説明

カメラモジュール、およびカメラモジュールの製造方法

【課題】電磁シールドの効果が高く、小型で、機械による組立の容易なカメラモジュールを実現する。
【解決手段】本発明に係るカメラモジュール1は、撮像素子10と、撮像素子10に光を導くレンズ7と、基板3と、導体であるシールドケース4とを備える。撮像素子10は、レンズ7と基板3との間に位置し、基板3は、基板3の角が切り欠かれた形状になっている切り欠き部3aを有し、切り欠き部3aの側面に接地のための側面電極部11を有す。基板3とシールドケース4とは、基板3の切り欠き部3aの側面とシールドケース4の内側の側面との間に形成される空間に充填された半田5によって接合されている。よって、電磁シールドの効果が高いシールドケース4を用いたカメラモジュールを、小型化することができる。また、半田による接合は一方向から行うことができるのでカメラモジュール1の組立が容易になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話等の電子機器に搭載されるカメラモジュールに関するものであって、電磁ノイズを遮蔽するカメラモジュールおよびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話を代表とする移動体通信端末、および携帯型ゲーム機等の電子機器にカメラモジュールが一般的に搭載されるようになっている。携帯電話等の電子機器の小型化が進むにつれ、搭載されるカメラモジュールにも小型化が要求されている。また、小型の電子機器においては、各電子部品間の電磁ノイズの干渉を防ぐために、各電子部品に電磁シールド(EMIシールド)を施すことが必要である。特に、通信機能を有する携帯電話においては、アンテナとカメラモジュールが近接すると電磁ノイズの干渉が問題になる。例えば、アンテナからの電磁ノイズがカメラモジュールの撮像素子に混入した場合、画像信号が乱れ、撮像した画像の画質が悪くなることがある。また、カメラモジュールの撮像素子またはディジタル信号処理プロセッサから発せられる電磁波によって、アンテナの受信感度が下がってしまうことがある。これら電子機器は、高集積化および高周波数化が進んでいるため、カメラモジュールの電磁シールドに対する要求は高まっている。
【0003】
特許文献1には、カメラモジュールにおいて、レンズホルダに電磁シールド機能を持たせる構成が記載されている。特許文献1の図4、5に示される例では、導電性樹脂で成型されたレンズホルダの表面に導電性皮膜を形成し、導電性皮膜を接地することにより、電磁シールドを行っている。レンズホルダの下端部の外側に盛られた導電性接着剤によって、基板側のグランド端子とレンズホルダの導電性皮膜とを接続することにより、導電性皮膜の接地を達成している。
【0004】
特許文献2には、電子部品において、基礎シートに導電層と未硬化接着層を順に形成したシールドシートを用いて電磁シールドを行う構成が記載されている。これによれば、シールドシートを電子部品筐体に合わせて型抜きしてシールド部材を形成する。次に、シールド部材を電子部品筐体に貼着し、電子部品筐体に設けたグランド電極と上記シールド部材の導電層との間に導電性接着剤を形成して、シールド部材を接地する。
【0005】
特許文献3には、カメラモジュールにおいて、撮像素子を囲うとともに光学部品を保持し、かつ導電性を有するホルダを用いて電磁シールドを行う構成が記載されている。導電性を有するホルダと、撮像素子を搭載した基板とは、ケースの内側に配置され、底蓋によって底面をも覆われる。ホルダは基板の導電層に接しており、接地されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−318585号公報(2003年11月7日公開)
【特許文献2】特開2009−212446号公報(2009年9月17日公開)
【特許文献3】特開2010−41709号公報(2010年2月18日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の構成では、導電性を有するレンズホルダと、撮像素子を搭載した基板とが接する角部に、外側から導電性接着剤等を塗布することにより、レンズホルダと基板のグランド端子とを接続している。そのため、基板には導電性接着剤を盛るためのスペースを確保する必要があり、外側に盛られた導電性接着剤の分だけ基板が大型化するという課題がある。これにより、カメラモジュールが大型化してしまう。また、特許文献1の図1に示される構成では、レンズホルダと基板の側面までとを覆うシールドケースを用いている。特許文献1には、シールドケースは基板に半田付けされると記載されているが、その詳細な方法はなんら記載されていない。例えば一般的な方法で、基板とシールドケースとが接する位置に半田を盛って接続すると、半田の厚み分だけカメラモジュールの高さが高くなる。
