説明

カメラ付き携帯電話機

【課題】本発明は、暗い場所でも問題なく被写体を撮像することができるカメラ付き携帯電話機を提供する。
【解決手段】本発明によれば、カメラ付き携帯電話機10の本体12にストロボ装置22を設け、ストロボ装置22をレリーズボタン40のレリーズ操作で発光させることにより、被写体をストロボ光で照明して撮像する。また、ノイズ源に相当する液晶ディスプレイ14のバックライト90及び液晶パネル92やストロボ装置22のストロボ放電管24を、電磁シールド枠体86の表面に形成された収容部86A、86Bに収容し、電磁シールド枠体86の裏面にカメラ付き携帯電話機10の電子回路基板11を取り付けてシールドユニット88を構成する。これにより、ストロボ装置22や液晶ディスプレイ14が発する電磁波が電子回路基板11に到達する前に、電磁シールド枠体86によって大幅に減衰されるので、カメラ付き携帯電話機10の電磁波による誤作動を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固体撮像素子を有する電子カメラを備えたカメラ付き携帯電話機に関する。
【0002】
【従来の技術】カメラと携帯電話機との複合機能を備えたカメラ付き携帯電話機が提案されている。
【0003】特開平10−336498号公報には、CCDカメラとファインダーとが設けられた電話機本体に、液晶画面が取り付けられた蓋を開閉自在に連結してなるカメラ付き携帯電話機が開示されている。このカメラ付き携帯電話機では、蓋を閉じてファインダを使用してのカメラ撮影が可能となり、また、蓋を開放して液晶画面を見ながらのカメラ撮影が可能となる。更に、携帯電話機として使用する場合には、蓋を開放し、蓋に設けられたタッチパネルやテンキーボタンから相手先の電話番号を入力することにより、相手先と交信することができる。また、カメラとしての動作中において、撮影した画像を送信する場合には、機能キー等で画像送信を選択して送信画像を選択した後、電話番号を入力することにより、選択した画像を送信することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述した従来のカメラ付き携帯電話機は、明るい場所では問題なく被写体を撮像することができるが、暗い場所の撮影では露出不足でよく写らないという欠点があった。
【0005】本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、暗い場所でも問題なく被写体を撮像することができるカメラ付き携帯電話機を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記目的を達成するために、撮影レンズを介して被写体を撮像する撮像手段とレリーズ手段とを備えたカメラ付き携帯電話機において、カメラ付き携帯電話機の本体にストロボ装置を設け、前記レリーズ手段のレリーズ操作で前記ストロボ装置を発光させることを特徴としている。
【0007】請求項1に記載の発明によれば、カメラ付き携帯電話機の本体にストロボ装置を設け、このストロボ装置を、レリーズ手段のレリーズ操作で発光させることにより、被写体をストロボ光で照明して撮像する。よって、暗い場所でも問題なく被写体を撮像することができる。
【0008】請求項2に記載の発明によれば、ノイズ源に相当するストロボ装置の発光部や表示手段の液晶パネル及びバックライトを、電磁シールド部材を介してカメラ付き携帯電話機の電子回路基板とセパレートした。これにより、ストロボ装置や表示手段が発する電磁波が電子回路基板に到達しないので、カメラ付き携帯電話機の電磁波による誤作動を防止できる。
【0009】請求項3に記載の発明は、前記ストロボ装置の発光部や表示手段の液晶パネル及びバックライトを、電磁シールド部材の表面に形成された収容部に収容し、そして、電磁シールド部材の裏面に前記電子回路基板を取り付けることにより、簡単な構造で各々をセパレートすることができる。
【0010】請求項4に記載の発明は、携帯電話機の通話中において、ストロボ装置への充電を禁止したので、充電時に発生する低周波のスイッチングノイズが音声信号に混入するのを防止できる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下添付図面に従って本発明に係るカメラ付き携帯電話機の好ましい実施の形態について詳説する。
