説明

サスペンションアッパーサポート用スラスト玉軸受

【課題】 ステアリングの直進安定性向上に貢献するサスペンションアッパーサポート用スラスト玉軸受を提供する。
【解決手段】 サスペンションアッパーサポート用スラスト玉軸受1において、第一の軌道輪及び第二の軌道輪6の少なくともいずれかの軌道面RSに、揺動角度よりも小さく設定された一部区間が、玉2の該軌道面RSに対する摺動抵抗が残余の区間よりも小さく設定された低摺動抵抗区間50とされる一方、複数の玉2の予め定められたものがトルク制御用玉2’として定められる。第二の軌道輪6に対し第一の軌道輪が中立点Mにある状態ではトルク制御用玉2’が低摺動抵抗区間50内に位置し、第一の軌道輪5が該中立点Mから低摺動抵抗区間50の長さに応じて定まる脱出角度以上にて揺動回転することにより、トルク制御用玉2’を低摺動抵抗区間50から脱出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サスペンションアッパーサポート用スラスト玉軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】実登2501751号公報
【0003】
車輪と車体とをつなぐサスペンションにおいては、そのアッパーサポート用にスラスト玉軸受が使用されている。このスラスト玉軸受は、ステアリングの操作角度に対応して、左右両方向に一定角度範囲にて揺動回転する(特許文献1)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記のスラスト玉軸受は、サスペンションの直進安定性を支配する要因の一つであり、該直進安定性が良好でない場合、路面の起伏状態を反映した微動振動によりステアリングが揺れたり、ふらついたりすることがある。また、直進安定性の悪いサスペンションの場合、大きくハンドルを切ってから直進状態に戻すときにも、ふらつきを生じやすい問題がある。
【0005】
本発明の課題は、ステアリングの直進安定性向上に貢献するサスペンションアッパーサポート用スラスト玉軸受を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0006】
上記課題を解決するための本発明のサスペンションアッパーサポート用スラスト玉軸受は、
軸受アキシャル方向に対向配置された第一の軌道輪及び第二の軌道輪と、それら第一の軌道輪及び第二の軌道輪の間に、回転周方向に複数配置された転動体をなす玉と、それら玉の配列間隔を予め定められた値に保持する保持器とを有し、第二の軌道輪に対し第一の軌道輪は相対的な回転角度位置に対し中立点が予め定められるとともに、第一の軌道輪は中立点を基準として第二の軌道輪に対し正逆両方向に予め定められた上限揺動角度範囲にて揺動回転するものとされ、
第一の軌道輪及び第二の軌道輪の少なくともいずれかの軌道面には、上限揺動角度範囲よりも小さく設定された一部区間が、玉の該軌道面に対する摺動抵抗が残余の区間よりも小さく設定された低摺動抵抗区間とされる一方、複数の玉の予め定められたものがトルク制御用玉として定められ、
第二の軌道輪に対し第一の軌道輪が中立点にある状態ではトルク制御用玉が低摺動抵抗区間内に位置し、第一の軌道輪が該中立点から低摺動抵抗区間の長さに応じて定まる脱出角度以上にて揺動回転することにより、トルク制御用玉を低摺動抵抗区間から脱出させるようにしたことを特徴とする。
【0007】
