説明

カーナビゲーション装置、道路標識認識方法およびプログラム

【課題】道路標識を認識するまでの時間を短縮する。
【解決手段】処理部20において、道路状況判定部21は、車両2が走行中の道路の道路状況を判定する。このとき、認識順序情報12には、道路状況ごとにその道路状況に応じて存在する可能性の高い道路標識を優先して認識するような認識順序が記憶されている。そこで、認識順序決定部22は、認識順序情報12を参照して、前記判定した道路状況に応じて適切な道路標識の認識順序を決定し、画像認識処理部23は、その決定された認識順序に従って道路標識を認識する。従って、画像認識処理部23は、車両2が走行中の道路の道路状況に応じて存在する可能性の高い道路標識を優先して認識する。従って、道路標識の認識に到るまでの時間が短縮される。また、警告出力部28は、走行状況判定部24により判定された車両2の走行状況に応じて必要な場合に道路標識の警告を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導経路を表示して車両を誘導するカーナビゲーション装置、ならびに、そのカーナビゲーション装置における道路標識認識方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カーナビゲーション装置には、ナビゲーションを支援する機能にとどまらず様々な機能が付加されるようになってきた。例えば、特許文献1には、参照カメラを搭載し、そのカメラで撮影した車両の前方の画像から道路標識を認識するカーナビゲーション装置の例が開示されている。特許文献1によれば、そのカーナビゲーション装置は、撮影した画像から道路標識を認識し、その種類を識別し、その識別した道路標識の種類と位置の情報を地図情報に関連付けて蓄積し、経路誘導に際して、その蓄積した道路標識の情報を利用するとしている。
【0003】
また、そのような道路標識の認識に際し用いられる認識方法としては、例えば、特許文献2に開示されているように、撮影画像をあらかじめ登録された道路標識のテンプレートと照合するというような方法が一般的である。しかしながら、この種の認識方法においては、撮影画像を複数のテンプレート画像と逐一照合する必要があるため、その認識処理時間が長くなる傾向がある。一方で、道路標識の認識は、車両の走行時に取得される動画像についてリアルタイムで行う必要があり、その認識には規制標識の認識も含まれるので、誤認識のない高い信頼性も要求される。
【0004】
そこで、例えば、特許文献3には、地図情報の中に道路標識の設置位置を記憶しておき、車両がその位置に近づいたときに撮影画像中の道路標識の位置を推定し、画像処理の対象範囲を限定することによって、認識処理時間の短縮と認識精度の向上とを図ったカーナビゲーション装置の例が開示されている。
【特許文献1】特開2006−38558号公報
【特許文献2】特開2003−123197号公報
【特許文献3】特開2006−309450号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、道路標識のようにテンプレート画像が多数ある場合には、撮影画像中の画像処理の対象範囲を限定する(特許文献3)だけでは、認識処理時間を充分に短縮することはできない。また、特許文献3に開示されている方法では、地図情報に記録されている道路標識の位置情報を用いるとしているが、その位置情報が古い情報であったり、誤っていたりした場合には、その道路標識を正しく認識することができるとは限らない。
【0006】
以上のような従来技術の問題点に鑑み、本発明は、地図情報に道路標識に係る情報が含まれていない場合であっても、道路標識を正しく認識でき、かつ、道路標識を認識するに到るまでの時間を短縮することが可能なカーナビゲーション装置、道路標識認識方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のカーナビゲーション装置は、情報処理装置と、道路の地図情報を記憶した記憶装置と、前記車両の現在位置を測位する測位装置と、前記車両の走行方向の前方を撮影するカメラと、を備える。そして、前記記憶装置は、道路の近傍に設置される道路標識のテンプレート画像情報と、あらかじめ想定された道路状況(交差点を含む道路の特徴点と車両位置との相対位置関係、および、その道路の属性の少なくとも1つによって表される状況)ごとに前記道路標識のテンプレート画像の認識順序を定めた認識順序情報と、を記憶する。また、前記情報処理装置は、測位装置により得られる車両の現在位置と地図情報とに基づき、その車両が走行中の道路のその車両の現在位置における道路状況を判定する道路状況判定手段と、その道路状況判定手段により判定された道路状況に応じて前記認識順序情報を参照して、前記テンプレート画像の認識順序を決定する認識順序決定手段と、前記カメラによって撮影された撮影画像について、前記認識順序決定手段により決定された認識順序に従って、前記テンプレート画像の認識を行う画像認識手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、情報処理装置は、道路状況判定手段により、車両が走行中の道路の道路状況を判定する。このとき、記憶装置には、道路状況ごとにその道路状況に応じて存在する可能性の高い道路標識(のテンプレート画像)を優先して認識するような認識順序が認識順序情報として記憶されている。