説明

クロック信号のデューティサイクルを補正するための補正装置

【課題】クロック信号のデューティサイクル補正を行うために、確実かつ簡便に実現される技術を提供する。
【解決手段】クロック信号(CLK)から第1グループおよび第2グループのn個の遅延された各バージョンをそれぞれ生成するために各遅延デバイス(DA、DB)を設ける。第1グループの各バージョンでは前側エッジが後側エッジに対して時間増分τだけずつ段階的に遅延し、第2グループの各バージョンでは後側エッジが前側エッジに対して時間増分τだけずつ段階的に遅延する。第1グループの信号が消失する点での遅延増分値の順序数xを確定する。第2グループの各信号が発振が消失する点での遅延増分値の順序数yを確定する。遅延補正デバイス(DC)を、x>yまたはx<yである場合にクロック信号のパルスの前側エッジまたは後側エッジを(V=τ×|x−y|/2)だけ遅延して補正クロック信号CLK’を得るために制御可能に設ける。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、デューティサイクルと名目値1/2との偏差に関して、周期パルスを含んだクロック信号を補正するための補正装置に関するものである。本発明は、DRAMメモリチップにおけるシステムクロック信号のデューティサイクル補正に適用され、この適用範囲は重要であるが、その適用範囲に限定されるものではない。
【0002】
電子システム類をクロックするためのクロック信号、特にデジタルデータを処理、送信または格納するためのクロック信号は、通常、所定の2つの電位レベル(通常(「high」の)「H」と(「low」の)「L」で示される)間で絶え間なく変化することによって生じる、周期的に連続した各パルスからなる。それに応じて、LレベルからHレベルへの移行時は、クロック信号の「立ち上がりエッジ」と呼ばれ、これとは逆の(つまり、HレベルからLレベルへの)移行時はクロック信号の「立ち下がりエッジ」と呼ばれている。「各パルス」を、所望されているように、Hレベルの時間(H時間間隔TH)またはLレベルの時間(L時間間隔TL)であると、みなすことができる。以下で定義するための基礎となる第1の観点では、立ち上がりエッジをパルスの前側エッジであるとし、立ち下がりエッジをパルスの後側エッジであるとする。
【0003】
クロックする電子回路では、クロック信号のH時間間隔とL時間間隔とを確実に認識し、これらを区別する必要がある。したがって、各レベルを検出できるように、これら2つの時間間隔が十分な長さを有することが望ましい。これら2つの時間間隔が同じ長さ、つまり、クロック信号の周期TCのちょうど半分である場合が理想的である。つまり、パルス幅THと周期TCとの比として規定された「デューティサイクル」は、1/2であることが望ましい。
【0004】
このようなデューティサイクルを1/2とするという要求は、特にクロック周波数fC(=1/TC)が高い場合に満たす必要がある。なぜなら、クロック周波数fCが高い場合では、デューティサイクルと名目値1/2との偏差が小さいときでも、上記偏差によりH時間間隔またはL時間間隔が短くなりすぎ、これにより、これらの時間間隔がもはや確実に認識されなくなってしまうからである。
【0005】
1/2との偏差が大きい「質の悪い」デューティサイクルTH/TCを有しているシステムクロックが、クロック制御回路に供給されて、上記回路内部でさらに悪化し、これにより、上記回路において、その内部と外部との同期が致命的に悪化してしまうことがしばしば生じる。そのようなとき、立ち下がっているクロックエッジのデータアイの位置は、次に、立ち上がっているクロックエッジのデータアイに対して変位されている。
【0006】
上記の理由から、デューティサイクル補正は必要不可欠であるといえる。このことが、各電子回路における多くの規格仕様が、速いデータ転送速度で動作している回路のために自動デューティサイクル補正(通常、略してDCC)を要求している理由である。このことは、例えば、データ転送速度が書き込み読み出しクロックの周波数の2倍、4倍、または、8倍である、DDR動作、DDR2動作、または、DDR3動作のDRAMメモリチップにも当てはまる。
【0007】
これまでに、DCCは、位相同期ループ(PLL)を用いて実現されてきた。この実現のコンセプトでは、電圧制御発振器は、入力されてくるクロック信号の周波数に対し較正される。この発振器は、1/2とほぼ完全なデューティサイクルを有している。質の悪いデューティサイクルを有するシステムクロックは、この発振器から得られたクロック信号によって置き換えられる。しかし、1つの問題は、上記発振器の周波数をシステムクロックの周波数に正確に同調させることが難しいという点にある。
【0008】
DCCを実現できる他の公知のコンセプトは、遅延同期ループ(DLL)を含んだ回路の使用である。この回路では、クロック信号、および、その反転した形状の反転クロック信号が用いられる。DLLによって、これら2つの各信号は、立ち上がっている(または立ち下がっている)エッジが時間的に一致するようになるように、互いに変位される。デューティサイクルが1/2ではない場合に、他のエッジは同時には生じない。混合回路によって、これらの異なる時間は平均化される。混合回路およびDLLの形状および設計は、非常に複雑である。これらが複雑であることにより、この種のデューティサイクル補正もまた、エラーによる悪影響を非常に受けやすい。
【0009】
本発明の目的は、クロック信号のデューティサイクル補正を行うために、確実かつ簡便に実現される技術を提供することである。この目的を、本発明では、請求項1の特徴を有するクロック信号の補正装置によって解決する。
【0010】
それゆえに、デューティサイクルと名目値1/2との偏差に関して、各周期パルスを含んだクロック信号(CLK)を補正するための本発明のクロック信号の補正装置は、以下の各手段を特徴としている。
【0011】
上記各手段とは、上記クロック信号から、前側エッジが後側エッジに対して1タイムユニットτだけずつ段階的に増分した遅延を有するn個の各前側エッジバージョンの各信号をそれぞれ導き出すために、n個の各遅延段からなる前側エッジ用のチェーン回路を含んだ前側エッジ遅延手段、
上記クロック信号から、後側エッジが前側エッジに対して上記タイムユニットτだけずつ段階的に増分した遅延を有するn個の各後側エッジバージョンの各信号をそれぞれ導き出すために、n個の各遅延段からなる後側エッジ用のチェーン回路を含んだ後側エッジ遅延手段、
上記前側エッジ遅延手段によって導き出された各信号の発振をモニターし、上記各信号において発振が消失した点での遅延増分値の順序数xを確定する前側エッジテスト手段、
上記後側エッジ遅延手段から導き出された各信号の発振をモニターし、上記各信号の発振が消失する点での遅延増分値の順序数yを確定する後側エッジテスト手段、および、
x>yの場合、上記クロック信号の各周期パルスの前側エッジを、測度
V=τ×|x−y|/2だけずつ遅延されるように、
x<yである場合、上記クロック信号の各周期パルスの後側エッジを、上記測度Vだけずつ遅延されるように、上記クロック信号を制御可能な遅延補正手段である。
【0012】
本発明のクロック信号の補正装置は、基本的に、時間に関する2つの各測定に基づいて機能している。一方の測定により、「パルス幅」、つまり周期パルスの前側エッジから後側エッジまでの時間間隔の持続期間が測定される。他方の測定により、クロック信号の周期パルス間の時間間隔の持続時間、つまり、クロック信号の周期パルスの後側エッジからそれに続くクロック信号の周期パルスの前側エッジまでの「パルス間隔」が測定される。
【0013】
これら2つの各測定を、それぞれ、遅延チェーン回路を用いてタイムユニットτの数をテストすることによって行う。上記タイムユニットτの数は、上記クロック信号において、測定される上記時間間隔の始めを示すエッジを、遅延させて、上記エッジがすぐ次のエッジと一致し、したがって信号の発振が消失するまでに必要な数である。
【0014】
デューティサイクルを所望の名目値に補正するために、これら2つの各測定の結果として得られた2つの各数から、クロック信号のどのエッジ(クロック信号の各周期パルスの、前側エッジまたは後側エッジ)をいくつのタイムユニットτだけ遅延する必要があるのかを、容易に確定することができる。
【0015】
この原理にしたがって動作している本発明の装置には、正確に同調可能な発振器は必要ではない。時間測定の任意の精細さを得るために、これらの時間測定を、遅延チェーン回路によって段階的なエッジの遅延を用いて行うので、この測定のための時間基準(つまりタイムユニットτ)は、何らかの周波数によって決定されるのではなく、ほぼ任意の短かさに調整されうる遅延時間である。