【0012】図1に示す実施の形態のカメラ付き携帯電話機10は、外装体である携帯電話機本体12が縦長の箱状体に構成され、その正面12Aの中央部上方に通信情報や画像を表示する矩形状の液晶ディスプレイ(表示手段に相当)14が配置されている。また、液晶ディスプレイ14の上方には、電話の受話器となり音声を発するスピーカ16が配置されている。更に、スピーカ16の上方には、電子カメラ18を構成する撮影レンズ20とストロボ装置22とが横一列に並設されている。これにより、ストロボ光を発光させて撮像された被写体に、不自然な影が発生するのを防止している。なお、ストロボ装置22の配置位置は、撮影レンズ20の側方に限定されるものではなく、撮影レンズ20の上方に配置してもよい。
【0013】また、ストロボ装置22は、ストロボ放電管24と反射傘26(図4参照)とからなり、図1のストロボ放電管24の前方に形成された窓28にはプロテクター30が取り付けられている。前記窓28は、携帯電話機本体12の正面12Aに固定されたカバーパネル32に形成される。このカバーパネル32には、前記窓28の他、液晶ディスプレイ14を露出させる矩形状窓34、撮影レンズ20を露出させる円形窓36、及びスピーカ16用の窓38がそれぞれ形成されている。
【0014】撮影レンズ20の後方には、不図示の固体撮像素子(CCD)が配置され、このCCDで撮像された被写体の映像が液晶ディスプレイ14に表示される。液晶ディスプレイ14の下方には、レリーズボタン(レリーズ手段に相当)40が配置されており、レリーズボタン40の押圧操作(レリーズ操作に相当)に応じて撮影された静止画像のみならず、レリーズ操作前の画像(動画、又は間欠画)も液晶ディスプレイ14に表示されるようになっている。
【0015】一方、レリーズボタン40の下方には電話番号、文字、画像データの指定・選択を実行するボタン群42、42…が配置されるとともに、電話番号を直接入力するテンキーボタン44等が配置される。テンキーボタン44の下方には、電話機の受話器を構成するマイク46が配置されている。また、マイク46の左側方には、カメラ付き携帯電話機10の機能の起動及び停止を入力する電源スイッチ48が配置されている。なお、携帯電話機本体12の上面12Bには、公衆回線と無線通信するためのアンテナ50が設けられている。
【0016】図2は、カメラ付き携帯電話機10の信号処理系ブロック図である。
【0017】カメラ付き携帯電話機10には、被写体の像を受光面に結像させて光電変換し、画像データとして出力する電子カメラ18と、ストロボ光を発光して被写体の明るさを補うストロボ装置22とが設けられている。なお、電子カメラ18には、被写体像を受光面に合焦させるフォーカス調節手段、露光量を調節する絞り調節部、露光時間を調節するシャッタースピード調節手段、画角を調節するズーム調節手段とが含まれている。
【0018】また、カメラ付き携帯電話機10の電子回路基板11(図3、図4参照)には、下記に示す手段及び回路部が実装されている。まず、電子回路基板11には、カメラ付き携帯電話機10全体を統括制御する情報処理手段52(図2参照)が実装される。この情報処理手段52によって画像データのサンプリングタイミング制御、ストロボ装置22の制御、絞りやシャッタースピード等を含む露光制御、フォーカス制御、ズーム制御、ホワイトバランスの設定、画像データの記録制御、通信制御、表示制御、画像データの画素数変換処理、画像データの各種変換処理、省電力モードの設定や解除等の制御を行う。なお、情報処理手段52には、メモリ54が接続され、このメモリ54は、カメラ付き携帯電話機10の動作プログラムや各種定数、撮像条件を示すパラメータ、画像の性質を示すパラメータ等が記憶されているROMと、プログラム実行時の作業領域となる記憶手段であるRAMとから構成されている。
