説明

カンナビノイド受容体リガンドとしてのピリミジン誘導体

カンナビノイド受容体リガンドとして働く式(I)の化合物、およびカンナビノイド受容体の仲介に関連する疾患の治療におけるその使用が本明細書に記載されている。
【化1】



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カンナビノイド受容体リガンドとしての置換ピリミジン−2−カルボキサミド化合物、特にCB1受容体アンタゴニスト、およびカンナビノイド受容体アンタゴニストによって調節される疾患、症状および/または障害を治療するためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
肥満症は、次第に増加しているその有病率と、それに関連する健康リスクから、重要な公衆衛生問題である。肥満症および過体重は一般に、全体脂肪と相関するボディマス指数(BMI)によって定義され、疾患の相対危険度が推定される。BMI(kg/m)は、体重(kg)を身長の二乗(m)で割ることによって計算される。過体重は通常、25〜29.9kg/mのBMIとして定義され、肥満症は通常、30kg/mのBMIとして定義される。例えば、National Heart, Lung, and Blood Institute, Clinical Guidelines on
the Identification, Evaluation, and Treatment of Overweight and Obesity in
Adults, The Evidence Report, Washington, DC: U.S. Department of Health and Human
Services, NIH publication no. 98-4083 (1998)を参照されたい。
【0003】
冠動脈心疾患、脳卒中、高血圧症、II型糖尿病、脂質代謝異常、睡眠時無呼吸、変形性関節症、胆嚢疾患、鬱病、および特定の形態の癌(例えば、子宮内膜癌、乳癌、前立腺癌、および結腸癌)などの肥満症と関連する健康リスクが過大であるため、肥満症の増加は問題である。肥満症が健康に対して負に影響することによって、肥満症は米国では予防可能な死の第2の主要な原因となり、社会に著しい経済的かつ心理社会的影響を及ぼす。McGinnis M, Foege WH., Actual Causes of Death in the United States,
JAMA, 270, 2207-12 (1993)を参照されたい。
【0004】
現在、肥満症は、それと関連するリスクを減らすための治療を必要とする慢性疾患として認識されている。体重減少が重要な治療成果であるが、肥満症管理の主な目標の一つは、肥満症に関連する罹患率および死亡率を低減するために心臓血管および代謝値を改善することである。体重を5〜10%減量することによって、血中グルコース、血圧、および脂質濃度などの代謝値を実質的に改善することができることが示されている。したがって、体重を意図的に5〜10%減量することによって、罹患率および死亡率が下げられると思われる。
【0005】
現在、肥満症を管理するために入手可能な処方薬は一般に、満腹を誘導するか、または食事脂肪吸収を低減することによって体重を減少する。満腹は、ノルエピネフリン、セロトニン、または両方のシナプスレベルを高めることによって達成される。例えば、セロトニン受容体サブタイプ1B、1D、および2C、および1−アドレナリン作動性受容体、2−アドレナリン作動性受容体の刺激によって、満腹を調節することにより食物摂取が減らされる。Bray GA, The New Era of Drug Treatment. Pharmacologic Treatment of
Obesity: Symposium Overview, Obes Res., 3(suppl 4), 415s-7s (1995)を参照されたい。アドレナリン作動薬(例えば、ジエチルプロピオン、ベンズフェタミン、フェンジメトラジン、マチンドール、およびフェンテルミン)は、カテコールアミン放出を促進することにより、中枢性ノルエピネフリンおよびドーパミン受容体を調節することによって作用する。ドーパミン経路に強く関与するアドレナリン作動性減量薬(例えば、アンフェタミン、メトアンフェタミン、およびフェンメトラジン)は、それを乱用する危険性があるために、もはや勧められていない。食欲を調節するために使用されるフェンフルラミンおよびデクスフェンフルラミン、両方のセロトニン作動薬はもはや使用に供されていない。
【0006】
つい最近では、CB1カンナビノイド受容体アンタゴニスト/逆アゴニストが、潜在的な食欲抑制剤として示唆されている。例えば、Arnone, M.,ら, "Selective Inhibition of Sucrose and Ethanol
Intake by SR141716, an Antagonist of Central Cannabinoid (CB1) Receptors",
Psychopharmacol, 132, 104-106 (1997); Colombo, G.,ら, "Appetite Suppression
and Weight loss after the Cannabinoid Antagonist SR141716", Life Sci., 63,
PL113-PL117 (1998); Simiand, J.,ら, "SR141716, a CB1 Cannabinoid Receptor
Antagonist, Selectively Reduces Sweet Food Intake in Marmose", Behav.
Pharmacol., 9, 179-181 (1998);
Chaperon, F.,ら, "Involvement of Central Cannabinoid (CB1) Receptors
in the Establishment of Place Conditioning in Rats", Psychopharmacology,
135, 324-332 (1998)を参照されたい。カンナビノイドCB1およびCB2受容体修飾因子の総説については、Pertwee, R.G., "Cannabinoid
Receptor Ligands: Clinical and Neuropharmacological Considerations, Relevant to
Future Drug Discovery and Development", Exp. Opin. Invest. Drugs, 9(7),
1553-1571 (2000)を参照されたい。
【0007】
研究は進行中であるが、体重増加を低減または予防するための、さらに有効かつ安全な治療的処置がまだ必要とされている。
【0008】
肥満症の他に、アルコール中毒の治療法もまた必要とされている。米国では男性約1090万人、女性440万人がアルコール症に罹っている。アルコール中毒またはアルコール依存症が原因で1年に約100,000人が死亡している。アルコール症に伴う健康リスクとしては、運動制御障害および意志決定障害、癌、肝疾患、先天性異常、心疾患、薬物間相互作用、膵炎および対人的問題が挙げられる。研究によって、内因性カンナビノイドのトーン(tone)は、エタノール摂取の制御おいて重要な役割を果たす。内因性CB1受容体アンタゴニストSR141716Aは、ラットおよびマウスにおける随意的なエタノール摂取をブロックすることが示されている。Arnone, M.,ら, "Selective Inhibition of Sucrose and Ethanol
Intake by SR141716, an Antagonist of Central Cannabinoid (CB1) Receptors",
Psychopharmacol, 132, 104-106 (1997)を参照されたい。総説については、Hungund, B.L and B.S.
Basavarajappa, "Are Anadamide and Cannabinoid Receptors involved in
Ethanol Tolerance- A Review of the Evidence", Alcohol & Alcoholism.
35(2) 126-133, 2000を参照されたい。
【0009】
アルコール中毒または依存症の現在の治療では一般に、ノンコンプライアンスまたは潜在的な肝毒性に苦慮しており、このため、アルコール中毒/依存症のさらに有効な治療が非常に必要とされている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、カンナビノイド受容体リガンド(特に、CB1受容体アンタゴニスト)として働く、式(I)
【化1】

(式中、RおよびRはそれぞれ独立して、アリールまたはヘテロアリールであり、そのアリールおよびヘテロアリール部位は、1つまたは複数の置換基で置換されてもよく(但し、RおよびRが両方とも一置換(C−C)アルコキシフェニルであることははない);
は、水素、(C−C)アルキル、またはハロ置換(C−C)アルキルであり;
は、−(NH)−N(R4a)(R4a’)であり、ここで、nが0または1であり、R4aは、水素または置換されてもよい(C−C)アルキルであり、R4a’は、(C−C)アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール(C−C)アルキル、部分もしくは完全飽和(C−C10)シクロアルキル、ヘテロアリール(C−C)アルキル、5〜6員ラクトン、5〜6員ラクタム、および3〜6員部分もしくは完全飽和複素環からなる群から選択される化学部位であり、前記化学部位は、1つまたは複数の置換基で置換されてもよく、またはR4aおよびR4a’は、それらが結合する窒素と共に置換されてもよい5〜8員複素環を形成する)のカンナビノイド受容体リガンドとして作用する化合物、その薬学的に許容できる塩、その化合物または塩のプロドラッグ、またはその化合物、塩もしくはプロドラッグの溶媒和化合物または水和物を提供する。
【0011】
好ましい実施形態または本発明において、Rは、1つまたは複数の置換基で置換されるフェニル、1つまたは複数の置換基で置換されてもよい2−ピリジル、または1つまたは複数の置換基で置換されてもよい4−ピリジルであり;さらに好ましくは、Rは、ハロ(好ましくは、クロロまたはフルオロ)、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキル、ハロ置換(C−C)アルキル(好ましくはフルオロ−置換アルキル)、およびシアノからなる群から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されるフェニルであり;最も好ましくは、Rは、2−クロロフェニル、2−フルオロフェニル、2,4−ジクロロ−フェニル、2−フルオロ−4−クロロフェニル、2−クロロ−4−フルオロフェニル、または2,4−ジフルオロフェニルであり;
は、1つまたは複数の置換基で置換されるフェニルまたは1つまたは複数の置換基で置換される2−ピリジルであり;さらに好ましくは、Rは、ハロ(好ましくは、クロロまたはフルオロ)、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキル、ハロ置換(C−C)アルキル(好ましくはフルオロ−置換アルキル)、およびシアノからなる群から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されるフェニルであり;最も好ましくは、Rは、4−クロロフェニルまたは4−フルオロフェニルである。
【0012】
本発明の一実施形態において、式(I)の化合物であって、Rが−(NH)−N(R4a)(R4a’)であり、ここで、nが0または1であり、R4aが水素であり、R4a’が、(C−C)アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール(C−C)アルキル、部分もしくは完全飽和(C−C10)シクロアルキル、ヘテロアリール(C−C)アルキル、5〜6員ラクトン、5〜6員ラクタム、および3〜6員部分もしくは完全飽和複素環からなる群から選択される化学部位であり、ただし前記化学部位が、1つまたは複数の置換基で置換されてもよい化合物;その薬学的に許容できる塩、またはその化合物もしくは塩の溶媒和化合物または水和物が提供される。R4a’は好ましくは、(C−C)アルキル、フェニル(C−C)アルキル、または部分もしくは完全飽和(C−C10)シクロアルキルから選択される化学部位であり、その化学部位は、1つまたは複数の置換基(好ましくは、1〜3個の置換基)で置換されてもよい。
【0013】
式中nが0である、好ましい化合物としては:
5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−カルボン酸ベンジルアミド;
5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−カルボン酸アダマンタン−1−イルアミド;
5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−カルボン酸インダン−2−イルアミド;
5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−カルボン酸(1−フェニル−エチル)−アミド;
5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−カルボン酸2−フルオロ−4−トリフルオロメチル−ベンジルアミド;
5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−カルボン酸[1−(4−フルオロ−フェニル)−エチル]−アミド;
5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−カルボン酸(1−フェニル−エチル)−アミド;
5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−カルボン酸[1−(4−クロロ−フェニル)−エチル]−アミド;
5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−カルボン酸[1−(2−メトキシ−フェニル)−エチル]−アミド;
5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−カルボン酸(1(S)−p−トリル−エチル)−アミド;
5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−カルボン酸(1−メチル−1−フェニル−エチル)−アミド;
5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−カルボン酸(1,1−ジメチル−プロピル)−アミド;
4−(5−ブロモ−ピリジン−2−イル)−5−(4−クロロ−フェニル)−ピリミジン−2−カルボン酸(1−メチル−1−フェニル−エチル)−アミド;
4−(5−ブロモ−ピリジン−2−イル)−5−(4−クロロ−フェニル)−ピリミジン−2−カルボン酸(1(R)−フェニル−エチル)−アミド;
4−(5−ブロモ−ピリジン−2−イル)−5−(4−クロロ−フェニル)−ピリミジン−2−カルボン酸[2−(4−フルオロ−フェニル)−1,1−ジメチル−エチル]−アミド;
5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジメチル−フェニル)−ピリミジン−2−カルボン酸(1−メチル−1−フェニル−エチル)−アミド;
5−(5−クロロ−ピリジン−2−イル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−カルボン酸(1−メチル−1−フェニル−エチル)−アミド;および
5−(5−クロロ−ピリジン−2−イル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−カルボン酸(1(R)−フェニル−エチル)−アミド;
その薬学的に許容できる塩、または前記化合物もしくは前記塩の溶媒和化合物または水和物が挙げられる。
【0014】
本発明の他の実施形態において、式(I)の化合物であって、Rが−(NH)−N(R4a)(R4a’)であり、ここで、nが0であり、R4aが、置換されてもよい(C−C)アルキルであり、R4a’が、(C−C)アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール(C−C)アルキル、部分もしくは完全飽和(C−C10)シクロアルキル、ヘテロアリール(C−C)アルキル、5〜6員ラクトン、5〜6員ラクタム、および3〜6員部分もしくは完全飽和複素環からなる群から選択される化学部位であり、その化学部位が1つまたは複数の置換基で置換されてもよい化合物;その薬学的に許容できる塩、またはその化合物もしくは塩の溶媒和化合物または水和物が提供される。R4aは好ましくは、(C−C)アルキルであり、R4a’は好ましくは、(C−C)アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール(C−C)アルキル、部分もしくは完全飽和(C−C10)シクロアルキル、ヘテロアリール(C−C)アルキル、または3〜6員部分もしくは完全飽和複素環から選択される化学部位であり、その化学部位は1つまたは複数の置換基(好ましくは、1〜3個の置換基)で置換されてもよい。
【0015】
この実施形態の代表的な化合物としては:
5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−カルボン酸シクロヘキシル−メチル−アミド;
5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−カルボン酸メチル−ピリジン−2−イル−アミド;
5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−カルボン酸(2−ヒドロキシ−エチル)−プロピル−アミド;
5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−カルボン酸メチル−(1−メチル−ピロリジン−3−イル)−アミド;
5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−カルボン酸(1−ベンジル−ピロリジン−3−イル)−メチル−アミド;
その薬学的に許容できる塩、または前記化合物もしくは前記塩の溶媒和化合物または水和物が挙げられる。
【0016】
本発明の他の実施形態において、式(I)の化合物であって、Rが−(NH)−N(R4a)(R4a’)であり、ここで、nが0であり、R4aおよびR4a’が一緒になって、式(IA)
【化2】