そこで、認識順序決定手段がその認識順序情報を参照して、道路状況判定手段により判定された道路状況に応じて適切な道路標識の認識順序を決定すると、画像認識処理手段は、その決定された認識順序に従って道路標識を認識する。従って、画像認識処理手段は、車両が走行中の道路の道路状況に応じて存在する可能性の高い道路標識を優先して認識する。従って、道路標識を認識するに到るまでの時間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、地図情報に道路標識に係る情報が含まれていなくても、道路標識を正しく認識でき、かつ、道路標識を認識するに到るまでの時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳しく説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係るカーナビゲーション装置(以下、実施形態の説明ではカーナビ装置と略す)の構成の例を示した図である。図1に示すように、本形態に係るカーナビ装置1は、車両2に搭載され、通常のカーナビ機能のほか、路側などに設置された道路標識3を認識し、認識した道路標識3の種別、車両2が走行中の道路の道路状況、車両2の走行状況などに応じて、適宜、警告情報をドライバに提供する機能を有する。
【0012】
図1に示すように、カーナビ装置1は、大容量のハードディスク装置、フラッシュメモリなどからなる記憶部10と、CPU(Central Processing Unit)、メモリ(例えば、RAM(Random Access Memory))などからなる処理部20と、車両2の現在位置を測位するGPS(Global Positioning System)受信機30と、車両2の車速センサ、方向センサ方向指示器などの様々なセンサや制御装置に接続されるセンサインタフェース40と、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサなどを備えたカメラ50と、LCD(Liquid Crystal Display)などからなる表示装置60と、音声情報を出力するスピーカ70と、を含んで構成される。
【0013】
記憶部10には、地図情報11、認識順序情報12、テンプレート画像情報13などが記憶される。ここで、地図情報11は、交差点の位置データ、道路の形状データ(形状を表す点列の位置データ)、道路種別(高速道路、国道、県道、指導などの区別)などからなる道路情報を含み、さらに、山、川、海岸などの地形情報や、市役所、学校、公園など建築物や施設の位置情報を含む。
【0014】
また、テンプレート画像情報13は、道路標識3の種別ごとにその標準となる画像データを登録した情報で、道路標識3の認識に際し、テンプレートとして用いられる。また、認識順序情報12は、あらかじめ定められた道路状況に応じて道路標識3のテンプレート画像の認識順序を定めた情報である。なお、認識順序情報12の具体的な内容の例については後記する。
【0015】
処理部20は、道路状況判定部21、認識順序決定部22、画像認識処理部23、走行状況判定部24、現在位置取得部25、センサ情報取得部26、画像取得部27、警告出力部28などの機能ブロックを含んで構成される。なお、図1では、処理部20に含まれる機能ブロックとしては、道路標識認識機能に係る機能ブロックを図示しており、いわゆるカーナビ機能に係る機能ブロック(例えば、経路探索部、誘導経路表示部など)の図示を省略した。また、これらの機能ブロックの機能は、処理部20に含まれるCPU(図示せず)がRAMなどのメモリに格納された所定のプログラムを実行することによって実現される。これらの機能ブロックの詳細な機能については、図2以下を説明する中で順次説明していく。
【0016】
図2は、本実施形態に係るカーナビ装置1が適用される状況の例を示した図である。図2において、例えば、道路110がカーブする部分では、その手前の位置にカーブ注意130の標識が設置され、交差点111,112の付近には、一時停止標識132、進入禁止標識134、標識ではないが信号機135などが設置される。また、道路110において近くに交差点がないようなところには、しばしば、速度制限標識131などが設置されている。
【0017】
すなわち、道路標識3は、道路の形状や交差点の有無など、道路の状況に応じて設置されるので、カーナビ装置1は、車両2が走行中の道路の前方における道路状況を把握しておくことにより、前方に出現する可能性が大きい道路標識3を予測することができる。その場合には、カメラ50により取得される車両2の前方の撮影画像について、その出現の可能性が大きい道路標識3の認識処理を優先して行うことによって、その道路標識3が認識されるまでの時間を短縮することができる。
【0018】
続いて、図3および図4を参照して、記憶部10に記憶されるテンプレート画像情報13および認識順序情報12の構成について説明する。ここで、図3は、テンプレート画像情報13の構成の例、図4は、認識順序情報12の構成の例を示した図である。
【0019】
図3に示すように、テンプレート画像情報13は、テンプレートIDとテンプレート画像とによって構成される。テンプレートIDは、テンプレート画像を識別する情報であり、図3の例では、テンプレートIDは、「A」,「B」,…,「F」の記号で表されている。また、テンプレート画像は、道路標識3の種別ごとの画像データである。ちなみに、図3の例では、道路標識のテンプレート画像として、カーブ注意標識130、速度制限標識131、一時停止標識132、進入禁止標識134、信号機135、一方通行標識136の6種類のテンプレート画像が登録されている。ただし、テンプレート画像がこの6種類に限定される必要はない。