【0008】
また、特許文献2に記載の構成では、シールド部材に形成された導電層と電子部品筐体に設けたグランド電極とを接続するために、外側から導電性接着剤を塗布する。そのため、同様に、外側に盛られた導電性接着剤の分だけカメラモジュールが大型化するという課題がある。また、型抜きされたシールド部材を電子部品筐体に貼着し、半田付けを行うために、組立時に電子部品の側面の多方向からアクセスできるようにする必要がある。
【0009】
特許文献3に記載の構成では、ケースと底蓋とをねじで締結することにより、中にあるホルダと基板とが押圧されて保持されている。このようにホルダと基板とを保持するためには、それらを収めるケースと底蓋とにねじ締結するためのスペースが必要になる。そのため、カメラモジュールが大型化するという課題がある。
【0010】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、電磁シールドの効果が高く、小型で、機械による組立の容易なカメラモジュールを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るカメラモジュールは、撮像素子と、上記撮像素子に光を導くレンズと、基板と、導体であるシールドケースとを備えるカメラモジュールであって、上記の課題を解決するために、上記撮像素子は、上記レンズと上記基板との間に位置し、上記基板は、上記基板の角が切り欠かれた形状になっている切り欠き部を有し、上記切り欠き部の側面に接地のための接地電極を有し、上記基板と上記シールドケースとは、上記基板の上記切り欠き部の側面と上記シールドケースの内側の側面との間に形成される空間に充填された導電接着材料によって接合されていることを特徴としている。
【0012】
上記の構成によれば、シールドケースと基板との接合は、基板の角に設けられた切り欠き部とシールドケースとの間の空間に導電接着材料を充填することによって行うことができる。よって、基板に導電接着材料を盛る(塗布する)ためのスペースを設けるために基板のサイズを大きくする必要がない。そのため、カメラモジュールを小型化することができる。また、シールドケースと基板との接合は、基板の角に設けられた切り欠き部とシールドケースとの間の空間に、一方向(基板の底面側)から導電接着材料を充填することによって行うことができる。そのため、カメラモジュールの組立を容易に行うことができるので、カメラモジュールの製造装置を簡単な構成にすることができる。また、シールドケースの材質として、例えば電磁シールド性の高い金属を用いることができるので、電磁シールドの効果を高くすることができる。
【0013】
また、上記シールドケースは、少なくとも上記レンズの側方を覆う構成であってもよい。
【0014】
また、上記シールドケースは、上記基板の縦横方向におけるサイズが、上記基板より小さい、または上記基板と同じであり、上記基板の上記切り欠き部に対応する上記シールドケースの角の端部は、上記基板の辺に対応する上記シールドケースの辺の端部に比べて突出しており、上記シールドケースの上記突出した端部の内側の側面は、上記基板の上記切り欠き部の側面に対向している構成であってもよい。
【0015】
上記の構成によれば、基板の縦横方向におけるシールドケースのサイズが、基板と同等以下である。そのため、カメラモジュールをより小型化することができる。また、シールドケースの角の端部は、シールドケースの辺の端部に比べて突出しており、シールドケースの角の突出した端部の内側の側面は、基板の切り欠き部の側面に対向している。そのため、シールドケースが基板より大きくなくとも、基板の角に設けられた切り欠き部とシールドケースの突出した端部との間の空間に導電接着材料を充填することによって、基板とシールドケースとの接合を行うことができる。
【0016】
また、上記基板の辺に対応する上記シールドケースの辺の端部は、上記基板上に当接している構成であってもよい。
【0017】
上記の構成によれば、シールドケースの突出した端部と基板の角に設けられた切り欠き部とが嵌り合い、シールドケースは基板上に当接して支持されている。よって、外部からの衝撃に強い構造になっている。
【0018】