【0016】
段階的にエッジが遅延する信号における発振の存在または消失を、比較的簡単に検出することができる。上記時間測定の結果と、上記結果から確定された、補正するエッジ遅延の測度との両方は、同様に、遅延チェーン回路における段遅延によってあらかじめ決定された同じタイムユニットτの倍数として現れる。この段遅延がどの段においても(つまりは遅延補正手段の段においても)同じであることにより、常に]−τ、+τ[の範囲内で補正を正確に行えることを、簡便に保証することができる。
【0017】
本発明のクロック信号の補正装置を、そこで用いられるクロック信号のデューティサイクルを補正するために、任意のクロック制御された装置に接続して用いてもよい。上記クロック信号の補正装置は、外部の回路ユニットのような装置のクロックの入力部の上流に直接接続することができる。または、上記の装置の内部素子または集積素子であってもよい。クロック制御された装置が集積メモリチップ(例えば、DRAMチップ)である場合、チップにも集積されたクロック信号の補正装置を、チップの初期化段階の間にアクティブ化できる。
【0018】
これにより、外部の入力を受けたクロック信号をテストし、数xおよび数yを確定し、そうすることによってデューティサイクルを1/2にするために遅延補正手段が調整される。この調整を、初期化が新たに行われるまでの後に続く有効な動作の間、維持することができる。この初期化を、チップが動作を開始する度に自動的に行うことができる。また、必要に応じて、自動的に規則的な間隔をあけるか、または、外部から入力されたクロック信号のデューティサイクルに変化が生じたように環境条件が変わるときは常に、この初期化を有効な動作の間、繰り返すことができる。
【0019】
本発明の有効な実施形態の特徴を、各従属請求項に示す。以下では、本発明の模式的な実施形態を各図面に基づいて詳述する。図1は、本発明のデューティサイクル補正装置の可能な一形態を示すブロック図である。図2は、図1の装置に生じた各信号の時間による変化を示す図である。図3は、図1に対し変形させた、本発明のデューティサイクル補正装置の第2形態を示すブロック図である。図4は、本発明のデューティサイクル補正装置の第3形態を示すブロック図である。図5は、エッジ遅延のための遅延段の有効な一形態における、基本的な構造を示すブロック図、および、上記遅延段にて生成された各信号を示すタイミングチャートである。図6は、発振テストデバイスの模式的な一実施形態を示すブロック図である。
【0020】
これらの各図では、同じまたは類似の構成要素(回路部分および信号)には、同じ文字の組み合わせによって示している。これら組み合わせには、上記構成要素を識別するための数値または一般数字が付記されている。ここで、数「i」は、任意の数の代表である。2つの数の間のコロンは、「〜」を意味している。例えば、「A1:n」の記載は、「A1〜An」と読まれるべきものである。以下の説明では、引用符付きの数「0」および「1」を用いて、バイナリー状態(論理値)を示す。
【0021】
図1に示す本発明の補正装置は、補正される元のクロック信号を入力するための入力端子K1と、補正されたクロック信号の入力を受ける出力端子である出力部K2とを有している。この補正装置は、前側エッジ遅延デバイスDAと、後側エッジ遅延デバイスDBと、評価デバイスEV1と、遅延補正デバイスDCとを含んでいる。
【0022】
各遅延デバイスDA、DB、遅延補正デバイスDCのそれぞれは、図示した例では、互いに連続して直列接続された、つまりカスケード接続されたn個の各遅延段からなるチェーン回路を含んでいる。各遅延デバイスDA、DB、遅延補正デバイスDCの各信号入力部は、入力端子K1に入力された、図2に示したように一連のパルスからなる元のクロック信号CLKを受信するために、接続されている。
【0023】
クロック信号の各パルスは、前側エッジで始まる。ここで用いる表現では、前側エッジは、「立ち上がっている」エッジであり、つまり、LレベルからHレベルへの移行時のものである。したがって、パルスの終わりに位置する後側エッジは、HレベルからLレベルへの立ち下がりエッジである。
【0024】
これらのエッジは、有限の峻度を有している(図2では認識できない)。つまり、エッジが生じる「とき」は、通常、エッジがHレベルとLレベルとの中心値を通るときと理解されている。立ち上がりエッジが生じたときからすぐ次の立ち下がりエッジが生じたときまでの持続期間THは、H時間間隔(ここでは「パルス幅」)であり、立ち下がりエッジが生じたときからすぐ次の立ち上がりエッジが生じたときまでの持続期間TLは、L時間間隔(ここでは「パルス間隔」)を形成している。クロック信号の周期TCは、TH+TLであり、デューティサイクルは、商TH/TC=TH/(TH+TL)として規定されている。
【0025】
図1の前側エッジ遅延デバイスDAでは、クロック信号CLKは、段ごとにn段の遅延チェーン回路A1:nを通る。各段では、前段に対し、立ち上がりエッジが立ち下がりエッジに対して増分τだけ遅延する。さらに、このような遅延段に適した回路を、図5と併せて記載する。また、図2の上部に、チェーン回路A1:nでの段階的なエッジ遅延を、個々の段A1:nの出力部の信号を示している波形CLKA1〜CLKAnによって、具体的に示す。遅延した、または、遅延されるエッジを、図2に太線にて示す。
【0026】
遅延チェーン回路A1:nでは、H時間間隔も、段ごとに次第に短くなって、x番目の段Axを通った後のある時点において完全に消える。これにより、信号はLレベルにとどまり、それゆえに、発振がこれ以上見出せなくなる。したがって、数x、つまり、発振が消失する遅延増分値の順序数は、クロック信号CLKにおける「パルス幅」THの相対測度となる。パルス幅の絶対測度はτ×xである。
【0027】
数xを確定するために、テストデバイスPAが設けられている。このテストデバイスPAは、クロック信号CLKに相当する第1の遅延段A1の入力信号CLKA0と、各遅延段A1:nの各出力信号CLKA1:nとを受信する。テストデバイスPAは、これらの各信号のどの信号が規則的に発振しているのかをテストするためのものである。
【0028】
この発振テストは、テストデバイスにおいて非アクティブ状態「0」になるリセット信号RESをセットすることにより、開始される。例えば、読み取られる発振の周期をいくつか含んでいる有限の持続期間の間の信号のパルスエッジを検出し、カウントすることによって、信号に発振があることを読み取ることができる場合が多い。上記の持続期間内において、ある信号でのカウントされたパルスエッジが所定の最少のカウント値に達すると、上記信号を「発振している」と評価できる。
【0029】
さらに、この原理にしたがって動作しているテストデバイスの一例を、図6に基づいて記載する。このテストデバイスにおけるラッチコマンドLCが、テストを終了させ、確定された数xを保持する(「ラッチする」)ことを確保する。テストデバイスPAは、バイナリー(二進)コード化された形式で、好ましくは、パラレル形式にて、ビット数からなるバイナリー数コードで、数xを供給する。
【0030】
図1の補正装置中の後側エッジ遅延デバイスDBを用いて、受信されたクロック信号CLKから、複数の各信号CLKB1:nをそれぞれ導き出す。上記複数の各信号では、クロックパルスの後側エッジが前側エッジに対して増分τだけ段階的に次第に遅延する。元のクロック信号の後側エッジが立ち下がりエッジであるにもかかわらず、遅延デバイスDBにおいて、遅延段B1:nのチェーン回路を用いることができる。
【0031】
上記遅延段B1:nは、遅延段A1:n、つまり立ち上がりエッジが立ち下がりエッジに対してτだけ遅延する段と同様に形成されたものである。このことは、チェーン回路B1:nにクロック信号CLKを入力する前において、インバータIN1により上記クロック信号CLKを反転させることによって可能になる。
【0032】
図2の中央部分は、元のクロック信号CLKの変化と、遅延チェーン回路B1:nの第1段B1の入力部における反転したクロック信号CLKB0の波形と、その下に、n段B1:nの各出力部におけるn個の各信号CLK1:nとを示している。ここでも、遅延されるエッジを太線で示す。遅延チェーン回路B1:nでは、反転したクロック信号CLKB0のH時間間隔は、段ごとに次第に短かくなり、ある時点を示すy番目の段Ayを通った後において完全に消失する。これにより、この信号はLレベルにとどまり、それゆえに、発振がこれ以上見出せなくなる。
【0033】
したがって、数y、つまり発振が消失する遅延増分値の順序数は、反転したクロック信号CLKB0のH時間間隔の持続期間の相対測度であり、それゆえに、元のクロック信号CLKのL時間間隔(つまり、クロック信号CLKの「パルス間隔」TL)の持続期間の相対測度である。パルス間隔の絶対測度は、τ×yである。
