル)ベンズイミダゾリル]}カルバメート、イソプロピルN−{2−[1−(N−メチルカルバモイル)ベンズイミダゾリル]}カルバメート、メチルN−{2−[1−(N−プロピルカルバモイル)ベンズイミダゾリル]}カルバメート、メチルN−{2−[1−(N−ブチルカルバモイル)ベンズイミダゾリル]}カルバメート、メトキシエチルN−{2−[1−(N−プロピルカルバモイル)ベンズイミダゾリル]}カルバメート、メトキシエチルN−{2−[1−(N−ブチルカルバモイル)ベンズイミダゾリル]}カルバメート、エトキシエチルN−{2−[1−(N−プロピルカルバモイル)ベンズイミダゾリル]}カルバメート、エトキシエチルN−{2−[1−(N−ブチルカルバモイル)ベンズイミダゾリル]}カルバメート、メチルN−{1−(N,N−ジメチルカルバモイルオキシ)ベンズイミダゾリル]}カルバメート、メチルN−{2−[N−メチルカルバモイルオキシ)ベンズイミダゾリル]}カルバメート、メチルN−{2−[1−(N−ブチルカルバモイルオキシ)ベンゾイミダゾリル]}カルバメート、エトキシエチルN−{2−[1−(N−プロピルカルバモイル)ベンズイミダゾリル]}カルバメート、エトキシエチルN−{2−[1−(N−ブチルカルバモイルオキシ)ベンゾイミダゾリル]}カルバメート、メチルN−{2−[1−(N,N−ジメチルカルバモイル)−6−クロロベンズイミダゾリル]}カルバメート、及びメチルN−{2−[1−(N,N−ジメチルカルバモイル)−6−ニトロベンズイミダゾリル]}カルバメート等のベンズイミダゾリルカルバメート、並びに10,10’−オキシビスフェノキサルシン(商品名:Vinyzene、OBPA)、ジ−ヨードメチル−パラ−トリルスルホン、ベンゾチオフェン−2−シクロヘキシルカルボキサミド−S,S−ジオキシド、N−(フルオルジクロリドメチルチオ)フタルイミド(商品名:Fluor−Folper、Preventol A3)、メチル−ベンズイミダゾール−2−イルカルバメート(商品名:Carbendazim、Preventol BCM)、亜鉛−ビス(2−ピリジルチオ−1−オキシド)(亜鉛ピリチオン)2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾール、N−フェニル−ヨードプロパルギルカルバメート、N−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロリド−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、N−ブチル−1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン及び/又は銀含有ゼオライトと組み合わせたテブコナゾール等のトリアゾリル化合物が挙げられる。
【0097】
組成物は好ましくは室温加硫性組成物であり、これらは加熱することなく室温で硬化する。
【0098】
組成物は、任意の適当な混合装置を用いて成分を混合することによって調製することができる。他の成分は必要に応じて添加され得る。例えば、好ましい一液型湿分硬化性組成物は、ヒドロキシル基又は加水分解性基を有する増量ポリシロキサンと、使用される有機ケイ素可塑剤又は充填剤とを一緒に混合し、これを架橋剤及び触媒のプレミックス(pre-mix)と混合することによって製造され得る。UV安定剤、顔料及び他の添加剤は、所望される任意の段階で混合物に添加することができる。
【0099】
混合の後、組成物は、使用が必要とされるまで、実質的に無水条件下、例えば密封容器内で貯蔵され得る。
【0100】
1つの実施形態では、プロセスは、一液型又は二液型オルガノポリシロキサンシーラント組成物を調製するために使用される。一液型配合物は貯蔵中安定であるが、大気中の水分に曝されると硬化し、様々な用途において、例えば、コーティング、コーキング及び封入材料として使用され得る。二液型組成物は、第1の部分に希釈ポリマー及び充填剤(必要とされる場合)を含み、そして第2の部分に触媒及び架橋剤を備え、使用の直前に適当な比率(例えば、10:1)で混合される。以下で議論されるさらなる添加剤は、組成物の第1の部分又は第2の部分のいずれに付与してもよいが、好ましくは第2の部分に添加する。
【0101】
しかしながら、これらは、相対運動を受ける物品及び構造体のジョイント、キャビティ及び他の空間をシールするために特に適する。従って、これらは、ガラスシーラント(glazing sealant)として、及びシーラントの外観が重要である建物構造物をシールするために特に適切である。
【0102】
希釈剤の存在下での重合は、シーラント配合物に関していくつかの利点を与える。レオロジーに関しては、希釈剤の存在のために可能となるポリマー鎖長の増大が希釈シーラント中に存在する希釈剤の量を補償し、それ自体としては希釈ポリマーの粘度は、希釈剤が現在は例えば25℃で80,000mPa・s〜100,000mPa・sの粘度を有するシーラント配合物において使用される標準ポリマーに添加された場合よりも大幅に高い。結果として得られるシーラントの弾性率がより低いことはさらに、たとえ希釈剤の損失が生じても、本発明のプロセスに従って調製することができる高分子量のポリマーの存在によって生じる有効な弾性率が収縮によりシールに生じる応力を補償できる範囲で、シールされたジョイントにおいてより大きな動きが可能であることを意味する。本発明のプロセスの生成物は、ポリマーの分子量を考慮した場合に、希釈ポリマーの粘度が比較的低いために優れた加工の利点を与える。
【0103】
従って、さらなる態様では、本発明は2つのユニット間の空間をシールする方法を提供し、当該方法は、上記の組成物を塗布すること及び組成物の硬化を引き起こすか、又は可能にすることを含む。適当なユニットには、上記のガラス構造体又は建物ユニットが含まれ、これらは本発明のさらなる態様を形成する。
