説明

クメスタン様抗酸化剤およびUV吸収剤

本発明は、一つの分子に非常に有効なUV吸収機能とともに強力な抗酸化剤特性を併せ持つ1H−ピラノ[4,3−b]ベンゾフラン−1−オン構造の誘導体およびその窒素類縁体に関するものである。これらの化合物は、化粧品製剤および皮膚用製剤において特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一つの分子に非常に有効なUV吸収機能と併せて強力な抗酸化剤特性を有する、1H−ピラノ[4,3−b]ベンゾフラン−1−オン構造の誘導体、およびいくつかの窒素類縁体に関する。
【背景技術】
【0002】
フェノール系化合物は、最も精力的に研究され、広く使用されている天然および合成の抗酸化剤である。各種の天然フェノール系抗酸化剤の例としては、特にはαトコフェロール、ケルセチン、モリン、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、チモールおよびカルバクロールがある。ビタミンであるαトコフェロールは、ヒト血漿中の主要な脂溶性の連鎖切断型抗酸化剤であり、低密度リポタンパク質会合物において存在している。その抗酸化剤としての作用機序およびフェノール系化合物全般のそれは、脂質過酸化の連鎖成長段階が進行するよりかなり早い速度での、連鎖を伝搬する(chain carrying)ペルオキシルラジカルへのそのフェノール性H原子の移動であると考えられている。
【0003】
食品、化粧品、パーソナルケアおよび家庭用製品において抗酸化剤として用いられる多くのフェノール系化合物は、常に光化学的に安定とは限らず、それがそれらの用途を制限するものとなっている。紫外(UV)光が、ラジカル発生源ならびに多くの生物学的有害作用の別の重要な発生源であることも知られている。従って、UV吸収剤、特にはUV−BおよびUV−A吸収性化合物を用いて、UV光への曝露時における生体分子および化学分子へのフリーラジカル開始損傷を防止する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
Leutbecher et al. (2005) Synlett, 20, 3126-3130は、酸化剤として分子状酸素を用いるカテコール類との4−ヒドロキシ−6−メチル−2H−ピラン−2−オンまたは置換された4−ヒドロキシ−2H−クロメン−2−オンのラッカーゼ触媒ドミノ反応によって、クメスタン類および関連するO−複素環が得られることを報告している。さらに、Nematollahi & Forooghi (2002) Tetrahedron, 58, 4949-4953は、求核剤としての4−ヒドロキシ−6−メチル−2−ピロン存在下でのカテコール類の電気化学的酸化について報告している。そのカテコール類から誘導されるキノン類は、4−ヒドロキシ−6−メチル−2−ピロンとのマイケル付加反応に関与する。しかしながら、これらの参考文献には、これら化合物の抗酸化剤特性およびUV吸収特性のいずれに関しても全く記載がない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
特定のクメスタン修飾物、すなわち1H−ピラノ[4,3−b]ベンゾフラン−1−オン構造の誘導体およびその窒素類縁体が、驚くことに抗菌効果および抗真菌効果のような多くの興味深い生物学的活性を示し、例えば一つの分子中に非常に有効なUV吸収機能と併せて強力な抗酸化剤特性を有することが見出された。
【0006】
そこで本発明は、一般式(I)の化合物を含む組成物に関する。
【化1】

【0007】
〔式中、
Xは、O、NHまたはNR15であり;
、R、RおよびRは互いに独立に、H、ハロゲン、特にフッ素、ヒドロキシ、C−C24アルキル、少なくとも1個のEによって置換されているかおよび/または少なくとも1個のDによって中断されているC−C24アルキル、C−C24パーフルオロアルキル、C−C14パーフルオロアリール、特にペンタフルオロフェニル、C−C12シクロアルキル、Gによって置換されているかおよび/またはS−、−O−もしくは−NR15−によって中断されているC−C12シクロアルキル、−NR1516、C−C24アルキルチオ、−PR1718、C−C12シクロアルコキシ、Gによって置換されているC−C12シクロアルコキシ、C−C24アリール、G、C−C24アルキル、C−C12シクロアルキル、C−C25アラルキル、C−C24パーフルオロアルキル、C−C14パーフルオロアリール、特にペンタフルオロフェニル、もしくはC−C24ハロアルキルによって置換されているC−C24アリール;C−C20ヘテロアリール、G、フッ素、C−C24アルキル、C−C12シクロアルキル、C−C25アラルキル、C−C24パーフルオロアルキル、C−C14パーフルオロアリール、特にペンタフルオロフェニル、もしくはC−C24ハロアルキルによって置換されているC−C20ヘテロアリール;C−C24アルケニル、C−C24アルキニル、C−C24アルコキシ、少なくとも1個のEによって置換されているかおよび/または少なくとも1個のDによって中断されているC−C24アルコキシ、C−C25アラルキル、Gによって置換されているC−C25アラルキル、C−C25アラルコキシ、Gによって置換されているC−C25アラルコキシ、または−CO−R19であり、あるいは
およびRは、下記の基:
【化2】

【0008】
であり、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13およびR14は互いに独立に、H、ハロゲン、ヒドロキシ、C−C24アルキル、少なくとも1個のEによって置換されているかおよび/または少なくとも1個のDによって中断されているC−C24アルキル、C−C24パーフルオロアルキル、C−C14パーフルオロアリール、特にペンタフルオロフェニル、C−C12シクロアルキル、少なくとも1個のGによって置換されているかおよび/または少なくとも1個のS−、−O−もしくは−NR15−によって中断されているC−C12シクロアルキル、C−C12シクロアルコキシ、Gによって置換されているC−C12シクロアルコキシ、C−C24アリール、少なくとも1個のGによって置換されているC−C24アリール、C−C20ヘテロアリール、少なくとも1個のGによって置換されているC−C20ヘテロアリール、C−C24アルケニル、C−C24アルキニル、C−C24アルコキシ、少なくとも1個のEによって置換されているかおよび/または少なくとも1個のDによって中断されているC−C24アルコキシ、C−C25アラルキル、少なくとも1個のGによって置換されているC−C25アラルキル、C−C25アラルコキシ、少なくとも1個のGによって置換されているC−C25アラルコキシ、または少なくとも−CO−R19であり、
Dは、−CO−;−COO−;−S−;−SO−;−SO−;−O−;−NR15−;−POR17−;−CR20=CR21−;または−C≡C−であり;
Eは、−OR22;−SR22;−NR1516;−[NR151624;−COR19;−COOR23;−CONR1516;−CN;−N;−OCOOR23;またはハロゲンであり;
Gは、EまたはC−C24アルキルであり、
20、R21、R15、R16およびR24は互いに独立に、H;C−C18アリール;C−C24アルキルもしくはC−C24アルコキシによって置換されているC−C18アリール;C−C24アルキル;または少なくとも1個の−O−によって中断されているC−C24アルキルであり;あるいは
15およびR16が一体となって、5員もしくは6員環、特には
【化3】

【0009】
を形成しており;
Zは、ハロゲン、好ましくはClであり;
19およびR23は互いに独立に、H;C−C18アリール;C−C24アルキルもしくはC−C24アルコキシによって置換されているC−C18アリール;C−C24アルキル;または少なくとも1個の−O−によって中断されているC−C24アルキルであり;
22は、H;C−C18アリール;C−C24アルキルもしくはC−C24アルコキシによって置換されているC−C18アリール;C−C24アルキル;または少なくとも1個の−O−によって中断されているC−C24アルキルであり;
17およびR18は互いに独立に、C−C24アルキル、C−C18アリール、またはC−C24アルキルによって置換されているC−C18アリールであり;
およびRは、直接またはフェノール性酸素を介して前記フェノール環系にα結合またはβ結合した単糖、二糖またはオリゴ糖残基であることができる〕。
【0010】
このクラスの多くの化合物、特にサッカリド部分および/またはアンモニウム部分を含む化合物は、抗菌効果および抗真菌効果などのさらに興味深い生物学的活性を示す。
【0011】
フェノール環系にα結合またはβ結合した単糖、二糖またはオリゴ糖残基としてのRおよび/またはRは通常、ヘキソースもしくはペントースサブユニットまたはアシル化ヘキソースもしくはペントースサブユニットからなる。ヘキソースもしくはペントースサブユニットは多くの場合、グルコース、リボース、ガラクトース、マンノース、それらのアシル化(特にアセチル化)誘導体、またはN−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、ラクトース、N−アセチルラクトサミンからなる群から選択される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る組成物で特別に有用ないくつかの化合物は、式(I)の化合物において、
Xが、O、NHまたはNR15であり;
が、C−C24アルキル、C−C24アルケニル、C−C24アルコキシ、またはEによって置換されている前記アルキル、アルケニルもしくはアルコキシであり;
がHであり;
が、H;ヒドロキシ;C−C24アルキル;少なくとも1個のEによって置換されているかおよび/または少なくとも1個のDによって中断されているC−C24アルキル;C−C12シクロアルキル;Gによって置換されているかおよび/または−O−もしくは−NR15−によって中断されているC−C12シクロアルキル;−NR1516;C−C12シクロアルコキシ;Gによって置換されているC−C12シクロアルコキシ;置換されていないかまたはGによって置換されているフェニル;C−C24アルケニル;C−C24アルコキシ;少なくとも1個のEによって置換されているかおよび/または少なくとも1個のDによって中断されているC−C24アルコキシ;C−C25フェニルアルキル;Gによって置換されているC−C25フェニルアルキル;C−C25フェニルアルコキシ;Gによって置換されているC−C25フェニルアルコキシ;または−OCO−R19もしくは−CO−R19であり;
が、H;ヒドロキシ;置換されていないか、または少なくとも1個のEによって置換されているかおよび/または少なくとも1個のDによって中断されているC−C24アルキル;C−C12シクロアルコキシ;Gによって置換されているC−C12シクロアルコキシ;C−C24アルコキシ;少なくとも1個のEによって置換されているかおよび/または少なくとも1個のDによって中断されているC−C24アルコキシ;または−OCO−R19もしくは−CO−R19であり;
および/またはRはさらにフェノール環系にα結合またはβ結合した単糖、二糖またはオリゴ糖残基であることができ、前記残基はヘキソースまたはペントースサブユニットからなり、少なくとも1個のヘキソースまたはペントースサブユニットがグルコース、リボース、ガラクトース、マンノース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、ラクトースおよびN−アセチルラクトサミンからなる群から選択され;
Dが、−CO−、−COO−または−O−であり;
GおよびEが互いに独立に、−OR22;−NR1516;−[NR151624;−COR19;−COOR23;−CN;−N;−OCOOR23;またはハロゲンであり;あるいはGがC−C12アルキルであり;
15およびR16およびR24が互いに独立に、H;フェニル;C−C24アルキルによって置換されているフェニル;またはC−C24アルコキシ;C−C24アルキル;または−O−によって中断されているC−C24アルキルであり;
19が、H;フェニル;C−C24アルキル、ヒドロキシおよび/またはC−C24アルコキシによって置換されているフェニル;C−C24アルキル;または−O−によって中断されているC−C24アルキル;フェノキシ;C−C24アルキル、ヒドロキシおよび/またはC−C24アルコキシによって置換されているフェノキシ;C−C24アルコキシ;または−O−によって中断されているC−C24アルコキシであり;
22およびR23が互いに独立に、H;フェニル;C−C24アルキルによって置換されているフェニル;C−C24アルキル;または−O−によって中断されているC−C24アルキルである化合物;
そして特に、式(I)の化合物において、
Xが、O、NHまたはNR15であり;
が、C−C24アルキル、C−C24アルケニル、または−NR1516もしくは−Nもしくは−[NR151624によって置換されている前記アルキルもしくはアルケニルであり;
がHであり;
およびRが独立に、H;ヒドロキシ;C−C12アルキル;C−C12アルケニル;C−C12アルコキシ;または−OCO−R19もしくは−CO−R19であり;あるいはフェノール環系にα結合またはβ結合した単糖または二糖残基であり、前記残基がグルコース、リボース、ガラクトース、マンノース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、ラクトースおよびN−アセチルラクトサミンからなる群から選択されるヘキソースまたはペントースサブユニットからなり;
15、R16およびR24が互いに独立に、HまたはC−Cアルキルであり、
がハロゲン化物、特にクロライドである化合物である。
【0013】
式(I)の本発明の化合物の一部は新規である。これらの化合物は、本発明の別の実施形態である。本発明の新規化合物は、下記の化合物:
7,8−ジヒドロキシ−3,6−ジメチル−1H−ピラノ[4,3−b]ベンゾフラン−1−オン;
7,8−ジヒドロキシ−6−メトキシ−3−メチル−1H−ピラノ[4,3−b]ベンゾフラン−1−オン;
7,8−ジヒドロキシ−3−メチル−1H−ピラノ[4,3−b]ベンゾフラン−1−オン;
7,8−ジヒドロキシ−3−メチル−1−オキソ−1H−ピラノ[4,3−b]ベンゾフラン−9−カルボン酸メチルエステル;
9−フルオロ−7,8−ジヒドロキシ−3−メチル−1H−ピラノ[4,3−b]ベンゾフラン−1−オン;および
6−フルオロ−7,8−ジヒドロキシ−3−メチル−1H−ピラノ[4,3−b]ベンゾフラン−1−オン;
XがNHであり、Rがメチルであり、RからRがそれぞれ水素である式(I)の化合物;ならびに
およびRが、下記の基:
【化4】

【0014】
であり、RおよびRのそれぞれがH、メチル、メトキシから選択される式(I)の化合物
を除く上記式(I)の化合物である。
【0015】
特に技術的に興味深い新規化合物には、R、RおよびRをまとめた場合の炭素原子の合計が少なくとも4、特に5以上である化合物のように、RがHであり、他の残基のうちの少なくとも一つが延長された炭素鎖を含む式(I)の化合物などがある。本発明のさらに好ましい化合物は、上記で除外された化合物(上記参照)を除く、本発明の組成物について別段で記載の通りである。
【0016】
原子の番号割り付けは、式(I′)で示した通りである。
【化5】

【0017】
本発明の別の好ましい実施形態は、
XがOであり;
および/またはRが上記で示したフェノール環系にα結合またはβ結合した単糖、二糖またはオリゴ糖残基であり、前記残基がヘキソースまたはペントースサブユニットからなり、少なくとも1個のヘキソースまたはペントースサブユニットがグルコース、リボース、ガラクトース、マンノース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、ラクトースおよびN−アセチルラクトサミンからなる群から選択される、
式(I)の化合物に関する。
【0018】
本発明のさらに別の好ましい実施形態は、
XがOであり;
が、C−C24アルキル、C−C24アルケニル、または−OR22、−COR19、−COOR23もしくは−OCOOR23Eによって置換されているC−C24アルキルであり;
がHであり;
が、H、C−C24アルキル、少なくとも1個のEによって置換されているかおよび/または少なくとも1個のDによって中断されているC−C24アルキル、C−C12シクロアルキル、Gによって置換されているかおよび/またはS−、−O−もしくは−NR15−によって中断されているC−C12シクロアルキル、−NR1516、C−C12シクロアルコキシ、Gによって置換されているC−C12シクロアルコキシ、C−C24アリール、Gによって置換されているC−C24アリール、C−C24アルキル、C−C12シクロアルキル、C−C25アラルキル、C−C24アルケニル、C−C24アルコキシ、少なくとも1個のEによって置換されているかおよび/または少なくとも1個のDによって中断されているC−C24アルコキシ、C−C25アラルキル、Gによって置換されているC−C25アラルキル、C−C25アラルコキシ、Gによって置換されているC−C25アラルコキシ、または−CO−R19であり;
が、ヒドロキシル、少なくとも1個のEによって置換されているかおよび/または少なくとも1個のDによって中断されているC−C24アルキル、C−C12シクロアルコキシ、Gによって置換されているC−C12シクロアルコキシ、C−C24アルコキシ、少なくとも1個のEによって置換されているかおよび/または少なくとも1個のDによって中断されているC−C24アルコキシ、または−CO−R19であり;
Dが、−CO−、−COO−または−O−であり;
GおよびEが互いに独立に、−OR22、−COR19、−COOR23または−OCOOR23であり;
15およびR16が互いに独立に、H;C−C18アリール;C−C24アルキルもしくはC−C24アルコキシによって置換されているC−C18アリール;C−C24アルキル;または−O−によって中断されているC−C24アルキルであり;あるいは
15およびR16が一体となって、5員環もしくは6員環、特には
【化6】

