説明

コンテナ用ガントリークレーン、コンテナ輸送用パレット、コンテナ搬送車、および、コンテナ輸送方法

【課題】コンテナ積み降ろしの際の輸送効率を改善するコンテナ輸送方法,コンテナ用ガントリークレーン,コンテナ輸送用パレット,コンテナ搬送車の提供。
【解決手段】岸壁ヤード1’において、コンテナ3をコンテナ輸送用パレット6に順次移載するとともに、岸壁ヤード1’とコンテナ保管ヤード4間を往復するコンテナ搬送車7により、上記パレット6のコンテナ保管ヤード4への搬送と、空のパレット6の上記コンテナ保管ヤード4から上記岸壁ヤード1’への搬送を行うコンテナ輸送方法。ガーダ11上を走行するトロリー12を複数備え、コンテナ3を把持するスプレッダ14をその各トロリー12に対して吊下したコンテナ用ガントリークレーン。枠体の下方に架台受入用空処21’を形成したコンテナ輸送用パレット。上記パレット6を乗載する架台35と、架台昇降機構とを備えたコンテナ搬送車。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナ船からコンテナ保管ヤード(あるいはコンテナ保管ヤードからコンテナ船)へのコンテナの輸送方法、その輸送に用いるコンテナ用ガントリークレーン、コンテナ輸送用パレット、および、コンテナ搬送車に関する。
【背景技術】
【0002】
図17に示すように、従来、接岸したコンテナ船101に積載されている多数のコンテナ102……は、コンテナ用ガントリークレーン103により岸壁に陸揚げされたのち、トレーラ104……によりコンテナ保管ヤード105へと輸送されている(非特許文献1,2)。
また、コンテナ保管ヤードからコンテナ船へのコンテナの積み込みも、同様に行われている。
【非特許文献1】横浜市港湾局、”貨物の流れ”、[online]、[平成18年4月24日検索]、インターネット<URL:http://www.city.yokohama.jp/me/port/learn/flow5.html>
【非特許文献2】横浜市港湾局、”貨物の流れ”、[online]、[平成18年4月24日検索]、インターネット<URL: http://www.city.yokohama.jp/me/port/learn/flow6.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これまで、コンテナ船からのコンテナ陸揚げ(あるいはコンテナ船への積込み)の作業に要する時間の短縮のため、コンテナ用ガントリークレーンのガーダ(けた)上を走行するトロリーの高速化等の対策が行われてきており、現在、そのコンテナ陸揚げ時間(積込み時間)は1個あたり2分程度にまで短縮されてはいるものの、これ以上の短縮化は難しい状況にある。
しかし、近年、コンテナ取扱量が急増するとともにコンテナ船も大型化し、近い将来には1万個積みのコンテナ船も登場するといわれている。
【0004】
このような状況の下、上記のようなコンテナ輸送方法では、コンテナ船の大型化に伴ってさらに作業時間が掛かることになり、そのコストも増大する。
【0005】
そこで、本発明は、コンテナ積み降ろしの際の輸送効率を改善して、その作業コストを低減するコンテナ輸送方法、および、そのコンテナ輸送方法を実施するためのコンテナ用ガントリークレーン,コンテナ輸送用パレット,コンテナ搬送車の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明は、<a> 岸壁ヤード1’において、コンテナ用ガントリークレーン5,5’により、コンテナ船2に積載されているコンテナ3……を1度に複数個吊り上げ、これらを空のコンテナ輸送用パレット6,6’に順次移載するとともに、<b>岸壁ヤード1’とコンテナ保管ヤード4間を往復するコンテナ搬送車7,7’により、複数のコンテナ3……を移載した上記コンテナ輸送用パレット6,6’の岸壁ヤード1’からコンテナ保管ヤード4への搬送と、空のコンテナ輸送用パレット6,6’の上記コンテナ保管ヤード4から上記岸壁ヤード1’への搬送を繰り返し行うコンテナ陸揚げ輸送方法である。
【0007】
請求項2記載の本発明は、岸壁ヤード1’にコンテナ用ガントリークレーン5,5’を設置するとともに、その岸壁ヤード1’とコンテナ保管ヤード4のそれぞれに所要台数の空のコンテナ搬送用パレット6,6’を用意しておき、<c>上記岸壁ヤード1’において、上記コンテナ用ガントリークレーン5,5’により、コンテナ船2に積載されているコンテナ3を1度に複数個吊り上げ、これらを上記コンテナ輸送用パレット6,6’に順次移載する陸揚げコンテナ移載工程と、<d>複数のコンテナ3……を移載した上記コンテナ輸送用パレット6,6’を、コンテナ搬送車7,7’により、コンテナ保管ヤード4へ搬送する陸揚げコンテナ搬送工程と、<e>上記コンテナ搬送車7,7’により、空のコンテナ輸送用パレット6,6’を上記コンテナ保管ヤード4から上記岸壁ヤード1’へ搬送する空パレット搬送工程の3工程を繰り返し行うコンテナ陸揚げ輸送方法である。
【0008】
請求項3記載の本発明は、コンテナ保管ヤード4に搬送された上記コンテナ輸送用パレット6,6’から、乗載されているコンテナ3……を降ろし、該コンテナ輸送用パレット6,6’を空にするコンテナ降ろし工程を含む請求項1または2記載のコンテナ陸揚げ輸送方法である。
【0009】
請求項4記載の本発明は、岸壁ヤード1’にコンテナ用ガントリークレーン5,5’を設置するとともに、その岸壁ヤード1’とコンテナ保管ヤード4のそれぞれに所要複数台の空のコンテナ搬送用パレット6,6’を用意しておき、<f> 上記岸壁ヤード1’において、上記コンテナ用ガントリークレーン5,5’により、コンテナ船2に積載されているコンテナ3……を1度に複数個吊り上げ、それを岸壁ヤード1’に用意しておいた上記空のコンテナ搬送用パレット6,6’に移載する陸揚げコンテナ移載工程と、<g> 複数個のコンテナ3……を移載した上記コンテナ搬送用パレット6,6’を、コンテナ搬送車7,7’に乗載して、上記コンテナ保管ヤード4へ搬送するとともに、そこに降ろす陸揚げコンテナ搬送工程と、<h> 複数個のコンテナ3……を移載した上記コンテナ搬送用パレット6,6’を降ろした後の上記コンテナ搬送車7,7’に、上記コンテナ保管ヤード4の空のコンテナ搬送用パレット6,6’を乗載し、それを、該コンテナ保管ヤード4から上記岸壁ヤード1’へ搬送するとともに、そこに降ろす空パレット搬送工程と、<i> 遅くとも、上記空パレット搬送工程が終了する前までに、上記岸壁ヤード1’に用意しておいた他の空のコンテナ搬送用パレット6,6’、または上記空パレット搬送工程で上記岸壁ヤード1’に降ろした上記空のコンテナ搬送用パレット6,6’に上記コンテナ用ガントリークレーン5,5’により、コンテナ船2に積載されているコンテナ3……を1度に複数個吊り上げて移載する陸揚げコンテナ移載工程とを、繰り返し行うコンテナ陸揚げ輸送方法である。
