説明

コンテンツ制御装置

【課題】個々の移動体端末が個別に必要とするコンテンツだけを的確に情報伝達できるようにする。
【解決手段】DSRC基地局情報データベース713、地域情報データベース714及び移動体情報データベース715は、夫々サービスレベル制御装置712を介して配信優先制御装置710に接続され、該配信優先制御装置からDSRC基地局情報データベース、地域情報データベース及び移動体情報データベースに蓄積された各データを参照できるように構成される。制御信号生成付加装置716は、前記DSRC基地局情報データベース、地域情報データベース及び移動体情報データベースに蓄積されたDSRC基地局情報、地域情報及び移動体情報に基づく配信優先制御装置の配信優先順位情報から配信制御信号を生成し、デジタルコンテンツデータベース707から送られるデジタルコンテンツへ生成した制御信号を付与できるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の移動体へのデジタルコンテンツの配信を制御するコンテンツ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動体へのコンテンツ制御装置としては「狭域情報提供転送方法」(特許文献1)に、情報提供システムから端末装置へDSRCを活用して情報を配信する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2003−315070号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の技術によれば、端末装置への情報配信は、ひとつの情報提供システムから複数の端末装置へ同一の情報を均一に配信する。従って、端末装置の位置や時刻等、端末装置の置かれた状況、あるいは自動車の搭乗者や端末装置を持った人に対して、最適な情報を配信することができないという問題点がある。また、端末装置の側から情報提供システムに対して必要な情報だけをリクエストすることができるものの、配信された数多くの情報のなかから必要とする情報だけを選択するには多大な時間と努力を必要とするという問題点がある。
また、配信される多くの情報を個々に識別できる制御情報や仕組みがないので、多くの情報群の中から最適な情報を簡易に選択できないという問題点がある。特に、移動体の内自動車の走行中は、運転者が安全運転をしなければならないため、必要な情報を受け取るにも操作上の大きな制約があり、この制約を考慮した情報配信が求められている。
【0004】
本発明は係る課題に鑑みてなされたもので、個々の移動体が個別に必要とするコンテンツだけを的確に情報伝達できるようにすることを目的とする。特に自動車等の移動体において、安全運転を最大限考慮したコンテンツの配信制御装置を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、請求項1に記載のコンテンツ制御装置は、
複数のデジタルコンテンツ供給手段と、
該デジタルコンテンツ供給手段から通信ネットワークを介して供給される多数のデジタルコンテンツを収集し蓄積する蓄積手段を有し、デジタルコンテンツを編成して配信する編成配信局と、
該編成配信局と通信ネットワークを介して接続され、該編成配信局で編成して配信されるデジタルコンテンツを蓄積する蓄積手段を有し、複数設置されたDSRC基地局と、
位置情報取得手段を有し、該DSRC基地局と通信するDSRC手段を有し、受信したデジタルコンテンツを蓄積する蓄積手段と該デジタルコンテンツを再生表示する再生表示手段とを搭載した移動体とからなり、
前記DSRC基地局への配信条件及び蓄積条件と、各移動体への配信条件及び蓄積条件と、各移動体の入出力条件とからなる制御情報を、
前記編成配信局で各コンテンツに付与し、
各コンテンツは該制御情報に従ってDSRC基地局及び移動体へ配信され、蓄積され、再生され、表示することを特徴とする。
【0006】
このように構成されたコンテンツ制御装置によれば、編成配信局で編成、配信されるデジタルコンテンツは、制御情報に基づいて配信され、蓄積され、再生され、表示されるので、個々の移動体が個別に必要とするコンテンツだけを的確に情報伝達することができる。
【0007】