【0019】
を形成しており;
19およびR23が互いに独立に、H;C−C18アリール;C−C24アルキルもしくはC−C24アルコキシによって置換されているC−C18アリール;C−C24アルキル;または−O−によって中断されているC−C24アルキルであり;
22が、H;C−C18アリール;C−C24アルキルもしくはC−C24アルコキシによって置換されているC−C18アリール;C−C24アルキル;または−O−によって中断されているC−C24アルキルであり;
および/またはRがさらに、上記で示したフェノール環系にα結合またはβ結合した単糖、二糖またはオリゴ糖残基であることができ、前記残基がヘキソースまたはペントースサブユニットからなり、少なくとも1個のヘキソースまたはペントースサブユニットがグルコース、リボース、ガラクトース、マンノース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、ラクトースおよびN−アセチルラクトサミンからなる群から選択される、
式(I)の化合物である。
【0020】
本発明のさらに別の好ましい実施形態は、
Xが、NHまたはNR15であり;
が、HまたはC−Cアルキルであり;
、RおよびRがHであり;
15がC−Cアルキルである、
一般式(I)の化合物に関する。
【0021】
本発明に係る新規なクメスタン様化合物の例には、下記で確認される化合物番号A−3からA−6、A−9からA−27およびB−1からB−4などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0022】
別の実施形態において本発明は、本明細書において前記で記載の一般式(I)の化合物の製造方法であって、一般式(I−a)の化合物を一般式(I−b)の化合物と反応させる段階を含む方法に関する。
【化7】

【0023】
好ましくは前記反応段階は、カテコラーゼによって触媒される。例としては、(I−a)の(I−b)とのラッカーゼ触媒もしくはチロシナーゼ触媒変換がある。
【0024】
例えば、本発明に係る化合物は、文献(D. Habibi et al., Heterocyclic Communications, Vol.11, No.2, 2005(145から148頁))に開示の化学的方法に従って製造することができる。その合成経路は、in situで生成したo−ベンゾキノン類と4−ヒドロキシ−6−メチル−2−ピロンとの酸化的カップリングを含む。
【化8】

【0025】
ワンポット法で、上記で定義のRおよびRを有する式(2)のカテコールを、酸化剤としてフェリシアン化カリウム存在下に上記で定義のRおよびRを有する式(3)の4−ヒドロキシ−2−ピロンとカップリングさせて、対応する式(4)の1H−ピラノ[4,3−b]ベンゾフラン−1−オン誘導体とすることができる。
【0026】
代表的には、K[Fe(CN)]などの無機酸化物を用いるが、4−ヒドロキシ−6−メチル−2−ピロン存在下でのカテコール類の電気化学的(Nematollahi D., Forooghi Z. (2002))酸化も可能である。文献(Tetrahedron Vol. 58, 4949-4953)には、酵素(例えば、チロシナーゼまたはラッカーゼを使用) 経路が記載されている。
【0027】
例えばU. Beifuss(Synlett 2005, No. 20, pages 3126-3130)は、酸素存在下でのカテコール類および4−ヒドロキシ−6−メチル−2−ピロンの1H−ピラノ[4,3−b]ベンゾフラン−1−オン誘導体へのラッカーゼ触媒変換について記載している。その著者は、酵素として市販のカワラタケ(Trametes versicolor)のラッカーゼを用いている。
【化9】

【0028】
この方法は、式(2)の各種の異なるカテコール構造および式(3)の異なる4−ヒドロキシ−2−ピロン構造を適用して、対応する式(4)のフェノールとすることができる。
【0029】
その酵素的変換は好ましくは、水系緩衝液系または有機溶媒との混合物または有機溶媒単独中で行う。反応温度は、−20℃から100℃、より好ましくは0℃から40℃、最も好ましくは10℃から30℃である。その酵素反応は、式(5)の4−ヒドロキシ−2(1H)−ピリジノン類(上記で定義のRおよびRを有する)の好適な置換カテコールを用いた変換による、対応のベンゾフロ(3,2−c)ピリジン−1(2H)−オン化合物の生成にも好適である。5,6−二置換4−ヒドロキシ−2−ピロン化合物は、当業者に公知の技術によって合成可能である。
【0030】
式(3)のR置換された4−ヒドロキシ−2−ピロン(R=Hである)は、Katritzky et al.(2005, Org. Chem. Vol. 70, 4854-4856)によって記載されている手順によって製造することができる。その方法は、低温でLDAの存在下における2,2,6−トリメチル−1,3−ジオキシン−4−オン(6)の式(7)の1−アシルベンゾトリアゾールとの反応に基づいたものである。得られた式(8)の2,2−ジメチル−6−(2−オキソアルキル)−1,3−ジオキシン−4−オンを、熱押出(thermal extrusion)環化反応によって式(3)のR置換された4−ヒドロキシ−2−ピロン(Rは水素を示す)に変換する。
【化10】

【0031】
式(5)のRおよびR置換された4−ヒドロキシ−2(1H)−ピリジノンは、Butt(J. Chem. Soc., 1963, page 4483)に記載の手順によって製造することができる。その方法は、式(9)のピランジオンと式(10)のアミンとの反応による対応する式(5)のピリジノンの生成を含む。
【化11】

【0032】
式(5)のピリジノンの別の製造方法は、D.B. Rubinov(Russian Journal of Organic Chemistry, Vol. 40, No. 9, 2004, pp.1329-1331)に記載されている。式(11)の5−アセトアセチル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオンを、温和な条件下で式(10)のアミンと反応させて、式(12)のエナミノ化合物を得ることができる。後者の化合物を最初に沸騰トルエン中、次にジエチレングリコールジメチルエーテル中で加熱することで、所望の式(5)のN−置換ピリジノンが得られる。
【化12】

【0033】
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素である。
【0034】
−C24アルキルは、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、2−エチルブチル、n−ペンチル、イソペンチル、1−メチルペンチル、1,3−ジメチルブチル、n−ヘキシル、1−メチルヘキシル、n−ヘプチル、イソヘプチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、1−メチルヘプチル、3−メチルヘプチル、n−オクチル、2-エチルヘキシル、1,1,3−トリメチルヘキシル、1,1,3,3−テトラメチルペンチル、ノニル、デシル、ウンデシル、1−メチルウンデシル、ドデシル、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルヘキシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、イコシルまたはドコシルなどの分岐しているまたは分岐していない基である。
【0035】
−C24パーフルオロアルキルは、例えば−CF、−CFCF、−CFCFCF3、−CF(CF2、−(CFCFおよび−C(CFなどの分岐しているまたは分岐していない基である。
【0036】
−C24アルコキシ基は、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、アミルオキシ、イソアミルオキシまたはtert−アミルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、イソオクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ウンデシルオキシ、ドデシルオキシ、テトラデシルオキシ、ペンタデシルオキシ、ヘキサデシルオキシ、ヘプタデシルオキシおよびオクタデシルオキシなどの直鎖または分岐のアルコキシ基である。
【0037】
−C24アルケニル基は、例えばビニル、アリル、メタリル、イソプロペニル、2−ブテニル、3−ブテニル、イソブテニル、n−ペンタ−2,4−ジエニル、3−メチル−ブト−2−エニル、n−オクト−2−エニル、n−ドデサ−2−エニル、イソドデセニル、n−ドデサ−2−エニルまたはn−オクタデク−4−エニルなどの直鎖または分岐のアルケニル基である。
【0038】
2−24アルキニルは、例えばエチニル、1−プロピン−3−イル、1−ブチン−4−イル、1−ペンチン−5−イル、2-メチル−3−ブチン−2−イル、1,4−ペンタジイン−3−イル、1,3−ペンタジイン−5−イル、1−ヘキシン−6−イル、シス−3−メチル−2−ペンテン−4−イン−1−イル、トランス−3−メチル−2−ペンテン−4−イン−1−イル、1,3−ヘキサジイン−5−イル、1−オクチン−8−イル、1−ノニン−9−イル、1−デシン−10−イルまたは1−テトラコシン−24−イルなどの置換されていないかまたは置換されていてもよい直鎖または分岐の好ましくはC2−8アルキニルである。
【0039】
−C18シクロアルキル、特にC−C12シクロアルキルは、好ましくは例えばシクロペンチル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、トリメチルシクロヘキシル、tert−ブチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロドデシル、1−アダマンチルまたは2−アダマンチルなどの、C−C12シクロアルキルまたは1から3個のC−Cアルキル基によって置換されている前記シクロアルキルである。シクロヘキシル、1−アダマンチルおよびシクロペンチルが最も好ましい。
【0040】
S、OまたはNR15によって中断されているC−C18シクロアルキルの例には、ピペリジル、ピペラジニルおよびモルホリニルがある。
【0041】
アリールは、通常は置換されていてもよいC−C30アリール、好ましくはC−C24アリールであり、例えばフェニル、4−メチルフェニル、4−メトキシフェニル、ナフチル、ビフェニリル、2−フルオレニル、フェナントリル、アントリル、テトラシル、ペンタシル、ヘキサシル、ターフェニリルもしくはクアドフェニリル;または1から3個のC−Cアルキル基によって置換されているフェニル、例えばo−、m−もしくはp−メチルフェニル、2,3−ジメチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、3,5−ジメチルフェニル、2−メチル−6−エチルフェニル、4−tert−ブチルフェニル、2−エチルフェニルもしくは2,6−ジエチルフェニルなどがある。
【0042】
−C24アラルキル基は、好ましくは置換されていてもよいC−C15アラルキル基、例えばベンジル、2−ベンジル−2−プロピル、β−フェネチル、α−メチルベンジル、α,α−ジメチルベンジル、ω−フェニル−ブチル、ω−フェニル−オクチル、ω−フェニル−ドデシル;または1から3個のC−Cアルキル基によってフェニル環上で置換されたフェニル−C−Cアルキル、例えば、2−メチルベンジル、3−メチルベンジル、4−メチルベンジル、2,4−ジメチルベンジル、2,6−ジメチルベンジルもしくは4−tert−ブチルベンジル、または3−メチル−5−(1′,1′,3′,3′−テトラメチル−ブチル)−ベンジルである。
【0043】
ヘテロアリールは代表的にはC−C26ヘテロアリール、すなわち5から7個の環原子を有する環または縮合環系であって、窒素、酸素または硫黄が可能なヘテロ原子であるものであり、代表的には少なくとも6個の共役π電子を有する5から30個の原子を有する不飽和複素環基であり、例えば置換されていないかまたは置換されていてもよいチエニル、ベンゾ[b]チエニル、ジベンゾ[b,d]チエニル、チアントレニル、フリル、フルフリル、2H−ピラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、フェノキシチエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ビピリジル、トリアジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、インドリル、インダゾリル、プリニル、キノリジニル、キノリル、イソキノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキザリニル、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジニル、カルバゾリル、カルボリニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサゾリル、フェナントリジニル、アクリジニル、ペリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、イソチアゾリル、フェノチアジニル、イソオキサゾリル、フラザニルまたはフェノキサジニルがある。
【0044】
−C18シクロアルコキシは、例えばシクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロヘプチルオキシまたはシクロオクチルオキシであるか、あるいは例えばメチルシクロペンチルオキシ、ジメチルシクロペンチルオキシ、メチルシクロヘキシルオキシ、ジメチルシクロヘキシルオキシ、トリメチルシクロヘキシルオキシまたはtert−ブチルシクロヘキシルオキシなどの1から3個のC−Cアルキルによって置換されている前記シクロアルコキシである。
【0045】
−C24アリールオキシは代表的には、フェノキシ、または例えばo−、m−もしくはp−メチルフェノキシ、2,3−ジメチルフェノキシ、2,4−ジメチルフェノキシ、2,5−ジメチルフェノキシ、2,6−ジメチルフェノキシ、3,4−ジメチルフェノキシ、3,5−ジメチルフェノキシ、2−メチル−6−エチルフェノキシ、4−tert−ブチルフェノキシ、2−エチルフェノキシもしくは2,6−ジエチルフェノキシなどの1から3個のC−Cアルキル基によって置換されているフェノキシである。
【0046】
−C24アラルコキシは代表的には、例えばベンジルオキシ、α−メチルベンジルオキシ、α,α−ジメチルベンジルオキシまたは2−フェニルエトキシなどのフェニル−C−Cアルコキシである。
【0047】
−C24アルキルチオ基は、例えばメチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ、イソブチルチオ、ペンチルチオ、イソペンチルチオ、ヘキシルチオ、ヘプチルチオ、オクチルチオ、デシルチオ、テトラデシルチオ、ヘキサデシルチオまたはオクタデシルチオなどの直鎖または分岐のアルキルチオ基である。
【0048】
5員もしくは6員環の例には、窒素、酸素および硫黄から選択される1個の別のヘテロ原子を有していてもよい3から5個の炭素原子を有するヘテロシクロアルカンまたはヘテロシクロアルケンがあり、例えば
【化13】

【0049】
があり、それらは二環系、例えば
【化14】

【0050】
の一部であることができる。
【0051】
上記の基の可能な置換基は、C−Cアルキル、ヒドロキシル基、メルカプト基、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオ、ハロゲン、ハロ−C−Cアルキル、シアノ基、アルデヒド基、ケトン基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基またはシリル基である。
【0052】
アシルは、有機酸の残基、特にカルボン酸の残基を示す。例としては、C−C18アルカノイルまたはベンゾイルがあり、特に好ましいものはアセチルである。
【0053】
「ハロアルキル」という用語は、トリフルオロメチルなどのようなハロゲンで上記のアルキル基を部分的または全体に置換することで得られる基を意味する。「アルデヒド基、ケトン基、エステル基、カルバモイル基およびアミノ基」には、C−C24アルキル基、C−C18シクロアルキル基、C−C30アリール基、C−C24アラルキル基または複素環基によって置換されているものなどがあり、そのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基および複素環基は置換されていてもまたは置換されていてもよい。
【0054】
一つの基に置換基が複数個ある場合、それは各場合で異なったものであることができる。
【0055】
上記のように、前記の基は、少なくとも1個のEによって置換されているかおよび/または所望に応じて少なくとも1個のDによって中断されているものであることができる。当然のことながら、中断は単結合によって互いに連結された少なくとも2個の炭素原子を含む基の場合にのみ可能であり、C−C18アリールは中断されず、中断されたアリールアルキルまたはアルキルアリールはアルキル部分に単位Dを含む。1以上のEによって置換されているかおよび/または1以上の単位Dによって中断されているC−C24アルキルは、例えば(CHCHO)1−9−R(RはHまたはC−C10アルキルまたはC−C10アルカノイル(例:CO−CH(C)C)である)、CH−CH(ORy′)−CH−O−R(Rは、C−C24アルキル、C−C12シクロアルキル、フェニル、C−C15フェニルアルキルであり、Ry′はRと同じ定義を包含するかHである);C−Cアルキレン−COO−R、例えばCHCOOR、CH(CH)COOR、C(CHCOOR(Rは、H、C−C24アルキル、(CHCHO)1−9−Rであり、Rは上記で示した定義を包含する);CHCH−O−CO−CH=CH;CHCH(OH)CH−O−CO−C(CH)=CHである。
【0056】
特に好ましいものは、前記有機材料が、合成ポリマー、好ましくはポリスチレン類、スチレンのグラフトコポリマー類、ポリフェニレンオキサイド類、ポリフェニレンスルフィド類、ポリウレタン類、ポリイソシアネート類、芳香族ポリエステル類、芳香族ポリアミド類、ポリ尿素類、ポリイミド類、ポリアミド−イミド類、ポリスルホン類、ポリエーテルスルホン類、ポリエーテルケトン類、アルキド樹脂類、アミノプラスト樹脂類およびエポキシ樹脂類からなる群から選択される合成ポリマーである、本発明の組成物である。
【0057】
特に好ましいものは、成分(b)の化合物が下記のものからなる群から選択される組成物である。
【化15】