【0010】
請求項5記載の本発明は、上記コンテナ用ガントリークレーン5によるコンテナ3……の吊上げを、上下に連結した状態の2個のコンテナ3,3を1基のスプレッダ14により吊り上げて行う請求項1,2,3または4記載のコンテナ陸揚げ輸送方法である。
【0011】
請求項6記載の本発明は、上記2個のコンテナ3,3が、上側のコンテナ3の側面下部の係合孔3cと、下側のコンテナ3の側面上部の係合孔3dとに、固定腕16b,16bを差し込んだ補強用連結具16により固定されている請求項5記載のコンテナ陸揚げ輸送方法である。
【0012】
請求項7記載の本発明は、上記コンテナ用ガントリークレーン5’によるコンテナ3……の吊上げを、同一のガーダ11を走行する2基のトロリー12,12にそれぞれ吊り下げたスプレッダ14,14により各1個ずつのコンテナを吊り上げて行う請求項1,2,3または4記載のコンテナ陸揚げ輸送方法である。
【0013】
請求項8記載の本発明は、コンテナ保管ヤード4における、コンテナ3……のコンテナ輸送用パレット6からの降ろしを、コンテナ用ヤードクレーン49により、1度に複数個ずつ行う請求項1,2,3,4,5,6または7記載のコンテナ陸揚げ輸送方法である。
【0014】
請求項9記載の本発明は、岸壁ヤード1’にコンテナ用ガントリークレーン5,5’を設置するとともに、その岸壁ヤード1’とコンテナ保管ヤード4のそれぞれに所要台数の空のコンテナ搬送用パレット6,6’を用意しておき、<j>上記岸壁ヤード1’において、上記コンテナ用ガントリークレーン5,5’により、コンテナ船2に積載されているコンテナ3を吊り上げ、これを上記コンテナ輸送用パレット6,6’に順次移載する陸揚げコンテナ移載工程と、
<k>複数のコンテナ3……を移載した上記コンテナ輸送用パレット6,6’を、コンテナ搬送車7,7’により、コンテナ保管ヤード4へ搬送する陸揚げコンテナ搬送工程と、<l>上記コンテナ搬送車7,7’により、空のコンテナ輸送用パレット6,6’を上記コンテナ保管ヤード4から上記岸壁ヤード1’へ搬送する空パレット搬送工程の3工程を繰り返し行うことを特徴とするコンテナ陸揚げ輸送方法である。
【0015】
請求項10記載の本発明は、<m> 岸壁ヤード1’において、コンテナ用ガントリークレーン5,5’により、コンテナ輸送用パレット6,6’に乗載されているコンテナ3……を吊り上げ、これをコンテナ船2に順次積載するとともに、<n>岸壁ヤード1’とコンテナ保管ヤード4間を往復するコンテナ搬送車7,7’により、複数のコンテナ3……を乗載した上記コンテナ輸送用パレット6,6’のコンテナ保管ヤード4から岸壁ヤード1’への搬送と、空のコンテナ輸送用パレット6,6’の上記岸壁ヤード1’から上記コンテナ保管ヤード4への搬送を繰り返し行うコンテナ積込み輸送方法である。
【0016】
請求項11記載の本発明は、上記コンテナ輸送用パレット6,6’が、一対の縦枠材20,20の両端に一対の横枠材21,21を乗載固定した長方形状の枠体をなし、上記縦枠材20,20の内側でかつ上記横枠材21,21の下方の位置に架台受入用空処21’を形成してなり、かつ、上記コンテナ搬送車7,7’が、上記コンテナ輸送用パレット6,6’を乗載する架台35を昇降させる架台昇降機構を備えている請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9または10記載のコンテナ輸送方法である。
【0017】
請求項12記載の本発明は、上記コンテナ搬送車7,7’が、乗載したコンテナ輸送用パレット6,6’を固定するパレット固定機構を備えている請求項11記載のコンテナ輸送方法である。
【0018】
請求項13記載の本発明は、ガーダ11上を走行するトロリー12を複数備え、コンテナ3を把持するスプレッダ14をその各トロリー12に対して昇降自在に吊下したコンテナ用ガントリークレーンである。
【0019】
請求項14記載の本発明は、ガーダ11上を走行するトロリー12に昇降自在に吊下されたスプレッダ14が、上下に連結された状態の複数のコンテナ3を吊り上げるようにしてなるコンテナ用ガントリークレーンである。
【0020】
請求項15記載の本発明は、一対の縦枠材20,20の両端に一対の横枠材21,21を乗載固定した長方形状の枠体をなし、上記縦枠材20,20の内側でかつ上記横枠材21,21の下方の位置に架台受入用空処21’を形成してなるとともに、コンテナ連結具15のコーン15’を嵌合させる係合孔29,31を開設したコンテナ固定板28,30を、上記縦枠材20と上記横枠材21の各固定箇所の内側、および、上記横枠材21,21の中央の内側の位置に、水平に固定してなるコンテナ輸送用パレットである。
【0021】
請求項16記載の本発明は、請求項15に記載のコンテナ輸送用パレット6,6’を乗載する架台35,47と、上記架台35,47を昇降させる架台昇降機構と、その架台35,47に対して左右回動自在に連結された駆動部36とを備えているコンテナ搬送車である。
【0022】
請求項17記載の本発明は、上記架台35,47の車輪37……が、方向変更自在に軸支されステアリング機構を構成している請求項16記載のコンテナ搬送車である。
【0023】
請求項18記載の本発明は、上記架台35,47が、ロッド45を外方に伸張させることにより、その先端を架台35,47に乗載されたコンテナ輸送用パレット6の縦枠材20,20の内側に押し当て、該コンテナ輸送用パレット6を固定するパレット固定機構を備えた請求項16または17記載のコンテナ搬送車である。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係るコンテナ輸送方法によれば、コンテナ積み降ろしの際の輸送効率を改善して、その作業コストを低減することができる。
