説明

カラー画像形成装置およびプログラム

【課題】温度と位置ずれ量の関係が常に線形ではなく非線形であるような場合であっても、不必要に位置ずれ量の検出の実行頻度を上げないようにすることができ、ユーザのダウンタイムを低減することができるカラー画像形成装置およびプログラムを提供する。
【解決手段】各画像形成ユニットの温度を検知する温度検知手段30と、温度検知手段30で検知した各画像形成ユニットの温度に基づくものであって位置ずれの増加を予測可能な温度情報を指標として、位置ずれ量の検出の実行条件となる変化量判定値を指定する判定値指定手段31と、温度検知手段30から取得した各画像形成ユニットの温度に基づく温度情報と、前回の位置ずれ補正処理の実行時の温度情報との変化量が変化量判定値を超えている場合、位置ずれ補正処理を実行すると判定する実行判定手段32と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンデム方式のカラー画像形成装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、電子写真装置では、市場からの要求にともない、カラー複写機やカラープリンタなどカラー出力のものが多くなってきている。とくに最近では、カラー出力時もモノクロ並みのスピードが望まれることから、感光体と現像装置とを各色ごとに備え、各感光体上にそれぞれ単色トナー画像を形成し、それらの単色トナー画像を順次転写して転写紙上にカラー画像を記録するタンデム方式のプリンタが主流となってきている。
【0003】
タンデム方式のプリンタには、図9に示すように、各感光体(302K、302M、302C、302Y)上に現像ユニット(303K、303M、303C、303Y)により形成されるトナー画像を転写装置(304K、304M、304C、304Y)により、転写ベルト310で搬送する転写紙(図示せず)上に順次転写する直接転写方式のものと、図10に示すように、各感光体(302K、302M、302C、302Y)上に現像ユニット(303K、303M、303C、303Y)により形成されるトナー画像を転写装置(304K、304M、304C、304Y)によりいったん転写ベルト310上に順次転写し、その転写ベルト310上の画像を2次転写装置320により転写紙上に一括転写する間接転写方式のものがある。
【0004】
ところで、直接転写方式と間接転写方式とのいずれの場合も、各色の感光体上の画像は転写ベルト310上の異なる位置で転写紙もしくはベルト上に転写されるため、転写ベルト310の移動速度に微小な変化があった場合、次の色の転写位置までの到達時間が変動するために各色の転写位置にずれが生じ、結果的に出力された画像に副走査方向の位置ずれが発生してしまうことになる。
【0005】
また、書き込みユニット(301K、301M、301C、301Y)も、各色で独立しているため、温度等の環境変化により構成部品が変位することにより主走査方向の倍率や書き込みの位置が変化した場合、結果的に出力された画像に主走査方向の位置ずれが発生してしまうことになる。
【0006】
そこで、特許文献1に示されているカラー画像形成装置では、先行ページの画像処理エリアと後行ページの画像処理エリアの間(以下、紙間という)であって中間転写ベルト上に位置ずれ誤差測定用(書込み誤差測定用)のパターン画像を形成して、このパターン画像に基づいて主副走査方向の位置ずれを検出するとともに、位置ずれの補正を行うようにしている。
【0007】
【特許文献1】特開2005−289035号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述したような位置ずれ補正処理においては、一定の処理時間が必要となるため、処理実行中はユーザが使用できないダウンタイムが発生する。
【0009】
従来は処理実施時期が特定のユニットで一定の温度変化が有った場合とされてきたが、特定のユニットにおける温度変化に基づくのでは、実際の位置ずれの程度と実行頻度が必ずしも最適化されておらず、不必要に位置ずれ補正処理の実行頻度が増え、ユーザのダウンタイムが増加するという問題がある。