【0058】
さらに、本発明に係る組成物はさらに、ベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、シアノアクリル酸誘導体、ヒドロキシアリール−s−トリアジン類、アントラニレート類、ジベンゾイルメタン類、ベンジリデン−ジオキソイミダゾリン類、ベンジリデンマロネート類、二酸化チタンおよび酸化亜鉛などの酸化物、サリチル酸エステル類、桂皮酸誘導体、パラ−アミノ安息香酸誘導体、カンファー誘導体、フェニルベンズイミダゾール類、ジフェニルアクリレート類、有機ニッケル化合物およびオキソアニリド類からなる群から選択されるUV吸収剤を含むことができ、好ましくは前記UV吸収剤は、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ジ−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−(ω−ヒドロキシ−オクタ(エチレンオキシ)カルボニル)エチルフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、4,4′−ジオクチルオキシオキソアニリド、2,2′−ジオクチルオキシ−5,5′−ジ−tert−ブチルオキソアニリド、2,2′−ジドデシルオキシ−5,5′−ジ−tert−ブチルオキソアニリド、2−エトキシ−2′−エチルオキソアニリド、2,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−4−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル−s−トリアジン、2,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−4−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)−6−(4−クロロフェニル)−s−トリアジン、2,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−4−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロパノキシ)フェニル]−s−トリアジンおよび2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾフェノンからなる群から選択される。特に化粧品製剤において特に技術的に興味深いものは、2,4−ビス−[(4−(2−エチルヘキシルオキシ)2−ヒドロキシフェニル)]−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン)である。
【0059】
特に有用なものには、有機サンスクリーン剤、例えばアヴォベンゾン、p−メトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル、4,4′−t−ブチルメトキシジベンゾイルメタン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、オクチルジメチルp−アミノ安息香酸、2,2−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−[4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル]−安息香酸ヘキシルエステル、4−[ビス(ヒドロキシルプロピル)]アミノ安息香酸エチル、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸2−エチルヘキシル、3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシベンジリデンマロン酸ジ−(2−エチルヘキシル)、サリチル酸2−エチルヘキシル、p−アミノ安息香酸グリセリル、サリチル酸3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、アントラニル酸メチル、アントラニル酸メンチル、p−ジメチルアミノ安息香酸、p−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸、2−(p−ジメチルアミノフェニル−5−スルホニオベンゾオキソアゾ酸(sulfoniobenzoxazoic acid)、2,2′−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェノール、2−(4−メチルベンジリデン)−カンファー、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−[2−メチル−3−[1,3,3,3−テトラメチル−1−[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロピル]−フェノール(CAS番号155633−54−8)、アニソトリアゾン(CAS番号191419−26−8)、エチルヘキシルトリアゾン(Uvinul T150)、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン(CAS番号154702−15−5)およびこれらの混合物などもある。
【0060】
本発明に係る組成物は、別の抗酸化剤を含んでいてもよい。好適な抗酸化剤の例には、p−ヒドロキシ安息香酸およびその誘導体(p−ヒドロキシ安息香酸のエチルイソブチル、グリセリルエステル)、サリチル酸エステル(オクチルアミル、フェニル、ベンジルメンチル、グリセリンおよびジプロピレングリコールエステル)、クマリン誘導体、フラボン類、ベンジリデンマロネート類、[(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)メチル]−プロパンジオン酸のようなフェニルメチルプロパン酸誘導体、ビス(2−エチルヘキシル)エステル(CAS番号872182−46−2)、ヒドロキシルもしくはメトキシ置換ベンゾフェノン類、尿酸もしくはタンニン酸およびその誘導体、ヒドロキノン、ならびにベンゾフェノン類などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0061】
本組成物においてさらに有用な別の成分が、下記に挙げられており、そして参照する刊行物に挙げられている。
【0062】
概して、安定化可能なポリマーには、下記のものなどがある。
【0063】
1.モノオレフィン類およびジオレフィン類のポリマー、例えばポリエチレン(架橋されていてもよい)、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブテン−1、ポリメチルペンテン−1、ポリイソプレンまたはポリブタジエン、ならびにシクロオレフィン類、例えばシクロペンテンもしくはノルボルネンのポリマー。
【0064】
2.1で言及したポリマーの混合物、例えばポリプロピレンのポリイソブチレンとの混合物。
【0065】
3.モノオレフィン類およびジオレフィン類の互いとのコポリマー、または他のビニルモノマーとのコポリマー、例えばエチレン/プロピレン、プロピレン/ブテン−1、プロピレン/イソブチレン(propylenedisobutylene)、エチレン/ブテン−1、プロピレン/ブタジエン、イソブチレン/イソプレン、エチレン/アクリル酸アルキル、エチレン/メタクリル酸アルキル、エチレン/酢酸ビニルまたはエチレン/アクリル酸のコポリマーおよびそれらの塩(イオノマー)、ならびにエチレンとプロピレンおよびジエン(ヘキサジエン、ジシクロペンタジエンまたはエチリデン−ノルボルネン)とのターポリマー。
【0066】
4.ポリスチレン、ポリ−(α−メチルスチレン)。
【0067】
5.スチレンまたはメチルスチレンとジエン類またはアクリル誘導体とのコポリマー、例えば、スチレン/ブタジエン、スチレン/アクリロニトリル、スチレン/メタクリル酸エチル、スチレン/ブタジエン/アクリル酸エチル、スチレン/アクリロニトリル/アクリル酸メチルなど;スチレンコポリマーおよび別のポリマー(例えばポリアクリル酸エステルなど)、ジエンポリマーもしくはエチレン/プロピレン/ジエンターポリマー、およびスチレン、例えばスチレン/ブタジエン/スチレン、スチレン/イソプレン/スチレン、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレンもしくはスチレン/エチレン/プロピレン/スチレンなどのブロックポリマーからの高い衝撃強さを有する混合物。
【0068】
6.スチレンのグラフトコポリマー、例えばポリブタジエンへのスチレン、ポリブタジエンへのスチレンおよびアクリロニトリル、ポリブタジエンへのスチレンおよびアクリル酸もしくはメタクリル酸アルキル、エチレン/プロピレン/ジエンターポリマーへのスチレンおよびアクリロニトリル、ポリアクリル酸エステルもしくはポリメタクリル酸エステルへのスチレンおよびアクリロニトリル、アクリル酸エステル/ブタジエンコポリマーへのスチレンおよびアクリロニトリルなど、ならびにそれらと5)で挙げたコポリマーとの混合物、例えばABS−、MBS−、ASA−またはAES−ポリマーと称されるコポリマー混合物。
【0069】
7.ハロゲン含有ポリマー、例えばポリクロロプレン、塩素化ゴム、塩素化もしくはスルホ塩素化ポリエチレン、エピクロロヒドリンホモポリマーおよびコポリマー、ハロゲン含有ビニル化合物からのポリマー、例えばポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデンなど、ならびにそれらのコポリマー、例えば塩化ビニル/塩化ビニリデン、塩化ビニル/酢酸ビニル、塩化ビニリデン/酢酸ビニルコポリマーまたはフッ化ビニル/ビニルエーテルコポリマーなど。
【0070】
8.α,β−不飽和酸およびその誘導体から誘導されるポリマー、例えばポリアクリル酸エステルおよびポリメタクリル酸エステル、ポリアクリルアミドおよびポリアクリロニトリルなど。
【0071】
9.8)で言及したモノマーの互いとのコポリマーまたは他の不飽和モノマーとのコポリマー、例えばアクリロニトリルブタジエン、アクリロニトリル/アクリル酸アルキル、アクリロニトリル/アクリル酸アルコキシアルキルもしくはアクリロニトリル/ハロゲン化ビニルコポリマー、またはアクリロニトリル/メタクリル酸アルキル/ブタジエンターポリマーなど。
【0072】
10.不飽和アルコールおよびアミン、またはそれらのアシル誘導体もしくはそれらのアセタールから誘導されるポリマー、例えばポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリステアリン酸ビニル、ポリ安息香酸ビニル、ポリマレイン酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリフタル酸アリルまたはポリアリル−メラミンなど。
【0073】
11.環状エーテルのホモポリマーおよびコポリマー、例えばポリアルキレングリコール類、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドなど、あるいはそれらのビス−グリシジルエーテルとのコポリマー。
【0074】
12.ポリアセタール、例えばポリオキシメチレンおよびコモノマーとしてエチレンオキサイドを含むポリオキシメチレンなど。
【0075】
13.ポリフェニレンオキサイドおよびスルフィド、ならびにポリフェニレンオキサイドとポリスチレンとの混合物。
【0076】
14.一方の側に末端ヒドロキシル基を有し、他方の側に脂肪族もしくは芳香族ポリイソシアネートを有するポリエーテル、ポリエステルまたはポリブタジエンから誘導されるポリウレタン類、ならびにそれらの前駆体(ポリイソシアネート類、ポリオール類またはプレポリマー類)。
【0077】
15.ジアミンおよびジカルボン酸および/またはアミノカルボン酸または対応のラクタムから誘導されるポリアミド類およびコポリアミド類、例えばポリアミド4、ポリアミド6、ポリアミド6/6、ポリアミド6/10、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリ−2,4,4−トリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド、ポリ−p−フェニレンテレフタルアミドまたはポリ−m−フェニレンイソフタルアミドなど、ならびにそれらのポリエーテルとの、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリテトラメチレングリコールとのコポリマー。
【0078】
16.ポリ尿素類、ポリイミド類およびポリアミド−イミド類。
【0079】
17.ジカルボン酸およびジオールからおよび/またはヒドロキシカルボン酸または対応のラクトンから誘導されるポリエステル類、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−ジメチロール−シクロヘキサンテレフタレート、ポリ−[2,2−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン]テレフタレートおよびポリヒドロキシベンゾエートなど、ならびにヒドロキシル末端基を有するポリエーテルから誘導されるブロック−コポリエーテル−エステル類。
【0080】
18.ポリカーボネート類。
【0081】
19.ポリスルホン類、ポリエーテルスルホン類およびポリエーテルケトン類。
【0082】
20.一方でアルデヒドおよび他方でフェノール、尿素およびメタミンから誘導される架橋ポリマー、例えばフェノール/ホルムアルデヒド樹脂、尿素/ホルムアルデヒド樹脂およびメラミン/ホルムアルデヒド樹脂など。
【0083】
21.乾燥および非乾燥アルキド樹脂。
【0084】
22.飽和および不飽和ジカルボン酸と多価アルコールおよび架橋剤としてのビニル化合物とのコポリエステルから誘導される不飽和ポリエステル樹脂、ならびに引火性の低いそれらのハロゲン含有修飾物。
【0085】
23.置換されたアクリル酸エステルから誘導される熱硬化性アクリル樹脂、例えばエポキシ−アクリル酸エステル、ウレタン−アクリル酸エステルまたはポリアクリル酸エステルなど。
【0086】
24.架橋剤としてのメラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイソシアネート類またはエポキシド樹脂と混合したアルキド樹脂、ポリエステル樹脂またはアクリル酸エステル樹脂。
【0087】
25.ポリエポキシドから、例えばビス−グリシジルエーテルまたはシクロ脂肪族ジエポキシドから誘導される架橋エポキシド樹脂。
【0088】
26.セルロース、ゴム、ゼラチンなどの天然ポリマーならびにポリマー均質的に化学修飾されたそれらの誘導体、例えば酢酸セルロース類、プロピオン酸セルロース類および酪酸セルロース類またはメチルセルロースなどのセルロースエーテル類など。
【0089】
27.上記のポリマーの混合物、例えばPP/EPDM、ポリアミド6/EPDMまたはABS、PVC/EVA、PVC/ABS、PVC/MBS、PC/ABS、PBTP/ABSなど。
【0090】
28.純粋なモノマー化合物またはそのような化合物の混合物である天然および合成有機材料、例えば鉱油、動物脂肪および植物脂肪、オイルおよびロウもしくは合成エステル(例:フタル酸エステル、アジピン酸エステル、リン酸エステルまたはトリメリト酸エステル)に基づくオイル、脂肪およびロウ(wares)など、さらにはいずれかの重量比での合成エステルと鉱油(それらの材料はポリマー用の可塑剤としてまたは紡績オイルとして用いることができる)との混合物、ならびにそのような材料の水系乳濁液。
【0091】
29.天然または合成ゴム、例えば天然ラテックスまたはカルボキシル化スチレン/ブタジエンコポリマーのラテックスの水系乳濁液。
【0092】
30.ポリシロキサン類、例えば米国特許第4,259,467号に記載の軟質親水性ポリシロキサン類、および例えば米国特許第4,355,147号に記載の硬質ポリ有機シロキサン類など。
【0093】
31.不飽和アクリルポリアセトアセテート樹脂または不飽和アクリル樹脂と組み合わせたポリケチミン類。不飽和アクリル樹脂には、ウレタンアクリル酸エステル、ポリエーテルアクリレート、懸垂不飽和基を有するビニルもしくはアクリルコポリマー、およびアクリレート化メラミン類などがある。ポリケチミン類は、酸触媒の存在下にポリアミン類およびケトン類から製造される。
【0094】
32.エチレン性不飽和モノマーまたはオリゴマーおよび多価不飽和脂肪族オリゴマーを含む放射線硬化性組成物。
【0095】
33.エポキシメラミン樹脂、例えばLSE−4103(Monsanto)などのエポキシ官能性コエーテル化高固体メラミン樹脂によって架橋された光安定性エポキシ樹脂など。
【0096】
本発明の安定化剤は、成形品の製造より前のいずれかの都合のよい段階で従来の技術によって有機ポリマーに容易に組み込むことができる。例えば、その安定化剤は、乾燥粉末形態でのポリマーと混合するか、あるいは安定化剤の懸濁液もしくは乳濁液をポリマーの溶液、懸濁液もしくは乳濁液と混合することができる。本発明の得られた安定化ポリマー組成物には、約0.01から約5重量%、好ましくは約0.025から約2重量%、特に約0.1から約1重量%の各種従来の添加剤(下記に挙げた材料など)またはそれらの混合物を含有させてもよい。
【0097】
1.抗酸化剤
1.1.アルキル化モノフェノール、例えば
2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、
2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、
2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、
2,6−ジ−tert−ブチル−4−n−ブチルフェノール、
2,6−ジ−tert−ブチル−4−i−ブチルフェノール、
2,6−ジ−シクロペンチル−4−メチルフェノール、
2−(α−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノール、
2,6−ジ−オクタデシル−4−メチルフェノール、
2,4,6−トリ−シクロヘキシルフェノール、
2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシメチルフェノール。
【0098】
1.2.アルキル化ヒドロキノン類、例えば
2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェノール、
2,5−ジ−tert−ブチル−ヒドロキノン、
2,5−ジ−tert−アミル−ヒドロキノン、
2,6−ジフェニル−4−オクタデシルオキシフェノール。
【0099】
1.3.ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル類、例えば
2,2′−チオ−ビス−(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、
2,2′−チオ−ビス−(4−オクチルフェノール)、
4,4′−チオ−ビス−(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、
4,4′−チオ−ビス−(6−tert−ブチル−2−メチルフェノール)。
【0100】
1.4.アルキリデン−ビスフェノール類、例えば
2,2′−メチレン−ビス−(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、
2,2′−メチレン−ビス−(6−tert−ブチル−4−エチルフェノール)、
2,2′−メチレン−ビス−[4−メチル−6−(α−メチルシクロヘキシル)−フェノール]、
2,2′−メチレン−ビス−(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、
2,2′−メチレン−ビス−(6−ノニル−4−メチルフェノール)、
2,2′−メチレン−ビス−[6−(α−メチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、
2,2′−メチレン−ビス−[6−(α,α−ジメチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、
2,2′−メチレン−ビス−(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、
2,2′−エチリデン−ビス−(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、
2,2′−エチリデン−ビス−(6−tert−ブチル−4−イソブチルフェノール)、
4,4′−メチレン−ビス−(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、
4,4′−メチレン−ビス−(6−tert−ブチル−2−メチルフェノール)、
1,1−ビス−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル−ブタン、
2,6−ジ−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェノール、
1,1,3−トリス−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−ブタン、
1,1−ビス−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3−n−ドデシルメルカプトブタン、
エチレングリコールビス−[3,3−ビス−(3′−tert−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)−ブチレート]、
ジ−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−ジシクロペンタジエン、
ジ−[2−(3′−tert−ブチル−2′−ヒドロキシ−5′−メチル−ベンジル)−6−ten−ブチル−4−メチルフェニル]テレフタレート。
【0101】
1.5.ベンジル化合物、例えば
1,3,5−トリ−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、
ジ−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、
3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル−メルカプト−酢酸イソオクチルエステル、
ビス−(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)ジチオールテレフタレート、
1,3,5−トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、
1,3,5−トリス−(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、
3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル−リン酸 ジオクタデシルエステル、
3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル−リン酸 モノエチルエステル、カルシウム塩。
【0102】
1.6.アシルアミノフェノール類、例えば
4−ヒドロキシ−ラウリン酸アニリド、
4−ヒドロキシ−ステアリン酸アニリド、
2,4−ビス−オクチルメルカプト−6−(3,5−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−s−トリアジン、
オクチル−N−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−カーバメート。
【0103】
1.7.β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオン酸のアミド類、例えば
N,N′−ジ−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)−ヘキサメチレンジアミン、
N,N′−ジ−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)−トリメチレンジアミン、
N,N′−ジ−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)−ヒドラジン。
【0104】
1.8.ジアリールアミン類、例えば
ジフェニルアミン、N−フェニル−1−ナフチルアミン、N−(4−tert−オクチルフェニル)−1−ナフチルアミン、4,4′−ジ−tert−オクチル−ジフェニルアミン、N−フェニルベンジルアミンおよび2,4,4−トリメチルペンテンの反応生成物、ジフェニルアミンおよび2,4,4−トリメチルペンテンの反応生成物、N−フェニル−1−ナフチルアミンおよび2,4,4−トリメチルペンテンの反応生成物。
【0105】
2.UV吸収剤および光安定剤
2.1.2−(2′−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール類、例えば
5′−メチル−、3′,5′−ジ−tert−ブチル−、5′−tert−ブチル−、5′−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−、5−クロロ−3′,5′−ジ−tert−ブチル−、5−クロロ−3′−tert−ブチル−5′−メチル−、3′−sec−ブチル−5′−tert−ブチル−、4′−オクトキシ、3′,5′−ジ−tert−アミル−、3′,5′−ビス−(α,α−ジメチルベンジル)、3′−tert−ブチル−5′−(2−(ω−ヒドロキシ−オクタ−(エチレンオキシ)カルボニル−エチル)−、3′−ドデシル−5′−メチル−および3′−tert−ブチル−5′−(2−オクチルオキシカルボニル)エチル−およびドデシル化−5′−メチル誘導体。
【0106】
2.2.2−ヒドロキシ−ベンゾフェノン類、例えば
4−ヒドロキシ−、4−メトキシ−、4−オクトキシ、4−デシルオキシ−、4−ドデシルオキシ−、4−ベンジルオキシ、4,2′,4′−トリヒドロキシ−および2′−ヒドロキシ−4,4′−ジメトキシ誘導体。
【0107】
2.3.置換されていてもよい安息香酸のエステル、例えば
サリチル酸フェニル、サリチル酸4−tert−ブチルフェニル、サリチル酸オクチルフェニル、ジベンゾイルレゾルシノール、ビス−(4−tert−ブチルベンゾイル)−レゾルシノール、ベンゾイルレゾルシノール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸2,4−ジ−tert−ブチルフェニルエステルおよび3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸ヘキサデシルエステル。
【0108】
2.4.アクリル酸エステル類、例えば
α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリル酸エチルエステルまたはイソオクチルエステル、α−カルボメトキシ−桂皮酸メチルエステル、α−シアノ−β−メチル−p−メトキシ−桂皮酸メチルエステルまたはブチルエステル、α−カルボメトキシ−p−メトキシ−桂皮酸メチルエステル、N−(β−カルボメトキシ−β−シアノビニル)−2−メチル−インドリン。
【0109】
2.5.ニッケル化合物、例えば
n−ブチルアミン、トリエタノールアミンまたはN−シクロヘキシル−ジエタノールアミンなどの別の配位子を有していてもよい、1:1または1:2錯体などの2,2′−チオ−ビス−[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェノール]のニッケル錯体、ニッケルジブチルジチオカーバメート、メチル、エチルまたはブチルエステルなどの4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジルホスホン酸モノアルキルエステルのニッケル塩、2−ヒドロキシ−4−メチル−フェニルウンデシルケトキシムなどのケトキシムのニッケル錯体、別の配位子を有していてもよい1−フェニル−4−ラウロイル−5−ヒドロキシ−ピラゾールのニッケル錯体。
【0110】
2.6.立体障害アミン類、例えば
セバシン酸ビス−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)、セバシン酸ビス−(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)、n−ブチル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルマロン酸ビス−(1,2,2,6,6−ペンタンメチルピペリジル)エステル、1−ヒドロキシエチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンおよびコハク酸の縮合生成物、N,N′−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)−ヘキサメチレンジアミンおよび4−tert−オクチルアミノ−2,6−ジクロロ−s−トリアジンの縮合生成物、トリス−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)−ニトリロトリアセテート、テトラキス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、1,1′(1,2−エタンジイル)−ビス−(3,3,5,5−テトラメチルピペラジノン)。
【0111】
2.7.シュウ酸ジアミド類、例えば
4,4′−ジ−オクチルオキシ−オキソアニリド、2,2′−ジ−オクチルオキシ−5,5′−ジ−tert−ブチル−オキソアニリド、2,2′−ジ−ドデシルオキシ−5,5′−ジ−tert−ブチル−オキソアニリド、2−エトキシ−2′−エチル−オキソアニリド、N,N′−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)−オキサルアミド、2−エトキシ−5−tert−ブチル−2′−エチルオキソアニリド、ならびにその2−エトキシ−2′−エチル−5,4′−ジ−tert−ブチルオキソアニリドとの混合物、ならびにオルト−およびパラ−メトキシ−の混合物、ならびにo−およびp−エトキシ−ニ置換オキソアニリドの混合物。
【0112】
2.8.ヒドロキシフェニル−s−トリアジン類、例えば
2,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)−4−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−s−トリアジン;2,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)−4−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−s−トリアジン;2,4−ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)−6−(4−クロロフェニル)−s−トリアジン;2,4−ビス[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−6−(4−クロロフェニル−s−トリアジン;2,4−ビス[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−6−(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン;2,4−ビス[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−6−(4−ブロモフェニル)−s−トリアジン;2,4−ビス[2−ヒドロキシ−4−(2−アセトキシエトキシ)フェニル]−6−(4−クロロフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン。
【0113】
3.金属不活性化剤、例えば
N,N′−ジフェニルシュウ酸ジアミド、N−サリチラル−N′−サリチロイル−ヒドラジン、N,N′−ビス−サリチロイルヒドラジン、N,N′−ビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジン、3−サリチロイルアミノ−1,2,4−トリアゾール、ビス−ベンジリデン−シュウ酸ジヒドラジド。
【0114】
4.亜リン酸エステル類および亜ホスホン酸エステル類、例えば
亜リン酸トリフェニル、亜リン酸ジフェニルアルキル、亜リン酸フェニルジアルキル、亜リン酸トリ−(ノニルフェニル)、亜リン酸トリラウリル、亜リン酸トリオクタデシル、ジ亜リン酸ジ−ステアリル−ペンタエリスリトール、亜リン酸トリス−(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、ジ亜リン酸ジ−イソデシル−ペンタエリスリトール、ジ亜リン酸ジ−(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール、トリ亜リン酸トリステアリルソルビトール、ジ亜ホスホン酸テトラキス−(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)4,4′−ジフェニリレン。
【0115】
5.過酸化物を破壊する化合物、例えば
β−チオジプロピオン酸のエステル、例えばラウリル、ステアリル、ミリスチルまたはトリデシルエステル、メルカプト−ベンズイミダゾールまたは2−メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩、亜鉛ジブチル−ジチオカーバメート、ジオクタデシルジスルフィド、テトラキス−(β−ドデシルメルカプト)−プロピオン酸ペンタエリスリトール。
【0116】
6.ヒドロキシルアミン類、例えば
N,N−ジベンジルヒドロキシルアミン、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、N,N−ジオクチルヒドロキシルアミン、N,N−ジラウリルヒドロキシルアミン、N,N−ジテトラデシルヒドロキシルアミン、N,N−ジヘキサデシルヒドロキシルアミン、N,N−ジオクタデシルヒドロキシルアミン、N−ヘキサデシル−N−オクタデシルヒドロキシルアミン、N−ヘプタデシル−N−オクタデシルヒドロキシルアミン、水素化牛脂アミンから誘導されるN,N−ジアルキルヒドロキシルアミン。
【0117】
7.ニトロン類、例えば
N−ベンジル−α−フェニルニトロン、N−エチル−α−メチルニトロン、N−オクチル−α−ヘプチルニトロン、N−ラウリル−α−ウンデシルニトロン、N−テトラデシル−α−トリデシルニトロン、N−ヘキサデシル−α−ペンタデシルニトロン、N−オクタデシル−α−ヘプタデシルニトロン、N−ヘキサデシル−α−ヘプタデシルニトロン、N−オクタデシル−α−ペンタデシルニトロン、N−ヘプタデシル−α−ヘプタデシルニトロン、N−オクタデシル−α−ヘキサデシルニトロン、水素化牛脂アミンから誘導されるN,N−ジアルキルヒドロキシルアミンから誘導されるニトロン。
【0118】
8.ポリアミド安定化剤、例えば
ヨウ化物および/またはリン化合物と組み合わせた銅塩、ならびに二価マンガンの塩。
【0119】
9.塩基性補助安定剤、例えば
メラミン、ポリビニルピロリドン、ジシアンジアミド、トリアリルシアヌレート、尿素誘導体、ヒドラジン誘導体、アミン類、ポリアミド類、ポリウレタン類、高級脂肪酸のアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩(例えば、ステアリン酸Ca、ステアリン酸Zn、ステアリン酸Mg、リシノール酸Naおよびパルミチン酸K、ピロカテコール酸アンチモンまたはピロカテコール酸亜鉛)。
【0120】
10.求核剤、例えば
4−tert−ブチル−安息香酸、アジピン酸、ジフェニル酢酸。
【0121】
11.充填剤および強化剤、例えば
炭酸カルシウム、ケイ酸塩、ガラス繊維、アスベスト、タルク、カオリン、雲母、硫酸バリウム、金属の酸化物および水酸化物、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、黒鉛。
【0122】
12.他の添加剤、例えば
可塑剤、潤滑剤、乳化剤、顔料、蛍光増白剤、防炎剤、帯電防止剤、発泡剤、ならびにジラウリルチオジプロピオネートまたはジステアリルチオジプロピオネートなどのチオ共力剤。
【0123】
フェノール系抗酸化剤が特に興味深く、好ましくは3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロ桂皮酸n−オクタデシル、テトラキス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロ桂皮酸)ネオペンタンテトライル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジ−n−オクタデシル、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロ桂皮酸)チオジエチレン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,6−ジオキサオクタメチレンビス(3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,2′−エチリデン−ビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−4−tert−ブチル−3−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,1,3,−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス[2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナモイルオキシ)エチル]イソシアヌレート、3,5−ジ−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)メシトール、ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)、1−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−3,5−ジ(オクチルチオ)−s−トリアジン、N,N′−ヘキサメチレン−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミド)、カルシウムビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)、エチレンビス[3,3−ジ(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブチレート]、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルメルカプト酢酸オクチル、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナモイル)ヒドラジド、およびN,N′−ビス[2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナモイル)−エチル]−オキサミドからなる群から選択される。
【0124】
最も好ましいフェノール系抗酸化剤は、テトラキス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロ桂皮酸)ネオペンタンテトライル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロ桂皮酸n−オクタデシル、1,3,5−トリ−メチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールまたは2,2′−エチリデン−ビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)である。
【0125】
さらに、本発明に係る組成物はさらに、立体障害アミンを含んでいてもよい。
【0126】
特に興味深い立体障害アミン化合物は、セバシン酸ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)、セバシン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)、ジ(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ブチルマロネート、4−ベンゾイル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、3−n−オクチル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザ−スピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン、ニトリロトリ酢酸トリス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)、1,2−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3−オキソピペラジン−4−イル)エタン、2,2,4,4−テトラメチル−7−オキサ−3,20−ジアザ−21−オキソジスピロ[5.1.11.2]ヘンエイコサン、2,4−ジクロロ−6−tert−オクチルアミノ−s−トリアジンおよび4,4′−ヘキサメチレンビス(アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン)の重縮合生成物、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンおよびコハク酸の重縮合生成物、4,4′−ヘキサメチレンビス−(アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン)および1,2−ジブロモエタンの重縮合生成物、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジンおよび4,4′−ヘキサメチレンビス(アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン)の重縮合生成物、N,N′,N’,N’’’−テトラキス[(4,6−ビス(ブチル−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル)−アミノ−s−トリアジン−2−イル]−1,10−ジアミノ−4,7−ジアザデカン、混合[2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル/β,β,β′,β′−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]−ウンデカン)ジエチル]1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、混合[1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル/β,β,β′,β′−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]−ウンデカン)ジエチル]1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、オクタメチレンビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−カルボキシレート)、4,4′−エチレンビス(2,2,6,6−テトラメチルピペラジン−3−オン)、N−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル−n−ドデシルスクシンイミド、N−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル−n−ドデシルスクシンイミド、N−1−アセチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イルn−ドデシルスクシンイミド、1−アセチル3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン、セバシン酸ジ−(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)、コハク酸ジ−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)、1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシ−ピペリジン、ポリ−{[6−tert−オクチルアミノ−s−トリアジン−2,4−ジイル][2−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)イミノ−ヘキサメチレン−[4−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)イミノ]および2,4,6−トリス[N−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−n−ブチルアミノ]−s−トリアジンからなる群から選択される。
【0127】
最も好ましい立体障害アミン化合物は、セバシン酸ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)、セバシン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)、ジ(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ブチルマロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンおよびコハク酸の重縮合生成物、2,4−ジクロロ−6−tert−オクチルアミノ−s−トリアジンおよび4,4′−ヘキサメチレンビス(アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン)の重縮合生成物、N,N′,N’’,N’’’−テトラキス[(4,6−ビス(ブチル−(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−4−イル)アミノ)−s−トリアジン−2−イル]−1,10−ジアミノ−4,7−ジアザデカン、セバシン酸ジ−(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)、コハク酸ジ−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)、1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシ−ピペリジン、ポリ−{[6−tert−オクチルアミノ−s−トリアジン−2,4−ジイル][2−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)イミノ−ヘキサメチレン−[4−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル(イミノ]または2,4,6−トリス[N−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)−n−ブチルアミノ]−s−トリアジンである。
【0128】
化粧品およびパーソナルケア品
一つの主たる態様において、本発明は、例えば
(a)(化粧品に)好適な担体材料、および
(b)上記で説明した式(I)の化合物
を含む、化粧品およびパーソナルケア調製物または製剤に関する。
【0129】
本発明は、例えば美容、ゴニオクロマチック(goniochromatic)およびボリューム効果などの効果のうちの少なくとも一つを示す化粧品組成物を提供する。そのような効果は、例えばファンデーション、アイシャドー、ほお紅、リップスティック、リップグロス、リップラッカー、マスカラおよびアイラインから選択される組成物を用いることで得ることができる。
【0130】
本発明に係る調製物は、特には唇もしくは皮膚のメーキャップまたは毛髪もしくは爪のカラーリングに好適な調製物または製剤である。化粧品調製物は、例えばリップスティック、ほお紅、ファンデーション、マニキュア液およびヘアシャンプーである。
【0131】
本発明に係る組成物は、下記のような1以上の別の化合物を含んでもよい:
脂肪アルコール
脂肪酸のエステル
グリセリルエステルおよび誘導体を含む天然もしくは合成トリグリセリド
長鎖酸およびアルコールのエステルを含むロウならびにロウを有する化合物
炭化水素オイル
シリコーン類またはシロキサン類
フッ素化もしくはパーフルオロオイル
過脂肪剤
真珠光沢ロウ
皺取り活性剤
皮膚用美白剤
脱臭有効成分
稠度調節剤/増粘剤−レオロジー変性剤
例えば天然増粘剤、無機増粘剤、合成レオロジー変性剤、リン脂質誘導体など
ポリマー
例えばカチオン性セルロース誘導体などのカチオン系ポリマー、アニオン系、両性イオン系、両性およびノニオン系のポリマーなど
ハイドロトロピー剤
香油
乳化剤
例えばO/W型乳化剤、W/O型乳化剤、PEG変性成分などのノニオン系乳化剤、アニオン系乳化剤、シリコーン乳化剤(W/Si乳濁液に特に好適)など
詳細については、識別番号IPCOM000130489Dとしてip.comで2005年10月25日に公開された相当する成分を参照のこと。
【0132】
本発明の化粧品、パーソナルケアまたは皮膚用製剤で有用なさらに別の成分が、WO04/20530号の2頁16行から18頁3行までに挙げられており(光沢顔料など)、その文書の24頁1行から37頁8行にそれらの使用が開示されている(その文書の内容は参照によって本明細書に含まれる)。
【0133】
本明細書に記載の化合物は、ヒトもしくは動物の皮膚もしくは毛髪を、UV光、ならびにラジカルおよび/またはオキシダントの有害作用から保護するために用いることもできる。従って本発明は、そのような化合物を含む皮膚用組成物および化粧品組成物に関する。ある特定の実施形態において、本発明は、一般式(I)の化合物を含むメーキャップ用の化粧品組成物であって、好ましくはファンデーション、固形パウダー、フェースパウダー、リップスティック、アイシャドー、アイブローペンシル、アイライナー、マスカラ、無水もしくは水和乳濁液およびペーストの形態であり、さらにオイル、ロウ、界面活性剤、シリコーン類、パーフルオライド類、合成有機UV吸収剤、芳香剤またはINCI(国際化粧品成分命名法)に列挙された他の材料などの化粧品に許容される成分を含む前記化粧品組成物に関する。
【0134】
化粧品組成物は、非コーティング粉末もしくは異なったコーティングを行った粉末、ならびに真珠層および/または充填剤、さらには当業界で公知の顔料も含むことができる。真珠層は、0から20重量%、好ましくは8重量%から15重量%の割合で組成物中に存在させることができ、天然真珠層;酸化チタン、酸化鉄、天然顔料もしくはオキシ塩化ビスマスでコーティングされた雲母;さらには着色されたチタン雲母から選択することができる。充填剤は、組成物中において0から30重量%、好ましくは5%から15%の割合で存在することができ、無機物または合成物であってよく、層状または非層状であることができる。タルク、シリカ、カオリン、ナイロン粉末、PE粉末、テフロン(登録商標)、デンプン、窒化ホウ素、ポリマーミクロスフィア、シリコーンマイクロビーズ、白雲母、絹雲母、炭酸MgおよびCa、ケイ酸塩、クレー、BiOClまたはポリマー性材料のビーズおよび金属石鹸、ならびに他の処理もしくは未処理の顔料を挙げることができる。
【0135】
代表的なメーキャップ組成物は、アイシャドーペンシル、マスカラ、アイシャドー粉末コンパクト、アイシャドーおよびアイメーキャップ用の液体組成物、リップスティックおよびリップグロス、ペンシル型でのメーキャップ用品、メーキャップ粉末コンパクト、メーキャップ乳液、メーキャップジェル、カラーグロスを含む泡状入浴濃縮液、スキンケアローション、日焼け止め用乳液およびローションである。
【0136】
前記組成物は、水溶性もしくは脂溶性着色剤、特にコチニールカーマインなどの天然有機着色剤、および/またはハロ酸、アゾ染料もしくはアントラキノン染料などの合成着色剤、そしてカロテノイド類、キサントフィル、カラメル、植物活性炭(Carbo vegetabilis)およびメラニン類などの別の天然の染料および顔料を含むこともできる。本発明はさらに、医薬製造または食品製造における、そして例えば種子コーティング/着色などの農業における顔料の使用に関する。最後に本発明の顔料は、工業的用途に応用することもでき、コーティング剤およびインク(電気器具および建設関係のコーティング、自動車塗り換え、特注仕上げ、工業コーティング);毛皮コーティング;電子製品筐体、プラスチックおよびゴム(おもちゃおよびスポーツグッズ、プラスチック包装);テキスタイルのコーティング剤およびインクなどがある。
【0137】
本発明のさらに別の実施形態は、一般式(I)の化合物を含む皮膚用製品、医薬製品または食品に関する。
【0138】
最後に本発明は、化粧品組成物または皮膚用組成物(少なくとも一つの別の有機UV吸収剤を含んでいてもよい)の光安定性を高めるための一般式(I)の化合物の使用にも関する。
【化16】