また、本発明に係るコンテナ用ガントリークレーン,コンテナ輸送用パレット,および,コンテナ搬送車によれば、上記コンテナ輸送方法を効率的に実施できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
<a> 岸壁ヤード1’において、コンテナ用ガントリークレーン5,5’により、コンテナ船2に積載されているコンテナ3……を1度に複数個吊り上げ、これらを空のコンテナ輸送用パレット6,6’に順次移載するとともに、<b>岸壁ヤード1’とコンテナ保管ヤード4間を往復するコンテナ搬送車7,7’により、複数のコンテナ3……を移載した上記コンテナ輸送用パレット6,6’の岸壁ヤード1’からコンテナ保管ヤード4への搬送と、空のコンテナ輸送用パレット6,6’の上記コンテナ保管ヤード4から上記岸壁ヤード1’への搬送を繰り返し行うコンテナ輸送方法。
【0026】
海側に張り出すよう支持されたガーダ11を備えたコンテナ用ガントリークレーンにおいて、上記ガーダ11上を走行するトロリー12を複数備え、コンテナ3を把持するスプレッダ14をその各トロリー12に対して昇降自在に吊下したコンテナ用ガントリークレーン。
【0027】
一対の縦枠材20,20の両端に一対の横枠材21,21を乗載固定した長方形状の枠体をなし、上記縦枠材20,20の内側でかつ上記横枠材21,21の下方の位置に架台受入用空処21’を形成してなるコンテナ輸送用パレット。
【0028】
上記コンテナ輸送用パレット6,6’を乗載する架台35,47と、上記架台35,47を昇降させる架台昇降機構と、その架台35,47に対して左右回動自在に連結された駆動部36とを備えているコンテナ搬送車。
【実施例1】
【0029】
まず本発明の実施例1について詳しく説明する。
本実施例1のコンテナ輸送方法は、岸壁1に接岸したコンテナ船2の船倉から大量のコンテナ3……を陸揚げしてコンテナ保管ヤード4まで輸送する方法に関し、この方法においては、コンテナ船2に積載されているコンテナ3を複数個ずつ吊り上げ、岸壁ヤード1’に降ろすコンテナ用ガントリークレーン(岸壁コンテナクレーン)5と、そのコンテナを複数個ずつ乗載するコンテナ輸送用パレット6と、このコンテナ輸送用パレット6を搬送するためのコンテナ搬送車7,7’とが使用される。
【0030】
はじめに、岸壁1に設置されている上記コンテナ用ガントリークレーン5について説明する。
コンテナ用ガントリークレーン5は、岸壁1に沿って敷設されたレール上を走行自在にした支柱10によって所要高さに水平にかつ海側に張り出すよう支持されたガーダ11に、そのガーダ11上を走行するトロリー12を装備するとともに、このトロリー12に掛け回したワイヤ13により、コンテナ3を吊下げ係止可能なスプレッダ(吊上げ装置)14を吊下装備している。
このガントリークレーン5は、ワイヤの繰出しまたは巻取りの操作により上記トロリー12を走行させ、また上記スプレッダ14を昇降させるようになっている。なお、11’は、ガーダ11を補強する補強部材である。
【0031】
より詳細には、このコンテナ用ガントリークレーン5は、図4に示すように、高さ2.591mまたは2.896m、幅2.438m、長さが12.192m(約40ft)の、いわゆる40ftのコンテナ3を少なくとも2個、上下に連結した状態で吊り上げる能力を備えたもので、上側のコンテナ3は、その上面の四隅に設けられている係合孔3aに上記スプレッダ14のロックピン(図示しない)を受入しこれを90°回転させることによって係止され、下側のコンテナ3は、その上面の4箇所の係合孔3aと、上側のコンテナ3の下面の4箇所の係合孔3bに、従来公知のコンテナ連結具15のコーン15’を嵌合させることにより、上記上側のコンテナ3に連結されている。
【0032】
なお、コンテナ3内に積み荷が充填されており一定以上の重量になっている場合には、上記コンテナ連結具15に加え、図6に示す補強用連結具16を併用して確実に固定するのが好ましい。
この補強用連結具16は、その主体部16aの両端に設けた固定腕16b,16bの先端に内方に突出する係合爪16c,16cを形成しているもので、上側のコンテナ3の側面下部の係合孔3cと、下側のコンテナ3の側面上部の係合孔3dとに、固定腕16b,16bを差し込んで取り付けられる。
取り付けられた補強用連結具16は、各固定腕16b,16bの先端に係合爪16c,16cを備えているので、これを持ち上げて上記係合爪16c,16cを係合孔3c,3dの縁部から外して引き抜かない限り、自然に脱落してしまうようなことがないようになっている。
【0033】
このコンテナ用ガントリークレーン5の運転は次のように運転され、コンテナ3……を搬送するものである。
(1)トロリー12を走行させ吊り上げようとするコンテナ3の上方に移動させるとともに、スプレッダ14を上記コンテナ3の直上の位置まで下ろす。
(2)スプレッダ14の係合ピンをコンテナ3の係合孔3aに受入させて回転させ、該コンテナ3を係止する。なお、必要に応じて、上記コンテナ連結具15や補強用連結具16を使用する。
また、吊り上げようとする上下2個のコンテナ3,3は、コンテナ連結具15や補強用連結具16により連結固定しておく。
(3)スプレッダ14により、コンテナ3,3を吊り上げるとともにトロリー12を走行させ、コンテナ3,3を所定位置に降ろして、上記スプレッダ14の係合ピンを外す。
【0034】
コンテナ用ガントリークレーンは、たとえば、図5に示したように、ガーダ11に、上記トロリー12を2基取り付け、各々にスプレッダ14,14を装備することで、各々1個ずつのコンテナ3を吊り上げるようにし、両コンテナ3,3を並列にして一緒に、あるいは、それぞれを別個に搬送することができるものとすることができる。
【0035】
このようなコンテナ用ガントリークレーン5’の場合、両スプレッダ14,14が吊り下げたコンテナ3,3の衝突を防ぐために、互いの間隔を検出するトロリー間隔検出手段17,17を両トロリー12,12の対向位置に設け、また、スプレッダ14,14にも、それらの間隔を検出するコンテナ間隔検出手段18,18を各々の対向位置に設け、これらによってトロリー12,12の間隔およびスプレッダ14,14の間隔を常時監視するようにし、間隔が狭まった場合にはこれを広げるようにトロリー12,12の間隔を制御するのが好ましい。
【0036】