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、温度と位置ずれ量の関係が常に線形ではなく非線形であるような場合であっても、不必要に位置ずれ量の検出の実行頻度を上げないようにすることができ、ユーザのダウンタイムを低減することができるカラー画像形成装置およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、各種の画像形成ユニットによる画像形成処理により回転体に対して各色の位置ずれ測定用のパターン画像を形成して、当該パターン画像に基づいて主副走査方向の各色の位置ずれ量を検出して補正する位置ずれ補正処理を実行するタンデム方式のカラー画像形成装置において、前記各画像形成ユニットの温度を検知する温度検知手段と、前記温度検知手段で検知した前記各画像形成ユニットの温度に基づくものであって位置ずれの増加を予測可能な温度情報を指標として、位置ずれ量の検出の実行条件となる変化量判定値を指定する判定値指定手段と、前記温度検知手段から取得した前記各画像形成ユニットの温度に基づく前記温度情報と、前回の前記位置ずれ補正処理の実行時の前記温度情報との変化量が前記変化量判定値を超えている場合、前記位置ずれ補正処理を実行すると判定する実行判定手段と、を備える。
【0012】
また、請求項2にかかる発明は、請求項1記載のカラー画像形成装置において、前記温度情報は前記各画像形成ユニットの温度であり、前記判定値指定手段は、前記各画像形成ユニットの温度と予め指定されたしきい温度との比較した結果に応じて前記変化量判定値を指定する。
【0013】
また、請求項3にかかる発明は、請求項1記載のカラー画像形成装置において、前記温度情報は前記各画像形成ユニットの温度と室温との温度差であり、前記判定値指定手段は、前記温度差と予め指定されたしきい温度との比較した結果に応じて前記変化量判定値を指定する。
【0014】
また、請求項4にかかる発明は、請求項1記載のカラー画像形成装置において、前記温度情報は前記各画像形成ユニット間の温度差であり、前記判定値指定手段は、前記各画像形成ユニット間の温度差と予め指定されたしきい温度との比較した結果に応じて前記変化量判定値を指定する。
【0015】
また、請求項5にかかる発明は、請求項1記載のカラー画像形成装置において、前記温度情報は前記各画像形成ユニットの温度であり、前記判定値指定手段は、n個の前記画像形成ユニットの温度のn次元温度テーブルによって前記変化量判定値を指定する。
【0016】
また、請求項6にかかる発明は、請求項1記載のカラー画像形成装置において、前記温度情報は前記各画像形成ユニットの温度と室温との温度差であり、前記判定値指定手段は、n個の前記画像形成ユニットの温度と室温との温度差のn次元温度テーブルによって前記変化量判定値を指定する。
【0017】
また、請求項7にかかる発明は、請求項1ないし6のいずれか一記載のカラー画像形成装置において、前記画像形成ユニットの1つは、像担持体上の静電潜像を現像する現像ユニットである。
【0018】
また、請求項8にかかる発明は、請求項1ないし6のいずれか一記載のカラー画像形成装置において、前記画像形成ユニットの1つは、前記回転体としての中間転写ユニットである。
【0019】
また、請求項9にかかる発明は、請求項1ないし6のいずれか一記載のカラー画像形成装置において、前記画像形成ユニットの1つは、画像データに応じた光を照射することによって像担持体上に静電潜像を形成する光書き込みユニットである。
【0020】
また、請求項10にかかる発明は、請求項1ないし9のいずれか一記載のカラー画像形成装置において、前記判定値指定手段は、前記画像形成処理が終了した直後である場合の前記変化量判定値は、前記画像形成処理が終了した直後でない場合の前記変化量判定値に比べて小さい値を指定する。
【0021】
また、請求項11にかかる発明は、請求項10記載のカラー画像形成装置において、前記変化量判定値は、前記画像形成処理が終了した直後である場合には、前記画像形成処理が終了した直後でない場合の前記変化量判定値に1以下の倍率をかけた値を指定する。
【0022】