【0020】
次に、図4に示すように、認識順序情報12は、道路状況番号と道路状況と認識順序とによって構成される。ここで、道路状況番号は、道路状況を識別する番号である。また、道路状況は、道路の特徴点の属性(交差点、カーブ、屈曲点など)、その特徴点と車両位置との相対位置関係、道路の属性(高速道路、一般道など)などによって表される情報であり、例えば、交差点の手前100m、カーブの手前100m、高速道路走行中、次の交差点には信号機がある、といった情報である。また、認識順序は、前記の道路状況に対応付けられた情報であり、車両2が当該道路状況の道路を走行中にその前方の撮影画像について、道路標識3のテンプレート画像の認識順序を定めた情報である。
【0021】
例えば、図4の道路状況番号が「1」においては、車両2が走行中の道路状況が「信号機付き交差点の手前100m以内」であるので、テンプレート画像の認識順序を、E(信号機)→C(一時停止)→D(進入禁止)→F(一方通行)→B(速度制限)→A(カーブ注意)としている。すなわち、車両2の走行方向の前方100m以内に信号機付き交差点があるわけであるから、信号機が存在する可能性は非常に大きい。そこで、まず、最初に、信号機のテンプレートを認識する。このとき、当該信号機が存在するという情報は、地図情報11によるものであるが、地図情報11がいつも正確であるとは限らない。信号機が存在しないこともあり得る。その場合には、一時停止や進入禁止の標識が設置してある可能性が高い。そこで、この場合の認識順序では、信号機に引き続いて一時停止や進入禁止のテンプレートを認識するように設定されている。
【0022】
また、道路状況番号が「2」においては、車両2が走行中の道路状況が「信号機なし交差点の手前100m以内」であるので、テンプレート画像の認識順序を、C(一時停止)→D(進入禁止)→F(一方通行)→E(信号機)→B(速度制限)→A(カーブ注意)としている。この場合には、前方の交差点に信号機がないので、信号機のテンプレートの認識が一時停止などのテンプレートの認識よりも後回しにされている。
【0023】
また、道路状況番号が「3」においては、車両2が走行中の道路状況が「交差点手前10m以内〜交差点内」であるので、テンプレート画像の認識順序を、D(進入禁止)→F(一方通行)→E(信号機)→C(一時停止)→B(速度制限)→A(カーブ注意)としている。この場合は、車両2がほとんど交差点に入った状態なので、交差点の先の道路に進入禁止や一方通行の標識がある可能性がある。
【0024】
また、道路状況番号が「4」においては、車両2が走行中の道路状況が「カーブ手前100m以内」であるので、テンプレート画像の認識順序を、A(カーブ注意)→B(速度制限)→F(一方通行)→E(信号機)→C(一時停止)→D(進入禁止)としている。この場合は、前方にカーブがあるので、カーブ注意や速度制限などの標識がある可能性が大きい。
【0025】
また、道路状況番号が「5」においては、車両2が走行中の道路状況が「高速道路走行中」であるので、テンプレート画像の認識順序を、B(速度制限)→A(カーブ注意)→F(一方通行)→D(進入禁止)→E(信号機)→C(一時停止)としている。この場合は、車両2が高速道路を走行中であるので、速度制限、カーブ注意などの標識がある可能性が大きい。
【0026】
また、道路状況番号が「6」は、道路状況が以上のいずれにも属さない「その他の」場合であり、テンプレート画像の認識順序を、B(速度制限)→E(信号機)→C(一時停止)→D(進入禁止)→F(一方通行)→A(カーブ注意)にするとしている。この場合の道路状況は、一般道で交差点がない道路部分ということができるため、速度制限の標識がある可能性が大きい。ただし、地図情報11が現況と異なっている場合も考えられるので、見逃したときには事故に至る可能性もある信号機や一時停止について、その認識の優先順位を高くしている。
【0027】
続いて、図1および図5〜図8を参照して、本実施形態に係るカーナビ装置1の動作について説明する。ここで、図5は、カーナビ装置1における画像認識処理および道路状況判定処理のフローチャートの例を示した図、図6は、本実施形態に係るカーナビ装置1の処理部20および記憶部10の内部構成の例を示した図、図7は、警告出力条件テーブルの例を示した図、図8は、警告出力処理のフローチャートの例を示した図である。
【0028】
図1において、センサ情報取得部26は、センサインタフェース40を介して、車両2に搭載されている車速センサや方向センサ(ジャイロ)などから出力される車両2の走行速度や走行方向の情報を取得する。また、現在位置取得部25は、GPS受信機30から得られる車両2の位置情報を、センサ情報取得部26によって取得される車両2の走行速度や走行方向の情報に基づき補正して、車両2の現在位置を取得する。
【0029】
道路状況判定部21は、現在位置取得部25により所定の時間間隔(例えば、0.5秒)ごとに取得される現在位置に基づき、車両2が走行中の道路状況を判定する。この道路状況を判定する処理の詳細は、後で説明する図5の道路状況判定処理のフローチャートとして示されている。
【0030】
また、図1において、画像取得部27は、カメラ50により撮影される車両2の走行方向の前方の撮影画像を、所定の時間間隔(例えば、0.5秒)ごとに取得する。そして、画像認識処理部23は、その撮影画像について、テンプレート画像情報13に登録されている道路標識3のテンプレート画像の認識処理を行う。このテンプレート画像の認識処理の詳細は、後で説明する図5の画像認識処理のフローチャートとして示されている。