(式中、R4bおよびR4b’はそれぞれ独立して、水素;シアノ;ヒドロキシ;アミノであるか;HNC(O)−;または(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、アシルオキシ、アシル、(C−C)アルキル−O−C(O)−、(C−C)アルキル−NH−C(O)−、(C−C)アルキル)N−C(O)−、(C−C)アルキルアミノ−、((C−C)アルキル)アミノ−、(C−C)シクロアルキルアミノ−、アシルアミノ−、アリール(C−C)アルキルアミノ−、ヘテロアリール(C−C)アルキルアミノ−、アリール、ヘテロアリール、3〜6員部分もしくは完全飽和複素環、および3〜6員部分もしくは完全飽和炭素環式環からなる群から選択される化学部位であり、ただし、前記部位が1つまたは複数の置換基で置換されてもよく;あるいは
4bまたはR4b’ のいずれか一方は、R4e、R4e’、R4f、またはR4f’と共に結合、メチレン架橋、またはエチレン架橋を形成し;
Xは、結合、−CHCH−または−C(R4c)(R4c’)−であり、R4cおよびR4c’はそれぞれ独立して、水素;シアノ;ヒドロキシ;アミノ;HNC(O)−であるか;または(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、アシルオキシ、アシル、(C−C)アルキル−O−C(O)−、(C−C)アルキル−NH−C(O)−、((C−C)アルキル)N−C(O)−、(C−C)アルキルアミノ−、ジ(C−C)アルキルアミノ−、(C−C)シクロアルキルアミノ−、アシルアミノ−、アリール(C−C)アルキルアミノ−、ヘテロアリール(C−C)アルキルアミノ−、アリール、ヘテロアリール、3〜6員部分もしくは完全飽和複素環、および3〜6員部分もしくは完全飽和炭素環式環からなる群から選択される化学部位であり、前記部位は1つまたは複数の置換基で置換されてもよく;あるいは
4cまたはR4c’ のいずれか一方は、R4e、R4e’、R4f、またはR4f’と共に結合、メチレン架橋、またはエチレン架橋を形成し;あるいは
4cまたはR4c’ のいずれか一方は、R4d’またはR4d’’
のいずれか一方と共に縮合芳香族環を形成し;
Yは、酸素、硫黄、−C(O)−、または−C(R4d)(R4d’)−であり、R4dおよびR4d’がそれぞれ独立して、水素;シアノ;ヒドロキシ;アミノ;HNC(O)−であるか;または(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、アシルオキシ、アシル、(C−C)アルキル−O−C(O)−、(C−C)アルキル−NH−C(O)−、((C−C)アルキル)N−C(O)−、(C−C)アルキルアミノ−、ジ(C−C)アルキルアミノ−、(C−C)シクロアルキルアミノ−、アシルアミノ−、アリール(C−C)アルキルアミノ−、ヘテロアリール(C−C)アルキルアミノ−、(C−C)アルキル−SO−、アリール、ヘテロアリール、3〜6員部分もしくは完全飽和複素環、および3〜6員部分もしくは完全飽和炭素環式環からなる群から選択される化学部位であり、前記部位は1つまたは複数の置換基で置換されてもよく;あるいは
4dおよびR4d’は一緒になって、3〜6員部分もしくは完全飽和複素環、5〜6員ラクトン環、または4〜6員ラクタム環を形成し、前記複素環、前記ラクトン環および前記ラクタム環が1つまたは複数の置換基で置換されてもよく、かつ前記ラクトン環および前記ラクタム環が、酸素、窒素または硫黄から選択される更なるヘテロ原子を含有してもよく、あるいは
4d’またはR4d’’ のいずれか一方は、R4c、R4c’、R4e、またはR4e’と共に縮合芳香族環を形成し;
Yは−NR4d’’−であり、ここで、R4d’’は水素であるか、または(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、(C−C)アルキルスルホニル−、(C−C)アルキルアミノスルホニル−、ジ(C−C)アルキルアミノスルホニル−、アシル、(C−C)アルキル−O−C(O)−、アリール、およびヘテロアリールからなる群から選択される化学部位であり、前記部位が1つまたは複数の置換基で置換されてもよく;
Zは、結合、−CHCH−、または−C(R4e)(R4e’)−であり、ここで、R4eおよびR4e’はそれぞれ独立して、水素;シアノ;ヒドロキシ;アミノ;HNC(O)−であるか;または(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、アシルオキシ、アシル、(C−C)アルキル−O−C(O)−、(C−C)アルキル−NH−C(O)−、((C−C)アルキル)N−C(O)−、(C−C)アルキルアミノ−、ジ(C−C)アルキルアミノ−、(C−C)シクロアルキルアミノ−、アシルアミノ−、アリール(C−C)アルキルアミノ−、ヘテロアリール(C−C)アルキルアミノ−、アリール、ヘテロアリール、3〜6員部分もしくは完全飽和複素環、および3〜6員部分もしくは完全飽和炭素環式環からなる群から選択される化学部位であり、前記部位は、1つまたは複数の置換基で置換されてもよく;あるいは
4eまたはR4e’ のいずれか一方は、R4b、R4b’、R4c、またはR4c’と共に結合、メチレン架橋またはエチレン架橋を形成し、または
4eまたはR4e’ のいずれか一方はR4d’またはR4d’’
のいずれか一方と共に縮合芳香族環を形成し;かつ
4fおよびR4f’がそれぞれ独立して、水素;シアノ;ヒドロキシ;アミノ;HNC(O)−であるか;または(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、アシルオキシ、アシル、(C−C)アルキル−O−C(O)−、(C−C)アルキル−NH−C(O)−、((C−C)アルキル)N−C(O)−、(C−C)アルキルアミノ−、ジ(C−C)アルキルアミノ−、(C−C)シクロアルキルアミノ−、アシルアミノ−、アリール(C−C)アルキルアミノ−、ヘテロアリール(C−C)アルキルアミノ−、アリール、ヘテロアリール、3〜6員部分もしくは完全飽和複素環、および3〜6員部分もしくは完全飽和炭素環式環からなる群から選択される化学部位であり、前記部位は1つまたは複数の置換基で置換されてもよく;あるいは
4fまたはR4f’ のいずれか一方は、R4b、R4b’、R4c、またはR4c’と共に結合、メチレン架橋またはエチレン架橋を形成する)を有する複素環を形成する、化合物、その薬学的に許容できる塩、またはその化合物もしくは塩の溶媒和化合物または水和物が提供される。
【0017】
好ましくは、R4bは、水素、置換されてもよい(C−C)アルキルであるか、またはR4e、R4e’、R4f、またはR4f’と共に、結合、メチレン架橋、またはエチレン架橋を形成し;R4b’は、水素;置換されてもよい(C−C)アルキルであるか、またはR4e、R4e’、R4f、若しくはR4f’と共に、結合、メチレン架橋、またはエチレン架橋を形成し;R4fは、水素、置換されてもよい(C−C)アルキルであるか、またはR4b、R4b’、R4c、若しくはR4c’と共に結合、メチレン架橋、またはエチレン架橋を形成し;R4f’は、水素、置換されてもよい(C−C)アルキルであるか、またはR4b、R4b’、R4c、若しくはR4c’と共に結合、メチレン架橋、またはエチレン架橋を形成し、さらに好ましくは、R4b、R4b’、R4f、およびR4f’がすべて水素である。
【0018】
Yが−NR4d’’−である場合には、R4d’’は好ましくは、水素、ヘテロアリール、または置換されてもよい(C−C)アルキルであり;Xは、−CHCH−または−C(R4c)(R4c’)−であり、R4cおよびR4c’はそれぞれ独立して、水素、または置換されてもよい(C−C)アルキルであるか、またはR4c若しくはR4cのいずれか一方は、R4e、R4e’、R4f、若しくはR4f’と共に結合、メチレン架橋またはエチレン架橋を形成し;かつZは−CHCH−または−C(R4e)(R4e’)−であり、R4eおよびR4e’はそれぞれ独立して、水素、または置換されてもよい(C−C)アルキルであるか、またはR4e若しくはR4e’のいずれか一方は、R4b、R4b’、R4c、若しくはR4c’と共に結合、メチレン架橋またはエチレン架橋を形成する。
【0019】
好ましい化合物としては:
[5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−イル]−(4−ピリミジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−メタノン;
[5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−イル]−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−メタノン;
[5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−イル]−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−メタノン;
[5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−イル]−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−メタノン;
[4−(4−クロロ−フェニル)−5−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−イル]−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−メタノン;
[5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−イル]−(4−ピリジン−2−イル−ピペラジン−1−イル)−メタノン;および、
[5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−イル]−(4−メチル−[1,4]ジアゼパン−1−イル)−メタノン;
その薬学的に許容できる塩、または前記化合物もしくは前記塩の溶媒和化合物または水和物が挙げられる。
【0020】
Yが−C(R4d)(R4d’)−である場合には、R4dは好ましくは、水素;シアノ;ヒドロキシ;アミノ;HNC(O)−であるか;または(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、アシルオキシ、アシル、(C−C)アルキル−O−C(O)−、(C−C)アルキル−NH−C(O)−、((C−C)アルキル)N−C(O)−、(C−C)アルキルアミノ−、((C−C)アルキル)アミノ−、(C−C)シクロアルキルアミノ−、アシルアミノ−、アリール(C−C)アルキルアミノ−、ヘテロアリール(C−C)アルキルアミノ−、(C−C)アルキル−SO−、アリール、ヘテロアリール、3〜6員部分もしくは完全飽和複素環、および3〜6員部分もしくは完全飽和炭素環式環からなる群から選択される化学部位であり、その部位は1つまたは複数の置換基で置換されてもよく;
4d’は、水素;HNC(O)−であるか;または(C−C)アルキル、アシル、(C−C)アルキル−O−C(O)−、(C−C)アルキル−NH−C(O)−、(C−C)アルキル)N−C(O)−、アリール、ヘテロアリール、3〜6員部分もしくは完全飽和複素環、および3〜6員部分もしくは完全飽和炭素環式環からなる群から選択される化学部位であり、その部位は1つまたは複数の置換基で置換されてもよく;あるいは、R4d’またはR4d’’は、R4c、R4c’、R4e、またはR4e’と共に縮合芳香族環を形成し;Xは、結合または−C(R4c)(R4c’)−であり、R4cおよびR4c’は水素であるか、あるいはR4c若しくはR4c’はヒドロキシであるか、またはR4d’若しくはR4d’’と共に縮合芳香族環を形成し;Zは、結合または−C(R4e)(R4e’)−であり、R4eおよびR4e’はそれぞれ水素であるか、あるいはR4eまたはR4e’のいずれかはヒドロキシであるか、R4d’またはR4d’’と共に縮合芳香族環を形成する;その薬学的に許容できる塩、または前記化合物もしくは前記塩の溶媒和化合物または水和物。
この実施例の代表的な化合物としては:
[5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−イル]−[4−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−4−メタンスルホニル−ピペリジン−1−イル]−メタノン;
[5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−イル]−[4−(2−ヒドロキシ−エチル)−ピペリジン−1−イル]−メタノン;
[5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−イル]−(2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン;
[5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−イル]−(6−ヒドロキシメチル−3−アザ−ビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−イル)−メタノン;
[5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−イル]−(2(S)−メトキシメチル−ピロリジン−1−イル)−メタノン;
[5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−イル]−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−メタノン;
[5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−イル]−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−メタノン;
[5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−イル]−(3,5−ジメチル−ピペリジン−1−イル)−メタノン;
[5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−イル]−ピペリジン−1−イル−メタノン;
[5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−イル]−[4−(4−フルオロ−フェニル)−4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル]−メタノン;
[5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−イル]−(3−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−メタノン;
1−[5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−カルボニル]−ピペリジン−4−カルボン酸アミド;
[1,4’]ビピペリジニル−1’−イル−[5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−イル]−メタノン;
[5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−イル]−(2,6−ジメチル−ピペリジン−1−イル)−メタノン;
(2,5−ビス−メトキシメチル−ピロリジン−1−イル)−[5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−イル]−メタノン;
[5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−イル]−(4−フェニル−ピペリジン−1−イル)−メタノン;および
1−[4−(5−ブロモ−ピリジン−2−イル)−5−(4−クロロ−フェニル)−ピリミジン−2−カルボニル]−4−フェニル−ピペリジン−4−カルボニトリル;
1−{1−[5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−カルボニル]−4−フェニル−ピペリジン−4−イル}−エタノン;
{1−[5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−カルボニル]−4−フェニル−ピペリジン−4−イル}−ピロリジン−1−イル−メタノン;
1−[5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−カルボニル]−4−フェニル−ピペリジン−4−カルボニトリル;および
1−[5−(5−クロロ−ピリジン−2−イル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−カルボニル]−4−フェニル−ピペリジン−4−カルボニトリル;その薬学的に許容できる塩、または前記化合物もしくは前記塩の溶媒和化合物または水和物が挙げられる。
【0021】
好ましい化合物としては:
1−{1−[5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−カルボニル]−4−フェニル−ピペリジン−4−イル}−エタノン;
{1−[5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−カルボニル]−4−フェニル−ピペリジン−4−イル}−ピロリジン−1−イル−メタノン;
1−[5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−カルボニル]−4−フェニル−ピペリジン−4−カルボニトリル;および
1−[5−(5−クロロ−ピリジン−2−イル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−カルボニル]−4−フェニル−ピペリジン−4−カルボニトリル;
その薬学的に許容できる塩、または前記化合物もしくは前記塩の溶媒和化合物または水和物が挙げられる。
【0022】
Yが酸素である場合には、Xは好ましくは、−C(R4c)(R4c’)−であり、ここで、R4cおよびR4c’はそれぞれ独立して、水素または(C−C)アルキルであり;Zは−C(R4e)(R4e’)−であり、ここで、R4eおよびR4e’はそれぞれ独立して、水素または(C−C)アルキルである;その薬学的に許容できる塩、または前記化合物もしくは前記塩の溶媒和化合物または水和物。
【0023】
この実施形態の代表的な化合物としては:
[5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−イル]−モルホリン−4−イル−メタノン;および
[5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−イル]−(2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル)−メタノン;
その薬学的に許容できる塩、またはその化合物もしくは塩の溶媒和化合物または水和物が挙げられる。
【0024】
本発明の他の実施形態において、式(I)であって、Rが−(NH)−N(R4a)(R4a’)であり、nが1である化合物;その薬学的に許容できる塩、またはその化合物もしくは塩の溶媒和化合物または水和物が提供される。好ましい実施形態には、nは0である場合にこれらの化合物について、上記で定義されるR4aおよびR4a’が含まれる。
【0025】
この実施形態の好ましい化合物は、5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2−クロロ−フェニル)−ピリミジン−2−カルボン酸ピペリジン−1−イルアミド;その薬学的に許容できる塩、またはその化合物または塩の溶媒和化合物または水和物である。
【0026】
本明細書に記載の化合物のいくつかは、少なくとも1つのキラル中心を含有し;したがって、本明細書に示され、論述される化合物のすべての立体異性体(例えば、鏡像異性体およびジアステレオ異性体)が本発明の範囲内にあることは、当業者であれば理解されよう。さらに、化合物の互変異性型もまた、本発明の範囲内である。α−アミノエーテルまたはα−クロロアミンなどの化学部位は単離するには不安定すぎるため、かかる部位は本発明の一部を形成しないことは、当業者であれば理解されよう。
【0027】
本発明の他の実施形態において、(1)本発明の化合物;および(2)薬学的に許容できる賦形剤、希釈剤、または担体を含む医薬組成物が提供される。好ましくは、この組成物は、治療有効量の本発明の化合物を含有する。この組成物は、少なくとも1種類の更なる薬剤(本明細書に記載される)も含有し得る。好ましい薬剤としては、ニコチン受容体部分アゴニスト、オピオイドアンタゴニスト(例えば、ナルトレキソンおよびナルメフェン)、ドーパミン作動薬(例えば、アポモルヒネ)、注意欠陥多動性障害(ADHD)治療薬(例えば、Ritalin(商標)、Strattera(商標)、Concerta(商標)およびAdderall(商標))、および抗肥満薬(本明細書において以下に記載される)が挙げられる。
【0028】
本発明の他の実施形態において、カンナビノイド受容体(特に、CB1受容体)アゴニストによって調節される動物における疾患、状態または障害を治療する方法は、RおよびRが両方とも一置換(C−C)アルコキシフェニルである化合物(またはその医薬組成物)を含む、治療有効量の本発明の化合物を、かかる治療が必要な動物に投与する段階を含む。
カンナビノイド受容体アンタゴニストによって調節される疾患、症状および/または障害としては、摂食障害(例えば、無茶食い障害、食欲不振、および大食症)、体重減少または制御(例えば、カロリーまたは食物摂取の低減、および/または食欲抑制)、肥満症、鬱病、非定型鬱病、双極性障害、精神病、精神分裂病、行動中毒(behavioral addiction)、報酬関連行動の抑制(例えば、コカインおよびモルヒネにより誘発される条件付け場所嗜好の抑制などの条件付け場所回避)、物質乱用、嗜癖障害、衝動性、アルコール症(例えば、アルコール摂取の禁断、欲求低減および再発予防のための治療を含む、アルコール中毒、嗜癖、および/または依存症)、タバコ乱用(例えば、タバコの喫煙の欲求低減および再発予防のための治療を含む、喫煙中毒、休止および/または依存症)、認知症(物忘れ、アルツハイマー病、老化性認知症、血管性認知症、軽度の認知障害、加齢性認知低下、および軽度の神経認知障害を含む)、男性の性機能障害(例えば、勃起不全)、発作、癲癇、炎症、胃腸障害(例えば、胃腸の運動性または腸管の推進力の機能不全)、注意欠陥障害(ADD/ADHD)、パーキンソン病、およびII型糖尿病が挙げられる。好ましい実施形態において、この方法は、体重減少、肥満症、大食症、ADD/ADHD、パーキンソン病、認知症、アルコール症、および/またはタバコ乱用の治療に使用される。
【0029】
本発明の化合物は、他の薬剤と併せて投与することができる。好ましい薬剤としては、ニコチン受容体部分アゴニスト、オピオイドアンタゴニスト(例えば、ナルトレキソン(ナルトレキソンデポーを含む)、アンタビュース、およびナルメフェン)、ドーパミン作動薬(例えば、アポモルヒネ)、ADD/ADHD治療薬(例えば、塩酸メチルフェニデート(例えば、Ritalin(商標)およびConcerta(商標))、アトモキセチン(例えば、Strattera(商標)、およびアンフェタミン(例えば、Adderall(商標)))および抗肥満薬、例えばアポB/MTP阻害剤、11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ−1(1型11β−HSD)阻害剤、ペプチドYY3−36またはその類似体、MCR−4アゴニスト、CCK−Aアゴニスト、モノアミン再取り込み阻害剤、交感神経作用薬、β3アドレナリン作動性受容体アゴニスト、ドーパミン受容体アゴニスト、メラニン細胞刺激ホルモン受容体類似体、5−HT2c受容体アゴニスト、メラニン凝集ホルモン受容体アンタゴニスト、レプチン、レプチン類似体、レプチン受容体アゴニスト、ガラニン受容体アンタゴニスト、リパーゼ阻害剤、ボンベシン受容体アゴニスト、神経ペプチドY受容体アンタゴニスト(例えば、本明細書において以下に記載されるような、NPY−5受容体アンタゴニスト)、甲状腺ホルモン様剤(thyromimetic agent)、デヒドロエピアンドロステロンまたはその類似体、グルココルチコイド受容体アンタゴニスト、オレキシン受容体アンタゴニスト、グルカゴン様ペプチド−1受容体アゴニスト、毛様体神経栄養性因子、ヒトアグーチ関連タンパク質アンタゴニスト、グレリン受容体アンタゴニスト、ヒスタミン3受容体アンタゴニストまたは逆アゴニスト、およびニューロメジンU受容体アゴニスト等が挙げられる。
【0030】
併用療法は、(a)発明の化合物、本明細書に記載の少なくとも1種類の更なる薬剤、薬学的に許容できる賦形剤、希釈剤、または担体を含む単一の医薬組成物として;または(b)(i)本発明の化合物、および薬学的に許容できる賦形剤、希釈剤、または担体を含有する第1組成物、(ii)本明細書に記載の少なくとも1種類の更なる薬剤、および薬学的に許容できる賦形剤、希釈剤、または担体を含有する第2組成物を含む、2種類の独立した医薬組成物として投与される。医薬組成物は、同時に、または逐次的に、および任意の順序で投与することができる。
【0031】
本発明の他の態様において、カンナビノイド受容体アンタゴニストによって調節される動物における疾患、状態または障害を治療するために消費者によって使用される医薬キットが提供される。このキットは、a)本発明の化合物を含有する適切な剤型;b)カンナビノイド受容体(特に、CB1受容体)アンタゴニストによって調節される疾患、状態または障害を治療するためにその製剤を使用する方法が記載されている説明書;を備える。
【0032】
本発明の他の実施形態において、医薬キットは:a)(i)本発明の化合物、および(ii)薬学的に許容できる担体、賦形剤または希釈剤を含む第1の剤型;b)(i)本明細書に記載の更なる薬剤、および(ii)薬学的に許容できる担体、賦形剤または希釈剤を含む第2の剤型;およびc)容器;を備える。
【0033】
定義
本明細書で使用される「アルキル」という用語は、一般式C2n+1の炭化水素ラジカルを意味する。アルカンラジカルは、直鎖または分枝鎖である。例えば、「(C−C)アルキル」という用語は、炭素原子1〜6個を含有する、一価の、直鎖または分枝鎖脂肪族基を意味する(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、ネオペンチル、3,3−ジメチルプロピル、ヘキシル、2−メチルペンチル等)。同様に、アルコキシ、アシル(例えば、アルカノイル)、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、およびアルキルチオ基のアルキル部分(すなわち、アルキル部位)は上記と同じ定義を有する。「置換されてもよい」と示されている場合、アルカンラジカルまたはアルキル部位は非置換であるか、または「置換」についての定義で以下に示される置換基の群から独立して選択される1つまたは複数の置換基(一般に、パークロロまたはパーフルオロアルキルなどのハロゲン置換基の場合を除いては、1〜3個の置換基)で置換されてもよい。「ハロ置換アルキル」とは、1つまたは複数のハロゲン原子で置換されたアルキル基(例えば、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、パーフルオロエチル等)を意味する。置換される場合には、アルカンラジカルまたはアルキル部位は好ましくは、1〜3個のフルオロ置換基、または(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、(C−C)アルケニル、アリール、ヘテロアリール、3〜6員複素環、クロロ、シアノ、ヒドロキシ、(C−C)アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、(C−C)アルキルアミノ、ジ−(C−C)アルキルアミノ、アミノカルボキシレート(すなわち(C−C)アルキル−O−C(O)−NH−)、ヒドロキシ(C−C)アルキルアミノ、またはケト(オキシ)から独立して選択される1または2個の置換基、さらに好ましくは、1〜3個のフルオロ基、または(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、(C)アリール、6員ヘテロアリール、3〜6員複素環、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキルアミノまたはジ−(C−C)アルキルアミノから選択される1個の置換基で置換される。
【0034】
「部分もしくは完全飽和炭素環式環」という用語(「部分もしくは完全飽和シクロアルキル」とも呼ばれる)は、部分または完全水素化され、かつ単一環、二環式環またはスピロ環として存在し得る非芳香族環を意味する。別段の指定がない限り、炭素環式環は一般に、3〜8員環である。例えば、部分もしくは完全飽和炭素環式環(またはシクロアルキル)は、シクロプロピル、シクロプロペニル、シクロブチル、シクロブテニル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、ノルボルニル(ビシクロ[2.2.1]ヘプチル)、ノルボルネニル、ビシクロ[2.2.2]オクチル等の基を含む。「置換されてもよい」と示されている場合、部分飽和または完全飽和シクロアルキル基は非置換であるか、または「置換」についての定義において以下に示される置換基の群から独立して選択される1つまたは複数の置換基(通常、1〜3個の置換基)で置換されてもよい。置換炭素環式環は、炭素環式環がフェニル環に縮合する基も含む(例えば、インダニル)。炭素環式基は、炭素環式環構造内の炭素原子のいずれか1つによって、化学的実体または部位に結合することができる。置換される場合、炭素環式基は好ましくは、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキルイデニル、アリール、ヘテロアリール、3〜6員複素環、クロロ、フルオロ、シアノ、ヒドロキシ、(C−C)アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、(C−C)アルキルアミノ、ジ−(C−C)アルキルアミノ、アミノカルボキシレート(すなわち、(C−C)アルキル−O−C(O)−NH−)、ヒドロキシ(C−C)アルキルアミノ、またはケト(オキシ)から独立して選択される1または2個の置換基、さらに好ましくは、(C−C)アルキル、3〜6員複素環、フルオロ、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキルアミノまたはジ−(C−C)アルキルアミノから独立して選択される1または2個の置換基で置換される。同様に、基のシクロアルキル部分(例えば、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルアミノ等)は上記と同じ定義を有する。
【0035】
「部分飽和または完全飽和複素環式環」という用語(「部分飽和または完全飽和複素環」とも呼ばれる)は、部分または完全水素化され、かつ単一環、二環式環またはスピロ環として存在し得る非芳香族環を意味する。別段の指定がない限り、複素環は一般に、硫黄、酸素または窒素から独立して選択される1〜3個のヘテロ原子(好ましくは1または2個のヘテロ原子)を含有する3〜6員環である。部分飽和または完全飽和複素環は、エポキシ、アジリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、ジヒドロピリジニル、ピロリジニル、N−メチルピロリジニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピラゾリジニル、2H−ピラニル、4H−ピラニル、2H−クロメニル、オキサジニル、モルホリノ、チオモルホリノ、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロチエニル1,1−ジオキシド等の基を含む。「置換されてもよい」と示されている場合、部分飽和または完全飽和複素環基は非置換であるか、または「置換」についての定義において以下に示される置換基の群から独立して選択される1つまたは複数の置換基(通常、1〜3個の置換基)で置換されてもよい。置換複素環式環は、その基において複素環式環がアリールまたはヘテロアリール環(例えば、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、2,3−ジヒドロインドリル、2,3−ジヒドロベンゾチオフェニル、2,3−ジヒドロベンゾチアゾリル等)に縮合する基を含む。置換される場合、複素環基は好ましくは、(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、(C−C)アルケニル、アリール、ヘテロアリール、3〜6員複素環、クロロ、フルオロ、シアノ、ヒドロキシ、(C−C)アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、(C−C)アルキルアミノ、ジ−(C−C)アルキルアミノ、アミノカルボキシレート(すなわち、(C−C)アルキル−O−C(O)−NH−)、またはケト(オキシ)から独立して選択される1または2個の置換基、さらに好ましくは、(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、(C)アリール、6員ヘテロアリール、3〜6員複素環またはフルオロから独立して選択される1または2個の置換基で置換される。複素環式基は、複素環構造内の環原子のいずれか1つによって、化学的実体または部位に結合することができる。同様に、基(例えば、複素環置換アルキル、複素環カルボニル等)のいずれかの複素環部分は上記と同じ定義を有する。
【0036】
「アリール」または「芳香族炭素環式環」という用語は、単一環構造(例えば、フェニル)または縮合環構造(例えば、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等)を有する芳香族部位を意味する。一般的なアリール基は6〜10員芳香族炭素環式環(1つまたは複数)である。「置換されてもよい」と示されている場合、アリール基は、非置換であるか、または「置換」についての定義において以下に示される置換基の群から独立して選択される1つまたは複数の置換基(ましくは、3個以下の置換基)で置換されてもよい。置換アリール基は、芳香族部位(例えば、ビフェニル、テルフェニル、フェニルナフタリル等)の鎖を含む。置換される場合、複素環基は好ましくは、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、アリール、ヘテロアリール、3〜6員複素環、ブロモ、クロロ、フルオロ、ヨード、シアノ、ヒドロキシ、(C−C)アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、(C−C)アルキルアミノ、ジ−(C−C)アルキルアミノ、またはアミノカルボキシレート(すなわち、(C−C)アルキル−O−C(O)−NH−)から独立して選択される1または2個の置換基、さらに好ましくは、(C−C)アルキル、クロロ、フルオロ、シアノ、ヒドロキシ、または(C−C)アルコキシから独立して選択される1または2個の置換基で置換される。アリール基は、芳香族環構造内の炭素原子のいずれか1つによって、化学的実体または部位に結合することができる。同様に、アロイル、アロイルオキシ(すなわち、(アリール)−C(O)−O−)、アリール置換アルキル等のアリール部分(すなわち、芳香族部位)は上記と同じ定義を有する。
【0037】
「ヘテロアリール」または「ヘテロ芳香族環」とは、5〜10員芳香族環構造(例えば、ピロリル、ピリジル、ピラゾリル、インドリル、インダゾリル、チエニル、フラニル、ベンゾフラニル、オキサゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、トリアジニル、ピリミジル、ピラジニル、チアゾリル、プリニル、ベンズイミダゾリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾチオフェニル、ベンズオキサゾリル等)内の少なくとも1つのヘテロ原子(例えば、酸素、硫黄、窒素またはその組み合わせ)を含有する芳香族部位を意味する。ヘテロ芳香族部位は、単一または縮合環構造からなり得る。一般的な単一ヘテロアリール環は、酸素、硫黄および窒素から独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を含有する5〜6員環であり、一般的な縮合ヘテロアリール環構造は、酸素、硫黄および窒素から独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する9〜10員環構造である。「置換されてもよい」と示されている場合、ヘテロアリール基は、非置換であるか、または「置換」についての定義において以下に示される置換基の群から独立して選択される1つまたは複数の置換基(好ましくは、3個以下の置換基)で置換されてもよい。置換される場合、ヘテロ芳香族部位は好ましくは、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、アリール、ヘテロアリール、3〜6員複素環、ブロモ、クロロ、フルオロ、ヨード、シアノ、ヒドロキシ、(C−C)アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、(C−C)アルキルアミノ、ジ−(C−C)アルキルアミノ、またはアミノカルボキシレート(すなわち、(C−C)アルキル−O−C(O)−NH−)から独立して選択される1または2個の置換基、さらに好ましくは、(C−C)アルキル、クロロ、フルオロ、シアノ、ヒドロキシ、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキルアミノまたはジ−(C−C)アルキルアミノから独立して選択される1または2個の置換基で置換される。ヘテロアリール基は、芳香族環構造(例えば、イミダゾール−1−イル、イミダゾール−2−イル、イミダゾール−4−イル、イミダゾール−5−イル、ピリド−2−イル、ピリド−3−イル、ピリド−4−イル、ピリド−5−イル、またはピリド−6−イル)内の原子のいずれか1つによって、化学的実体または部位に結合することができる。同様に、ヘテロアロイル(すなわち、(ヘテロアリール)−C(O)−O−)またはヘテロアリール置換アルキル等のヘテロアリール部分(すなわち、ヘテロ芳香族部位)は上記と同じ定義を有する。
【0038】
「アシル」という用語は、アルキル、部分飽和または完全飽和シクロアルキル、部分飽和または完全飽和複素環、アリール、およびヘテロアリール置換カルボニル基を意味する。例えば、アシルは、(C−C)アルカノイル(例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、バレリル、カプロイル、t−ブチルアセチル等)、(C−C)シクロアルキルカルボニル(例えば、シクロプロピルカルボニル、シクロブチルカルボニル、シクロペンチルカルボニル、シクロヘキシルカルボニル等)、複素環式カルボニル(例えば、ピロリジニルカルボニル、ピロリド−2−オン−5−カルボニル、ピペリジニルカルボニル、ピペラジニルカルボニル、テトラヒドロフラニルカルボニル等)、アロイル(例えば、ベンゾイル)およびヘテロアロイル(例えば、チオフェニル−2−カルボニル、チオフェニル−3−カルボニル、フラニル−2−カルボニル、フラニル−3−カルボニル、1H−ピロイル−2−カルボニル、1H−ピロイル−3−カルボニル、ベンゾ[b]チオフェニル−2−カルボニル等)などの基を含む。さらに、アシル基のアルキル、シクロアルキル、複素環、アリールおよびヘテロアリール部分は、上記のそれぞれの定義に記載の基のいずれか1つであることができる。「置換されてもよい」と示されている場合、アシル基は、非置換であるか、または「置換」についての定義において以下に示される置換基の群から独立して選択される1つまたは複数の置換基(通常、1〜3個の置換基)で置換されてもよく、あるいはアシル基のアルキル、シクロアルキル、複素環、アリールおよびヘテロアリール部分は、置換基の好ましいリストおよびさらに好ましいリストそれぞれにおいて上述のように置換してもよい。
【0039】
「置換(される)」という用語は、当技術分野で一般的な1つまたは複数の置換を具体的に構想し、認めるものである。しかしながら、一般的に、化合物の薬理学的特性に悪影響を及ぼしたり、あるいは薬物の使用に支障を及ぼさないように置換基を選択すべきであることは当業者によって理解される。上記で定義される基のいずれかに対する適切な置換基としては、(C−C)アルキル、(C−C7)シクロアルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキルイデニル、アリール、ヘテロアリール、3〜6員複素環、ハロ(例えば、クロロ、ブロモ、ヨードおよびフルオロ)、シアノ、ヒドロキシ、(C−C)アルコキシ、アリールオキシ、スルフヒドリル(メルカプト)、(C−C)アルキルチオ、アリールチオ、アミノ、モノまたはジ−(C−C)アルキルアミノ、第4級アンモニウム塩、アミノ(C−C)アルコキシ、アミノカルボキシレート(すなわち、(C−C)アルキル−O−C(O)−NH−)、ヒドロキシ(C−C)アルキルアミノ、アミノ(C−C)アルキルチオ、シアノアミノ、ニトロ、(C−C)カルバミル、ケト(オキシ)、アシル、(C−C)アルキル−CO−、グリコリル、グリシル、ヒドラジノ、グアニル、スルファミル、スルホニル、スルフィニル、チオ(C−C)アルキル−C(O)−、チオ(C−C)アルキル−CO−、およびその組み合わせが挙げられる。「置換アリール(C−C)アルキル」など、置換される組み合わせの場合には、アリール基またはアルキル基のいずれかを置換してよく、またはアリール基とアルキル基の両方を1つまたは複数の置換基(通常、パーハロ置換基の場合を除いては、1〜3個の置換基)で置換してもよい。アリールもしくはヘテロアリール置換炭素環式または複素環式基は縮合環(例えば、インダニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロインドリル等)であることができる。
【0040】
「溶媒和化合物」という用語は、1つまたは複数の溶媒分子と、式(I)により示される化合物(そのプロドラッグおよび薬学的に許容できる塩を含む)との分子複合体を意味する。かかる溶媒分子は、レシピエントに無害であることが知られている製薬分野で一般に使用されている溶媒分子、例えば水、エタノール等である。「水和物」という用語は、その溶媒分子が水である複合体である。
【0041】
「保護基」または「Pg」という用語は、化合物上の他の官能基と反応すると同時に、特定の官能基をブロックまたは保護するために一般に用いられる置換基を意味する。例えば、「アミノ保護基」は、化合物におけるアミノ官能基をブロックまたは保護するアミノ基に結合する置換基である。適切なアミノ保護基としては、アセチル、トリフルオロアセチル、t−ブトキシカルボニル(BOC)、ベンジルオキシカルボニル(CBz)および9−フルオレニルメチレンオキシカルボニル(Fmoc)が挙げられる。同様に、「ヒドロキシ保護基」とは、ヒドロキシ官能基をブロックまたは保護するヒドロキシ基の置換基を意味する。適切な保護基としては、アセチルおよびシリルが挙げられる。「カルボキシ保護基」とは、カルボキシ官能基をブロックまたは保護するカルボキシ基の置換基を意味する。一般的なカルボキシ保護基としては、−CHCHSOPh、シアノエチル、2−(トリメチルシリル)エチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル、2−(p−トルエンスルホニル)エチル、2−(p−ニトロフェニルスルフェニル)エチル、2−(ジフェニルフォスフィノ)−エチル、ニトロエチル等が挙げられる。保護基およびその使用についての総説については、T. W. Greene, Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley
& Sons, New York, 1991を参照されたい。
【0042】
「治療有効量」というフレーズは、(i)特定の疾患、症状、または障害を治療または予防する、(ii)特定の疾患、状態または障害の1つまたは複数の症候を減弱、改善、または排除する、あるいは(iii)本明細書に記載の特定の疾患、症状、または障害の1つまたは複数の症候の発現を予防または遅らせる、本発明の化合物の量を意味する。
【0043】
「動物」という用語は、ヒト(男性または女性)、コンパニオンアニマル(例えば、イヌ、ネコおよびウマ)、食料源となる動物、動物園の動物、海洋動物、トリおよび他の同様な動物種を意味する。「食用動物」とは、雌ウシ、ブタ、ヒツジおよび家禽などの食料源動物を意味する。
【0044】
「薬学的に許容できる」というフレーズは、物質または組成物が、製剤を含む他の成分と化学的および/または毒物学的に適合性でなければならず、および/または哺乳動物がそれで治療されることを示す。
【0045】
「治療する」、「処置する」、または「治療(処置)」は、防止的、すなわち予防的療法、および待期的療法のどちらも包含する。
【0046】
「カンナビノイド受容体により調節される」または「カンナビノイド受容体の調節」という言い方は、カンナビノイド受容体の活性化または非活性化を意味する。例えば、リガンドは、アゴニスト、部分アゴニスト、逆アゴニスト、アンタゴニスト、または部分アンタゴニストとして働き得る。
【0047】
本明細書で使用される「アンタゴニスト」という用語は、完全アンタゴニストと部分アンタゴニストの両方、ならびに逆アゴニストを含む。
【0048】
「CB−1受容体」という用語は、Gタンパク質結合1型カンナビノイド受容体を意味する。
【0049】
「本発明の化合物」という用語は(別段の指定がない限り)、式(I)の化合物、そのプロドラッグ、その化合物の薬学的に許容できる塩、および/またはプロドラッグ、およびその化合物、塩、および/またはプロドラッグの水和物または溶媒和化合物、ならびに立体異性体(ジアステレオ異性体および鏡像異性体を含む)、互変異性体および同位体標識された化合物を意味する。
【0050】
(詳細な説明)
本発明は、カンナビノイド受容体アンタゴニストにより調節される疾患、症状および/または障害の治療に有用な化合物およびその医薬製剤を提供する。
【0051】
本発明の化合物は、本明細書に含まれる説明に照らして、化学分野でよく知られているプロセスと類似のプロセスを含む合成経路によって合成される。出発原料は一般に、Aldrich Chemicals社(ウィスコンシン州ミルウォーキー)などの供給元から入手可能であり、または当業者によく知られている方法を用いて容易に製造される(例えば、Louis F. Fieser and Mary Fieser, Reagents for Organic Synthesis, v.
1-19, Wiley, New York (1967-1999 ed.)または増補を含むBeilsteins Handbuch der
organischen Chemie, 4, Aufl. ed. Springer-Verlag, Berlin(バイルシュタイン(Beilstein)オンラインデータベースによっても入手可能である)に一般的に記載されている方法により製造される)。
【0052】
実例を挙げるために、以下に示す反応スキームは、本発明の化合物ならびに主要な中間体を合成する、可能性のある経路を提供する。個々の反応段階をさらに詳細に説明するために、以下の実施例のセクションを参照されたい。他の合成経路を使用して本発明の化合物を合成してもよいことは当業者には理解されよう。具体的な出発原料および試薬がスキームにおいて示され、以下に記述されているが、容易に他の出発原料および試薬を代わりに使用して、様々な誘導体および/または反応条件を提供することができる。さらに、以下に記載の方法によって製造された化合物の多くは、当業者によく知られている従来の化学を用いて、この開示内容に照らして、さらに変更を加えることができる。
【0053】
本発明の化合物の製造において、中間体の遠隔官能基(例えば、第1級または第2級アミン)の保護が必要な場合がある。かかる保護の必要性は、遠隔官能基の性質および製造法の条件に依存する。適切なアミノ−保護基(NH−Pg)としては、アセチル、トリフルオロアセチル、t−ブトキシカルボニル(BOC)、ベンジルオキシカルボニル(CBz)および9−フルオレニルメチレンオキシカルボニル(Fmoc)が挙げられる。かかる保護の必要性は、当業者によって容易に決定される。保護基およびその使用の総説については、T. W. Greene, Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley
& Sons, New York, 1991を参照されたい。
【0054】
式(I)の化合物は、Chem. Pharm.
Bull. 42(9) 1828 (1994); Chem. Pharm. Bull., 28(2) 571 (1980);および国際公開番号WO9824782号に記載の手順と類似の手順を用いて製造することができる。
【0055】
スキームIによって、本発明の化合物を合成するのに使用することができる1つのアプローチを以下に略述する。
【化3】