上記シールドケースは、上記基板の辺の側面を覆う構成であってもよい。
【0019】
上記の構成によれば、基板の側面をもシールドケースが覆うことにより、カメラモジュールの電磁シールド性がより高くなる。
【0020】
本発明に係るカメラモジュールの製造方法は、撮像素子と、上記撮像素子に光を導くレンズと、基板と、導体であるシールドケースとを備えるカメラモジュールの製造方法であって、上記の課題を解決するために、角が切り欠かれた形状になっている切り欠き部を有する上記基板を設ける工程と、上記切り欠き部の側面に接地のための接地電極を形成する工程と、上記基板と上記シールドケースとを組み合わせ、上記基板の上記切り欠き部の側面と上記シールドケースの内側の側面との間に形成される空間に導電接着材料を充填して、上記基板と上記シールドケースとを接合する工程とを含むことを特徴としている。
【0021】
上記の構成によれば、シールドケースと基板との接合は、基板の角に設けられた切り欠き部とシールドケースとの間の空間に導電接着材料を充填することによって行うことができる。よって、基板に導電接着材料を盛る(塗布する)ためのスペースを設けるために基板のサイズを大きくする必要がない。そのため、カメラモジュールを小型化することができる。また、シールドケースと基板との接合は、基板の角に設けられた切り欠き部とシールドケースとの間の空間に、一方向(基板の底面側)から導電接着材料を充填することによって行うことができる。そのため、カメラモジュールの組立を容易に行うことができるので、カメラモジュールの製造装置を簡単な構成にすることができる。また、シールドケースの材質として、例えば電磁シールド性の高い金属を用いることができるので、電磁シールドの効果を高くすることができる。
【0022】
また、上記基板と上記シールドケースとを接合する工程では、上記基板の上記切り欠き部と上記シールドケースとで形成されるポケットに、半田ボールを載置し、上記半田ボールを融解することにより、導電接着材料である半田を、上記基板の上記切り欠き部の側面と上記シールドケースの内側の側面との間に形成される空間に充填してもよい。
【0023】
上記の構成によれば、上記基板の上記切り欠き部と上記シールドケースとで形成されるポケットに、半田ボールを載置することができる。よって、半田ボールを一括でまたは順次、加熱等によって融解させることで、半田によるシールドケースと基板との接合を容易に行うことができる。
【0024】
また、上記切り欠き部の形状は、扇形の形状であってもよい。
【0025】
上記の構成によれば、上記基板の上記切り欠き部と上記シールドケースとで形成されるポケットが扇形の形状になり、半田ボールを載置しやすい形状となる。また、融解した半田が切り欠き部の側面に沿って広がりやすく、基板とシールドケースとを強固に接合することができる。
【0026】
また、上記シールドケースは、上記基板の縦横方向におけるサイズが、上記基板より小さい、または上記基板と同じであり、上記基板の上記切り欠き部に対応する上記シールドケースの角の端部は、上記基板の辺に対応する上記シールドケースの辺の端部に比べて突出しており、上記基板と上記シールドケースとを接合する工程では、上記シールドケースの辺の端部上に上記基板を載置することによって、上記基板と上記シールドケースとを組み合わせるようにしてもよい。
【0027】
上記の構成によれば、基板とシールドケースとを組み合わせる際に、シールドケースの辺の端部上に基板を載置することができるので、位置合わせおよび組立を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0028】
以上のように本発明に係るカメラモジュールは、撮像素子と、上記撮像素子に光を導くレンズと、基板と、導体であるシールドケースとを備えるカメラモジュールであって、上記の課題を解決するために、上記撮像素子は、上記レンズと上記基板との間に位置し、上記基板は、上記基板の角が切り欠かれた形状になっている切り欠き部を有し、上記切り欠き部の側面に接地のための接地電極を有し、上記基板と上記シールドケースとは、上記基板の上記切り欠き部の側面と上記シールドケースの内側の側面との間に形成される空間に充填された導電接着材料によって接合されていることを特徴としている。
【0029】