ここでDSRCとは、Dedicated Short Range Communicationの略であり、「専用狭域通信」と訳される。ITSの世界では、この通信方式を用いて路側機(路側に設置された無線装置)と車載器(車両に搭載された無線装置)の間で無線通信を行う。現在、既にETC(ノンストップ自動料金支払いシステム)が実用化されており、今後さらに様々なサービスが実現することが予想される。特に、ITSで活用されるDSRCでは他の多くの通信システムと異なり、自動車用道路とそこを通行する自動車との間に最適な通信システムとして実用化されるため、DSRC基地局は自動車が通常に通行する地域ごとに別々に多数設置されるという特性があり、また指向性は極めて狭く設定されているという特性があり、自動車等の移動体が移動中に最も必要とするコンテンツだけを、DSRC基地局ごとに最適化し、また移動体ごとに最適化して配信する必要がある。
【0008】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載のコンテンツ制御装置において、
編成配信局は、デジタルコンテンツを蓄積するデジタルコンテンツデータベースと、接続されたDSRC基地局の固有情報を蓄積するDSRC基地局情報データベースと、該DSRC基地局が設置された地域固有の地域情報を蓄積する地域情報データベースと、接続する移動体の固有情報を蓄積する移動体情報データベースと、制御信号生成付加装置とを有し、
該制御信号生成付加装置は、前記DSRC基地局情報と地域情報及び移動体情報に基づいてコンテンツ制御信号を生成するとともに、
前記デジタルコンテンツデータへ制御信号を付加することを特徴とする。
【0009】
このように構成されたコンテンツ制御装置によれば、多数のコンテンツ群を基地局情報と地域情報及び移動体情報に基づいて生成される制御信号によって効率的に最適化して編成し配信することができる。
【0010】
請求項3に記載の本発明は、請求項1または2に記載のコンテンツ制御装置において、
制御情報は、道路状況と道路予測状況からなる道路情報と地域情報とに基づいて、移動体に当該交通ルートを避け別ルートを選択させたり駐停車区域に停車することを勧告する案内情報を逐次構成することを特徴とする。
【0011】
このように構成されたコンテンツ制御装置によれば、移動体の内、特に自動車が必要とする道路案内情報を的確に編成し配信することができる。
【0012】
請求項4に記載の本発明は、請求項1から3のいずれかに記載のコンテンツの制御装置において、編成配信局は、移動体のコンテンツ蓄積結果情報及び入出力結果情報を、DSRC基地局を介して移動体情報データベースへ取り込み、移動体情報を更新し、更新された移動体情報に基づいて制御情報を逐次構成することを特徴とする。
【0013】
このように構成されたコンテンツ制御装置によれば、移動体の行動を逐一把握して次に編成配信するコンテンツの制御を構成できるので、更に精度の高い最適化に基づくコンテンツの編成配信ができる。
【発明の効果】
【0014】
上述のように、本発明のコンテンツ制御装置は、編成配信局で編成、配信されるデジタルコンテンツが、制御情報に基づいて配信され、蓄積され、再生され、表示されるので、個々の移動体が個別に必要とするコンテンツだけを的確に情報伝達することができる。また、多数のコンテンツ群を基地局情報と地域情報及び移動体情報に基づいて生成される制御信号によって効率的に最適化して編成し配信することができる。
【0015】
また、移動体の内、特に自動車が必要とする道路案内情報を的確に編成し配信することができるので、特に渋滞発生時の交通管制、いわゆるオフピークのための情報提供が可能となるとともに、移動体の行動を逐一把握し、これを反映して次に編成配信するコンテンツの制御を逐次構成できるので、更に精度の高い最適化に基づくコンテンツの編成配信ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を示す実施例について図1〜図6に基づいて説明する。まず、図1は本発明を適用したコンテンツ制御装置の概略を示す概念図である。コンテンツ配信システムは、複数のコンテンツサーバ100、編成配信局300、複数のDSRC基地局400および複数の移動体500から構成される。コンテンツサーバ100は、インターネットやゲートウェイを介してインターネットに接続されるイントラネット等の通信ネットワーク201を介して編成配信局300へ接続され、コンテンツの種類や運営会社等により、101〜104と複数存在し、編成配信局300へ夫々異なったデジタルコンテンツを供給する。編成配信局300、DSRC基地局400および移動体500は、いずれも内部にCPU、RAM、ROMおよび入出力装置からなる周知のコンピュータシステムを構成している。
【0017】