【0104】
本出願人らは、シーラント配合物を発見した。本出願人らは、本発明に従って調製されるシーラント配合物が、(希釈剤非存在下で場合の粘度を考慮した場合に)高い鎖長/粘度のポリマーが使用されているために、硬化の後に非常に高弾性のシーラントをユーザーに提供することを発見した。このようなシーラントは、650%よりも著しく大きい破断伸びを提供する。
【0105】
本発明のプロセスによって製造されるポリマーのさらなる利点は、重合が完了した後に、このポリマーが非常に低レベルの環状シロキサンを含有することである。
【0106】
本発明のさらなる用途では、重合プロセスから得られる希釈ポリマーは、パーソナルケア用途において使用するために、4mPa・s〜100mPa・sの間の粘度を有する揮発性又は不揮発性の低分子量オルガノポリシロキサンベースの流体中に分散させることができる。
【0107】
揮発性シリコーンは、適切には、好ましくはジメチルシロキサン単位及び任意でトリメチルシロキサン単位を含有し、且つ好ましくは25℃で約10mPa・s未満の粘度を有する低粘性ジアルキルシロキサン(通常はジメチルシロキサン)流体である。低粘性ジアルキルシロキサン流体は、3〜10の重合度を有するシクロポリシロキサン、又は1〜10、好ましくは1〜5の重合度を有する線状シロキサン化合物のいずれかであり得る。
【0108】
シクロポリシロキサン化合物は、The Cosmetics, Toiletries and Fragrance Association, Inc., Washington, D.C.(CTFA)によって採用名(adopted name)「CYCLOMETHICONE」が与えられている。シクロポリシロキサン及び線状シロキサンの両方は透明な流体であり、本質的に無臭、無毒であり、べたべたせず、刺激性でない(nonstinging)。美容的には、これらの揮発性アルキルシリコーン流体は皮膚に対する刺激がなく、向上された塗布性を示し、塗布した時の擦り取りが容易である。塗布したら、材料は蒸発して残渣は残らない。
【0109】
本発明に従って使用可能なアルキルシリコーン流体は、開放された室内雰囲気においてその周囲が支持された185mmの直径を有するNo.1の円形ろ紙の中央に1グラムの流体が置かれたときに、室温で30分後には実質的に残渣が残らない。代表的な線状アルキルシリコーン流体には、99.5℃の沸点を有するヘキサメチルジシロキサン、及び152℃の沸点を有するオクタメチルトリシロキサンが含まれる。本発明の用途に適当な代表的な環状アルキルシリコーンには、133℃の沸点を有するヘキサメチルシクロトリシロキサン、171℃の沸点を有するオクタメチルシクロテトラシロキサン、及び205℃の沸点を有するデカメチルシクロペンタシロキサンが含まれる。これらのアルキルシリコーン流体は単独で使用されてもよいし、又は個々の流体を2つ以上の組み合わせた混合物として使用されてもよい。アルキルシリコーン流体の混合物は、個々のアルキルシリコーン流体のいずれとも異なる蒸発挙動を有する揮発性材料をもたらす。アルキルシリコーン流体及びその調製方法は当該技術分野において既知であり、このような流体は市販されている。
【0110】
場合によっては、アルキルシリコーン流体中のメチル基のうちの1つ又は複数を他の基で置換するのが望ましいこともある。従って、2〜12個の炭素原子を有するアルキルラジカル、6〜10個の炭素原子を有するアリールラジカル、アミン基、ビニル、ヒドロキシ、ハロアルキル基、アラルキル基、及びアクリレート基等の置換基が存在してもよい。
【0111】
アルキルシリコーン流体中に分散された希釈ポリマーの配合物を含む本発明に従う組成物は、さらに、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から成る群から選択される界面活性剤を含有することができる。界面活性剤系は、許容できるレベルの泡を毛髪に提供して、毛髪を清浄にできる必要があり、1つ又は複数の水溶性洗剤、すなわち、アニオン性界面活性剤又は両性界面活性剤を含むことができる。適当なアニオン性洗剤には、スルホン酸化及び硫酸化アルキル、アラルキル及びアルカリルアニオン性洗剤と、アルキルスクシネートと、アルキルスルホスクシネート及びN−アルキルサルコシネートとが含まれる。特に好ましいのは、アルキル及びアラルキルスルフェートのナトリウム、マグネシウム、アンモニウム、及びモノ−、ジ−及びトリエタノールアミン塩、並びにアルカリルスルホネートの塩である。洗剤のアルキル基は、通常、全部で約12〜21個の炭素原子を有し、不飽和でもよく、好ましくは脂肪族アルキル基である。スルフェートは、1分子当たり1〜10個の酸化エチレン又は酸化プロピレン単位を含有するスルフェートエーテルでよい。好ましくは、スルフェートエーテルは、2〜3個の酸化エチレン単位を含有する。
【0112】
典型的なアニオン性洗剤は、とりわけ、ナトリウムラウリルスルフェート、ナトリウムラウリルエーテルスルフェート、アンモニウムラウリルスルフェート、トリエタノールアミンラウリルスルフェート、ナトリウムC14〜16オレフィンスルホネート、アンモニウムパレス−25スルフェート(合成C12〜15脂肪族アルコールの混合物の硫酸化ポリエチレングリコールエーテルのアンモニウム塩)、ナトリウムミリスチルエーテルスルフェート、アンモニウムラウリルエーテルスルフェート、二ナトリウムモノオレアミドスルホスクシネート、アンモニウムラウリルスルホスクシネート、ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート、トリエタノールアミンドデシルベンゼンスルホネート及びナトリウムN−ラウロイルサルコシネートを含む。最も好ましいアニオン性洗剤は、ラウリルスルフェート、特にモノエタノールアミン、トリエタノールアミン、アンモニウム及びナトリウムラウリルスルフェートである。ナトリウムラウリルエーテルスルフェートも、本発明に従う組成物において使用するのに非常に適する。
