説明

カーボンナノチューブの形成方法及びカーボンナノチューブ成膜装置

【課題】被処理体上のビアホールや配線用溝等の開口部に高密度にカーボンナノチューブ膜を埋め込むことができるカーボンナノチューブの形成方法を提供する。
【解決手段】表面に1又は複数の開口部を有し、当該開口部底面に触媒金属層が形成された被処理体を準備し(STEP1)、触媒金属層に酸素プラズマ処理を施し(STEP2)、酸素プラズマ処理後の触媒金属層に水素含有プラズマ処理を施して、触媒金属層の表面を活性化し(STEP3)、その後、触媒金属層の上にプラズマCVDによりカーボンナノチューブを成長させて、被処理体の開口部内をカーボンナノチューブで充填する(STEP5)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口部を有する被処理体の該開口部内にカーボンナノチューブの埋め込みを行うカーボンナノチューブの形成方法及びカーボンナノチューブ成膜装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブは、優れた電気特性を有することから、半導体デバイスの配線等の用途への適用が検討されている。カーボンナノチューブ膜の成膜方法として、例えば特許文献1では、Ni、Fe、Co等の遷移金属の微粒子から構成された触媒層を基板上に形成し、その上に炭化水素ガスと水素ガスとを用いたプラズマCVDによりカーボンナノチューブを成膜する方法が提案されている。この特許文献1には、触媒金属を微粒子化した場合に、微粒子表面が酸化して触媒活性が低下することを防止する目的で、触媒金属の表面にラジカルを作用させて活性化させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−252970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カーボンナノチューブをビア配線として使うためには、カーボンナノチューブの欠陥を低減し、単位面積当たりの密度を高くする必要がある。開口部内に充填したカーボンナノチューブの密度が低い場合には、次のような問題が生じる。まず、開口部内に隙間が形成されてしまい、ビア配線の導電性が低下するという問題がある。また、カーボンナノチューブの埋め込みを行った後、例えばCMP(化学機械研磨)による平坦化を実施する際に、開口部内に充填されたカーボンナノチューブが脱落してしまうという問題もある。さらに、カーボンナノチューブを埋め込んだ後で開口部に隙間が存在する場合、例えば二酸化珪素膜などで隙間を埋め込む必要があるため、工程数が増加し、工業的規模での効率的なプロセスが実現できない。
【0005】
上記特許文献1では、平らな表面上へのカーボンナノチューブの成膜しか考慮されておらず、単に触媒金属を活性化しただけでは、ビアホールなどの開口部内へ高密度にカーボンナノチューブを埋め込むことは困難である。
【0006】
本発明の課題は、上記従来技術の問題点を解決することにあり、被処理体上のビアホールや配線用溝等の開口部に高密度にカーボンナノチューブを埋め込むことができるカーボンナノチューブの形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のカーボンナノチューブの形成方法は、表面に1又は複数の開口部を有し、当該開口部の底に触媒金属層が形成された被処理体を準備する工程と、
前記触媒金属層に酸素プラズマ処理を施す工程と、
前記酸素プラズマ処理を施した後の前記触媒金属層に水素プラズマ処理を施して、前記触媒金属層の表面を活性化する工程と、
成膜装置の処理容器内で、被処理体の上方に多数の貫通開口を有する電極部材を配置し、該電極部材に直流電圧を印加しながら、該電極部材の上方空間で生成させたプラズマ中の活性種を、前記貫通開口を通過させて下方の被処理体へ向けて拡散させ、前記活性化された触媒金属層の上にプラズマCVD法によりカーボンナノチューブを成長させることにより被処理体の開口部内にカーボンナノチューブを埋め込む工程と、
を備えている。
【0008】
本発明のカーボンナノチューブの形成方法は、前記電極部材に−300V以上0V以下の範囲内の直流電圧を印加してもよい。
【0009】
また、本発明のカーボンナノチューブの形成方法は、前記電極部材の前記貫通開口の径が0.5mm以上2mm以下の範囲内であってもよい。
【0010】
また、本発明のカーボンナノチューブの形成方法は、前記カーボンナノチューブの成長を行う際に、被処理体を350℃以上530℃以下に加熱してもよい。
【0011】
また、本発明のカーボンナノチューブの形成方法において、前記成膜装置は、前記処理容器内にプラズマ生成ガスを導入する第1のガス導入部と、前記処理容器内に前記カーボンナノチューブの原料ガスを導入する第2のガス導入部とが別々に設けられ、前記プラズマ生成ガスにより生成したプラズマ中に、前記第2のガス導入部から導入される前記カーボンナノチューブの原料ガスが混合された後で、該プラズマ中の活性種が、前記電極部材の貫通開口を通過するように構成されていてもよい。
【0012】
また、本発明のカーボンナノチューブの形成方法において、前記酸素プラズマ処理、前記水素プラズマ処理及び前記カーボンナノチューブを成長させる処理に利用するプラズマは、マイクロ波プラズマであってもよい。
【0013】
また、本発明のカーボンナノチューブの形成方法は、前記マイクロ波プラズマが、多数のマイクロ波放射孔を有する平面アンテナにより前記処理容器内に導入されたマイクロ波により励起されるものであってもよい。
【0014】
また、本発明のカーボンナノチューブの形成方法は、被処理体の開口部が、ビアホール又は配線用溝であってもよい。
【0015】
また、本発明のカーボンナノチューブの形成方法は、前記開口部の幅が、10nm以上300nm以下であってもよい。
【0016】
また、本発明のカーボンナノチューブの形成方法は、前記酸素プラズマ処理、前記水素プラズマ処理及び前記カーボンナノチューブの成長を行う処理を、同一処理容器内で連続して行うものであってもよい。
【0017】
本発明のカーボンナノチューブ成膜装置は、被処理体に対してプラズマ処理を行う処理空間を形成する処理容器と、
前記処理容器内で被処理体を載置する載置台と、
前記処理容器内にプラズマ生成ガスを導入する第1のガス導入部と、
前記処理容器内に、カーボンナノチューブの原料ガスを導入する第2のガス導入部と、
前記処理容器内で、前記載置台の上方に配置された多数の貫通開口を有する電極部材と、
前記電極部材に直流電圧を印加する電源と、
前記処理容器内を減圧排気する排気装置と、
を備え、
前記電極部材に直流電圧を印加しながら該電極部材よりも上方の空間で生成させたプラズマ中の活性種を、前記貫通開口を通過させて下方の被処理体へ向けて拡散させることにより、被処理体上にプラズマCVD法によってカーボンナノチューブを成長させるようにした。
【0018】
本発明のカーボンナノチューブ成膜装置は、前記プラズマ生成ガスにより生成したプラズマ中に、前記カーボンナノチューブの原料ガスを混合するように、前記第1のガス導入部と前記第2のガス導入部が配置されており、
前記電極部材は、前記プラズマ中に前記カーボンナノチューブの原料ガスを混合する部位と、前記載置台との間に介在配置されていてもよい。
【0019】
本発明のカーボンナノチューブ成膜装置は、前記処理容器の上部に配置されて前記処理空間を塞ぐ誘電体部材と、
前記誘電体部材の上方に設けられ、該誘電体部材を介して前記処理空間にマイクロ波を導入する平面アンテナと、
をさらに備えており、