上限揺動角度は車輪の許容操舵角度に対応して定まるものであり、一般には90°未満、例えば40°以上50°以下の範囲に設定される。本発明のサスペンションアッパーサポート用スラスト玉軸受によると、直進時のステアリング中立点に対応して、スラスト玉軸受を構成する2つの軌道輪の相対回転角度位相にも中立点が定められる。他方、第一の軌道輪に対し第二の軌道輪の少なくともいずれかの軌道面に低摺動抵抗区間が設けられるとともに、転動体をなす玉の一部のものがトルク制御用玉として定められ、上記中立点ではそのトルク制御用玉が低摺動抵抗区間内に位置し、操舵に伴い中立点から一定角度回転することにより、そのトルク制御用玉が低摺動抵抗区間から脱出するようにした。その結果、スラスト玉軸受の回転摺動抵抗ひいてはステアリングの回転トルクは中立点で極小となる一方、操舵に伴いトルク制御用玉が低摺動抵抗区間から脱出すればステアリングの回転トルクは増大するから、その反作用が復元力となってステアリングを中立点に保持することができる。これにより、路面凹凸等による微動振動等が生じてもステアリングに揺れ等が生じにくくなり、直進安定性を大幅に増す事ができる。また、大きくハンドルを切ってから直進状態に戻すときにも、速やかに中立点に安定させることができ、ふらつき等を生じにくい。
【0008】
軌道面のラジアル方向端部には、該軌道面の周方向に沿って玉のラジアル方向への移動を規制するラジアル規制手段が形成される。前述の低摺動抵抗区間は、例えば軌道面のラジアル方向幅を残余の区間よりも大きく設定したものとして形成できる。軌道面のラジアル方向幅が増えれば、軌道面上の玉とラジアル規制手段との間に形成されるラジアル方向のクリアランスも増えるので、玉と軌道輪との摺動接触の確率が減少し、低摺動抵抗区間として機能させることができる。
【0009】
次に、複数の玉は、そのうちの一つだけをトルク制御用玉として用いることもできるが、トルク制御用玉を複数設けることで、中立点でのトルク極小点深さが増し、中立点でのステアリングの安定性をより高めることが可能となる。
【0010】
この場合、第一の軌道輪が該中立点にある状態において、低摺動抵抗区間の同じものに対し、複数のトルク制御用玉を位置決めするように構成することができる。1つの低摺動抵抗区間内に複数のトルク制御用玉を集めることで、複数のトルク制御用玉に対し個別に低摺動抵抗区間する場合よりも軌道面の全体形状を単純化でき、製造が容易であるとともに、よりスムーズな回転摺動特性が得られる。また、複数のトルク制御用玉が低摺動抵抗区間に対し順次的に出入りする形となるので、該出入りするトルク制御用玉の個数に応じて回転摺動トルクは段階的に増減し、摺動に伴うトルク変化も滑らかになるので、操舵時の違和感が少ない。
【0011】
この場合、複数のトルク制御用玉の配列間隔を、残余の玉の配列間隔よりも狭く設定することができる。このようにすると、配列間隔の縮小したトルク制御用玉列の低摺動抵抗区間外での摺動抵抗が増し、よりシャープなトルク極小点を中立点に形成できるので、該中立点でのステアリングの安定性が一層高められる。この場合、複数のトルク制御用玉を、保持器にて単一のポケット内に密接配置する構成とすれば、上記の効果がより高められる他、軸受の組立工程も簡略化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
図1及び図2は、本発明の適用対象となるサスペンションアッパーサポート用スラスト玉軸受(以下、単にスラスト玉軸受ともいう)の一例を、その組み付け状態にて示す断面図である。該スラスト玉軸受1は、図1に示すごとく、自動車等の車両に使用されるストラット式サスペンションの上部に設けられるもので、ストラットピンロッド31と一体回転するべく、該ストラットピンロッド31の上端部に上部ケース3が結合されてなる。上部ケース3の下面側には、ストラットピンロッド31の回転軸線を取り囲む形状にて第一の軌道輪5が一体化されている。また、上部ケース3の下方には下部ケース4が配置される。図2に示すように、下部ケース4は、繊維強化樹脂による一体射出成形部品として構成されるとともに、ストラットピンロッド31の挿通孔8がアキシャル方向に貫通形成された筒状のケース本体4mと、該ケース本体4mの外周面からラジアル方向外向きに突出するフランジ状に形成され、上面側に軌道輪装着凹部4gを有した軌道輪装着突出部4sとを有する。図1に示すように、該下部ケース4は、上部ケース3よりも下方にてストラットピンロッド31の外側に配置された弾性支持機構40により、ストラットピンロッド31の相対回転を許容した形でアキシャル方向下側から弾性的に支持される。下部ケース4の軌道輪装着凹部4gには、ストラットピンロッド31の回転軸線を取り囲む形状にて第二の軌道輪6が取り付けられる。そして、第一の軌道輪5と第二の軌道輪6との間には、複数の玉2が配置されている。