編成配信局300は、前記コンテンツサーバ100から供給された多数のデジタルコンテンツを収集して蓄積するデータベース302を有している。DSRC基地局400は、401、404、407のように複数存在し道路の路側やパーキングエリア等、道路に沿って多数設置され、夫々DSRC通信用アンテナ403、406、409と前記編成配信局300から配信されたデジタルコンテンツを蓄積するデータベース402、405、408を有し、インターネット等の通信ネットワーク202を介して編成配信局300へ接続されている。
【0018】
移動体500は、501や505のように複数存在し、GPS機能を有するカーナビゲーションシステムを搭載した自動車であり、夫々の目的に従って道路上を移動する。また、前記DSRC基地局400とDSRC通信するための端末502、506、通信用アンテナ504、508と、DSRC通信によって受信したデジタルコンテンツを蓄積するデータベース503、507を夫々有している。移動体501が道路に沿って移動し、DSRC基地局401の通信可能区域に入ると通信用アンテナ403と504との間で自動的にDSRC通信が開始され、通信可能区域から出ると通信が終了するように構成されている。
【0019】
図2に移動体501の概略を示す概念図を示す。移動体501の操作面には液晶表示素子等で構成されるディスプレイ510と、操作ボタン511が設置され、ディスプレイ510は表示画面の表示、図2ではコンテンツの目次513や操作アイコン514、515、516等を手で軽くタッチすることで選択入力できるようにタッチパネル等の入力手段となっている。また、移動体501は移動体の現在位置を検出するGPS機能を有し、GPS用アンテナ512が前記DSRC通信用アンテナ504とは別に設けられ、カーナビゲーションシステムとなっている。ディスプレイ510は、該カーナビゲーションシステムの表示および入力操作用となっているとともに、前記DSRC通信を介して受信し、データベース503に蓄積した多数のデジタルコンテンツ群を再生表示する。また、ディスプレイ510のタッチパネル入力と操作ボタン511の操作による入力情報は、DSRC通信を介してDSRC基地局400および編成配信局300へ移動体入力情報として伝達される。
【0020】
図3に本発明を適用したコンテンツ配信システムの構成図を示す。700は編成配信局、800はDSRC基地局の一つを、900は移動体の一つを示し、図中の矢印は夫々信号やデータの遷移を示している。701は管理情報の入出力装置で、外部の複数のデータベース1000と接続され、編成配信条件を管理するさまざまなデータを編成配信局700内へ取り込み、編成システム702へ入力する。703は編成システム702で編成されたコンテンツ編成データを一時記憶する編成データユニット、704は外部の複数のコンテンツサーバ1001からさまざまなコンテンツデータを取り込むコンテンツ入出力装置で、コンテンツデータ検索システム708を介してデジタルコンテンツデータベース707へコンテンツデータを蓄積する。706はデータフォーマット変換装置で、編成システム702で編成されたコンテンツ編成データをデータベースファーマットに変換して、コンテンツデータベース707へ蓄積する。709はアーカイブデータベースで、デジタルコンテンツデータベース707のコンテンツデータを蓄積し、コンテンツデータ検索システム708で容易に検索できるように蓄積される。705は配信要求制御装置で、編成システム702で作られたコンテンツ編成データから配信要求事項を整理統合し、配信優先制御装置710へ配信要求信号を出力する。711は優先スケジューラで、配信スケジュールを制御する。
【0021】
713はDSRC基地局情報データベースで、この配信システムに接続された複数のDSRC基地局の設置条件あるいはDSRC基地局の性能等からなる固有情報とともに、各DSRC基地局へのコンテンツ配信条件と蓄積条件からなるDSRC基地局情報が蓄積されている。714は地域情報データベースで、各DSRC基地局が設置された地域固有の地域情報が蓄積されている。715は移動体情報データベースで、予め登録された移動体固有の情報、例えばカーナビゲーションシステムの機種名、使用者の登録を許可された個人情報等とともに、コンテンツ配信条件、蓄積条件及び入出力条件からなる移動体情報が蓄積されている。これらDSRC基地局情報データベース713、地域情報データベース714及び移動体情報データベース715は、夫々サービスレベル制御装置712を介して前記配信優先制御装置710に接続され、該配信優先制御装置710からDSRC基地局情報データベース713、地域情報データベース714及び移動体情報データベース715に蓄積された各データを参照できるように構成されている。