前記第1のガス導入部は、前記誘電体部材の直下の空間にガスを導入するように配置されており、
前記第2のガス導入部は、前記第1のガス導入部より、前記載置台に近い位置で前記誘電体部材と前記載置台との間に介在して配置されており、
前記電極部材は、前記第2のガス導入部と前記載置台との間に介在して配置されていてもよい。
【0020】
また、本発明のカーボンナノチューブ成膜装置は、前記電極部材の前記貫通開口の径が0.5mm以上2mm以下の範囲内であってもよい。
【0021】
また、本発明のカーボンナノチューブ成膜装置は、前記第1のガス導入部は、前記プラズマCVD法によりカーボンナノチューブの成長を行う前の前処理として、被処理体に対して酸素プラズマ処理を行うための酸素含有ガス供給源に接続されており、
前記第2のガス導入部は、前記プラズマCVD法によりカーボンナノチューブの成長を行う前の前処理として、被処理体に対して水素プラズマ処理を行うための水素含有ガス供給源に接続されていてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明のカーボンナノチューブの形成方法及びカーボンナノチューブ成膜装置によれば、被処理体に形成された開口部内に高密度にカーボンナノチューブを充填することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施の形態に係るカーボンナノチューブ成膜装置の構成例を模式的に示す断面図である。
【図2】図1の成膜装置の制御部の構成例を説明する図面である。
【図3】本発明の一実施の形態に係るカーボンナノチューブの形成方法を示すフローチャートである。
【図4】処理対象となる凹部の底に触媒金属層を有するウエハの構造を示す模式図である。
【図5】凹部にカーボンナノチューブを充填した状態を模式的に説明する図面である。
【図6A】グリッド電極に電圧を印加しない場合の処理容器内の空間ポテンシャルを示す図である。
【図6B】グリッド電極に電圧を印加した場合の処理容器内の空間ポテンシャルを示す図である。
【図7】図1の成膜装置の変形例を示す要部断面図である。
【図8】図1の成膜装置の他の変形例を示す図面である。
【図9】実施例で使用したウエハの構造を示す模式図である。
【図10A】実施例1における400℃でのカーボンナノチューブの形成実験の結果を示す基板断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図10B】実施例1における420℃でのカーボンナノチューブの形成実験の結果を示す基板断面のSEM写真である。
【図10C】実施例1における380℃でのカーボンナノチューブの形成実験の結果を示す基板断面のSEM写真である。
【図10D】実施例1における440℃でのカーボンナノチューブの形成実験の結果を示す基板断面のSEM写真である。
【図11A】実施例2におけるカーボンナノチューブの形成実験において、グリッド電極に−100Vの電圧を印加したときの基板断面のSEM写真である。
【図11B】実施例2におけるカーボンナノチューブの形成実験において、グリッド電極に−300Vの電圧を印加したときの基板断面のSEM写真である。
【図12】実施例3におけるカーボンナノチューブの形成実験において、グリッド電極に−100Vの電圧を印加したときの基板断面のSEM写真である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、適宜図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係るカーボンナノチューブの形成方法に使用可能な成膜装置の一例を模式的に示す断面図である。図1に示す成膜装置100は、マイクロ波を平面アンテナの多数のマイクロ波放射孔から放射させて処理容器内に均質なマイクロ波プラズマを形成できるRLSA(Radial Line Slot Antenna)方式のマイクロ波プラズマ処理装置として構成されている。マイクロ波プラズマはラジカルを主体とする低電子温度プラズマであるため、カーボンナノチューブの形成処理及びその前処理としての酸素プラズマ処理、及び活性化処理に適している。
【0025】
この成膜装置100は、主要な構成として、略円筒状の処理容器1と、処理容器1内に設けられ、被処理体である半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」と記す)Wを載置する載置台3と、処理容器1内にマイクロ波を導入するマイクロ波導入部5と、処理容器1内にガスを導くガス供給部7と、処理容器1内に形成されたプラズマ中の荷電粒子を制御する荷電粒子制御部9と、処理容器1内を排気する排気部11と、成膜装置100の各構成部を制御する制御部13と、を有している。
【0026】
処理容器1の底壁1aの略中央部には円形の開口部15が形成されており、底壁1aにはこの開口部15と連通し、下方に向けて突出する排気室17が設けられている。また、処理容器1の側壁には、ウエハWを搬入出するための搬入出口19と、この搬入出口19を開閉するゲートバルブ21とが設けられている。
【0027】
載置台3は、例えばAlN等のセラミックスから構成されている。載置台3は、排気室17の底部中央から上方に延びる円筒状のセラミックス製の支持部材23により支持されている。載置台3の外縁部にはウエハWをガイドするためのガイドリング25が設けられている。また、載置台3の内部には、ウエハWを昇降するための昇降ピン(図示せず)が載置台3の上面に対して突没可能に設けられている。
【0028】
また、載置台3の内部には抵抗加熱型のヒータ27が埋め込まれている。このヒータ27にヒータ電源29から給電することにより載置台3を介してその上のウエハWを加熱することができる。また、載置台3には、熱電対(図示せず)が挿入されており、ウエハWの加熱温度を200〜650℃の範囲で制御可能となっている。さらに、載置台3内のヒータ27の上方には、ウエハWと同程度の大きさの電極31が埋設されている。この電極31は接地されている。
【0029】
マイクロ波導入部5は、処理容器1の上部に設けられ、多数のマイクロ波放射孔33aが形成された平面アンテナ33と、マイクロ波を発生させるマイクロ波発生部35と、誘電体からなる透過板39と、処理容器1の上部に設けられた枠状部材41と、マイクロ波の波長を調節する誘電体からなる遅波板43と、平面アンテナ33及び遅波板43を覆うカバー部材45と、を有している。また、マイクロ波導入部5は、マイクロ波発生部35で発生したマイクロ波を平面アンテナ33に導く導波管47及び同軸導波管49と、導波管47と同軸導波管49との間に設けられたモード変換器51とを有している。
【0030】
マイクロ波を透過させる透過板39は、誘電体、例えば石英やA1、AlN等のセラミックス等の材質で構成されている。透過板39は、枠状部材41に支持されている。この透過板39と枠状部材41との間は、Oリング等のシール部材(図示せず)により気密にシールされている。したがって、処理容器1内は気密に保持される。
【0031】
平面アンテナ33は、例えば円板状をなしており、表面が金または銀メッキされた銅板、アルミニウム板、ニッケル板およびそれらの合金などの導電性部材で構成されている。平面アンテナ33は、透過板39の上方(処理容器1の外側)において、載置台3の上面(ウエハWを載置する面)とほぼ平行に設けられている。平面アンテナ33は、枠状部材41の上端に係止されている。平面アンテナ33は、マイクロ波を放射する多数の長方形状(スロット状)のマイクロ波放射孔33aを有している。マイクロ波放射孔33aは、所定のパターンで平面アンテナ33を貫通して形成されている。典型的には隣接するマイクロ波放射孔33aが所定の形状(例えばT字状)に組み合わされて対をなし、さらにそれが全体として同心円状、螺旋状、放射状等に配置されている。マイクロ波放射孔33aの長さや配列間隔は、マイクロ波の波長(λg)に応じて決定される。