また、請求項12にかかる発明は、各種の画像形成ユニットによる画像形成処理により回転体に対して各色の位置ずれ測定用のパターン画像を形成して、当該パターン画像に基づいて主副走査方向の各色の位置ずれ量を検出して補正する位置ずれ補正処理を実行するタンデム方式のカラー画像形成装置を制御するコンピュータを実行するプログラムであって、前記各画像形成ユニットの温度を検知する温度検知手段で検知した前記各画像形成ユニットの温度に基づくものであって位置ずれの増加を予測可能な温度情報を指標として、位置ずれ量の検出の実行条件となる変化量判定値を指定する判定値指定手段と、前記温度検知手段から取得した前記各画像形成ユニットの温度に基づく前記温度情報と、前回の前記位置ずれ補正処理の実行時の前記温度情報との変化量が前記変化量判定値を超えている場合、前記位置ずれ補正処理を実行すると判定する実行判定手段と、として前記コンピュータを機能させる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、温度検知手段で検知した各画像形成ユニットの温度に基づくものであって位置ずれの増加を予測可能な温度情報を指標として、位置ずれ量の検出の実行条件となる変化量判定値を指定するとともに、各画像形成ユニットの温度に基づく温度情報と、前回の位置ずれ補正処理の実行時の温度情報との変化量が変化量判定値を超えている場合、位置ずれ補正処理を実行すると判定することにより、温度と位置ずれ量の関係が常に線形ではなく非線形であるような場合であっても、位置ずれ量の検出の実行条件となる変化量判定値を、温度情報を指標として各画像形成ユニットの温度領域に合わせて最適な値に指定することで、不必要に位置ずれ量の検出の実行頻度を上げないようにすることができるので、ユーザのダウンタイムを低減することができる、という効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるカラー画像形成装置およびプログラムの最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0025】
本発明の実施の一形態を図1ないし図8に基づいて説明する。本実施の形態はカラー画像形成装置としてカラーレーザプリンタを適用した例である。
【0026】
図1は、本発明の実施の一形態にかかるカラーレーザプリンタ1のプリンタエンジン1a周辺の構成を概略的に示す模式図である。図1に示すように、カラーレーザプリンタ1のプリンタエンジン1aは、電子写真によるタンデム方式のもので、概略的には、像担持体である4つのドラム状の感光体ドラム2Y(イエロー),2C(シアン),2M(マゼンダ),2K(ブラック)と、その感光体ドラム2Y,2C,2M,2K上の静電潜像を現像ユニット3Y,3C,3M,3Kにより現像することにより形成されるトナー画像を一次転写装置4Y,4C,4M,4Kにより回転体としての中間転写ベルト5上に順次転写し、その中間転写ベルト5上の画像を二次転写装置6により転写体である転写紙P上に一括転写する間接転写方式を採用したものである。以下において、詳細に説明する。
【0027】
中間転写ベルト5は、無端状のベルトであって、複数のローラ10〜13によって張架されており、ローラ10〜13のいずれかの軸に連結されたモータM(図3参照)により一定速度で回動方向Aに駆動される。中間転写ベルト5および中間転写ベルト5の駆動部(モータMおよびローラ10〜13など)により、中間転写ユニットが構成されている。このような中間転写ベルト5の上部側には、その中間転写ベルト5の回動方向Aに沿って、イエロー,シアン,マゼンダ,ブラックの各色用に4個の上述した感光体ドラム2Y,2C,2M,2Kを並列にそれぞれ配置している。
【0028】
感光体ドラム2Y,2C,2M,2Kの周回には、帯電装置7Y,7C,7M,7Kと、前述した現像ユニット3Y,3C,3M,3Kと、一次転写装置4Y,4C,4M,4Kと、ブレードやブラシ等で構成されるクリーニング装置8Y,8C,8M,8Kと、除電装置9Y,9C,9M,9Kとがそれぞれ配設されている。
【0029】
一次転写装置4Y,4C,4M,4Kは、中間転写ベルト5を挟んで感光体ドラム2Y,2C,2M,2Kにそれぞれ対向配置されている。すなわち、中間転写ベルト5は、各一次転写装置4Y,4C,4M,4Kと感光体ドラム2Y,2C,2M,2Kとの間には挟まれた状態で回動するようになっている。
【0030】
感光体ドラム2Y,2C,2M,2Kは、回転方向Bに回転駆動され、このとき帯電装置7Y,7C,7M,7Kによって感光体ドラム2Y,2C,2M,2Kの表面が所定の極性に帯電される。次いで、感光体ドラム2Y,2C,2M,2Kの帯電面に、LD、LED、EL等による光書き込みユニットである光ビーム走査装置16から画像データに応じたレーザ光が照射されることによって、感光体ドラム2Y,2C,2M,2Kに静電潜像が形成される。このようにして形成された静電潜像は、現像ユニット3Y,3C,3M,3Kにより各色のトナー像にそれぞれ現像されて可視像化される。