【0034】
数yを確定するために、テストデバイスPBが設けられている。このテストデバイスPBは、反転したクロック信号CLKB0と遅延段B1:nの各出力信号CLKB1:nとを受信する。これは、これらの各信号のいずれが規則的に発振しているかをテストするためである。テストデバイスPBを、テストデバイスPAと同様に形成することができ、数xが供給される場合と同じバイナリーコード形式で数yを供給することができる。
【0035】
遅延補正デバイスDCを、上記各テストデバイスにおいて確定された数xおよび数yに応じて、以下の通り制御することができる。上記制御は、元のクロック信号CLKの前側エッジまたは後側エッジを選択的に遅延することによって、出力部K2において、補正されたクロック信号CLKを得るためのものである。このクロック信号では、デューティサイクルを名目値1/2に一致させるために、H時間間隔およびL時間間隔が互いに一致している。
【0036】
xがyよりも大きい場合、つまり、元のクロック信号CLKのH時間間隔がL時間間隔TLよりも長い場合、H時間間隔は(この時間間隔を開始した)前側エッジの遅延によって短くなる。yがxよりも大きい場合、つまり、元のクロック信号CLKのL時間間隔がH時間間隔THよりも長い場合、L時間間隔は(この時間間隔を開始した)後側エッジの遅延によって短くなる。
【0037】
評価デバイスEV1において、遅延補正デバイスDCを調整するための情報が導き出される。評価デバイスEV1は、演算コマンドS1によってアクティブ化できる算術演算回路ARを含んでいる。上記算術演算回路において、テストデバイスPAおよびテストデバイスPBにおいて確定された数xおよび数yは組み合される。これは、値z=(x−y)/2というデジタル表現を得るためである。このデジタル表現では、量|(x−y)/2|を複数のビットを含むバイナリー数によって示し、符号をビット符号によって示している。この表現を、ラッチコマンドL1によってラッチ回路LT1に保持する。このビット符号は、所望のデューティサイクル1/2を得るために、クロック信号CLKの前側エッジまたは後側エッジが遅延する必要があるかどうかを指定する。数量|(x−y)/2|は、上記の関連する各エッジが遅延する必要があるタイムユニットτの数を指定する。
【0038】
デューティサイクルを補正するための遅延補正デバイスDCを調整するために、ビット符号およびビット量をビット評価デバイスEV1から上記遅延補正デバイスに供給する。図示した例では、評価デバイスと遅延補正デバイスとの間のビット量の経路に、2−1マルチプレクサMX8が設けられている。
【0039】
このマルチプレクサを、バイナリーデフォルト制御信号DEFによって切り替えることができる。これは、評価デバイスにおいて生成されたビット量、または、遅延補正デバイスDCに数ゼロを示すビットコンビネーションを、供給するためである。入力側のクロック信号CLKのデューティサイクルを、意図されているように補正するために、上記補正装置が作動する必要がある場合、制御信号DEFを「0」に設定する。これにより、評価デバイスにおいて生成されたビット量が遅延補正デバイスDCに達することができる。
【0040】
遅延補正デバイスDCにおいても、互いに連続してカスケード接続された複数の各遅延段C1:nからなる遅延チェーン回路を用いる。これらの各段が、前述の各遅延段A1:nおよび各遅延段B1:nと同様に形成されていることが好ましい。つまり、チェーン回路C1:nも、段ごとに、入力部に入力されたパルス系列の立ち上がりエッジの増分遅延τを生成する。
【0041】
意図されたような補正動作では、DEF=「0」であり、これによって、値|(x−y)/2|を示すビット量が、遅延補正デバイスDCに入力される。この補正動作において、クロック信号CLKの前側エッジ(つまり、立ち上がりエッジ)の遅延が必要であれば(このことを、式(x−y)/2の正符号によって示す)、元の反転していないバージョンのクロック信号が遅延チェーン回路C1:nの入力信号CLKC0として用いられる。
【0042】
この補正動作に、後側エッジの遅延が必要であれば(このことを、式(x−y)/2の負符号によって示す)、反転したバージョンのクロック信号が遅延チェーン回路C1:nの入力信号CLKC0として用いられる。
【0043】
供給されるクロック信号のバージョンを選択するために、ビット符号によって演算回路ARから制御できる入力部マルチプレクサMX2が、反転していないクロック信号CLK、または、インバータIN2を介して導かれた反転したクロック信号を、遅延チェーン回路の入力に伝送するために設けられている。
【0044】
第1の段C1の入力部に入力された信号CLKC0、および、各段C1:nの各出力部に現れる各信号CLKC1:nは、(n+1)−1マルチプレクサMX1の(n+1)個の各入力部に供給される。上記マルチプレクサのスイッチング状態は、評価デバイスEV1のビット量の出力部の値|(x−y)/2|の整数成分(z=INT|(x−y)/2|)に応じて制御される。これは、(元のクロック信号のデューティサイクルが名目値1/2に非常に正確に相当している場合は)整数zに相当するチェーン回路内の1つの順序数を信号CLKC0:nから選択するためである。上記整数は、ゼロであってもよい。
【0045】
この選択された信号CLKCzは、それゆえに、z個の遅延段C1:zを通り、したがって、前側エッジ遅延をτ×zだけ受ける。z=0である場合、マルチプレクサMX1は、遅延しない入力信号CLKC0を選択する。
【0046】
x>yであり、したがって、遅延チェーン回路C1:nが元の(反転していない)クロック信号CLKを受信する場合、マルチプレクサMX1の出力信号は補正されたクロック信号CLK’を形成する。
【0047】
y<xであり、したがって、遅延チェーン回路C1:nが反転したクロック信号CLKを受信する場合、マルチプレクサMX1の出力信号は補正されたクロック信号CLK’の反転した形状を形成し、補正されたクロック信号CLK’を得るには他の反転が必要である。このために、演算回路ARの符号出力部によって制御できる出力部マルチプレクサMX3を用いる。マルチプレクサMX1によって選択された信号CLKCzを、直接またはインバータIN3を介して、補正装置の最後の出力部まで伝送する。
【0048】
図2の下部では、x>yであり、したがって、前側エッジを測度|(x−y)/2|だけ遅延する必要がある模式的な例を用いて、補正されたクロック信号CLK’を示している。図2に示した、補正されたクロック信号の波形は、ある遅延時間の影響および所定の不正確さを含む程度には、理想的である。上記影響および不正確さについては、上記図示において考慮されていないので、以下に詳述する。
【0049】
必要に応じて、デフォルト制御信号DEFを論理値「1」に設定することにより、デューティサイクル補正を無効にすることができる。この場合、マルチプレクサMX1の制御入力部がマルチプレクサMX8を介して数値ゼロを受信する。これにより、マルチプレクサMX1の出力信号はエッジ遅延を全く有していない状態になる。出力部である出力部K2におけるクロック信号CLK’のデューティサイクルは、元のクロック信号CLKのデューティサイクルと同じく、変わらないままである。
【0050】
このあり得る一形態は、補正装置が、クロック制御されたチップの不変素子である場合に有効である場合がある。これは、クロック信号のデューティサイクル補正のないスタンダードモード(デフォルトモード)で必要に応じてこのチップを操作するためである。デフォルトモードのオプションを省略できれば、マルチプレクサMX8を省略できる。
【0051】
各遅延デバイスDA、DB、遅延補正デバイスDCにおける各遅延段A1:n、B1:n、C1:nによって、立ち上がりエッジが立ち下がりエッジに対して相対的に遅延する(または構造によってはその逆)だけではなく、さらに全ての信号が遅延する。さらに、各テストデバイスPA、PBにおける信号の処理、および、各マルチプレクサMX1、MX2、MX3用の制御信号を得るまでのテスト結果xおよびテスト結果yの処理には、所定の時間が必要である。これにより、補正されたクロック信号CLK’が、元のクロック信号CLK全体に対して変位するように見える。ところが、上記変位は、デューティサイクル補正の質を妨げない。
【0052】