【0019】また、カメラ付き携帯電話機10には、画素数の変更、シャープネス補正、ガンマ補正、コントラスト補正、ホワイトバランス補正等の処理を行う画像処理手段56と、画像データを一時的に記憶しておくフレームメモリ58と、レリーズボタン40、各種ボタン群42、42…(図1参照)等を含む入力手段60(図2参照)と、画像データ等の情報をJPEGやMPEGに代表される手法で圧縮制御したり、情報処理手段52の指示により圧縮したデータを伸張展開制御する処理を行う圧縮解凍手段62と、着脱可能な記録媒体64に画像データを記録したり読み出したりするためにデータを変換する記録媒体インターフェース66とが設けられている。記録媒体64は、メモリーカードやMO等の半導体、磁気記録、光記録に代表される着脱可能な記録手段である。
【0020】他の機器と画像データ等を送受信する場合に用いるカメラ付き携帯電話機10の無線通信手段は、情報処理手段52からの指令により画像データやディレクトリの情報データ等を符号化、複合化して搬送波に乗せて送信又は受信する送受信手段70と、搬送波及びデータを送受信するアンテナ50と、画像データ等の情報の送受信を行うお互いの機器をケーブルで接続して有線にて通信を行うための通信コネクタ72とから構成されている。このように構成された通信手段を介して、画像ファイルや、RAM、ROM、フレームメモリ58に記憶されているデータを他の通信機器に送信したり、他の通信機器から情報を受信して前記各記憶手段に記憶させたりすることができる。
【0021】また、コネクタ72を介して他の通信機器と情報の送受信を行う際には、前記情報の送受信を行うお互いの機器間をケーブルで接続し、前記情報を電気信号又は光信号に変換して有線で通信を行う。
【0022】更に、カメラ付き携帯電話機10には、画像データを液晶ディスプレイ14(図1参照)に表示するためのD/A変換器74(図2参照)と、情報処理手段52から指令されるコード情報を、表示する文字やメッセージのデータに変換するキャラクタジェネレータ76と、日付や時を刻むカレンダ時計78とが設けられている。
【0023】また、カメラ付き携帯電話機10には、電源監視手段80が設けられ、電源監視手段80は、電源82の電圧の変化を検出している。電源監視手段80によって検出されている電圧値が予め設定した電圧値以下になると、例えば、ストロボ装置22のメインコンデンサ84(図4参照)に充電を行うと携帯電話機として使用する電力が無くなってしまう電圧値以下になると、情報処理手段52(図2参照)がメインコンデンサ84への充電を禁止するようにストロボ装置22を制御する。また、情報処理手段52は、通話中においては前記充電を禁止するようにストロボ装置22を制御する。これにより、前記充電時に発生する低周波のスイッチングノイズが音声信号に混入しない。
【0024】図3は、電磁シールド部材である銅製又は鉄製の電磁シールド枠体86に液晶ディスプレイ14、ストロボ装置22、及び電子回路基板11が装着されてなるシールドユニット88の斜視図である。
【0025】電磁シールド枠体86は、図4に示すように、その正面に液晶ディスプレイ14を収容する矩形状の収容部86Aが形成されている。この収容部86Aに、ノイズ源となる液晶ディスプレイ14のバックライト90及び液晶パネル92が収容される。また、収容部86Aの上部には、ストロボ装置22を収容する横長状の収容部86Bが一体に形成され、この収容部86Bに、ストロボ放電管24が装着された反射傘26が収容される。なお、符号94は、ストロボ放電管24の止め輪である。
【0026】電磁シールド枠体86の裏面側には、左右にそれぞれ一対の爪部86C、86C(図4上左側の爪部86Cは不図示)が突設されている。これらの爪部86C、86Cを、電子回路基板11の縁部に形成された凹状溝11C、11C…に係合させることにより、電磁シールド枠体86の裏面に電子回路基板11が装着される。また、電磁シールド枠体86の裏面には位置決めピン86Dが突設され、位置決めピン86Dが、電子回路基板11の位置決め孔11Dに嵌入されることにより、電子回路基板11と電磁シールド枠体86との相対的な位置が決められる。更に、電子回路基板11の上部には、撮影レンズ鏡胴96に連結されたCCD基板98が固定される固定部11Eが形成されている。
【0027】次に、カメラ付き携帯電話機10の使用方法について説明する。このカメラ付き携帯電話機10は、携帯電話機本体12にストロボ装置22が設けられているので、暗い場所で被写体を撮像する場合には、レリーズボタン40をレリーズ操作すると、ストロボ装置22が自動発光し、被写体を照明して撮像する。よって、暗い場所でも問題なく被写体を撮像することができる。