【0013】
図1のストラット式サスペンションは、弦巻ばね23のばね座24を保持するコイルばねシート25と、ショックアブソーバー30と、ショックアブソーバー30のストラットピンロッド31の上端部に嵌合されるスラスト玉軸受1と、スラスト玉軸受1の上部で該スラスト玉軸受1を固定するナット26と、これらスラスト玉軸受1を囲むように保持するストラットマウントゴム22、ストラットサポート21等を含んで構成されている。弦巻ばね23、ばね座24及びコイルばねシート25が弾性支持機構40を構成する。
【0014】
ショックアブソーバー30は、シリンダ32と、シリンダ32に収容されたピストンより延出したストラットピンロッド31により構成される。さらにストラットピンロッド31の外周に発泡ウレタンゴム等の多孔質弾性体からなるバウンドストッパ28が備えられている。そして、シリンダ32が上昇した場合に、バウンドストッパ28がシリンダ32のピストンロッド突出側端面32Sに当接して軸方向に弾性圧縮変形され、衝撃エネルギーの吸収と衝撃音の緩和等を図っている。つまり、シリンダ32が過度に移動することを防止するために、ストラットピンロッド31に発泡ウレタンゴム等のバウンドストッパ28が取り付けられている。
【0015】
上記スラスト玉軸受1は、ストラットマウントゴム22とコイルばねシート25との間に配置される。ストラットマウントゴム22はストラットピンロッド31に固定され、スラスト玉軸受1の上部ケース3を覆うように配置される。コイルばねシート25は、外周部25aの下面において、ばね座24の上端部により支持される円環板状の支持体であり、内周部25bの上面でスラスト玉軸受1の下部ケース4を支持する。そして、上部ケース3及び下部ケース4の各内周面7,8にはストラットピンロッド31が内挿され、上部ケース3はストラットピンロッド31と一体的に下部ケース4に対して相対回転する。なお、下部ケース4の内周面(挿通孔)8とストラットピンロッド31の外周面との間にはシールリング17(例えばゴム製)が配置されている。
【0016】
次に、図2に示すように、第一の軌道輪5及び第二の軌道輪6の間には、回転周方向に複数配置された転動体をなす玉2と、それら玉2の配列間隔を予め定められた値に保持する保持器20とが配置される。図3に示すように、第二の軌道輪6に対し第一の軌道輪5は相対的な回転角度位置に対し中立点Mが予め定められるとともに、第二の軌道輪6は中立点Mを基準として第一の軌道輪5に対し正逆両方向に90°未満(例えば45°)の上限揺動角度範囲2θ(正方向及び逆方向にそれぞれθずつ)にて揺動回転する。
【0017】
図6、図7及び図8に示すように、第一の軌道輪5及び第二の軌道輪6の少なくともいずれかの軌道面RSには、上限揺動角度範囲2θよりも小さく設定されたその一部区間に、玉の該軌道面RSに対する摺動抵抗が残余の区間よりも小さく設定された低摺動抵抗区間50が形成されている。この低摺動抵抗区間50は、図6に示すように第一の軌道輪5側に形成してもよいし、図7に示すように第二の軌道輪6側に形成してもよいし、図8に示すように、第一の軌道輪5及び第二の軌道輪6の双方に形成してもよい。以下、第二の軌道輪6に設ける場合にて代表させて説明する。
【0018】
図4に示すように、複数の玉2は、その予め定められたものがトルク制御用玉2’として定められる。そして、第二の軌道輪6に対し第一の軌道輪5が中立点Mにある状態ではトルク制御用玉2’が低摺動抵抗区間50内に位置し、第一の軌道輪5が該中立点Mから低摺動抵抗区間50の長さに応じて定まる脱出角度以上にて揺動回転することにより、トルク制御用玉2’が低摺動抵抗区間50から脱出するようになっている。
【0019】