しかし、他方、補正の質、つまり補正の正確さに影響を与える状況がある。このような状況は、補正するエッジ遅延の量が(TH−TL)/2の量とちょうど同じである場合のみ、補正されたクロック信号においてちょうど1/2のデューティサイクルを得るということである。しかしながら、各テストデバイスPA、PBは、TH、TLの各値をタイムユニットτの整数の倍数xおよび倍数yとして供給する。さらに、補正遅延の測度は、タイムユニットτの整数の倍数INT|(x−y)/2|に制限されている。したがって、補正遅延において約]−τ,+τ[の範囲内で不正確さが生じてしまう。しかし、τをクロック周期TCよりも十分に小さくすることによって、この不正確さを許容限度内に保つことができる。
【0053】
上記の理由から、期待される最も高いクロック周波数でもタイムユニットτのある最小数をクロック信号の周期TCに適用できるように、タイムユニットτを規定する必要がある。遅延チェーン回路中の必要な段の数nをも決定するこの最小数は、デューティサイクル補正の所望の正確さに応じて決まる。しかし、高いクロック周波数に適したタイムユニットτを非常に短くすることは、クロック周波数が著しく低い場合には有効ではないだろう。なぜなら、個々のチェーン回路における遅延段において必要な数nが、あまりにも多すぎるからである。この問題を解決するために、有効な一形態では、遅延段A1:n、B1:n、C1:nは、遅延ユニットτ、つまり各段でのエッジ遅延の測度を制御信号SETによって調整できるように形成されている。これについて、図5とともに以下にさらに記載する。
【0054】
不正確さが起こりうる他の理由は、段階的なエッジ遅延の時間増分τが全ての各遅延チェーン回路A1:n、B1:n、C1:nにおいて全く同じではない、という点にある。製造誤差、および、設計条件が異なっているために、各遅延チェーン回路間にわずかな不整合が生じてしまい、これによって、信号CLK’のデューティサイクル補正は、最適ではなく、残留誤差を有してしまう。
【0055】
この残留誤差を許容できない場合は、補正されたクロック信号に対し、繰り返されたデューティサイクル補正を施すことによって上記残留誤差が低減される。この「後補正」のために、図1の補正装置の出力部である出力部K2を、同様の構造をした第2の補正装置のクロック信号入力部に接続できる。
【0056】
あまり費用のかからない1つの代替案は、遅延補正デバイスDCのみを2倍備え、上記遅延補正デバイスのクロック信号入力部を出力部K2に接続するというものである。この場合、上記したように図1の装置を用いて行う初めの補正後、切り替えを行う必要があるだろう。これは、元のクロック信号CLKの代わりに、補正されたクロック信号CLK’を出力部K2から各遅延デバイスDA、DBに供給し、各テストデバイスPA、PBのx出力部およびy出力部を第2の遅延補正デバイスのx入力部およびy入力部に接続するためである。
【0057】
しかし、第1の補正および続く後補正に同じ補正装置を使用することもできる。図3は、この目的に合った補正装置の構造を示すブロック図である。
【0058】
図3の補正装置は、図1の補正装置に対し、いくつかの追加部を備えているという点において、図1とは異なっている。一方では、前側エッジ遅延デバイスDAと後側エッジ遅延デバイスDBとの信号入力部は、それぞれ1つの切り替えスイッチ(マルチプレクサ)MX4、MX5によって上流に接続されている。これらのスイッチを、バイナリー動作モード制御信号STによって切り替えることができる。これは、元のクロック信号CLK、または、出力部K2から導き出されたクロック信号CLK’を、上記の遅延デバイスに供給するためである。他方では、補正された評価デバイスEV2が備えられている。この評価デバイスは、信号STによって制御可能なデマルチプレクサMX6に続いて、2つの各ラッチ回路LT2、LT3を含んでおり、デジタル式の加算器ADDが、演算回路ARとラッチ回路LT1との間にさらに挿入されているという点において、図1の評価デバイスEV1とは異なっている。
【0059】
図3の補正装置を、(図示していない)モード制御装置(「ステートマシン」)によって供給される信号STによって、2つの各動作状態間で切り替えることができる。これら2つの各動作状態では、遅延補正デバイスDCは、元のクロック信号CLKを受信する。第1の動作状態(信号STの論理状態「0」)では、各遅延デバイスDA、DBは、同様に、図1に関して記載したように、元のクロック信号CLKを受信し、各テストデバイスPA、PBを用いて数xおよび数yを確定し、上記テストデバイスから、演算回路ARのビット量およびビット符号にしたがって、値z=INT[(x−y)/2]を計算する。
【0060】
この値は、デマルチプレクサMX6の0出力部を介してラッチ回路LT2に達し、そこで、ラッチコマンドL2によって保持される。デマルチプレクサMX6の1出力部は、非アクティブ化されたままである。これにより、この出力部は、ラッチコマンドL3によってラッチ回路LT3に保持される数値0を供給する。後に続く加算コマンドS2が、加算器ADDをアクティブ化する。上記加算器は、ラッチ回路LT2、LT3に保持された値zと0との和(つまり値z)を供給する。この値は、次に、ラッチコマンドL1によってラッチ回路LT1に保持される。
【0061】
次に、出力部K2に補正されたクロック信号CLK’を供給するために、ラッチ回路LT1の出力部のこの値zのビット量およびビット符号は、図1に関して上記したように、遅延補正デバイスDCにおいて各マルチプレクサMX1、MX2、MX3を制御する。
【0062】
続いて、信号CLKの後補正を行う。このために、第2の動作状態のスイッチを入れる(信号STの論理状態「1」)。ここでは、各遅延デバイスDA、DBは、出力部K2からクロック信号CLK’を受信する。最初は、遅延補正デバイスDCにおけるマルチプレクサMX1:3のセッティングは変わらない。
【0063】
したがって、元のクロック信号ではなく、補正されたクロック信号が各テストデバイスPA、PBにおいて処理されるので、数xおよび数yに関して、補正されたクロック信号CLK’にデューティサイクルを反映する新しい値x’およびy’が得られる。これにより、演算回路ARは、新しい値z’=INT[(x’−y’)/2]を算定する。この値の符号および量は、補正での残留誤差を取り除くために、補正されたクロック信号CLK’のエッジをタイムユニットτの数だけ遅延する必要があるだろうということを、示している。
【0064】
しかし、遅延補正デバイスDCが信号CLK’ではなく元のクロック信号CLKを処理するので、値z’はそれだけではエッジ遅延の新たな調整を決定することができない。むしろ、信号CLK’を生成する前に調整されたエッジ遅延も、考慮される必要がある。つまり、値z’と第1の動作状態で確定された値zとの和が、新しいエッジ遅延を決定するものとなる。
【0065】
この和(z+z’)を得るために、第2の動作状態(制御信号STの論理値「1」)では、値z’を、デマルチプレクサMX6の1出力部を介してラッチ回路LT3に伝送し、そこでラッチコマンドL3によって保持する。デマルチプレクサMX6の0出力部は、非アクティブ化されたままである。これにより、上記出力部は、しかし、数値0を今回ラッチコマンドが入力されていないラッチ回路LT2に供給する。
【0066】
このことから、このラッチ回路の出力部では、すぐ前の値zが保存される。後に続く制御コマンドSAは、加算器ADDを、アクティブ化して、各ラッチ回路LT2、LT3に保持された値zおよびz’の和を加算器ADDにて算出して出力する。この和(z+z’)は、次に、ラッチコマンドL1によってラッチ回路LT1に保持される。
【0067】
ラッチ回路LT1の出力部のこの値(z+z’)のビット量およびビット符号は、出力部K2において後補正されたクロック信号が得られるように、遅延補正デバイスDCにおける各マルチプレクサMX1、MX2、MX3を制御する。
【0068】
図3の後補正が可能な補正装置の変更を、切り替えスイッチMX4、MX5を省略し、その代わりに前側エッジ遅延デバイスDAおよび後側エッジ遅延デバイスDBの入力部を出力部K2にのみしっかりと永続的に接続することにより、行ってもよい。この場合、マルチプレクサMX1の制御入力部では、(図示していない)スイッチングデバイスを備える必要がある。
【0069】
上記スイッチングデバイスは、制御信号STが論理値「0」を有している場合、つまり少なくとも値zがラッチ回路LT2に保持されるまでの間、遅延していない信号CLKC0をマルチプレクサMX1に一時的に選択させる。続いて、制御信号STの「0」状態の持続期間の残りに関して、上記スイッチングデバイスは、値zのビット量がマルチプレクサの制御入力部に供給されるようにする。
【0070】
図1および図3の各実施形態では、同時に動作できる、2つの別々の各遅延チェーン回路A1:n、B1:nと、2つの別々の各テストデバイスPA、PBとが備えられている。これは、数xおよび数yを、パラレル動作にて供給するためである。