【0056】
中間体アルコール(1a)は、従来のグリニャール反応を用いて、望ましいハロゲン化物(例えば、塩化物または臭化物)を望ましいアルデヒド(RCHO)と縮合することによって製造することができる。例えば、塩化物を最初にマグネシウムと反応させて、グリニャール試薬(R−CH−Mg−Cl)を形成し、次いでそれをアルデヒド(R−CHO)と縮合させて、目的のアルコール(1a)を形成する。次いで、当業者によく知られている手順を用いて、中間体アルコール(1a)を相当するケトン(1b)に酸化することができる。例えば、ケトン(1b)は、アルデヒド(1a)をジョーンズ試薬(クロム酸)と反応させることによって形成される。エナミン(1c)は、ケトン(1b)をN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタールと縮合させることによって製造することができる。縮合は一般に、極性溶媒(例えば、テトラヒドロフラン(THF))中の反応物を加熱することによって行われる。次いで、中間体(1d)のピリミジン環が、エナミン(1c)を塩酸アセトアミジンと縮合させることによって形成される。この反応は一般に、無機塩基(例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウム、アルコキシド等)または有機塩基(トリエチルアミン、ピリジン、M−メチルモルホリン、ジメチルベンジルアミン等)の存在下で行われる。次いで、当業者によく知られている手順を用いて、中間体(1d)のピリミジン環の2位にあるメチル基を相当するカルボン酸(1e)に酸化することができる。例えば、ピリミジン中間体(1d)を還流ピリジン中で二酸化セレンと反応させる。次いで、カルボン酸(1e)を最初に活性化することによって、最終アミド化合物(I)を形成することができる。カルボン酸を活性化する1つのアプローチは、相当する酸塩化物(1f)を製造することによるものである。その酸塩化物は、カルボン酸(1e)を塩化チオニルで処理することによって形成される。次いで、活性化されたカルボン酸を望ましいアミン化合物(R−H)と反応させて、本発明の化合物(I)を形成することができる。
【0057】
適切なアミノ化合物(R−H)は、市販のものを購入するか、または当業者によく知られている標準法を用いて容易に製造することができる。種々のピペリジンおよびアゼチジン出発原料(R−H(Rは式(IA)のアミノ基である))の製法は、2002年10月28日出願の米国特許仮出願第60/421874号および2003年2月6日出願の米国特許仮出願第60/445728号に記載されており、そのどちらも参照により本明細書に組み込まれる。代表的なアミノ化合物、R−H(Rは式(IA)のアミノ基である))の詳細な製造法については、スキームIII(下記)および実施例セクション(下記)における「主要中間体の製造」を参照されたい。スキームI(上記)に示される合成によって製造される代表的な本発明の化合物の詳細な説明については、実施例セクション(下記)における実施例1を参照されたい。
【0058】
スキームIIによって、本発明の化合物(Rが水素以外である)を合成するアプローチが以下に示される。
【化4】

【0059】
ケトアルキレン中間体(2a)は、望ましいケトンと望ましいアルデヒドとの従来のアルドール縮合を用いて、容易に合成することができる。中間体(2b)のピリミジン環は、塩基(例えば、ナトリウムまたはカリウムアルコキシド)の存在下および極性溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO))中で熱の存在下にて、ケトアルキレン(2a)を2−メチル−イソ尿素と縮合することによって形成することができる。次いで、温度約−78℃〜約0℃で中間体(2b)を三臭化ホウ素で処理し、続いて約−78℃にてプロトン性溶媒(例えば、メタノール)でクエンチングすることによって、中間体(2b)のメトキシ基を相当するヒドロキシ基に転化することができる。次いで、スワン(Swern)反応(ジメチルスルホキシドの存在下での塩化オキサリルでの処理)を用いて、ヒドロキシ−中間体(2c)を最初に処理し、続いて、当業者によく知られている手順を用いて、得られたアルデヒドを酸化することによって、ヒドロキシ−メチレン側基を相当するカルボン酸に酸化することができる。例えば、周囲温度でアルデヒドを亜塩素酸ナトリウムおよびリン酸二水素ナトリウムで処理する。次いで、(1f)を介して中間体カルボン酸(1e)を転化するために、スキームIにおいて上述の手順を用いて、アミド化合物(I)をカルボン酸中間体(2d)から製造する。代替方法としては、望ましいアミン(R−H)およびトリエチルアミンの存在下にて、カルボン酸(2d)を1−プロパンホスホン酸環状無水物で処理することによって、アミド結合が形成される。上述のように、様々なアミノ化合物(R−H)が市販されており、あるいは当業者によく知られている手順、あるいは本明細書に記載した手順を用いて容易に合成される。スキームII(上記)で示される合成によって製造される本発明の代表的な化合物の詳細な説明については、以下の実施例セクションの実施例2を参照されたい。
【0060】
式(IA)の多くのアミン化合物が供給元から入手可能であるか、または当業者に容易に利用可能な公知の方法によって製造される。式(IA)のアミン化合物の代表的な製造が以下の実施例に示される。式(IA)の4−アミノピペリジン−4−カルボキサミド基および式(IA)の4−アミノ−4−シアノピペリジン基およびそのベンジル保護前駆物質の製造が、P.A.J. Janssenによって米国特許第3,161,644号に、C. van de WesteringhらによってJ. Med.
Chem., 7, 619-623 (1964)、およびK.A. MetwallyらによりJ. Med. Chem., 41, 5084-5093
(1998)に記述されており、そこで上記の4−アミノ基は非置換、一置換、二置換、または複素環の一部である。関連する二環式誘導体がK. FrohlichらによりTetrahedron,
54, 13115-13128 (1998)およびそれに含まれる参考文献に記載されている。式(IA)のスピロ置換ピペリジンが、P.A.J. Janssenによって米国特許第3,155,670号に、K.
A. MetwallyらによってMed Chem., 41, 5084-5093 (1998)に、T. TodaらによってBull. Chem. Soc.
Japan, 44, 3445-3450 (1971)に、およびW. BrandauおよびS. Samnickによって国際公開番号WO9522544号に記述されている。3−アミノアゼチジン−3−カルボキサミドの製造は、A.P.
KozikowskiおよびA.H. FauqによりSynlett, 783-784 (1991)に記載されている。式(IA)の好ましい4−アルキルアミノピペリジン−4−カルボキサミド基の製造は、以下のスキームIIIに示される。相当する3−アルキルアミノアゼチジン−3−カルボキサミドおよび3−アルキルアミノピロリジン−3−カルボキサミドは、類似の方法で製造することができる。
【化5】