このコンテナ用ガントリークレーン5’によるコンテナ3の輸送は、両トロリー12,12およびスプレッダ14,14を常に一緒に運転し、隣接状態の2個のコンテナ3,3をそれぞれが1個ずつ同時に吊り上げ、これを一緒に移動させ所定位置に降ろすようにすればよい。
【0037】
具体的には、トロリー間隔検出手段17,17の検出に基づいて、両トロリー12,12の間隔を、たとえば、船倉内に積載されているコンテナ3の間隔にあわせるよう調整し、その間隔を保持させたままそれらを運転する。
また、コンテナ間隔検出手段18,18の検出により、両スプレッダ14,14の間隔を監視し、必要であればトロリー12,12の一方又は双方を加速あるいは減速して間隔が適正になるように制御する。
【0038】
なお、両スプレッダ14,14の側面の対向位置に、両者を連結固定する金具等の連結手段を設けておき、互いを連結固定できるようにし、これらを一体に運転するようにすることも可能である。これは、吊り上げられたコンテナ3,3の揺動を抑制するためにも好ましい。
【0039】
上記のコンテナ用ガントリークレーン5’のように2つのコンテナ3,3を並列に吊り上げて搬送するためのスプレッダとして、単に、従来の倍の幅を有するスプレッダをあらたに設計することも考えられなくはないが、そのようなものをあらたに一から設計するのにくらべ、従来のスプレッダをガーダ11に2基取り付け必要な改造をすることにより比較的簡単に製作できるものである。
また、仮に、従来の倍の幅のスプレッダを用意したとしても、コンテナ船2の船倉にコンテナ3が奇数列にして積載されている場合など、コンテナを2列並列にすることなく1個だけの吊上げをせざるを得ない場合が生じるが、その際にバランスを崩しやすいものになってしまう。
この点、上記のように複数のスプレッダ14,14それぞれにコンテナ3を吊り上げさせるようにしておけば、1個だけの荷揚げの場合、いずれかのスプレッダ14が空荷状態になるが、バランスを崩すようなおそれはない。
【0040】
なお、上記スプレッダ14は、40ftコンテナ3の半分の長さの20ftコンテナであれば、長さ方向(図4,5では紙面に垂直な方向)に2個並べて吊り下げることができるものである。したがって、20ftコンテナの場合は、計4個を吊下げ可能である。
【0041】
1つのスプレッダによって長さ方向に並べた2つの20ftコンテナを吊り下げることは、従来より行われていたが、所定の配置関係でコンテナ船内に積載されているべきコンテナ同士の位置がずれているような場合には、スプレッダに対する2つのコンテナの位置合わせに手間が掛かるという問題が生じる。
これに対して、上記のようにコンテナ3,3を2つ上下に連結して、あるいは、各々を2つのスプレッダ14,14で吊り上げる場合には、各スプレッダ14ごとにそれぞれ1つのコンテナ3に対して位置合わせを行えば足りるので、上記の問題は生じない。
【0042】
また、上記トロリー12およびスプレッダ14を、ガーダ11に3機以上装備させることとしてもよい。
【0043】
次に上記コンテナ輸送用パレット6について説明する。
コンテナ輸送用パレット6は、図7,8に示したように、長さ約12m(40ft)のH鋼からなる一対の縦枠材20,20の両端に長さ約5mで鋼製の一対の横枠材21,21を乗載し溶接固定した長方形状の枠体をなし、上記縦枠材20,20の中央の位置に鋼板製の横架材22を、取り外し自在に横架取付けできるようにしたもので、縦枠材20,20の内側でかつ横枠材21,21の下方の位置には架台受入用空処21’が形成されている。
【0044】
その上記定された嵌合板23の下端の嵌合突起24を縦枠材20,20側に切欠形成された嵌合溝25に嵌合させることにより上記コンテナ輸送用パレット6に取り付けられる。
【0045】
26……は、縦枠材20,20の長さ方向両端部の上面に立設されたコンテナ案内板、27,27は、横枠材21,21の中央部内面に固定された同じくコンテナ案内板である。
28……は、縦枠材20と横枠材21の各固定箇所すなわち該パレット6の四隅の内側に水平に固定された、係合孔29……を開設したコンテナ固定板である。また30……は、横枠材21,21の中央の内側位置に、上記コンテナ案内板27,27の下縁に沿わせて水平に固定され、そのコンテナ案内板27,27の両側に一対の係合孔31,31を開設したコンテナ固定板である。
また、上記横架材22の両端と中央部の長手方向に直交する両側には、同様に係合孔31’を開設したコンテナ固定板31”が水平に固定されている。
【0046】
このコンテナ輸送用パレット6は、上記横架材22を取り付けない状態では、2個の40ftコンテナ3を並列に2個乗載でき、上記横架材22を取り付けた場合に20ftコンテナ3を4個乗載できるものである。乗載されたコンテナ3は、その下面の係合孔3bと該コンテナ輸送用パレット6の上記係合孔29,31,31’に、コンテナ連結具15のコーン15’を嵌合させることにより、固定することができる。
また、コンテナ3を二段以上にして、乗載固定することもできる。この場合上下のコンテナ3は、上記コンテナ連結具15により固定すればよく、さらにその固定を完全なものにするために、上記補強用連結具16を併用するのも好ましい。
【0047】
図9(a),(b)に示したものは、コンテナ輸送用パレットの他の例である。このコンテナ輸送用パレット6’は、幅を上記コンテナ輸送用パレット6の1.5倍(7.5m)にした、より大きなサイズのもので、コンテナ3を幅方向に3列に並べてして乗載できるものである。
その構造は、上記コンテナ輸送用パレット6と同様のものであるが、強度を高めるために、補強用通し材32を、その幅の中央の下面に固定してある。
同図には、20ftコンテナ3を幅方向に3列、長さ方向に2列、高さ方向に4段計24個乗載した様子を示してある。
【0048】
続いて上記コンテナ搬送車7について説明する。
図10に示したコンテナ搬送車7は、複数のコンテナ3をコンテナ輸送用パレット6ごと輸送するものである。
【0049】
このコンテナ搬送車7は、縦枠材33……と横枠材34……から構成され、後方に走行用の車輪37……を32個備えた架台35の前部に、駆動輪36’を有する駆動車36を連結してなる。