【0071】
他の選択肢は、数xおよび数yを同じ遅延チェーン回路および同じテストデバイスを用いて順々に確定するというものである。このために、適切なスイッチングデバイス(ステートマシン)を備える必要があるだろう。数xを確定するために、補正するクロック信号CLKを遅延チェーン回路に供給し、数yを確定するために、反転したクロック信号を遅延チェーン回路に供給する。このような一構成によって、一つの遅延チェーン回路および一つのテストデバイスを節約することができる。
【0072】
さらに、数xと数yとを確定するために遅延補正デバイスDCにおいて用いられる遅延チェーン回路C1:nを用いることによって、単一の遅延チェーン回路で済ませることも可能である。さらに、全ての遅延工程においてまったく同一の遅延チェーン回路を使用することにより、遅延の増分を決定するタイムユニットτが様々な遅延工程においてまったく同じであることが保証される。この場合、補正されたクロック信号を後補正する必要はない。このように形成されたデューティサイクル補正装置の一例について、以下に、図4に基づいて記載する。
【0073】
図4の装置は、図1に示した遅延補正デバイスDCと同様に形成された単一の遅延デバイスDCを含んでいる。さらに、図1に記載の各テストデバイスPA、PBと同様に形成された単一のテストデバイスPCが備えられている。このテストデバイスPCの(n+1)入力部は、第1の段C1の遅延していない入力信号CLKC0と、遅延デバイスDCの遅延チェーン回路の段C1:nのn個の段階的に遅延した各出力信号とを受信する。
【0074】
さらに、評価デバイスEV3が備えられている。上記評価デバイスは、演算回路ARのx入力部およびy入力部の前に、デマルチプレクサMX7および2つの各ラッチ回路LT4、LT5からなる、シリアル/パラレル変換器が備えられているという点において、図1の評価デバイスEV1とは異なっている。
【0075】
評価デバイスEV3および遅延デバイスDCは、ビット量マルチプレクサMX8と共にもう1つの第2のマルチプレクサMX9を備えている。マルチプレクサMX9は、評価デバイスEV3またはテストモード制御ビットPSTから、遅延補正デバイスDCにおけるこれら2つの各マルチプレクサMX2、MX3の制御入力部にビット符号を供給するためのものである。
【0076】
図4の補正装置の動作を具体的に示すために、この図4の下部に示した、上記補正装置における、互いに連続した各動作段階において、様々な制御信号および制御コマンドの有効性を時間の経過にしたがって表で示した図を示す。個々の系列は、連続する時間区分であり、例えば、何らかの適切なタイミング信号によって制御されている。制御信号のバイナリ値は、通常のように、数字「0」、「1」によって示されている。太い横線は、上記の時間間隔における信号値が任意であってもよいことを示している。つまり、重要ではない(何れでもよい)。感嘆符「!」は、コマンドのアクティブ化(例えば、トリガするコマンド信号のエッジの現れ)を意味している。図の最後の3つの行では、各数値x、y、zの有効時間を示している。
【0077】
デューティサイクル補正が無効とすることが意図されているデフォルト動作(補正されない動作)では、リセット信号RESがアクティブな状態(論理値「1」)であることにより、テストデバイスPCを非アクティブ状態に保つ。デフォルト制御信号DEFを「1」に保つことにより、マルチプレクサMX1の制御入力部は数値ゼロを受信する。これは、元のクロック信号CLKを、デューティサイクルを変えずに出力部K2に伝送するためである。ここで、各マルチプレクサMX2、MX3用のバイナリ制御信号の状態は、重要ではない。
【0078】
補正装置を規定どおりに、つまり入力側のクロック信号CLKのデューティサイクルを補正するために、動作させる場合、マルチプレクサMX8のデフォルト制御信号DEFを「0」に設定する。これにより、遅延デバイスDCにおいて、評価デバイスEV3のビット量出力部は、マルチプレクサMX1の制御入力部に接続される。補正動作は、連続する4つの各動作シークエンス、つまり、第1に数xの確定、第2に数yの確定、第3に数z=(x−y)/2の確定、第4に実際の補正時の動作(つまり、エッジ遅延を補正するときの設定)を含んでいる。
【0079】
数xを確定するために、テストデバイスPCのリセット信号RESを無効にする。つまり、「0」に設定する。補正動作信号CSTを「0」に設定し、テストモード信号PSTを「1」に設定する。これとともに、マルチプレクサMX9は、マルチプレクサMX2、MX3の制御入力部に「1」を供給する状態になる。これによって、遅延チェーン回路C1:nは非反転クロック信号CLKを受信する。
【0080】
この動作状態では、遅延チェーン回路C1:nおよびテストデバイスPCは、図1の遅延チェーン回路A1:nおよびテストデバイスPAに関して記載したように動作する。数xを確定するためにテストデバイスPCの信号CLKC0:nの発振テストに必要なテスト期間の後、ラッチコマンドLCを発行する。これにより、数値xがテストデバイスPCに保持される。
【0081】
この数値xは、テストモードビットPST=「1」を制御することによってスイッチング状態「1」にある、デマルチプレクサMX7を介して、ラッチ回路LT4の入力部に達し、そこで、後に続くラッチコマンドL4によって「有効に」保持される(つまり格納される)。ラッチコマンドL4と同時に、テストデバイスPCのリセット信号RESをここでも「1」に設定する。
【0082】
数yを確定するために、テストデバイスPCのリセット信号RESを再び「0」に設定する。補正動作信号CSTを「0」のままにし、テストモード信号PSTを「0」に設定する。これとともに、マルチプレクサMX9は、各マルチプレクサMX2、MX3の制御入力部に「0」を供給する状態になる。これにより、遅延チェーン回路C1:nは反転したクロック信号CLKを受信する。
【0083】
この動作状態では、遅延チェーン回路C1:nおよびテストデバイスPCは、図1の遅延チェーン回路B1:nおよびテストデバイスPBに関して記載したように動作する。数yを確定するためにテストデバイスPCにおける信号CLKC0:nの発振テストが必要なあるテスト期間の後、再び、ラッチコマンドLCを発行する。これにより、数値yはテストデバイスPCに保持される。
【0084】
この数値yは、テストモードビットPST=「0」を制御することによってスイッチング状態「0」にある、デマルチプレクサMX7を介して、ラッチ回路LT5の入力部に達し、そこで、後に続くラッチコマンドL5によって「有効に」格納される。ラッチコマンドL5と同時に、テストデバイスPCのリセット信号RESを、ここでも「1」に設定する。
【0085】
数値zを確定するために、RESを「1」のままにし、演算コマンドS1を発行する。これにより、ラッチ回路LT4、LT5に格納された値xおよびyから、演算回路ARは値z=(x−y)/2を計算する。ある演算時間が経過した後、ラッチコマンドL1を発行する。これにより、ラッチ回路LT1において計算された数zのビット量およびビット符号は、「有効に」保持される。
【0086】
最後の工程として、補正動作信号CSTを「1」に設定することにより、デューティサイクルの実際の補正を行う。これにより、マルチプレクサMX9は計算された数zのビット符号を各マルチプレクサMX2、MX3の制御入力部に供給する。この状態では、遅延デバイスDCは、図1に記載の遅延補正デバイスDCと同様に上記したように動作する。このために、評価デバイスからのビット量およびビット符号によって制御することにより、出力部K2のクロック信号CLK’が所望のデューティサイクル1/2で発生するように、各マルチプレクサMX1、MX2、MX3がそれぞれセットされる。
【0087】
補正装置の現在のスイッチング状態は、出力部K2に接続されたクロック制御されたデバイスにおける続く有効な動作の間、変化しないように維持される。所望のクロック信号のデューティサイクルの全ての新たな補正のためには、全ての上記各動作シークエンスは、繰り返され、これにより、xの確定を始める。
【0088】
すでに前述したように、以下では、図5および図6に基づいて、各遅延デバイスDA、DB、DCの遅延段、および、それらの各テストデバイスPA、PB、PCに関する模式的な実施形態について記載する。
【0089】