【0032】
平面アンテナ33の上面には、真空よりも大きい誘電率を有する遅波板43が設けられている。この遅波板43は、真空中ではマイクロ波の波長が長くなることから、マイクロ波の波長を短くしてプラズマを調整する機能を有している。遅波板43の材質としては、例えば石英、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリイミド樹脂などを用いることができる。
【0033】
これら平面アンテナ33および遅波材43を覆うように、カバー部材45が設けられている。カバー部材45は、例えばアルミニウムやステンレス鋼等の金属材料によって形成されている。カバー部材45の上壁(天井部)の中央には、同軸導波管49が接続されている。同軸導波管49は、平面アンテナ33の中心から上方に伸びる内導体49aとその周囲に設けられた外導体49bとを有している。同軸導波管49の他端側には、モード変換器51が設けられ、このモード変換器51は、導波管47によりマイクロ波発生部35に接続されている。導波管47は、水平方向に延びる矩形導波管であり、モード変換器51は、導波管47内をTEモードで伝播するマイクロ波をTEMモードに変換する機能を有している。
【0034】
ガス供給部7は、処理容器1の内壁に沿ってリング状に設けられた第1のガス導入部としてのシャワーリング57と、このシャワーリング57の下方において、処理容器1内の空間を上下に仕切るように設けられた第2のガス導入部としてのシャワープレート59と、を有している。
【0035】
シャワーリング57は、処理容器1内空間へガスを導入するガス放出孔57aと、このガス放出孔57aに連通するガス流路57bとを有しており、該ガス流路57bは、ガス供給配管71を介して第1ガス供給部7Aに接続されている。第1ガス供給部7Aは、ガス供給配管71から分岐した3本の分岐管71a、71b、71cを有している。分岐管71aは、プラズマ生成ガス(例えばArガス)を供給するプラズマ生成ガス供給源73に接続されている。分岐管71bは酸素プラズマ処理に用いる酸素含有ガス(例えばOガス)を供給する酸素含有ガス供給源75に接続されている。分岐管71cは、不活性ガス(例えばNガス)を供給する不活性ガス供給源77に接続されている。なお、分岐管71a、71b、71cには、図示しない流量制御装置やバルブが設けられている。プラズマ生成ガスとしては、例えば希ガスなどを用いることができる。希ガスとしては、例えばAr、Kr、Xe、Heなどを用いることができる。これらの中でも、プラズマを安定に生成できるArを用いることが特に好ましい。酸素含有ガスとしては、例えば、O、HO、O、NO等を用いることができる。不活性ガスとしては、例えば、Nなどの不活性ガスを用いることができる。不活性ガス供給源77からの不活性ガスは、例えば、パージガス、圧力調整用ガス等の用途で使用される。
【0036】
シャワープレート59は、例えばアルミニウム等の材質からなる平面視格子状に形成されたガス分配部材61を有している。このガス分配部材61は、その格子状の本体部分の内部に形成されたガス流路63と、このガス流路63から載置台3に対向するように開口する多数のガス放出孔65とを有している。また、格子状のガス分配部材61は、多数の貫通開口67を有している。シャワープレート59のガス流路63には処理容器1の壁に達するガス供給路69が接続されており、このガス供給路69はガス供給配管79を介して第2ガス供給部7Bに接続されている。第2ガス供給部7Bは、ガス供給配管79から分岐した3本の分岐管79a、79b、79cを有している。分岐管79aは、水素プラズマ処理及びカーボンナノチューブの形成に用いる水素含有ガス(例えばHガス)を供給する水素含有ガス供給源81に接続されている。分岐管79bは、カーボンナノチューブの原料となる炭化水素ガス(例えばエチレンガス;C)を供給する炭化水素ガス供給源83に接続されている。分岐管79cは、不活性ガス(例えばNガス)を供給する不活性ガス供給源85に接続されている。なお、分岐管79a、79b、79cには、図示しない流量制御装置やバルブが設けられている。水素含有ガスとしては、例えばH、NH等を用いることができる。炭化水素ガスとしては、例えばエチレン(C)、メタン(CH)、エタン(C)、プロパン(C)、プロピレン(C)、アセチレン(C)等を用いることができる。不活性ガスとしては、例えば、Nなどの不活性ガスを用いることができる。不活性ガス供給源85からの不活性ガスは、例えばパージガス、キャリアガス等の用途で使用される。
【0037】
荷電粒子制御部9は、電極部材としてのグリッド電極87と、グリッド電極87を支持する支持部材89と、支持部材89を介してグリッド電極87に直流電圧を印加する可変直流電源91と、可変直流電源91にパルス信号を与えるパルス発生器93とを有している。グリッド電極87は、例えばステンレス、チタン、モリブデン等の導電性の材質で構成されており、シャワープレート59の下方において載置台3上のウエハWを覆うように設けられている。グリッド電極87は、開口率を高めるために、例えば円形の貫通開口87aを多数設け、各貫通開口87aの間に、さらに小さな貫通開口87aを設けている。なお、グリッド電極87の貫通開口87aは、円形に限らず、格子状又は網目状に形成してもよい。グリッド電極87の外周は処理容器1の内壁近傍まで達している。グリッド電極87と処理容器1の内壁との間には、絶縁性を有する絶縁部材95が設けられている。この絶縁部材95は、グリッド電極87と処理容器1の壁面との隙間からプラズマが漏れることを防止する作用を有している。ただし、プラズマの漏洩を防止できる場合には、グリッド電極87と処理容器1の内壁との間に隙間があってもよいし、絶縁部材95を設けなくてもよい。
【0038】
グリッド電極87は、ウエハW表面にダメージを与えるおそれのある電子やイオン等の荷電粒子の通過を妨げてラジカルを優勢的に通過させ、ウエハWへの荷電粒子の到達を抑制する。このような観点から、グリッド電極87は、例えばウエハWの上方においてウエハWから50〜110mm程度離間させた位置に配置することが好ましい。また、グリッド電極87に可変直流電源91から直流電圧を印加することにより、グリッド電極87の貫通開口87aを通過する電子やイオン等の荷電粒子を反発または吸引してこれらの直進を妨げ、ウエハWへの荷電粒子の到達をより一層効果的に抑制することができる。例えば、グリッド電極87に負の直流電圧を印加することにより、主に電子および負イオンを反発させてウエハWへの電子の到達を抑制することができる。この場合に、パルス発生器93から所定のパルスを与えることにより、グリッド電極87への電圧印加をパルス状にすることができる。もちろん、パルスを発生させずに通常の直流電圧を印加するようにすることもできる。
【0039】
パルス発生器93は、グリッド電極87に印加する電圧をパルス状にする目的で使用される。パルス状の電圧をグリッド電極87に印加することにより、ウエハWの表面を帯電させずに処理できる。また、グリッド電極87に負の電圧を連続で印加し続けると、正イオンを加速させて成長しているカーボンナノチューブに損傷を与えるおそれがあるため、これを避ける目的でパルス発生器93によりデューティー比を制御しながら電圧を印加することが好ましい。