【0031】
処理部20は、これらの道路状況判定処理と画像認識処理とを並行して行うことになるが、このほかにも、誘導経路探索や誘導経路表示など、カーナビ装置1の本来機能としてナビゲーション処理を行う必要がある。そこで、本実施形態では、図6に示すように処理部20を2つのCPUで構成し、画像認識処理部23(画像取得部27を含む)の機能をCPU1(20a)で実現し、他のブロックの機能をCPU2(20b)で実現するものとした。
【0032】
このような場合、CPU1(20a)およびCPU2(20b)は、共通のバスで記憶部10に接続され、認識順序情報12およびテンプレート画像情報13をともにアクセスすることができる。また、記憶部10には、道路状況判定処理と画像認識処理との間で情報のやり取りを行うための共有メモリ15が設けられている。そして、ここでは、その共有メモリ15には、道路状況判定処理の結果得られる道路状況番号と、画像認識処理の結果得られるテンプレートIDとが記憶されるものとする。
【0033】
そこで、CPU1(20a)は、画像認識処理部23の処理として、図5に示した画像認識処理を実行する。図5に示すように、CPU1(20a)は、まず、画像取得部27を介してカメラ50により撮影された車両2の走行方向前方の撮影画像を取得する(ステップS11)。次に、CPU1(20a)は、取得した撮影画像について、適宜、ノイズ除去、エッジ強調、2値化などのフィルタリング処理を施す(ステップS12)。
【0034】
次に、CPU1(20a)は、共有メモリ15を参照して、道路状況判定処理により設定された道路状況番号を取得し、さらに認識順序情報12を参照して、その道路状況番号に対応するテンプレート画像の認識順序を取得する。そして、CPU1(20a)は、その認識順序に従って、テンプレート画像の1つを選択する(ステップS13)。
【0035】
次に、CPU1(20a)は、ステップS11で取得した撮影画像に対し、ステップS13で選択したテンプレート画像のマッチング処理を実行する(ステップS14)。そのマッチング処理の結果、前記撮影画像に前記テンプレート画像と一致する画像部分があった場合には、そのテンプレート画像の認識が成功したものとして、その認識に成功したテンプレート画像のテンプレートIDを、CPU2(20b)の警告出力処理に通知する(ステップS15)。
【0036】
なお、CPU1(20a)は、テンプレートIDを警告出力処理(ステップS28)に通知するときには、そのテンプレートIDを共有メモリ15に書き込んだ上で、割込Aの信号(図6参照)を用いて、CPU2(20b)へ通知する。CPU2(20b)は、その割込Aの信号を受けると、警告出力処理(ステップS28)を実行するが、その詳細については後記する。
【0037】
次に、CPU1(20a)は、ステップS13で設定された認識順序に従って、すべてのテンプレート画像についてマッチング処理したか否かを判定し(ステップS16)、すべてのテンプレート画像のマッチング処理をしていなかったときには(ステップS16でNo)、ステップS13へ戻り、ステップS13以下の処理を再度実行する。また、すべてのテンプレート画像のマッチング処理をしていたときには(ステップS16でYes)、ステップS11へ戻り、ステップS11以下の処理を繰り返し実行する。
【0038】
一方、CPU2(20b)は、道路状況判定部21の処理として、図5に示した道路状況判定処理を実行する。図5に示すように、CPU2(20b)は、まず、現在位置取得部25を介して車両2の現在位置を取得する(ステップS21)。次に、その現在位置に基づき地図情報11を参照して、車両2が走行中の道路位置を特定する(マップマッチング:ステップS22)。なお、ここでいう道路位置とは、その道路を識別するリンク番号だけでなく、その道路の一端(つまり、交差点)から車両2が進んだ距離などを含む。従って、道路位置により、次の交差点までの距離やその道路上のカーブや屈曲点までの距離が分かる。
【0039】
そこで、CPU2(20b)は、現在位置の前方100m以内に交差点があるか否かを判定し(ステップS23)、交差点があったときには(ステップS23でYes)、地図情報11を参照してその交差点における信号機の有無、交差する道路の種別などの情報を取得する(ステップS24)。また、交差点がなかったときには(ステップS23でNo)、ステップS24をスキップする。
【0040】
同様に、CPU2(20b)は、現在位置の前方100m以内にカーブがあるか否かを判定し(ステップS25)、カーブがあったときには(ステップS25でYes)、地図情報11を参照してそのカーブの種別(左カーブ、右カーブ、S字カーブなど)を判定する(ステップS26)。また、カーブがなかったときには(ステップS25でNo)、ステップS26をスキップする。
【0041】
以上のようにして、CPU2(20b)は、車両2が走行中の道路における道路状況を取得し、認識順序情報12を参照して、その道路状況に該当する道路状況番号を取得する。そして、CPU2(20b)は、その取得した道路状況番号を画像認識処理へ通知する(ステップS27)。なお、その通知に際しては、CPU2(20b)は、取得した道路状況番号を共有メモリ15に書き込んだ上で、CPU1(20a)に対し、割込Bの信号(図6参照)を用いて割込を入れる。