【0113】
両性(amphoteric)洗剤又は両性電解質(ampholytic)洗剤に一般的に分類される界面活性剤としては特に、ココアンホカルボキシグリシネート、ココアンホカルボキシプロピオネート、ココベタイン、N−コカミドプロピルジメチルグリシン、及びN−ラウリル−N−カルボキシメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミンが挙げられる。他の適当な両性洗剤としては、第四級シクロイミデート;α−(テトラデシルジメチルアンモニオ)アセテート、β−(ヘキサデシルジメチルアンモニオ)プロピオネート、及びγ−(ドデシルジメチルアンモニオ)ブチレート等のベタイン;並びに3−(ドデシルジメチルアンモニオ)−プロパン−1−スルホネート及び3−(テトラデシルジメチルアンモニオ)エタン−1−スルホネート等のスルタインが挙げられる。
【0114】
本発明の組成物は、非イオン性界面活性剤を含有することができる。本発明の非イオン性界面活性剤は、脂肪酸アルカノールアミド及びアミンオキシド界面活性剤から成る群から選択される。脂肪酸アルカノールアミドは、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、又はジイソプロパノールアミン等のアルカノールアミンを、脂肪酸又は脂肪酸エステルと反応させて、アミドを形成することによって得られる非イオン性界面活性剤である。非イオン性界面活性剤の疎水性部分は、通常10〜21個の炭素原子を有する脂肪酸炭化水素鎖によって提供される。脂肪酸アルカノールアミド界面活性剤には、例えば、イソステアリン酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、カプリン酸ジエタノールアミド、ココナッツ脂肪酸ジエタノールアミド、リノール酸ジエタノールアミド、ミリスチン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド、及びステアリン酸ジエタノールアミド等の脂肪酸ジエタノールアミドと、ココナッツ脂肪酸モノエタノールアミド等の脂肪酸モノエタノールアミドと、オレイン酸モノイソプロパノールアミド及びラウリン酸モノイソプロパノールアミド等の脂肪酸モノイソプロパノールアミドとが含まれる。
【0115】
アミンオキシドは、通常第三級アミンを酸化してアミンオキシドを形成することによって得られる既知の非イオン性界面活性剤である。これらは、極性の非イオン性界面活性剤と呼ばれることもある。アミンオキシド界面活性剤には、例えば、N−ココジメチルアミンオキシド、N−ラウリルジメチルアミンオキシド、N−ミリスチルジメチルアミンオキシド、及びN−ステアリルジメチルアミンオキシド等のN−アルキルアミンオキシドと、N−コカミドプロピル(cocamidopropyl)ジメチルアミンオキシド及びN−タローアミドプロピルジメチルアミンオキシド等のN−アシルアミンオキシドと、ビス(2−ヒドロキシエチル)C12〜15アルコキシ−プロピルアミンオキシド等のN−アルコキシアルキルアミンオキシドとが含まれる。アミンオキシド界面活性剤の疎水性部分は、通常、10〜21個の炭素原子を含有する脂肪族炭化水素鎖によって提供される。
【0116】
本発明の目的のために、アルカノールアミド及びアミンオキシド界面活性剤が好ましい。一般に、脂肪酸ジエタノールアミド及びN−アルキルジメチルアミンオキシドは、組成物において使用するのに好ましい。特に好ましいのは、脂肪酸ジエタノールアミド及びN−アルキルジメチルアミンオキシドであり、脂肪族炭化水素鎖は10〜18個の炭素原子を含有する。例えば、特に好ましい非イオン性界面活性剤には、ラウリン酸ジエタノールアミド、N−ラウリルジメチルアミンオキシド、ココナッツ酸ジエタノールアミド、ミリスチン酸ジエタノールアミド、及びオレイン酸ジエタノールアミドが含まれる。
【0117】
カチオン性及び両性イオン界面活性剤等の界面活性剤材料のさらなるカテゴリーを含むこともでき、代表的な化合物は、1990年2月20日に提出された米国特許第4,902,499号(参照によって本明細書中に援用されると考えられる)に詳細に示されている。
【0118】
アルキルシリコーン流体中に分散された希釈ポリマーの配合物を含む本発明に従う組成物に他の補助剤が添加されてもよく、例えば、増粘剤、香料、着色剤、電解質、pH調節成分、発泡剤及び泡安定剤、抗菌剤、酸化防止剤、紫外光吸収剤及び薬剤が含まれる。組成物を毛髪に手で塗布し易くするために、例えば、組成物中で増粘剤を用いることが好ましいこともある。増粘剤は、好ましくは、より豪奢な効果を提供するのに十分な量で使用される。例えば、25℃で測定される6,000mPa・s〜12,000mPa・sの範囲内の粘度。適当な増粘剤には、とりわけ、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム、ポリオキシエチレン、グァーガム、ヒドロキシプロピルグァーガム、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリプロピルヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、ヒドロキシエチルアミロース、及びアミロースデンプン等のデンプン及びデンプン誘導体、ローカストビーンガム、塩化ナトリウム又は塩化アンモニウム等の電解質、フルクトース及びグルコース等の単糖類、並びにPEG−120メチルグルコースジオレエート等の単糖類の誘導体が含まれる。