【0139】
〔式中、
Xは、O、NHまたはNR15であり;
、R、RおよびRは互いに独立に、H、ハロゲン、特にフッ素、ヒドロキシ、C−C24アルキル、少なくとも1個のEによって置換されているかおよび/または少なくとも1個のDによって中断されているC−C24アルキル、C−C24パーフルオロアルキル、C−C14パーフルオロアリール、特にペンタフルオロフェニル、C−C12シクロアルキル、Gによって置換されているかおよび/またはS−、−O−もしくは−NR15−によって中断されているC−C12シクロアルキル、−NR1516、C−C24アルキルチオ、−PR1718、C−C12シクロアルコキシ、Gによって置換されているC−C12シクロアルコキシ、C−C24アリール;G、C−C24アルキル、C−C12シクロアルキル、C−C25アラルキル、C−C24パーフルオロアルキル、C−C14パーフルオロアリール、特にペンタフルオロフェニルもしくはC−C24ハロアルキルによって置換されているC−C24アリール;C−C20ヘテロアリール;G、フッ素、C−C24アルキル、C−C12シクロアルキル、C−C25アラルキル、C−C24パーフルオロアルキル、C−C14パーフルオロアリール、特にペンタフルオロフェニルもしくはC−C24ハロアルキルによって置換されているC−C20ヘテロアリール;C−C24アルケニル、C−C24アルキニル、C−C24アルコキシ、少なくとも1個のEによって置換されているかおよび/または少なくとも1個のDによって中断されているC−C24アルコキシ、C−C25アラルキル、Gによって置換されているC−C25アラルキル、C−C25アラルコキシ、Gによって置換されているC−C25アラルコキシ、または−CO−R19であり、あるいは
およびRは、下記の基:
【化17】