上記の構成によると、図3に示す直進時のステアリング中立点に対応して、スラスト玉軸受1を構成する2つの軌道輪の相対回転角度位相にも中立点Mが定められる。他方、軌道面RSには上記の低摺動抵抗区間50が設けられるとともに、図5Aに示すように、操舵に伴い中立点Mから一定角度回転することにより、トルク制御用玉2’が低摺動抵抗区間50から脱出する。これにより、スラスト玉軸受1の回転摺動抵抗ひいてはステアリングの回転トルクは中立点Mで極小となる一方、操舵に伴いトルク制御用玉2’が低摺動抵抗区間50から脱出すればステアリングの回転トルクは増大するから、その反作用が復元力となってステアリングを中立点Mに保持することができる。これにより、路面凹凸等による微動振動等が生じてもステアリングに揺れ等が生じにくくなり、直進安定性を大幅に増すことができる。また、大きくハンドルを切ってから直進状態に戻すときにも、速やかに中立点Mに安定させることができ、ふらつき等を生じにくい。
【0020】
図2に示すように、軌道面RSのラジアル方向端部には、該軌道面RSの周方向に沿って玉2のラジアル方向への移動を規制するラジアル規制手段が形成される。図6、図7及び図8では、低摺動抵抗区間50は、例えば軌道面RSのラジアル方向幅を残余の区間よりも大きく設定したものとして形成されている。また、本実施形態では、図2に示すように、軌道面RSの横断面が円弧状に形成され、玉に倣って屈曲する軌道面RSの両縁部がラジアル規制手を形成していることが明らかである(ただし、軌道面RSの横断面形状はこれに限られるものではない)。図5Bに示すように、低摺動抵抗区間50にて軌道面RSのラジアル方向幅が増えれば、玉2と軌道面RSの両縁部との間に形成されるラジアル方向のクリアランスも増えるので、玉2と軌道輪6との摺動接触の確率が減少し、低摺動抵抗区間50として機能させることができる。
【0021】
図12に示すように、低摺動抵抗区間50は、その外周縁50Aを、残余区間の外周縁よりもラジアル方向外向きに張り出させた形で形成することができる。また、図13に示すように低摺動抵抗区間50は、その内周縁50Bを、残余区間の内周縁よりもラジアル方向内向きに張り出させた形で形成することもできる。さらには、両者の組み合わせとして、図4に示すように、外周縁50Aと内周縁50Bとの双方を張り出させた形で形成することができる。具体例は以下の通りである。
【0022】
図12では、低摺動抵抗区間50が、その外周縁50Aを残余の区間の外周縁よりも曲率半径の小さい円弧状をなす形態で外向き凸状に膨出させた形で形成されている。また、図13では、低摺動抵抗区間50が、その内周縁50Bを、残余区間の内周縁よりも曲率半径の小さい円弧状をなす形態で内向き凹状に膨出させた形で形成されている。その内周縁は、逆向きの円弧区間50Bとしてもよいし、直線状区間50BSとしてもよい。
【0023】
図14では、低摺動抵抗区間50が、その外周縁50Cを、残余の区間の外周縁と曲率半径中心を共有させた形で、該残余の区間よりも曲率半径の大きい円弧状をなす形態で外向きに張り出させた形で形成されている。また、その両端には、上記残余区間の外周縁との接続区間50jが、当該残余区間の末端に向けて曲率半径を漸減させる形で形成されている。他方、図15では、低摺動抵抗区間50が、その内周縁50Dを、残余区間の内周縁と曲率半径中心を共有させた形で、残余の区間よりも曲率半径の小さい円弧状をなす形態で内向きに張り出させた形で形成されている。また、その両端には、残余区間の外周縁との接続区間50jが、当該残余区間の末端に向けて曲率半径を漸増させる形で形成されている。図16は、その両者を組み合わせた態様に相当する。また、図17においては、低摺動抵抗区間50が、その外周縁50Eを、残余の区間の外周縁末端位置から接線方向に延出する直線形態で外向きにカスプ状に張り出させた形で形成されている。
【0024】