【0040】
排気部11は、排気室17と、この排気室17の側面に設けられた排気管97と、この排気管97に接続された排気装置99とを有している。排気装置99は、図示は省略するが、例えば真空ポンプや圧力制御バルブ等を有している。
【0041】
制御部13は、成膜装置100の各構成部を制御する。制御部13は、典型的にはコンピュータであり、例えば図2に示したように、CPUを備えたコントローラ101と、このコントローラ101に接続されたユーザーインターフェース103および記憶部105を備えている。コントローラ101は、成膜装置100において、例えば温度、圧力、ガス流量、マイクロ波出力、グリッド電極87への印加電圧などのプロセス条件に関係する各構成部(例えば、ヒータ電源29、第1ガス供給部7A、第2ガス供給部7B、マイクロ波発生部35、可変直流電源91、パルス発生器93、排気装置99など)を統括して制御する制御手段である。
【0042】
ユーザーインターフェース103は、工程管理者が成膜装置100を管理するためにコマンドの入力操作等を行うキーボードやタッチパネル、成膜装置100の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等を有している。また、記憶部105には、成膜装置100で実行される各種処理をコントローラ101の制御にて実現するための制御プログラム(ソフトウエア)や処理条件データ等が記録されたレシピなどが保存されている。そして、必要に応じて、ユーザーインターフェース103からの指示等にて任意のレシピを記憶部105から呼び出してコントローラ101に実行させることで、コントローラ101の制御により成膜装置100の処理容器1内で所望の処理が行われる。また、前記制御プログラムや処理条件データ等のレシピは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体107に格納された状態のものを利用できる。そのような記録媒体107としては、例えばCD−ROM、ハードディスク、フレキシブルディスク、フラッシュメモリなどを用いることができる。さらに、前記レシピを他の装置から例えば専用回線を介して伝送させて利用することも可能である。
【0043】
成膜装置100では、処理容器1内において、マイクロ波を導入する透過板39と、シャワープレート59との間の空間S1に、シャワーリング57からプラズマ生成ガスを導入する構成となっている。従って、空間S1は主にプラズマ生成を行う主プラズマ生成空間である。
【0044】
また、処理容器1内において、シャワープレート59とグリッド電極87との間の空間S2は、シャワープレート59により導入される炭化水素ガスと、空間S1で生成したプラズマを混合する混合空間である。
【0045】
また、処理容器1内において、グリッド電極87と載置台3との間の空間S3は、グリッド電極87の貫通開口87aを通過したプラズマ中の活性種を載置台3上のウエハWへ向けて拡散させる拡散空間である。
【0046】
次に、成膜装置100において行われるカーボンナノチューブの形成方法について説明する。図3は、本発明の第1の実施形態に係るカーボンナノチューブの形成方法を説明するためのフローチャートである。ここでは、カーボンナノチューブの形成に必要な前処理としての酸素プラズマ処理及び水素プラズマ処理を含めている。また、プラズマ生成ガスとしてArガス、酸素含有ガスとしてOガス、水素含有ガスとしてHガス、不活性ガス(パージガス)としてNガス、炭化水素ガスとしてCガスを用いる場合を例に挙げる。
【0047】
まず、STEP1では、開口部の底面に触媒金属層を有するウエハWを準備し、ゲートバルブ21を開放して、このウエハWを処理容器1内に搬入する。この際のウエハWとしては、表層付近に、例えば図4に示すように、絶縁層201と、絶縁層203が積層され、該絶縁層203に開口部としての凹部205が形成されたものを用いる。絶縁層201には、下層配線207が設けられ、凹部205の底壁をなしている。この凹部205の底の下層配線207には、下地層209及び触媒金属層211が積層されている。
【0048】
凹部205としては、例えばビアホールや配線用溝などを含むがこれらに限定されない。凹部205の形成は、公知のフォトリソグラフィー技術とエッチングにより行うことができる。
【0049】
下地層209は、触媒金属の凝集による粗大化を防止する膜として機能するものであり、例えばAl、Si、Ta、Ti、TaN、TiN、TiC、Al、MgO等を挙げることができる。この下地層209を形成する手法としては、例えば、スパッタリング、蒸着法、CVD(化学気相成長)、めっき等の公知の成膜技術を用いることができる。下地層209の厚さは、例えば、5〜100nmであることが好ましい。なお、凹部209内にバリアメタル層を設ける場合には、バリアメタル層を下地層209として利用することもできる。
【0050】
触媒金属層211を構成する金属としては、例えば、Ni、Co、Fe、Ru等の遷移金属、またはこれらの遷移金属を含む合金を挙げることができる。この触媒金属層211を形成する手法としては、例えば、スパッタリング、蒸着法、CVD(化学気相成長)、めっき等の公知の成膜技術を用いることができる。触媒金属層211の厚さは、例えば0.1〜2.0nmとすることが好ましい。
【0051】
本実施形態において、カーボンナノチューブを埋め込む対象となる凹部205の深さ/幅の比(アスペクト比)は、特に限定されるものではないが、例えば1以上20以下が好ましく、1以上10以下がより好ましい。また、凹部205の幅は10nm以上300nm以下、好ましくは20以上300nm以下、より好ましくは50nm以上300nm以下である。ここで、開口部としての凹部205の幅は、凹部205がビアホールなどの孔である場合には直径を意味し、凹部205が配線溝である場合はその横断幅を意味する。
【0052】
次に、STEP2では、図4のような構造を有するウエハWを処理容器1内に搬入し、載置台3上に載置した後、触媒金属層211に対して酸素プラズマ処理を施す。この処理は、触媒金属層211の表面に付着している有機物などを除去して清浄な表面とする処理である。STEP2では、シャワーリング57から処理容器1内にArガスおよびOガスを導入するとともに、マイクロ波発生部35で発生したマイクロ波を、導波管47及び同軸導波管49を介して所定のモードで平面アンテナ33に導き、平面アンテナ33のマイクロ波放射孔33a、透過板39を介して処理容器1内に導入する。このマイクロ波により、ArガスおよびOガスをプラズマ化し、ウエハW表面の触媒金属層211の表面に酸素プラズマ処理を施す。金属表面に付着している有機物等の不純物を酸素プラズマにより除去することで、金属原子が動きやすくなり、触媒金属層211の表面に加熱によるマイグレーションが起こり、触媒金属層211を構成している金属に適度の凝集が生じて微粒子化を進行させやすくすることができる。すなわち、酸素プラズマ処理では、熱とプラズマにより、触媒金属層211において、金属表面の原子が動けるだけのエネルギーを与えることにより、金属原子がある程度寄り集まった島状に近い表面へと変化させる(これを「凝集」と呼ぶ)。この際に、最初の膜厚が薄いほど、形成される島の大きさが小さくなり、例えば膜厚1nmでは直径10nmの微粒子が、膜厚2nmでは直径20nmの微粒子が形成される。
【0053】
酸素プラズマ処理の際の処理温度は、粒子の肥大化を防ぐ観点から、ウエハWの温度として、例えば室温(約20℃;以下同様である)〜550℃とすることが好ましく、室温〜350℃がより好ましい。
