説明

コネクタ押さえ部材、および電子機器

【課題】コネクタによる接続の信頼性を向上し、放熱性を向上させたコネクタ押さえ部材、およびこのようなコネクタ押さえ部材を適用した電子機器を提供する。
【解決手段】コネクタ押さえ部材1は、フレキシブルプリント配線板2の第1端部21に形成されたコネクタ22を接続先の電子回路基板3の方へ押さえる。コネクタ押さえ部材1は、コネクタ22を押さえる平面部11と、電子回路基板3に沿ってフレキシブルプリント配線板2の延長方向Dexに平面部11から延長された延長部12を備え、延長部12は、電子回路基板3から離れる方向Dspへ湾曲した湾曲部13を先端に備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続先の電子回路基板へ接続するコネクタを押さえるコネクタ押さえ部材、このようなコネクタ押さえ部材を適用した電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アクチュエータを用いて被駆動体を軸まわりに回転駆動させる駆動装置が提案されている。このような駆動装置は、例えばカメラの撮影範囲を拡大させることから、周囲の状況を広い範囲で撮影する必要があるセキュリティカメラ等では広く用いられている。
【0003】
撮像装置の機能の向上などに伴って、防犯、監視などのためのセキュリティカメラが増えている。セキュリティカメラは、撮影範囲を時刻に応じて変更したりするためにアクチュエータ(可動制御機構)などを適用して撮影方向を制御する可動部を有することが多く、可動部に配置された電子回路基板と固定部に配置された電子回路基板との接続には、薄型で占有面積(占有体積)を小型化できるフレキシブルプリント配線板(フレキシブルプリントケーブル)が適用されることが多くなっている。
【0004】
フレキシブルプリント配線板と電子回路基板との接続は、フレキシブルプリント配線板のコネクタを電子回路基板が有するレセプタクル(受け入れ部)に嵌め込むことで実現している。
【0005】
従来は、フレキシブルプリント配線板のコネクタと電子回路基板のレセプタクルとは互いに嵌め込まれて接続されているので、可動部の移動に伴ってフレキシブルプリント配線板が変形したとき、嵌め込み状態が解除される虞があり、特に長期間の使用での接続の信頼性を低下させる虞がある。
【0006】
また、可動部に配置された電子回路基板に発熱量の多い電子部品が実装された場合などでは、可動部に配置された電子回路基板に対する放熱性を確保する必要があり、放熱性を確保できないときは電子部品の温度上昇に伴う特性の低下が生じる。例えば、セキュリティカメラの撮像部分(撮像素子)が可動部の電子回路基板に実装された場合、撮像素子は、発熱量が多いことから、放熱特性の改善に工夫が必要となる。仮に、放熱特性が十分でなく、撮像素子の温度が上昇するとノイズが増え、撮影画像の画質が悪化するという問題がある。電子回路基板に接続されたフレキシブルプリント配線板は、空間に配置されることが多いことから、フレキシブルプリント配線板そのものを放熱板として利用するしかなく、十分な放熱性を得ることが困難であった。
【0007】
また、フレキシブルプリント配線板の曲がりの変化が大きくなるときは、曲がりの変化の大きさがそのままフレキシブルプリント配線板の曲がりを制御する回転制御部に加わる負荷の変動となるので、回転制御部の回転位置精度の低下を生じる虞がある。
【0008】
電子部品に対する放熱性を改善するために、発熱部品に対する放熱対策を施すための放熱兼用シールド板が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に開示のバネ性を持たせたシールド板を用いる場合は、両側の穴にバネ性を有するシールド板をはめて発熱部材と弾性接触させる必要があり、シールド部材の部品形状が複雑になるとともに、グランド部と十分大きな接触面積をとることが難しいため、シールド効果が十分得られないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−289753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、コネクタを押さえる新規な構造によって、コネクタによる接続の信頼性を向上し、接続先の電子回路基板からの熱を効率的に放熱するコネクタ押さえ部材を提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、本発明に係るコネクタ押さえ部材を備えることによって、負荷(フレキシブルプリント配線板)の変動を抑制し、フレキシブルプリント配線板の変動に対する回転位置精度を向上させた電子機器を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るコネクタ押さえ部材は、フレキシブルプリント配線板の第1端部に形成されたコネクタを接続先の電子回路基板の方へ押さえるコネクタ押さえ部材であって、前記コネクタを押さえる平面部と、前記電子回路基板に沿って前記フレキシブルプリント配線板の延長方向に前記平面部から延長された延長部を備え、前記延長部は、前記電子回路基板から離れる方向へ湾曲した湾曲部を先端に備えていることを特徴とする。
【0013】
したがって、本発明に係るコネクタ押さえ部材は、フレキシブルプリント配線板が電子回路基板から離れる方向へ変形する場合に、延長部でフレキシブルプリント配線板の変形を抑制するので、フレキシブルプリント配線板の変形によるコネクタと電子回路基板との間の接続状態(接続強度)に対する影響を抑制し、フレキシブルプリント配線板(コネクタ)の電子回路基板への接続の信頼性を向上させる。また、本発明に係るコネクタ押さえ部材は、フレキシブルプリント配線板と延長部の端面との相互接触を湾曲部によって防止するので、延長部によるフレキシブルプリント配線板の損傷を抑制し、フレキシブルプリント配線板の電子回路基板への接続の信頼性を向上させる。また、本発明に係るコネクタ押さえ部材は、フレキシブルプリント配線板に常に接触した状態となっているので、フレキシブルプリント配線板からの熱を効果的に放熱する。
【0014】
本発明に係るコネクタ押さえ部材では、金属材料で形成されていることを特徴とする。
【0015】
したがって、本発明に係るコネクタ押さえ部材は、金属材料で形成されているので、コネクタ(フレキシブルプリント配線板)を弾性的に押さえる弾性作用、また、外部から入射するノイズに対するシールド作用を有する。
【0016】
本発明に係るコネクタ押さえ部材では、前記電子回路基板の接地電位部に接続されていることを特徴とする。
【0017】
したがって、本発明に係るコネクタ押さえ部材は、接地電位を維持するので、外部から入射するノイズを確実に遮蔽し、ノイズによる影響を防止する。
【0018】
本発明に係るコネクタ押さえ部材では、前記平面部は、前記延長部に対する反対側に前記電子回路基板の側へ折り曲げられた折り曲げ部を備えることを特徴とする。
【0019】
したがって、本発明に係るコネクタ押さえ部材は、延長部とは反対側の折り曲げ部で、外来ノイズを遮蔽し、コネクタと電子回路基板との接続部分に対する外部からの物理的な影響を防止するので、コネクタと電気回路基板との接続に対する信頼性を向上させる。
【0020】
また、本発明に係る電子機器は、フレキシブルプリント配線板の第1端部に形成されたコネクタが接続された電子回路基板と、前記第1端部とは反対側の前記フレキシブルプリント配線板の第2端部が接続され機器フレームに固定された固定電子回路基板と、前記電子回路基板が実装された矩形状の実装枠体と、前記実装枠体の対向する一対の枠部材を貫く単一軸線を構成するように配置され前記固定電子回路基板と平行に配置されて前記枠部材を平行に回転させる回転軸とを備えた電子機器であって、前記コネクタを前記電子回路基板の方へ押さえるコネクタ押さえ部材を備え、前記コネクタは、前記電子回路基板の1辺に沿って配置され、前記フレキシブルプリント配線板は、前記コネクタから前記電子回路基板の中央側へ向かって延長するように配置されてあり、前記電子回路基板と前記固定電子回路基板とは、前記回転軸を中心に前記電子回路基板を回転させて前記電子回路基板と前記固定電子回路基板とを対向させたとき、前記フレキシブルプリント配線板がU字状に湾曲するように配置されてあり、前記コネクタ押さえ部材は、本発明に係るコネクタ押さえ部材であることを特徴とする。