次に、図2のスラスト軸受1においては、図4に示すように、第一の軌道輪5が該中立点Mにある状態において、同一の低摺動抵抗区間50に対し、複数(ここでは3つ)のトルク制御用玉2’が位置決めされるように構成されている。この場合、上記中立点Mにおいて、低摺動抵抗区間50の端近くに位置するトルク制御用玉2’ほど、少ない摺動角度で低摺動抵抗区間50から脱出する。つまり、図5Aに示すように、ステアリングが中立点Mから変位した場合、複数のトルク制御用玉2’は、低摺動抵抗区間50の変位方向端部に近いものから順に該区間50より脱出し、変位が中立点に戻る場合には、その逆順で区間50内に復帰する。つまり、出入りするトルク制御用玉2’の個数に応じて回転摺動トルクは段階的に増減し、摺動に伴うトルク変化も滑らかになるので、操舵時の違和感が少なくて済む利点がある。
【0025】
図5Aにおいては、複数のトルク制御用玉2’の配列間隔が、残余の玉2の配列間隔よりも狭く設定されている。図3に示すように、玉2,2’の配列間隔は、保持器20に形成された玉2,2’を収容するポケット21p,21sの形成間隔によって規制できる。配列間隔の縮小したトルク制御用玉2’列の低摺動抵抗区間50外での摺動抵抗が増し、よりシャープなトルク極小点を中立点Mに形成できるので、該中立点Mでのステアリングの安定性が一層高められる。図3では、複数のトルク制御用玉2’が、保持器20にて単一のポケット21p内に密接配置する構成となっている。
【0026】
なお、図9(保持器側)及び図10(軌道輪側)と、図18(保持器側)及び図19(軌道輪側)にそれぞれ示すように、低摺動抵抗区間50は、軌道面RSの周方向における複数箇所に分散形成することができ、それら複数の低摺動抵抗区間50のそれぞれにトルク制御用玉2’を分配することも可能である。これにより、低摺動抵抗区間50に関与するトルク制御用玉2’の総数をより増大でき、中立点に形成されるトルク極小点の急峻化に寄与することができる。図9及び図10では、各低摺動抵抗区間50に複数個のトルク制御用玉2’が分配され、図18及び図19では、低摺動抵抗区間50に複数個のトルク制御用玉2’を分配した例を示している。
【0027】
なお、図5Aに示すように、軸受1の揺動角度が大きくなると、中立点にて低摺動抵抗区間50内にあったトルク制御用玉2’は、その揺動側端部から順次脱出するが、代わって反対側の端部においては、中立点にて低摺動抵抗区間50内になかった玉2が次第に接近してくる。そして、上限揺動角度付近まで回転したとき、この玉2が低摺動抵抗区間50内に新たに入ると、図11A及び図11Bは、上記中立点Mを中心とした上限揺動角度範囲2θ内の区間から、トルク制御用玉2’以外の玉2を排除した例を示す。
【0028】
また、図20に示すように、低摺動抵抗区間50は、軌道面RSの一部をアキシャル方向にくぼませた凹所50Xとして形成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明のサスペンションアッパーサポート用スラスト玉軸受の第一実施例を、その周辺部分と共に示す縦図。
【図2】図1のスラスト玉軸受を拡大して示す縦断面図。
【図3】図2の玉と保持器部分とを抜き出して示す平面図。
【図4】図2の玉と第二の軌道輪とを抜き出して示す平面図。
【図5A】図2のスラスト玉軸受の作用説明図。
【図5B】図2のスラスト玉軸受におけるラジアル規制手段の説明図。
【図6】低摺動抵抗区間を第一の軌道輪側にのみ設けた例を示す斜視図。
【図7】低摺動抵抗区間を第二の軌道輪側にのみ設けた例を示す斜視図。
【図8】低摺動抵抗区間を第一の軌道輪側と第二の軌道輪側との双方に設けた例を示す斜視図。
【図9】低摺動抵抗区間を複数設けた例の第一における、玉と保持器部分とを抜き出して示す平面図。
【図10】低摺動抵抗区間を複数設けた例の第一における、玉と第二の軌道輪とを抜き出して示す平面図。
【図11A】図3において、上限揺動角度範囲内の区間からトルク制御用玉以外の玉を排除した構成例を示す第一図。
【図11B】同じく第二図。
【図12】軌道面をラジアル方向に拡張して形成した低摺動抵抗区間の第一例を示す平面図。
【図13】同じく第二例を示す平面図。
【図14】同じく第三例を示す平面図。