【0061】
4−ピペリジノンのアミノ基を最初に保護し、中間体(3a)を提供する。有用な保護基はベンジルである。4−ピペリジノンおよびその誘導体は、様々な供給元(例えば、ニュージャージー州パラマスのInterchem社、およびミズーリ州セントルイスのSigma−Aldrich社)から商業的に購入することができる。次いで、約0℃〜約30℃にて水性HCl/エタノール溶媒混合物中でピペリジノン(3a)を望ましいアルキルアミンおよびシアン化カリウムと反応させる。シアノ基は、酸および水で相当するアミドに転化される。次いで、使用した特定の保護基に対する従来の方法を用いて、保護基を除去する。例えば、ベンジル−保護基は、Pd/Cの存在下にて水素化によって除去することができる。上記の式(3c)を有するいくつかの代表的アミンの詳細な説明は、以下の実施例の「主要中間体の製造」に記載されている。
【0062】
当業者に公知の分離および精製の従来の方法および/または技術を用いて、本発明の化合物、ならびにそれに関連する種々の中間体を単離することができる。かかる技術は当業者によく知られており、例えばすべての種類のクロマトグラフィー(高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、シリカゲルなどの一般的な吸着剤を用いたカラムクロマトグラフィー、および薄層クロマトグラフィー)、再結晶化、および微分(液体間)抽出技術が挙げられる。
【0063】
本発明の化合物は単離され、それ自体で、またはその薬学的に許容できる塩、溶媒和化合物および/または水和物の形で使用される。「塩」という用語は、本発明の化合物の無機および有機塩を意味する。これらの塩は、化合物の最終的な単離および精製の間にその場で、または化合物またはプロドラッグを別々に適切な有機もしくは無機酸または塩基と反応させ、このように形成された塩を単離することによって製造することができる。代表的な塩としては、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、シュウ酸塩、ベシル酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、マロン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、ホウ酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トシル酸塩、ギ酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチレート(naphthylate)、メシレート、グルコヘプトネート(glucoheptonate)、ラクトビオン酸塩、およびラウリルスルホン酸塩等が挙げられる。本発明の化合物の好ましい塩は塩酸塩である。その塩は、アルカリおよびアルカリ土類金属、例えばナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等、ならびに非毒性アンモニウム、第4級アンモニウム、およびアミンカチオン、限定されないが、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミン等をベースとするカチオンを含み得る。例えば、Bergeら, J. Pharm. Sci., 66, 1-19 (1977)を参照されたい。
【0064】
「プロドラッグ」という用語は、in vivoで変換されて、式(I)の化合物、またはその化合物の薬学的に許容できる塩、水和物もしくは溶媒和化合物を生じる化合物を意味する。変換は、血液中の加水分解などによる種々のメカニズムによって起こる。プロドラッグの使用の考察は、T. HiguchiおよびW. Stellaによって"Pro-drugs as Novel Delivery Systems",
Vol. 14 of the A.C.S. Symposium Series,およびBioreversible Carriers in Drug
Design, ed. Edward B. Roche, American Pharmaceutical Association and Pergamon
Press, 1987に提供されている。
【0065】
例えば、本発明の化合物がカルボン酸官能基を含有する場合、プロドラッグは、(C−C)アルキル、(C−C12)アルカノイルオキシメチル、炭素原子4〜9個を有する1−(アルカノイルオキシ)エチル、炭素原子5〜10個を有する1−メチル−1−(アルカノイルオキシ)−エチル、炭素原子3〜6個を有するアルコキシカルボニルオキシメチル、炭素原子4〜7個を有する1−(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、炭素原子5〜8個を有する1−メチル−1−(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、炭素原子3〜9個を有するN−(アルコキシカルボニル)アミノメチル、炭素原子4〜10個を有する1−(N−(アルコキシカルボニル)アミノ)エチル、3−フタリジル、4−クロトノラクトニル(crotonolactonyl)、γ−ブチロラクトン−4−イル、ジ−N,N−(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル(β−ジメチルアミノエチルなど)、カルバモイル−(C−C)アルキル、N,N−ジ(C−C)アルキルカルバモイル−(C−C)アルキルおよびピペリジノ−、ピロリジノ−またはモルホリノ(C−C)アルキルなどの基で、酸基の水素原子を置換することによって形成されるエステルを含むことができる。
【0066】
同様に、本発明の化合物がアルコール官能基を含有する場合、プロドラッグは、(C−C)アルカノイルオキシメチル、1−((C−C)アルカノイルオキシ)エチル、1−メチル−1−((C−C)アルカノイルオキシ)エチル、(C−C)アルコキシカルボニルオキシメチル、N−(C−C)アルコキシカルボニルアミノメチル、スクシノイル、(C−C)アルカノイル、α−アミノ(C−C)アルカノイル、アリールアシルおよびα−アミノアシル、またはα−アミノアシル−α−アミノアシル[ただし、それぞれのα−アミノアシル基は、天然L−アミノ酸、P(O)(OH)、P(O)(O(C−C)アルキル)またはグリコシル(炭水化物のヘミアセタール形のヒドロキシル基の除去から得られるラジカル)から選択される]などの基で、アルコール基の水素原子を置換することによって形成することができる。
【0067】
本発明の化合物がアミン官能基を組み込む場合、プロドラッグは、R−カルボニル、RO−カルボニル、NRR’−カルボニル[RおよびR’はそれぞれ独立して、(C−C10)アルキル、(C−C)シクロアルキル、ベンジルであるか、またはR−カルボニルが、天然α−アミノアシルまたは天然α−アミノアシル−天然α−アミノアシル、−C(OH)C(O)OY’(Y’はH、(C−C)アルキルまたはベンジル、−C(OY)Yであり、ただしYは(C−C)アルキルであり、Yは、(C−C)アルキル、カルボキシ(C−C)アルキル、アミノ(C−C)アルキルまたはモノ−N−もしくはジ−N,N−(C−C)アルキルアミノアルキル、−C(Y)Y)であり、ただしYはHまたはメチルであり、Yはモノ−N−もしくはジ−N,N−(C−C)アルキルアミノ、モルホリノ、ピペリジン−1−イルまたはピロリジン−1−イルである)]などの基でアミン基の水素原子を置換することによって形成することができる。
【0068】
本発明の化合物は、不斉中心またはキラル中心を含有する場合があり、したがって、異なる立体異性の形態で存在する。本発明の化合物のすべての立体異性の形態、ならびにラセミ混合物を含むその混合物が本発明の一部を形成することが意図される。さらに、本発明は、すべての幾何および位置異性体を包含する。例えば、本発明の化合物が二重結合または縮合環を組み込む場合、シスおよびトランス型の両方、ならびに混合物が本発明の範囲内に包含される。窒素含有複素環のN−酸化から生じる単一の位置異性体および位置異性体の混合物の両方もまた、本発明の範囲内である。
【0069】
ジアステレオマー混合物は、クロマトグラフィーおよび/または分別結晶化などの、当業者に公知の方法によってその物理的化学的差異に基づいて、それらの個々のジアステレオ異性体に分離することができる。鏡像異性体は、適切な光学活性化合物(例えば、キラルアルコールまたはモシャー(Mosher)の酸塩化物などのキラル補助基)との反応により鏡像異性混合物をジアステレオ異性混合物に変換し、ジアステレオ異性体を分離し、個々のジアステレオ異性体をそれに相当する純粋な鏡像異性体に変換(加水分解)することによって、分離することができる。さらに、本発明の化合物のいくつかは、アトロプ異性体(例えば、置換ビアリール)であってもよく、本発明の一部とみなされる。鏡像異性体は、キラルHPLCカラムを使用することによって分離することもできる。
【0070】
本発明の化合物は、非溶媒和型、ならびに水、エタノール等の薬学的に許容できる溶媒との溶媒和型で存在することができ、本発明は、非溶媒和型と溶媒和型の両方を包含することが意図される。
【0071】
本発明の化合物は異なる互変異性型で存在することも可能であり、かかるすべての型が本発明の範囲内に包含される。例えば、トリアジノン部位の互変異性型のすべてが本発明に包含される。また、例えば、本発明の化合物のすべてのケト−エノール形およびイミン−エナミン形が本発明に包含される。
1つまたは複数の原子が、天然に通常見出される原子質量または質量数と異なる原子質量または質量数を有する原子によって置き換えられるという事実を除いては、本発明は、本明細書に列挙した化合物と同一の本発明の同位体標識化合物も包含する。本発明の化合物に組み込むことができる同位元素の例としては、それぞれH、H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、31P、32P、35S、18F、123I、125Iおよび36Clなどの水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、ヨウ素、および塩素の同位元素が挙げられる。
【0072】
本発明の特定の同位体標識化合物(例えば、Hおよび14Cで標識された化合物)は、化合物および/または基質組織分布アッセイにおいて有用である。トリチウム化(すなわち、H)および炭素14(すなわち、14C)同位元素が、それらの製造の容易さおよび検出性から特に好ましい。さらに、重水素(すなわち、H)などの重い同位元素での置換によって、より高い代謝安定性から得られる特定の治療上の利点(例えば、in vivo半減期の増加または所要投与量の低減)が得られ、このため、その置換は場合によっては好ましい。15O、13N、11C、および18Fなどの陽電子放出同位元素は、基質受容体の占有率を調べるための陽電子断層撮影法(PET)に有用である。同位体標識された本発明の化合物は一般に、本明細書におけるスキームおよび/または実施例で以下に開示される手順と類似の手順に従い、非同位体標識試薬の代わりに同位体標識試薬を使用することによって製造することができる。
【0073】
本発明の他の態様は、カンナビノイド受容体アンタゴニストによって調節される動物における疾患、症状および/または障害を治療する方法であって、かかる治療が必要な動物に、治療有効量の本発明の化合物、または有効量の本発明の化合物および薬学的に許容できる賦形剤、希釈剤、または担体を含有する医薬組成物を投与することを含む方法である。この方法は特に、カンナビノイド受容体(特に、CB1受容体)アンタゴニストによって調節される疾患、症状および/または障害を治療するのに有用である。
【0074】
事前研究によって、以下の疾患、症状および/または障害:摂食障害(例えば、無茶食い障害、食欲不振、および大食症)、体重減少または制御(例えば、カロリーまたは食物摂取の低減、および/または食欲抑制)、肥満症、鬱病、非定型鬱病、双極性障害、精神病、統合失調症、行為嗜癖(behavioral addiction)、報酬関連行動の抑制(例えば、コカインおよびモルヒネにより誘発される条件付け場所嗜好の抑制などの条件付け場所回避)、物質乱用、嗜癖障害、衝動性、アルコール症(例えば、アルコール摂取の禁断、欲求低減および再発予防のための治療を含む、アルコール中毒、嗜癖、および/または依存症)、タバコ乱用(例えば、タバコの喫煙の欲求低減および再発予防のための治療を含む、喫煙中毒、休止および/または依存症)、認知症(物忘れ、アルツハイマー病、老化性認知症、血管性認知症、軽度の認知障害、加齢性認知低下、および軽度の神経認知障害を含む)、男性の性機能障害(例えば、勃起不全)、発作、癲癇、炎症、胃腸障害(例えば、胃腸の運動性または腸管の推進力の機能不全)、注意欠陥障害(注意欠陥多動障害(ADHD)を含むADD)、パーキンソン病、およびII型糖尿病が、カンナビノイド受容体アンタゴニストによって調節されることが示されている。したがって、本明細書に記載の本発明の化合物は、カンナビノイド受容体アンタゴニストによって調節される疾患、状態または障害の治療に有用である。その結果、本発明の化合物(組成物およびそれに用いられるプロセスを含む)を本明細書に記載の治療用途に用いられる薬物の製造に使用することができる。
【0075】
カンナビノイド受容体アンタゴニストが有効な他の疾患、症状および/または障害としては:月経前症候群または黄体期後期違和障害、片頭痛、パニック障害、不安、外傷後症候群、対人恐怖、認知症ではない個人における認知障害、非健忘性の軽度の認知障害、術後認知低下、衝動行動と関連する障害(例えば、分裂的行動障害(例えば、不安/鬱病、管理的機能の改善(executive function improvement)、チック障害、行動障害および/または反抗挑戦性障害)、成人人格障害(例えば、境界型人格障害および反社会的人格障害)、衝動行動と関連する疾患(例えば、物質乱用、性欲倒錯および自傷)、および衝動調節障害(例えば、間欠的爆発性障害(intermittene explosive disorder)、盗癖、放火癖、病的賭博、および抜毛癖))、強迫性障害、慢性疲労症候群、男性における性機能障害(例えば、早発射精)、女性における性機能障害、睡眠の障害(例えば、睡眠時無呼吸)、自閉症、無言症、神経変性運動障害、脊椎損傷、中枢神経系の損傷(例えば、外傷)、脳卒中、神経変性疾患または毒性もしくは伝染性CNS疾患(例えば、脳炎または髄膜炎)、心臓血管性疾患(例えば、血栓症)、および糖尿病が挙げられる。
【0076】
したがって、本明細書に記載の本発明の化合物は、カンナビノイド受容体アンタゴニストによって調節される疾患、状態または障害の治療に有用である。その結果として、本発明の化合物(組成物およびそれに用いられるプロセスを含む)を本明細書に記載の治療用途に用いられる薬物の製造に使用することができる。
【0077】
本発明の化合物は、1日約0.7mg〜約7,000mgの範囲の投薬量レベルで患者に投与することができる。体重約70kgの正常な成人については、体重1キログラム当たり約0.01mg〜約100mgの範囲の投薬量で通常十分である。しかしながら、一般的な投薬量範囲のいくらかの変動が、治療される対象の年齢および体重、意図される投与経路、投与される特定の化合物等に応じて必要である。特定の患者に対する投薬量範囲および最適投薬量の決定は、本発明の開示内容の特典を有する当業者の能力内に十分にある。本発明の化合物は、徐放性、放出制御、および遅延放出製剤において使用することができ、その形態もまた当業者によく知られていることも留意されたい。
【0078】
本発明の化合物は、本明細書に記載の疾患、症状および/または障害の治療のために、他の薬剤と組み合わせて使用することもできる。したがって、他の薬剤と併せて本発明の化合物を投与することを含む治療方法も提供される。本発明の化合物と併せて使用される適切な薬剤としては、抗肥満薬、例えばアポリポタンパク質B分泌/ミクロソームトリグリセリド輸送蛋白(アポB/MTP)阻害剤、11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ−1(1型11β−HSD)阻害剤、ペプチドYY3−36またはその類似体、MCR−4アゴニスト、コレシストキニン−A(CCK−A)アゴニスト、モノアミン再取り込み阻害剤(シブトラミンなど)、交感神経作用薬、βアドレナリン作動性受容体アゴニスト、ドーパミンアゴニスト(ブロモクリプチンなど)、メラニン細胞刺激ホルモン受容体類似体、5HT2cアゴニスト、メラニン凝集ホルモンアンタゴニスト、レプチン(OBタンパク質)、レプチン類似体、レプチン受容体アゴニスト、)ガラニンアンタゴニスト、リパーゼ阻害剤(テトラヒドロリプスタチン、すなわちオーリスタットなど)、食欲抑制薬(ボンベシンアゴニストなど)、神経ペプチドY受容体アンタゴニスト(例えば、米国特許第6,566,367;6,649,624;6,638,942;6,605,720;6,495,559;6,462,053;6,388,077;6,335,345;および6,326,375号;米国特許公開番号2002/0151456および2003/036652号;国際公開番号WO03/010175、WO03/082190およびWO02/048152号に記載のスピロ化合物などのNPY Y5受容体アンタゴニスト)、甲状腺ホルモン様剤(thyromimetic agent)、デヒドロエピアンドロステロンまたはその類似体、グルココルチコイド受容体アンタゴニストまたはアンタゴニスト、オレキシン受容体アンタゴニスト、グルカゴン様ペプチド−1受容体アゴニスト、毛様体神経栄養性因子(ニューヨーク州タリータウンのRegeneron Pharmaceuticals社およびオハイオ州シンシナティのProcter&Gamble社から入手可能なAxokine(商標)など)、ヒトアグーチ関連タンパク質(AGRP)、グレリン受容体アンタゴニスト、ヒスタミン3受容体アンタゴニストまたは逆アゴニスト、ニューロメジンU受容体アゴニスト等が挙げられる。本明細書において以下に示す好ましい薬剤を含む他の抗肥満薬は当業者によく知られているか、または本発明の開示内容に照らして容易に理解されよう。
【0079】
オーリスタット、シブトラミン、ブロモクリプチン、エフェドリン、レプチン、プソイドエフェドリン;ペプチドYY3−36またはその類似体;および2−オキソ−N−(5−フェニルピラジニル)スピロ−[イソベンゾフラン−1(3H),4’−ピペリジン]−1’−カルボキサミドからなる群から選択される抗肥満薬が特に好ましい。本発明の化合物および併用療法は、運動および堅実な食事と組み合わせて施される。
【0080】
組み合わせて使用される代表的な抗肥満薬、医薬組成物、および本発明の方法は、当業者に公知の方法を使用して製造することができ、例えばシブトラミンは、米国特許第4,929,629号に記載のように製造することができ;ブロモクリプチンは、米国特許第3,752,814号および米国特許第3,752,888号に記載のように製造することができ;オーリスタットは、米国特許第5,274,143;5,420,305;5,540,917;および5,643,874号に記載のように製造することができ;PYY3−36(類似体を含む)は、米国特許公開番号2002/0141985号および国際公開番号WO03/027637号に記載のように製造することができ;NPY Y5受容体アンタゴニスト2−オキソ−N−(5−フェニルピラジニル)スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),4’−ピペリジン]−1’−カルボキサミドは、米国特許公開番号2002/0151456号に記載のように製造することができる。他の有用なNPY Y5受容体アンタゴニストとしては、3−オキソ−N−(5−フェニル−2−ピラジニル)−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),4’−ピペリジン]−1’−カルボキサミド;3−オキソ−N−(7−トリフルオロメチルピリド[3,2−b]ピリジン−2−イル)−スピロ−[イソベンゾフラン−1(3H),4’−ピペリジン]−1’−カルボキサミド;N−[5−(3−フルオロフェニル)−2−ピリミジニル]−3−オキソスピロ−[イソベンゾフラン−1(3H),[4’−ピペリジン]−1’−カルボキサミド;トランス−3’−オキソ−N−(5−フェニル−2−ピリミジニル)]スピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−カルボキサミド;トランス−3’−オキソ−N−[1−(3−キノリル)−4−イミダゾリル]スピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−カルボキサミド;トランス−3−オキソ−N−(5−フェニル−2−ピラジニル)スピロ[4−アザイソ−ベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−カルボキサミド;トランス−N−[5−(3−フルオロフェニル)−2−ピリミジニル]−3−オキソスピロ[5−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−カルボキサミド;トランス−N−[5−(2−フルオロフェニル)−2−ピリミジニル]−3−オキソスピロ[5−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−カルボキサミド;トランス−N−[1−(3,5−ジフルオロフェニル)−4−イミダゾリル]−3−オキソスピロ[7−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−カルボキサミド;トランス−3−オキソ−N−(1−フェニル−4−ピラゾリル)スピロ[4−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−カルボキサミド;トランス−N−[1−(2−フルオロフェニル)−3−ピラゾリル]−3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−カルボキサミド;トランス−3−オキソ−N−(l−フェニル−3−ピラゾリル)スピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−カルボキサミド;トランス−3−オキソ−N−(2−フェニル−1,2,3−トリアゾール−4−イル)スピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−カルボキサミド;その薬学的に許容できる塩およびエステルなど、国際公開番号WO03/082190号に記載のものが挙げられる。上に列記した米国特許および公開公報のすべてが参照により本明細書に組み込まれる。
【0081】
本発明の化合物と併せて投与することができる他の適切な薬剤としては、タバコ乱用の治療のためにデザインされた薬剤(例えば、ニコチン受容体部分アゴニスト、塩酸ブプロピオン(商品名Zyban(商標)でも知られる)およびニコチン代替療法)、勃起機能不全を治療するための薬剤(例えば、アポモルヒネなどのドーパミン作動薬)、ADD/ADHD治療薬(例えば、Ritalin(商標)、Strattera(商標)、Concerta(商標)およびAdderall(商標))、およびアルコール症を治療する薬剤、例えばオピオイドアンタゴニスト(例えば、ナルトレキソン(商品名ReVia(商標)でも知られている)およびナルメフェン)、ジスルフィラム(商品名Antabuse(商標)でも知られている)、およびアカンプロセート(商品名Campral(商標)でも知られている))が挙げられる。さらに、ベンゾジアゼピン、β遮断薬、クロニジン、カルバマゼピン、プレガバリン、およびガバペンチン(Neurontin(商標))などのアルコール禁断症状を低減する薬剤も同時投与することができる。アルコール症の治療は好ましくは、意欲向上療法(motivational enhancement therapy)、認知行動療法、および断酒会(AA)などの自助グループへの紹介のような構成要素を含む行動療法と併せて施される。
【0082】
有用な他の薬剤としては、抗高血圧薬;抗炎症剤(例えば、COX−2阻害剤);抗うつ薬(例えば、塩酸フルオキセチン(Prozac(商標)));認知改善薬(例えば、塩酸ドネペジル(Aricept(商標))および他のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤);神経保護剤(例えば、メマンチン);抗精神病薬(例えば、ジブラシドン(Geodon(商標))、リスペリドン(Risperdal(商標))、およびオランザピン(Zyprexa(商標));インスリンおよびインスリン類似体(例えば、LysProインスリン);GLP−1(7−37)(インシュリノトロピン)およびGLP−1(7−36)−NH;スルホニル尿素およびその類似体:クロルプロパミド、グリベンクラミド、トルブタミド、トラザミド、アセトヘキサミド、Glypizide(登録商標)、グリメピリド、レパグリニド、メグリチニド;ビグアニド:メトホルミン、フェンホルミン、ブホルミン;α2−アンタゴニストおよびイミダゾリン:ミダグリゾール、イサグリドール、デリグリドール、イダゾキサン、エファロキサン、フルパロキサン(fluparoxan);他のインスリン分泌促進薬:リノグリライド(linogliride)、A−4166;グリタゾン類:シグリタゾン、Actos(登録商標)(ピオグリタゾン)、エングリタゾン(englitazone)、トログリタゾン、ダーグリタゾン(darglitazone)、Avandia(登録商標)(BRL49653);脂肪酸酸化阻害剤:クロモキシル、エトモキシル;α−グルコシダーゼ阻害剤:アカルボース、ミグリトール、エミグリテート、ボグリボース、MDL−25,637、カミグリボース(camiglibose)、MDL−73,945;β−アゴニスト:BRL 35135、BRL 37344、RO 16−8714、ICI D7114、CL 316,243;ホスホジエステラーゼ阻害剤:L−386,398;脂質低下剤:ベンフルオレクス:フェンフルラミン;バナジン酸塩およびバナジウム複合体(例えば、Naglivan(登録商標))およびペルオキソバナジウム複合体;アミリンアンタゴニスト;グルカゴンアンタゴニスト;糖新生阻害剤;ソマトスタチン類似体;抗脂肪分解剤:ニコチン酸、アシピモックス(acipimox)、WAG 994、プラムリンチド(Symlin(商標))、AC 2993、ナテグリニド、アルドースレダクターゼ阻害剤(例えば、zopolrestat)、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、ソルビトールデヒドロゲナーゼ阻害剤、ナトリウム−水素交換1型(NHE−1)阻害剤および/またはコレステロール生合成阻害剤またはコレステロール吸収阻害剤、特に、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(例えば、アトルバスタチンまたはそのヘミカルシウム塩)、またはHMG−CoAシンターゼ阻害剤、またはHMG−CoAレダクターゼまたはシンターゼ遺伝子発現阻害剤、CETP阻害剤、胆汁酸抑制薬、フィブレート剤、ACAT阻害剤、スクアレンシンテターゼ阻害剤、酸化防止剤またはナイアシンが挙げられる。本発明の化合物は血漿コレステロール値を下げる作用を有する天然化合物と併せて投与することもできる。かかる天然化合物は一般に、栄養補助剤と呼ばれ、例えば、ニンニク抽出物、ホーディア属植物抽出物、およびナイアシンが挙げられる。
【0083】
更なる薬剤の投薬量(例えば、抗肥満薬)もまた一般に、治療される対象の健康、望まれる治療の程度、あるとすれば、併用治療の性質および種類、治療の頻度および望まれる効果の性質を含む多くの因子に依存するだろう。一般に、抗肥満薬の投薬量範囲は、1日当たり、個体の体重1kg当たり約0.001mg〜約100mg、好ましくは個体の体重1kg当たり約0.1mg〜約10mgの範囲である。しかしながら、一般的な投薬量範囲のいくらかの変動もまた、治療される対象の年齢および体重、意図される投与経路、投与される特定の抗肥満薬等に応じて必要である。特定の患者に対する投薬量範囲および最適投薬量の決定も、本発明の開示内容の特典を有する当業者の能力内に十分にある。
【0084】
上述のように、本発明の化合物は、カンナビノイド受容体アンタゴニストによって調節される疾患、症状および/または障害の治療に有用であり;したがって、本発明の他の実施形態は、治療有効量の本発明の化合物、および薬学的に許容できる賦形剤、希釈剤または担体を含有する医薬組成物である。代替方法として、本発明の化合物は、医薬組成物の形で投与されることも好ましい、少なくとも1種類の更なる薬剤(本明細書において「併用薬(combination)」と呼ばれる)と併せて投与することができる。本発明の化合物または併用薬は、従来の経口、直腸、経皮、非経口的(例えば、静脈内、筋肉内、または皮下)槽内、腟内、腹腔内、膀胱内、局所(例えば、粉末、軟膏またはドロップ)、または口腔もしくは経鼻投与用剤型で投与することができる。本発明の組み合わせの態様において、本発明の化合物および少なくとも1種類の他の薬剤(例えば、上述の抗肥満薬)は、別々に、またはどちらも含有する医薬組成物として投与することができる。かかる投与は経口投与であることが一般に好ましい。しかしながら、治療される対象が飲み込むことができない場合、あるいは経口投与が損なわれる、または望ましくない場合には、非経口的投与または経皮投与が適している。
【0085】
併用薬が投与される場合には、かかる投与は、逐次的または同時に行われるが、一般的には同時投与法が好ましい。逐次投与については、併用薬はいずれの順序でも投与することができる。かかる投与は経口投与であることが一般に好ましい。かかる投与は経口および同時投与であることが特に好ましい。併用薬が逐次投与される場合、本発明の化合物および更なる薬剤の投与は、同じ方法または異なる方法によって行うことができる。
【0086】
一般的な製剤は、本発明の化合物および賦形剤、希釈剤または担体を混合することによって製造される。適切な賦形剤、希釈剤および担体は当業者によく知られており、炭水化物、ワックス、水溶性および/または膨潤性ポリマー、親水性もしくは疎水性材料、ゼラチン、油、溶媒、水等の材料が挙げられる。使用される特定の賦形剤、希釈剤または担体は、本発明の化合物が適用される手段および目的に応じて異なる。溶媒は一般に、哺乳動物に投与するのに安全(GRAS)と当業者によって認められる溶媒に基づいて選択される。一般に、安全な溶媒は、水などの非毒性水性溶媒、および水溶性および水混和性の他の非毒性溶媒である。適切な水性溶媒としては、水、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(例えば、PEG400、PEG300)等およびその混合物が挙げられる。この製剤は、1種または複数種の緩衝剤、安定化剤、界面活性剤、湿潤剤、潤滑剤、乳化剤、懸濁化剤、保存剤、酸化防止剤、不透明化剤、流動促進剤(glidant)、加工助剤、着色剤、甘味料、香料剤(perfuming agent)、着香料および薬物(すなわち、本発明の化合物またはその医薬組成物)を簡潔に提供するための、または医薬品(すなわち、薬物)の製造を助けるための、他の公知の添加剤も含むことができる。
【0087】
従来の溶解および混合手順を用いて、この製剤を製造することができる。例えば、バルク原料(すなわち、本発明の化合物またはその化合物の安定化形態(例えば、シクロデキストリン誘導体または他の公知の複合体形成剤との複合体))を、上述の1種または複数種の賦形剤の存在下で適切な溶媒に溶解する。
【0088】
非経口的注入に適した組成物は一般に、薬学的に許容できる滅菌水溶液または非水溶液、分散液、懸濁液、またはエマルジョンを含む。その組成物は一般に、注入可能な滅菌溶液または分散液に再構成するために滅菌賦形剤、希釈剤または担体を含む。適切な水性および非水性賦形剤、希釈剤または担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール等)、その適切な混合物、植物油(オリーブ油など)およびオレイン酸エチルなどの注入可能な有機エステルが挙げられる。例えば、レシチンなどのコーティングを使用することによって、分散液の場合には必要な粒径を維持することによって、および界面活性剤を使用することによって、適切な流動性を維持することができる。
【0089】
これらの組成物は、防腐剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤などの補助剤も含有してもよい。組成物の微生物汚染の防止は、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などの種々の抗菌剤および抗真菌剤で行うことができる。等張化剤、例えば、糖質、塩化ナトリウム等を含むことも望ましい。注入可能な医薬組成物の遅延性吸収は、吸収を遅らせることができる薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを使用することによってもたらすことができる。
【0090】
経口投与用の固形製剤としては、カプセル剤、錠剤、散剤、および顆粒剤が挙げられる。かかる固形製剤において、本発明の化合物または併用薬は、少なくとも1種類の薬学的に許容できる賦形剤、希釈剤または担体と混合される。適切な賦形剤、希釈剤、または担体としては、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウム、または(a)充填剤または増量剤(例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、マンニトール、ケイ酸等);(b)結合剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、アルジネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、アラビアゴム等);(c)湿潤剤(例えば、グリセロール等);(d)崩壊剤(例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカのデンプン、アルギン酸、特定の複合ケイ酸塩、炭酸ナトリウム等);(e)溶液凝固遅延剤(例えば、パラフィン等);(f)吸収促進剤(例えば、第4級アンモニウム化合物等);(g)湿潤剤(例えば、セチルアルコール、モノステアリン酸グリセロール等);(h)吸着剤(例えば、カオリン、ベントナイト等);および/または(i)潤滑剤(例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム等)が挙げられる。カプセル剤および錠剤の場合には、その剤形は緩衝剤も含むことができる。
【0091】
ラクトースまたは乳糖ならびに高分子量リエチレングリコールのような賦形剤を使用して、ソフトまたはハードゼラチンカプセル中で賦形剤として同様な種類の固体組成物も使用することができる。
【0092】
錠剤、糖衣丸、カプセル剤、および顆粒剤などの固形製剤は、腸溶コーティングなどのコーティングおよびシェルおよび当技術分野でよく知られている他のものを用いて製造することができる。それらは、不透明化剤も含有することができ、それらが遅延した仕方で本発明の化合物および/または更なる薬剤を放出するような、かかる組成物であることもできる。使用することができる包埋組成物の例は、ポリマー物質およびワックスである。この薬物は、適切であれば上記の賦形剤の1つまたは複数を有する、マイクロカプセル化形であることもできる。
【0093】
経口投与用の液体製剤としては、薬学的に許容できる乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤、およびエリキシル剤が挙げられる。本発明の化合物または併用薬の他に、液体製剤は賦形剤、希釈剤または担体を含有することができる。適切な賦形剤、希釈剤または担体としては、添加剤、例えば水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(例えば、綿実油、ラッカセイ油、コーン胚油、オリーブ油、ヒマシ油、ゴマ油等)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、またはこれらの物質の混合物等が挙げられる。他の適切な添加剤(すなわち、賦形剤、希釈剤または担体)としては、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、甘味剤、着香料、および香料剤が挙げられる。
【0094】
本発明の化合物または併用薬の他に、懸濁液はさらに、懸濁化剤、例えば、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシレチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天、およびトラガカントゴム、またはこれらの物質の混合物等を含み得る。直腸または経膣投与用の組成物は好ましくは、適切な非刺激性賦形剤、希釈剤、もしくは担体、例えばカカオ脂、または通常の室温では固体であり体温では液体であり、したがって直腸または膣腔において融解し、それによって活性成分(1つまたは複数)が放出される坐剤ワックスと、本発明の化合物または併用薬とを混合することによって製造することができる坐剤を含む。
【0095】
本発明の化合物の局所投与および本発明の化合物と抗肥満薬との併用のための剤形は、軟膏、散剤、スプレー剤および吸入剤を含み得る。この薬物は、無菌条件下にて、薬学的に許容できる賦形剤、希釈剤または担体、およびいずれかの保存剤、バッファー、または必要とされる場合がある噴射剤と混合される。眼製剤、即ち眼軟膏、散剤および点眼液もまた、本発明の範囲内に包含されることが意図される。
【0096】
本発明の化合物または併用薬は通常、容易に投薬量を制御できる薬物を提供し、かつ患者に簡易かつ容易に取り扱い可能な製品が提供されるように、薬学的剤形に配合される。次いで、薬物を投与するために使用される方法に応じて様々な方法で、適用のための医薬組成物(または製剤)がパッケージされる。一般に、販売用の製品は、適切な形態の医薬製剤をその中に収容する容器を備える。適切な容器は当業者によく知られており、ボトル(プラスチックおよびガラス)、サッシェ、アンプル、プラスチック製の袋、金属製シリンダー等などを含む。容器は、パッケージの内容物への無分別なアクセスを防ぐために、不正開封防止組立品(tamper−proof assemblage)も備え得る。さらに、容器には、容器の内容物を記載したラベルがその上に付けられている。ラベルは適切な注意書きも含み得る。
【0097】
以下のパラグラフには、非ヒト動物に有用な、例示的な製剤、投薬量等が記述される。本発明の化合物または併用薬(すなわち、少なくとも1種類の更なる薬剤と共に本発明の化合物)の投与は経口的または非経口的に(例えば、注入により)行うことができる。
【0098】
ある量の本発明の化合物(または併用薬)が、有効用量が得られるように投与される。一般に、動物に経口投与される1日量は、約0.01〜約1,000mg/体重kg、好ましくは約0.01〜約300mg/体重kgである。
【0099】
好都合なことに、本発明の化合物(または併用薬)は飲料水で運搬することができ、そのため、治療量の化合物は日常の給水で摂取される。化合物は、好ましくは液体の水溶性濃縮物(水溶性塩の水溶液など)の形で、飲料水に直接計り入れることができる。
好都合なことに、本発明の化合物(または併用薬)は、そのままで、またはプレミックスもしくは濃縮物とも呼ばれる、動物の飼料サプリメントの形で飼料に直接添加することもできる。化合物と賦形剤、希釈剤または担体とのプレミックスまたは濃縮物は、飼料中に薬剤を含ませるために広く用いられている。適切な担体は、希望する通りに液体または固体であり、例えば水、アルファルファ飼料、ダイズ飼料、綿実油飼料、アマニ油飼料、トウモロコシの穂軸飼料、トウモロコシ飼料、糖蜜、尿素、骨粉、および家禽飼料で一般に使用されるようなミネラルミックスなどの様々な飼料が挙げられる。特に有効な担体は、それぞれの動物飼料自体である:すなわち、かかる飼料の少量部分である。プレミックスがそれとブレンドされる完成飼料における化合物の均一な分布が、担体によって促進される。好ましくは、化合物はプレミックスに完全にブレンドされ、続いて飼料にブレンドされる。この点で、化合物は、ダイズ油、コーン油、綿実油等の適切な油性賦形剤に、または揮発性有機溶媒に分散または溶解され、次いで担体とブレンドされる。完成飼料における化合物の量は、化合物の目的のレベルを得るために、適切な割合のプレミックスと飼料とをブレンドすることによって調節されることから、濃縮物における化合物の割合は、幅広く変動させることができることは理解されよう。
【0100】
飼料製造者によって、上述のようなダイズ油食および他の食餌などのタンパク質担体と高い効力の濃縮物をブレンドし、動物に直接与えるのに適している濃縮サプリメントを製造することができる。このような場合には、動物は通常の食餌を摂取することが許される。代替方法としては、かかる濃縮サプリメントを飼料に直接添加して、治療上有効なレベルの本発明の化合物を含有する、栄養上バランスの取れた完成飼料を製造することができる。その混合物を、V形ブレンダーなどにおいて標準法によって完全にブレンドし、確実に均一にする。
【0101】
サプリメントを飼料にトップドレッシングとして使用する場合、それは同様に、ドレッシングされた試料の上部にわたって確実に化合物を均一に分布させるのに役立つ。
【0102】
赤身肉の沈着を増加させ、かつ赤身肉と脂肪との比を改善するのに有効な飲料水および飼料は一般に、飼料または水中に化合物約10−3〜約500ppmを提供するのに十分な量の動物飼料と本発明の化合物とを混合することによって調製される。
【0103】
投薬される好ましいブタ、ウシ、ヒツジおよびヤギの飼料は一般に、飼料1トン当たり本発明の化合物(または併用薬)約1〜約400グラムを含有し、これらの動物に対する最適量は通常、飼料1トン当たり約50〜約300グラムである。
【0104】
好ましい家禽および家庭内ペットの飼料は通常、飼料1トン当たり本発明の化合物(または併用薬)約1〜約400グラム、好ましくは約10〜約400グラムを含有する。
【0105】
動物における非経口投与の場合には、本発明の化合物(または併用薬)をペーストまたはペレットの形で製造し、赤身肉の沈着の増加および赤身肉と脂肪との比の改善が求められる動物の通常頭または耳の皮膚の下に、インプラントとして投与することができる。
【0106】
一般に、非経口投与は、薬物約0.01〜約20mg/体重kg/日を動物に与えるのに十分な量の本発明の化合物(または併用薬)を注入することを含む。家禽、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギおよび家庭内のペットに対する好ましい投薬量は、薬物約0.05〜約10mg/体重kg/日の範囲内である。
【0107】
ペースト製剤は、ラッカセイ油、ゴマ油、コーン油等の薬学的に許容できる油に薬物を分散することによって製造することができる。
【0108】
有効量の本発明の化合物、医薬組成物、または併用薬を含有するペレットは、添加してペレット化プロセスを改善することができる、カルナウバワックス等の希釈剤、およびステアリン酸マグネシウムもしくはカルシウムなどの潤滑剤と本発明の化合物または併用薬を混合することによって製造することができる。
【0109】
当然のことながら、1種類を超えるペレットを動物に投与して、目的の用量レベルが達成され、それによって望まれる赤身肉の沈着の増加および赤身肉対脂肪比の改善が得られるであろうことが認識される。さらに、インプラントは、動物の体内の適切な薬物レベルを維持するために、動物の治療期間中、定期的に行うこともできる。
【0110】
本発明は、いくつかの有利な獣医学的特徴を有する。ペッド動物を痩せさせおよび/またはペット動物から不要な脂肪を取り除くことを望むペットの飼い主または獣医師にとって、本発明は、これが達成される手段を提供する。家禽、ウシ、およびブタのブリーダーにとって、本発明の方法を利用することによって、食肉産業において高い販売価格で売れる脂肪の少ない動物が得られる。
【0111】
本発明の実施形態は以下の実施例によって説明される。しかしながら、本発明の実施形態は、その他の変形形態は、当業者には、知られ、本発明の開示内容に照らして明らかであることから、これらの実施例の具体的な詳細に限定されないことが理解される。
【実施例】
【0112】
別段の指定がない限り、出発原料は一般に、Aldrich Chemicals社(ウィスコンシン州ミルウォーキー)、Lancaster Synthesis社(ニューハンプシャー州ウィンダム)、Acros Organics社(ニュージャージー州フェアローン)、Maybridge Chemical社(英国コーンウォール)、Tyger Scientific社(ニュージャージー州プリンストン)、およびAstraZeneca Pharmaceuticals社(英国ロンドン)などの製造元から入手可能である。
【0113】
一般的な実験手順
Varian Unity(商標)400または500(カリフォルニア州パロアルトのVarian社から市販されている)で、室温でそれぞれ400および500MHzHにて、NMRスペクトルを記録した。化学シフトは、内部標準としての残留溶媒に対してppm(δ)で表される。ピークの形は以下のように:s,一重項;d,二重項;t,三重項;q,四重項;m,多重項;br s,広い一重項;v br s,非常に広い一重項;br m,広い多重項;2s,2つの一重項と示される。場合によっては、代表的なH NMRピークのみが示される。
【0114】
質量スペクトルは、ポジティブおよびネガティブ大気圧化学イオン化(APcI)スキャンモードを用いて直接的なフロー分析によって記録した。Gilson215リキッドハンドリングシステムを備えたWaters APcI/MS型ZMD質量分析計を使用して、実験を行った。
【0115】
質量分析は、クロマトグラフ分離のためのRP−HPLC勾配法によっても得られた。分子量同定は、ポジティブおよびネガティブエレクトロスプレーイオン化(ESI)スキャンモードによって記録した。Gilson215リキッドハンドリングシステムおよびHP1100DADを備えたWaters/Micromass ESI/MS型ZMDまたはLCZ質量分析計を使用して、実験を行った。
【0116】
塩素もしくは臭素含有イオンの強度が記載される場合、期待強度比が観察され(35Cl/37Cl含有イオンでは約3:1、79Br/81Br含有イオンでは1:1)、低い質量イオンのみが示される。MSピークはすべての実施例に関して記録される。
【0117】
指定の温度でナトリウムD線(λ=589nm)を用いて、PerkinElmer(商標)241旋光計(マサチューセッツ州ウェルズリーのPerkinElmer社から市販されている)で旋光度が決定され、以下のように[α]温度、濃度(c=g/100ml)、および溶媒として報告される。
【0118】
ガラスカラムまたはBiotage(商標)カラム(ISC社,コネチカット州シェルトン)において低い窒素圧力下にて、Baker(商標)シリカゲル(40μm;J.T.Baker社,ニュージャージー州フィリップスバーグ)またはSilica Gel50(EM Sciences(商標),ニュージャージー州ギブスタウン)のいずれかを用いて、カラムクロマトグラフィーを行った。Chromatotron(商標)(Harrison Research社)を使用して、円形クロマトグラフィーを行った。
【0119】
主要中間体の製造
中間体2−(4−クロロ−フェニル)−1−(2,4−ジクロロ−フェニル)−エタノール(I−1a)の製造:
【化6】