【0140】
であり、
、R、R、R、R、R10、R11、R12およびR14は互いに独立に、H、ハロゲン、ヒドロキシ、C−C24アルキル、少なくとも1個のEによって置換されているかおよび/または少なくとも1個のDによって中断されているC−C24アルキル、C−C24パーフルオロアルキル、C−C14パーフルオロアリール、特にペンタフルオロフェニル、C−C12シクロアルキル、少なくとも1個のGによって置換されているかおよび/または少なくとも1個のS−、−O−もしくは−NR15−によって中断されているC−C12シクロアルキル、C−C12シクロアルコキシ、Gによって置換されているC−C12シクロアルコキシ、C−C24アリール、少なくとも1個のGによって置換されているC−C24アリール、C−C20ヘテロアリール、少なくとも1個のGによって置換されているC−C20ヘテロアリール、C−C24アルケニル、C−C24アルキニル、C−C24アルコキシ、少なくとも1個のEによって置換されているかおよび/または少なくとも1個のDによって中断されているC−C24アルコキシ、C−C25アラルキル、少なくとも1個のGによって置換されているC−C25アラルキル、C−C25アラルコキシ、少なくとも1個のGによって置換されているC−C25アラルコキシ、または少なくとも−CO−R19であり、
Dは、−CO−;−COO−;−S−;−SO−;−SO−;−O−;−NR15−;−POR17−;−CR20=CR21−;または−C≡C−であり;
Eは、−OR22;−SR22;−NR1516;−[NR151624;−COR19;−COOR23;−CONR1516;−CN;−N;−OCOOR23;またはハロゲンであり;
Gは、EまたはC−C24アルキルであり、
20、R21、R15、R16およびR24は互いに独立に、H;C−C18アリール;C−C24アルキルもしくはC−C24アルコキシによって置換されているC−C18アリール;C−C24アルキル;または少なくとも1個の−O−によって中断されているC−C24アルキルであり;あるいは
15およびR16が一体となって、5員もしくは6員環、特には
【化18】

【0141】
を形成しており;
Zは、ハロゲン、好ましくはClであり;
19およびR23は互いに独立に、H;C−C18アリール;C−C24アルキルもしくはC−C24アルコキシによって置換されているC−C18アリール;C−C24アルキル;または少なくとも1個の−O−によって中断されているC−C24アルキルであり;
22は、H;C−C18アリール;C−C24アルキルもしくはC−C24アルコキシによって置換されているC−C18アリール;C−C24アルキル;または少なくとも1個の−O−によって中断されているC−C24アルキルであり;
17およびR18は互いに独立にC−C24アルキル、C−C18アリール、またはC−C24アルキルによって置換されているC−C18アリールであり;
および/またはRは、直接またはフェノール性酸素を介して前記フェノール環系にα結合またはβ結合した単糖、二糖またはオリゴ糖残基であることができる。
【0142】
好ましくは、一般式(I)の化合物は、化粧品または皮膚用サンスクリーン製剤中で0.001から20重量%、好ましくは0.01から2重量%の量で用いられる。前記化粧品または皮膚用製剤は、桂皮酸誘導体およびジベンゾイルメタン誘導体から選択される、好ましくはp−メトキシ桂皮酸イソペンチル、4−メトキシ桂皮酸2−エチルヘキシルおよびメトキシ桂皮酸エチルヘキシルから選択される別の有機UV吸収剤を含む。
【0143】
本発明はさらに、酸化感受性および/もしくはUV感受性の有効成分を安定化させるための、またはヒトもしくは動物の皮膚および毛髪をUV光ならびにラジカルおよび/もしくはオキシダントの有害作用から保護するための、本明細書で前記した一般式(I)の化合物の使用に関する。
【0144】
下記の実施例は、例示のみを目的として提供されるものであり、いかなる形態での本発明の性質または範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【実施例】
【0145】
実施例1−式(1)の化合物A−2のラッカーゼ触媒合成
【化19】

【0146】
式(1)の化合物は、市販のピロカテコール(Merck)および4−ヒドロキシ−6−メチル−2−ピロン(Alfa Aesar)から得られる。4−ヒドロキシ−6−メチル−2−ピロン1.26gを酢酸ナトリウム緩衝液100mL(0.025mM;pH4.65)およびエタノール80mLに溶かす。ピロカテコール1.10gを上記緩衝液100mLに溶かす。次に、両方の溶液を1リットルの三角フラスコ中で混合し、酵素原液1mLを加える。その酵素原液は、凍結乾燥酵素10mg(カワラタケ(Trametes versicolor)由来のラッカーゼ、Fluka)を上記緩衝液10mLに溶解させることで調製される。その反応混合物を、反応終了がTLCでのピロカテコール消失によって示されるまで数時間高撹拌する。反応混合物を濾過し、フィルター残留物をメタノールおよびアセトンから再結晶する。式(1)に相当するわずかにピンク色の固体が得られる(1.65g)。
【0147】
H−NMR(DMSO、300MHz):9.38;9.31;7.15;7.07;6.86(d);3.32;2.33;
13C−NMR(DMSO、75MHz):20.6;96.6;99.6;103.6;105.4;113.9;144.9;146.3;149.1;159.5;161.8;163.7;
UV−Vis(MeOH):λmax=332nm、ε=16982。
【0148】
実施例2−式(2)の化合物A−1のラッカーゼ触媒合成
【化20】

【0149】
式(2)の化合物は、市販の3−メトキシピロカテコール(Merck)および4−ヒドロキシ−6−メチル−2−ピロン(Alfa Aesar)から得られる。4−ヒドロキシ−6−メチル−2−ピロン1.26gを酢酸ナトリウム緩衝液100mL(0.025mM;pH4.65)およびエタノール80mLに溶かす。ピロカテコール1.40gを上記緩衝液100mLに溶かす。次に、両方の溶液を1リットルの三角フラスコ中で混合し、次に酵素原液1mLを加える。その酵素原液は、凍結乾燥酵素10mg(カワラタケ由来のラッカーゼ、Fluka)を上記緩衝液10mLに溶解させることで調製される。その反応混合物を、反応終了がTLCでのジフェノール消失によって示されるまで数時間高撹拌する。反応混合物を濾過し、フィルター残留物をメタノールおよびアセトンから再結晶して、式(2)に相当するわずかに橙色−褐色の固体が得られる(0.62g)。
【0150】
H−NMR(DMSO、300MHz):9.45;8.91;6.92(d);6.89;3.33;2.33;
13C−NMR(DMSO、75MHz):163.8;162.1;159.5;146.1;141.5;138.1;134.2;114.3;103.6;99.9;96.6;61.3;20.7;
UV−Vis(MeOH):λmax=330nm、ε=14696。
【0151】
実施例3−式(3)の化合物B−2のラッカーゼ触媒合成
【化21】