【0028】また、カメラ付き携帯電話機10によれば、図4の如くノイズ源に相当する液晶ディスプレイ14のバックライト90及び液晶パネル92やストロボ装置22のストロボ放電管24を、電磁シールド枠体86の表面に形成された収容部86A、86Bに収容し、そして、電磁シールド枠体86の裏面にカメラ付き携帯電話機10の電子回路基板11を取り付けることによりシールドユニット88を構成している。これにより、ストロボ装置22や液晶ディスプレイ14が発する電磁波が電子回路基板11に到達する前に、電磁シールド枠体86によって大幅に減衰されるので、カメラ付き携帯電話機10の電磁波による誤作動を防止することができる。
【0029】なお、上記の如く電磁シールド枠体86を用いてシールドユニット88を構成すると、EMI対策としてノイズを減少させるのにも都合がよい。
【0030】また、本実施の形態では、携帯電話機本体12に電子カメラ18を内蔵したカメラ付き携帯電話機10を例示したが、これに限られるものではなく、携帯電話機本体12に電子カメラを外付けしたカメラ付き携帯電話機でも適用できる。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係るカメラ付き携帯電話機によれば、カメラ付き携帯電話機の本体にストロボ装置を設け、レリーズ手段のレリーズ操作でストロボ装置を発光させることにより、被写体をストロボ光で照明して撮像するので、暗い場所でも問題なく被写体を撮像することができる。
【0032】また、本発明によれば、ノイズ源に相当するストロボ装置や表示手段を、電磁シールド部材を介してカメラ付き携帯電話機の電子回路基板とセパレートしたので、電磁波によるカメラ付き携帯電話機の誤作動を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されたカメラ付き携帯電話機の正面図
【図2】図1に示した電話機のシステム構成を示すブロック図
【図3】ストロボ装置、液晶ディスプレイ、及び電子回路基板が電磁シールド部材に装着されて構成されたシールドユニットの斜視図
【図4】図3に示したシールドユニットの組立斜視図
【符号の説明】
10…カメラ付き携帯電話機、11…電子回路基板、12…携帯電話機本体、14…液晶ディスプレイ、16…スピーカ、18…電子カメラ、20…撮影レンズ、22…ストロボ装置、40…レリーズボタン、50…アンテナ、52…情報処理手段、80…電源監視手段、86…電磁シールド枠体、88…シールドユニット、90…バックライト、92…液晶パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】 撮影レンズを介して被写体を撮像する撮像手段とレリーズ手段とを備えたカメラ付き携帯電話機において、カメラ付き携帯電話機の本体にストロボ装置を設け、前記レリーズ手段のレリーズ操作で前記ストロボ装置を発光させることを特徴とするカメラ付き携帯電話機。
【請求項2】 前記カメラ付き携帯電話機は、前記レリーズ手段のレリーズ操作で撮像された被写体の画像を表示する表示手段を備え、該表示手段及び前記ストロボ装置の発光部と、カメラ付き携帯電話機の電子回路基板とは、電磁シールド部材を介してセパレートされていることを特徴とする請求項1に記載のカメラ付き携帯電話機。
【請求項3】 前記表示手段と前記ストロボ装置の発光部とは、前記電磁シールド部材の表面に形成された収容部に収容され、該電磁シールド部材の裏面に前記電子回路基板が取り付けられることを特徴とする請求項2に記載のカメラ付き携帯電話機。
【請求項4】 前記携帯電話機の通話中において、前記ストロボ装置への充電を禁止する制御部を設けたことを特徴とする請求項1に記載のカメラ付き携帯電話機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2001−320622(P2001−320622A)
【公開日】平成13年11月16日(2001.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−138367(P2000−138367)
【出願日】平成12年5月11日(2000.5.11)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】