【0021】
したがって、本発明に係る電子機器は、電子回路基板とフレキシブルプリント配線板とが相互に離れる方向へ電子回路基板を回転させた場合に、コネクタ押さえ部材によって第1端部(コネクタ)でのフレキシブルプリント配線板と電子回路基板との接続状態(接続強度)を維持するので、フレキシブルプリント配線板と電子回路基板との接続の信頼性を向上させる。
【0022】
また、本発明に係る電子機器は、フレキシブルプリント配線板がコネクタ押さえ部材の延長部に広い面積で精度良く押し付けられるので、フレキシブルプリント配線板からの熱をコネクタ押さえ部材によって効果的に放熱する。
【0023】
また、本発明に係る電子機器は、電子回路基板とフレキシブルプリント配線板とを相互に離れる方向に回転させた場合に、回転に伴うフレキシブルプリント配線板の変形量が抑制されるので、実装枠体の回転を制御する回転制御部に加わる負荷(フレキシブルプリント配線板)の変動を抑制し、回転制御部の回転位置精度を向上させる。
【0024】
また、本発明に係る電子機器では、前記コネクタ押さえ部材の延長部は、前記回転軸に対向する位置まで延長されていることを特徴とする。
【0025】
したがって、本発明に係る電子機器は、延長部(コネクタ押さえ部材)とフレキシブルプリント配線板との接触面積を拡大するので、コネクタ押さえ部材の放熱作用を高める。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係るコネクタ押さえ部材は、コネクタを押さえる平面部と、電子回路基板に沿ってフレキシブルプリント配線板の延長方向に平面部から延長された延長部を備え、延長部は、電子回路基板から離れる方向へ湾曲した湾曲部を先端に備えている。
【0027】
したがって、本発明に係るコネクタ押さえ部材は、フレキシブルプリント配線板が電子回路基板から離れる方向へ変形する場合に、延長部でフレキシブルプリント配線板の変形を抑制するので、フレキシブルプリント配線板の変形によるコネクタと電子回路基板との間の接続状態(接続強度)に対する影響を抑制し、フレキシブルプリント配線板(コネクタ)の電子回路基板への接続の信頼性を向上させるという効果を奏する。
【0028】
また、本発明に係るコネクタ押さえ部材は、フレキシブルプリント配線板と延長部の端面との相互接触を湾曲部によって防止するので、延長部によるフレキシブルプリント配線板の損傷を抑制し、フレキシブルプリント配線板の電子回路基板への接続の信頼性を向上させるという効果を奏する。
【0029】
また、本発明に係るコネクタ押さえ部材は、フレキシブルプリント配線板に常に接触した状態(平面部)となっているので、フレキシブルプリント配線板からの熱を効果的に放熱するという効果を奏する。
【0030】
また、本発明に係る電子機器は、コネクタを電子回路基板の方へ押さえるコネクタ押さえ部材を備え、コネクタは、電子回路基板の1辺に沿って配置され、フレキシブルプリント配線板は、コネクタから電子回路基板の中央側へ向かって延長するように配置されてあり、電子回路基板と固定電子回路基板とは、回転軸を中心に電子回路基板を回転させて電子回路基板と固定電子回路基板とを対向させたとき、フレキシブルプリント配線板がU字状に湾曲するように配置されてあり、コネクタ押さえ部材は、本発明に係るコネクタ押さえ部材である。
【0031】
したがって、本発明に係る電子機器は、電子回路基板とフレキシブルプリント配線板とが相互に離れる方向へ電子回路基板を回転させた場合に、コネクタ押さえ部材によって第1端部(コネクタ)でのフレキシブルプリント配線板と電子回路基板との接続状態(接続強度)を維持するので、フレキシブルプリント配線板と電子回路基板との接続の信頼性を向上させるという効果を奏する。
【0032】
また、本発明に係る電子機器は、フレキシブルプリント配線板がコネクタ押さえ部材の延長部に広い面積で精度良く押し付けられるので、フレキシブルプリント配線板からの熱をコネクタ押さえ部材によって効果的に放熱するという効果を奏する。
【0033】
また、本発明に係る電子機器は、電子回路基板とフレキシブルプリント配線板とを相互に離れる方向に回転させた場合に、回転に伴うフレキシブルプリント配線板の変形量が抑制されるので、実装枠体の回転を制御する回転制御部に加わる負荷(フレキシブルプリント配線板)の変動を抑制し、回転制御部の回転位置精度を向上させるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施の形態1に係るコネクタ押さえ部材の適用状態の概要を示す斜視図である。
【図2A】図1に示したコネクタ押さえ部材の適用状態を分解して電子回路基板の概要を示す斜視図である。
【図2B】図1に示したコネクタ押さえ部材の適用状態を分解してフレキシブルプリント配線板の概要を示す斜視図である。
【図2C】図1に示したコネクタ押さえ部材の適用状態を分解してコネクタ押さえ部材の概要を示す斜視図である。
【図3】図1のコネクタ押さえ部材の適用状態について延長部の延長方向での断面を拡大して示す拡大断面図である。
【図4A】本発明の実施の形態2に係る電子機器の概要をコネクタ押さえ部材の側から見た状態を示す斜視図である。
【図4B】図4Aに示した電子機器のコネクタ押さえ部材、電子回路基板、実装枠体の配置状態の概要を示す正面図である。
【図4C】図4Aに示した電子機器のコネクタ押さえ部材、電子回路基板、実装枠体の配置状態の概要を示す側面図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係る電子機器の概要をコネクタ押さえ部材とは反対の側から見て示す斜視図である。
【図6A】実施の形態2に係る電子機器(図7A)との比較をするための比較例としての電子機器での第1回転状態を説明する側面図である。
【図6B】実施の形態2に係る電子機器(図7B)との比較をするための比較例としての電子機器での第2回転状態を説明する側面図である。
【図6C】実施の形態2に係る電子機器(図7C)との比較をするための比較例としての電子機器での第3回転状態を説明する側面図である。
【図7A】実施の形態2に係る電子機器でのフレキシブルプリント配線板の第1回転状態を説明する側面図である。
【図7B】実施の形態2に係る電子機器でのフレキシブルプリント配線板の第2回転状態を説明する側面図である。
【図7C】実施の形態2に係る電子機器でのフレキシブルプリント配線板の第3回転状態を説明する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0036】
<実施の形態1>
図1ないし図3を参照して、本実施の形態に係るコネクタ押さえ部材について説明する。
【0037】
図1は、本発明の実施の形態1に係るコネクタ押さえ部材の適用状態の概要を示す斜視図である。
【0038】
本実施の形態に係るコネクタ押さえ部材1は、フレキシブルプリント配線板2の第1端部21に形成されたコネクタ22を接続先の電子回路基板3の方へ押さえる。また、コネクタ押さえ部材1は、コネクタ22を押さえる平面部11と、電子回路基板3に沿ってフレキシブルプリント配線板2の延長方向Dexに平面部11から延長された延長部12を備え、延長部12は、電子回路基板3から離れる方向Dspへ湾曲した湾曲部13を先端に備えている。
【0039】