【0054】
処理容器1内の圧力は、酸素プラズマ中のラジカルの生成を多くする観点から、例えば66.7〜400Pa(0.5〜3Torr)とすることが好ましく、133Pa〜266Paがより好ましい。
【0055】
ガス流量は、触媒金属層211の必要以上の酸化を抑制する観点から、例えば100〜500mL/min(sccm)とすることが好ましく、100〜200mL/min(sccm)がより好ましい。
【0056】
また、Arガス流量は、プラズマ中での活性種の生成効率を高める観点から、例えば0〜1000mL/min(sccm)とすることが好ましく、0〜200mL/min(sccm)がより好ましい。
【0057】
マイクロ波パワーは、プラズマ中で活性種を効率よく生成させる観点から、例えば250W〜2000Wとすることが好ましく、500W〜1000Wがより好ましい。
【0058】
処理時間は、触媒金属層211の微粒子化と活性化を最適にする観点から、例えば10秒〜20分とすることが好ましく、5分〜10分がより好ましい。
【0059】
STEP2の酸素プラズマ処理の際には、グリッド電極87が荷電粒子の通過を抑制する荷電粒子通過抑制部材として機能する。すなわち、グリッド電極87は、プラズマ中の電子やイオンがウエハWの表面の触媒金属層211に到達することを抑制するように作用し、ラジカルを優勢的に到達させる。従って、触媒金属層211に電子やイオンによるダメージを与えることなく、触媒金属層211の金属を適度に凝集させることができる。また、グリッド電極87に電圧を印加することにより、電子やイオン等の荷電粒子の直進を妨げて、ウエハWへの荷電粒子の到達をさらに効果的に抑制できるため、触媒金属層211の金属を適度に凝集させる効果をさらに高めることができる。
【0060】
STEP2の酸素プラズマ処理を行う際のグリッド電極87の貫通開口87aの径は、ウエハWへの電子の到達を効果的に抑制する観点から、例えば0.5mm以上2mm以下が好ましく、0.5mm以上1mm以下の範囲内がより好ましい。また、その開口率は、プラズマからの活性種の到達を効果的にする観点から、例えば40〜85%が好ましい。また、グリッド電極87に印加する電圧は、−300〜300Vの範囲内が好ましいが、ウエハWへの電子の到達を効果的に抑制する観点からは負電圧がよく、−300〜0Vの範囲内が好ましい。
【0061】
なお、この酸素プラズマ処理を行う際のガスとしてはOガスの他、HO、O、NO等を用いることができる。
【0062】
次に、STEP3では、水素プラズマ処理を行う。水素プラズマ処理は、STEP2に引き続いて行う処理であり、STEP2の酸素プラズマ処理により酸化した触媒金属層211の表面を水素プラズマにより還元して触媒金属の活性化を行うことを目的とする。STEP3では、STEP2の酸素プラズマ処理の終了後、マイクロ波を停止するとともにOガスを停止する。そして、Arガスを流したまま、マイクロ波発生部35から導波管47及び同軸導波管49を介してマイクロ波を平面アンテナ33に導き、透過板39を介して処理容器1内に導入する。このマイクロ波により、Arガスをプラズマ化し、プラズマが着火されたタイミングでシャワープレート59を介してHガスを処理容器1内に導入し、ArプラズマによりHガスをプラズマ化する。このように形成されたマイクロ波プラズマにより、触媒金属層211の表面に水素プラズマ処理を施す。このように水素プラズマ処理を行うことにより、触媒金属層211の表面を活性化させるとともに、触媒金属層211を構成する金属を微粒子化し、かつ高密度化することができる。
【0063】
この水素プラズマ処理の処理温度は、粒子の肥大化を防ぐ観点から、ウエハWの温度として、例えば室温〜550℃とすることが好ましく、室温〜350℃がより好ましい。この水素プラズマ処理の際の温度は、酸素プラズマ処理と異なっていてもよいが、同じ温度で行うほうがスループットを高めることができるので好ましい。
【0064】
処理容器1内の圧力は、水素プラズマ中のラジカルの生成を多くする観点から、例えば66.7〜400Pa(0.5〜3Torr)とすることが好ましく、66.7Pa〜133Paがより好ましい。
【0065】
ガス流量は、プラズマ中での活性種の効率的な生成の観点から、例えば100〜2000mL/min(sccm)とすることが好ましく、300〜1200mL/min(sccm)がより好ましい。
【0066】
また、Arガス流量は、プラズマ中での活性種の生成効率を高める観点から、例えば0〜1000mL/min(sccm)とすることが好ましく、0〜200mL/min(sccm)がより好ましい。
【0067】
マイクロ波パワーは、プラズマ中で活性種を効率よく生成する観点から、例えば250W〜2000Wとすることが好ましく、500W〜1000Wがより好ましい。
【0068】
処理時間は、触媒金属層211の微粒子化と活性化を最適にする観点から、例えば10秒〜20分とすることが好ましく、5分〜10分がより好ましい。
【0069】
STEP3の水素プラズマ処理の際にも、グリッド電極87が荷電粒子通過抑制部材として機能する。すなわち、グリッド電極87は、プラズマ中の電子やイオンがウエハWの表面の触媒金属層211に到達することを抑制するように作用し、ラジカルを優勢的に到達させる。従って、触媒金属層211に電子やイオンによるダメージを与えることなく、主にラジカルの作用によって触媒金属層211の表面を活性化させて触媒金属層211を構成する金属を微粒子化し、かつ高密度化することができる。また、グリッド電極87に電圧を印加することにより、電子やイオン等の荷電粒子の直進を妨げて、ウエハWへの荷電粒子の到達をさらに効果的に抑制することができ、触媒金属層211の表面を活性化させて触媒金属層211を構成する金属を微粒子化し、かつ高密度化する効果をさらに高めることができる。
【0070】
STEP3の水素プラズマ処理の際のグリッド電極87の貫通開口87aの径は、ウエハWへの電子の到達を効果的に抑制する観点から、例えば0.5mm以上2mm以下が好ましく、0.5mm以上1mm以下の範囲内がより好ましい。また、その開口率は、プラズマからの活性種の到達を効果的にする観点から、例えば40〜85%が好ましい。また、グリッド電極87に印加する電圧は、−300〜300Vの範囲内が好ましいが、電子の到達を効果的に抑制する観点からは負電圧がよく、−300〜0Vの範囲内が好ましい。
【0071】
なお、この水素プラズマ処理を行う際のガスとしてはHガスの代わりに、NHガス等の水素含有ガスを用いることができる。
【0072】
次に、STEP4では、STEP3の水素プラズマ処理の後、マイクロ波およびHガスを停止し、排気装置99によって一旦処理容器1内を急速に排気した後、ArガスおよびNガスを流し、処理容器1内をパージする。STEP4のパージ処理は、例えば、処理容器内の圧力を66.7〜400Pa(0.5〜3Torr)、Nガス流量を50〜300mL/min(sccm)、Arガス流量を300〜600mL/min(sccm)、温度を300〜600℃の条件に設定し、好ましくは1〜2分行う。パージ処理によって、処理容器1内の雰囲気(前処理での酸素、水素)を不活性ガスで置換するとともに、プロセス圧力への調圧時間を短縮することができる。なお、パージガスとしてのNガスは、不活性ガス供給源77からシャワーリング57を介して導入する。
【0073】