よって、カメラモジュールを小型化することができる。また、シールドケースと基板との接合は、基板の角に設けられた切り欠き部とシールドケースとの間の空間に、一方向から導電接着材料を充填することによって行うことができる。そのため、カメラモジュールの組立を容易に行うことができるので、カメラモジュールの製造装置を簡単な構成にすることができる。また、シールドケースの材質として、例えば電磁シールド性の高い金属を用いることができるので、電磁シールドの効果を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態に係るカメラモジュールの構造を模式的に示す斜視図である。
【図2】上記カメラモジュールの底面の構成を示す平面図である。
【図3】図1のA−A断面を示す断面図である。
【図4】図3における領域Bの概略構成を示す要部拡大図である。
【図5】(a)は、四隅が矩形に切り欠かれた切り欠きを有する基板を示す平面図であり、(b)は、四隅が直線状に切り落とされた形状の切り欠きを有する基板を示す平面図である。
【図6】上記カメラモジュールの概略構成を示す分解図である。
【図7】シールドケースと基板とを接合する工程を示す斜視図である。
【図8】シールドケースと基板とを接合する工程を示す斜視図である。
【図9】シールドケースと基板とを接合する工程を示す斜視図である。
【図10】半田ボールを融解させる他の方法例を示す側面図である。
【図11】カメラモジュールの製造工程を示すフロー図である。
【図12】本発明の他の実施形態に係るカメラモジュールの構造を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
[実施形態1]
以下、本発明の一実施形態について、図1〜図11に基づいて説明する。
【0032】
(カメラモジュールの構成)
図1は、本実施形態のカメラモジュール1の構造を模式的に示す斜視図である。カメラモジュール1は、正方形の底面を有する直方体の外形をしている。カメラモジュール1は、光学系を構成する複数のレンズを保持するレンズバレル2と、撮像素子を搭載した基板3と、レンズバレル2および基板3を覆うシールドケース4とを備える。カメラモジュール1の構成の説明において、便宜上、レンズバレル2側を上方、基板3側を下方と表現する。
【0033】
シールドケース4は、薄い金属で形成されたケースであり、正方形状の上面部4aと、4つの側面部4bとから構成される。シールドケース4は、正方形の上面部4aの中央に円形の開口部を有する。また、シールドケース4は、下端の四隅に、下方に突出した凸部4cを有する。凸部4cの下端と、基板3の底面とは、ほぼ同じ高さに位置する。
【0034】
図2は、カメラモジュール1の底面(基板側)の構成を示す平面図である。基板3は正方形状の外形を有するが、その四隅の角は切り欠かれており、基板3は四隅に切り欠き部3aを有する。本実施形態では、基板3の四隅の角は、四分円の扇形に切り欠かれている。基板3の切り欠き部3aに対応するシールドケース4の角の端部である凸部4cは、基板3の辺に対応するシールドケース4の辺の端部よりも突出している。よって、カメラモジュール1では、基板3の切り欠き部3aに、シールドケース4の凸部4cが嵌り込むように位置する。基板3の切り欠き部3aとシールドケース4の凸部4cとが対向する空間には半田(導電接着材料)5が充填され(半田5によって半田付けされ)、基板3とシールドケース4とが、四隅の半田5によって強固に接合されている。また、基板3は、底面に複数の外部端子6を備える。外部端子6は、カメラモジュール1を搭載する携帯電話等の電子機器の配線に接続される端子である。外部端子6のうちの1つの端子は、アース接続用端子として、外部のGND(グランド)端子に接続される。
【0035】
図3は、カメラモジュール1の中央と一隅の角を通る断面(図1のA−A断面)を示す断面図である。カメラモジュール1の簡単な内部構造について、ここで説明する。カメラモジュール1は、光学系を構成する複数のレンズ7、複数のレンズ7を保持する円筒形状のレンズバレル2、レンズバレル2を保持するレンズホルダ8、レンズホルダ8を覆うシールドケース4、IRカットフィルタ9、撮像素子10、および、撮像素子10を搭載する(支持する)基板3を備える。
【0036】
複数のレンズ7は、外部からの光を撮像素子10に導き結像するためのものである。レンズバレル2は、レンズホルダ8に接着剤によって固定されている。なお、レンズバレル2をレンズホルダ8に固定する際、撮像素子1に対してレンズ7の位置が最適な結像位置になるよう調整されている。また、レンズバレル2とレンズホルダ8とが一体構造であってもよい。レンズホルダ8は、図3に示す断面以外の位置において、基板3の上面に接着され、基板3によって支持されている。なお、基板3は、他の部材を介して撮像素子10を間接的に支持する構造であってもよい。例えば、撮像素子がレンズホルダに固定され、レンズホルダを基板が支持する構成であってもよい。