上記駆動車36は、架台35に対して左右回動および上下起伏自在に連結されシリンダ36”の伸縮により上下に起伏し、また、上記架台35の車輪37……は、これを上下動させるシリンダ38……により上記架台35に対して起伏するものである。上記シリンダ36”,38は、その伸縮によって架台35を昇降させる架台昇降機構を構成している。
【0050】
その架台昇降機構について、図11から14により、より詳しく説明する。
39……は上記縦枠材33……に横架固定された横架枠で、40……はその横架枠39……に直交させて上記縦枠材33……と平行にして固定された支持枠である。
この支持枠40……の前後両端にはそれぞれ車輪37……を取り付けた一対の回動枠41,41が軸42,42を中心に上下回動自在に取り付けられており、その前後の回動枠41,41の間には上記シリンダ38……が架設され、このシリンダ38を伸張させることにより上記回動枠41(車輪37)は起立し(図12)、また縮退させることで伏倒するようになっている(図13)。
【0051】
すべての上記車輪37……は、各シリンダ38……を一斉に伸縮させることで同時に起伏するので、その起伏と上記シリンダ36”の伸縮による駆動車36の起伏とを連動させることによって架台35は昇降する(図10(a)(c))。
【0052】
上記架台35は、降下時には、上記コンテナ輸送用パレット6の架台受入用空処21’に差し込める高さまで下がり、上昇時には、乗載したコンテナ輸送用パレット6の縦枠材20,20を地表から浮かせた状態に持ち上げる。
なお、上記シリンダ38……は、地面の凹凸に応じて適宜伸縮し、揺れを吸収するサスペンション機能をも奏する。
【0053】
また、上記回動枠41,41は、上記車輪37を軸43により方向変更自在に軸支することにより、シリンダ44の伸縮によりその方向を変更するステアリング機構を構成しているもので、上記駆動車36の旋回に合わせてシリンダ44が伸縮し、各車輪37は所要の舵角になるよう方向制御され、このコンテナ搬送車7はスムーズな旋回ができるようになっている(図12)。
【0054】
上記架台35の左右の縦枠材33,33には、左右外方に伸長可能なロッド45を有するシリンダ46を取り付けてあり、これはロッド45を伸張させることによりその先端を、架台35に乗載されたコンテナ輸送用パレット6の縦枠材20,20の内側に押し当て、該コンテナ輸送用パレット6を固定するパレット固定機構を構成する(図14)。
【0055】
このコンテナ搬送車7の架台35を下降させた状態で、上記コンテナ輸送用パレット6の架台受入用空処21’に進入させ(図14(a))、再び架台35を上昇させることで、上記コンテナ輸送用パレット6を持ち上げ、移動可能に支持することができ、また、このとき、パレット固定機構のシリンダ46のロッド45を伸張させ、コンテナ輸送用パレット6を固定するようになっている(図14(a))。
【0056】
なお、上記の車輪37の数は、乗載するコンテナ3の数量等に応じて適宜変更可能である。また、シリンダ38,36”,44の代わりに、ウォームギアやモータ等を使用することも可能である。
【0057】
図15は、コンテナ搬送車7’の他の例の架台の部分を示したものである。このコンテナ搬送車は、補強用通し材32を有する大きなサイズの上記コンテナ輸送用パレット6’を乗載するためのもので、それは、上記コンテナ搬送車7と同構造の2つの架台47,47の間に、上記コンテナ輸送用パレット6’の補強用通し材32を受け入れる空処48を形成している。
【0058】
以下、本実施例のコンテナ輸送方法を図1〜3により、詳しく説明する。なお、ここでは、40ftコンテナのみを扱い、また、コンテナ輸送用パレットとしては、40ftコンテナを2列2段に計4個乗載できるものを使用した場合を例に説明する。
【0059】
<1.パレット準備工程>
予め、岸壁ヤード1’に、コンテナ3を乗載していない空のコンテナ輸送用パレット6a,6bを2台用意しておく(図2(a))。また、コンテナ保管ヤード4には少なくとも1台、空のコンテナ輸送用パレット6cを準備しておく。
<2.陸揚げコンテナ移載工程>
上記コンテナ用ガントリークレーン5により、コンテナ船2に積載されているコンテナ3を、岸壁ヤード1’の第1のコンテナ輸送用パレット6aに移載する(図2(b))。
このとき、コンテナ用ガントリークレーン5は、2個のコンテナ3を上下に連結した状態で1基のスプレッダ14により搬送し、コンテナ輸送用パレット6aに乗載するものとするが、上記コンテナ用ガントリークレーン5’を使用する場合には、同一のガーダ11を走行する2基のスプレッダ14,14により各1個ずつのコンテナ3を同時に搬送する。
引き続き、上記コンテナ用ガントリークレーン5により2個のコンテナ3をコンテナ船1から吊上げ、上記コンテナ輸送用パレット6aに順次移載する(図2(c))。
<3.陸揚げコンテナ搬送工程>
上記パレット6aに4個のコンテナ3……が積み終わったところで、コンテナ輸送用パレット6aを、上記コンテナ搬送車7に乗載し、コンテナ保管ヤード4へ搬送する(図2(d))。
なお、岸壁ヤード1’では引き続き、第2のコンテナ輸送用パレット6bへのコンテナ3の積み込みを行う。
<4.空パレット搬送工程>
コンテナ搬送車7は、コンテナ保管ヤード4に到着したら(図3(a))、上記コンテナ輸送用パレット6bを降ろし、空のコンテナ輸送用パレット6cを乗載して(図3(b))、これを岸壁ヤード1’まで搬送する。
その搬送は、岸壁ヤード1’でのコンテナ輸送用パレット6bへのコンテナ3の積み込みが終わるまでに行う。
<5.コンテナ降ろし工程>
コンテナ保管ヤード4では、コンテナ3……を乗載した次順位の上記第2のコンテナ輸送用パレット6bが到着するまでの間に、コンテナ用ヤードクレーン49により、上記コンテナ輸送用パレット6aに乗載されているコンテナ3……を保管場所に降ろして直置きし、コンテナ輸送用パレット6aを空にしておく。
そのコンテナ3……を降ろす作業は、上記コンテナ用ヤードクレーン49により、1度に複数個ずつ行うのが好ましい。
【0060】
その後、上記<2.陸揚げコンテナ移載工程>と同様に、岸壁ヤード1’において、コンテナ輸送用パレット6bへのコンテナ3の積込みを完了し、上記<3.陸揚げコンテナ搬送工程>と同様にコンテナを乗載したコンテナ輸送用パレット6bをコンテナ保管ヤード4へ搬送する。
【0061】