次に、STEP5では、STEP4のパージを行った後、カーボンナノチューブの形成を行う。このカーボンナノチューブの形成においては、STEP4のパージの後、Nガスを停止し、Arガスを所定流量で流したまま、マイクロ波発生部35から導波管47及び同軸導波管49を介してマイクロ波を平面アンテナ33に導き、透過板39を介して処理容器1内に導入する。このマイクロ波により、Arガスをプラズマ化し、プラズマが着火したタイミングでシャワープレート59を介してCガスおよびHガスを処理容器1内に導入し、ArプラズマによりCガスおよびHガスをプラズマ化する。そして、グリッド電極87に所定の電圧を印加しつつ、マイクロ波プラズマにより、触媒金属層211の上にカーボナノチューブを形成する。これにより、図5に示すように、凹部205内にカーボンナノチューブ213を高密度に充填することができる。
【0074】
STEP5のカーボンナノチューブ213の形成においては、活性化された触媒金属層211の表面にカーボンナノチューブ213を成長させることができる。この場合に、カーボンナノチューブ213は、触媒金属層211の性状を保ったまま成長する。したがって、STEP3の水素プラズマ処理により、凹部205内で活性化されて微粒子化および高密度化された触媒金属層211の上に、高密度のカーボンナノチューブ213を形成することができる。また、グリッド電極87が荷電粒子通過抑制部材として機能し、プラズマ中の電子やイオンがウエハWの表面の触媒金属層211に到達することが抑制され、ラジカルを優勢的に到達させることができる。従って、触媒金属層211に電子やイオンによるダメージを与えることがなく、結晶欠陥や不純物の導入を抑制し、不純物が少なく結晶性の良好なカーボンナノチューブ膜を形成することができる。また、グリッド電極87に電圧を印加することにより、電子やイオン等の荷電粒子の直進を妨げて、ウエハWへの荷電粒子の到達をさらに効果的に抑制することができ、さらに不純物が少なく結晶性の良好なカーボンナノチューブ膜を形成することができる。
【0075】
このカーボンナノチューブ213の成長処理の際の処理温度は、低温プロセスを実現する観点から、ウエハWの温度として、例えば350℃〜550℃とすることが好ましく、350℃〜450℃がより好ましい。なお、このカーボンナノチューブ213の成長処理の際の温度は、酸素プラズマ処理(STEP2)及び水素プラズマ処理(STEP3)と異なっていてもよいが、同じ温度で行うほうがスループットを高めることができるので好ましい。さらに好ましくは、カーボンナノチューブ213の成長処理の際の温度を400℃〜420℃にすることによって開口部内に充填されるカーボンナノチューブ213の密度を高くすることができる。
【0076】
処理容器1内の圧力は、プラズマ中のラジカルの生成を多くする観点から、例えば66.7〜400Pa(0.5〜3Torr)とすることが好ましく、266Pa〜400Paがより好ましい。
【0077】
ガス流量は、プラズマ中で活性種を効率的に生成させる観点から、例えば、5〜200mL/min(sccm)とすることが好ましく、6〜30mL/min(sccm)がより好ましい。
【0078】
ガス流量は、プラズマ中で活性種を効率的に生成させる観点から、例えば、100〜2000mL/min(sccm)とすることが好ましく、300〜1200mL/min(sccm)がより好ましい。
【0079】
また、Arガス流量は、プラズマ中で活性種を効率的に生成させる観点から、例えば0〜1000mL/min(sccm)とすることが好ましく、0〜200mL/min(sccm)がより好ましい。
【0080】
マイクロ波パワーは、プラズマ中で活性種を効率的に生成させる観点から、例えば250W〜2000Wとすることが好ましく、500W〜1000Wがより好ましい。
【0081】
処理時間は、触媒活性が低下するのを防ぐ観点から、例えば1分〜60分とすることが好ましく、1分〜30分がより好ましい。
【0082】
また、STEP5のカーボンナノチューブ213の成長処理においても、グリッド電極87の貫通開口87aの径は、ウエハWへの電子の到達を効果的に抑制する観点から、例えば0.5mm以上2mm以下が好ましく、0.5mm以上1mm以下の範囲内がより好ましい。また、その開口率は、プラズマからの活性種の到達を効果的にする観点から、例えば40〜85%が好ましい。また、グリッド電極87に印加する電圧は、−300V〜300Vの範囲内が好ましいが、ウエハWへの電子の到達を効果的に抑制する観点からは負電圧がよく、−300V〜0Vの範囲内が好ましい。さらに、グリッド電極87の負電圧を例えば−300V〜−100Vの範囲内とすることによって、凹部205内へのカーボンナノチューブ213の充填を促進することができる。
【0083】
なお、カーボンナノチューブ213の成長処理においては、エチレン(C)ガスに限らず、メタン(CH)ガス、エタン(C)ガス、プロパン(C)ガス、プロピレン(C)ガス、アセチレン(C)ガス等、他の炭化水素ガスを用いることができる。また、還元ガスとしては、Hガスに限らず、アンモニア(NH)等、他のガスを用いることができる。さらに、Nガス等の不活性ガスを、キャリアガスや調圧ガスとして用いることができる。
【0084】
次に、STEP6では、カーボンナノチューブ213の形成後、マイクロ波およびガスの供給を停止し、処理容器1内の圧力を調整した後に、ゲートバルブ21を開放してウエハWを搬出する。
【0085】
ここで、グリッド電極87に電圧を印加する場合の作用機構について、図6A及び図6Bを参照して説明する。図6Aは、グリッド電極87に電圧を印加しない場合の処理容器1内の空間ポテンシャルを示している。図6Bは、グリッド電極87に−100Vの電圧を印加した場合の処理容器1内の空間ポテンシャルを示している。グリッド電極87に電圧を印加しない場合には、シャワープレート59からウエハWまでの間に電位差はなく、電子やイオンのような荷電粒子には電気的作用は生じない。一方、グリッド電極87に−100Vを印加した場合には、グリッド電極87は、接地されているシャワープレート59およびウエハW(載置台3)に対して負のポテンシャルを有しているため、電子や負イオン等の負に帯電した荷電粒子がウエハWに到達し難くなる。
【0086】
なお、図1では、荷電粒子制御部9に1枚のグリッド電極87を配備した状態を示しているが、複数のグリッド電極87を配備することもできる。例えば、図7に示すように、2枚のグリッド電極87A,87Bを上下に重ねて配備してもよい。グリッド電極87A,87Bの構成は、図1の場合と同様である。また、図1と同様に、グリッド電極87A,87Bと処理容器1の内壁との間には、それぞれ絶縁部材95を設けることができるがこれらは必須ではない。このように、2枚以上のグリッド電極87を用いることによって、電子、イオン等の荷電粒子を選択的に通過させる効果をより高くすることができる。
【0087】
また、図7に示した構成例では、グリッド電極87A,87Bには、それぞれ可変直流電源91A,91Bと、パルス発生器93A,93Bが接続されている。グリッド電極87A,87Bの一方又は両方に電圧を印加して、電子、イオン等の荷電粒子がウエハWに到達することをより効果的に防止することができる。カーボンナノチューブの形成において、1枚のグリッド電極87を設ける場合よりも、2枚以上のグリッド電極87を設けることによって、さらに不純物が少なく結晶性の良好なカーボンナノチューブを形成できる。また、酸素プラズマ処理および水素プラズマ処理においても、2枚以上のグリッド電極87を設けることにより、触媒金属層211の金属を適度に凝集させる効果、および触媒金属層211の表面を活性化させて触媒金属層211を構成する金属を微粒子化し、かつ高密度化する効果をさらに高めることができる。
【0088】