【0119】
組成物において使用することができる香料は、美容的に許容可能な香料である。組成物に色を付けるために着色剤が使用され、通常使用され得る。要求はされないが、本発明の組成物では、pHを5〜9の範囲内、又はより好ましくは6〜8の範囲内に調整するために酸を使用することが好ましい。カルボン酸又は鉱酸等の任意の水溶性の酸が適切である。例えば、適当な酸には、塩酸、硫酸、及びリン酸等の鉱酸、酢酸、乳酸、又はプロピオン酸等のモノカルボン酸;並びにコハク酸、アジピン酸及びクエン酸等のポリカルボン酸が含まれる。
【0120】
特別な目的のために、付加的なコンディショナーが望まれる場合、それらを添加してもよい。例えば、任意の既知の有機カチオン性のヘアコンティショニング成分を添加してもよい。ヘアグルーミングするために本発明で使用することができるいくつかのカチオン性のコンディショニング成分としては、セルロースエーテルの第四級窒素誘導体、ジメチルジアリル−アンモニウムクロリドのホモポリマー、アクリルアミドとジメチルジアリルアンモニウムクロリドとのコポリマー、エステル結合若しくはアミド結合を介してポリマーと結合したカチオン性の窒素官能基を含むアクリル酸又はメタクリル酸由来のホモポリマー又は共ポリマー、N,N’−ビス−(2,3−エポキシプロピル)−ピペラジンの重縮合生成物又はピペラジン−ビス−アクリルアミド及びピペラジンの重縮合生成物、ポリ−(ジメチルブテニルアンモニウムクロリド)−α,ω−ビス−(トリエタノール−アンモニウム)クロリド、並びにビニルピロリドンと第四級窒素官能性を有するアクリル酸エステルとの共ポリマーが挙げられる。上記のカチオン性の有機ポリマー等は、米国特許第4,240,450号でより詳細に記載され、カチオン性の有機ポリマーをさらに記載するために本明細書で参照により援用される。モノマーの第四級アミン塩等の他の分類のコンディショナーも用いることができる。
【0121】
防腐剤が必要とされることもあり、使用することができる代表的な防腐剤には、ホルムアルデヒド、ジメチロールジメチルヒダントイン、5−ブロモ−5−ニトロ−1,3−ジオキサン、メチル−及びプロピルパラ−ヒドロキシベンゾアート、並びにこのようなベンゾアートとデヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸、及びイミダゾリジニル尿素との混合物等の約0.1〜0.2重量パーセントの化合物が含まれる。
【0122】
アルキルシリコーン流体中に分散された希釈ポリマーの配合物を含む本発明に従う組成物は、例えばパーマネントウェーブ系又は毛髪染料としての用途に必要な、染料、着色剤、還元剤、中和剤、及び防腐剤をさらに含有することができ、これらを含むように配合され得る。活性配合物は、例えば、ローション、ゲル、ムース、エアロゾル、及びポンプスプレーを含むいくつかの異なる形態で、並びにコンディショナー及びシャンプーとして適用することができる。活性成分はキャリアを含むことができ、ヘアケア配合物に適したキャリア流体は、水、並びに、例えば、アルコール、すなわちエタノール又はイソプロパノール、ミネラルスピリット及びトリクロロエタン等の炭化水素及びハロゲン化炭化水素、環状シロキサン、並びにエアロゾル推進剤のような流体である。
【0123】
組成物がエアロゾル用途を目的とする場合、二酸化炭素、窒素、一酸化窒素、ブタン、イソブタン又はプロパン等の揮発性炭化水素、並びにジクロロジフルオロメタン及びジクロロテトラフルオロエタン等の塩素化又はフッ素化炭化水素若しくはジメチルエーテル等の推進剤ガスを含むことができる。
【0124】
得られた製品は、軟膏、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム、エアロゾル等の形態であり得る。これらは、鎮痛剤、麻酔剤、抗座瘡剤、抗菌剤、抗酵母剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、ふけ防止剤、抗皮膚炎剤、鎮痒剤、制吐剤、乗り物酔い防止剤、抗炎症剤、抗過剰角質溶解剤、乾燥皮膚防止剤、制汗剤、抗乾癬剤、抗脂漏剤、ヘアコンディショニング、ヘアトリートメント、老化防止剤、しわ防止剤、抗喘息剤、気管支拡張剤、日焼け止め、抗ヒスタミン剤、美白剤、脱色素剤、創傷治癒剤、ビタミン類、コルチコステロイド類、色素沈着剤、又はホルモン類の医薬用途、医療用途及び/又は治療用途で存在し得る。一般的に使用されるこの種類の製品としては、シャンプー、ヘアコンディショナー、毛髪着色剤等のヘアケア製品、セットローション及びヘアスプレー等のヘアスタイリング剤、並びにパーマネントウェーブ剤、フェイスパウダー、ボディーパウダー、ほお紅、アイシャドー、アイライナー、入浴剤(bath grains or pellets)、口紅、保湿剤、化粧品、ハンドローション及びボディーローション、コンシーラ、コンパクトパウダー、ファンデーション等のスキンケア製品、並びに日焼け止め剤等のサンケアー製品が挙げられる。
【0125】
本発明のまたさらなる実施形態では、本発明に従う希釈ポリマーは、高粘性シリコーンゴム組成物中に取り込まれ得る。
【0126】
本発明によると、
上記で記載された希釈オルガノポリシロキサン含有ポリマーを調製すると共に、任意で、アルケニル基、縮合性基、シリル−ヒドリド又はトリメチルシリル含有末端封鎖剤、及び任意で、シロキサン系希釈剤を調製する工程と、
結果として得られた希釈オルガノポリシロキサンポリマーを、1つ又は複数の強化充填剤及び/又は非強化充填剤と、硬化剤と配合する工程と