上記の工程を繰り返すことにより、岸壁からコンテナ保管ヤードへのコンテナ輸送を格段に効率化することができる。なお、上記では最も単純な輸送サイクルの例を示したが、岸壁1とコンテナ保管ヤード4の間の距離、コンテナ用ガントリークレーンの荷降ろしの速度、コンテナ輸送用パレット6へのコンテナ積み上げ段数等に応じコンテナ搬送車7やコンテナ輸送用パレット6の数を適宜増やして対応することができる。
【0062】
上記の輸送方法による輸送効率を、最も単純な輸送サイクルを例に検証すると、以下の通りである。
【0063】
いま、コンテナ船2からのコンテナ用ガントリークレーン5によるコンテナ3の陸揚げに際し、トロリー12が1往復するのにかかる時間を2分とすれば、その1往復あたり2個のコンテナ3を陸揚げすることができるので、1分あたり1個のコンテナ3が陸揚げされ、4個積みの上記コンテナ輸送用パレット6が満載されるのには4分かかることになる。
【0064】
岸壁ヤード1’とコンテナ保管ヤード4との間のコンテナ搬送車7の走行時間を片道2分とした場合、コンテナ輸送用パレット6のコンテナ保管ヤード4への搬送に2分(往路)、空のコンテナ輸送用パレット6の岸壁ヤード1’への搬送に2分(復路)かかるのであるから、コンテナ搬送車7は4分サイクルでコンテナを乗載したコンテナ輸送用パレット6をコンテナ保管ヤード4へ輸送できることになる。
なお、ここでは、コンテナ輸送用パレット6の積み降ろしの時間は無視している。
【0065】
そのコンテナ搬送車7が岸壁ヤード1’に戻ってくるまでの4分間に、次のコンテナ輸送用パレット6が満載されるようにし、かつ、コンテナ保管ヤード4においても、4分間で、コンテナを乗載しているコンテナ輸送用パレット6を空にするようにすれば最も効率的な輸送サイクルとなる。
【0066】
この場合、コンテナ用ガントリークレーン5のコンテナ陸揚げスピードにあわせて陸揚げされたコンテナ3をコンテナ保管ヤード4へ搬送し、そのコンテナ用ガントリークレーン5が休みなく荷降ろしできるようコンテナ3……を捌くためには、4個積みコンテナ輸送用パレット6を3台用意し、コンテナ搬送車7を1台だけ用意すれば足りることになる。もっとも、予備のコンテナ輸送用パレット6およびコンテナ搬送車7を用意しておくのが好ましい。
【0067】
これに対し、従来のコンテナ用ガントリークレーンによって2分あたり1個陸揚げされるコンテナを、2分の距離にあるコンテナ保管ヤード4まで、従来のようにトレーラで1個ずつ輸送した場合には、必要なトレーラの台数は2台となる。
つまり、従来は、コンテナ用ガントリークレーンの単位時間あたりの陸揚げスピードが遅かったにもかかわらず、より多くのトレーラが必要であったことになる。
【0068】
また、上記のような従来の2倍のコンテナ陸揚げスピードをもつ本実施例のコンテナ用ガントリークレーン5によって1分あたり1個陸揚げされるコンテナ3を、2分の距離にあるコンテナ保管ヤード4まで、従来のようにトレーラで1個ずつ輸送した場合、少なくとも4台のトレーラが必要になってしまう。
したがって、本実施例のコンテナ用ガントリークレーン5とコンテナ輸送用パレット6とを併用することで、従来よりも効率的にコンテナ3を輸送しつつ、必要なコンテナ搬送車7の台数を減らすことができる。
【0069】
このように、本実施例の方法によれば、従来よりも効率的にコンテナをコンテナ保管ヤードへ搬送しながら、コンテナ搬送車7の台数またはその累計の走行距離を減らし、人件費や燃料費を節減することができる。
【0070】
また、当然ながら、パレットを大型化すれば、より効率化を図ることができる。
【0071】
なお、上記ではコンテナ船2から降ろしたコンテナ3のコンテナ保管ヤード4への輸送(コンテナ陸揚げ輸送方法)について説明したが、コンテナ保管ヤード4からコンテナ船2へのコンテナの積み込み(コンテナ陸揚げ輸送方法)も、コンテナ保管ヤード4の保管場所に直置きされているコンテナ3……を空のコンテナ輸送用パレット6に移載する<積込みコンテナ移載工程>と、これを積み卸しヤード1’に搬送する<積込みコンテナ搬送工程>と、岸壁ヤード1’において、上記コンテナ用ガントリークレーン5により、上記コンテナ輸送用パレット6上のコンテナ3を複数個ずつコンテナ船2に積み込む<コンテナ積込み工程>と、空のコンテナ輸送用パレット6を岸壁ヤード1’からコンテナ保管ヤード4まで搬送する<空パレット搬送工程>とを繰り返し行うことにより同様にして効率的に行うことができる。
【0072】
また、ガントリークレーン5は、従来通り、コンテナ3を1個ずつ陸揚げおよび積込みし、岸壁ヤード1’と保管ヤード4との間の輸送を上記のようにコンテナ輸送用パレット6を用いて行うだけでも、必要となるトレーラの数を減らし、輸送効率を格段に上げることができる。
【実施例2】
【0073】
本発明の実施例2について図16により説明する。
本実施例のコンテナ輸送方法は、コンテナ保管ヤード4において、コンテナ3をパレット6から降ろすことなくそのまま保管するものである点を上記実施例1のコンテナ輸送方法と異にするだけのものでその他の点は同一であるので、その手順についてのみ説明する。
【0074】
<1.パレット準備工程>
予め、岸壁ヤード1’に、コンテナ3を乗載していない空のコンテナ輸送用パレット6,6を2台用意しておくとともに、コンテナ保管ヤード4には多数の空のコンテナ輸送用パレット6……を用意しておく。
<2.陸揚げコンテナ移載工程>
上記コンテナ用ガントリークレーン5により、コンテナ船2に積載されているコンテナ3を2個ずつ、岸壁ヤード1’のコンテナ輸送用パレット6に移載する。
<3.陸揚げコンテナ搬送工程>
上記コンテナパレット6へのコンテナ3の乗載後、そのコンテナ輸送用パレット6を、上記コンテナ搬送車7に乗載し、コンテナ保管ヤード4へ搬送する。
なお、岸壁ヤード1’では引き続き、次順位のコンテナ輸送用パレット6へのコンテナ3の積み込みを行う。
<4.空パレット搬送工程>
コンテナ搬送車7は、コンテナ保管ヤード4に到着後、上記コンテナ輸送用パレット6を所定の保管位置で降ろして、空のコンテナ輸送用パレット6を岸壁ヤード1’まで搬送する。コンテナ保管ヤード4に搬送された、コンテナ輸送用パレット6上のコンテナ3……は、該コンテナ輸送用パレット6に乗載された状態のままで保管され、また、コンテナ搬送車7は、岸壁ヤード1’での次順位のコンテナ輸送用パレット6へのコンテナ3の積み込みが終わるまでに、空のコンテナ輸送用パレット6を岸壁ヤード1’まで牽引する。