【0022】
716は制御信号生成付加装置で、前記DSRC基地局情報データベース713、地域情報データベース714及び移動体情報データベース715に蓄積されたDSRC基地局情報、地域情報及び移動体情報に基づく配信優先制御装置710の配信優先順位情報から配信制御信号を生成するとともに、前記デジタルコンテンツデータベース707から送られるデジタルコンテンツへ生成した制御信号を付与できるように構成されている。
【0023】
図4は、コンテンツ制御信号の構成図で、デジタルコンテンツデータベース707から送られたデジタルコンテンツデータ本体601のヘッダー情報として、DSRC基地局への配信条件信号602、DSRC基地局の蓄積条件信号603、移動体への配信条件信号604、移動体の蓄積条件信号605及び入出力条件信号606が付与された状態を示している。
【0024】
制御信号生成付加装置716によって制御信号が付与されたデジタルコンテンツデータは、配信用コンテンツメディア変換装置717へ送られ、配信に最適な信号へとメディア変換され、配信サーバ718によって、前記DSRC基地局の配信条件信号602に基づいてDSRC基地局800の受配信制御装置801へと配信される。DSRC基地局の配信条件信号602に基づき、まだ配信すべき時期がこないコンテンツは、一旦配信用データベース719に蓄積される。720は配信サーバ718に接続されたコンテンツ著作権管理用ユニットで、各デジタルコンテンツの著作権管理を行う。DSRC基地局800の受配信制御装置801には、DSRCデバイス803とコンテンツキャッシュサーバ802とが接続され、受配信制御装置801が移動体への配信条件信号604またはDSRC基地局の蓄積条件信号603を読み取って、コンテンツの種別によってコンテンツデータを移動体900へ配信したり、コンテンツキャッシュサーバ802へ蓄積できるように構成されている。また、DSRCデバイス803から配信されたコンテンツは、図示しないアンテナを介して移動体900のDSRCデバイスを有する車載端末901へ送信される。該車載端末901は、前記移動体の蓄積条件信号605または入出力条件信号606を読み取って車載端末901のキャッシュサーバ902へ蓄積したり、出力装置へ自動的に出力したり、入力装置からの入力を促すことができるように構成されている。
【0025】
移動体900で受信されたコンテンツが車載端末901のキャッシュサーバ902に蓄積されると、DSRC通信の双方向通信機能によってDSRC基地局を介して蓄積結果情報として、また入出力された場合は入出力結果情報として、編成配信局700のユーザログ入力装置724へ伝達され、その情報はユーザログ入力装置724に接続されたユーザログデータベース725へ蓄積される。また、蓄積結果情報と入出力結果情報は、ユーザログ管理装置722とログ統計装置によって解析処理され、移動体情報データベース715に蓄積されるとともに、サービスレベル管理装置723によって制御信号生成付加装置716へフィードバックできるように構成されている。
サービスレベル管理装置723は、接続される複数の移動体それぞれについて、このコンテンツ配信システムが提供するサービスのレベルを個別に管理する装置である。例えば、サービスレベル1は、全てのサービスを受けることができるが、移動体の固有情報やユーザログ情報を全て登録する必要があり、例えば目的地とその走行履歴をユーザログ情報として逐次登録することによって、その情報はユーザログ管理装置722を経て移動体情報データベース715の情報を更新するとともに、サービスレベル管理装置723の解析処理を経て制御信号生成付加装置716から新たな制御信号を創出して、目的地と走行履歴に応じた新たなコンテンツの提供を受けることができる。
また、サービスレベル2は、全てのサービスから受けるサービスを選択することができ、選択したサービスに応じて移動体の固有情報やユーザログ情報の登録を許可できる。
更に、サービスレベル3は、基本的かつ一般的なベーシックサービスだけを受けるレベルとなり、従って移動体の固有情報やユーザログ情報の登録は必要最低限の情報だけが必要となる。
サービスレベルは、ユーザが移動体の車載端末を使用開始する際に設定されるものであるが、使用を開始してからユーザの意思で車載端末の入力手段を使って当初の設定から変更可能になされているとともに、使用中にユーザの要求で選択された特定のコンテンツの配信に必要なサービスレベルを編成配信局側で、この特定コンテンツの受信のために変更することができるように、サービスレベルが可変に構成されている。
【0026】