【図15】同じく第四例を示す平面図。
【図16】同じく第五例を示す平面図。
【図17】同じく第六例を示す平面図。
【図18】低摺動抵抗区間を複数設けた例の第二における、玉と保持器部分とを抜き出して示す平面図。
【図19】低摺動抵抗区間を複数設けた例の第二における、玉と第二の軌道輪とを抜き出して示す平面図。
【図20】低摺動抵抗区間を、軌道面の一部をアキシャル方向にくぼませた凹所として形成した例を示す図。
【符号の説明】
【0030】
1 サスペンションアッパーサポート用スラスト玉軸受
2 玉
2’ トルク制御用玉
5 第一の軌道輪
6 第二の軌道輪
20 保持器
RS 軌道面
M 中立点
50 低摺動抵抗区間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸受アキシャル方向に対向配置された第一の軌道輪及び第二の軌道輪と、それら第一の軌道輪及び第二の軌道輪の間に、回転周方向に複数配置された転動体をなす玉と、それら玉の配列間隔を予め定められた値に保持する保持器とを有し、前記第二の軌道輪に対し前記第一の軌道輪は相対的な回転角度位置に対し中立点が予め定められるとともに、前記第一の軌道輪は前記中立点を基準として前記第二の軌道輪に対し正逆両方向に予め定められた上限揺動角度範囲にて揺動回転するものとされ、
前記第一の軌道輪及び第二の軌道輪の少なくともいずれかの軌道面には、前記上限揺動角度範囲よりも小さく設定された一部区間が、前記玉の該軌道面に対する摺動抵抗が残余の区間よりも小さく設定された低摺動抵抗区間とされる一方、前記複数の玉の予め定められたものがトルク制御用玉として定められ、
前記第二の軌道輪に対し前記第一の軌道輪が前記中立点にある状態では前記トルク制御用玉が前記低摺動抵抗区間内に位置し、前記第一の軌道輪が該中立点から前記低摺動抵抗区間の長さに応じて定まる脱出角度以上にて揺動回転することにより、前記トルク制御用玉を前記低摺動抵抗区間から脱出させるようにしたことを特徴とするサスペンションアッパーサポート用スラスト玉軸受。
【請求項2】
前記軌道面のラジアル方向端部には、該軌道面の周方向に沿って前記玉のラジアル方向への移動を規制するラジアル規制手段が形成されてなり、当該低摺動抵抗区間は、前記軌道面のラジアル方向幅を残余の区間よりも大きく設定したものである請求項1記載のサスペンションアッパーサポート用スラスト玉軸受。
【請求項3】
前記トルク制御用玉が複数設けられる請求項1又は請求項2に記載のサスペンションアッパーサポート用スラスト玉軸受。
【請求項4】
前記第一の軌道輪が該中立点にある状態で、前記低摺動抵抗区間の同じものに対し複数のトルク制御用玉が位置決めされる請求項3記載のサスペンションアッパーサポート用スラスト玉軸受。
【請求項5】
前記複数のトルク制御用玉の配列間隔が、残余の玉の配列間隔よりも狭く設定されてなる請求項4記載のサスペンションアッパーサポート用スラスト玉軸受。
【請求項6】
前記複数のトルク制御用玉が、前記保持器にて単一のポケット内に密接配置されてなる請求項5記載のサスペンションアッパーサポート用スラスト玉軸受。
【請求項7】
前記低摺動抵抗区間が、前記軌道面の周方向における複数箇所に分散形成され、それら複数の低摺動抵抗区間のそれぞれに前記トルク制御用玉が分配されてなる請求項ないし請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のサスペンションアッパーサポート用スラスト玉軸受。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2007−24104(P2007−24104A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−204390(P2005−204390)
【出願日】平成17年7月13日(2005.7.13)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】