を含む、シリコーンゴム組成物を製造する方法が提供される。
【0127】
本発明の実施形態では、上記で記載された任意の充填剤又は充填剤の組み合わせを使用することができる。通常、組成物の充填剤含量は、希釈剤部分を除いたポリマー100重量部当たり約5〜約200重量部の範囲内である。
【0128】
上記のような硬化剤が要求され、本明細書で使用することができる化合物としては、ジアルキルパーオキサイド、ジフェニルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、1,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチル−パーベンゾエート、モノクロロベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ビス−(t−ブチル−パーオキシ)−2,5−ジメチルへキサン、t−ブチルトリメチルパーオキサイド、t−ブチル−t−ブチル−t−トリフェニルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン及びt−ブチルパーベンゾエート等の有機過酸化物が挙げられる。最も適当なパーオキサイドベースの硬化剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド及びジクミルパーオキサイドが挙げられる。このような有機過酸化物は、ポリマー、充填剤及び任意の添加剤の組み合わせ100部当たり最大10部で使用される。好ましくは、0.2〜2部の過酸化物が使用される。
【0129】
本発明の組成物は、オルガノハイドロジェンシロキサンと組み合わせて、有機過酸化物の代わりの硬化剤としてヒドロシリル化反応触媒によっても硬化及び/又は架橋することもでき、これによりオルガノハイドロジェンシロキサンとの架橋に適当な少なくとも2つの不飽和基を含有するポリマー分子の大部分が提供される。これらの基は、通常アルケニル基であり、最も好ましくはビニル基である。本発明の組成物の硬化をもたらすために、オルガノハイドロジェンシロキサンは、1分子当たり2つよりも多いケイ素に結合した水素原子を含有しなければならない。オルガノハイドロジェンシロキサンは、例えば、1分子当たり約4〜20個のケイ素原子を含有し、25℃で約10Pa・sまでの粘度を有することができる。オルガノハイドロジェンシロキサン中に存在するケイ素に結合した有機基は、1〜4個の炭素原子を有する置換及び非置換アルキル基を含むことができる(そうでなければエチレン又はアセチレン不飽和が存在しない)。
【0130】
好ましくは、ヒドロシリル化触媒は上記で記載されたヒドロシリル化触媒のいずれでもよいが、好ましくは白金系触媒である。
【0131】
好ましくは、ヒドロシリル化触媒は、白金、ロジウム、イリジウム、パラジウム又はルテニウム触媒から選択される白金族金属系の触媒である。本発明の組成物の硬化を触媒するのに有用な白金族金属含有触媒は、ケイ素に結合した水素原子と、ケイ素に結合したアルケニル基との反応を触媒することが既知であるもののいずれでもよい。ヒドロシリル化によって本発明の組成物の硬化をもたらす触媒として使用するために好ましい白金族金属は、白金系触媒である。本発明の組成物を硬化させるためのいくつかの好ましい白金系ヒドロシリル化触媒は、白金金属、白金化合物及び白金錯体である。代表的な白金化合物には、塩化白金酸、塩化白金酸六水和物、二塩化白金、及び低分子量ビニル含有オルガノシロキサンを含有するこのような化合物の錯体が含まれる。本発明における使用に適した他のヒドロシリル化触媒には、例えば、[Rh(OCCH、Rh(OCCH、Rh(C15、Rh(C、Rh(C)(CO)、Rh(CO)[PhP](C)、RhX[(RS]、(RP)Rh(CO)X、(RP)Rh(CO)H、Rh、HRholefinCl、Rh(O(CO)R3−n(OH)(式中、Xは、水素、塩素、臭素又はヨウ素であり、Yは、メチル又はエチル等のアルキル基、CO、C14又は0.5C12であり、Rはアルキルラジカル、シクロアルキルラジカル又はアリールラジカルであり、Rはアルキルラジカル、アリールラジカル又は酸素置換ラジカルであり、aは0又は1であり、bは1又は2であり、cは1〜4の整数(両端を含む)であり、dは2、3又は4であり、nは0又は1である)等のロジウム触媒が含まれる。Ir(OOCCH、Ir(C、[Ir(Z)(En)、又は(Ir(Z)(Dien)](式中、Zは、塩素、臭素、ヨウ素、又はアルコキシであり、Enはオレフィンであり、Dienはシクロオクタジエンである)等の任意の適当なイリジウム触媒が使用されてもよい。
【0132】
ヒドロシリル化触媒は、組成物100万重量部当たりわずか0.001重量部(ppm)の元素白金族金属に相当する量で本発明の組成物に添加され得る。好ましくは、組成物中のヒドロシリル化触媒の濃度は、少なくとも1ppmの元素白金族金属に相当する量を提供することができる濃度である。約3〜50ppmの元素白金族金属に相当する量を提供する触媒濃度が通常は好ましい量である。
【0133】
ポリマー分子の大部分が、上記架橋剤との反応に適当な上記で記載した少なくとも2つの縮合性基を含有する場合、本発明の組成物は代替的に、ヒドロキシル基又は加水分解性基と反応性を有する少なくとも2つ、及び好ましくは少なくとも3つの基を有するシロキサン及び/又はシラン架橋剤と組み合わせた縮合反応によって硬化及び/又は架橋され得るので、硬化剤は代替的に縮合反応触媒でもよい。
【0134】
高い粘稠度のゴム組成物のための任意の添加剤は、以下のレオロジー調節剤、顔料、着色剤、抗接着剤、接着促進剤、熱安定剤、発泡剤、難燃剤、電気及び/又は熱伝導性充填剤、及び乾燥剤のうちの1つ又は複数を含むことができ、これらはそれぞれ、好ましくは上記で記載した通りである。