図5は、各遅延デバイスDA、DB、DCの各段Ai、Bi、Ciに用いられる調節可能な遅延段における、使用可能な一形態を示す回路図である。図示された遅延段は、第1の(反転した)バイナリー増幅器を、Pチャネル電界効果トランジスタ(PFET)P1を備えた入力増幅器として含んでいる。上記Pチャネル電界効果トランジスタのソースは、高電位のH電位に接続されており、上記Pチャネル電界効果トランジスタのドレインは、可変インピーダンスZを介してNチャネル電界効果トランジスタ(NFET)N1のドレインに接続されている。NFET N1のソースは、H電位より低い低電位であるL電位に接続されており、これら2つの各トランジスタP1、N1のゲート同士は、遅延される入力側のクロック信号CKKeを受信するために、接続されている。入力増幅器の出力信号の出力信号CLKmは、PFET P1のドレインの回路ノード「m」に発生する。
【0090】
さらに、図5の遅延段は、第2の(反転した)バイナリー増幅器を、PFET P2を備えた出力増幅器として含んでいる。このPFETのソースは、H電位に接続されており、ドレインは、NFET N2のチャネルを介してL電位に接続されている。これら2つの各トランジスタP2、N2のゲート同士は、入力増幅器の出力信号CLKmを受信するために、接続されている。遅延段の出力部信号CLKaは、トランジスタP2、N2の相互接続されたドレインの回路ノード「a」に導き出される。
【0091】
図5の下部は、各信号CLKe、CLKm、CLKaの時間経過を具体的に示すタイミングチャートである。入力側のクロック信号CLKe(時間t1)の立ち下がりエッジによって、導通していたNFET N1は遮断され、遮断されていたPFET P1は導通する。これにより、回路ノードmはL電位からH電位にプルアップされ、したがって、信号CLKmの立ち上がりエッジが発生する。
【0092】
このエッジの峻度は、ノードmとH端子との間のプルアップ分枝部の時定数によって決定される。この時定数は、PFET P1の順方向抵抗に比例している。この抵抗は、できる限り小さいことが好ましい。したがって、入力信号CLKeの立ち下がりエッジ(平均レベル(H+L)/2を通る遷移の時間t1)と、これによって発生した、信号CLKmの立ち上がりエッジ(時間t2)との間に、わずかな遅延Δが生じる。
【0093】
入力側のクロック信号CLKeの立ち上がりエッジ(時間t2)によって、遮断されていたNFET N1は導通し、導通していたPFET P1は遮断される。これにより、回路ノードmは、H電位からL電位にプルダウンされ、したがって、信号CLKmの立ち下がりエッジが発生する。このエッジの峻度は、ノードmとL端子との間のプルダウン分枝部の時定数によって決定される。
【0094】
この時定数は、さらに挿入されたインピーダンスZを用いて、プルアップ分枝部の時定数よりも著しく大きく、それゆえに、立ち下がりエッジは、立ち上がりエッジよりも著しく傾斜がゆるやかである。したがって、立ち下がりエッジは、時間t5で平均的なレベルMに達する。この時間は、信号CLKeのトリガしている立ち上がりエッジの時間t4と比べて、Δよりも著しく大きい測度Tmだけ遅延する。
【0095】
各トランジスタP2、N2によって構成された出力増幅器は、入力増幅器と同様に動作する。しかし、トランジスタP2を介したプルアップ分枝部と、トランジスタN2を介したプルダウン分枝部とが、各トランジスタが導通している状態で、できる限り低いインピーダンスを有しているという違いがある。
【0096】
したがって、時間t2で現れる信号CLKmの急峻な立ち上がりエッジによって、出力信号CLKaの急峻な立ち下がりエッジが、時間t3でのわずかな遅延時間Δの後で生じる。信号CLKmの立ち下がりエッジが平坦であることによって、出力信号CLKaに急峻な立ち上がりエッジが生じる。この立ち上がりエッジの時間t6は、同様に、時間t5と比べて(つまり、傾斜がゆるやかなエッジが平均的なレベルMを通過する時間と比べて)わずかな測度Δだけ遅延する。
【0097】
しかし、時間t5が時間t2よりも著しく遅いので、入力信号CLKeの立ち上がりエッジは、出力信号CLKaの立ち下がりエッジよりも著しく遅延して発生する。この著しい遅延は、(t6−t4)−(t3−t1)=(Tm+Δ)−2Δ=Tm−Δであり、タイムユニットτを規定する。
【0098】
タイムユニットτは、インピーダンスZが大きければ大きいほど、長くなる。このタイムユニットτを調整できるように、上記インピーダンスを、制御変数SET(例えば、抵抗チェーン回路)によって変えることができる。上記抵抗チェーン回路の個々の各抵抗を、そららの切り換えによって選択的にアクティブ化または非アクティブ化できる。図示した場合には、抵抗値rと調整できる抵抗R2とを有する固定抵抗Rが備えられている。上記抵抗の抵抗値を、0とrとの間で連続的に変更できる。これにより、抵抗R2を制御するためのアナログ信号と、抵抗R1を任意にアクティブ化するためのバイナリー(デジタル)信号とを用いて、0と2rとの間の全ての抵抗値を連続的に変化させて調整することができる。
【0099】
プルダウン抵抗に加えて(またはその代わりに)、回路ノードmとL電位との間に、1つまたは複数のキャパシタも備えることができる。上記キャパシタを、任意でON状態およびOFF状態にすることができる。有効な全ての容量値が大きいほど、時間τは長くなる。図5に、例として容量CPを示す。この容量は、第2のバイナリー信号およびスイッチを介して任意で有効または無効にできるものである。これに応じて、操作のための制御変数SETを供給するための配線は、図示した場合には、全部で3つの配線からなる。
【0100】
図5に示した、可変のプルダウンインピーダンスの形態は、一例であるにすぎない。上記チェーン回路における抵抗の数は、2よりも多くても少なくてもよく、アナログで調整できる抵抗の代わりに、インピーダンスZおよびそれに伴って量τを変えることができる増分に応じて、固定抵抗も備えられていてもよい。
【0101】
図示した直列回路の代わりに、調整できる複数の抵抗および/または選択的に起動できる固定抵抗の並列回路を備えてもよい。上記の抵抗を、実際は、バイポーラトランジスタまたは電界効果トランジスタによって実現できる。また、キャパシタを用いてもよいし、さらには、同様に、スイッチも特に集積回路において用いてもよい。また、複数の完全なプルダウン分枝部を並列に備えることもできる。上記分枝部は、インピーダンスにおいて異なっており、制御信号によって任意にON状態およびOFF状態にすることができる。
【0102】
遅延時間τの調整は、クロック周波数fCに応じて、好ましくは、この時間と各遅延チェーン回路における段の数nとの積(つまり、積τ×n)がクロック周期TCよりも著しく小さくなく、より好ましくはクロック周期とほぼ同じであるように、行われる。
【0103】
図6は、前側エッジ遅延デバイスDAのテストデバイスPAの考えられる有効な一形態の構造を模式的に示している。図示したテストデバイスは、複数の(n+1)個の互いに類似の各カウンタCN0:nと、上記各カウンタに個々に割り当てられた上記各カウンタと同じ数の各RSフリップフロップFF0:nとを含んでいる。カウンタCN0は、そのカウンタ入力部Cにクロック信号CLKA0を受信し、各カウンタCN1:nは、エッジが段階的に遅延したクロック信号CLKA1:nのうちの1つを、遅延チェーン回路A1:nから上記各カウンタのカウンタ入力部Cに受信する(図1)。
【0104】
各カウンタCN0:nは、受信された信号の同じ向きのエッジ(例えば、立ち下がりエッジ)をカウントするために、形成されている。このカウントは、カウンタのR入力部においてリセット信号RESを非アクティブ化した後、数値0で開始される。この数値があらかじめ選択されたしきい値未満である場合、カウンタCNT0:nは、論理値「0」を供給する1つの信号出力部Wを有している。このしきい値に達した直後に、W出力部は論理値「1」に切り替わる。これにより、それぞれ割り当てられたRSフリップフロップのセット入力部Sはアクティブ化される。これは、フリップフロップをその「1」状態に設定することによって、上記フリップフロップがそのQ出力部に「1」を供給するためである。全てのカウンタCN0:1は、上限に達したときに(オーバーフロー)、カウントすることが止まり、初めから再び値0を始めないように、形成されていることが好ましい。
【0105】
繰り返されるカウントエッジを規則的に含んだ(つまり、「発振する)入力信号を有するカウンタCN0:(x−1)は、あるカウント期間内でしきい値カウントに達し、割り当てられたフリップフロップFF0:(x−1)を設定する。発振しない入力信号を有する残りのカウンタCNx:nは、理想的な場合にはカウントパルスを全く受信しない。つまり、理想的な場合にはこのカウンタを0に止める。
【0106】