【0042】
その後、CPU2(20b)は、ステップS21へ戻り、ステップ21以下の処理を繰り返し実行する。
【0043】
続いて、警告出力処理について詳しく説明する。本実施形態における警告出力処理の特徴は、画像認識処理部23により道路標識が認識されたとき、その道路標識に係る情報をそのまますぐに出力するようにはしなかった点にある。そのようにした理由は、道路標識が認識されるたびに、それを知らせる情報が出力されると、車両2のドライバにとってうるさく感じられ、運転の妨げになると判断したからである。
【0044】
そこで、本実施形態では、CPU2(20b)は、CPU1(20a)から道路標識を認識したことを知らせる通知を受けた場合には、認識した道路標識に応じて、車両2の走行状況に係る情報を取得する。そして、CPU2(20b)は、その走行状況の情報に基づき、車両2が必ずしも適切には運転されていない、または、その道路標識を知らせたほうがドライバに適切な運転を促すことができる、と判断したときには、認識した道路標識についての警告(例えば、「制限速度をオーバしています」など)を、表示装置60やスピーカ70を介して出力するようにした。
【0045】
ここで、走行状況とは、車両2が走行中の道路についての道路状況の情報を含むとともに、車両2の走行状態を表す情報を含むものとする。このとき走行状態を表す情報とは、センサインタフェース40を介して入力される情報であり、例えば、車両2の走行速度、走行方向、方向指示器の点灯情報などを含む。
【0046】
本実施形態では、図7に示すような、認識した道路標識と、走行情報と、警告情報とを対応付けた情報を、警告出力条件テーブル(図1には図示せず)としてあらかじめ作成し、記憶部10に格納しておく。すなわち、車両2が必ずしも適切には運転されていない、または、その道路標識を知らせたほうがドライバに適切な運転を促すことができる、ことを判断するための条件をあらかじめ設けておく。そうすれば、処理部20は、画像認識処理部23が認識した道路標識と、走行状況判定部24が判定した交通状況(図7の例では、車両2の道路位置(ここでは、前方の交差点までの距離で表している)、走行速度、方向指示器の点灯情報など)と、に基づき警告出力条件テーブルを参照することにより、出力すべき警告情報を得ることができる。
【0047】
ちなみに、図7によれば、道路標識として「信号機が赤」が認識された場合には、車両2が交差点の手前100m以内に位置していたときには、「信号機が赤」であることを示す警告が出力される。逆に、「信号機が緑または黄」が認識された場合には、警告は出力されない。
【0048】
また、道路標識として「一時停止」が認識された場合には、走行状況として車両2の道路位置(前方の交差点までの距離)と走行速度とが取得され、その走行速度の車両2が安全に停止できる距離が前方の交差点までの距離を越えていたときに、「一時停止」を促す警告が出力される。すなわち、走行状況が安全でないと判断される場合には、警告が出力される。
【0049】
なお、図7の例では、前方の交差点までの距離が50m、30m、20mの3つの地点に対応させて走行速度を定めているが、その値は、次の式に基づき算出したものである。すなわち、走行中の車両2がブレーキをかけたとき、その停止距離は、次の式で表わされることが知られている。
停止距離=空走距離+制動距離
空走距離=ドライバの反応時間(およそ0.75秒)×走行速度
制動距離=(走行速度)/(2×9.8×摩擦係数)
【0050】
これらの式によれば、例えば、走行速度が60km/hの場合、停止距離は32.7mとなる。ただし、この停止距離は、強くブレーキをかけたときの停止距離であり、必ずしも適切な停止距離とはいえない。また、路面状況によってもこの距離は長くなることがある。従って、車両2が適切に停止するためには、これよりも長い停止距離が必要である。そこで、ここでは、次の式で表される目標停止距離を定義する。
目標停止距離=停止距離+1秒間の走行距離
そして、車両2の走行速度から求められる目標停止距離が前方の交差点までの距離よりも長くなる場合には、車両2が適切に停止できないと判断し、警告を出力するようにした。
【0051】
また、道路標識として「進入禁止」が認識された場合には、走行状況として車両2の道路位置(前方の交差点までの距離)と方向指示器の点灯状況とが取得さる。そして、例えば、直進道路が「進入禁止」であった場合には、交差点の手前30m以内になっても、方向指示器の点灯がされていなかったときには、「前方道路が進入禁止」または「方向指示器の点灯指示」を示す警告が出力される。
【0052】
また、道路標識として「一方通行」が認識された場合には、走行状況として車両2の走行方向が取得され、走行中の道路を逆走中であったときに、「一方通行路を逆走中」を示す警告が出力される。また、「カーブ注意」の道路標識が認識された場合には、車両2の走行状態の如何にかかわらず、「カーブ注意」を示す警告が出力される。また、道路標識として「制限速度」が認識された場合には、走行状況として車両2の走行速度が取得され、その走行速度が認識された制限速度よりも大きかったときに、「制限速度オーバ」を示す警告が出力される。
【0053】
なお、以上の道路標識のうち、「信号機が赤」、「一時停止」および「進入禁止」が認識されたときには、交差点までの距離を計測しながら警告の出力が行われるが、「一方通行」、「カーブ注意」および「制限速度オーバ」が認識されたときには、所定の条件さえ満たされたときには、認識されてすぐに警告の出力が行われる。なかでも「カーブ注意」は、危険を予知する標識であるので、認識されると無条件に警告の出力が行われる。