エーテル(50ml)中のマグネシウム屑(1.28g)のスラリーにヨウ素(1mg)を添加し、次いで塩化4−クロロベンジルの溶液(エーテル25ml中に9.45g)を一滴ずつ1時間にわたって添加した。反応混合物を0℃に冷却し、それに2,4−ジクロロベンズアルデヒド(8.75g)を少しずつ10分間にわたって添加した。1.5時間後、飽和NHCl(50ml)を添加し、15分間攪拌した。得られた混合物に0.5N HCl(50ml)を添加し、その溶液を酢酸エチルで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、真空内で濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をヘキサン(50ml)中で加熱し、冷却し、濾過して、表題化合物(I−1a)を白色の結晶性固体(9.89g)として得た。
【0120】
中間体2−(4−クロロ−フェニル)−1−(2,4−ジクロロ−フェニル)−エタノン(I−1b)の製造:
【化7】

アセトン(20ml)中の2−(4−クロロ−フェニル)−1−(2,4−ジクロロ−フェニル)−エタノールI−1a(1.21g)の攪拌溶液を冷水浴で冷却し、クロム酸溶液(CrOの冷却水溶液(HO 2.5ml中に0.49g)中にHSO0.5ml)をそれに一滴ずつ15分間にわたって添加した。反応混合物を30分後にイソプロパノールでクエンチングした。余分な液体をデカントし、固体を酢酸エチル(300ml)で洗浄した。合わせた有機層を水、食塩水で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、真空内で濃縮して、表題化合物(I−1b)を白色の半固体(1.22g)として得た。
【0121】
中間体2−(4−クロロ−フェニル)−1−(2,4−ジクロロ−フェニル)−3−ジメチルアミノ−プロプ−2−エン−1−オン(I−1c)の製造:
【化8】

テトラヒドロフラン(3ml)中の2−(4−クロロ−フェニル)−1−(2,4−ジクロロ−フェニル)−エタノンI−1b(1.21g)およびN,N−ジメチルホルムジメチルアセタール(1.6ml)の溶液を60℃に3時間加熱した。反応混合物を真空内で濃縮し、表題化合物(I−1c)を赤色のオイル(1.42g)として得た。
【0122】
中間体5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−2−メチル−ピリミジン(I−1d)の製造:
【化9】

エタノール(20ml)中の2−(4−クロロ−フェニル)−1−(2,4−ジクロロ−フェニル)−3−ジメチルアミノ−プロプ−2−エン−1−オンI−1c(1.42g)および塩酸アセトアミジン(1.13g)の溶液に、カリウムt−ブトキシド(1.74g)を添加した。得られた混合物を還流下で1.5時間加熱した。反応混合物を冷却し、酢酸エチルで希釈し、水および食塩水で洗浄した。有機層を乾燥させ(NaSO)、真空内で濃縮し、Biotage(登録商標)F40Mカラム(10%〜30%の酢酸エチル/ヘキサンの勾配)でクロマトグラフにかけ、表題化合物(I−1d)を黄色の泡(930mg)として得た。
【0123】
中間体5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−カルボン酸(I−1e)の製造:
【化10】

ピリジン(7ml)中の5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−2−メチル−ピリミジンI−1d(920mg)および二酸化セレン(934mg)の溶液を22時間還流した。反応混合物を冷却し、デカントし、ピリジンで洗浄し、真空内で濃縮して、黄褐色の半固体を得た。その物質を酢酸エチル/2N HClの混合物(60ml)に溶解し、層を分離した。水層を酢酸エチルで洗浄し、合わせた有機層を乾燥させ(NaSO)、真空内で濃縮して、表題化合物I−1eをオフホワイトの固体(998mg)として得た。
【0124】
中間体5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−カルボニルクロライド(I−1f)の製造:
【化11】

トルエン(20ml)中の5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−カルボン酸I−1e(998mg)のスラリーに、塩化チオニル(0.96ml)を添加し、得られた混合物を加熱して還流した。混合物は30分以内に均一となった。1時間後に、オレンジ色の溶液を真空内で濃縮して、トルエンと共沸させ、高真空中で乾燥させ、表題化合物(I−1f)を淡黄色の固体(1.03g)として得た。
【0125】
中間体3−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ブト−3−エン−2−オン(I−2a)の製造:
【化12】

ベンゼン(60ml)中の1−(4−クロロ−フェニル)−プロパン−2−オン(2.5g)、2,4−ジクロロベンズアルデヒド(2.6g)、およびピペリジン(100mg)の溶液をディーンスタークトラップを通して還流した。18時間後、反応混合物を真空内で濃縮して、表題化合物I−2a(4.82g)を得た。
【0126】
中間体5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−2−メトキシメチル−6−メチル−ピリミジン(I−2b)の製造:
【化13】

3−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ブト−3−エン−2−オンI−2a(2.9g)および2−メチル−イソ尿素(3.32g)を開放丸底フラスコ内でジメチルスルホキシド(36ml)中で合わせ、カリウムt−ブトキシド(2.8g)をそれに添加した。反応混合物を80℃に2時間加熱し、次いで、温度を120℃に上げ、一晩攪拌した。反応を室温に冷却し、エーテル中で希釈し、水および食塩水で洗浄した。有機層を乾燥させ(NaSO)、真空内で濃縮し、黒っぽい半固体物質を得た。その粗生成物をBiotage(登録商標)F40Mカラム(10%〜40%の酢酸エチル/ヘキサンの勾配)で精製し、表題化合物I−2b(1.04g)を得た。
【0127】
中間体[5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−6−メチル−ピリミジン−2−イル]−メタノール(I−2c)の製造:
【化14】

ジクロロメタン(25ml)中の5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−2−メトキシメチル−6−メチル−ピリミジンI−2b(1.0g)の溶液を攪拌し、−78℃に冷却し、三臭化ホウ素(ジクロロメタン中1.0M,3.75ml)を10分間にわたって一滴ずつ添加した。反応混合物を0℃に温め、完了するまで1時間攪拌した。反応混合物を再び−78℃に冷却し、10分間にわたり一滴ずつ添加されるメタノール(10mL)によってクエンチングし、次いで周囲温度に2時間温めた。反応混合物を真空内で濃縮し、メタノールと共沸させ、高真空で濃縮した。固体をメタノール/6N HCl(30ml/2.5ml)中で攪拌し、真空内で濃縮した。残留物を酢酸エチルに溶解し、水、食塩水で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、真空内で濃縮して、表題化合物I−2cを茶色のオイル(1.0g)として得た。
【0128】
中間体5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−6−メチル−ピリミジン−2−カルバルデヒド(i−2d)の製造:
【化15】