したがって、本実施の形態に係るコネクタ押さえ部材1は、フレキシブルプリント配線板2が電子回路基板3から離れる方向Dspへ変形(変位)する場合に、延長部12でフレキシブルプリント配線板2の変形を抑制するので、フレキシブルプリント配線板2の変形によるコネクタ22と電子回路基板3との間の接続状態(接続強度)に対する影響を抑制し、フレキシブルプリント配線板2(コネクタ22)の電子回路基板3への接続の信頼性を向上させる。つまり、コネクタ22が電子回路基板3(レセプタクル31)から外れることを防止する。
【0040】
また、本実施の形態に係るコネクタ押さえ部材1は、フレキシブルプリント配線板2と延長部12(湾曲部13)の端面13tとの相互接触を湾曲部13によって防止するので、延長部12によるフレキシブルプリント配線板2の損傷を抑制し、フレキシブルプリント配線板2の電子回路基板3への接続の信頼性を向上させる。
【0041】
また、本実施の形態に係るコネクタ押さえ部材1は、フレキシブルプリント配線板2に常に接触した状態となっているので、フレキシブルプリント配線板2からの熱を効果的に放熱する。
【0042】
コネクタ押さえ部材1の平面部11は、フレキシブルプリント配線板2のコネクタ22を電子回路基板3の方へ均等に押さえる。平面部11は、平面部11から電子回路基板3の側へ延長され電子回路基板3へ連結される連結部15を備える。
【0043】
連結部15は、電子回路基板3へコネクタ押さえ部材1を取り付けるために、垂直部15vと取り付け部15jとを有する。
【0044】
垂直部15vは、フレキシブルプリント配線板2の延長方向Dexと直交する幅方向の両側で電子回路基板3に対して垂直方向となるように配置され、フレキシブルプリント配線板2の延長方向Dexでコネクタ22を押さえるのに必要な幅を有する。
【0045】
取り付け部15jは、垂直部15vが電子回路基板3に当たる位置から電子回路基板3と平行に延長して配置され、取り付け部15jは、固定部16を介して電子回路基板3へ固定される。
【0046】
つまり、連結部15(取り付け部15j)は、固定手段である固定部16によって電子回路基板3へ固定され、平面部11(コネクタ押さえ部材1)は、コネクタ22を電子回路基板3の方へ押さえる。固定部16には、締結具、接着剤などが適用される。本実施の形態では、固定部16として締結具(ネジ)が利用されている。
【0047】
コネクタ押さえ部材1は、電子回路基板3の接地電位部32に接続されていることが望ましい。接地電位部32を露出させ、コネクタ押さえ部材1を導電性材料で構成し、相互に締結することで相互の電気的導通を取ることができる。したがって、本実施の形態に係るコネクタ押さえ部材1は、接地電位を維持するので、外部から入射するノイズを確実に遮蔽し、ノイズによる影響を防止する。
【0048】
コネクタ22は、レセプタクル31に対応させて電子回路基板3の1辺に沿って配置されている。また、コネクタ押さえ部材1の延長部12は、電子回路基板3の1辺から電子回路基板3の中心側へ延長されている。つまり、コネクタ押さえ部材1は、レセプタクル31、コネクタ22(フレキシブルプリント配線板2)を覆う形態とされている。したがって、本実施の形態に係るコネクタ押さえ部材1は、上述した作用効果を発揮することができる。
【0049】
図2Aは、図1に示したコネクタ押さえ部材の適用状態を分解して電子回路基板の概要を示す斜視図である。
【0050】
電子回路基板3は、適宜の機能を組み込んだ電子回路部であり、一般的なプリント配線板として構成される。電子回路基板3の1辺に沿ってコネクタ22に対する受け口となるレセプタクル31が配置されている。
【0051】
また、固定部16を構成する締結具が貫通して締結される締結穴33が固定部16(固定穴18(図2C参照))に対応させて形成されている。少なくとも一方の締結穴33に対応させて接地電位部32の配線パターンが配置(形成)されているので、コネクタ押さえ部材1(図1、図2C)を締結したとき、コネクタ押さえ部材1が接地電位部32に接続される。
【0052】
図2Aは、締結穴33が2か所に形成された状態を示す。いずれの締結穴33も固定部16に対応する構成とされている。
【0053】
図2Bは、図1に示したコネクタ押さえ部材の適用状態を分解してフレキシブルプリント配線板の概要を示す斜視図である。なお、コネクタ22が配置されている側の面を示す。
【0054】
フレキシブルプリント配線板2は、外部からの電気信号の送信、受信を行い、また、電子回路基板3で必要とする電力を外部から供給する構成とされている。つまり、電気信号を送信、受信する信号用の配線、電源電圧を供給する電源用の配線が形成されている。したがって、フレキシブルプリント配線板2は、ケーブル(フレキシブルプリントケーブル)として機能する。
【0055】
フレキシブルプリント配線板2の第1端部21には、レセプタクル31に対応する端子を有するコネクタ22が形成され、レセプタクル31の端子に接続される。フレキシブルプリント配線板2は、一般的な可撓性配線基板材料で形成される。
【0056】
図2Cは、図1に示したコネクタ押さえ部材の適用状態を分解してコネクタ押さえ部材の概要を示す斜視図である。
【0057】
コネクタ押さえ部材1は、平面部11、延長部12、湾曲部13、端面13t、連結部15(垂直部15v、取り付け部15j)、固定穴18を備える。固定穴18は、固定部16の締結具が貫通するように締結穴33に対応させて形成される。
【0058】
コネクタ押さえ部材1は、金属材料で形成されていることが望ましい。この構成によれば、コネクタ押さえ部材1は、金属材料で形成されているので、コネクタ22(フレキシブルプリント配線板2)を弾性的に押さえる弾性作用、また、外部から入射するノイズに対するシールド作用を有する。厚さを約0.1mmないし0.3mm程度として撓みを持たせることによって弾性を持たせることができる。
【0059】
金属材料としては、ステンレス、あるいは、ステンレスにニッケルメッキ処理(あるいはニッケルメッキ処理に替えて銅系材料メッキ処理)を施したものとすることが望ましい。
【0060】
また、平面部11(コネクタ押さえ部材1)は、延長部12に対する反対側に電子回路基板3の側へ折り曲げられた折り曲げ部17を備える。
【0061】
したがって、コネクタ押さえ部材1は、延長部12とは反対側の折り曲げ部17で、外来ノイズを遮蔽し、コネクタ22と電子回路基板3との接続部分(レセプタクル31)に対する外部からの物理的な影響を防止するので、コネクタ22と電気回路基板との接続に対する信頼性を向上させる。
【0062】
図3は、図1のコネクタ押さえ部材の適用状態について延長部の延長方向での断面を拡大して示す拡大断面図である。
【0063】
電子回路基板3に形成されたレセプタクル31にフレキシブルプリント配線板2(コネクタ22)が接続され、フレキシブルプリント配線板2(コネクタ22)を押さえる形態でコネクタ押さえ部材1が配置される。レセプタクル31とコネクタ22とは、相互に嵌め込みされる構成である。ここでは、レセプタクル31の凹部にコネクタ22の凸部が挿入される。なお、嵌め込みされる形態を例示したがこれに限るものではない。
【0064】
連結部15(垂直部15v、取り付け部15j)、折り曲げ部17は、平面部11の延長部分を適宜折り曲げる板金加工で形成される。延長部12は、平面部11を延長して形成され、湾曲部13は、延長部12の先端を電子回路基板3とは反対側に向かうように適宜湾曲させることで形成される。
【0065】
<実施の形態2>
図4Aないし図5を参照して、本実施の形態に係る電子機器について説明する。本実施の形態に係る電子機器は、実施の形態1に係るコネクタ押さえ部材1を適用した電子機器である。電子機器は、具体的には、例えばセキュリティー対応の監視カメラなどである。実施の形態1のコネクタ押さえ部材1を採用した電子機器について説明する。また、電子機器には、実施の形態1で説明した電子回路基板3が予め配置されている。
【0066】
図4Aは、本発明の実施の形態2に係る電子機器の概要をコネクタ押さえ部材の側から見た状態を示す斜視図である。
【0067】
図4Bは、図4Aに示した電子機器のコネクタ押さえ部材、電子回路基板、実装枠体の配置状態の概要を示す正面図である。なお、図面の見やすさを考慮してフレキシブルプリント配線板2を省略している。