【0054】
また、CPU1(20a)が車両2の前方の撮影画面の中に複数の道路標識を認識した場合には、CPU2(20b)は、そのときの車両2の走行状況を判定し、認識したすべての道路標識について図7の警告出力条件をチェックし、条件が満たされたすべての警告出力を行う。
【0055】
図8は、以上に説明した警告出力処理をフローチャートとして表したものである。前記したように、CPU1(20a)は、道路標識を認識したときには、共有メモリ15(図6参照)に認識した道路標識のテンプレートIDを書き込むので、CPU2(20b)は、CPU1(20a)から道路標識を認識したことの通知を受けたときには、まず、共有メモリ15を参照して、そのテンプレートIDを取得する(ステップS31)。
【0056】
次に、CPU2(20b)は、走行状況判定部24の処理として、センサインタフェース40を介して得られた車両2の走行速度や走行方向などの情報、さらには、道路状況判定部21の処理で得られた車両2の道路位置(前方の交差点までの距離)、つまり、走行状況の情報を取得する(ステップS32)。
【0057】
次に、CPU2(20b)は、記憶部10に格納されている警告出力条件テーブルを参照して、前記のテンプレートIDに対応する警告出力条件(図7の道路位置、走行速度およびその他の情報)を取得し、さらに、警告情報を取得する(ステップS33)。そして、ステップS32で取得した走行状況情報がその警告出力条件を満足していたときには、その警告情報を出力する(ステップS34)。
【0058】
以上、本実施形態によれば、処理部20が車両2の道路状況を判定しつつ、その道路状況に応じてその道路に存在すると予測される道路標識を優先して認識するので、道路標識の認識に到るまでの時間を短縮することができる。また、道路標識が6種類でなく、もっと多数になった場合のことを考慮すると、図5に示した画像認識処理は、所定の時間(例えば、0.5秒)以内にすべての道路標識のテンプレートについてそのマッチング処理を終えることができず、マッチング処理が途中で打ち切られる場合がある。しかしながら、本実施形態では、存在すると予測される道路標識を優先して認識するので、マッチング処理が途中で打ち切られても、その打ち切られた後のマッチング処理は、存在しない道路標識のマッチング処理である可能性が大きく、処理途中での打ち切りの影響をほとんど受けない。従って、本実施形態では、存在すると予測される道路標識をより確実に認識することができる。
【0059】
以下、本実施形態を拡張した実施形態について補足して説明する。
【0060】
図9は、スクールゾーンの道路標識の認識について拡張した実施形態を示した図である。スクールゾーンは、一般に、学校施設から500m以内の範囲に設定されることが多い。そこで、ここでは、学校80を中心に、例えば、1辺が1kmの正方形81の範囲を設け、車両2がこの範囲内に含まれる一般道82,83,84を走行するときには、スクールゾーンの道路標識450を優先的に認識するようにする。
【0061】
そのためには、まず、スクールゾーンの道路標識450のテンプレート画像を図3のテンプレート画像情報13に登録しておく。そして、処理部20は、道路状況判定部21の処理として、道路状況の情報を取得するだけでなく、地図情報11を参照して、車両2の現在位置を中心とした所定の範囲内(例えば、1辺が1kmの正方形内)に学校が存在するか否かを判定する。そして、その範囲内に、学校があったときには、認識順序決定部の処理として、スクールゾーンの道路標識450の認識順序を高く設定する。
【0062】
以上により、スクールゾーン81においては、スクールゾーンの道路標識450の認識を速く、また、確実に行うことができるようになる。なお、車両2が、高速道路を走行中であった場合は、以上に説明した処理は適用されない。
【0063】
図10は、撮影画像90,90aにおいて、道路標識の種類に応じて認識対象の範囲を限定して、テンプレート画像を認識する例を示した図である。例えば、図10(a)に示すように、通常の道路標識である一時停止の道路標識132は、車両2の走行方向の前方の左手に設置されていることが多い。そこで、そのような道路標識132を認識する場合には、その認識の対象範囲を撮影画像90の、例えば、左上側の約1/4の範囲91に限って、道路標識132の認識を行う。
【0064】
また、図10(b)に示すように、信号機135は、高いポール上に設置され、しかも、車線上にかかって設置されることが多いので、信号機135を認識する場合には、その認識の対象範囲を撮影画像90aの、例えば、左側の約1/2〜1/3の範囲92に限って、信号機135の認識を行う。
【0065】
なお、道路標識の種類に応じて認識対象の範囲を変えるためには、テンプレート画像情報13(図3参照)のそれぞれのテンプレートIDに応じて認識する範囲を指定する情報(例えば、左上部1/4、上部1/3など)を設定しておけばよい。その場合には、画像認識処理部23は、テンプレートIDに基づきテンプレート画像情報13を参照して、認識する範囲を指定する情報を得ることができるので、画像取得部27により所得された撮影画像についてその指定された範囲で画像認識処理を行えばよい。
【0066】
以上のように、認識対象の範囲を限定することによって、道路標識が認識されるまでの時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】実施形態に係るカーナビゲーション装置の構成の例を示した図。