なお、電子、イオン等の荷電粒子がウエハW表面に到達することを抑制する荷電粒子制御部の別の構成例として、例えば図8に示すように載置台3に可変直流電源109およびパルス発生器111を接続するようにしてもよい。この場合、例えば載置台3に負の直流電圧を印加することにより、ウエハWが負の電圧を持つようになり、電子および負イオンが反発してウエハWの表面に到達し難く制御できる。
【0089】
次に、実施例を挙げ、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより制約されるものではない。
実施例1:
図9に示すように、Si基板301上に積層形成されたSiO層303A,303Bの上側のSiO層303Bに、開口部として約200nm径の凹部305を形成したウエハWを使用した。SiO層303A,303Bの間には、TiNからなる下地層307が70nmの厚さで形成してあり、凹部305の底面には、下地層307の上にNi触媒層309が2nmの厚さで形成してある。また、SiO層303Bの表面には、SiCN層311が形成されている。このウエハWを図1の成膜装置100と同様構成を有する成膜装置の処理容器内に搬入し、下記の条件で、酸素プラズマ処理、水素プラズマ処理を順次行った後、処理容器内をパージし、その後、凹部305内にカーボンナノチューブを成長させた。なお、実験に使用したグリッド電極は、ステンレスの材質で、貫通開口の径が2mm、貫通開口の高さ(グリッド電極の厚み)が0.1mmのものを使用した。
【0090】
<酸素プラズマ処理の条件>
処理温度:400℃
処理圧力:267Pa(2Torr)
処理ガス:
ガス 100mL/min(sccm)
Arガス 450mL/min(sccm)
マイクロ波パワー:1kW
グリッド電極への印加電圧:0V
処理時間:10分間
【0091】
<水素プラズマ処理の条件>
処理温度:400℃
処理圧力:66.7Pa(0.5Torr)
処理ガス:
ガス 462mL/min(sccm)
Arガス 450mL/min(sccm)
マイクロ波パワー:1kW
グリッド電極への印加電圧:0V
処理時間:30秒間
【0092】
<パージ処理の条件>
処理温度:400℃
処理圧力:400Pa(3Torr)
処理ガス:
ガス 200mL/min(sccm)
Arガス 450mL/min(sccm)
グリッド電極への印加電圧:0V
処理時間:2分間
【0093】
<カーボンナノチューブ成長処理の条件>
処理温度:380℃、400℃、420℃、440℃
処理圧力:400Pa(3Torr)
処理ガス:
ガス 6.3mL/min(sccm)
ガス 370mL/min(sccm)
Arガス 450mL/min(sccm)
マイクロ波パワー:0.5kW
グリッド電極への印加電圧:−100V
処理時間:30分間
【0094】
このようにして成長させたカーボンナノチューブの断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した結果を図10A〜図10Dに示す。図10A及び図10Bは、処理温度がそれぞれ400℃及び420℃の場合である。これらの図に示すように、400〜420℃の条件下においては開口部(凹部)内にカーボンナノチューブが高密度で充填されていることが分かる。一方、図10C及び図10Dは処理温度がそれぞれ380℃及び440℃の場合である。これらの条件下では、図10A及び図10Bの場合と比較してカーボンナノチューブの成長速度が遅いことが分かった。
【0095】
実施例2:
次に、グリッド電極に印加する電圧の影響について検討した。実施例1と同様の装置及び方法を用い、グリッド電極に印加する電圧を変化させてカーボンナノチューブを成長させた。本実施例では処理温度を470℃とし、グリッド電極に−100V又は−300Vの電圧を印加した。その他の条件は実施例1に示した条件と同じである。図11Aはグリッド電極に印加した電圧が−100Vのとき、図11Bは−300Vのときのカーボンナノチューブの断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した写真である。これらの結果より、グリッド電極の負電圧を高くすることでカーボンナノチューブの充填密度を高められることが分かる。
【0096】
実施例3:
続いて、実施例1と同様の装置及び方法を用い、被処理体の開口部がストレートライン(横長の溝)を形成している場合について検討した。本実施例では、開口部の幅が100nmの溝を形成している基板を用いて、処理温度を420℃としたこと以外は実施例1に示した条件と同一の条件で、グリッド電極に印加する電圧を−100Vとしてカーボンナノチューブを成長させた。その結果、図12に示したように、高い充填率で溝内にカーボンナノチューブを埋め込むことができた。このように、ビアホール用の開口部だけではなく、トレンチ溝用の開口部にもカーボンナノチューブを充填させることが可能である。
【0097】
以上の実験結果から、マイクロ波プラズマ成膜装置100を用いて、触媒金属層を形成したウエハの開口部に、酸素プラズマ処理及び水素プラズマ処理(活性化処理)を行った後、さらに処理温度、グリッド電極87への印加電圧等の条件を調整してプラズマCVDを行うことにより、開口部内に高密度にカーボンナノチューブを形成できることが確認された。
【0098】
以上のように、開口部の底に触媒金属層を有するウエハWに対し、酸素プラズマ処理、水素プラズマ処理(活性化処理)を行った後に、プラズマCVDを行うことにより開口部内に、高密度のカーボンナノチューブを成長させることができる。すなわち、酸素プラズマ処理では、開口部の底に形成された触媒金属層の表面を清浄化して加熱によるマイグレーションが起こりやすくしておく。次に、水素プラズマ処理(活性化処理)により、触媒金属層の表面を活性化させて触媒金属層を構成する金属を微粒子化し、かつ高密度化しておく。このように微粒子化および高密度化した触媒金属層の上に、カーボンナノチューブを成長させることにより、開口部内に高密度にカーボンナノチューブを充填することができる。
【0099】
また、図1の成膜装置では、シャワープレート59とウエハWとの間にグリッド電極87を設けているので、触媒金属層に主にラジカルを作用させて、電子やイオン等による結晶の欠陥や不純物の導入を抑制することができる。従って、不純物が少なく結晶性の良好なカーボンナノチューブを形成することができる。また、グリッド電極87に電圧を印加することにより、その効果を一層高めることができる。
【0100】
さらに、本実施形態ではマイクロ波プラズマにより処理を行うため、本質的に高密度で低電子温度のラジカルを主体としたプラズマ処理を行うことができ、上記特長を効果的に引き出すことができる。特に、マイクロ波プラズマの中でも高密度で、かつ低電子温度プラズマを生成することが可能なRLSAマイクロ波プラズマ方式の成膜装置100を用いることにより、カーボンナノチューブの成長を低ダメージで行うことが可能である。
【0101】
以上、本発明の実施の形態を例示の目的で詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に制約されることはない。当業者は本発明の思想及び範囲を逸脱することなく多くの改変を成し得、それらも本発明の範囲内に含まれる。例えば、上記実施形態においては、酸素プラズマ処理、活性化処理、カーボンナノチューブの形成処理をRLSAマイクロ波プラズマ方式のプラズマ処理装置で行った例を示したが、他のマイクロ波プラズマ方式を用いてもよいし、マイクロ波プラズマに限らず、例えば、誘導結合プラズマ、容量結合プラズマ等の他の方式のプラズマを用いてもよい。