【0068】
図4Cは、図4Aに示した電子機器のコネクタ押さえ部材、電子回路基板、実装枠体の配置状態の概要を示す側面図である。なお、図面の見やすさを考慮してフレキシブルプリント配線板2を省略している。
【0069】
本実施の形態に係る電子機器5は、フレキシブルプリント配線板2の第1端部21に形成されたコネクタ22が接続された電子回路基板3と、第1端部21とは反対側のフレキシブルプリント配線板2の第2端部24が接続され機器フレーム51に固定された固定電子回路基板52と、電子回路基板3が実装された矩形状の実装枠体53とを備える。
【0070】
また、電子機器5は、実装枠体53の対向する一対の枠部材53a、枠部材53cを貫く単一軸線Axを構成するように配置され固定電子回路基板52と平行に配置されて枠部材53a、枠部材53cを平行に回転させる回転軸55を備える。回転軸55を回転中心として実装枠体53(枠部材53a、枠部材53b)を回転させると、電子回路基板3を一定の範囲内で回転(首振り変位)させることができる。
【0071】
また、電子機器5は、コネクタ22を電子回路基板3の方へ押さえるコネクタ押さえ部材1を備え、コネクタ22は、電子回路基板3の1辺に沿って配置され、フレキシブルプリント配線板2は、コネクタ22から電子回路基板3の中央側へ向かって延長するように配置されてあり、電子回路基板3と固定電子回路基板52とは、回転軸55を中心に電子回路基板3を回転させて電子回路基板3と固定電子回路基板52とを対向させたとき(図7A参照)、フレキシブルプリント配線板2がU字状に湾曲するように配置されてあり(図7A参照)、コネクタ押さえ部材1は、実施の形態1に記載のコネクタ押さえ部材1である。
【0072】
したがって、本実施の形態に係る電子機器5は、電子回路基板3とフレキシブルプリント配線板2とが相互に離れる方向Dsp(図4C参照)へ電子回路基板3を回転させた場合、あるいは、電子回路基板3とフレキシブルプリント配線板2とを相互に近づく方向Dcb(図4C参照)へ回転させた場合に、コネクタ押さえ部材1によって第1端部21(コネクタ22)でのフレキシブルプリント配線板2と電子回路基板3との間での接続状態(接続強度)を維持するので、フレキシブルプリント配線板2と電子回路基板3との接続の信頼性を向上させる。
【0073】
また、本実施の形態に係る電子機器5は、コネクタ押さえ部材1の延長部12が電子回路基板3の1辺から電子回路基板3の中央側へ延長され、フレキシブルプリント配線板2がコネクタ押さえ部材1の延長部12に広い面積で精度良く押し付けられるので、フレキシブルプリント配線板2からの熱をコネクタ押さえ部材1によって効果的に放熱する。
【0074】
また、本実施の形態に係る電子機器5は、コネクタ押さえ部材1を備えることから、電子回路基板3とフレキシブルプリント配線板2とを相互に離れる方向Dsp(図4C参照)へ回転させた場合、あるいは、電子回路基板3とフレキシブルプリント配線板2とを相互に近づく方向Dcb(図4C参照)へ回転させた場合に、回転に伴うフレキシブルプリント配線板2の変形量が抑制されるので、実装枠体53の回転を制御する回転制御部56(アクチュエータ56f、減速機構56s)に加わる負荷(フレキシブルプリント配線板2)の変動を抑制し、回転制御部56の回転位置精度を向上させる。なお、コネクタ押さえ部材1による作用効果については、図7Bで詳細を説明する。
【0075】
実装枠体53は、例えば額縁状の枠体で構成することができる。実装枠体53は、例えば枠部材53a、枠部材53b、枠部材53c、枠部材53dで構成される。枠部材53a、枠部材53b、枠部材53c、枠部材53dが構成する実装枠体53の平面と平行に電子回路基板3が配置される。つまり、電子回路基板3は、実装枠体53に実装される。
【0076】
回転軸55が単一軸線Axを構成して電子回路基板3(実装枠体53)を回転させるように回転軸55を実装枠体53に配置するためには、枠部材53a、枠部材53b、枠部材53c、枠部材53dの内、少なくとも対向する一対(枠部材53a、枠部材53c)があれば良い。回転軸55は、機器フレーム51に固定された回転支持フレーム51rに支持され、機器フレーム51を基準位置(固定位置)として、実装枠体53(電子回路基板3)を回転軸55の周りで回転させる。機器フレーム51は、電子機器5の例えば外形を構成する筐体の一部である。
【0077】
実装枠体53は、個別の4つの枠部材53a、53b、53c、53dを組み立てて形成されても良いが、生産性、精度などを考慮すれば、4つの枠部材53a、53b、53c、53dを予め一体物として成形することが望ましい。
【0078】
電子回路基板3は、締結部35(本実施の形態では、電子回路基板3の4隅に対応させて4か所配置している。)を介して実装枠体53へ締結されるので、回転軸55を中心に実装枠体53を回転させる(枠部材53aと枠部材53cを平行に回転させる)と、電子回路基板3も回転する。つまり、電子回路基板3は、可動状態の基板とされている。
【0079】
なお、コネクタ押さえ部材1の連結部15に対応する締結部35(コネクタ押さえ部材1の側に配置された締結部35)は、固定部16と兼ねた構成とすることによって、締結構造を簡略化することができる。
【0080】
電子回路基板3は、例えば、枠部材53a、枠部材53b、枠部材53c、枠部材53dの端面によって構成される実装枠体53の平面に締結された状態とされているがこれに限らず、実装枠体53の内側に収容され、フレキシブルプリント配線板2のコネクタ22に対応する部分を露出させた形態とすることもできる。
【0081】
回転軸55は、機器フレーム51に固定された回転支持フレーム51rに支持され、回転制御部56による駆動によって回転する。したがって、実装枠体53(電子回路基板3)を回転軸55の周囲の円周方向で回転させる。フレキシブルプリント配線板2は、電子回路基板3の回転にしたがって、変形することになる。
【0082】
つまり、回転軸55は、回転制御部56によって回転を制御される。回転制御部56は、アクチュエータ56fおよび減速機構56sによって構成される。アクチュエータ56fは、例えばステッピングモータで構成されている。アクチュエータ56fの出力軸に減速機構56sが設けられている。アクチュエータ56fは、機器フレーム51にネジ等の締結部材で固定されている。
【0083】
本実施の形態に係る電子機器5では、コネクタ押さえ部材1の延長部12は、回転軸55に対向する位置まで延長されていることが望ましい。この構成によって、電子機器5は、延長部12(コネクタ押さえ部材1)とフレキシブルプリント配線板2との接触面積を拡大するので、コネクタ押さえ部材1の放熱作用を高める。
【0084】
なお、延長部12がコネクタ22の側から回転軸55の位置を越えて配置されると、フレキシブルプリント配線板2の位置が実装枠体53を越える(図7Bの状態としたとき、C字状となったフレキシブルプリント配線板2の頂点(固定電子回路基板52から垂直方向で最も離れた位置)が実装枠体53の最上部よりさらに高くなる状態となる。)ことから、全体のサイズが大きくなるので、電子機器5の筐体サイズを縮小して小型化するためには望ましくない。
【0085】
電子機器5の通常の使用状態では、実装枠体53、および電子回路基板3は、離れる方向Dsp、あるいは、離れる方向Dspとは逆の近づく方向Dcbへ回転するように制御される。つまり、図4A(図5)の状態と、図4A(図5)の状態に対して撮影方向Dcmが反対方向になる状態との間で回転(180度回転)するように制御される(図7A、図7B、図7C参照)。
【0086】
図5は、本発明の実施の形態2に係る電子機器の概要をコネクタ押さえ部材とは反対の側から見て示す斜視図である。
【0087】
実装枠体53(電子機器5)の正面側が主に表れた状態となる。実装枠体53は、具体的には例えばカメラモジュールの外形を構成している。したがって、実装枠体53の内側にはカメラのレンズ光学系を構成する内部機構54が配置されている。