ジクロロメタン(6ml)中の塩化オキサリル(0.26ml)の溶液を−78℃に冷却し、ジメチルスルホキシド(0.39ml)をそれに一滴ずつ添加し、5分間攪拌した。[5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−6−メチル−ピリミジン−2−イル]−メタノールI−2c(ジクロロメタン8ml中に1.0g)の溶液を反応混合物に添加し、トリエチルアミン(1.7ml)を一滴ずつ添加する前に、50分間攪拌した。その溶液を−78℃で20分間攪拌し、次いで周囲温度に温めた。反応混合物を酢酸エチルに注ぎ、0.5N NaHSO溶液、水および食塩水で洗浄した。有機層を乾燥させて(NaSO)、真空内で濃縮し、その結果得られた茶色のオイルをBiotage(登録商標)F40M(10%〜30%の酢酸エチル/ヘキサンの勾配)でクロマトグラフにかけて、表題化合物(I−2d)を黄褐色の泡(733mg)として得た。
【0129】
中間体5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−6−メチル−ピリミジン−2−カルボン酸(I−2e)の製造:
【化16】

水(22ml)中のNaClO(1.57g)およびNaHPO(1.87g)の溶液を一滴ずつ15分間にわたって添加しながら、t−ブタノール(19.3ml)中の5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−6−メチル−ピリミジン−2−カルバルデヒドI−2d(730mg)および2−メチル−2−ブテン(3.0ml)の懸濁液を周囲温度で攪拌した。わずかな発熱が確認された。1時間後、その反応を酢酸エチルに注ぎ、水および食塩水で洗浄した。有機相が多量に沈殿し、そのため両方の相を共に濾過した。静置すると、濾液はさらに沈殿し、濾液を再び濾過した。両方の沈殿物を酢酸エチルおよび水で洗浄した。固体を合わせ、高真空下で乾燥させて、表題化合物(I−2e)を白色の粉末(750mg)として得た。
【0130】
種々のピペリジンおよびアゼチジン出発原料(R−H)の製法が、その両方が本明細書に参照により組み込まれる、2002年10月28日出願の米国特許仮出願第60/421874号、および2003年2月6日出願の米国特許仮出願第60/445728号に記載されている。これらの製法の代表的な例が以下に再現される。
【0131】
中間体1−ベンジル−4−エチルアミノピペリジン−4−カルボニトリル(I−3a)の製造:
【化17】

氷浴で冷却されたエタノール(4.2ml)中の4−N−ベンジルピペリドン(5.69g,29.5mmol)の溶液に、水(3ml)中のエチルアミン塩酸塩(2.69g,32.3mmol)を添加し、反応の内部温度を10℃未満に維持した。水(7ml)中のKCN(2.04g,31.3mmol)の溶液を反応溶液に10分間にわたって添加し、内部温度を10℃未満に維持した。次いで、反応を室温に温め、18時間攪拌した。イソプロパノール(10ml)を反応混合物に添加して、2つの別個の層:水性の無色の下層およびオレンジ色の有機上層が形成された。有機層を分離し、水(30ml)で30分間攪拌した。有機層を分離し(オレンジ色の有機層はこのとき最下層である)およびオレンジ色のオイルを塩化メチレン(30ml)中で希釈した。その有機層を食塩水で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空内で濃縮して、I−3aをオレンジ色のオイルとして得た(6.05g,84%):+APCI MS(M+1)244.2;H NMR(400MHz,CDCl)δ7.32(d,J=4.1Hz,4H),7.29−7.23(m,1H),3.54(s,2H),2.81−2.76(m,2H),2.75(q,J=7.1Hz,2H),2.35−2.29(m,2H),2.01−1.98(m,2H),1.74−1.68(m,2H),1.14(t,J=7.1Hz,3H)。
【0132】
中間体1−ベンジル−4−エチルアミノピペリジン−4−カルボン酸アミド(I−3b)の製造:
【化18】

内部温度を20℃未満に維持しながら、氷浴で冷却された塩化メチレン(2ml)中の1−ベンジル−4−エチルアミノピペリジン−4−カルボニトリルI−3a(0.58g,2.38mmol)の溶液をHSO(1.8ml,33mmol)で一滴ずつで処理した。次いで、反応を室温に温め、19時間攪拌した。攪拌を中断した後、薄オレンジ色の濃いHSO最下層を分離し、氷浴中で冷却し、次いで内部温度を55℃に維持して、濃NHOHで注意深くクエンチングした。水層を塩化メチレン(2×10ml)で抽出し、合わせた有機層を食塩水(20ml)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、次いで、真空内で濃縮して、静置すると桃色の固体に固化する薄いオレンジ色のオイルとしてI−3bを得た(0.54g,87%):+APCI MS(M+1)262.2;H NMR(400MHz,CDCl)δ7.34−7.30(m,4H),7.29−7.21(m,1H),7.16(br s,1H),3.48(s,2H),2.71−2.68(m,2H),2.47(q,J=7.0Hz,2H),2.17−2.02(m,4H),1.62−1.58(m,2H),1.41(br s,1H),1.09(t,J=7.0Hz,3H)。
【0133】
中間体4−エチルアミノピペリジン−4−カルボン酸アミド(I−3c)の製造:
【化19】

メタノール(100ml)中の1−ベンジル−4−エチルアミノピペリジン−4−カルボン酸アミド(I−3b;7.39g,28.3mmol)の溶液に、炭素担持20%Pd(OH)(50%水;1.48g)を添加した。混合物をParr(登録商標)シェーカーに置き、次いで室温で一晩還元した(50psi H)。Celite(登録商標)のパッドを通して混合物を濾過し、次いで濃縮して、無色の固体I−3cを得た(4.84g,定量的):+APCI MS(M+1)172.2;H NMR(400MHz,CDCl)δ2.89(3A−5,J=12.9,8.7,3.3Hz,2H),2.75(3A−5,J=12.9,6.6,3.7Hz,2H),2.45(q,J=7.2Hz,2H),1.95(3A−5,J=13.7,8.3,3.7Hz,2H),1.55(3A−5,J=13.7,6.6,3.3Hz,2h),1.08(t,J=7.1Hz,3H)。
【0134】
中間体1−ベンズヒドリル−3−ベンジルアミノアゼチジン−3−カルボニトリル(I−4a)の製造:
【化20】

メタノール(35ml)中の1−ベンズヒドリルアゼチジン−3−オン(3.3g,14mmol)の溶液に、ベンジルアミン(1.6ml,15mmol)を添加し、次いで室温の酢酸(0.88ml,15mmol)を添加した。45分間攪拌した後、固体NaCN(0.76g,15mmol)を一部ずつ2分間にわたって添加し、混合物を加熱して一晩還流した。ここで沈殿物を含有する反応を冷却し、次いで室温で攪拌した。固体を真空濾過によって回収し、少量の冷メタノールですすぎ、次いで真空中で乾燥させて、I−4aを固体(3.56g,72%)として得た:+APCI MS(M+1)354.4;H NMR(400MHz,CDOD)δ7.40(d,J=7.5Hz,4H),7.35(d,J=7.5Hz,2H),7.31−7.20(m,7H),7.16(t,J=7.3Hz,2H),4.44(s,1H),3.76(s,2H),3.48(d,J=8.3Hz,2H),3.05(d,J=8.3Hz,2H)。
【0135】
中間体1−ベンズヒドリル−3−ベンジルアミノアゼチジン−3−カルボン酸アミド(I−4b)の製造:
【化21】

氷浴で冷却された塩化メチレン(55ml)中の1−ベンズヒドリル−3−ベンジルアミノアゼチジン−3−カルボニトリルI−4a(3.45g,9.76mmol)の溶液をHSO(8.1ml,0.15mol)で一滴ずつで処理した。反応混合物を室温に温め、一晩攪拌した後に、それを氷浴で冷却し、次いで注意深く濃NHOHでクエンチングしpH10にした。混合物を塩化メチレンで抽出し;合わせた有機層を食塩水で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、次いで真空内で濃縮して、茶色の固体を得た。ヘキサン/ジエチルエーテルからこの物質を粉砕することによって、薄い黄褐色の固体が得られ、それを真空濾過によって回収し、更なるヘキサンで洗浄し、真空内で乾燥させて、I−4b(3.34g,92%)を得た:+ES MS(M+1)372.4;H NMR(400MHz,CDOD)δ7.41(d,J=7.5Hz,4H),7.35(d,J=7.5Hz,2H),7.31−7.22(m,7H),7.16(t,J=7.7Hz,2H),4.50(s,1H),3.60(s,2H),3.48(d,J=8.3Hz,2H),3.16(d,J=8.3Hz,2H)。
【0136】
中間体1−ベンズヒドリル−3−(ベンジルエチルアミノ)−アゼチジン−3−カルボン酸アミド、塩酸塩(I−4c)の製造:
【化22】

氷浴で冷却されたメタノール(80ml)中の1−ベンズヒドリル−3−ベンジルアミノアゼチジン−3−カルボン酸アミドI−4b(3.06g,8.24mmol)の懸濁液を酢酸(2.4ml,41mmol)、酢酸ナトリウム(6.8g,82mmol)およびアセトアルデヒド(1.8ml,41mmol)で処理した。10分間攪拌した後、NaCNBH(6.24mg,9.9mmol)を少しずつ添加した。45分間攪拌した後、次いで混合物を室温に温め、一晩攪拌した。反応を真空内で濃縮し、次いで残量物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液から酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層を食塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、次いで真空内で濃縮して粗生成物I−4c(3.8g)を得た:+APCI MS(M+1)400.5;H NMR(400MHz,CDCl)δ7.41−7.37(m,6H),7.29−7.22(m,6H),7.20−7.12(m,3H),4.44(s,1H),3.74(s,2H),3.47(d,J=8.3Hz,2H),3.12(d,J=8.3Hz,2H),2.56(q,J=7.2Hz,2H),0.85(t,J=7.1Hz,3H)。
【0137】
精製のために、メタノール(75ml)中の遊離塩基の溶液をジエチルエーテル(21ml)中の1M HClで5分間にわたって一滴ずつで処理した。20分間攪拌した後、混合物を減圧下で濃縮し、更なるメタノール(2×)および次いエタノールから濃縮した。次いで、残留物をイソプロパノール(3ml)中に懸濁し、攪拌し、ジエチルエーテル(50ml)をゆっくりと添加した。45分間攪拌した後、次いで固体を真空濾過により単離し、エーテルで洗浄し、真空内で乾燥させて、I−4c(4.4g,定量的)を得た:+APCI MS(M+1)400.5;H NMR(400MHz,CDOD)δ7.55−7.25(br m,15H),5.76(br s,1H),4.21(br s,4H),3.93(v br s,2H),1.02(br s,3H)。
【0138】
中間体1−ベンズヒドリル−3−エチルアミノアゼチジン−3−カルボニトリル(I−5a)の製造:
【化23】

メタノール(30ml)中の1−ベンズヒドリルアゼチジン−3−オン(9.5g,40mmol)の混合物に、エチルアミン塩酸塩(4.2g,52mmol)、次いで酢酸(3.0ml,52mmol)を室温で添加した。15分間攪拌した後、固体KCN(3.4g,52mmol)を添加し、均一な混合物を60℃で一晩加熱した。反応を冷却し、真空内で濃縮した。次いで、残留物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液から酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層を食塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、次いで真空内で濃縮してI−5aを無色の固体(11.7g,定量的)として得た:+ES MS(M+1)292.2;H NMR(400MHz,CDOD)δ7.42(d,J=7.5Hz,4H),7.26(t,J=7.5Hz,4H),7.17(t,J=7.3Hz,2H),4.47(s,1H),3.54(d,J=8.3Hz,2H),3.25(d,J=8.3Hz,2H),2.61(s,J=7.2Hz,2H),1.11(t,J=7.3Hz,3H)。
【0139】
中間体1−ベンズヒドリル−3−エチルアミノアゼチジン−3−カルボン酸アミド(I−5b)の製造:
【化24】

氷浴で冷却された塩化メチレン(150ml)中の1−ベンズヒドリル−3−エチルアミノアゼチジン−3−カルボニトリル(I−5a;11.7g,40mmol)の激しく攪拌された溶液をHSO(22ml,0.4mol)で一滴ずつで処理した。反応混合物を室温に温め、一晩攪拌した後、それを氷浴で冷却し、次いで濃NHOHで注意深くクエンチングし、pH11にした。クエンチング中に形成されたオフホワイトの固体を真空濾過によって回収した。次いで、水性混合物を塩化メチレンで抽出し、合わせた有機層を食塩水で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、次いで真空内で濃縮し、更なる固体を得た。合わせた固体を酢酸エチル(150mL)中で1時間攪拌し、次いで真空濾過によって回収して、I−5b(9.2g,74%)を固体として得た:+ES MS(M+1)310.2;H NMR(400MHz,CDOD)δ7.41(d,J=7.1Hz,4H),7.25(t,J=7.5Hz,4H),7.16(t,J=7.5Hz,2H),4.49(s,1H),3.44(d,J=8.3Hz,2H),3.11(d,J=8.3Hz,2H),2.47(q,J=7.1Hz,2H),1.10(t,J=7.3Hz,3H)。
【0140】
中間体3−エチルアミノピペリジン−3−カルボン酸アミド,塩酸塩(I−5c)の製造:
【化25】

メタノール(25ml)中の1−ベンズヒドリル−3−(ベンジルエチルアミノ)−アゼチジン−3−カルボン酸アミド塩酸塩(I−5b;0.66g,1.4mmol)の溶液に、炭素担持20%Pd(OH)(30%水;0.13g)を添加した。混合物をParr(登録商標)シェーカーに置き、次いで室温で一晩還元した(45psi H)。その混合物をメタノール(200ml)で希釈し、0.45μmフィルターディスクを通して濾過し、次いで固体に濃縮した。残留物をジエチルエーテルから粉砕し、真空濾過によって回収し、エーテルで洗浄し、次いで真空内で乾燥させて、I−5c(298mg,98%)を得た:+APCI MS(M+1)144.1;H NMR(400MHz,CDCl)δ4.56(s,4H),3.00(q,J=7.2Hz,2H),1.36(t,J=7.1Hz,3H)。
【0141】
代替方法としては、0℃のメタノール(150ml)中の1−ベンズヒドリル−3−エチルアミノアゼチジン−3−カルボン酸アミド(I−5b;9.2g,30mmol)の溶液に、エーテル中の1M HCl(75ml,75mmol)を添加した。混合物を真空内で2/3の体積に濃縮し、真空中でエーテルを除去し、次いでメタノールを添加して、反応体積を150mLにした。これを2回繰り返した。炭素担持20%Pd(OH)(50%水;2.3g)を添加した後、混合物をParr(登録商標)シェーカーに置き、次いで室温で一晩還元した(45psi H)。その混合物をメタノール(350ml)で希釈し、Celite(登録商標)を通して濾過し、更なるメタノールですすいだ。メタノール画分を0.45μmフィルターディスクを通して濾過し、次いで減圧下にて濃縮して、固体残留物を得た。それをジエチルエーテルから粉砕し、真空濾過により回収し、エーテルで洗浄し、次いで真空内で乾燥させて、I−5c(6.3g,91%)を黄褐色の固体として得た。
【0142】
中間体1−ベンズヒドリル−3−イソプロピルアミノアゼチジン−3−カルボニトリル(I−6a)の製造:
【化26】

氷浴で冷却されたエタノール(100ml)中の1−ベンズヒドリルアゼチジン−3−オン(3.20g,13.5mmol)の溶液に、イソプロピルアミン(1.26ml,14.8mmol)を添加し、続いて濃HCl水溶液(1.23ml,14.8mmol)を一滴ずつ添加した。15分間攪拌した後、水(30ml)中のNaCN(0.727g,14.8mmol)の溶液を7分間にわたって反応混合物に添加した。次いで、反応を室温に温め、一晩攪拌した。その反応を真空内で半分の体積に濃縮した後、次いでそれを飽和重炭酸ナトリウム水溶液から酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を食塩水で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空内で濃縮して、H NMRおよびLCMSにより判断された、シアノヒドリン対ケトン2:1のオイル(3.17g)を得た。メタノール(17ml)中の残留物の溶液をイソプロピルアミン(2.3mmol,27mmol)、次いで酢酸(1.6ml,27mmol)で室温にて処理した。30分間攪拌した後、固体NaCN(330mg,6.7mmol)を添加し、混合物を過熱して一晩還流した。反応物を真空内で濃縮し、次いで飽和重炭酸ナトリウム水溶液から酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を食塩水で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空内で濃縮して、I−6aを黒っぽい泡(3.41g,83%)として得た:+APCI MS(M+1)306.4;H NMR(400MHz,CDCl)δ7.45−7.42(m,4H),7.31−7.18(m,6H),4.42(s,1H),3.68(d,J=8.3Hz,2H),3.11(七重項,J=6.2Hz,1H),3.07(d,J=8.3Hz,2H),1.01(d,J=6.2Hz,6H)。
【0143】
中間体1−ベンズヒドリル−3−イソプロピルアミノアゼチジン−3−カルボン酸アミド(I−6b)の製造:
【化27】

氷浴で冷却された塩化メチレン(25ml)中の1−ベンズヒドリル−3−イソプロピルアミノアゼチジン−3−カルボニトリル(I−6a;3.40g,11.1mmol)の溶液をHSO(5.95ml,111mmol)で一滴ずつで処理した。反応混合物を室温に温め、一晩攪拌した後、それを氷浴で冷却し、次いで濃NHOHで注意深くクエンチングし、pH11にした。混合物を塩化メチレンで抽出し、合わせた有機層を乾燥させ(NaSO)、次いで真空内で濃縮し、未精製の泡(3.3g)を得た。それをBiotage(商標)Flash40Mカラムで、塩化メチレン中の0〜2%メタノールを溶離液として使用して精製し、表題化合物I−6b(2.32g,64%)を茶色の固体として得た:+ES MS(M+1)324.4;H NMR(400MHz,CDOD)δ7.40(d,J=7.5Hz,4H),7.24(t,J=7.5Hz,4H),7.15(t,J=7.1Hz,2H),4.46(s,1H),3.53(d,J=8.7Hz,2H),3.06(d,J=8.7Hz,2H),2.90(七重項,J=6.4Hz,1H),0.97(d,J=6.6Hz,6H)。
【0144】
中間体3−イソプロピルアミノアゼチジン−3−カルボン酸アミド,塩酸塩(I−6c)の製造:
【化28】

メタノール(100ml)中の1−ベンズヒドリル−3−イソプロピルアミノアゼチジン−3−カルボン酸アミド(I−6b;2.28g,7.05mmol)の溶液に、エーテル(14.8ml,14.8mmol)中の1M HClを添加し、次いで水(10ml)を添加した。炭素担持20%Pd(OH)(60%水;1.43g)を添加した後、混合物をParr(登録商標)シェーカーに置き、次いで室温で一晩還元した(50psi H)。その混合物をCelite(登録商標)のパッドを通して濾過し、次いで真空内で濃縮した。次いで、残留物を真空内で、トルエン(2X)、アセトニトリル(2X)および次いでメタノールから濃縮し、I−6c(1.59g,98%)を黄褐色の固体として得た:+APCI MS(M+1)158.1;H NMR(400MHz,CDOD)δ4.71(d,J=13.3Hz,2H),4.60(d,J=13.3Hz,2H),3.49(七重項,J=6.6Hz,1H),1.34(d,J=6.6Hz,6H)。
【0145】
中間体1−ベンズヒドリル−3−メチルアミノアゼチジン−3−カルボニトリル(I−7a)の製造:
【化29】

メタノール(17ml)中の1−ベンズヒドリルアゼチジン−3−オン(2.13g,8.98mmol)の溶液に、メチルアミン塩酸塩(1.21g,18.0mmol)、次いで酢酸(1.03ml,18.0mmol)を室温で添加した。5分間攪拌した後、固体KCN(1.17g,18.0mmol)を添加し、混合物を60℃に19時間加熱した。反応を冷却し;固体生成物を真空濾過により回収し、メタノールですすぎ、次いで真空内で乾燥させて、I−7aを無色の固体として得た(2.50g,定量的):+ES MS(M+1)278.3;H NMR(400MHz,CDCl)δ7.43(d,J=7.5Hz,4H),7.29(t,J=7.5Hz,4H),7.23(t,J=7.3Hz,2H),4.45(s,1H),3.55(d,J=7.5Hz,2H),3.15(d,J=7.1Hz,2H),2.40(s,3H)。
【0146】
中間体1−ベンズヒドリル−3−メチルアミノアゼチジン−3−カルボン酸アミド(I−7b)の製造:
【化30】

氷浴で冷却された塩化メチレン(25ml)中の1−ベンズヒドリル−3−メチルアミノアゼチジン−3−カルボニトリル(I−7a;2.10g,7.57mmol)の激しく攪拌された溶液をHSO(4.0ml,76mmol)で一滴ずつで処理した。反応混合物を室温に温め、一晩攪拌した後、それを氷浴で冷却し、次いで濃NHOHで注意深くクエンチングし、pH11にした。混合物水溶液を塩化メチレンで抽出し、合わせた有機層を乾燥させ(NaSO)、次いで真空内で濃縮し、I−7b(1.2g,54%)をオフホワイトの固体として得た:+ES MS(M+1)296.3;H NMR(400MHz,CDOD)δ7.41(d,J=7.5Hz,4H),7.25(t,J=7.5Hz,4H),7.16(t,J=7.1Hz,2H),4.48(s,1H),3.41(d,J=8.7Hz,2H),3.09(d,J=8.7Hz,2H),2.24(s,3H)。
【0147】
中間体3−メチルアミノアゼチジン−3−カルボン酸アミド,塩酸塩(I−7c)の製造:
【化31】

メタノール(90ml)中の1−ベンズヒドリル−3−メチルアミノアゼチジン−3−カルボン酸アミド(I−7b;13.5g,45.8mmol)の懸濁液に、濃HCl水溶液(8.0ml,96mol)を一滴ずつ添加し、均一溶液を得た。炭素担持20%Pd(OH)(50%水;4.1g)を添加した後、混合物をParr(登録商標)シェーカーに置き、次いで室温で7時間還元した(50psi H)。その混合物をCelite(登録商標)のパッドを通して濾過し、生成物が溶離しなくなるまで(ニンヒドリン染色で決定される)、大量の9:1メタノール/水、次いで9:1テトラヒドロフラン/水で洗浄した。次いで濾液を真空内で濃縮し、次いで、残留物をジエチルエーテルから粉砕して、I−7c(9.3g,定量的)を茶色の固体として得た:+APCI MS(M+1)129.9;H NMR(400MHz,CDOD)δ4.50(d,J=12.0Hz,2H),4.43(d,J=12.9Hz,2H),2.64(s,3H)。
【0148】
中間体1−ベンズヒドリル−3−ジメチルアミノアゼチジン−3−カルボニトリル(I−8a)の製造:
【化32】