しかし、ほんのわずかな障害が与えられる場合がある。例えば、補正するクロック信号の位相の、あるジッタにより、発振と非発振との境界にある不明瞭さが生じる。したがって、理想的な場合にはもはや発振しない信号において、時々、カウントエッジが現れる場合がある。この「異常値」が、明らかに発振している信号のカウントエッジよりもまれなので、上記のカウンタの数値は、上記明らかに発振する信号を受信する上記カウンタの数値を下回る。
【0107】
しきい値カウントとカウント期間とを適切に選択することにより、カウント期間の経過後に、発振する受信信号を有するカウンタCN0:(x−1)のみがしきい値に確実に達しており、他の全てのカウンタCNx:nは達していないということが達成される。したがって、カウント期間の経過後、第1のxフリップフロップFF0:(x−1)のQ出力部は「1」であり、残りのフリップフロップFFx:nのQ出力部は「0」を維持する。
【0108】
フリップフロップFF0:nのQ出力部は、カウント期間の終わりに、数xをいわゆる「サーモメータコード」で供給する。ラッチコマンドLCによって、このサーモメータコード語は、コード変換器CVの入力部にてラッチされる。コード変換器CVは、サーモメータコード表現を数xのバイナリー数コード表現に変換するために備えられている。
【0109】
後側エッジ遅延デバイスDBのテストデバイスPBを、図6に示したテストデバイスPAのように形成することができる。これは、数yをサーモメータコードで確定し、次に、バイナリー数コードで表現するためである。
【0110】
テストデバイスPBは、反転したクロック信号CLKB0をカウンタCN0のC入力部に受信し、段階的にエッジが遅延する信号CLKB0:nをカウンタCN1:nのC入力部に受信する。同様に、テストデバイスPCも図4の補正装置の形態に形成できる。これは、各カウンタCN0:nの各クロック信号CLKC0:nをC入力部に受信するためである。
【0111】
当然ながら、各テストデバイスPA、PBにおける発振テストの持続期間、つまり、上記各デバイスに含まれる各カウンタの、カウンティング動作の始め(リセット信号RESの非アクティブ化)からフリップフロップ出力部のサンプリングおよびラッチ(ラッチコマンドLC)までのカウント期間が、どのような場合にもクロック信号CLKのある最小数の周期TCを含んでいるように、規定される必要がある。
【0112】
この最小数は、タイムユニットτの長さに依存しているだけではなく、様々な他の因子(例えば、各遅延チェーン回路によるクロック信号の最大伝播遅延、カウンタ伝播遅延、発振テストにおける上記の「異常値」の相対度数)にも依存している。これら全ての因子は、製造および設計に関連しており、これにより、上記の最小数は、その都度、実験的に見出される必要がある。
【0113】
しきい値カウントは、当然ながら、上記の最小数よりも小さくてはならない。カウンタの大きさ、つまり、上記カウンタのカウント容量を、最終数値が同時にしきい値カウントとしても用いられるように、規定することができる。この場合、カウンタ端子Wに生成される信号は、カウンタのオーバーフロー表示から導き出される。
【0114】
図示した各テストデバイスPA、PBの形態では、遅延しない各クロック信号CLK、CLKB0の発振テストが、カウンタCN0およびフリップフロップFF0を用いて行われる。これらの信号が、明瞭に認識される方法にて発振しないとき、数xおよび数yの値0が得られる。
【0115】
このことは、クロック信号を訂正できない状態にて、クロック信号の発生に支障が生じていることを表示するために、用いられる。このような表示可能性を用いないで済ませる場合、遅延しない各クロック信号CLK、CLKB0の発振テストを省略できる。これにより、各テストデバイスPA、PBのカウンタCN0およびフリップフロップFF0を用いる必要がなくなる。この場合、テストデバイスの出力部は、数x1およびy1を示している。しかし、これによって演算回路ARの演算結果は変わらない。なぜなら、この結果は、これら2つの入力された各数の間の差にのみ依存しているからである。
【0116】
本発明の権利における請求の範囲を網羅するために、本発明の補正装置における様々な各動作工程を、個々の各動作の時間的な連続をも制御する好適なタイミング制御によって調整することにも、言及する必要がある。このことは、制御およびラッチの各コマンドST、L1、L2、L3、SA、RES、LCを時間的に調整して生成することも含んでいる。
【0117】
前記の各図に基づいて前述した各回路は、本発明の補正原理を実現するための例にすぎない。本発明を、これらに限定せず、変更した実施形態でも実施することができる。これらの変更した実施形態のうちのいくつかについて、以下に簡単に記載する。
【0118】
記載する例では、各テストデバイスPA、PBは、テストされる各信号用に、(カウンタCNとフリップフロップFFとによってそれぞれ構成された)個々に割り当てられた固有の発振検出器を含んでおり、テストされる全ての各信号は、上記の関連したテストデバイスに対してパラレルに供給される。
【0119】
1つの代替案では、各テストデバイスに、単一の発振検出器が備えられている。この発振検出器には、遅延され、その遅延の増分が順次増加した各信号が、対応して制御されたマルチプレクサを介して順々に入力される。この検出器が「信号中に発振のない」状態を感知したときに、発振が消失する遅延段の各順序数x、yを、マルチプレクサの関連したセッティングから導き出すことができる。
【0120】
段階的に順次遅延される信号を遅延チェーン回路の入力部に供給する場合、各遅延段の各出力部に接続されたマルチプレクサを設けることが望ましい。このとき、「出力部マルチプレクサ」を備えた上記のような構造は、遅延チェーン回路C1:nおよびマルチプレクサMX1に関する図1に示したような構造と類似している。
【0121】
しかし、遅延チェーン回路A1:nおよびB1:nの入力信号を、マルチプレクサ(上記マルチプレクサは、ここではデマルチプレクサとして動作する)を介して、段階的に連続する各段の入力部に供給することもできる。これにより、最後の段の出力部は、発振検出器においてテストされる、順次遅延される信号を、連続的に供給することができる。
【0122】
1つの代替案として、遅延補正デバイスDCの遅延チェーン回路C1:nを、図示した出力部マルチプレクサMX1の代わりに、デマルチプレクサとして動作する入力部マルチプレクサによって動作することもできる。
【0123】
この入力部マルチプレクサの信号入力部には、遅延される信号が入力される。これは、上記信号を、遅延チェーン回路C1:nにおいて、選択された段の入力部に伝送するためである。この信号が、所望のエッジ遅延V=τ×|(x−y)/2|を有する最後の段Cnの出力部に現れるように、この選択を、数|(x−y)/2|を示すビット量に応じてマルチプレクサを制御することによって行う。
【0124】
本発明に関する先行技術文献としては、米国特許出願公開公報第2005/0068079A1号公報(公開日:2005年03月31日)が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】本発明のデューティサイクル補正装置に係る実施可能な一形態を示すブロック図である。
【図2】図1の装置に生じた各信号の時間による変化をそれぞれ示す各タイミングチャートである。
【図3】本発明のデューティサイクル補正装置に係る、図1の装置を変形させた、第2形態を示すブロック図である。
【図4】本発明のデューティサイクル補正装置に係る第3形態を示すブロック図である。
【図5】本発明に係る、エッジ遅延のための遅延段における有利な実施形態の基本的な構造を示すブロック図、および、上記実施形態において生成された各信号を示す各タイミングチャートである。
【図6】本発明に係る、発振テストデバイスの模式的な一実施形態のブロック図である。
【符号の説明】
【0126】
A1:n 遅延段
AR 演算回路
ADD 加算器
B1:n 遅延段
C1:n 遅延段
CN0:n カウンタ
CV コード変換器
CP プルダウン容量
DA 前側エッジ遅延デバイス
DB 後側エッジ遅延デバイス
DC 遅延補正デバイス
EV1:3 評価デバイス
FF0:n フリップフロップ
IN1:3 インバータ
K1 入力端子
K2 出力端子
LT1:5 ラッチ回路
MX1:9 マルチプレクサ/デマルチプレクサ
N1:2 NFET
P1:2 PFET
PA 発振テストデバイス
PB 発振テストデバイス
R1:2 プルダウン抵抗
Z 可変インピーダンス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各周期パルスを含んだクロック信号(CLK)のデューティサイクルを、名目値1/2との偏差に関して補正するための補正装置であって、