【0075】
上記の工程を繰り返すことで、コンテナ保管ヤードへのコンテナ輸送が効率化される。なお、岸壁1とコンテナ保管ヤード4の間の距離、コンテナ用ガントリークレーンの荷降ろしの速度、コンテナ輸送用パレット6へのコンテナ積み上げ段数等に応じコンテナ搬送車7やコンテナ輸送用パレット6の数を適宜増やして対応する。
【0076】
この方法では、コンテナ保管ヤード4において、コンテナ3をパレット6に乗載したまま保管しておくので、コンテナ保管ヤード4でコンテナ3をパレット6から降ろす作業が不要となる。
【0077】
また、その保管されたコンテナ3を他のコンテナ船に再度積み込むような場合、パレット6に乗載された状態で保管されたコンテナ3をそのまま岸壁まで輸送し、コンテナ用ガントリークレーン5により積み込みを行えばよいから、積み込みの作業効率が極めて良くなり、その作業の経費を節減できる。
上記コンテナ船への積み込みは、コンテナ3……を乗載したコンテナ輸送用パレット6を積み卸しヤード1’に搬送する<積込みコンテナ搬送工程>と、岸壁ヤード1’において、上記コンテナ用ガントリークレーン5により、上記コンテナ輸送用パレット6上のコンテナ3を複数個ずつコンテナ船2に積み込む<コンテナ積込み工程>と、空のコンテナ輸送用パレット6を岸壁ヤード1’からコンテナ保管ヤード4まで搬送する<空パレット搬送工程>とを繰り返すことにより行う。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の実施例1に係るコンテナ輸送方法によりコンテナをコンテナ保管ヤードに輸送し、直置きして保管している様子を示した、岸壁ヤードおよびコンテナ保管ヤードの全体側面図である。
【図2】(a)から(d)は、上記岸壁ヤードでの作業手順を示す説明図である。
【図3】(a),(b)は、上記コンテナ保管ヤードでの作業手順を示す説明図である。
【図4】(a)はコンテナ用ガントリークレーンの要部の側面図、(b)はそのコンテナ用ガントリークレーンに吊り下げられた上下2個のコンテナの連結部の拡大図である。
【図5】コンテナ用ガントリークレーンの他の例を示す側面図である。
【図6】(a)は補強用連結具のコンテナへの取付け前の側面図、(b)はその取り付け状態の側面図および斜視図である。
【図7】コンテナ輸送用パレットの斜視図である。
【図8】上記コンテナ輸送用パレットの横架材を取り外した状態の斜視図である。
【図9】(a)は他のコンテナ輸送用パレットの正面図、(b)はその側面図である。
【図10】(a)はコンテナ搬送車の架台を上昇させた状態の側面図、(b)はその平面図、(c)は、その架台を下降させた状態の側面図である。
【図11】上記コンテナ搬送車の要部拡大平面図である。
【図12】(a)は上記シャーシの上昇状態における車輪の拡大側面図、(b)はその平面図である。
【図13】上記シャーシの下降状態における、上記車輪の拡大側面図である。
【図14】(a)はそのシャーシの下降状態の背面図、(b)はその上昇状態の背面図である。
【図15】(a)は他のコンテナ搬送車の平面図、(b)はその側面図である。
【図16】本発明の実施例2に係るコンテナ輸送方法によりコンテナをコンテナ保管ヤードに輸送し、パレットに乗載したまま保管している様子を示した岸壁およびコンテナ保管ヤードの全体側面図である。
【図17】従来のコンテナ輸送方法によりコンテナをコンテナ船から保管ヤードまで輸送する様子を示した岸壁およびコンテナ保管ヤードの全体側面図である。
【符号の説明】
【0079】
1 岸壁
1’ 岸壁ヤード
3 コンテナ
4 コンテナ保管ヤード
5,5’ コンテナ用ガントリークレーン
6,6’ コンテナ輸送用パレット
7 コンテナ搬送車
11 ガーダ
12 トロリー
13 ワイヤ
14 スプレッダ
15 コンテナ連結具
15’ コーン
17 トロリー間隔検出手段
18 コンテナ間隔検出手段
20 縦枠材
21 横枠材
21’ 架台受入用空処
22 横架材
28,30 コンテナ固定板
29,31 係合孔
35 架台
36 駆動車
36’ 駆動輪
36” シリンダ
37 車輪
38 シリンダ
40 支持枠
41 回動枠
42 軸
44 シリンダ
45 ロッド
46 シリンダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
<a>岸壁ヤードにおいて、コンテナ用ガントリークレーンにより、コンテナ船に積載されているコンテナを1度に複数個吊り上げ、これらを空のコンテナ輸送用パレットに順次移載するとともに、
<b>岸壁ヤードとコンテナ保管ヤード間を往復するコンテナ搬送車により、複数のコンテナを移載した上記コンテナ輸送用パレットの岸壁ヤードからコンテナ保管ヤードへの搬送と、空のコンテナ輸送用パレットの上記コンテナ保管ヤードから上記岸壁ヤードへの搬送を繰り返し行うことを特徴とするコンテナ陸揚げ輸送方法。
【請求項2】
岸壁ヤードにコンテナ用ガントリークレーンを設置するとともに、その岸壁ヤードとコンテナ保管ヤードのそれぞれに所要台数の空のコンテナ搬送用パレットを用意しておき、
<c>上記岸壁ヤードにおいて、上記コンテナ用ガントリークレーンにより、コンテナ船に積載されているコンテナを1度に複数個吊り上げ、これらを上記コンテナ輸送用パレットに順次移載する陸揚げコンテナ移載工程と、
<d>複数のコンテナを移載した上記コンテナ輸送用パレットを、コンテナ搬送車により、コンテナ保管ヤードへ搬送する陸揚げコンテナ搬送工程と、
<e>上記コンテナ搬送車により、空のコンテナ輸送用パレットを上記コンテナ保管ヤードから上記岸壁ヤードへ搬送する空パレット搬送工程の3工程を繰り返し行うことを特徴とするコンテナ陸揚げ輸送方法。
【請求項3】
コンテナ保管ヤードに搬送された上記コンテナ輸送用パレットから、乗載されているコンテナを降ろし、該コンテナ輸送用パレットを空にするコンテナ降ろし工程を含むことを特徴とする請求項1または2記載のコンテナ陸揚げ輸送方法。
【請求項4】
岸壁ヤードにコンテナ用ガントリークレーンを設置するとともに、その岸壁ヤードとコンテナ保管ヤードのそれぞれに所要複数台の空のコンテナ搬送用パレットを用意しておき、