【0037】
IRカットフィルタ9は、レンズ7と撮像素子10との間に配置され、レンズホルダ8に接着剤によって取り付けられている。IRカットフィルタ9は、レンズ7を通過した赤外線を遮蔽し、可視光を通過させる。撮像素子10は、基板3上に搭載されており、複数のレンズ7およびIRカットフィルタ9を通過した光を受光し、電気信号に変換して出力する。シールドケース4は、レンズホルダ8の上方、および側方を覆う。
【0038】
図示はしないが、撮像素子10の出力端子は、基板3の上面に形成された上部端子に、金ワイヤーによって接続されており、上部端子は、基板3に形成されたスルーホールおよび内部配線層等を介して、基板3の下面に形成された外部端子6に接続されている。これらの端子(上部端子、外部端子6)には、半田との接合性を向上させるために金メッキが施されている。
【0039】
図4は、図3における領域Bの概略構成を示す要部拡大図である。基板3のコーナーの切り欠き部3aの側面には、側面電極部(接地電極)11が設けられている。側面電極部11は、切り欠き部3aの側面に形成された導体の層からなる。側面電極部11には、半田との接合性を向上させるために金メッキが施されている。側面電極部11は、基板3の内部に形成された内部配線層12を介して、基板3の下面に形成されたアース接続用端子13に接続されている。なお、基板3の上面にも、撮像素子10の接地のために、下面のアース接続用端子13に接続された端子14が設けられている。アース接続用端子13は、外部のGND端子に接続される。なお、側面電極部は、内部配線層を介さずに、基板の上面または下面に形成された配線と直接接続されてもよく、接地されればよい。
【0040】
基板3の側面に形成された側面電極部11と、シールドケース4の凸部4cの内側の側面とは、半田5によって接続されている。シールドケース4は、アルミニウム、またはステンレス等の金属導体で形成されている。なお、凸部4cの内側に、半田5との接合性を向上させるための金メッキ、または錫メッキ等のメッキ処理を施してもよい。また、シールドケース4自体を、メッキ処理なしで高い半田接合性を有する洋銀(洋白)等の金属材料で形成してもよい。
【0041】
シールドケース4は、半田5および側面電極部11を介して接地される。そして、図3に示すように電磁波遮蔽性の高い金属製のシールドケース4が、撮像素子10の周囲を広く覆うので、カメラモジュール1は、高い電磁シールド性を有する。そのため、カメラモジュール1の撮像素子10は、外部からの電磁ノイズに対して極めて電磁シールド性が高いシールド構造に保護され、外来ノイズの影響が少ない画素信号を出力することができる。また、カメラモジュール1の撮像素子10および基板3の配線から発せられる電磁波は、シールドケース4によって遮蔽され、例えば携帯電話等のアンテナへの影響を低減することができる。
【0042】
また、カメラモジュール1では、基板3の四隅に切り欠き部3aを設け、切り欠き部3aに半田5を充填することにより、基板3の側面電極部11とシールドケース4とを接続している。一般的に、外部の基板等の端子との接続しやすさのため、カメラモジュールの外部電極等は基板の辺に沿って配置される。そのため、例えば基板の辺に切り欠き部を設けると、そのスペースを確保するために基板のサイズを大きくしなければならない。これはカメラモジュールの小型化には不利である。また、基板の辺に切り欠き部を設ける場合、接合を強固にするために辺に沿って切り欠き部を長く設けなければならず、はんだ接合の作業時間が長くなってしまう。また、従来のように基板に切り欠き部を設けずに、基板とシールドケースとをそのまま半田で接合する場合も、同様に、半田を盛るスペースを確保するために基板およびシールドケースを大型化する必要がある。
【0043】
しかしながら、本実施形態のように、基板3の四隅に切り欠き部3aを設ける場合、基板3のサイズを大きくする必要がない。そして、切り欠き部3aの側面に接地のための側面電極部11を設けることにより、基板3のサイズを大きくすることなく基板3とシールドケース4とを電気的に接続することができる。それゆえ、本実施形態のカメラモジュール1は、小型化を実現することができる。また、シールドケース4の内側の角に半田5を充填する構成のため、シールドケース4と基板3とが強固に接合される。
【0044】