【0031】
このようにして現像された感光体ドラム2Y,2C,2M,2K上のイエロー,シアン,マゼンタ,ブラックのトナー像は、一次転写装置4Y,4C,4M,4Kの作用によって中間転写ベルト5の表面に順次重ね合わされた状態で転写されていき、フルカラーの合成カラー画像が形成される。
【0032】
なお、感光体ドラム2Y,2C,2M,2Kは、感光体ドラム2Y,2C,2M,2K上に残っているトナー像をクリーニング装置8Y,8C,8M,8Kによりクリーニングされた後、除電装置9Y,9C,9M,9Kにより除電される。
【0033】
二次転写装置6は、中間転写ベルト5を挟んでローラ12に対向配置されている。このようなローラ12(中間転写ベルト5)と二次転写装置6の間には、図示しない給紙ユニットから給紙された転写紙Pが所定のタイミングで送り込まれる。ローラ12(中間転写ベルト5)と二次転写装置6の間に転写紙Pが紙搬送方向Cに向けて送り込まれると、中間転写ベルト5に担持されている合成カラー画像が二次転写装置6の作用により転写紙Pに一括して転写される。
【0034】
その後、転写紙P上の合成カラー画像は、定着装置14により熱と圧力によって定着され、図示しない排紙トレイ上に排出される。
【0035】
一方、合成カラー画像の転写後の中間転写ベルト5の表面に付着する転写残トナーは、クリーニング装置15によって除去される。
【0036】
上述したような現像ユニット3Y,3C,3M,3K、中間転写ベルト5、光ビーム走査装置16などの各画像形成ユニットには、各画像形成ユニットの温度を検知する温度検知手段である温度センサ30(図6参照)が備えられている。
【0037】
図1に示す符号20は、本実施の形態のカラーレーザプリンタ1が有している特徴的な機能であって、中間転写ベルト5上における画像形成時の位置ずれを補正する位置ずれ補正制御機能において用いられるセンサユニットである。このようなセンサユニット20は、主に光源と受光センサから構成されており、位置ずれ量を計測するためのパターン画像であるトナーパターンTP(図2参照)に対向する位置に備えられている。光源はLED、LD、電球などであり、受光センサはフォトダイオード(PD)やフォトトランジスタなどである。
【0038】
例えば、センサユニット20として反射型の光学式センサ(正反射光センサ)を使用した場合は、センサユニット20は、中間転写ベルト5に光を照射し、中間転写ベルト5上に形成したトナーパターンTP及び中間転写ベルト5からの反射光を検出することで、位置ずれ量を計測するための情報を得るものである。位置ずれ補正制御機能は、基準色(この場合K)に対するスキュー、副走査レジストずれ、主走査レジストずれ、主走査倍率誤差の計測が可能である。なお、実際の読み取りは、トナーパターンTPのエッジ部分を読み取っている。
【0039】
ここで、主走査方向および副走査方向とは、被走査面でビームスポットが走査される方向とその直交方向を意味するが、ここでは、光路の各場所で、(被走査面の)主走査方向と副走査方向に対応する方向を(広い意味で)各々「主走査方向」、「副走査方向」と呼ぶこととした。
【0040】
なお、本実施の形態においては、センサユニット20として正反射光センサを適用するようにしたが、これに限るものではなく、トナーパターンTP及び中間転写ベルト5により拡散された光を読み取る拡散光センサユニットを適用するようにしても良い。
【0041】
ここで、図2はトナーパターンTPの一例を示す平面図である。図2に示すように、トナーパターンTPは、4本の平行なパターンと、4本の斜め線のパターンを副走査方向に一定間隔に配置したものである。このようなトナーパターンTPは、中間転写ベルト5の移動方向に沿って繰り返し形成される。ここでトナーパターンTPを形成する4本のパターンは、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4色で形成するものとする。
【0042】