【0135】
高い粘稠度のシリコーンゴム組成物中に取り込むことができる他の任意の成分には、ハンドリング剤(handling agents)、過酸化物硬化助剤、酸受容体、及びUV安定剤が含まれる。
【0136】
ハンドリング剤は、生強度又は加工性等のシリコーンゴムの未硬化特性を変更するために使用され、SILASTIC(登録商標)HA−1、HA−2及びHA−3(Dow Corning社により販売される)等の様々な商品名で販売されている。
【0137】
過酸化物硬化助剤は、硬化ゴムの引張強度、伸び、硬度、圧縮永久ひずみ、反発、接着及び動的柔軟性等の特性を変更するために使用される。これらには、トリメチロールプロパントリアクリレート及びエチレングリコールジメタクリレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ポリブタジエンオリゴマー等の二官能性又は三官能性アクリレートが含まれる。シリル−ヒドリド官能性シロキサンも、シロキサンゴムの過酸化物触媒硬化を変更するための助剤として使用することができる。
【0138】
酸受容体は、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化亜鉛等を含むことができる。
【0139】
セラミック化剤(ceramifying agent)は灰分安定剤(ash stabiliser)とも呼ばれ、ウォラストナイト等のシリケートを含む。
【0140】
本発明による高粘性ゴムの調製は、製造者が、この用途のために現在調製されているオルガノポリシロキサンガムの製造における問題及びある程度のコストを回避することを可能にする。
【0141】
この実施形態に従うシリコーンゴム組成物は、任意の適当な経路によって製造することができ、例えば、1つの好ましい経路は、最初に、ヒュームドシリカ、シリカの処理剤、及び本発明の希釈オルガノポリシロキサン含有ポリマーの混合物を加熱することによってシリコーンゴムベースを製造する。シリコーンゴムベースは、第1の混合機から取り出され、第2の混合機に移され、シリコーンゴムベース100重量部当たり通常約150重量部の粉砕石英等の非強化充填剤又は増量充填剤が添加される。硬化剤、顔料及び着色剤、熱安定剤、抗接着剤、可塑剤、並びに接着促進剤等の他の添加剤は、一般に、第2の混合機へ供給される。第2の好ましい経路では、本発明の希釈オルガノポリシロキサンポリマー及び任意の所望される充填剤並びに任意の所望の処理剤が反応器に供給され混合されて、硬化剤を含む上記のさらなる添加剤が次に同じ反応器内へ供給され、さらに混合される。
【0142】
本発明の他の潜在的な用途には、ホットメルト接着剤、感圧接着剤、太陽電池用封入剤における希釈ポリマーの使用、並びにオルガノポリシロキサンガムの使用を必要とする他の任意の用途が含まれる。
【実施例】
【0143】
本発明を実施例によって説明する。特に記載がない限り、提供される全ての粘度は25℃で測定した。
【0144】
(アセトキシシーラント配合物及び特性)
本発明に従って調製したポリマーを用いて2つのアセトキシシーラント配合物(試料1及び2)を調製し、従来どおりに製造された80,000(mPa・s)の粘度を有する増量アセトキシシーラント配合物(比較2)と物理的特性を比較した。235℃の初留点及び265℃の終留点(ASTM D86)並びに3.0mPa・sの粘度(ASTM D445)を有する増量剤としてのIsopar(登録商標)P炭化水素流体(エクソンモービルコーポレーション(Exxonmobil Corporation)により販売)の存在下、ホスファゼン塩基触媒を用いて、式((CHSiO)を有する環状オルガノポリシロキサンの重合によって、試料1及び2を調製した。末端封鎖剤としてヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサンを用い、また、シリルホスフェートを選択される中和剤とした。ポリマー配合物を表1に示す。
【0145】
【表1】

【0146】
表2は、試料1及び試料2の両方に対して得られたポリマーの分子量(ASTM D5296−05)の詳細と共に、重合反応が完了した後に組成物中に残る残余モノマーを示す。残余モノマーは、その沸点が希釈剤の沸点よりも著しく低いので、所望される場合にはポリマーから除去することができる。((CHSiO)の沸点は175℃である。
【0147】
【表2】

【0148】
上記の表2に記載される得られた増量ポリマーからオルガノポリシロキサンシーラント組成物を調製した。表3の試料1及び2はそれぞれ、表2の試料1及び試料2から調製した。この場合、追加量の増量剤を増量ポリマーに添加して、粘度をさらに低下させた。本発明に従って調製されるシーラント及び比較例について、シーラント配合物を調製した。
【0149】
組成物の詳細を表3に示した。
【0150】
【表3】

【0151】
(シーラントの物理的特性)
標準的な物理的特性試験は、特に記載がない限り上記の実施例1に従って行った。結果を以下の表4に示す。
【0152】
接着試験(7dRT)を実行して、23℃及び50%の相対湿度で7日間硬化させた後、シーラントのビーズが標準的なガラスプレートに首尾良く付着することを示した。硬化期間の後、ビーズを90°で引っ張り、不良な点を以下のように格付けすることによって接着を評価した。
0:接着不良−接着性に乏しい
1:境界モード又は混合モード(接着/凝集)不良−許容可能な接着性
2:凝集不良−優れた接着性
【0153】
接着試験(7HO)を実行して、23℃及び50%の相対湿度で7日間、そしてその後7日間水中で硬化させた後、シーラントのビーズが標準ガラスプレートに首尾良く付着することを示した。シーラントのビーズを接着試験(7dRT)の場合と同様に引っ張った。