【0102】
また、上記実施の形態では、1つの処理容器内で酸素プラズマ処理、水素プラズマ処理(活性化処理)、カーボンナノチューブの形成処理を連続して効率的に行うことのできる成膜装置100を用いたが、酸素プラズマ処理と、水素プラズマ処理と、カーボンナノチューブの形成とを、別々の処理容器内で行うこともできる。この場合、1枚のウエハWを、各工程で用いる処理容器内に真空条件下で順次搬入・搬出して連続処理できるマルチチャンバタイプの成膜装置(クラスタ装置)を用いることができる。
【0103】
また、ウエハWの構造も、開口部や配線の形状は図4のものに限るものではなく、被処理体も半導体ウエハに限るものではない。
【符号の説明】
【0104】
1…処理容器、3…載置台、5…マイクロ波導入部、7…ガス供給部、9…荷電粒子制御部、11…排気部、13…制御部、87,87A,87B…グリッド電極、91,91A,91B…可変直流電源、93A,93B…パルス発生器、100…成膜装置、W…半導体ウエハ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に1又は複数の開口部を有し、当該開口部の底に触媒金属層が形成された被処理体を準備する工程と、
前記触媒金属層に酸素プラズマ処理を施す工程と、
前記酸素プラズマ処理を施した後の前記触媒金属層に水素プラズマ処理を施して、前記触媒金属層の表面を活性化する工程と、
成膜装置の処理容器内で、被処理体の上方に多数の貫通開口を有する電極部材を配置し、該電極部材に直流電圧を印加しながら、該電極部材の上方空間で生成させたプラズマ中の活性種を、前記貫通開口を通過させて下方の被処理体へ向けて拡散させ、前記活性化された触媒金属層の上にプラズマCVD法によりカーボンナノチューブを成長させることにより被処理体の開口部内にカーボンナノチューブを埋め込む工程と、
を備えているカーボンナノチューブの形成方法。
【請求項2】
前記電極部材に−300V以上0V以下の範囲内の直流電圧を印加する請求項1に記載のカーボンナノチューブの形成方法。
【請求項3】
前記電極部材の前記貫通開口の径が0.5mm以上2mm以下の範囲内である請求項1又は2に記載のカーボンナノチューブの形成方法。
【請求項4】
前記カーボンナノチューブの成長を行う際に、被処理体を350℃以上530℃℃以下に加熱する請求項1から3のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブの形成方法。
【請求項5】
前記成膜装置は、前記処理容器内にプラズマ生成ガスを導入する第1のガス導入部と、前記処理容器内に前記カーボンナノチューブの原料ガスを導入する第2のガス導入部とが別々に設けられ、前記プラズマ生成ガスにより生成したプラズマ中に、前記第2のガス導入部から導入される前記カーボンナノチューブの原料ガスが混合された後で、該プラズマ中の活性種が、前記電極部材の貫通開口を通過するように構成されている請求項1から4のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブの形成方法。
【請求項6】
前記酸素プラズマ処理、前記水素プラズマ処理及び前記カーボンナノチューブを成長させる処理に利用するプラズマは、マイクロ波プラズマである請求項1から5のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブの形成方法。
【請求項7】
前記マイクロ波プラズマが、多数のマイクロ波放射孔を有する平面アンテナにより前記処理容器内に導入されたマイクロ波により励起されるものである請求項6に記載のカーボンナノチューブの形成方法。
【請求項8】
被処理体の開口部が、ビアホール又は配線用溝である請求項1から7のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブの形成方法。
【請求項9】
前記開口部の幅が、10nm以上300nm以下である請求項1から8のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブの形成方法。
【請求項10】
前記酸素プラズマ処理、前記水素プラズマ処理及び前記カーボンナノチューブの成長を行う処理を、同一処理容器内で連続して行う請求項1から9のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブの形成方法。
【請求項11】
被処理体に対してプラズマ処理を行う処理空間を形成する処理容器と、
前記処理容器内で被処理体を載置する載置台と、
前記処理容器内にプラズマ生成ガスを導入する第1のガス導入部と、
前記処理容器内に、カーボンナノチューブの原料ガスを導入する第2のガス導入部と、
前記処理容器内で、前記載置台の上方に配置された多数の貫通開口を有する電極部材と、
前記電極部材に直流電圧を印加する電源と、
前記処理容器内を減圧排気する排気装置と、
を備え、
前記電極部材に直流電圧を印加しながら該電極部材よりも上方の空間で生成させたプラズマ中の活性種を、前記貫通開口を通過させて下方の被処理体へ向けて拡散させることにより、被処理体上にプラズマCVD法によってカーボンナノチューブを成長させるようにしたカーボンナノチューブ成膜装置。
【請求項12】
前記プラズマ生成ガスにより生成したプラズマ中に、前記カーボンナノチューブの原料ガスを混合するように、前記第1のガス導入部と前記第2のガス導入部が配置されており、
前記電極部材は、前記プラズマ中に前記カーボンナノチューブの原料ガスを混合する部位と、前記載置台との間に介在配置されている請求項11に記載のカーボンナノチューブ成膜装置。
【請求項13】
前記処理容器の上部に配置されて前記処理空間を塞ぐ誘電体部材と、
前記誘電体部材の上方に設けられ、該誘電体部材を介して前記処理空間にマイクロ波を導入する平面アンテナと、
をさらに備えており、
前記第1のガス導入部は、前記誘電体部材の直下の空間にガスを導入するように配置されており、
前記第2のガス導入部は、前記第1のガス導入部より、前記載置台に近い位置で前記誘電体部材と前記載置台との間に介在して配置されており、
前記電極部材は、前記第2のガス導入部と前記載置台との間に介在して配置されている請求項11又は12に記載のカーボンナノチューブ成膜装置。
【請求項14】
前記電極部材の前記貫通開口の径が0.5mm以上2mm以下の範囲内である請求項11から13のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ成膜装置。
【請求項15】
前記第1のガス導入部は、前記プラズマCVD法によりカーボンナノチューブの成長を行う前の前処理として、被処理体に対して酸素プラズマ処理を行うための酸素含有ガス供給源に接続されており、
前記第2のガス導入部は、前記プラズマCVD法によりカーボンナノチューブの成長を行う前の前処理として、被処理体に対して水素プラズマ処理を行うための水素含有ガス供給源に接続されている、請求項11から14のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ成膜装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−230980(P2011−230980A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−105456(P2010−105456)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】