このように構成されたコンテンツ制御装置によれば、編成配信局で編成された多数のデジタルコンテンツは、その種別によって、また必要性に応じて別々に制御できる。例えば、図5に示すように、コンテンツA1はDSRC基地局B1とB2へ配信し、B3には配信せず、DSRC基地局B2では一旦蓄積し目的の移動体の到来によって配信し、DSRC基地局B1では移動体C1とC2へ配信し、移動体C3へは配信しないとか、移動体C1では自動的に表示し、C2では一旦蓄積した後、出力時刻の到来によって再生表示するといった具合に、デジタルコンテンツに付与された制御情報に基づいて様々なパターンで配信し、蓄積し、再生し、表示することができる。
【0027】
また、コンテンツが移動体に蓄積されたことや再生、表示されたこと、また入力信号として発信されたこと等のユーザログ情報が編成配信局の移動体情報データベースへ取り込まれ、ログ情報によって移動体情報を逐次更新することができるので、この更新された新しい移動体情報に基づいて制御情報を逐次再構成することができる。例えば、移動体C4はコンテンツA2の属するカテゴリを何度も蓄積し再生表示する場合、このログ情報を基に同様のカテゴリに属するコンテンツA3とA4を選択して制御情報を付加し、コンテンツA3とA4をコンテンツA2に続けて配信することによって、移動体C4の満足度を高めることができる。このように移動体の変化(走行遷移等)に応じて制御情報を逐次変更することによって、移動体ごとにしかも変化に応じて配信するコンテンツを効率的に最適化することができる。
【0028】
図6は、本発明を高速道路で実施した例を示し、自動車1600が高速道路1601からパーキングエリア(PA)1603に駐車して休憩した後、スマートIC1604を経て、一般道路1605を通りある地点1613や地域イベント等が開催されている道の駅1606へ移動する場合の経路を矢印で順に表している。この実施例で配信されるコンテンツには、前述した制御情報が付与されている。まず、自動車1600が高速道路1601の路側に設置された第一のDSRC基地局1607の近傍を通過すると、自動車1600に搭載された端末がコンテンツを配信条件に応じて自動受信し、受信したコンテンツは、例えば、編成配信局で収集した道路状況と道路予測状況から、この先の高速道路上で事故が発生し、相当な渋滞が予測されるとする案内情報と、PA1603にスマートIC1604があることを告知するとともに、PA1603の駐車場で情報接続サービスを実施中であることを告知する。この告知に反応して自動車1600が第二のDSRC基地局1608の近傍を通過すると、コンテンツとしてスマートIC1604への導入路であることと、このスマートIC1604を通過して予定した交通ルートを避け、渋滞を回避できる別ルートを選択できること、またはPA1603の駐車場で一旦駐車した後、時間をおいてから予定ルートを進むことを勧告するとともに、PA1603では情報接続サービス実施中を告知する。
【0029】
続いて自動車1600が誘導路に設置された第三のDSRC基地局1609および第四のDSRC基地局1610の近傍を通過すると、スマートIC1604の利用方法が音声ガイドで流れるとともに、引き続きPA1603で現在提供している情報サービスと、推奨される別ルートの通行経路の概要を音声で紹介する。また、自動車1600が駐車した状態で表示するための目次情報を受信し、これは後に備えて蓄積される。
【0030】
自動車1600がPA1603の駐車マスへ停車したタイミングで、前記第四のDSRC基地局1610で受信し、蓄積された目次情報が端末で表示され、自動車1600の搭乗者は、この目次情報から渋滞を回避した別ルートを通行する際に必要とする情報の詳細内容を選択すると、第五のDSRC基地局1611から情報サービスとして動画、静止画、音声、経路誘導データ等がダウンロードされ、蓄積されるとともに表示が開始される。
【0031】
自動車1600は、前記PA1603の案内情報サービスで誘引され、スマートIC1604を通過すると、第六のDSRC基地局1612から、スマートIC1604を出た後の主要な周辺地域情報、立ち寄り推奨情報、次のDSRC接続ポイント情報等を、端末の画面を非表示のまま、自動的に蓄積するとともに、その概要を音声案内として紹介する。自動車1600が例えば道の駅1606等で停車したタイミングで、蓄積されたコンテンツを自動再生させることができる。また、その後に道路状況が好転し、予測された渋滞が緩和された場合は、コンテンツの制御情報を逐次更新し、新しい案内情報に更新して再配信することによって、自動車1600を最適な交通ルートへ誘導できる。
【0032】