【0154】
【表4】

【0155】
本発明に従って製造されるアセトキシシーラントが、従来技術の配合物を越える多数の利点を有することが認識されるであろう。得られるシーラントは、1,000%よりも大きい破断伸びから分かるように、弾性の増大を示す。このシーラント配合物は、重合プロセス中に希釈剤が存在しなければ実質的に実行不可能な粘度を有するであろうポリマーの使用を、いかなる取扱いに関する著しい困難も伴うことなく可能にする。得られた未硬化シーラント組成物が著しく小さい比重を有することから、製造者は、製造したシーラント1kgを用いてより多くのシーラントカートリッジ又は他のパッケージを充填することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
希釈オルガノポリシロキサンポリマーの製造方法であって、
(i)有機希釈材料、適当な触媒及び末端封鎖剤の存在下で、環状オルガノポリシロキサンモノマーを重合させることによってオルガノポリシロキサンポリマーを調製する工程と、
(ii)必要であれば、前記重合プロセスを失活させる工程と
を含み、前記希釈材料が、得られる希釈オルガノポリシロキサン中に実質的に保持される、希釈オルガノポリシロキサンポリマーの製造方法。
【請求項2】
前記環状シロキサンが、一般式(RSiO)(式中、Rは、水素、又は任意で置換されていてもよい8個までの炭素原子を有するアルキル、アルケニル、アリール、アルカリル若しくはアラルキル基を示し、mは3〜12の値の整数を示す)を有する請求項1に記載の希釈オルガノポリシロキサンポリマーの製造方法。
【請求項3】
前記環状シロキサンが、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサオルガノシクロトリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、シクロペンタ(メチルビニル)シロキサン、シクロテトラ(フェニルメチル)シロキサン、シクロペンタメチルヒドロシロキサンの群から選択される1つ又は複数を含む請求項1に記載の希釈オルガノポリシロキサンポリマーの製造方法。
【請求項4】
前記触媒が、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシド又はアルカリ金属水酸化物とアルコールとの錯体、アルカリ金属シラノレート、水酸化テトラ−アルキルアンモニウムとシロキサン四量体との反応により誘導される触媒、ハロゲン化ホスホニトリル及びホスファゼン塩基の群の1つ又は複数から選択される請求項1〜3のいずれか1項に記載の希釈オルガノポリシロキサンポリマーの製造方法。
【請求項5】
前記希釈剤が、増量剤又は可塑剤である請求項1〜4のいずれか1項に記載の希釈オルガノポリシロキサンポリマーの製造方法。
【請求項6】
前記希釈剤が、ポリイソブチレン(PIB)、リン酸エステル、ポリアルキルベンゼン、線状及び/又は分枝状アルキルベンゼン、脂肪族モノカルボン酸エステルの群の1つ又は複数から選択される請求項1〜5のいずれか1項に記載の希釈オルガノポリシロキサンポリマーの製造方法。
【請求項7】
前記希釈剤が、12〜25個の炭素原子を含有する線状又は分枝状アルケン又はこれらの混合物のような線状又は分枝状モノ不飽和炭化水素、並びに/又は線状(n−パラフィン系)鉱油、分枝状(イソパラフィン系)鉱油及び/又は環状(ナフテン系)鉱油及びこれらの混合物を含む鉱油留分を含む群の1つ又は複数から選択される請求項1〜5のいずれか1項に記載の希釈オルガノポリシロキサンポリマーの製造方法。
【請求項8】
前記希釈剤が、モノマー/オリゴマー及びポリマーと少なくとも実質的に混和性である請求項1〜7のいずれか1項に記載の希釈オルガノポリシロキサンポリマーの製造方法。
【請求項9】
不飽和基、ヒドロキシル基、加水分解性基又はアミノ基の官能性を前記希釈ポリマーに導入するために、末端封鎖剤が用いられる請求項1〜8のいずれか1項に記載の希釈オルガノポリシロキサンポリマーの製造方法。
【請求項10】
前記加水分解性基が、−SiOH、−(R)SiOH、−(RSiOH、−RSi(OR、−Si(OR、−RSiOR及び−RSi−R−SiR(OR3−p(式中、各Rは独立して一価のヒドロカルビル基を表し、各R基及び各R基は独立してアルキル又はアルコキシ基(アルキル基は適宜6個までの炭素原子を有する)であり、Rは、6個までのケイ素原子を有する1つ又は複数のシロキサンスペーサーが介在し得る二価の炭化水素基であり、pは0、1又は2の値を有する)から選択される請求項9に記載の希釈オルガノポリシロキサンポリマーの製造方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法によって得ることができる希釈オルガノポリシロキサンポリマー。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法によって得ることができる、ヒドロキシル基及び/又は加水分解性基を含む希釈オルガノポリシロキサンポリマーを、該オルガノポリシロキサンポリマーと反応性を有する適当な架橋剤、適当な縮合触媒、及び任意で充填剤と混合する工程を含む、エラストマー体に硬化することができる湿分硬化性組成物の製造方法。
【請求項13】
前記架橋剤が、アシルオキシ基、ケトキシミノ基を含有する1つ又は複数のシラン又はシロキサンであり、前記触媒がスズ触媒である請求項12に記載のエラストマー体に硬化することができる湿分硬化性組成物の製造方法。
【請求項14】