【0088】
つまり、実装枠体53の内側にはカメラモジュールが配置され、電子回路基板3は、内部機構54(カメラモジュールのレンズ光学系)のレンズ系の焦点を制御し、また、内部機構54のレンズ系を介して撮影した映像に応じた映像信号を電気信号として取り出す。
【0089】
電源電圧、あるいは駆動信号などは、固定電子回路基板52からフレキシブルプリント配線板2(フレキシブルプリントケーブル)を介して電子回路基板3へ供給され、電子回路基板3からの電気信号は、フレキシブルプリント配線板2を介して固定電子回路基板52へ送信される。
【0090】
なお、内部機構54(カメラモジュール)に配置されたレンズ系の光軸が撮影方向Dcmを構成し、撮影方向Dcmは、電子回路基板3に対して常に垂直方向となる。
【0091】
電子回路基板3には、内部機構54を介して入力された光信号を受光して光電変換する撮像素子が実装されている。撮像素子は画像撮影時の発熱量が大きいことから、電子回路基板3の温度の上昇をもたらし、結果として、撮像素子の温度を昇温することとなる。撮像素子は温度が上昇するとノイズが多くなり、撮影画像の画質が悪化する。
【0092】
電子機器5は、コネクタ押さえ部材1を採用していることから、コネクタ22、フレキシブルプリント配線板2を広い面積で覆うことから、コネクタ22、フレキシブルプリント配線板2からコネクタ押さえ部材1へ効率良く熱伝導を行えるので、コネクタ押さえ部材1を介して電子回路基板3からの熱を効率的に放熱することが可能となる。
【0093】
<実施の形態3>
本実施の形態では、実施の形態1に係るコネクタ押さえ部材1を適用した実施の形態2に係る電子機器5でのコネクタ押さえ部材1の作用効果について説明する。
【0094】
まず、コネクタ押さえ部材1を採用しない状態の電子機器(比較例としての電子機器5c)でのフレキシブルプリント配線板2の変形状態(変位状態)について、図6Aないし図6Cを参照して説明する。
【0095】
その後、実施の形態2に係る電子機器5でのフレキシブルプリント配線板2の変形状態(変位状態)でのコネクタ押さえ部材1(電子機器5)の作用効果について、図7Aないし図7Cを参照して説明する。
【0096】
なお、図6Aないし図7Cでは、図の見やすさを考慮して、電子回路基板3、実装枠体53、回転軸55、コネクタ押さえ部材1、フレキシブルプリント配線板2、固定電子回路基板52が主に図示され、例えば回転支持フレーム51rなどの図示は省略している。なお、中間的な変形状態(回転位置)を第1回転状態として説明する。
【0097】
比較例としての電子機器5cは、実施の形態1に係るコネクタ押さえ部材1が設けられていない点が実施の形態2に係る電子機器5に比較して異なる。その他の構成要素については、電子機器5と同様である。したがって、便宜上、比較例は電子機器5cとして説明するが、電子機器5cを構成する各構成要素については、実施の形態2の電子機器5での符号をそのまま援用して説明する。
【0098】
図6Aは、実施の形態2に係る電子機器(図7A)との比較をするための比較例としての電子機器での第1回転状態を説明する側面図である。つまり、図6Aは、フレキシブルプリント配線板2の第1回転状態を示す。
【0099】
第1回転状態では、電子回路基板3と固定電子回路基板52とはフレキシブルプリント配線板2を挟んで相互にほぼ平行な状態で対向する。撮影方向Dcm(図5参照)は電子回路基板3に対して垂直であるから、第1回転状態での撮影方向である第1撮影方向Dcm1は、固定電子回路基板52に対して垂直方向となる。
【0100】
第1撮影方向Dcm1は、回転軸55に対して電子回路基板3(固定電子回路基板52、フレキシブルプリント配線板2)が配置された側とは逆の方向を向く。
【0101】
電子機器5cでは、回転軸55を回転中心として回転する電子回路基板3(実装枠体53)と機器フレーム51に固定された固定電子回路基板52とを相互に対向させてフレキシブルプリント配線板2をU字状(J字状)とした状態が第1回転状態となる。
【0102】
第1回転状態の電子機器5cは、電子回路基板3(第1端部21、コネクタ22が接続された側)と固定電子回路基板52(第2端部24が接続された側)を相互にほぼ平行な状態としていることから、第1端部21の周囲および第2端部24の周囲でフレキシブルプリント配線板2は、相互にほぼ平行な状態となっている。
【0103】
第1回転状態でのフレキシブルプリント配線板2の曲がり方は、電子回路基板3と固定電子回路基板52との間に配置されたフレキシブルプリント配線板2の第1端部21と第2端部24との間で構成された半円状態の半円部2cの曲げ半径Rp1で示すことができる。つまり、フレキシブルプリント配線板2の第1回転状態での曲がりの範囲は、曲げ半径Rp1で画定される。
【0104】
第1回転状態では、曲げ半径Rp1は、電子回路基板3と固定電子回路基板52との間の間隔、第1端部21と第2端部24との間隔、フレキシブルプリント配線板2の長さで規定される関係となるが、電子機器5cの構造によって多少の形状の相違が生じる。
【0105】
第1回転状態では、電子回路基板3に対して垂直方向(交差方向)の第1撮影方向Dcm1は、固定電子回路基板52に対しても垂直方向(交差方向)となり、電子回路基板3と固定電子回路基板52との間にフレキシブルプリント配線板2が配置される。
【0106】
電子回路基板3の1辺に沿って配置されフレキシブルプリント配線板2の第1端部21に形成されたコネクタ22は、固定電子回路基板52に対向する面で電子回路基板3に接続され、フレキシブルプリント配線板2の第2端部24は、電子回路基板3に対向する面で固定電子回路基板52に接続されている。
【0107】
電子回路基板3での第1端部21の位置は半円部2cから離れる側であることから、フレキシブルプリント配線板2は、電子回路基板3に対してほぼ平行な状態を維持する形態となる。固定電子回路基板52での第2端部24の位置は半円部2cに近い側であることから、フレキシブルプリント配線板2の変位(変形)が容易になる形態とされている。
【0108】
フレキシブルプリント配線板2の形状はU字状に限らず、第1端部21および第2端部24の配置状態によっては、J字状と表現することも可能である。いずれの場合(U字状、J字状)でも、フレキシブルプリント配線板2の第1端部21に近い部分は、電子回路基板3にほぼ平行な状態となり、フレキシブルプリント配線板2の第2端部24に近い部分は、固定電子回路基板52にほぼ平行な状態となるようにフレキシブルプリント配線板2の長さが調整される。
【0109】
しかし、フレキシブルプリント配線板2において、第1端部21に近い部分と第2端部24に近い部分とが互いにほぼ平行な状態となることは、絶対的な前提条件ではなく、概略形状が「U」、「J」に近い状態となっていれば良い。フレキシブルプリント配線板2の長さは、フレキシブルプリント配線板2に対して予め設定された曲がりの範囲内で、電子回路基板3、実装枠体53の回転が自在に制御できる程度とされている。
【0110】
フレキシブルプリント配線板2の第1端部21(コネクタ22)での接続状態、第2端部24での接続状態は、曲げ半径Rp1による反力の影響を受け、接続状態が不安定な状態となる虞がある。つまり、コネクタ22がレセプタクル31から外れる方向での力が作用する。
【0111】
電子回路基板3が回転軸55を中心としてフレキシブルプリント配線板2から離れる方向Dsp、あるいは近づく方向Dcbへ回転すると、フレキシブルプリント配線板2の第1端部21(コネクタ22)と電子回路基板3との間では、フレキシブルプリント配線板2のほぼ平行な状態を維持していた部分が変形することから、コネクタ22と電子回路基板3との間に反力が作用し接続状態が不安定な状態となる。すなわち、最悪の場合には、コネクタ22とレセプタクル31との間での嵌め込み(接触状態)が外れる虞がある。
【0112】