次に、カラーレーザプリンタ1の電気的な接続について図3を参照して説明する。図3に示すように、カラーレーザプリンタ1は各部を集中的に制御するCPU(Central Processing Unit)100を備えている。このCPU100には、CPU100が装置各部の制御を行うためのプログラムや制御に使用する固定データを記憶しているROM(Read Only Memory)101が接続されており、CPU100はROM101に書き込まれたプログラムを実行して、装置各部の制御を行う。
【0043】
また、CPU100には、システムバス109を介して、プリンタエンジン1a、RAM(Random Access Memory)102、パラメータメモリ103、時間計測部104、操作表示部105、I/O部106、モータ制御回路107、プリンタコントローラ110が接続されている。
【0044】
システムバス109は、上記の各部がデータをやり取りするための信号ラインであり、具体的には、データバス、アドレスバス、制御バス、I/Oバスの集合として構成されている。
【0045】
RAM102は、装置各部の制御を行うためのプログラム実行時の作業領域や、印刷する画像を展開するのに使用する。
【0046】
プリンタコントローラ110は、パーソナルコンピュータ(図示せず)から送られてくるデータ(イメージデータ、テキストデータ、グラフィックデータ)を解釈し、さらにこのデータをビットマップデータに展開する。
【0047】
パラメータメモリ103は、装置の動作に関連したデータのうち、電源遮断時にも内容を保持し、次回の動作時にも参照されるデータを記憶するための不揮発性のメモリで、バッテリバックアップされたSRAMやEEPROMで構成されるものである。後述する位置ずれ補正の実行間隔や位置ずれ補正用のトナーパターンTPの繰り返し回数等のパラメータや、後述する位置ずれ補正制御の実行時に更新されるデータ(位置ずれの補正量)はこのメモリに保存しておくものとする。
【0048】
時間計測部104は、システム内部のクロックを使用して、これをカウントすることで前回の位置ずれ補正処理実行時からの経過時間を計時する際に用いるものである。なお、時間計測部104としては、時刻を計測するための時計機能を持ち、位置ずれ補正処理を実施した時刻を測定する構成とし、現在時刻との差から位置ずれ補正処理実行時からの経過時間を算出する構成としてもよい。
【0049】
操作表示部105は、ユーザが機器の設定等をおこなうための操作キーとユーザに機器の動作状態やメッセージを表示するための液晶表示機等の表示部から構成される。
【0050】
I/O部107は、入出力ポートから構成されるもので、センサユニット20などの入力および各種制御出力を行うものである。
【0051】
モータ制御回路107には、プリンタエンジン1aの各部を駆動するモータMが、モータドライブ回路108を介して接続されている。モータMは、モータドライブ回路108を介してモータ制御回路107から与えられる駆動信号によって制御される。
【0052】
ここで、ROM101に格納されているプログラムに従ってCPU100が実行する一連の処理について図4を参照して簡単に説明する。図4に示すように、CPU100は、プリントコントローラ110からビットマップデータを受け付けると、ある一定のタイミング毎(1ライン毎あるいは複数ライン毎)に、光ビーム走査装置16へビットマップデータを変調して送信している。
【0053】
光ビーム走査装置16は送信された画像形成信号どおりにLDを駆動する。また、光ビーム走査装置16は、LDにより照射される光ビームをポリゴンモータにより偏向し感光体ドラム2Y,2C,2M,2K上にスキャンして画像を形成する。なお、カラーレーザプリンタ1は(水平)同期センサ200を備えている。CPU100は、(水平)同期センサ200で1回あるいは特定のスキャンタイミングで同期をとることによって、一定のタイミングで画像を形成することができる。
【0054】
また、CPU100は、ある一定のタイミングで光ビーム走査装置16へ画像データを送信せねばならず、CPU100に設定されたタイミングで光ビーム走査装置16へ画像データを送信している。なお、送信タイミングは、トナーパターンTPからフィードバックして装置自身が自動で設定する。
【0055】
さらに、CPU100は、中間転写ベルト5上に転写されたトナーパターンTPをセンサユニット20で読み取ったアナログ信号を受け取ると、A/D変換により量子化して位置ずれデータとしたり、平均化処理をしたりしてアナログ信号から精度の良い位置ずれデータを求める。なお、この計算処理部分はDSPや他のCPUを使用してもよい。