【0152】
式(3)の化合物は、市販のピロカテコール(Merck)および2,4−ジヒドロキシ−6−メチルピリジン(Acros)から得られる。2,4−ジヒドロキシ−6−メチルピリジン3.12gを、加熱下に酢酸ナトリウム緩衝液250mL(0.025mM;pH4.65)およびジメチルアセトアミド125mLに溶かす。ピロカテコール2.75gを上記緩衝液250mLに溶かす。次に、両方の溶液を1リットルの三角フラスコ中で混合し、酵素原液1.5mLを加える。その酵素原液は、凍結乾燥酵素10mg(カワラタケ由来のラッカーゼ、Fluka)を上記緩衝液10mLに溶解させることで調製される。その反応混合物を、反応終了がTLCでのピロカテコール消失によって示されるまで数時間高撹拌する。反応混合物を濾過すると、式(3)に相当する暗褐色固体が得られる(1.27g)。
【0153】
H−NMR(DMSO、300MHz):11.50(NH);9.10(OH);7.28;6.99;6.43(d);2.27;
13C−NMR(DMSO、75MHz):162.8;160.2;148.8;145.3;143.9;143.8;115.4;108.7;106.2;99.2;94.2;19.7;
UV−Vis(MeOH):λmax=331nm、ε=24746。
【0154】
実施例4
実施例4.1−式(4)の化合物の合成
【化22】

【0155】
式(4)の化合物は、市販のヘキサノイルクロライド(Fluka)および1H−ベンゾトリアゾール(Fluka)から得られる。1H−ベンゾトリアゾール96gをジクロロメタン1000mLに溶かす。次に、ヘキサノイルクロライド108gを加える。混合物を氷で冷却し、最後にトリエチルアミン81gを加える。反応混合物を室温で終夜高撹拌する。反応完結後、混合物をHO 1リットルで2回抽出する(水相は廃棄する)。有機相を飽和NaHCO 1リットルで洗浄し(水相は廃棄する)、NaSOで脱水し、溶媒を減圧下に除去して、やや黄色の油状物を得る(155g)。
【0156】
H−NMR(CDCl、300MHz):8.29(t);8.26(t);8.11(t);8.08(t);7.65(d);7.63(t);7.60(d);7.51(d);7.48(t);7.45(d);7.24;3.44−3.38(t);1.97−1.87(q);1.53−1.34;0.96−0.91(t);
13C−NMR(CDCl、75MHz):172.8;146.3;131.3;130.5;126.2;120.3;114.7;35.8;31.6;24.5;22.7;14.2。
【0157】
実施例4.2−式(5)の化合物の合成
【化23】

【0158】
式(5)の化合物は、リチウムジイソプロピルアミド介在の脱プロトンおよびアルキル化(Katritzky et al., 2005)によって市販の2,2,6−トリメチル−3−ジオキシノン−4−オン(Fluka;使用前に蒸留)および式(4)の化合物から得られる。ジイソプロピルアミン3.85gのTHF 100mL中混合物に、n−ブチルリチウム(1.6M n−ヘキサン溶液)64.1mLを−78℃で30分以内に滴下する。次に、2,2,6−トリメチル−3−ジオキシノン−4−オン4.49gのTHF 100mL中溶液を10から15分以内に−78℃で滴下し、混合物を1.5時間撹拌する。次に、式(4)の化合物5.43gをTHF 100mLに溶かし、−78℃で滴下する。撹拌した反応混合物を終夜にて昇温させて室温とする。飽和NHCl溶液10mLを加えることで反応停止する。反応混合物をHO 500mLおよび酢酸エチル250mLで洗浄し、水相を再度酢酸エチルで2回抽出する(各回250mL)。水相を最後に廃棄し、有機相を合わせる。得られた有機相を飽和NaHCO溶液750mL、飽和NaCl溶液500mLで洗浄し、最終的に無水NaSOで脱水する。溶媒を減圧下に除去し、粗生成物を溶離液として最初にn−ヘキサンおよび酢酸エチル(1/1、体積比)を用い、最後にメタノールを用いるシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製して、暗黄色の高粘稠油状物(2.5g)を得る。
【0159】
H−NMR(CDCl、300MHz):5.32;3.30;2.50−2.45(t);2.37−2.31(t);1.97(d);1.70;1.67;1.26;0.90−0.85(t)。
【0160】
実施例4.3−式(6)の化合物の合成
【化24】

【0161】
式(6)の化合物は、熱環化によって式(5)の化合物から得られる。式(5)の化合物2.0gをトルエンに溶かし、2時間加熱還流する。反応完結後、溶媒を蒸発留去し、粗生成物を溶離液としてn−ヘキサン/酢酸エチル(10/1体積比)を用いるカラムクロマトグラフィーによって精製して、黄色様の高粘稠油状物(1.4g)を得る。
【0162】
H−NMR(CDCl、300MHz):5.91;5.63;3.47;2.41−2.33(t);1.60−1.50(q);1.30−1.23;
13C−NMR(CDCl、75MHz):168.7;166.9;102.4;90.5;50.8;33.8;31.5;26.7;22.6;14.2。
【0163】
実施例4.4−式(7)の化合物A−10のラッカーゼ介在合成
【化25】

【0164】
式(7)の化合物は、市販のピロカテコール(Merck)および式(6)の化合物から得られる。式(6)の化合物490mgを、加熱下に酢酸Na緩衝液50mL(0.025mM;pH4.65)およびジメチルホルムアミド20mLに溶かす。この溶液を、ピロカテコール275mgの上記緩衝液50mL中溶液と混合した。次に、酵素原液300μLを加える。酵素原液は、凍結乾燥酵素(カワラタケ由来のラッカーゼ、Fluka)10mgを上記緩衝液10mLに溶解させることで調製される。その反応混合物を、反応終了がTLCでのピロカテコール消失によって示されるまで数時間高撹拌する。反応混合物を濾過する。式(7)に相当するやや褐色の固体が得られる(100mg)。
【0165】
H−NMR(DMSO、300MHz):9.40;9.31;7.16;7.07;6.90;3.29;2.62−2.58(t);1.68−1.59(t);1.34−1.27;0.89−0.84。
【0166】
実施例5
実施例5.1−式(8)の化合物の合成
【化26】

【0167】
式(8)の化合物は、市販のラウリルクロライド(Fluka)および1H−ベンゾトリアゾール(Fluka)から得られる。1H−ベンゾトリアゾール73gをジクロロメタン1000mLに溶かす。次に、ラウリルクロライド133gを加える。反応混合物を氷で冷却し、最後にトリエチルアミン61gを加える。反応混合物を終夜にわたり高撹拌する。反応完結後、生成物をHO 1リットルで2回抽出する(水相は廃棄する)。有機相を飽和NaHCO 1リットルで洗浄し(水相は廃棄する)、NaSOで脱水し、減圧下に濃縮する。やや黄色の油状物が得られる(150g)。
【0168】
H−NMR(CDCl、300MHz):8.29(t);8.27(t);8.11(t);8.08(t);7.65(d);7.62(t);7.60(d);7.50(d);7.48(t);7.45(d)、3.43−3.39(t);1.96−1.86(qui);1.51−1.26(chain);0.90−0.85(t);
13C−NMR(CDCl、75MHz):172.8;146.4;131.3;130.5;126.2;120.3;114.7;35.9;32.3;29.9;29.8;29.7;29.6;29.5;24.9;23.0;14.5。
【0169】
実施例5.2−式(9)の化合物の合成
【化27】

【0170】
式(9)の化合物は、リチウムジイソプロピルアミド介在の脱プロトンおよびアルキル化(Katritzky et al., 2005)によって市販の2,2,6−トリメチル−3−ジオキシノン−4−オン(Fluka;使用前に蒸留)および式(8)の化合物から得られる。ジイソプロピルアミン3.85gをTHF 100mLに−78℃で加える。次に、n−ブチルリチウム(1.6M n−ヘキサン溶液)64.1mLを30分以内に滴下する。次に、2,2,6−トリメチル−3−ジオキシノン−4−オン4.49gのTHF 100mL中溶液を10から15分以内に−78℃で滴下し、混合物を1.5時間撹拌する。次に、式(8)の化合物7.54gをTHF 100mLに溶かし、−78℃で滴下する。撹拌した反応混合物を終夜にて昇温させて室温とする。飽和NHCl溶液10mLを加えることで反応停止する。反応混合物をHO 500mLおよび酢酸エチル250mLで抽出し、水相を再度酢酸エチルで2回抽出する(各回250mL)。水相を最後に廃棄する。合わせた有機相を飽和NaHCO溶液750mL、最後に飽和NaCl溶液500mLで抽出する。溶媒をロータリーエバポレータで除去し、粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(最初にn−ヘキサンおよび酢酸エチル1:1、最後にメタノール)によって精製して、黄色の高粘稠油状物(3.32g)を得る。
【0171】
H−NMR(CDCl、300MHz):5.32;3.30;2.51−2.45(t);1.71;1.65−1.55(q);1.33−1.25;0.92−0.87(t)。
【0172】
実施例5.3−式(10)の化合物の合成
【化28】

【0173】
式(10)の化合物は、熱環化によって式(9)の化合物から得られる。式(5)の化合物3.3gをトルエンに溶かし、2時間加熱還流する。反応完結後、溶媒を蒸発留去し、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル10:1)によって精製して、黄色様の高粘稠油状物(2.5g)を得る。
【0174】
H−NMR(CDCl、300MHz):5.86;5.52;2.36(t);1.54;1.24;0.90−0.85(t);
13C−NMR(CDCl、75MHz):168.85;166.71;102.71;90.38;33.89;32.28;30.05;30.02;29.95;29.73;29.51;27.04;23.05;14.47。
【0175】
実施例5.4−式(11)の化合物A−28のラッカーゼ介在合成
【化29】

【0176】
式(11)の化合物は、市販のピロカテコール(Merck)および式(10)の化合物から得られる。式(10)の化合物665mgを、加熱下に酢酸Na緩衝液50mL(0.025mM;pH4.65)およびジメチルホルムアミド50mLに溶かす。この溶液を、ピロカテコール275mgの上記緩衝液50mL中溶液と混合し、酵素原液300μLを加える。酵素原液は、凍結乾燥酵素(カワラタケ由来のラッカーゼ、Fluka)10mgを上記緩衝液10mLに溶解させることで調製される。その反応混合物を、反応終了がTLCでのピロカテコール消失によって示されるまで数時間高撹拌する。反応混合物を濾過して、式(11)に相当するやや褐色の固体が得られる(267mg)。
【0177】
H−NMR(DMSO、300MHz):7.16;7.07;6.90;5.90;5.18;3.29;2.88;2.72;2.43−2.38(t);1.58−1.46(t);1.23;0.86−0.82(q)。
【0178】
実施例6:化合物A−11、A−19およびA−23の合成
6.1:化合物A−23
【化30】

【0179】
化合物A−11の0.55gを、2.5Mの塩化水素ガスを含んだジエチルエーテル50mL中に室温で溶かす。混合物を30分間撹拌し、次に蒸発乾固させて、A(23)0.58gをやや褐色の非晶質塊として得る。
【0180】
H−NMR(CDOD、300MHz):7.26(s、1H);7.10(s、1H);6.76(s、1H);2.98(t、2H);2.70(t、2H);1.67−1.82(m、4H);1.42−1.52(m、2H)。
【0181】
6.2:化合物A−11
【化31】

【0182】
室温でアルゴン雰囲気下に、化合物アジドA−19の0.98gを脱水メタノール10mLに溶かす。この混合物に、触媒15.5mg(10%Pd/活性炭、Fluka)を加え、得られたスラリーを高撹拌する。アジドが完全に消費されるまで、水素ガスを溶液に吹き込む。次に、混合物を窒素でパージし、セライトで濾過し、蒸発乾固させて、アミンA−11 0.58gをベージュ粉末として得る。
【0183】
H−NMR(CDOD、300MHz):7.36(s、1H);7.07(s、1H);6.64(s、1H);2.92(t、2H);2.70(t、2H);1.66−1.86(m、4H);1.44−1.54(m、2H)。
【0184】
6.3:化合物A−19
【化32】

【0185】
アジド(21)1.96、市販の1,2−ジヒドロキシベンゼン(Fluka)0.88gを、エタノールおよび水の1/1(体積比)混合物に溶かし、開口ビーカー中で高撹拌する。この混合物に、ラッカーゼ溶液(カワラタケ、Fluka、酢酸Na緩衝液(0.025mM;pH4.65)10mL中10mg)1mLを加える。混合物を室温で2日間高撹拌する。次に、生成物を濾過によって回収する。A−19 1.1gが、やや黄色の固体として得られる。
【0186】
H−NMR(CDOD、300MHz):7.34(s、1H);7.08(s、1H);6.56(s、1H);3.31(t、2H);2.67(t、2H);1.79(quin.、2H);1.65(quint.、2H);1.49(quint.、2H)。IR:2100cm−1に強い吸収帯。
【0187】
6.4:中間化合物21
【化33】

【0188】
化合物(22)6.74gを、アルゴン雰囲気下にトルエン180mLに溶かし、120℃として、出発材料が消費されるまで約45分間経過させる。溶媒を減圧下に留去し、得られた残留物をシリカゲルカラム(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル:4/1から0/1)で精製して、化合物(21)を黄色固体として得る。
【0189】
H−NMR(CDOD、300MHz):5.96(broad s、1H);5.57(d、1H);3.27(t、2H);2.507(t、2H);1.69(quin.、2H);1.63(quint.、2H);1.43(quint.、2H)。IR:2100cm−1に強い吸収帯。
【0190】
6.5:中間化合物22
【化34】

【0191】
脱水ジイソプロピルアミン5.50gを脱水THF 150mLにアルゴン雰囲気下で溶かし、冷却して−78℃とする。この混合物に、2.7Mブチルリチウムのヘプタン溶液(Fluka)22mLを5分以内に滴下し、その温度でさらに30分間撹拌する。得られたLDA溶液に、脱水THF 150mLに溶かした2,2,6−トリメチル−4H−1,3−ジオキシン−4−オン(Fluka)6.04gの溶液を1時間以内で滴下する。−78℃で、最後に化合物(23)9.40gをTHF 150mLに溶かした溶液を1時間以内に加える。得られた溶液を撹拌し、約10時間以内に徐々に室温に到達させる。溶媒をエバポレートし、残留物を酢酸エチルに溶かし、次に水およびブラインで抽出する。有機相を硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、エバポレートする。得られた赤色油状物を、シリカゲルカラム(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル:4/1)で精製して、化合物(22)6.74gをやや黄色の油状物として得る。
【0192】
H−NMR(CDOD、300MHz):5.33(s、1H);3.31(s、2H);3.28(t、2H);2.52(t、2H);1.71(s、6H);1.56−1.68(m、4H);1.35−1.44(m、2H)。IR:2100cm−1に強い吸収帯。
【0193】
6.6:中間化合物23
【化35】

【0194】
化合物(24)47.9gを、脱水ジクロロメタン200mLに溶かし、冷却して0℃とする。この混合物に、ベンゾトリアゾール(Fluka)32.5gおよびジイソプロピルアミン(Fluka)31.4mLのジクロロメタン150mL中溶液を5分以内に滴下する。混合物を終夜にわたり撹拌し、その間に室温となる。混合物を水およびブラインの順で抽出する。有機相を硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、エバポレートして油状物を得て、それをシリカゲルカラム(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル:4/1)で精製する。化合物(23)46.3gが油状物質として得られる。
【0195】
H−NMR(CDCl、300MHz):8.27(d、1H);8.09(d、1H);7.64(t、1H);7.49(t、1H);3.44(t、2H);3.32(t、2H);1.96(quint.、2H);1.65−1.76(m、2H);1.55−1.64(m、2H)。
【0196】
6.7:中間体化合物24
【化36】