【図2】実施形態に係るカーナビ装置が適用される状況の例を示した図。
【図3】テンプレート画像情報の構成の例を示した図。
【図4】認識順序情報の構成の例を示した図。
【図5】カーナビ装置における画像認識処理および道路状況判定処理のフローチャートの例を示した図。
【図6】カーナビ装置の処理部および記憶部の内部構成の例を示した図。
【図7】警告出力条件テーブルの例を示した図。
【図8】警告出力処理のフローチャートの例を示した図。
【図9】スクールゾーンの道路標識の認識について拡張した実施形態を示した図。
【図10】道路標識の種類に応じて、撮影画像の認識対象の範囲を限定して、テンプレート画像を認識する例を示した図。
【符号の説明】
【0068】
1 カーナビ装置
2 車両
3 道路標識
10 記憶部
11 地図情報
12 認識順序情報
13 テンプレート画像情報
15 共有メモリ
20 処理部
21 道路状況判定部
22 認識順序決定部
23 画像認識処理部
24 走行状況判定部
25 現在位置取得部
26 センサ情報取得部
27 画像取得部
28 警告出力部
30 GPS受信機
40 センサインタフェース
50 カメラ
60 表示装置
70 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、情報処理装置と、道路の地図情報を記憶した記憶装置と、前記車両の現在位置を測位する測位装置と、前記車両の走行方向の前方を撮影するカメラと、を備え、前記車両のドライバにより設定される目的地までの誘導経路を表示装置に表示して、前記車両を誘導するカーナビゲーション装置であって、
前記記憶装置は、
道路の近傍に設置される道路標識のテンプレート画像情報と、
交差点を含む道路の特徴点と車両位置との相対位置関係、および、その道路の属性の少なくとも1つによって表される道路状況について、あらかじめ想定した道路状況ごとに前記道路標識のテンプレート画像の認識順序を定めた認識順序情報と、
を記憶し、
前記情報処理装置は、
前記測位装置により得られる現在位置と前記地図情報とに基づき、前記車両が走行中の道路の前記現在位置における前記道路状況を判定する道路状況判定手段と、
前記道路状況判定手段により判定された道路状況に応じて前記認識順序情報を参照して、前記テンプレート画像の認識順序を決定する認識順序決定手段と、
前記カメラによって撮影された撮影画像について、前記認識順序決定手段により決定された認識順序に従って、前記テンプレート画像の認識を行う画像認識手段と、
を備えたこと
を特徴とするカーナビゲーション装置。
【請求項2】
前記カーナビゲーション装置は、さらに、
前記車両の走行状態を示す情報を取得するセンサに接続されるセンサインタフェース
を備え、
前記情報処理装置は、さらに、
前記車両が走行中の道路について前記車両の現在位置における道路状況と、前記センサインタフェースを介して取得した前記車両の走行状態を示す情報とに基づき、前記車両の走行状況を判定する走行状況判定手段と、
前記画像認識手段により前記テンプレート画像が認識され、前記走行状況判定手段により判定された前記車両の走行状況が、前記認識されたテンプレート画像に対応する道路標識に応じてあらかじめ設定された所定の条件を満たしたとき、前記道路標識に係る警告を出力する警告出力手段と、
を備えたこと
を特徴とする請求項1に記載のカーナビゲーション装置。
【請求項3】
前記情報処理装置は、さらに、
前記測位装置によって取得された前記車両の現在位置に基づき前記地図情報を参照し、前記現在位置から所定の距離の範囲内に所定の施設があるか否かを判定する施設判定手段を備え、
前記施設判定手段により前記所定の施設があると判定された場合には、前記認識順序決定手段により前記テンプレート画像の認識順序を決定するとき、前記所定の施設に関連付けられた道路標識のテンプレート画像の認識順序を前に繰り上げること
を特徴とする請求項1に記載のカーナビゲーション装置。
【請求項4】
前記情報処理装置は、
前記画像認識手段により前記撮影画像について前記テンプレート画像の認識を行うとき、前記テンプレート画像の種別によって前記撮影画像における認識対象領域を変更すること
を特徴とする請求項1に記載のカーナビゲーション装置。
【請求項5】
車両に搭載され、情報処理装置と、道路の地図情報を記憶した記憶装置と、前記車両の現在位置を測位する測位装置と、前記車両の走行方向の前方を撮影するカメラと、を備え、前記車両のドライバにより設定される目的地までの誘導経路を表示装置に表示して、前記車両を誘導するカーナビゲーション装置における道路標識認識方法であって、
前記記憶装置は、
道路の近傍に設置される道路標識のテンプレート画像情報と、
交差点を含む道路の特徴点と車両位置との相対位置関係、および、その道路の属性の少なくとも1つによって表される道路状況について、あらかじめ想定した道路状況ごとに前記道路標識のテンプレート画像の認識順序を定めた認識順序情報と、
を記憶し、
前記情報処理装置は、
前記測位装置により得られる現在位置と前記地図情報とに基づき、前記車両が走行中の道路の前記現在位置における前記道路状況を判定する道路状況判定ステップと、
前記道路状況判定ステップにおいて判定された道路状況に応じて前記認識順序情報を参照して、前記テンプレート画像の認識順序を決定する認識順序決定ステップと、