【0056】
このようにして求められた位置ずれデータ(位置ずれの補正量)はパラメータメモリ103に記憶されてフィードバックされ、タイミングの再設定に用いられる。
【0057】
このようなタンデムフルカラー機における各色の位置合わせ技術は、従来から多く提案されている。ここで、位置ずれ量の演算の一例について図5を参照して説明する。図5(a)は主走査ずれ量の演算例を示し、図5(b)は副走査ずれ量の演算例を示すものである。図5(a)に示されているように、主走査ずれ量の演算は、各色の横線と斜め線の長さ(ΔSc,ΔSk,ΔSy,ΔSm)をCPU100のタイマで計測し、時間を長さに変換し、各々の長さを比較することにより行う。一方、図5(b)に示されているように、副走査ずれ量の演算は、基準色(ここではK)からの長さ(ΔFy,ΔFc,ΔFm)をCPU100のタイマで計測し、時間を長さに変換し、理想の長さと比較することにより行う。以上のようにして各色の理想の距離からのずれ量を求め、各デバイスにフィードバックして位置ずれを補正する。
【0058】
続いて、ROM101に格納されているプログラムに従ってCPU100が実行する処理のうち、特徴的な機能である上述のような位置ずれ補正処理における処理実施時期制御処理について説明する。
【0059】
ここで、図6は位置ずれ補正処理における処理実施時期制御処理を実現する機能を示すブロック図である。図6に示すように、ROM101に格納されているプログラムに従ってCPU100が動作することにより、判定値指定手段31と、実行判定手段32と、を備えている。
【0060】
判定値指定手段31は、現像ユニット3、中間転写ベルト5、光ビーム走査装置16などの各画像形成ユニットに備えられている温度センサ30から各画像形成ユニットの温度を取得し、位置ずれ量の検出の実行条件の変化量判定値であるΔTcの値を指定する。
【0061】
判定値ΔTcの値の指定は、各画像形成ユニットの温度に基づくものであって位置ずれの増加を予測可能な温度情報を指標とする。本実施の形態における温度情報は、例えば各画像形成ユニットの温度と室温の温度差であって、この温度差と予め指定されたしきい温度Tthとの大小によって変化量判定値ΔTcが指定される。図7は、変化量判定値ΔTcの値の指定の一例を示すグラフである。図7に示すように、ユニット温度と室温の温度差のしきい温度Tthにおいて、変化量判定値ΔTcの値がΔTc1からΔTc2に指定変更されている。
【0062】
実行判定手段32は、温度センサ30から取得した各画像形成ユニットの温度に基づく温度情報と、前回の位置ずれ補正処理の実行時の温度情報との変化量ΔTmが変化量判定値ΔTcを超えている場合、上述のような位置ずれ補正処理を実行すると判定する。
【0063】
本実施の形態における温度情報は、例えば各画像形成ユニットの温度と室温の温度差であって、この温度差に基づいて変化量ΔTmを算出することができる。
【0064】
ここで、図8は位置ずれ補正処理の流れを概略的に示すフローチャートである。図8に示すように、各ユニットの温度を取得し(ステップS1)、判定値ΔTcの値を指定する(ステップS2)。次いで、前回実行時の温度と現在の温度との変化量ΔTmがΔTcを超えていると判断した場合(ステップS3のYes)、トナーパターンTPを中間転写ベルト5上に転写し(ステップS4)、位置ずれデータ(位置ずれの補正量)を算出し(ステップS5)、位置ずれを補正する(ステップS6)。
【0065】
一方、前回実行時の温度と現在の温度との変化量ΔTmがΔTcを超えていないと判定した場合には(ステップS3のNo)、位置ずれ補正は行わない。
【0066】
このように本実施の形態によれば、温度センサ30で検知した各画像形成ユニットの温度に基づくものであって位置ずれの増加を予測可能な温度情報を指標として、位置ずれ量の検出の実行条件となる変化量判定値ΔTcを指定するとともに、各画像形成ユニットの温度に基づく温度情報と、前回の位置ずれ補正処理の実行時の温度情報との変化量ΔTmが変化量判定値ΔTcを超えている場合、位置ずれ補正処理を実行すると判定することにより、温度と位置ずれ量の関係が常に線形ではなく非線形であるような場合であっても、位置ずれ量の検出の実行条件となる変化量判定値ΔTcを、温度情報を指標として各画像形成ユニットの温度領域に合わせて最適な値に指定することで、不必要に位置ずれ量の検出の実行頻度を上げないようにすることができるので、ユーザのダウンタイムを低減することができる。