【0197】
酸(25)43.0gを0℃でトルエン72mLに溶かす。この溶液に、オキサリルクロライド(Fluka)68mLを30分以内で加え、それによって温度を5℃以下に維持する。混合物を終夜撹拌し、それによって室温に達する。溶媒のエバポレートによって、粗酸塩化物(24)69.3gが得られ、それをそれ以上精製せずに用いる。
【0198】
H−NMR(CDCl、300MHz):3.28(t、2H);2.90(t、2H);1.74(quint.、2H);1.61(quint.、2H);1.38−1.50(m、2H)。
【0199】
6.8:中間化合物25
【化37】

【0200】
市販の6−ブロモヘキサン酸50.0gを、アセトニトリル1.6リットルに溶かし、アジ化ナトリウム166gで処理する。得られたスラリーを加熱して90℃として、出発材料が消費されるまで約16時間経過させる。混合物を冷却し、セライトで濾過する。溶媒のエバポレート中、追加の塩塊が沈殿し、その後濾過によって除去する。最後に、残留物を酢酸エチルに取り、再度濾過する。溶媒のエバポレートによって、アジド(25)約40gが得られる。
【0201】
H−NMR(CDCl、300MHz):3.26(t、2H);2.36(t、2H);1.40−1.80(m、6H)。IR:2100cm−1に強い吸収帯。
【0202】
実施例7
7.1:ピロガロールの保護
【化38】

【0203】
オルト酢酸トリエチル92.5gを、キシレン375mL中のピロガロール72.5gに加え、約120℃で加熱する。生成するエタノール(理論的には約66.5mL)を蒸留によって除去したところ、赤色様褐色であるが透明な溶液が得られる。冷却後、溶液を水で洗浄し(3回)、有機相を硫酸ナトリウムで脱水する。キシレンを除去した後、残留物が残り、それを酢酸エチル/ヘキサンから再結晶する。生成物67gが得られる。母液をシリカゲルのカラムで精製して(溶離液:ヘキサン−酢酸エチル/1−1)、生成物21.3gをさらに得る(総収率:88%)。
【0204】
7.2:保護されたピロガロールのグルコシル化
【化39】

【0205】
パーアセチル化α−D−グルコシルブロマイド(これ自体、ペンタ酢酸グルコースおよび48%HBr溶液から製造)5.0gおよび保護されたピロガロール1.2gを、室温でクロロホルム15mLに溶かし、炭酸カリウム4.2gおよび塩化ベンジルトリブチルアンモニウム0.38gを加える。混合物を週末にわたって撹拌する(しかしながら、恐らくはそれより早く終了)。固体を濾別し、有機相をエバポレートによって濃縮する。残留物をシリカゲルで精製する(溶離液:ヘキサン−酢酸エチル/10−3)。固体グルコシド(7.2)2.93g(92%)が得られる(それは所望に応じて再結晶することができる)。
【0206】
7.3:ピロガロール部分の脱保護
【化40】

【0207】
アルゴン下に、糖付加物1086の22.0gを、アセトン110mLおよび脱水塩化メチレン110mLの混合物に溶かし、ヨウ化ナトリウム18.7gを加え(透明溶液を得るため)、三フッ化ホウ素エーテラート6.9mLを0℃から−5℃で加える。アセタールは数分以内に開裂する(5分)。混合物を氷/水に投入し、塩化メチレンで抽出する。硫酸マグネシウムでの脱水および溶媒の除去によって、固体黄色泡状物19.0gが得られる。その泡状物を塩化メチレン200mLに取り、0℃でピリジン18.9mLおよび無水酢酸20.4mLを加え、室温で終夜撹拌を行う。有機相を1N塩酸(2回)、飽和炭酸水素ナトリウム溶液およびブラインの順で抽出する。硫酸マグネシウムで脱水を行い、溶媒を除去する。残留物をメタノールから再結晶する。パーアセチル化化合物(7.3) 12.3gが得られる。
【0208】
7.4:分子全体の脱保護
【化41】

【0209】
室温でアルゴン下に、パーアセチル化化合物(7.3)26.8gを脱水メタノール200mLに導入し、2Mナトリウムメタノレート溶液48mLを加える。溶液は直ちに透明となるが、色はより暗くなる。約15分後、全ての出発材料が反応している。弱酸性イオン交換体アンバーライト(Amberlite)IRC(Fluka)で中和を行い、イオン交換体を濾別し、濾液を濃縮し、水から凍結乾燥する。完全に脱保護された化合物(7.4)が、明褐色固体(12.0g)の形で得られる。
【0210】
7.5:酵素反応によるベンゾフラノン誘導体A−27の形成
【化42】

【0211】
化合物(7.4)0.40gを4−ヒドロキシ−メチル−ピラノン(Fluka)0.175gとともにリン酸緩衝液(0.2M、pH=5)40mL中に室温で溶かし、ラッカーゼ(カワラタケ(Fluka))20.0mgを加える。さらに溶解度を高めるため、エタノール1mLも加える。出発材料がもはや検出できなくなるまで(約2日間)、混合物を開放容器中で撹拌する。混合物を濃縮し、残留物をメタノールに取り、遠心する。所望の生成物(211mg)が、褐色様〜ベージュ固体の形で得られる。生成物を、エーテル/メタノール混合物からの再沈殿によってさらに精製することができる。
【0212】
DPPHアッセイ
抗酸化活性を調べるため、DPPHアッセイを用いる。DPPH(2,2−ジフェニル−1−ピクリルヒドラジル)は安定なラジカルであり、ラジカルの形で515nmで吸光する。抗酸化剤(AH)によって還元すると、吸収が消失する。
【化43】

【0213】
反応(1)の速度は、異なる抗酸化剤でかなり異なったものとなり得る。ビタミンCおよびEの場合、数分で平衡に達するが、他の抗酸化剤の場合にそれは数時間を要する場合もある。試験では、抗酸化剤およびDPPHのモル濃度の比は多様であり(この比は「EC」=有効濃度と称される)、平衡状態でのDPPHの濃度を各比率について測定する。抗ラジカル活性は、初期DPPH濃度を50%低下させるのに必要な抗酸化剤の量として定義され、いわゆるEC50値を特徴とする。EC50値が小さいほど、抗酸化剤がより効率的である。従って、その逆数1/EC50を用いて抗ラジカル力を定量することができる。
【0214】
下記のDPPHアッセイでは、以下の表に挙げられた抗酸化剤を用いる。
【表1】

【0215】
DPPHおよび抗酸化剤のエタノール中溶液を別個に調製し、一緒に加えて反応を開始する(250μM抗酸化剤溶液0.5cmを100μM DPPH溶液2.5cmに加える)。パーキン・エルマーのラムダ(Lambda)20分光光度計を用いて吸収を測定する。
【0216】
調べたEC50値および逆数である1/EC50値を下記の表に示す。
【表2】

【0217】
本発明に係る化合物番号A−1、A−2およびA−23は、式(101)および(102)の最先端の抗酸化剤と比較して、EC50値および1/EC50値で測定した抗酸化剤/ラジカル力が有意に高い。同様の結果が、化合物A−3からA−18、A−20からA−24、A−27からA−28、B−1からB−4で得られている。
【0218】
実施例6:ローションの形態での本発明に係る組成物(水/油乳液)
【表3】

【0219】
同等の製剤が、化合物番号A−1に代えて同じ量の化合物A−2、A−3、A−4、A−5、A−6、A−7、A−8、A−9、A−10、A−11、A−12、A−13、A−14、A−15、A−16、A−17、A−18、A−20、A−21、A−22、A−23、A−24、A−26、A−27、A−28、B−1、B−2、B−3またはB−4を用いて得られる。
【0220】
以上、本発明の好ましい実施形態に適用される本発明の特徴を示し、説明し、指摘したが、本発明の精神から逸脱しない限りにおいて、当業者であれば、例示した機器の形態および詳細、そしてその動作における各種の削除および置き換えを行うことが可能であることは明らかであろう。例えば、実質的に同じ形態で実質的に同じ機能を行って同じ結果を与える要素および/または方法段階のあらゆる組み合わせが、本発明の範囲に含まれることは明瞭に意図されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)UV光への曝露および/またはラジカルの有害作用によって分解を受ける有機材料、ならびに(b)安定化に有効な量の一般式(I)の化合物を含む安定化された組成物。
【化1】

〔式中、
Xは、O、NHまたはNR15であり;
、R、RおよびRは互いに独立に、H、ハロゲン、ヒドロキシ、C−C24アルキル、少なくとも1個のEによって置換されているかおよび/または少なくとも1個のDによって中断されているC−C24アルキル、C−C24パーフルオロアルキル、C−C14パーフルオロアリール、C−C12シクロアルキル;Gによって置換されているかおよび/または−S−、−O−もしくは−NR15−によって中断されているC−C12シクロアルキル;−NR1516;C−C24アルキルチオ;−PR1718;C−C12シクロアルコキシ;Gによって置換されているC−C12シクロアルコキシ;C−C24アリール;G、C−C24アルキル、C−C12シクロアルキル、C−C25アラルキル、C−C14パーフルオロアリールまたはC−C24パーフルオロアルキルなどのC−C24ハロアルキルによって置換されているC−C24アリール;C−C20ヘテロアリール;G、C−C24アルキル、C−C12シクロアルキル、C−C25アラルキル、C−C14パーフルオロアリールまたはC−C24パーフルオロアルキルなどのC−C24ハロアルキルによって置換されているC−C20ヘテロアリール;C−C24アルケニル;C−C24アルキニル;C−C24アルコキシ;少なくとも1個のEによって置換されているかおよび/または少なくとも1個のDによって中断されているC−C24アルコキシ;C−C25アラルキル;Gによって置換されているC−C25アラルキル;Gによって置換されているC−C25アラルコキシ、C−C25アラルコキシ;または−OCO−R19もしくは−CO−R19であり、あるいは
およびRが一体となって、下記の基:
【化2】

となっており、
、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13およびR14は互いに独立に、H、ハロゲン、ヒドロキシ、C−C24アルキル、少なくとも1個のEによって置換されているかおよび/または少なくとも1個のDによって中断されているC−C24アルキル、C−C24パーフルオロアルキル、C−C14パーフルオロアリール、特にペンタフルオロフェニル、C−C12シクロアルキル、少なくとも1個のGによって置換されているかおよび/または少なくとも1個のS−、−O−もしくは−NR15−によって中断されているC−C12シクロアルキル、C−C12シクロアルコキシ、Gによって置換されているC−C12シクロアルコキシ、C−C24アリール、少なくとも1個のGによって置換されているC−C24アリール、C−C20ヘテロアリール、少なくとも1個のGによって置換されているC−C20ヘテロアリール、C−C24アルケニル、C−C24アルキニル、C−C24アルコキシ、少なくとも1個のEによって置換されているかおよび/または少なくとも1個のDによって中断されているC−C24アルコキシ、C−C25アラルキル、少なくとも1個のGによって置換されているC−C25アラルキル、C−C25アラルコキシ、少なくとも1個のGによって置換されているC−C25アラルコキシ、または−CO−R19であり;
Dは、−CO−;−COO−;−S−;−SO−;−SO−;−O−;−NR15−;−POR17−;−CR20=CR21−;または−C≡C−であり;
Eは、−OR22;−SR22;−NR1516;−[NR151624;−COR19;−COOR23;−CONR1516;−CN;−N;−OCOOR23;またはハロゲンであり;
Gは、EまたはC−C24アルキルであり、
20、R21、R15、R16およびR24は互いに独立に、H;C−C18アリール;C−C24アルキルおよび/またはC−C24アルコキシによって置換されているC−C18アリール;C−C24アルキル;または少なくとも1個の−O−によって中断されているC−C24アルキルであり;あるいは
15およびR16が一体となって、5員環もしくは6員環、特には
【化3】

を形成しており;
Zは、アニオン、特にハロゲン、好ましくはClなどの化粧品的に許容されるアニオンの均等物であり;
19は、H;C−C18アリール;C−C24アルキル、ヒドロキシおよび/またはC−C24アルコキシによって置換されているC−C18アリール;C−C18アリールオキシ;C−C24アルキル、ヒドロキシおよび/またはC−C24アルコキシによって置換されているC−C18アリールオキシ;C−C24アルキル;または少なくとも1個の−O−によって中断されているC−C24アルキル;C−C24アルコキシ;または少なくとも1個の−O−によって中断されているC−C24アルコキシであり;
22およびR23は互いに独立に、H;C−C18アリール;C−C24アルキルまたはC−C24アルコキシによって置換されているC−C18アリール;C−C24アルキル;または少なくとも1個の−O−によって中断されているC−C24アルキルであり;
17およびR18は互いに独立に、C−C24アルキル、C−C18アリール、またはC−C24アルキルによって置換されているC−C18アリールであり;
および/またはRはさらに、直接またはフェノール性酸素を介してフェノール環系にα結合またはβ結合した単糖、二糖またはオリゴ糖残基であることができる。〕
【請求項2】
(a)UV光への曝露および/またはラジカルの有害作用によって分解を受ける有機材料、ならびに(b)安定化に有効な量の一般式(I)の化合物を含む、請求項1に記載の安定化された組成物。
【化4】

〔式中、
Xは、O、NHまたはNR15であり;
、R、RおよびRは互いに独立に、H、ハロゲン、特にフッ素、ヒドロキシ、C−C24アルキル、少なくとも1個のEによって置換されているおよび/または少なくとも1個のDによって中断されているC−C24アルキル、C−C24パーフルオロアルキル、C−C14パーフルオロアリール、特にペンタフルオロフェニル、C−C12シクロアルキル、Gによって置換されているかおよび/またはS−、−O−もしくは−NR15−によって中断されているC−C12シクロアルキル、−NR1516、C−C24アルキルチオ、−PR1718、C−C12シクロアルコキシ、Gによって置換されているC−C12シクロアルコキシ、C−C24アリール、Gによって置換されているC−C24アリール、C−C24アルキル、C−C12シクロアルキル、C−C25アラルキル、C−C24パーフルオロアルキル、C−C14パーフルオロアリール、特にペンタフルオロフェニルまたはC−C24ハロアルキル;C−C20ヘテロアリール、G、フッ素、C−C24アルキル、C−C12シクロアルキル、C−C25アラルキル、C−C24パーフルオロアルキル、C−C14パーフルオロアリール、特にペンタフルオロフェニルまたはC−C24ハロアルキルによって置換されているC−C20ヘテロアリール;C−C24アルケニル、C−C24アルキニル、C−C24アルコキシ、少なくとも1個のEによって置換されているかおよび/または少なくとも1個のDによって中断されているC−C24アルコキシ、C−C25アラルキル、Gによって置換されているC−C25アラルキル、C−C25アラルコキシ、Gによって置換されているC−C25アラルコキシ、または−CO−R19であり、あるいは
およびRが下記の基:
【化5】

であり;
、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13およびR14は互いに独立に、H、ハロゲン、ヒドロキシ、C−C24アルキル、少なくとも1個のEによって置換されているかおよび/または少なくとも1個のDによって中断されているC−C24アルキル、C−C24パーフルオロアルキル、C−C14パーフルオロアリール、特にペンタフルオロフェニル、C−C12シクロアルキル、少なくとも1個のGによって置換されているかおよび/または少なくとも1個のS−、−O−または−NR15−によって中断されているC−C12シクロアルキル、C−C12シクロアルコキシ、Gによって置換されているC−C12シクロアルコキシ、C−C24アリール、少なくとも1個のGによって置換されているC−C24アリール、C−C20ヘテロアリール、少なくとも1個のGによって置換されているC−C20ヘテロアリール、C−C24アルケニル、C−C24アルキニル、C−C24アルコキシ、少なくとも1個のEによって置換されているかおよび/または少なくとも1個のDによって中断されているC−C24アルコキシ、C−C25アラルキル、少なくとも1個のGによって置換されているC−C25アラルキル、C−C25アラルコキシ、少なくとも1個のGによって置換されているC−C25アラルコキシ、または少なくとも−CO−R19であり、
Dは、−CO−;−COO−;−S−;−SO−;−SO−;−O−;−NR25−;−POR17−;−CR20=CR21−;または−C≡C−であり;
Eは、−OR22;−SR22;−NR1516;−[NR151624;−COR19;−COOR23;−CONR1516;−CN;−N;−OCOOR23;またはハロゲンであり;
Gは、EまたはC−C24アルキルであり、
20、R21、R15、R16およびR24は互いに独立に、H;C−C18アリール;C−C24アルキルまたはC−C24アルコキシによって置換されているC−C18アリール;C−C24アルキル;または少なくとも1個の−O−によって中断されているC−C24アルキルであり;あるいは
15およびR16が一体となって、5員環もしくは6員環、特には
【化6】