前記カメラによって撮影された撮影画像について、前記認識順序決定ステップにおいて決定された認識順序に従って、前記テンプレート画像の認識を行う画像認識ステップと、
を実行すること
を特徴とする道路標識認識方法。
【請求項6】
前記カーナビゲーション装置は、さらに、
前記車両の走行状態を示す情報を取得するセンサに接続されるセンサインタフェース
を備え、
前記情報処理装置は、さらに、
前記車両が走行中の道路について前記車両の現在位置における道路状況と、前記センサインタフェースを介して取得した前記車両の走行状態を示す情報とに基づき、前記車両の走行状況を判定する走行状況判定ステップと、
前記画像認識ステップにおいて前記テンプレート画像が認識され、前記走行状況判定ステップにおいて判定された前記車両の走行状況が、前記認識されたテンプレート画像に対応する道路標識に応じてあらかじめ設定された所定の条件を満たしたとき、前記道路標識に係る警告を出力する警告出力ステップと、
を実行すること
を特徴とする請求項5に記載の道路標識認識方法。
【請求項7】
前記情報処理装置は、さらに、
前記測位装置によって取得された前記車両の現在位置に基づき前記地図情報を参照し、前記現在位置から所定の距離の範囲内に所定の施設があるか否かを判定する施設判定ステップを実行し、
前記施設判定ステップにおいて前記所定の施設があると判定された場合には、前記認識順序決定ステップにおいて前記テンプレート画像の認識順序を決定するとき、前記所定の施設に関連付けられた道路標識のテンプレート画像の認識順序を前に繰り上げること
を特徴とする請求項5に記載の道路標識認識方法。
【請求項8】
前記情報処理装置は、
前記画像認識ステップにおいて前記撮影画像について前記テンプレート画像の認識を行うとき、前記テンプレート画像の種別によって前記撮影画像における認識対象領域を変更すること
を特徴とする請求項5に記載の道路標識認識方法。
【請求項9】
車両に搭載され、情報処理装置と、道路の地図情報を記憶した記憶装置と、前記車両の現在位置を測位する測位装置と、前記車両の走行方向の前方を撮影するカメラと、を備え、前記車両のドライバドライバにより設定される目的地までの誘導経路を表示装置に表示して、前記車両を誘導するカーナビゲーション装置における道路標識認識プログラムであって、
前記記憶装置に、
道路の位置、接続関係および属性を表す情報、並びに、地物の位置情報を含んで構成された地図情報と、
道路の近傍に設置される道路標識のテンプレート画像情報と、
交差点を含む道路の特徴点と車両位置との相対位置関係、および、その道路の属性の少なくとも1つによって表される道路状況について、あらかじめ想定した道路状況ごとに前記道路標識のテンプレート画像の認識順序を定めた認識順序情報と、
を記憶させ、
前記情報処理装置に、
前記測位装置により得られる現在位置と前記地図情報とに基づき、前記車両が走行中の道路の前記現在位置における前記道路状況を判定する道路状況判定ステップと、
前記道路状況判定ステップにおいて判定された道路状況に応じて前記認識順序情報を参照して、前記テンプレート画像の認識順序を決定する認識順序決定ステップと、
前記カメラによって撮影された撮影画像について、前記認識順序決定ステップにおいて決定された認識順序に従って、前記テンプレート画像の認識を行う画像認識ステップと、
を実行させるための道路標識認識プログラム。
【請求項10】
前記カーナビゲーション装置は、さらに、
前記車両の走行状態を示す情報を取得するセンサに接続されるセンサインタフェース
を備え、
前記情報処理装置に、さらに、
前記車両が走行中の道路について前記車両の現在位置における道路状況と、前記センサインタフェースを介して取得した前記車両の走行状態を示す情報とに基づき、前記車両の走行状況を判定する走行状況判定ステップと、
前記画像認識ステップにおいて前記テンプレート画像が認識され、前記走行状況判定ステップにおいて判定された前記車両の走行状況が、前記認識されたテンプレート画像に対応する道路標識に応じてあらかじめ設定された所定の条件を満たしたとき、前記道路標識に係る警告を出力する警告出力ステップと、
を実行させること
を特徴とする請求項9に記載の道路標識認識プログラム。
【請求項11】
前記情報処理装置に、さらに、
前記測位装置によって取得された前記車両の現在位置に基づき前記地図情報を参照し、前記現在位置から所定の距離の範囲内に所定の施設があるか否かを判定する施設判定ステップを実行させ、
前記施設判定ステップにおいて前記所定の施設があると判定された場合には、前記認識順序決定ステップにおいて前記テンプレート画像の認識順序を決定するとき、前記所定の施設に関連付けられた道路標識のテンプレート画像の認識順序を前に繰り上げさせるようにした請求項9に記載の道路標識認識プログラム。
【請求項12】
前記情報処理装置に、
前記画像認識ステップにおいて前記撮影画像について前記テンプレート画像の認識を行わせるとき、前記テンプレート画像の種別によって前記撮影画像における認識対象領域を変更させるようにした請求項9に記載の道路標識認識プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−305042(P2008−305042A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−149954(P2007−149954)
【出願日】平成19年6月6日(2007.6.6)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】