なお、本実施の形態では、基板3の切り欠き部は四分円形状としたが、これに限らない。図5は他の形状の切り欠き部を有する基板の例を示す平面図である。図5(a)は、四隅が矩形に切り欠かれた切り欠き部20aを有する基板20を示す。図5(b)は、四隅が直線状に切り落とされた(面取りされた)形状の切り欠き部21aを有する基板21を示す。基板の角の切り欠き部は任意の形状であってよい。
【0045】
また、本実施形態では、シールドケースの縦横方向(基板の平面における縦横)の外形寸法は、基板とほぼ同じであるが、基板よりも小さくてもよい。シールドケースの縦横方向の外形寸法が基板よりも小さい場合にも、シールドケースの下端の凸部が基板の切り欠き部に勘合する構成であればよい。
【0046】
(カメラモジュールの製造方法)
以下にカメラモジュールの製造方法について説明する。図11は、カメラモジュール1の製造工程を示すフロー図である。
【0047】
まず、四隅の角が四分円の形状に切り欠かれている基板3を準備する(S1)。なお、基板3の切り欠き部3aは、四角形の基板の角を切り落として形成してもよいし、あらかじめ切り欠きのある形状の型で打ち抜いたり、成型したりして形成してもよい。
【0048】
次に、基板3の切り欠き部3aの側面に側面電極部を形成する(S2)。なお、あらかじめ基板3には内部配線層、上面の外部端子、下面(底面)の外部端子等を形成しておく。
【0049】
次に、基板3、撮像素子10、レンズ7、レンズホルダ8等を組み合わせてカメラアセンブリ22を組み立てる(S3)。
【0050】
図6は、カメラモジュール1の概略構成を示す分解図である。基板3上に撮像素子10が搭載され、撮像素子10の出力端子は、基板3の上面に形成された上部端子に、金ワイヤーによって接続される。IRカットフィルタ9は、レンズホルダ8の下部に接着剤によって取り付けられる。レンズホルダ8は、基板3上に配置され、接着剤によって基板3に取り付けられる。レンズホルダ8に、レンズ7を保持するレンズバレル2を挿入し、撮像素子10上に結像するようレンズバレル2の位置を調整した後、接着剤によってレンズバレル2をレンズホルダ8に固定する。この状態の組立品を、カメラアセンブリ22とする。なお、レンズバレル2のレンズホルダ8への取り付けは、シールドケース4と基板3とを接合した後に行ってもよい。
【0051】
次に、カメラアセンブリ22の基板3と、シールドケース4とを接合する(S4)。
【0052】
図7〜図9を参照し、シールドケース4と基板3との接続方法について説明する。図7〜図9は、それぞれシールドケース4と基板3とを接合する工程を示す斜視図である。図7に示すように、シールドケース4の凸部4cを上側に向けて配置し、基板3およびレンズホルダ8等を含むカメラアセンブリ22を、レンズ7を下側、基板3を上側にしてシールドケース4の内側に挿入して配置する。基板3とシールドケース4の外形はほぼ同じ大きさなので、シールドケース4の側面部4bの辺の端部の上に、基板3を載せることができる。また、凸部4cと基板3の切り欠き部3aとが対向するように、基板3はシールドケース4に嵌り込む。
【0053】
カメラアセンブリ22をシールドケース4の中に配置した後、シールドケース4の角にある凸部4cと基板3の切り欠き部3aとで形成されるポケットに、半田を活性化させるためのフラックス23を塗布する。
【0054】
次に、図8に示すように、シールドケース4の角にある凸部4cと基板3の切り欠き部3aとで形成されるポケットに、半田ボール24を配置する。半田ボール24は、ポケットの下に落ちない大きさを有する。
【0055】
次に、図9に示すように、レーザー照射装置25から半田ボール24に向けてレーザーを照射し、その熱により半田を融解させて、基板3の切り欠き部3aとシールドケース4の凸部4cとの間に半田を充填させ、切り欠き部3aに形成されている側面電極部とシールドケース4とを接合する。なお、レーザー照射装置25が1台の場合、各角の半田ボール24に対して合計4回、レーザーの照射を行う。4台のレーザー照射装置25が各半田ボール24の位置に対応するよう配置されている場合は、1つのカメラモジュールに対して4箇所同時にレーザーの照射を行うことにより、作業時間を1/4に短縮することができる。
【0056】