を形成しており;
Zは、ハロゲン、好ましくはClであり;
19およびR23は互いに独立に、H;C−C18アリール;C−C24アルキルまたはC−C24アルコキシによって置換されているC−C18アリール;C−C24アルキル;または少なくとも1個の−O−によって中断されているC−C24アルキルであり;
22は、H;C−C18アリール;C−C24アルキルまたはC−C24アルコキシによって置換されているC−C18アリール;C−C24アルキル;または少なくとも1個の−O−によって中断されているC−C24アルキルであり;
17およびR18は互いに独立に、C−C24アルキル、C−C18アリール、またはC−C24アルキルによって置換されているC−C18アリールであり;
および/またはRはさらに、直接またはフェノール性酸素を介してフェノール環系にα結合またはβ結合した単糖、二糖またはオリゴ糖残基であることができる。〕
【請求項3】
前記有機材料が、天然もしくは合成の有機ポリマー、化粧品製剤、医薬製剤、食品から選択される請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
成分(b)を前記組成物の総重量基準で0.001から20重量%、特に0.01から2.0重量%の量で含む請求項1または2に記載の組成物。
【請求項5】
好ましくはベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、シアノアクリル酸誘導体、ヒドロキシアリール−s−トリアジン類、アントラニレート類、ジベンゾイルメタン類、ベンジリデン−ジオキソイミダゾリン類、ベンジリデンマロネート類、二酸化チタンおよび酸化亜鉛などの無機酸化物、サリチル酸エステル類、桂皮酸誘導体、パラ−アミノ安息香酸誘導体、カンファー誘導体、フェニルベンズイミダゾール類、ジフェニルアクリレート類、有機ニッケル化合物およびオキソアニリド類から選択されるUV吸収剤;好ましくはp−ヒドロキシ安息香酸およびその誘導体、サリチル酸エステル類、クマリン誘導体、フラボン類、ベンジリデンマロネート類、ヒドロキシフェニルプロパン酸誘導体、尿酸もしくはタンニン酸およびその誘導体、ヒドロキノンおよびベンゾフェノン類から選択される抗酸化剤;立体障害アミン類からなる群から選択される、安定化に有効な量の別の成分をさらに含む請求項1または2に記載の組成物。
【請求項6】
前記式(I)の化合物において、
Xが、O、NHまたはNR15であり;
が、C−C24アルキル、C−C24アルケニル、C−C24アルコキシ、またはEによって置換されている前記アルキル、アルケニルもしくはアルコキシであり;
がHであり;
が、H;ヒドロキシ;C−C24アルキル;少なくとも1個のEによって置換されているかおよび/または少なくとも1個のDによって中断されているC−C24アルキル;C−C12シクロアルキル;Gによって置換されているかおよび/または−O−もしくは−NR15−によって中断されているC−C12シクロアルキル;−NR1516;C−C12シクロアルコキシ;Gによって置換されているC−C12シクロアルコキシ;置換されていないかまたはGによって置換されているフェニル;C−C24アルケニル;C−C24アルコキシ;少なくとも1個のEによって置換されているかおよび/または少なくとも1個のDによって中断されているC−C24アルコキシ;C−C25フェニルアルキル;Gによって置換されているC−C25フェニルアルキル;C−C25フェニルアルコキシ;Gによって置換されているC−C25フェニルアルコキシ;または−OCO−R19もしくは−CO−R19であり;
が、H;ヒドロキシ;置換されていないか、または少なくとも1個のEによって置換されているかおよび/または少なくとも1個のDによって中断されているC−C24アルキル;C−C12シクロアルコキシ;Gによって置換されているC−C12シクロアルコキシ;C−C24アルコキシ;少なくとも1個のEによって置換されているかおよび/または少なくとも1個のDによって中断されているC−C24アルコキシ;または−OCO−R19もしくは−CO−R19であり;
および/またはRがさらに、フェノール環系にα結合またはβ結合した単糖、二糖またはオリゴ糖残基であることができ、前記残基がヘキソースまたはペントースサブユニットからなり、少なくとも1個のヘキソースまたはペントースサブユニットがグルコース、リボース、ガラクトース、マンノース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、ラクトースおよびN−アセチルラクトサミンからなる群から選択され;
Dが、−CO−、−COO−または−O−であり;
GおよびEが互いに独立に、−OR22;−NR1516;−[NR151624;−COR19;−COOR23;−CN;−N;−OCOOR23;またはハロゲンであり;あるいは、GがC−C12アルキルであり;
15およびR16およびR24が互いに独立に、H;フェニル;C−C24アルキルによって置換されているフェニル;またはC−C24アルコキシ;C−C24アルキル;または−O−によって中断されているC−C24アルキルであり;
19が、H;フェニル;C−C24アルキル、ヒドロキシおよび/またはC−C24アルコキシによって置換されているフェニル;C−C24アルキル;または−O−によって中断されているC−C24アルキル;フェノキシ;C−C24アルキル、ヒドロキシおよび/またはC−C24アルコキシによって置換されているフェノキシ;C−C24アルコキシ;または−O−によって中断されているC−C24アルコキシであり;
22およびR23が互いに独立に、H;フェニル;C−C24アルキルによって置換されているフェニル;C−C24アルキル;または−O−によって中断されているC−C24アルキルである
請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記式(I)の化合物において、
Xが、O、NHまたはNR15であり;
が、C−C24アルキル、C−C24アルケニル、または−NR1516もしくは−Nもしくは−[NR151624によって置換されている前記アルキルまたはアルケニルであり;
がHであり;
およびRが独立に、H;ヒドロキシ;C−C12アルキル;C−C12アルケニル;C−C12アルコキシ;または−OCO−R19もしくは−CO−R19であり;あるいは、フェノール系環系にαまたはβ結合した単糖または二糖残基であり、前記残基がグルコース、リボース、ガラクトース、マンノース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、ラクトースおよびN−アセチルラクトサミンからなる群から選択されるヘキソースまたはペントースサブユニットからなり;
15、R16およびR24が互いに独立に、HまたはC−Cアルキルであり;
が、ハロゲン化物、特にクロライドである
請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記成分(b)の化合物が、下記からなる群から選択される請求項1または2に記載の組成物。
【化7】




【請求項9】
一般式(I)の化合物を含むメーキャップ用化粧品組成物であり、前記化粧品組成物が好ましくはファンデーション、固形パウダー、フェースパウダー、リップスティック、アイシャドー、アイブローペンシル、アイライナー、マスカラ、無水もしくは水和乳濁液およびペーストの形態であり、前記化粧品組成物がさらにオイル、ロウ、界面活性剤、シリコーン類、パーフルオライド類、合成有機UV吸収剤、芳香剤またはINCIに挙げられた他の材料などの化粧品に許容される成分を含む請求項1または2に記載の組成物。
【請求項10】
一般式(I)の化合物を含む皮膚用製品、医薬品または食品である請求項1または2に記載の組成物。
【請求項11】
化粧品組成物もしくは皮膚用組成物の光安定性を高めるための、好ましくは該組成物またはヒトもしくは動物の皮膚および/もしくは毛髪のUV保護用のサンスクリーン製剤に含まれる酸化感受性および/またはUV感受性の有効成分を安定化させるための、請求項1に記載の一般式(I)の化合物の使用。
【請求項12】
化粧品にまたは製薬上許容される担体、ならびに好ましくは桂皮酸誘導体およびジベンゾイルメタン誘導体から、好ましくはp−メトキシ桂皮酸イソペンチル、4−メトキシ桂皮酸2−エチルヘキシルおよびメトキシ桂皮酸エチルヘキシルから選択される別の有機UV吸収剤と組み合わせた請求項11に記載の使用。
【請求項13】
下記化合物:
7,8−ジヒドロキシ−3,6−ジメチル−1H−ピラノ[4,3−b]ベンゾフラン−1−オン;
7,8−ジヒドロキシ−6−メトキシ−3−メチル−1H−ピラノ[4,3−b]ベンゾフラン−1−オン;
7,8−ジヒドロキシ−3−メチル−1H−ピラノ[4,3−b]ベンゾフラン−1−オン;
7,8−ジヒドロキシ−3−メチル−1−オキソ−1H−ピラノ[4,3−b]ベンゾフラン−9−カルボン酸メチルエステル;
9−フルオロ−7,8−ジヒドロキシ−3−メチル−1H−ピラノ[4,3−b]ベンゾフラン−1−オン;
6−フルオロ−7,8−ジヒドロキシ−3−メチル−1H−ピラノ[4,3−b]ベンゾフラン−1−オン;
およびRが下記の基:
【化8】

であり、RおよびRのそれぞれがH、メチル、メトキシから選択される式(I)の化合物;ならびに
下記式の化合物:
【化9】

を除く、請求項1に記載の一般式(I)の化合物。
【請求項14】
一般式(I)の請求項13に記載の化合物。
【化10】

〔式中、
Xは、O、NHまたはNR15であり;
、R、RおよびRは互いに独立に、H、ハロゲン、特にフッ素、ヒドロキシ、C−C24アルキル、少なくとも1個のEによって置換されているかおよび/または少なくとも1個のDによって中断されているC−C24アルキル、C−C24パーフルオロアルキル、C−C14パーフルオロアリール、特にペンタフルオロフェニル、C−C12シクロアルキル、Gによって置換されているかおよび/または−S−、−O−もしくは−NR15−によって中断されているC−C12シクロアルキル、−NR1516、C−C24アルキルチオ、−PR1718、C−C12シクロアルコキシ、Gによって置換されているC−C12シクロアルコキシ、C−C24アリール、Gによって置換されているC−C24アリール、C−C24アルキル、C−C12シクロアルキル、C−C25アラルキル、C−C24パーフルオロアルキル、C−C14パーフルオロアリール、特にペンタフルオロフェニルまたはC−C24ハロアルキル;C−C20ヘテロアリール、G、フッ素、C−C24アルキル、C−C12シクロアルキル、C−C25アラルキル、C−C24パーフルオロアルキル、C−C14パーフルオロアリール、特にペンタフルオロフェニルまたはC−C24ハロアルキルによって置換されているC−C20ヘテロアリール;C−C24アルケニル、C−C24アルキニル、C−C24アルコキシ、少なくとも1個のEによって置換されているかおよび/または少なくとも1個のDによって中断されているC−C24アルコキシ、C−C25アラルキル、Gによって置換されているC−C25アラルキル、C−C25アラルコキシ、Gによって置換されているC−C25アラルコキシ、または−CO−R19であり、あるいは
およびRが、下記の基:
【化11】

であり;
、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13およびR14は互いに独立に、H、ハロゲン、ヒドロキシ、C−C24アルキル、少なくとも1個のEによって置換されているかおよび/または少なくとも1個のDによって中断されているC−C24アルキル、C−C24パーフルオロアルキル、C−C14パーフルオロアリール、特にペンタフルオロフェニル、C−C12シクロアルキル、少なくとも1個のGによって置換されているかおよび/または少なくとも1個のS−、−O−もしくは−NR15−によって中断されているC−C12シクロアルキル、C−C12シクロアルコキシ、Gによって置換されているC−C12シクロアルコキシ、C−C24アリール、少なくとも1個のGによって置換されているC−C24アリール、C−C20ヘテロアリール、少なくとも1個のGによって置換されているC−C20ヘテロアリール、C−C24アルケニル、C−C24アルキニル、C−C24アルコキシ、少なくとも1個のEによって置換されているかおよび/または少なくとも1個のDによって中断されているC−C24アルコキシ、C−C25アラルキル、少なくとも1個のGによって置換されているC−C25アラルキル、C−C25アラルコキシ、少なくとも1個のGによって置換されているC−C25アラルコキシ、または少なくとも−CO−R19であり;
Dは、−CO−;−COO−;−S−;−SO−;−SO−;−O−;−NR15−;−POR17−;−CR20=CR21−;または−C≡C−であり;
Eは、−OR22;−SR22;−NR1516;−[NR151624;−COR19;−COOR23;−CONR1516;−CN;−N;−OCOOR23;またはハロゲンであり;
Gは、EまたはC−C24アルキルであり;
20、R21、R15、R16およびR24は互いに独立に、H;C−C18アリール;C−C24アルキルまたはC−C24アルコキシによって置換されているC−C18アリール;C−C24アルキル;または少なくとも1個の−O−によって中断されているC−C24アルキルであり;あるいは
15およびR16が一体となって、5員環もしくは6員環、特には
【化12】

を形成しており;
Zは、ハロゲン、好ましくはClであり;
19およびR23は互いに独立に、H;C−C18アリール;C−C24アルキルまたはC−C24アルコキシによって置換されているC−C18アリール;C−C24アルキル;または少なくとも1個の−O−によって中断されているC−C24アルキルであり;
22は、H;C−C18アリール;C−C24アルキルまたはC−C24アルコキシによって置換されているC−C18アリール;C−C24アルキル;または少なくとも1個の−O−によって中断されているC−C24アルキルであり;
17およびR18は互いに独立に、C−C24アルキル、C−C18アリール、またはC−C24アルキルによって置換されているC−C18アリールであり;
および/またはRはさらに、直接またはフェノール性酸素を介してフェノール環系にα結合またはβ結合した単糖、二糖またはオリゴ糖残基であることができ;
ただし、下記化合物:
7,8−ジヒドロキシ−3,6−ジメチル−1H−ピラノ[4,3−b]ベンゾフラン−1−オン;
7,8−ジヒドロキシ−6−メトキシ−3−メチル−1H−ピラノ[4,3−b]ベンゾフラン−1−オン;
7,8−ジヒドロキシ−3−メチル−1H−ピラノ[4,3−b]ベンゾフラン−1−オン;
7,8−ジヒドロキシ−3−メチル−1−オキソ−1H−ピラノ[4,3−b]ベンゾフラン−9−カルボン酸メチルエステル;
9−フルオロ−7,8−ジヒドロキシ−3−メチル−1H−ピラノ[4,3−b]ベンゾフラン−1−オン;
6−フルオロ−7,8−ジヒドロキシ−3−メチル−1H−ピラノ[4,3−b]ベンゾフラン−1−オン;
およびRが下記の基:
【化13】

であり、RおよびRのそれぞれがH、メチル、メトキシから選択される式(I)の化合物;ならびに
下記式の化合物:
【化14】

は除外される。〕
【請求項15】
がHであり、
、RおよびR全体での炭素原子の合計が、少なくとも4、特に5以上である
請求項13または14に記載の一般式(I)の化合物。
【請求項16】
一般式(I−a)の化合物を一般式(I−b)の化合物と反応させる段階を有し;
好ましくは前記反応段階が、(I−a)の(I−b)によるラッカーゼ触媒またはチロシナーゼ触媒変換である、請求項13または14に記載の一般式(I)の化合物の製造方法。
【化15】


【公表番号】特表2010−520933(P2010−520933A)
【公表日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−552179(P2009−552179)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【国際出願番号】PCT/EP2008/052463
【国際公開番号】WO2008/110465
【国際公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】