固定電子回路基板52の面に平行な面を基準として水平基準位置Hzを想定した場合、第1撮影方向Dcm1は、水平基準位置Hz(固定電子回路基板52、電子回路基板3)に対して垂直方向となる。
【0113】
電子回路基板3(第1端部21が配置されていない辺)をフレキシブルプリント配線板2から離れる方向Dsp(図の上で時計回り)へ90度回転させると、第2回転状態(図6B参照)となり、第2回転状態での撮影方向である第2撮影方向Dcm2は、水平基準位置Hzと平行な方向で、回転軸55に対して半円部2cの位置とは逆の方向を向く。
【0114】
電子回路基板3をフレキシブルプリント配線板2へ近づく方向Dcb(図の上で反時計周り)へ90度回転させると、第3回転状態(図6C参照)となり、第3回転状態での撮影方向である第3撮影方向Dcm3は、水平基準位置Hzと平行な方向で、回転軸55に対して半円部2cの位置と同じ方向を向く。
【0115】
撮影方向として典型的な位置(90度の回転で定まる位置)である第1撮影方向Dcm1、第2撮影方向Dcm2、第3撮影方向Dcm3を例示したが、第2撮影方向Dcm2〜第1撮影方向Dcm1〜第3撮影方向Dcm3で規定された180度の範囲を連続的に(あるいは適宜のステップ角度毎に)撮影する構成とすることができる。
【0116】
図6Bは、実施の形態2に係る電子機器(図7B)との比較をするための比較例としての電子機器での第2回転状態を説明する側面図である。つまり、図6Bは、フレキシブルプリント配線板2の第2回転状態を示す。
【0117】
第2回転状態では、電子回路基板3と固定電子回路基板52とは相互に交差(直交)し、第2回転状態での撮影方向である第2撮影方向Dcm2は、回転軸55に対して半円部2cの位置とは逆の方向を向く。
【0118】
電子機器5cでは、電子回路基板3と固定電子回路基板52とがほぼ平行とされた第1回転状態から、電子回路基板3がフレキシブルプリント配線板2から離れる方向Dspへ回転軸55を回転中心として90度回転し、電子回路基板3は、固定電子回路基板52に対して交差(直交)するような配置状態となる。したがって、第2回転状態では、電子回路基板3に対して垂直方向の第2撮影方向Dcm2は、固定電子回路基板52に対して平行方向となる。
【0119】
第2回転状態でのフレキシブルプリント配線板2の曲がり方は、固定電子回路基板52に対して電子回路基板3が垂直方向となることから、電子回路基板3と固定電子回路基板52との間に配置されたフレキシブルプリント配線板2の第1端部21と第2端部24との間で構成された半円状態(C字状)の半円部2cの曲げ半径Rp2で示すことができる。つまり、フレキシブルプリント配線板2の第2回転状態での曲がりの範囲は、曲げ半径Rp2で画定される。
【0120】
第2回転状態でのフレキシブルプリント配線板2は、フレキシブルプリント配線板2の第1端部21と第2端部24とが交差する形態となり、第1端部21および第2端部24は、フレキシブルプリント配線板2の状態を第1回転状態の場合に比較してさらに広い領域で反らす方向となり、曲げ半径Rp2は曲げ半径Rp1よりさらに大きくなる(曲げ半径Rp2>曲げ半径Rp1)。つまり、フレキシブルプリント配線板2の曲がりの範囲(曲げ半径Rp2)は、第1回転状態、後述する第3回転状態に比較して第2回転状態で最大になる。
【0121】
フレキシブルプリント配線板2の第1端部21(コネクタ22)と電子回路基板3との接続部では、第1回転状態で電子回路基板3に対してほぼ平行な状態を維持していたフレキシブルプリント配線板2の部分が固定電子回路基板52の側へ引っ張られるように作用し、電子回路基板3に対して第1端部21、コネクタ22が反るような形態となることから、コネクタ22と電子回路基板3との間での接続状態が不安定な状態となる。つまり、第1回転状態から第2回転状態への変化は第1端部21での接続状態(接続強度)を低下させる方向に作用し、コネクタ22とレセプタクル31との間での嵌め込みが外れる虞がある。
【0122】
また、フレキシブルプリント配線板2の第2端部24と固定電子回路基板52との接続部では、第1回転状態で固定電子回路基板52に対してほぼ平行な状態を維持していたフレキシブルプリント配線板2の部分が電子回路基板3の側へ引っ張られるように作用し、固定電子回路基板52に対して第2端部24が反るような形態となることから、第2端部24(フレキシブルプリント配線板2)と固定電子回路基板52との間での接続状態が不安定な状態となる。しかし、固定電子回路基板52が固定されていることから、第2端部24では、第1端部21の側に比較すると比較的安定した接続状態を維持している。
【0123】
回転位置が変わることによって、第1回転状態の曲げ半径Rp1が第2回転状態の曲げ半径Rp2へ変化するときの曲げ半径の変化量、あるいは、第2回転状態の曲げ半径Rp2が第1回転状態の曲げ半径Rp1へ変化するときの曲げ半径の変化量は、曲げ半径Rp2と曲げ半径Rp1との差、つまり「曲げ半径Rp2−曲げ半径Rp1」で表され、電子機器5c(フレキシブルプリント配線板2)では、特に第1回転状態と第2回転状態との間での変化による曲げ半径の変化量が第1端部21(コネクタ22)での接続状態(接続強度)を低下させる方向に作用し、接続状態が不安定となり、接続の信頼性への影響が生じる。
【0124】
また、第1回転状態から第2回転状態への変化、あるいは、第2回転状態から第1回転状態への変化に伴う曲げ半径の変化量が大きいことから回転制御部56に加わる負荷の変動が大きくなり、回転制御部56による回転位置制御の精度を低下させる虞が生じる。
【0125】
図6Cは、実施の形態2に係る電子機器(図7C)との比較をするための比較例としての電子機器での第3回転状態を説明する側面図である。つまり、図6Cは、フレキシブルプリント配線板2の第3回転状態を示す。
【0126】
第3回転状態では、電子回路基板3と固定電子回路基板52とは相互に交差(直交)し、第3回転状態での撮影方向である第3撮影方向Dcm3は、回転軸55に対する半円部2cの位置に対して同じ方向を向くようになる。
【0127】
電子機器5cでは、電子回路基板3と固定電子回路基板52とが平行とされた第1回転状態から、電子回路基板3がフレキシブルプリント配線板2に対して近づく方向Dcbへ回転軸55を回転中心として90度回転し、電子回路基板3は、固定電子回路基板52に対して交差(直交)するような配置状態となる。したがって、第3回転状態では、電子回路基板3に対して垂直方向の第3撮影方向Dcm3は、固定電子回路基板52に対して平行方向となる。
【0128】
また、フレキシブルプリント配線板2は、第1端部21(コネクタ22)から電子回路基板3の端部3c(コネクタ22が配置された端部と反対側の端部)に向けて電子回路基板3に沿う形態となり、端部3cで固定電子回路基板52とほぼ平行な方向へ屈曲される。
【0129】
第3回転状態でのフレキシブルプリント配線板2の曲がり方は、固定電子回路基板52に対して電子回路基板3が垂直方向となり、端部3cで折り曲げられたフレキシブルプリント配線板2と第2端部24(固定電子回路基板52)との間で構成された半円状態の半円部2cの曲げ半径Rp3で示すことができる。つまり、フレキシブルプリント配線板2の第3回転状態での曲がりの範囲は、曲げ半径Rp3で画定される。
【0130】
第3回転状態でのフレキシブルプリント配線板2は、コネクタ22から端部3cまでの間では電子回路基板3に沿って配置され、端部3cから第2端部24の間に半円部2cを構成する。端部3cでのフレキシブルプリント配線板2は、第1回転状態、第2回転状態の場合に比較して固定電子回路基板52により近い位置に配置されることから、曲げ半径Rp3は曲げ半径Rp1より小さくなる(曲げ半径Rp1>曲げ半径Rp3)。つまり、フレキシブルプリント配線板2の曲がりの範囲(曲げ半径Rp3)は、第1回転状態、第2回転状態に比較して第3回転状態で最小になる。
【0131】
曲げ半径Rp3が小さいことからフレキシブルプリント配線板2の反力が大きくなり、第1端部21でのコネクタ22とレセプタクル31との間での接続を不安定にする虞がある。