【0067】
なお、本実施の形態においては、温度情報を各画像形成ユニットの温度と室温の温度差とし、この温度差と予め指定されたしきい温度Tthとの大小によって変化量判定値ΔTcを指定するようにしたが、これに限るものではなく、ユニット温度またはユニット間温度差と、指定されたしきい温度との大小によるものとしても良い。
【0068】
また、判定値指定手段31は、温度情報としきい温度との比較によるものに限るものではなく、例えば、n個のユニットのユニット温度のn次元温度テーブルによって値を指定する場合、n個のユニットのユニット温度と室温の温度差のn次元温度テーブルによって値を指定する場合などが考えられる。
【0069】
また、ΔTcの指定は印刷処理が終了した直後である場合、そうでない場合よりも小さい値を指定することにより、比較的ユーザが待ちの状態となることが少ない時期に色ずれ補正処理が入る頻度を上げることができ、これによりユーザが待ちとなりやすい他の時期に色ずれ補正処理が入る頻度を下げることができる。この時の判定値の指定は別の値ΔTceで指定しても良いし、通常のΔTcに1以下の係数αをかけてΔTc×αで指定しても良い。
【0070】
なお、本実施の形態においては、中間転写ベルト5上に一旦カラー画像を形成し2次転写部で転写紙に一度に転写を行う間接転写方式のカラーレーザプリンタへの適用例について説明したが、各像担持体上にそれぞれ形成される単色トナー画像を、回転体(搬送ベルト)により搬送される転写体である転写紙上に順次転写する直接転写方式のカラーレーザプリンタ(図9参照)についても同様に適用することも可能である。
【0071】
また、本実施の形態においては、像担持体として感光体ドラムを適用したが、これに限るものではなく、感光体ベルトを適用しても何ら問題は無い。
【0072】
さらに、本実施の形態においては、カラー画像形成装置としてレーザプリンタを適用したが、これに限るものではなく、MFP(Multi Function Peripheral)や複写機などにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施の一形態にかかるカラーレーザプリンタのプリンタエンジン周辺の構成を概略的に示す模式図である。
【図2】トナーパターンの一例を示す平面図である。
【図3】カラーレーザプリンタの電気的な接続を示すブロック図である。
【図4】プログラムに従ってCPUが実行する一連の処理を示す模式図である。
【図5】位置ずれ量の演算例を示す模式図である。
【図6】位置ずれ補正処理における処理実施時期制御処理を実現する機能を示すブロック図である。
【図7】判定値ΔTcの値の指定の一例を示すグラフである。
【図8】位置ずれ補正処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
【図9】直接転写方式のタンデム型レーザプリンタの構成を示すブロック図である。
【図10】間接転写方式のタンデム型レーザプリンタの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0074】
1 カラー画像形成装置
2Y,2C,2M,2K 回転体、像担持体
3Y,3C,3M,3K 現像ユニット
5 回転体、中間転写ベルト
16 光書き込みユニット
30 温度検知手段
31 判定値指定手段
32 実行判定手段
TP パターン画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種の画像形成ユニットによる画像形成処理により回転体に対して各色の位置ずれ測定用のパターン画像を形成して、当該パターン画像に基づいて主副走査方向の各色の位置ずれ量を検出して補正する位置ずれ補正処理を実行するタンデム方式のカラー画像形成装置において、
前記各画像形成ユニットの温度を検知する温度検知手段と、
前記温度検知手段で検知した前記各画像形成ユニットの温度に基づくものであって位置ずれの増加を予測可能な温度情報を指標として、位置ずれ量の検出の実行条件となる変化量判定値を指定する判定値指定手段と、
前記温度検知手段から取得した前記各画像形成ユニットの温度に基づく前記温度情報と、前回の前記位置ずれ補正処理の実行時の前記温度情報との変化量が前記変化量判定値を超えている場合、前記位置ずれ補正処理を実行すると判定する実行判定手段と、