本実施形態によれば、シールドケース4の凸部4cと基板3の切り欠き部3aとが嵌り合うため、位置合わせが容易である。さらに、基板3をシールドケース4の上に載置することが可能であるため、組立時に組み立てやすい。また、半田ボール24をシールドケース4の角と基板3の四隅との間にできるポケットの上に配置することができる。半田ボール24のポケットへの配置と、レーザー照射とを一方向(上方)のみから行うことでシールドケース4と基板3との接合を行うことができるので、組立を容易に行うことができる。すなわち、一方向からのアクセスによってカメラアセンブリ22とシールドケース4との組立を行うことができるので、カメラモジュール1の製造装置を簡単な構成にすることができる。
【0057】
また、本実施形態のカメラモジュール1は、凸部4cと切り欠き部3aとが嵌り合うように構成され、シールドケース4の辺の端部が基板3の辺の上面に当接している。それゆえ、カメラモジュール1は耐衝撃性の高い構造になっている。なお、本実施形態では、凸部4cと切り欠き部3aとの嵌り合いには隙間があるが、しまり嵌めでもよい。
【0058】
(他の製造工程の例)
なお、半田ボールをレーザーで融解する代わりに、他の方法によって融解するようにしてもよい。図10は、半田ボール24を融解させる他の方法例を示す側面図である。図10に示すように、シールドケース4の角にある凸部4cと基板3の切り欠き部3aとで形成されるポケットに、半田ボール24を配置した後、加熱部材26を上方から半田ボール24に押し当てることにより、半田ボール24に熱を加え、半田ボール24を融解させてもよい。加熱部材26は、例えば、加熱された金属部材等を用いることができる。なお、図10に示す例では、基板3およびその下に位置する撮像素子を加熱しないように、加熱部材26は、半田ボール24に対向する位置が下方に突出するよう構成されている。この際、半田ボール24は、基板3およびシールドケース4の凸部4cより上方にでるようなサイズであることが好ましい。
【0059】
[実施形態2]
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した図面と同じ機能を有する部材・構成については、同じ符号を付記し、その詳細な説明を省略する。
【0060】
図12は、本実施形態のカメラモジュール30の構造を模式的に示す斜視図である。図12では、カメラモジュール30は、レンズ側を下方に、基板3側を上方に向けて描かれている。カメラモジュール30は、実施形態1と同様に、光学系を構成する複数のレンズ、複数のレンズを保持する円筒形状のレンズバレル、レンズバレルを保持するレンズホルダ、IRカットフィルタ、撮像素子、および、撮像素子を搭載する基板3を備える。基板3は、切り欠き部3aを有し、切り欠き部3aの側面に接地のための側面電極部を備える。
【0061】
また、カメラモジュール30は、レンズホルダおよび基板3のレンズ側(図12では下側)および側面を覆うシールドケース31を備える。シールドケース31の側面部31bの基板側端部は、同じ高さに揃っており、かつ、シールドケース31の側面部31bは、基板3の側面をも覆う。そして、シールドケース31の側面部31bと、基板3の切り欠き部3aとで形成される隙間(ポケット)において、半田5を形成することによって半田付けをしている。よって、基板3の切り欠き部3aの側面の側面電極部と、シールドケース31とが電気的および物理的に接続される。
【0062】
シールドケース31は、基板3の側面の一部だけではなく側面の全体を覆う構成であるので、カメラモジュール30は、実施形態1に比べて、より高い電磁シールド性を有する。また、本実施形態では、基板3の四隅の切り欠き部3aとシールドケース31との間の空間において基板3とシールドケース31とを接合するので、半田接合に使用するスペースの確保のために基板3およびシールドケース31を大きくする必要がない。そのため、カメラモジュール30を小型化することが可能となる。
【0063】
また、カメラモジュール30の製造において、シールドケース31と基板3との接合は、実施形態1と同様に、シールドケース31の側面部31bと、基板3の切り欠き部3aとで形成されるポケットに半田ボールを載置し、半田ボールを融解させることで実現することができる。そのため、一方向からのアクセスによって基板3とシールドケース31との接合を行うことができるので、カメラモジュール30の製造装置を簡単な構成にすることができる。
【0064】
なお、上述の説明では、本発明の実施形態を固定焦点型のカメラモジュールを例にとって説明したが、これに限らない。カメラモジュールは、オートフォーカス機構、および光学的手ぶれ補正機構等を含む構成であってもよい。