【0132】
電子機器5cでは、例えば、回転状態が第2回転状態→第1回転状態→第3回転状態と推移し、フレキシブルプリント配線板2の曲がり状態が曲げ半径Rp2(最大)→曲げ半径Rp1→曲げ半径Rp3(最小)と変化すると、曲げ半径の変化は、そのまま回転制御部56に対する負荷の変動となり、回転位置精度を悪化させる虞がある。
【0133】
図7Aは、実施の形態2に係る電子機器でのフレキシブルプリント配線板の第1回転状態を説明する側面図である。なお、図7Aでの第1回転状態は、図6Aの第1回転状態と同一の状態であるので、適宜説明を省略する。
【0134】
コネクタ押さえ部材1を採用した電子機器5での第1回転状態は、図6Aの場合に対応するので、図6Aに対して主に異なる事項について説明する。基本的な状態は、図6Aの場合と同様である。
【0135】
第1回転状態では、電子回路基板3と固定電子回路基板52とは、相互に平行な状態で対向してフレキシブルプリント配線板2をU字状とする。フレキシブルプリント配線板2はコネクタ押さえ部材1(平面部11、延長部12)によって電子回路基板3に対する平行な状態を高精度に維持する。また、湾曲部13によってフレキシブルプリント配線板2の表面がコネクタ押さえ部材1と接触して損傷することを防止する。
【0136】
第1回転状態でのフレキシブルプリント配線板2の曲がり方は、曲げ半径Rf1で示される。つまり、フレキシブルプリント配線板2の第1回転状態での曲がりの範囲は、曲げ半径Rf1で画定される。なお、曲げ半径Rf1は、曲げ半径Rp1とほぼ同様な状態(曲げ半径Rf1≒曲げ半径Rp1)となる。
【0137】
第1回転状態では、第1端部21の近くのフレキシブルプリント配線板2は、コネクタ押さえ部材1が存在しない場合(図6A参照)でも電子回路基板3に沿った状態となっていたが、フレキシブルプリント配線板2の曲がりに伴う反力が存在することから、コネクタ押さえ部材1による作用効果は極めて有効となる。
【0138】
つまり、図7Aの場合(第1回転状態の場合)、フレキシブルプリント配線板2は、コネクタ押さえ部材1によって支持された状態となることから、コネクタ押さえ部材1の基本的な作用効果(実施の形態1、実施の形態2で説明した作用効果)を生じる。例えば、コネクタ22がレセプタクル31から外れる虞は全く生じない。
【0139】
電子機器5は、図6A(図6B、図6C)の電子機器5cに比較して安定した接続状態、放熱性、シールド特性を実現する。
【0140】
図7Bは、実施の形態2に係る電子機器でのフレキシブルプリント配線板の第2回転状態を説明する側面図である。なお、図7Bでの第2回転状態は、図6Bの第2回転状態と同一の状態であるので、適宜説明を省略する。
【0141】
コネクタ押さえ部材1を採用した電子機器5での第2回転状態は、図6Bの場合に対応するので、図6Bに対して主に異なる事項について説明する。基本的な状態は、図6Bの場合と同様である。
【0142】
第2回転状態では、電子回路基板3と固定電子回路基板52とは相互に交差(直交)し、第2撮影方向Dcm2は、回転軸55に対して半円部2cの位置とは逆の方向を向く。
【0143】
電子機器5では、コネクタ押さえ部材1によってフレキシブルプリント配線板2(延長部12に対応する部分、第1端部21、コネクタ22)が電子回路基板3の側へ規制され(押さえつけられ)ている。つまり、第1端部21、コネクタ22、延長部12に対応するフレキシブルプリント配線板2の部分は、コネクタ押さえ部材1によって係止された状態となり、フレキシブルプリント配線板2の曲がりの影響を受けない。
【0144】
第2回転状態でのフレキシブルプリント配線板2の曲がり方は、固定電子回路基板52に対して電子回路基板3が垂直方向となることから、電子回路基板3と固定電子回路基板52との間に配置されたフレキシブルプリント配線板2の第1端部21と第2端部24との間で構成された半円状態(C字状)の半円部2cの曲げ半径Rf2で示すことができる。つまり、フレキシブルプリント配線板2の第2回転状態での曲がりの範囲は、曲げ半径Rf2で画定される。
【0145】
電子機器5では、第1端部21がコネクタ押さえ部材1で押さえられていることから、フレキシブルプリント配線板2の変形状態(変位状態)はコネクタ押さえ部材1(延長部12)の先端から発生する。したがって、延長部12によって支持された範囲は、曲がり状態の影響を受けないので、曲げ半径Rf2は、曲げ半径Rp2に比較して小さくなる(曲げ半径Rf2<曲げ半径Rp2)。
【0146】
第2回転状態で、フレキシブルプリント配線板2は、第1端部21(コネクタ22)から延長部12に対向する位置の間で、電子回路基板3の回転の状態による影響を受けず、コネクタ押さえ部材1(延長部12)によって常に支持されるので、コネクタ22と電子回路基板3との接続状態を安定化させ、接続の信頼性を向上させる。例えば、コネクタ22がレセプタクル31から外れる虞は全く生じない。
【0147】
第1回転状態の曲げ半径Rf1が第2回転状態の曲げ半径Rf2へ変化するときの曲げ半径の変化量、あるいは、第2回転状態の曲げ半径Rf2が第1回転状態の曲げ半径Rf1へ変化するときの曲げ半径の変化量は、曲げ半径Rf2と曲げ半径Rf1との差、つまり「曲げ半径Rf2−曲げ半径Rf1」で表される。
【0148】
曲げ半径Rf2<曲げ半径Rp2、曲げ半径Rf1≒曲げ半径Rp1であるから、電子機器5における第1回転状態と第2回転状態の間でのフレキシブルプリント配線板2の曲げ半径の変化量(曲げ半径Rf2−曲げ半径Rf1)は、電子機器5cにおける曲げ半径の変化量(曲げ半径Rp2−曲げ半径Rp1)より小さくなる。
【0149】
つまり、コネクタ押さえ部材1を設けた電子機器5(フレキシブルプリント配線板2)は、第1回転状態と第2回転状態との間での曲げ半径の変化量を抑制し、さらにコネクタ押さえ部材1で第1端部21(コネクタ22)および延長部12に対応する部分のフレキシブルプリント配線板2の変形を規制する。したがって、コネクタ22と電子回路基板3との間での接続状態(接続強度)を向上させ、接続状態を安定化して接続の信頼性を向上させる。
【0150】
また、曲げ半径の変化量を抑制することから、結果として、実装枠体53の回転を制御する回転制御部56(アクチュエータ56f、減速機構56s)に加わる負荷(フレキシブルプリント配線板2)の変動を抑制し、回転制御部56の回転位置精度を向上させる。つまり、回転位置による回転負荷の変動によって、回転位置精度が変動することを防止する。したがって、カメラによる撮影画像の精度を向上させる。
【0151】
上述したとおり、本実施の形態に係るコネクタ押さえ部材1は、フレキシブルプリント配線板2が電子回路基板3から離れる方向Dspへ変形(変位)する場合に、延長部12でフレキシブルプリント配線板2の変形を抑制するので、フレキシブルプリント配線板2の変形によるコネクタ22と電子回路基板3との間の接続状態(接続強度)に対する影響を抑制し、フレキシブルプリント配線板2(コネクタ22)の電子回路基板3への接続の信頼性を向上させる。
【0152】
また、本実施の形態に係る電子機器5は、電子回路基板3とフレキシブルプリント配線板2とが相互に離れる方向Dspへ電子回路基板3を回転させた場合に、コネクタ押さえ部材1によって第1端部21(コネクタ22)でのフレキシブルプリント配線板2と電子回路基板3との接続状態(接続強度)を維持するので、フレキシブルプリント配線板2と電子回路基板3との接続の信頼性を向上させる。
【0153】
また、本実施の形態に係る電子機器5は、コネクタ押さえ部材1の延長部12が電子回路基板3の1辺から電子回路基板3の中央側へ延長され、フレキシブルプリント配線板2がコネクタ押さえ部材1の延長部12に広い面積で精度良く押し付けられるので、フレキシブルプリント配線板2からの熱をコネクタ押さえ部材1によって効果的に放熱する。
【0154】