を備えることを特徴とするカラー画像形成装置。
【請求項2】
前記温度情報は前記各画像形成ユニットの温度であり、
前記判定値指定手段は、前記各画像形成ユニットの温度と予め指定されたしきい温度との比較した結果に応じて前記変化量判定値を指定する、
ことを特徴とする請求項1記載のカラー画像形成装置。
【請求項3】
前記温度情報は前記各画像形成ユニットの温度と室温との温度差であり、
前記判定値指定手段は、前記温度差と予め指定されたしきい温度との比較した結果に応じて前記変化量判定値を指定する、
ことを特徴とする請求項1記載のカラー画像形成装置。
【請求項4】
前記温度情報は前記各画像形成ユニット間の温度差であり、
前記判定値指定手段は、前記各画像形成ユニット間の温度差と予め指定されたしきい温度との比較した結果に応じて前記変化量判定値を指定する、
ことを特徴とする請求項1記載のカラー画像形成装置。
【請求項5】
前記温度情報は前記各画像形成ユニットの温度であり、
前記判定値指定手段は、n個の前記画像形成ユニットの温度のn次元温度テーブルによって前記変化量判定値を指定する、
ことを特徴とする請求項1記載のカラー画像形成装置。
【請求項6】
前記温度情報は前記各画像形成ユニットの温度と室温との温度差であり、
前記判定値指定手段は、n個の前記画像形成ユニットの温度と室温との温度差のn次元温度テーブルによって前記変化量判定値を指定する、
ことを特徴とする請求項1記載のカラー画像形成装置。
【請求項7】
前記画像形成ユニットの1つは、像担持体上の静電潜像を現像する現像ユニットである、
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一記載のカラー画像形成装置。
【請求項8】
前記画像形成ユニットの1つは、前記回転体としての中間転写ユニットである、
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一記載のカラー画像形成装置。
【請求項9】
前記画像形成ユニットの1つは、画像データに応じた光を照射することによって像担持体上に静電潜像を形成する光書き込みユニットである、
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一記載のカラー画像形成装置。
【請求項10】
前記判定値指定手段は、前記画像形成処理が終了した直後である場合の前記変化量判定値は、前記画像形成処理が終了した直後でない場合の前記変化量判定値に比べて小さい値を指定する、
ことを特徴とする請求項1ないし9のいずれか一記載のカラー画像形成装置。
【請求項11】
前記変化量判定値は、前記画像形成処理が終了した直後である場合には、前記画像形成処理が終了した直後でない場合の前記変化量判定値に1以下の倍率をかけた値を指定する、
ことを特徴とする請求項10記載のカラー画像形成装置。
【請求項12】
各種の画像形成ユニットによる画像形成処理により回転体に対して各色の位置ずれ測定用のパターン画像を形成して、当該パターン画像に基づいて主副走査方向の各色の位置ずれ量を検出して補正する位置ずれ補正処理を実行するタンデム方式のカラー画像形成装置を制御するコンピュータを実行するプログラムであって、
前記各画像形成ユニットの温度を検知する温度検知手段で検知した前記各画像形成ユニットの温度に基づくものであって位置ずれの増加を予測可能な温度情報を指標として、位置ずれ量の検出の実行条件となる変化量判定値を指定する判定値指定手段と、
前記温度検知手段から取得した前記各画像形成ユニットの温度に基づく前記温度情報と、前回の前記位置ずれ補正処理の実行時の前記温度情報との変化量が前記変化量判定値を超えている場合、前記位置ずれ補正処理を実行すると判定する実行判定手段と、
として前記コンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−145400(P2009−145400A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−319663(P2007−319663)
【出願日】平成19年12月11日(2007.12.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】