THF(3.92ml,7.83mmol)中の2Mジメチルアミンの溶液を1−ベンズヒドリルアゼチジン−3−オン(1.43g,6.03mmol)に添加した。5分間攪拌した後、酢酸(0.450ml,7.83mmol)、固体KCN(0.510g,7.83mmol)、およびメタノール(0.5ml)を室温で添加した。5分間攪拌した後、混合物を60℃に19時間加熱した。反応を冷却し、飽和NaHCO水溶液から酢酸エチルで抽出した。合わせた抽出物を乾燥させ(NaSO)、真空内で濃縮し、I−8aを泡(1.77g,定量的)として得た:+ES MS(M+1)292.3;H NMR(400MHz,CDCl)δ7.44(d,J=7.5Hz,4H),7.29(t,J=7.5Hz,4H),7.21(t,J=7.3Hz,2H),4.41(s,1H),3.58(d,J=8.3Hz,2H),3.05(d,J=8.3Hz,2H),2.13(s,6H)。
【0149】
中間体1−ベンズヒドリル−3−ジメチルアミノアゼチジン−3−カルボン酸アミド(I−8b)の製造:
【化33】

氷浴で冷却された塩化メチレン(30ml)中の1−ベンズヒドリル−3−ジメチルアミノ−アゼチジン−3−カルボニトリル(I−8a;1.55g,5.32mmol)の激しく攪拌された溶液をHSO(3.0ml,53mmol)で一滴ずつで処理した。反応混合物を室温に温め、一晩攪拌した後、氷浴で冷却し、次いで濃NHOHで注意深くクエンチングし、pH11にした。混合物を塩化メチレンで抽出した。合わせた有機層を乾燥させ(NaSO)、次いで濃縮した。次いで、粗生成物(生成物対出発原料4:1)を塩化メチレン中の3%メタノールを溶離液として使用してBiotage(商標)Flash40Mカラムで精製した。次いで、残留物(1.04g)をエーテルから粉砕し、I−8b(0.75g,45%)を得た:+ES MS(M+1)310.3;H NMR(400MHz,CDOD)δ7.40(d,J=7.5Hz,4H),7.24(t,J=7.5Hz,4H),7.17(t,J=7.3Hz,2H),4.42(s,1H),3.41(d,J=8.7Hz,2H),3.12(d,J=8.7Hz,2H),2.26(s,6H)。
【0150】
中間体3−ジエチルアミノアゼチジン−3−カルボン酸アミド,塩酸塩(I−8c)の製造:
【化34】

メタノール/塩化メチレン中の1−ベンズヒドリル−3−ジメチルアミノアゼチジン−3−カルボン酸アミド(I−8b;730mg,2.36mmol)の溶液に、過剰なジエチルエーテル(5.0ml)中の1M HClを添加した。溶媒を真空内で除去し、得られた塩酸塩をメタノール(30ml)に溶解した。炭素担持20%Pd(OH)(50%水;365mg)を添加した後、混合物をParr(登録商標)シェーカーに置き、次いで室温で5時間還元した(50psi H)。その反応を0.45μMディスクを通して濾過し、次いで真空内で濃縮し、I−8c(224mg,44%)をオフホワイトの固体として得た:+APCI MS(M+1)144.0;H NMR(400MHz,CDOD)δ4.52(d,J=12.5Hz,2H),4.39(d,J=12.9Hz,2H),2.70(s,6H)。
【0151】
中間体3−アミノアゼチジン−3−カルボン酸アミド,塩酸塩(I−9a)の製造:
【化35】

メタノール/塩化メチレン中の1−ベンズヒドリル−3−ベンジルアミノアゼチジン−3−カルボン酸アミド(I−4b;1.83g,4.80mmol)の溶液に、過剰なジエチルエーテル(3.5ml)中の1M HClを添加した。10分間攪拌した後、溶媒を真空内で除去し、得られた塩酸塩を10:1メタノール/水(55ml)に溶解した。炭素担持20%Pd(OH)(50%水;0.37g)を添加した後、混合物をParr(登録商標)シェーカーに置き、次いで室温で23時間還元した(50psi H)。その反応をメタノール(50ml)で希釈し、0.45μMディスクを通して濾過し、次いでメタノール(2×100ml)でディスクをすすいだ。合わせたメタノール性溶液を真空内で濃縮し、次いでジエチルエーテルから粉砕して、I−9a(262mg,85%)を黄褐色の固体として得た:+APCI MS(M+1)115.8;H NMR(400MHz,CDOD)δ4.58(d,J=13.3Hz,2H),4.47(d,J=13.3Hz,2H)。
【0152】
(実施例1)
1−{1−[5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−カルボニル]−4−フェニル−ピペリジン−4−イル}−エタノン(1−1A)の製造:
【化36】

ジクロロメタン(1ml)中の5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−ピリミジン−2−カルボニルクロライドI−1f(50mg)および4−アセチル−4−フェニル−ピペリジン塩酸塩(45mg)の攪拌スラリーを5℃に冷却した。トリエチルアミン(ジクロロメタン中0.5ml、57mg)を一滴ずつ添加して、オレンジ色の溶液が生成され、それを周囲温度に温めた。1時間後、その溶液を真空内で濃縮し、残留物をTLC調製用プレート(50%酢酸エチル/ヘキサン)上でクロマトグラフにかけ、表題化合物(1−1A)を無色の固体(43mg)として得た;ms(APCI)m/z=563.8(M+1)。H NMR(400MHz,CDOD)δ8.84(s,1H),7.38−7.04(m,12H),4.40−4.36(m,1H),3.56−3.32(m,3H),2.52−2.42(m,2H),2.30−2.51(m,1H),2.05−1.98(m,1H),1.93(s,3H)。
【0153】
市販されており、当業者によく知られている製法で製造される、または他の中間体について上述の経路と類似の手法で製造される、適切な出発原料を使用して、以下の表1に示す化合物を、化合物1A−1の合成について上述の手順と類似の手順を用いて製造した。
【0154】
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【0155】
(実施例2)
5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−6−メチル−ピリミジン−2−カルボン酸シクロヘキシルアミド(2A−1)の製造:
【化37】

周囲温度のジクロロメタン(300μl)中の5−(4−クロロ−フェニル)−4−(2,4−ジクロロ−フェニル)−6−メチル−ピリミジン−2−カルボン酸I−2e(25mg)、トリエチルアミン(44μl)、およびシクロヘキサミン(8.7μl)の攪拌懸濁液に、1−プロパンホスホン酸環状無水物、酢酸エチル(57μl)中の50重量%溶液を添加した。反応混合物は直ちに可溶化し、周囲温度で一晩攪拌した。酢酸エチルを反応混合物に添加し、水、食塩水、飽和重炭酸塩溶液で洗浄し、再び食塩水で洗浄した。有機層を乾燥させ(NaSO)、真空内で濃縮し、調製用TLCプレート(1:1酢酸エチル/ヘキサン)上でクロマトグラフにかけ、表題化合物(2A−1)を白色の泡として得た(15mg);ms(LCMS)m/z=474.2(M+1)。H NMR(400MHz,CDCl)δ7.89(d,1H),7.30−6.99(m,7H),4.02(m,1H),2.50(s,3H),2.01−1.17(m,10H)。
【0156】
市販されており、当業者によく知られている製法で製造される、または他の中間体について上述の経路と類似の手法で製造される、適切な出発原料を使用して、以下の表2に示す化合物を、化合物2A−1の合成について上述の手順と類似の手順を用いて製造した。以下に示す化合物は遊離塩基として単離され、次いでin vivoでの試験用に(in vivoで試験する場合)それらの相当する塩酸塩に転化された。
【0157】
【表9】

薬理試験
本発明の実施における本発明の化合物の有用性は、以下に記載のプロトコルのうちの少なくとも1つにおける活性によって証明することができる。以下の頭字語は以下に記載のプロトコルにおいて使用される。
【表10】

H]SR141716A−ニュージャージー州ピスカタウェイのAmersham Biosciences社から市販の放射標識N−(ピペリジン−1−イル)−5−(4−クロロフェニル)−1−(2,4−ジクロロ−フェニル)−4−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド塩酸塩
H]CP−55940−マサチューセッツ州ボストンのNEN Life Science Products社から市販の放射標識5−(1,1−ジメチルヘプチル)−2−[5−ヒドロキシ−2−(3−ヒドロキシプロピル)−シクロヘキシル]−フェノール
AM251−ミズーリ州エリスヴィルのTocris(商標)から市販のN−(ピペリジン−1−イル)−1−(2,4−ジクロロ−フェニル)−5−(4−ヨードフェニル)−4−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド
【0158】
以下のCB−1受容体結合アッセイにおいて、上記の実施例セクションに示される化合物すべてを試験した。その化合物は、0.1〜10000nMの結合活性の範囲を提供した。次いで、生物学的結合アッセイセクションにおいて以下に記載されるCB−1GTPγ[35S]結合アッセイおよびCB−2結合アッセイにおいて、<20nMの活性を有する選択された化合物を試験した。次いで、以下の生物学的機能アッセイセクションにおいて記載される機能アッセイのうちの1つまたは複数を用いて、選択された化合物をin vivoで試験した。
【0159】
In Vitroでの生物学的アッセイ
カンナビノイド受容体リガンドのCB−1およびCB−2結合特性および薬理活性を決定するためのバイオアッセイシステムが、Roger G. Pertwee in "Pharmacology of Cannabinoid Receptor
Ligands" Current Medicinal Chemistry, 6, 635-664 (1999)および国際公開番号WO92/02640号(本明細書に参照により組み込まれる1990年8月8日出願の米国特許出願番号07/564,075号)に記述されている。
【0160】
以下のアッセイは、[H]SR141716A(選択的放射標識CB−1リガンド)の結合および[H]5−(1,1−ジメチルヘプチル)−2−[5−ヒドロキシ−2−(3−ヒドロキシプロピル)−シクロヘキシル]−フェノール([H]CP−55940;放射標識CB−1/CB−2リガンド)がそれらのそれぞれの受容体に結合するのを阻害する化合物を検出するようにデザインされた。
【0161】
ラットCB−1受容体結合プロトコル
PelFreeze脳(アーカンソー州ロジャーズのPel Freeze Biologicals社から市販されている)を切り刻み、組織調製バッファー(5mMトリスHCl、pH=7.4および2mM EDTA)に入れ、高速でポリトロンにかけ、氷上で15分間保持した。次いで、ホモジネートを1,000×gにて4℃で5分間回転させた。上清を回収し、100,000×Gにて4℃で1時間遠心した。次いで、使用される各脳につきTME(25nMトリス、pH=7.4、5mM MgCl、および1mM EDTA)25mlに、ペレットを再懸濁した。タンパク質アッセイを行い、合計20μgになる組織200μlをアッセイに加えた。
【0162】
試験化合物を薬物バッファー(0.5%BSA、10%DMSOおよびTME)中で希釈し、次いで、その25μlをポリプロピレン製ディープウェルプレートに添加した。[H]SR141716Aをリガンドバッファー(0.5%BSA+TME)中で希釈し、その25μlをプレートに添加した。BCAタンパク質アッセイを用いて、適切な組織濃度を決定し、次いで、適切な濃度のラット脳組織200μlをプレートに添加した。プレートをカバーし、20℃のインキュベータ内に60分間入れておいた。インキュベーション期間の最後に、停止バッファー(5%BSA+TME)250μlを反応プレートに添加した。次いで、BSA(5mg/ml)+TMEに予浸されたGF/Bフィルターマット上にSkatronによってプレートを収集した。それぞれのフィルターを2回洗浄した。フィルターを一晩乾燥させた。朝に、フィルターをWallac Betaplate(商標)計数器(マサチューセッツ州ボストンのPerkinElmer Life Sciences(商標)から市販されている)で計数した。
【0163】
ヒトCB−1受容体結合プロトコル
CB−1受容体cDNA(Dr. Debra Kendall, University of Connecticutから入手した)をトランスフェクトしたヒト胎児腎293(HEK293)細胞を、ホモジナイゼーションバッファー(10mM EDTA、10mM EGTA、10mM炭酸水素ナトリウム、プロテアーゼ阻害剤;pH=7.4)中で収集し、Dounceホモジナイザーでホモジナイズした。次いで、ホモジネートを1,000×gにて4℃で5分間回転させた。上清を回収し、25,000×Gにて4℃で20分間遠心した。次いで、ペレットをホモジナイゼーションバッファー10mlに再懸濁し、25,000×Gにて4℃で20分間、再度回転させた。TME(5mM MgClおよび1mM EDTAを含有する25mMトリス緩衝液(pH=7.4))1mlに、最終ペレットを再懸濁した。タンパク質アッセイを行い、合計20μgの組織200μlをアッセイに加えた。
【0164】
試験化合物を薬物バッファー(0.5%BSA、10%DMSOおよびTME)中で希釈し、次いで、その25μlをポリプロピレン製ディープウェルプレートに添加した。[H]SR141716Aをリガンドバッファー(0.5%BSA+TME)中で希釈し、その25μlをプレートに添加した。プレートをカバーし、30℃のインキュベータ内に60分間入れておいた。インキュベーション期間の最後に、停止バッファー(5%BSA+TME)250μlを反応プレートに添加した。次いで、BSA(5mg/ml)+TMEに予浸されたGF/Bフィルターマット上にSkatronによってプレートを収集した。それぞれのフィルターを2回洗浄した。フィルターを一晩乾燥させた。朝に、フィルターをWallac Betaplate(商標)計数器(マサチューセッツ州ボストンのPerkinElmer Life Sciences(商標)から市販されている)で計数した。
【0165】
CB−2受容体結合プロトコル
CB−2 cDNA(Dr. Debra Kendall, University of Connecticutから入手した)をトランスフェクトしたチャイニーズハムスター卵巣−K1(CHO−K1)細胞を組織調製バッファー(2mM EDTAを含有する5mMトリスHClバッファー(pH=7.4))中で収集し、高速でポリトロンにかけ、氷上で15分間保持した。次いで、ホモジネートを1,000×gにて4℃で5分間回転させた。上清を回収し、100,000×Gにて4℃で1時間遠心した。次いで、使用される各脳につきTME(5mM MgClおよび1mM EDTAを含有する25mMトリス緩衝液(pH=7.4))25mlに、ペレットを再懸濁した。タンパク質アッセイを行い、合計10μgになる組織200μlをアッセイに加えた。
【0166】
試験化合物を薬物バッファー(0.5%BSA、10%DMSOおよび80.5%TME)中で希釈し、次いで、その25μlをポリプロピレン製ディープウェルプレートに添加した。[H]CP−55940をリガンドバッファー(0.5%BSAおよび99.5%TME)中で希釈し、次いでその25μlを濃度1nMで各ウェルに添加した。BCAタンパク質アッセイを用いて、適切な組織濃度を決定し、その適切な濃度で組織200μlをプレートに添加した。プレートをカバーし、30℃のインキュベータ内に60分間入れておいた。インキュベーション期間の最後に、停止バッファー(5%BSA+TME)250μlを反応プレートに添加した。次いで、BSA(5mg/ml)+TMEに予浸されたGF/Bフィルターマット上にSkatronフォーマットによってプレートを収集した。それぞれのフィルターを2回洗浄した。フィルターを一晩乾燥させた。次いで、フィルターをWallac Betaplate(商標)計数器で計数した。
【0167】
CB−1 GTPγ[35S]結合アッセイ
ヒトCB−1受容体cDNAを安定にトランスフェクトされたCHO−K1細胞から膜を作製した。膜は、Bassらにより、"Identification and characterization of novel
somatostatin antagonists", Molecular Pharmacology, 50, 709-715 (1996)に記載されているように細胞から作製された。50mMトリスHCl(pH7.4)、3mM MgCl(pH7.4)、10mM MgCl、20mM EGTA、100mM NaCl、30μM GDP、0.1%ウシ血清アルブミンで構成されるアッセイバッファーにおいて各ウェルにつき100pM GTPγ[35S]および膜10μgおよび以下のプロテアーゼ阻害剤:バシトラシン100μg/ml、ベンズアミジン100μg/ml、アプロチニン5μg/ml、ロイペプチン5μg/mlを使用して、GTPγ[35S]結合アッセイを96ウェルFlashPlate(商標)フォーマットにおいて二重測定で行った。次いで、アッセイミックスを増加濃度のアンタゴニスト(10−10M〜10−5M)と共に10分間インキュベートし、カンナビノイドアゴニストCP−55940(10μM)でチャレンジした。アッセイを30℃で1時間行った。次いで、FlashPlate(商標)を2000×gで10分間遠心した。次いで、GTPγ[35S]結合の刺激を、GraphpadによるPrism(商標)を使用して行われるWallac Microbeta.EC50の計算を用いて定量化した。インバースアゴニズム(Inverse agonism)をアゴニストの非存在下にて測定した。
【0168】
CB−1 FLIPRベースの機能アッセイプロトコル
ヒトCB−1受容体cDNA(Dr. Debra Kendall, University of Connecticutから入手した)および乱交雑G−タンパク質G16をコトランスフェクトしたCHO−K1細胞をこのアッセイに使用した。コラーゲンコートされた384ウェル黒色透明アッセイプレート上に各ウェルに12500細胞で48時間前に細胞をプレーティングした。2.5mMプロベネシドおよびプルロニック酸(pluronic acid)(0.04%)を含有するDMEM(Gibco社)中の4μM Fluo−4AM(Molecular Probes社)と共に細胞を1時間インキュベートした。次いで、プレートをHEPES緩衝食塩水(プロベネシドを含有する;2.5mM)で3回洗浄し、余分な色素を除去した。20分後、プレートをFLIPRに個々に加え、蛍光レベルを継続的に、80秒間にわたってモニターした。ベースラインの20秒後、化合物の添加を384ウェルすべてに同時に行った。アッセイを3通りで行い、6ポイントの濃度−反応曲線が作製された。続いて、アンタゴニスト化合物を3μM WIN 55,212−2(アゴニスト)でチャレンジした。Graph Pad Prismを使用して、データを解析した。
【0169】
逆アゴニストの検出
インタクトな細胞を用いた以下の環状AMPのアッセイプロトコルを使用して、逆アゴニスト活性を測定した。
【0170】
各ウェルにつき100μlの濃度で、各ウェルに10,000〜14,000細胞のプレーティング密度で、細胞を96ウェルプレートにプレーティングした。プレートを37℃のインキュベータ内で24時間インキュベートした。培地を取り除き、血清を含まない培地(100μl)を加えた。次いで、プレートを37℃で18時間インキュベートした。
【0171】
1mM IBMXを含有する血清を含まない培地を各ウェルに添加し、続いて0.1%BSAを有するPBS中で10倍に希釈された試験化合物(50%DMSO/PBS中に溶解して1:10ストック溶液(DMSO中の25mM化合物)とする)10μlを添加した。37℃で20分間インキュベートした後、2μMのフォルスコリンを添加し、次いで37℃でさらに20分間インキュベートした。培地を取り除き、0.01N HCl100μlを添加し、次いで室温で20分間インキュベートした。アッセイバッファー(マサチューセッツ州ボストンのNEN Life Science Products社から市販のFlashPlate(商標)cAMPアッセイキットにおいて供給される)25μlと共に細胞溶解物(75μl)をフラッシュプレートに添加した。cAMP標準およびcAMPトレーサーをキットのプロトコルに従って添加した。次いで、フラッシュプレートを4℃で18時間インキュベートした。ウェルの内容物を吸引し、シンチレーションカウンターで計数した。
【0172】
In Vivoでの生物学的アッセイ
Δ−テトラヒドロカンナビノール(Δ−THC)およびCP−55940などのカンナビノイドアゴニストは、総称してテトラド(Tetrad)として知られる、マウスにおける4つの固有の挙動に影響を及ぼすことが示されている。これらの挙動の説明については、Smith, P.B.ら、"The Pharmacological activity of anandamide, a
putative endogenous cannabinoid, in mice." J. Pharmacol. Exp. Ther.270(1),
219-227 (1994) および Wiley, J.ら、"Discriminative stimulus effects of
anandamide in rats", Eur. J. Pharmacol., 276(1-2), 49-54 (1995)を参照されたい。以下に記載される、歩行活動、カタレプシー、低体温、およびホットプレート(Hot Plate)アッセイにおけるこれらの活性の逆転によって、CB−1アンタゴニストのin vivoでの活性のスクリーンが提供される。
【0173】
すべてのデータは、以下の式:(CP/アゴニスト−賦形剤/アゴニスト)/(賦形剤/賦形剤−賦形剤/アゴニスト)を用いて、アゴニスト単独からの逆転%として示される。負の数は、アゴニスト活性または非アンタゴニスト活性の増強を示す。正の数は、その特定の試験についての活性の逆転を示す。
【0174】
歩行活動
雄のICRマウス(n=6)(17〜19g、Charles River Laboratories社,マサチューセッツ州ウィルミントン)を試験化合物で前処置した(sc、po、ip、またはicv)。15分後、マウスにCP−55940を惹起投与した(sc)。アゴニストの注入から25分後、かんな屑を含む透明アクリルケージ(431.8cm×20.9cm×20.3cm)にマウスを入れた。合計5分間、対象に環境を探索させ、ケージの上に置かれた赤外線行動検出器(Coulbourn Instruments(商標)、ベンシルベニア州アレンタウンから市販)によって、活動を記録した。データをコンピューター制御し、「運動ユニット」として表した。
【0175】
カタレプシー
雄のICRマウス(n=6)(到着時17〜19g)を試験化合物で前処置した(sc、po、ipまたはicv)。15分後、マウスにCP−55940を惹起投与した(sc)。注入から90分後、高さ約12インチでリングスタンドに取り付けられた6.5cmの鋼製リング上にマウスを置いた。リングを水平方向に取り付け、マウスをリングの隙間に吊るし、前足および後足は外周をしっかりつかんだ。マウスが完全に静止したままの時間(呼吸運動を除いて)を3分間にわたって記録した。データは不動評点%(percent immobility rating)として表した。評点は、マウスが静止したままの秒数を、観察時間の合計時間で割り、その結果に100を掛けることによって計算された。次いで、アゴニストからの逆転%を計算した。
【0176】
低体温
雄のICRマウス(n=5)(到着時17〜19g)を試験化合物で前処置した(sc、po、ipまたはicv)。15分後、マウスにカンナビノイドアゴニストCP−55940を惹起投与した(sc)。アゴニストの注入から65分後、直腸温を測定した。これは、約2〜2.5cmの小さなサーモスタットプローブを直腸に挿入することによって行った。10分の1度まで記録した。
【0177】
ホットプレート
雄のICRマウス(n=7)(到着時17〜19g)を試験化合物で前処置した(sc、po、ipまたはiv)。15分後、マウスにカンナビノイドアゴニストCP−55940を投与した(sc)。45分後、標準ホットプレートメーター(Columbus Instruments社)を使用して、各マウスを無痛覚の逆転について試験した。ホットプレートは10インチ×10インチ×0.75インチであり、周囲に透明なアクリル壁を有する。後足をキックする、舐める、または後足を動かす、またはプラットフォームからジャンプする潜伏時間を10分の1秒まで記録した。タイマーは活性化された実験者であり、各試験は40秒のカットオフを有した。データは、アゴニストにより誘導される無痛覚の逆転%として示された。
【0178】
食物摂取
以下のスクリーンを使用して、一晩絶食した後のSDラットにおける食物摂取を抑制する試験化合物の有効性を評価した。
【0179】
雄のSDラットは、Charles River Laboratories社(マサチューセッツ州ウィルミントン)から入手した。ラットを個々に収容し、粉末飼料を与えた。12時間の明暗サイクルにラットを維持し、食餌および水を自由に摂取させた。試験を行う前に、動物を動物施設に1週間順応させた。サイクルの明期中に試験を終了した。
【0180】
食物摂取有効性のスクリーンを行うために、試験前の午後に、食事なしの個々の試験ケージにラットを移し、ラットを一晩絶食させた。一晩絶食した後、翌朝、ラットに賦形剤または試験化合物を投与した。既知のアンタゴニスト(3mg/kg)をポジティブコントロールとして投与し、対照群は、賦形剤のみを投与された(化合物なし)。その化合物に応じて、試験化合物を0.1〜100mg/kgの範囲で投与した。標準賦形剤は、水中の0.5%(w/v)メチルセルロースであり、標準投与経路は経口投与であった。しかしながら、必要な場合には種々の化合物を適応させるために、異なる賦形剤および投与経路を使用した。投与して30分後に、食餌をラットに与え、Oxymax自動食物摂取システム(Columbus Instruments社,オハイオ州コロンバス)を開始した。個々のラットの食物摂取を10分間隔で2時間、継続的に記録した。必要な場合には、食物摂取を電子スケールを用いて手作業で記録した;食餌を与えて4時間後まで、食餌を与えた後30分ごとに食餌を計量した。化合物処置ラットの食物摂取パターンを、賦形剤および標準ポジティブコントロール処置ラットと比較することによって、化合物の有効性を決定した。
【0181】
アルコール摂取
以下のプロトコルによって、長い飲酒歴を有する、アルコールを好む(P)雌のラット(Indiana Universityで繁殖された)におけるアルコール摂取の作用が評価される。以下の参考文献によって、Pラットが詳細に説明されている:Li,T.-K.,ら, "Indiana selection studies on alcohol related
behaviors" in Development of Animal Models as Pharmacogenetic Tools (eds
McClearn C. E., Deitrich R. A. and Erwin V. G.), Research Monograph 6, 171-192
(1981) NIAAA, ADAMHA, Rockville, MD;
Lumeng, L,ら, "New strains of rats with alcohol preference and
nonpreference" Alcohol And Aldehyde Metabolizing Systems, 3, Academic
Press, New York, 537-544 (1977);およびLumeng, L,ら, "Different sensitivities
to ethanol in alcohol-preferring and -nonpreferring rats", Pharmacol,
Biochem Behav., 16, 125-130 (1982)。
【0182】
暗サイクルの開始時に、アルコール(10%v/vおよび水、2つのボトルの選択)にアクセスする2時間を雌のラットに毎日与えた。ラットを逆のサイクルに維持して、実験者相互作用(experimenter interaction)を促進した。動物を最初に、アルコール摂取に関して等しい4群:第1群−賦形剤(n=8);第2群−ポジティブコントロール(例えば、AM251 5.6mg/kg;n=8);第3群−低用量試験化合物(n=8);および第4群−高用量の試験化合物(n=8)に割り付けた。試験化合物は一般に、1〜2ml/kgの体積で、蒸留水中の30%(w/v)β−シクロデキストリンの賦形剤中に混合した。実験の最初の2日間、すべての群に賦形剤を注入した。これに続いて、薬物を2日間注入し(適切な群に)、最終日に賦形剤を注入した。薬物注入日に、2時間のアルコールアクセス時間の前に、薬物をscで30分間投与した。すべての動物のアルコール摂取を試験期間中に測定し、薬物処理動物と賦形剤処理動物とを比較して、アルコール飲酒行動に対する化合物の効果を測定した。
【0183】
雌C57Bl/6マウス(Charles River)を用いて、更なる飲酒研究を行った。いくつかの研究から、この系統のマウスは容易にアルコールを消費し、ほとんど、または全く処置が必要ないことが示された(Middaughら, "Ethanol Consumption by C57BL/6 Mice: Influence of
Gender and Procedural Variables" Alcohol, 17 (3), 175-183, 1999; Leら, "Alcohol
Consumption by C57BL/6, BALA/c, and DBA/2 Mice in a Limited Access Paradigm"
Pharmacology Biochemisrty and Behavior, 47, 375-378, 1994)。
【0184】
本発明者らの目的のために、到着時に(17〜19g)マウスを個々に収容し、粉末ラット飼料、水および10%(w/v)アルコール溶液に自由にアクセスさせた。自由にアクセスさせて2〜3週間後、水を20時間制限し、アルコールを毎日2時間のみのアクセスに制限した。そのアクセス期間が明暗サイクルの暗期の最後の2時間であるように、これを行った。
【0185】
飲水(飲酒)行動が安定化したら、試験を開始した。3日間の平均アルコール消費が3日間すべての平均の±20%であれば、マウスを安定しているとみなした。1日目の試験は、賦形剤の注入(scまたはip)を受けるすべてのマウスで構成された。注入後に、アルコールおよび水に30〜120分のアクセスを与えた。その日のアルコール消費を計算し(g/kg)、すべての群を割り付けた(n=7〜10)結果、すべての群が曖昧なアルコール摂取を有した。2日目および3日目に、マウスに賦形剤または試験化合物を注入し、前日と同じプロトコルに従った。4日目はウオッシュアウトし、注入を行わなかった。反復測定ANOVAを用いて、データを解析した。試験のそれぞれの日について、もう一度、水またはアルコール消費の変化を賦形剤と比較した。ポジティブな結果は、水に対しては作用することなく、アルコール消費を有意に低減することができる化合物と解釈されるだろう。
【0186】
酸素消費量
方法:
間接熱量計(Columbus Instruments社製Oxymax,オハイオ州コロンバス)を使用して、雄SDラット(他のラット系統または雌のラットを使用する場合には、明記される)において全身の酸素消費量を測定する。ラット(体重300〜380g)を熱量計チャンバに入れ、チャンバを活動モニターに置いた。これらの試験は明サイクル中に行われる。酸素消費量を測定する前に、ラットに自由に標準飼料を与えた。酸素消費量の測定中、食餌は与えない。投与前基礎酸素消費量および歩行活動を10分ごとに2.5〜3時間測定した。基礎投与前期間の最後に、チャンバを開け、強制経口投与(または指定の他の投与経路、すなわちsc、ip、iv)によって化合物(通常の用量範囲は0.001〜10mg/kgである)を動物に単回投与する。薬物は、メチルセルロース、水または他の指定の賦形剤(例としては、PEG400、30%β−シクロデキストランおよびプロピレングリコールが挙げられる)中で調製される。投与後さらに1〜6時間の間、酸素消費量および歩行活動を10分ごとに測定する。
【0187】
Oxymax熱量計ソフトウェアによって、チャンバを通る空気の流量および入口および出口での酸素含有量の差に基づいて、酸素消費量(ml/kg/h)が計算される。活動モニターは、各軸上に1インチ間隔をあけて15個の赤外線を有し、2つの連続したビームが破壊されると、歩行活動が記録され、その結果はカウントとして記録される。
【0188】
10分間のO消費値を平均し、高い歩行活動(歩行活動カウント>100)の期間を除外し、投与前期間の最初の5つの値および投与後期間からの最初の値を除外することによって、投与前および投与後の安静時酸素消費が計算される。酸素消費量の変化はパーセントで報告され、投与後安静時酸素消費量を投与前酸素消費量で割り、100を掛けることによって計算される。実験は通常、n=4〜6のラットで行われ、報告される結果は平均+/−SEMである。
【0189】
解釈:
>10%の酸素消費量の増加はポジティブな結果であるとみなされる。歴史的に、賦形剤で処置されたラットは、投与前基礎酸素消費量からの、酸素消費量の変化はない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