<f>上記岸壁ヤードにおいて、上記コンテナ用ガントリークレーンにより、コンテナ船に積載されているコンテナを1度に複数個吊り上げ、それを岸壁ヤードに用意しておいた上記空のコンテナ搬送用パレットに移載する陸揚げコンテナ移載工程と、
<g>複数個のコンテナを移載した上記コンテナ搬送用パレットを、コンテナ搬送車に乗載して、上記コンテナ保管ヤードへ搬送するとともに、そこに降ろす陸揚げコンテナ搬送工程と、
<h>複数個のコンテナを移載した上記コンテナ搬送用パレットを降ろした後の上記コンテナ搬送車に、上記コンテナ保管ヤードの空のコンテナ搬送用パレットを乗載し、それを、該コンテナ保管ヤードから上記岸壁ヤードへ搬送するとともに、そこに降ろす空パレット搬送工程と、
<i>遅くとも、上記空パレット搬送工程が終了する前までに、上記岸壁ヤードに用意しておいた他の空のコンテナ搬送用パレット、または上記空パレット搬送工程で上記岸壁ヤードに降ろした上記空のコンテナ搬送用パレットに上記コンテナ用ガントリークレーンにより、コンテナ船に積載されているコンテナを1度に複数個吊り上げて移載する陸揚げコンテナ移載工程とを、繰り返し行うことを特徴とするコンテナ陸揚げ輸送方法。
【請求項5】
上記コンテナ用ガントリークレーンによるコンテナの吊上げを、上下に連結した状態の2個のコンテナを1基のスプレッダにより吊り上げて行うことを特徴とする請求項1,2,3または4記載のコンテナ陸揚げ輸送方法。
【請求項6】
上記2個のコンテナが、上側のコンテナの側面下部の係合孔と、下側のコンテナの側面上部の係合孔とに、固定腕を差し込んだ補強用連結具により固定されていることを特徴とする請求項5記載のコンテナ陸揚げ輸送方法。
【請求項7】
上記コンテナ用ガントリークレーンによるコンテナの吊上げを、同一のガーダを走行する2基のトロリーにそれぞれ吊り下げたスプレッダにより各1個ずつのコンテナを吊り上げて行うことを特徴とする請求項1,2,3または4記載のコンテナ陸揚げ輸送方法。
【請求項8】
コンテナ保管ヤードにおける、コンテナのコンテナ輸送用パレットからの降ろしを、コンテナ用ヤードクレーンにより、1度に複数個ずつ行うことを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6または7記載のコンテナ陸揚げ輸送方法。
【請求項9】
岸壁ヤードにコンテナ用ガントリークレーンを設置するとともに、その岸壁ヤードとコンテナ保管ヤードのそれぞれに所要台数の空のコンテナ搬送用パレットを用意しておき、
<j>上記岸壁ヤードにおいて、上記コンテナ用ガントリークレーンにより、コンテナ船に積載されているコンテナを吊り上げ、これを上記コンテナ輸送用パレットに順次移載する陸揚げコンテナ移載工程と、
<k>複数のコンテナを移載した上記コンテナ輸送用パレットを、コンテナ搬送車により、コンテナ保管ヤードへ搬送する陸揚げコンテナ搬送工程と、
<l>上記コンテナ搬送車により、空のコンテナ輸送用パレットを上記コンテナ保管ヤードから上記岸壁ヤードへ搬送する空パレット搬送工程の3工程を繰り返し行うことを特徴とするコンテナ陸揚げ輸送方法。
【請求項10】
<m>岸壁ヤードにおいて、コンテナ用ガントリークレーンにより、コンテナ輸送用パレットに乗載されているコンテナを吊り上げ、これをコンテナ船に順次積載するとともに、
<n>岸壁ヤードとコンテナ保管ヤード間を往復するコンテナ搬送車により、複数のコンテナを乗載した上記コンテナ輸送用パレットのコンテナ保管ヤードから岸壁ヤードへの搬送と、空のコンテナ輸送用パレットの上記岸壁ヤードから上記コンテナ保管ヤードへの搬送を繰り返し行うことを特徴とするコンテナ積込み輸送方法。
【請求項11】
上記コンテナ輸送用パレットが、一対の縦枠材の両端に一対の横枠材を乗載固定した長方形状の枠体をなし、上記縦枠材の内側でかつ上記横枠材の下方の位置に架台受入用空処を形成してなり、かつ、上記コンテナ搬送車が、上記コンテナ輸送用パレットを乗載する架台を昇降させる架台昇降機構を備えていることを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9または10記載のコンテナ輸送方法。
【請求項12】
上記コンテナ搬送車が、乗載したコンテナ輸送用パレットを固定するパレット固定機構を備えていることを特徴とする請求項11記載のコンテナ輸送方法。
【請求項13】
ガーダ上を走行するトロリーを複数備え、コンテナを把持するスプレッダをその各トロリーに対して昇降自在に吊下したことを特徴とするコンテナ用ガントリークレーン。
【請求項14】
ガーダ上を走行するトロリーに昇降自在に吊下されたスプレッダが、上下に連結された状態の複数のコンテナを吊り上げるようにしてなることを特徴とするコンテナ用ガントリークレーン。
【請求項15】
一対の縦枠材の両端に一対の横枠材を乗載固定した長方形状の枠体をなし、上記縦枠材の内側でかつ上記横枠材の下方の位置に架台受入用空処を形成してなるとともに、コンテナ連結具のコーンを嵌合させる係合孔を開設したコンテナ固定板を、上記縦枠材と上記横枠材の各固定箇所の内側、および、上記横枠材の中央の内側の位置に、水平に固定してなることを特徴とするコンテナ輸送用パレット。
【請求項16】
請求項15に記載のコンテナ輸送用パレットを乗載する架台と、上記架台を昇降させる架台昇降機構と、その架台に対して左右回動自在に連結された駆動部とを備えていることを特徴とするコンテナ搬送車。
【請求項17】
上記架台の車輪が、方向変更自在に軸支されステアリング機構を構成していることを特徴とする請求項16記載のコンテナ搬送車。
【請求項18】
上記架台が、ロッドを外方に伸張させることにより、その先端を架台に乗載されたコンテナ輸送用パレットの縦枠材の内側に押し当て、該コンテナ輸送用パレットを固定するパレット固定機構を備えたことを特徴とする請求項16または17記載のコンテナ搬送車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−320727(P2007−320727A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−154347(P2006−154347)
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【出願人】(306016349)
【出願人】(306010200)有限会社ランフォス (1)
【Fターム(参考)】