また、本実施の形態に係る電子機器5は、電子回路基板3とフレキシブルプリント配線板2とを相互に離れる方向Dspに回転させた場合に、回転に伴うフレキシブルプリント配線板2の曲げ半径の変化量がコネクタ押さえ部材1によって抑制されるので、実装枠体53の回転を制御する回転制御部56(アクチュエータ56f、減速機構56s)に加わる負荷(フレキシブルプリント配線板2)の変動を抑制し、回転制御部56の回転位置精度を向上させる。
【0155】
図7Cは、実施の形態2に係る電子機器でのフレキシブルプリント配線板の第3回転状態を説明する側面図である。なお、図7Cでの第3回転状態は、図6Cの第3回転状態と同一の状態であるので、適宜説明を省略する。
【0156】
コネクタ押さえ部材1を採用した電子機器5での第3回転状態は、図6Cの場合に対応するので、図6Cに対して主に異なる事項について説明する。基本的な状態は、図6Cの場合と同様である。
【0157】
第2回転状態では、電子回路基板3と固定電子回路基板52とは相互に交差(直交)し、第2撮影方向Dcm2は、回転軸55に対する半円部2cの位置に対して同じ方向を向く。
【0158】
第3回転状態でのフレキシブルプリント配線板2の曲がり方は、固定電子回路基板52に対して電子回路基板3が垂直方向となり、端部3cで折り曲げられたフレキシブルプリント配線板2と第2端部24(固定電子回路基板52)との間で構成された半円状態の半円部2cの曲げ半径Rf3で示すことができる。つまり、フレキシブルプリント配線板2の第3回転状態での曲がりの範囲は、曲げ半径Rf3で画定される。なお、曲げ半径Rf3は、曲げ半径Rp3とほぼ同様な状態(曲げ半径Rf3≒曲げ半径Rp3)となる。
【0159】
つまり、第3状態では、図6C(第3回転状態)の場合と同様、曲げ半径Rf3が小さいことからフレキシブルプリント配線板2の反力が大きくなる。しかし、図7Cの場合(第3回転状態の場合)、フレキシブルプリント配線板2は、コネクタ押さえ部材1(平面部11)によって支持された状態となることから、コネクタ押さえ部材1の基本的な作用効果(実施の形態1、実施の形態2で説明した作用効果)を生じる。
【0160】
第3回転状態では、フレキシブルプリント配線板2は、第1端部21と端部3cとの間で、フレキシブルプリント配線板2は延長部12からは離れた状態となり、コネクタ押さえ部材1よりさらに電子回路基板3に近づく形態となるので図6Cとほぼ同様の作用を維持する。
【0161】
しかし、図7Cの場合(電子機器5の第3回転状態の場合)、フレキシブルプリント配線板2(コネクタ22)は、コネクタ押さえ部材1(平面部11)によってレセプタクル31へ押さえられた状態となることから、コネクタ押さえ部材1の基本的な作用効果(実施の形態1、実施の形態2で説明した作用効果)を生じる。例えば、コネクタ22がレセプタクル31から外れる虞は全く生じない。
【0162】
電子機器5では、例えば、回転状態が第2回転状態→第1回転状態→第3回転状態と推移し、フレキシブルプリント配線板2の曲がり状態が曲げ半径Rf2(最大)→曲げ半径Rf1→曲げ半径Rf3(最小)と変化すると、曲げ半径の変化は、そのまま回転制御部56に対する負荷の変動となる。しかし、最大の曲げ半径である曲げ半径Rf2を曲げ半径Rp2より小さくすることから、電子機器5は、全体として曲げ半径の変化を抑制する。したがって、電子機器5は、負荷の変動を抑制し、電子機器5cに比較して回転位置精度を向上させる。
【0163】
本発明は上述した各実施の形態に限定されるものではなく、各請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施の形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0164】
1 コネクタ押さえ部材
2 フレキシブルプリント配線板
2c 半円部
3 電子回路基板
3c 端部
5 電子機器
11 平面部
12 延長部
13 湾曲部
13t 端面
15 連結部
15v 垂直部
15j 取り付け部
16 固定部
17 折り曲げ部
18 固定穴
21 第1端部
22 コネクタ
24 第2端部
31 レセプタクル
32 接地電位部
33 締結穴
35 締結部
51 機器フレーム
51r 回転支持フレーム
52 固定電子回路基板
53 実装枠体
53a、53b、53c、53d 枠部材
54 内部機構
55 回転軸
56 回転制御部
56f アクチュエータ
56s 減速機構
Ax 単一軸線
Dex 延長方向
Dsp 離れる方向
Dcb 近づく方向
Dcm 撮影方向
Dcm1 第1撮影方向
Dcm2 第2撮影方向
Dcm3 第3撮影方向
Hz 水平基準位置
Rf1 第1状態での曲げ半径
Rf2 第2状態での曲げ半径
Rf3 第3状態での曲げ半径
Rp1 第1状態での曲げ半径
Rp2 第2状態での曲げ半径
Rp3 第3状態での曲げ半径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブルプリント配線板の第1端部に形成されたコネクタを接続先の電子回路基板の方へ押さえるコネクタ押さえ部材であって、
前記コネクタを押さえる平面部と、
前記電子回路基板に沿って前記フレキシブルプリント配線板の延長方向に前記平面部から延長された延長部を備え、
前記延長部は、前記電子回路基板から離れる方向へ湾曲した湾曲部を先端に備えていること
を特徴とするコネクタ押さえ部材。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタ押さえ部材であって、
金属材料で形成されていること
を特徴とするコネクタ押さえ部材。
【請求項3】
請求項2に記載のコネクタ押さえ部材であって、
前記電子回路基板の接地電位部に接続されていること
を特徴とするコネクタ押さえ部材。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一つに記載のコネクタ押さえ部材であって、
前記平面部は、前記延長部に対する反対側に前記電子回路基板の側へ折り曲げられた折り曲げ部を備えること
を特徴とするコネクタ押さえ部材。
【請求項5】
フレキシブルプリント配線板の第1端部に形成されたコネクタが接続された電子回路基板と、前記第1端部とは反対側の前記フレキシブルプリント配線板の第2端部が接続され機器フレームに固定された固定電子回路基板と、前記電子回路基板が実装された矩形状の実装枠体と、前記実装枠体の対向する一対の枠部材を貫く単一軸線を構成するように配置され前記固定電子回路基板と平行に配置されて前記枠部材を平行に回転させる回転軸とを備えた電子機器であって、
前記コネクタを前記電子回路基板の方へ押さえるコネクタ押さえ部材を備え、
前記コネクタは、前記電子回路基板の1辺に沿って配置され、前記フレキシブルプリント配線板は、前記コネクタから前記電子回路基板の中央側へ向かって延長するように配置されてあり、
前記電子回路基板と前記固定電子回路基板とは、前記回転軸を中心に前記電子回路基板を回転させて前記電子回路基板と前記固定電子回路基板とを対向させたとき、前記フレキシブルプリント配線板がU字状に湾曲するように配置されてあり、
前記コネクタ押さえ部材は、請求項1から請求項4までのいずれか一つに記載のコネクタ押さえ部材であること
を特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項5に記載の電子機器であって、
前記コネクタ押さえ部材の延長部は、前記回転軸に対向する位置まで延長されていること
を特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【公開番号】特開2012−84804(P2012−84804A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−231706(P2010−231706)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】