上記クロック信号から、前側エッジが後側エッジに対して1タイムユニットτだけずつ段階的に増分した遅延を有するn個の各前側エッジバージョンを導き出すために、n個の遅延段(A1:n)からなる前側エッジ用のチェーン回路を含んだ前側エッジ遅延手段(DA)と、
上記クロック信号から、後側エッジが前側エッジに対して上記タイムユニットτだけずつ段階的に増分した遅延を有するn個の各後側エッジバージョンを導き出すために、n個の遅延段(B1:n)からなる後側エッジ用のチェーン回路を含んだ後側エッジ遅延手段(DB)と、
上記前側エッジ遅延手段によって導き出された各信号の発振をモニターし、上記発振が消失する遅延増分値の順序数xを確定する、前側エッジテスト手段(PA)と、
上記後側エッジ遅延手段から導き出された各信号の発振をモニターし、上記発振が消失する遅延増分値の順序数yを確定する、後側エッジテスト手段(PB)と、
x>yの場合、上記クロック信号の各周期パルスの前側エッジを、測度
V=τ×|x−y|/2
だけ遅延されるように、
x<yである場合、上記クロックの各周期パルスの後側エッジを上記測度Vだけ遅延されるように制御可能な遅延補正手段(DC)とを含む補正装置。
【請求項2】
上記前側エッジ用のチェーン回路の各遅延段(A1:n)と、上記後側エッジ用のチェーン回路の各遅延段(B1:n)とは、上記エッジを、上記対応する他のエッジに対してタイムユニットτによる第1時間方向に上記遅延毎に変位させるために、互いに同様に形成されており、
上記各遅延段を有する上記各チェーン回路のうちの一方の入力部の前に、段階的に遅延されるクロック信号を反転させるためのインバータ(IN1)が設けられている、請求項1に記載の補正装置。
【請求項3】
上記前側エッジ用のチェーン回路および後側エッジ用のチェーン回路は、一つの同一の遅延チェーン回路からなり、
上記前側エッジ遅延手段(DA)内に、または上記後側エッジ遅延手段(DB)内に対し、上記遅延チェーン回路を選択的に組み込むための第1スイッチング手段が設けられている、請求項2に記載の補正装置。
【請求項4】
上記前側エッジ遅延手段によって導き出された各信号の発振をモニターする上記前側エッジテスト手段と、上記後側エッジ遅延手段によって導き出された各信号の発振をモニターする上記後側エッジテスト手段とは、一つの、同一のテストデバイスから構成されており、
上記前側エッジ遅延手段(DA)または上記後側エッジ遅延手段(DB)に対し、上記テストデバイスを選択的に接続するための第2スイッチング手段が備えられている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の補正装置。
【請求項5】
上記遅延補正手段(DC)は、
入力されたクロック信号のエッジを、他のエッジに対してタイムユニットτにて、選択された時間方向に沿ってそれぞれ遅延する複数の各遅延段(C1:n)を有する補正遅延用のチェーン回路と、
上記補正遅延用のチェーン回路に、測度τ×|x−y|/2により遅延される各エッジを有する、入力されたクロック信号のバージョンを導き出すために制御可能な第1の選択手段(MX1)と、
差(x−y)の符号に応じて、補正されるクロック信号、または、上記クロック信号の反転した反転クロック信号を、上記補正遅延用のチェーン回路に供給する第2の選択手段(MX2)とを含む、請求項1に記載の補正装置。
【請求項6】
2つの各動作状態を互いに逐次的に調整するための第3スイッチング手段(MX4、MX5、MX6)を含み、
上記各動作状態の第1状態では、補正されていないクロック信号(CLK)が、上記前側エッジ遅延手段(DA)および上記後側エッジ遅延手段(DB)の入力部に入力されており、上記遅延補正手段(DC)の各選択手段(MX1、MX2)は、数z=INT[(x−y)/2]の量および符号にしたがって調整され、
上記各動作状態の第2状態では、上記遅延補正手段(DC)の出力信号(CLK’)が、前側エッジ遅延手段(DA)および後側エッジ遅延手段(DB)の入力部に入力されており、上記遅延補正手段(DC)の各選択手段(MX1、MX2)は、数(z+z’)の量および符号にしたがって調整され、このとき、z’=INT[(x’−y’)/2]であり、x’およびy’は、上記数xおよび上記数yの代わりに上記第2状態において得られる各数である、請求項5に記載の補正装置。
【請求項7】
上記前側エッジ用のチェーン回路、上記後側エッジ用のチェーン回路、上記補正遅延用のチェーン回路は、一つの同一の遅延チェーン回路(C1:n)からなり、
上記前側エッジ遅延手段内に、または上記後側エッジ遅延手段内に、または上記遅延補正手段内に、上記遅延チェーン回路を選択的に組み込むための第4スイッチング手段が備えられている、請求項5または6に記載の補正装置。
【請求項8】
上記前側エッジ遅延手段によって導き出された各信号の発振をモニターする上記前側エッジテスト手段と、上記後側エッジ遅延手段によって導き出された各信号の発振をモニターする上記後側エッジテスト手段とは、一つの同一のテストデバイス(PC)から構成されており、
上記遅延補正手段(DC)を、択一的な2つの各テストモードに互いに切り替えるための第5スイッチング手段(MX7、MX9)が備えられており、
上記各テストモードのうちの一方では、上記テストデバイス(PC)が数xを確定できるように、上記遅延補正手段(DC)が前側エッジ遅延手段として機能しており、
上記各テストモードのうちの他方では、上記テストデバイス(PC)が数yを確定できるように、上記遅延補正手段(DC)が後側エッジ遅延手段として機能している、請求項5に記載の補正装置。
【請求項9】
上記タイムユニットτは、全ての各遅延段(A1:n、B1:n、C1:n)において同時に調節可能である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の補正装置。
【請求項10】
上記各遅延段(A1:n、B1:n、C1:n)は、第1プルアップ分枝部(P1)および第1プルダウン分枝部(N1、Z)を備えたバイナリー増幅器の入力部と、第2プルアップ分枝部(P2)および第2プルダウン分枝部(N2)を備えたバイナリー増幅器の出力部とを含み、
上記第1プルアップ分枝部(P1)および第1プルダウン分枝部(N1、Z)のうちの一方の、制御可能な順方向インピーダンスは、上記第1プルアップ分枝部(P1)および第1プルダウン分枝部(N1、Z)のうちの他方の順方向インピーダンスよりも高く、
上記第2プルアップ分枝部(P2)および第2プルダウン分枝部(N2)の両方が同じ順方向インピーダンスを有している、請求項9に記載の補正装置。
【請求項11】
上記バイナリー増幅器の入力部の関連する上記分枝部において、上記順方向インピーダンスを制御するために、アナログ信号によって連続的に抵抗値が可変な抵抗素子(R3)が設けられている、請求項10に記載の補正装置。
【請求項12】
上記順方向インピーダンスを制御するために、さらに、固定抵抗である少なくとも1つの素子(R1、R2)が、関連する上記分枝部に対し、デジタル信号によって選択的に組み込めるように設けられている、請求項11に記載の補正装置。
【請求項13】
上記各テスト手段(PA、PB)が、それぞれ、上記クロック信号における、段階的に遅延する、各バージョンに現れる立ち下りエッジまたは立ち上がりエッジを、選択された持続期間を通してカウントし、上記選択された持続期間内に予め選択されたしきい値カウントが得られる場合、発振の存在を示すためにアクティブ化されるカウント手段(CN)を含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の補正装置。
【請求項14】
上記各テスト手段(PA、PB)における、それぞれのカウント手段は、上記クロック信号の段階的に遅延する各バージョンのために、それぞれ、個々に割り当てられたカウンタ(CN1:n)を含む、請求項13に記載の補正装置。
【請求項15】
上記各テスト手段におけるカウント手段は、単一のカウンタのみを含んでおり、
上記クロック信号における、段階的に遅延された各バージョンを、少なくとも予め選択された持続期間の間、上記カウンタ毎のカウント入力部にそれぞれ連続的に供給するために第6スイッチング手段が設けられている、請求項13に記載の補正装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−267364(P2007−267364A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−10175(P2007−10175)
【出願日】平成19年1月19日(2007.1.19)
【出願人】(506211850)キモンダ アクチエンゲゼルシャフト (110)
【Fターム(参考)】