以上のように、コンテンツの制御情報によって、道路情報と地域情報に基づく案内情報を的確に移動体へ配信することが可能となり、移動体はこの案内情報に応じて当初予定した交通ルートに不測の事態が発生したことを知り、当該ルートを避け別ルートを選択したり、駐車によって時をかせぐことができるので、トラブルのない最適なドライブができる。
【0033】
以上、本発明の実施の形態を説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない限り、様々な態様で実施し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明を適用したコンテンツ制御装置の概要説明図である。
【図2】移動体501の概略を示す概念図である。
【図3】本発明を適用したコンテンツ配信システムの構成図である。
【図4】コンテンツ制御信号の構成図である。
【図5】コンテンツの配信パターンを例示した模式図である。
【図6】本発明を高速道路で実施した場合の概要説明図である。
【符号の説明】
【0035】
700 編成配信局
800 DSRC基地局
900 移動体
707 デジタルコンテンツデータベース
710 配信優先制御装置
712 サービスレベル制御装置
713 DSRC基地局情報データベース
714 地域情報データベース
715 移動体情報データベース
716 制御信号生成付加装置
725 ユーザログデータベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のデジタルコンテンツ供給手段と、
該デジタルコンテンツ供給手段から通信ネットワークを介して供給される多数のデジタルコンテンツを収集し蓄積する蓄積手段を有し、デジタルコンテンツを編成して配信する編成配信局と、
該編成配信局と通信ネットワークを介して接続され、該編成配信局で編成して配信されるデジタルコンテンツを蓄積する蓄積手段を有し、複数設置されたDSRC基地局と、
位置情報取得手段を有し、該DSRC基地局と通信するDSRC手段を有し、受信したデジタルコンテンツを蓄積する蓄積手段と該デジタルコンテンツを再生表示する再生表示手段とを搭載した移動体とからなり、
前記DSRC基地局への配信条件及び蓄積条件と、各移動体への配信条件及び蓄積条件と、各移動体の入出力条件とからなる制御情報を、
前記編成配信局で各コンテンツに付与し、
各コンテンツは該制御情報に従ってDSRC基地局及び移動体へ配信され、蓄積され、再生され、表示されることを特徴としたコンテンツ制御装置。
【請求項2】
編成配信局は、デジタルコンテンツを蓄積するデジタルコンテンツデータベースと、接続されたDSRC基地局の固有情報を蓄積するDSRC基地局情報データベースと、該DSRC基地局が設置された地域固有の地域情報を蓄積する地域情報データベースと、接続する移動体の固有情報を蓄積する移動体情報データベースと、制御信号生成付加装置とを有し、
該制御信号生成付加装置は、前記DSRC基地局情報と地域情報及び移動体情報に基づいてコンテンツ制御信号を生成するとともに、
前記デジタルコンテンツデータへ制御信号を付加することを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ制御装置。
【請求項3】
制御情報は、道路状況と道路予測状況からなる道路情報と地域情報とに基づいて、移動体に当該交通ルートを避け別ルートを選択させたり駐停車区域に停車することを勧告する案内情報を逐次構成することを特徴とする請求項1から請求項2のいずれかに記載のコンテンツ制御装置。
【請求項4】
編成配信局は、移動体のコンテンツ蓄積結果情報及び入出力結果情報を、DSRC基地局を介して移動体情報データベースへ取り込み、移動体情報を更新し、更新された移動体情報に基づいて制御情報を逐次構成することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のコンテンツ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−26336(P2007−26336A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−210809(P2005−210809)
【出願日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(394025924)株式会社博報堂 (14)
【出願人】(505173625)株式会社ARU (4)
【出願人】(505173636)
【Fターム(参考)】