前記架橋剤が、アルコキシ基及びアルケニルオキシ基を含有する1つ又は複数のシラン又はシロキサンであり、前記触媒が、チタネート若しくはジルコネート、又はキレート化チタネート若しくはキレート化ジルコネートである請求項13に記載のエラストマー体に硬化することができる湿分硬化性組成物の製造方法。
【請求項15】
ヒュームドシリカ、沈降シリカ及び沈降炭酸カルシウムの群から選択される1つ又は複数の微粉化強化充填剤、並びに/又は粉砕石英、珪藻土、硫酸バリウム、酸化鉄、二酸化チタン、カーボンブラック、タルク又はウォラストナイトのような1つ/又は複数の非強化充填剤をさらに含む請求項12〜14のいずれか1項に記載のエラストマー体に硬化することができる湿分硬化性組成物の製造方法。
【請求項16】
エラストマー体に硬化することができる湿分硬化性組成物であって、
a.請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法によって得ることができる、ケイ素に結合したヒドロキシル基又は加水分解性基を2つ以上有する希釈オルガノポリシロキサンと、
b.前記ポリマー中の前記ヒドロキシル基又は前記加水分解性基と反応可能である基を1分子当たり少なくとも2つ有するシロキサン及び/又はシラン架橋剤と、
c.任意で、1つ又は複数の充填剤と、
d.適当な硬化触媒と
を含む、湿分硬化性組成物。
【請求項17】
請求項16に記載の硬化組成物を含み、700%よりも大きい破断伸びを有する硬化シーラント。
【請求項18】
エラストマー体に硬化することができる湿分硬化性組成物であって、
該組成物は、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法に従って製造された希釈オルガノポリシロキサンポリマーを、該オルガノポリシロキサンポリマーと反応性を有する適当な架橋剤、適当な縮合触媒、任意で充填剤と配合して、一液型又は二液型のオルガノポリシロキサンシーラント組成物を形成することによって得ることができる、湿分硬化性組成物。
【請求項19】
2つのユニット間の空間をシールする方法であって、請求項16又は18に記載の組成物を該空間に適用すること、及び該組成物を硬化させるか又は該組成物が硬化できるようにすることを含む、2つのユニット間の空間をシールする方法。
【請求項20】
請求項16に記載の組成物を含むシーラント。
【請求項21】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物から誘導されるシーラントを含むガラス構造体又は建物ユニット。
【請求項22】
シーラントにおける、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法に従って調製された増量ポリマーの使用。
【請求項23】
シリコーンゴム組成物の製造方法であって、
上記で記載した希釈オルガノポリシロキサン含有ポリマーを調製すると共に、任意で、縮合性基、アルケニル基、又はシリル−ヒドリド又はトリメチルシリル含有末端封鎖剤、及び任意で、シロキサンベースの希釈剤を調製する工程と、
得られる希釈オルガノポリシロキサンポリマーを、1つ又は複数の強化充填剤及び/又は非強化充填剤と、硬化剤と配合する工程と
を含む、シリコーンゴム組成物の製造方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法によって得ることができるシリコーンゴム組成物。
【請求項25】
前記硬化剤が、ジアルキルパーオキサイド、ジフェニルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、1,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート、モノクロロベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ビス−(t−ブチル−パーオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、t−ブチル−トリメチルパーオキサイド、t−ブチル−t−ブチル−t−トリフェニルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン及びt−ブチルパーベンゾエートの群から選択される1つ又は複数の有機過酸化物である請求項23に記載のシリコーンゴム組成物を製造する方法。
【請求項26】
前記ポリマーが、不飽和基を含み、且つ前記硬化剤が、オルガノハイドロジェンシロキサンと組み合わせたヒドロシリル化反応触媒である請求項23に記載のシリコーンゴム組成物の製造方法。
【請求項27】
前記オルガノハイドロジェンシロキサンが、1分子当たり4〜20個のケイ素原子を含み且つ25℃において約10Pa・sまでの粘度を有する請求項26に記載のシリコーンゴム組成物の製造方法。
【請求項28】
前記ヒドロシリル化触媒が、白金触媒、ロジウム触媒、インジウム触媒、パラジウム触媒又はルテニウム触媒から選択される白金族金属ベースの触媒である請求項26に記載のシリコーンゴム組成物の製造方法。

【公表番号】特表2008−534770(P2008−534770A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−504856(P2008−504856)
【出願日】平成18年4月3日(2006.4.3)
【国際出願番号】PCT/GB2006/050074
【国際公開番号】WO2006/106361
【国際公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(590001418)ダウ・コ−ニング・コ−ポレ−ション (166)
【氏名又は名称原語表記】DOW CORNING CORPORATION
【Fターム(参考)】