(式中、RおよびRはそれぞれ独立して、アリールまたはヘテロアリールであり、、前記アリールおよびヘテロアリール部位は、1つまたは複数の置換基で置換されてもよく(但し、RおよびRが両方とも一置換(C−C)アルコキシフェニルであることはない);
は、水素、(C−C)アルキル、またはハロ置換(C−C)アルキルであり;
は、−(NH)−N(R4a)(R4a’)であり、ここで、nは0または1であり、R4aは、水素または置換されてもよい(C−C)アルキルであり、R4a’は、(C−C)アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール(C−C)アルキル、部分もしくは完全飽和(C−C10)シクロアルキル、ヘテロアリール(C−C)アルキル、5〜6員ラクトン、5〜6員ラクタム、および3〜6員部分もしくは完全飽和複素環からなる群から選択される化学部位であり、前記化学部位は、1つまたは複数の置換基で置換されてもよいか、またはR4aおよびR4a’はそれらが結合する窒素と共に置換されてもよい5〜8員複素環を形成する)の化合物、その薬学的に許容できる塩、前記化合物もしくは前記塩のプロドラッグ、または前記化合物、前記塩もしくは前記プロドラッグの溶媒和化合物または水和物。
【請求項2】
が−(NH)−N(R4a)(R4a’)であり、ここで、nが0であり、R4aが水素であり、R4a’が、(C−C)アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール(C−C)アルキル、部分もしくは完全飽和(C−C10)シクロアルキル、ヘテロアリール(C−C)アルキル、5〜6員ラクトン、5〜6員ラクタム、および3〜6員部分もしくは完全飽和複素環からなる群から選択される化学部位であり、前記化学部位が、1つまたは複数の置換基で置換されてもよい、請求項1に記載の化合物;その薬学的に許容できる塩、または前記化合物もしくは前記塩の溶媒和化合物または水和物。
【請求項3】
が−(NH)−N(R4a)(R4a’)であり、ここで、nが1であり、R4aが水素であり、R4a’が、(C−C)アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール(C−C)アルキル、部分もしくは完全飽和(C−C10)シクロアルキル、ヘテロアリール(C−C)アルキル、5〜6員ラクトン、5〜6員ラクタム、および3〜6員部分もしくは完全飽和複素環からなる群から選択される化学部位であり、前記化学部位が1つまたは複数の置換基で置換されてもよい、請求項1に記載の化合物;その薬学的に許容できる塩、または前記化合物もしくは前記塩の溶媒和化合物または水和物。
【請求項4】
4a’が(C−C)アルキル、フェニル(C−C)アルキル、または部分もしくは完全飽和(C−C10)シクロアルキルから選択される化学部位であり、前記化学部位が1つまたは複数の置換基で置換されてもよい、請求項2または3に記載の化合物;その薬学的に許容できる塩、または前記化合物もしくは前記塩の溶媒和化合物または水和物。
【請求項5】
が−(NH)−N(R4a)(R4a’)であり、ここで、nが0であり、R4aが置換されてもよい(C−C)アルキルであり、R4a’が(C−C)アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール(C−C)アルキル、部分もしくは完全飽和(C−C10)シクロアルキル、ヘテロアリール(C−C)アルキル、5〜6員ラクトン、5〜6員ラクタム、および3〜6員部分もしくは完全飽和複素環からなる群から選択される化学部位であり、前記化学部位が1つまたは複数の置換基で置換されてもよい、請求項1に記載の化合物;その薬学的に許容できる塩、または前記化合物もしくは前記塩の溶媒和化合物または水和物。
【請求項6】
4aが(C−C)アルキルであり、R4a’が、(C−C)アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール(C−C)アルキル、部分もしくは完全飽和(C−C10)シクロアルキル、ヘテロアリール(C−C)アルキル、または3〜6員部分もしくは完全飽和複素環から選択される化学部位であり、前記化学部位が1つまたは複数の置換基で置換されてもよい、請求項5に記載の化合物;その薬学的に許容できる塩、または前記化合物もしくは前記塩の溶媒和化合物または水和物。
【請求項7】
が−(NH)−N(R4a)(R4a’)であり、ここで、nが1であり、R4aが置換されてもよい(C−C)アルキルであり、R4a’が(C−C)アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール(C−C)アルキル、部分もしくは完全飽和(C−C10)シクロアルキル、ヘテロアリール(C−C)アルキル、5〜6員ラクトン、5〜6員ラクタム、および3〜6員部分もしくは完全飽和複素環からなる群から選択される化学部位であり、前記化学部位が1つまたは複数の置換基で置換されてもよい、請求項1に記載の化合物;その薬学的に許容できる塩、または前記化合物もしくは前記塩の溶媒和化合物または水和物。
【請求項8】
4aが(C−C)アルキルであり、R4a’が(C−C)アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール(C−C)アルキル、部分もしくは完全飽和(C−C10)シクロアルキル、ヘテロアリール(C−C)アルキル、または3〜6員部分もしくは完全飽和複素環から選択される化学部位であり、前記化学部位が1つまたは複数の置換基で置換されてもよい、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
が−(NH)−N(R4a)(R4a’)であり、ここで、nが0または1であり、R4aおよびR4a’が一緒になって、式(IA)
【化2】

(式中、R4bおよびR4b’はそれぞれ独立して、水素;シアノ;ヒドロキシ;アミノ;HNC(O)−であるか;または(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、アシルオキシ、アシル、(C−C)アルキル−O−C(O)−、(C−C)アルキル−NH−C(O)−、(C−C)アルキル)N−C(O)−、(C−C)アルキルアミノ−、((C−C)アルキル)アミノ−、(C−C)シクロアルキルアミノ−、アシルアミノ−、アリール(C−C)アルキルアミノ−、ヘテロアリール(C−C)アルキルアミノ−、アリール、ヘテロアリール、3〜6員部分もしくは完全飽和複素環、および3〜6員部分もしくは完全飽和炭素環式環からなる群から選択される化学部位であり、前記部位は1つまたは複数の置換基で置換されてもよく;あるいは
4bまたはR4b’のいずれ一方かは、R4e、R4e’、R4f、またはR4f’と共に結合、メチレン架橋、またはエチレン架橋を形成し;
Xは、結合、−CHCH−または−C(R4c)(R4c’)−であり、R4cおよびR4c’はそれぞれ独立して、水素;シアノ;ヒドロキシ;アミノ;HNC(O)−であるか;または(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、アシルオキシ、アシル、(C−C)アルキル−O−C(O)−、(C−C)アルキル−NH−C(O)−、((C−C)アルキル)N−C(O)−、(C−C)アルキルアミノ−、ジ(C−C)アルキルアミノ−、(C−C)シクロアルキルアミノ−、アシルアミノ−、アリール(C−C)アルキルアミノ−、ヘテロアリール(C−C)アルキルアミノ−、アリール、ヘテロアリール、3〜6員部分もしくは完全飽和複素環、および3〜6員部分もしくは完全飽和炭素環式環からなる群から選択される化学部位であり、前記部位は1つまたは複数の置換基で置換されてもよく;あるいは
4cまたはR4c’のいずれか一方は、R4e、R4e’、R4f、またはR4f’と共に結合、メチレン架橋、またはエチレン架橋を形成し;
4cまたはR4c’のいずれか一方はは、R4d’またはR4d’’のいずれか一方と共に縮合芳香族環を形成し;
Yは、酸素、硫黄、−C(O)−、または−C(R4d)(R4d’)−であり、R4dおよびR4d’はそれぞれ独立して、水素;シアノ;ヒドロキシ;アミノ;HNC(O)−であるか;または(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、アシルオキシ、アシル、(C−C)アルキル−O−C(O)−、(C−C)アルキル−NH−C(O)−、((C−C)アルキル)N−C(O)−、(C−C)アルキルアミノ−、ジ(C−C)アルキルアミノ−、(C−C)シクロアルキルアミノ−、アシルアミノ−、アリール(C−C)アルキルアミノ−、ヘテロアリール(C−C)アルキルアミノ−、(C−C)アルキル−SO−、アリール、ヘテロアリール、3〜6員部分もしくは完全飽和複素環、および3〜6員部分もしくは完全飽和炭素環式環からなる群から選択される化学部位であり、前記部位は1つまたは複数の置換基で置換されてもよく;あるいは
4dおよびR4d’は一緒になって、3〜6員部分もしくは完全飽和複素環、5〜6員ラクトン環、または4〜6員ラクタム環を形成し、前記複素環、前記ラクトン環および前記ラクタム環が、1つまたは複数の置換基で置換されてもよく、かつ前記ラクトン環および前記ラクタム環は、酸素、窒素または硫黄から選択される更なるヘテロ原子を含有してもよく、あるいは
4d’またはR4d’’のいずれか一方はR4c、R4c’、R4e、またはR4e’と共に縮合芳香族環を形成し;
Yは−NR4d’’−であり、ここで、R4d’’は水素であるか;または(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、(C−C)アルキルスルホニル−、(C−C)アルキルアミノスルホニル−、ジ(C−C)アルキルアミノスルホニル−、アシル、(C−C)アルキル−O−C(O)−、アリール、およびヘテロアリールからなる群から選択される化学部位であり、前記部位は1つまたは複数の置換基で置換されてもよく;
Zは、結合、−CHCH−、または−C(R4e)(R4e’)−であり、ここで、R4eおよびR4e’はそれぞれ独立して、水素;シアノ;ヒドロキシ;アミノ;HNC(O)−であるか;または(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、アシルオキシ、アシル、(C−C)アルキル−O−C(O)−、(C−C)アルキル−NH−C(O)−、((C−C)アルキル)N−C(O)−、(C−C)アルキルアミノ−、ジ(C−C)アルキルアミノ−、(C−C)シクロアルキルアミノ−、アシルアミノ−、アリール(C−C)アルキルアミノ−、ヘテロアリール(C−C)アルキルアミノ−、アリール、ヘテロアリール、3〜6員部分もしくは完全飽和複素環、および3〜6員部分もしくは完全飽和炭素環式環からなる群から選択される化学部位であり、前記部位は1つまたは複数の置換基で置換されてもよく;あるいは
4eまたはR4e’のいずれか一方はR4b、R4b’、R4c、またはR4c’と共に結合、メチレン架橋またはエチレン架橋を形成し、または
4eまたはR4e’のいずれか一方はR4d’またはR4d’’のいずれか一方と共に縮合芳香族環を形成し;かつ
4fおよびR4f’がそれぞれ独立して、水素;シアノ;ヒドロキシ;アミノ;HNC(O)−であるか;または(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、アシルオキシ、アシル、(C−C)アルキル−O−C(O)−、(C−C)アルキル−NH−C(O)−、((C−C)アルキル)N−C(O)−、(C−C)アルキルアミノ−、ジ(C−C)アルキルアミノ−、(C−C)シクロアルキルアミノ−、アシルアミノ−、アリール(C−C)アルキルアミノ−、ヘテロアリール(C−C)アルキルアミノ−、アリール、ヘテロアリール、3〜6員部分もしくは完全飽和複素環、および3〜6員部分もしくは完全飽和炭素環式環からなる群から選択される化学部位であり、前記部位は1つまたは複数の置換基で置換されてもよく;あるいは
4fまたはR4f’のいずれか一方はR4b、R4b’、R4c、またはR4c’と共に結合、メチレン架橋またはエチレン架橋を形成する)を有する複素環を形成する、請求項1に記載の化合物;その薬学的に許容できる塩、または前記化合物もしくは前記塩の溶媒和化合物または水和物。
【請求項10】
が、1つまたは複数の置換基で置換されるフェニル、1つまたは複数の置換基で置換されてもよい2−ピリジル、または1つまたは複数の置換基で置換されてもよい4−ピリジルであり、
が、1つまたは複数の置換基で置換されるフェニル、または1つまたは複数の置換基で置換される2−ピリジルである、請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9に記載の化合物;その薬学的に許容できる塩、または前記化合物もしくは前記塩の溶媒和化合物または水和物。
【請求項11】
(1)先行の各請求項のいずれか一項に記載の化合物、前記化合物のプロドラッグ、前記化合物もしくは前記プロドラッグの薬学的に許容できる塩、または前記化合物、前記プロドラッグ、もしくは前記塩の溶媒和化合物または水和物;(2)薬学的に許容できる賦形剤、希釈剤、または担体;(3)任意の更なる薬剤;を含有する医薬組成物。
【請求項12】
前記の更なる薬剤は、ニコチン受容体部分アゴニスト、オピオイドアンタゴニスト、ドーパミン作動薬、ADHD治療薬、または抗肥満薬である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
動物におけるカンナビノイド受容体アンタゴニストにより調節される疾患、状態または障害を治療する方法であって、治療有効量の請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10に記載の化合物を、かかる治療が必要な動物に投与する段階を含む方法。
【請求項14】
カンナビノイド受容体アンタゴニストにより調節される疾患、状態または障害を治療するための薬物の製造における、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10に記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2006−527759(P2006−527759A)
【公表日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516548(P2006−516548)
【出願日】平成16年6月9日(2004.6.9)
【国際出願番号】PCT/IB2004/001971
【国際公開番号】WO2004/110453
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】