【0065】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、携帯電話等の電子機器に搭載されるカメラモジュールに利用することができる。
【符号の説明】
【0067】
1、30 カメラモジュール
2 レンズバレル
3、20、21 基板
3a、20a、21a 切り欠き部
4、31 シールドケース
4a 上面部
4b、31b 側面部
4c 凸部
5 半田(導電接着材料)
6 外部端子
7 レンズ
8 レンズホルダ
9 IRカットフィルタ
10 撮像素子
11 側面電極部(接地電極)
12 内部配線層
13 アース接続用端子
14 端子
22 カメラアセンブリ
23 フラックス
24 半田ボール
25 レーザー照射装置
26 加熱部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子と、上記撮像素子に光を導くレンズと、基板と、導体であるシールドケースとを備えるカメラモジュールであって、
上記撮像素子は、上記レンズと上記基板との間に位置し、
上記基板は、上記基板の角が切り欠かれた形状になっている切り欠き部を有し、上記切り欠き部の側面に接地のための接地電極を有し、
上記基板と上記シールドケースとは、上記基板の上記切り欠き部の側面と上記シールドケースの内側の側面との間に形成される空間に充填された導電接着材料によって接合されていることを特徴とするカメラモジュール。
【請求項2】
上記シールドケースは、少なくとも上記レンズの側方を覆うことを特徴とする請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項3】
上記シールドケースは、上記基板の縦横方向におけるサイズが、上記基板より小さい、または上記基板と同じであり、
上記基板の上記切り欠き部に対応する上記シールドケースの角の端部は、上記基板の辺に対応する上記シールドケースの辺の端部に比べて突出しており、
上記シールドケースの上記突出した端部の内側の側面は、上記基板の上記切り欠き部の側面に対向していることを特徴とする請求項1または2に記載のカメラモジュール。
【請求項4】
上記基板の辺に対応する上記シールドケースの辺の端部は、上記基板上に当接していることを特徴とする請求項3に記載のカメラモジュール。
【請求項5】
上記シールドケースは、上記基板の辺の側面を覆うことを特徴とする請求項1または2に記載のカメラモジュール。
【請求項6】
撮像素子と、上記撮像素子に光を導くレンズと、基板と、導体であるシールドケースとを備えるカメラモジュールの製造方法であって、
角が切り欠かれた形状になっている切り欠き部を有する上記基板を設ける工程と、
上記切り欠き部の側面に接地のための接地電極を形成する工程と、
上記基板と上記シールドケースとを組み合わせ、上記基板の上記切り欠き部の側面と上記シールドケースの内側の側面との間に形成される空間に導電接着材料を充填して、上記基板と上記シールドケースとを接合する工程とを含むことを特徴とするカメラモジュールの製造方法。
【請求項7】
上記基板と上記シールドケースとを接合する工程では、上記基板の上記切り欠き部と上記シールドケースとで形成されるポケットに、半田ボールを載置し、上記半田ボールを融解することにより、導電接着材料である半田を上記基板の上記切り欠き部の側面と上記シールドケースの内側の側面との間に形成される空間に充填することを特徴とする請求項6に記載のカメラモジュールの製造方法。
【請求項8】
上記切り欠き部の形状は、扇形の形状であることを特徴とする請求項7に記載のカメラモジュールの製造方法。
【請求項9】
上記シールドケースは、上記基板の縦横方向におけるサイズが、上記基板より小さい、または上記基板と同じであり、
上記基板の上記切り欠き部に対応する上記シールドケースの角の端部は、上記基板の辺に対応する上記シールドケースの辺の端部に比べて突出しており、
上記基板と上記シールドケースとを接合する工程では、上記シールドケースの辺の端部上に上記基板を載置することによって、上記基板と上記シールドケースとを組み合わせることを特徴とする請求項6から8のいずれか一項に記載のカメラモジュールの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−47816(P2012−47816A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−187397(P2010−187397)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】